JP2007302548A - 高強度遠心力成形用コンクリート組成物及びその製造方法 - Google Patents

高強度遠心力成形用コンクリート組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 パイル、ポール又はヒューム管等の遠心力成形をしたコンクリート二次製品に関して、高強度を発現する遠心力成形用コンクリート組成物を提供する。
【解決手段】 普通ポルトランドセメント、高強度混和材、分散剤、骨材及び水を含む高強度遠心力成形用コンクリート組成物であって、普通ポルトランドセメントの石膏中の半水石膏割合は25〜90質量%、間隙相含有率が17〜23質量%であり、高強度混和材は無水石膏と非晶質シリカとを含み、無水石膏/非晶質シリカの質量比が15/85〜85/15であり、水/(セメント+高強度混和材)質量比が16〜20%であり、分散剤がポリカルボン酸系分散剤であることを特徴とする高強度遠心力成形用コンクリート組成物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、遠心力を利用して製造するパイル、ポール、ヒューム管等のコンクリート成形用に適したコンクリート組成物及びそれを使用するコンクリート二次製品の製造方法に関する。特に、特殊な骨材や繊維補強材等を使用することなく、蒸気養生及びその後の気中養生後に130N/mmレベルの極めて高い強度を有する遠心力成形用コンクリート組成物に関する。
従来、パイル、ポール又はヒューム管等の円柱形又は円筒形のコンクリート二次製品の製造には遠心力を利用した成形方法が一般に採用されている。この方法では、鉄筋を配した型枠中にコンクリートを打設して遠心力成形し、常温で所定時間前養生を行ったのち常圧で蒸気養生を行い、冷却後脱型し、数週間気中養生して出荷される。
最近、コンクリートパイルをはじめとするコンクリート二次製品には、支持力がより高いものが求められる傾向にある。このような要求を満たすために、使用する材料、コンクリートの配合、遠心力成形条件、前養生条件、さらには常圧蒸気養生条件や高温高圧養生の付加等によって最適化する手法がとられているが、必ずしも安定した高強度硬化体を得るには至っていないのが現状である。ちなみに、通常のコンクリート材料を使用した場合、遠心力成形用コンクリート組成物の設計基準強度(圧縮強度)130N/mmレベルのような高強度領域は、技術的にも限界に近く、その高強度を確保することが極めて難しいとされている(特許文献1〜3参照)。
特許第2887561号公報 特許第2865567号公報 特開2005−179149号公報
このように、従来、遠心力成形コンクリート硬化体では、設計基準強度(圧縮強度)130N/mm以上を満たすことが困難であったことに鑑み、本発明は、遠心力成形用製品において、コンクリートの蒸気養生後の脱型圧縮強度が約115N/mm以上、その後の気中養生後(1〜2週間後)で130N/mmレベルの高強度化を実現する遠心力成形用コンクリート組成物を提供することを目的とする。
本発明はまた、コンクリート材料、配合、練混ぜ、型枠への充填、遠心力成形、前養生及び蒸気養生の最適条件を明らかにして、上記のような高強度の遠心力成形用製品を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、遠心力成形用製品の高強度化を実現するために鋭意検討した結果、普通ポルトランドセメント、高強度混和材、分散剤、骨材及び水を含む高強度遠心力成形用コンクリート組成物であって、普通ポルトランドセメントの石膏中の半水石膏割合が25〜90質量%、間隙相含有率が17〜23質量%であり、高強度混和材は無水石膏と非晶質シリカとを含み、無水石膏/非晶質シリカの質量比が15/85〜85/15であり、水/(セメント+高強度混和材)質量比(以下、W/(C+A)又は水/結合材比と呼称)が16〜20%であり、分散剤がポリカルボン酸系分散剤である、高強度遠心力成形用コンクリート組成物を発明するに至った。
本発明の高強度遠心力成形用コンクリート組成物は、高強度混和材中の非晶質シリカがシリカフュームであることが好ましく、高強度混和材が、無水石膏とシリカフュームとを混合粉砕したものがより好ましい。さらに、普通ポルトランドセメント中のCA含有率が8〜14質量%であることが好ましい。さらに、普通ポルトランドセメント100質量部に対して、高強度混和材を8〜18質量部及び分散剤を水溶液基準で1.0〜2.0質量部含有し、普通ポルトランドセメントの単位セメント量が550〜650kg/mであることがより好ましい。また、普通ポルトランドセメント100質量部に対して、高強度混和材を12〜16質量部含有することがより好ましい。
本発明はさらに、上記の高強度遠心力成形用コンクリート組成物を練混ぜ、鉄筋を配した円筒形型枠に充填したのち遠心力成形し、前養生、続いて蒸気養生したのち脱型し、その後気中で養生する、高強度遠心力成形用製品の製造方法を提供する。
本発明の遠心力成形用製品の製造方法により、設計基準強度130N/mmレベルの高強度遠心力成形用製品が製造できる。このため、杭の場合では支持力を大きく取ることができるので、施工本数が低減でき、経済的であるという効果を奏する。また、高強度遠心力成形用コンクリート組成物は組織が緻密になることから、耐久性の向上に貢献するという効果も奏する。
以下に本発明を詳細に説明する。
先ず、コンクリート組成物に使用する材料の好ましい特性は下記のとおりである。
本発明の高強度遠心力成形用コンクリート組成物に使用するセメントは、普通ポルトランドセメントであり、その石膏中の半水石膏割合は25〜90質量%である。普通ポルトランドセメントの石膏中の半水石膏量は、遠心力成形性(締固め、均質性(内面での波打ち抑制)、ノロ(泥状物)の発生抑制)及び蒸気養生後の強度発現性に極めて重要な役割を果たすため、後述の示差熱熱重量分析方法によって測定するセメントの石膏中の二水石膏と半水石膏との合量に対する半水石膏量の質量比は、上記の25〜90質量%の範囲にあることが重要な必須要件の一つである。
さらに、普通ポルトランドセメント中のCA含有率とCAF含有率との合計量で表される間隙相含有率は17〜23質量%、好ましくは18〜22質量%である。またCA含有率は8〜14質量%、好ましくは9〜13質量%である。なお、普通ポルトランドセメント中のCA及びCAFの含有率(質量比)は、JIS R 5202:1999「ポルトランドセメントの化学分析方法」によって分析したAl及びFeの含有率(%)定量値を用いて次式(Bogue式)で計算することによって得られる。
A含有率(質量%)=(2.65×%Al)−(1.69×%Fe
(1)
AF含有率(質量%)=3.04×%Fe (2)
さらに、普通ポルトランドセメントの水硬率(H.M.)は2.05〜2.25、より好ましくは2.10〜2.20、セメント中のSO量は1.5〜3.0質量%、より好ましくは1.7〜2.4質量%のものを使用することができる。また、普通ポルトランドセメントの粒度は特に限定されるものではなく、粉末度(ブレーン比表面積)が3000〜3800cm/g、エアジェットシーブによる32μm篩残分が12.0〜24.0質量%、レーザー回折式粒度分布測定装置(セイシン企業製、LMS−30(レーザー・マイクロ・サイザー))による体積含有率が50%通過径8〜24μm、より好ましくは12〜20μm、90%通過径/10%通過経比が5〜20、Rosin−Rammler線図におけるn値(粒度分布均等数、粒径対象範囲4〜32μm)が1.10〜1.35のものであれば、良好に使用することができる。
本発明の高強度遠心力成形用コンクリート組成物に使用する高強度混和材は、高強度遠心力成形用製品の製造に不可欠な材料の一つであり、無水石膏と非晶質シリカとを含むものである。非晶質シリカとしては、シリカフュームや微粉フライアッシュ(平均粒径10μm以下)等が使用でき、特にシリカ含有率が90質量%以上のシリカフュームがより好ましく、その一次粒子が凝集又は焼結されることによって形成された二次粒子が十分解砕・分散されていることが好ましい。これを実現するための方法として、無水石膏とシリカフュームとを混合粉砕することも有効である。高強度混和材中の無水石膏及び非晶質シリカの好ましい含有割合(無水石膏/非晶質シリカ質量比)は15/85〜85/15、より好ましくは20/80〜65/35である。高強度混和材の粉末度(ブレーン比表面積)は、構成成分の割合あるいは特に非晶質シリカ粒子の分散状態によって影響されるが、より好ましい配合割合においては、概ね4000〜15000cm/gの範囲となる。
また、高強度混和材は、無水石膏と非晶質シリカとを混合粉砕した混合物を使用することがより好ましい。非晶質シリカは製造時に高温状態にさらされるため一次粒子が塊状の二次粒子を形成しており、混合粉砕することにより解膠され、コンクリートに使用した際の分散状態が良くなる。また、蒸気養生用混和材として一般に市販されているものも好適に使用することができる。この例としては、デンカΣ1000、デンカΣ2000(電気化学工業(株)製)、ノンクレーブ、スーパーノンクレーブ(住友大阪セメント(株)製)、ダイミックス(昭和鉱業(株)製)、太平洋ウルトラスーパーミックス(太平洋マテリアル(株)製)等を挙げることができる。これらの中で、デンカΣ2000、スーパーノンクレーブ、ダイミックスの使用がより好ましい。
本発明の高強度遠心力成形用コンクリート組成物に使用する分散剤は、ポリアルキレン側鎖(通常、−O(CHCHO)n−)を有するポリカルボン酸系分散剤である。この例としては、メタクリル酸系共重合物やメタクリル酸系多元共重合物、マレイン酸系共重合物等が挙げられる。この種の分散剤は、コンクリート用高性能減水剤として多種のものが市販されており、主成分である上記のポリカルボン酸系成分の分子量分布、官能基(ポリカルボキシル及びポリアルキレン)の質量割合等に工夫がなされている他、複数の機能を付加させるために、第二、第三、第四成分が一般に添加されている。形態としては、粉末状又は水溶液タイプのもののいずれも使用できるが、扱いやすさから後者(水溶液)の使用がより好ましい。水溶液中の固形分含有量(溶質含有量)は約25〜45質量%の範囲のものが多い。分散剤の水分量は、コンクリート配合設計上、練り混ぜ水に加算するので、その使用に際しては水分量を予め求めておく必要がある。分散剤の市場品の具体例としては、マイティ21WH(花王(株)製)、レオビルド8000H(ポゾリス物産(株)製)、チューポールNV−G5(竹本油脂(株)製)、フローリックVP−700((株)フローリック製)、シーカメント2200(日本シーカ(株))等を挙げることができる。
本発明の高強度遠心力成形用コンクリート組成物に使用する骨材は、種類は特に限定されず、通常、遠心力成形用製品に使用されているものを使用することができる。粗骨材の最大寸法は、より好ましくは15mmのものを使用し、細骨材率(s/a)は30〜45質量%の範囲から選択される。
次に、本発明の高強度遠心力成形用コンクリート組成物におけるコンクリート配合は以下のとおりである。普通ポルトランドセメントの単位量は550〜650kg/m、より好ましくは580〜620kg/mである。550kg/m未満では十分な強度が得られず、650kg/mを超えると水セメント比は小さくできるが、骨材間間隙に対するセメントペーストの容積比が過大となって遠心成形による締め固めが不充分となり、結果として高強度を得ることができない。
高強度混和材は、普通ポルトランドセメント100質量部に対して、8〜18質量部が好ましく、12〜16質量部がより好ましい。高強度混和材の含有量が8質量部未満では強度向上効果が期待できず、18質量部を越えると、遠心力成形性が低下し、強度が低下する場合もあり好ましくない。
ポリカルボン酸系の分散剤は、普通ポルトランドセメント100質量部に対して、水溶液基準で1.0〜2.0質量部が好ましく、経済性をも踏まえると1.2〜1.6質量部がより好ましい。すなわち、分散剤が水溶液基準で1.0質量部未満では減水性が不十分で、2.0質量部を超えて添加してもその増量分に見合う程の大きな減水効果が得られ難いため不経済となる。
また、本発明の遠心力成形用コンクリート組成物の高強度化は、高強度混和材と分散剤との間の相互作用が起こるなかで達せられるものであり、これらの混和材(剤)は単に多ければ良いというものでなく、適正添加量が存在する。
水/(セメント+高強度混和材)、すなわち水/結合材の適正質量比は、使用する各種コンクリート材料及び単位量(配合)によっても変化するが、16〜20質量%の範囲が好ましい。16質量%未満ではコンクリートの粘性が上がり、ハンドリング性が悪化するとともに、硬すぎて型枠への投入が困難となり、また、20質量%を超えるとコンクリートが流動化し遠心力による締固めが不十分となり、高強度が得られ難くなるため好ましくない。
なお、遠心力成形で高強度の鋼管パイルを製造する場合には、上記のコンクリート配合として、高強度混和材に加えて膨張材を併用するのが好ましい。膨張材はアウィン−石灰−石膏系又は石灰−石膏系のものであり、セメント100質量部に対し、膨張材と高強度混和材との合量を基準に18質量部以内で使用するのが好ましい。この場合、膨張材としては、市販のデンカCSA20(電気化学工業(株)製)、太平洋エクスパン又は太平洋ジプカル(太平洋マテリアル(株))等が使用でき、この膨張材単体分の配合量は概ね5〜8質量部が好ましい。
コンクリート使用材料の投入順序、使用するミキサ、練混ぜ時間等は特に限定されず、遠心力成形用製品の製造で通常行われている条件を採用することができる。練混ぜられた適正なコンクリートの流動性は、スランプで10cm以下、好ましくは1〜4cm、鋼管パイルでは6〜12cm程度である。このコンクリートは、配筋された型枠内に打設し、1〜4G、5〜14G、15〜20G、20G以上等、コンクリートの型枠軸方向での均質化、型枠内面への貼り付け、粗骨材の型枠内面方向への濃集と締固めを行い、それぞれの遠心力付加時間は1〜5分間の範囲で選択される。
遠心力成形された成形体は、常温、例えば、5〜35℃の温度範囲で4〜6時間前養生を行ったのち、蒸気養生を行う。蒸気養生は15〜22℃/hの昇温速度で最高温度60〜100℃、好ましくは70〜90℃まで昇温し、最高温度で3〜6時間保持したのち、8〜12時間かけて冷却する。冷却後脱型し、1週間以上気中で養生を行う。
[使用材料]
[1]普通ポルトランドセメント(C):
普通ポルトランドセメントは、水硬率(H.M.)が2.05〜2.25、セメント中のSO量が1.5〜3.0質量%、粉末度(ブレーン比表面積)が3000〜3800cm/g、エアジェットシーブによる32μm篩残分が12.0〜24.0質量%、レーザー回折式粒度分布測定装置(セイシン企業製、LMS−30(レーザー・マイクロ・サイザー))による体積含有率が50%通過径8〜24μm、90%通過径/10%通過経比が5〜20、Rosin−Rammler線図におけるn値(粒度分布均等数、粒径対象範囲4〜32μm)が1.10〜1.35のもので、CA含有率(質量%)、CAF含有率(質量%)、間隙相含有率(質量%)及び半水石膏割合(質量%)がそれぞれ異なる、表1に示す12種類を使用した。
普通ポルトランドセメントの鉱物組成及びSO量は、JIS R 5202:1999「ポルトランドセメントの化学分析方法」及びJIS R 5204:2002「セメントの蛍光X線分析方法」により測定した。RO含有率(質量%)は、NaO含有率(質量%)とKO含有率(質量%)から式(3)により算出した。
O含有率(質量比)=NaO(質量比)+0.658KO(質量比) (3)
Figure 2007302548
なお、半水石膏割合は、以下の方法より求めた。
まず、半水石膏量及び二水石膏量を、示差熱重量分析(TG−DTA)によって定量した。具体的には、示差熱熱重量分析装置TG−DTA6200(セイコーインスツルメンツ(株)製)を用いて、直径20μmの孔を有する容量30μLのセル(アルミ製)に、試料を約30mg入れ、昇温速度5℃/minで室温から300℃まで昇温した。図1に示すように、まず、重量減少曲線(図1のTG)を微分した曲線(図1のDTG)から、DTGピークAの立ち上がり温度(約125℃)、半水石膏の脱水に伴うDTGピークBの立ち上がり温度(約155℃)、ピークBの終局点(約195℃)を求めた。次に、二水石膏の脱水に伴う125〜155℃附近の減量(a質量%)と、半水石膏の脱水に伴う155〜195℃附近の減量(b質量%)を求め、式(4)及び式(5)を用いて、セメントの石膏中の二水石膏量(質量%)及び半水石膏量(質量%)を算出した。これらより、半水石膏の割合(質量%)は式(6)を用いて算出した。なお、リファレンスとして、アルミ板を用いた。
二水石膏量(質量%)=減量a(質量%)×172(二水石膏の分子量)÷(1.5×18(HOの分子量)) (4)半水石膏量(質量%)=(減量b(質量%)−減量a(質量%)÷3)×145(半水石膏の分子量)÷(0.5×18(HOの分子量)) (5)半水石膏割合(質量%)=半水石膏量÷(半水石膏量+二水石膏量)×100 (6)
[2]高強度混和材(A):
調製品:II型無水石膏粉末(フッ酸無水石膏)とシリカフューム(エルケム社製)との配合割合(石膏/シリカフューム質量比)を、10/90、20/80、30/70、65/35、80/20、90/10に変え、試験ボールミル(Φ30×30cm)によりブレーン比表面積が5500〜11000cm/gになるように混合粉砕した。また、無水石膏/シリカフュームの質量比が20/80については、混合粉砕することなく、無水石膏粉末とシリカフュームとをV型混合機で単に混合したものも使用した。
また、市販品として、デンカΣ2000(無水石膏/非晶質シリカ質量比:20/80、電気化学工業(株)製)、ダイミックス(無水石膏/非晶質シリカ質量比:60/40、昭和鉱業(株)製)、スーパーノンクレーブ(無水石膏/非晶質シリカ質量比:50/50、住友大阪セメント(株)製)、ノンクレーブ(無水石膏/非晶質シリカ質量比:98/1、住友大阪セメント(株)製)を使用した。なお、記載した無水石膏/非晶質シリカ質量比は、JIS M8852:1998「セラミック用高シリカ質原料の化学分析方法」に準じて、SO及びSiOを定量し、SO量をCaSO(無水石膏)に換算、またSiO量は全て非晶質シリカ量とみなした。
[3]分散剤:
市販品のポリカルボン酸系のマイティ21WH(花王(株)製)、レオビルド8000H(ポゾリス物産(株)製)、チューポールNV−G5(竹本油脂(株)製)、フローリックVP−700((株)フローリック製)、シーカメント2200(日本シーカ(株))を使用した。比較用として、ポリカルボン酸系でなくナフタリンスルホン酸系の高性能減水剤であるマイティHS(花王(株)製)も使用した。
[4]骨材
粗骨材は、硬質砂岩砕石(JIS A 5005:1993「コンクリート用砕石及び砕砂」による粒の大きさによる区分が砕石1505、JIS A 1110:1999「粗骨材の密度及び吸水率試験方法」による密度が2.70g/cm及び吸水率が0.50%、JIS A 1102:1999「骨材のふるい分け試験方法」による粗粒率が6.67)を使用した。
また、細骨材としては砕砂(JIS A 1109:1999「細骨材の密度及び吸水率試験方法」による密度が2.66g/cm及び吸水率が1.20%、JIS A 1102:1999「骨材のふるい分け試験方法」による粗粒率が2.80)を使用した。
〔コンクリートの練混ぜ〕
セメント、混和材、細骨材及び粗骨材を二軸強制練りミキサ(容量:50リットル)に投入し、30秒間攪拌した後、練混ぜ水及び混和剤を投入し、4分間練混ぜ、コンクリートを作製した。このうち、単位水量には練混ぜ水量(水道水)に分散剤(水溶液タイプ)に由来する水量が加算されている。
〔供試体の作製〕
強度試験用円柱供試体は内径Φ10×長さ20cmの型枠にコンクリートを充填し、テーブルバイブレータにより振動締固めを行った。一方、遠心力成形体(外径Φ20×長さ30×厚さ4cm)はその型枠に所定量のコンクリートを投入し、2G−3min、10G−1min、20G−1min及び30G−5minの条件下で遠心力成形を行った。
成形状況は供試体断面における締固め性状、空洞部(円筒)内面の平滑性(例:波打ちの有無)及びスラッジ発生状況等で判断し、一部の遠心力成形供試体については圧縮強度の試験に供した。
〔前養生及び蒸気養生〕
強度試験用円柱供試体及び遠心力成形供試体は、20℃で4時間前養生を行い、20℃/hの昇温速度(3時間)で80℃まで加熱し、80℃で3時間保持したのち、降温速度10℃/h(6時間)で冷却した。
〔圧縮強度試験〕
脱型直後及び引き続き7日間気中養生後の強度試験用円柱供試体はJIS A 1108:1999「コンクリートの圧縮強度試験方法」、遠心力成形供試体はJIS A 1136:1993「遠心力締固めコンクリートの圧縮試験方法」に準じ、圧縮強度試験を行った。
なお、特記しない限り、下記条件を基準条件とした。なお、実施例及び比較例のコンクリート組成物単位量(kg/m)を表2に示す。
Figure 2007302548








[1]普通ポルトランドセメント(4):CA含有率10質量%、CAF含有率9質量%、間隙相含有率19質量%、半水石膏割合67質量%
[2]高強度混和材(A):デンカΣ2000(無水石膏/非晶質シリカ質量比:20/80、電気化学工業(株)製、ブレーン比表面積4900cm/g)
[3]分散剤:マイティ21WH(花王(株)製、固形分量30質量%)
[4]骨材:粗骨材の最大寸法(GMAX)15mm、細骨材率(s/a)35質量%
[5]配合(単位量):単位水量120kg/m、普通ポルトランドセメント600kg/m、高強度混和材90kg/m
[実施例1〜9、比較例1、2]
普通ポルトランドセメントおよび市販の高強度混和材を使用し、その単位量を変えた場合の振動成形品の圧縮強度を表3に示す。なお、この場合、高強度混和材の添加率も変えて試験し、所要水/結合材比(W/(C+A))との関係も評価した。
比較例1(単位セメント量500kg/m)は振動締固め成形品の強度発現性が低く、また、比較例2(単位セメント量680kg/m)でも振動締固め成形品の強度発現性が低く好ましくない。また、単位セメント量と水/結合材比(W/(C+A))との関係において、高強度混和材の添加率(A/C)を増加させることにより水/結合材比(W/(C+A))は低減できる(実施例4〜6)。
Figure 2007302548

[実施例10〜13、比較例3、4]
普通ポルトランドセメントの石膏中の半水化率の異なるセメントを使用した場合の供試体の圧縮強度及び遠心成形性を表4に示す。比較例3(半水石膏割合が5質量%)では振動締固め成形及び遠心力成形品ともに強度発現性が低く、逆に比較例4(半水石膏割合が95質量%)になると締固め性状及び圧縮強度ともに低下し好ましくない。
Figure 2007302548
[実施例14〜17、比較例5、6]
普通ポルトランドセメント中の間隙相量の異なるセメントを使用した場合の供試体の圧縮強度及び遠心成形性を表5に示す。比較例5(間隙相含有率24質量%)では振動締固め成形品は強度発現性に優れるものの、遠心力成形品の成形性が悪く、強度も低い。比較例6(間隙相含有率16質量%)になると振動締固め成形品及び遠心成形品ともに圧縮強度が低下し好ましくない。
Figure 2007302548

[実施例18〜22、比較例7、8]
高強度混和材のII型無水石膏(AH)とシリカフューム(SF)との割合を変えて、混合粉砕した場合についての振動成形品の圧縮強度を表6に示す。なお、実施例22は、II型無水石膏粉末(3840cm/g)とシリカフューム(BET比表面積:16m/g)をV型混合器で混合したものであり、混合粉砕していない場合である。
無水石膏とシリカフュームとの質量比が10/90或は90/10の比較例7、比較例8は圧縮強度が低く、高強度混和材の無水石膏とシリカフュームとの質量比の適正領域は15/85〜85/15であることが判る。また、この質量比は、20/80〜65/35の範囲のものが、圧縮強度をより高くすることができるので好ましい。また、実施例22は、無水石膏とシリカフュームとの質量比が20/80であっても、混合粉砕したものではないため、混合粉砕した実施例18よりも、圧縮強度が若干低い。
Figure 2007302548
[実施例12、実施例23、24、比較例9]
市販の高強度混和材を使用した場合の振動成形供試体の圧縮強度を表7に示す。高強度混和材銘柄としてはデンカΣ2000(表4の実施例12)、スーパーノンクレーブ及びダイミックス(実施例23、24)が好ましく、換言すれば無水石膏/非晶質シリカの質量比が大き過ぎるノンクレーブ(比較例9)は好ましくないことを示唆している。
Figure 2007302548
[実施例18、実施例25〜28、比較例10]
分散剤として、市販のコンクリート用ポリカルボン酸系高性能減水剤、及び比較用としてβ−ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物系高性能減水剤(マイティHS)を使用した場合の振動成形供試体の圧縮強度を表8に示す。ポリカルボン酸系高性能減水剤は良好な強度発現性を示し(実施例25〜28)、このうち特にマイティ21WHが最も優れた強度発現性が得られ(表6の実施例18)、一方ではナフタリン系高性能減水剤(マイティHS)を使用した場合(比較例10)の強度発現性は相対的にかなり低かった。
Figure 2007302548
半水石膏量及び二水石膏量の示差熱重量分析結果を示す図である。

Claims (7)

  1. 普通ポルトランドセメント、高強度混和材、分散剤、骨材及び水を含む高強度遠心力成形用コンクリート組成物であって、
    普通ポルトランドセメントの石膏中の半水石膏割合が25〜90質量%、間隙相含有率が17〜23質量%であり、
    高強度混和材は無水石膏と非晶質シリカとを含み、無水石膏/非晶質シリカの質量比が15/85〜85/15であり、
    水/(セメント+高強度混和材)質量比が16〜20%であり、
    分散剤がポリカルボン酸系分散剤であることを特徴とする高強度遠心力成形用コンクリート組成物。
  2. 高強度混和材中の非晶質シリカがシリカフュームである、請求項1記載の高強度遠心力成形用コンクリート組成物。
  3. 高強度混和材が、無水石膏とシリカフュームとを混合粉砕したものである、請求項1又は2記載の高強度遠心力成形用コンクリート組成物。
  4. 普通ポルトランドセメント中のCA含有率が8〜14質量%である、請求項1記載の高強度遠心力成形用コンクリート組成物。
  5. 普通ポルトランドセメント100質量部に対して、高強度混和材を8〜18質量部及び分散剤を水溶液基準で1.0〜2.0質量部含有し、普通ポルトランドセメントの単位セメント量が550〜650kg/mである、請求項1〜4のいずれか1項記載の高強度遠心力成形用コンクリート組成物。
  6. 普通ポルトランドセメント100質量部に対して、高強度混和材を12〜16質量部含有する、請求項5記載の高強度遠心力成形用コンクリート組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の高強度遠心力成形用コンクリート組成物を練混ぜ、鉄筋を配した円筒形型枠に充填したのち遠心力成形し、前養生、続いて蒸気養生したのち脱型し、その後気中で養生する、高強度遠心力成形用コンクリート組成物の製造方法。
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