JP2009236549A - リーク検査方法およびリーク検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 大気圧より高いテスト圧力の下で漏れ検査を行う際に発生する圧縮熱の影響を低減することにより、精度が高く、短時間で、簡単な装置により漏れ検査が行えるリーク検査方法およびリーク検査装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 大気圧より高い圧力で圧力室31の漏れを測定するリーク検査方法であって、圧力室31に大気より高い圧力の気体を圧力源2から供給し、供給した気体により圧力室31で発生する圧縮熱を、圧力室31に配備したファン32で気体を循環させ放熱して圧力室31の気体の温度を降下させる加圧工程S2と、圧力室31を圧力源2から遮断し、温度が降下した気体の温度を平衡させる平衡工程S3と、温度が平衡した気体の圧力を基準圧力と比較し、圧力室31の漏れを検査する検出工程S4と、を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 大気圧より高い圧力で圧力室31の漏れを測定するリーク検査方法であって、圧力室31に大気より高い圧力の気体を圧力源2から供給し、供給した気体により圧力室31で発生する圧縮熱を、圧力室31に配備したファン32で気体を循環させ放熱して圧力室31の気体の温度を降下させる加圧工程S2と、圧力室31を圧力源2から遮断し、温度が降下した気体の温度を平衡させる平衡工程S3と、温度が平衡した気体の圧力を基準圧力と比較し、圧力室31の漏れを検査する検出工程S4と、を備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、被検査物の漏れを検査するリーク検査方法およびリーク検査装置に関する。
従来技術のリーク検査方法として、被測定物と被測定物とは独立した密閉空間とに加圧気体を導入し、被測定物と被測定物とは独立した密閉空間との差圧を測定することによって被測定物からの圧力洩れ量を算出する圧力洩れ測定方法であって、被測定物からの圧力洩れがない場合の被測定物内の圧力の経時変化を求めてマスタデータとして記憶する工程と、測定データをマスタデータと比較することによって被測定物からの圧力洩れ量を算出する工程、とを有する圧力洩れ測定方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、検査対象内部に正圧のテスト圧力を付与して、その後の検査対象内部の圧力変動から検査対象の密閉性の良否を判断するリークテスト方法において、初めに正圧源と検査対象とを接続してテスト圧力よりも大きい初期圧力を検査対象内部に付与し、次にこの検査対象を正圧源から遮断し、検査対象内部の圧力を検査対象の外に逃がして検査対象内部をテスト圧力まで減圧することにより検査対象内部の温度を外気温にほぼ一致させ、そして、この後の検査対象内部の圧力変動から検査対象の密閉性の良否を判断するようにしたリークテスト方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、被検室を有する検査対象のためのリークテスト方法において、感温室を有する良熱伝導性の感温部材を用意し、感温部材を検査対象の被検室に配置し、感温室と被検室にそれぞれ加圧気体を導入し、これら室を互いに遮断された閉鎖系とした後、被検室の圧力変化を測定すると共に、感温室の圧力変化を測定することにより実質的に被検室の温度データを得、被検室の圧力変化と温度変化のデータに基づいて漏れ判定を行うリークテスト方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開平9−33381号公報
特開平4−19431号公報
特開2007−64737号公報
しかしながら、特許文献1によれば、過去に測定した洩れ検査の基準となるマスタデータと、測定環境の変化に起因する圧力変化分を加味し、その圧力変化分を被測定物の差圧測定データから補正値として差引き、圧力が変化している過渡状態から漏れ検査を開始する。この洩れ検査方法は、常に同一環境で測定を行う前提条件の下で成り立つことで、検査時間が短縮する。しかし、例えば、外気とワーク間の熱伝達の環境が変化すると大きな誤差を生じ、誤判定を起こす問題がある。また、測定環境変化の各パラメータ値の抽出、判断処理と、測定環境の変化に起因する圧力変化分の演算処理の演算回路が必要となり洩れ検査装置が複雑になる問題もある。
また、特許文献2によれば、検査対象内部の加圧時に発生する圧縮熱の影響を抑制するため、リークテストを行うテスト圧力より大きい初期圧力を検査対象内部に付与し、一定時間経過後にテスト圧力に減圧する。即ち、高い圧力時、内部空気の熱を検査対象へ伝達し、検査対象から外気に放熱させると共に、高い圧力から減圧して内部空気の温度を低下させ、短時間で圧力を安定させる。結果、検査時間が短縮する。しかし、内部空気の温度変化はワークの温度に大きく依存するため、内部空気の温度バラツキが増大し、リークテストの精度が悪化する問題がある。
また、特許文献3によれば、検査対象の被検室に被検室と遮断された感温室を設け、感温室の圧力を測定することにより被検室の温度変化が圧力換算で求まり、温度変化を考慮した洩れ検査が出来る。しかし、感温室の加圧気体の導入回路および排出回路と、検査のガス回路とが必要となり、リークテスト装置が複雑になる問題がある。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、大気圧より高いテスト圧力の下で漏れ検査を行う際に発生する圧縮熱の影響を低減することにより、精度が高く、短時間で、簡単な装置により漏れ検査が行えるリーク検査方法およびリーク検査装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、大気圧より高い圧力で圧力室の漏れを測定するリーク検査方法であって、圧力室に大気より高い圧力の気体を圧力源から供給し、供給した気体により圧力室で発生する圧縮熱を、圧力室に配備した循環手段で気体を循環させ放熱して圧力室の気体の温度を降下させる加圧工程と、圧力室を圧力源から遮断し、温度が降下した気体の温度を平衡させる平衡工程と、温度が平衡した気体の圧力を基準圧力と比較し、圧力室の漏れを検査する検出工程と、を備える。
また、請求項2に記載の発明は、リーク検査方法は、基準圧力となるマスタ室を有するマスタワークと、マスタ室と圧力室との差圧を測定する圧力比較手段とを配備し、マスタ室は、加圧工程と、平衡工程と、検出工程と、が実施される。
また、請求項3に記載の発明は、マスタ室の容積は、圧力室の容積より小さい。
また、請求項4に記載の発明は、循環手段は、加圧工程終了前後の加圧時間の2分の1の時間の範囲内で作動を停止する。
また、請求項5に記載の発明は、循環手段は、圧力室の中央に配置する。
また、請求項6に記載の発明は、圧力室は、圧力室の気体が循環手段により循環流を形成させるガイドを配備する。
また、請求項7に記載の発明は、循環手段は、複数個配備される。
また、請求項8に記載の発明は、大気圧より高い圧力で圧力室の漏れを測定するリーク検査装置であって、圧力室に大気圧より高い圧力の気体を圧力源から供給し、圧力室を圧力源から遮断し、供給した気体の温度を平衡させ、温度が平衡した気体の圧力を基準圧力と比較し圧力室の漏れを検査し、漏れ検査をした気体を圧力室から排出するリークテスト手段と、供給された気体により圧力室で発生する圧縮熱を、圧力室の気体を循環させ放熱せる循環手段と、を備える。
また、請求項9に記載の発明は、リーク検査装置は、基準圧力となるマスタ室を有するマスタワークと、マスタ室と圧力室との差圧を測定する圧力比較手段とを配備し、リークテスト手段により、マスタ室に圧力源から気体を供給し、気体が供給されたマスタ室を圧力源から遮断し、マスタ室の気体の圧力と圧力室の温度が平衡した気体の圧力との差圧を圧力比較手段で測定する。
また、請求項10に記載の発明は、マスタ室の容積は、圧力室の容積より小さい。
また、請求項11に記載の発明は、循環手段は、圧力室を圧力源から遮断する前後の加圧時間の2分の1の時間の範囲内で作動を停止する。
また、請求項12に記載の発明は、循環手段は、圧力室の中央に配置する。
また、請求項13に記載の発明は、圧力室は、圧力室の気体が循環手段により循環流を形成させるガイドを配備する。
また、請求項14に記載の発明は、循環手段は、複数個配備される。
請求項1に記載の発明では、圧力室に大気より高い圧力の気体を圧力源から供給し、供給した気体により圧力室で発生する圧縮熱を、圧力室に配備した循環手段で気体を循環させ放熱して圧力室の気体の温度を降下させる加圧工程を備えている。圧力室を加圧する加圧工程において、圧力源からの供給気体で、加圧前に残存していた空気は、気体が供給されるポートより遠い奥部に押込まれ圧縮され、圧縮熱で高い温度に昇温する。昇温した空気は、循環手段により供給気体の中に混入し気体と一体となって圧力室の内面の全体に亘り均一に循環する。気体を循環することにより、気体と圧力室の内面間の熱伝達率と、伝熱面積は、循環手段のない従来技術に比べ増大し、圧力室の壁を介在して大気側に伝達される圧縮熱が増大する。これにより、圧縮熱の影響は大幅に低減される。結果、加圧工程において、気体の昇温温度は循環手段がない場合に比べ低減され、気体温度は、短時間で大気温度に近い所定の温度になるので、加圧時間を短くできる。
また、循環手段のない従来技術の場合、供給気体による残存空気の圧縮は略断熱圧縮であるが、循環手段のある本発明は、放熱量が増大するのでポリトロープ圧縮となる。結果、加圧工程における気体の最高温度は、循環手段がない場合に比べ低くなる。結果、気体温度は短い加圧時間で大気温度に近い所定の温度になる。
以上により、供給気体の圧縮に起因する圧縮熱の影響を低減することにより、短時間で漏れ検査が行えるリーク検査方法を提供できる。
また、平衡工程では、検出工程での循環手段に起因する圧力変動を抑制するため、循環手段は、全ての平衡工程の時間(以下、平衡時間)、または、ほとんどの平衡時間(平衡開始直後の僅かな時間を除く平衡時間)、作動を停止する。
循環手段がない場合、気体温度も高いため気体温度が平衡になるには長時間を要する。
しかし本発明は、循環手段により圧力室が加圧され加圧工程が短時間で、すでに気体温度は大気温度に近い所定の温度に降下している。従って、気体温度を平衡させる平衡工程では、圧縮熱を僅かに放熱すれば良く、循環手段がない場合と比べて短い時間で気体温度が平衡になる。
従来技術では、圧縮熱抑制のため、高い初期圧力を検査対象に付与し、テスト圧に減圧しているが、減圧により気体温度がバラツキ、漏れ検査の精度が低下する。しかし、本発明では、漏れ検査が行われる検出工程開始時点で、気体温度が平衡状態に至っているので、従来技術と比べて精度の高いリーク検査ができる。
また、圧力室の容積より小さな容積のマスタ室を漏れ検査回路に備えてマスタ室の圧力を漏れ検査の基準圧力とすることで、漏れ検査が行われる検出工程において、マスタ室の気体と圧力室の気体は同じ周囲環境下で存在する。即ち、マスタ室と、圧力室には、同じ周囲環境の下、同じ時刻で、同じ圧力の気体を同じ方法で供給できる。また、マスタ室の容積は圧力室の容積より小さくすることで、マスタ室は、供給気体による圧縮熱の影響が少なくなり、圧力室に比べ短い時間で気体温度は平衡する。そしてマスタ室の気体は、圧力室の気体と同じように検査時において、周囲の環境を全て含んでいるので、マスタ室の圧力を基準にすることで、過去に測定したデータを基準とする従来技術に比べ精度の高い漏れ検査ができる。
また、同じ理由で、周囲の環境変化を考慮して、検査時の環境パラメータ値を抽出し、そのパラメータ値から測定された差圧値を補正する従来技術に比べ、漏れ量算出の演算およびリーク検査装置が簡単になる。
以上により、大気圧より高いテスト圧力の下で漏れ検査を行う際に発生する圧縮熱の影響を低減することにより、精度が高く、短時間で、簡単な装置により漏れ検査が行えるリーク検査方法を提供できる。
また、請求項2に記載の発明では、リーク検査方法は、漏れ検査の基準圧力になるマスタ室を有するマスタワークを配備し、気体の圧力とマスタ室の圧力を圧力比較手段で比較し、圧力室の漏れを検査する。マスタ室は、圧力室と同じように、同じ周囲環境の下、同じ漏れ検査回路で、同じ時刻に、同じ工程で一連の操作がなされる。そして、マスタ室の容積を圧力室の容積より小さくすることで、マスタ室は、供給気体による圧縮熱の影響が少なくなり、マスタ室の気体温度は圧力室に比べ短い時間で平衡する。そして検出工程においてマスタ室の圧力を基準にし、差圧計などの圧力比較手段で圧力室とマスタ室の差圧を測定し、差圧の測定値から圧力室の漏れ量を算出する。従って、基準圧力は漏れ検査実施時のデータ値であるので、過去に測定したデータを基準とする従来技術に比べ、漏れ検査の精度は高く、漏れ検査に要する時間も短くなる。
また、同じ理由で、周囲の環境変化を考慮して、検査時の環境パラメータ値を抽出し、そのパラメータ値から測定された差圧値を補正する従来技術に比べ、本発明は漏れ量算出の演算は簡単になり、また簡単な装置により漏れ検査が行える。
以上により、精度が高く、短時間で、簡単な装置により漏れ検査が行えるリーク検査方法を提供できる。
また、請求項3に記載の発明では、マスタワークのマスタ室の容積は、圧力室の容積より小さいので、供給気体による圧縮熱の影響は少なく、マスタ室は圧力室に比べ短い時間で気体の温度は平衡する。また、漏れ検査の基準圧力となるマスタ室の気体は、漏れ検査が行われる圧力室の気体と、同じ周囲環境下にある。結果、精度が高く、短時間で、簡単な装置により漏れ検査が行えるリーク検査方法を提供できる。
また、請求項4に記載の発明では、循環手段は、加圧工程終了前後の加圧時間の2分の1の時間の範囲内で作動を停止する。この場合、循環手段を加圧工程終了の手前、加圧時間の2分の1の時間の範囲内で停止しても、圧力室の気体温度は、所定の大気温度に近い温度まで下っている。また、循環手段を停止してから平衡工程の時間経過後に漏れ検査が行われるので、検出工程開始では気体の流れに起因する圧力の乱れは既にない。循環手段を加圧工程終了後、加圧時間の2分の1の時間の範囲内で停止しても、圧力室の気体の温度は、所定の大気温度に近い温度まで下っている。また、循環手段を停止してから平衡工程の時間経過後に漏れ検査が行われるので、検出工程開始時点では気体の流れに起因する圧力の乱れは既にない。結果、検出工程において、圧力室とマスタ室の差圧は、安定した圧力の下、安定して測定されるので、高精度の漏れ検査が行える。
また、漏れ検出工程は、循環手段を停止し、気体温度を平衡にする略平衡時間経過後に行われるので、循環手段の発熱の影響はない。
以上より、精度の高い漏れ検査が行えるリーク検査方法を提供できる。
また、請求項5に記載の発明では、循環手段を圧力室の中央に配置することで、循環手段によって圧送さる気体は、圧力室の内面に突当り、内面に沿って循環する循環流を形成し、圧力室の内面全体に亘り淀みなく、均一に循環する。また、気体温度も均一になる。結果、気体と圧力室の内面との間の熱伝達率と、伝熱面積とは、循環手段がない場合に比べ大幅に増大し、圧縮熱は短時間で大気に多量に放熱される。結果、気体温度は短い加圧時間で大気温度に近い所定の温度になるので、精度が高く、短時間で、漏れ検査が行えるリーク検査方法を提供できる。
また、請求項6に記載の発明では、圧力室にガイドを配備することにより、循環流の流速が増大し、気体と圧力室の内面との間の熱伝達率がさらに増大すると共に、気体は圧力室の内面全体に亘り淀みなく、均一に循環し、気体温度も均一になる。また、ガイドは、圧縮熱を吸熱する吸熱フィンを兼ね、伝熱面積もさらに増大する。結果、漏れ検査の所要時間が短縮されると共に漏れ検査精度が向上する。
また、請求項7に記載の発明では、循環手段を複数個配備することにより、循環流の流速が増大し、気体と圧力室の内面との間の熱伝達率がさらに増大する。また、気体は圧力室の内面全体に亘り均一に循環する。結果、漏れ検査の所要時間が短縮されると共に漏れ検査精度が向上する。
請求項8に記載の発明では、圧力室は、圧力室の気体を循環させる循環手段を備えている。圧力室を加圧する加圧工程において、圧力源からの供給気体で、加圧前に残存していた空気は、気体が供給されるポートより遠い奥部に押込まれ圧縮され、圧縮熱で高い温度に昇温する。昇温した空気は、循環手段により供給気体の中に混入し気体と一体となって圧力室の内面の全体に亘り均一に循環する。気体を循環することにより、気体と圧力室の内面間の熱伝達率と、伝熱面積は、循環手段のない従来技術に比べ増大し、圧力室の壁を介在して大気側に放熱される圧縮熱が増大する。これにより、圧縮熱の影響は大幅に低減される。結果、加圧工程において、気体の昇温温度は循環手段がない場合に比べ低減され、気体温度は、短時間で大気温度に近い所定の温度になるので、加圧時間を短くできる。
また、循環手段のない従来技術の場合、供給気体による残存空気の圧縮は略断熱圧縮に近いポリトロープ圧縮であるが、循環手段のある本発明は、放熱量が増大するのでより定温圧縮に近いポリトロープ圧縮となる。結果、加圧工程における気体の最高温度は、循環手段がない場合に比べ低くなる。結果、気体温度は短い加圧時間で大気温度に近い所定の温度になる。
以上により、供給気体の圧縮に起因する圧縮熱の影響を低減することにより、短時間で漏れ検査が行えるリーク検査装置を提供できる。
また、平衡工程では、検出工程での循環手段に起因する圧力変動を抑制するため、循環手段は、全ての平衡工程の時間(以下、平衡時間)、または、ほとんどの平衡時間(平衡開始直後の僅かな時間を除く平衡時間)、作動を停止する。従って、平衡工程での気体と圧力室の内面との間の熱交換は、熱伝導が主体に行われる。気体の熱伝導率は循環流の熱伝達率に比べ低いので、気体の温度が高いと、放熱しきれない圧縮熱はほとんど放熱されない。
循環手段がない場合、気体温度も高いため気体温度が平衡になるには長い時間を要する。
しかし本発明は、循環手段により圧力室が加圧され加圧工程の短時間で、すでに気体温度は大気温度に近い所定の温度に降下している。従って、気体温度を平衡させる平衡工程では、圧縮熱を僅か放熱すれば良く、循環手段がない場合と比べて短い時間で気体温度が平衡になる。
従来技術では、圧縮熱抑制のため、高い初期圧力を検査対象に付与し、テスト圧に減圧しているが、減圧により気体温度がバラツキ、漏れ検査の精度が低下する(文献3)。しかし、本発明では、漏れ検査が行われる検出工程開始時点で、気体温度が平衡状態に至っているので、従来技術と比べて精度の高いリーク検査ができる。
また、リーク検査装置は、圧力室の容積より小さな容積のマスタ室を漏れ検査回路に備えてマスタ室の圧力を漏れ検査の基準圧力とすることで、マスタ室の気体と圧力室の気体は同じ周囲環境下で存在する。即ち、マスタ室と、圧力室には、同じ周囲環境の下、同じ時刻で、同じ圧力の気体を同じ方法で供給できる。また、マスタ室の容積は圧力室の容積より小さすることで、マスタ室は、供給気体による圧縮熱の影響が少なくなり、圧力室に比べ短い時間で気体温度が平衡する。そしてマスタ室の気体は、圧力室の気体と同じように検査時に於いて、周囲の環境を全て含んでいるので、マスタ室の圧力を基準にすることで、過去に測定したデータを基準とする従来技術に比べ精度の高いリーク検査ができる。
また、同じ理由で、周囲の環境変化を考慮して、検査時の環境パラメータ値を抽出し、そのパラメータ値から測定された差圧値を補正する従来技術に比べ、漏れ量算出の演算およびリーク検査装置が簡単になる。
以上により、大気圧より高いテスト圧力の下で漏れ検査を行う際に発生する圧縮熱の影響を低減することにより、精度が高い、短時間で、簡単な装置により漏れ検査が行えるリーク検査装置を提供できる。
また、請求項9に記載の発明では、リーク検査装置は、マスタ室を有するマスタワークを配備し、マスタ室の圧力を漏れ検査の基準圧力にし、マスタ室の圧力と圧力室の圧力を差圧計などの圧力比較手段で比較し、圧力室の漏れを検査する。これによりマスタ室と、圧力室とは同じ周囲環境の下にある。そしてマスタ室と、圧力室とは、同じ漏れ検査回路で、同じ時刻に、同じ工程で一連の操作がなされる。また、マスタ室の容積を圧力室の容積より小さくすることで、マスタ室の気体による圧縮熱の影響は少なくなり、マスタ室の気体温度は圧力室の気体に比べ短い時間で平衡する。従って、基準圧力は漏れ検査実施時のデータ値であるので、過去に測定したデータを基準とする従来技術に比べ、漏れ検査の精度は高く、漏れ検査に要する時間も短くなる。
また、同じ理由で、周囲の環境変化を考慮して、検査時の環境パラメータ値を抽出し、そのパラメータ値から測定された差圧値を補正する従来技術に比べ、本発明は漏れ量算出の演算およびリーク検査装置が簡単になる。
以上により、精度が高い、短時間で、簡単な装置により漏れ検査が行えるリーク検査装置を提供できる。
また、請求項10に記載の発明では、マスタワークのマスタ室の容積は、圧力室の容積より小さいので、マスタ室は供給気体による圧縮熱の影響は少なく、圧力室に比べ短い時間で気体温度は平衡する。また、漏れ検査の基準圧力となるマスタ室の気体は、漏れ検査が行われる圧力室の気体と、同じ周囲環境下にある。結果、精度が高い、短時間で、簡単な装置により漏れ検査が行えるリーク検査装置を提供できる。
請求項11に記載の発明では、循環手段は、圧力室を圧力源から遮断する前後の加圧時間の2分の1の時間の範囲内で作動を停止する。この場合、圧力室を圧力源から遮断する手前、加圧時間の2分の1の時間の範囲内で循環手段を停止しても、循環手段の作用により圧力室の気体温度は、所定の大気温度に近い温度まで下るので、気体温度を平衡にする平衡時間内で気体の流れに起因する圧力の乱れはなくなる。
圧力室を圧力源から遮断後、加圧時間の2分の1の時間の範囲内で循環手段を停止しても、循環手段の作用により圧力室の気体温度は、所定の大気温度に近い温度まで既に下るので、気体温度を平衡にする平衡時間を長くすることなく平衡時間内で気体の流れに起因する圧力の乱れはなくなる。従って、漏れ検出行程は気体が平衡になってから行われるので、圧力室とマスタ室の差圧は、安定した圧力の下で、安定して測定できるので、高精度の漏れ検査が行える。
また、漏れ検出工程は、循環手段を停止し、気体温度を平衡にする略平衡時間経過後に行われるので、循環手段の発熱の影響はない。
以上より、精度の高い漏れ検査が行えるリーク検査装置を提供できる。
また、請求項12に記載の発明では、循環手段を圧力室の中央に配置することで、循環手段によって圧送さる気体は、圧力室の内面に突当り、内面に沿って循環する循環流を形成し、圧力室の内面全体に亘り淀みなく、均一に循環する。結果、気体と圧力室の内面との間の熱伝達率と、伝熱面積とは、循環手段がない場合に比べ大幅に増大し、圧縮熱は短時間で大気に多量に放熱される。結果、気体温度は短い加圧時間で大気温度に近い所定の温度になるので、精度が高く、短時間で、漏れ検査が行えるリーク検査装置を提供できる。
また、請求項13に記載の発明では、圧力室にガイドを配備することにより、循環流の流速が増大し、気体と圧力室の内面との間の熱伝達率がさらに増大すると共に、気体は圧力室の内面全体に亘り淀みなく、均一に循環する。また、ガイドは、圧縮熱を吸熱する吸熱フィンを兼ね、伝熱面積もさらに増大する。結果、漏れ検査の所要時間が短縮されると共に漏れ検査精度が向上する。
また、請求項14に記載の発明では、循環手段を複数個配備することにより、循環流の流速が増大し、気体と圧力室の内面との間の熱伝達率がさらに増大する。また、気体は圧力室の内面全体に亘り均一に循環する。結果、漏れ検査の所要時間が短縮されると共に漏れ検査精度が向上する。
以下に本発明の実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係わる漏れリーク検査装置およびその漏れ検査回路図である。
図2は、図1に示す検査対象の説明図で、図中(b)は(a)のMM断面を示めす。
図1に示すように、リーク検査装置1および漏れ検査回路1Aは、圧力源2と、リークテスタ10と、検査対象30と、マスタワーク20とを配管を介し、接続して構成される。
また、リークテスト手段1Bは、リークテスタ10と、マスタワーク20と、冶具33(図2)と、循環手段32とから構成される
圧力源2は、大気圧より高い圧力の空気あるいは窒素等の気体を供給する供給源である。
圧力源2は、大気圧より高い圧力の空気あるいは窒素等の気体を供給する供給源である。
検査対象30は、冶具33の上面に被検査物35(図2)が気密に取付けられ圧力室31が形成される。
マスタワーク20は、漏れ検査の基準になる圧力が保持されるマスタ室21を有し、マスタ室21の容積はマスタワーク20の容積に比べて小さい。また、配管17を流通する気体以外はマスタ室21からの流出は無い。
リークテスタ10は、バルブV1、V2、V3、V4と、差圧計22(圧力比較手段)と、配管11、12、13、14、15、16、17、18、19とから構成される。
バルブV1の一端は、配管11を介し圧力源2に接続され、他端は、順次、配管12、バルブV3、配管13を介在して検査対象30の圧力室31に接続する。
配管12の途中は、順次、配管14、配管15を介しバルブV2の一端と、バルブV4の一端とに連通する。バルブV2の他端は、配管16を介し大気に開放され、バルブV4の他端は配管17を介しマスタワーク20のマスタ室21に接続する。
差圧計22の両端は、配管18と、配管19を介在し、それぞれ配管13の途中と、配管17の途中に接続する。これにより差圧計22の各端部は、それぞれ圧力室31と、マスタ室21に連通する。
検査対象30の圧力室31には、圧力室31の気体を循環流にするするファン32(循環手段)が配備される。
図2(a)に示すように、検査対象30は、冶具33の上面に被検査物35がボルト(図示せず)で固定され、冶具33と被検査物35の間には圧力室31の気密を保持するシール部材(図示せず)が配備され構成される。また、被検査物35は、リークテスタ10の配管13が接続されるポート36が配備される。ここで、ポート36が、冶具33側に配備されていても良い。また矢印の線は、ファン32によって圧送さる気体が圧力室31の内面31aに突当り、内面31aに沿って循環する循環流Faを示す。
図3は、ガイドを配備した検査対象の説明図である。図中(b)は(a)のNN断面を示す。図3(a)、(b)に示すようにファン32が1台と、ガイド34が冶具33の上面に配備される。矢印の線は、ファン32によって圧送さる気体がガイド34と、内面31aに沿って循環する循環流Fbを示す。ガイド34は、圧送される気体を強制的にガイドに沿って循環させると共に、循環する気体を被検査物35の内面の全体に沿って均等に流れるようにする。
また、ガイド34は、圧縮熱を吸熱し大気に圧力室31の壁を介し、圧縮熱を放熱する機能を兼ねる。
尚、図2、図3ともファン1台であるが、好ましくは複数台配備すると良い。
図4は、図2に示すファン32からなる循環手段の他の実施形態である。図4に示すように、循環手段40は、ファン41と、ファン41を覆うケース42と、ダクト43、44とから構成される。ダクト43、44の一端は、冶具33に気密に接続され、圧力室31に連通する。又、冶具33にガイド37が配備され、ファン41によって圧送さる気体は、ガイド37により循環流Fcを形成する。
次に、本発明の実施形態の動作について説明する。
図5は、図1の漏れ検査回路に基づいて実施される漏れ検査のフロー図である。図5に示すようにリーク検査方法は、取付け工程S1と、加圧工程S2と、平衡工程S3と、検出工程S4と、排気工程S5と、取外し工程S6との6工程からなる。
図6は、図5に示す漏れ検査のフローのタイムチャートである。
図7は、加圧工程から検出工程間における圧力室の気体温度の時間経過を示す図である。図中、実線は、ファン32がある場合、点線はファン32がない場合の気体温度を示す。以下、図5、図6、図7に基づき漏れ検査の動作について述べる。
(取付け工程)
取付け工程S1は、被検査物35を冶具33に取付けて検査対象30を構成し、圧力室31を形成する。この時点において、バルブV2、V3、V4は共に開、V1は閉、そしてファン32は停止の状態である。次にファン32が運転される。取付け工程S1終了後、加圧工程S2に移行する。尚、ファン32は、加圧工程S2でバルブV2を閉じ、V1を開く時に、同時に運転しても良い。
取付け工程S1は、被検査物35を冶具33に取付けて検査対象30を構成し、圧力室31を形成する。この時点において、バルブV2、V3、V4は共に開、V1は閉、そしてファン32は停止の状態である。次にファン32が運転される。取付け工程S1終了後、加圧工程S2に移行する。尚、ファン32は、加圧工程S2でバルブV2を閉じ、V1を開く時に、同時に運転しても良い。
(加圧工程)
加圧工程S2は、形成された試験対象30の圧力室31と、マスタワーク20のマスタ室21にリークテスタ10で圧力源2の大気圧より高い圧力の空気あるいは窒素等の気体を充填する。そして供給された気体(以後、供給気体)は、ファン32により、圧力室31の気体を圧力室31内で循環する循環流を形成する。この循環流により供給気体で圧縮された残存空気(気体供給前の圧力室31の空気)の圧縮熱は大気に放熱され、昇温した気体の温度は略大気温度近くまで降下する。
加圧工程S2は、形成された試験対象30の圧力室31と、マスタワーク20のマスタ室21にリークテスタ10で圧力源2の大気圧より高い圧力の空気あるいは窒素等の気体を充填する。そして供給された気体(以後、供給気体)は、ファン32により、圧力室31の気体を圧力室31内で循環する循環流を形成する。この循環流により供給気体で圧縮された残存空気(気体供給前の圧力室31の空気)の圧縮熱は大気に放熱され、昇温した気体の温度は略大気温度近くまで降下する。
即ち、バルブV2を閉じ、V1を開き、T1時間(図6)、所定の圧力になるまで圧力室31と、マスタ室21とに圧力源2から気体を供給する。圧力室31と、マスタ室21が所定の圧力になるとバルブV3と、V4を閉じる。ファン32は、加圧停止前後(バルブV3と、V4を閉じる前後)の加圧時間T1の略2分の1の時間の範囲内で停止する。本実施形態では、バルブV3と、V4を閉じる1秒前に停止している。
この工程では、供給気体により圧縮され昇温した圧力室31の加圧前の空気はファン32によって供給気体中に攪拌される。そして、空気が攪拌され混合された圧力室31の気体は、ファン32により圧力室31の内面に沿う循環流Fa(図2)を形成し、被検査物35および冶具33の壁を介し大気に圧縮熱を放熱する。この放熱により気体の温度は略大気温度近くまで降下する。
また、圧力室31の残存空気は、供給気体により圧縮され、圧縮熱でA1点(図7)まで昇温され、最高温度に達し、その後、時間の経過と共に降下する。一方、マスタ室21の気体の温度は、マスタ室21の容積が圧力室31容積より小さいので、マスタ室21の圧縮熱は少なく、マスタ室21の気体の温度上昇は微小である。
加圧工程S2が終了すると平衡工程S3に移行する。
(平衡工程)
平衡工程S3は、時間経過に対し略一定の温度になるよう温度を平衡させる。この工程では、圧力室31では気体の流れがないため、気体と圧力室31の内面との間の熱伝交換は、気体の熱伝導にが主体となり、加圧工程S2での強制熱伝達に比べ交換熱量は少ない。
平衡工程S3は、時間経過に対し略一定の温度になるよう温度を平衡させる。この工程では、圧力室31では気体の流れがないため、気体と圧力室31の内面との間の熱伝交換は、気体の熱伝導にが主体となり、加圧工程S2での強制熱伝達に比べ交換熱量は少ない。
即ち、バルブV3と、V4を閉じる。加圧工程S2終了後、平衡時間T2(図7)経過すると圧力室31の気体温度は略大気に近い温度で、且つ時間経過に対し略一定の温度に収まる。そして平衡工程S3が終了され、検出工程S4に移行する。
(検出工程)
検出工程S4は、バルブV1、V2、V3、V4は、平衡工程S3の状態が継続され、
平衡工程S3終了後、検出時間T3(図6)の間、差圧計22で圧力室31とマスタ室21の圧力差の時間経過を測定する。測定された差圧力変化から被検査物35の漏れ量を算出する。この算出値が所定の閾値以下であれば被検査物35は漏れが無いと判断され、閾値を超える場合は、漏れが有ると判断される。検出工程S4が終了すると、排気工程S5に移行する。
検出工程S4は、バルブV1、V2、V3、V4は、平衡工程S3の状態が継続され、
平衡工程S3終了後、検出時間T3(図6)の間、差圧計22で圧力室31とマスタ室21の圧力差の時間経過を測定する。測定された差圧力変化から被検査物35の漏れ量を算出する。この算出値が所定の閾値以下であれば被検査物35は漏れが無いと判断され、閾値を超える場合は、漏れが有ると判断される。検出工程S4が終了すると、排気工程S5に移行する。
(排気工程)
排気工程S5は、圧力室31と、マスタ室21に充填された気体を排気時間T4の間、大気に排気する。即ち、バルブV1を閉じ、バルブV2と、バルブV3と、バルブV4を開き、リークテスタ10を圧力源2から遮断し、圧力室31と、マスタ室21の気体を大気に排気する。排気工程S5が終了すると取外し工程S6に移行する。
排気工程S5は、圧力室31と、マスタ室21に充填された気体を排気時間T4の間、大気に排気する。即ち、バルブV1を閉じ、バルブV2と、バルブV3と、バルブV4を開き、リークテスタ10を圧力源2から遮断し、圧力室31と、マスタ室21の気体を大気に排気する。排気工程S5が終了すると取外し工程S6に移行する。
(取外し工程)
取外し工程S6は、被検査物35を冶具33から取外す。そして一連の漏れ検査が終了する。
取外し工程S6は、被検査物35を冶具33から取外す。そして一連の漏れ検査が終了する。
次に、本発明の実施形態の効果について説明する。
図8は、圧力室の気体および壁の温度分布を示す。図中、(a)はファンがない場合で、加圧工程S2の気体の最高温度、即ちA点(図7)の温度を示す。(b)はファンがない場合で、検出工程S4開始時のB点(図7)の温度を示す。(c)は、ファンがあるの場合で、検出工程S4開始時のC点の温度を示す。また、綾目の細かさが、温度の高低を示し、細かい綾目ほど温度が高く、荒い綾目ほど温度が低い。
図8(a)に示すようにファンがない場合、加圧工程S2において、加圧以前に存在していた空気は、供給気体によりポート36より遠い奥方向に押込まれ、奥部35bで温度が急激に高くなるが、圧力室中央辺りからポート36近傍にかけて温度は供給気体の温度に近い。
図8(b)、(c)に示すように、時間が経過すると圧力室31の気体温度は温度分布は略均一になる。ファン32がある場合の方が、ない場合より気体温度および圧力室31の壁温は低く。
また、図7に示すように、ファン32がある場合、気体の最高温度は、ファン32がない場合よりも低くなり(本実施形態では、略12℃)、最高温度に至る時間も短くなる。加圧工程終了時点では、ファン32がある場合、気体の温度は略大気温度になるが、ファンがない場合の気体温度はファン32がある場合の気体の略最高温度で、まだ高い温度である。
この現象は、ファン32により圧力室31の残存空気が供給気体に混入することと、残存空気が混入した気体が循環流を形成し熱伝達率と伝熱面積の増大により、圧力室31で発生した圧縮熱の放熱量が、ファン32がない場合に比べ増大し、気体温度が低くなることによる。従って、圧力室31において、ファン32を配備することにより、気体の温度上昇の原因である圧縮熱の影響が大幅に減少され、従来技術より短い加圧時間T1で気体の温度を大気温度に近い所定の温度にすることが出来る。結果、漏れ検査の所要時間が短くなる。
また、図2に示すように、ファン32を圧力室31の中央に配置することで、ファン32によって送風される気体は、圧力室31の内面31aに突当り内面31aに沿って循環する循環流Faを形成する。循環流Faにより気体は圧力室31の内面31a全体に淀みなく流れ、内面31a全体に亘り温度が均一になる。これにより、気体と内面31aとの間の熱伝達率、伝熱面積は、さらに増大し、加圧工程S2において、圧縮熱は短時間に多量に放熱される。結果、気体温度はさらに短い加圧時間T1で気体の温度を大気温度に近い所定の温度になる。
また、ファン32がない場合、供給気体による残存空気の圧縮は略断熱圧縮に近いポリトロープ圧縮であるが、ファン32がある場合は放熱量が増大により定熱圧縮に近いポリトロープ圧縮となるので、気体の最高温度は、ファン32がない場合に比べ低くなる。結果、気体温度は短い加圧時間T1で大気温度に近い所定の温度になる。
以上により、供給気体の圧縮に起因する圧縮熱の影響を低減することにより、加圧工程S2において大気温度に近い温度まで短時間に降下し、検出工程S4が開始できる時間、即ち漏れ検査開始までの所要時間((T1+T2)時間)は、ファン32がない場合に比べ短くなりる。本実施形態ではファンがない場合、(T1+T2)時間は略30秒掛かっていたが、ファン32がある場合は、略20秒以下になり、漏れ検査の所要時間は略30%以上低減される。
また、マスタ室21の容積は圧力室31の容積より小さなので、マスタ室21に発生する圧縮熱も少なく、供給気体による圧縮熱の温度上昇は微小であるので、圧力室31に比べ短い時間で気体温度は平衡する。そして検出工程S4における漏れ量の算出は、同じ周囲環境の下、同じ漏れ検査回路1Aで、同じ時刻に、マスタ室21と圧力室31との差圧の時間経過を測定し、この測定した差圧変化から漏れ量を算出する。結果、マスタ室21の気体は、検査時に於ける周囲の環境を全て含んでいるので、過去に測定したデータを基準とする従来技術に比べ精度の高い漏れ検査ができる。
また、同じ理由で、周囲の環境変化を考慮して、検査時の環境パラメータ値を抽出し、そのパラメータ値から測定された差圧値を補正する従来技術に比べ、漏れ量算出の演算およびリーク検査装置1が簡単になる。
また、平衡工程S3では、検出工程S4での圧力測定における微小な圧力変動を抑制するため、ファン32の運転を、全ての平衡工程S3の時間T2(以下、平衡時間T2)、または、ほとんどの平衡時間T2(平衡開始直後の僅かな時間を除く平衡時間)、停止する。従って、平衡工程S3での気体と圧力室31の内面31aとの間の熱交換は、熱伝導が主体に行われる。気体の熱伝導率は循環流Faの熱伝達率に比べ低いので、気体の温度が高いと、放熱しきれない圧縮熱はほとんど放熱されない。
ファン32がない場合は、まだ気体の温度が高く温度が平衡になっていないため、ファン32がある場合より△T時間(図7)後に、検出工程S4が開始される。
ファンがある場合、加圧工程S2において、短時間で、気体の温度が大気温度に近い所定の温度に降下する。従って、平衡工程S3では圧縮熱を僅か放熱すれば良く、短い時間で気体の温度が略平衡になる。
従来技術では、圧縮熱抑制のため、高い初期圧力を検査対象に付与し、テスト圧に減圧しているが、減圧により気体温度がバラツキ、漏れ検査の精度が低下する。しかし前述したように、本発明では、漏れ検査が行われる検出工程S4開始時点で、気体温度が平衡状態に至っているので、従来技術と比べて精度の高い漏れ検査ができる。
以上により、気圧より高いテスト圧力の下で漏れ検査を行う際に発生する圧縮熱の影響を低減することにより、精度が高く、短時間で、簡単な装置により漏れ検査が行えるリーク検査方法を提供できる。
また、大気圧より高いテスト圧力の下で漏れ検査を行う際に発生する圧縮熱の影響を低減することにより、精度が高く、短時間で、簡単な装置により漏れ検査が行えるリーク検査装置1を提供できる。
また、ファン32は、加圧工程S2終了前後の加圧時間の2分の1の時間の範囲内で作動を停止する。この場合、ファン32を加圧工程S2終了の手前、加圧時間の2分の1の時間の範囲内で停止しても、圧力室31の気体温度は、所定の大気温度に近い温度まで下っている。また、ファン32を停止してから平衡工程S3の時間経過後に漏れ検出が行われるので検出工程S4の開始時点では、気体の流れに起因する圧力の乱れはすでにない。結果、検出工程S4において、安定した圧力の下で、圧力室31とマスタ室21の差圧を安定して測定できるので、高精度の漏れ検査が行える。
ファン32を加圧工程終了後、加圧時間の2分の1の時間の範囲内で停止しても、圧力室31の気体の温度は、所定の大気温度に近い温度まで下っている。また、ファン32を停止してから平衡工程S3の時間経過後に漏れ検査が行われるので検出工程S4開始時点では、気体の流れに起因する圧力の乱れはすでにない。結果、検出工程S4開始時点で、安定した圧力の下で、圧力室31とマスタ室21の差圧を安定して測定できるので、高精度の漏れ検査が行える。
また、検出工程S4は、ファン32を停止し、気体温度を平衡にする平衡時間T2経過後に行われるので、ファン32の発熱の影響はない。
以上より、精度の高い漏れ検査が行えるリーク検査方法を提供できる。
また、精度の高い漏れ検査が行えるリーク検査装置1を提供できる。
また、圧力室31にガイド34を配備することにより、循環流Fb(図3)の流速が増大し、気体と圧力室31の内面31aとの間の熱伝達率が増大する。また圧力室31の内面31a全体に亘り均一に気体が循環する。また、ガイド34は、圧縮熱を吸熱する吸熱フィンを兼ね、伝熱面積もさらに増大する。結果、漏れ検査の所要時間の短縮されると共に漏れ検査精度が向上する。
また、ファン32を圧力室31に複数個配備することにより、循環流の流速がさらに増大し、気体と圧力室31の内面31aとの間の熱伝達率がさらに増大する。また、気体は圧力室の内面31a全体に亘り均一に循環する。結果、漏れ検査の所要時間が短縮されると共に漏れ検査の精度が向上する。
1 リーク検査装置
1B リークテスト手段
2 圧力源
20 マスタワーク
21 マスタ室
22 差圧計(圧力比較手段)
31 圧力室
32 ファン(循環手段)
34、37 ガイド
40 循環手段
S2 加圧工程
S3 平衡工程
S4 検出工程
1B リークテスト手段
2 圧力源
20 マスタワーク
21 マスタ室
22 差圧計(圧力比較手段)
31 圧力室
32 ファン(循環手段)
34、37 ガイド
40 循環手段
S2 加圧工程
S3 平衡工程
S4 検出工程
Claims (14)
- 大気圧より高い圧力で圧力室の漏れを測定するリーク検査方法であって、
前記圧力室に大気より高い圧力の気体を圧力源から供給し、供給した前記気体により前記圧力室で発生する圧縮熱を、前記圧力室に配備した循環手段で前記気体を循環させ放熱して前記圧力室の前記気体の温度を降下させる加圧工程と、
前記圧力室を前記圧力源から遮断し、温度が降下した前記気体の温度を平衡させる平衡工程と、
温度が平衡した前記気体の圧力を基準圧力と比較し、前記圧力室の漏れを検査する検出工程と、を備えることを特徴とするリーク検査方法。 - 前記リーク検査方法は、前記基準圧力となるマスタ室を有するマスタワークと、前記マスタ室と前記圧力室との差圧を測定する圧力比較手段とを配備し、
前記マスタ室は、前記加圧工程と、前記平衡工程と、前記検出工程と、が実施される、ことを特徴とする請求項1に記載のリーク検査法。 - 前記マスタ室の容積は、前記圧力室の容積より小さい、ことを特徴とする請求項1又は2のずれかに記載のリーク検査方法。
- 前記循環手段は、前記加圧工程終了前後の加圧時間の2分の1の時間の範囲内で作動を停止する、ことを特徴とする請求項1乃至3の少なくともいずれか一項に記載のリーク検査方法。
- 前記循環手段は、前記圧力室の中央に配置する、ことを特徴とする請求項1乃至4の少なくともいずれか一項に記載のリーク検査方法。
- 前記圧力室は、前記圧力室の前記気体が前記循環手段により循環流を形成させるガイドを配備する、ことを特徴とする請求項1乃至5の少なくともいずれか一項に記載のリーク検査方法。
- 前記循環手段は、複数個配備される、ことを特徴とする請求項1乃至6の少なくともいずれか一項に記載の記載のリーク検査方法。
- 大気圧より高い圧力で圧力室の漏れを測定するリーク検査装置であって、
前記圧力室に大気圧より高い圧力の気体を圧力源から供給し、前記圧力室を前記圧力源から遮断し、供給した前記気体の温度を平衡させ、温度が平衡した前記気体の圧力を基準圧力と比較し前記圧力室の漏れを検査し、漏れ検査をした前記気体を前記圧力室から排出するリークテスト手段と、
供給された前記気体により前記圧力室で発生する圧縮熱を、前記圧力室の前記気体を循環させ放熱せる循環手段と、を備える、ことを特徴とするリーク検査装置。 - 前記リーク検査装置は、前記基準圧力となるマスタ室を有するマスタワークと、前記マスタ室と前記圧力室との差圧を測定する圧力比較手段とを配備し、
前記リークテスト手段により、前記マスタ室に前記圧力源から前記気体を供給し、前記気体が供給された前記マスタ室を前記圧力源から遮断し、前記マスタ室の前記気体の圧力と前記圧力室の前記温度が平衡した前記気体の圧力との差圧を前記圧力比較手段で測定する、ことを特徴とする請求項8に記載のリーク検査装置。 - 前記マスタ室の容積は、前記圧力室の容積より小さい、ことを特徴とする請求項8又は9のずれかに記載のリーク検査装置。
- 前記循環手段は、前記圧力室を前記圧力源から遮断する前後の加圧時間の2分の1の時間の範囲内で作動を停止する、ことを特徴とする請求項8乃至10の少なくともずれか一項に記載のリーク検査装置。
- 前記循環手段は、前記圧力室の中央に配置する、ことを特徴とする請求項8乃至11の少なくともいずれか一項に記載のリーク検査装置。
- 前記圧力室は、前記圧力室の前記気体が前記循環手段により循環流を形成させるガイドを配備する、ことを特徴とする請求項8乃至12の少なくともいずれか一項に記載のリーク検査装置。
- 前記循環手段は、複数個配備される、ことを特徴とする請求項8乃至13の少なくともいずれか一項に記載のリーク検査装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008080231A JP2009236549A (ja) | 2008-03-26 | 2008-03-26 | リーク検査方法およびリーク検査装置 |
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
CN102928173A (zh) * | 2011-08-08 | 2013-02-13 | 北京卫星环境工程研究所 | 现场校准正压标准漏孔的方法 |
CN104502036A (zh) * | 2014-09-18 | 2015-04-08 | 浙江万向精工有限公司 | Abs中低压测试装置及其测试方法 |
JP2015197360A (ja) * | 2014-04-01 | 2015-11-09 | 株式会社デンソー | リークテスタ |
-
2008
- 2008-03-26 JP JP2008080231A patent/JP2009236549A/ja not_active Withdrawn
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