JP2007298464A - 放射線像変換パネルおよび放射線像変換パネルの製造方法 - Google Patents

放射線像変換パネルおよび放射線像変換パネルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蛍光体層と防湿保護層との間に生じる中空部分からの透湿を低減し、また、中空部分の防湿保護層にクラックや目視で確認できない程度の傷が入り、破損することを防止する。
【解決手段】基板12と、気相堆積法によって形成される蛍光体層14と、前記蛍光体層14を全面的に覆って封止する防湿保護層18とを有し、かつ、前記蛍光体層14と防湿保護層18との間に生じた空隙が、前記蛍光体層14に浸透しない充填材30で充填される。
【選択図】図1

Description

本発明は、放射線像変換パネルおよび放射線像変換パネルの製造方法の技術分野に属し、詳しくは、防湿保護層と輝尽性蛍光体層との間に生じる空隙に充填される充填材を有することを特徴とする放射線像変換パネルおよび放射線像変換パネルの製造方法に関する。
放射線(X線、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等)の照射を受けると、この放射線エネルギーの一部を蓄積し、その後、可視光等の励起光の照射を受けると、蓄積されたエネルギーに応じた輝尽発光を示す蛍光体が知られている。この蛍光体は、輝尽性蛍光体(蓄積性蛍光体)と呼ばれ、医療用途などの各種の用途に利用されている。
一例として、この輝尽性蛍光体の膜(輝尽性蛍光体層 以下、蛍光体層とする)を有する放射線像変換パネル(以下、変換パネルとする(輝尽性蛍光体パネルとも呼ばれている))を利用する、放射線画像情報記録再生システムが知られており、例えば、富士写真フイルム社製のFCR(Fuji Computed Radiography)等として実用化されている。
このシステムでは、人体などの被写体を介してX線等を照射することにより、変換パネルの蛍光体層に被写体の放射線画像情報を記録する。記録後に、変換パネルをレーザ光等の励起光で2次元的に走査して輝尽発光を生ぜしめ、この輝尽発光光を光電的に読み取って画像信号を得、この画像信号に基づいて再生した画像を、CRTなどの表示装置や、写真感光材料などの記録材料等に、被写体の放射線画像として出力する。
変換パネルは、通常、輝尽性蛍光体の粉末をバインダ等を含む溶媒に分散してなる塗料を調製して、この塗料をガラスや樹脂製のパネル状の支持体に塗布し、乾燥することによって、作成される。
これに対し、特許文献1に開示されるように、真空蒸着やスパッタリング等の真空成膜法(気相成膜法)によって、支持体に蛍光体層を形成してなる変換パネルも知られている。真空成膜法による蛍光体層は、真空中で形成されるので不純物が少なく、また、輝尽性蛍光体以外のバインダなどの成分が殆ど含まれないので、性能のバラツキが少なく、しかも発光効率が非常に良好であるという、優れた特性を有している。
変換パネルの特性を劣化させる要因の1つとして、蛍光体層の吸湿が挙げられる。
蛍光体層、特に、良好な特性を有するアルカリハライド系の蛍光体層は、吸湿性が高く、通常(常温/常湿)の環境下であっても、容易に吸湿する。この吸湿は、蛍光体層の劣化を引き起こすばかりか、蛍光体層の支持体の腐食をも引き起こす。これにより、変換パネルの機械的強度や平面度の低下、蛍光体層の劣化の促進、さらに、変換パネルの再生画像の鮮鋭性低下等を生じてしまう。
このような不都合を解消するために、気相堆積法による蛍光体層を有する変換パネルでは、充分な防湿性を有する防湿保護層で蛍光体層を全面的に覆って密封することが行われている。
例えば、前記特許文献1には、図4に示すように、基板112の表面に形成した蛍光体層114を、全面的に防湿保護層(保護膜)118で覆って、蛍光体層118の周辺を囲む全域で、接着層(図示せず)によって基板112と防湿保護層118とを接着することにより、防湿保護層118で蛍光体層114を全面的に覆って封止する変換パネル100が開示されている。
特開2004−205355号公報
しかしながら、特許文献1に開示される放射線像変換パネル100は、酸化や吸湿を防止する防湿保護層118にしわを生じさせず、また、蛍光体層114を確実に封止すること等はできるものの、基板112と蛍光体層114との段差等に起因して、蛍光体層114と防湿保護層118との間に中空部分(空隙)Aが生じてしまう。このような中空部分Aを有する変換パネルは、この中空部分Aから透湿しやすく、さらに、この中空部分Aの防湿保護層118の機械的強度が低く、この部分に力が加わって、防湿保護層118にクラックや目に見えない傷等が入って破損して、この部分から水分が入り、蛍光体層114が吸湿してしまう。このような蛍光体層114の吸湿により、変換パネルの機械的強度や平面度の低下、蛍光体層の劣化の促進、さらに、変換パネルの再生画像の鮮鋭性の低下等を生じてしまう。
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、蛍光体層と防湿保護層との間に生じる中空部分からの透湿を低減し、また、中空部分の防湿保護層にクラックや目視で確認できない程度の傷が入り、破損することを防止し、すなわち、中空部分が存在することにより生じていた防湿保護層の破損による蛍光体層の吸湿を大幅に低減できる、放射線像変換パネルおよび放射線像変換パネルの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、基板と、蛍光体層と、前記蛍光体層を全面的に覆って封止する防湿保護層とを有し、かつ、前記蛍光体層と前記防湿保護層との間に生じた空隙が、前記蛍光体層に浸透しない充填材で充填されてなることを特徴とする放射線像変換パネルを提供するものである。
本発明においては、前記蛍光体層は、気相堆積法によって形成されるのが好ましい。
また、本発明においては、前記蛍光体は、輝尽性蛍光体であるのが好ましい。
また、本発明においては、前記充填材が、輝尽励起光及び輝尽発光光を50%以上透過する透明なものであるのが好ましい。
また、本発明においては、前記充填材が、硬化性物質であるのが好ましい。
また、本発明においては、前記蛍光体層が、一般式「CsX:Eu2+ で示される輝尽性蛍光体で形成されるのが好ましい。
(式中、X=Cl,Br,Iである。)
また、上記目的を達成するために、本発明は、基板の表面に、蛍光体層を形成した後、前記蛍光体層を防湿保護層で覆った際に生じる空隙となる領域に、前記蛍光体層に浸透しない充填材を充填し、その後、前記蛍光体層を防湿保護層で全面的に覆って封止することを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法を提供するものである。
本発明の放射線像変換パネルおよび放射線像変換パネルの製造方法は、蛍光体層と防湿保護層との間に生じる中空部分(空隙)を充填材で充填することにより、中空部分からの透湿を防止することができ、また、この中空部分の防湿保護層に力が加わった場合でも、防湿保護層にクラックや目視で確認できない程度の傷が入ることにより破損することを防止できるので、蛍光体層が吸湿することを防止して、長期にわたって、高感度で鮮鋭度の高い放射線像変換パネルを得ることができる。
以下、本発明の放射線像変換パネル(以下、単に変換パネルとする)および製造方法について、添付の図を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の放射線像変換パネルの概略構成の一例を示す断面図である。
図1に示すように、本発明の変換パネル10は、少なくとも、基板12と、この基板12上に気相堆積法により形成された輝尽性蛍光体層(以下、蛍光体層とする)14と、蛍光体層14の吸湿を防止するために、蛍光体層14を覆って封止する防湿保護層18と、蛍光体層14の側面と防湿保護層18との間に生じる空隙(中空部分)を充填する充填材30と、で構成されている。
本発明の変換パネル10において、基板12には特に限定はなく、後の蒸着や熱処理に対する耐熱性に応じて、通常の変換パネルで使用されている各種のものが利用可能である。
一例として、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルム; 石英ガラス、無アルカリガラス、ソーダガラス、耐熱ガラス(パイレックスTM等)などから形成されるガラス板; アルミニウムシート、鉄シート、銅シート、クロムシートなどの金属シートあるいは金属酸化物の被服層を有する金属シート; 等が例示される。
本発明の変換パネル10において、蛍光体層14を形成する輝尽性蛍光体には、特に限定はなく、各種のものが利用可能である。好ましくは、波長が400nm〜900nmの範囲の励起光により、300nm〜500nmの波長範囲に輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が利用される。
好ましい一例として、特開昭61−72087号公報に開示される、一般式「MI X・aMIIX’2 ・bMIII3’’ :cA」で示されるアルカリハライド系輝尽性蛍光体が例示される。
(上記式において、MIは、Li,Na,K,RbおよびCsからなる群より選択される少なくとも一種であり、MIIは、Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,CuおよびNiからなる群より選択される少なくとも一種の二価の金属であり、MIIIは、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,GaおよびInからなる群より選択される少なくとも一種の三価の金属であり、X、X’およびX''は、F,Cl,BrおよびIからなる群より選択される少なくとも一種であり、Aは、Eu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Gd,Lu,Sm,Y,Tl,Na,Ag,Cu,BiおよびMgからなる群より選択される少なくとも一種である。また、0≦a<0.5であり、0≦b<0.5であり、0<c≦0.2である。)
なお、基板12は、表面に輝尽発光光を反射するための反射膜、あるいはさらに、反射膜上に反射膜を保護するためのバリア膜等を有してもよい。この際には、これらの膜の表面に、蛍光体層14を形成する。
特に、優れた輝尽発光特性を有し、且つ、本発明の効果が良好に得られる等の点で、MIが、少なくともCsを含み、Xが、少なくともBrを含み、さらに、Aが、EuまたはBiであるアルカリハライド系輝尽性蛍光体は好ましく、中でも特に、一般式「CsBr:Eu」で示される輝尽性蛍光体が好ましい。
また、これ以外にも、米国特許3,859,527号明細書や、特開昭55−12142号、同55−12144号、同55−12145号、同57−148285号、同56−116777号、同58−69281号、同59−75200号、同59−38278号等の各公報に開示される輝尽性蛍光体も、好ましく例示される。
なお、蛍光体層14の形成方法については、本発明の変換パネルの製造方法のところで詳述する。
本発明の変換パネル10において、防湿保護層18は、蛍光体層14の吸湿を防止するために、蛍光体層14を覆って封止するものである。
本発明の変換パネル10において、防湿保護層18は、十分な防湿性を有するものであれば、各種のものが利用可能であり、特に限定はない。一例として、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、SiO膜とSiOとPVA(ポリビニルアルコール)とのハイブリット層とSiO膜との3層を形成してなる防湿保護層18が例示される。これ以外にも、ガラス板(フィルム)、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等の樹脂フィルム、樹脂フィルムにSiO、Al、SiCなどの無機物質が堆積したフィルム等も好ましく例示される。なお、前記PETフィルム上に、SiO膜/SiOとPVAとのハイブリット層/SiO膜の3層を形成した防湿保護層18において、例えば、SiO膜は、スパッタリング法を用いて、SiOとPVAとのハイブリット層は、PVAとSiOの比率が1:1となるようにゾルゲル法を用いて、それぞれ形成すればよい。また、防湿保護層18の蛍光体層14と対向する側の面に接着層を設けてもよい。
ここで、従来技術で述べたように、防湿保護層18を有する変換パネル10は、蛍光体層14と基板12との段差によって、防湿保護層18と蛍光体層14との間に中空部分(空隙)を生じてしまう。このような中空部分を有する変換パネルは、この中空部分から透湿しやすく、さらに、この中空部分の防湿保護層18の機械的強度が低く、この部分に力が加わって、防湿保護層18にクラックや目に見えない程度の傷等が入ることにより破損して、この部分から水分が入り、蛍光体層14が吸湿してしまう。このような蛍光体層114の吸湿により、変換パネルの機械的強度や平面度の低下、蛍光体層の劣化の促進、さらに、変換パネルの再生画像の鮮鋭性の低下等を生じてしまう。
そこで、本発明の変換パネル10においては、蛍光体層14と防湿保護層18との間に生じる中空部分に、中空部分を隙間無く埋めるように充填材30を充填する。
充填材30は、元来、変換パネルにおいて中空部分だった部分に充填されるため、変換パネルの画像領域を狭めることなく、変換パネル10の機械的強度を増すことができる。すなわち、本発明の変換パネル10においては、中空部分に、充填材30を充填することにより、画像領域を狭めることなく、中空部分を無くすことができ、これにより、ここからの吸湿を防止して、すなわち、防湿度が上昇する。さらに、本発明の蛍光体パネル10においては、中空部分に充填材30を充填することにより、この部分の防湿保護層18のクラックや目に見えない程度の傷等による破損を防止することができ、防湿保護層18の破損に起因する蛍光体層14の吸湿を大幅に低減でき、蛍光体層14の吸湿による劣化を防止し、長期に渡って高性能な画質を得られる変換パネルを提供することができる。
充填材30としては、蛍光体層14に浸透せず、かつ、中空部分から動かず、中空部分を隙間無く埋められるものであれば、特に限定はなく、各種のものが利用可能である。好ましくは、蛍光体層14からの輝尽励起光および輝尽発光を50%以上浸透する透明なものや体積変化を起こさずに硬化する物質等が用いられる。
一例として、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、酸素硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の各種硬化性樹脂、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等の各種樹脂、その他、冷却により凝固するゼラチン、塗布型変換パネルの溶剤、各種フィラー、励起光及び/もしくは発光光に対して透明な樹脂、輝尽性蛍光体もしくは蛍光体の粉末等の粉末、もしくはこれら組合せたもの; 等が例示される。
以下、図1に示す本発明の変換パネル10を製造する、本発明の変換パネルの製造方法の一例を示す。
本発明の製造方法においては、基板12の表面に、気相堆積法によって蛍光体層14を形成する。
なお、本発明においては、蛍光体層14の成膜前の工程には、特に限定がないのは、前述の通りであり、例えば、基板12の表面に輝尽発光光を反射するための反射膜、あるいはさらに、反射膜の上に反射膜を保護するためのバリア膜等を形成し、これらの膜を形成したものを基板12として、その表面に、蛍光体層14を形成してもよい。さらに、蛍光体層14が柱状蛍光体層であることが好ましい。
このような輝尽性蛍光体からなる蛍光体層14の形成方法には、特に限定はなく、真空蒸着、スパッタリング、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の各種の真空成膜法が利用可能である。
中でも、生産性等の点で真空蒸着が好ましく、特に、蛍光体成分の材料と、付活剤(賦活剤:activator)成分の材料とを別々に加熱蒸発させる、多元の真空蒸着が好ましい。例えば、前記「CsBr:Eu」の蛍光体層14であれば、蛍光体成分の材料として臭化セシウム(CsBr)を、付活剤成分の材料として臭化ユーロピウム(EuBr(xは、通常、2〜3だが2が好ましい))を、それぞれ用いて、別々に加熱蒸発させる、多元の真空蒸着が好ましい。
真空蒸着における加熱方法にも、特に限定はなく、例えば、電子銃等を用いる電子線加熱でも、抵抗加熱でもよい。さらに、多元の真空蒸着を行う場合には、全ての材料を同様の同じ加熱手段(例えば、電子線加熱)で加熱蒸発してもよく、あるいは、蛍光体成分の材料は電子線加熱で、微量である付活剤成分の材料は抵抗加熱で、それぞれ加熱蒸発してもよい。
成膜条件にも、特に限定はなく、成膜方法や形成する蛍光体層14の組成等に応じて、適宜、決定すればよい。一例として、真空蒸着であれば、1×10-5Pa〜1×10-2Paの真空度で、0.05μm/min〜300μm/minの成膜速度で成膜を行うのが好ましい。なお、多元の真空蒸着を行う際には、母体成分と付活剤成分の量比が目的範囲となるように、両材料の蒸発速度を制御する。
また、本件出願人の検討によれば、前述した各種の蓄積性蛍光体、特にアルカリハライド系蓄積性蛍光体、中でも特にCsBr:Euを真空蒸着で成膜する場合には、一旦、系内を高い真空度に排気した後、アルゴンガスや窒素ガス等を系内に導入して、0.1Pa〜2Pa、特に0.5Pa〜1.5Pa程度の中真空度として成膜を行うのも好ましい。
また、基板の加熱等によって、成膜中に、形成された蛍光体層14を50℃〜400℃で加熱してもよい。
さらに、形成する蛍光体層14の厚さにも、限定はないが、10μm〜1000μm、特に、20μm〜800μmが好ましい。
本発明の変換パネルの製造方法においては、このようにして蛍光体層14の形成した後、蛍光体層14の輝尽発光特性を良好に発現させ、かつ、輝尽発光特性を向上するために、蛍光体層14の加熱処理(アニール)を行う。
なお、本発明において、加熱処理とは、蛍光体層14形成後の処理において、蛍光体層が100℃以上の温度に保持される状態、および、蛍光体層が10℃/minを超える速度で昇温/降温する状態の、少なくとも一方を含む処理である。
蛍光体層14の加熱処理は、焼成炉を用いる方法等の公知の方法で行えばよく、また、基板12の加熱手段を有する真空蒸着装置であれば、これを利用して加熱処理を行ってもよい。
また、蛍光体層14の加熱処理の条件には、特に限定はないが、一例として、窒素雰囲気等の不活性雰囲気下で、50℃〜600℃、特に、100℃〜300℃で、10分〜10時間、特に、30分〜3時間行うのが好ましい。
上述のようにして、真空蒸着によって蛍光体層14を形成した後、蛍光体層14を防湿保護層18で覆った際に生じる空隙となる領域に、蛍光体層14に浸透しない充填材30を充填し、次いで、防湿保護等18と基板12とを接着することにより、図4に示すような従来の変換パネル100に存在していた防湿保護層18と蛍光体層14との間に生じる中空部分Aをなくし、蛍光体層14を完全に封止をする。
本発明の変換パネルの製造方法において、充填材30の充填方法には、蛍光体層14と防湿保護層18との間に生じる空隙を完全に埋めることができれば、特に限定は無いが、一例として、蛍光体層14の側壁面を含め、上記空隙が完全に埋まる量の充填材を、例えば刷毛を用いて、蛍光体層14の周りに塗布し、必要であれば、紫外線照射や熱照射等を実施して硬化させ、必要に応じて上記中空部分を埋める形状に研磨すればよい。また、他の一例として、ある程度、柔軟性を有する充填材を用いた場合であれば、上記中空部分が完全に埋まる量の充填材を、例えば刷毛を用いて、蛍光体層14の周りに塗布し、防湿保護層18と基板12に接着する際に、余分な充填材は防湿保護層18と基板12とのすき間からオーバーフローさせ、充填材30を形成してもよい。
なお、オーバーフローさせた充填材で、防湿保護層18と基板12との接着を行っても良いが、防湿保護等18と基板12との接着方法については、後に詳述する。
また、上記とは別の一例として、変換パネル10において、予め、防湿保護層18と蛍光体層14との間に生じる中空部分をシミュレーションしておき、この中空部分を完全に埋める充填材30を別に成型しておいてもよく、この場合には、この充填材30を、例えば、蛍光体層14の上方からはめ込み、基板12と接着させ、次いで、蛍光体層14を封止するために、防湿保護層18と基板12との接着を行ってもよい。
なお、ここでも、防湿保護等18と基板12との接着方法については、後に詳述する。
防湿保護層18と基板12とを接着する方法は、防湿保護層18と基板12との接着面から透湿することがないように、防湿保護層18が基板12に充分に接着されれば、特に限定はないが、一例として、接着剤からなる封止接着層(図示せず)を用いてもよい。
例えば、ディスペンサーを用いて、基板12上の防湿保護層18との接着部位および/または防湿保護層18の基板12との接着部位に、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の接着剤を塗布形成しても良いし、また、これらに加え、防湿保護層18及び/又は蛍光体層14表面に接着剤を塗布形成しても良い。
防湿保護層18と基板12、もしくは、基板12及び蛍光体層14との接着方法においても、封止接着層が形勢される封止部位に応じて、適宜、決定すればよく、一例として、基板12と防湿保護層18とを接着する場合、基板12上の防湿保護層18を接着した封止部分に、この封止部分の形状に相当するプレス型を押し付け、押し付けた状態のまま経時させ、接着剤を硬化させることにより接着する方法、または、蛍光体層14と防湿保護層18を接着する場合、蛍光体層14と防湿保護層18を熱ラミネーションし、さらに、接着強度を向上させるためにラミネート機に通す方法、及び、前者と後者を組合せた方法が好適に例示されている。
また、防湿保護層18による蛍光体層14の封止に先立ち、封止部および蛍光体層14表面を封止接着層18の軟化温度より30℃低い温度から150℃までの範囲で過熱することが好ましい。
上述のようにして、図1に示す本発明の変換パネル10を得ることができる。
なお、本発明の変換パネルの製造方法においては、防湿保護層18の接着工程後にも、特に、限定はない。
なお、変換パネル10は、防湿保護層18を基板12に接着する構成としたが、図2に示すように、基板12に溝50を形成し、この溝50に防湿保護層18を接着剤(図示せず)等で接着し、さらに、強固に接着するために押圧部材52を用いて固定/保持する構成としてもよい。
また、図3は、図1とは別の本発明の放射線像変換パネルの概略構成の一例を示す断面図である。
図3に示すように、本発明の製造方法で製造する本発明の変換パネル40は、基板12と、この基板12上に気相堆積法により形成された輝尽性蛍光体層(以下、蛍光体層とする)14と、この蛍光体層14を基板12面方向で囲む、基板12に固定された枠20と、蛍光体層14を覆って封止する、蛍光体層14の吸湿を防止するための防湿保護層18と、蛍光体層14の側面、枠20、および防湿保護等18との間に生じる空隙(中空部分)を充填されてなる充填材30と、で構成されている。
なお、本発明の変換パネル40においては、上述の本発明の変換パネル10と比較して、枠20を有する以外は、同一の部材で構成されているので、同一部材には同一の符号を付し、説明が煩雑になるため、ここでは、異なる部材についてのみ、説明する。
本発明の変換パネル40では、基板12上における蛍光体層14の形成領域(すなわち、変換パネルの撮像領域)に応じて、所定の厚み、外形、幅の枠20を設ける。
枠20の形状には、特に限定はなく、変換パネル40の撮像領域に応じて、適宜、限定すればよいが、図示例においては、一例として、上下面が開放する四角柱状のものである。
また、枠20の形成材料にも、特に限定は無いが、変換パネル40の温度が変化した場合の熱膨張率差による変形を低減するために、例えば、基板12と同一素材のものが好ましい。
この枠20を有し、ここに蛍光体層14の封止を行う防湿保護層18を接着する構成とすることにより、防湿保護層18で蛍光体層14を封止する際に、蛍光体層14の表面と防湿保護層18との接着面を略同一平面上にできるため、蛍光体層14の封止を容易に行う事ができ、且つ、封止時等の際における蛍光体層14の保護も図ることができる。
なお、変換パネル40の製造方法については、後に詳述するが、蛍光体層114形成時には、枠30にマスク材(図示せず)貼り付けて、その後、蛍光体層14の蒸着を行うため、蛍光体層14の周辺部分はマスク材の影響で図3に示すように、へこんだ状態になってしまう。この状態のまま、防湿保護層18と枠20とを接着して、防湿保護層18で蛍光体層14を封止すると、この蛍光体層14のへこみの部分が空隙(中空部分)となる。
このような中空部分を有する変換パネルは、この中空部分から湿気が透湿しやすく、さらに、この中空部分の防湿保護層18の機械的強度が低く、この部分に力が加わって、防湿保護層18にクラックや目に見えない傷等が入って破損して、この部分から水分が入り、蛍光体層14が吸湿してしまう。このような蛍光体層14の吸湿により、変換パネルの機械的強度や平面度の低下、蛍光体層の劣化の促進、さらに、変換パネルの再生画像の鮮鋭性の低下等を生じてしまう。
本発明の変換パネル40において、上記蛍光体層14のへこみの部分に、充填材30を充填することにより、本発明の変換パネル10と同様、元来、中空部分起因で生じていた透湿を防止することができ、かつ、中空部分の防湿保護層18の破損を防止することができ、この防湿保護層18の破損により生じていた蛍光体層14の吸湿が大幅に低減でき、長期に渡って高性能な画質を得られる変換パネル40を提供することができる。
なお、本発明の変換パネル40における充填材30は、本発明の変換パネル10と同様のものを用いることができる。
以下、図3に示す本発明の変換パネル40の製造方法の一例を示す。
本発明の変換パネル40の製造方法においては、蛍光体層14の形成に先立ち、基板12表面に、基板12上における蛍光体層14の形成領域(すなわち、変換パネルの撮像領域)に応じて、所定の厚み、外形、幅の枠20を設ける。
枠20を基板12に固定する固定方法にも、特に限定はなく、接着剤を用いる方法等、公知の方法が、各種利用可能である。
枠20は、例えば、適切な冶具を用いて位置合わせをして、基板12表面に固定しても良いが、好ましくは、図1に示すように、基板12に溝22を形成し、この溝22に、枠20を挿入して、基板12上に枠20を固定するのが特に好ましい。
このような溝22は、機械加工等によって、非常に高い位置精度で加工することができる。従って、このような溝22を形成し、ここに枠20を挿入して、枠20の位置決めを行うことにより、枠20と基板12との位置精度、及び、基板12に対する蛍光体層14の蒸着位置精度が向上し、変換パネルの撮像面を適正に所定範囲とすることが可能となる。さらに、溝22に枠20を挿入する構成にすることにより、枠20の厚みを、溝22に差し込む部分の量だけ、基板12面上に固定する場合より厚くすることができ、機械的強度の向上を図ると共に、製造上扱いやすくなり、また、枠20の寸法精度も確保しやすくなる。
溝22の基板12表面からの深さは、枠20が基板12に適正に固定され、枠20の強度が十分に得られる深さであれば、基板12及び蛍光体層14の厚さに応じて、適宜、決定されれば良い。
なお、枠20と基板12との位置精度や枠20の取り付け時の加工性等を高くする為に、枠20を溝22に嵌入する構成にすることが、特に好ましい。
本発明の変換パネル40の製造方法においては、このような枠20を基板12上に設けた後、剥離可能で、好ましくは、この枠20の熱膨張に追従する柔軟性を有するマスク材を、枠20の内側に向かって突出するように貼り付ける。
本発明においては、上記のようにしてマスク材(図示せず)を枠20に貼り付けた後、このマスク材によって形成領域を規制(マスキング)して、基板12上に蛍光体層14を形成する。
なお、本発明の変換パネル40の製造方法においては、マスク材の固定方法には特に限定はない。
本発明の変換パネル40の製造方法においては、マスク材を枠20上に貼り付けた後、蛍光体層14を形成する。本発明の変換パネル40の製造方法における蛍光体層14の形成方法は、本発明の変換パネル10を製造した際と同様に形成すればよく、すなわち、本発明の変換パネル10と同様の蛍光体層14の形成方法によって、枠20の内側に蛍光体層14が形成される。
ここで、本発明の変換パネル40においては、上述のようにして、真空蒸着によって蛍光体層14を形成した後、蛍光体層14と枠20との上面が面一になるように、蛍光体層14と枠20との間に充填材30を充填し、次いで、防湿保護層18と枠20とを接着することにより、蛍光体層14を完全に封止をする。なお、本発明の変換パネル40における充填材30は、本発明の変換パネル10と同様のものを用いることができる。
本発明の変換パネル40の製造方法において、充填材30の形成方法には、蛍光体層14と防湿保護層18との間に生じる空隙を完全に埋めることができれば、特に限定は無いが、一例として、蛍光体層14と枠20との間に生じる空隙に、空隙が完全に埋まる量の充填材を、例えば刷毛を用いて塗布し、必要であれば、紫外線照射や熱照射等を実施して硬化させ、上記空隙が完全に埋まり、かつ、防湿保護層が貼りやすいように蛍光体層14および枠20上面と面一になるように研磨して、充填材30を形成してもよいし、ある程度、柔軟性を有する充填材を用いる場合であれば、上記空隙が完全に埋まる量の充填材を、例えば刷毛を用いて塗布し、防湿保護層18を枠20に接着する際に、余分な充填材は防湿保護層18と枠20とのすき間からオーバーフローさせ、充填材30を形成してもよい。
なお、オーバーフローさせた充填材で、防湿保護層18と基板12との接着を行っても良い。
また、他の一例として、変換パネル40において、予め、蛍光体層14と枠20との間に生じる空隙を完全に埋める充填材30を別に成型しておいてもよく、この場合には、この充填材30を、例えば、蛍光体層14の上方からはめ込み、蛍光体層14および枠20と接着させ、次いで、蛍光体層14を封止するために、防湿保護層18と枠20との接着を行ってもよい。
防湿保護等18と枠20との接着方法については、蛍光体層14を封止することができれば、特に限定はなく、一例として、接着層(図示せず)によって、防湿保護層18を枠20上面に接着する方法が例示される。また、防湿保護層18と枠20上面のみと接着しても良いが、より耐久性に優れた変換パネル40を得るために、防湿保護層18は枠20上面のみならず蛍光体層14表面とも接着するのが好ましい。
接着層は、防湿性に優れた接着剤で形成されたものであれば、特に限定はない。一例として、ポリエステル系接着剤が好適に例示される。さらに、蛍光体層14表面も防湿保護層18と接着する際には、放射線の入射及び輝尽発光光の出射を妨げない光学特性を有するものであるのが好ましい。
前記接着層を防湿保護層18上に設けた後、防湿保護層18を蛍光体層14に被せ、防湿保護層18と枠20あるいはさらに蛍光体層14とを封止接着する。この封止接着方法には特に限定はないが、例えば、熱ラミネーションが例示される。
上述のようにして、図3に示す本発明の変換パネル40を得ることができる。
なお、本発明の変換パネル40の製造方法においては、防湿保護層18による蛍光体層14の封止工程後にも、特に、限定はない。
なお、上記実施形態においては、真空蒸着等の気相堆積法によって蛍光体層14を形成したが、本発明においては、これに限定されず、蛍光体塗布液を塗布することによって蛍光体層14を形成してもよい。例えば、基板12上に枠20を設けた後に、枠20の内側に蛍光体塗布液を塗布することによって蛍光体層14を形成し、その結果、蛍光体層14と枠20との間に生じる中空部分には、変換パネル40を製造する上記実施形態と同様にして、充填材30を充填し、本発明の変換パネル40を得ることもができる。
また、上記実施形態おいては、輝尽性蛍光体を用いて蛍光体層14を形成するのを好適に例示しているが、本発明においては、蛍光体を用いて蛍光体層14を形成するのであれば、特に限定は無く、例えば、ヨウ化セシウム蛍光体を用いて蛍光体層14形成しても良い。ヨウ化セシウム蛍光体を用いて蛍光体層14を形成した場合には、イメージインテンシファイア等に用いられる本発明の変換パネルを得ることができる。
以上、本発明の放射線像変換パネルおよび放射線像変換パネルの製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、さらに、添付の図を用いて、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されないのは言うまでもない。
[実施例1]
付活剤の成膜材料として臭化ユーロピウムを、蛍光体の成膜材料として臭化セシウムをそれぞれ用いる二元の真空蒸着によって、アルミ基板12の表面にCsBr:Euからなる蛍光体層12を成膜した。
両成膜材料共に、加熱は、タンタル製のルツボと出力6kWのDC電源とを用いる抵抗加熱装置で行った。
真空蒸着装置(真空チャンバ)の基板ホルダに、10mm厚で、面積450mm×450mmのアルミ合金(滑川軽銅製:MIC−6、熱膨張係数:24×10−6/K)製の基板(以下、基板とする。)12をセットし、また、各所定位置に各成膜材料をセットした後、真空チャンバを閉鎖し、排気を開始した。排気は、ディフュージョンポンプおよびクライオコイルを用いた。
真空度が8×10−4Paとなった時点で、真空チャンバ内にアルゴンガスを導入して真空度を0.5Paとし、次いで、DC電源を駆使して成膜材料を充填したルツボに通電し、基板12の表面に抵抗加熱による蛍光体層14の成膜を開始した。
なお、蛍光体層14におけるEu/Csのモル濃度比が0.003:1、かつ、成膜速度が8μm/minとなるように、両ルツボのDC電源の出力を調整した。
また、成膜中は、ハロゲンランプを用いて基板12表面を直接加熱した。
蛍光体層14の膜厚が約700μmとなった時点で、成膜を終了し、真空チャンバから基板12を取り出した。なお、膜厚は、予め行った実験により制御した。
また、蛍光体層14は、基板12表面に約430mm×430mmの大きさに成膜された。次いで、成膜を終了した基板12に、窒素雰囲気下で、温度200℃で2時間のアニーリング処理を行った。
蛍光体層14を形成した後、蛍光体層14の側面に、充填材30(有機変性シリコーンレンジSCR‐1012A/B:信越化学工業(株)製)を塗布し、100℃条件下で1時間、次いで、180℃条件下で2時間加熱硬化させた後、防湿保護層18を基板12に接着した際に、防湿保護層18と蛍光体層14との間に生じる空隙の形を予めシミュレーションして、その形に充填材30表面を研削加工した。
他方、6μm厚みのPETフィルム上に、スパッタリング法を用いて、SiO膜をl00nm形成し、その上に、PVAとSiOの比率が1:1となるようにゾル・ゲル法を用いて、PVAとSiOのハイブリット層を600nm形成し、ハイブリット層上に、スパッタリング法を用いて、SiO膜を100nm形成し、接着層を120μm形成し、防湿保護層18とした。
ディスペンサーを用いて、基板12上の周縁部に、封止接着層(図示せず)となるエポキシ樹脂(セメダイン製:EP001)を塗布した。なお、エポキシ樹脂は、接着後の封止接着層18が幅5mm、厚み7μmとなるように塗布した。
次に、440mm×440mmサイズに裁断した上述の防湿保護層18を接着層側が蛍光体層14と対向するように、蛍光体層膜14に被せ、充填材30を隙間無く覆い、上述の封止接着層に相当する形状のプレス型(プレス面はゴム)を押し付け、押した状態のまま維持し、蛍光体層14を封止して、図1に示すパネル10と同じ構成を有する変換パネルを作成した。
[実施例2]
厚さ10mm、面積450mm×450mmサイズのアルミ合金(滑川軽銅製:MIC−6、熱膨張係数:24×10−6/K)製の基板12の表面に、厚さ0.7mm、外形440mm×440mm、幅5mmで基板12と同一素材のアルミ合金製の枠20を、中央を一致して、エポキシ接着剤(セメダイン製:EP001)を用いて接着した。
次いで、基板12と同一素材のマスクを、蛍光体層14の形成領域に応じて位置合わせして固定した。なお、マスクの固定は、冶具を用いて行った。
付活剤の形成材料として臭化ユーロピウムを、蛍光体の形成材料として臭化セシウムをそれぞれ用いる二元の真空蒸着によって、基板12の表面にCsBr:Euからなる蛍光体層14を形成した。
両膜形成材料共に、加熱は、タンタル製のルツボと出力6kWのDC電源とを用いる抵抗加熱装置で行った。
真空蒸着装置(真空チャンバ)の基板ホルダに基板12をセットし、また、各所定位置に各膜形成材料をセットした後、真空チャンバを閉鎖し、排気を開始した。排気は、ディフュージョンポンプおよびクライオコイルを用いた。
真空度が8×10−4Paとなった時点で、真空チャンバ内にアルゴンガスを導入して真空度を0.5Paとし、次いで、DC電源を駆動して成膜材料を充填したルツボに通電し、基板12の表面に抵抗加熱による蛍光体層14の成膜を行った。
なお、蛍光体層14におけるEu/Csのモル濃度比が0.003:1、かつ、成膜速度が8μm/mmとなるように、両ルツボのDC電源の出力を調整した。
また、膜形成中は、ハロゲンランプを用いて基板12表面を直接加熱した。
蛍光体層14の膜厚が約710μmとなった時点で、膜形成を終了し、真空チャンバから基板12を取り出した。なお、膜厚は、予め行った実験により制御した。
また、蛍光体層14は、基板12表面に約430mm×430mmの大きさに成膜された。
次いで、膜形成を終了した基板12に、窒素雰囲気下で、温度140℃で4時間の熱処理を行った。
蛍光体層14を形成した後、蛍光体層14と枠20とに囲まれる領域に、充填材30(有機変性シリコーンレンジSCR‐1012A/B:信越化学工業(株)製)を塗布し、100℃条件下で1時間、次いで、180℃条件下で2時間加熱硬化させた後、防湿保護層18を接着する際に、蛍光体層114、充填材30、および枠20の表面が面一になるように、充填材30表面を研削加工した。
他方、6μm厚みのPETフィルム上に、スパッタリング法を用いて、SiO膜をl00nm形成し、その上に、PVAとSiOとの比率が1:1となるように、ゾル・ゲル法を用いてPVAとSiOとのハイブリット層を600nm形成し、ハイブリット層上に、スパッタリング法を用いてSiO膜を100nm形成し、防湿保護層18とした。次に、前記防湿保護層18(SiO層表面)の全面に、ポリエステル系樹脂(東洋防:バイロン300)を塗布し、厚み1.2μmの接着層(図示せず)を形成した。
最後に、蛍光体層14を形成した基板12を100℃に予熱し、440mm×440mmサイズに裁断した防湿保護層18を、接着層側が蛍光体層14と対向するように、蛍光体層14に被せ、熱ラミネーションにより、防湿保護層18と、枠20の上面及び蛍光体層14の表面を封止接着して、図3に示す変換パネル40を得た。
[比較例1]
充填材30を設けなかった以外は、全て実施例1と同様にして、図4に示す変換パネル100を得た。
[比較例2]
充填材30を設けなかった以外は、全て実施例2と同様にして、変換パネルを得た。
得られた各種の変換パネルについて、後に述べるパネル表面のクリーニング、および、ヒートサイクルテストを行う前後で、画像ムラ、MTF低下、および、感度低下を調べた。
[蛍光体パネル表面のクリーニング]
エタノールを約1ml含浸させたワイピングクロスで、各種の変換パネル表面を万遍なく5分間クリーニングを行った。
[ヒートサイクルテスト]
各種の変換パネルを、1サイクル120分間とし、30℃ 80%RH環境下→50℃ 40%RH環境下→30℃ 80%RH環境下→10℃ 30%RH環境下→30℃ 80%RHの環境下の順で移動させ、これを1ヶ月連続して実施した。
[画像ムラの評価]
作製した(放射線像)変換パネルの全面に80kvp(10mR相当)のX線を照射した後、半導体レーザ光(波長:660nm)を、パネル面上の励起エネルギーが5J/mとなるように線状に照射して、パネル表面から放出された輝尽発光光をラインスキャナ(多数のCCDが線状に配置されたラインセンサ)で受光し、読み取った画像を可視像として出力し、目視により画質を評価した。
評価は、パネル表面のクリーニング、および、ヒートサイクルテストの前後において、目視で、画像にムラや欠陥の増加が見られない場合を「○」、画像に診断上問題となるムラや欠陥が増加した場合を「×」とした。結果を表1に示す。
[MTF]
作製した(放射線像)変換パネルの表面にMTF測定用のチャートを介して、半導体レーザ光(波長:660nm)を、パネル面上の励起エネルギーが5J/mとなるように線状に照射して、パネル表面から放出された輝尽発光光をラインスキャナ(多数のCCDが線状に配置されたラインセンサ)で受光し、得られた画像データからMTF(1サイクル/mm)を算出した。
MTFの評価は、パネル表面のクリーニング、および、ヒートサイクルテスト前に対して、テスト後の変換パネルのMTFの低下を百分率で示した。結果を表1に併記する。
[PSL感度]
作製した(放射線像)変換パネルの全面に80kvp(10mR相当)のX線を照射した後、半導体レーザ光(波長:660nm)を、パネル面上の励起エネルギーが5J/mとなるように線状に照射して、パネル表面から放出された輝尽発光光をラインスキャナ(多数のCCDが線状に配置されたラインセンサ)で受光し、得られた画像データからPSL感度を算出した。
PSLの評価は、パネル表面のクリーニング、および、ヒートサイクルテスト前に対して、テスト後の変換パネルのPSLの低下を百分率で示した。結果を表1に併記する。
各実施例および比較例に対する画像ムラ、MTF評価(鮮鋭度評価)、PSL評価(感度評価)の結果を表1に示す。
Figure 2007298464
表1の結果より、充填材を充填された、すなわち、中空部分を有さない実施例1および2は、比較例1および比較例2と比較して、変換パネル表面のクリーニングおよびヒートサイクルを実施した後も、画像ムラを生じること、鮮鋭度が低下すること、さらに、感度が低下することもなく、長期にわたって、高性能を維持することができることがわかった。
本発明の放射線像変換パネルの一実施形態の構成概略図である。 本発明の放射線像変換パネルの別の一実施形態の構成概略図である。 本発明の放射線像変換パネルの別の一実施形態の構成概略図である。 従来の放射線像変換パネルの別の一実施形態の構成概略図である。
符号の説明
10,40,100,110 放射線像変換パネル
12,112 基板
14,114 輝尽性蛍光体層
18,118 防湿保護層
20,120 枠
30 充填材
A 中空部分

Claims (7)

  1. 基板と、
    蛍光体層と、前記蛍光体層を全面的に覆って封止する防湿保護層とを有し、
    かつ、前記蛍光体層と前記防湿保護層との間に生じた空隙が、前記蛍光体層に浸透しない充填材で充填されてなることを特徴とする放射線像変換パネル。
  2. 前記蛍光体層は、気相堆積法によって形成される請求項1に記載の放射線像変換パネル。
  3. 前記蛍光体は、輝尽性蛍光体である請求項1に記載の放射線像変換パネル。
  4. 前記充填材が、輝尽励起光及び輝尽発光光を50%以上透過する透明なものである請求項3に記載の放射線像変換パネル。
  5. 前記充填材が、硬化性物質である請求項1〜4のいずれかに記載の放射線像変換パネル。
  6. 前記蛍光体層が、一般式「CsX:Eu2+ で示される輝尽性蛍光体で形成される請求項3〜5のいずれかに記載の放射線像変換パネル。
    (式中、X=Cl,Br,Iである。)
  7. 基板の表面に、蛍光体層を形成した後、前記蛍光体層を防湿保護層で覆った際に生じる空隙となる領域に、前記蛍光体層に浸透しない充填材を充填し、その後、前記蛍光体層を防湿保護層で全面的に覆って封止することを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法。
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