JP2007303251A - 緑化促進擁壁の構築方法およびこれに用いるバイパス部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来型の緑化擁壁ブロックを用いたうえ、従来工法どおりに裏込め材を用いて擁壁部分の透水性を確保しつつも、植栽ポット内に植生した植物成育に十分な土量確保と水分補給を可能とすることができる緑化擁壁の構築方法を提供すること。
【解決手段】前壁面寄りに植栽ポット15を備えた緑化擁壁ブロックB1を用い、多段に積み上げたブロック後壁面とブロック背面の地山間に砕石等の裏込め材Rを層状に設けながら緑化擁壁を構築する従来の緑化擁壁構築方法において、植栽ポット15から地山までが連通するようにバイパス部材V1を配置しながらバイパス部材V1の周囲を裏込め材Rで埋設することによって、植栽ポット15内に植えられた植物の緑化促進を図る。
【選択図】図3

Description

本発明は、地山を切除した法面や切り通し面、河川岸壁面等に対して植栽ポットを備えた緑化擁壁ブロックを設置施工する際に、緑化擁壁ブロックの植栽ポット内に対して地山からの水分補給を可能とする緑化促進擁壁の構築方法と、該構築方法に好適に用いられるバイパス部材に関するものである。
ブロック前面に棚状の植栽スペースを設けた緑化用の擁壁ブロックや護岸ブロックは、従来から多種多様なものが提案されている。例えば、特許文献1に係る植栽用擁壁ブロックは、ブロック前面に段部を階段状に複数段形成したもので、現場打ちにより形成した基礎コンクリート上にブロックを据え付けた後、ブロックの背面側を土で埋め戻して地山との一体化を図ることとしている。土が充填された階段状の段部内が植栽ポットとして機能し、植物の根の張りが良好な植栽用擁壁ブロックとすることができる旨が開示されている。
確かに、こうした擁壁背面側が地山と連続するように設置した擁壁ブロックでは、植栽ポットに植えられた樹木や植物の根が直接地山に活着するから良好な植生が期待できるのであるが、反面、地山の地質によっては十分な排水が行えず、水圧が作用して擁壁・護岸面が崩壊してしまう危険性もあった。
すなわち、従来の一般的な緑化擁壁ブロックでは、ブロック後壁面に開口部を設けつつも、ブロック背面に砕石などの透水性の高い材料を裏込め材として層状に投入し、かつ、これら裏込め材と擁壁ブロック背面との間に吸い出し防止材を介在させるよう設置するのが通例となっている(特許文献2)。ところが、こうした施工方法においては、とくに緑化擁壁ブロックが高温となる夏季には植栽ポット内の水分が蒸発してしまい、植物の生育が妨げられ、場合によっては枯死してしまう欠点があった。
そこで、植栽ポット内への給水を図るべく、ブロック内背面側に雨水の集水・給水室を別途に設けておき、当該集水・給水室と客土を充填した植栽ポット内とをロープで連結することにより、ロープの毛細管現象を利用して植栽ポット内に対して雨水の供給を図る植生用ブロックが提案されている(特許文献3)。この植生用ブロックでは、ブロック背面側に砕石等の裏込め材を用いて透水性を確保しつつも、普段からブロック内の集水・給水室内に溜め置きしておいた雨水を植栽ポットへ供給しながら植物の良好な成育による緑化を図ることができることになる。
特開平10−8480号公報(請求項1、図5) 特開2003−313889号公報([0003]、図6) 特開2000−104268号公報(特許請求の範囲)
前記特許文献3に係る植生用ブロック等によって、緑化擁壁ブロックにおける緑化不足の原因の一つである水分不足についてはある程度改善されてきたものの、植物の十分な成育を図るためにはそもそも植栽ポット内に充填される土量が不足しているとの指摘がある。しかるに、緑化擁壁ブロック自体の大きさに制約されて植栽ポットの容積を拡大するには限界があるし、前記特許文献1のように擁壁ブロック背面側を地山と連続させてしまうと、前述のように地山の透水性を損なって擁壁自体が崩落する危険性を生じてしまう欠点があった。
そこで、本発明者らは、ブロック本体の前壁面寄りに配設された植栽ポットから連続するバイパス部を、その後端開口部がブロック本体後壁面側に位置するよう延設した専用の緑化擁壁ブロックを先に提案した。この緑化擁壁ブロックによれば、ブロックの背面側に層状に投入される裏込め材を横断し、ブロック内の植栽ポットから地山までを直接に連結するバイパス部が突設されることになるので、従来工法どおりに裏込め材を用いて擁壁部分の透水性を確保しつつも、植栽ポット内に植生した植物成育に十分な土量確保と水分補給を可能とすることができる。
しかしながら、前記本発明者らの緑化擁壁ブロックは、あくまで特殊な形状の専用ブロックとなることから従来型の緑化擁壁ブロックを流用することはできない。従来型の緑化擁壁ブロックを用いながらも、擁壁部分の透水性、植栽ポット内の植物成育に十分な土量と水分補給の確保を可能とする需要には対応できなかったのである。したがって、本発明では、特化した専用ブロックではない従来型の緑化擁壁ブロックを用いたうえ、従来工法どおりに裏込め材を用いて擁壁部分の透水性を確保しつつも、植栽ポット内に植生した植物成育に十分な土量確保と水分補給を可能とすることができる緑化擁壁の構築方法の提供を主たる課題とするものである。
前記所期の課題解決を図るため、本発明者らは、前壁面寄りに植栽ポットを備えた緑化擁壁ブロックを用い、多段に積み上げたブロック後壁面とブロック背面の地山間に裏込め材を層状に設けながら緑化擁壁を構築する緑化擁壁構築方法において、植栽ポットから地山までが連通するようにバイパス部材を配置しながら裏込め材で埋設することによって、植栽ポット内に植えられた植物の緑化促進を図ることとした。擁壁ブロックの背面側に層状に投入される裏込め材を横断し、ブロック内の植栽ポットから地山までをバイパス部材によって連結することで、植栽ポットに植えられた樹木等の根を背面地山まで導くようにしたのである。
本発明に係る緑化促進擁壁の構築方法に用いる緑化擁壁ブロックは、前壁面寄りに植栽ポットを備えたブロックであればよく、ブロック全体が植栽ポットとして機能するようなブロックであってもよい。ブロック内の植栽ポットから地山までが連通するようバイパス部材を配置するために、例えば後壁面において植栽ポットまで連通する開口部を設けた緑化擁壁ブロックを用い、該開口部と地山間にバイパス部材を架け渡すことができる。こうした緑化擁壁ブロックは、施工手間を考慮して製造段階から予め後壁面に開口部が設けられている既存のものを選択するのが望ましいが、現場施工により開口することにしてもよい。開口部としては、壁面の一部をくりぬくように穿設した透孔のほか、壁面全体を取り除いて全開口としたもの、あるいは壁面上部から切り欠きを設けたものなどが例示される。
また、前記緑化促進擁壁の構築方法において、植栽ポットから地山までが連通するようにバイパス部材を配置するために、側面において植栽ポットまで連通する開口部を設けた緑化擁壁ブロックを用い、該開口部と地山間にバイパス部材を架け渡すこともできる。隣接設置されるブロック同士の連続性を確保するために側面に開口部を設けた緑化擁壁ブロックは従来から数多く提供されているので、こうした緑化擁壁ブロックを選択し、適宜ブロック間にバイパス部材を介在させることにしたのである。
さらに、前記緑化促進擁壁の構築方法において、植栽ポットから地山までが連通するようにバイパス部材を配置するために、底面に植栽ポットまで連通する開口部を設けた緑化擁壁ブロックを用い、上段に位置するブロックを順次地山側にずらしながら階段状に擁壁を構築することによってブロック後方の底面に開口部を露出させ、該露出した開口部と地山間にバイパス部材を架け渡すこともできる。
前記バイパス部材としては、両端が開口し内部に植生土が充填される導管のほか、両端が開口するとともに上面に1又は複数個の透孔が穿設され、かつ、内部に植生土が充填される導管などを用いることができる。こうした導管としては円筒状をした塩ビ管やボイド管が例示され、植栽植物や成育環境に応じてその内径を適宜選択して用いられる。導管の内部に充填する植生土としては、施工現場で発生する残土を用いてもよいが、汎用されている植物栽培専用土壌を充填したり、衣料廃棄物等の裁断クズやヤシ殻を成形した繊維質のものといった、緑化・植物育成に用いられる各種の人工土壌を用いてもよい。内部に植生土が充填された導管は、植栽ポット内の土量を補いながら地山方向への根の成長を促す効果が期待される。
また、前記導管に代えて、束ねた粗朶や菰、不織布、棒状やマット状に成形された各種の人工土壌を用いることもできる。菰や不織布の場合には、そのまま単独で巻回成形したものを設置するほか、土壌を入れながら筒状に巻回成形したものを設置してもよい。また、棒状やマット状に成形された人工土壌の場合には施工現場において適宜形状に切断しながら設置することができるため、天候等に左右されることなく施工性が各段に向上するし、設置後においても土が流出しないので、裏込め材の目詰まりを防止してその透水性を維持することができる利点がある。
さらに、内部に植生土が充填されることを前提に、上面が開放した受け溝状に形成されているものをバイパス部材とすることもできる。こうした受け溝状のものとしては断面U字状の樋や側溝ブロックのほか、広幅なトレイ状のものなどが例示され、前記後壁面に開口部を設けた緑化擁壁ブロックのほか、底面に開口部を設けた緑化擁壁ブロックについても好適に用いられる。
あるいは、植生土が充填される袋体をバイパス部材としてもよい。袋体としては、吸い出し防止シート等で製袋した単一素材のものや、上面側のみメッシュ素材を用いた複合素材のものなどが例示される。先の導管タイプでは植栽ポット内の樹木等の根を地山まで導く効果(通根効果)のほか、地山から植栽ポットへ水分供給を図る効果(導水効果)が期待されるのであるが、前記受け溝状のもの、あるいは袋体をバイパス部材としたものでは、上面部分に透水性があるので、さらに層状の裏込め材内を流下していく雨水を集める効果(集水効果)も期待される。ただし、先の導管であっても、とくに上面の一部又は全部をポーラスコンクリートにより形成したものや、少なくとも上面にスリット長孔又は複数個の透孔等を備えた筒状のものを採用すれば、やはり裏込め材内を透過する雨水を受ける集水効果が期待できる。
また、前記バイパス部材としては、側面に開口部を備えた緑化擁壁ブロックと同種のブロックであって奥行きが長いものを用いることもできる。同じ製品グループに属するシリーズ商品であって、奥行き(控え長)が異なるものを選択したうえで、奥行きが短いものを擁壁構築に用いる一方、適宜位置に奥行きが長いものを選択・介在させて、隣接するブロック間を開口部にて連結するとともに、奥行きが長い緑化擁壁ブロックにバイパス機能をもたせるのである。
さらにまた、本発明では、前記側面において植栽ポットまで連通する開口部を設けた緑化擁壁ブロックに好適に対応するバイパス部材として、前壁面を化粧面とし、両側壁面には緑化擁壁ブロックに設けられた開口部との接続開口部を有し、後端が地山に到達するよう前記緑化擁壁ブロックより奥行きを長くした専用ブロック製品を提供する。
なお、各バイパス部材は、その内部において部材内空間を閉塞しない程度に底面から立設した隔壁を備えているものとすることもできる。隔壁は1つに限定されるものではなく、適宜間隔をあけながら複数立設することができる。これら隔壁の存在によってバイパス部材内の植生土中の水分移動が阻まれる結果、バイパス部材内においてある程度の貯水効果が期待できるのである。また、同様な貯水効果は、バイパス部材の途中に拡幅部を設けることによっても実現が期待される。すなわち、前記導管や受け溝状のもの、あるいは袋体の一部分を上下あるいは左右方向に拡幅し、断面形状が大きくなる部分、いわゆる「水溜まり」となる部分を形成することによって、当該「水溜まり」が貯水効果を奏するようにするのである。
そして、以上のようなバイパス部材は、地山からブロック後壁面に向けて下降傾斜するよう、勾配をつけて設置することで、擁壁ブロックの植栽ポットに対して雨水を導く効果が期待される。各種のバイパス部材は、可能な限り1個の緑化擁壁ブロックに対して1本ずつ連結するのが理想的ではあるが、1個の緑化擁壁ブロックに対して複数本のバイパス部材を連結することを妨げるものではないし、例えば多段積みされた擁壁ブロックの1個置きに千鳥状の配置として、バイパス部材を連結する緑化擁壁ブロックと連結しない緑化擁壁ブロックとが混在するようにしてもよい。
本発明に係る緑化促進擁壁の構築方法によれば、前壁面寄りに植栽ポットを備えた従来型の緑化擁壁ブロックを用いながら、当該ブロックの植栽ポットと背面地山間をバイパス部材で連結することによって、砕石等の裏込め材層を貫通するように連続した植生土を配することができるので、植物の生育に十分な土量を確保することができるし、根の成長を妨げることなく背面地山まで導いて十分に活着させることも期待できる。また、背面地山まで連続した植生土の存在は、植栽ポットを孤立させないので、背面地山からの水分供給が図られる。
また、本発明では、後背面において開口部を備えた緑化擁壁ブロックのほか、側面や底面において開口部を備えたものも適宜選択使用しうるので、様々なタイプの既存の緑化擁壁ブロックに対応しうるし、バイパス部材としても塩ビ管やボイド管、樋や側溝ブロック、土のう袋など既存のものを用いることができる利点がある。
そして、側面に開口部を備えた緑化擁壁ブロックと同種のブロックであって奥行きが長いものをバイパス部材として用いると、一連のシリーズ商品ゆえに擁壁化粧面のデザイン統一が容易となる。
さらにまた、側面に開口部を備えた緑化擁壁ブロックに対しては、本発明に係る専用のバイパス部材を用いることで、既存の緑化擁壁ブロックを用いながらより優れた緑化促進擁壁を容易に構築することができる。
以下、図面にしたがって本発明を詳細に説明する。図1は従来型の緑化擁壁ブロックの一例を示した斜視図、図2は同ブロックを用いて本発明により構築した緑化促進擁壁の一例を示す概略縦断面図、図3は図2の緑化促進擁壁の途中部分を斜め上方からみた概略斜視図である。このタイプの緑化擁壁ブロックB1は、前壁面11寄りに植栽ポット15を備えたというよりも、前壁面11と、後壁面12と、左壁面13そして右壁面14で囲まれた受け箱状をしたブロック内空間のすべてを植栽ポット15とし、ブロック全体が植栽ポット15として機能するようなブロックであるが、本発明ではこのような緑化擁壁ブロックも好適に用いられる。
ここで、図1のタイプの緑化擁壁ブロックB1は、多段に積み上げた際にも植栽ポット15内に充填される植生土Sに植えられた植物の採光を確保しその繁茂を可能とするべく前壁面11に上方からの切り欠き17が設けられる一方、後壁面12には方形透孔からなる後開口部16が設けられている。従来の施工方法であれば、前記後開口部16は、吸出防止シートを介して砕石等の裏込め材と外接するか、あるいは直接に地山と外接していたのであるが、本発明に係る緑化促進擁壁の構築方法では、この後開口部16に対して適宜選択したバイパス部材を連結し、そのバイパス部材によって、植栽ポット15から層状の裏込め材を横断して地山Gに至るまでを連通させるのである。
すなわち、図2及び図3に示されるように、多数個の緑化擁壁ブロックB1を積み上げて構築される緑化促進擁壁Cは、緑化擁壁ブロックB1と地山Gとの間に砕石等の裏込め材Rが層状に設けられることによって地山Gからの排水を可能としているところ、本発明ではこの層状をなす裏込め材Rを横断するように、ブロックの後開口部16と地山Gとの間をバイパス部材V1によって連結している。
なお、本例のバイパス部材V1には円筒形の導管タイプのものを用いており、予め内部に植生土を充填したうえ、一端側を緑化擁壁ブロックB1の後開口部16から植栽ポット15内に挿入し、他端側を地山Gに当接させている。このように導管タイプのバイパス部材V1を用いた場合には、上方から投入した裏込め材Rがバイパス部材V1の下方に回り込みやすいので、施工時に裏込め材Rの均し作業が容易になる利点がある。成形された人工土壌をバイパス部材V1として用いる場合も、植生土の充填が不要である点を除き、導管タイプのものと同様にして設置することができる。
図4は、円筒形の導管タイプのバイパス部材に代えて、上面が開放した受け溝状のバイパス部材を用いた図3相当斜視図であり、図5は、植生土が充填される袋体をバイパス部材として用いた図3相当斜視図である。これらに図示されるように、本発明に係る緑化促進擁壁の構築方法では、内部に植生土を伴いながら緑化擁壁ブロックB1から地山(図示されていない)までを連通できるものであれば、受け溝状のもの(V2)や袋体(V3)など様々な形状のものをバイパス部材として用いることができる。
図6は、側面に開口部が設けられた従来型の緑化擁壁ブロックの一例を示した斜視図であり、図7は、同ブロックを用いて本発明により構築した緑化促進擁壁の途中部分を斜め上方からみた概略斜視図である。図6に示されたタイプの緑化擁壁ブロックB2は、後壁面12ではなく、左壁面13と右壁面14にそれぞれ円形透孔からなる横開口部18,18が穿設されている点を除けば、先の図1の例の緑化擁壁ブロックB1とほぼ同様な形状をしている。本例のような従来型の緑化擁壁ブロックB2では、左右方向に並べて設置されるブロック間において、専用ブロック製品としてのバイパス部材V4を介在させることによって、緑化促進擁壁が構築される。
図7に示されるように、前記バイパス部材V4は、上面及び後壁が全開口した概略直方体状に形成されており、図示されてはいないが、その前壁面v41は、左右に設置された緑化擁壁ブロックB2と調和した化粧面とされる一方、その左右両側壁面には各々円形透孔からなる接続開口部v42が1つずつ設けられており、前壁面v41から反対側後端までの奥行きが隣接する緑化擁壁ブロックB2の奥行きより長くなっている。したがって、バイパス部材V4の前壁面v41を緑化擁壁ブロックB2の前壁面11に揃えるよう設置すると、バイパス部材V4の後端は層状の裏込め材Rを分断して地山(図示されていない)に到達するので、バイパス部材V4内にも植生土Sを充填することによって、緑化擁壁ブロックB2内に充填された植生土Sから地山(図示されていない)までが連続し、植物の根が地山まで伸長することを可能とするわけである。
図8は、側面に開口部が設けられた従来型の緑化擁壁ブロックの他の一例を示した斜視図であり、図9は、同ブロックを用いて本発明により構築した緑化促進擁壁の途中部分を斜め上方からみた概略斜視図である。図示された緑化擁壁ブロックB3は、前壁面11から左右方向に連続する鍔部19が張り出している点を除けば、先の緑化擁壁ブロックB2と同じ形状をしているが、前記左右の鍔部19の存在によって、複数個のブロックを横方向に並べて設置した際には各鍔部19間、つまり、隣り合う緑化擁壁ブロックB2間に空間ができることになる。そこで、図9に示されるように、前記空間内に対して例えば受け溝状のバイパス部材V2を嵌挿し、該バイパス部材V2をブロック背面側に突出させることによって、植栽ポット15から横開口部18を抜けて、バイパス部材V2から地山(図示されていない)までが連通することになる。
図10は、図8に示した従来型の緑化擁壁ブロックと同種のブロックであって奥行きが長いものを示した斜視図であり、図11は、同ブロックを用いて本発明により構築した緑化促進擁壁の途中部分を斜め上方からみた概略斜視図である。このように、奥行き又は控え長さが異なる複数種の緑化擁壁ブロックがシリーズ展開されている場合には、より長い奥行きのものをバイパス部材として選択使用することができる。
本例では、奥行きが長い緑化擁壁ブロックB4として、後壁面12に方形透孔からなる後開口部16が穿設されているものを用い、この後開口部16を地山(図示されていない)に当接させることにより、緑化擁壁ブロックB4における植栽ポット15が地山に連続するようにしつつ、その左右側壁面に穿孔された横開口部18と、隣接設置された奥行きの短い緑化擁壁ブロックB3における横開口部18とを先のバイパス部材V1と同じ円筒形の導管で連通させている。したがって、奥行きの短い緑化擁壁ブロックB3の後壁面12には開口部がなく、地山(図示されていない)との間には裏込め材Rが層状に充填されることになるが、横開口部18からバイパス部材V1を経て隣り合う緑化擁壁ブロックB4に至り、さらに同ブロックB4内の植栽ポット15から後開口部16を経て地山までを連通させることができる。
図12は、本発明により構築した緑化促進擁壁の他の例を示す概略縦断面図である。本例の緑化促進擁壁Cでは、底板がなく、前壁面がやや傾斜した筒状の緑化擁壁ブロックB5を用いて、上段に位置するブロックを順次地山G側にずらしながら階段状に擁壁を構築することによって、擁壁前面に植栽ポット内の植生土Sが露出するようにしている。緑化促進擁壁Cが階段状に構築された結果、各緑化擁壁ブロックB5における後背面側の底面は底開口部20として露出するので、当該底開口部20の下方に先の受け溝状をしたバイパス部材V2を必要により複数本配置したり、あるいはトレイ状のバイパス部材を配置し、露出した底開口部20と地山Gの間にこれらバイパス部材を架け渡すことによって、裏込め材層を横断するように植栽ポットから地山Gまでを連通させるのである。
従来型の緑化擁壁ブロックの一例を示した斜視図である。 図1のブロックを用いて本発明により構築した緑化促進擁壁の一例を示す概略縦断面図である。 図2の緑化促進擁壁の途中部分を斜め上方からみた概略斜視図である。 円筒形の導管タイプのバイパス部材に代えて上面が開放した受け溝状のバイパス部材を用いた図3相当斜視図である。 植生土が充填される袋体をバイパス部材として用いた図3相当斜視図である。 側面に開口部が設けられた従来型の緑化擁壁ブロックの一例を示した斜視図である。 図6のブロックを用いて本発明により構築した緑化促進擁壁の途中部分を斜め上方からみた概略斜視図である 側面に開口部が設けられた従来型の緑化擁壁ブロックの他の一例を示した斜視図である。 図8のブロックを用いて本発明により構築した緑化促進擁壁の途中部分を斜め上方からみた概略斜視図である。 図8に示した従来型の緑化擁壁ブロックと同種のブロックであって奥行きが長いものを示した斜視図である。 図10の緑化擁壁ブロックを用いて本発明により構築した緑化促進擁壁の途中部分を斜め上方からみた概略斜視図である。 本発明により構築した緑化促進擁壁の他の例を示す概略縦断面図である。
符号の説明
11 前壁面
12 後壁面
13 左壁面
14 右壁面
15 植栽ポット
16 後開口部
17 切り欠き
18 横開口部
19 鍔部
20 底開口部
B1、B2、B3、B4、B5 緑化擁壁ブロック
C 緑化促進擁壁
G 地山
S 植生土
R 裏込め材

Claims (10)

  1. 前壁面寄りに植栽ポットを備えた緑化擁壁ブロックを用い、多段に積み上げたブロック後壁面とブロック背面に位置する地山間に裏込め材を層状に設けながら緑化擁壁を構築する方法において、植栽ポットから地山までが連通するようにバイパス部材を配置しながら裏込め材で埋設することを特徴とする緑化促進擁壁の構築方法。
  2. 植栽ポットから地山までが連通するようにバイパス部材を配置するために、後背面において植栽ポットまで連通する開口部を設けた緑化擁壁ブロックを用いて、該開口部と地山間にバイパス部材を架け渡すこととした請求項1記載の緑化促進擁壁の構築方法。
  3. 植栽ポットから地山までが連通するようにバイパス部材を配置するために、側面において植栽ポットまで連通する開口部を設けた緑化擁壁ブロックを用いて、該開口部と地山間にバイパス部材を架け渡すこととした請求項1記載の緑化促進擁壁の構築方法。
  4. 植栽ポットから地山までが連通するようにバイパス部材を配置するために、底面に植栽ポットまで連通する開口部を設けた緑化擁壁ブロックを用いて、上段に位置するブロックを順次地山側にずらしながら階段状に擁壁を構築することによってブロック後方の底面に開口部を露出させ、該露出した開口部と地山間にバイパス部材を架け渡すこととした請求項1記載の緑化促進擁壁の構築方法。
  5. バイパス部材として、両端が開口し、内部に植生土が充填される導管を用いた請求項1又は2いずれか記載の緑化促進擁壁の構築方法。
  6. バイパス部材として、成形された人工土壌を用いた請求項1ないし4いずれか記載の緑化促進擁壁の構築方法。
  7. バイパス部材として、上面が開放した受け溝状に形成されたものであり、内部に植生土が充填されるものを用いた請求項1ないし4いずれか記載の緑化促進擁壁の構築方法。
  8. バイパス部材として、植生土が充填される袋体を用いた請求項1ないし4いずれか記載の緑化促進擁壁の構築方法。
  9. バイパス部材として、側面に開口部を備えた緑化擁壁ブロックと同種のブロックであって奥行きが長いものを用いた請求項1記載の緑化促進擁壁の構築方法。
  10. 前壁面を化粧面とし、両側壁面には緑化擁壁ブロックに設けられた開口部との接続開口部を備え、後端が地山に到達するよう前記緑化擁壁ブロックより奥行きを長くしてなる請求項3記載の緑化促進擁壁の構築方法に用いられるバイパス部材。
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