JP2007298132A - フローティングホース及びフローティングホースの製造方法 - Google Patents

フローティングホース及びフローティングホースの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スポンジの層間に溜まったエアーを確実に抜き出せる構造を有するフローティングホースを提供する。
【解決手段】フローティングホースは、ベースホース外面ゴム7の外周に浮力層30が取り付けられている。浮力層30は、連続気泡の帯状スポンジ35を有する第1の浮力層32と、独立気泡の帯状スポンジ37からなる第2の浮力層33とを有し、第2の浮力層33が複数積層され、その層間に第1の浮力層32が配置されている。帯状スポンジ35は、ベースホースの長さ方向に沿って配置される。浮力層30の長さ方向の端部には、連続気泡の帯状スポンジが環状に巻かれている。
【選択図】図2

Description

本発明は、スポンジを積層した沈下防止構造を有するフローティングホース、フローティングホースを製造する方法に関する。
海上に停泊中の船舶との間で流体などを輸送する際には、沈下防止構造を有するフローティングホースを用いることが知られている。例えば、タンカーから原油を輸送するときには、フローティングオイルホースが用いられる。浚渫船から土砂を輸送するときには、フローティングドレッジングホースが用いられる。
ここで、海洋等で使用されるフローティングホースの代表的な使用形態を図6に示す。フローティングホース(フローティングオイルホース)100は、洋上に浮遊した状態で使用され、マリンホースとも呼ばれる。フローティングホース100は、多数連結させた状態で使用され、その一端がタンカー110に接続される。多数連結されたフローティングホース100の他端は、タンカー110を係留する一点係留ブイ111に接続されている。なお、一点係留ブイ111には、サブマリンホース112も接続されている。サブマリンホースは、海中で使用されるマリンホースである。
この種のフローティングホース100は、絶えず洋上に浮遊した状態を保つことが要求されており、OCIMF Hose Guide(マリンホースの国際規格で、OCIMF Oil Companies International Marine Forum,Guide to Purchasing,Manufacturing testing of Loading and Discharge Hoses for Offshore Mooring,Fourth Edition 1991)においてホース内に海水を浸入させた状態での要求浮力が規定されている。例えば、図6のフローティングホース100では、最小で20%の浮力が要求される。
従来のフローティングホースで浮力を得るための構造は、独立気泡のスポンジの積層体からなり、スポンジの外周には、外面ゴムが巻き付けられている。スポンジは、厚さが15〜30mm、幅が300〜500mm程度の帯状のものを使用し、接着剤でベースホース上に隙間無く巻き付けられている。巻き付けるスポンジの枚数は、要求される浮力に応じて変化する。スポンジとしては、天然ゴムスポンジやPVC(ポリ塩化ビニル)、ポリウレタンフォームが使用されている。天然ゴムスポンジは、密度が約0.15gr/cmのものを使用する。ポリウレタンフォームであれば、密度が0.05gr/cm程度のものが使用される。外面ゴムは、繊維コードやブレーカーとゴム層から形成されている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、フローティングホースを製造する際には、全ての材料を成型した後、ホースの外周全体をナイロンテープで締め付けてから加硫する。ナイロンテープを貼り付けるとき、複数枚巻き付けられている各スポンジの層間に溜まったエアーを抜き出すために、ホース端部のスポンジにエアー抜き治具を差し込んでエアーを抜いていた。
特開2000―257765号公報
しかしながら、ホース端部にエアー抜き治具を差し込むだけではスポンジの貼り合わせ部分に溜まったエアーを抜け切れないことがあった。この場合、フローティングホースを加硫した後にスポンジの層間にエアーが残留してしまうので、加硫成形後に外面ゴムにドリルで穴を開け、スポンジの層間に残留するエアーを抜かなければならなかった。エアー抜きをした後は、外面ゴムを手直しする必要があるので作業効率が悪かった。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、スポンジの層間に溜まったエアーを確実に抜き出せるようにすることを主な目的とする。
上記の課題を解決する本発明の請求項1に係る発明は、独立気泡のスポンジをベースホースの外周に積層して形成した浮力層を外面ゴムで被覆したフローティングホースにおいて、前記独立気泡のスポンジの層間に連続気泡のスポンジを配置したことを特徴とするフローティングホースとした。
このフローティングホースは、スポンジの連続気泡がエアーの通気路を形成する。スポンジ層間に溜まったエアーは、連続気泡からなる通気路を通って排出することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のフローティングホースにおいて、前記連続気泡のスポンジは、前記ベースホースの長さ方向に沿って帯状に1本以上配置されていることを特徴とする。
このフローティングホースは、連続気泡のスポンジがベースホースの長さ方向に帯状に延びているので、この方向にエアーを流動させることができる。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載のフローティングホースにおいて、前記連続気泡のスポンジは、前記ベースホースの長さ方向に対して螺旋状に配置されていることを特徴とする。
このフローティングホースは、連続気泡のスポンジがベースホースの長さ方向に対して螺旋状に巻かれているので、螺旋状にエアーを流動させることができる。
請求項4に係る発明は、請求項2又は請求項3に記載のフローティングホースにおいて、前記連続気泡のスポンジは、幅5mmから300mm、厚さ0.5mmから20mmの帯状であることを特徴とする。
このフローティングホースは、浮力層の外形を大きく変化させることなくスポンジ層間のエアーを排出することが可能になる。
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項のフローティングホースにおいて、前記連続気泡のスポンジが形成する通気路に連通するように、前記ベースホースの長さ方向の端部の少なくとも一方に連続気泡のスポンジを周方向に巻き回したことを特徴とする。
このフローティングホースは、ベースホースの長さ方向に沿って、又は螺旋状に配置された連続気泡のスポンジを通ってエアーが流動し、さらに端部に巻き回した独立気泡のスポンジに集められる。したがって、端部に巻き回した独立気泡のスポンジからエアー抜きを行うと効率が良くなる。
請求項6に係る発明は、スポンジをベースホースの外周に積層して浮力層を形成し、外面ゴムで被覆した後に加硫するフローティングホースの製造方法において、前記スポンジを積層する際に独立気泡のスポンジの層間に連続気泡のスポンジを配置し、前記外面ゴムで被覆した後で、かつ加硫前に前記連続気泡のスポンジにエアー抜き用の工具を挿入し、前記独立気泡のスポンジ層同士が密着するように締め付けることを特徴とするフローティングホースの製造方法とした。
このフローティングホースの製造方法では、スポンジ層を締め付けてスポンジ層間を密着させると、スポンジ層間に溜まっていたエアーが連続気泡のスポンジに流入し、連続気泡が形成する通気路を取って締め付けられていない領域に向けて流動する。連続気泡を通って流動するエアーは、連続気泡のスポンジに挿入されたエアー抜き用の工具を通って排出される。
本発明によれば、浮力層を形成する際に、独立気泡のスポンジの層間に連続気泡のスポンジを配置することで、スポンジ層間に溜まり易いエアーを連続気泡を通して確実に排出できるようになる。これによって、加硫成形後にスポンジ層間のエアーを抜く工程を省略でき、作業効率が向上する。加硫後にドリルでエアー抜きをする必要がないので、作業効率が向上すると共に、外面ゴムの手直しが不要になることから外観が良好になる。
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1に断面構造を示すように、フローティングホース1は、内部に原油などを通流させる管状のベースホース2を有する。ベースホース2は、チューブ状の内面ゴム3の外周を補強コード4で補強してある。補強コード4の外周には補強ワイヤ5が螺旋状に巻き付けられた上から補強コード6でさらに補強を行い、ベースホース外面ゴム7で被覆してある。内面ゴム3には、耐油性ゴム、例えば、NBR(ニトリルゴム)が用いられている。補強コード4,6は、ポリエステルなどの繊維コードを互いに交差するように積層したものが用いられる。補強ワイヤ5には、硬鋼線が使用され、ベースホース2の断面形状が略真円になるように巻き付けられている。ベースホース外面ゴム7には、SBR(スチレンゴム)などの合成ゴムが使用されている。
ベースホース2の端部には、スチールパイプからなるリップル11が挿入されている。リップル11の端部には、スチール製のフランジ12が一体に形成されている。このフランジ12は、他のフローティングホース1に接続するときや、ブイやタンカーなどに接続するときに使用される。内面ゴム3の端部は、リップル11の外周に嵌め込まれている。内面ゴム3の端部よりもフランジ12側には、スチール製のリテンションバンド14が取り付けられている。補強コード4の端部は、リテンションバンド14を越えてフランジ12側に延び、硬鋼線からなるリング状のビードワイヤ15を巻き込んで折り返されている。補強コード4の折り返し部分は、繊維コードを積層した締め付けコード16で締め付けることでリップル11に固定されている。締め付けコード16よりもさらにフランジ12側には、スチール製のリテンションバンド17が取り付けられている。補強コード4の一部は、リテンションバンド17を越えてフランジ12側に延び、硬鋼線からなるリング状のビードワイヤ18を巻き込んで折り返されている。補強コード4の折り返し部分は、繊維コードを積層した締め付けコード19で締め付けることでリップル11に固定されている。さらに、補強コード6の端部と、ベースホース外面ゴム7の端部の間には、締め付けコード20が配置されている。
このようなベースホース2の外周には、浮力層30が形成されており、浮力層30の外周が浮力層外面ゴム31で被覆されている。浮力層30及び浮力層外面ゴム31は、フローティングホース1の本体部分の両端部を除いて外径を略一定にするように形成されている。なお、浮力層外面ゴム31は、合成ゴムとナイロン(商標)などの繊維コードを組み合わせて形成されている。
図2に示すように、浮力層30は、ベースホース外面ゴム7の外周の一部を覆うように配置された第1の浮力層32と、ベースホース外面ゴム7に対して周方向の全面を覆うように積層される第2の浮力層33とを有する。第2の浮力層33の層間に第1の浮力層32が配設されている。
図3に示すように、第1の浮力層32は、ベースホース外面ゴム7の外周に接着剤で貼り付けられた連続気泡の帯状スポンジ35を有する。帯状スポンジ35は、ベースホース2の長さ方向に沿って延びており、例えば、厚さが約1mmで、幅が150mmのポリウレタンフォームが使用される。帯状スポンジ35は、ベースホース2の軸線回りの周方向に90°の間隔を設けて4本配置されており、それぞれが連続気泡からなる通気路をベースホース2の長さ方向に沿って形成する。なお、帯状スポンジ35は1本以上であれば良く、厚さが約0.5mmから20mmの間で、幅が5mmから300mmの間であれば後述する効果が十分に得られる。
さらに、第1の浮力層32は、一方の端部に周方向に連続して1本の帯状スポンジ36を有する。この帯状スポンジ36も連続気泡からなる通気路をベースホース2の周方向に略環状に形成し、他の4本の帯状スポンジ35の連続気泡からなる通気路と連通可能に配置されている。
第2の浮力層33は、独立気泡の帯状スポンジ37を周方向に巻き回して形成されている。帯状スポンジ37は、隣り合う帯状スポンジ37の端部同士が重なり合わないように突き当てた状態で隙間無く巻き回される。第2の浮力層33は、径方向に複数、例えば、5層積層されており、各層間に第1の浮力層32が設けられている。海水の回り込みを防止する観点からは、第2の浮力層33において上下に重なる帯状スポンジ37の端部の位置が一致しないように巻き回すことが好ましい。帯状スポンジ37には、例えば厚さが15〜30mm、幅が300〜500mm程度のものを使用する。
帯状スポンジ37は、天然ゴムスポンジやPVC(ポリ塩化ビニル)、ポリウレタンフォームが使用されている。天然ゴムスポンジは、密度が約0.15gr/cmのものを使用する。ポリウレタンフォームであれば、密度が0.05gr/cm程度のものが使用される。
フローティングホース1を製造するときには、最初にベースホース2を製造する。ベースホース2は、内面ゴム3をリップル11と一体化するようにインサート成型によって成型した後、補強コード4、補強ワイヤ5、補強コード6、締め付けコード20及びベースホース外面ゴム7を積層してから加硫する。
浮力層30を形成するときには、ベースホース2上の所定位置に帯状スポンジ35及び帯状スポンジ36を貼り付けて第1の浮力層を形成する。さらに、その上に帯状スポンジ37を貼り付けて第2の浮力層33を形成する。必要な総数だけ第2の浮力層33と第1の浮力層32を積層したら、浮力層外面ゴム31を貼り付けて成型する。
次に、図4に示すように、浮力層30の端部に周方向に巻かれた第1の浮力層32の帯状スポンジ36に、エアー抜き工具40を刺入する。エアー抜き工具40は、鋭利な先端部に多数の孔41が形成されている。各孔41は、第1の浮力層32の連続気泡と外部を連通させる。
エアー抜き工具40を刺入したら、反端側の端部からナイロンテープを巻いて締め付けを開始する。各帯状スポンジ35〜37が密着し、層間に残留していたエアーは、帯状スポンジ35の連続気泡が形成する通気路に流入する。ナイロンテープを巻き進めると、帯状スポンジ35に進入したエアーが連続気泡に沿って、未だ締め付けられていない領域、つまりエアー抜き工具40が刺入された端部に向けて流動する。このエアーは、周方向に巻かれた帯状スポンジ36の連続気泡に流入し、エアー抜き工具40から外部に排出される。
ナイロンテープによる締め付けが終了したら、フローティングホース1を加硫する。各帯状スポンジ35〜37、浮力層外面ゴム31が加硫接着してフローティングホース1が完成する。
なお、このようにして製造されたフローティングホース1は、エアーの残留が防止され、加硫後にドリルによるエアー抜き工程を省略することができた。
この実施の形態によれば、帯状スポンジ35の連続気泡でエアーの通気路を形成したので、スポンジ層間に溜まったエアーを帯状スポンジ35に沿って確実に排出させることが可能になる。これによって、加硫後のエアー抜きが不要になり、作業効率が向上する。ドリルでエアー抜きした場合に必要になる補修が不要になるので外観が良好になる。
連続気泡の帯状スポンジ36を周方向に巻き回したので、複数の帯状スポンジ35の連続気泡のそれぞれに流動するエアーが1本の帯状スポンジ36に集められ、排出されるのでエアー抜き工程に要する時間を短縮できる。
帯状スポンジ35は、隙間を置いて配置されているので、浮力層の外形を大幅に増大させることなくエアー抜きを確実にできる。また、独立気泡の帯状スポンジ37同士の密着力を十分に確保できる。
ここで、この実施の形態の変形例を図5に示す。浮力層50は、帯状スポンジ35を軸線に対して螺旋状に巻き付けて第1の浮力層51を形成している。帯状スポンジ35は、1本でも良いし、複数本でも良い。一方の端部には、帯状スポンジ36が周方向に、帯状スポンジ35の連続気泡と連通するように配置されている。このような浮力層50では、連続気泡からなる通気路の経路長が長くなるので、層間に溜まったエアーを第1の浮力層51から排出し易くなる。その他の効果は、前記と同様である。
なお、本発明は、前記した実施の形態に限定されずに広く応用することができる。
例えば、独立気泡の帯状スポンジ37の層数は5層に限定されない。帯状スポンジ37の巻き付け方は、実施の形態に限定されない。また、連続気泡の帯状スポンジ35,36の形状やサイズは、実施の形態に限定されない。帯状スポンジ36は、両端のそれぞれに配置されても良い、端部に2本以上配置しても良い。帯状スポンジ36は、環状に配置される代わりに、略C字形に配置されても良い。
フローティングホース1は、原油の輸送用のホースに限定されず、土砂の輸送用など種々の用途に使用することができる。
本発明の実施の形態に係るフローティングホースの断面形状を示す図である。 図1のA−A線に沿った断面図であって、帯状スポンジの積層構造を示す図である。 ベースホース外面ゴムを貼り付けられた第1の浮力層の外観を示す図である。 エアー抜き工程を説明する図である。 連続気泡の帯状スポンジの巻き付け方の変形例を示す図である。 フローティングホースの使用例を示す図である。
符号の説明
1 フローティングホース
2 ベースホース
30,50 浮力層
31 浮力層外面ゴム
32 第1の浮力層
33 第2の浮力層
35,36 帯状スポンジ(連続気泡のスポンジ)
37 帯状スポンジ(独立気泡のスポンジ)
40 エアー抜き工具

Claims (6)

  1. 独立気泡のスポンジをベースホースの外周に積層して形成した浮力層を外面ゴムで被覆したフローティングホースにおいて、
    前記独立気泡のスポンジの層間に連続気泡のスポンジを配置したことを特徴とするフローティングホース。
  2. 前記連続気泡のスポンジは、前記ベースホースの長さ方向に沿って帯状に1本以上配置されていることを特徴とする請求項1に記載のフローティングホース。
  3. 前記連続気泡のスポンジは、前記ベースホースの長さ方向に対して螺旋状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のフローティングホース。
  4. 前記連続気泡のスポンジは、幅5mmから300mm、厚さ0.5mmから20mmの帯状であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のフローティングホース。
  5. 前記連続気泡のスポンジが形成する通気路に連通するように、前記ベースホースの長さ方向の端部の少なくとも一方に連続気泡のスポンジを周方向に巻き回したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項のフローティングホース。
  6. スポンジをベースホースの外周に積層して浮力層を形成し、外面ゴムで被覆した後に加硫するフローティングホースの製造方法において、
    前記スポンジを積層する際に独立気泡のスポンジの層間に連続気泡のスポンジを配置し、前記外面ゴムで被覆した後で、かつ加硫前に前記連続気泡のスポンジにエアー抜き用の工具を挿入し、前記独立気泡のスポンジ層同士が密着するように締め付けることを特徴とするフローティングホースの製造方法。

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