JP2007305416A - シールド導電体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、簡易な手法により電線からシールドパイプへの熱伝導性を向上させることができるシールド導電体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】シールド導電体10は、シールドパイプ14の外周及び内周をその肉厚方向内方にへこませることでらせん溝24を設け、シールドパイプ14のうちらせん溝24が形成された部分の内周面と樹脂層12の外周面とを密着させる構成としたから、通電時に芯線21で発生した熱は、絶縁樹脂層22、樹脂層12へと伝達された後、樹脂層12の外周面から、シールドパイプ14の内周面へと直接に伝達され、芯線21からシールドパイプ14への熱伝導性が向上する。これにより、本実施形態のシールド導電体10は、樹脂層12とシールドパイプ14との間に空気層が存在したものと比較すると、芯線21で発生した熱を放出する性能に優れている。
【選択図】図1

Description

本発明は、シールド導電体及びその製造方法に関する。
従来よりシールド導電体としては特許文献1に記載のものが知られている。これは、芯線を絶縁樹脂層で被覆してなる電線を、金属製のシールドパイプ内に挿通してなる構造である。この構造によれば、電線の外周が金属パイプによって包囲されるから、電線に異物が衝突して損傷を受けることを防止できるだけでなく、金属パイプによる電磁的なシールド効果も期待できる。
特開2004−171952公報
ところで、電線に通電すると、芯線の抵抗値に電流値の二乗を乗じた値に対応する熱が発生し、その熱に起因する絶縁樹脂層の温度上昇が電線の使用可能範囲を決定する。芯線で発生した熱は、芯線から絶縁樹脂層、シールドパイプから周囲空気に至る伝熱経路を経て外部に放散されるから、その発熱に起因する温度上昇を抑えるには、芯線の抵抗値を下げるか、前記伝熱経路の熱伝導性を高めて放熱性を高めるしかない。芯線の抵抗値を下げるには、芯線を太くすることになるが、それは電線としての重量増やコストアップを招くから、軽量化等が要請される状況下では、採用し難いという事情がある。
ところが、放熱性の面では、上述のシールドパイプを使用したシールド導電体には大きな弱点がある。すなわち、上記シールド導電体は、金属パイプ内に電線を挿入して製造されるから、電線とシールドパイプとの間には必然的に空気層が介在してしまう。このため、芯線で発生した熱は、絶縁樹脂層に伝わってその表面温度が上昇したところで熱伝導率の低い空気によって遮断されてシールドパイプに伝わりにくくなり、シールドパイプ内に熱がこもって電線の温度が上昇するのである。このことは、この種のシールド導電体では放熱性が十分ではなく、その結果、重量やコストを犠牲にしてまでも、芯線の断面積を大きく確保して熱の発生を抑えざるを得ないことを意味する。
このような事情のもと、近年、この種のシールド導電体の放熱性を高める工夫が種々試みられている。例えば、電線をシールドパイプ内に挿通させた後、電線とシールドパイプとの間の空間に合成樹脂からなる充填材を充填することで、電線から発生した熱を充填材を介してシールドパイプに伝達することが考えられている。合成樹脂は空気よりも熱伝導率が高いので、充填材を充填しないものと比べて、電線からシールドパイプへの熱伝導性を向上させることが可能となり、シールドパイプ内に熱がこもることを防止できる。
しかしながら、電線が挿通された状態のシールドパイプ内に充填材を充填しようとすると、充填材の流路は狭く、且つ、曲がりくねったものとなるため、例えば、充填側と反対側からポンプで吸引しながら充填するなどの工夫が必要となり、手間がかかる。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、簡易な手法により電線からシールドパイプへの熱伝導性を向上させることができるシールド導電体及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、車両用の電力を供給するためのものであって外周に絶縁樹脂層を有した電線を金属製のシールドパイプ内に収容してなるシールド導電体の製造方法において、金属板を前記電線の外周面に沿って曲げながら前記電線の外周を包囲し、その金属板の端縁相互を溶接することで前記電線の外周を取り巻くシールドパイプを形成し、その後、前記シールドパイプの外周を巡りながら溝状に押圧してらせん溝を形成することにより前記シールドパイプの内周面を前記絶縁樹脂層に食い込ませて熱伝達可能な密着性を得るようにしたことを特徴とする。
請求項2の発明は、シールド導電体の製造方法であって、金属製のシールドパイプ内に、芯線の周囲に絶縁樹脂層を備えた電線が挿通された状態にする工程と、前記シールドパイプをその肉厚方向内方にへこませることで、前記シールドパイプの内面を前記絶縁樹脂層の外周面に密着させる工程とを実行するものである。
請求項3の発明は、芯線を絶縁樹脂層で被覆してなる複数本の電線を束ねた状態でモールド成形することで、前記複数本の電線の周囲を一括して樹脂層で包囲してなるケーブルを使用するシールド導電体の製造方法であって、ダイスを貫通する貫通孔に、この貫通孔のうち出側の内径よりも大きな内径を有する入側から、前記ケーブルと、帯状の金属板とを重ねた状態で挿通させて前記金属板により前記ケーブルの外周面を筒状に包囲して前記金属板の幅方向両端部の付き合せ部を溶接することでシールドパイプを形成し、このシールドパイプ内に前記ケーブルが挿通された状態にする工程と、前記シールドパイプをその肉厚方向内方にへこませることで、前記シールドパイプの内面を前記樹脂層の外周面に密着させる工程とを実行するものである。
請求項4の発明は、シールド導電体であって、芯線の周囲に絶縁樹脂層を備えた電線と、前記電線の外周面を包囲する金属製のシールドパイプと、前記シールドパイプにその肉厚方向内方に凹み形成されて前記絶縁樹脂層の外周面に密着する密着部とを備える。
請求項5の発明は、シールド導電体であって、芯線を絶縁樹脂層で被覆してなる電線と、前記電線の周囲を包囲する樹脂層と、前記樹脂層の周囲を包囲する金属製のシールドパイプと、前記シールドパイプにその肉厚方向内方に凹み形成されて前記樹脂層の外周面に密着する密着部とを備える。
請求項6の発明は、請求項4または請求項5に記載のものにおいて、前記密着部は、前記シールドパイプの外周面及び内周面に形成されたらせん溝であることを特徴とする。
<請求項1及び請求項2の発明>
請求項1及び請求項2の発明によれば、電線に通電することで芯線で発生した熱は、絶縁樹脂層に伝達された後、この絶縁樹脂層と密着する密着部を介してシールドパイプに直接に伝達され、シールドパイプから周囲空気に放散される。このように絶縁樹脂層とシールドパイプとの間では、密着部を介して直接に熱が伝達されるから、電線からシールドパイプへの熱伝導性を高めることが可能となる。
また、上述したように請求項1及び請求項2の発明よれば、芯線で発生した熱は密着部を介して直接にシールドパイプにまで伝わるから、絶縁樹脂層の外周面と、シールドパイプの内周面とを必ずしも全面に亘って密着させなくても、電線からシールドパイプへの熱伝導性を向上させることができる。このように、絶縁樹脂層とシールドパイプとを全面に亘って密着させなくてもよいので、シールドパイプをその肉厚方向内方にへこませる加工を簡便に行うことができる。
<請求項3の発明>
例えば、予め筒状に形成されたシールドパイプ内にケーブルを挿入しようとすると、シールドパイプの内部でケーブルの端部がシールドパイプの内周面に引っ掛かってしまうことがあり、ケーブルの挿通作業の効率が低下することが懸念される。
請求項3の発明によれば、ケーブルと、帯状の金属板とをダイスの貫通孔に挿通させて、金属板の幅方向両端部の付き合せ部を溶接することで、ケーブルの外周面を筒状のシールドパイプで包囲することが可能となる。このため、ケーブルをシールドパイプ内に挿入しなくてもよいので、ケーブルをシールドパイプ内に挿通された状態にするための作業効率を向上させることができる。
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、シールドパイプの内周面に形成された密着部は、絶縁樹脂層の外周面と密着しているから、芯線から絶縁樹脂層に伝達された熱は、密着部から直接にシールドパイプに伝達される。これにより、電線からシールドパイプへの熱伝導性を向上させることができる。
<請求項5の発明>
密着部が樹脂層と密着することで、樹脂層には密着部から押圧力が加えられることがある。この押圧力が芯線にまで伝わると、芯線が変形したり、場合によっては断線したりするおそれがある。
請求項5の発明によれば、密着部からの押圧力は樹脂層により吸収されるので、押圧力により芯線が変形したり、断線したりすることを防止できる。
<請求項6の発明>
シールド導電体の配設場所によっては、シールド導電体を屈曲した形態で配設しなければならない場合がある。この場合、シールドパイプを曲げ加工する必要があるが、シールドパイプは金属製であるため、シールドパイプの材質、肉厚によっては曲げ加工が難しい場合がある。
請求項6の発明によれば、シールドパイプの外周面及び内周面にはらせん溝が形成されているから、シールドパイプを容易に曲げ加工できる。
また、らせん溝が形成されることで、シールドパイプの外周面の表面積が広くなるから、シールドパイプの放熱性を向上させることができる。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図8を参照して説明する。本実施形態のシールド導電体10は、例えば電気自動車(図示せず)において走行用の動力源を構成するバッテリ、インバータ、モータなどの機器(図示せず)の間に配索されるものであり、3本の電線11を樹脂層12で保持してなるケーブル13と、このケーブル13の外周面を包囲することで一括シールド機能と電線保護機能と兼ね備えたシールドパイプ14とを備えて構成されている。
シールドパイプ14は、金属製(例えば、アルミニウム合金、銅合金、ステンレス等)の略筒状をなしており、空気よりも熱伝導率が高い材料からなる。
図4に示すように、このシールドパイプ14は、帯状の金属板15を、ダイス16に形成した貫通孔17内を挿通させることで形成されるようになっている。金属板15の幅寸法は、ケーブル13の外周面の周囲長よりも大きく設定されている。
上述の貫通孔17は、出側18の内径よりも入側19の内径が大きく形成されている。出側18の内径は、ケーブル13の外径よりも大きく設定されており、且つ、シールドパイプ14の外径と等しいか又はやや大きく設定されている。一方、入側19の内径は、金属板15の幅寸法と等しいか又はやや大きく設定されている。この貫通孔17内に、ケーブル13と、金属板15とを重ねた状態で、入側19から挿通し、出側18から引き出すことで、金属板15が貫通孔17の形状に倣って平板状から幅方向両端が付き合わされた筒状に形成されるようになっている。このように筒状となった金属板15の内部にはケーブル13が挿通された状態になっている。その後、金属板15の幅方向両端部の付き合せ部20を溶接することで、シールドパイプ14が形成されるようになっている。なお、シールドパイプ14の内径寸法は、ケーブル13の外径寸法よりも大きく設定されており、ケーブル13の外周面とシールドパイプ14の内周面との間に隙間が形成されるようになっている。これにより溶接時にケーブル13の外周面が熱で劣化又は溶融することを防止できるようになっている。
上述したように、シールドパイプ14内にはケーブル13が挿通された状態になっている。このケーブル13を構成する電線11は、金属製(例えば、アルミニウム合金や銅合金など)の芯線21の外周面を合成樹脂製の絶縁樹脂層22で包囲してなるノンシールドタイプのものが使用されている。芯線21は、複数本の細線23を螺旋状に寄り合わせた撚り線からなる。電線11の断面形状については芯線21と絶縁樹脂層22との双方が真円形とされている。また、絶縁樹脂層22の材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等が用いられている。
また、電線11の外周面を包囲してなる樹脂層12は、後述するように3本の電線11を一括して包囲する形態でモールド成形されたものであって、全体として細長く、横断面形状が略円形をなしている。また、樹脂層12の材料としては、空気よりも熱伝導率が高い合成樹脂であれば、電線11の絶縁樹脂層22と同じ種類のものが用いられてもよく、また、絶縁樹脂層22とは異なる種類のものが用いられてもよい。
図2に示すように、3本の電線11は、概ね俵積み状(電線11の中心を結んだときにほぼ正三角形を描く形態)をなすように束ねられた状態で外周面を樹脂層12に包囲されており、これにより、上記の配置に保持されている。電線11の絶縁樹脂層22の外周面と樹脂層12との間には隙間がなく、3本の電線11によって囲まれた中央空間内にも樹脂層12を構成する合成樹脂材料が充填されている。電線11は樹脂層12の外周面に露出することなく樹脂層12を貫通しており、電線11の両端部は樹脂層12から突出した形態となっている。また、電線11の両端部は、絶縁樹脂層22を除去して芯線21を露出させた状態となっている。
さて、図1に示すように、シールドパイプ14には、全長に亘って、シールドパイプ14をその肉厚方向内方にへこませることで、外周と内周とに一定ピッチでらせん溝(本発明の密着部に相当)24が形成されている。これにより、シールドパイプ14の内周面のうち、らせん溝24が形成された領域は、ケーブル13を構成する樹脂層12の外周面と密着するようになっている。詳細に説明すると、まず、シールドパイプ14のうちその肉厚方向内方にへこみ加工された部分においては、シールドパイプ14の内周面はケーブル13の樹脂層12の外周面に食い込んだ状態になっている。すると、樹脂層12のうちシールドパイプ14の内周面に押圧された肉は、シールドパイプ14のうちへこみ加工されてない部分と樹脂層12との間に形成された隙間に逃げて、樹脂層12がケーブル13の軸心方向外方に膨出する。すると、シールドパイプ14のうちへこみ加工されていない部分と、樹脂層12のうち膨出した部分とが密着する。この結果、シールドパイプ14の内周面と、ケーブル13を構成する樹脂層12の外周面とが、全面に亘って密着するようになっている。
樹脂層12は、シールドパイプ14の内周面のうちらせん溝24が形成されてへこみ加工された部分により、ケーブル13の軸心方向内方に押圧力を受ける。この押圧力は、樹脂層12に吸収されることで、電線11には及ばないようになっている。
続いて、シールド導電体10の製造工程を説明する。まず、端末処理が施されていない3本の電線11を、俵積み状に束ねてモールド金型(図示せず)内にセットする。モールド金型は、樹脂層12を押し出し成形するためのものであって流動状態とした樹脂材料の流路と、ケーブル13の断面形状と同一形状であって流路をモールド金型外へ連通させる押し出し口とを備えている。3本の電線11は、端部を押し出し口に臨ませた状態で、流路内に収容されている。押し出し口からは、3本の電線11を一括して包囲する状態で樹脂層12が成形されつつ押し出される。つまり、3本の電線11は樹脂層12と一体となって押し出し口からモールド金型外へ導出される。このようにして、3本の電線11の周囲を樹脂層12で一括して包囲してなるケーブル13を得る。得られたケーブル13は、例えば巻き取り軸25Aに巻き取られた形態で保管される。
この後、図3に示すように、ケーブル13を巻き取り軸25Aから送り出すと共に、板状の金属板15を他の巻き取り軸25Bから送り出し、金属板15とケーブル13とを重ねた状態で、ダイス16の貫通孔17に入側19から挿入する(図4参照)。すると、図5ないし図7に示すように、金属板15の幅方向両端部は、貫通孔17の内周面に当接して貫通孔17の内周面に押圧され、貫通孔17の内周面の形状に倣って曲げ形成される。これにより金属板15の幅方向両端部は付き合わされた状態になり、ケーブル13の周囲を包囲する筒状に形成される。そして、貫通孔17の出側18から、ケーブル13と、このケーブル13の周囲を包囲した状態で筒状に形成された金属板15とが導出される。
続いて、幅方向両端部が付き合わされた状態で、この付き合せ部20を、公知の手段で溶接する(例えばTIG溶接、超音波溶接等)。これにより、内部にケーブル13を挿通した状態のシールドパイプ14が形成される(図7及び図8参照)。
シールドパイプ14内にケーブル13が挿通された状態で、公知の手法により、シールドパイプ14の外周を巡りながら溝状に押圧し、シールドパイプ14の外周及び内周を全長に亘って一定のピッチで、その肉厚方向内方にへこませることで、らせん溝24を形成する。
らせん溝24が形成されたら、シールドパイプ14、樹脂層12及び電線11を所定長さに切断する。次に、切断されたシールドパイプ14の両端縁を所定長さだけ切断し、樹脂層12を露出させる。露出した樹脂層12に図示しないカッターでスリット(図示せず)を形成し、樹脂層12を電線11から剥ぎ取り、電線11の端末を露出させる。続いて、露出した電線11の絶縁樹脂層22に図示しないカッターでスリット(図示せず)を形成し、絶縁樹脂層22を除去して芯線21を露出させる端末処理を施す。以上により、本実施形態のシールド導電体10の製造が完了する。
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。従来のシールド導電体10(図示せず)では、ケーブル13とシールドパイプ14との間に空気層が存在しているため、通電時に芯線21で発生した熱は、絶縁樹脂層22、樹脂層12へと伝達され、熱伝導率の低い空気層に遮断されてシールドパイプ14に伝わりにくい。このため芯線21で発生した熱はシールドパイプ14の内部にこもりやすく、放熱性が低くなる傾向がある。
上記の点に鑑み、本実施形態のシールド導電体10は、シールドパイプ14の外周及び内周をその肉厚方向内方にへこませることでらせん溝24を設け、シールドパイプ14のうちらせん溝24が形成された部分の内周面と樹脂層12の外周面とを密着させる構成としたから、通電時に芯線21で発生した熱は、絶縁樹脂層22、樹脂層12へと伝達された後、樹脂層12の外周面から、シールドパイプ14の内周面へと直接に伝達され、芯線21からシールドパイプ14への熱伝導性が向上する。これにより、本実施形態のシールド導電体10は、樹脂層12とシールドパイプ14との間に空気層が存在したものと比較すると、芯線21で発生した熱を放出する性能に優れている。
そして、樹脂層12が、電線11の外周を一括して包囲する形態でモールド成形されているので、電線11の絶縁樹脂層22の外周を樹脂層12に対して隙間なく密着させることができる。これにより、電線11から樹脂層12への熱伝導性を向上させることができる。
さらに、シールドパイプ14にらせん溝24が形成されていることで、シールドパイプ14の外周面の表面積を大きくすることができるので、シールドパイプ14から周囲空気への放熱性を向上させることができる。
上記のように放熱性が向上したことにより、シールド導電体10の軽量化を図ることが期待できる。すなわち、芯線21に所定の電流を流したとき、芯線21の断面積が小さい程、芯線21の発熱量が大きくなるのであるが、本実施形態のように放熱性に優れていれば、芯線21の発熱量が大きくても、ケーブル13(芯線21と、絶縁樹脂層22と、樹脂層12とを備えてなる)の温度上昇を低く抑えることができる。したがって、電気自動車のようにケーブル13の温度上昇値に上限が定められている環境下では、従来のシールド導電体10を放熱性に優れた本実施形態のシールド導電体10に変更することで、ケーブル13における発熱許容量が相対的に大きくなる。そして、ケーブル13における発熱許容量が相対的に大きくなる、ということは、ケーブル13の温度上昇値に上限が定められた環境下において使用可能な芯線21の最小断面積を小さくできることを意味し、芯線21の断面積を小さくすることで、シールド導電体10の軽量化及び小径化が可能となる。
また、シールド導電体10の配設場所によっては、シールド導電体10を屈曲した形態で配設しなければならない場合がある。この場合、シールドパイプ14を曲げ加工する必要があるが、シールドパイプ14は金属製であるため、シールドパイプ14の材質、肉厚によっては曲げ加工が難しい場合がある。この点に鑑み、本実施形態ではシールドパイプ14にらせん溝24を形成したから、、シールドパイプ14を容易に曲げ加工できる。
また、シールドパイプ14のうちらせん溝24が形成された部分の内周面が樹脂層12の外周面に食い込むことで、樹脂層12にはシールドパイプ14の内周面から押圧力が作用する。この押圧力が芯線21にまで伝わると、芯線21が変形したり、場合よっては断線したりするおそれがある。この点に鑑み、本実施形態においては、樹脂層12により押圧力が吸収されるようになっているので、芯線21が変形したり、断線したりすることを防止できる。
また、シールドパイプ14内にケーブル13を挿通した状態にするためには、例えば、予め筒状に形成されたシールドパイプ14内にケーブル13を挿通することが考えられる。しかしこの方法によると、ケーブル13の端部がシールドパイプ14の内周面に引っ掛かったりすることが懸念される。上記の点に鑑み、本実施形態では、ダイス16に形成された貫通孔17に、帯状の金属板15とケーブル13とを重ねた状態で挿通させた後、両端部を溶接することで、シールドパイプ14内にケーブル13が挿通された状態にするようになっている。これにより、シールドパイプ14を形成した時には、既にシールドパイプ14内にケーブル13が挿通された状態になっている。この結果、シールドパイプ14内にケーブル13を挿通した状態にするための作業の効率を向上させることができる。
また、本実施形態では、シールドパイプ14の外周面及び内周面にらせん溝24を形成することにより、ケーブル13の樹脂層12の外周面に、シールドパイプ14の内周面を食い込ませて密着させるようになっている。これにより、通電時に電線11で発生した熱はケーブル13の樹脂層12から直接に、効率よくシールドパイプ14に伝達される。このため、シールドパイプ14に対し、全面に亘って、その肉厚方向内方に凹み加工を行わなくてもよいので、シールドパイプ14の内周面を樹脂層12の外周面に密着させる作業を簡素化できる。
<実施形態2>
続いて、本発明の実施形態2を図9を参照して説明する。本実施形態にシールド導電体10は、芯線21の周囲に絶縁樹脂層22を備えた電線11と、この電線11の外周面を包囲することで一括シールド機能と電線保護機能とを兼ね備えたシールドパイプ14とを備えて構成されている。
電線11は、金属製(例えば、アルミニウム合金や銅合金など)の芯線21の外周面を合成樹脂製の絶縁樹脂層22で包囲してなる。この絶縁樹脂層22の外周面は、シールドパイプ14の内周面と密着するようになっている。詳細に説明すると、まず、シールドパイプ14の壁面のうちその肉厚方向内方にへこみ加工された部分においては、シールドパイプ14の内周面は電線11の絶縁樹脂層22の外周面に食い込んだ状態になる。すると、絶縁樹脂層22のうちシールドパイプ14の内周面に押圧された肉は、シールドパイプ14のうちへこみ加工されてない部分と絶縁樹脂層22との間に形成された隙間に逃げて、絶縁樹脂層22がケーブル13の軸心方向外方に膨出する。すると、シールドパイプ14のうちへこみ加工されていない部分と、絶縁樹脂層22のうち膨出した部分とが密着する。この結果、シールドパイプ14の内周面と、電線11の絶縁樹脂層22の外周面とが、全面に亘って密着するようになっている。
上記のようにシールドパイプ14の内周面を電線11の絶縁樹脂層22に食い込ませると、シールドパイプ14の内周面から絶縁樹脂層22に押圧力が働き、この押圧力により芯線21が圧迫されて、芯線21が変形したり、場合によっては断線したりすることが懸念される。上記の点に鑑み、本実施形態では、絶縁樹脂層22は、シールドパイプ14の内周面からの押圧力を吸収し、芯線21に上記押圧力が作用しないような厚さ寸法に設定されている。これにより、絶縁樹脂層22とシールドパイプ14との間に、シールドパイプ14の内周面からの押圧力を吸収するための樹脂層12を省略できる。また、絶縁樹脂層22の厚さ寸法は、シールドパイプ14の内周面に押圧されることで凹み変形した状態であっても、芯線21の絶縁を図ることができる厚さに設定されている。
なお、上記以外の構成については、実施形態1と略同様であるので、同一部分については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
続いて、シールド導電体10の製造工程を説明する。まず、端末処理が施されていない1本の電線11を巻き取り軸25から送り出すと共に、板状の金属板15を巻き取り軸25から送り出し、金属板15と電線11とを重ねた状態で、ダイス16の貫通孔17に入側19から挿入する。すると、金属板15の幅方向両端部は、貫通孔17の内周面に当接して貫通孔17の内周面に押圧され、貫通孔17の内周面の形状に倣って曲げ形成される。これにより金属板15の幅方向両端部は付き合わされた状態になり、電線11の周囲を包囲する筒状に形成される。そして、貫通孔17の出側18から、電線11と、この電線11の周囲を包囲した状態で筒状に形成された金属板15とが導出される。
続いて、幅方向両端部が付き合わされた状態で、この付き合せ部20を、公知の手段で溶接する(例えばTIG溶接、超音波溶接等)。これにより、内部に電線11を挿通した状態のシールドパイプ14が形成される。
シールドパイプ14内に電線11が挿通された状態で、公知の手法により、電線11の外周及び内周を、全長に亘って、その肉厚方向内方にへこませることで、らせん溝24を形成する。
らせん溝24が形成されたら、シールドパイプ14及び電線11を所定長さに切断する。次に、切断されたシールドパイプ14の両端縁を所定長さだけ切断し、電線11の端末を露出させる。露出した電線11の絶縁樹脂層22に図示しないカッターでスリット(図示せず)を形成し、絶縁樹脂層22を除去して芯線21を露出させる端末処理を施す。以上により、本実施形態のシールド導電体10の製造が完了する。
実施形態2のように1本の電線11を備えてなるシールド導電体10は、例えば、図示しないインバータとバッテリとの間を接続して直流を通電する用途に好適に用いることができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態では、シールドパイプ14の断面形状は概ね円形としたが、これに限られず、シールドパイプ14の断面形状は、非円形(例えば長円形、楕円形、台形や三角形を含む概ね多角形など)でもよい。
(2)本実施形態では、密着部はシールドパイプ14の外周面及び内周面に一定のピッチで形成されたらせん溝24としたが、これに限られず、らせん溝24のピッチは一定でなくてもよい。また、密着部は、シールドパイプ14の外周面及び内周面に、独立した周方向の突部と、独立した周方向の溝とが交互に連続する蛇腹状でもよい。
また、密着部は、シールドパイプ14の外周面を、シールドパイプ14の肉厚方向内方に押圧することで凹状に形成したディンプル状であってもよい。
また、例えばシールドパイプ14を曲げ加工する必要がない場合には、シールドパイプ14の軸方向に延びる形態の1条又は複数条の凹溝であってもよい。
(3)本実施形態では、ケーブル13を帯状の金属板15で包囲して金属板15を筒状に形成した後、金属板15の幅方向両端部を溶接してシールドパイプ14を形成するようにしたが、例えば、ケーブル13の先端に合成樹脂製のキャップを嵌める等、シールドパイプの内周面に引っ掛かりにくくする工夫がなされている場合には、予め形成したシールドパイプ14内にケーブル13を挿通させてもよい。
(4)本実施形態では、電線11は撚り線であったが、これに限られず、電線11は単芯線であってもよい。
(5)本実施形態では、樹脂層12とシールドパイプ14との間に隙間がない構成としたが、これに限られず、シールドパイプ14の内周面の少なくとも一部が樹脂層12の外周面と密着していれば、樹脂層12とシールドパイプ14との間に隙間が存在してもよい。
(6)実施形態1では、1本のシールドパイプ14に挿通される電線11の本数は3本とし、また、実施形態2では、1本のシールドパイプ14に挿通される電線11の本数は1本としたが、これに限られず、シールドパイプ14に挿通される電線11の本数は、2本又は4本以上でもよい。
(7)実施形態1では、電線11は樹脂層12内で俵積み状に配置されるようにしたが、これに限られず、電線11は一列に並ぶように配置されていてもよく、縦横に整列して配置されていてもよい。
(8)実施形態1では、1本のシールドパイプ14内に、3本の同じ種類の電線11を挿通される構成としたが、これに限られず、例えば、電力用の電線11と、信号用の電線11とを1本のシールドパイプ14内に挿通される構成としてもよい。
実施形態1に係るシールド導電体の一部切欠縦断面図 図1におけるA−A線断面図 シールド導電体の製造工程の概略を説明するものであって、ケーブルと、金属板と、ダイスとを示す図 ケーブルと金属板とをダイスの貫通孔に挿通している状態を示す一部拡大断面図 ケーブルの外周面が金属板に包囲される前の状態を示す、ケーブル及び金属板の横断面図 ケーブルの外周面が金属板に包囲される途中の状態を示す、ケーブル及び金属板の横断面図 ケーブルの外周面が金属板に包囲された状態を示す、ケーブル及び金属板の横断面図 ケーブルの外周面が金属板に包囲された状態を示す一部切欠縦断面図 本発明の実施形態2に係るシールド導電体の横断面図
符号の説明
10…シールド導電体
11…電線
12…樹脂層
13…ケーブル
14…シールドパイプ
15…金属板
16…ダイス
17…貫通孔
18…出側
19…入側
21…芯線
22…絶縁樹脂層
24…らせん溝(密着部)

Claims (6)

  1. 車両用の電力を供給するためのものであって外周に絶縁樹脂層を有した電線を金属製のシールドパイプ内に収容してなるシールド導電体の製造方法において、金属板を前記電線の外周面に沿って曲げながら前記電線の外周を包囲し、その金属板の端縁相互を溶接することで前記電線の外周を取り巻くシールドパイプを形成し、その後、前記シールドパイプの外周を巡りながら溝状に押圧してらせん溝を形成することにより前記シールドパイプの内周面を前記絶縁樹脂層に食い込ませて熱伝達可能な密着性を得るようにしたことを特徴とするシールド導電体の製造方法。
  2. 金属製のシールドパイプ内に、芯線の周囲に絶縁樹脂層を備えた電線が挿通された状態にする工程と、
    前記シールドパイプをその肉厚方向内方にへこませることで、前記シールドパイプの内面を前記絶縁樹脂層の外周面に密着させる工程とを実行するシールド導電体の製造方法。
  3. 芯線を絶縁樹脂層で被覆してなる複数本の電線を束ねた状態でモールド成形することで、前記複数本の電線の周囲を一括して樹脂層で包囲してなるケーブルを使用するシールド導電体の製造方法であって、
    ダイスを貫通する貫通孔に、この貫通孔のうち出側の内径よりも大きな内径を有する入側から、前記ケーブルと、帯状の金属板とを重ねた状態で挿通させて前記金属板により前記ケーブルの外周面を筒状に包囲して前記金属板の幅方向両端部の付き合せ部を溶接することでシールドパイプを形成し、このシールドパイプ内に前記ケーブルが挿通された状態にする工程と、
    前記シールドパイプをその肉厚方向内方にへこませることで、前記シールドパイプの内面を前記樹脂層の外周面に密着させる工程とを実行するシールド導電体の製造方法。
  4. 芯線の周囲に絶縁樹脂層を備えた電線と、前記電線の外周面を包囲する金属製のシールドパイプと、前記シールドパイプにその肉厚方向内方に凹み形成されて前記絶縁樹脂層の外周面に密着する密着部とを備えるシールド導電体。
  5. 芯線を絶縁樹脂層で被覆してなる電線と、前記電線の周囲を包囲する樹脂層と、前記樹脂層の周囲を包囲する金属製のシールドパイプと、前記シールドパイプにその肉厚方向内方に凹み形成されて前記樹脂層の外周面に密着する密着部とを備えるシールド導電体。
  6. 請求項4または請求項5に記載のものにおいて、前記密着部は、前記シールドパイプの外周面及び内周面に形成されたらせん溝であることを特徴とするシールド導電体。
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