JP2007304300A - 薄膜回路装置およびその製造方法、並びに電子機器 - Google Patents

薄膜回路装置およびその製造方法、並びに電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】接続配線の断線を防止でき、接続信頼性を向上させた薄膜回路装置およびその製造方法、並びに当該薄膜回路装置を備えた電子機器を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る薄膜回路装置は、配線部2を備える回路基板1と、回路基板1上に搭載され、素子表面よりも低い位置に接続端子部13が設けられた薄膜素子10と、回路基板1上において薄膜素子10の周囲に形成され、素子表面から回路基板1の表面に至る傾斜面を有する絶縁性傾斜部3と、接続端子部13から絶縁性傾斜部3を通って配線部2に至るように形成された接続配線4と、を有し、接続端子部13上に、接続端子部13と素子表面との間の段差を解消する突起電極14が設けられており、突起電極14を介して接続端子部13と接続配線4が接続されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、半導体素子等の薄膜素子を備えた薄膜回路装置およびその製造方法、並びに電子機器に関する。
半導体素子等の薄膜素子は、回路基板上に搭載されて、薄膜回路装置として使用される。薄膜素子と回路基板とを電気的に接続させる方法の1つとして、従来、ワイヤボンディング法が使用されていた。
しかしながら、ワイヤボンディング法では、高い温度および圧力が局所的に回路基板の配線部および薄膜素子の接続端子部にかかる。薄膜素子の基板や、回路基板として可撓性を有する樹脂フィルム等を採用した場合には、ワイヤボンディング時の熱および圧力により、基板の軟化や、局所的な変形が生じるおそれがある。
これを防止するため、近年、インクジェットまたはディスペンサを用いて接続配線を形成する技術が開発されている(特許文献1参照)。インクジェット等を用いた技術では、流動性の導電性材料を吐出することにより接続配線を描いた後に、当該導電性材料を固化させることにより、接続配線が形成される。このため、薄膜素子や回路基板に高い温度や圧力がかからなくなり、上記の不具合を解消することができる。
特許文献1に記載の技術では、薄膜素子の周囲に傾斜面を有する絶縁部を形成することにより、薄膜素子の表面と回路基板の表面との間の段差を解消している。これにより、接続配線の断線の発生を防止している。
特開2004−281539号公報
しかしながら、従来、薄膜素子の接続端子部は、薄膜素子の表面よりも低い位置に設けられている。この薄膜素子の表面から接続端子部までの段差に起因して、接続配線の断線が発生するおそれがある。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、接続配線の断線を防止でき、接続信頼性を向上させた薄膜回路装置およびその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記の薄膜回路装置を備えた電子機器を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明の薄膜回路装置は、配線部を備える回路基板と、前記回路基板上に搭載され、素子表面よりも低い位置に接続端子部が設けられた薄膜素子と、前記回路基板上において前記薄膜素子の周囲に形成され、前記素子表面から前記回路基板の表面に至る傾斜面を有する絶縁性傾斜部と、前記接続端子部から前記絶縁性傾斜部を通って前記配線部に至るように形成された接続配線と、を有し、前記接続端子部上に、前記接続端子部と前記素子表面との間の段差を解消する突起電極が設けられており、前記突起電極を介して前記接続端子部と前記接続配線が接続されている。
上記の本発明では、接続端子部上に突起電極を設けることにより、接続端子部と素子表面との間の段差が解消される。また、薄膜素子の周囲に設けた絶縁性傾斜部により、薄膜素子の素子表面と回路基板の表面との間の段差が解消されている。本発明では、薄膜素子の接続端子部から回路基板の配線部に至る経路の段差が解消されるため、段差に起因する接続配線の断線を防止できる。この結果、薄膜素子と回路基板の接続信頼性が向上した薄膜回路装置を実現できる。
前記薄膜素子の前記素子表面に、前記接続端子部に連通し、前記接続配線の一部を収容する溝が設けられており、前記接続配線は、当該溝に沿って形成されている。例えば、接続配線を流動性の導電性材料を用いて形成する場合には、溝を設けることにより、接続配線が左右に広がることが抑制される。これにより、接続配線間の短絡を防止できる。
前記薄膜素子は、可撓性基板と、前記可撓性基板上に所定のパターンの薄膜が積層されて形成された薄膜回路層と、を有することが好ましい。これにより、軽量で柔軟性を備えた薄膜素子を有する薄膜回路装置が得られる。
例えば、前記回路基板は、可撓性を有する。これにより、軽量で柔軟性を備えた薄膜回路装置が得られる。
上記の目的を達成するため、本発明は、上記した薄膜回路装置を備える電子機器を提供するものである。本発明の薄膜回路装置を有することにより、接続信頼性が向上した電子機器を実現することができる。
上記の目的を達成するため、本発明の薄膜回路装置は、素子表面よりも低い位置に接続端子部を備える薄膜素子を形成する工程と、前記薄膜素子の前記接続端子部上に、前記接続端子部と前記素子表面との間の段差を解消する突起電極を形成する工程と、前記突起電極が設けられた前記薄膜素子を、配線部を備える回路基板上に搭載する工程と、前記回路基板上であって前記薄膜素子の周囲に、前記薄膜素子の表面から前記回路基板の表面に至る傾斜面を有する絶縁性傾斜部を形成する工程と、前記接続端子部から前記絶縁性傾斜部を通って前記配線部に至るように、接続配線を形成する工程と、を有する。
上記の本発明では、接続端子部上に突起電極を設けることにより、接続端子部と素子表面との間の段差を解消している。また、薄膜素子の周囲に絶縁性傾斜部を設けることにより、薄膜素子の素子表面と回路基板の表面との間の段差を解消している。本発明では、薄膜素子の接続端子部から回路基板の配線部に至る経路の段差を解消していることから、接続配線の断線を防止できる。この結果、薄膜素子と回路基板の接続信頼性が向上した薄膜回路装置を製造することができる。
前記接続配線を形成する工程において、流動性の導電性材料を供給し、当該導電性材料を固化させて、前記接続配線を形成することが好ましい。これにより、薄膜素子に係る温度および圧力を低減することができ、信頼性を向上させた薄膜回路装置を製造できる。
(薄膜回路装置)
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、薄膜素子と回路基板を示す斜視図である。
薄膜素子10とは、半導体層等の所定の機能を実現するための薄膜が積層された構造体をいい、例えば薄膜回路層や微細構造体を含む。薄膜素子10は、通常のICチップの他、薄膜トランジスタ及び電気光学素子を含む表示素子であってもよい。電気光学素子とは、電気的作用によって発光するあるいは外部からの光の状態を変化させる素子であり、自ら発光するものと外部からの光の通過を制御するものの双方を含む。例えば、電気光学素子として、液晶素子、電気泳動素子、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、エレクトロクロミック素子、電界の印加により発生した電子を発光板に当てて発光させる電子放出素子などが挙げられる。
図1に示すように、薄膜素子10には、複数の接続端子部13が形成されており、この接続端子部13の位置に突起電極14が形成されている。図1では、接続端子部13は突起電極14下に存在するため現れていないが、後述するように、接続端子部13は、薄膜素子10の表面よりも低い位置に設けられている。接続端子部13上に周囲より突出した突起電極14が設けられていることにより、実質的に周囲より突出した接続端子部が得られることとなる。
回路基板1の表面には、配線部2が形成されている。配線部2は、例えば銅により形成される。回路基板1の材料に限定はない。例えば、回路基板1として、薄く、可撓性を有する樹脂フィルムを用いることができる。
図2は、本実施形態に係る薄膜回路装置の製造方法を説明するための図である。
図2(a)に示すように、回路基板1上に薄膜素子10を搭載する。接続端子部13の形成面の裏面を回路基板1へ向けて、薄膜素子10を回路基板1に搭載する。薄膜素子10と回路基板1との間に接着剤を介在させてもよい。
図2(b)に示すように、薄膜素子10の周囲に、絶縁性材料からなる傾斜部3を形成する。傾斜部3は、ポリイミド樹脂、シリコン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン変性エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン(BCB:benzocyclobutene)、ポリベンゾオキサゾール(PBO:polybenzoxazole)等の樹脂で形成してもよい。傾斜部3は、液状樹脂をポッティングにより形成してもよいし、ドライフィルムを固着することにより形成してもよい。傾斜部3は、薄膜素子10から外方向に下がる傾斜面を有するように形成する。これにより、薄膜素子10の表面と、回路基板1の表面との間の段差が解消され、後に形成する接続配線の断線を防止することができる。
図2(c)に示すように、薄膜素子10の表面、傾斜部3および回路基板1の表面上に、薄膜素子10の突起電極14と、回路基板1の配線部2とを接続する接続配線4を形成する。接続配線4は、突起電極14から傾斜部3を通って配線部2上に至るように形成する。例えば、薄膜素子10の表面、傾斜部3、回路基板1の表面上に流動性の導電性材料を吐出して、当該導電性材料の固化処理を行うことにより、接続配線4を形成する。
導電性材料は、例えば、RuO2、IrO2、OsO2、MoO2、ReO2、WO2、YBa2Cu37-x、Pt、Au、Ag、In、In−Ga合金、Ga、半田等の金属を溶媒に分散して構成される。溶媒としては、ブチルカルビトールアセテート、3−ジメチル−2−イミタゾリジン、BMA等が挙げられる。導電性材料として、In−Ga、In、半田等の低融点金属を加熱等によって溶融させた状態で用いてもよい。
次いで、所望の電気的特性を得るために導電性材料の固化処理を行う。導電性材料が金属の微粒子を含んでいる場合、インクジェットから吐出される導電性材料には溶媒中に微粒子が散在している。この導電性材料から溶媒を蒸発させることで導電性を得るが、より高い信頼性を得るためには金属の融点以上に加熱する。この処理により、溶媒が蒸発するのに加えて、金属が溶解し微粒子が互いに一本化する。
以上により、薄膜素子10の接続端子部13と、回路基板1の配線部2とが、突起電極14および接続配線4を介して電気的に接続される。これにより、薄膜回路装置5が製造される。薄膜回路装置5とは、1つ以上の薄膜素子10を回路基板1に搭載することにより、所望の機能を実現するようにした装置をいう。なお、回路基板1上には、薄膜素子10以外の他の素子が搭載されてもよい。
図3は、薄膜回路装置の要部断面図である。
本実施形態に係る薄膜素子10は、製造元基板11と、製造元基板11上に形成された薄膜回路層12とを有する。薄膜回路層12は、複数の薄膜が積層されて形成される。これにより、薄膜回路層12中に、トランジスタや、TFT(薄膜トランジスタ)が形成されている。薄膜素子10がICチップの場合には、製造元基板11は、例えば、単結晶シリコンウェハからなる。
薄膜回路層12には、接続端子部13が形成されている。接続端子部13は、一般的に、薄膜回路層12中の最上層の導電層を利用して形成される。薄膜回路層12中の層の大部分は、接続端子部13に形成されないことが多いため、接続端子部13の表面は、薄膜回路層12の表面よりもかなり低くなる。例えば、薄膜回路層12の厚さの半分程度の深さに接続端子部13が形成される場合がある。
本実施形態では、接続端子部13上に突起電極14が設けられており、接続端子部13と素子表面との間の段差が解消されている。突起電極14の表面は、素子表面と同位置か、素子表面より突出している。図3では、突起電極14が素子表面より突出している例を示している。薄膜素子10からの突起電極14の突出量は、突起電極14の形成時に調整可能である。
突起電極14は、例えば、ニッケルを主体とし、表面に金を被覆してなる。突起電極14は、例えば、印刷法あるいはめっき処理により形成される。めっき処理は、電解めっき、無電解めっきのいずれを用いてもよい。例えば、接続端子部13上にニッケル電極を形成した後、ニッケル電極の表面に金メッキを施すことにより、突起電極14を形成する。
薄膜素子10の側部には、絶縁性材料からなる傾斜部3が形成されている。傾斜部3は、薄膜素子10から外方向に下がる傾斜面を有する。これにより、薄膜素子10の表面と、回路基板1の表面との間の段差が解消されている。
薄膜素子10の突起電極14から傾斜部3を通って回路基板1の配線部2に至るように、接続配線4が形成されている。
図4は、突起電極14を形成しない従来例の薄膜素子の回路装置の要部断面図である。 突起電極14を設けない場合には、薄膜素子10の表面から接続端子部13へと凹状の段差部Cが生じる。薄膜素子10の表面は絶縁性である。この場合には、流動性の導電性材料が流れることにより、段差部Cにおいて、接続配線4が断線するか、接続配線4が非常に薄くなり、接続配線4の抵抗値が上昇するという問題がある。
これに対して、本実施形態では、図3に示すように、接続端子部13上に突起電極14が設けられており、接続端子部13と素子表面との間の段差が解消されている。これにより、接続配線4の断線を防止することができる。なお、めっき等により形成される突起電極14の表面は滑らかなため、突起電極14の表面を被覆する接続配線4を容易に形成することができる。
上記した本実施形態に係る薄膜回路装置によれば、接続端子部13上に突起電極14を設けることにより、接続端子部13と素子表面との間の段差を解消することができることから、接続配線4の断線を防止することができる。従って、薄膜素子10と回路基板1との接続信頼性を向上させることができる。
(変形例)
流動性の導電性材料を用いて接続配線4を形成する場合には、接続配線4の断線を防止することに加えて、隣接する接続配線との短絡を防止することも重要となる。本例では、これを防止するための薄膜回路装置5の構成について説明する。
図5(a)に示すように、接続端子部13から薄膜素子10の端部(外縁)にかけて、薄膜回路層12に溝15が設けられている。溝15の幅は、接続端子部13の幅以下に設定される。溝15の深さは、接続端子部13と同等か、接続端子部13よりも浅く形成されている。ただし、溝15の幅や深さに特に限定はない。
図5(b)に示すように、接続端子部13およびこれに連通する溝15が形成された薄膜素子10に、突起電極14が形成される。図5(b)に示す溝15内あるいは溝15に沿って接続配線4が形成される。本例では、流動性の導電性材料は溝15に流れ込むことから、導電性材料が左右に広がることを抑制することができる。この結果、互いに隣接する接続配線4のショートを防止することができる。特に、接続配線4が溝15に収まるように、溝15の幅を設定することにより、接続配線4が左右に広がることを最も効果的に防止することができる。
(薄膜素子の他の例)
次に、薄膜素子10として、液晶素子等の表示素子を用いた例について説明する。なお、以下の説明は、液晶素子以外の他の表示素子にも適用される。
図6は、液晶素子からなる薄膜素子10aの斜視図である。
図6に示すように、薄膜素子10aの中央部には、回路部16が形成されている。回路部16は、複数の画素が形成された画素部と、画素部の周囲に設けられた垂直ドライバおよび水平ドライバにより構成されている。回路部16には、複数の薄膜トランジスタが形成されている。薄膜素子10aの周囲の一部分に、接続端子部13が形成されている。
図7(a)は、図1の接続端子部13と回路部16の断面図である。図7(a)の接続端子部13の断面図は、図6のA−A’線に沿った断面図である。また、図面の簡略化のため、回路部16の断面図には、1つの薄膜トランジスタのみを図解している。
図7(a)に示すように、製造元基板11上に、薄膜回路層12が形成されている。薄膜回路層12は、複数の薄膜が積層されて形成されており、薄膜トランジスタや、接続端子部13が形成されている。以下、薄膜回路層12の層構成の一例について説明する。
例えば、石英ガラス基板、耐熱ガラス基板からなる製造元基板11上には、酸化シリコンからなる絶縁膜21が形成されている。回路部16において、絶縁膜21上には例えばポリシリコンからなる半導体層22が形成されている。半導体層22は、薄膜トランジスタの活性層となる。
半導体層22を被覆して全面に、例えば酸化シリコンからなるゲート絶縁膜23が形成されている。半導体層22上には、ゲート絶縁膜23を介してゲート電極24aが形成されている。ゲート電極24aは、例えばポリシリコン、あるいは金属材料からなる。接続端子部13の領域には、ゲート絶縁膜23上に電極24bが形成されている。ゲート電極24aと電極24bは、同一の材料により形成されている。
ゲート電極24aおよび電極24bを被覆して全面に、例えば酸化シリコンからなる層間絶縁膜25が形成されている。回路部16において、ソース・ドレイン電極26aが層間絶縁膜25に埋め込まれて形成されている。1つの半導体層22に対して、ゲート電極24aの両側に2つのソース・ドレイン電極26aが接続されている。
接続端子部13の領域に電極26bが形成されている。電極26bは、ソース・ドレイン電極26aと同一の材料により形成されている。ソース・ドレイン電極26aおよび電極26bを被覆して全面に、保護層27が形成されている。保護層27は、酸化シリコン等の無機膜であっても樹脂等の有機膜であってもよい。回路部16において、保護層27には、1つのソース・ドレイン電極26aに達する開口部が形成されている。また、保護層27には、接続端子部13の位置に開口部が形成されている。
回路部16において、保護層27上には透明導電膜28aが形成されており、透明導電膜28aと1つのソース・ドレイン電極26aが接続されている。透明導電膜28aは、例えばITO(Indium Tin Oxide)からなる。電極26b上には、接続端子部13となる透明導電膜28bが形成されている。透明導電膜28bは、透明導電膜28aと同一の材料により形成されている。透明導電膜28bは、その下層の電極26b、24bを介して回路部16に接続されている。
図7(b)に示すように、上記の薄膜素子10aの接続端子部13上に突起電極14が形成される。突起電極14は、例えば、ニッケルを主体とし、表面に金を被覆してなる。突起電極14は、例えば、印刷法あるいはめっき処理により形成される。めっき処理は、電解めっき、無電解めっきのいずれを用いてもよい。例えば、接続端子部13上にニッケル電極を形成した後、ニッケル電極の表面に金メッキを施すことにより、突起電極14を形成する。
上記した本実施形態に係る薄膜回路装置によれば、接続端子部13上に突起電極14を設けることにより、接続端子部13と素子表面との間の段差を解消することができることから、接続配線4の断線を防止することができる。従って、薄膜素子10aと回路基板1との接続信頼性を向上させることができる。
上記の本実施形態に係る薄膜回路装置に使用される薄膜素子の製造方法について、図8〜図10を参照して説明する。まず、図8を参照して、薄膜素子の製造方法について説明する。
図8(a)に示すように、製造元基板11上に酸化シリコン膜を堆積して、絶縁膜21を形成する。続いて、絶縁膜21の全面に、例えばCVD法によりポリシリコン膜を堆積し、当該ポリシリコン膜をパターニングする。これにより、回路部16における絶縁膜21上に半導体層22を形成する。パターニングは、リソグラフィ技術によりレジストパターンを形成し、レジストパターンを用いて被加工膜をエッチングすることにより行われる。
図8(b)に示すように、半導体層22および絶縁膜21上に、ポリシリコンあるいは金属材料からなる電極材料を堆積し、電極材料をパターニングする。これにより、回路部16における半導体層22上にゲート電極24aを形成し、接続端子部13の位置に電極24bを形成する。
図8(c)に示すように、CVD法により全面に酸化シリコンを堆積して層間絶縁膜25を形成する。続いて、レジストを用いたエッチングにより、半導体層22および電極24bを露出させる開口部を層間絶縁膜25に形成する。続いて、全面に電極材料を堆積し、当該電極材料をパターニングすることにより、回路部16にソース・ドレイン電極26aを形成し、接続端子部13の位置に電極26bを形成する。電極材料としては、例えばアルミニウムやタングステンを使用する。
図8(d)に示すように、CVD法あるいは塗布法により、全面に保護層27を形成する。続いて、レジストを用いたエッチングにより、ソース・ドレイン電極26aおよび電極24bを露出させる開口部を保護層27に形成する。続いて、全面に例えばITOを堆積し、ITOをパターニングすることにより、回路部16に透明導電膜28aを形成し、接続端子部13の位置に透明導電膜28bを形成する。以上により、製造元基板11上に薄膜回路層12を備える薄膜素子10aが形成される。
図9(a)に示すように、接続端子部13以外の領域に、保護層30を形成する。保護層30の材料に限定はないが、例えばレジストにより保護層30を形成する。
図9(b)に示すように、接続端子部13上にのみに突起電極14を形成する。突起電極14は、例えば、印刷法あるいはめっき処理により形成する。めっき処理は、電気めっき、無電解めっきのいずれを用いてもよい。例えば、接続端子部13上にニッケル電極を形成した後、ニッケル電極の表面に金メッキを施すことにより、突起電極14を形成する。
図9(c)に示すように、保護層30を除去する。例えば、アッシング処理あるいはレジスト剥離液を用いて保護層30を除去する。
以上により、接続端子部13の位置に突起電極14を備えた薄膜素子10aが製造される。以降の工程としては、図1に示すように、回路基板1上へ薄膜素子10aが搭載され、薄膜素子10aの周囲に傾斜部3が形成され、接続配線4が形成される。これにより、回路基板1の配線部2と、薄膜素子10aの接続端子部13とが、突起電極14および導接続配線4を介して電気的に接続され、薄膜回路装置が製造される。
本実施形態に係る薄膜回路装置の製造方法によれば、接続端子部13上に突起電極14を設けることにより、接続端子部13と素子表面との間の段差を解消することができることから、接続配線4の断線を防止することができる。従って、薄膜素子10aと回路基板1との接続信頼性を向上させることができる。流動性の導電性材料を用いて接続配線4を形成する方法は、薄膜素子10aへ高温および高圧を与えることがないため、薄膜素子あるいは回路基板の基板材料として、耐熱性や機械的強度の低い基板材料を用いることができる。
(可撓性基板への薄膜素子の転写方法)
可撓性を有する基板上に薄膜回路層を有する薄膜素子の製造方法について説明する。薄膜回路層の製造では、高温プロセスや、厳密な加工精度が要求されるため、耐熱性や形状安定性に優れ、薄膜素子の製造に適した製造元基板が使用される。この条件を満たす製造元基板としては、フレキシブル基板(可撓性基板)ではなく、石英ガラスや耐熱ガラスが用いられる。このため、薄膜素子の薄膜回路層を、製造元基板から、例えばフレキシブル基板に転写することにより、軽量で耐衝撃性に優れ、可撓性を有する薄膜素子が製造される。この製造方法の一例について、図10および図11を参照して説明する。
図10(a)に示すように、製造元基板11上に第1の剥離層20を形成し、第1の剥離層20上に薄膜回路層12および突起電極14を形成する。薄膜回路層12および接続端子部13の形成方法については、上記した通りである。
製造元基板11としては、例えば、1000℃程度に耐える石英ガラスなどの透光性耐熱基板を用いる。製造元基板11には、石英ガラスの他、ソーダガラス、コーニング7059(商品名)、日本電気硝子OA−2(商品名)等の耐熱性ガラス等を使用可能である。製造元基板11の厚さには大きな制限要素はないが、0.1mm〜1.1mm程度であることが好ましい。製造元基板11の厚さが薄すぎると強度の低下を招き、逆に厚すぎると製造元基板11の透過率が低い場合に照射光の減衰を招く。ただし、製造元基板11の照射光の透過率が高い場合には、上記上限値を超えてその厚みを厚くすることができる。
第1の剥離層20は、後の工程で照射される光を吸収し、その層内あるいは界面においては剥離を生じるような性質を有するものであり、好ましくは、光の照射により、第1の剥離層20を構成する物質の原子間または分子間の結合力が消失または減少すること、すなわちアブレーションが生じて層内剥離あるいは界面剥離に至るものがよい。
さらに、光の照射により、第1の剥離層20から気体が放出され、分離効果が発現される場合もある。すなわち、第1の剥離層20に含有されていた成分が気体となって放出される場合と、第1の剥離層20が光を吸収して一瞬気体になり、その蒸気が放出され、分離に寄与する場合とがある。
このような第1の剥離層20としては、例えばアモルファスシリコンが挙げられる。また、第1の剥離層20は多層膜から構成されていてもよい。多層膜は、例えばアモルファスシリコン膜とその上に形成されたAl等の金属膜からなるものとすることができる。その他、上記性質を有するセラミックス、金属、有機高分子材料などを用いることも可能である。
第1の剥離層20の形成方法は、特に限定されず、膜組成や膜厚等の諸条件に応じて適宜選択される。例えば、CVD、スパッタリング等の各種気相成膜法、各種めっき法、スピンコート等の塗布法、各種印刷法、転写法、インクジェットコーティング法、粉末ジェット法等が挙げられ、これらのうちの2以上を組み合わせて形成することもできる。
次に、図10(b)に示すように、薄膜回路層12および突起電極14上に、仮接着層43を形成する。続いて、仮接着層43上に、第2の剥離層44を表面に形成した仮転写基板45を張り合わせる。
仮接着層43の好適な例としては、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤等の光硬化型接着剤、嫌気硬化型接着剤が挙げられる。接着剤の組成としては、例えば、エポキシ系、アクリレート系、シリコーン系等いかなるものでもよい。また、仮接着層43は、粘着シートのようなものでもよい。
仮接着層43は、光照射または加熱を施されることにより、仮接着層43の接着力が著しく減少または消失することが好ましい。または、仮接着層43は、水溶性の接着剤であってもよい。水溶性接着剤を使用した場合には、水中に浸すことにより仮接着層43のみを溶解させることができる。
仮転写基板45は、薄膜回路層12の形成後に接合されるものであるので、薄膜回路層12の製造時のプロセス温度などに対する制約はなく、常温で保型性があればよい。ここでは、後の工程で光照射を行うことから、例えばガラス基板、合成樹脂などの透光性材料から構成されている仮転写基板45を用いる。第2の剥離層44としては、第1の剥離層20と同様の材料が用いられる。
次に、図10(c)に示すように、製造元基板11の裏面側から照射光51を照射する。この照射光51は、製造元基板11を透過し、第1の剥離層20に照射される。これにより、第1の剥離層20に層内剥離あるいは界面剥離が生じる。第1の剥離層20の層内剥離あるいは界面剥離が生じる原理は、第1の剥離層20の構成材料にアブレーションが生じること、また、第1の剥離層20に含まれるガスの放出、さらには照射直後に生じる溶融、蒸散等の相変化によるものであると推定される。
ここで、アブレーションとは、照射光51を吸収した固定材料(第1の剥離層20の構成材料)が光化学的または熱的に励起され、その表面や内部の原子または分子の結合が切断されて放出することをいい、主に、第1の剥離層20の構成材料の全部または一部が溶融、蒸散(気化)等の相変化を生じる現象として現れる。また、前記相変化によって微小な発砲状態となり、結合力が低下することもある。
照射光51の光源としては、例えば、X線、紫外線、可視光、赤外線、レーザ光、ミリ波、マイクロ波、電子線、放射線等のいかなるものであってもよい。このような中でも、アブレーションを生じさせやすいという観点から、レーザ光が好適に用いられる。レーザ光の種類は、気体レーザ、固体レーザ(半導体レーザ)等のいずれでもよく、中でも、エキシマレーザ、Nd−YAGレーザ、Arレーザ、CO2レーザ、COレーザ、He−Neレーザ等が好ましく、さらにエキシマレーザが好ましい。
次に、図10(d)に示すように、薄膜回路層12から製造元基板11を分離する。例えば、製造元基板11と仮転写基板45に、双方を離間させる方向に力を加えることによって、薄膜回路層12から製造元基板11を取り外す。又は製造元基板11を機械的研磨及びエッチング等の手法により除去しても良い。
なお、図10(d)においては、第1の剥離層20が製造元基板11側に付着する場合を示したが、第1の剥離層20内または第1の剥離層20と製造元基板11との間で剥離が生じる場合もある。この場合には、薄膜回路層12に第1の剥離層20が付着して残るが、この薄膜回路層12に付着した第1の剥離層20は、洗浄、エッチング、アッシング等により除去することが可能である。
次に、図11(a)に示すように、薄膜回路層12に、接着層41を介して可撓性基板40を接合する。接着層41としては、永久接着剤が用いられ、その好適な例としては、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、光硬化型接着剤(例:紫外線硬化型接着剤)、嫌気硬化型接着剤が挙げられる。接着剤の組成は、エポキシ系、アクリレート系、シリコーン系のいずれであってもよい。
次に、図11(b)に示すように、仮転写基板45側から照射光52を照射する。この照射光52は、仮転写基板45を透過し、第2の剥離層44に照射される。これにより、第2の剥離層44に層内剥離あるいは界面剥離が生じる。
次に、図11(c)に示すように、薄膜回路層12から仮転写基板45を分離する。例えば、仮転写基板45と可撓性基板40に、双方を離間させる方向に力を加えることによって、薄膜回路層12から仮転写基板45を取り外す。
次に、図11(d)に示すように、仮接着層43を除去する。仮接着層43が水溶性接着剤から構成される場合には、水洗等により除去することが可能である。また、仮接着層43を洗い流すことにより、仮転写基板45を分離することが可能である。
なお、仮接着層43が、例えば、光照射等により分解可能な接着剤から構成されている場合には、適当な光を照射することにより仮接着層43を除去することが可能となる。
以上のようにして、可撓性基板40上に薄膜回路層12を備える薄膜素子が製造される。図1に示すように、この薄膜素子10aが回路基板1上に搭載されて、接続配線4により両者の電気的接続がなされることにより、薄膜回路装置となる。
本実施形態に係る薄膜回路装置の製造方法によれば、可撓性を有する基板を備える薄膜素子を、回路基板1上に搭載する際に、インクジェットやディスペンサ等を採用することにより、薄膜素子の基板の変形を抑制することができる。また、インクジェット等を用いた際に、接続配線4の断線を防止できることから、回路基板1と薄膜素子10との接続信頼性を向上させることができる。
(電子機器)
薄膜回路装置が表示装置からなる場合には、当該表示装置は、電子機器に好適に用いられる。図12および図13は、表示装置を適用可能な各種電子機器の例を示す図である。
図12(a)は携帯電話への適用例である。携帯電話230は、アンテナ部231、音声出力部232、音声入力部233、操作部234、および本実施形態に係る表示装置100を備えている。本実施形態の表示装置は、表示部として利用可能である。
図12(b)は、ビデオカメラへの適用例である。ビデオカメラ240は、受像部241、操作部242、音声入力部243、および本実施形態に係る表示装置100を備えている。本実施形態の表示装置は、ファインダや表示部として利用可能である。
図12(c)は、携帯型パーソナルコンピュータ(いわゆるPDA)への適用例である。当該コンピュータ250は、カメラ部251、操作部252、および本実施形態に係る表示装置100を備えている。本実施形態の表示装置は、表示部として利用可能である。
図12(d)は、ヘッドマウントディスプレイへの適用例である。ヘッドマウントディスプレイ260は、バンド261、光学系収納部262および本実施形態に係る表示装置100を備えている。本実施形態に係る表示装置は、画像表示源として利用可能である。
図13(a)は、テレビジョンへの適用例であり、当該テレビジョン300は、本実施形態に係る表示装置100を備えている。なお、パーソナルコンピュータ等に用いられるモニタ装置に対しても同様に本実施形態に係る表示装置を適用し得る。
図13(b)は、ロールアップ式テレビジョンへの適用例である。当該ロールアップ式テレビジョン310は、本実施形態に係る表示装置100を備えている。
本発明は、上記の実施形態の説明に限定されない。
例えば、薄膜素子はCPU、センサー、あるいはFeRAM(ferroelectric RAM)、SRAM、DRAM、NOR型RAM、NAND型RAM、浮遊ゲート型不揮発性メモリ、マグネティックRAM(MRAM)等各種の記憶素子であってもよい。
本実施形態に係る電子機器は、上述した例に限られない。例えば、電子機器として、これらの他に、表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、電子手帳、電光掲示板、宣伝広告用ディスプレイが挙げられる。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
薄膜素子と回路基板を示す斜視図である。 本実施形態に係る薄膜回路装置の製造工程を示す図である。 本実施形態に係る薄膜回路装置の要部断面図である。 従来例の薄膜回路装置の要部断面図である。 薄膜素子の他の例を示す図である。 薄膜素子として表示素子の一例を示す斜視図である。 薄膜素子の回路部および接続端子部の断面図である。 薄膜素子の製造における工程断面図である。 薄膜素子の製造における工程断面図である。 可撓性基板をもつ薄膜素子の製造における工程断面図である。 可撓性基板をもつ薄膜素子の製造における工程断面図である。 本実施形態に係る電子機器の一例を示す図である。 本実施形態に係る電子機器の一例を示す図である。
符号の説明
1…回路基板、2…配線部、3…傾斜部、4…接続配線、5…薄膜回路装置、10,10…薄膜素子、11…製造元基板、12…薄膜回路層、13…接続端子部、14…突起電極、15…溝、16…回路部、20…第1の剥離層、21…絶縁膜、22…半導体層、23…ゲート絶縁膜、24a…ゲート電極、24b…電極、25…層間絶縁膜、26a…ソース・ドレイン電極、26b…電極、27…保護層、28a…透明導電膜、28b…透明導電膜、29…第2保護層、30…保護層、40…可撓性基板、41…接着層、43…仮接着層、44…第2の剥離層、45…仮転写基板、51…照射光、52…照射光

Claims (7)

  1. 配線部を備える回路基板と、
    前記回路基板上に搭載され、素子表面よりも低い位置に接続端子部が設けられた薄膜素子と、
    前記回路基板上において前記薄膜素子の周囲に形成され、前記素子表面から前記回路基板の表面に至る傾斜面を有する絶縁性傾斜部と、
    前記接続端子部から前記絶縁性傾斜部を通って前記配線部に至るように形成された接続配線と、
    を有し、
    前記接続端子部上に、前記接続端子部と前記素子表面との間の段差を解消する突起電極が設けられており、前記突起電極を介して前記接続端子部と前記接続配線が接続されている、
    薄膜回路装置。
  2. 前記薄膜素子の前記素子表面に、前記接続端子部に連通し、前記接続配線の一部を収容する溝が設けられており、
    前記接続配線は、当該溝に沿って形成されている、
    請求項1記載の薄膜回路装置。
  3. 前記薄膜素子は、
    可撓性基板と、
    前記可撓性基板上に所定のパターンの薄膜が積層されて形成された薄膜回路層と、
    を有する請求項1記載の薄膜回路装置。
  4. 前記回路基板は、可撓性を有する、
    請求項1記載の薄膜回路装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜回路装置を備える電子機器。
  6. 素子表面よりも低い位置に接続端子部を備える薄膜素子を形成する工程と、
    前記薄膜素子の前記接続端子部上に、前記接続端子部と前記素子表面との間の段差を解消する突起電極を形成する工程と、
    前記突起電極が設けられた前記薄膜素子を、配線部を備える回路基板上に搭載する工程と、
    前記回路基板上であって前記薄膜素子の周囲に、前記薄膜素子の表面から前記回路基板の表面に至る傾斜面を有する絶縁性傾斜部を形成する工程と、
    前記接続端子部から前記絶縁性傾斜部を通って前記配線部に至るように、接続配線を形成する工程と、
    を有する薄膜回路装置の製造方法。
  7. 前記接続配線を形成する工程において、流動性の導電性材料を供給し、当該導電性材料を固化させて、前記接続配線を形成する、
    請求項6記載の薄膜回路装置の製造方法。
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