JP2007301649A - 工作機械の工具測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザ光線式測定手段により切刃部を検出して工具を測定する場合に、検出ミスをなくし、測定精度の低下を防止する。
【解決手段】工作機械の主軸に装着された工具Tの切刃部Taを、投光器Eから受光器Fに照射されるレーザ光に接近させ、切刃部がレーザ光を遮る際に受光器により検出されるレーザ光の受光量が所定のしきい値以下となった時点における工作機械の座標の原点に対する主軸の座標値を検出して工具長または工具径を測定する工作機械の工具測定装置において、レーザ光の径を可変とする。投光器のケーシング31に設けたシャッタピストン43に移動方向に沿って異なる径の複数の貫通孔44a,44bを形成し、各貫通孔がレーザ光と整列される各位置でシャッタピストンを停止してレーザ光の径を切り換えるようにしてもよい。あるいは、可変絞り機構によりレーザ光の径を連続的に変化させてもよい。
【選択図】図3
【解決手段】工作機械の主軸に装着された工具Tの切刃部Taを、投光器Eから受光器Fに照射されるレーザ光に接近させ、切刃部がレーザ光を遮る際に受光器により検出されるレーザ光の受光量が所定のしきい値以下となった時点における工作機械の座標の原点に対する主軸の座標値を検出して工具長または工具径を測定する工作機械の工具測定装置において、レーザ光の径を可変とする。投光器のケーシング31に設けたシャッタピストン43に移動方向に沿って異なる径の複数の貫通孔44a,44bを形成し、各貫通孔がレーザ光と整列される各位置でシャッタピストンを停止してレーザ光の径を切り換えるようにしてもよい。あるいは、可変絞り機構によりレーザ光の径を連続的に変化させてもよい。
【選択図】図3
Description
本発明は、工作機械の主軸に装着される工具の工具長または工具径を測定する工作機械の工具測定装置に関する。
このような工具長または工具径を測定する工具測定装置としては例えば特許文献1に記載された技術があり、これを図9〜図12により説明する。主として図9に示すように、工作機械のベッドAに対し水平で互いに直交するX方向及びY方向並びに垂直なZ方向に移動可能に設けられた主軸頭Bには、主軸Cが垂直な軸線回りに回転可能に支持されて回転駆動され、主軸Cの先端には工具Tが同軸的に装着されている。主軸Cに装着された工具Tの工具長または工具径を測定するレーザ光線式測定手段は、ベッドA上にY方向に沿って設けられた細長い基台Dと、その両端部上面に互いに向かい合って取り付けられた投光器Eと受光器Fよりなる全体としてU字形で、投光器Eから受光器Fに向けてレーザ光Lが照射され、レーザ光Lが遮断されれば受光器Fがスキップ信号を発生するようになっている。
投光器Eは、図10に示すように、基台D上に固定される支持部10とこれに固定されたシャッタ部20により構成され、それぞれケーシング11,21を有している。支持部10のケーシング11は四角いブロック状で、その上部にはY方向と直交する一方の側面に開口される収納空間12が形成されて、この開口は支持ケーシング11の側面に取り付けた仕切板13により気密に覆われ、仕切板13の開口の中央となる位置に形成された光窓13aは透明板18により気密にふさがれている。この収納空間12内にはY方向に整列してレーザ光源14とレンズ15が設けられ、これにより発生されたレーザ光Lは光窓13aを通ってY方向に照射される。
シャッタ部20のケーシング21もブロック状で仕切板13の外面に気密に取り付けられ、仕切板13と接する面にはバリアエア室25を形成する大きな凹部が設けられ、この凹部を挟んで支持部10と反対側となる位置には、レーザ光Lと直交する有底円筒状のシリンダ孔22が形成されている。シャッタケーシング21には、シリンダ孔22をバリアエア室25と外部にそれぞれ連通するレーザ光Lの導出孔21a,21bが、Y方向において光窓13aと同軸的に形成され、この導出孔21a,21bの径は光窓13aの径と同一である。シリンダ孔22内には回動が拘束されたシャッタピストン23が軸線方向摺動自在に嵌合され、下側の開口はねじプラグ21cにより気密に閉じられて、シャッタピストン23の下面とねじプラグ21cの間には圧力室26が形成されている。シャッタピストン23は、シリンダ孔22の上底面との間に介装したスプリング27により圧力室26側に付勢され、通常はシャッタピストン23の下面の突起部23aがねじプラグ21cに当接されて停止されている。シャッタピストン23には、貫通孔24と下面の間にピストンシール23cが設けられている。
支持ケーシング11には、一端にジョイント16aが設けられ他端は仕切板13の小穴16bを介してバリアエア室25内に連通されるバリアエア通路16と、一端にジョイント17aが設けられ他端は仕切板13の小穴17b及びシャッタケーシング21の延長路17cを介して圧力室26内に連通されるシャッタエア通路17が設けられている。各ジョイント16a,17aには、制御弁(図示省略)を介して圧縮空気源からの圧縮空気が導入される。シャッタエア通路17を介して圧力室26内に圧縮空気を導入すればシャッタピストン23はスプリング27の付勢力に抗して移動し、上面の突起部23bがシリンダ孔22の上底面に当接して停止される。シャッタピストン23には、この状態において両導出孔21a,21bと同軸的に整列されるように貫通孔24が形成され、この貫通孔24の径は導出孔21a,21bよりも多少小径である。
受光器Fは、レーザ光源14の代わりにレーザ光Lの受光量を検出する受光素子を使用し、シャッタピストンに設ける貫通孔はシャッタケーシング21に設けられるレーザ光Lの導入孔と同じ径とした点を除き、上述した投光器Eと実質的に同一構造である。上述したような基台D、投光器E及び受光器Fよりなる従来のレーザ光線式測定手段では、工作機械の作動中はバリアエア通路16を介して常にバリアエア室25に圧縮空気が導入されている。
工具Tの測定時には、投光器Eの圧力室26にはシャッタエア通路17を介して圧縮空気を導入し、シャッタピストン23をスプリング27の付勢力に抗して移動させて貫通孔24を両導出孔21a,21bの間にこれらと同軸的に整列させるとともにレーザ光源14を作動させて、投光器Eから受光器Fに向けて照射されるレーザ光Lを発生させる。また受光器Fのシャッタエア通路には圧縮空気を導入しシャッタピストンを移動させてその貫通孔を導入孔と整列させ、受光素子を作動させて、投光器Eからのレーザ光Lを受光する。
工作機械の作動中は、加工に伴う粉塵、ミスト、クーラントなどにより、レーザ光線式測定手段の周囲の外部雰囲気はレーザ光Lの発生部及び受光部に好ましくないものとなるが、工具Tの測定時以外には投光器E及び受光器Fの各バリアエア室はシャッタピストンにより外部から遮断され、また測定時には各バリアエア室内の圧縮空気が導出孔、導出孔及び各貫通孔を通して噴出されるので、外部の好ましくない雰囲気が投光器E及び受光器Fの各バリアエア室からレーザ光の発生部及び受光部内に侵入するおそれはない。
次に上述したような従来のレーザ光線式測定手段により、工作機械の主軸Cに装着されたエンドミルなどの工具Tの工具長を測定する方法につき説明する。先ず図9に示すように、工具長が既知のマスタ工具Tmを主軸Cに装着し、前述のようにして投光器Eから照射されるレーザ光Lを受光器Fの受光素子による検出している状態において、図11(a) に示すように、ベッドAに対し主軸Cとマスタ工具TmをX方向に移動させ、マスタ工具Tmの中心軸線を、断面形状が円形のレーザ光Lの中心とほゞ一致させた状態として、主軸Cとマスタ工具Tmを下降させる。これによりレーザ光Lは、マスタ工具Tmの先端の切刃部Tamにより遮られ、その遮光面積Lsは次第に増大し、通過光面積Lpは次第に減少して受光素子の受光量も減少する。そしてこの例では、図12に示すように、この遮光面積Lsがレーザ光Lの断面積の85%に達したとき(受光素子の受光量が減少して所定のしきい値に達したとき)に受光器Fはスキップ信号を発生する。そしてこのスキップ信号が発生した時点における工作機械の座標の原点に対する主軸CのZ方向の座標値を検出して、これを記憶する。次に主軸Cに装着したマスタ工具Tmを工具長を測定すべき工具Tとな交換して、前述と同様にして、工具Tの中心軸線をレーザ光Lの中心とほゞ一致させて、主軸Cと工具Tを下降させ、受光器Fがスキップ信号を発生した時点における工作機械の座標の原点に対する主軸CのZ方向の座標値を検出して、これを記憶する。そして検出されたマスタ工具Tmの切刃部Tamと工具Tの切刃部TaのZ方向の各座標値の差及びマスタ工具Tmの工具長に基づいて工具Tの工具長の測定値を算出する。
以上は工具Tの工具長を測定する場合であるが、工具径を測定する場合は工具径が既知のマスタ工具Tmを使用し、マスタ工具Tm及び工具Tをそれぞれ主軸Cに装着してともに下降させてからX方向に移動させ、それぞれ互いに反対側となる両側からレーザ光Lに接近させて、マスタ工具Tm及び工具Tの外周の切刃部によりレーザ光Lを遮るようにした点を除き、前述と同様にして工具径の測定値を算出すればよい。何れの場合にも、工具Tとマスタ工具Tmを同一寸法とする必要はない。
特許第3305216号明細書(段落〔0013〕、図3)。
上述した測定方法は、図11(a) 及び図11(b) に示すように、工具T及びマスタ工具Tmの径がレーザ光Lの径よりも大きい場合は問題ないが、図11(c) に示すように、工具Tまたはマスタ工具Tmの径がレーザ光Lの径よりもある程度以上小さくなると、工具Tまたはマスタ工具Tmの先端または外周の切刃部Taをレーザ光Lの断面内に最後まで進入させても、遮光面積Lsがレーザ光Lの断面積の85%を越えないことがあり、その場合は受光器Fはスキップ信号を発生しないので、工具Tの工具長及び工具径を測定することができないという問題が生じる。これを解決する手段としてはレーザ光Lの径を小さくすることが考えられるが、工具Tの工具長及び工具径の測定は工具Tによる加工直前または直後で、クーラントなどが付着した状態で行われることが多く、レーザ光Lの径を小さくすると付着したクーラントなどのため工具Tの測定精度が低下するという別の問題が生じる。
本発明は、測定に使用するレーザ光Lの径を可変とすることにより、このような各問題を解決することを目的とする。
このために、請求項1の発明による工作機械の工具測定装置は、工作機械のベッド上にそれぞれ設けられる投光器とそれから照射されるレーザ光を受光する受光器よりなり、工作機械の主軸に装着された工具の切刃部をレーザ光に接近させ、切刃部がレーザ光を遮る際に受光器により検出されるレーザ光の受光量が所定のしきい値以下となった時点における工作機械の座標の原点に対する主軸の座標値を検出して工具の工具長または工具径を測定する工作機械の工具測定装置において、レーザ光の径を可変としたことを特徴とするものである。
前項に記載の工作機械の工具測定装置は、投光器のケーシングにレーザ光を横切る方向に移動される遮断部材を設け、遮断部材にはその移動方向に沿って互いに異なる径の複数の貫通孔を形成し、遮断部材は各貫通孔がレーザ光と整列される複数の位置で停止して同レーザ光の外周部を遮断部材により遮ることにより、投光器から照射されるレーザ光の径を可変とすることが好ましい。
前項に記載の工作機械の工具測定装置の遮断部材は、ケーシングに設けたレーザ光の導出孔を横切るように形成した円形のシリンダ孔に軸線方向摺動自在に嵌合されたシャッタピストンとすることが好ましい。
前項に記載の工作機械の工具測定装置のシャッタピストンは軸線方向の3箇所以上の位置で停止可能とし、その1つの停止位置においてはシャッタピストンにより導出孔を閉じるようにすることが好ましい。
前2項に記載の工作機械の工具測定装置において、シャッタピストンの少なくとも一方の端部には圧力室を形成し、シャッタピストンの少なくとも一方の端部と反対側となる端部には同シャッタピストンを圧力室側に向けて付勢するスプリングを設け、圧力室内に加圧作動流体を導入することによりシャッタピストンをスプリングの付勢力に抗して移動させて同シャッタピストンを各貫通孔がレーザ光と整列される位置で停止させることが好ましい。
請求項3または請求項4に記載の工作機械の工具測定装置の遮断部材は、ケーシングと遮断部材の何れか一方に設けた一次側部材と他方に設けた二次側部材よりなるリニアモータによりレーザ光を横切る方向に移動され、各貫通孔がレーザ光と整列される位置で停止されるようにすることが好ましい。
請求項1に記載の工作機械の工具測定装置は、レーザ光の径を絞る可変絞り機構を備えたものとし、この可変絞り機構は、投光器のケーシングに取り付けられてレーザ光と同軸的に配置された中心穴を有するケースと、中心穴を中心とする円に沿ってケースに等角度間隔でレーザ光と平行に配置された多数の枢支ピンにより一端部が揺動自在に支持された多数の同一形状の遮光板と、この遮光板と重ねてケースの中心穴と同軸的に回動自在に設けられたカム板を有し、このカム板を回動することにより各遮光板を互いに連動して各枢支ピンの回りに揺動させ、投光器から照射されるレーザ光の外周部を遮ることによりその径を可変とすることが好ましい。
前項に記載の工作機械の工具測定装置は、投光器のケーシングに設けたレーザ光の導出孔を横切る円形のシリンダ孔を形成し、このシリンダ孔に嵌合されたシャッタピストンの軸線方向摺動により導出孔の開閉を行うようにすることが好ましい。
請求項1の発明によれば、投光器から照射されるレーザ光の径を可変としたので、工具またはマスタ工具の径がレーザ光の径よりも小さい場合には、投光器から照射されるレーザ光の径を小さくして工具またはマスタ工具の径より小さくすることができる。そのようにすれば、工具またはマスタ工具の先端または外周の切刃部をレーザ光の断面内に最後まで進入させれば遮光面積は100%になるので、その途中で受光器により検出されるレーザ光の受光量が必ず所定のしきい値を越えてスキップ信号が発生される。従って工具の工具長及び工具径を確実に測定することができる。またレーザ光の径は、工具またはマスタ工具の径よりも小さい範囲において可能な限り最も大きい径を選択することができるので、クーラント付着などによる工具Tの測定精度の低下を最小限にすることができる。
請求項2の発明によれば、投光器から照射されるレーザ光の径は導出孔または各貫通孔により定められ、各切換段階におけるレーザ光の径の精度を高めることができるので、工具の測定精度を向上させることができる。また遮断部材は単純な1部材とすることができるので、構造を簡略化することができる。
請求項3の発明によれば、円形のシリンダ孔に嵌合されたシャッタピストンはガタを生じることなく滑らかに移動し、レーザ光の径及び位置は安定したものとなるので、工具の測定精度を一層向上させることができる。
請求項4の発明によれば、レーザ光の導出孔がシャッタピストンにより閉じられて工具の測定がなされない位置では、レーザ光の発生部はシャッタピストンにより外部から遮断されるので、外部の雰囲気による悪影響を避けることができる。
請求項5の発明によれば、遮断部材を構成するシャッタピストンは、圧力室に導入される加圧作動流体により作動されるので、シャッタピストンの作動機構を簡略化することができる。
請求項5の発明では、遮断部材を構成するシャッタピストンは、圧力室に導入される加圧作動流体により作動されるので、遮断部材を構成するシャッタピストンの停止箇所は3カ所以下に限られる。しかしながら請求項6の発明によれば、遮断部材を構成するシャッタピストンは、シャッタケーシングとシャッタピストンに設けたリニアモータにより移動されるので、停止箇所を4カ所以上にすることができ、従ってレーザ光の径の切換段階を増大させて、工具の径にかかわらず工具長及び工具径を確実に測定できるとともにクーラントの付着などによる工具の測定精度の低下を減少させることができる。
請求項7の発明によれば、レーザ光の径を連続的に変化できるので、工具の径にかかわらず工具長及び工具径を確実に測定できるとともにクーラントの付着などによる工具の測定精度の低下を一層減少させることができる。
請求項8の発明によれば、レーザ光の導出孔がシャッタピストンにより閉じられて工具の測定がなされない状態では、レーザ光の発生部はシャッタピストンにより外部から遮断されるので、外部の雰囲気による悪影響を避けることができる。
先ず図1〜図4により本発明による工作機械の工具測定装置の第1の実施形態の説明をする。この第1実施形態による工具測定装置は、図9〜図12で説明した従来技術と同様、工作機械のベッドA上にY方向に沿って設置される細長い基台Dの両側部上面には、図1及び図2に示すように、投光器Eと受光器Fが互いに向かい合って取り付けられ、投光器Eから受光器Fに向けてレーザ光Lが照射され、レーザ光Lが遮断されれば受光器Fがスキップ信号を発生するようになっている。
投光器Eは、図1〜図3に示すように、支持部30とシャッタ部40により構成されている。支持部30は、支持ケーシング31に設けられるシャッタエア通路が第1及び第2シャッタエア通路37,38の2本で、合計3本のエア通路36,37,38が設けられている点を除き、図10で述べた従来技術の投光器Eの支持部10と同じである。収納空間32内のレーザ光源34で発生されてレンズ35により平行ビームとなったレーザ光Lは、収納空間32を気密に覆う仕切板33に形成されて透明板39により気密にふさがれた光窓33aからY方向に照射される。
シャッタ部40は、ケーシング41に設けられるシャッタピストン(遮断部材)43がその軸線方向両側に設けられた圧力室46a,46bにより作動される複動形であり、シャッタピストン43には大径及び小径の2つの貫通孔44a,44bが設けられている点を除き、図10で述べた従来技術の投光器Eのシャッタ部20と同じである。シャッタケーシング41には、支持部30の光窓33aから照射されるレーザ光Lを外部に導く導出孔41a,41bが形成され、また有底円筒状のシリンダ孔42が導出孔41a,41bと直交するように形成されている。仕切板33と接する面に設けられてバリアエア室45を形成する凹部の底部中央に一端が開口された導出孔41a,41bは仕切板33の光窓33aと同径であり、シリンダ孔42を横切って光窓33aと同軸的にY方向に延びて、他端は外部に開口されている。シリンダ孔22内にはシャッタピストン43が軸線方向摺動自在で回動が拘束されるように嵌合され、下側となる開口はねじプラグ41cにより気密に閉じられている。シャッタピストン43の下端及び上端とシャッタケーシング41のねじプラグ41c及び上底面との間には、第1及び第2圧力室46a,46bが形成され、またこの両圧力室46a,46bに作用する圧力が0の場合にシャッタピストン43を中立位置に保持する第1及び第2スプリング47a,47bが介装されている。
シャッタピストン43には、大径の第1貫通孔44aと小径の第2貫通孔44bが直交方向に形成されている。導出孔41a,41bよりやや小径の第1貫通孔44aはシャッタピストン43の軸線方向中央部より第1圧力室46a側に形成され、それより小径の第2貫通孔44bはシャッタピストン43の軸線方向中央部より第2圧力室46b側に形成されている。各貫通孔44a,44bとシャッタピストン43の各端部との間には、ピストンシール43cが設けられている。
支持ケーシング31に形成された各エア通路36,37,38の一端は、仕切板33と反対側となる支持ケーシング31の側面に開口されて、それぞれジョイント36a,77a,38aが設けられ、それぞれの連結管36a1,37a1,38a1に連結されたホースにより制御弁(何れも図示省略)を介して圧縮空気(加圧作動流体)が導入排出されるようになっている。バリアエア通路36の他端は仕切板33に形成した小穴36bを介してバリアエア室45内に連通され、第1及び第2シャッタエア通路37,38の他端は仕切板33及びシャッタケーシング41にそれぞれ形成した小穴37b,38b及びシャッタケーシング41に形成した延長路37c,38cを介して、それぞれ第1及び第2圧力室46a,46bに連通されている。
両圧力室46a,46bの何れにも圧縮空気を導入しない状態では、シャッタピストン43は各スプリング47a,47bにより図3に示す中立位置に保持されて、導出孔41a,41bはシャッタピストン43により閉じられている。第1シャッタエア通路37を介して第1圧力室46a内に圧縮空気を導入すれば、シャッタピストン43は第2スプリング47bの付勢力に抗して上向きに移動し、第1貫通孔44aが導出孔41a,41bと同軸的に整列されたときにそちら側の突起部43bがシリンダ孔42の上底面に当接して停止され、また第2シャッタエア通路38を介して第2圧力室46b内に圧縮空気を導入すれば、シャッタピストン43は第1スプリング47aの付勢力に抗して下向きに移動し、第2貫通孔44bが導出孔41a,41bと同軸的に整列されたときにそちら側の突起部43aがねじプラグ41cに当接して停止される。
受光器Fは、前述した従来技術の受光器Fと実質的に同じであり、支持部50とシャッタ部59により構成され、投光器Eから照射されるレーザ光Lを支持部50内に設けた受光素子による検出するものであり、レーザ光Lが工具Tなどにより遮られて遮光面積Ls(図11及び図12参照)がレーザ光Lの断面積の85%に達したとき(受光素子の受光量が減少して所定のしきい値に達したとき)にスキップ信号を発生するものである。
上述した第1実施形態では、工作機械の不作動状態では、投光器E及び受光器Fに電源は供給されず、投光器Eの各エア通路36,37,38及び受光器Fの各エア通路には圧縮空気は導入されない。従って投光器Eの導出孔41a,41bは開かれず、レーザ光Lも発生されず、また受光器Fのレーザ光Lの導入孔は開かれず、受光素子も作動されない。工作機械が作動されれば投光器Eのバリアエア通路36を介してバリアエア室45に圧縮空気が導入され、受光器Fのバリアエア室にも圧縮空気が導入されるが、投光器Eの各圧力室46a,46b及び受光器Fの圧力室には圧縮空気が導入されず、従って各シャッタピストンは移動されない。この状態では投光器E及び受光器Fの導出孔及び導入孔は閉じられており、これに加え各バリアエア室内の圧縮空気は各シリンダ孔と各シャッタピストンの間の隙間及び導出孔または導入口から外部に流出するので、外部の雰囲気が投光器E及び受光器F内に侵入することは積極的に防止される。
主軸Cに装着された大径の第1貫通孔44aよりも大径の通常の工具Tの長さまたは径を測定する場合には、投光器Eにはバリアエア室45に加えて第1シャッタエア通路37から第1圧力室46aに圧縮空気を導入するとともに電源を供給してレーザ光源34を作動させ、また受光器Fにはバリアエア室に加えてシャッタエア通路から圧力室に圧縮空気を導入するとともに電源を供給して受光素子を作動させる。これにより投光器Eのシャッタピストン43が上向きに移動して大径の第1貫通孔44aが導出孔41a,41bと同軸的に整列され、レーザ光源34で発生されてレンズ35により平行ビームとなったレーザ光Lは、仕切板33に形成された光窓33a及び導出孔41aを通り、大径の第1貫通孔44aにより外周の一部が多少遮られて直径が絞られ、第1貫通孔44aと同じ径d1の太いレーザ光Laとなって導出孔41bからY方向に照射される。一方、受光器Fはシャッタピストンが移動して導入孔が開かれ、投光器Eから照射された太いレーザ光Laは開かれた導入孔から導入されて受光素子により検出される。
この状態において、前述した従来技術で説明したのと同様にして、第1貫通孔44aよりも太い通常の工具Tの長さまたは径を測定する。この場合は図4(a) に示すように、工具T及びマスタ工具Tmがレーザ光Laの径よりも大きいので、工具T及びマスタ工具Tmを下降させまたは水平に移動してその先端または外周の切刃部Taをレーザ光Lに接近させてその断面内に最後まで進入させればレーザ光Laの断面積を基準とする遮光面積Lsは100%になるので、その途中で受光器Fにより検出されるレーザ光Lの受光量が必ず所定のしきい値を越えてスキップ信号が発生される。従って工具Tの工具長及び工具径を確実に測定することができる。またこの場合は大径のレーザ光Laが選択されるので、クーラントの付着などによる工具Tの測定精度の低下を最小限にすることができる。
また大径の第1貫通孔44aより小径ではあるが第2貫通孔44bよりは大径の工具Tの長さまたは径を測定する場合には、第1シャッタエア通路37から第1圧力室46aに圧縮空気を導入するする代わりに、第2シャッタエア通路38から第2圧力室46bに圧縮空気を導入するとともにレーザ光源34に電源を供給し、受光器Fは通常の工具Tの場合と同様に作動させる。これにより投光器Eのシャッタピストン43が下向きに移動して小径の第2貫通孔44bが導出孔41a,41bと同軸的に整列され、支持部30からのレーザ光Lは、仕切板33に形成された光窓33a及び導出孔41aを通り、小径の第2貫通孔44bにより外周の一部が大きく遮られて直径が絞られ、第2貫通孔44bと同じ径d2の細いレーザ光Lbとなって導出孔41bからY方向に照射される。受光器Fは大径の第1貫通孔44aを選択した場合と同様に作動されて、投光器Eから照射された細いレーザ光Lbは開かれた導入孔から導入されて受光素子により検出される。
この状態において、前述と同様にして、第1貫通孔44aよりも小径ではあるが第2貫通孔44bよりは太い工具Tの長さまたは径を測定する。この場合も図4(b) に示すように、工具T及びマスタ工具Tmはレーザ光Lbの径よりは大きく、従ってレーザ光Lbの断面積を基準とする遮光面積Lsは100%になるので、前述と同様、受光器Fにより検出されるレーザ光Lの受光量が必ず所定のしきい値を越えてスキップ信号が発生される。従って工具Tの工具長及び工具径を確実に測定することができる。この場合は小径のレーザ光Lbが選択されるが、測定される工具Tの径も小径でクーラントの付着なども少なくなるので、工具Tの測定精度の低下は比較的少ない。
上述した第1実施形態では、シャッタピストン43の作動機構は、第1及び第2貫通孔44a,44bが設けられるシャッタピストン43と、その両端部に形成される圧力室46a,46bと、これらに圧縮空気を導入するシャッタエア通路37,38だけであるので、その構造は簡単で安価なものとなる。またこの第1実施形態では、シャッタピストン43を、その軸線方向両側に圧力室46a,46bを設けた複動形とし、不作動時の中立位置ではシャッタピストン43により導出孔41a,41bを閉じ、両側の作動位置で大径の第1貫通孔44aまたは小径の第2貫通孔44bにより導出孔41a,41bを連通するようにしており、このようにすれば不作動時に導出孔41a,41bを閉じて、レーザ光Lの発生部及び受光部内に好ましくない外部雰囲気が侵入することを防止することができる。しかしながらこのような外部雰囲気の侵入防止は他の手段により行うことも可能であり、その場合には第1及び第2貫通孔が設けられるシャッタピストンを、例えば図10に示す従来技術のように軸線方向片側にだけ圧力室を設けた単動形とし、2つの停止位置において第1貫通孔または第2貫通孔が導出孔と整列されるようにして、本発明を実施することも可能であり、そのようにすればシャッタピストンの作動機構を一層簡略化することができる。
次に図5に示す第2実施形態の説明をする。この第2実施形態は、投光器Eのシャッタピストン63に大径、中径及び小径の3個の貫通孔64a,64b,64cを設け、リニアパルスモータ(リニアモータ)65により駆動するようにした点だけが前述した第1実施形態と異なっている。その他の構造は第1実施形態と同じであるので、主としてこの相違点について説明する。
この第2実施形態の投光器Eは、第1実施形態と同様、支持部30とシャッタ部60により構成されている。支持部30は、支持ケーシング31Aにバリアエア通路36だけが設けられ、第1及び第2シャッタエア通路37,38は設けられておらず、また仕切板33Aが大きくなっている点が第1実施形態と異なっているだけである。
シャッタ部60は、シャッタケーシング61が第1実施形態よりも縦長になっており、第1実施形態の導出孔41a,41bと実質的に同じ導出孔61a,61bと直交するように形成されたシリンダ孔62は下部が大径となった段付き孔であり、大径部の下端部はねじプラグ61cにより閉じられている。大径部を除くシリンダ孔62内にはシャッタピストン63が軸線方向摺動自在で回動が拘束されるように嵌合されている。シャッタピストン63を軸線方向に移動させるリニアパルスモータ65は、シリンダ孔62の大径部の小径部側に設けられた環状の一次側部材65aと、この一次側部材65a内を通るようにシャッタピストン63から下方に突出して設けられた二次側部材65bからなり、一次側部材65aは内周に軸線方向に沿って複数の歯が形成された電磁石であり、二次側部材65bは外周に軸線方向に沿って多数の歯が形成された鉄心である。
リニアパルスモータ65はシャッタピストン63を移動させ、実線、二点鎖線63A、二点鎖線63B及び二点鎖線63Cで示す各位置で停止させるものである。各停止位置間の距離は同一であり、実線で示す位置では二次側部材65b先端の突起部63aがねじプラグ61cに当接され、二点鎖線63Cで示す位置ではシャッタピストン63先端の突起部63bがシリンダ孔62の上底面に当接される。シャッタピストン63には大径の第1貫通孔64a、中径の第2貫通孔64b及び小径の第3貫通孔64cが直交方向に設けられ、シャッタピストン63が二点鎖線63A、二点鎖線63B及び二点鎖線63Cの各位置で停止された状態では、第1貫通孔64a、第2貫通孔64b及び第3貫通孔64cが、それぞれ導出孔61a,61bと同軸的に整列されて導出孔61a,61bを連通するようになっている。シャッタピストン63が実線で示す位置で停止された状態では、導出孔61a,61bの連通は閉じられる。その他の構造は前述した第1実施形態と同じであるので、詳細な説明は省略する。
この第2実施形態では、工作機械の不作動状態では、投光器Eのシャッタピストン63は図5に示すように、二次側部材65b下端の突起部63aがねじプラグ61cに当接した状態で停止されており、投光器Eに電源は供給されず、投光器Eのバリアエア通路36及び受光器Fの各エア通路に圧縮空気は導入されない。従って投光器Eの導出孔61a,61bは開かれず、レーザ光Lも発生されない。受光器Fは、第1実施形態と同様、レーザ光Lの導入孔は開かれず、受光素子も作動されない。工作機械が作動されれば投光器Eにはバリアエア通路36を介してバリアエア室66に圧縮空気が導入され、受光器Fのバリアエア室にも圧縮空気が導入されるが、リニアパルスモータ65は作動されず、各シャッタピストンは移動されない。この状態では第1実施形態と同様、投光器E及び受光器Fの導出孔及び導入孔は閉じられ、各バリアエア室内の圧縮空気により、外部の雰囲気が投光器E及び受光器F内に侵入することは積極的に防止される。
大径の第1貫通孔64aよりも大径の工具Tの長さまたは径を測定する場合には、投光器Eのリニアパルスモータ65によりシャッタピストン63を二点鎖線63Aの位置とするとともに電源を供給してレーザ光源34を作動させる。これにより大径の第1貫通孔64aが導出孔61a,61bと同軸的に整列され、レーザ光源34からのレーザ光Lは、仕切板33Aに形成された光窓33a及び導出孔61aを通り、大径の第1貫通孔64aにより外周の一部が多少遮られて直径が絞られ、第1貫通孔64aと同じ径d1の太いレーザ光L1となって導出孔61bからY方向に照射される。また受光器Fは第1実施形態の場合と同様にして、導入孔を開いて受光素子を作動させ、投光器Eから照射されたレーザ光L1を検出する。
この状態において、第1実施形態の場合と同様にして、第1貫通孔64aよりも太い工具Tの長さまたは径を測定する。この場合は工具T及びマスタ工具Tmがレーザ光L1の径よりも大きいので、工具T及びマスタ工具Tmの先端または外周の切刃部Taをレーザ光Lに接近させてその断面内に最後まで進入させればレーザ光L1の断面積を基準とする遮光面積Lsは100%になるので、その途中で受光器Fにより検出されるレーザ光Lの受光量が必ず所定のしきい値を越えてスキップ信号が発生される。従って工具Tの工具長及び工具径を確実に測定することができる。
大径の第1貫通孔64aよりも小径ではあるが中径の第2貫通孔64bよりは大径の工具Tの長さまたは径を測定する場合には、投光器Eのリニアパルスモータ65によりシャッタピストン63を二点鎖線63Bの位置とし、照射されるレーザ光を第2貫通孔64bと同じ径d2の中径のレーザ光L2とする点を除き、前述と同様にして測定をする。同様に、中径の第2貫通孔64bよりも小径ではあるが小径の第3貫通孔64cよりは大径の工具Tの長さまたは径を測定する場合には、投光器Eのリニアパルスモータ65によりシャッタピストン63を二点鎖線63Cの位置とし、照射されるレーザ光を第3貫通孔64cと同じ径d3の小径のレーザ光L3とする点を除き、前述と同様にして測定をする。何れの場合にも、工具T及びマスタ工具Tmの先端または外周の切刃部Taをレーザ光に接近させてその断面内に最後まで進入させれば、その途中で受光器Fにより検出されるレーザ光の受光量が必ず所定のしきい値を越えてスキップ信号が発生されるので、工具Tの工具長及び工具径を確実に測定することができる。
前述した第1実施形態では、シャッタピストン43の停止箇所は3カ所であり、その1カ所では導出孔41a,41bを閉じているので、レーザ光Lの径の切換に使用できる貫通孔44a,44bは2個だけである。これに対しこの第2実施形態では、シャッタピストン63はリニアパルスモータ65により移動させており、停止箇所を4カ所以上にすることができるので、レーザ光Lの径の切換段階を増大させることができ、レーザ光Lの径が工具Tの径より大幅に小さくなることがなくなる。クーラント付着などによる工具Tの測定精度の低下は、付着したクーラントまたは滴下するクーラントなどによる遮光面積の変動が大きくなるほど大きくなり、またレーザ光Lの径に対して工具Tが大径であると付着または滴下するクーラントによる遮光面積の変動が大きくなり測定精度が低下するが、この第2実施形態ではレーザ光Lの径が工具Tの径より大幅に小さくなることがなくなるので、クーラント付着などによる工具Tの測定精度の低下を減少させることができる。
上述した第1及び第2実施形態によれば、円形のシリンダ孔42,62に嵌合されたシャッタピストン43,63はガタを生じることなく滑らかに移動し、レーザ光Lの径及び位置は安定したものとなり、また投光器Eから照射されるレーザ光Lの径は各貫通孔44a,44b,64a〜64cにより定められ、各切換段階におけるレーザ光Lの径の精度を高めることができるので、工具Tの測定精度を向上させることができる。またシャッタピストン43,63は単純な1部材であるので、構造を簡略化することができる。またレーザ光Lの導出孔がシャッタピストン43により閉じられて工具Tの測定がなされない位置では、レーザ光Lの発生部はシャッタピストン23により外部から遮断されるので、外部の雰囲気による悪影響を避けることができる。
次に図6〜図8に示す第3実施形態の説明をする。前述した第1及び第2実施形態では、複数の貫通孔44a,44b,64a〜64cを設けたシャッタピストン43,63を使用し、各貫通孔44a,44bまたは64a〜64cを切り換えることによりレーザ光Lの径を不連続的に切り換えているが、この第3実施形態では、レーザ光Lの径を連続的に変化させるようにしたものである。
前述した第1及び第2実施形態と同様、この第3実施形態の投光器Eは支持部30とシャッタ部80により構成され、図6に示すように、支持部30の支持ケーシング31Bの収納空間32内に、可変絞り機構70を設けたものである。レーザ光源34及びレンズ35が設けられる収納空間32を気密に覆う仕切板33Bには、収納空間32側に可変絞り機構70が光窓33aと同軸的に設けられ、光窓33aを気密に覆う透明板39はシャッタ部80のバリアエア室85側に設けられている。シャッタ部80は、シャッタピストン83に形成する貫通孔84が導出孔81a,81bと同径である点を除き、図10で説明した従来技術と同じである。その他の構成は、図10で説明した従来技術と同様であるので詳細な説明は省略する。
可変絞り機構70は、図7及び図8に示すように、主としてケース71と、8枚の遮光板72a,72bと、サーボモータ78により回動されて各遮光板72a,72bを開閉するカム板74により構成されている。仕切板33Bを介して支持ケーシング31Bに取り付けられるケース71は浅いカップ状で、その底部の中央には光窓33aと同軸的に同径の中心穴71aが形成され、またケース71の底部の内側には中心穴71aと同心の円に沿って8本の枢支ピン73が中心穴71aの中心軸線と平行に等角度間隔で配置されて植設されている。8枚の遮光板72a,72bは、何れも一端側に枢支ピン73と係合可能な孔とこの孔から所定距離離れた位置に植設されたカムピン72cを有する同一形状の細長い異形の板状で、4枚の遮光板72aは一端側の孔が1つ置きの枢支ピン73に係合されてケース71の底部上に傘ねられ、残りの4枚の遮光板72bは一端側の孔が残りの枢支ピン73に係合されて遮光板72aの上に重ねられている。中心穴71aと同径の穴が中央に設けられ、それぞれがらせんの一部を形成する8個のカム溝穴74aが等角度間隔で形成されたカム板74は、各カム溝穴74aに各カムピン72cが係合されるように、遮光板72bの上に重ねられ、止め輪75によりケース71の周壁の内側に回動自在に抜け止めされている。カム板74の外周の一部には半径方向に延びてケース71の周壁から外側に突出するセクタギヤ部74bが形成され、このセクタギヤ部74bと噛合するウオーム77はサーボモータ78により回動されるようになっている。
サーボモータ78を作動させれば、ウオーム77及びセクタギヤ部74bを介してカム板74が中心穴71aと同軸的に両方向に回動され、互いに係合する各カム溝穴74aとカムピン72cの作用により、各遮光板72a,72bは互いに連動して各枢支ピン73回りに往復揺動して開閉される。各遮光板72a,72bの先端部には、最も外側に開いた状態では中心穴71aとほゞ一致する円弧部が形成されている。この円弧部は、二点鎖線に示すように各遮光板72a,72bを内側に寄せた状態では、絞られた開口部76を形成する。
この第3実施形態では、工作機械の不作動状態では、可変絞り機構70のサーボモータ78は各遮光板72a,72bを最も外側に開いた状態とし、投光器Eに電源は供給されず、バリアエア室85と圧力室86に圧縮空気は導入されない。従って投光器Eの導出孔81a,81bは開かれず、レーザ光Lも発生されない。受光器Fは、第1実施形態と同様、レーザ光Lの導入孔は開かれず、受光素子も作動されない。工作機械が作動されれば投光器Eにはバリアエア通路36を介してバリアエア室66に圧縮空気が導入され、受光器Fのバリアエア室にも圧縮空気が導入されるが、電源は供給されず、各遮光板72a,72bは最も外側に開いた状態のままである。この状態では、投光器E及び受光器Fの導出孔及び導入孔は閉じられ、各バリアエア室内の圧縮空気により、外部の雰囲気が投光器E及び受光器F内に侵入することは積極的に防止される。
主軸Cに装着される工具Tの長さまたは径を測定する場合には、サーボモータ78によりカム板74を回動し、投光器Eの各遮光板72a,72bを揺動させて絞り開口部76の径を工具T及びマスタ工具Tmの径より多少小径に設定し、圧力室86に圧縮空気を導入して貫通孔84を導出孔81a,81bと同軸的に整列するとともに電源を供給してレーザ光源34を作動させる。これによりレーザ光源34からのレーザ光Lは、仕切板33Bに形成された光窓33a及び導出孔81aを通り、絞り開口部76により外周の一部が遮られ直径が絞られて導出孔81bからY方向に照射される。受光器Fは前述と同様にして、導入孔を開いて受光素子を作動させ、投光器Eから照射されたレーザ光L1を検出する。
この状態において、第1及び第2実施形態の場合と同様にして、絞り開口部76よりも太い工具Tの長さまたは径を測定する。この場合の工具T及びマスタ工具Tmはレーザ光Lの径よりも大きいので、工具T及びマスタ工具Tmの先端または外周の切刃部Taをレーザ光Lに接近させてその断面内に最後まで進入させればレーザ光Lの断面積を基準とする遮光面積Lsは100%になるので、その途中で受光器Fにより検出されるレーザ光Lの受光量が必ず所定のしきい値を越えてスキップ信号が発生される。従って工具Tの工具長及び工具径を確実に測定することができる。
この第3実施形態によれば、レーザ光Lの径を連続的に変化できるので、測定する工具Tの径より多少大径に設定することができる。前述のように、クーラント付着などによる工具Tの測定精度の低下は、付着したクーラントまたは滴下するクーラントなどによる遮光面積の変動が大きくなるほど大きくなり、またレーザ光Lの径に対して工具Tが大径であると付着または滴下するクーラントによる遮光面積の変動が大きくなり測定精度が低下するが、この第3実施形態ではレーザ光Lの径を測定する工具T及びマスタ工具Tmの径より多少小径に設定するので、クーラントの付着などによる工具Tの測定精度の低下を一層減少させることができる。
またこの第3実施形態では、レーザ光Lの導出孔81a,81bがシャッタピストンシャッタピストン83により閉じられて工具Tの測定がなされない状態では、レーザ光Lの発生部はシャッタピストン83により外部から遮断されるので、外部の雰囲気による悪影響を避けることができる。
31,31A,31B…ケーシング(支持ケーシング)、41…ケーシング(シャッタケーシング)、41a,41b…導出孔、42…シリンダ孔、43…遮断部材(シャッタピストン)、44a,44b…貫通孔、46a,46b…圧力室、47a,47b…スプリング、61…ケーシング(シャッタケーシング)、61a,61b…導出孔、63…遮断部材(シャッタピストン)、64a〜64c…貫通孔、65…リニアモータ(リニアパルスモータ)、65a…一次側部材、65b…二次側部材、70…可変絞り機構、71…ケース、71a…中心穴、72a,72b…遮光板、73…枢支ピン、74…カム板、81…ケーシング(シャッタケーシング)、81a,81b…導出孔、82…シリンダ孔、83…シャッタピストン、C…主軸、E…投光器、F…受光器、L…レーザ光、T…工具、Ta…切刃部。
Claims (8)
- 工作機械のベッド上にそれぞれ設けられる投光器とそれから照射されるレーザ光を受光する受光器よりなり、前記工作機械の主軸に装着された工具の切刃部を前記レーザ光に接近させ、前記切刃部が前記レーザ光を遮る際に前記受光器により検出されるレーザ光の受光量が所定のしきい値以下となった時点における前記工作機械の座標の原点に対する前記主軸の座標値を検出して前記工具の工具長または工具径を測定する工作機械の工具測定装置において、前記レーザ光の径を可変としたことを特徴とする工作機械の工具測定装置。
- 請求項1に記載の工作機械の工具測定装置において、前記投光器のケーシングに前記レーザ光を横切る方向に移動される遮断部材を設け、前記遮断部材にはその移動方向に沿って互いに異なる径の複数の貫通孔を形成し、前記遮断部材は前記各貫通孔が前記レーザ光と整列される複数の位置で停止して同レーザ光の外周部を前記遮断部材により遮ることにより、前記投光器から照射されるレーザ光の径を可変としたことを特徴とする工作機械の工具測定装置。
- 請求項2に記載の工作機械の工具測定装置において、前記遮断部材は前記ケーシングに設けた前記レーザ光の導出孔を横切るように形成した円形のシリンダ孔に軸線方向摺動自在に嵌合されたシャッタピストンとしたことを特徴とする工作機械の工具測定装置。
- 請求項3に記載の工作機械の工具測定装置において、前記シャッタピストンは軸線方向の3箇所以上の位置で停止可能とし、その1つの停止位置においては前記シャッタピストンにより前記導出孔を閉じるようにすることを特徴とする工作機械の工具測定装置。
- 請求項3または請求項4に記載の工作機械の工具測定装置において、前記シャッタピストンの少なくとも一方の端部には圧力室を形成し、前記シャッタピストンの前記少なくとも一方の端部と反対側となる端部には同シャッタピストンを前記圧力室側に向けて付勢するスプリングを設け、前記圧力室内に加圧作動流体を導入することにより前記シャッタピストンを前記スプリングの付勢力に抗して移動させて同シャッタピストンを前記各貫通孔が前記レーザ光と整列される位置で停止させることを特徴とする工作機械の工具測定装置。
- 請求項3または請求項4に記載の工作機械の工具測定装置において、前記遮断部材は、前記ケーシングと前記遮断部材の何れか一方に設けた一次側部材と他方に設けた二次側部材よりなるリニアモータにより前記レーザ光を横切る方向に移動され、前記各貫通孔が前記レーザ光と整列される位置で停止されるよう構成したことを特徴とする工作機械の工具測定装置。
- 請求項1に記載の工作機械の工具測定装置において、前記レーザ光の径を絞る可変絞り機構を備え、この可変絞り機構は、前記投光器のケーシングに取り付けられて前記レーザ光と同軸的に配置された中心穴を有するケースと、前記中心穴を中心とする円に沿って前記ケースに等角度間隔で前記レーザ光と平行に配置された多数の枢支ピンにより一端部が揺動自在に支持された多数の同一形状の遮光板と、この遮光板と重ねて前記ケースに前記中心穴と同軸的に回動自在に設けられたカム板を有し、このカム板を回動することにより前記各遮光板を互いに連動して前記各枢支ピンの回りに揺動させ、前記投光器から照射されるレーザ光の外周部を遮ることによりその径を可変としたことを特徴とする工作機械の工具測定装置。
- 請求項7に記載の工作機械の工具測定装置において、前記投光器のケーシングに設けた前記レーザ光の導出孔を横切る円形のシリンダ孔を形成し、このシリンダ孔に嵌合されたシャッタピストンの軸線方向摺動により前記導出孔の開閉を行うようにしたことを特徴とする工作機械の工具測定装置。
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