JP2007298538A - 感光性組成物、感光性フィルム、永久パターン形成方法、及びプリント基板 - Google Patents

感光性組成物、感光性フィルム、永久パターン形成方法、及びプリント基板 Download PDF

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Abstract

【課題】ソルダーレジスト用途として、ジチオリデンケトン増感色素を含む光重合開始系化合物により、高感度及び高解像度であり、保存安定性が良好で、かつ要求される諸性質が良好で高精細な永久パターンを形成可能な感光性組成物、感光性フィルム、前記感光性組成物を用いた永久パターン形成方法、及び前記永久パターン形成方法によりパターンが形成されるプリント基板の提供。
【解決手段】バインダー、重合性化合物、光重合開始系化合物、及び熱架橋剤を含み、光重合開始系化合物が、(A)中性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体であり、及び(B)中性のO−アシルオキシム化合物を含む感光性組成物等である。
【選択図】なし

Description

本発明は、高精細な永久パターン(保護膜、層間絶縁膜、ソルダーレジストパターンなど)の形成に好適な、感光性組成物、感光性フィルム、永久パターン形成方法、及びプリント基板に関する。
プリント基板製造用フォトレジストは、液状レジストからドライフィルムへの切り替えが進んでいるが、その理由として、高感度及び高解像度が得られやすい、取り扱い性が優れることなどが考えられる。一方、ソルダーレジストなどの永久パターンの形成については、現在でも、液状レジストがほとんどであって、ドライフィルム化が遅れている。
その原因の一つとして、ソルダーレジストが、カルボン酸基含有樹脂とエポキシ樹脂とを含むことが挙げられる。
より具体的には、前記ソルダーレジストの製造では、アルカリ現像システムが一般化しており、前記カルボン酸基含有樹脂はアルカリ現像処理のために必須の成分であり、エポキシ樹脂は得られるソルダーレジスト硬化膜の耐熱性、硬度、基板密着性などを実現するには必須の成分である。
すなわち、ソルダーレジスト中には、元来反応性のあるエポキシ基とカルボキシル基とが共存する必要があり、これがソルダーレジストフィルムの保存安定性を限られたものにしている。特に、黄色安全灯下での光安定性に優れ、マスクレス露光が可能な青紫色レーザ(波長405±5nm)露光システムを適用するにあたり、高感度のソルダーレジストを実現するためには、保存安定性の向上が大きな課題の一つである。
また、永久パターンとしてのソルダーレジストには、鉛筆硬度、密着性、電気絶縁性、耐酸性、耐アルカリ性、無電解金メッキ耐性、PCT耐性等の諸性質が良好であることが求められる。
ここで、高感度な光重合開始剤として、アシルオキシム(特許文献1参照)が提案されている。また、ソルダーレジスト用途として、オキシムエーテルとエポキシアクリレートオリゴマーとを組み合わせて用いた硬化性組成物(特許文献2参照)、オキシムエーテルを用いた硬化性組成物(特許文献3参照)、アシルオキシムと硫黄原子を有するベンゾフェノンとを組み合わせて用いた硬化性組成物(特許文献4参照)が提案されている。しかし、これらの提案においても、感度及び保存安定性が不十分であった。
一方、平版印刷用原版用途として、ジチオリデンケトン増感色素と特定の活性剤とを組み合わせて用い、感度の向上を図った感光性組成物が提案されている(特許文献5参照)。しかし、この提案の組み合わせをそのままソルダーレジスト用途として適用しても、感度の向上を図ることは困難であった。
したがって、ソルダーレジスト用途として、ジチオリデンケトン増感色素を含む光重合開始系化合物により、高感度及び高解像度であり、保存安定性が良好で、かつ要求される諸性質が良好で高精細な永久パターンを形成可能な感光性組成物、感光性フィルム、前記感光性組成物を用いた永久パターン形成方法、及び前記永久パターン形成方法によりパターンが形成されるプリント基板は未だ提供されておらず、更なる改良開発が望まれているのが現状である。
特開2000−80068号公報 特開2001−302871号公報 国際公開02/96969号パンフレット 特開2005−182004号公報 特開2000−258910号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、ソルダーレジスト用途として、ジチオリデンケトン増感色素を含む光重合開始系化合物により、高感度及び高解像度であり、保存安定性が良好で、かつ要求される諸性質が良好で高精細な永久パターンを形成可能な感光性組成物、感光性フィルム、前記感光性組成物を用いた永久パターン形成方法、及び前記永久パターン形成方法によりパターンが形成されるプリント基板を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者が鋭意検討を行った結果、バインダー、重合性化合物、光重合開始系化合物、及び熱架橋剤を含み、光重合開始系化合物が、(A)中性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体、及び(B)中性のO−アシルオキシム化合物を含む感光性組成物が、高感度及び高解像度であり、保存安定性が良好で、かつ要求される諸性質が良好で高精細な永久パターンを形成可能であることを知見した。ここで、前記感光性組成物では、前記中性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体が増感色素として光吸収し、共存する前記中性のO−アシルオキシム化合物からの開始ラジカル発生を促進するものと考えられる。
本発明は、本発明者の前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> バインダー、重合性化合物、光重合開始系化合物、及び熱架橋剤を含み、光重合開始系化合物が、(A)中性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体であり、かつ下記一般式(I)で表される化合物、及び(B)下記一般式(II−1)〜(II−4)のいずれかで表される中性のO−アシルオキシム化合物を含むことを特徴とする感光性組成物である。
ただし、前記一般式(I)中、R、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に、中性の非金属原子団の基を表し、RとRとは互いに結合して5〜8員環を形成してもよい。
ただし、前記一般式(II−1)〜(II−4)中、Rは、フェニル基、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルカノイル基、ベンゾイル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、CONR2223、CN、NO、アリール基、及びジフェニルホスフィノイル基のいずれかを表す。R10は、アルカノイル基、アルケノイル基、ベンゾイル基、アルコキシカルボニル基、及びフェノキシカルボニル基のいずれかを表す。R11、R12、R13、R14、及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、OR20、SR21、SOR21、及びSO21のいずれかを表す。R16は、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、シクロアルキル基、CONR2223、CN、フェニル基、及びアルキル基のいずれかを表す。R17、R18、及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、OR20、SR21、SOR21、及びSO21のいずれかを表す。R20は水素原子、アルキル基、(CHCHO)nH、アルカノイル基、アルケニル基、炭素原子数3〜6のアルケノイル基、及びフェニル基を表し、nは1〜20の整数を表す。R21は、アルキル基、及びフェニル基のいずれかを表す。R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニル基、アルカノイル基、アルケノイル基、及びベンゾイル基のいずれかを表す。Mは、アルキレン基、シクロヘキシレン基、及びフェニレン基のいずれかを表す。
<2> (A)中性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体が、2−(5−tert−ブチルベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン、2−(ナフト[1,2]−1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン、及び2−(ベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−3−フェニル−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデンのいずれかである前記<1>に記載の感光性組成物である。
<3> (B)中性のO−アシルオキシム化合物が、(1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−ベンゾアート、及び(2−アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オンのいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<4> 光重合開始系化合物が、水素供与体化合物を含む前記<1>から<3>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<5> 水素供与体化合物が、N−フェニルグリシン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィドのいずれかである前記<4>に記載の感光性組成物である。
<6> (A)中性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体と、(B)中性のO−アシルオキシム化合物との含有量比が、2:8〜8:2である前記<1>から<5>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<7> 熱硬化促進剤を含む前記<1>から<6>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<8> バインダーが、アルカリ可溶性架橋性樹脂である前記<1>から<7>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<9> 重合性化合物が、(メタ)アクリル基を有するモノマーを含む前記<1>から<8>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<10> 熱架橋剤が、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物にブロック剤を反応させて得られる化合物、及びメラミン誘導体から選択される少なくとも1種である前記<1>から<9>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<11> 無機充填剤を含む前記<1>から<10>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<12> 支持体と、該支持体上に前記<1>から<11>のいずれかに記載の感光性組成物からなる感光層とを有することを特徴とする感光性フィルムである。
<13> 支持体が、合成樹脂を含み、かつ透明である前記<12>に記載の感光性フィルムである。
<14> 支持体が、長尺状である前記<12>から<13>のいずれかに記載の感光性フィルムである。
<15> 長尺状であり、ロール状に巻かれてなる前記<12>から<14>のいずれかに記載の感光性フィルムである。
<16> 感光層上に保護フィルムを有する前記<12>から<15>のいずれかに記載の感光性フィルムである。
<17> 感光層の厚みが、1〜100μmである前記<12>から<16>のいずれかに記載の感光性フィルムである。
<18> 光を照射可能な光照射手段と、該光照射手段からの光を変調し、前記<1>から<11>のいずれかに記載の感光性組成物により形成された感光層に対して露光を行う光変調手段とを少なくとも有することを特徴とするパターン形成装置である。該<18>に記載のパターン形成装置においては、前記光照射手段が、前記光変調手段に向けて光を照射する。前記光変調手段が、前記光照射手段から受けた光を変調する。前記光変調手段により変調した光が前記感光層に対して露光させる。例えば、その後、前記感光層を現像すると、高精細なパターンが形成される。
<19> 光変調手段が、形成するパターン情報に基づいて制御信号を生成するパターン信号生成手段を更に有してなり、光照射手段から照射される光を該パターン信号生成手段が生成した制御信号に応じて変調させる前記<18>に記載のパターン形成装置である。該<19>に記載のパターン形成装置においては、前記光変調手段が前記パターン信号生成手段を有することにより、前記光照射手段から照射される光が該パターン信号生成手段により生成した制御信号に応じて変調される。
<20> 光変調手段が、n個の描素部を有してなり、該n個の描素部の中から連続的に配置された任意のn個未満の前記描素部を、形成するパターン情報に応じて制御可能である前記<18>から<19>のいずれかに記載のパターン形成装置である。該<20>に記載のパターン形成装置においては、前記光変調手段におけるn個の描素部の中から連続的に配置された任意のn個未満の描素部をパターン情報に応じて制御することにより、前記光照射手段からの光が高速で変調される。
<21> 光変調手段が、空間光変調素子である前記<18>から<20>のいずれかに記載のパターン形成装置である。
<22> 空間光変調素子が、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)である前記<21>に記載のパターン形成装置である。
<23> 描素部が、マイクロミラーである前記<20>から<22>のいずれかに記載のパターン形成装置である。
<24> 光照射手段が、2以上の光を合成して照射可能である前記<18>から<23>のいずれかに記載のパターン形成装置である。該<24>に記載のパターン形成装置においては、前記光照射手段が2以上の光を合成して照射可能であることにより、露光が焦点深度の深い露光光によって行われる。この結果、前記感光層への露光が極めて高精細に行われる。例えば、その後、前記感光層を現像すると、極めて高精細なパターンが形成される。
<25> 光照射手段が、複数のレーザと、マルチモード光ファイバと、該複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザ光を集光して前記マルチモード光ファイバに結合させる集合光学系とを有する前記<18>から<24>のいずれかに記載のパターン形成装置である。該<25>に記載のパターン形成装置においては、前記光照射手段が、前記複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザ光が前記集合光学系により集光され、前記マルチモード光ファイバに結合可能であることにより、露光が焦点深度の深い露光光で行われる。この結果、前記感光層への露光が極めて高精細に行われる。例えば、その後、前記感光層を現像すると、極めて高精細なパターンが形成される。
<26> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の感光性組成物により形成された感光層に対して露光を行うことを含むことを特徴とする永久パターン形成方法である。
<27> 感光層が、前記<12>から<17>のいずれかに記載の感光性フィルムにより形成された前記<26>に記載の永久パターン形成方法である。
<28> 露光が、350〜415nmの波長のレーザ光を用いて行われる前記<26>から<27>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<29> 露光が、形成するパターン情報に基づいて像様に行われる前記<26>から<28>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<30> 感光層に対し、光照射手段、及び前記光照射手段からの光を受光し出射するn個(ただし、nは2以上の自然数)の2次元状に配列された描素部を有し、パターン情報に応じて前記描素部を制御可能な光変調手段を備えた露光ヘッドであって、該露光ヘッドの走査方向に対し、前記描素部の列方向が所定の設定傾斜角度θをなすように配置された露光ヘッドを用い、
前記露光ヘッドについて、使用描素部指定手段により、使用可能な前記描素部のうち、N重露光(ただし、Nは2以上の自然数)に使用する前記描素部を指定し、
前記露光ヘッドについて、描素部制御手段により、前記使用描素部指定手段により指定された前記描素部のみが露光に関与するように、前記描素部の制御を行い、
前記感光層に対し、前記露光ヘッドを走査方向に相対的に移動させて行われる前記<26>から<29>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。該<30>に記載の永久パターン形成方法においては、前記露光ヘッドについて、使用描素部指定手段により、使用可能な前記描素部のうち、N重露光(ただし、Nは2以上の自然数)に使用する前記描素部が指定され、描素部制御手段により、前記使用描素部指定手段により指定された前記描素部のみが露光に関与するように、前記描素部が制御される。前記露光ヘッドを、前記感光層に対し走査方向に相対的に移動させて露光が行われることにより、前記露光ヘッドの取付位置や取付角度のずれによる前記感光層の被露光面上に形成される前記パターンの解像度のばらつきや濃度のむらが均される。この結果、前記感光層への露光が高精細に行われ、その後、前記感光層を現像することにより、高精細なパターンが形成される。
<31> 露光が複数の露光ヘッドにより行われ、使用描素部指定手段が、複数の前記露光ヘッドにより形成される被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域の露光に関与する描素部のうち、前記ヘッド間つなぎ領域におけるN重露光を実現するために使用する前記描素部を指定する前記<30>に記載の永久パターン形成方法である。該<31>に記載の永久パターン形成方法においては、露光が複数の露光ヘッドにより行われ、使用描素部指定手段が、複数の前記露光ヘッドにより形成される被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域の露光に関与する描素部のうち、前記ヘッド間つなぎ領域におけるN重露光を実現するために使用する前記描素部が指定されることにより、前記露光ヘッドの取付位置や取付角度のずれによる前記感光層の被露光面上のヘッド間つなぎ領域に形成される前記パターンの解像度のばらつきや濃度のむらが均される。この結果、前記感光層への露光が高精細に行われ、その後、前記感光層を現像することにより、高精細なパターンが形成される。
<32> 露光が複数の露光ヘッドにより行われ、使用描素部指定手段が、複数の前記露光ヘッドにより形成される被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域以外の露光に関与する描素部のうち、前記ヘッド間つなぎ領域以外の領域におけるN重露光を実現するために使用する前記描素部を指定する前記<31>に記載の永久パターン形成方法である。該<32>に記載の永久パターン形成方法においては、露光が複数の露光ヘッドにより行われ、使用描素部指定手段が、複数の前記露光ヘッドにより形成される被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域以外の露光に関与する描素部のうち、前記ヘッド間つなぎ領域以外におけるN重露光を実現するために使用する前記描素部が指定されることにより、前記露光ヘッドの取付位置や取付角度のずれによる前記感光層の被露光面上のヘッド間つなぎ領域以外に形成される前記パターンの解像度のばらつきや濃度のむらが均される。この結果、前記感光層への露光が高精細に行われ、その後、前記感光層を現像することにより、高精細なパターンが形成される。
<33> 設定傾斜角度θが、N重露光数のN、描素部の列方向の個数s、前記描素部の列方向の間隔p、及び露光ヘッドを傾斜させた状態において該露光ヘッドの走査方向と直交する方向に沿った描素部の列方向のピッチδに対し、次式、spsinθideal≧Nδを満たすθidealに対し、θ≧θidealの関係を満たすように設定される前記<30>から<32>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<34> N重露光のNが、3以上の自然数である前記<30>から<33>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。該<34>に記載の永久パターン形成方法においては、N重露光のNが、3以上の自然数であることにより、多重描画が行われる。この結果、埋め合わせの効果により、前記露光ヘッドの取付位置や取付角度のずれによる前記感光層の被露光面上に形成される前記パターンの解像度のばらつきや濃度のむらが、より精密に均される。
<35> 使用描素部指定手段が、
描素部により生成されて被露光面上の露光領域を構成する描素単位としての光点位置を、被露光面上において検出する光点位置検出手段と、
前記光点位置検出手段による検出結果に基づき、N重露光を実現するために使用する描素部を選択する描素部選択手段と
を備える前記<30>から<34>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<36> 使用描素部指定手段が、N重露光を実現するために使用する使用描素部を、行単位で指定する前記<30>から<35>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<37> 光点位置検出手段が、検出した少なくとも2つの光点位置に基づき、露光ヘッドを傾斜させた状態における被露光面上の光点の列方向と前記露光ヘッドの走査方向とがなす実傾斜角度θ´を特定し、描素部選択手段が、前記実傾斜角度θ´と設定傾斜角度θとの誤差を吸収するように使用描素部を選択する前記<35>から<36>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<38> 実傾斜角度θ´が、露光ヘッドを傾斜させた状態における被露光面上の光点の列方向と前記露光ヘッドの走査方向とがなす複数の実傾斜角度の平均値、中央値、最大値、及び最小値のいずれかである前記<37>に記載の永久パターン形成方法である。
<39> 描素部選択手段が、実傾斜角度θ´に基づき、ttanθ´=N(ただし、NはN重露光数のNを表す)の関係を満たすtに近い自然数Tを導出し、m行(ただし、mは2以上の自然数を表す)配列された描素部における1行目から前記T行目の前記描素部を、使用描素部として選択する前記<35>から<38>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<40> 描素部選択手段が、実傾斜角度θ´に基づき、ttanθ´=N(ただし、NはN重露光数のNを表す)の関係を満たすtに近い自然数Tを導出し、m行(ただし、mは2以上の自然数を表す)配列された描素部における、(T+1)行目からm行目の前記描素部を、不使用描素部として特定し、該不使用描素部を除いた前記描素部を、使用描素部として選択する前記<35>から<38>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<41> 描素部選択手段が、複数の描素部列により形成される被露光面上の重複露光領域を少なくとも含む領域において、
(1)理想的なN重露光に対し、露光過多となる領域、及び露光不足となる領域の合計面積が最小となるように、使用描素部を選択する手段、
(2)理想的なN重露光に対し、露光過多となる領域の描素単位数と、露光不足となる領域の描素単位数とが等しくなるように、使用描素部を選択する手段、
(3)理想的なN重露光に対し、露光過多となる領域の面積が最小となり、かつ、露光不足となる領域が生じないように、使用描素部を選択する手段、及び
(4)理想的なN重露光に対し、露光不足となる領域の面積が最小となり、かつ、露光過多となる領域が生じないように、使用描素部を選択する手段
のいずれかである前記<35>から<40>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<42> 描素部選択手段が、複数の露光ヘッドにより形成される被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域において、
(1)理想的なN重露光に対し、露光過多となる領域、及び露光不足となる領域の合計面積が最小となるように、前記ヘッド間つなぎ領域の露光に関与する描素部から、不使用描素部を特定し、該不使用描素部を除いた前記描素部を、使用描素部として選択する手段、
(2)理想的なN重露光に対し、露光過多となる領域の描素単位数と、露光不足となる領域の描素単位数とが等しくなるように、前記ヘッド間つなぎ領域の露光に関与する描素部から、不使用描素部を特定し、該不使用描素部を除いた前記描素部を、使用描素部として選択する手段、
(3)理想的なN重露光に対し、露光過多となる領域の面積が最小となり、かつ、露光不足となる領域が生じないように、前記ヘッド間つなぎ領域の露光に関与する描素部から、不使用描素部を特定し、該不使用描素部を除いた前記描素部を、使用描素部として選択する手段、及び、
(4)理想的なN重露光に対し、露光不足となる領域の面積が最小となり、かつ、露光過多となる領域が生じないように、前記ヘッド間つなぎ領域の露光に関与する描素部から、不使用描素部を特定し、該不使用描素部を除いた前記描素部を、使用描素部として選択する手段、
のいずれかである前記<35>から<41>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<43> 不使用描素部が、行単位で特定される前記<42>に記載の永久パターン形成方法である。
<44> 使用描素部指定手段において使用描素部を指定するために、使用可能な前記描素部のうち、N重露光のNに対し、(N−1)列毎の描素部列を構成する前記描素部のみを使用して参照露光を行う前記<30>から<43>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。該<44>に記載の永久パターン形成方法においては、使用描素部指定手段において使用描素部を指定するために、使用可能な前記描素部のうち、N重露光のNに対し、(N−1)列毎の描素部列を構成する前記描素部のみを使用して参照露光が行われ、略1重描画の単純なパターンが得られる。この結果、前記ヘッド間つなぎ領域における前記描素部が容易に指定される。
<45> 使用描素部指定手段において使用描素部を指定するために、使用可能な前記描素部のうち、N重露光のNに対し、1/N行毎の描素部行を構成する前記描素部のみを使用して参照露光を行う前記<30>から<44>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。該<45>に記載の永久パターン形成方法においては、使用描素部指定手段において使用描素部を指定するために、使用可能な前記描素部のうち、N重露光のNに対し、1/N行毎の描素部列を構成する前記描素部のみを使用して参照露光が行われ、略1重描画の単純なパターンが得られる。この結果、前記ヘッド間つなぎ領域における前記描素部が容易に指定される。
<46> 使用描素部指定手段が、光点位置検出手段としてスリット及び光検出器、並びに描素部選択手段として前記光検出器と接続された演算装置を有する前記<30>から<45>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<47> N重露光のNが、3以上7以下の自然数である前記<30>から<46>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<48> パターン情報が表すパターンの所定部分の寸法が、指定された使用描素部により実現できる対応部分の寸法と一致するように前記パターン情報を変換する前記<30>から<47>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<49> 露光が行われた後、感光層の現像を行う前記<26>から<48>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<50> 現像が行われた後、感光層に対して硬化処理を行う前記<49>に記載の永久パターン形成方法である。
<51> 硬化処理が、全面露光処理及び120〜200℃で行われる全面加熱処理の少なくともいずれかである前記<50>に記載の永久パターン形成方法である。該<51>に記載の永久パターン形成方法においては、前記全面露光処理において、前記感光性組成物中の樹脂の硬化が促進される。また、前記温度条件で行われる全面加熱処理において、硬化膜の膜強度が高められる。
<52> 前記<26>から<51>のいずれかに記載のパターン形成方法により形成されることを特徴とする永久パターンである。該<52>に記載の永久パターンは、前記パターン形成方法により形成されるので、優れた耐薬品性、表面硬度、耐熱性などを有し、かつ高精細であり、半導体や部品の多層配線基板やビルドアップ配線基板などへの高密度実装に有用である。
<53> 保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターンの少なくともいずれかである前記<52>に記載の永久パターンである。該<53>に記載の永久パターンは、保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターンの少なくともいずれかであるので、該膜の有する絶縁性、耐熱性などにより、配線が外部からの衝撃や曲げなどから保護される。
<54> 前記<26>から<51>のいずれかに記載の永久パターン形成方法により永久パターンが形成されることを特徴とするプリント基板である。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、ソルダーレジスト用途として、ジチオリデンケトン増感色素を含む光重合開始系化合物により、高感度及び高解像度であり、保存安定性が良好で、かつ要求される諸性質が良好で高精細な永久パターンを形成可能な感光性組成物、感光性フィルム、前記感光性組成物を用いた永久パターン形成方法、及び前記永久パターン形成方法によりパターンが形成されるプリント基板を提供することができる。
(感光性組成物)
本発明の感光性組成物は、バインダー、重合性化合物、光重合開始系化合物、及び熱架橋剤を少なくとも含み、好ましくは熱硬化促進剤を含み、更に必要に応じて、適宜選択されたその他の成分を含む。
<光重合開始系化合物>
前記光重合開始系化合物は、(A)中性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体、及び(B)中性のO−アシルオキシム化合物を含み、更に、水素供与体化合物を含むことが好ましい。ここで、「中性」とは、水又は水と混和性の溶剤の溶液に溶解したときに、pHが6.4〜7.4を示すものを表す。
−2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体−
本発明の前記2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体は、下記一般式(I)で表される。
ただし、前記一般式(I)中、R、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に、中性の非金属原子団の基を表し、RとRとは互いに結合して5〜8員環を形成してもよい。
前記一般式(I)におけるR及びRとしては、水素原子、置換基を有してもよい、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基が好ましい。
前記R及びRにおける好ましいアルキル基の例としては、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状、及び環状のアルキル基が挙げられる。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基が挙げられる。これらの中では、炭素原子数1〜12の直鎖状のアルキル基、炭素原子数3〜12の分岐状のアルキル基、並びに炭素原子数5〜10の環状のアルキル基がより好ましい。
前記アルキル基の有してもよい置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団の基が挙げられる。
前記置換基の好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N'−アルキルウレイド基、N',N'−ジアルキルウレイド基、N'−アリールウレイド基、N',N'−ジアリールウレイド基、N'−アルキル−N'−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N'−アルキル−N−アルキルウレイド基、N'−アルキル−N−アリールウレイド基、N',N'−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N',N'−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N'−アリール−N−アルキルウレイド基、N'−アリール−N−アリールウレイド基、N',N'−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N',N'−ジアリール−N−アリールウレイド基、N'−アルキル−N'−アリール−N−アルキルウレイド基、N'−アルキル−N'−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ジアルキルホスフォノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスフォノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノ基(−PO(alkyl)(aryl))、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基が挙げられる。
前記R及びRにおける好ましいアリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基等が挙げられる。
前記R及びRにおける好ましいヘテロアリール基としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する、単環又は多環芳香族環から誘導される基が挙げられる。
前記ヘテロアリール基中の、ヘテロアリール環の特に好ましい例としては、例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン等が挙げられる。これらは、更にベンゾ縮環してもよいし、置換基を有してもよい。
特に好ましいR及びRとしては、それぞれ独立に、炭素原子数1〜6の分岐していてもよいアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフリル基、チエニル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。更に、前記R及びRが互いに結合して、5、6、もしくは7員環を形成する場合には、ベンゼン環又はナフタレン環を形成するものや、トリメチレン(−(CH−)、テトラメチレン(−(CH−)を構成するものが特に好ましい。
前記一般式(I)におけるR、R、R、R、R、及びRとしては、それぞれ独立して1価の非金属原子団の基が挙げられる。
前記R、R、R、R、R、及びRとしては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、置換カルボニル基、スルホ基、スルホナト基、置換スルフイニル基、置換スルホニル基、置換ホスフォノ基、置換ホスフォナト基、シアノ基、ニトロ基、及びシリル基のいずれかがより好ましい。これらの有する置換基例としては、前述のR及びRの例として挙げたものがいずれも好適に使用できる。
前記RとRとは、互いに結合して脂肪族環を形成し、これらが結合する炭素原子を含む環と、スピロ環をなしてもよい。
好ましい前記脂肪族環としては、3員環、5員環、6員環、7員環、8員環の脂肪族環が挙げられる。これらの中でも、3員環、5員環、6員環の脂肪族環がより好ましい。
前記脂肪族環は更に、炭素原子上に置換基を有してもよいし、環構成炭素の一部が、酸素原子、硫黄原子等のへテロ原子で置換されてもよい。なお、前記置換基としては、先にR及びRとして挙げたアルキル基における置換基の例が挙げられる。
前記脂肪族環の好ましい具体例としては、シクロプロパン環、シクロペンタン環、シクロへキサン環、シクロへプタン環、シクロオクタン漠、シクロ−1,3−ジオキサペンタン環、シクロペンテン環、シクロへキセン環、シクロへプテン環、シクロオクテン環、シクロ−1,3−ジオキサペンテン環、シクロ−1,3−ジオキサへキセン環、等が挙げられる。
前記R、R、R、R、及びRとしては、RとR、RとR、及びRとRが互いに結合して脂肪族又は芳香族環を形成しているものも好適に挙げられる。
このような脂肪族環の例としては、5員環、6員環、7員環、及び8員環の脂肪族環が挙げられ、これらの中でも、5員環、6員環の脂肪族環がより好ましい。
前記脂肪族環は更に、炭素原子上に置換基を有してもよいし、環構成炭素の一部が、酸素原子、硫黄原子等のへテロ原子で置換されてもよい。なお、前記置換基としては、先に、R及びRとして挙げたアルキル基における置換基の例が挙げられる。
前記脂肪族環の好ましい具体例としては、これらが結合する炭素原子を含むベンゼン環と結合して、ベンゾシクロペンテン環、ベンゾシクロへキセン環、ベンゾシクロへプテン環、ベンゾシクロオクテン環、1,3−ベンゾシクロへキサジエン環、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキサインデン環、又はジュロリジン環をなすもの等が挙げられる。
前記芳香族環を形成する例としては、これらが結合する炭素原子を含むベンゼン環と結合して、ナフタレン又はアントラセン環をなすものが挙げられる。これらの中でも、ナフタレン環をなすものがより好ましい。前記芳香族環は、これらを構成する炭素原子上に置換基を有してもよい。なお、前記置換基としては、先にR及びRとして挙げたアルキル基における置換基の例が挙げられる。
前記R及びRとしては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換カルボニル基、トリアルキルシリル基がより好ましい。
前記R〜Rとしては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、置換アミノ基、置換カルボニル基がより好ましい。
前記1,3−ジチオリデン環構造の具体例としては、ベンズ−1,3−ジチリデン類、ナフト−1,3−ジチオリデン類、ジチオリデン類などが挙げられる。
前記ベンズ−1,3−ジチリデン類としては、例えば、ベンズ−1,3−ジチオリデン、5−t−ブチルベンズ−1,3−ジチオリデン、5−メチルベンズ−1,3−ジチオリデン、等が挙げられる。
前記ナフト−1,3−ジチオリデン類としては、例えば、ナフト[1,2]−1,3−ジチオリデン、ナフト[2,1]−1,3−ジチオリデン、等が挙げられる。
前記ジチオリデン類としては、例えば、4,5−ジメチル−1,3−ジチオリデン、4−フェニル−1,3−ジチオリデン、4−メトキシカルボニル−1,3−ジチオリデン、4,5−ジメトキシカルボニル−1,3−ジチオリデン、4,5−ジエトキシカルボニル−1,3−ジチオリデン、4,5−ジトリフルオロメチル−1,3−ジチオリデン、4,5−ジシアノ−1,3−ジチオリデン、4−メトキシカルボニルメチル−1,3−ジチオリデン、4−カルボキシメチル−1,3−ジチオリデン等が挙げられる。
前記1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン構造の具体例としては、3−メチル−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン、3,3−ジメチル−1−オキソ−2H−インデン、3−フェニル−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン、3−フェニル−6−メトキシ−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン、3−(4−トリフルオロメチル)フェニル−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン、3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン、3−tert−ブチル−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン、3−イソプロピル−4−メチル−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン、3−トリメチルシリル−4−メチル−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン、4−ブロモ−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン、5−エトキシカルボニル−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン、3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−4,5−ベンズインデン、1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−6,7−ベンズインデン等が挙げられる。
前記一般式(I)で表される化合物は、先述のジチオリデン塩基性核と、1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン骨格とを順次組み合わせることで構成できる。以下に式(1)で表される化合物の好ましい具体例D1からD15を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
D1:2−(5−tert−ブチルベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D2:2−(4−フェニル−1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D3:2−(4,5−ジメトキシカルボニル−1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D4:2−(4−メチルベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−5−トリメチルシリルメトキシ−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D5:2−(4−tert−ブチルベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−5−アリルオキシ−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D6:2−(4−フェニル−1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−6,7−ベンゾインデン
D7:2−(5−tert−ブチルベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−3−n−ブチル−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D8:2−(ナフト[1,2]−1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D9:2−(ナフト[1,2]−1,3−ジチオリデン−2−イル)−4−メチル−7−ブロモ−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D10:2−(ナフト[1,2]−1,3−ジチオリデン−2−イル)−4−ブロモル−7−メチル−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D11:2−(ベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−6−メトキシ−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D12:2−(ベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−5,6−ジメトキシ−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D13:2−(ナフト[1,2]−1,3−ジチオリデン−2−イル)−5,6,7−トリメトキシ−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D14:2−(ナフト[1,2]−1,3−ジチオリデン−2−イル)−6−クロロ−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D15:2−(ベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−3−フェニル−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
前記D1からD15の化合物の中でも、D1:2−(5−tert−ブチルベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン、D8:2−(ナフト[1,2]−1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン、D15:2−(ベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−3−フェニル−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデンが特に好ましい。
前記一般式(I)で表される中性の化合物の感光性組成物固形分中の含有量は、特に制限はないが、例えば、0.1〜20質量%が好ましく、0.3〜15質量%がより好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。
−O−アシルオキシム化合物−
本発明の前記中性のO−アシルオキシム化合物は、下記一般式(II−1)〜(II−4)のいずれかで表される。
ただし、前記一般式(II−1)〜(II−4)中、Rは、フェニル基、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルカノイル基、ベンゾイル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、CONR2223、CN、NO、アリール基、及びジフェニルホスフィノイル基のいずれかを表す。R10は、アルカノイル基、アルケノイル基、ベンゾイル基、アルコキシカルボニル基、及びフェノキシカルボニル基のいずれかを表す。R11、R12、R13、R14、及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、OR20、SR21、SOR21、及びSO21のいずれかを表す。R16は、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、シクロアルキル基、CONR2223、CN、フェニル基、及びアルキル基のいずれかを表す。R17、R18、及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、OR20、SR21、SOR21、及びSO21のいずれかを表す。R20は水素原子、アルキル基、(CHCHO)nH、アルカノイル基、アルケニル基、炭素原子数3〜6のアルケノイル基、及びフェニル基を表し、nは1〜20の整数を表す。R21は、アルキル基、及びフェニル基のいずれかを表す。R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニル基、アルカノイル基、アルケノイル基、及びベンゾイル基のいずれかを表す。Mは、アルキレン基、シクロヘキシレン基、及びフェニレン基のいずれかを表す。
前記Rにおけるフェニル基としては、例えば、無置換のフェニル基、置換基として、炭素原子数1〜6のアルキル基、フェニル基、ハロゲン原子、OR20、及びSR21の1個以上を有する基が挙げられる。
前記Rにおけるアルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、1以上の酸素原子により中断、及び1以上のヒドロキシル基により置換の少なくともいずれかがされていてもよい炭素原子数2〜20のアルキル基、S(O)(mは1又は2の整数を表す。以下同じ)を有する炭素原子数1〜6のアルキル基、並びにSOOを有する炭素原子数1〜10のアルキル基が挙げられる。
前記Rにおけるシクロアルキル基としては、炭素原子数5〜8のシクロアルキル基が挙げられる。
前記Rにおけるハロアルキル基としては、炭素原子数1〜4のハロアルキル基が挙げられる。
前記Rにおけるアルカノイル基としては、炭素原子数2〜20のシクロアルキル基が挙げられる。
前記Rにおけるベンゾイル基としては、無置換のベンゾイル基、置換基として、炭素原子数1〜6のアルキル基、フェニル基、OR20、及びSR21の1個以上を有する基が挙げられる。
前記Rにおけるアルコキシカルボニル基としては、1以上の酸素原子により中断、及び1以上のヒドロキシル基により置換の少なくともいずれかがされていてもよい炭素原子数2〜12のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
前記Rにおけるフェノキシカルボニル基としては、無置換のフェノキシカルボニル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、フェニル基、ハロゲン原子、及びOR20の1個以上を有する基が挙げられる。
前記Rにおけるアリール基としては、無置換のアリール基、C−C12アルキル−置換S(O)−C−C12アリール基、及びSOO−C−C10アリール基が挙げられる。
前記R10におけるアルカノイル基としては、ハロゲン原子及びCNのいずれかを有してもよい炭素原子数2〜12のアルカノイル基が挙げられる。
前記R10におけるアルケノイル基としては、二重結合がカルボニル基と共役しない炭素原子数4〜6のアルケノイル基が挙げられる。
前記R10におけるベンゾイル基としては、無置換のベンゾイル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、CN、OR20、及びSR21の1個以上により置換されている基が挙げられる。
前記R10におけるアルコキシカルボニル基としては、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
前記R10におけるフェノキシカルボニル基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基及びハロゲン原子のいずれかを有してもよいフェノキシカルボニル基が挙げられる。
前記R11、R12、R13、R14、及びR15におけるアルキル基としては、炭素原子数1〜12のアルキル基が挙げられる。
前記R11、R12、R13、R14、及びR15におけるフェニル基としては、無置換のフェニル基、OR20、及びSR21の1個以上を有する基が挙げられる。
前記R11、R12、R13、R14、及びR15におけるアルカノイル基としては、炭素原子数2〜12のアルカノイル基が挙げられる。
前記R11、R12、R13、R14、及びR15におけるアルコキシカルボニル基としては、1以上の酸素原子により中断、及び1以上のヒドロキシル基により置換の少なくともいずれかがされていてもよい炭素原子数2〜12のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
前記R11、R12、R13、R14、及びR15の少なくとも一つはOR20及びSR21のいずれかを表し、前記OR20及びSR21は、フェニル環の更なる置換基又はフェニル環の炭素原子の一つと、基R20、R21を介して5員環又は6員環を形成してもよい。
前記R16におけるアルコキシカルボニル基としては、無置換の1以上の酸素原子により中断、及び1以上のヒドロキシル基により置換の少なくともいずれかがされていてもよい炭素原子数2〜12のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
前記R16におけるフェノキシカルボニル基としては、無置換のフェノキシカルボニル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、フェニル基、ハロゲン原子、及びOR20の1個以上を有する基が挙げられる。
前記R16におけるシクロアルキル基としては、炭素原子数5〜8のシクロアルキル基が挙げられる。
前記R16におけるフェニル基としては、SR21により置換され、R17、R18、及びR19を有するフェニル環の炭素原子への結合を構築することによりR21を介して5員環又は6員環が形成されてもよい。
前記R16におけるアルキル基としては、R17、R18、及びR19の少なくともいずれかがSR17であれば、ハロゲン原子、OH、OR10、フェニル基、ハロゲン化フェニル基、及びSR21置換フェニル基の1個以上により置換され、かつ、酸素原子又はNH(CO)により中断されてもよい炭素原子数2〜12のアルキル基が挙げられる。
前記R19におけるアルキル基としては、炭素原子数1〜12のアルキル基が挙げられる。
前記R19におけるフェニル基としては、OR20及びSR21のいずれかを有してもよいフェニル基が挙げられる。
前記R19におけるアルカノイル基としては、炭素原子数2〜12のアルカノイル基が挙げられる。
前記R19におけるアルコキシカルボニル基としては、1以上の酸素原子により中断、及び1以上のヒドロキシル基により置換の少なくともいずれかがされていてもよい炭素原子数2〜12のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
前記R19におけるOR20及びSR21は、フェニル環の更なる置換基又はフェニル環の炭素原子の一つと、基R20、R21を介して5員環又は6員環を形成してもよい。
17、R18、及びR19の少なくとも一つはOR20及びSR21のいずれかである。
前記R18がメトキシ基であり、R17及びR19が水素原子であり、R16がCNであれば、R10は、ベンゾイル又は4−(C−C10アルキル)ベンゾイルではない。
前記R20におけるアルキル基の有する置換基としては、−OH、−SH、−CN、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数3〜6のアルケンオキシ基、−OCHCHCN、−OCHCH(CO)O(C−Cアルキル)、−O(CO)−C−Cアルキル、−O(CO)−フェニル、−(CO)OH、及び−(CO)O(C−Cアルキル)が挙げられる。
また、前記R20におけるアルキル基は、1個以上の酸素原子により中断されてもよい。
前記R20におけるアルカノイル基としては、炭素原子数2〜8のアルカノイル基が挙げられる。
前記R20におけるアルケニル基としては、炭素原子数3〜12のアルケニル基が挙げられる。
前記R20におけるアルケノイル基としては、炭素原子数3〜6のアルケノイル基が挙げられる。
前記R20におけるフェニル基としては、無置換のフェニル基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、及び炭素原子数1〜4のアルコキシ基のいずれかで置換されたフェニル基、フェニル−C1−C3アルキル、Si(C1−C8アルキル)(フェニル)3−r、及び下記式で表される基が挙げられる。
前記R21におけるアルキル基としては、1個以上の酸素原子又は硫黄原子により中断されている基が挙げられる。
前記R21におけるフェニル基の有する置換基としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル−C−Cアルキル、及び下記式で表される基が挙げられる。
前記R22及びR23におけるアルキル基としては、炭素原子数1〜12のアルキル基、1〜3の炭素原子を介してフェニル基を有するアルキル基が挙げられる。
前記R22及びR23におけるヒドロキシアルキル基としては、炭素原子数2〜4のヒドロキシアルキル基が挙げられる。
前記R22及びR23におけるアルコキシアルキル基としては、炭素原子数2〜10のアルコキシアルキル基が挙げられる。
前記R22及びR23におけるアルケニル基としては、炭素原子数3〜5のアルケニル基が挙げられる。
前記R22及びR23におけるシクロアルキル基としては、炭素原子数5〜12のシクロアルキル基が挙げられる。
前記R22及びR23におけるアルカノイル基としては、炭素原子数2〜3のアルカノイル基が挙げられる。
前記R22及びR23におけるアルケノイル基としては、炭素原子数3〜6のアルケノイル基が挙げられる。
前記R22及びR23は互いに結合して酸素原子を介したり置換基を有してもよいアルキレン基を形成してもよい。
前記R22及びR23におけるフェニル基としては、無置換のフェニル基、炭素原子数1〜12のアルキル基、及び炭素原子数1〜4のアルコキシ基のいずれかで置換された基が挙げられ、また、R22が水素原子であれば、下記式で表される基が挙げられる。
、M、及びMはそれぞれ独立に、炭素原子数1〜12のアルキレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、−(CO)O−(C−C12アルキレン)−O(CO)−、−(CO)O−(CHCHO)−(CO)−、又は−(CO)−(C−C12−アルキレン)−(CO)−を表す。更に、Mは、直接結合であるか、1〜5個の酸素原子及び硫黄原子の少なくともいずれかにより中断されている炭素原子数1〜12のアルキレンオキシ基を表し、Mは、直接結合であるか、1〜5個の酸素原子及び硫黄原子の少なくともいずれかにより中断されている炭素原子数1〜12のアルキレン−S−を表す。また、Mは直接結合であるが、(i)R13がメトキシ基であり、R10がベンゾイル基又はアセチル基であるならば、Rはフェニル基ではなく、
(ii)R13がメトキシ基であり、R10がエトキシカルボニル基であるならば、Rはベンゾイル基又はエトキシカルボニル基ではなく、
(iii)R13がメトキシ基であり、Rが4−メトキシベンゾイル基であるならば、R10はエトキシカルボニル基ではなく、
(iv)R13がメタクリロイルアミノ基であり、Rがメチル基であるならば、R10はベンゾイル基ではなく、
(v)R13及びR12、又は、R13及びR14がOR20基であり、それらのOR20基がR11を介して環を形成し、それにより−O−CH−O−を与え、Rがメチル基であるならば、R10はアセチル基ではなく、
(vi)R12、R13、及びR14が、同時にメトキシ基であり、Rがエトキシカルボニル基であるならば、R10はアセチル基ではなく、
(vii)R13がメトキシ基であり、同時にR12又はR14がアセトキシ基であり、Rがエチル基であるならば、R10はアセチル基ではなく、
(viii)一般式(II−3)において、R16がメチル基であり、R18がフェニルチオ基であり、R17及びR18が水素原子であるならば、R10は4−クロロベンゾイルではない。
前記一般式(II−1)〜(II−4)で表される化合物について、更に説明すると、前記化合物は、オキシム官能基に結合するフェニル基又はベンゾイル基に直接結合している、アルコキシ置換基、アリールオキシ置換基、アルキルチオ置換基、又はアリールチオ置換基の少なくとも1個を含むことで特徴づけられている。
置換されたフェニル基は、1〜4個置換されており、例えば、1、2又は3個が好ましく、2個が特に好ましい。フェニル環の置換基は、該フェニル環の4位又は3,4−位、3,4,5−位、2,6−位、2,4−位若しくは2,4,6−位が好ましく、4−位又は3,4−位が特に好ましい。
前記アルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基として、直鎖又は分岐であり、例えば、C−C18−、C−C14−、C−C12−、C−C−、C−C−もしくはC−Cアルキル、C−C12−、及びC−Cアルキルが挙げられる
具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、及びイコシル基が挙げられる。
また、炭素原子数2〜20のアルキル基として、1個以上の酸素原子、例えば、1〜9、1〜5、1〜3、1、又は2個の酸素原子により中断されており、二つの酸素原子は、少なくとも2個のメチレン基、すなわちエチレン基により分離されており、直鎖又は分岐である基が挙げられる
具体的には、−CH−CH2−O−CHCH、−〔CHCHO〕−CH(ここで、y=1〜9である)、−(CH−CHO)−CHCH、−CHCH(CH)−O−CHCHCH、及び−CHCH(CH)−O−CHCHが挙げられる。
また、炭素原子数2〜6のアルキル基として、1又は2個の酸素原子により中断されている基、例えば、−CH−CH−O−CH−CH−O−CHCH、及び−CH−CH−O−CHCHが挙げられる。
前記ヒドロキシアルキル基としては、1個又は2個の酸素原子で置換されている炭素原子数2〜4の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられる。
具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、及び2,4−ジヒドロキシブチル基が挙げられる。
前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、及びシクロドデシルが挙げられ、シクロペンチル及びシクロヘキシルが好ましく、シクロヘキシルがより好ましい。
前記アルコキシ基としては、直鎖又は分岐であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、及びtert−ブチルオキシ基が挙げられる。
前記炭素原子数2〜10のアルコキシアルキル基としては、酸素原子により中断されている炭素原子数2〜10のアルキル基が挙げられる。
具体的には、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、及びプロポキシプロピルが挙げられる。
前記アルカノイル基としては、直鎖又は分岐であり、例えば、C−C18−、C−C14−、C−C12−、C−C−、C−C−、C−CアルカノイルC−C12−、及びC−Cアルカノイルが挙げられる。
具体的には、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、イソブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、及びイコサノイル基が挙げられ、これらの中でもアセチル基が好ましい。
炭素原子数2〜4のアルカノイルオキシ基としては、直鎖又は分岐であり、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、及びイソブタノイルオキシ基が挙げられ、これらの中でもアセチルオキシ基が好ましい。
前記炭素原子数2〜12のアルコキシカルボニル基としては、直鎖又は分岐であり、1個以上の酸素原子により中断され、2個の酸素原子は、少なくとも2個のメチル基、すなわち、エチレン基で分離されている基が挙げられる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、n−ブチルオキシオカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、1,1−ジメチルプロポキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、及びデオシルオキシカルボニルが挙げられ、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、及びイソブチルオキシカルボニルが好ましく、メトキシカルボニル基がより好ましい。
前記フェノキシカルボニル基は、下記式で表される基である。
置換フェノキシカルボニル基は、1〜4個置換されており、例えば、1、2又は3個が好ましく、2又は3個が特に好ましい。フフェニル環の置換基は、該フェニル環の4位又は3,4−位、3,4,5−位、2,6−位、2,4−位若しくは2,4,6−位が好ましく、4−位又は3,4−位が特に好ましい。
前記フェニル−C−Cアルキルとしては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、α−メチルベンジル基、又はα,α−ジメチルベンジル基が挙げられ、特にベンジル基が好ましい。
前記炭素原子数3〜12のアルケニル基としては、モノ−もしくはポリ置換であってもよく、例えば、アリル基、メタリル基、1,1−ジメチルアリル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、1,3−ペンタジエニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、7−オクテニル基、又はドデシル基が挙げられ、特にアリル基が好ましい。
炭素原子数3〜6のアルケンオキシ基は、モノ−もしくはポリ置換であってよく、例えば、アリルオキシ基、メタリルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペンテンオキシ基、1,3−ペンタジエニルオキシ基、及び5−ヘキセニルオキシ基が挙げられる。
前記炭素原子数3〜6のアルケノイル基としては、モノ−もしくはポリ置換であってよく、例えば、プロペノイル基、2−メチル−プロペノイル基、ブテノイル基、ペンテノイル基、1,3−ペンタジエノイル基、5−ヘキセノイル基が挙げられる。
メチルスルファニル基は、−SCHである。前記ハロゲン原子としては、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードが挙げられ、フルオロ、クロロ、及びブロモが好ましく、フルオロ及びクロロがより好ましい。
前記炭素原子数6〜12のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、及び2−ナフチル基が挙げられ、これらの中でもフェニル基が好ましい。
フェニル環上の、置換基OR20及びSR21が、フェニル環の別の置換基又はフェニル環の炭素原子の1個と、R20及びR21のいずれかを介して5員環又は6員環を形成するならば、例えば、下記式で表されるような、2個又は4個の環(フェニル環を含めて)を含む構造が得られる。
16がSR21により置換されているフェニル基であり、5員環又は6員環が、R17、R18、及びR19を有するフェニル環の炭素原子への結合を構築することによりR21を介して形成されるならば、下記式の構造を形成することができる。
21が、フェニル基であり、R10が、ハロゲン置換ベンゾイル基である一般式(II−3)の化合物は、好適には、上記の定義から除外される。
好適な化合物としては、例えば、
i)Rが置換であるか又はC1−C6アルキル、フェニル、ハロゲン、OR20、又はSR21により置換されているフェニル基か、
ii)Rが酸素原子の1個以上により中断、及びヒドロキシ基の1個以上により置換のいずれかがされていてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基か、
iii)Rが炭素原子数1〜4のハロアルキル基であり、R16が炭素原子数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、フェニル基、OR20、又はSR21の1個以上により置換されてもよいフェノキシカルボニル基か、
iv)R16が−CONR2223か、
v)R13、R18及びR19の少なくとも一つが−SR21であれば、R16が、更にハロゲン原子、OH基、OR20基、フェニル基、ハロゲン化フェニル基、又はSR21で置換されたフェニル基の1個以上により置換されていたり、酸素原子又は−NH(CO)−により中断されていてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基であり、R10がハロゲン原子により置換されてもよい炭素原子数2〜12のアルカノイル基か、
vi)R10が炭素原子数4〜6のアルケノイル基であるが、二重結合はカルボニル基と共役していないか、
vii)R10が炭素原子数1〜6のアルキル基又はハロゲン原子により置換されてもよいベンゾイル基であり、
13及びR15が水素であり、R12、R14、R17、及びR19が互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、OR20、又はSR21であり、R13及びR14がOR20又はSR21である、式(II−1)及び(II−3)のいずれかの化合物が挙げられる。
特に好適なものは、R11、R12、R13、R14もしくはR15又はR17、R18もしくはR19が、SR21である、一般式(II−1)及び(II−3)の化合物である。
他の好適な化合物としては、R11及びR12が、水素原子であり、R12及びR13がOR20である、一般式(II−1)の化合物が挙げられる。
特に好適な一般式(II−1)及び(II−3)の化合物において、R11、R12、及びR11、又は、R13及びR14は、水素原子であり、R及びR14は、SR21である。特に好適には、R21が、フェニル基、すなわちR13又はR18が、下記式の化合物である。
また、R16が炭素原子数1〜12のアルキル基(これは、非置換であるか、又はハロゲン若しくはフェニルにより置換されている)である、式(II−3)の化合物が好適であり、特にR19が、SR21、下記式で表される化合物が好適である。
更に、他の好適な化合物としては、Rが、フェニル基又はC−C12−アルキル基であり、R16がC−Cアルコキシカルボニル基、又はフェニル基(これは、SR21により置換されており、場合により、R21を介して、R17、R18、及びR19を有するフェニル環の炭素原子への結合を構築することによりR21を介して5員環又は6員環が形成される)であるか、R17、R18、及びR19の少なくとも1個が、−SR21であるならば、R16が、更に炭素原子数1〜12のアルキル基(これは、非置換であるか、又はフルオロの1個以上により置換されている)であり、R10が、炭素原子数2〜4のアルカノイル基、又はベンゾイル基(これは、非置換であるか、又は炭素原子数1〜4のアルキル基若しくはハロゲン原子により置換されている)であり、R11、R13、及びR15が、水素であり、R12及びR13が、互いに独立して、水素原子、OR20、又はSR21であり、R17及びR18が、互いに独立して、水素原子、OR20、又はSR21であり、R19が、水素原子であり、R20及びR21が、炭素原子数1〜4のアルキル基、フェニル基、及び下記式のいずれかの基であり、R22及びR23が、メチル基若しくはエチル基であるか、互いに結合して炭素原子数2〜6のアルキレン基(これは、−O−により中断されている)であり;Mが、C1−C12アルキレンであり;そしてMが、直接結合である、一般式(II−1)、一般式(II−2)、一般式(II−3)、又は一般式(II−4)の化合物が挙げられる。特に有効な化合物としては、R17及びR19が水素であり、そしてR18がSR21である、式(II−3)の化合物が挙げられる。
は、好適にはフェニル(これは、非置換であるか、炭素原子数1〜6のアルキル基、フェニル基、ハロゲン原子、OR20、又はSR21の1個以上により置換されている)であるか、又は炭素原子数1〜20のアルキル基(これは、非置換であるか、又は炭素原子数1〜6のアルキル基、フェニル基、OR20、又はSR21の1個以上により置換されている)である。
特に好適なものとしては、R11〜R15の少なくとも一つが、SR21、又はOR20であり、特にR11〜R15の少なくとも一つがSR21である基が好適に挙げられる。R13は、好適にはSR21又はOR20であり、特にSR21が好適に挙げられる。
前記一般式(II−1)〜(II−4)で表される化合物の中では、式(II−1)及び(II−3)の化合物が好適である。また、R11及びR15が水素原子である化合物は更に好適である。
としては、炭素原子数1〜12のアルキル基が好ましい。R10としては、ベンゾイル基、メチルベンゾイル基、ジメチルベンゾイル基、又はアセチルが好ましい。R15としては、水素原子が好ましい。R18としては、炭素原子数1〜12のアルキル基又は4−(C1−C4アルキルチオ)フェニル基が好ましい。R18としては、炭素原子数1〜4のアルキルチオ基、又はフェニルチオ基が好ましい。
前記一般式(II−1)〜(II−4)のいずれかで表される具体的な好ましい化合物としては、例えば、以下のOE1〜OE39が挙げられる。
OE1:1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−ベンゾアート
OE2:1−(4−メチルスルファニルフェニル)−ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−ベンゾアート
OE3:1−(3,4−ジメトキシフェニル)−ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−アセタート
OE4:1−(3,4−ジメトキシフェニル)−ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−ベンゾアート
OE5:1−(4−メチルスルファニルフェニル)−3−フェニルエタン−1,2−ジオン 2−オキシム−O−アセタート
OE6:1−(4−メトキシフェニル)−ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−アセタート
OE7:1−(4−メトキシフェニル)−ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−ベンゾアート
OE8:1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−アセタート
OE9:1−(4−メチルスルファニルフェニル)−ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−2,4,6−トリメチルベンゾアート
OE10:1−(4−メチルスルファニルフェニル)−プロパン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−ベンゾアート
OE11:1−(4−メチルスルファニルフェニル)−オクタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−アセタート
OE12:1−(4−メチルスルファニルフェニル)−オクタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−ベンゾアート
OE13:1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−オクタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−ベンゾアート
OE14:1−(4−メチルスルファニルフェニル)−4,6,6−トリメチルヘキサン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−ベンゾアート
OE15:1−(4−メチルスルファニルフェニル)−4,6,6−トリメチルヘキサン−1,2−ジオン 2−オキシム−O−アセタート
OE16:1−(4−メチルスルファニルフェニル)−オクタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−p−メチルベンゾアート
OE17:1−(4−メチルスルファニルフェニル)−オクタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−p−クロロベンゾアート
OE18:1−(4−メチルスルファニルフェニル)−オクタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−m−メチルベンゾアート
OE19:1−(4−メチルスルファニルフェニル)−ブタン−1−オンオキシム−O−アセタート
OE20:1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−ブタン−1−オンオキシム−O−アセタート
OE21:ヒドロキシイミノ−(4−メチルスルファニルフェニル)−酢酸エチルエステル−O−アセタート
OE22:ヒドロキシイミノ−(4−メチルスルファニルフェニル)−酢酸エチルエステル−O−ベンゾアート
OE23:ヒドロキシイミノ−(3,4−ジメトキシフェニル)−酢酸エチルエステル−O−アセタート
OE24:エチル2−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−ベンゾイルオキシイミノ−ベンゾアート
OE25:1−(4−メチルスルファニルフェニル)−ブタン−1−オンオキシム−O−ベンゾアート
OE26:1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−オクタン−1−オンオキシム−O−アセタート
OE27:1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−オクタン−1−オンオキシム−O−ベンゾアート
OE28:2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)−エタノンオキシム−O−アセタート
OE29:1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−エタノンオキシム−O−アセタート
OE30:1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−デカン−1−オンオキシム−O−ペンタフルオロベンゾアート
OE31:1−(4−メチルスルファニルフェニル)−プロパン−1−オンオキシム−O−アセタート
OE32:1−(4−メチルスルファニルフェニル)−エタノンオキシム−O−アセタート
OE33:1,9−ビス−(4−メチルスルファニルフェニル)−ノナン−1,2,8,9−テトラオン−2,8−ジオキシムジ(O−アセタート)
OE34:1,9−ビス−(4−メチルスルファニルフェニル)−ノナン−1,9−ブタンジオキシムジ(O−アセタート)
OE35:1−{4−[4−(2−アセトキシイミノブチリル)−フェニルスルファニル]−フェニル}−ブタン−1.2−ジオン−2−オキシム−O−アセタート
OE36:1−{4−[4−(2−ベンゾキシイミノブチリル)−フェニルスルファニル]−フェニル}−ブタン−1.2−ジオン−2−オキシム−O−ベンゾアート
OE37:1−{4−[4−(2−アセトキシイミノブチル)−フェニルスルファニル]−フェニル}−ブタン−1−オンオキシム−O−アセタート
OE38:2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オンオキシム−O−ベンゾアート
OE39:(2−アセチルオキシイミノメチル)−チオキサンテン−9−オン
前記OE1からOE39の化合物の中でも、OE1:(1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−ベンゾアート、OE39:(2−アセチルオキシイミノメチル)−チオキサンテン−9−オンが特に好ましい。
前記O−アシルオキシム化合物の感光性組成物固形分中の含有量は、特に制限はないが、例えば、0.1〜20質量%が好ましく、0.3〜15質量%がより好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。
前記(A)中性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体と、(B)中性のO−アシルオキシム化合物との含有量比は、例えば、1:9〜9:1が好ましく、2:8〜8:2がより好ましく、3:7〜7:3が特に好ましい。
<水素供与体化合物>
前記光重合開始系化合物としては、前記一般式で表される化合物及びO−アシルオキシム化合物の他に水素供与体化合物を含むことが好ましい。前記水素供与体化合物の添加により更に高感度化を図れることがある。
前記水素供与体化合物としては、活性エネルギー線により励起状態となり、前記一般式(I)で表される化合物及びO−アシルオキシム化合物と相互作用することにより、水素(電子)を供与することが可能な化合物であり、これらの内、中性の化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メルカプト化合物、アミノ酸、リン化合物、活性水素含有炭化水素化合物、ボレート化合物、などが挙げられる。
前記メルカプト化合物としては、例えば、下記一般式(III−1a)、(III−1b)で表されるメルカプト化合物、下記一般式(III−2)で表されるチオエーテル化合物、下記一般式(III−3)で表される化合物、下記一般式(III−4)で表される化合物などが挙げられる。
ただし、前記一般式(III−1a)及び一般式(III−1b)中、前記R31は、アルキル基及びアリール基のいずれかを表し、R32は水素原子及びアルキル基のいずれかを表す。
前記R31、R32のアルキル基としては、炭素原子数1〜4のものが好ましい。また、R31のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等の炭素原子数6〜10のものが好ましく、置換アリール基としては、上記のようなアリール基に塩素原子等のハロゲン原子、メチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基で置換されたものが含まれる。R31とR32とは結合して炭素原子又は窒素原子とともに縮合環を有していてもよい複素環を完成するのに必要な原子群であってもよい。前記縮合環としてはベンゼン環等が挙げられる。
ただし、前記一般式(III−2)中、R33はアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、及びアルケニル基のいずれかを表し、R34及びR35はR33と同じ意、又はハメットσ値が正である基を表す。
前記一般式(III−3)中、R36は、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、及びY−CS−S−のいずれかを表す。Yは、−OR39又は−NR4041を表す。R39、R40、及びR41は、互いに独立して水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニル基、アルカノイル基、アルケノイル基、及びベンゾイル基のいずれかを表し、R30とR31とは結合して環を形成していてもよい。
前記(III−4)中、ZはR42−SO−、R42−O−SO−を表し、R42は前記R39、R40、及びR41と同じ意を表し、R37及びR38はR33、R39、及びZと同じ意を表すか、水素原子、ハメットσ値が正である基、−OR33、及び−SR33のいずれかを表す。
前記一般式(III−1a)又は(III−1b)で表される化合物としては、例えば、チオホルムアミド、チオアセトアミド、N−メチルチオホルムアミド、N−メチルチオアセトアミド、N−フェニルチオプロピオン酸アミド、N−フェニルチオカプロン酸アミド、N−o−クロロ−フェニルチオアセトアミド、N−o−クロロフェニルチオカプロン酸アミド、N−p−トリルチオカプロン酸アミド、N−m−メトキシフェニルチオアセトアミド、N−m−メチトキシフェニルチオプロピオン酸アミド、N−p−エトキシフェニルチオアセトアミド、N−p−エトキシフェニルチオプロピオン酸アミド、N−o−メトキシフェニルチオカプロン酸アミド、2−メルカプト−4,5−ジヒドロ−2−チアゾール、2−メルカプト−4−メチル−4,5−ジヒドロ−2−チアゾール、2−メルカプト−5−メチル−4,5−ジヒドロ−2−チアゾール、2−メルカプト−4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロ−2−チアゾール、2−メルカプト−5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロ−2−チアゾール、2−メルカプト−4,5−ジヒドロ−2−オキサゾール、2−メルカプト−4−メチル−4,5−ジヒドロ−2−オキサゾール、2−メルカプト−4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロ−2−オキサゾール、1−メチル−2−メルカプト−1,3−イミダゾール、2−メルカプト−4,5−ジヒドロ−1,3−チアジン、2−メルカプト−6−メチル−4,5−ジヒドロ−1,3−チアジン、2−メルカプト−4,5−ジヒドロ−1,3−オキサジン、2−メルカプト−テトラヒドロ−1−ピリジン、1−[p−(n−ヘキシルアミノカルボニル)フェニル}−2−メルカプトイミダゾール、1−(p−トリル)−2−メルカプト−4,5,6,7−テトラヒドロ−1,3−ベンズイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルチオ−1,3,4−オキサジアゾール、2−メルカプト−3,4,5,6−テトラヒドロ−1−アゼピン、2−メルカプト−1,3−ベンズオキサゾール、3−メルカプト−5−クロロ−1,2−ベンズイソオキサゾール、2−メルカプト−1,3−ベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メトキシ−1,3−ベンズイミダゾール、1−メチル−2−メルカプト−1,3−ベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチル−1,3−ベンズイミダゾール、2−メルカプト−5,6−ジメチル−1,3−ベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メトキシ−1,3−ベンズイミダゾール、2−メルカプト−5−カプロイルアミノ−1,3−ベンズイミダゾール、1−(n−プロピル)−2−メルカプト−1,3−ベンズイミダゾール、1−イソプロピル−2−メルカプト−1,3−ベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−クロロ−1,3−ベンズイミダゾール、1−(n−ヘプチル)−2−メルカプト−1,3−ベンズイミダゾール、1−(n−ヘキシル)−2−メルカプト−5−クロル−1,3−ベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−クロロ−1,3−ベンズイミダゾール、1−(n−オクチル)−2−メルカプト−5−メトキシ−1,3−ベンズイミダゾール、1−(n−ヘキシル)−2−メルカプト−5−エトキシカルボニル−1,3−ベンズイミダゾール、1−(2−メトキシエチル)−2−メルカプト−1,3−ベンズイミダゾール、3−メルカプト−6−メチル−1,2−ベンゾチアゾール、1−フェニル−2−メルカプト−1,3−ベンズイミダゾール、1−フェニル−2−メルカプト−5−メチルスルホニル−1,3−ベンズイミダゾール、1−(p−スルホナトメチルフェニル)−2−メルカプト−1,3−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩、3−メルカプト−1,2−ベンゾチアゾール、3−メルカプト−6−カプロイルアミノ−1,2−ベンゾチアゾール、3−メルカプト−6−クロロ−1,2−ベンゾチアゾール、3−メルカプト−6−メチル−1,2−ベンゾチアゾール、2−メルカプト−ナフト[2,1]−1,3−イミダゾール、1−(n−ブチル)−2−メルカプト−ナフト[2,1]−1,3−イミダゾール、1−(n−オクチル)−2−メルカプト−イミダゾ[4,5−b]ピリジン、1−(n−オクチル)−2−メルカプト−イミダゾ[4,5−b]ピラジン、1−(n−ブチル)−2−メルカプト−1,3−イミダゾ[4,5−b]キノキサリン、1−(n−ヘキシル)−2−メルカプト−6−クロル−1,3−イミダゾ[4,5−b]キノキサリン、1,5−ジエチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−(n−ヘキシル)−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−フェニル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−フェニル−3−メルカプト−5−メチルチオ−1,2,4−トリアゾール、1−(n−ヘキシル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(n−オクチル)−5−メルカプトテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−(n−ヘキシル)−3−メルカプト−1,2,4−オキサジアジン、2−フェニル−3−メルカプト−5−メチル−1,2,4−チアジアジン、3−フェニル−4−メルカプト−6−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,3,5−チアジアジンなどが挙げられる。これらの中でも1−フェニル−2−メルカプト−1,3−ベンズイミダゾールが好ましい。
前記一般式(III−2)で表されるチオエーテル化合物としては、例えば、ジ−n−ブチルスルフィド、ジ−n−オクチルスルフィド、トリフェニルチオメタン、ジフェニルチオメタン、フェニルメチルスルフィド、p−メチルチオ安息香酸、p−メチルチオベンズアルデヒド、p−メチルチオベンゾニトリル、1−フェニルチオエチルメチルケトン、1−フェニルチオプロピオニトリル、1−クロロメチルフェニルスルフィド、1,3,5−トリチアン、2−メチル−4−メトキシフェニルメチルスルフィド、チオクロマン、4−オキソチオクロマンなどが挙げられる。
前記一般式(III−3)で表される化合物としては、例えば、ジチオ炭酸O−イソブチルS−n−ブチル、ジチオ炭酸O−イソブチルS−ベンジル、ジエチルジチオカルバミン酸n−ブチル、ジエチルジチオカルバミン酸ベンジル、N,N,N’,N’−テトラエチルチウラムジスルフィド、N,N−ジエチル−N’,N’−ジ−n−ブチルチウラムジスルフィド、1,2,3−トリ(ジエチルジチオカルバモイルチオ)プロパン、などが挙げられる。
前記一般式(III−4)で表される化合物としては、例えば、ジ−n−ブチルスルホン、エチルp−トリルスルホン、p−トリルメチルチオメチルスルホン、アセチルメチルp−トリルスルホン、ビス(p−トルエンスルホニル)メタン、シアノメチルp−トリルスルホン、p−トルエンスルホン酸n−ブチル、メタンスルホン酸エチル、アセチルメタンスルホン酸フェニル、メタンジスルホン酸ジフェニル、シアノメタンスルホン酸フェニルスルホラン3−スルホレン、などが挙げられる。
前記アミノ酸としては、例えば下記一般式(IV)で表されるN−フェニルアミノ酸誘導体が挙げられる。
ただし、前記一般式(IV)中、Xは、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、及びカルボキシル基のいずれかを表し、nは1〜5の整数である。また、R43は、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基のいずれかを表し、R44は、水素原子、ヒドロキシ基、メチルチオ基、−COOR45基で置換されてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基、及びベンジル基のいずれかを表し、また、R43とR44とは窒素原子及び隣接炭素原子とともに6員環を形成していてもよい。またR45は炭素原子数1〜4のアルキル基及びベンジル基のいずれかを表す。
前記一般式(IV)で表されるN−フェニルアミノ酸誘導体としては、特に制限はないが、例えば、N−フェニルグリシン、N−(p−アセチルフェニル)グリシン、N−(m−トリフルオロメチルフェニル)グリシン、N−(m−アセチルフェニル)グリシン、N−(p−トリフルオロメチルフェニル)グリシン、N−フェニルアラニン、N−フェニルセリン、N−フェニルスレオニン、N−フェニルシステイン、N−フェニルプロリン、N−フェニルグルタミン酸などが挙げられる。なお、グリシン誘導体としては、アミノカチオンと、カルボン酸アニオンとを構造中に含む双極イオン化合物であってもよい。これらの中でも、N−フェニルグリシンが特に好ましい。
前記リン化合物としては、例えば、下記一般式(V−1)で表されるホスホン酸ジエステル、下記一般式(V−2)で表される亜リン酸トリエステルなどが挙げられる。
ただし、前記一般式(V−1)中、R46は、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、及びアルケニル基のいずれかを表し、R47はR46と同じ意を表すか、ハメットσ値が正である基を表す。
また、前記一般式(V−2)中、R48はアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、及びアルケニル基のいずれかを表し、R49及びR50はR48と同じ意を表すか、ハメットσ値が正である基を表す。
前記一般式(V−1)で表されるホスホン酸ジエステルとしては、例えば、ホスホン酸ジメチル、ホスホン酸ジエチル、ホスホン酸ジ(n−ブチル)、ホスホン酸ジ(2−エチルヘキシル)、ホスホン酸エチルメチル、ホスホン酸ジフェニル、ホスホン酸エチルフェニル、ホスホン酸ジ(p−ジメチルアミノフェニル)、ホスホン酸ジ(p−シアノフェニル)、ホスホン酸ジ(p−アセチルフェニル)、ホスホン酸ジ(p−メトキシフェニル)、ホスホン酸ジ(p−トリル)、ホスホン酸ジ(o−メトキシフェニル)、ホスホン酸ジ(o−クロロフェニル)、ホスホン酸ジ(m−ブロモフェニル)、ホスホン酸(o−クロロフェニル)(p−メトキシフェニル)、ホスホン酸メチルフェニル、ホスホン酸β−ナフチルフェニル、ホスホン酸エチレン、ホスホン酸プロピレンジ、ホスホン酸トリメチレン、ホスホン酸オキシジエチレン、などが挙げられる。
前記一般式(V−2)で表される亜リン酸トリエステルとしては、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジ−n−ブチル、亜リン酸ジ(2−エチルヘキシル)、亜リン酸エチルメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリ(p−ジメチルアミノフェニル)、亜リン酸トリ(p−シアノフェニル)、亜リン酸ジ(p−シアノフェニル)、亜リン酸トリ(p−メトキシフェニル)、亜リン酸ジ(p−メトキシフェニル)、亜リン酸トリ(o−クロロフェニル)、亜リン酸ジ(o−クロロフェニル)、亜リン酸トリ(m−ブロモフェニル)、亜リン酸フェニルジメチル、亜リン酸ジフェニルメチル、亜リン酸フェニルメチル、亜リン酸ジメチル(α−ナフチル)、亜リン酸エチレンメチル、亜リン酸エチレンフェニル、亜リン酸オルト蟻酸エチレン、亜リン酸トリエチレン、などが挙げられる。
前記活性水素含有炭化水素化合物としては、例えば、下記一般式(VI)で表される環状β−ジカルボニル化合物などが挙げられる。
ただし、前記一般式(VI)中、R51は、置換又は非置換のアルキル基、及びアラルキル基のいずれかを表し、Gは二価の有機基であって、基の鎖中にヘテロ原子を含有していてもよく、炭素及びヘテロ原子の少なくともいずれかに置換基を有してもよい。
前記一般式(VI)で表される環状β−ジカルボニル化合物としては、例えば、2,4−ジエチル−1,3−シクロブタンジオン、2−メチル−1,3−シクロヘプタンジオン、5−メチル−2−チオバルビツル酸、3−エチルテトロン酸、2,4−ジメチル−3−オキソ−5−ヒドロキシ−5−メトキシペンテン酸δ−ラクトン、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−エチルバルビツル酸、2−メチル−1,3−シクロペンタンジオン、5−メチルバルビツール酸、1,5−ジメチルバルビツル酸、2−メチルジメドン、2−メチル−1,3−インダンジオン、1,3−ジメチル−5−ベンジルバルビツル酸、ビス−[5−(1,3−ジメチルバルビツリル))−メタン、1,5−ジフェニル−3−[2−(フェニルチオ)エチル]−2,4−ピロリジンジオン、1−フェニル−3,5−ジケト−4−n−ブチル−テトラヒドロピラゾール、などが挙げられる。
前記ボレート化合物としては、例えば、下記一般式(VII)で表される有機ホウ素化合物などが挙げられる。
ただし、前記一般式(VII)中、R52は、脂肪族基を表す。R53、R54、及びR55は、それぞれ独立して、脂肪族基、芳香族基、複素環基、及び−SiR464748のいずれかを表す。R56、R57、及びR58は、それぞれ独立して、脂肪族基及び芳香族基のいずれかを表す。Yは陽イオンを形成する基を表す。
前記一般式(VII)で表される有機ホウ素化合物としては、例えば、テトラ(n−ブチル)アンモニウム−n−ブチルトリフェニルボラート、テトラエチルアンモニウム−ジフェニルメチルシリルトリフェニルボラート、テトラメチルアンモニウム−ジフェニルメチルシリルトリフェニルボラート、テトラ(n−ヘキシル)アンモニウム−n−ヘキシルトリフェニルボラート、テトラ(n−ブチル)アンモニウム−n−ブチルジ(p−フルオロフェニル)フェニルボラート、テトラ(n−ブチル)アンモニウム−n−ブチルトリ(p−フルオロフェニル)ボラート、テトラ(n−ブチル)アンモニウム−n−ヘキシルトリ(p−クロロフェニル)ボラート、テトラ(n−ブチル)アンモニウム−n−ヘキシルジ(p−クロロフェニル)フェニルボラート、テトラ(n−ブチル)アンモニウム−ジ(n−ヘキシル)ジ(m−フルオロフェニル)ボラート、テトラ(n−ブチル)アンモニウム−n−ヘキシルトリ(2−メチル−5−フルオロフェニル)ボラート、テトラ(n−ブチル)アンモニウム−メチルジメシチルフェニルボラートなどが挙げられる。
これらの水素供与体の中でも、1−フェニル−2−メルカプト−1,3−ベンズイミダゾール、N−フェニルグリシン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ロイコクリスタルバイオレット、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メトキシフェニル)プロパン−1−オン−O−アリルオキシム、及びテトラ(n−ブチル)アンモニウム−n−ブチルトリフェニルボラートがより好ましく、N−フェニルグリシンが特に好ましい。また、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィドも特に好ましい。
前記光重合開始系化合物における前記水素供与体化合物の配合量は、0.01〜15.0質量%が好ましく、0.05〜10.0質量%がより好ましく、0.1〜5.0質量%が特に好ましい。
<バインダー>
前記感光性組成物における前記バインダーとしては、例えば、アルカリ性水溶液に対して膨潤性であるのが好ましく、アルカリ性水溶液に対して可溶性であるのがより好ましい。また、架橋性を有することが好ましい。
前記アルカリ可溶性とは、それを含む感光性組成物がアルカリ性現像液によって溶解する性質をいい、具体的には、目的とする現像処理が遂行される程度に溶解性を有していればよい。アルカリ性現像液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物や、ヒドロキシエチルアミン、トリエチルアミンのようなアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドのような4級アンモニウムヒドロキシド類の水溶液やそれらと混和性の有機溶剤との混合物が用いられる。pHは、8〜14であり、これらアルカリ剤の0.01〜10質量%水溶液が好ましい。これらのアルカリ性現像液のうち、プリント配線板業界では、一般的に、0.2〜2質量%の炭酸ナトリウム水溶液が用いられ、1質量%炭酸ナトリウム水溶液が最も一般的である。
現像方法の一例を示すと、表面を整面し、乾燥した銅張積層板の表面に、感光性フィルムの保護フィルムを剥がしながら、感光層を、ラミネータを用いて圧着して、銅張り積層板、感光層、そして支持体フィルムからなる積層体を作製する。圧着条件は、積層板温度70℃、圧着ロール温度105℃、圧着ロール圧力3kg/cmそして圧着速度1.2m/分とする。
積層体から支持体フィルムを剥がし取り、銅張り積層板上の感光層の全面に30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を0.1MPaの圧力にてスプレーする。少なくとも60秒間のスプレーの後で銅張り積層板上の感光層が除去された場合、現像されことになる。
このようなアルカリ可溶性を示す樹脂としては、例えば、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液中に1質量%以上の溶解度を示すものから、好適に選ぶことができる。
前記架橋性とは、光化学反応により、線状のポリマー分子を網状の三次元構造となる分子に変わる性質をいい、具体的には、光重合開始剤の光分解により、発生する遊離ラジカルの作用により、重合反応をして網状化しうるポリマーをいう。
前記バインダー(以下、アルカリ可溶性架橋性樹脂とも称する。)は、分子中にアルカリ可溶基と光重合に関与する架橋性基を含有する1%炭酸ソーダ水溶液(pH=10)に可溶性の樹脂である。
前記アルカリ可溶性架橋性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニルポリマー型アルカリ可溶性架橋性樹脂、エポキシ樹脂エステル型アルカリ可溶性架橋性樹脂などが挙げられる。
−ビニルポリマー型アルカリ可溶性架橋性樹脂−
前記ビニルポリマー型アルカリ可溶性架橋性樹脂としては、下記タイプ(A−1)、(A−2)及び(A−3)に分類され、少なくともいずれかのタイプから選ばれる。
タイプ(A−1):(a)カルボキシル基含有共重合樹脂と、(b)エポキシ基含有不飽和化合物との反応により製造される。
タイプ(A−2):(c)エポキシ基含有共重合樹脂と、(d)カルボキシル基含有不飽和化合物を付加反応し更に得られる生成物のヒドロキシル基への(e)多塩基酸無水物の付加反応により製造される。
タイプ(A−3):(f)酸無水物基含有共重合樹脂と、(g)分子中に1個のヒドロキシル基及び少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の付加反応により製造される。
−タイプ(A−1)−
前記タイプ(A−1)のビニルポリマー型アルカリ可溶性架橋性樹脂の製造に用いられる、(a)カルボキシル基含有共重合樹脂は、1分子中に1個の不飽和基と少なくとも1個のカルボキシル基又は酸無水物基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸エステル及びスチレン類の少なくともいずれかとを共重合させて得られる。
前記(a)カルボキシル基含有共重合樹脂を構成単位とする1分子中に1個の不飽和基と少なくとも1個のカルボキシル基又は酸無水物基を有する化合物とは、(メタ)アクリル酸、更にはマレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基を分子中に2個以上含むものが挙げられる。また、マレイン酸、イタコン酸のモノエステル、又はモノアミドも含まれる。また、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物が挙げられる。これら半エステル化合物は、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物とを等モル比で反応させることで得られる。
前記半エステル化合物の合成に用いられるヒドロキシル基含有アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンダエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ジベンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記半エステル化合物の合成に用いられる飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルナドラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられる。これらの中で、(メタ)アクリル酸が好ましい。
これら1分子中に1個の不飽和基と少なくとも1個のカルボキシル基又は酸無水物基を有する化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記(a)カルボキシル基含有共重合樹脂の構成単位となる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、アセトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、β−フェノキシエトキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、オクタフロロペンチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、前記(a)カルボキシル基含有共重合樹脂の構成単位となるスチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えば、t−Boc等)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
前記(a)カルボキシル基含有共重合樹脂は、これら1分子中に1個の不飽和基と少なくとも1個のカルボキシル基、又は、酸無水物基を有する化合物と(メタ)アクリル酸エステルモノマーとスチレン類の少なくともいずれかとの通常の共重合法、例えば、溶液重合法により共重合して得られる。
また、前記(a)カルボキシル基含有共重合樹脂に包含される、マレイン酸モノエステル/スチレン類共重合体、マレイン酸モノアミド/スチレン類共重合体、イタコン酸モノエステル/スチレン類共重合体やイタコン酸モノアミド/スチレン類共重合体の場合は、それぞれ無水マレイン酸/スチレン類共重合体や無水イタコン酸/スチレン類共重合体のアルコール類又は一級又は二級アミン類との高分子反応により得ることができる。
前記マレイン酸無水物との高分子反応に使用する前記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノールなどを好適に挙げることができる。
また、前記一級アミン類としては、例えば、ベンジルアミン、フェネチルアミン、3−フェニル−1−プロピルアミン、4−フェニル−1−ブチルアミン、5−フェニル−1−ペンチルアミン、6−フェニル−1−ヘキシルアミン、α−メチルベンジルアミン、2−メチルベンジルアミン、3−メチルベンジルアミン、4−メチルベンジルアミン、2−(p−トリル)エチルアミン、β―メチルフェネチルアミン、1−メチル−3−フェニルプロピルアミン、2−クロロベンジルアミン、3−クロロベンジルアミン、4−クロロベンジルアミン、2−フロロベンジルアミン、3−フロロベンジルアミン、4−フロロベンジルアミン、4−ブロモフェネチルアミン、2−(2−クロロフェニル)エチルアミン、2−(3−クロロフェニル)エチルアミン、2−(4−クロロフェニル)エチルアミン、2−(2−フロロフェニル)エチルアミン、2−(3−フロロフェニル)エチルアミン、2−(4−フロロフェニル)エチルアミン、4−フロロ−α,α−ジメチルフェネチルアミン、2−メトキシベンジルアミン、3−メトキシベンジルアミン、4−メトキシベンジルアミン、2−エトキシベンジルアミン、2−メトキシフェネチルアミン、3−メトキシフェネチルアミン、4−メトキシフェネチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、フェニルアミン、1−ナフチルアミン、メトキシメチルアミン、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、2−ブトキシエチルアミン、2−シクロへキシルオキシエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミンなどが好適に挙げられる。
更に、前記二級アミン類としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、ジエチルアミン、エチルプロピルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N,N−メチルベンジルアミンなどを好適に挙げることができる。
−(b)エポキシ基含有不飽和化合物−
前記タイプ(A−1)のビニルポリマー型アルカリ可溶性架橋性樹脂の製造に用いられる(b)エポキシ基含有不飽和化合物としては、1分子中に1個のラジカル重合性の不飽和基とエポキシ基とを有する化合物であればよく、例えば、下記一般式(VIII−1)〜(VIII−14)で示される化合物などが挙げられる。
ただし、一般式(VIII−1)〜(VIII−14)において、R59は水素原子及びメチル基のいずれか、R60は炭素原子数1〜10のアルキレン基、R61は炭素原子数1〜10の炭化水素基、pは0又は1〜10の整数を表す。
これら(b)エポキシ基含有不飽和化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、グリシジル(メタ)アクリレートや3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートが好ましい。
−タイプ(A−2)−
前記タイプ(A−2)のビニルポリマー型アルカリ可溶性架橋性樹脂の製造に用いられるエポキシ基含有共重合樹脂(c)は、エポキシ基含有モノマーとそれ以外のエポキシ基と非反応性の(メタ)アクリルエステル及び/又はスチレン類との共重合により得られる。
エポキシ基含有モノマーとしては、前記タイプ(A−1)のビニルポリマー型アルカリ可溶性架橋性樹脂の説明において既述の化合物が好適に用いられる。
エポキシ基と非反応性の(メタ)アクリル酸エステル及びスチレン類の少なくともいずれかは、前記タイプ(A−1)のアルカリ可溶性架橋性樹脂において既述のもののうち、カルボキシル基、アルコール性ヒドロキシル基、フェノール性ヒドロキシル基、アミノ基などを含まないものが好適に用いられる。
製造法としては、エポキシ基含有モノマーとそれ以外のエポキシ基と非反応性の(メタ)アクリル酸エステル、スチレン類を常法、例えば溶液重合法等により共重合して得られる。
ここで、エポキシ基含有モノマーとそれ以外のエポキシ基と非反応性の(メタ)アクリルエステル及びはスチレン類の少なくともいずれかとのモル比は60:40〜20:80が好適である。なお、エポキシ基含有モノマーの配合量が少な過ぎてこのモル比が20:80より大きいと、次の不飽和カルボン酸、更に多塩基酸無水物の前記共重合体への付加量が少なくなる結果、紫外線硬化性及び希アルカリ水溶液による現像性が悪くなり、また逆にエポキシ基含有モノマーの配合量が多過ぎて前記モル比が60:40より小さいと、軟化点が低くなり過ぎる傾向がある。
また、カルボキシル基含有不飽和化合物(d)は、タイプ(A−1)のビニルポリマー型アルカリ可溶性架橋性樹脂の説明中で1分子中に1個の不飽和基と少なくとも1個のカルボキシル基又は酸無水物基を有する化合物として既述の各化合物が好適に使用できる。
また、多塩基酸無水物(e)としては、マレイン酸無水物、コハク酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、3−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、3−エチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4−エチルヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、3−メチルテトラヒドロフタル酸無水物、4−メチルテトラヒドロフタル酸無水物、3−エチルテトラヒドロフタル酸無水物、4−エチルテトラヒドロフタル酸無水物、フタル酸無水物などの、分子中に1ヶの酸無水物基を有する飽和又は不飽和の脂肪族、脂環族又は芳香族化合物が好ましい。これらの中でも、テトラヒドロフタル酸無水物が特に好ましい。
前記エポキシ基含有共重合体とカルボキシル基含有不飽和化合物と引き続く多塩基酸無水物との反応は次のように実施するのが好ましい。前記エポキシ基含有モノマーの共重合体に対し、この共重合体の1エポキシ基当量当り0.8〜1.2モルの不飽和カルボン酸を付加反応した後、更に得られる生成物のヒドロキシル基に多塩基酸無水物を付加反応する。
−タイプ(A−3)−
前記タイプ(A−3)のビニルポリマー型アルカリ可溶性架橋性樹脂の製造に用いられる酸無水物基含有樹脂(f)は、マレイン酸無水物とスチレン類の共重合又はイタコン酸無水物とスチレン類の共重合により得られる。
共重合成分であるスチレン類は、前記タイプ(A−1)のアルカリ可溶性架橋性樹脂の説明中で既述のものが好適に用いられる。マレイン酸無水物又はイタコン酸無水物とスチレン類の共重合組成比は9:1〜1:9が好ましく、8:2〜2:8がより好ましく、7:3〜3:7が特に好ましい。9:1以上では硬化部の耐現像性が劣り、1:9以下では現像性が劣る。
前記無水マレイン酸1モルに対してスチレンを1モルから3モルの割合で共重合させて得られる質量平均分子量が、1,000から5,000程度の共重合体が好ましく、例えば、ARCO Chemical社製SMAレンジ1000、2000、3000などが挙げられる。
分子中に1個のヒドロキシル基及び少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(g)としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、ペンダエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート、グリセロールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
前記酸無水物共重合体と、分子中に1個のヒドロキシル基及び少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基とを有するモノマーの開環付加反応は、活性水素を含まない有機溶剤中で行うという公知の方法で製造できる。溶剤として好ましいものは、酢酸エチル、メトキシプロピルアセテート、メチルエチルケトン等が好ましい。その際の前記モノマー中ヒドロキシル基/前記共重合体中酸無水物基のモル比は0.8〜1.2が好ましい。
上記開環付加反応は通常50℃から200℃で行なうがジエステルの生成及びゲル化を防止するために80℃から150℃程度が好ましい。なお、反応促進剤としてトリエチルアミン、トリエタノールアミン、モリホリン、ペンダメチルジエチレントリアミンなどの第三級アミン類又は第四級アンモニウム塩などを使用することができる。一方反応中に重合物が生成するのを防止するためにヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルヒドロキノン、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、フェノチアジンなどの公知の重合禁止剤を添加使用することもできる。
以上のように、得られた前記タイプ(A−1)、(A−2)及び(A−3)の少なくともいずれかからなるビニルポリマー型アルカリ可溶性架橋性樹脂は、その酸価が、50〜250mgKOH/gの範囲にあることが好ましい。
前記酸価は、70〜200mgKOH/gがより好ましく、90〜180mgKOH/gが特に好ましい。前記酸価が、50mgKOH/g未満であると、弱アルカリ水溶液である現像液での未露光部の除去が難しく、一方、250mgKOH/gを超えると、硬化被膜の耐水性、電気特性が劣るなどの弊害がある。また、ビニルポリマー型アルカリ可溶性架橋性ポリマー(A)は、質量平均分子量が5,000〜200,000の範囲にあるものが好ましい。また、質量平均分子量は10,000〜100,000がより好ましく、30,000〜80,000が特に好ましい。質量平均分子量が5,000未満であると、指触乾燥性が著しく劣り、支持体との剥離性が劣る。一方、質量平均分子量が200,000を超えると、アルカリ現像液による未露光部の除去性、貯蔵安定性が著しく悪くなる等の問題を生じるので好ましくない。
前記感光性組成物の全固形分中のアルカリ可溶性架橋性樹脂の固形分含有量は15〜70質量%が好ましい。15質量%未満であると、硬化膜の強靱性が劣ることがあり、70質量%を越えると信頼性の低下など、性能バランスが劣化することがある。
特に前記タイプ(A−1)〜(A−3)からの1種と後述のエポキシ樹脂エステル型アルカリ可溶性架橋性オリゴマーからの1種の混合物はバランスのとれた性能を付与することができるので好ましい。その場合の混合比は質量で1:9〜9:1が好ましく、2:8〜8:2がより好ましく、3:7〜7:3が特に好ましい。
−エポキシ樹脂エステル型アルカリ可溶性架橋性樹脂−
前記エポキシ樹脂エステル型アルカリ可溶性架橋性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(h)エポキシ樹脂と(i)1分子中に1個の不飽和基と少なくとも1個のカルボキシル基又は酸無水物基を有する化合物とのエステル化反応生成物に、更に(j)多塩基酸無水物を反応することにより生成する。
前記エポキシ樹脂(h)としては、東都化成(株)製YDCN−701,YDCN−704;大日本インキ化学工業(株)製N−665,N−680,N−695;日本化薬(株)製EOCN−102,EOCN−104;旭化成工業(株)製ECN−265,ECN−293,ECN−285,ECN−299などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂や、東都化成(株)製YDPN−638,YDPN−602;ダウ・ケミカル日本(株)製 DEN−431,DEN−438,DEN−439;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 EPN−1138,EPN−1235,EPN−1299;大日本インキ化学工業(株)製 N−730,N−770などのフェノールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。また、ノボラック型エポキシ樹脂の一部を、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂も有利に使用できる。
次に、1分子中に1個の不飽和基と少なくとも1個のカルボキシル基又は酸無水物基を有する化合物(i)は、前記タイプ(A−1)のビニルポリマー型アルカリ可溶性架橋性樹脂の説明中で既述の各化合物が好適に使用できる。
また、前記多塩基酸無水物(j)は同様にタイプ前記(A−2)のビニルポリマー型アルカリ可溶性架橋性樹脂の説明中で成分(e)として既述の化合物を使用することができる。
−−エポキシ樹脂エステル型アルカリ可溶性架橋性樹脂の製造方法−−
前記エポキシ樹脂エステル型アルカリ可溶性架橋性樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、製造の際のエポキシ樹脂(h)と1分子中に1個の不飽和基と少なくとも1個のカルボキシル基又は酸無水物基を有する化合物(i)との反応において、エポキシ樹脂(h)のエポキシ基1当量に対して、1分子中に1個の不飽和基と少なくとも1個のカルボキシル基又は酸無水物基を有する化合物(i)が0.8〜1.05当量となる比率で反応させることが好ましく、0.9〜1.0当量がより好ましい。
前記エポキシ樹脂(h)と1分子中に1個の不飽和基と少なくとも1個のカルボキシル基又は酸無水物基を有する化合物(i)は有機溶剤に溶かして反応させられ、有機溶剤としては、例えば、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などが挙げられる。
更に、反応を促進させるために触媒を用いるのが好ましい。用いられる触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン、メチルトリエチルアンモニウムクロライト、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライト、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルメチルアンモニウムアイオタイド、トリフェニルホスフィンなどが挙げられる。触媒の使用量は、エポキシ樹脂とビニル基含有モノカルボン酸(b)の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。
また、反応中の重合を防止する日的で、重合防止剤を使用するのが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等が挙げられ、その使用量は、エポキシ樹脂(a)とビニル基含有モノカルボン酸(b)の合計100質量部に対して、0.01〜1質量部が好ましい。反応温度は、60〜150℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。
前記のエポキシ樹脂エステル型アルカリ可溶性架橋性樹脂は、こうして得られた反応生成物に多塩基酸無水物(j)を反応させて得られる。前記反応生成物と多塩基酸無水物(c)との反応温度は、60〜120℃が好ましい。
前記反応生成物中のヒドロキシル基1当量に対して、多塩基酸無水物(j)を0.1〜1.0当量反応させることで、前記エポキシ樹脂エステル型アルカリ可溶性架橋性樹脂の酸価を調整できる。前記エポキシ樹脂エステル型アルカリ可溶性架橋性樹脂の酸価は30〜150mgKOH/gであることが好ましく、50〜120mgKOH/gであることがより好ましい。酸価が30mgKOH/g未満であると、光硬化性樹脂組成物の希アルカリ溶液への溶解性が低下し、150mgKOH/gを超えると硬化膜の電気特性が低下する傾向がある。
前記エポキシ樹脂エステル型アルカリ可溶性架橋性樹脂の質量平均分子量は500〜5,000が好ましく、1,000〜4,000がより好ましく、1,500〜3,500が特に好ましい。500以下であると、粘着性が高すぎ保護フィルムの剥離が困難になることがあり、5,000を越えると該樹脂の製造が困難になることがある。
<重合性化合物>
前記重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、分子中に少なくとも1個の付加重合可能な基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物が好ましく、例えば、(メタ)アクリル基を有するモノマーから選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。
前記(メタ)アクリル基を有するモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンやグリセリン、ビスフェノールなどの多官能アルコールに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加反応した後で(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報、特開昭51−37193号公報などの各公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、特公昭52−30490号公報などの各公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類などの多官能アクリレートやメタクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
前記重合性化合物の前記感光性組成物固形分中の固形分含有量は、5〜75質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。該固形分含有量が5質量%未満であると、現像性の悪化、露光感度の低下などの問題を生ずることがあり、75質量%を超えると、感光層の粘着性が強くなりすぎることがあり、好ましくない。
<熱架橋剤>
前記熱架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂及び多官能オキセタン化合物などが好適に挙げられる。
前記エポキシ樹脂及び多官能オキセタン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記感光性組成物を用いて形成される感光層の硬化後の膜強度を改良するために、現像性などに悪影響を与えない範囲で、1分子内に少なくとも2つのオキシラン基を有するエポキシ樹脂化合物、1分子内に少なくとも2つのオキセタニル基を有するオキセタン化合物などを用いることができる。
前記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビキシレノール型若しくはビフェノール型エポキシ樹脂(「YX4000;ジャパンエポキシレジン社製」など)又はこれらの混合物、イソシアヌレート骨格などを有する複素環式エポキシ樹脂(「TEPIC;日産化学工業社製」、「アラルダイトPT810;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製」など)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、グリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂(「ESN−190,ESN−360;新日鉄化学社製」、「HP−4032,EXA−4750,EXA−4700;大日本インキ化学工業社製」など)、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂(「HP−7200,HP−7200H;大日本インキ化学工業社製」など)、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂(「CP−50S,CP−50M;日本油脂社製」など)、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多官能オキセタン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート又はこれらのオリゴマーあるいは共重合体などの多官能オキセタン類の他、オキセタン基と、ノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、シルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂など、とのエーテル化合物が挙げられ、この他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
前記エポキシ樹脂又は多官能オキセタン化合物の前記感光性組成物溶液の固形分中の固形分含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2〜50質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。該固形分含有量が2質量%未満であると、硬化膜の吸湿性が高くなり、絶縁性の劣化を生ずる、あるいは、半田耐熱性や耐無電解メッキ性などが低下することがあり、50質量%を超えると、現像性の悪化や露光感度の低下が生ずることがあり、好ましくない。
−その他の熱架橋剤―
前記その他の熱架橋剤は、前記エポキシ樹脂や多官能オキセタン化合物とは別に添加することができる。前記熱架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開平5−9407号公報記載のポリイソシアネート化合物を用いることができ、該ポリイソシアネート化合物としては、少なくとも2つのイソシアネート基を含む脂肪族、環式脂肪族又は芳香族基置換脂肪族化合物から誘導されていてもよい。
具体的には、1,3−フェニレンジイソシアネートと1,4−フェニレンジイソシアネートとの混合物、2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネート、1,3−及び1,4−キシリレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネート−フェニル)メタン、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの2官能イソシアネート;該2官能イソシアネートと、トリメチロールプロパン、ペンタリスルトール、グリセリンなどとの多官能アルコール;該多官能アルコールのアルキレンオキサイド付加体と、前記2官能イソシアネートとの付加体;ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート及びその誘導体などの環式三量体などが挙げられる。
更に、前記感光性組成物、あるいは、感光層(以下、感光性ソルダーレジストフィルムともいう。)の保存性を向上させることを目的として、前記ポリイソシアネート及びその誘導体のイソシアネート基にブロック剤を反応させて得られる化合物を用いてもよい。
前記イソシアネート基ブロック剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソプロパノール、tert−ブタノールなどのアルコール類;ε−カプロラクタムなどのラクタム類;フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−sec−ブチルフェノール、p−sec−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノールなどのフェノール類;3−ヒドロキシピリジン、8−ヒドロキシキノリンなどの複素環式ヒドロキシル化合物;ジアルキルマロネート、メチルエチルケトキシム、アセチルアセトン、アルキルアセトアセテートオキシム、アセトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどの活性メチレン化合物;などが挙げられる。これらの他に、特開平6−295060号公報記載の分子内に少なくとも1つの重合可能な二重結合及び少なくとも1つのブロックイソシアネート基のいずれかを有する化合物などを用いることができる。
また、アルデヒド縮合生成物、樹脂前駆体などを用いることができる。具体的には、N,N’−ジメチロール尿素、N,N’−ジメチロールマロンアミド、N,N’−ジメチロールスクシンイミド、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、1,3−N,N’−ジメチロールテレフタルアミド、2,4,6−トリメチロールフェノール、2,6−ジメチロール−4−メチロアニソール、1,3−ジメチロール−4,6−ジイソプロピルベンゼンなどが挙げられる。なお、これらのメチロール化合物の代わりに、対応するエチル若しくはブチルエーテル、又は酢酸あるいはプロピオン酸のエステルを使用してもよい。また、メラミンと尿素とのホルムアルデヒド縮合生成物とからなるヘキサメチル化メチロールメラミンや、メラミンとホルムアルデヒド縮合生成物のブチルエーテルなどを使用してもよい。
<熱硬化促進剤>
前記熱硬化促進剤は、前記エポキシ樹脂化合物や前記多官能オキセタン化合物の熱架橋を促進する機能があり、前記感光性樹脂に好適に添加される。
前記熱硬化促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミンなどのアミン化合物;トリエチルベンジルアンモニウムクロリドなどの4級アンモニウム塩化合物;ジメチルアミンなどのブロックイソシアネート化合物;イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩;トリフェニルホスフィンなどのリン化合物;メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなどのグアナミン化合物;2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物などのS−トリアジン誘導体、三フッ化ホウ素−アミンコンプレックス、有機ヒドラジド累、無水フタル酸、無水トリメリット酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などの芳香族酸無水物、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などの脂肪族酸無水物類、ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラックなどのポリフェノール類などなどを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、前記エポキシ樹脂化合物や前記多官能オキセタン化合物の硬化触媒、あるいは、これらとカルボキシル基の反応を促進することができるものであれば、特に制限はなく、上記以外の熱架橋を促進可能な化合物を用いてもよい。
前記エポキシ樹脂、前記多官能オキセタン化合物、及びこれらとカルボン酸との熱架橋を促進可能な化合物の前記感光性組成物溶液の固形分中の固形分含有量は、通常0.01〜20質量%である。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機充填剤、着色剤、溶剤、界面活性剤、密着促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤及びその他の添加剤などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、目的とする感光性組成物あるいは感光性フィルムの安定性、写真性、膜物性などの性質を調整することができる。
<無機充填剤>
前記無機充填剤は、永久パターンの表面硬度を向上でき、線膨張係数を低く抑えることができ、硬化層自体の誘電率や誘電正接を低く抑えることができる機能があるので、本発明の感光性組成物に好適に用いることができる。
前記無機充填剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カオリン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、気相法シリカ、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、マイカなどが挙げられる。
前記無機充填剤の平均粒径は、3μm未満が好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。該平均粒径が3μm以上であると、光錯乱により解像度が劣化することがある。
前記無機充填剤の添加量は、5〜75質量%が好ましく、8〜70質量%がより好ましく、10〜65質量%が特に好ましい。該添加量が5質量%未満であると、十分に線膨張係数を低下させることができないことがあり、90質量%を超えると、感光層表面に硬化膜を形成した場合に、該硬化膜の膜質が脆くなり、永久パターンを用いて配線を形成する場合において、配線の保護膜としての機能が損なわれることがある。
更に必要に応じて有機微粒子を添加することも可能である。好適な有機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂などが挙げられる。また、平均粒径0.1〜2μm、吸油量100〜200m/g程度のシリカ、架橋樹脂からなる球状多孔質微粒子などを用いることができる。
前記無機充填剤に、平均粒径が0.1〜2μmの粒子を含有していることから、永久パターンをプリント配線基板の薄型化にともなって、厚み5〜20μmに薄層化したとしても、無機充填剤粒子が永久パターンの表裏両面を架橋することはなく、その結果、高加速度試験(HAST)においてもイオンマイグレーションの発生がなく、耐熱性、耐湿性に優れた永久パターンとすることができる。
<着色剤>
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の染料の中から、適宜選択した着色顔料などの染料を使用することができる。
−着色顔料−
前記着色顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビクトリアピュアーブルーBO(C.I.42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファットブラックHB(C.I.26150)、モノライトエローGT(C.I.ピグメントイエロー12)、パーマネントイエローGR(C.I.ピグメントイエロー17)、パーマネントイエローHR(C.I.ピグメントイエロー83)、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー185、パーマネントカーミンFBB(C.I.ピグメントレッド146)、ホスターバームレッドESB(C.I.ピグメントバイオレット19)、パーマネントルビーFBH(C.I.ピグメントレッド11)ファステルピンクBスプラ(C.I.ピグメントレッド81)モナストラルファーストブルー(C.I.ピグメントブルー15)、モノライトファーストブラックB(C.I.ピグメントブラック1)、カーボン、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー64などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色顔料の前記感光性組成物溶液の固形分中の固形分含有量は、永久パターン形成の際の感光層の露光感度、解像性などを考慮して決めることができ、前記着色顔料の種類により異なるが、一般的には0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましい。
−溶剤−
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−n−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、及びメトキシプロピルアセテートなどのエステル類;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、モノクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノールなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
−界面活性剤−
前記感光性組成物は、本発明のパターン形成材料を製造する際に発生する面状ムラを改善させるために、公知の界面活性剤を添加することができる。
前記界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素含有界面活性剤などから適宜選択できる。
前記界面活性剤の含有量は、パターン形成材料用感光性組成物の固形分に対し、0.001〜10質量%が好ましい。
前記含有量が、0.001質量%未満になると、面状改良の効果が得られなくことがあり、10質量%を超えると、密着性が低下することがある。
前記界面活性剤としては、上述の界面活性剤の他、フッ素系の界面活性剤として、炭素鎖3〜20でフッ素原子を40質量%以上含み、かつ、非結合末端から数えて少なくとも3個の炭素原子に結合した水素原子がフッ素置換されているフルオロ脂肪族基を有するアクリレート又はメタクリレートを共重合成分として有する高分子界面活性剤も好適に挙げられる。
−密着促進剤−
前記密着促進剤は、各層間の密着性、又は感光層と基材との密着性、電食性を向上させる機能がある。
前記密着促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアテミン、メラミン−フェノールホルマリン樹脂、エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジンなどのトリアジン化合物が挙げられる。市販されているトリアジン化合物としては、下記構造式(E)〜(G)に示す四国化成工業社製;2MZ−AZINE(構造式(E)),2E4MZ−AZINE(構造式(F)),CllZ−AZINE(構造式(G))などが挙げられる。
これらの化合物は、銅回路との密着性を高め、耐PCT性を向上させ、電食性にも効果がある。これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。密着促進剤の含有量は、感光性組成物固形分に対して0.1〜40質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましい。
−熱重合禁止剤−
前記熱重合禁止剤は、前記重合性化合物の熱的な重合又は経時的な重合を防止し、保存安定性を向上させるために添加することが好ましい。
前記熱重合禁止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、アルキル又はアリール置換ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、4−トルイジン、メチレンブルー、銅と有機キレート剤反応物、サリチル酸メチル、及びフェノチアジン、ニトロソ化合物、ニトロソ化合物とAlとのキレートなどが挙げられる。
前記熱重合禁止剤の含有量は、前記重合性化合物に対して0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜2質量%がより好ましく、0.01〜1質量%が特に好ましい。該含有量が、0.001質量%未満であると、保存時の安定性が低下することがあり、5質量%を超えると、活性エネルギー線に対する感度が低下することがある。
(感光性フィルム)
前記感光性フィルムは、支持体と、該支持体上に本発明の前記感光性組成物からなる感光層とを少なくとも有し、目的に応じて、クッション層等の適宜選択されるその他の層を積層してなる。
<支持体>
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記感光層を剥離可能であり、かつ光の透過性が良好であるのが好ましく、更に表面の平滑性が良好であるのがより好ましい。
前記支持体の材料としては、合成樹脂製で、かつ透明であるものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフロロエチレン、ポリトリフロロエチレン、セルロース系フィルム、ナイロンフィルム等の各種のプラスチックフィルムが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、前記支持体としては、例えば、特開平4−208940号公報、特開平5−80503号公報、特開平5−173320号公報、特開平5−72724号公報などに記載の支持体を用いることもできる。
前記支持体の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、4〜300μmが好ましく、5〜175μmがより好ましい。
前記支持体の形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる、例えば、円筒状の巻芯に巻き取って、長尺状でロール状に巻かれて保管されるのが好ましい。前記長尺状の感光性フィルムの長さは、特に制限はなく、例えば、10〜20,000mの範囲から適宜選択することができる。また、ユーザーが使いやすいようにスリット加工し、100〜1,000mの範囲の長尺体をロール状にしてもよい。なお、この場合には、前記支持体が一番外側になるように巻き取られるのが好ましい。また、前記ロール状の感光性フィルムをシート状にスリットしてもよい。保管の際、端面の保護、エッジフュージョンを防止する観点から、端面にはセパレーターを設置するのが好ましく、また梱包も透湿性の低い素材を用いるのが好ましい。前記セパレーターとしては、防湿性のもの、乾燥剤入りのものが特に好ましい。
<感光層>
前記感光層は、前記本発明の感光性組成物を用いて形成される。前記感光層の前記感光性フィルムにおいて設けられる箇所としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常、前記支持体上に積層される。
前記感光層としては、単層であってもよく、複数層であってもよい。
前記感光層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1〜100μmが好ましく、5〜70μmがより好ましい。
<その他の層>
前記感光性フィルムにおけるその他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クッション層、酸素遮断層(PC層)、剥離層、接着層、光吸収層、表面保護層などの層を有してもよい。これらの層を1種単独で有していてもよく、2種以上を有していてもよい。また、前記感光層上に保護フィルムを有していてもよい。
−クッション層−
前記クッション層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、アルカリ性液に対して膨潤性乃至可溶性であってもよく、不溶性であってもよい。
前記クッション層がアルカリ性液に対して膨潤性乃至可溶性である場合には、前記熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレンとアクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のケン化物、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体などが挙げられる。
この場合の熱可塑性樹脂の軟化点(Vicat)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、80℃以下が好ましい。
前記軟化点が80℃以下の熱可塑性樹脂としては、上述した熱可塑性樹脂の他、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25日発行)による軟化点が約80℃以下の有機高分子の内、アルカリ性液に可溶なものが挙げられる。また、軟化点が80℃以上の有機高分子物質においても、該有機高分子物質中に該有機高分子物質と相溶性のある各種の可塑剤を添加して実質的な軟化点を80℃以下に下げることも可能である。
また、前記クッション層がアルカリ性液に対して膨潤性乃至可溶性である場合には、前記感光性フィルムの層間接着力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、各層の層間接着力の中で、前記支持体と前記クッション層との間の層間接着力が、最も小さいことが好ましい。このような層間接着力とすることにより、前記感光性フィルムから前記支持体のみを剥離し、前記クッション層を介して前記感光層を露光した後、アルカリ性の現像液を用いて該感光層を現像することができる。また、前記支持体を残したまま、前記感光層を露光した後、前記感光性フィルムから前記支持体のみを剥離し、アルカリ性の現像液を用いて該感光層を現像することもできる。
前記層間接着力の調整方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記熱可塑性樹脂中に公知のポリマー、過冷却物質、密着改良剤、界面活性剤、離型剤などを添加する方法が挙げられる。
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート等のアルコール類やエステル類;トルエンスルホンアミド等のアミド類、などが挙げられる。
前記クッション層がアルカリ性液に対して不溶性である場合には、前記熱可塑性樹脂としては、例えば、主成分がエチレンを必須の共重合成分とする共重合体が挙げられる。
前記エチレンを必須の共重合成分とする共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)などが挙げられる。
前記クッション層がアルカリ性液に対して不溶性である場合には、前記感光性フィルムの層間接着力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、各層の層間接着力の中で、前記感光層と前記クッション層との接着力が、最も小さいことが好ましい。このような層間接着力とすることにより、前記感光性フィルムから前記支持体及びクッション層を剥離し、前記感光層を露光した後、アルカリ性の現像液を用いて該感光層を現像することができる。また、前記支持体を残したまま、前記感光層を露光した後、前記感光性フィルムから前記支持体と前記クッション層を剥離し、アルカリ性の現像液を用いて該感光層を現像することもできる。
前記層間接着力の調整方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記熱可塑性樹脂中に各種のポリマー、過冷却物質、密着改良剤、界面活性剤、離型剤などを添加する方法、以下に説明するエチレン共重合比を調整する方法などが挙げられる。
前記エチレンを必須の共重合成分とする共重合体におけるエチレン共重合比は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、60〜90質量%が好ましく、60〜80質量%がより好ましく、65〜80質量%が特に好ましい。
前記エチレンの共重合比が、60質量%未満になると、前記クッション層と前記感光層との層間接着力が高くなり、該クッション層と該感光層との界面で剥離することが困難となることがあり、90質量%を超えると、前記クッション層と前記感光層との層間接着力が小さくなりすぎるため、該クッション層と該感光層との間で非常に剥離しやすく、前記クッション層を含む感光性フィルムの製造が困難となることがある。
前記クッション層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜50μmが好ましく、10〜50μmがより好ましく、15〜40μmが特に好ましい。
前記厚みが、5μm未満になると、基体の表面における凹凸や、気泡等への凹凸追従性が低下し、高精細な永久パターンを形成できないことがあり、50μmを超えると、製造上の乾燥負荷増大等の不具合が生じることがある。
−酸素遮断層(PC層)−
前記酸素遮断層は、通常ポリビニルアルコールを主成分として形成されることが好ましく、厚みが0.5〜5μm程度の被膜であることが好ましい。
−保護フィルム−
前記保護フィルムは、前記感光層の汚れや損傷を防止し、保護する機能を有する。
前記保護フィルムの前記感光性フィルムにおいて設けられる箇所としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常、前記感光層上に設けられる。
前記保護フィルムとしては、例えば、前記支持体に使用されるもの、シリコーン紙、ポリエチレン、ポリプロピレンがラミネートされた紙、ポリオレフィン又はポリテトラフルオルエチレンシート、などが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが好ましい。
前記保護フィルムの厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5〜100μmが好ましく、8〜30μmがより好ましい。
前記保護フィルムを用いる場合、前記感光層及び前記支持体の接着力Aと、前記感光層及び保護フィルムの接着力Bとが、接着力A>接着力Bの関係であることが好ましい。
前記支持体と保護フィルムとの組合せ(支持体/保護フィルム)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリ塩化ビニル/セロフアン、ポリイミド/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。また、支持体及び保護フィルムの少なくともいずれかを表面処理することにより、上述のような接着力の関係を満たすことができる。前記支持体の表面処理は、前記感光層との接着力を高めるために施されてもよく、例えば、下塗層の塗設、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波照射処理、グロー放電照射処理、活性プラズマ照射処理、レーザ光線照射処理などを挙げることができる。
また、前記支持体と前記保護フィルムとの静摩擦係数は、0.3〜1.4が好ましく、0.5〜1.2がより好ましい。
前記静摩擦係数が、0.3未満であると、滑り過ぎるため、ロール状にした場合に巻ズレが発生することがあり、1.4を超えると、良好なロール状に巻くことが困難となることがある。
前記保護フィルムは、前記保護フィルムと前記感光層との接着性を調整するために表面処理してもよい。前記表面処理は、例えば、前記保護フィルムの表面に、ポリオルガノシロキサン、弗素化ポリオレフィン、ポリフルオロエチレン、ポリビニルアルコール等のポリマーからなる下塗層を形成させる。該下塗層の形成は、前記ポリマーの塗布液を前記保護フィルムの表面に塗布した後、30〜150℃で1〜30分間乾燥させることにより形成させることができる。前記乾燥の温度は、50〜120℃が特に好ましい。
〔感光性フィルムの製造方法〕
前記感光性フィルムは、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、前記感光性組成物に含まれる材料を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させて、感光性フィルム用の感光性樹脂組成物溶液を調製する。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−n−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、及びメトキシプロピルアセテートなどのエステル類;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、モノクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノールなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
次に、前記支持体上に前記感光性樹脂組成物溶液を塗布し、乾燥させて感光層を形成し、感光性フィルムを製造することができる。
前記感光性組成物溶液の塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、スリットコート法、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ナイフコート法等の各種の塗布方法が挙げられる。
前記乾燥の条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60〜110℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
(感光性積層体)
前記感光性積層体は、基体上に、前記感光層を少なくとも有し、目的に応じて適宜選択されるその他の層を積層してなる。
<基体>
前記基体は、感光層が形成される被処理基体、又は本発明の感光性フィルムの少なくとも感光層が転写される被転写体となるもので、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表面平滑性の高いものから凸凹のある表面を持つものまで任意に選択できる。板状の基体が好ましく、いわゆる基板が使用される。具体的には、公知のプリント配線用の基板(プリント基板)、ガラス板(ソーダガラス板など)、合成樹脂性のフィルム、紙、金属板などが挙げられる。
〔感光性積層体の製造方法〕
前記感光性積層体の製造方法として、第1の態様として、前記感光性組成物を前記基体の表面に塗布し乾燥する方法が挙げられ、第2の態様として、本発明の感光性フィルムにおける少なくとも感光層を加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら転写して積層する方法が挙げられる。
前記第1の態様の感光性積層体の製造方法は、前記基体上に、前記感光性組成物を塗布及び乾燥して感光層を形成する。
前記塗布及び乾燥の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記基体の表面に、前記感光性組成物を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させて感光性組成物溶液を調製し、該溶液を直接塗布し、乾燥させることにより積層する方法が挙げられる。
前記感光性組成物溶液の溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記感光性フィルムに用いたものと同じ溶剤が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
前記塗布方法及び乾燥条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記感光性フィルムに用いたものと同じ方法及び条件で行う。
前記第2の態様の感光性積層体の製造方法は、前記基体の表面に本発明の感光性フィルムを加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら積層する。なお、前記感光性フィルムが前記保護フィルムを有する場合には、該保護フィルムを剥離し、前記基体に前記感光層が重なるようにして積層するのが好ましい。
前記加熱温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、15〜180℃が好ましく、60〜140℃がより好ましい。
前記加圧の圧力は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1〜1.0MPaが好ましく、0.2〜0.8MPaがより好ましい。
前記加熱の少なくともいずれかを行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラミネーター(例えば、大成ラミネータ社製 VP−II、ニチゴーモートン(株)製 VP130)などが好適に挙げられる。
(パターン形成装置及び永久パターン形成方法)
本発明のパターン形成装置は、前記感光層を備えており、光照射手段と光変調手段とを少なくとも有する。
本発明の永久パターン形成方法は、露光工程を少なくとも含み、現像工程、硬化処理工程等の適宜選択したその他の工程を含む。
なお、本発明の前記パターン形成装置は、本発明の前記永久パターン形成方法の説明を通じて明らかにする。
[露光工程]
前記露光工程は、本発明の感光性積層体における前記感光層に対し、露光を行う工程である。本発明の感光性積層体における前記感光層としては、本発明の前記感光性組成物により形成されてなる感光層、及び前記感光性フィルムから転写されてなる感光層が挙げられる。
前記露光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、デジタル露光、アナログ露光等が挙げられるが、これらの中でもデジタル露光が好ましい。
前記デジタル露光の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、光を照射する光照射手段、形成するパターン情報に基づいて該光照射手段から照射される光を変調させる光変調手段などが挙げられる。
前記デジタル露光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、形成するパターン形成情報に基づいて制御信号を生成し、該制御信号に応じて変調させた光を用いて行うことが好ましく、例えば、前記感光層に対し、光照射手段、及び前記光照射手段からの光を受光し出射するn個(ただし、nは2以上の自然数)の2次元状に配列された描素部を有し、パターン情報に応じて前記描素部を制御可能な光変調手段を備えた露光ヘッドであって、該露光ヘッドの走査方向に対し、前記描素部の列方向が所定の設定傾斜角度θをなすように配置された露光ヘッドを用い、前記露光ヘッドについて、使用描素部指定手段により、使用可能な前記描素部のうち、N重露光(ただし、Nは2以上の自然数)に使用する前記描素部を指定し、前記露光ヘッドについて、描素部制御手段により、前記使用描素部指定手段により指定された前記描素部のみが露光に関与するように、前記描素部の制御を行い、前記感光層に対し、前記露光ヘッドを走査方向に相対的に移動させて行う方法が好ましい。
本発明において「N重露光」とは、前記感光層の被露光面上の露光領域の略すべての領域において、前記露光ヘッドの走査方向に平行な直線が、前記被露光面上に照射されたN本の光点列(画素列)と交わるような設定による露光を指す。ここで、「光点列(画素列)」とは、前記描素部により生成された描素単位としての光点(画素)の並びのうち、前記露光ヘッドの走査方向となす角度がより小さい方向の並びを指すものとする。なお、前記描素部の配置は、必ずしも矩形格子状でなくてもよく、たとえば平行四辺形状の配置等であってもよい。 ここで、露光領域の「略すべての領域」と述べたのは、各描素部の両側縁部では、描素部列を傾斜させたことにより、前記露光ヘッドの走査方向に平行な直線と交わる使用描素部の描素部列の数が減るため、かかる場合に複数の露光ヘッドをつなぎ合わせるように使用したとしても、該露光ヘッドの取付角度や配置等の誤差により、走査方向に平行な直線と交わる使用描素部の描素部列の数がわずかに増減することがあるため、また、各使用描素部の描素部列間のつなぎの、解像度分以下のごくわずかな部分では、取付角度や描素部配置等の誤差により、走査方向と直交する方向に沿った描素部のピッチが他の部分の描素部のピッチと厳密に一致せず、走査方向に平行な直線と交わる使用描素部の描素部列の数が±1の範囲で増減することがあるためである。なお、以下の説明では、Nが2以上の自然数であるN重露光を総称して「多重露光」という。さらに、以下の説明では、本発明のパターン形成装置(露光装置)又は露光方法を、描画装置又は描画方法として実施した形態について、「N重露光」及び「多重露光」に対応する用語として、「N重描画」及び「多重描画」という用語を用いるものとする。
前記N重露光のNとしては、2以上の自然数であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3以上の自然数が好ましく、3以上7以下の自然数がより好ましい。
<パターン形成装置>
本発明の永久パターン形成方法に係るパターン形成装置の一例について図面を参照しながら説明する。
前記パターン形成装置としては、いわゆるフラットベッドタイプの露光装置とされており、図1に示すように、前記感光性フィルムにおける少なくとも前記感光層が積層されてなるシート状の感光性積層体12(以下、「感光材料12」、「感光層12」ということがある)を表面に吸着して保持する平板状の移動ステージ14を備えている。4本の脚部16に支持された厚い板状の設置台18の上面には、ステージ移動方向に沿って延びた2本のガイド20が設置されている。ステージ14は、その長手方向がステージ移動方向を向くように配置されると共に、ガイド20によって往復移動可能に支持されている。なお、このパターン形成装置10には、ステージ14をガイド20に沿って駆動するステージ駆動装置(図示せず)が設けられている。
設置台18の中央部には、ステージ14の移動経路を跨ぐようにコの字状のゲート22が設けられている。コの字状のゲート22の端部の各々は、設置台18の両側面に固定されている。このゲート22を挟んで一方の側にはスキャナ24が設けられ、他方の側には感光材料12の先端及び後端を検知する複数(たとえば2個)のセンサ26が設けられている。スキャナ24及びセンサ26はゲート22に各々取り付けられて、ステージ14の移動経路の上方に固定配置されている。なお、スキャナ24及びセンサ26は、これらを制御する図示しないコントローラに接続されている。
ここで、説明のため、ステージ14の表面と平行な平面内に、図1に示すように、互いに直交するX軸及びY軸を規定する。
ステージ14の走査方向に沿って上流側(以下、単に「上流側」ということがある。)の端縁部には、X軸の方向に向かって開く「く」の字型に形成されたスリット28が、等間隔で10本形成されている。各スリット28は、上流側に位置するスリット28aと下流側に位置するスリット28bとからなっている。スリット28aとスリット28bとは互いに直交するとともに、X軸に対してスリット28aは−45度、スリット28bは+45度の角度を有している。
スリット28の位置は、前記露光ヘッド30の中心と略一致させられている。また、各スリット28の大きさは、対応する露光ヘッド30による露光エリア32の幅を十分覆う大きさとされている。また、スリット28の位置としては、隣接する露光済み領域34間の重複部分の中心位置と略一致させてもよい。この場合、各スリット28の大きさは、露光済み領域34間の重複部分の幅を十分覆う大きさとする。
ステージ14内部の各スリット28の下方の位置には、それぞれ、後述する使用描素部指定処理において、描素単位としての光点を検出する光点位置検出手段としての単一セル型の光検出器(図示せず)が組み込まれている。また、各光検出器は、後述する使用描素部指定処理において、前記描素部の選択を行う描素部選択手段としての演算装置(図示せず)に接続されている。
露光時における前記パターン形成装置の動作形態はとしては、露光ヘッドを常に移動させながら連続的に露光を行う形態であってもよいし、露光ヘッドを段階的に移動させながら、各移動先の位置で露光ヘッドを静止させて露光動作を行う形態であってもよい。
<<露光ヘッド>>
各露光ヘッド30は、後述する内部のデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)36の各描素部(マイクロミラー)列方向が、走査方向と所定の設定傾斜角度θをなすように、スキャナ24に取り付けられている。このため、各露光ヘッド30による露光エリア32は、走査方向に対して傾斜した矩形状のエリアとなる。ステージ14の移動に伴い、感光層12には露光ヘッド30ごとに帯状の露光済み領域34が形成される。図2及び図3Bに示す例では、2行5列の略マトリックス状に配列された10個の露光ヘッドが、スキャナ24に備えられている。
なお、以下において、m行目のn列目に配列された個々の露光ヘッドを示す場合は、露光ヘッド30mnと表記し、m行目のn列目に配列された個々の露光ヘッドによる露光エリアを示す場合は、露光エリア32mnと表記する。
また、図3A及び図3Bに示すように、帯状の露光済み領域34のそれぞれが、隣接する露光済み領域34と部分的に重なるように、ライン状に配列された各行の露光ヘッド30の各々は、その配列方向に所定間隔(露光エリアの長辺の自然数倍、本実施形態では2倍)ずらして配置されている。このため、1行目の露光エリア3211と露光エリア3212との間の露光できない部分は、2行目の露光エリア3221により露光することができる。
露光ヘッド30の各々は、図4及び図5に示すように、入射された光を画像データに応じて描素部ごとに変調する光変調手段(描素部ごとに変調する空間光変調素子)として、DMD36(米国テキサス・インスツルメンツ社製)を備えている。このDMD36は、データ処理部とミラー駆動制御部とを備えた描素部制御手段としてのコントローラに接続されている。このコントローラのデータ処理部では、入力された画像データに基づいて、露光ヘッド30ごとに、DMD36上の使用領域内の各マイクロミラーを駆動制御する制御信号を生成する。また、ミラー駆動制御部では、画像データ処理部で生成した制御信号に基づいて、露光ヘッド30ごとに、DMD36の各マイクロミラーの反射面の角度を制御する。
図4に示すように、DMD36の光入射側には、光ファイバの出射端部(発光点)が露光エリア32の長辺方向と一致する方向に沿って一列に配列されたレーザ出射部を備えたファイバアレイ光源38、ファイバアレイ光源38から出射されたレーザ光を補正してDMD上に集光させるレンズ系40、このレンズ系40を透過したレーザ光をDMD36に向けて反射するミラー42がこの順に配置されている。なお図4では、レンズ系40を概略的に示してある。
上記レンズ系40は、図5に詳しく示すように、ファイバアレイ光源38から出射されたレーザ光を平行光化する1対の組合せレンズ44、平行光化されたレーザ光の光量分布が均一になるように補正する1対の組合せレンズ46、及び光量分布が補正されたレーザ光をDMD36上に集光する集光レンズ48で構成されている。
また、DMD36の光反射側には、DMD36で反射されたレーザ光を感光層12の被露光面上に結像するレンズ系50が配置されている。レンズ系50は、DMD36と感光層12の被露光面とが共役な関係となるように配置された、2枚のレンズ52及び54からなる。
本実施形態では、ファイバアレイ光源38から出射されたレーザ光は、実質的に5倍に拡大された後、DMD36上の各マイクロミラーからの光線が上記のレンズ系50によって約5μmに絞られるように設定されている。
‐光変調手段‐
前記光変調手段としては、n個(ただし、nは2以上の自然数)の2次元状に配列された前記描素部を有し、前記パターン情報に応じて前記描素部を制御可能なものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空間光変調素子が好ましい。
前記空間光変調素子としては、例えば、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプの空間光変調素子(SLM;Space Light Modulator)、電気光学効果により透過光を変調する光学素子(PLZT素子)、液晶光シャッタ(FLC)などが挙げられ、これらの中でもDMDが好適に挙げられる。
また、前記光変調手段は、形成するパターン情報に基づいて制御信号を生成するパターン信号生成手段を有することが好ましい。この場合、前記光変調手段は、前記パターン信号生成手段が生成した制御信号に応じて光を変調させる。
前記制御信号としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、デジタル信号が好適に挙げられる。
以下、前記光変調手段の一例について図面を参照しながら説明する。
DMD36は図6に示すように、SRAMセル(メモリセル)56上に、各々描素(ピクセル)を構成する描素部として、多数のマイクロミラー58が格子状に配列されてなるミラーデバイスである。本実施形態では、1024列×768行のマイクロミラー58が配されてなるDMD36を使用するが、このうちDMD36に接続されたコントローラにより駆動可能すなわち使用可能なマイクロミラー58は、1024列×256行のみであるとする。DMD36のデータ処理速度には限界があり、使用するマイクロミラー数に比例して1ライン当りの変調速度が決定されるので、このように一部のマイクロミラーのみを使用することにより1ライン当りの変調速度が速くなる。各マイクロミラー58は支柱に支えられており、その表面にはアルミニウム等の反射率の高い材料が蒸着されている。なお、本実施形態では、各マイクロミラー58の反射率は90%以上であり、その配列ピッチは縦方向、横方向ともに13.7μmである。SRAMセル56は、ヒンジ及びヨークを含む支柱を介して通常の半導体メモリの製造ラインで製造されるシリコンゲートのCMOSのものであり、全体はモノリシック(一体型)に構成されている。
DMD36のSRAMセル(メモリセル)56に、所望の2次元パターンを構成する各点の濃度を2値で表した画像信号が書き込まれると、支柱に支えられた各マイクロミラー58が、対角線を中心としてDMD36が配置された基板側に対して±α度(たとえば±10度)のいずれかに傾く。図7Aは、マイクロミラー58がオン状態である+α度に傾いた状態を示し、図7Bは、マイクロミラー58がオフ状態である−α度に傾いた状態を示す。このように、画像信号に応じて、DMD36の各ピクセルにおけるマイクロミラー58の傾きを、図6に示すように制御することによって、DMD36に入射したレーザ光Bはそれぞれのマイクロミラー58の傾き方向へ反射される。
図6には、DMD36の一部を拡大し、各マイクロミラー58が+α度又はα度に制御されている状態の一例を示す。それぞれのマイクロミラー58のオンオフ制御は、DMD36に接続された上記のコントローラによって行われる。また、オフ状態のマイクロミラー58で反射したレーザ光Bが進行する方向には、光吸収体(図示せず)が配置されている。
‐光照射手段‐
前記光照射手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(超)高圧水銀灯、キセノン灯、カーボンアーク灯、ハロゲンランプ、複写機用などの蛍光管、LED、半導体レーザ等の公知光源、又は2以上の光を合成して照射可能な手段が挙げられ、これらの中でも2以上の光を合成して照射可能な手段が好ましい。
前記光照射手段から照射される光としては、例えば、支持体を介して光照射を行う場合には、該支持体を透過し、かつ用いられる光重合開始系化合物や増感剤を活性化する電磁波、紫外から可視光線、電子線、X線、レーザ光などが挙げられ、これらの中でもレーザ光が好ましく、2以上の光を合成したレーザ(以下、「合波レーザ」と称することがある)がより好ましい。また支持体を剥離してから光照射を行う場合でも、同様の光を用いることができる。
前記紫外から可視光線の波長としては、例えば、300〜1500nmが好ましく、320〜800nmがより好ましく、330〜650nmが特に好ましい。
前記レーザ光の波長としては、例えば、200〜1,500nmが好ましく、300〜800nmがより好ましく、330〜500nmが更に好ましく、400〜450nmが特に好ましい。
前記合波レーザを照射可能な手段としては、例えば、複数のレーザと、マルチモード光ファイバと、該複数のレーザからそれぞれ照射したレーザビームを集光して前記マルチモード光ファイバに結合させる集合光学系とを有する手段が好ましい。
前記合波レーザを照射可能な手段(ファイバアレイ光源)としては、例えば、特開2005−258431号公報〔0109〕〜〔0146〕に記載の手段が挙げられる。
<<使用描素部指定手段>>
前記使用描素部指定手段としては、描素単位としての光点の位置を被露光面上において検出する光点位置検出手段と、前記光点位置検出手段による検出結果に基づき、N重露光を実現するために使用する描素部を選択する描素部選択手段とを少なくとも備えることが好ましい。
以下、前記使用描素部指定手段による、N重露光に使用する描素部の指定方法の例について説明する。
(1)単一露光ヘッド内における使用描素部の指定方法
本実施形態(1)では、パターン形成装置10により、感光材料12に対して2重露光を行う場合であって、各露光ヘッド30の取付角度誤差に起因する解像度のばらつきと濃度むらとを軽減し、理想的な2重露光を実現するための使用描素部の指定方法を説明する。
露光ヘッド30の走査方向に対する描素部(マイクロミラー58)の列方向の設定傾斜角度θとしては、露光ヘッド30の取付角度誤差等がない理想的な状態であれば、使用可能な1024列×256行の描素部を使用してちょうど2重露光となる角度θidealよりも、若干大きい角度を採用するものとする。
この角度θidealは、N重露光の数N、使用可能なマイクロミラー58の列方向の個数s、使用可能なマイクロミラー58の列方向の間隔p、及び露光ヘッド30を傾斜させた状態においてマイクロミラーによって形成される走査線のピッチδに対し、下記式1、
spsinθideal≧Nδ(式1)
により与えられる。本実施形態におけるDMD36は、上記のとおり、縦横の配置間隔が等しい多数のマイクロミラー58が矩形格子状に配されたものであるので、
pcosθideal=δ(式2)
であり、上記式1は、
stanθideal=N(式3)
となる。本実施形態(1)では、上記のとおりs=256、N=2であるので、前記式3より、角度θidealは約0.45度である。したがって、設定傾斜角度θとしては、たとえば0.50度程度の角度を採用するとよい。パターン形成装置10は、調整可能な範囲内で、各露光ヘッド30すなわち各DMD36の取付角度がこの設定傾斜角度θに近い角度となるように、初期調整されているものとする。
図8は、上記のように初期調整されたパターン形成装置10において、1つの露光ヘッド30の取付角度誤差、及びパターン歪みの影響により、被露光面上のパターンに生じるむらの例を示した説明図である。以下の図面及び説明においては、各描素部(マイクロミラー)により生成され、被露光面上の露光領域を構成する描素単位としての光点について、第m行目の光点をr(m)、第n列目の光点をc(n)、第m行第n列の光点をP(m,n)とそれぞれ表記するものとする。
図8の上段部分は、ステージ14を静止させた状態で感光材料12の被露光面上に投影される、使用可能なマイクロミラー58からの光点群のパターンを示し、下段部分は、上段部分に示したような光点群のパターンが現れている状態でステージ14を移動させて連続露光を行った際に、被露光面上に形成される露光パターンの状態を示したものである。
なお、図8では、説明の便宜のため、使用可能なマイクロミラー58の奇数列による露光パターンと偶数列による露光パターンを分けて示してあるが、実際の被露光面上における露光パターンは、これら2つの露光パターンを重ね合わせたものである。
図8の例では、設定傾斜角度θを上記の角度θidealよりも若干大きい角度を採用した結果として、また露光ヘッド30の取付角度の微調整が困難であるために、実際の取付角度と上記の設定傾斜角度θとが誤差を有する結果として、被露光面上のいずれの領域においても濃度むらが生じている。具体的には、奇数列のマイクロミラーによる露光パターン及び偶数列のマイクロミラーによる露光パターンの双方で、複数の描素部列により形成された、被露光面上の重複露光領域において、理想的な2重露光に対して露光過多となり、描画が冗長となる領域が生じ、濃度むらが生じている。
さらに、図8の例では、被露光面上に現れるパターン歪みの一例であって、被露光面上に投影された各画素列の傾斜角度が均一ではなくなる「角度歪み」が生じている。このような角度歪みが生じる原因としては、DMD36と被露光面間の光学系の各種収差やアラインメントずれ、及びDMD36自体の歪みやマイクロミラーの配置誤差等が挙げられる。
図8の例に現れている角度歪みは、走査方向に対する傾斜角度が、図の左方の列ほど小さく、図の右方の列ほど大きくなっている形態の歪みである。この角度歪みの結果として、露光過多となっている領域は、図の左方に示した被露光面上ほど小さく、図の右方に示した被露光面上ほど大きくなっている。
上記したような、複数の描素部列により形成された、被露光面上の重複露光領域における濃度むらを軽減するために、前記光点位置検出手段としてスリット28及び光検出器の組を用い、露光ヘッド30ごとに実傾斜角度θ´を特定し、該実傾斜角度θ´に基づき、前記描素部選択手段として前記光検出器に接続された前記演算装置を用いて、実際の露光に使用するマイクロミラーを選択する処理を行うものとする。
実傾斜角度θ´は、光点位置検出手段が検出した少なくとも2つの光点位置に基づき、露光ヘッドを傾斜させた状態における被露光面上の光点の列方向と前記露光ヘッドの走査方向とがなす角度により特定される。
以下、図9及び10を用いて、前記実傾斜角度θ´の特定、及び使用画素選択処理について説明する。
−実傾斜角度θ´の特定−
図9は、1つのDMD36による露光エリア32と、対応するスリット28との位置関係を示した上面図である。スリット28の大きさは、露光エリア32の幅を十分覆う大きさとされている。
本実施形態(1)の例では、露光エリア32の略中心に位置する第512列目の光点列と露光ヘッド30の走査方向とがなす角度を、上記の実傾斜角度θ´として測定する。具体的には、DMD36上の第1行目第512列目のマイクロミラー58、及び第256行目第512列目のマイクロミラー58をオン状態とし、それぞれに対応する被露光面上の光点P(1,512)及びP(256,512)の位置を検出し、それらを結ぶ直線と露光ヘッドの走査方向とがなす角度を実傾斜角度θ´として特定する。
図10は、光点P(256,512)の位置の検出手法を説明した上面図である。
まず、第256行目第512列目のマイクロミラー58を点灯させた状態で、ステージ14をゆっくり移動させてスリット28をY軸方向に沿って相対移動させ、光点P(256,512)が上流側のスリット28aと下流側のスリット28bの間に来るような任意の位置に、スリット28を位置させる。このときのスリット28aとスリット28bとの交点の座標を(X0,Y0)とする。この座標(X0,Y0)の値は、ステージ14に与えられた駆動信号が示す上記の位置までのステージ14の移動距離、及び、既知であるスリット28のX方向位置から決定され、記録される。
次に、ステージ14を移動させ、スリット28をY軸に沿って図10における右方に相対移動させる。そして、図10において二点鎖線で示すように、光点P(256,512)の光が左側のスリット28bを通過して光検出器で検出されたところでステージ14を停止させる。このときのスリット28aとスリット28bとの交点の座標(X0,Y1)を、光点P(256,512)の位置として記録する。
次いで、ステージ14を反対方向に移動させ、スリット28をY軸に沿って図10における左方に相対移動させる。そして、図10において二点鎖線で示すように、光点P(256,512)の光が右側のスリット28aを通過して光検出器で検出されたところでステージ14を停止させる。このときのスリット28aとスリット28bとの交点の座標(X0,Y2)を光点P(256,512)の位置として記録する。
以上の測定結果から、光点P(256,512)の被露光面上における位置を示す座標(X,Y)を、X=X0+(Y1−Y2)/2、Y=(Y1+Y2)/2の計算により決定する。同様の測定により、P(1,512)の位置を示す座標も決定し、それぞれの座標を結ぶ直線と、露光ヘッド30の走査方向とがなす傾斜角度を導出し、これを実傾斜角度θ´として特定する。
‐使用描素部の選択‐
このようにして特定された実傾斜角度θ´を用い、前記光検出器に接続された前記演算装置は、下記式4
ttanθ´=N(式4)
の関係を満たす値tに最も近い自然数Tを導出し、DMD36上の1行目からT行目のマイクロミラーを、本露光時に実際に使用するマイクロミラーとして選択する処理を行う。これにより、第512列目付近の露光領域において、理想的な2重露光に対して、露光過多となる領域と、露光不足となる領域との面積合計が最小となるようなマイクロミラーを、実際に使用するマイクロミラーとして選択することができる。
ここで、上記の値tに最も近い自然数を導出することに代えて、値t以上の最小の自然数を導出することとしてもよい。その場合、第512列目付近の露光領域において、理想的な2重露光に対して、露光過多となる領域の面積が最小になり、かつ露光不足となる領域が生じないようなマイクロミラーを、実際に使用するマイクロミラーとして選択することができる。
また、値t以下の最大の自然数を導出することとしてもよい。その場合、第512列目付近の露光領域において、理想的な2重露光に対して、露光不足となる領域の面積が最小になり、かつ露光過多となる領域が生じないようなマイクロミラーを、実際に使用するマイクロミラーとして選択することができる。
図11は、上記のようにして実際に使用するマイクロミラーとして選択されたマイクロミラーが生成した光点のみを用いて行った露光において、図8に示した被露光面上のむらがどのように改善されるかを示した説明図である。
この例では、上記の自然数TとしてT=253が導出され、第1行目から第253行目のマイクロミラーが選択されたものとする。選択されなかった第254行目から第256行目のマイクロミラーに対しては、前記描素部制御手段により、常時オフ状態の角度に設定する信号が送られ、それらのマイクロミラーは、実質的に露光に関与しない。図11に示すとおり、第512列目付近の露光領域では、露光過多及び露光不足は、ほぼ完全に解消され、理想的な2重露光に極めて近い均一な露光が実現される。
一方、図11の左方の領域(図中のc(1)付近)では、前記角度歪みにより、被露光面上における光点列の傾斜角度が中央付近(図中のc(512)付近)の領域における光線列の傾斜角度よりも小さくなっている。したがって、c(512)を基準として測定された実傾斜角度θ´に基づいて選択されたマイクロミラーのみによる露光では、偶数列による露光パターン及び奇数列による露光パターンのそれぞれにおいて、理想的な2重露光に対して露光不足となる領域がわずかに生じてしまう。
しかしながら、図示の奇数列による露光パターンと偶数列による露光パターンとを重ね合わせてなる実際の露光パターンにおいては、露光量不足となる領域が互いに補完され、前記角度歪みによる露光むらを、2重露光による埋め合わせの効果で最小とすることができる。
また、図11の右方の領域(図中のc(1024)付近)では、前記角度歪みにより、被露光面上における光線列の傾斜角度が、中央付近(図中のc(512)付近)の領域における光線列の傾斜角度よりも大きくなっている。したがって、c(512)を基準として測定された実傾斜角度θ´に基づいて選択されたマイクロミラーによる露光では、図に示すように、理想的な2重露光に対して露光過多となる領域がわずかに生じてしまう。
しかしながら、図示の奇数列による露光パターンと偶数列による露光パターンとを重ね合わせてなる実際の露光パターンにおいては、露光過多となる領域が互いに補完され、前記角度歪による濃度むらを、2重露光による埋め合わせの効果で最小とすることができる。
本実施形態(1)では、上述のとおり、第512列目の光線列の実傾斜角度θ´が測定され、該実傾斜角度θ´を用い、前記式(4)により導出されたTに基づいて使用するマイクロミラー58を選択したが、前記実傾斜角度θ´の特定方法としては、複数の描素部の列方向(光点列)と、前記露光ヘッドの走査方向とがなす複数の実傾斜角度をそれぞれ測定し、それらの平均値、中央値、最大値、及び最小値のいずれかを実傾斜角度θ´として特定し、前記式4等によって実際の露光時に実際に使用するマイクロミラーを選択する形態としてもよい。
前記平均値又は前記中央値を実傾斜角度θ´とすれば、理想的なN重露光に対して露光過多となる領域と露光不足となる領域とのバランスがよい露光を実現することができる。例えば、露光過多となる領域と、露光量不足となる領域との合計面積が最小に抑えられ、かつ、露光過多となる領域の描素単位数(光点数)と、露光不足となる領域の描素単位数(光点数)とが等しくなるような露光を実現することが可能である。
また、前記最大値を実傾斜角度θ´とすれば、理想的なN重露光に対して露光過多となる領域の排除をより重要視した露光を実現することができ、例えば、露光不足となる領域の面積を最小に抑え、かつ、露光過多となる領域が生じないような露光を実現することが可能である。
さらに、前記最小値を実傾斜角度θ´とすれば、理想的なN重露光に対して露光不足となる領域の排除をより重要視した露光を実現することができ、例えば、露光過多となる領域の面積を最小に抑え、かつ、露光不足となる領域が生じないような露光を実現することが可能である。
一方、前記実傾斜角度θ´の特定は、同一の描素部の列(光点列)中の少なくとも2つの光点の位置に基づく方法に限定されない。例えば、同一描素部列c(n)中の1つ又は複数の光点の位置と、該c(n)近傍の列中の1つ又は複数の光点の位置とから求めた角度を、実傾斜角度θ´として特定してもよい。
具体的には、c(n)中の1つの光点位置と、露光ヘッドの走査方向に沿って直線上かつ近傍の光点列に含まれる1つ又は複数の光点位置とを検出し、これらの位置情報から、実傾斜角度θ´を求めることができる。さらに、c(n)列近傍の光点列中の少なくとも2つの光点(たとえば、c(n)を跨ぐように配置された2つの光点)の位置に基づいて求めた角度を、実傾斜角度θ´として特定してもよい。
以上のように、パターン形成装置10を用いた本実施形態(1)の使用描素部の指定方法によれば、各露光ヘッドの取付角度誤差やパターン歪みの影響による解像度のばらつきや濃度のむらを軽減し、理想的なN重露光を実現することができる。
(2)複数露光ヘッド間における使用描素部の指定方法<1>
本実施形態(2)では、パターン形成装置10により、感光材料12に対して2重露光を行う場合であって、複数の露光ヘッド30により形成された被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域において、2つの露光ヘッド(一例として露光ヘッド3012と3021)のX軸方向に関する相対位置の、理想的な状態からのずれに起因する解像度のばらつきと濃度むらとを軽減し、理想的な2重露光を実現するための使用描素部の指定方法を説明する。
各露光ヘッド30すなわち各DMD36の設定傾斜角度θとしては、露光ヘッド30の取付角度誤差等がない理想的な状態であれば、使用可能な1024列×256行の描素部マイクロミラー58を使用してちょうど2重露光となる角度θidealを採用するものとする。
この角度θidealは、上記の実施形態(1)と同様にして前記式1〜3から求められる。本実施形態(2)において、パターン形成装置10は、各露光ヘッド30すなわち各DMD36の取付角度がこの角度θidealとなるように、初期調整されているものとする。
図12は、上記のように初期調整されたパターン形成装置10において、2つの露光ヘッド(一例として露光ヘッド3012と3021)のX軸方向に関する相対位置の、理想的な状態からのずれの影響により、被露光面上のパターンに生じる濃度むらの例を示した説明図である。各露光ヘッドのX軸方向に関する相対位置のずれは、露光ヘッド間の相対位置の微調整が困難であるために生じ得るものである。
図12の上段部分は、ステージ14を静止させた状態で感光材料12の被露光面上に投影される、露光ヘッド3012と3021が有するDMD36の使用可能なマイクロミラー58からの光点群のパターンを示した図である。図12の下段部分は、上段部分に示したような光点群のパターンが現れている状態でステージ14を移動させて連続露光を行った際に、被露光面上に形成される露光パターンの状態を、露光エリア3212と3221について示したものである。
なお、図12では、説明の便宜のため、使用可能なマイクロミラー58の1列おきの露光パターンを、画素列群Aによる露光パターンと画素列群Bによる露光パターンとに分けて示してあるが、実際の被露光面上における露光パターンは、これら2つの露光パターンを重ね合わせたものである。
図12の例では、上記したX軸方向に関する露光ヘッド3012と3021との間の相対位置の、理想的な状態からのずれの結果として、画素列群Aによる露光パターンと画素列群Bによる露光パターンとの双方で、露光エリア3212と3221の前記ヘッド間つなぎ領域において、理想的な2重露光の状態よりも露光量過多な部分が生じてしまっている。
上記したような、複数の前記露光ヘッドにより被露光面上に形成される前記ヘッド間つなぎ領域に現れる濃度むらを軽減するために、本実施形態(2)では、前記光点位置検出手段としてスリット28及び光検出器の組を用い、露光ヘッド3012と3021からの光点群のうち、被露光面上に形成される前記ヘッド間つなぎ領域を構成する光点のいくつかについて、その位置(座標)を検出する。該位置(座標)に基づいて、前記描素部選択手段として前記光検出器に接続された演算装置を用いて、実際の露光に使用するマイクロミラーを選択する処理を行うものとする。
−位置(座標)の検出−
図13は、図12と同様の露光エリア3212及び3221と、対応するスリット28との位置関係を示した上面図である。スリット28の大きさは、露光ヘッド3012と3021による露光済み領域34間の重複部分の幅を十分覆う大きさ、すなわち、露光ヘッド3012と3021により被露光面上に形成される前記ヘッド間つなぎ領域を十分覆う大きさとされている。
図14は、一例として露光エリア3221の光点P(256,1024)の位置を検出する際の検出手法を説明した上面図である。
まず、第256行目第1024列目のマイクロミラーを点灯させた状態で、ステージ14をゆっくり移動させてスリット28をY軸方向に沿って相対移動させ、光点P(256,1024)が上流側のスリット28aと下流側のスリット28bの間に来るような任意の位置に、スリット28を位置させる。このときのスリット28aとスリット28bとの交点の座標を(X0,Y0)とする。この座標(X0,Y0)の値は、ステージ14に与えられた駆動信号が示す上記の位置までのステージ14の移動距離、及び、既知であるスリット28のX方向位置から決定され、記録される。
次に、ステージ14を移動させ、スリット28をY軸に沿って図14における右方に相対移動させる。そして、図14において二点鎖線で示すように、光点P(256,1024)の光が左側のスリット28bを通過して光検出器で検出されたところでステージ14を停止させる。このときのスリット28aとスリット28bとの交点の座標(X0,Y1)を、光点P(256,1024)の位置として記録する。
次いで、ステージ14を反対方向に移動させ、スリット28をY軸に沿って図14における左方に相対移動させる。そして、図14において二点鎖線で示すように、光点P(256,1024)の光が右側のスリット28aを通過して光検出器で検出されたところでステージ14を停止させる。このときのスリット28aとスリット28bとの交点の座標(X0,Y2)を、光点P(256,1024)として記録する。
以上の測定結果から、光点P(256,1024)の被露光面における位置を示す座標(X,Y)を、X=X0+(Y1−Y2)/2、Y=(Y1+Y2)/2の計算により決定する。
−不使用描素部の特定−
図12の例では、まず、露光エリア3212の光点P(256,1)の位置を、上記の光点位置検出手段としてスリット28と光検出器の組により検出する。続いて、露光エリア3221の第256行目の光点行r(256)上の各光点の位置を、P(256,1024)、P(256,1023)・・・と順番に検出していき、露光エリア3212の光点P(256,1)よりも大きいX座標を示す露光エリア3221の光点P(256,n)が検出されたところで、検出動作を終了する。そして、露光エリア3221の光点列c(n+1)からc(1024)を構成する光点に対応するマイクロミラーを、本露光時に使用しないマイクロミラー(不使用描素部)として特定する。
例えば、図12において、露光エリア3221の光点P(256,1020)が、露光エリア3212の光点P(256,1)よりも大きいX座標を示し、その露光エリア3221の光点P(256,1020)が検出されたところで検出動作が終了したとすると、図15において斜線で覆われた部分70に相当する露光エリア3221の第1021行から第1024行を構成する光点に対応するマイクロミラーが、本露光時に使用しないマイクロミラーとして特定される。
次に、N重露光の数Nに対して、露光エリア3212の光点P(256,N)の位置が検出される。本実施形態(2)では、N=2であるので、光点P(256,2)の位置が検出される。
続いて、露光エリア3221の光点列のうち、上記で本露光時に使用しないマイクロミラーに対応する光点列として特定されたものを除き、最も右側の第1020列を構成する光点の位置を、P(1,1020)から順番にP(1,1020)、P(2,1020)・・・と検出していき、露光エリア3212の光点P(256,2)よりも大きいX座標を示す光点P(m,1020)が検出されたところで、検出動作を終了する。
その後、前記光検出器に接続された演算装置において、露光エリア3212の光点P(256,2)のX座標と、露光エリア3221の光点P(m,1020)及びP(m−1,1020)のX座標とが比較され、露光エリア3221の光点P(m,1020)のX座標の方が露光エリア3212の光点P(256,2)のX座標に近い場合は、露光エリア3221の光点P(1,1020)からP(m−1,1020)に対応するマイクロミラーが本露光時に使用しないマイクロミラーとして特定される。
また、露光エリア3221の光点P(m−1,1020)のX座標の方が露光エリア3212の光点P(256,2)のX座標に近い場合は、露光エリア3221の光点P(1,1020)からP(m−2,1020)に対応するマイクロミラーが、本露光に使用しないマイクロミラーとして特定される。
さらに、露光エリア3212の光点P(256,N−1)すなわち光点P(256,1)の位置と、露光エリア3221の次列である第1019列を構成する各光点の位置についても、同様の検出処理及び使用しないマイクロミラーの特定が行われる。
その結果、たとえば、図15において網掛けで覆われた領域72を構成する光点に対応するマイクロミラーが、実際の露光時に使用しないマイクロミラーとして追加される。これらのマイクロミラーには、常時、そのマイクロミラーの角度をオフ状態の角度に設定する信号が送られ、それらのマイクロミラーは、実質的に露光に使用されない。
このように、実際の露光時に使用しないマイクロミラーを特定し、該使用しないマイクロミラーを除いたものを、実際の露光時に使用するマイクロミラーとして選択することにより、露光エリア3212と3221の前記ヘッド間つなぎ領域において、理想的な2重露光に対して露光過多となる領域、及び露光不足となる領域の合計面積を最小とすることができ、図15の下段に示すように、理想的な2重露光に極めて近い均一な露光を実現することができる。
なお、上記の例においては、図15において網掛けで覆われた領域72を構成する光点の特定に際し、露光エリア3212の光点P(256,2)のX座標と、露光エリア3221の光点P(m,1020)及びP(m−1,1020)のX座標との比較を行わずに、ただちに、露光エリア3221の光点P(1,1020)からP(m−2,1020)に対応するマイクロミラーを、本露光時に使用しないマイクロミラーとして特定してもよい。その場合、前記ヘッド間つなぎ領域において、理想的な2重露光に対して露光過多となる領域の面積が最小になり、かつ露光不足となる領域が生じないようなマイクロミラーを、実際に使用するマイクロミラーとして選択することができる。
また、露光エリア3221の光点P(1,1020)からP(m−1,1020)に対応するマイクロミラーを、本露光に使用しないマイクロミラーとして特定してもよい。その場合、前記ヘッド間つなぎ領域において、理想的な2重露光に対して露光不足となる領域の面積が最小になり、かつ露光過多となる領域が生じないようなマイクロミラーを、実際に使用するマイクロミラーとして選択することができる。
さらに、前記ヘッド間つなぎ領域において、理想的な2重描画に対して露光過多となる領域の描素単位数(光点数)と、露光不足となる領域の描素単位数(光点数)とが等しくなるように、実際に使用するマイクロミラーを選択することとしてもよい。
以上のように、パターン形成装置10を用いた本実施形態(2)の使用描素部の指定方法によれば、複数の露光ヘッドのX軸方向に関する相対位置のずれに起因する解像度のばらつきと濃度むらとを軽減し、理想的なN重露光を実現することができる。
(3)複数露光ヘッド間における使用描素部の指定方法<2>
本実施形態(3)では、パターン形成装置10により、感光材料12に対して2重露光を行う場合であって、複数の露光ヘッド30により形成された被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域において、2つの露光ヘッド(一例として露光ヘッド3012と3021)のX軸方向に関する相対位置の理想的な状態からのずれ、並びに各露光ヘッドの取付角度誤差、及び2つの露光ヘッド間の相対取付角度誤差に起因する解像度のばらつきと濃度むらとを軽減し、理想的な2重露光を実現するための使用描素部の指定方法を説明する。
各露光ヘッド30すなわち各DMD36の設定傾斜角度としては、露光ヘッド30の取付角度誤差等がない理想的な状態であれば、使用可能な1024列×256行の描素部(マイクロミラー58)を使用してちょうど2重露光となる角度θidealよりも若干大きい角度を採用するものとする。
この角度θidealは、前記式1〜3を用いて上記(1)の実施形態と同様にして求められる値であり、本実施形態では、上記のとおりs=256、N=2であるので、角度θidealは約0.45度である。したがって、設定傾斜角度θとしては、たとえば0.50度程度の角度を採用するとよい。パターン形成装置10は、調整可能な範囲内で、各露光ヘッド30すなわち各DMD36の取付角度がこの設定傾斜角度θに近い角度となるように、初期調整されているものとする。
図16は、上記のように各露光ヘッド30すなわち各DMD36の取付角度が初期調整されたパターン形成装置10において、2つの露光ヘッド(一例として露光ヘッド3012と3021)の取付角度誤差、並びに各露光ヘッド3012と3021間の相対取付角度誤差及び相対位置のずれの影響により、被露光面上のパターンに生じるむらの例を示した説明図である。
図16の例では、図12の例と同様の、X軸方向に関する露光ヘッド3012と3021の相対位置のずれの結果として、一列おきの光点群(画素列群A及びB)による露光パターンの双方で、露光エリア3212と3221の被露光面上の前記露光ヘッドの走査方向と直交する座標軸上で重複する露光領域において、理想的な2重露光の状態よりも露光量過多な領域74が生じ、これが濃度むらを引き起こしている。
さらに、図16の例では、各露光ヘッドの設定傾斜角度θを前記式(1)を満たす角度θidealよりも若干大きくしたことによる結果、及び各露光ヘッドの取付角度の微調整が困難であるために、実際の取付角度が上記の設定傾斜角度θからずれてしまったことの結果として、被露光面上の前記露光ヘッドの走査方向と直交する座標軸上で重複する露光領域以外の領域でも、一列おきの光点群(画素列群A及びB)による露光パターンの双方で、複数の描素部列により形成された、被露光面上の重複露光領域である描素部列間つなぎ領域において、理想的な2重露光の状態よりも露光過多となる領域76が生じ、これがさらなる濃度むらを引き起こしている。
本実施形態(3)では、まず、各露光ヘッド3012と3021の取付角度誤差及び相対取付角度のずれの影響による濃度むらを軽減するための使用画素選択処理を行う。
具体的には、前記光点位置検出手段としてスリット28及び光検出器の組を用い、露光ヘッド3012と3021のそれぞれについて、実傾斜角度θ´を特定し、該実傾斜角度θ´に基づき、前記描素部選択手段として光検出器に接続された演算装置を用いて、実際の露光に使用するマイクロミラーを選択する処理を行うものとする。
−実傾斜角度θ´の特定−
実傾斜角度θ´の特定は、露光ヘッド3012ついては露光エリア3212内の光点P(1,1)とP(256,1)の位置を、露光ヘッド3021については露光エリア3221内の光点P(1,1024)とP(256,1024)の位置を、それぞれ上述した実施形態(2)で用いたスリット28と光検出器の組により検出し、それらを結ぶ直線の傾斜角度と、露光ヘッドの走査方向とがなす角度を測定することにより行われる。
−不使用描素部の特定−
そのようにして特定された実傾斜角度θ´を用いて、光検出器に接続された演算装置は、上述した実施形態(1)における演算装置と同様、下記式4
ttanθ´=N(式4)
の関係を満たす値tに最も近い自然数Tを、露光ヘッド3012と3021のそれぞれについて導出し、DMD36上の第(T+1)行目から第256行目のマイクロミラーを、本露光に使用しないマイクロミラーとして特定する処理を行う。
例えば、露光ヘッド3012についてはT=254、露光ヘッド3021についてはT=255が導出されたとすると、図17において斜線で覆われた部分78及び80を構成する光点に対応するマイクロミラーが、本露光に使用しないマイクロミラーとして特定される。これにより、露光エリア3212と3221のうちヘッド間つなぎ領域以外の各領域において、理想的な2重露光に対して露光過多となる領域、及び露光不足となる領域の合計面積を最小とすることができる。
ここで、上記の値tに最も近い自然数を導出することに代えて、値t以上の最小の自然数を導出することとしてもよい。その場合、露光エリア3212と3221の、複数の露光ヘッドにより形成された被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域以外の各領域において、理想的な2重露光に対して露光量過多となる面積が最小になり、かつ露光量不足となる面積が生じないようになすことができる。
あるいは、値t以下の最大の自然数を導出することとしてもよい。その場合、露光エリア3212と3221の、複数の露光ヘッドにより形成された被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域以外の各領域において、理想的な2重露光に対して露光不足となる領域の面積が最小になり、かつ露光過多となる領域が生じないようになすことができる。
複数の露光ヘッドにより形成された被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域以外の各領域において、理想的な2重露光に対して、露光過多となる領域の描素単位数(光点数)と、露光不足となる領域の描素単位数(光点数)とが等しくなるように、本露光時に使用しないマイクロミラーを特定することとしてもよい。
その後、図17において斜線で覆われた領域78及び80を構成する光点以外の光点に対応するマイクロミラーに関して、図12から15を用いて説明した本実施形態(3)と同様の処理がなされ、図17において斜線で覆われた領域82及び網掛けで覆われた領域84を構成する光点に対応するマイクロミラーが特定され、本露光時に使用しないマイクロミラーとして追加される。
これらの露光時に使用しないものとして特定されたマイクロミラーに対して、前記描素部素制御手段により、常時オフ状態の角度に設定する信号が送られ、それらのマイクロミラーは、実質的に露光に関与しない。
以上のように、パターン形成装置10を用いた本実施形態(3)の使用描素部の指定方法によれば、複数の露光ヘッドのX軸方向に関する相対位置のずれ、並びに各露光ヘッドの取付角度誤差、及び露光ヘッド間の相対取付角度誤差に起因する解像度のばらつきと濃度むらとを軽減し、理想的なN重露光を実現することができる。
以上、パターン形成装置10による使用描素部指定方法ついて詳細に説明したが、上記実施形態(1)〜(3)は一例に過ぎず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更が可能である。
また、上記の実施形態(1)〜(3)では、被露光面上の光点の位置を検出するための手段として、スリット28と単一セル型の光検出器の組を用いたが、これに限られずいかなる形態のものを用いてもよく、たとえば2次元検出器等を用いてもよい。
さらに、上記の実施形態(1)〜(3)では、スリット28と光検出器の組による被露光面上の光点の位置検出結果から実傾斜角度θ´を求め、その実傾斜角度θ´に基づいて使用するマイクロミラーを選択したが、実傾斜角度θ´の導出を介さずに使用可能なマイクロミラーを選択する形態としてもよい。さらには、たとえばすべての使用可能なマイクロミラーを用いた参照露光を行い、参照露光結果の目視による解像度や濃度のむらの確認等により、操作者が使用するマイクロミラーを手動で指定する形態も、本発明の範囲に含まれるものである。
なお、被露光面上に生じ得るパターン歪みには、上記の例で説明した角度歪みの他にも、種々の形態が存在する。
一例としては、図18Aに示すように、DMD36上の各マイクロミラー58からの光線が、異なる倍率で露光面上の露光エリア32に到達してしまう倍率歪みの形態がある。
また、別の例として、図18Bに示すように、DMD36上の各マイクロミラー58からの光線が、異なるビーム径で被露光面上の露光エリア32に到達してしまうビーム径歪みの形態もある。これらの倍率歪み及びビーム径歪みは、主として、DMD36と被露光面間の光学系の各種収差やアラインメントずれに起因して生じる。
さらに別の例として、DMD36上の各マイクロミラー58からの光線が、異なる光量で被露光面上の露光エリア32に到達してしまう光量歪みの形態もある。この光量歪みは、各種収差やアラインメントずれのほか、DMD36と被露光面間の光学要素(たとえば1枚レンズである図5のレンズ52及び54)の透過率の位置依存性や、DMD36自体による光量むらに起因して生じる。これらの形態のパターン歪みも、被露光面上に形成されるパターンに解像度や濃度のむらを生じさせる。
上記の実施形態(1)〜(3)によれば、本露光に実際に使用するマイクロミラーを選択した後の、これらの形態のパターン歪みの残留要素も、上記の角度歪みの残留要素と同様、多重露光による埋め合わせの効果で均すことができ、解像度や濃度のむらを、各露光ヘッドの露光領域全体にわたって軽減することができる。
<<参照露光>>
上記の実施形態(1)〜(3)の変更例として、使用可能なマイクロミラーのうち、(N−1)列おきのマイクロミラー列、又は全光点行のうち1/N行に相当する隣接する行を構成するマイクロミラー群のみを使用して参照露光を行い、均一な露光を実現できるように、前記参照露光に使用されたマイクロミラー中、実際の露光時に使用しないマイクロミラーを特定することとしてもよい。
前記参照露光手段による参照露光の結果をサンプル出力し、該出力された参照露光結果に対し、解像度のばらつきや濃度のむらを確認し、実傾斜角度を推定するなどの分析を行う。前記参照露光の結果の分析は、操作者の目視による分析であってもよい。
図19は、単一露光ヘッドを用い、(N−1)列おきのマイクロミラーのみを使用して参照露光を行う形態の一例を示した説明図である。
この例では、本露光時は2重露光とするものとし、したがってN=2である。まず、図19Aに実線で示した奇数列の光点列に対応するマイクロミラーのみを使用して参照露光を行い、参照露光結果をサンプル出力する。前記サンプル出力された参照露光結果に基づき、解像度のばらつきや濃度のむらを確認したり、実傾斜角度を推定したりすることで、本露光時において使用するマイクロミラーを指定することができる。
例えば、図19Bに斜線で覆って示す光点列に対応するマイクロミラー以外のマイクロミラーが、奇数列の光点列を構成するマイクロミラー中、本露光において実際に使用されるものとして指定される。偶数列の光点列については、別途同様に参照露光を行って、本露光時に使用するマイクロミラーを指定してもよいし、奇数列の光点列に対するパターンと同一のパターンを適用してもよい。
このようにして本露光時に使用するマイクロミラーを指定することにより、奇数列及び偶数列双方のマイクロミラーを使用した本露光においては、理想的な2重露光に近い状態が実現できる。
図20は、複数の露光ヘッドを用い、(N−1)列おきのマイクロミラーのみを使用して参照露光を行う形態の一例を示した説明図である。
この例では、本露光時は2重露光とするものとし、したがってN=2である。まず、図20に実線で示した、X軸方向に関して隣接する2つの露光ヘッド(一例として露光ヘッド3012と3021)の奇数列の光点列に対応するマイクロミラーのみを使用して、参照露光を行い、参照露光結果をサンプル出力する。前記出力された参照露光結果に基づき、2つの露光ヘッドにより被露光面上に形成されるヘッド間つなぎ領域以外の領域における解像度のばらつきや濃度のむらを確認したり、実傾斜角度を推定したりすることで、本露光時において使用するマイクロミラーを指定することができる。
例えば、図20に斜線で覆って示す領域86及び網掛けで示す領域88内の光点列に対応するマイクロミラー以外のマイクロミラーが、奇数列の光点を構成するマイクロミラー中、本露光時において実際に使用されるものとして指定される。偶数列の光点列については、別途同様に参照露光を行って、本露光時に使用するマイクロミラーを指定してもよいし、奇数列目の画素列に対するパターンと同一のパターンを適用してもよい。
このようにして本露光時に実際に使用するマイクロミラーを指定することにより、奇数列及び偶数列双方のマイクロミラーを使用した本露光においては、2つの露光ヘッドにより被露光面上に形成される前記ヘッド間つなぎ領域以外の領域において、理想的な2重露光に近い状態が実現できる。
図21は、単一露光ヘッドを用い、全光点行数の1/N行に相当する隣接する行を構成するマイクロミラー群のみを使用して参照露光を行う形態の一例を示した説明図である。
この例では、本露光時は2重露光とするものとし、したがってN=2である。まず、図21Aに実線で示した1行目から128(=256/2)行目の光点に対応するマイクロミラーのみを使用して参照露光を行い、参照露光結果をサンプル出力する。前記サンプル出力された参照露光結果に基づき、本露光時において使用するマイクロミラーを指定することができる。
例えば、図21Bに斜線で覆って示す光点群に対応するマイクロミラー以外のマイクロミラーが、第1行目から第128行目のマイクロミラー中、本露光時において実際に使用されるものとして指定され得る。第129行目から第256行目のマイクロミラーについては、別途同様に参照露光を行って、本露光時に使用するマイクロミラーを指定してもよいし、第1行目から第128行目のマイクロミラーに対するパターンと同一のパターンを適用してもよい。
このようにして本露光時に使用するマイクロミラーを指定することにより、全体のマイクロミラーを使用した本露光においては、理想的な2重露光に近い状態が実現できる。
図22は、複数の露光ヘッドを用い、X軸方向に関して隣接する2つの露光ヘッド(一例として露光ヘッド3012と3021)について、それぞれ全光点行数の1/N行に相当する隣接する行を構成するマイクロミラー群のみを使用して参照露光を行う形態の一例を示した説明図である。
この例では、本露光時は2重露光とするものとし、したがってN=2である。まず、図22に実線で示した第1行目から第128(=256/2)行目の光点に対応するマイクロミラーのみを使用して、参照露光を行い、参照露光結果をサンプル出力する。前記サンプル出力された参照露光結果に基づき、2つの露光ヘッドにより被露光面上に形成されるヘッド間つなぎ領域以外の領域における解像度のばらつきや濃度のむらを最小限に抑えた本露光が実現できるように、本露光時において使用するマイクロミラーを指定することができる。
例えば、図22に斜線で覆って示す領域90及び網掛けで示す領域92内の光点列に対応するマイクロミラー以外のマイクロミラーが、第1行目から第128行目のマイクロミラー中、本露光時において実際に使用されるものとして指定される。第129行目から第256行目のマイクロミラーについては、別途同様に参照露光を行って、本露光に使用するマイクロミラーを指定してもよいし、第1行目から第128行目のマイクロミラーに対するパターンと同一のパターンを適用してもよい。
このようにして本露光時に使用するマイクロミラーを指定することにより、2つの露光ヘッドにより被露光面上に形成される前記ヘッド間つなぎ領域以外の領域において理想的な2重露光に近い状態が実現できる。
以上の実施形態(1)〜(3)及び変更例においては、いずれも本露光を2重露光とする場合について説明したが、これに限定されず、2重露光以上のいかなる多重露光としてもよい。特に3重露光から7重露光程度とすることにより、高解像度を確保し、解像度のばらつき及び濃度むらが軽減された露光を実現することができる。
また、上記の実施形態及び変更例に係る露光装置には、さらに、画像データが表す2次元パターンの所定部分の寸法が、選択された使用画素により実現できる対応部分の寸法と一致するように、画像データを変換する機構が設けられていることが好ましい。そのように画像データを変換することによって、所望の2次元パターンどおりの高精細なパターンを被露光面上に形成することができる。
〔現像工程〕
前記現像工程は、前記露光工程により前記感光性フィルムにおける感光層を露光し、該感光層の露光した領域を硬化させた後、未硬化領域を除去することにより現像し、パターンを形成する工程である。
前記現像工程は、例えば、現像手段により好適に実施することができる。
前記現像手段としては、現像液を用いて現像することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記現像液を噴霧する手段、前記現像液を塗布する手段、前記現像液に浸漬させる手段などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、前記現像手段は、前記現像液を交換する現像液交換手段、前記現像液を供給する現像液供給手段などを有していてもよい。
前記現像液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ性液、水系現像液、有機溶剤などが挙げられ、これらの中でも、弱アルカリ性の水溶液が好ましい。該弱アルカリ性液の塩基成分としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、硼砂などが挙げられる。
前記弱アルカリ性の水溶液のpHとしては、例えば、約8〜12が好ましく、約9〜11がより好ましい。前記弱アルカリ性の水溶液としては、例えば、0.1〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液又は炭酸カリウム水溶液などが挙げられる。
前記現像液の温度としては、前記感光層の現像性に合わせて適宜選択することができ、例えば、約25〜40℃が好ましい。
前記現像液は、界面活性剤、消泡剤、有機塩基(例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタミン、モルホリン、トリエタノールアミン等)や、現像を促進させるため有機溶剤(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、ラクトン類等)などと併用してもよい。また、前記現像液は、水又はアルカリ水溶液と有機溶剤を混合した水系現像液であってもよく、有機溶剤単独であってもよい。
〔硬化処理工程〕
前記硬化処理工程は、前記感光層に対し、前記現像工程が行われた後、形成されたパターンに対して硬化処理を行う工程である。
前記硬化処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。
前記全面露光処理の方法としては、例えば、前記現像工程の後に、前記永久パターンが形成された前記感光性積層体上の全面を露光する方法が挙げられる。該全面露光により、前記感光層を形成する感光性組成物中の樹脂の硬化が促進され、前記永久パターンの表面が硬化される。
前記全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、超高圧水銀灯などのUV露光機が好適に挙げられる。
前記全面加熱処理の方法としては、前記現像工程の後に、前記永久パターンが形成された前記感光性積層体上の全面を加熱する方法が挙げられる。該全面加熱により、前記永久パターンの表面の膜強度が高められる。
前記全面加熱における加熱温度としては、120〜250℃が好ましく、120〜200℃がより好ましい。該加熱温度が120℃未満であると、加熱処理による膜強度の向上が得られないことがあり、250℃を超えると、前記感光性組成物中の樹脂の分解が生じ、膜質が弱く脆くなることがある。
前記全面加熱における加熱時間としては、10〜120分が好ましく、15〜60分がより好ましい。
前記全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。
−保護膜、層間絶縁膜、ソルダーレジストパターン形成方法−
前記永久パターンの形成方法が、保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターンの少なくともいずれかを形成する場合には、プリント配線板上に前記永久パターン形成方法により、永久パターンを形成し、更に、以下のように半田付けを行うことができる。
即ち、前記現像により、前記永久パターンである硬化層が形成され、前記プリント基板の表面に金属層が露出される。該プリント基板の表面に露出した金属層の部位に対して金メッキを行った後、半田付けを行う。そして、半田付けを行った部位に、半導体や部品などを実装する。このとき、前記硬化層による永久パターンが、保護膜あるいは絶縁膜(層間絶縁膜)、ソルダーレジストとしての機能を発揮し、外部からの衝撃や隣同士の電極の導通が防止される。
前記パターン形成装置及び永久パターン形成方法においては、前記永久パターン形成方法により形成される永久パターンが、前記保護膜又は前記層間絶縁膜であると、配線を外部からの衝撃や曲げから保護することができ、特に、前記層間絶縁膜である場合には、例えば、多層配線基板やビルドアップ配線基板などへの半導体や部品の高密度実装に有用である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
−顔料分散液の調製−
下記成分を、ミル型分散機(アイガー社製、モーターミルM−200)で、直径1.0mmのジルコニアビーズを用いて、周速9m/sにて3時間分散して調製した。
・着色顔料(C.I.ピグメントグリーン7)・・・0.23質量部
・無機充填剤(硫酸バリウム(堺化学(株)製、B30)分散液)・・・30.0質量部
・ジシアンジアミド・・・0.92質量部
・2MA−OK(四国化成工業社製商品名、2,4−ジアミノ−6−{2’−メチルイミダゾール−(1’)}−エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物)・・・0.56質量部
・PR300P−CP(昭和高分子社製商品名:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂にアクリル酸を開環付加後、生成するヒドロキシ基にテトラヒドロ無水フタル酸を付加して得られる樹脂の67.3%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液)・・・10.0質量部
・酢酸プロピル・・・36.6質量部
−感光性組成物塗布液の調製−
下記の各成分を混合し、感光性組成物溶液を調製した。
〔感光性組成物塗布液の組成〕
・前記顔料分散液・・・82.9質量部
・サイクロマーP−ACA200(ダイセル社製商品名: メチルメタクリレート/メタクリル酸/2−ヒドロキシ−4−アクリロイルオキシメチルシクロヘキシルメタクリレート共重合体、モル組成比=30/35/35、臭素価=36gBr/100g、酸価=118mgKOH/g、質量平均分子量=15,000の固形分濃度=45質量%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)・・・53.9質量部
・エピコート1004(ジャパンエポキシレジン社製商品名:ビスフェノールA型エポキシ樹脂)・・・14.3質量部
・DPHA(日本化薬製商品名:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)・・・18.9質量部
・2−(5−tert−ブチルベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン(以下、「D1」と称す。)・・・1.7質量部
・CGI325(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製商品名:(2−アセチルオキシイミノメチル)−チオキサンテン−9−オン、以下「OE39」と称す。):O−アシルオキシム化合物・・・1.5質量部
・F780F(DIC社製商品名:フッ素形界面活性剤、30質量%メチルエチルケトン溶液・・・0.57質量部
・ハイドロキノンモノメチルエーテル・・・0.04質量部
−感光性フィルムの作製−
支持体として、厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィム(東レ社製、ルミラー16FB50)を用い、該支持体上に前記感光性組成物塗布液をバーコーターにより、乾燥後の感光層の厚みが約30μmになるように塗布し、80℃、30分間熱風循環式乾燥機中で乾燥させ、次いで、前記感光層の上に、前記保護フィルムとして厚み12μmのポリプロピレンフィルムをラミネートで積層し、感光性フィルムを作製した。
−ソルダーレジストパターンの形成−
−−感光性積層体の調製−−
前記基体として、プリント基板としての配線形成済みの銅張積層板(スルーホールなし、銅厚み12μmのプリント配線板)の表面に化学研磨処理を施して調製した。該銅張積層板上に、前記感光性フィルムの感光層が前記銅張積層板に接するようにして前記感光性フィルムにおける保護フイルムを剥がしながら、真空ラミネータ(ニチゴーモートン(株)製、VP130)を用いて積層させ、前記銅張積層板と、前記感光層と、前記ポリエチレンテレフタレートフイルム(支持体)とがこの順に積層された感光性積層体を調製した。
圧着条件は、真空引きの時間40秒、圧着温度70℃、圧着圧力0.2MPa、加圧時間10秒とした。
−−露光工程−−
前記調製した感光性積層体における感光層に対し、ポリエチレンテレフタレートフイルム(支持体)側から、所定のパターンを有する青紫色レーザ露光によるパターン形成装置(富士写真フイルム社製、INPREX−IP3500)を用いて、405nmのレーザ光を、所定のパターンが得られるようにエネルギー量40mJ/cmを照射し露光し、前記感光層の一部の領域を硬化させた。
−−現像工程−−
前記露光後の感光性積層体を室温にて10分間静置した後、前記感光性積層体からポリエチレンテレフタレートフイルム(支持体)を剥がし取り、銅張積層板上の感光層の全面に、アルカリ現像液として、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、30℃にて60秒間、0.18MPa(1.8kgf/cm)の圧力でスプレー現像し、未露光の領域を溶解除去した。その後、水洗し、乾燥させ、永久パターンとしてのソルダーレジストパターンを形成した。
−−硬化処理工程−−
前記ソルダーレジストパターンが形成された感光性積層体の全面に対して、150℃で1時間、加熱処理を施し、ソルダーレジストパターンの表面を硬化し、膜強度を高めた。
[評価]
前記感光性フィルム及び前記感光性積層体について、以下の条件で、感度、解像度、最短現像時間、保存安定性、及びエッジラフネスの評価を行った。結果を表2に示す。
また、前記ソルダーレジストパターンについて、以下の条件で、鉛筆硬度、密着性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、はんだ耐熱性、絶縁抵抗、耐金メッキ性、及び耐熱衝撃性の評価を行った。結果を表3に示す。
<最短現像時間>
前記感光性積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取り、銅張積層板上の前記感光層の全面に30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を0.15MPaの圧力にてスプレーし、炭酸ナトリウム水溶液のスプレー開始から銅張積層板上の感光層が溶解除去されるまでに要した時間を測定し、これを最短現像時間とした。
<感度>
前記感光性積層体における感光層に対し、前記ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)側から、前記光照射手段としての405nmのレーザ光源を有するパターン形成装置を用いて、0.1mJ/cmから21/2倍間隔で100mJ/cmまでの光エネルギー量の異なる光を照射して露光し、前記感光層の一部の領域を硬化させた。室温にて10分間静置した後、前記感光性積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取り、銅張積層板上の感光層の全面に、炭酸ナトリウム水溶液(30℃、1質量%)をスプレー圧0.15MPaにて前記最短現像時間の2倍の時間スプレーし、未硬化の領域を溶解除去して、残った硬化領域の厚みを測定した。次いで、光の照射量と、硬化層の厚さとの関係をプロットして感度曲線を得た。こうして得た感度曲線から硬化領域の厚さが露光前と同じ厚みとなった時の光エネルギー量を、感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量(感度)とした。
なお、前記パターン形成装置は、前記DMDからなる光変調手段を有している。
<解像度>
前記感光性積層体を、室温(23℃、55%RH)にて10分間静置した。得られた前記感光性積層体のポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)上から、前記パターン形成装置を用いて、ライン/スペース=1/1でライン幅5μm〜20μmまで1μm刻みで各線幅の露光を行い、ライン幅20μm〜50μmまで5μm刻みで各線幅の露光を行った。この際の露光量は、前記感度の測定で求めた前記感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量である。室温にて10分間静置した後、前記感光性積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取った。銅張積層板上の感光層の全面に、前記現像液として炭酸ナトリウム水溶液(30℃、1質量%)をスプレー圧0.15MPaにて前記の方法により求めた最短現像時間の2倍の時間スプレーし、未硬化領域を溶解除去した。この様にして得られた永久パターンとしてのソルダーレジストパターン付き銅張積層板の表面を光学顕微鏡で観察し、ソルダーレジストパターンのラインにツマリ、ヨレ等の異常のない最小のライン幅を測定し、これを解像度とした。該解像度は数値が小さいほど良好である。
<保存安定性>
得られた感光性フィルムのシートを、黒ビニールとアルミ箔積層構造との遮光性防湿袋(東海アルミ箔株式会社製BF3X)に入れ、40℃のドライオーブン中で3日間保存した。その後、該フィルムシートを取り出し、基板に積層してから前述の最短現像時間試験を行い、その最短現像時間(t)を測定した。
現像に要する時間を感光性フィルム作製当日の最短現像時間(t)と比較した。具体的には、得られたt/t比の値で、以下の基準で評価した。
−評価基準−
○:1.0〜1.3
△:1.3〜1.8
×:1.8以上
<エッジラフネスの評価>
前記感光性積層体に、前記パターン形成装置を用いて露光し、前記感光層の一部の領域を前記解像度の測定におけるのと同様にしてパターンを形成した。得られたパターンのうち、ライン幅50μmのラインの任意の5箇所について、レーザ顕微鏡(VK−9500、キーエンス(株)製;対物レンズ50倍)を用いて観察し、視野内のエッジ位置のうち、最も膨らんだ箇所(山頂部)と、最もくびれた箇所(谷底部)との差を絶対値として求め、観察した5箇所の平均値を算出し、これをエッジラフネスとした。該エッジラフネスは、値が小さい程、良好な性能を示すため好ましい。
<鉛筆硬度>
上記の感光性フィルムを、保護フィルムを剥離後、回路パターンの無い銅張り積層板上に真空ラミネートした。これを室温まで冷却した後、露光量500mJ/cmの条件で露光し、熱風循環式乾燥炉で硬化を150℃で60分間行い、その後室温まで冷却し、評価サンプルを得た。
JIS K−5400の試験方法に準じ、鉛筆硬度試験機を用い、前記評価サンプルに荷重1kgをかけた際の皮膜にキズが付かない最も高い硬度を求めた。
<密着性>
JIS K5400に準じて、硬化後の永久パターンに1mm碁盤目を100個作製してセロハンテープにより剥離試験を行った。碁盤目の剥離状態を観察し、以下の基準で評価した。
−評価基準−
○:90/100以上で剥離無し
△:50/100以上〜90/100未満で剥離無し
×:0/100〜50/100未満で剥離無し
<耐溶剤性>
前記硬化後の永久パターンをイソプロピルアルコールに室温で30分間浸漬し、外観に異常がないかを確認後、セロハンテープにより剥離試験を行った。
−評価基準−
○:塗膜外観に異常がなく、剥離のないもの。
×:塗膜外観に異常があるか、あるいは剥離するもの。
<耐酸性>
前記硬化後の永久パターンを10質量%塩酸水溶液に室温で30分間浸漬し、外観に異常がないかを確認後、セロハンテープにより剥離試験を行った。
−評価基準−
○:塗膜外観に異常がなく、剥離のないもの。
×:塗膜外観に異常があるか、あるいは剥離するもの。
<耐アルカリ性>
前記硬化後の永久パターンを5質量%水酸化ナトリウム水溶液に室温で30分間浸漬し、外観に異常がないかを確認後、セロハンテープにより剥離試験を行った。
−評価基準−
○:塗膜外観に異常がなく、剥離のないもの。
×:塗膜外観に異常があるか、あるいは剥離するもの。
<はんだ耐熱性>
前記硬化後の永久パターンにロジン系フラックス又は水溶性フラックスを塗布し、260℃のはんだ槽に10秒間浸漬した。これを1サイクルとして、6サイクル繰り返した後、塗膜外観を目視観察した。
−評価基準−
○:塗膜外観に異常(剥離、膨れ)が無く、はんだの凹みの無いもの。
×:塗膜外観に異常(剥離、膨れ)が有るか、又ははんだの凹みの有るもの。
<絶縁抵抗>
IPC−B−25の櫛型テストパターンBを用い、パターンB用のフォトマスクをかけて、前記レーザ装置で40mJ/cmで全面露光し、30℃60秒間、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液で現像、水洗、乾燥し、150℃1時間の後加熱処理により試験基板を作成した。IPC−SM−840Bの試験方法に従って、常態での絶縁抵抗を測定し、以下の基準で評価した。
−評価基準−
○:絶縁抵抗値が1010Ω以上
×:絶縁抵抗値が1010Ω未満
<耐金メッキ性>
前記硬化後の永久パターンを、30℃の酸性脱脂液(日本マクダーミット製、Metex L−5Bの20体積%水溶液)に3分間浸漬した後、水洗した。
次いで、14.4体積%過硫酸アンモニウム水溶液に室温で3分間浸漬した後、水洗し、更に、10体積%硫酸水溶液に室温で1分間浸漬した後、水洗した。
次に、この試験基板を30℃の触媒液(メルテックス製、メルプレートアクチベーター350の10体積%水溶液)に7分間浸漬後、水洗し、85℃のニッケルメッキ液(メルテックス製、メルプレートNi−865Mの10体積%硫酸水溶液)に室温で1分間浸漬後、水洗した。
次いで、試験基板を95℃の金メッキ液(メルテックス製、オウロレクトロレスUPの15体積%とシアン化金カリウムの3体積%の水溶液、pH6)に10分間浸漬し、無電解金メッキを行った後、水洗して、更に、60℃の温水で3分間浸漬してから、水洗後、乾燥した。得られた無電解金メッキ評価基板を観察し、以下の基準で評価した。
−評価基準−
○:全く異常が無いもの。
×:メッキ付着不良又はメッキによる凹みが観られたもの。
<耐熱衝撃性>
信頼性試験項目として、温度サイクル試験(TCT)により、前記硬化後の永久パターンにおけるクラックや剥れ等の外観と抵抗値変化率を評価した。TCTは気相冷熱試験機を用い、電子部品モジュールを温度が−55℃及び125℃の気相中に各30分間放置し、これを1サイクルとして1,000サイクルの条件で行った。
−評価基準−
○:クラック発生無し
△:浅いクラック発生有り
×:深いクラック発生有り
(実施例2〜15)
実施例1において、一般式(I)で表される中性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体の種類及び含有量を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、感度、解像度、最短現像時間、保存安定性、エッジラフネス、鉛筆硬度、密着性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、はんだ耐熱性、絶縁抵抗、耐金メッキ性、及び耐熱衝撃性の評価を行った。結果を表2及び表3に示す。
(実施例16〜17及び実施例22〜23)
実施例1において、表1に示す水素供与体化合物を添加した以外は、実施例1と同様にして、感度、解像度、最短現像時間、保存安定性、エッジラフネス、鉛筆硬度、密着性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、はんだ耐熱性、絶縁抵抗、耐金メッキ性、及び耐熱衝撃性の評価を行った。結果を表2及び表3に示す。
(実施例18〜21)
実施例1において、中性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体及び中性のO−アシルオキシム化合物の含有量を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、感度、解像度、最短現像時間、保存安定性、エッジラフネス、鉛筆硬度、密着性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、はんだ耐熱性、絶縁抵抗、耐金メッキ性、及び耐熱衝撃性の評価を行った。結果を表2及び表3に示す。
(実施例24)
実施例1において、中性のO−アシルオキシム化合物の種類及び含有量を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、感度、解像度、最短現像時間、保存安定性、エッジラフネス、鉛筆硬度、密着性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、はんだ耐熱性、絶縁抵抗、耐金メッキ性、及び耐熱衝撃性の評価を行った。結果を表2及び表3に示す。
(実施例25)
実施例1において、パターン形成装置を、下記に説明するものに代えて2重露光を行った以外は、実施例1と同様にして、感度、解像度、最短現像時間、保存安定性、エッジラフネス、鉛筆硬度、密着性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、はんだ耐熱性、絶縁抵抗、耐金メッキ性、及び耐熱衝撃性の評価を行った。結果を表2及び表3に示す。
<<パターン形成装置>>
前記光照射手段として特開2005−258431号公報に記載の合波レーザ光源と、前記光変調手段として図6に概略図を示した主走査方向にマイクロミラー58が1024個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に768組配列された内、1024個×256列のみを駆動するように制御したDMD36と、図5A又は図5Bに示した光を前記パターン形成材料に結像する光学系とを有する露光ヘッド30を備えたパターン形成装置10を用いた。
各露光ヘッド30すなわち各DMD36の設定傾斜角度としては、使用可能な1024列×256行のマイクロミラー58を使用してちょうど2重露光となる角度θidealよりも若干大きい角度を採用した。この角度θidealは、N重露光の数N、使用可能なマイクロミラー58の列方向の個数s、使用可能なマイクロミラー58の列方向の間隔p、及び露光ヘッド30を傾斜させた状態においてマイクロミラーによって形成される走査線のピッチδに対し、下記式1、
spsinθideal≧Nδ(式1)
により与えられる。本実施形態におけるDMD36は、上記のとおり、縦横の配置間隔が等しい多数のマイクロミラー58が矩形格子状に配されたものであるので、
pcosθideal=δ(式2)
であり、上記式1は、
stanθideal=N(式3)
であり、s=256、N=2であるので、角度θidealは約0.45度である。したがって、設定傾斜角度θとしては、例えば0.50度を採用した。
まず、2重露光における解像度のばらつきと露光むらを補正するため、被露光面の露光パターンの状態を調べた。結果を図16に示した。図16においては、ステージ14を静止させた状態で積層体12の被露光面上に投影される、露光ヘッド3012と3021が有するDMD36の使用可能なマイクロミラー58からの光点群のパターンを示した。また、下段部分に、上段部分に示したような光点群のパターンが現れている状態でステージ14を移動させて連続露光を行った際に、被露光面上に形成される露光パターンの状態を、露光エリア3212と3221について示した。なお、図16では、説明の便宜のため、使用可能なマイクロミラー58の1列おきの露光パターンを、画素列群Aによる露光パターンと画素列群Bによる露光パターンとに分けて示したが、実際の被露光面上における露光パターンは、これら2つの露光パターンを重ね合わせたものである。
図16に示したとおり、露光ヘッド3012と3021の間の相対位置の、理想的な状態からのずれの結果として、画素列群Aによる露光パターンと画素列群Bによる露光パターンとの双方で、露光エリア3212と3221の前記露光ヘッドの走査方向と直交する座標軸上で重複する露光領域において、理想的な2重露光の状態よりも露光過多な領域が生じていることが判る。
前記光点位置検出手段としてスリット28及び光検出器の組を用い、露光ヘッド3012ついては露光エリア3212内の光点P(1,1)とP(256,1)の位置を、露光ヘッド3021については露光エリア3221内の光点P(1,1024)とP(256,1024)の位置を検出し、それらを結ぶ直線の傾斜角度と、露光ヘッドの走査方向とがなす角度を測定した。
実傾斜角度θ´を用いて、下記式4
ttanθ´=N(式4)
の関係を満たす値tに最も近い自然数Tを、露光ヘッド3012と3021のそれぞれについて導出した。露光ヘッド3012についてはT=254、露光ヘッド3021についてはT=255がそれぞれ導出された。その結果、図17において斜線で覆われた部分78及び80を構成するマイクロミラーが、本露光時に使用しないマイクロミラーとして特定された。
その後、図17において斜線で覆われた領域78及び80を構成する光点以外の光点に対応するマイクロミラーに関して、同様にして図17において斜線で覆われた領域82及び網掛けで覆われた領域84を構成する光点に対応するマイクロミラーが特定され、本露光時に使用しないマイクロミラーとして追加された。
これらの露光時に使用しないものとして特定されたマイクロミラーに対して、前記描素部素制御手段により、常時オフ状態の角度に設定する信号が送られ、それらのマイクロミラーは、実質的に露光に関与しないように制御した。
これにより、露光エリア3212と3221のうち、複数の前記露光ヘッドで形成された被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域以外の各領域において、理想的な2重露光に対して露光過多となる領域、及び露光不足となる領域の合計面積を最小とすることができる。
(比較例1〜2及び比較例9)
実施例1において、ラジカル発生剤として、中性のO−アシルオキシム化合物の代わりに表1に示す成分を添加した以外は、実施例1と同様にして、感度、解像度、最短現像時間、保存安定性、エッジラフネス、鉛筆硬度、密着性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、はんだ耐熱性、絶縁抵抗、耐金メッキ性、及び耐熱衝撃性の評価を行った。結果を表2及び表3に示す。
(比較例3)
実施例24において、増感色素として、中性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体の代わりに表1に示す成分を添加した以外は、実施例1と同様にして、感度、解像度、最短現像時間、保存安定性、エッジラフネス、鉛筆硬度、密着性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、はんだ耐熱性、絶縁抵抗、耐金メッキ性、及び耐熱衝撃性の評価を行った。結果を表2及び表3に示す。
(比較例4)
実施例1において、増感色素及びラジカル発生剤として、中性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体及び中性のO−アシルオキシム化合物の代わりに、それぞれ表1に示す成分を添加し、かつ水素供与体化合物を添加した以外は、実施例1と同様にして、感度、解像度、最短現像時間、保存安定性、エッジラフネス、鉛筆硬度、密着性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、はんだ耐熱性、絶縁抵抗、耐金メッキ性、及び耐熱衝撃性の評価を行った。結果を表2及び表3に示す。
(比較例5)
実施例1において、中性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体を添加せず、かつ中性のO−アシルオキシム化合物の含有量を3.0質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、感度、解像度、最短現像時間、保存安定性、エッジラフネス、鉛筆硬度、密着性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、はんだ耐熱性、絶縁抵抗、耐金メッキ性、及び耐熱衝撃性の評価を行った。結果を表2及び表3に示す。
(比較例6)
実施例1において、中性のO―アシルオキシム化合物を添加せず、かつ中性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体の含有量を2.6質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、感度、解像度、最短現像時間、保存安定性、エッジラフネス、鉛筆硬度、密着性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、はんだ耐熱性、絶縁抵抗、耐金メッキ性、及び耐熱衝撃性の評価を行った。結果を表2及び表3に示す。
(比較例7)
実施例1において、中性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体の代わりに、酸性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体(2−(5−tert−ブチルベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−3−カルボキシ−2H−インデン、以下「D16」と称す。)を添加した以外は、実施例1と同様にして、感度、解像度、最短現像時間、保存安定性、エッジラフネス、鉛筆硬度、密着性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、はんだ耐熱性、絶縁抵抗、耐金メッキ性、及び耐熱衝撃性の評価を行った。結果を表2及び表3に示す。
(比較例8)
実施例1において、中性のO−アシルオキシム化合物の代わりに、塩基性のO−アシルオキシム化合物(p−ジメチルアミノアセトフェノン−O−アセチルオキシム、以下「OE40」と称す。)を添加した以外は、実施例1と同様にして、感度、解像度、最短現像時間、保存安定性、エッジラフネス、鉛筆硬度、密着性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、はんだ耐熱性、絶縁抵抗、耐金メッキ性、及び耐熱衝撃性の評価を行った。結果を表2及び表3に示す。
表1において略称で記載した成分の正式名称は以下の通りである。
D1:2−(5−tert−ブチルベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D2:2−(4−フェニル−1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D3:2−(4,5−ジメトキシカルボニル−1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D4:2−(4−メチルベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−5−トリメチルシリルメトキシ−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D5:2−(4−tert−ブチルベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−5−アリルオキシ−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D6:2−(4−フェニル−1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−6,7−ベンゾインデン
D7:2−(5−tert−ブチルベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−3−n−ブチル−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D8:2−(ナフト[1,2]−1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D9:2−(ナフト[1,2]−1,3−ジチオリデン−2−イル)−4−メチル−7−ブロモ−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D10:2−(ナフト[1,2]−1,3−ジチオリデン−2−イル)−4−ブロモル−7−メチル−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D11:2−(ベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−6−メトキシ−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D12:2−(ベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−5,6−ジメトキシ−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D13:2−(ナフト[1,2]−1,3−ジチオリデン−2−イル)−5,6,7−トリメトキシ−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D14:2−(ナフト[1,2]−1,3−ジチオリデン−2−イル)−6−クロロ−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D15:2−(ベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−3−フェニル−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン
D16:2−(5−tert−ブチルベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−3−カルボキシ−2H−インデン(酸性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体)
OE1:1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−ブタン−1,2−ジオン 2−オキシム−O−ベンゾアート
OE39:(2−アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オン
OE40:p−ジメチルアミノアセトフェノン−O−アセチルオキシム(塩基性のO−アシルオキシム化合物)
EAB:4,4’−ビス(N,N−ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
Irgacure819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド
Irgacure369:1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジル−2−ジメチルアミノブタン−1−オン
Irgacure784:ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム
H1:N−フェニルグリシン
H2:4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド
H3:ジメドン
H4:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
表2及び表3の結果より、光重合開始系化合物が、中性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体及び中性のO−アシルオキシム化合物を含む感光性組成物を用いた実施例1〜25は、高感度及び高解像度であり、保存安定性が良好で、かつソルダーレジストに要求される諸性質が良好で高精細な永久パターンを形成可能なことが判った。
また、2重露光における解像度のばらつきと露光むらを補正した実施例25のパターンは、エッジラフネスも小さいことが判った。
本発明の感光性組成物及び感光性フィルムは、高感度及び高解像度であり、保存安定性が良好で、かつ要求される諸性質が良好で高精細な永久パターンを形成可能である。このため、プリント基板におけるソルダーレジストなどの永久パターン形成用として特に好適に用いることができる。
本発明の永久パターン形成方法は、本発明の前記感光性フィルムを備えているため、特に、プリント基板における高精細なソルダーレジストパターンの形成に好適に用いることができる。
図1は、パターン形成装置の一例の外観を示す斜視図である。 図2は、パターン形成装置のスキャナの構成の一例を示す斜視図である。 図3Aは、感光層の被露光面上に形成される露光済み領域を示す平面図である。 図3Bは、各露光ヘッドによる露光エリアの配列を示す平面図である。 図4は、露光ヘッドの概略構成の一例を示す斜視図である。 図5Aは、露光ヘッドの詳細な構成の一例を示す上面図である。 図5Bは、露光ヘッドの詳細な構成の一例を示す側面図である。 図6は、図1のパターン形成装置のDMDの一例を示す部分拡大図である。 図7Aは、DMDの動作を説明するための斜視図である。 図7Bは、DMDの動作を説明するための斜視図である。 図8は、露光ヘッドの取付角度誤差及びパターン歪みがある際に、被露光面上のパターンに生じるむらの例を示した説明図である。 図9は、1つのDMDによる露光エリアと、対応するスリットとの位置関係を示した上面図である。 図10は、被露光面上の光点の位置を、スリットを用いて測定する手法を説明するための上面図である。 図11は、選択されたマイクロミラーのみが露光に使用された結果、被露光面上のパターンに生じるむらが改善された状態を示す説明図である。 図12は、隣接する露光ヘッド間に相対位置のずれがある際に、被露光面上のパターンに生じるむらの例を示した説明図である。 図13は、隣接する2つの露光ヘッドによる露光エリアと、対応するスリットとの位置関係を示した上面図である。 図14は、被露光面上の光点の位置を、スリットを用いて測定する手法を説明するための上面図である。 図15は、図12の例において選択された使用画素のみが実動され、被露光面上のパターンに生じるむらが改善された状態を示す説明図である。 図16は、隣接する露光ヘッド間に相対位置のずれ及び取付角度誤差がある際に、被露光面上のパターンに生じるむらの例を示した説明図である。 図17は、図16の例において選択された使用描素部のみを用いた露光を示す説明図である。 図18Aは、倍率歪みの例を示した説明図である。 図18Bは、ビーム径歪みの例を示した説明図である。 図19Aは、単一露光ヘッドを用いた参照露光の第一の例を示した説明図である。 図19Bは、単一露光ヘッドを用いた参照露光の第一の例を示した説明図である。 図20は、複数露光ヘッドを用いた参照露光の第一の例を示した説明図である。 図21Aは、単一露光ヘッドを用いた参照露光の第二の例を示した説明図である。 図21Bは、単一露光ヘッドを用いた参照露光の第二の例を示した説明図である。 図22は、複数露光ヘッドを用いた参照露光の第二の例を示した説明図である。
符号の説明
10 パターン形成装置
12 感光性積層体(感光層、感光材料)
14 移動ステージ
18 設置台
20 ガイド
22 ゲート
24 スキャナ
26 センサ
28 スリット
30 露光ヘッド
32 露光エリア
36 デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)
38 ファイバアレイ光源
58 マイクロミラー(描素部)
111 マルチキャビティレーザ
113 ロッドレンズ
114 レンズアレイ
140 レーザアレイ

Claims (10)

  1. バインダー、重合性化合物、光重合開始系化合物、及び熱架橋剤を含み、光重合開始系化合物が、(A)中性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体であり、かつ下記一般式(I)で表される化合物、及び(B)下記一般式(II−1)〜(II−4)のいずれかで表される中性のO−アシルオキシム化合物を含むことを特徴とする感光性組成物。
    ただし、前記一般式(I)中、R、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に、中性の非金属原子団の基を表し、RとRとは互いに結合して5〜8員環を形成してもよい。
    ただし、前記一般式(II−1)〜(II−4)中、Rは、フェニル基、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルカノイル基、ベンゾイル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、CONR2223、CN、NO、アリール基、及びジフェニルホスフィノイル基のいずれかを表す。R10は、アルカノイル基、アルケノイル基、ベンゾイル基、アルコキシカルボニル基、及びフェノキシカルボニル基のいずれかを表す。R11、R12、R13、R14、及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、OR20、SR21、SOR21、及びSO21のいずれかを表す。R16は、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、シクロアルキル基、CONR2223、CN、フェニル基、及びアルキル基のいずれかを表す。R17、R18、及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、OR20、SR21、SOR21、及びSO21のいずれかを表す。R20は水素原子、アルキル基、(CHCHO)nH、アルカノイル基、アルケニル基、炭素原子数3〜6のアルケノイル基、及びフェニル基を表し、nは1〜20の整数を表す。R21は、アルキル基、及びフェニル基のいずれかを表す。R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニル基、アルカノイル基、アルケノイル基、及びベンゾイル基のいずれかを表す。Mは、アルキレン基、シクロヘキシレン基、及びフェニレン基のいずれかを表す。
  2. (A)中性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体が、2−(5−tert−ブチルベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン、2−(ナフト[1,2]−1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン、及び2−(ベンゾ−1,3−ジチオリデン−2−イル)−3−フェニル−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデンのいずれかである請求項1に記載の感光性組成物。
  3. (B)中性のO−アシルオキシム化合物が、(1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−ベンゾアート、及び(2−アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オンのいずれかである請求項1から2のいずれかに記載の感光性組成物。
  4. 光重合開始系化合物が、水素供与体化合物を含む請求項1から3のいずれかに記載の感光性組成物。
  5. 水素供与体化合物が、N−フェニルグリシン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィドのいずれかである請求項4に記載の感光性組成物。
  6. (A)中性の2−(1,3−ジチオリデン−2−イル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体と、(B)中性のO−アシルオキシム化合物との含有量比が、2:8〜8:2である請求項1から5のいずれかに記載の感光性組成物。
  7. 熱硬化促進剤を含む請求項1から6のいずれかに記載の感光性組成物。
  8. 支持体と、該支持体上に請求項1から7のいずれかに記載の感光性組成物からなる感光層とを有することを特徴とする感光性フィルム。
  9. 請求項1から7のいずれかに記載の感光性組成物により形成された感光層に対して露光を行うことを含むことを特徴とする永久パターン形成方法。
  10. 請求項9に記載の永久パターン形成方法により永久パターンが形成されることを特徴とするプリント基板。
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