JP2007298161A - ベント装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軸受箱の通気孔5cを塞ぐとともに、周縁部13aの外側面13a1に対して軸受箱5の内側方向に凹む内凹部13bを有する内蓋13と、内蓋13の外側面側に配置され、周縁部14aの内側面14a1に対して軸受箱5の外側方向に凹む外凹部14bを有する外蓋14と、両蓋13,14の周縁部13a,14aによって挟持され、両蓋間に配置されたポリテトラフルオロエチレン多孔膜からなるフィルタ部材15とを備える。このフィルタ部材15は、両凹部13b,14bによって囲まれる内部空間Kを、内側空間K1と外側空間K2とに仕切る。さらに、内蓋13には、内側空間K1と軸受箱5内部とを連通する内孔13cが形成され、外蓋14には、外側空間K2と軸受箱5外部とを連通する外孔14cが形成さる。
【選択図】図2
Description
このため、従来の熱間処理設備用の軸受装置は、軸受箱の内部を加圧装置等で加圧することで内部圧力が負圧にならないように圧力変化を緩衝し、水分やスケール等の異物が軸受箱内部に侵入するのを防止するといった方策が採られていた(例えば、特許文献1参照)。
また、より簡易的な方法として、例えば、軸受箱に内外を連通する通気孔を設けることで、軸受箱の内部圧力を緩衝し、内部が負圧になることを防止することもなされていた。しかし、このような通気孔においては、当該通気孔を介して水分や異物の侵入やグリースの漏洩等が生じ易くなるという問題を有していた。そこで、当該通気孔自体の開口幅を狭めるといった対策が採られていたが、このような方法では、通気孔からの異物の侵入やグリースの漏洩を有効に防ぐことが出来なかった。このため、通気孔からの水分や異物の侵入やグリースの漏洩をより効果的に防止することができる方策が嘱望されていた。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、通気孔からの水分や異物の侵入やグリースの漏洩を効果的に防止しつつ、軸受箱の内部が負圧となることを防止することができるベント装置を提供することを目的とする。
一方、軸受箱内部が正圧の場合、軸受箱内部が負圧である場合と同様、フィルタ部材によって、軸受箱内部のグリース等が外部に漏れるのを防ぎつつ、空気のみを軸受箱外部に放出することができる。
以上のように、本発明のベント装置によれば、軸受箱内部が負圧もしくは正圧になったとしても、空気のみを導入、放出することができる。これによって、軸受箱内部の圧力変化を緩衝し内部が負圧となることを防止することができる。また同時に、通気孔から軸受箱の内部に水分や異物が侵入したり、軸受箱の外部へグリースが漏洩したりするのを効果的に防止できる。
また、上記膜部材を構成するポリテトラフルオロエチレン多孔膜は、非常に厚みの薄い膜であるため破損し易いが、本発明においてフィルタ部材は、外蓋及び内蓋によって形成される内部空間内に配置されているので、これら両蓋によって外部からの異物等に対して当該フィルタ部材を保護し破損等が生じるのを防止できる。
この場合、遮蔽部材はスリットによって、軸受箱内外の空気の通過を妨げない。その一方、粘度の高いグリースは、スリットを通過し難いので、内部空間に位置するフィルタ部材にグリースが付着するのを防止できる。その結果、フィルタ部材自身の早期劣化が防止できるとともにグリースが軸受箱外部へ漏洩することをより効果的に防止することができる。
このガイドローラ用軸受装置1は、ガイドローラRを支持するためのものであり、ガイドローラRの軸部R1に外嵌された内輪2と、内輪2の径方向外側に配置された外輪3と、内輪2と外輪3との間に転動自在に介在する複数の円筒ころ4と、外輪3に外嵌した調心輪3aとを有する転がり軸受部J、及び、調心輪3aが内嵌されて転がり軸受部Jを保持するハウジング5a2が形成された軸受箱5を有している。
また、貫通孔5a1の他端部と軸部R1の外周面との間には、これら両者の間を密封するシール部材6が取り付けられている。
また、軸受箱本体5aには、転がり軸受部Jを潤滑するためのグリースを軸受箱5内部に供給する供給路7、及びグリースを排出する排出路8が形成されており、グリースが軸受箱5の内部に循環供給される。
外枠部材11は、鋼板等をプレス加工等によって形成されており、大径部5c1に内嵌された筒部11aと、この筒部11aから軸受箱5の内側方向側の端部に内径側に延びる折曲部11bが形成されている。
図3(a)は、ベント装置10を図2中の矢印Aから見た側面図である。図2、図3を参照して、薄肉部12bには、水平方向に延びるとともに、内外を連通するスリット12b1が形成されている。
内蓋13は、その外径が筒部11aの内周径に対して僅かに小さく設定されており、円環状の周縁部13aと、この周縁部13aの外側面13a1に対して内側方向に凹む内凹部13bとが形成されている。この内凹部13bは、周縁部13aの内側面13a2に対しては突出しており、内凹部13bの内側面13b1と、遮蔽部材12の薄肉部12bの外側面12b2とが当接している。また、同時に周縁部13aの内側面13a2と、厚肉部12aの外側面12a1とが当接している。すなわち、内蓋13は、遮蔽部材12の外側面の形状に沿うように形成されて遮蔽部材12に当接配置されている。
また、外蓋14の周縁部14aの端部には、外側方向に延びる筒部14dが形成されている。この筒部14dの外径は、当該外蓋14を外枠部材11の筒部11aに挿入し易いように、筒部11aの内周径より僅かに小さく形成されている。また、この筒部14dの先端は、筒部11aの外側方向先端に形成された、かしめ部11dと当接している。このかしめ部11dは、外蓋14を内側方向へ押さえ込むように形成されており、遮蔽部材12に当接している内蓋13、外蓋14、及び後述するフィルタ部材15を、かしめ部材11dと遮蔽部材12との間で挟み込み、これらを一体に固定している。
一方、軸受箱5内部が正圧の場合、軸受箱5内部が負圧である場合と同様、フィルタ部材15によって、軸受箱5内部のグリース等が外部に漏れるのを防ぎつつ、空気のみを軸受箱5外部に放出することができる。
またさらに、両孔13c,14cを通過してグリースや異物等が両蓋13,14の内部空間Kに侵入した場合、侵入したグリースや異物は、内側空間K1及び外側空間K2の下方に溜まるが、両孔13c,14cの高さまで溜まればそこから内部空間Kの外側に排出される。従って、両孔13c,14cとフィルタ部材15とが、グリースや異物によって完全に覆われてしまうのを防ぐことができ、空気の導入、放出を長期に亘って維持できる。
この遮蔽部材12はスリット12b1によって、軸受箱内外の空気の通過を妨げない。その一方、粘度の高いグリースは、スリット12b1を通過し難いので、内部空間Kに位置するフィルタ部材15にグリースが付着するのを防止できる。その結果、フィルタ部材15自身の早期劣化が防止できるとともにグリースが軸受箱5外部へ漏洩することをより効果的に防止することができる。
また、薄肉部12bのスリット12b1は、遮蔽部材12を別体として形成した後に、形成されている。
また、本実施形態では、遮蔽部材12を別体として形成するので、他の部材に加硫成型する場合と比較して、その形成加工が容易となる。他の部材に加硫成型する場合には、他の部材に対する前処理を必要としたり、成型工程自体が複雑となる。このため、本実施形態のように、遮蔽部材12を別体として形成することで、その工数を削減できるとともに形成加工が容易にできる。さらに、加硫成型時に不要な部分にゴムが接着することによって生じる不良品の発生を防止することもできる。
また、上記実施形態では、ベント装置10は、通気孔5cの大径部5c1に内嵌することで、軸受箱5に取り付けたが、例えば、外枠部材11にフランジ等を設けて、軸受箱の通気孔を覆いつつ軸受箱5の外側面もしくは内側面に固定できるようにしてもよい。
また上記実施形態では、連続鋳造設備のガイドローラ用軸受装置に適用した場合を例示したが、これに限定されるものではなく、転がり軸受等が収容される軸受箱を有する軸受装置であれば、本発明のベント装置を適用することができる。
両ケーシング21,22の内部には、環状の空間である油槽24,25がそれぞれ形成されており、この油槽24,25には、グリースが封入されている。また、両ケーシング21,22の間には、筒状部材26と、両ケーシング21,22とが互いに対向するそれぞれの両側面とで囲まれた環状空間27が形成されており、この環状空間27には、軸部材23に達する高さ程度まで、スケールSが投入されている。また、筒状部材26には、環状空間27に蒸気を導入するための蒸気配管26aが接続されている。
本試験装置20は、軸部材23を回転させることで軸受箱の使用環境を擬似的に再現しつつベント装置10が取り付けられたケーシング21の油槽24の内部圧力を測定することによって、実際の使用環境下におけるベント装置10の圧力(負圧)の緩衝効果を評価することができるように構成されている。
なお、ケーシング22においては、油槽25内部の圧力を測定しつつ正圧もしくは負圧に設定可能な圧力調整機構(図示せず)が接続された配管22aのみを設け、ケーシング21と同条件で実験を行った際に、油槽25の圧力を測定することで、ベント装置10が無い場合における油槽内部の圧力値が把握できるようにされている。
図中、線31は、油槽25内の圧力変化を示している。油槽25には、ベント装置は取り付けられていないので、設定された圧力(約−6kPa)をほぼ維持しており、顕著な経時変化がないことが判る。
また、各時点において、ベント装置10を目視観察した結果、グリースの漏洩が生じていないことが確認できた。また、同時に油槽24,25の内部をファイバースコープで観察し確認した結果、内部に水分が侵入していないことも確認できた。
5c 通気孔
10 ベント装置
11 外枠部材(挟持部材)
12 遮蔽部材
12b1 スリット
13 内蓋
13a 周縁部
13a1 外側面
13b 内凹部
13c 内孔
14 外蓋
14a 周縁部
14a1 内側面
14b 外凹部
14c 外孔
15 フィルタ部材
J 転がり軸受部
K 内部空間
K1 内側空間
K2 外側空間
Claims (3)
- 内部に転がり軸受が収容された軸受箱の内外を連通する通気孔に設けられるベント装置であって、
周縁部の前記軸受箱の外側に向く外側面に対して前記軸受箱の内側方向に凹む内凹部を有し、前記軸受箱の通気孔を塞ぐ内蓋と、
前記内蓋の外側面側に配置されるとともに、周縁部の前記軸受箱の内側に向く内側面に対して前記軸受箱の外側方向に凹む外凹部を有する外蓋と、
前記両蓋の周縁部によって挟持された状態で前記両蓋間に配置され、空気の通過を許容し油水分の通過を規制するポリテトラフルオロエチレン多孔膜からなるフィルタ部材と、を備え、
前記フィルタ部材は、前記両凹部によって囲まれる内部空間を、前記内凹部と当該フィルタ部材とで囲まれる内側空間と、前記外凹部と当該フィルタ部材とで囲まれる外側空間と、に仕切り、
前記内蓋には、前記内側空間と前記軸受箱内部とを連通する内孔が形成されるとともに、前記外蓋には、前記外側空間と前記軸受箱外部とを連通する外孔が形成されていることを特徴とするベント装置。 - 前記内蓋の内側面側に配置されて前記内蓋の内孔を覆うとともに、前記内側空間と前記軸受箱内部との通気を確保するスリットが形成された弾性体からなる遮蔽部材をさらに備えている請求項1に記載のベント装置。
- 前記遮蔽部材を前記内蓋との間で挟持する挟持部材をさらに有し、
前記遮蔽部材が、前記内蓋及び前記挟持部材と別体である請求項2に記載のベント装置。
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