JP2007298582A - 画像形成方法、画像形成装置およびカプセルトナー - Google Patents

画像形成方法、画像形成装置およびカプセルトナー Download PDF

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Abstract


【課題】 高温オフセット現象などを発生させることなく、カプセルトナーの定着性を向上させることのできる画像形成方法および画像形成装置を提供する。
【解決手段】 着色剤および第1の結着樹脂を含有するコア部分と、コア部分を被覆し、赤外線吸収剤および第2の結着樹脂を含有するシェル部分であって、コア部分の溶融温度よりも高い溶融温度を有するシェル部分とを有するカプセルトナー24を用いて記録用紙25にトナー像を形成する。形成されたトナー像に、赤外線照射手段14によって少なくとも赤外線を照射して、トナー像を形成するカプセルトナー24の少なくともシェル部分を溶融させる。その後、トナー像が形成された記録用紙25にヒートローラ15の加熱ローラ30および加圧ローラ31を圧接させて、カプセルトナー24を加熱および加圧して記録用紙25に定着させる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、カプセルトナーを用いて記録媒体に形成されるトナー像を定着して画像を形成する画像形成方法および画像形成装置、ならびにカプセルトナーに関する。
電子写真法などのトナーを用いて画像を形成する画像形成方法では、たとえば感光体などの像担持体に静電潜像などの潜像を形成した後、トナーを含む現像剤で現像してトナー像を形成し、形成されたトナー像を記録用紙などの記録媒体に転写して定着することによって画像が形成される。トナーとしては、たとえば結着樹脂に着色剤などが分散されたトナーが用いられる。
記録媒体にトナーを定着する定着方法としては、たとえばトナー像が転写された記録媒体に定着部材を圧接させて加熱および加圧することによってトナーを記録媒体に定着する熱圧定着法がある。熱圧定着法では、定着装置として、たとえば熱源を内部に備える加熱ローラと加熱ローラに圧接させて設けられる加圧ローラとの一対のローラを定着部材として備える、いわゆるヒートローラが用いられる。定着装置の消費エネルギの観点から、定着部材によるトナーの加熱温度(以後、定着温度とも称する)は低い方が好ましい。熱圧定着法ではトナーを溶融させて定着するので、定着温度を低下させるためには、トナーの溶融温度は低い方が好ましい。
このように定着温度を低下させるという観点からは、トナーの溶融温度は低い方が好ましいが、トナーは、溶融温度が低いほど、保存安定性が悪くなる。トナーの保存安定性が悪いと、現像剤収容容器中に収容されている間に、定着装置に備わる加熱手段などからの熱の影響でトナーが融着して凝集しやすくなる。特にトナーの溶融粘度を低下させて溶融温度を低下させるために、トナー中に結着樹脂の溶融温度よりも低い融点を有するワックスを含有させる場合には、現像剤収容容器内でのトナーの凝集が一層生じやすくなる。トナーの凝集が生じると、像担持体にトナーを安定して供給することができず、現像できなくなるという問題が生じる。
トナーの保存安定性を向上させるための技術としては、結着樹脂に着色剤などが分散された粒子をコア部分とし、コア部分をコア部分に含有される結着樹脂よりも溶融温度の高い結着樹脂からなるシェル部分で被覆してカプセル化し、カプセルトナーとして用いることが考えられる。このようにカプセルトナーとすることによってトナーの保存安定性は向上されるが、定着させるときにシェル部分が機械的にも熱的にも壊れにくくなるので、定着性は低下する。たとえば熱圧定着法を用いて定着する場合には、シェル部分が溶融されにくく、熱的に壊れにくいので、カプセル化する前に比べて定着温度が高くなるという問題が生じる。したがって前述のように溶融温度を低下させるためにワックスをコア部分に含有させる場合には、ワックスを含有させているにも関わらず、逆に定着温度が高くなることになる。
また熱圧定着法では、定着部材を圧接させてトナーを加熱するので、定着温度を高くし過ぎると、トナーが溶融しすぎてトナー同士の凝集力が低下し、定着部材に融着して取去られる高温オフセット現象が発生するという問題がある。前述のカプセルトナーの場合、コア部分の結着樹脂の溶融温度はシェル部分の結着樹脂の溶融温度よりも低いので、定着温度をシェル部分が溶融可能な温度にすると、コア部分が溶融しすぎて高温オフセット現象が発生しやすくなる。
熱圧定着法に関する技術ではないが、カプセルトナーの定着性を向上させるための技術として、特定の平均粒径を有する小粒径トナーと、小粒径トナーよりも大きい平均粒径を有する大粒径トナーとを含むカプセルトナーを用いる技術がある(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に開示の技術では、トナーを加熱せずに定着部材で加圧して塑性変形させて定着する圧力定着法によってトナー像を定着する。圧力定着法では、トナーは溶融されないので、熱圧定着法に比べて定着性が悪く、擦過などによってトナーが記録媒体から剥離しやすいという問題がある。
圧力定着法では、カプセルトナーは、粒径が小さくなるほど機械的に破壊されにくくなり、定着性が低下するので、定着性の低下を防ぐために定着させるときの圧力を高くする必要がある。特許文献1に開示の技術では、定着に必要な圧力を高くすることなく、小粒径トナーを用いた場合の定着性の低下を防ぐために、大粒径カプセルトナーを破壊させ、大粒径カプセルトナーのコア部分に含まれる結着樹脂で未破壊の小粒径カプセルトナーを結着させることによって定着させることを開示する。
特許文献1に開示の技術では、小粒径カプセルトナーのみを用いる場合に比べれば定着に必要な圧力を低減することは可能であるが、カプセル化されていないトナーを用いる場合に比べると、カプセルトナーを機械的に破壊するための圧力は高くなる。トナーを破壊するための圧力を高くするためには、定着装置の剛性を強くする必要があり、定着装置の大型化、ひいては画像形成装置の大型化を招く。したがって仮に特許文献1に開示の技術を熱圧定着法に適用し、定着させるときに加える圧力を高めようとした場合、定着装置の剛性を強くするために、定着装置が大型化し、画像形成装置が大型化するという問題が生じる。
またカプセルトナーの定着性を向上させるための技術ではないが、トナーに接触して加熱することによって定着させる定着手段を備える画像形成装置において、定着手段よりも記録媒体である転写紙の搬送方向上流側に、転写紙上のトナーと接触してトナーを加熱する予備加熱部を設ける技術がある(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2に開示されている予備加熱部は、定着手段と同様にトナーに定着部材を接触させてトナーを加熱するので、カプセルトナーを用いる場合には、定着部材をシェル部分が溶融可能な温度に加熱する必要があり、定着温度が高くなるという問題がある。また特許文献2に開示の技術では熱圧定着法と同様に定着部材をトナーに接触させて加熱するので、定着温度を高くすると高温オフセット現象が発生するという問題がある。
また特許文献2に開示の技術では、予備加熱部は、トナー像を転写紙に転写する転写部を兼ねるので、トナーは転写紙に転写されるときに加熱される。このように転写されるときにトナーが加熱されると、トナー像が乱れて転写され、形成される画像に乱れが生じる。また加熱されたトナーが転写部に融着して転写紙に転写されず、転写率が低下する。
また熱圧定着法および圧力定着法以外の定着法として、フラッシュ光などの光を照射してトナーを定着させる光定着法がある(たとえば、特許文献3〜6参照)。光定着法では、トナーが加圧されないので、熱圧定着法に比べて定着性が悪いという問題がある。
特開平8−190220号公報(第3頁,第1図) 特開2005−31121号公報(第7−8頁,第3図) 特開昭61−132959号公報(第1頁) 特開平2−118670号公報(第1頁) 特開2003−76055号公報(第2頁) 特開平6−118694号公報(第2頁)
本発明の目的は、保存安定性の向上を目的としてカプセルトナーを用いる場合に、高温オフセット現象などを発生させることなく、カプセルトナーの定着性を向上させることのできる画像形成方法および画像形成装置、ならびに前記画像形成方法または画像形成装置に好適に用いられるカプセルトナーを提供することである。
本発明は、着色剤および第1の結着樹脂を含有するコア部分と、コア部分を被覆し、赤外線吸収剤および第2の結着樹脂を含有するシェル部分であって、コア部分の溶融温度よりも高い溶融温度を有するシェル部分とを有するカプセルトナーを用いて記録媒体に形成されるトナー像に、少なくとも赤外線を照射して、トナー像を形成するカプセルトナーの少なくともシェル部分を溶融させるシェル溶融工程と、
シェル溶融工程後に定着部材を圧接させてカプセルトナーを加熱および加圧して記録媒体に定着させる定着工程とを含むことを特徴とする画像形成方法である。
本発明に従えば、着色剤および第1の結着樹脂を含有するコア部分が、赤外線吸収剤および第2の結着樹脂を含有するシェル部分であってコア部分の溶融温度よりも高い溶融温度を有するシェル部分で被覆されるカプセルトナーを用いて記録媒体に形成されるトナー像に、シェル溶融工程において、少なくとも赤外線が照射される。トナー像を構成するカプセルトナーはシェル部分に赤外線吸収剤を含有するので、シェル溶融工程において照射される赤外線はシェル部分の赤外線吸収剤に吸収される。赤外線吸収剤は赤外線を吸収することによって発熱するので、シェル溶融工程ではカプセルトナーの少なくともシェル部分が溶融する。シェル溶融工程後の定着工程において、定着部材を圧接させてカプセルトナーを加熱および加圧して記録媒体に定着させるとき、カプセルトナーの少なくともシェル部分は溶融しているので、定着工程では定着部材でカプセルトナーをコア部分が溶融可能な温度に加熱することによって記録媒体に定着することができる。
また本発明は、カプセルトナーは、赤外線吸収剤の含有率が、0.10重量%以上0.5重量%以下であることを特徴とする。
本発明に従えば、カプセルトナーは、赤外線吸収剤の含有率が0.10重量%以上0.5重量%以下である。赤外線吸収剤の含有率が0.10重量%未満であると、赤外線吸収剤の含有率が0.10重量%以上である場合に比べて、赤外線を照射したときの赤外線吸収剤の赤外線の吸収による発熱量が少なくなるので、シェル部分が充分に溶融されていない状態で定着工程において加熱および加圧されるおそれがあり、コア部分が充分に溶融されず、定着性が低下するおそれがある。赤外線吸収剤の含有率が0.5重量%を超えると、赤外線吸収剤の含有率が0.5重量%以下である場合に比べて、赤外線吸収剤による可視光線の吸収量が多くなるおそれがあり、形成される画像の彩度が低下するおそれがある。前述のように赤外線吸収剤の含有率を0.10重量%以上0.5重量%以下とすることによって、赤外線の照射によってシェル部分をより確実に溶融させることができるので、定着性の低下を防ぐことができる。また赤外線吸収剤を含有させることによる彩度の低下を防ぐことができる。
また本発明は、カプセルトナーは、シェル部分の重量比が、コア部分100重量部に対して1重量部以上20重量部以下であることを特徴とする。
本発明に従えば、カプセルトナーのシェル部分の重量比は、コア部分100重量部に対して1重量部以上20重量部以下である。シェル部分の重量比がコア部分100重量部に対して1重量部未満であると、コア部分をシェル部分で被覆してカプセルトナーにする効果が充分に発揮されず、保存安定性の向上効果が充分に得られないおそれがある。シェル部分の重量比がコア部分100重量部に対して20重量部を超えると、赤外線を照射したときの赤外線吸収剤からの発熱によってシェル部分を充分に溶融させることができず、シェル部分が充分に溶融されていない状態で定着部材によって加熱されるおそれがあり、コア部分が充分に溶融されず、定着性が低下するおそれがある。前述のようにカプセルトナーのシェル部分の重量比をコア部分100重量部に対して1重量部以上20重量部以下にすることによって、トナーの保存安定性および定着性をより確実に向上させることができる。
また本発明は、着色剤および第1の結着樹脂を含有するコア部分と、コア部分を被覆し、赤外線吸収剤および第2の結着樹脂を含有するシェル部分であって、コア部分の溶融温度よりも高い溶融温度を有するシェル部分とを有するカプセルトナーを用いて記録媒体に形成されるトナー像に、少なくとも赤外線を照射可能な赤外線照射手段と、赤外線照射手段よりも記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、定着部材を圧接させてカプセルトナーを加熱および加圧可能な加熱加圧手段とを持つ定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
本発明に従えば、着色剤および第1の結着樹脂を含有するコア部分が、赤外線吸収剤および第2の結着樹脂を含有するシェル部分であってコア部分の溶融温度よりも高い溶融温度を有するシェル部分で被覆されるカプセルトナーを用いて記録媒体に形成されるトナー像に、赤外線照射手段によって少なくとも赤外線が照射された後、加熱加圧手段によって定着部材を圧接させてカプセルトナーが加熱および加圧される。
また本発明は、着色剤および第1の結着樹脂を含有するコア部分と、コア部分を被覆し、赤外線吸収剤および第2の結着樹脂を含有するシェル部分であって、コア部分の溶融温度よりも高い溶融温度を有するシェル部分とを有することを特徴とするカプセルトナーである。
本発明に従えば、カプセルトナーは、着色剤および第1の結着樹脂を含有するコア部分が、赤外線吸収剤および第2の結着樹脂を含有するシェル部分であってコア部分の溶融温度よりも高い溶融温度を有するシェル部分で被覆される。カプセルトナーはシェル部分の溶融温度がコア部分に含有される結着樹脂の溶融温度よりも高いので、シェル部分の溶融温度がコア部分の溶融温度以下である場合に比べて保存安定性に優れる。またカプセルトナーはシェル部分に赤外線吸収剤を含有するので、赤外線を照射することによって少なくともシェル部分を溶融させることができる。
本発明によれば、シェル溶融工程でカプセルトナーの少なくともシェル部分が溶融された後、定着工程で定着部材を圧接させて加熱および加圧されるので、たとえば定着部材でカプセルトナーをコア部分が溶融可能な温度に加熱することによって記録媒体に定着することができる。これによって高温オフセット現象を発生させることなく、カプセルトナーの定着性を向上させることができる。したがって、定着性に優れる画像を形成することができる。また前記カプセルトナーは保存安定性に優れ、記録媒体に安定して供給することができるので、定着性に優れる画像を安定して形成することができる。
また本発明によれば、カプセルトナーは赤外線吸収剤の含有率が0.10重量%以上0.5重量%以下であるので、赤外線の照射によってシェル部分をより確実に溶融させることができ、定着性の低下を防ぐことができる。また赤外線吸収剤を含有させることによる彩度の低下を防ぐことができる。
また本発明によれば、カプセルトナーのシェル部分の重量比はコア部分100重量部に対して1重量部以上20重量部以下であるので、トナーの保存安定性および定着性をより確実に向上させることができる。
また本発明によれば、着色剤および第1の結着樹脂を含有するコア部分が、赤外線吸収剤および第2の結着樹脂を含有するシェル部分であってコア部分の溶融温度よりも高い溶融温度を有するシェル部分で被覆されるカプセルトナーを用いて記録媒体に形成されるトナー像に、赤外線照射手段によって少なくとも赤外線が照射されるので、カプセルトナーの少なくともシェル部分を溶融させることができる。また赤外線が照射された後に加熱加圧手段によって定着部材を圧接させてカプセルトナーが加熱および加圧されるので、たとえば定着部材でカプセルトナーをコア部分が溶融可能な温度に加熱することによって記録媒体に定着することができる。これによって高温オフセット現象を発生させることなく、カプセルトナーの定着性を向上させることができる。したがって、定着性に優れる画像を形成することができる。また前記カプセルトナーは保存安定性に優れ、記録媒体に安定して供給することができるので、定着性に優れる画像を安定して形成することができる。
また本発明によれば、カプセルトナーは、シェル部分の溶融温度がコア部分の溶融温度以下である場合に比べて保存安定性に優れるとともに、赤外線を照射することによって少なくともシェル部分を溶融させることができる。したがって本発明のカプセルトナーは、少なくとも赤外線を照射した後、定着部材を圧接させて、たとえばコア部分が溶融可能な温度に加熱して加圧することによって記録媒体に定着させることができる。
図1は、本発明の第1実施形態である画像形成方法の手順を示すフローチャートである。本実施形態の画像形成方法は、潜像形成工程(ステップs1)と、現像工程(ステップs2)と、転写工程(ステップs3)と、シェル溶融工程(ステップs4)と、定着工程(ステップs5)とを含む。ステップs1の潜像形成工程、ステップs2の現像工程およびステップs3の転写工程は、記録媒体にトナー像を形成するトナー像形成工程に相当する。本実施形態の画像形成方法は、記録媒体に形成されるトナー像を、ステップs4のシェル溶融工程およびステップs5の定着工程を含む定着方法によって定着する。
ステップs1の潜像形成工程では、像担持体に潜像が形成される。本実施形態では、像担持体として感光体が用いられ、感光体の表面に静電潜像が形成される。より詳細には、感光体の表面をたとえばコロナ帯電装置などの帯電装置によって帯電させた後、形成するべき画像に対応するようにレーザ光などを照射することによって静電潜像を形成する。
ステップs2の現像工程では、ステップs1の潜像形成工程で形成された潜像を、本発明の第2実施形態であるカプセルトナーを用いて現像する。第2実施形態のカプセルトナーは、着色剤および第1の結着樹脂を含有するコア部分と、コア部分を被覆し、赤外線吸収剤および第2の結着樹脂を含有するシェル部分であって、コア部分の溶融温度よりも高い溶融温度を有するシェル部分とを有する。本実施形態のトナーは、第1実施形態の画像形成方法に好適に用いられる。また本実施形態のトナーは、カラートナーとして好適である。
(a)コア部分
コア部分は、着色剤および結着樹脂を含有する。コア部分は、離型剤および帯電制御剤などの添加剤を含有してもよい。
〔第1の結着樹脂〕
コア部分に含有される第1の結着樹脂(以後、「コア結着樹脂」とも称する)としては、結着性を有し、かつ加熱によって溶融可能な樹脂であれば、特に制限されずに用いることができる。「溶融」とは、流動化することを意味し、軟化を含む。コア部分は加熱によって溶融する成分としてコア結着樹脂を含有するので、コア部分の溶融温度はコア結着樹脂の溶融温度Tm(c)に近くなる。またコア部分が離型剤を含有する場合には、コア部分の溶融温度はコア結着樹脂の溶融温度Tm(c)よりもさらに低くなる。
コア結着樹脂としては、たとえばポリエステル樹脂およびスチレンアクリル樹脂などが挙げられる。コア結着樹脂はこれに限定されず、トナーの結着樹脂として使用される公知の樹脂をコア結着樹脂として用いることができる。これらの樹脂は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
コア結着樹脂の溶融温度Tm(c)は、100℃以上130℃以下であることが好ましい。コア結着樹脂の溶融温度Tm(c)が100℃未満であると、ステップs5の定着工程において、後述の定着部材たとえば図2に示す定着装置12のヒートローラ15に備わる加熱ローラ30の表面温度がたとえば140℃以上という高温であるときに、カプセルトナーが定着部材に融着しやすくなり、定着部材への記録用紙の巻きつきが起こりやすくなる。コア結着樹脂の溶融温度Tm(c)が130℃を超えると、定着工程においてコア部分が溶融しにくくなるので、トナーの記録媒体への定着性が低下するおそれがある。
コア結着樹脂のガラス転移温度Tg(c)は、50℃以上70℃以下であることが好ましい。コア結着樹脂のガラス転移温度Tg(c)が50℃未満であると、コア部分をシェル部分で被覆しても充分な保存安定性が得られないおそれがある。コア結着樹脂のガラス転移温度Tg(c)が70℃を超えると、定着工程においてコア部分が溶融しにくくなるので、トナーの記録媒体への定着性が低下するおそれがある。本実施形態ではコア部分はシェル部分で被覆されるので、ガラス転移温度Tg(c)が50℃程度のコア結着樹脂を用いても、トナーの保存安定性を確保することができる。
〔着色剤〕
着色剤としては、たとえば染料もしくは顔料、またはこれらの混合物が用いられる。その中でも、顔料を用いることが好ましい。顔料は染料に比べて耐光性および発色性に優れるので、顔料を用いることによって耐光性および発色性に優れるトナーを得ることができる。着色剤の具体例としては、たとえば、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルーおよびインダスレンブルーなどが挙げられる。着色剤は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。着色剤は、トナーに要求される色に応じて適宜選択される。着色剤の重量比は、特に制限されないが、コア結着樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下であることが好ましい。着色剤の重量比が0.1重量部未満であると、充分な着色力が得られないおそれがある。着色剤の重量比が20重量部を超えると、コア結着樹脂中における着色剤の分散性が低下し、形成される画像の画像濃度の均一性が低下するおそれがある。
〔離型剤〕
離型剤を用いることによって、トナーを記録媒体に定着させるときにトナーに離型性を付与することができるので、離型剤を用いない場合に比べて定着工程における高温オフセット現象の発生をより確実に防ぐことができる。離型剤としては、たとえば低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリウレタン、パラフィン糸ワックス、カルナバワックス、マイクロクリスタリングワックス、ホホバワックス、ライスワックス、モンタン酸ワックスなどが挙げられる。離型剤は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。「低分子量ポリプロピレン」とは、絶対分子量5000以下のポリプロピレンのことである。「低分子量ポリウレタン」とは、絶対分子量5000以下のポリウレタンのことである。
離型剤としては、コア結着樹脂の溶融温度よりも低い融点を有する離型剤が用いられる。離型剤の融点は、50℃以上100℃以下であることが好ましい。融点が50℃以上100℃以下である離型剤を用いることによって、トナーを定着させるときの加熱によって離型剤を溶融させ、トナーの溶融粘度を低下させることができるので、低温オフセット現象が発生し始める温度を低下させ、定着工程における定着温度を低下させることができる。「低温オフセット現象」とは、定着部材を圧接して加熱および加圧してトナーを記録媒体に定着させるときに、トナーが充分に溶融されず、トナーと記録媒体との接着力が、トナーと定着部材との接着力を下回り、トナーの一部が定着部材に付着して取去られる現象のことである。
本実施形態では、離型剤はコア部分に含有されるので、トナーの保存安定性を低下させることなく、融点が50℃以上100℃以下の離型剤を用い、定着工程における定着温度を低下させることができる。離型剤の融点が100℃を超えると、定着工程においてコア部分から離型剤が充分に溶出することができず、トナーの溶融粘度を低下させる効果が充分に発揮されないおそれがある。離型剤の融点が50℃未満であると、高温オフセット現象が発生しやすくおそれがあるので好ましくない。
離型剤の重量比は、特に制限されないが、コア結着樹脂100重量部に対して3重量部以上10重量部以下であることが好ましい。離型剤の重量比が3重量部未満であると、離型剤を添加することによる効果が充分に発揮されないおそれがある。離型剤の重量比が10重量部を超えると、結着樹脂中における離型剤の分散性が低下し、トナーの均質性が損なわれるおそれがある。
〔帯電制御剤〕
帯電制御剤は、トナーの帯電特性を制御するために添加される。帯電制御剤としては、たとえばモノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸およびその塩、サリチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のコバルト、クロムまたは鉄などの金属との金属錯体、アミノ化合物、第4級アンモニウム化合物などが挙げられる。また有機染料として知られる材料を帯電制御剤として用いることもできる。帯電制御剤は、1種が単独で用いられてもよく、また2種以上が併用されてもよい。帯電制御剤の重量比は特に制限されないが、コア結着樹脂100重量部に対して0.5重量部以上5重量部以下であることが好ましい。
(b)シェル部分
シェル部分は、赤外線吸収剤および第2の結着樹脂を含有する。シェル部分にはコア部分と同様に前述の帯電制御剤などの添加剤が含有されてもよいが、離型剤はコア部分に含有される方が好ましく、シェル部分には含有されない方が好ましい。離型剤をコア部分のみに含有させることによって、現像剤収容容器中において離型剤がカプセルトナーの表面に滲み出すことを防ぐことができる。これによってカプセルトナー同士の融着を防ぎ、カプセルトナーの凝集を防ぐことができるので、カプセルトナーの保存安定性をより確実に向上させることができる。
〔第2の結着樹脂〕
シェル部分に含有される第2の結着樹脂(以後、「シェル結着樹脂」とも称する)としては、コア部分に含有される第1の結着樹脂であるコア結着樹脂と同一の結着樹脂が用いられてもよいが、本実施形態ではコア結着樹脂の溶融温度Tm(c)よりも高い溶融温度Tm(s)を有する結着樹脂が用いられる。シェル部分は加熱によって溶融する成分としてシェル結着樹脂を含有するので、シェル部分の溶融温度はシェル結着樹脂の溶融温度Tm(s)に近くなる。本実施形態ではコア結着樹脂の溶融温度Tm(c)よりも高い溶融温度を有する結着樹脂がシェル結着樹脂として用いられるので、シェル部分の溶融温度はコア部分の溶融温度よりも高くなる。シェル部分の溶融温度をコア部分の溶融温度よりも高くする、より詳細にはシェル結着樹脂の溶融温度Tm(s)をコア結着樹脂の溶融温度Tm(c)よりも高くすることによって、現像剤収容容器中でのカプセルトナーの溶融を防ぎ、カプセルトナー同士の融着およびカプセルトナーの現像剤収容容器への融着を防ぐことができるので、カプセルトナーの保存安定性を向上させることができる。
シェル結着樹脂の溶融温度Tm(s)とコア結着樹脂の溶融温度Tm(c)との差(Tm(s)−Tm(c))は、5℃以上であることが好ましく、5℃以上40℃以下であることがさらに好ましい。シェル結着樹脂の溶融温度Tm(s)とコア結着樹脂の溶融温度Tm(c)との差が5℃未満であると、保存安定性の向上効果が充分に発揮されないおそれがある。またシェル結着樹脂の溶融温度Tm(s)とコア結着樹脂の溶融温度Tm(c)との差が40℃を超えると、シェル部分の溶融温度が高くなり過ぎ、シェル溶融工程でシェル部分が充分に溶融されないおそれがある。
シェル結着樹脂としては、結着性を有し、かつ加熱によって溶融可能な樹脂であれば特に制限されず、公知の樹脂を用いることができるが、コア結着樹脂は、ポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂、メラミン樹脂およびウレタン樹脂から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。これらの樹脂は、他の樹脂に比べて機械的強度に優れる。したがってこれらの樹脂をシェル結着樹脂として用いることによって、他の樹脂を用いる場合に比べて、カプセルトナーが収容容器内に収容されているときにシェル部分が機械的に破壊されてコア部分が露出することをより確実に防ぐことができるので、トナーの保存安定性をより確実に向上させることができる。
シェル結着樹脂の溶融温度Tm(s)は、120℃以上150℃以下であることが好ましい。シェル結着樹脂の溶融温度Tm(s)が120℃未満であると、充分な保存安定性が得られないおそれがある。シェル結着樹脂の溶融温度Tm(s)が150℃を超えると、シェル溶融工程においてシェル部分が溶融しにくくなるので、定着工程においてコア部分が溶融しにくくなり、トナーの記録媒体への定着性が低下するおそれがある。
シェル結着樹脂のガラス転移温度Tg(s)は、60℃以上70℃以下であることが好ましい。シェル結着樹脂のガラス転移温度Tg(s)が60℃未満であると、充分な保存安定性が得られないおそれがある。シェル結着樹脂のガラス転移温度Tg(s)が70℃を超えると、シェル溶融工程においてシェル部分が溶融しにくくなるので、定着工程においてコア部分が溶融しにくくなり、トナーの記録媒体への定着性が低下するおそれがある。またシェル結着樹脂のガラス転移温度Tg(s)は、コア結着樹脂のガラス転移温度Tg(c)よりも高いことが好ましい。シェル結着樹脂のガラス転移温度Tg(s)をコア結着樹脂のガラス転移温度Tg(c)よりも高くすることによって、本実施形態のカプセルトナーの保存安定性をより確実に向上させることができる。
〔赤外線吸収剤〕
赤外線吸収剤としては、波長780nm以上1000nm以下の範囲に吸収極大波長λmaxを有するものが好ましい。赤外線吸収剤は、赤外線吸収剤を添加することによるトナーの色相への影響を抑えるために、可視光線の吸収は可及的に小さい方が好ましい。「赤外線」とは、波長780nm以上10nm(1mm)以下の電磁波のことであり、「可視光線」とは、波長380nm以上780nm未満の電磁波のことである。
赤外線吸収剤としては、従来公知のものが使用可能であり、赤外線に吸収を有するものであれば特に制限されずに用いることができ、例えばカーボンブラック、シアニン化合物、ジイモニウム化合物、アミニウム化合物、ニッケル錯体化合物、フタロシアニン化合物およびアントラキノン系化合物から選ばれる1種または2種以上の材料から成る赤外線吸収剤が挙げられる。その中でも、カーボンブラック、シアニン化合物、アミニウム化合物、ニッケル錯体化合物、フタロシアニン化合物およびアントラキノン系化合物から選ばれる1種または2種以上の材料から成る赤外線吸収剤が好ましい。これらの材料から成る赤外線吸収剤は、赤外線に対する吸収性が高い。
シアニン化合物としては、たとえば日本化薬株式会社製のKayasorb CY−10(商品名)、富士写真フィルム株式会社製のIRF−106およびIRF−107(以上いずれも商品名)などが挙げられる。ジイモニウム化合物としては、たとえば日本カーリット株式会社製のCIR−1080およびCIR−1081(以上いずれも商品名)などが挙げられる。アミニウム化合物としては、たとえば日本カーリット株式会社製のCIR−960およびCIR−961(以上いずれも商品名)などが挙げられる。ニッケル錯体化合物としては、たとえば住友精化株式会社製のBBDT−NI(商品名)などが挙げられる。フタロシアニン化合物としては、たとえば株式会社日本触媒製のTX−305A(商品名)などが挙げられる。アントラキノン系化合物としては、たとえば日本化薬株式会社製のIR−750(商品名)などが挙げられる。これらの材料から成る赤外線吸収剤は、波長780nm以上1000nm以下の範囲に吸収極大波長λmaxを有する。
赤外線吸収剤の含有率は、カプセルトナーの0.10重量%以上0.5重量%以下であることが好ましい。赤外線吸収剤の含有率が0.10重量%未満であると、赤外線吸収剤の含有率が0.10重量%以上である場合に比べて、赤外線を照射したときの赤外線吸収剤の吸収による発熱量が少なくなるので、シェル部分が充分に溶融されていない状態で定着工程において加熱および加圧されるおそれがあり、コア部分が充分に溶融されず、定着性が低下するおそれがある。赤外線吸収剤の含有率が0.5重量%を超えると、赤外線吸収剤の含有率が0.5重量%以下である場合に比べて、赤外線吸収剤による可視光線の吸収量が多くなるおそれがあり、形成される画像の彩度が低下するおそれがある。
したがって、カプセルトナー中の赤外線吸収剤の含有率は0.10重量%以上0.5重量%以下であることが好ましい。赤外線吸収剤の含有率を0.10重量%以上0.5重量%以下とすることによって、赤外線の照射によってシェル部分をより確実に溶融させることができるので、定着性の低下を防ぐことができる。また赤外線吸収剤を含有させることによる彩度の低下を防ぐことができる。
またシェル部分中の赤外線吸収剤の含有率は、0.5重量%以上20重量%未満であることが好ましい。シェル部分中の赤外線吸収剤の含有率が0.5重量%未満であると、十分な赤外吸収剤の効果が発揮出来ない。シェル部分中の赤外線吸収剤の含有率が20重量%以上であると、カプセル効果に悪影響をおよぼす恐れがあり、たとえばカプセル化によるトナーの保存安定性の向上効果が充分に発揮されないおそれがある。
赤外線吸収剤は、本実施形態ではシェル部分のみに含有される。赤外線吸収剤は、シェル部分およびコア部分の両方に含有させてもよいが、シェル溶融工程ではコア部分は溶融されなくてよいので、少なくともシェル部分に含有されていればよい。したがってトナー中における赤外線吸収剤の含有率を低減することができるので、赤外線吸収剤を添加することによる彩度の低下および色相の変化をより確実に防ぐことができる。
シェル成分の重量比は、コア成分100重量部に対して、1重量部以上、20重量部以下であることが好ましく、1重量部以上15重量部以下であることが好ましい。シェル部分の重量比がコア部分100重量部に対して1重量部未満であると、コア部分をシェル部分で被覆してカプセルトナーにする効果が充分に発揮されず、保存安定性の向上効果が充分に得られないおそれがある。シェル部分の重量比がコア部分100重量部に対して20重量部を超えると、赤外線を照射したときの赤外線吸収剤からの発熱によってシェル部分を充分に溶融させることができず、シェル部分が充分に溶融されていない状態で定着部材によって加熱されるおそれがあり、コア部分が充分に溶融されず、定着性が低下するおそれがある。前述のようにカプセルトナーのシェル部分の重量比をコア部分100重量部に対して1重量部以上20重量部以下にすることによって、トナーの保存安定性および定着性をより確実に向上させることができる。
第2実施形態のカプセルトナーは、たとえば、コア部分を製造した後、シェル部分で被覆してカプセル化することによって製造することができる。コア部分の製造方法としては、カプセル化されていないトナーの製造方法として知られている各種の方法を用いることができ、たとえば溶融乳化法などのケミカル法、乳化重合凝集法などの重合法、粉砕法などが挙げられる。たとえば、粉砕法によってコア部分を製造する場合、まず、コア部分の材料であるコア結着樹脂および着色剤の適量、ならびに添加剤を添加する場合には添加剤の適量を、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ、メカノミル、Q型ミキサなどの混合機によって混合した後、2軸混練機、2軸押出機、1軸混練機などの混練機によってたとえば70〜180℃程度の温度で溶融混練し、混練物を生成する。得られる混練物を冷却固化し、固化物をジェットミルなどのエアー式粉砕機によって粉砕し、必要に応じてたとえば粉砕によって得られる粒子の粒径および粒径分布が、得ようとするコア粒子の粒径および粒径分布と異なる場合には風力分級などによって分級し、コア部分としてコア粒子を得る。
またコア部分を溶融乳化法によって製造する場合、粉砕法と同様にして混練物を生成した後、混練物を水性媒体中に投入し、粒子化装置を用いて加熱しながら攪拌することよって混練物にせん断力を加えて粒子化する。水性媒体としては、たとえば水および分散剤を含有する水性媒体が用いられる。分散剤としては、たとえばスチレン−アクリル酸共重合体などのスチレンアクリル系共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩などのスチレンアクリル系共重合体塩などが挙げられる。粒子化装置としては、混練物と水媒体とを収容可能な容器、加熱装置および撹拌装置を備え、混練物と水性媒体との混合物にせん断力を付与することによって混練物を粒子化し、コア部分として混練物粒子を生成させることができるものであればよく、たとえばエム・テクニック株式会社製のクレアミックス(商品名)などが挙げられる。混練物の粒子化は、たとえば前述のクレアミックスを用い、ロータの回転速度を14000回/分、スクリーンの回転速度を12000回/分とし、0.2MPaの加圧下で、温度100℃に加熱しながら15分間撹拌することによって行なわれる。
以上のようにして製造されるコア部分であるコア粒子をカプセル化することによって、第2実施形態のカプセルトナーが得られる。コア部分のカプセル化方法としては、公知の方法を用いることができ、たとえば、界面重合法およびin-situ法などの化学的方法、メカノケミカル法、流動層法および乾式法などの機械的方法、ならびにコアセルベーション法などの物理化学的方法などが挙げられる。
たとえば乾式法によってカプセル化する場合、コア部分にシェル結着樹脂および赤外線吸収剤などのシェル部分の材料を付着させることによってカプセルトナーが得られる。この場合、シェル結着樹脂および赤外線吸収剤などのシェル部分の材料は粒子として用いられる。シェル部分の材料のコア部分への付着は、たとえば機械的衝撃力を与える方法または乾式メカノケミカル法などによって行なわれる。機械的衝撃力は、たとえばヘンシェルミキサ(商品名:FM−20、三井鉱山株式会社製)などの混合機を用い、粒子同士の衝突および粒子と機壁との衝突によって与えられる。
このようにしてシェル部分の材料が付着されたコア部分は、シェル部分が均一になるようにシェル部分の材料が固定化されてカプセルトナーとされてもよい。シェル部分の材料の固定化は、たとえばコア部分にシェル部分の材料を付着させた後、シェル部分の材料が表面に付着したコア粒子に、たとえば熱風球形化処理などの加熱処理を施すことによって実行される。この加熱処理によって、シェル結着樹脂が相互に融着して被覆層としてシェル部分が形成され、カプセルトナーが得られる。「熱風球形化処理」とは、シェル部分が付着したコア粒子を熱風によって加熱して球形化する処理のことである。
本実施形態のカプセルトナーにおいて、シェル結着樹脂の溶融温度Tm(s)はコア結着樹脂の溶融温度Tm(c)よりも高く、シェル結着樹脂とコア結着樹脂とは溶融温度Tmが異なる樹脂であるが、シェル結着樹脂とコア結着樹脂とは溶融温度Tmの等しい樹脂であってもよく、たとえば同一の樹脂であってもよい。コア部分にコア結着樹脂の溶融温度Tm(c)よりも低い融点を有する離型剤が含有される場合、コア部分の溶融温度は離型剤を含有しない場合よりも低くなるので、このコア部分を、コア結着樹脂と同一の樹脂から成るシェル結着樹脂を含有し前記離型剤を含有しないシェル部分で被覆すれば、シェル部分の溶融温度はコア部分の溶融温度よりも高くなる。したがって、シェル結着樹脂とコア結着樹脂とが溶融温度Tmの等しい樹脂であっても、シェル部分でコア部分を被覆してカプセル化することによって、保存安定性を向上させることができる。より優れた保存安定性を実現するためには、本実施形態のようにシェル結着樹脂の溶融温度Tm(s)は、コア結着樹脂の溶融温度Tm(c)よりも高い方が好ましい。
ステップs2の現像工程では、ステップs1の潜像形成工程において像担持体に形成された潜像が、以上に述べた第2実施形態のカプセルトナーを用いて現像される。これによって像担持体の表面にトナー像が形成される。第2実施形態のカプセルトナーは、単独で1成分現像剤として用いられてもよく、キャリアと混合されて2成分現像剤として用いられてもよい。本実施形態ではステップs1の潜像形成工程において感光体の表面に静電潜像が形成されるので、第2実施形態のカプセルトナーは摩擦帯電によって帯電され、現像剤担持体に担持されて感光体の表面に供給され、感光体の表面に静電的に付着する。これによって感光体の表面に形成された静電潜像が現像され、トナー像が形成される。感光体などの像担持体の表面にトナー像が形成されると、ステップs3に進む。
ステップs3の転写工程では、像担持体の表面に形成されたトナー像を転写手段によって記録用紙などの記録媒体に転写する。これによって記録媒体に未定着のトナー像が形成される。転写手段としては、たとえばトナー像が形成された感光体の表面に記録用紙などの記録媒体を接触または近接させた状態で、記録媒体にトナー像を構成するカプセルトナーと逆極性の電荷を付与することによって、カプセルトナーを記録媒体に静電的に付着させてトナー像を転写する転写手段を用いることができる。このようにしてトナー像が記録媒体に転写されて、記録媒体に未定着のトナー像が形成されると、ステップs4に進む。
ステップs4のシェル溶融工程では、ステップs3の現像工程において記録媒体に形成されるトナー像に、少なくとも赤外線を照射して、トナー像を形成するカプセルトナーの少なくともシェル部分を溶融させる。トナー像を構成するカプセルトナーはシェル部分に赤外線吸収剤を含有するので、シェル溶融工程で赤外線を照射することによって、シェル部分の赤外線吸収剤に赤外線を吸収させて発熱させることができる。これによって、シェル結着樹脂を溶融させ、シェル部分を溶融させることができる。「シェル部分が溶融する」とは、シェル部分が流動化することを意味する。
赤外線照射手段としては、赤外線を照射可能なものであれば特に制限されずに用いることができる。赤外線を照射する赤外線照射手段としては、たとえばフラッシュ光を照射するフラッシュ光照射手段が用いられる。フラッシュ光照射手段の光源としては、たとえばキセノンフラッシュランプが挙げられる。キセノンフラッシュランプは、波長800nm以上1100nm以下の近赤外線を含む光を発光する。キセノンフラッシュランプの発光時間は、特に制限されないが、1×10−2s以上9×10−2s以下であることが好ましい。フラッシュ光の照射強度は、特に制限されないが、消費エネルギの観点およびシェル部分を確実に溶融させるという観点からは、記録媒体の単位面積当たり、1J/cm以上4J/cm以下であることが好ましい。以上のようにして少なくともシェル部分が溶融されると、ステップs5に進む。
ステップs5の定着工程では、ステップs4のシェル溶融工程において少なくともシェル部分が溶融されたカプセルトナーに対して、定着手段を用い、定着手段の定着部材を圧接させて加熱および加圧して記録媒体に定着させる。定着手段としては、たとえば後述する図2に示すヒートローラ15または図3に示すベルト式定着装置である定着ベルト機構41などが用いられる。
カプセルトナーのシェル部分は、ステップs4のシェル溶融工程で溶融されているので、ステップs5の定着工程において、定着部材を圧接させてカプセルトナーを加熱および加圧して記録媒体に定着させるときには、シェル部分を改めて溶融させる必要はない。すなわち定着工程での定着部材による加熱温度である定着温度は、コア部分が溶融可能な温度以上になっていればよい。したがって本実施形態では、定着工程において定着部材でカプセルトナーをコア部分が溶融可能な温度に加熱することによって記録媒体に定着することができる。これによってコア部分が溶融しすぎることを防ぐことができるので、高温オフセット現象を発生させることなく、カプセルトナーの定着性を向上させることができる。
以上のステップs4のシェル溶融工程における赤外線の照射終了から、ステップs5の定着工程における定着部材による定着開始までの時間は、可及的に短いことが好ましく、長くても0.5秒以内であることが好ましい。この時間が0.5秒を超えると、赤外線の照射によって溶融したシェル部分が固化した後にステップs5の定着工程での定着が行なわれるおそれがあり、定着性が低下するおそれがある。
またシェル溶融工程における赤外線の照射によってシェル部分だけでなく、コア部分まで溶融され、カプセルトナー全体が溶融されると、定着工程における加熱および加圧によってカプセルトナーが溶融しすぎて高温オフセット現象が生じるおそれがある。この高温オフセット現象の発生は、前述のように赤外線吸収剤の含有率をカプセルトナーの0.10重量%以上0.5重量%以下にすることによって防ぐことができる。赤外線吸収剤の含有率を0.10重量%以上0.5重量%以下にすることによって、シェル溶融工程においてカプセルトナー全体が溶融することを防ぎ、定着工程における高温オフセット現象の発生を防ぐことができる。
以上のように本実施形態の画像形成方法では、第2実施形態のカプセルトナーを用いて記録媒体にトナー像を形成し、シェル溶融工程および定着工程を含む定着方法によって定着するので、定着性に優れる画像を形成することができる。また第2実施形態のカプセルトナーは保存安定性に優れるので、ステップs2の現像工程において記録媒体に安定して供給することができる。したがって定着性に優れる画像を安定して形成することができる。
第1実施形態の画像形成方法は、たとえば図2に示す本発明の第3実施形態である画像形成装置1によって実行される。図2は、本発明の第3実施形態である画像形成装置1の構成を簡略化して示す側面図である。図2では、一部分の厚みを省略して示す。本実施形態の画像形成装置1は、白黒画像およびカラー画像を形成可能に構成される。本実施の形態として例示する画像形成装置1は、デジタルカラープリンタであり、図示しないパーソナルコンピュータなどの画像入力装置から入力される画像情報に基づいて、フルカラー画像、多色画像または単色画像を形成する。
画像形成装置1は、トナー像形成手段である画像形成ユニット11と、定着装置12と、転写搬送ベルト機構13とを含んで構成される。定着装置12は、赤外線照射手段14と加熱加圧手段15とを含む。本実施形態では、画像形成装置1は、複数、より詳細には4つの画像形成ユニット11を備え、4つの画像形成ユニット11が並設されるタンデム型の画像形成装置である。
本実施形態において画像形成装置1は、外部に設けられる図示しない画像入力装置から入力される画像情報を、複数の色相、より詳細にはイエロー色(y)、マゼンタ色(m)、シアン色(c)および黒色(k)の4つの色相に色分解し、各色相に対応するトナー像を画像形成ユニット11によってそれぞれ形成する。画像形成ユニット11は、イエロー色(y)、マゼンタ色(m)、シアン色(c)および黒色(k)の各色相に対応して4つが設けられる。4つの画像形成ユニット11は、各色相に対応する色のトナーが現像に用いられることおよび各色相に対応する画像情報が画像入力装置から入力されること以外は同様の構成を有するので、イエロー色(y)の画像形成ユニット11yについて説明し、他の色相の画像形成ユニット11については説明を省略する。以後、各色相に対応する画像形成ユニット11を個々に示す場合には、参照符号の後に色を表すアルファベットの添字を付与し、総称する場合には参照符号のみで表す。アルファベットの添字は、イエロー色については「y」を付し、マゼンタ色については「m」を付し、シアン色については「c」を付し、黒色については「k」を付す。
画像形成ユニット11yは、円柱状であって画像形成装置1本体に回転可能に設けられる感光体16yと、感光体16yの周方向に感光体16yの回転方向上流側から下流側に向かって順次配置される帯電装置17y、露光装置18y、現像装置19y、転写ローラ20yおよびクリーニング装置21yを含んで構成される。図2では、理解を容易にするために感光体16yは、後述する転写搬送ベルト22と離隔するように図示しているが、実際には感光体16yは、転写搬送ベルト22に当接するように設けられ、転写搬送ベルト22を介して転写手段である転写ローラ20yに対向するように配置される。感光体16yの形状は円柱状に限定されず、円筒状、板状または無端ベルト状などであってもよい。
帯電装置17yは、感光体16yの表面を一様に帯電させる帯電手段である。帯電装置17yは、本実施の形態ではチャージャー型帯電装置であり、感光体16yの外周面に対向するように配置される。帯電装置17は、チャージャー型帯電装置に限定されるものではなく、たとえばブラシ型帯電装置またはロール型帯電装置などであってもよい。
露光装置18yは、たとえば半導体レーザ素子などの光源を備え、光源から出射されるレーザ光などの光を感光体16yに照射することによって、帯電装置17で帯電された感光体16を露光して静電潜像を生成させる露光手段である。イエロー色の画像形成ユニット11に備わる露光装置18yは、一様に帯電された感光体16yの表面を、イエロー色の色相の画像情報に応じた光で露光し、イエロー色の画像情報に対応する静電潜像を形成する。
現像装置19yは、感光体16yの表面にトナーを供給することによって、露光装置18による露光によって感光体16yの表面に形成された静電潜像を現像し、トナー像を形成する。トナーとしては、前述の第2実施形態のカプセルトナーが用いられる。現像装置19の現像剤収容容器23に収容されるカプセルトナーの色は、各色相に対応して選択される。イエロー色の画像形成ユニット11に備わる現像装置19yは、イエロー色に対応する着色剤をコア部分に含有するイエロー色のカプセルトナー24yを現像剤収容容器23yに収容する。イエロー色用の現像装置19yは、イエロー色の画像情報に対応する静電潜像が形成された感光体16yの表面に、イエロー色のカプセルトナー24yを供給することによって、イエロー色のトナー像を形成する。
転写ローラ20yは、転写搬送ベルト22の内周面に接し、転写搬送ベルト22を介して感光体16yに当接するように設けられる。転写ローラ20yは、転写搬送ベルト22によって送給される記録媒体である記録用紙25をトナー24yと逆の極性に帯電させることによって、現像されて感光体16yの外周面上に形成されるトナー像を記録用紙25に転写させる。
クリーニング装置21yは、たとえばクリーニングブレードを備え、感光体16yの外周面にクリーニングブレードを当接させることによって、記録用紙25に転写されずに感光体16y表面に残留するトナーを感光体16yの表面から掻取り、廃トナー収容容器に収容する。クリーニング装置21yは、図示しない除電ランプなどの除電手段とともに設けられる。
4つの画像形成ユニット11は、記録用紙25の搬送方向上流側から下流側に向かって、イエロー色用の画像形成ユニット11y、マゼンタ色用の画像形成ユニット11m、シアン色用の画像形成ユニット11cおよび黒色用の画像形成ユニット11kの順に並設される。
転写搬送ベルト機構13は、駆動ローラ26と、従動ローラ27と、駆動ローラ26と従動ローラ27とによって略平行に伸びるように張架される無端ベルト状の転写搬送ベルト22とを備える。転写搬送ベルト22は、駆動ローラ26の軸線まわりの回転によって矢符Z方向に摩擦駆動される。転写搬送ベルト22は、図示しない用紙吸着用帯電器によって帯電され、これによって記録用紙25を静電的に吸着して搬送する。
定着装置12は、前述のように赤外線照射手段14と加熱加圧手段15とを含む。加熱加圧手段15は、赤外線照射手段14よりも記録用紙25の搬送方向下流側に設けられる。赤外線照射手段14は、本実施形態ではフラッシュ光を照射するフラッシュ光照射手段14である。赤外線照射手段14としては、フラッシュ光照射手段に限定されるものではなく、赤外線を照射可能なものであれば用いることができるが、本実施形態のようにフラッシュ光照射手段14を用いることが好ましい。フラッシュ光照射手段14を用いることによって、カプセルトナー24に対して、短時間に高強度の赤外線を照射することができるので、カプセルトナー24のシェル部分を瞬間的に300〜600℃程度の高温に加熱することができ、シェル部分をより確実に溶融させることができる。フラッシュ光照射手段14の光源28としては、波長800〜1100nmの光を照射可能なものが好ましく、このような光源28としては、たとえばキセノンフラッシュランプが挙げられる。
加熱加圧手段15は、本実施形態ではヒートローラ15であり、内部にハロゲンランプなどの熱源29を備える加熱ローラ30と、加熱ローラ30に対向して設けられ加熱ローラ30に弾発的に当接されて当接部であるニップ部32を形成する加圧ローラ31とを備える。ヒートローラ15に供給される記録用紙25は、加熱ローラ30と加圧ローラ31とによって挟持され、加熱ローラ30および加圧ローラ31の回転駆動によって搬送され、ニップ部32を通過する。記録用紙25はニップ部32を通過するときに加熱ローラ30および加圧ローラ31によって加熱および加圧される。これによって、記録用紙25に形成されたトナー像が溶融されて記録用紙25に定着される。本実施形態において赤外線照射手段14と加熱加圧手段15とは、前述のように赤外線照射手段14による赤外線の照射終了から、加熱加圧手段15による定着開始までの時間が0.5秒以内になるように配置される。
画像形成装置1によれば、まず制御部からの指示によって、帯電装置17によって感光体16の外周面が所定の電位に均一に帯電される。次いで、帯電された感光体16に露光装置18から画像情報に応じた光を照射することによって感光体16を露光する。これによって、各感光体16に各色毎の静電潜像が生成される。次に、現像装置19から感光体16の外周面にカプセルトナー24が供給され、感光体16の外周面に形成された静電潜像がカプセルトナー24によって可視化されトナー像が形成される。感光体16に形成される各色毎のトナー像は、記録用紙25に順次積層転写され、フルカラーのトナー像となる。トナー像の記録用紙25への転写後にさらに回転駆動される感光体16は、その外周面に残留するトナーがクリーニング装置21によって除去された後、除電ランプから照射される除電光によって除荷される。これによって感光体16表面の静電潜像が消失する。
トナー像が転写された記録用紙25は、定着装置12へ搬送される。定着装置12は、カプセルトナー24を用いて記録用紙25に形成されたトナー像に、赤外線照射手段14によって少なくとも赤外線を照射する。これによって、カプセルトナー24の少なくともシェル部分が溶融される。次いで定着装置12は、トナー像が転写された記録用紙25に対して、加熱加圧手段15の定着部材である加熱ローラ30および加圧ローラ31を圧接させてカプセルトナー24を加熱および加圧する。このとき、カプセルトナー24のシェル部分は溶融されているので、カプセルトナー24は、加熱ローラ30でコア部分が溶融可能な温度に加熱することによって記録用紙25に定着させることができる。したがって加熱ローラ30の表面温度である定着温度は、コア部分が溶融可能な温度以上になっていればよい。すなわち本実施形態では、定着温度をシェル部分が溶融可能な温度よりも低い温度にしても、カプセルトナー24を定着させることができる。
また定着温度をシェル部分が溶融可能な温度よりも低い温度にすることによってコア部分が溶融しすぎることを防ぐことができるので、高温オフセット現象の発生を防ぐことができる。また本実施形態ではカプセルトナー24をヒートローラ15によって加熱および加圧するので、赤外線照射手段14のみで定着させる場合に比べて定着性を向上させることができる。したがって本実施形態では、高温オフセット現象を発生させることなく、カプセルトナーの定着性を向上させることができる。
「シェル部分が溶融可能な温度」とは、加熱ローラ30と加圧ローラ31との当接部であるニップ部32を記録用紙25が通過するときに、カプセルトナー24に対してシェル部分が溶融温度に達するのに必要な熱エネルギを与えることのできる加熱ローラ30の表面温度のことである。「コア部分が溶融可能な温度」とは、加熱ローラ30と加圧ローラ31とのニップ部32を記録用紙25が通過するときに、カプセルトナー24に対してコア部分が溶融温度に達するのに必要な熱エネルギを与えることのできる加熱ローラ30の表面温度のことである。シェル部分およびコア部分が溶融可能な温度は、記録用紙25の定着装置12への搬送速度である定着速度に応じて変化する。本実施形態では、カプセルトナー24は赤外線照射手段14による赤外線の照射によってシェル部分が溶融された後にヒートローラ15によって加熱および加圧されて定着されるので、定着速度を低下させることなく、定着温度を低下させることができる。
以上のようにしてトナー像が定着された記録用紙25は、図示しない搬送手段によって画像形成装置1の外部に排出される。このようにしてトナー像が定着されて形成された画像が外部に排出されると、画像形成装置1による一連の画像形成動作が終了する。
本実施形態の画像形成装置1によれば、トナー像形成手段である画像形成ユニット11によって、第2実施形態のカプセルトナー14を用いて記録媒体である記録用紙25にトナー像が形成され、定着装置12によって定着されるので、定着性に優れる画像を形成することができる。また第2実施形態のカプセルトナー24は保存安定性に優れるので、現像剤収容容器23内におけるカプセルトナー24の凝集および現像剤収容容器23への固着を防ぐことができる。したがって画像形成装置1は、現像装置19によって記録用紙25に安定してカプセルトナー24を供給することができるので、定着性に優れる画像を安定して形成することができる。
以上に述べたように本実施形態の画像形成装置1に備わる定着装置12は、加熱加圧手段としてヒートローラ15を備えるが、加熱加圧手段はこれに限定されない。たとえば図3に示す画像形成装置2に備わる定着装置40のように、加熱加圧手段として定着ベルト機構41を備えてもよい。図3は、本発明の第4実施形態である画像形成装置2の構成を簡略化して示す側面図である。図3では、一部分の厚みを省略して示す。本実施形態の画像形成装置2は、加熱加圧手段が定着ベルト機構41であること以外は、前述の第3実施形態の画像形成装置1と同様の構成を有するので、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。定着ベルト機構41は、ヒートローラ15と同様に、赤外線照射手段14よりも記録用紙25の搬送方向下流側に設けられる。
定着ベルト機構41は、内部にハロゲンランプなどの熱源46を備える加熱ローラ42と、無端状に形成される定着ベルト43と、定着ベルト43が回転可能に張架される複数のベルトローラ44とを含む。ベルトローラ44は、本実施形態では3つが設けられる。定着ベルト43は、その外表面が加熱ローラ42の外周面と接触するように、ベルトローラ44に張架され、ベルトローラ44によって所定の張力が付与されている。これによって定着ベルト43は、加熱ローラ42に圧接されて当接部であるニップ部45を形成する。定着ベルト43を回転移動させるために、3つのベルトローラ44のうちの1つは、モータなどの図示しない駆動手段で回転駆動される駆動ローラ44aであり、残余のベルトローラ44b,44cは、駆動ローラ44aの回転駆動に伴って従動回転可能な従動ローラである。定着ベルト43は、駆動ローラ44aの回転駆動によって摩擦駆動される。
定着ベルト機構41に供給される記録用紙25は、加熱ローラ42と定着ベルト43とによって挟持され、加熱ローラ42の回転駆動および駆動ローラ44aの回転駆動による定着ベルト43の摩擦駆動によって搬送され、ニップ部45を通過する。記録用紙25はニップ部45を通過するときに加熱ローラ42および定着ベルト43によって加熱および加圧される。これによって、記録用紙25に形成されたトナー像が溶融されて記録用紙25に定着される。定着ベルト機構41は、前述の図2に示すヒートローラ15と同様に、赤外線照射手段14による赤外線の照射終了から、定着ベルト機構41による定着開始までの時間が0.5秒以内になるように配置される。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するけれども、本発明は以下の記載内容に限定されるものではない。
(a)測定方法
以下の実施例および比較例で用いたコア結着樹脂およびシェル結着樹脂の溶融温度Tm、ガラス転移温度Tg、数平均分子量Mnおよび重量平均分子量Mw、離型剤の融点、ならびに粒子の体積平均粒径は、以下のようにして測定した。
〔コア結着樹脂およびシェル結着樹脂の溶融温度〕
降下式フローテスタ(商品名:CFT−100D、株式会社島津製作所製)を用い、試料1gに対し、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出されるようにプランジャーで1.96MPaの荷重を与えながら、温度60℃から昇温速度6℃/分で試料を加熱して溶融流出させ、試料の流出量と加熱温度との関係を表す流出量−温度特性曲線を求めた。得られたS字型の流出量−温度特性曲線の流出開始点から流出終了点までの高さhの2分の1(1/2)に対応する温度を求め、この温度を試料の溶融温度Tmとした。
〔コア結着樹脂およびシェル結着樹脂のガラス転移温度Tg〕
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度Tgとして求めた。
〔コア結着樹脂およびシェル結着樹脂の数平均分子量Mnおよび重量平均分子量Mw〕
GPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)にて、温度40℃に設定したカラムを用い、試料溶液の注入量を100mLとして測定した。試料溶液としては、乾燥後の試料の0.25重量%(固形分濃度)テトラヒドロフラン溶液を一晩放置したものを用いた。分子量校正曲線は標準ポリスチレン(単分散ポリスチレン)を用いて作成した。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量分析計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、試料1gを温度20℃から200℃まで1分間当たり10℃の割合で昇温させ、次いで200℃から20℃まで1分間当たり10℃の割合で降温させる操作を2回繰返し、DSC曲線を求めた。得られた2つのDSC曲線について、最大吸熱ピークの頂点の温度をそれぞれ求め、これらの平均値を離型剤の融点とした。リファレンスサンプルにはアルミナを用いた。
〔粒子の体積平均粒径〕
コールターマルチサイザーII(商品名、コールター株式会社製)を用いて測定した。測定粒子数は50000カウントとし、アパーチャ径は100μmとした。
(b)シェル結着樹脂の製造
シェル結着樹脂としてスチレンアクリル樹脂から成る樹脂微粒子Aを以下のようにして製造した。
攪拌装置、温度計、窒素導入管および冷却管を備えた反応容器に、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム20重量部および脱イオン水1680重量部を投入し、窒素雰囲気下で70℃に昇温した。この溶液中に、温度を70℃に保持しながら、以下に示す組成のモノマー混合液(プレエマルション)4440重量部と重合開始剤溶液560重量部とを同時に90分間かけて滴下した。重合開始剤溶液は、ペルオキソ二硫酸アンモニウム5重量部を脱イオン水620重量部に溶解させることによって調製した。モノマー混合液(プレエマルション)および重合開始剤溶液の滴下速度は、各溶液がそれぞれ90分間かけて滴下されるように調整した。
<モノマー混合液の組成>
ドデシル硫酸ナトリウム(乳化剤) 20重量部
脱イオン水 2520重量部
スチレン 500重量部
n−ブチルアクリレート 300重量部
メチルメタクリレート 1000重量部
エチレングリコールジメタクリレート 100重量部
モノマー混合液および重合開始剤溶液の滴下後、反応容器内の反応液を、温度を100℃に保持しながら3時間撹拌して反応させ、数平均分子量Mn3900、重量平均分子量Mw31000、ガラス転移温度Tg(s)64℃、溶融温度Tm(s)130℃の樹脂微粒子Aを得た。得られた樹脂微粒子Aの体積平均粒径は0.3μmであった。
(c)トナーの製造
(トナーA)
コア結着樹脂としてポリエステル樹脂(商品名:FC1469、三菱レイヨン株式会社製、溶融温度Tm(c)120℃、ガラス転移温度Tg(c)62℃)89重量部と、着色剤として銅フタロシアニン(カラーインデックスナンバー:ピグメントブルー15:3)6重量部と、帯電制御剤(商品名:NP4、クラリアント株式会社製)1重量部と、離型剤としてパラフィン系ワックス(商品名:HNP10、日本精鑞株式会社製、融点75℃)4重量部とを、ヘンシェルミキサ(商品名:FM−20、三井鉱山株式会社製)に投入して10分間混合して原料混合物を調製した。得られた原料混合物を、混練機(商品名:ニーディックスMOS140−800、三井鉱山株式会社製)にて、温度130℃に加熱して混練し、混練物を調製した。得られた混練物を冷却して粗粉砕した後、ジェットミルで微粉砕した。得られた微粉砕物を、風力分級機で分級し、コア部分として体積平均粒径6.5μmのコア粒子の粉体を得た。
前述のようにして製造したコア粒子100重量部、樹脂微粒子Aの10重量部および赤外線吸収剤としてシアニン系化合物(商品名:Kayasorb CY−10、日本化薬株式会社製)0.5重量部をヘンシェルミキサ(商品名:FM−20、三井鉱山株式会社製)に投入して10分間混合し、カプセルトナーを得た。得られたカプセルトナーを「トナーA」と称する。トナーAにおいて、シェル部分の重量比はコア部分100重量部に対して10.5重量部であり、赤外線吸収剤の含有率はトナーA全量の0.5重量%である。前述の赤外線吸収剤Kayasorb CY−10(商品名)の吸収極大波長λmaxは795nmである。
(トナーB)
トナーAを製造するときと同様にして混練物を調製した。得られた混練物100重量部と分散剤水溶液550重量部とを混合した後、得られた混合物を、圧力調整弁、加熱手段およびロータステータ式撹拌手段(口径30mm)を備える金属製の混合容器に投入し、5気圧(5atm)の加圧下で混合容器内の混合物の温度が150℃になるように加熱しながら、ロータステータ式撹拌手段で10分間撹拌し、コア部分として着色粒子を生成させた。分散剤水溶液としては、水溶性高分子分散剤(商品名:ジョンクリル52、ジョンソンポリマー株式会社製)100重量部(固形分量)に、水溶性高分子分散剤の濃度が10重量%になるように水を混合して得た分散剤濃度10重量%の分散剤水溶液を用いた。ロータステータ式撹拌手段のロータの回転速度は毎分15,000回転(15,000rpm)とした。
前述のようにして着色粒子を生成させた後、加熱を停止し、生成した着色粒子を含む混合物を撹拌しながら混合物の温度が20℃以下になるまで冷却した。次いで、導電率0.5μS/cmの水(温度20℃)を混合物に加えて着色粒子の洗浄を行なった。着色粒子の洗浄は、混合物に水(導電率0.5μS/cm)を加え、水の添加量によって固形分量が10重量%になるように調整した後、タービン型撹拌翼を用いて該撹拌翼の回転速度を毎分300回転(300rpm)として30分間撹拌することによって行なった。この洗浄操作を、撹拌後の混合物から遠心分離によって分離される上澄み液の導電率が10μS/cm以下になるまで繰返し行なった。
洗浄後の混合物から遠心分離によって着色粒子を含む固形分を分取した。分取した固形分を凍結乾燥させ、コア部分としてコア粒子を得た。得られたコア粒子の体積平均粒径は6.5μmであった。
得られたコア粒子100重量部、シェル結着樹脂として樹脂微粒子Aの10重量部および赤外線吸収剤としてシアニン系化合物(商品名:Kayasorb CY−10、日本化薬株式会社製)0.5重量部をヘンシェルミキサ(商品名:FM−20、三井鉱山株式会社製)に投入して10分間混合し、カプセルトナーを得た。得られたカプセルトナーを「トナーB」と称する。トナーBにおいて、シェル部分の重量比はコア部分100重量部に対して10.5重量部であり、赤外線吸収剤の含有率はトナーB全量の0.5重量%である。
(トナーC)
赤外線吸収剤の配合量を2.0重量部に変更する以外はトナーBと同様にしてカプセルトナーを製造した。得られたカプセルトナーを「トナーC」と称する。トナーCにおいて、シェル部分の重量比はコア部分100重量部に対して12.0重量部であり、赤外線吸収剤の含有率はトナーC全量の1.8重量%である。
(トナーD)
赤外線吸収剤の配合量を0.08重量部に変更する以外はトナーBと同様にしてカプセルトナーを製造した。得られたカプセルトナーを「トナーD」と称する。トナーDにおいて、シェル部分の重量比はコア部分100重量部に対して10.1重量部であり、赤外線吸収剤の含有率はトナーD全量の0.07重量%である。
(トナーE)
シェル結着樹脂である樹脂微粒子Aの配合量を30重量部に変更し、赤外線吸収剤の配合量を1.5重量部に変更する以外はトナーBと同様にしてカプセルトナーを製造した。得られたカプセルトナーを「トナーE」と称する。トナーEにおいて、シェル部分の重量比はコア部分100重量部に対して31.5重量部であり、赤外線吸収剤の含有率はトナーE全量の1.1重量%である。
(トナーF)
シェル結着樹脂である樹脂微粒子Aの配合量を0.5重量部に変更し、赤外線吸収剤の配合量を0.05重量部に変更する以外はトナーBと同様にしてカプセルトナーを製造した。得られたカプセルトナーを「トナーF」と称する。トナーFにおいて、シェル部分の重量比はコア部分100重量部に対して0.6重量部であり、赤外線吸収剤の含有率はトナーF全量の0.05重量%である。
(トナーG)
赤外線吸収剤を用いない以外はトナーBと同様にしてカプセルトナーを製造した。得られたカプセルトナーを「トナーG」と称する。トナーGにおいて、シェル部分の重量比はコア部分100重量部に対して10重量部である。
(トナーH)
トナーBと同様にしてコア粒子を製造し、これをトナーHとした。
(d)トナーの評価
(c)において得られたトナーA〜Hについて、以下のようにして保存安定性を評価した。
トナー10gをガラス瓶に入れ、温度60℃の環境下に48時間放置した後、ガラス瓶中のトナーを目視によって観察し、凝集したトナー(以後、「凝集トナー」とも称する)の量を確認した。凝集トナーの量を評価指標として用い、以下の評価基準に基づいてトナーの保存安定性を評価した。評価結果を表1に示す。表1では後述する実施例の評価結果と合わせて各トナーの保存安定性の評価結果を示す。
○:良好。凝集トナーがない。
△:実用上問題無し。凝集トナーが存在するが、わずかである。
×:不良。凝集トナーが多量に存在する。
(e)実施例
(実施例1)
トナーAを用い、前述の図2に示す画像形成装置1によって、記録媒体である記録用紙(商品名:PPC用紙SF−4AM3、シャープ株式会社製)に、縦20mm、横50mmの長方形状のシアン色べた画像部を含むサンプル画像を、べた画像部における未定着状態でのトナーの記録用紙への付着量が0.5mg/cmになるように調整して形成し、これを評価用画像とした。
前述の図2に示す画像形成装置1の定着装置12は、赤外線照射手段であるフラッシュ光照射手段14と、加熱加圧手段であるヒートローラ15とを備える。本実施例ではフラッシュ光照射手段14の光源としてキセノンフラッシュランプを用い、0.01秒間隔で間欠的にフラッシュ光を照射させた。フラッシュ光照射手段14からのフラッシュ光の照射強度は、記録用紙のトナー像が形成される面において2.0J/cmとなるようにした。またヒートローラ15の加熱ローラ30の表面温度である定着温度は140℃とし、定着装置12への記録用紙の搬送速度である定着速度は120mm/sとした。
(実施例2〜6)
トナーAに代えて、トナーB〜Fをそれぞれ用いる以外は、実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
(比較例1)
前述の図2に示す画像形成装置1に代えて、前述の図2に示す画像形成装置1から赤外線照射手段であるフラッシュ光照射手段14を取除いた画像形成装置を用い、トナーAに代えてトナーBを用いる以外は、実施例1と同様にして評価用画像を形成した。本比較例で用いた画像形成装置の定着装置は、前述の図2に示すヒートローラ15のみで構成される。ヒートローラ15の加熱ローラ30の表面温度である定着温度は140℃とし、定着装置12への記録用紙の搬送速度である定着速度は120mm/sとした。
(比較例2)
前述の図2に示す画像形成装置1に代えて、前述の図2に示す画像形成装置1から加熱加圧手段であるヒートローラ15を取除いた画像形成装置を用い、トナーAに代えてトナーBを用いる以外は、実施例1と同様にして評価用画像を形成した。本比較例で用いた画像形成装置の定着装置は、前述の図2に示すフラッシュ光照射手段14のみで構成される。定着装置12への記録用紙の搬送速度である定着速度は120mm/sとした。フラッシュ光照射手段14によるフラッシュ光の照射条件は、実施例1と同様にした。
(比較例3)
トナーAに代えて、トナーGを用いる以外は、実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
(比較例4)
トナーAに代えて、トナーHを用いる以外は、実施例1と同様にして評価用画像を形成した。本比較例では、ヒートローラのニップ部を通過するときに高温オフセット現象が発生し、べた画像部の一部のトナーがヒートローラに付着して取去られた。
(f)評価用画像の評価
(e)の実施例1〜6および比較例1〜4において形成された評価用画像について、以下のようにして定着性および彩度を評価した。前述の比較例4では、高温オフセット現象が発生したので、定着性については評価せず、彩度についてのみ評価した。
〔定着性〕
分光光度計(商品名:X−Rite938、X−Rite社製)を用いて、評価用画像のべた画像部の反射率濃度を画像濃度として測定し、これを粘着テープ貼付け前の画像濃度とした。次いで、評価用画像のべた画像部に粘着テープを貼付けた後、粘着テープを剥離し、粘着テープが貼付けられていた部分の画像濃度を前述の分光光度計によって測定し、これを粘着テープ剥離後の画像濃度とした。測定結果から、下記式に基づいて、粘着テープ貼付け前の画像濃度に対する粘着テープ剥離後の画像濃度の比率をトナー残存率として求めた。
(トナー残存率)=(テープ剥離後の画像濃度/テープ貼付け前の画像濃度)×100%
求めたトナー残存率を評価指標として用い、以下の評価基準に基づいて定着性を評価した。
○:良好。トナー残存率が80.0%以上である。
△:実用上問題なし。トナー残存率が60.0%以上80.0%未満である。
×:不良。トナー残存率が60.0%未満である。
〔彩度〕
評価用画像のべた画像部について、分光光度計(商品名:X−Rite938、X−Rite社製)を用いて、日本工業規格(JIS)Z8729に規定されるL表色系(CIE1976)における色座標aおよびbを測定し、下記式(1)に基づいて、abクロマC abの値を算出した。
ab=[(a+(b1/2 …(1)
算出したabクロマC abの値を評価指標として用い、以下の評価基準に基づいて彩度を評価した。
○:良好。abクロマC abが60以上である。
△:実用上問題なし。abクロマC abが55以上60未満である。
×:不良。abクロマC abが55未満である。
以上の評価結果を表1に示す。表1において「−」は評価していないことを表す。
Figure 2007298582
実施例1〜6と比較例1〜4との比較から、実施例1〜6のようにシェル部分に赤外線吸収剤を含有するカプセルトナーを用いてトナー像を形成し、赤外線を含むフラッシュ光を照射した後ヒートローラ15で加熱加圧して定着させることによって、比較例1および2に比べて、定着性および彩度に優れる画像を形成できることが判る。
これに対し、比較例1,2のようにヒートローラによる加熱加圧のみまたはフラッシュ光のみによって定着させると、充分な定着性が得られないことが判る。
また比較例3のようにシェル部分が赤外線吸収剤を含有しないトナーを用いると、赤外線を含むフラッシュ光を照射した後ヒートローラ15で加熱加圧して定着させても、充分な定着性が得られないことが判る。これは、比較例3では、フラッシュ光を照射してもシェル部分が溶融されないためであると推察される。
また比較例1〜3では、実施例1〜6に比べて、形成される画像の彩度が低くなった。これは、比較例1〜3では、トナーが充分に溶融せずに記録媒体に定着されたためであると推察される。
また比較例4で用いられるトナーHのようにシェル部分を有しないトナーは、保存安定性が悪く、トナーの凝集が発生することが判る。また比較例4のようにシェル部分を有しないトナーを用いると、定着するときにトナーが溶融しすぎて高温オフセット現象が発生した。
また実施例1,2と実施例3との比較から、シェル部分に含有される赤外線吸収剤の含有率がトナー全量の0.10重量%以上0.5重量%以下であるカプセルトナーを用いることによって、赤外線吸収剤の含有率が0.5重量%を超えるカプセルトナーを用いる場合に比べて、形成される画像の彩度が向上されることが判る。
また実施例1,2と実施例4との比較から、シェル部分に含有される赤外線吸収剤の含有率がトナー全量の0.10重量%以上0.5重量%以下であるカプセルトナーを用いることによって、赤外線吸収剤の含有率が0.10重量%未満である場合に比べて、形成される画像の定着性が向上されることが判る。
また実施例1,2と実施例5との比較から、シェル部分の重量比がコア部分100重量部に対して1重量部以上20重量部以下であるカプセルトナーを用いることによって、シェル部分の重量比が20重量部を超えるカプセルトナーを用いる場合に比べて、形成される画像の定着性が向上されることが判る。
また実施例1〜4と実施例6との比較から、シェル部分の重量比がコア部分100重量部に対して1重量部以上20重量部以下であるトナーA〜Dは、シェル部分の重量比が1重量部未満であるトナーFに比べて、保存安定性に優れることが判る。
以上のように、シェル部分に赤外線吸収剤を含有するカプセルトナーを用いてトナー像を形成し、赤外線を照射した後、定着部材を圧接させて加熱および加圧することによって、カプセルトナーの定着性を向上させることができることが判った。
本発明の第1実施形態である画像形成方法の手順を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態である画像形成装置1の構成を簡略化して示す側面図である。 本発明の第4実施形態である画像形成装置2の構成を簡略化して示す側面図である。
符号の説明
1,2 画像形成装置
11 画像形成ユニット
12,40 定着装置
13 転写搬送ベルト機構
14 赤外線照射手段
15 ヒートローラ
16 感光体
17 帯電装置
18 露光装置
19 現像装置
20 転写ローラ
21 クリーニング装置
30 加熱ローラ
31 加圧ローラ
41 定着ベルト機構
42 加熱ローラ
43 定着ベルト
44 ベルトローラ

Claims (5)

  1. 着色剤および第1の結着樹脂を含有するコア部分と、コア部分を被覆し、赤外線吸収剤および第2の結着樹脂を含有するシェル部分であって、コア部分の溶融温度よりも高い溶融温度を有するシェル部分とを有するカプセルトナーを用いて記録媒体に形成されるトナー像に、少なくとも赤外線を照射して、トナー像を形成するカプセルトナーの少なくともシェル部分を溶融させるシェル溶融工程と、
    シェル溶融工程後に定着部材を圧接させてカプセルトナーを加熱および加圧して記録媒体に定着させる定着工程とを含むことを特徴とする画像形成方法。
  2. カプセルトナーは、赤外線吸収剤の含有率が、0.10重量%以上0.5重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. カプセルトナーは、シェル部分の重量比が、コア部分100重量部に対して1重量部以上20重量部以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
  4. 着色剤および第1の結着樹脂を含有するコア部分と、コア部分を被覆し、赤外線吸収剤および第2の結着樹脂を含有するシェル部分であって、コア部分の溶融温度よりも高い溶融温度を有するシェル部分とを有するカプセルトナーを用いて記録媒体に形成されるトナー像に、少なくとも赤外線を照射可能な赤外線照射手段と、赤外線照射手段よりも記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、定着部材を圧接させてカプセルトナーを加熱および加圧可能な加熱加圧手段とを持つ定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
  5. 着色剤および第1の結着樹脂を含有するコア部分と、コア部分を被覆し、赤外線吸収剤および第2の結着樹脂を含有するシェル部分であって、コア部分の溶融温度よりも高い溶融温度を有するシェル部分とを有することを特徴とするカプセルトナー。
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