JP2007301806A - 脆性基板の分断方法及び素子の製造方法 - Google Patents

脆性基板の分断方法及び素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】交差して延びる分断ラインを形成して脆性基板を分断する際、レーザ照射後に、脆性基板に機械的な外力を加えることなく分断する。
【解決手段】レーザ照射及び冷媒の吹き付けを行うことでクラックを成長させてガラス基板11を複数に分断する。ガラス基板11の第1の方向に延びる第1クラック16を形成する第1クラック形成工程と、第1クラック形成工程の後に行われて第1の方向と交差する第2の方向に延びる第2クラック17を形成する第2クラック形成工程とを備える。第1クラック16は第2クラック17と交差する部分をハーフカットになる状態で形成し、第2クラック17は全長にわたってフルカットに形成する。第1クラック16のハーフカット部16aは、第2クラック17を形成する際のブレイクレーザビーム14aの照射によりフルカットになる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス基板、半導体ウエハー等の脆性基板の分断方法及び脆性基板に構成要素が形成された素子の製造方法に関する。
ガラス板等の脆性基板を分断する方法として、スクライブ・アンド・ブレイク法がある。スクライブ・アンド・ブレイク法として、図6(a)に示すように、ガラス基板51の端部にイニシャルクラック52をメカ刃(カッタ)で形成した後、レーザビーム53をガラス基板51の表面に照射して加熱した箇所に冷却媒体54を吹き付ける方法がある。この方法では、レーザビーム53でガラス基板51を加熱した後、加熱された箇所を冷却媒体54で急冷することによってガラス基板51に引っ張り応力を生じさせ、イニシャルクラック52をレーザビーム53の移動方向に進行(成長)させ、かつ垂直方向にもクラックを成長させる。但し、垂直方向にクラックが形成されても、ガラス基板51を完全には分断できず、レーザ照射を利用してクラックを入れた後、メカ式ブレーカによってガラス基板51を叩いて垂直クラックを成長させて分断を行っている。
この方法では、メカ式ブレーカによってガラス基板51を分断する時にカレット(ガラス屑)が発生したり、断面にマイクロクラックが発生したりするという問題がある。また、メカ式ブレーカを使用すると、叩く位置をアライメントマークを基準にして決めても、ブレイクバーの先端をカメラで認識することができず、メカ精度分のずれを調整してブレイクバーの先端をスクライブラインの真上に合わせることはできない。また、ブレイクバーの先端をカメラで認識できたとしても、レーザでのスクライブラインは肉眼やカメラで認識できる太さではなく、やはり調整でブレイクバーの先端をスクライブラインの真上に合わせることは難しい。ブレイクバーの先端がスクライブラインからずれたところを叩くと、斜め割れをおこし、外形精度もそれほどの向上は見られない。
また、ガラスカッターホイールを用いた従来のスクライブ法に従ってレーザスクライブを行うと、スクライブラインの直交する箇所で大きなクラックが発生する。この不具合を抑制可能にする、レーザを用いたスクライブ法が提案されている(特許文献1参照)。この方法では、脆性基板にレーザを照射して熱歪により脆性基板に垂直クラックを形成するためのスクライブ法において、第1の方向に垂直クラックを形成するステップと、その後、第1の方向と直交する第2の方向に垂直クラックを形成するステップとからなる。そして、第2の方向に垂直クラックを形成するステップにおいて、第1の方向の垂直クラック深さよりも第2の方向に形成する垂直クラック深さを浅くする。
また、レーザ照射を利用してスクライブを行った後、機械的な外力を与えて行うブレイク工程でカレットが発生するのを防止する分断方法として、メカ式ブレーカを用いずに、レーザ照射で脆性基板を完全にブレイクさせる方法が提案されている(特許文献2参照)。この方法では、レーザ照射後に冷媒を吹き付けることにより、脆性基板の表面にブラインドクラック(垂直クラック)を形成した後に、更にレーザ照射を行うことでブラインドクラックの形成(成長)を促進させて、脆性基板を完全にブレイクさせる。
特開2001−58281号公報 特開2001−130921号公報
特許文献1の方法は、脆性基板に第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向にレーザ照射でスクライブを行う際に、スクライブラインの交差箇所での不具合を解消するためのものであり、スクライブ後のブレイクには機械的な外力を加えるため、メカ式ブレーカを使用するブレイク方法の問題は解消できない。
一方、特許文献2の方法では、メカ式ブレーカを用いずに、脆性基板を完全にブレイクさせることができる。そして、図6(b)に示すように、ガラス基板(脆性基板)51に対して、スクライブレーザビーム55の照射、冷媒56の吹き付け及びブレイクレーザビーム57の照射により、第1の方向に延びる分断ラインL1を特許文献2の方法で形成しようとすると、分断ラインL1は支障なく形成できる。しかし、第1の方向に延びる分断ラインL1と交差する第2の方向に延びる分断ラインL2を形成しようとすると、分断ラインL2は、分断ラインL1と交差する位置で、分断ラインL2を構成するためのクラックの進行が停止してしまう。そして、図6(b)に二点鎖線で示す部分の分断ラインL2は形成されない。
この理由は、レーザ照射及び冷媒吹き付けによるクラックの形成には、既にあるクラックが成長することが必要なため、分断ラインL1を構成するクラックがガラス基板51を完全に分断する位置まで厚さ方向に進行した状態において、分断ラインL2が延びても、分断ラインL1を超えてクラックが成長することはできないからである。イニシャルクラックの無い状態からレーザ照射のみあるいはレーザ照射と冷媒吹き付けでクラックを発生させてガラス基板51を分断させようとしても、目的とする方向へクラックを発生、成長させることは難しい。
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、交差して延びる分断ラインを形成して脆性基板を分断する際、レーザ照射後に、脆性基板に機械的な外力を加えることなく分断することができる脆性基板の分断方法及びその分断方法を使用する素子の製造方法を提供することにある。
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、レーザ照射及び冷媒の吹き付けを行うことでクラックを成長させて脆性基板を複数に分断する脆性基板の分断方法である。そして、前記脆性基板の第1の方向に延びる第1クラックを形成する第1クラック形成工程と、前記第1クラック形成工程の後に行われて前記第1の方向と交差する第2の方向に延びる第2クラックを形成する第2クラック形成工程とを備える。前記第1クラックは少なくとも前記第2クラックと交差する部分をハーフカットになる状態で形成し、前記第2クラックは全長にわたってフルカットに形成し、さらに前記第1クラックのハーフカット部にレーザを照射してフルカットにする工程を備えている。
ここで、「ハーフカット」とは、クラックが脆性基板の表面から厚さ方向(深さ方向)の途中まで達しているクラックを意味し、「フルカット(フルクラック)」とは、クラックが脆性基板の表面から裏面まで達しているクラックを意味する。以下、この明細書では同様の意味で使用する。
脆性基板は、第1の方向に延びる第1クラックと、第1の方向と交差する第2の方向に延びる第2クラックとを形成することで複数に分断される。第1クラックを全長にわたってフルカットで形成した後、第2クラックを第1クラックと交差するように形成しようとしても、第1クラックと交差する位置でクラックの伝播が途絶えてしまう。しかし、この発明では、第1クラックは全長にわたってフルカットで形成されるのではなく、少なくとも第2クラックとの交差部はハーフカットで形成される。そのため、第2クラックを形成する際、第2クラックは第1クラックとの交差部においても、クラックが第1クラックで分断されずに第1クラックのハーフカット部を横切って成長し、第2クラックを全長にわたってフルカットで形成することができる。第1クラックのハーフカット部が短い場合は、第2クラックをフルカットにするためのレーザビームが第1クラックのハーフカット部を横切る際に、ハーフカット部はフルカット(フルクラック)に成長する。第2クラック形成工程が終了した時点で、ハーフカット部が残っている場合は、ハーフカット部にレーザ照射を行い、ハーフカット部をフルカットに成長させる。その結果、脆性基板を、機械的な外力を加えることなく第1の方向及び第1の方向と交差する第2の方向へ延びる分断ラインを形成することができ、レーザ照射によりマイクロクラックやチッピングの発生が抑制された状態で分断することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記レーザ照射は、ハーフカットを行う場合よりフルカットを行う場合の方が強いエネルギーで行われる。従って、この発明では、フルカットを行う場合に、ハーフカットを行う場合より弱いエネルギーでレーザ照射を行う場合に比較してフルカットを形成し易い。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記第1クラック形成工程及び前記第2クラック形成工程において、スクライブレーザ照射部、冷媒吹き付け部及びブレイクレーザ照射部を対で前記脆性基板に対して相対移動させる。そして、ハーフカットを行う場合は前記スクライブレーザ照射部からのスクライブレーザ照射及び前記冷媒吹き付け部からの冷媒吹き付けを順次行い、フルカットを行う場合は前記スクライブレーザ照射部からのスクライブレーザ照射、前記冷媒吹き付け部からの冷媒吹き付け及び前記ブレイクレーザ照射部からのブレイクレーザ照射を順次行う。
この発明では、第1クラックを形成する際は、脆性基板の第1クラックを形成すべき位置に、スクライブレーザ照射、冷媒吹き付け及びブレイクレーザ照射を行いながら、スクライブレーザ照射部、冷媒吹き付け部及びブレイクレーザ照射部を対で前記脆性基板に対して相対移動させ、ハーフカット部を形成すべき位置のみブレイクレーザ照射を中止する。また、第2クラックを形成する際は、脆性基板の第2クラックを形成すべき位置に、スクライブレーザ照射、冷媒吹き付け及びブレイクレーザ照射を行いながら、スクライブレーザ照射部、冷媒吹き付け部及びブレイクレーザ照射部を対で前記脆性基板に対して相対移動させる。従って、ハーフカット及びフルカットを簡単に行うことができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記第1クラックのハーフカット部は、前記第2クラックを形成する際のブレイクレーザ照射でフルカットになる長さに形成されている。従って、この発明では、第2クラック形成工程を実施すると、第1クラックに存在していたハーフカット部がフルカットになるため、脆性基板の分断が完了する。そのため、第2クラック形成工程の後、第1クラックのハーフカット部をフルカットにするブレイクレーザ照射が不要になり、脆性基板の分断作業が簡単になる。
請求項5に記載の発明は、脆性基板上に構成要素が形成された多数個取りのマザー基板を個片に分断して素子を製造する素子の製造方法であって、前記マザー基板の分断工程において、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の脆性基板の分断方法を使用して前記マザー基板の分断を行う。従って、この発明では、脆性基板上に構成要素が形成された多数個取りのマザー基板を個片に分断する際、対応する前記請求項に記載の発明の作用、効果を奏する。
本発明によれば、交差して延びる分断ラインを形成して脆性基板を分断する際、レーザ照射後に、脆性基板に機械的な外力を加えることなく分断することができる。
以下、本発明を脆性基板としてのガラス基板の分断に具体化した一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
図1に示すように、ガラス基板11は、テーブルTに吸着された状態で保持されて、テーブルTと共に水平面内を移動する。テーブルTは図1における左右方向に往復動可能な台座に回転機構を介して装備されている。従って、テーブルTに吸着されたガラス基板11は、テーブルTの往復移動により、第1の方向及び第1の方向と交差する第2の方向へ往復移動可能になる。
テーブルTの上方、即ちテーブルTに吸着されたガラス基板11の上方には、スクライブレーザ照射部12、冷媒吹き付け部としてのノズル13及びブレイクレーザ照射部14が設けられている。スクライブレーザ照射部12は、一定のスポットにレーザビームを照射可能、かつガラス基板11にレーザビームを照射した後、ノズル13から冷媒が吹き付けられた際に、ガラス基板11に生じる引っ張り応力でイニシャルクラックが成長してハーフカット部が形成される強さのエネルギーでレーザビームを照射可能になっている。ノズル13は、水ジェット、ヘリウムガス、窒素ガス、炭酸ガスやエタノール等のアルコールを冷媒としてガラス基板11に吹き付け可能に構成されている。
ブレイクレーザ照射部14は、スクライブレーザ照射部12からのスクライブレーザ照射及びノズル13からの冷媒吹き付けによりハーフカットが行われた箇所にレーザビームを照射した際に、ハーフカットがフルカットになる強さのエネルギーでレーザビームを照射可能になっている。この実施形態では、ブレイクレーザ照射部14からのブレイクレーザビーム14aの照射は、スクライブレーザ照射部12からのスクライブレーザビーム12aの照射より強いエネルギーで行われる。即ち、ハーフカットを行う場合よりフルカットを行う場合の方が強いエネルギーでレーザ照射が行われる。
スクライブレーザ照射部12、ノズル13及びブレイクレーザ照射部14は、レーザビームの照射あるいは冷媒の吹き付けを同一直線上に順次行うことが可能に配置されている。また、スクライブレーザ照射部12、ノズル13及びブレイクレーザ照射部14は、一定の位置関係を保持した状態で、テーブルTの移動方向と直交する方向に平行移動可能になっている。
次にガラス基板11の分断方法を説明する。
先ず、図2に示すように、ガラス基板11の端部に所定間隔でイニシャルクラック15が形成される。イニシャルクラック15は、鎖線で示す第1の方向に延びるように形成される各分断ラインL1と、第1の方向と直交する第2の方向に延びるように形成される各分断ラインL2の一端と対応する位置に形成される。イニシャルクラック15は、ガラスカッタで長さが1mm以下に形成される。
次にガラス基板11の一辺に平行な第1の方向に延びる第1クラック16を形成する第1クラック形成工程が行われる。ガラス基板11は第1の方向がテーブルTの移動方向と平行になるように配置された状態で、即ち、図2の状態からテーブルTと共に時計方向に90°回転された状態から、スクライブレーザ照射部12、ノズル13及びブレイクレーザ照射部14の順にその下方を通過するように移動される。スクライブレーザ照射部12は、ガラス基板11の第1の方向におけるイニシャルクラック15が形成された側と反対側の端部がレーザビーム照射位置を通過するまで、設定された強さのエネルギーでレーザビームの照射を継続する。また、ノズル13は、ガラス基板11の第1の方向におけるイニシャルクラック15が形成された側と反対側の端部が冷媒吹き付け位置を通過するまで、冷媒13aの吹き付けを継続する。
一方、ブレイクレーザ照射部14は、第2の方向に延びる第2クラック17を形成すべき位置にはブレイクレーザビーム14aを照射しないように間欠的にブレイクレーザビーム14aを照射する。その結果、第1クラック16は第2クラック17を形成すべき箇所にハーフカット部16aが存在し、その他の部分はフルカットとなるように形成される。この実施形態ではハーフカット部16aの長さは、第2クラック17を形成する際のブレイクレーザビーム14aの照射でフルカットになる長さに形成されている。
詳述すると、イニシャルクラック15側の端部がブレイクレーザビーム14aの照射位置を通過した後、第2クラック17を形成すべき位置から所定の距離までガラス基板11が移動した時点でブレイクレーザ照射部14からのブレイクレーザビーム14aの照射が中断される。そして、第2クラック17を形成すべき位置から所定の距離離れた時点で、ブレイクレーザビーム14aの照射が再開される。以下、同様に、第2クラックを形成すべき位置の近くでブレイクレーザビーム14aの照射が中断された後、再開することが繰り返される。そして、ガラス基板11の第1の方向におけるイニシャルクラック15が形成された側と反対側の端部がレーザビーム照射位置を通過するまで、ブレイクレーザビーム14aの照射を継続する。前記所定の距離は、予め試験を行って決めておく。
1本の第1クラック16が形成された後、テーブルTが元の位置まで移動される。また、スクライブレーザ照射部12、ノズル13及びブレイクレーザ照射部14は、次の第1クラック16を形成すべき位置と対応する位置に平行移動される。その後、前記と同様にして2本目の16が形成される。以下、同様にして、全ての第1クラック16が順次形成される。
全ての第1クラック16が形成された後、ガラス基板11の第2の方向がテーブルTの移動方向と平行になる状態にするため、テーブルTが90°回転されてセットされる。そして、図3に示すように、その状態から第2クラック17を形成する第2クラック形成工程が行われる。第2クラック17の形成では、スクライブレーザ照射部12及びブレイクレーザ照射部14は、ガラス基板11の第2の方向におけるイニシャルクラック15が形成された側と反対側の端部がレーザビーム照射位置を通過するまで、設定された強さのエネルギーでレーザビームの照射を継続する。ノズル13は、ガラス基板11の第2の方向におけるイニシャルクラック15が形成された側と反対側の端部が冷媒吹き付け位置を通過するまで、冷媒13aの吹き付けを継続する。
第2クラック17は、第1クラック16と交差(直交)するように形成されるが、第1クラック16の第2クラック17と交差する部分は、第2クラック17が形成されるまではフルカットではなく、ハーフカット部16aで構成されている。そして、第2クラック17を形成する際、スクライブレーザ照射及び冷媒吹き付けにより第2クラック17を形成するハーフカットのクラックが成長する際、クラックが第1クラック16と交差して支障なく成長する。そして、ブレイクレーザ照射部14からブレイクレーザビーム14aが照射されると、ハーフカットの状態のクラックがフルカットに成長する。
図4に示すように、第1クラック形成工程で形成された第1クラック16には、第2クラック17との交差部にハーフカット部16aが存在する。即ち、ガラス基板11のうち、実線で示す部分と二点鎖線で示す部分は、ハーフカット部16aにおいて連続している。そして、ハーフカット部16aは、その長さが、第2クラック17を形成するためのブレイクレーザビーム14aの照射によりフルカットになる長さに形成されている。その結果、第2クラック17が形成されると、第1クラック形成工程で形成された段階ではハーフカット部16aが残っていた第1クラック16は、ハーフカット部16aが無くなって全てフルカットで構成された第1クラック16になる。なお、図4では、分かり易くするため、第1クラック16及び第2クラック17の幅を広く表しているが、実際は第1クラック16及び第2クラック17とも、その幅は非常に狭い。
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)ガラス基板11の第1の方向に延びる第1クラック16を形成する第1クラック形成工程と、第1クラック形成工程の後に行われて第1の方向と交差する第2の方向に延びる第2クラック17を形成する第2クラック形成工程とを備える。第1クラック16は第2クラックと交差する部分をハーフカットになる状態で形成し、第2クラック17は全長にわたってフルカットに形成し、さらに第1クラック16のハーフカット部16aにレーザを照射してフルカットにする工程を備えている。従って、ガラス基板11(脆性基板)を、機械的な外力を加えることなく、第1の方向及び第1の方向と交差する第2の方向へ延びる分断ラインL1,L2を形成するためのレーザ照射により、マイクロクラックやチッピングの発生が抑制された状態で分断することができる。
(2)レーザ照射は、ハーフカットを行う場合よりフルカットを行う場合の方が強いエネルギーで行われる。従って、フルカットを行う場合に、ハーフカットを行う場合より弱いエネルギーでレーザ照射を行う場合に比較してフルカットを形成し易い。
(3)第1クラック形成工程及び前記第2クラック形成工程において、スクライブレーザ照射部12、ノズル13及びブレイクレーザ照射部14を対でガラス基板11に対して相対移動させる。そして、フルカットを行う場合はスクライブレーザ照射部12からのスクライブレーザ照射、ノズル13からの冷媒吹き付け及びブレイクレーザ照射部14からのブレイクレーザ照射を順次行う。また、ハーフカットを行う場合はスクライブレーザ照射部12からのスクライブレーザ照射及びノズル13からの冷媒吹き付けを行った後、ブレイクレーザ照射を中断する。従って、ハーフカット及びフルカットの形成を簡単に行うことができる。
(4)第1クラック16のハーフカット部16aは、第2クラック17を形成する際のブレイクレーザ照射でフルカットになる長さに形成されている。従って、第2クラック形成工程を実施すると、第1クラック16に存在していたハーフカット部16aがフルカットになるため、ガラス基板11の分断が完了する。そのため、第2クラック形成工程の後、第1クラック16のハーフカット部16aをフルカットにするブレイクレーザ照射が不要になり、ガラス基板11の分断作業が簡単になる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 第1クラック形成工程で形成される第1クラック16は少なくとも第2クラック17と交差する部分がハーフカットになる状態で形成すればよく、ハーフカット部16aの長さは、第2クラック形成工程で第2クラック17を形成する際のブレイクレーザビーム14aの照射でフルカットになる長さに限らない。図5に示すように、第1クラック16のハーフカット部16aの長さを、第2クラック17を形成する際におけるブレイクレーザビーム14aの照射領域より長く形成してもよい。この場合、第2クラック17を形成した後、ハーフカット部16aにブレイクレーザビーム14aを照射する工程を設けて、ハーフカット部16aをフルカットにする。
○ 第1クラック16を形成する場合において、部分的にハーフカット部16aを形成する方法として、ハーフカット部16aを形成すべき箇所にはブレイクレーザ照射部14からのブレイクレーザビーム14aの照射を行わないようにする代わりに、照射エネルギーを弱めて照射してもよい。
○ レーザ照射は、ハーフカットを行う場合よりフルカットを行う場合の方が強いエネルギーで行われる構成に限らない。ガラス基板11の種類、厚さ、スクライブレーザビーム12aのエネルギー量、ノズル13から吹き付けられる冷媒13aの温度、ブレイクレーザビーム14aのエネルギー量によっては、ハーフカットを行う場合よりフルカットを行う場合の方を弱いエネルギーで行ったり、ハーフカットを行う場合と同じエネルギーで行ったりしてもよい。
○ 脆性基板としてガラス基板11を例にして説明したが、ガラス基板11に限らず、半導体ウエハー、あるいは素子の構成要素が形成されたガラス基板等の脆性基板の分断に適用してもよい。
○ スクライブレーザ照射部12、ノズル13及びブレイクレーザ照射部14を対で所定位置に保持した状態で脆性基板(ガラス基板11)をクラックの延びる方向に移動させて第1クラック16及び第2クラック17を形成したが、脆性基板を固定して、スクライブレーザ照射部12等をクラックの延びる方向に移動させてもよい。
○ テーブルTは一方向のみ往復移動可能な台座に装備して、スクライブレーザ照射部12、ノズル13及びブレイクレーザ照射部14をテーブルTの移動に対して直交する方向に平行移動可能に構成したが、テーブルTをX,Y方向に移動可能な台座上に装備して、スクライブレーザ照射部12等を所定位置に固定してもよい。
○ スクライブレーザ照射部12、ノズル13及びブレイクレーザ照射部14を対で設ける代わりに、レーザ照射エネルギーを少なくともスクライブ用とブレイク用とに変更可能なレーザ照射部及びノズル13を設ける。そして、レーザ照射エネルギーをスクライブ用にして、スクライブレーザビーム12aの照射及び冷媒13aの吹き付けを行った後、レーザ照射エネルギーをブレイク用にして、ブレイクレーザビーム14aの照射を行うようにしてもよい。
○ 予め全てのイニシャルクラック15をガラス基板11の所定位置に形成した後、レーザ照射や冷媒吹き付けを行う方法に限らず、イニシャルクラック15の形成は第1クラック16あるいは第2クラック17を形成する際、形成すべき第1クラック16あるいは第2クラック17の端部と対応する位置にその都度形成してもよい。
○ 脆性基板上に構成要素が形成された多数個取りのマザー基板を個片に分断して素子を製造する素子の製造方法に前記各実施形態の分断方法を使用してもよい。例えば、液晶素子や、有機EL素子や無機EL素子を多数個取り(多面取り)で形成するため、ガラス基板上に所定間隔で素子の構成要素を形成した後、そのマザー基板の分断工程において、前記各実施形態の分断方法を使用してもよい。例えば、1インチクラスの素子を数百mm×数百mmのマザー基板から形成する場合、マイクロクラックやチッピングの発生が抑制されることにより、品質低下の抑制や歩留まり向上に寄与する。
一実施形態の概略斜視図。 イニシャルクラックが形成された状態の概略斜視図。 第2クラック17の形成状態を示す概略斜視図。 ハーフカット部を示す概略斜視図。 別の実施形態の概略斜視図。 (a)は従来技術の概略斜視図、(b)は別の従来技術の概略斜視図。
符号の説明
11…脆性基板としてのガラス基板、12…スクライブレーザ照射部、13…冷媒吹き付け部としてのノズル、13a…冷媒、14…ブレイクレーザ照射部、16…第1クラック、16a…ハーフカット部、17…第2クラック。

Claims (5)

  1. レーザ照射及び冷媒の吹き付けを行うことでクラックを成長させて脆性基板を複数に分断する脆性基板の分断方法であって、
    前記脆性基板の第1の方向に延びる第1クラックを形成する第1クラック形成工程と、前記第1クラック形成工程の後に行われて前記第1の方向と交差する第2の方向に延びる第2クラックを形成する第2クラック形成工程とを備え、前記第1クラックは少なくとも前記第2クラックと交差する部分をハーフカットになる状態で形成し、前記第2クラックは全長にわたってフルカットに形成し、さらに前記第1クラックのハーフカット部にレーザを照射してフルカットにする工程を備えている脆性基板の分断方法。
  2. 前記レーザ照射は、ハーフカットを行う場合よりフルカットを行う場合の方が強いエネルギーで行われる請求項1に記載の脆性基板の分断方法。
  3. 前記第1クラック形成工程及び前記第2クラック形成工程において、スクライブレーザ照射部、冷媒吹き付け部及びブレイクレーザ照射部を対で前記脆性基板に対して相対移動させ、ハーフカットを行う場合は前記スクライブレーザ照射部からのスクライブレーザ照射及び前記冷媒吹き付け部からの冷媒吹き付けを順次行い、フルカットを行う場合は前記スクライブレーザ照射部からのスクライブレーザ照射、前記冷媒吹き付け部からの冷媒吹き付け及び前記ブレイクレーザ照射部からのブレイクレーザ照射を順次行う請求項1又は請求項2に記載の脆性基板の分断方法。
  4. 前記第1クラックのハーフカット部は、前記第2クラックを形成する際のブレイクレーザ照射でフルカットになる長さに形成されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の脆性基板の分断方法。
  5. 脆性基板上に構成要素が形成された多数個取りのマザー基板を個片に分断して素子を製造する素子の製造方法であって、前記マザー基板の分断工程において、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の脆性基板の分断方法を使用して前記マザー基板の分断を行う素子の製造方法。
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