JP2007303893A - 疲労試験機 - Google Patents

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Abstract

【課題】供試体に不必要な衝撃を与えることなく試験を開始することができる疲労試験機を提供する。
【解決手段】油圧アクチュエータ1に駆動信号を出力する前に、供試体SPの加振前の変位から駆動信号により加振しているときの変位まで徐々に近づくダミー駆動信号を油圧アクチュエータ1に出力する。最初から駆動信号を出力すると、加振前の変位から不連続に変位し、供試体SPに不必要な衝撃を与えてしまう可能性があるが、ダミー駆動信号により、不連続な変位の変化は生じないので供試体SPに不必要な衝撃を与えない。
【選択図】図1

Description

本発明は、目標波形を実振動波形とした振動を供試体に与えるための駆動信号を生成し、その駆動信号をアクチュエータなどに出力して供試体を加振する疲労試験機に関する。
従来技術として、実振動波形と等価な目標波形に逆伝達関数を乗じて生成した駆動信号で負荷アクチュエータを駆動し、供試体に負荷を与えるようにした疲労試験機が知られている(たとえば、特許文献1)。この種の疲労試験機では、供試体にランダム波形を入力し、ランダム波形による供試体の変形量などを検出し、ランダム波形と検出波形との比から伝達関数を算出する。そして、算出された伝達関数の逆数を逆伝達関数とし、目標波形に逆伝達関数を乗じて駆動信号波形が生成される。
特開2004−53452号公報
加振前の供試体の変位から駆動信号による初期変位まで供試体の変位は不連続である。その結果、特許文献1に記載されているような従来の疲労試験機では、供試体を加振して試験を開始すると、供試体に不必要な衝撃を与えてしまうという問題点がある。
(1)請求項1の発明の疲労試験機は、実振動波形に逆伝達関数を乗じて生成された駆動信号を負荷アクチュエータに出力することにより負荷アクチュエータを駆動して供試体を加振する加振手段と、供試体の変位を、加振前の変位から駆動信号の初期変位まで漸増するダミー駆動信号を生成する第1のダミー駆動信号生成手段と、ダミー駆動信号を負荷アクチュエータに出力した後、駆動信号を負荷アクチュエータに出力して供試体を加振する信号出力手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の疲労試験機において、第1のダミー駆動信号生成手段は、駆動信号の周波数特性と同じ周波数特性の信号からダミー駆動信号を生成することを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1に記載の疲労試験機において、実振動波形を分割する波形分割手段と、分割された実振動波形と逆伝達関数とにより分割駆動信号を生成する分割駆動信号生成手段と、分割駆動信号を継ぎ合わせて駆動信号を生成する駆動信号生成手段とを備え、第1のダミー駆動信号生成手段は、加振開始時の分割駆動信号よりダミー駆動信号を生成することを特徴とする疲労試験機。
(4)請求項4の発明の疲労試験機は、実振動波形に逆伝達関数を乗じて生成された駆動信号を負荷アクチュエータに出力することにより負荷アクチュエータを駆動して供試体を加振する加振手段と、供試体の変位を、駆動信号の最終変位から加振前の変位まで漸減するダミー駆動信号を生成する第2のダミー駆動信号生成手段と、駆動信号を負荷アクチュエータに出力した後、ダミー駆動信号を負荷アクチュエータに出力して供試体への加振を終了させる信号出力手段とを備えることを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項4に記載の疲労試験機において、第2のダミー駆動信号生成手段は、駆動信号の周波数特性と同じ周波数特性の信号からダミー駆動信号を生成することを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項4に記載の疲労試験機において、実振動波形を分割する波形分割手段と、分割された実振動波形と逆伝達関数とにより分割駆動信号を生成する分割駆動信号生成手段と、分割駆動信号を継ぎ合わせて駆動信号を生成する駆動信号生成手段とを備え、第2のダミー駆動信号生成手段は、加振終了時の分割駆動信号よりダミー駆動信号を生成することを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の疲労試験機において、第1のダミー駆動信号生成手段または第2のダミー駆動信号生成手段は、駆動信号または分割駆動信号をコサイン曲線またはサイン曲線に重畳させてダミー駆動信号を生成することを特徴とする。
(8)請求項8の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の疲労試験機において、第1のダミー駆動信号生成手段または第2のダミー駆動信号生成手段は、駆動信号または分割駆動信号を一次式に重畳させてダミー駆動信号を生成することを特徴とする。
本発明によれば、加振前の供試体の変位から駆動信号による初期変位まで供試体の変位を漸増するダミー駆動信号を駆動信号の前に付加するようにした。したがって、加振時、供試体に不必要な衝撃を与えることなく実振動波形の振動を供試体に与えることができる。
この種の疲労試験機は、たとえば、車両用疲労試験機などであり、次の手順で測定が行われる。実車走行により収集した振動波形を実振動波形とし、この実振動波形を供試体に与える振動波形の目標波形として供試体を負荷し、データを採取する。車両用疲労試験機のように測定対象の供試体に実測した波形を与えるような場合、負荷対象となるシステム、すなわち供試体および負荷アクチュエータの伝達関数を算出し、その逆数である逆伝達関数を実振動波形に乗じて駆動信号を生成する。これより、供試体は実振動波形で負荷されることになる。
そのため、この種の疲労試験機では、試験に先立って、システムの伝達関数を次のように算出する。供試体を負荷する油圧アクチュエータにランダム波形を入力し、ランダム波形による供試体の変形量などの検出波形を検出する。ランダム波形と検出波形との比から伝達関数を算出する。そして、算出された伝達関数の逆数を逆伝達関数とし、実測波形と等価である実振動波形に逆伝達関数を乗じて駆動信号を生成する。
図1は、本発明の一実施の形態による疲労試験機の構成図である。油圧アクチュエータ1はサーボ弁2で開閉動作が制御される。制御装置20から出力されるデジタル駆動信号はD/A変換器3でアナログ信号に変換された後に増幅器4で増幅されてサーボ弁2に入力される。供試体SPの変位量は変位計5で検出される。変位検出信号は、増幅器6で増幅され、A/D変換器7でデジタル検出信号に変換されて制御回路20に入力される。制御装置20は、変位検出信号と駆動信号との差分を算出し、その差分をサーボ弁2にフィードバックして油圧アクチュエータ1を駆動する。
荷重フィードバック制御してもよく、この場合の動作は次の通りである。供試体SPに負荷される荷重は荷重計8で検出される。荷重検出信号は、増幅器9で増幅され、A/D変換器10でデジタル検出信号に変換されて制御回路20に入力される。制御装置20は、荷重検出信号と駆動信号との差分を算出し、その差分をサーボ弁2にフィードバックして油圧アクチュエータ1を駆動する。
図2は、制御装置20内部のフィードバック駆動系機能ブロック図である。制御装置20は、実車走行により採取した実振動波形の測定信号を入力する実振動波形入力回路21と、重複時間を設けて実振動波形を所定の時間ごとに分割する実振動波形分割部22と、詳細は後述する逆伝達関数演算部28と、その演算結果が記憶される逆伝達関数記憶部23と、分割された実振動波形に逆伝達関数を乗じて分割された駆動信号(以下、分割駆動信号と呼ぶ)を演算する乗算器24と、分割駆動信号を継ぎ合わせて駆動信号を生成する駆動信号生成部25と、所定時間ごとにフィードバックする変位信号もしくは荷重信号を選択するスイッチ26と、駆動信号と変位もしくは荷重のフィードバック信号の偏差を演算する偏差器27とを備えている。
図3は、制御装置20内部の逆伝達関数演算部28の詳細を説明する機能ブロック図である。伝達関数は、油圧アクチュエータ1と供試体SPを含む制御系に入力するランダム入力波形と、そのランダム入力波形により得られる制御系の出力波形(変位検出波形や荷重検出波形)との比に基づいて算出される。すなわち、図3に示すように、逆伝達関数演算部28は、ランダム入力波形信号の生成回路281と、ランダム入力波形をフーリエ変換する入力波形信号用フーリエ変換回路282と、出力波形信号(検出波形)の生成回路283と、出力波形をフーリエ変換する出力波形信号用フーリエ変換回路284と、入力波形信号用フーリエ変換回路282からの出力信号を、出力波形信号用フーリエ変換回路284からの出力信号で除して伝達関数を算出する除算器285と、除算器285から出力される伝達関数の逆数を演算する逆数演算回路286とを備える。
このように構成された疲労試験機では、疲労試験に先立って作成された駆動信号により、次のようにして疲労試験が行われる。
実振動波形生成回路21から出力される実振動波形信号は実振動波形分割部22で重複時間を設けて分割される。分割された実振動波形信号と逆伝達関数記憶部23から出力される逆伝達関数とを乗算器24で乗じて分割駆動信号を生成する。分割駆動信号は駆動信号生成部25で継ぎ合わされ、駆動信号が生成される。この継ぎ合わせ処理の詳細については後述する。上述のように生成された駆動信号とフィードバック信号との偏差を偏差器27で演算し、この差分駆動信号でサーボ弁2を駆動する。すなわち、差分駆動信号は、D/A変換器3でアナログ信号に変換され、増幅器4で増幅されてサーボ弁2に印加される。このような差分駆動信号でサーボ弁2が駆動されることにより油圧アクチュエータ1が駆動されて供試体SPが加振される。
供試体SPの変位は変位計5で検出され、増幅器6で増幅される。この変位検出信号はA/D変換器7でデジタル信号に変換されて制御装置20にフィードバックされ、変位検出信号と駆動信号と偏差が上述したように演算される。
駆動信号生成部25における分割駆動信号の継ぎ合わせ処理について図4を参照して説明する。図4(a)は、重複時間を設けた実振動波形の分割を説明するための図であり、図4(b)は、分割した実振動波形より算出した分割駆動信号を説明するための図である。図4(c)は、分割駆動信号を継ぎ合わせた駆動信号を説明するための図である。
実振動波形Mと精度よく一致した振動を供試体SPに与えるために、実振動波形Mは、時刻t1から時刻t3、時刻t2から時刻t5および時刻t4から時刻t6に分割される。このような振動波形の分割処理により、各区間を精度よく近似式で表すことが可能となる。時刻t1から時刻t3の時間における実振動波形を実振動波形M1とし、時刻t2から時刻t5の時間における実振動波形を実振動波形M2とし、時刻t4から時刻t6の時間における実振動波形を実振動波形M3とする。実振動波形M1と実振動波形M2とは、時刻t2から時刻t3の時間で重複している。実振動波形M2と実振動波形M3とは、時刻t4から時刻t5の時間で重複している。重複時間(たとえば、t2〜t3)は分割されている時間(たとえば、t2〜t5)の約20%の時間である。
図4(b)に示すように、分割した実振動波形M1〜M3のそれぞれに逆伝達関数を乗じて分割駆動信号D11,D21,D31が算出される。分割駆動信号D11は実振動波形M1から算出された駆動信号であり、分割駆動信号D21は実振動波形M2から算出された駆動信号であり、分割駆動信号D31は実振動波形M3から算出された駆動信号である。
次に、実振動波形M1と実振動波形M2の重複時間である時刻t2から時刻t3までの間の分割駆動信号D11と分割駆動信号D21とを比較して、2つの分割駆動信号D11,D21が最初に一致する時刻、または最も近接する時刻t7を検出する。また、実振動波形M2と実振動波形M3の重複時間である時刻t4から時刻t5までの間の分割駆動信号D21と分割駆動信号D31とを比較して、2つの分割駆動信号D21,D31が最初に一致する時刻または最も近接する時刻t8を検出する。
図4(c)に示すように、時刻t7になると分割駆動信号D11から分割駆動信号D21に切り替わるように、時刻t8になると分割駆動信号D21から分割駆動信号D31に切り替わるように分割駆動信号を継ぎ合わせる。すべての分割駆動信号の継ぎ合わせ処理が完了すると、分割駆動信号を継ぎ合わせた駆動信号を不図示の記憶部に格納しておく。試験開始の指示により、記憶部の駆動信号を油圧アクチュエータ1に出力して、疲労試験を行う。
ここで、分割駆動信号D11の出力が終了する終了点Aと分割駆動信号D21の出力が開始する開始点Bとは一致または近接しており、分割駆動信号D21の出力が終了する終了点Cと分割駆動信号D31の出力が開始する開始点Dとは一致または近接している。したがって、駆動信号を油圧アクチュエータ1に出力しても、分割駆動信号の継ぎ目で供試体SPに対する衝撃は発生しない。
次に、供試体SPの加振開始時における駆動信号生成部25の駆動信号スムージング処理について図5を参照して説明する。図5の縦軸は油圧アクチュエータ1に与える駆動信号の大きさ、すなわち、供試体SPの変位を表し、横軸は時間を表す。駆動信号スムージング処理とは、供試体SPの加振開始時から駆動信号を油圧アクチュエータ1に出力するのではなく、加振前の供試体SPの変位から駆動信号による供試体SPの初期変位にスムーズに継ぐダミー駆動信号を油圧アクチュエータ1に出力した後、実振動波形から生成した駆動信号を出力する処理である。図5(a)は、駆動信号スムージング処理を行わない場合における供試体SPの加振開始時の駆動信号を説明するための図であり、図5(b)は、駆動信号スムージング処理を行った場合における供試体SPの加振開始時の駆動信号を説明するための図である。時刻t0における点Eでは、加振前の供試体SPの変位はSE、点Fでは、供試体SPの変位はSFである。つまり、変位SEに相当する信号以上の信号を油圧アクチュエータ1に出力すると、供試体SPが負荷され始める。以下、駆動信号による供試体SPの加振開始時刻t0より手前の時間Δt(数秒)の間、ダミー駆動信号を出力するものとして説明する。
駆動信号スムージング処理を行わない場合、図5(a)に示すように、初期変位SEに相当する駆動信号を時刻t0で油圧アクチュエータ1に出力すると、供試体SPは、加振前の変位SEから駆動開始時の初期変位SFまで不連続に大きく変化する。このため、供試体SPに不必要な衝撃を与える。一方、駆動信号スムージング処理を行った場合、図5(b)に示すようなダミー駆動信号D5を時間Δtの間出力する。時刻t0におけるダミー信号D5の終了点Gでの変位はSGであり、駆動信号の開始点Fでの変位SFに接近している。そのため、加振開始時に供試体SPに対して不必要な衝撃を与えない。
次にダミー駆動信号の生成処理について説明する。ダミー駆動信号D5は、制御装置20の駆動信号生成部25において生成される。ダミー駆動信号は、所定時間(t9)から処理時間(Δt)における駆動信号を抽出して、抽出した駆動信号を元に次式によって算出される。
D5(t)=(D(t)−D0)×t÷Δt)+D0 (数式1)
ここで、D5(t)はダミー駆動信号、D(t)はt9〜t9+Δtの駆動信号の波形を示す関数、Δtは処理時間、D0は加振前の供試体SPの変位に相当する。
算出されたダミー駆動信号D5(t)は時刻(t0−Δt)〜t0の間、油圧アクチュエータ1に出力され、時刻t0以降は、ダミー駆動信号D5(t)に替わって駆動信号が油圧アクチュエータに出力される。つまり、駆動信号による加振を開始する時刻t0において、ダミー駆動信号D5(t)と駆動信号とが継ぎ合わされている。
以上の実施形態による疲労試験機は、次のような作用効果を奏する。
(1)供試体の伝達関数と実振動波形に基づいて作成された駆動信号D(t)の先頭にダミー駆動信号D5(t)を付加した。ダミー駆動信号D5(t)やD6(t)は、供試体加振前の変位から駆動信号の初期変位まで供試体の変位を徐々に増加させる信号である。したがって、加振開始時に供試体に作用する衝撃力を低減することができる。
(2)駆動信号の波形に一次式t÷Δtを重畳させてダミー駆動信号D5(t)を算出し、生成した。したがって、駆動信号と同じ周波数特性を持ったダミー駆動信号D5(t)を生成することができ、供試体SPに過負荷がかからない。一方、ダミー駆動信号D5(t)と駆動信号の周波数特性が異なると、時刻t0において急に供試体SPに与える振動の周波数特性が変わることになり、供試体SPに過負荷を与えてしまう。
以上の実施の形態の疲労試験機を次のように変形することができる。
(1)加振開始時に駆動信号スムージング処理を行ったが、加振終了時に駆動信号スムージング処理を行ってもよい。
加振終了時の駆動信号スムージング処理について図6を参照して説明する。加振終了時の駆動信号スムージング処理とは、供試体SPの加振終了時に、駆動信号の出力を終了して供試体SPの加振を即終了するのではなく、ダミー駆動信号を油圧アクチュエータ1に出力した後、供試体SPの加振を終了する処理である。図6(a)は、駆動信号スムージング処理を行わない場合における加振終了時の駆動信号を説明するための図であり、図6(b)は、駆動信号スムージング処理を行った場合における加振終了時の駆動信号を説明するための図である。加振終了時の時刻t10における点Iでは、加振前の供試体SPの変位はSI、点Hでは供試体SPの変位はSHである。以下、加振終了時の時刻t10から時間Δt(数秒)の間、ダミー駆動信号を出力するものとして説明する。
駆動信号スムージング処理を行わない場合、図6(a)に示すように、供試体SPは、加振終了時の終了点Hの変位SHから加振前の初期変位SIまで不連続に大きく変化する。このため、供試体SPに不必要な衝撃を与える。一方、駆動信号スムージング処理を行った場合、図6(b)に示すように、駆動信号の終了点Hの変位SHはダミー駆動信号D6の開始点Jの変位SJと接近している。そのため、加振終了時に供試体SPに対して不必要な衝撃を与えない。
次にダミー駆動信号D6の生成処理について説明する。ダミー駆動信号は、所定時間(t11)から処理時間(Δt)における駆動信号を抽出して、抽出した駆動信号を元に次式によって算出される。
D6(t)=(D(t)−D0)×(Δt−t)÷Δt)+D0 (数式2)
ここで、D6(t)はダミー駆動信号、D(t)はt11〜t11+Δtの駆動信号の波形を示す関数、Δtは処理時間、D0は加振前の供試体SPの変位SI(=SE)に相当する。
駆動信号は時刻t10まで油圧アクチュエータ1に出力され、時刻t10において、駆動信号からダミー駆動信号D6(t)に切り替わり、ダミー駆動信号D6(t)は時刻t10〜(t10+Δt)の間、油圧アクチュエータ1に出力される。つまり、時刻t10において駆動信号とダミー駆動信号D6(t)とが継ぎ合わされる。
(2)ダミー駆動信号D5(t),D6(t)は、駆動信号の波形を所定の変数に重畳して算出し、生成したが、駆動信号と同じ周波数特性を有する信号であれば、ダミー駆動信号D5(t),D6(t)を算出する元となる信号は駆動信号に限定されない。
(3)ダミー駆動信号D(5)を生成するための元になる駆動信号の位置は特に限定されないが、ダミー駆動信号D5(t)は、駆動信号の最後の時間Δtの部分(図6(a)の(t10−Δt)〜t10の間の駆動信号)を抽出して生成するようにしてもよい。また、ダミー駆動信号D6(t)は、駆動信号の最初の時間Δtの部分(図5(a)のt0〜(t0+Δt)の間の駆動信号)を抽出して生成するようにしてもよい。駆動信号の波形は、目標波形をフーリエ変換したものに逆伝達関数をかけたものを逆フーリエ変換して求める。逆フーリエ変換は、変換した区間が無限に繰り返された波形として合成するので、駆動信号の駆動信号の最後の時間Δtの部分、駆動信号の最初の時間Δtの部分に基づいてダミー駆動信号D5(t)、D6(t)を生成することによって、ダミー駆動信号D5(t)、D6(t)と駆動信号とを滑らかにつなげることができる。
(4)駆動信号の波形D(t)に一次式t÷Δtを重畳させてダミー駆動信号D5(t)を算出し、生成したが、時刻(t0−Δt)〜t0の間において増加し、時刻t0−Δtのときの値が0で、時刻t0のときの値が1となる変数であれば、上記一次式に限定されない。たとえば、コサイン曲線やサイン曲線と重畳させてもよい。
コサイン曲線のときは、次のようにしてダミー駆動信号D51(t)を算出する。
D51(t)=(1−cos(π(t−t0+Δt)/2Δt))×(D(t)−D0)+D0 (数式3)
サイン曲線のときは、次のようにしてダミー駆動信号D52(t)を算出する。
D52(t)=sin(π(t−t0+Δt)/2Δt)×(D(t)−D0)+D0 (数式4)
以上のように算出したダミー駆動信号D51(t),D52(t)を用いても、加振前の供試体SPの変位から駆動信号による供試体SPの初期変位までスムーズに継ぐことができるので、油圧アクチュエータ1は、加振開始時に不必要な衝撃を供試体SPに与えない。
さらに、駆動信号D(t)に一次式(Δt−t)÷Δtを重畳させて加振終了時のダミー駆動信号D6(t)を算出し、生成したが、時刻t10〜(t10+Δt)の間において減少し、時刻t10のときの値が1で、時刻t10+Δtのときの値が0になる変数であれば、駆動信号D(t)に重畳させてダミー駆動信号D6(t)を算出し、生成するための変数は上記一次式に限定されない。この場合もコサイン曲線やサイン曲線と重畳させてもよい。
コサイン曲線のときのダミー駆動信号D61(t)は次のようにして算出する。
D61(t)=(1−cos(π(t10−t+Δt)/2Δt))×(D(t)−D0)+D0 (数式5)
また、サイン曲線のときのダミー駆動信号D62(t)は次のようにして算出する。
D62(t)=sin(π(t10−t+Δt)/2Δt))×(D(t)−D0)+D0 (数式6)
以上のように算出したダミー駆動信号D62(t)を用いても、駆動信号D(t)による加振終了時の変位から加振前の供試体SPの変位まで徐々に漸減させることができるので、油圧アクチュエータ1は、加振終了時に不必要な衝撃を供試体SPに与えない。
(5)処理時間Δtの間の駆動信号D(t)を元にダミー駆動信号を算出するのではなく、分割駆動信号、たとえば分割駆動信号の半分の信号を元にダミー駆動信号を算出してもよい。図7(a)に示すように、最初の時刻t0〜t14の間に、分割駆動信号D12を油圧アクチュエータ1に出力する場合も、時刻t0のとき、変位SEから分割駆動信号D12の開始点Kの変位SKにおいて不連続に変化するので、供試体SPに衝撃が加わる。そこで、図7(b)に示すように、駆動信号スムージング処理を行い、駆動信号D12を出力する前にダミー駆動信号D53を油圧アクチュエータ1に出力する。このときのダミー駆動信号D53は分割駆動信号D12の後半の信号D122を元に次式によって算出される。
D53(t)=(D(t)−D0)×t÷(t14−t13)+D0 (数式7)
ここで、D53(t)はダミー駆動信号、D(t)は分割駆動信号D12の後半の信号D122、つまり時刻t13〜t14の駆動信号の波形を示す関数、Δtは処理時間、D0は加振開始前の供試体SPの変位SEに相当する。
以上のように算出したダミー駆動信号D53(t)を用いても、加振前の供試体SPの変位SEから駆動信号D(t)による初期変位SKまで徐々に近づけることができるので、油圧アクチュエータ1は、加振開始時に不必要な衝撃を供試体SPに与えない。
また、同様にして分割駆動信号を元に、たとえば、最後の分割駆動信号の前半の信号を元にダミー駆動信号を算出し、供試体SPの加振終了時に不必要な衝撃を供試体SPに与えないようにしてもよい。図8(a)に示すように、時刻t15〜t10の間に、分割駆動信号D13を油圧アクチュエータ1に出力する場合も、時刻t10のとき、分割駆動信号D13の終了点Mの変位SMから加振前の変位SI(=SE)までにおいて大きな変位変化が生ずるので、供試体SPに衝撃が加わる。そこで、図8(b)に示すように、駆動信号スムージング処理を行い、ダミー駆動信号D63を油圧アクチュエータ1に出力する。このときのダミー駆動信号D63は分割駆動信号D13の前半部の信号D131を元に次式によって算出される。
D63(t)=(D(t)−D0)×(t16−t15−t)÷(t16−t15)+D0 (数式8)
ここで、D63(t)はダミー駆動信号、D(t)は分割駆動信号D13の前半の信号D131、つまり時刻t15〜t16の駆動信号の波形を示す関数、Δtは処理時間、D0は加振開始前の供試体SPの変位に相当する信号の変位をそれぞれ示す。
以上のように算出したダミー駆動信号D63(t)を用いても、駆動信号D(t)による加振終了時の変位SMから加振前の変位SI(=SE)まで徐々に変位を低減できるので、油圧アクチュエータ1は、加振終了時に不必要な衝撃を供試体SPに与えない。
駆動信号の波形は、目標波形をフーリエ変換したものに逆伝達関数をかけたものを逆フーリエ変換して求める。逆フーリエ変換は、変換した区間が無限に繰り返された波形として合成するので、ダミー駆動信号D53を分割駆動信号D12の後半の信号D122に基づいて生成することによって、また、ダミー駆動信号D63を分割駆動信号D13の前半部の信号D131に基づいて生成することによって、ダミー駆動信号D53、D63と駆動信号とを滑らかにつなげることができる。
(6)車両用疲労試験機に限定されず、各種の形式の疲労試験機にも本発明を適用できる。
本発明は、その特徴的構成を有していれば、以上説明した実施の形態になんら限定されない。
図1は、疲労試験機の一実施の形態を説明するブロック図。 図2は、図1の疲労試験機における制御装置の詳細を示すブロック図。 図3は、図2の逆伝達関数演算部の詳細を示すブロック図。 図4(a)は重複時間を設けて分割した実振動波形を示す図であり、図4(b)は分割された実振動波形より算出された分割駆動信号を示す図であり、図4(c)は分割駆動信号を継ぎ合わせた駆動信号を示す図である。 図5(a)は駆動信号スムージング処理を行わない場合の加振開始時の駆動信号を示す図であり、図5(b)は駆動信号スムージング処理を行った場合の加振開始時の駆動信号を示す図である。 図6(a)は駆動信号スムージング処理を行わない場合の加振終了時の駆動信号を示す図であり、図6(b)は駆動信号スムージング処理を行った場合の加振終了時の駆動信号を示す図である。 図7(a)は最初の分割駆動信号の駆動信号スムージング処理を行わない場合の加振開始時の駆動信号を示す図であり、図7(b)は最初の分割駆動信号の駆動信号スムージング処理を行った場合の加振開始時の駆動信号を示す図である。 図8(a)は最後の分割駆動信号の駆動信号スムージング処理を行わない場合の加振終了時の駆動信号を示す図であり、図8(b)は最後の分割駆動信号の駆動信号スムージング処理を行った場合の加振終了時の駆動信号を示す図である。
符号の説明
1 油圧アクチュエータ 20 制御装置
21 実振動波形生成回路 22 実振動波形分割部
23 逆伝達関数記憶部 24 乗算器
25 駆動信号生成部 26 スイッチ
27 偏差器 28 逆伝達関数演算部
SP 供試体

Claims (8)

  1. 実振動波形に逆伝達関数を乗じて生成された駆動信号を負荷アクチュエータに出力することにより前記負荷アクチュエータを駆動して供試体を加振する加振手段と、
    前記供試体の変位を、加振前の変位から前記駆動信号の初期変位まで漸増するダミー駆動信号を生成する第1のダミー駆動信号生成手段と、
    前記ダミー駆動信号を前記負荷アクチュエータに出力した後、前記駆動信号を前記負荷アクチュエータに出力して前記供試体を加振する信号出力手段とを備えることを特徴とする疲労試験機。
  2. 請求項1に記載の疲労試験機において、
    前記第1のダミー駆動信号生成手段は、前記駆動信号の周波数特性と同じ周波数特性の信号から前記ダミー駆動信号を生成することを特徴とする疲労試験機。
  3. 請求項1に記載の疲労試験機において、
    前記実振動波形を分割する波形分割手段と、
    前記分割された実振動波形と逆伝達関数とにより分割駆動信号を生成する分割駆動信号生成手段と、
    前記分割駆動信号を継ぎ合わせて前記駆動信号を生成する駆動信号生成手段とを備え、
    前記第1のダミー駆動信号生成手段は、加振開始時の分割駆動信号よりダミー駆動信号を生成することを特徴とする疲労試験機。
  4. 実振動波形に逆伝達関数を乗じて生成された駆動信号を負荷アクチュエータに出力することにより前記負荷アクチュエータを駆動して供試体を加振する加振手段と、
    前記供試体の変位を、前記駆動信号の最終変位から加振前の変位まで漸減するダミー駆動信号を生成する第2のダミー駆動信号生成手段と、
    前記駆動信号を前記負荷アクチュエータに出力した後、前記ダミー駆動信号を前記負荷アクチュエータに出力して前記供試体への加振を終了させる信号出力手段とを備えることを特徴とする疲労試験機。
  5. 請求項4に記載の疲労試験機において、
    前記第2のダミー駆動信号生成手段は、前記駆動信号の周波数特性と同じ周波数特性の信号から前記ダミー駆動信号を生成することを特徴とする疲労試験機。
  6. 請求項4に記載の疲労試験機において、
    前記実振動波形を分割する波形分割手段と、
    前記分割された実振動波形と逆伝達関数とにより分割駆動信号を生成する分割駆動信号生成手段と、
    前記分割駆動信号を継ぎ合わせて前記駆動信号を生成する駆動信号生成手段とを備え、
    前記第2のダミー駆動信号生成手段は、加振終了時の分割駆動信号よりダミー駆動信号を生成することを特徴とする疲労試験機。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の疲労試験機において、
    前記第1のダミー駆動信号生成手段または前記第2のダミー駆動信号生成手段は、前記駆動信号または前記分割駆動信号をコサイン曲線またはサイン曲線に重畳させてダミー駆動信号を生成することを特徴とする疲労試験機。
  8. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の疲労試験機において、
    前記第1のダミー駆動信号生成手段または前記第2のダミー駆動信号生成手段は、前記駆動信号または前記分割駆動信号を一次式に重畳させてダミー駆動信号を生成することを特徴とする疲労試験機。
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