JP2008196539A - マリンホース用の浮力材、マリンホース、マリンホース製造方法 - Google Patents

マリンホース用の浮力材、マリンホース、マリンホース製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】浮力層を構成する帯状の浮力材の側端面同士の接着部分での隙間発生を抑制する。
【解決手段】浮力層30は、ベースホース21の外面に帯状の浮力材32が螺旋状に巻回されて構成されている。浮力材32は、浮力材本体34と接着層36により構成されている。浮力材本体34は、帯状とされ、独立気泡の発泡体で構成されている。浮力材本体34の材料としては、天然ゴムの発泡体、ポリエチレンの発泡体などを用いることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、海面上で浮揚して、石油その他の流体を輸送するマリンホース、このマリンホースに用いられるマリンホース用の浮力材、及び、このマリンホースの製造方法に関する。
海洋等において使用されるマリンホースとして、図1に示されるように、一点係留式ブイ10に係留されたタンカー11からの原油の輸送に使用されるマリンホースがある。このマリンホースには、海中で使用されるマリンホース(サブマリンホース)と、洋上で使用されるマリンホースホース(フローティングホース)とがある。そのうち、洋上で使用されるマリンホースは、海面上で浮揚することが要求され、浮力を備えるために浮力層を有している。一般的なマリンホースでは、この浮力層は、帯状の浮力材がベースホースの外側に隙間なく複数層巻回されて構成されている(特許文献1参照)。
上記浮力層を構成する帯状の浮力材は、側端面同士が隙間なく接合されることが要求されるが、加硫処理等により浮力材が縮むことにより隙間が生じてしまうもあり、この接合部分についての隙間対策が求められる。
特開昭55−33946号公報
本発明は上記事実を考慮し、浮力層を構成する帯状の浮力材の側端面同士の接着部分での隙間発生を抑制することの可能なマリンホース用の浮力材、マリンホース、マリンホース製造方法を得ることを課題とする。
本発明の請求項1のマリンホース用の浮力材は、ベースホースの外側に隙間なく螺旋状に巻回され、マリンホースの浮力層を構成する、マリンホース用の浮力材であって、帯状とされ、発泡体で構成された浮力材本体と、前記浮力材本体の一方の側端面の長手方向に沿って全面に亘って接着された、伸縮可能な接着層と、を備えたものである。
本発明の浮力材は、マリンホースの浮力層を構成するために用いられるものであり、ベースホースの外側に巻回される。ここで、ベースホースとは、マリンホースの浮力層よりも内側を構成する部分をいう。
上記構成のマリンホース用の浮力材では、浮力材本体の一方の側端面の長手方向に沿って接着層が接着されている。この接着層は、伸縮可能とされている。浮力材がベースホースの外側に、螺旋状に巻回されると、接着層は浮力材本体の一方の側端面と他方の側端面との間に配置される。本発明では、この接着層が伸縮可能とされているので、加硫処理等により浮力材本体が縮んでも、接着層が伸張して浮力材本体の縮みに追従し、接着部分に隙間が生じることを抑制することができる。
請求項2のマリンホース用の浮力材は、前記接着層が、発泡体で構成されていること、を特徴とする。
このように、発泡体で構成することにより、伸縮可能な接着層とすることができる。
請求項3のマリンホース用の浮力材は、前記接着層の融点が前記浮力材本体の融点よりも高いこと、を特徴とする。
このように、接着層の融点を浮力材本体の融点よりも高いものとすることにより、加硫処理の際の加熱で浮力材本体が縮んでも、接着層を縮ませることなく浮力材本体の縮みに追従させることができる。
請求項4のマリンホースは、ベースホースと、ベースホースの外側に隙間なく請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のマリンホース用の浮力材を螺旋状に巻回して構成された浮力層と、を備えている。
上記構成によれば、浮力材の側端面の接着部分において隙間の発生が抑制されているので、万が一、マリンホースの外側面に損傷が生じた場合でも、海水がマリンホースの内側に入り込むことを抑制することができる。
請求項5のマリンホース製造方法は、ベースホースの外側に隙間なく請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のマリンホース用の浮力材を螺旋状に巻回して浮力層を形成し、前記浮力層の外側に外側ゴム層を形成し、その後加硫処理を行うものである。
このマリンホース製造方法によれば、浮力材本体の側端面同士が伸縮可能な接着層を介して接着されているので、加硫処理によって当該接着部分に隙間が発生することを抑制することができる。
なお、外側ゴム層は、マリンホースの最外側を構成する層であり、浮力層の外面に補強コードが配置される場合には、この補強コードなどを含むものである。
請求項5のマリンホース製造方法は、前記浮力材は、前記接着層を圧縮した状態でベースホースの外側に隙間なく螺旋状に巻回されること、を特徴とする、請求項5に記載のマリンホース製造方法。
このように、接着層を圧縮した状態で浮力層を形成することにより、その後の加硫処理による浮力材本体の縮みに追従しやすくなり、より確実に、隙間の発生を防止することができる。
本発明は上記構成としたので、浮力層を構成する帯状の浮力材の側端面同士の接着部分における隙間発生を抑制することができる。
図1には、本発明の実施形態に係るマリンホース20の使用例が示されている。マリンホース20は、一点係留式ブイ10に係留されたタンカー11からの原油の輸送に使用されるものであり、海面上に浮揚させて用いられる。本実施形態のマリンホース20は、タンカー11から一点係留式ブイ10までの間を連結するホースである。一点係留式ブイ10の直下からは、陸上の貯留施設に至るパイプライン14が海底に布設されている。一点係留式ブイ10とパイプライン14との間は、海中で使用されるサブマリンホース12で連結されている。
図2には、マリンホース20の長手方向の断面の一部が示されている。マリンホース20は、ニップル22、内面ゴム管23、第1ベース補強コード24、第1ビードワイヤー25、補強ワイヤー26、第2ベース補強コード27、第2ビードワイヤー28、中間ゴム層29、浮力層30、外側補強コード40、及び、外面ゴム層42を備えている。
ニップル22は、筒状とされ、先端側(マリンホース20に挿入される側)に第1環状リブ22A、第1環状リブ22Aよりも外側(マリンホース20の軸方向外側)に第2環状リブ22Bが形成されている。内面ゴム管23は、ニップル22の外面を覆うように第1環状リブ22Aよりも先端側に外挿されている。
第1ビードワイヤー25は、ニップル22の先端側から第1環状リブ22Aを乗り越えた位置で周方向に巻回されている。第1ベース補強コード24は、第1ビードワイヤー25を包んで折り返され、内面ゴム管23の外面に配置されている。第1ベース補強コード24の外側には、所定の間隔で補強ワイヤー26が螺旋状に巻回されている。
第2ビードワイヤー28は、ニップル22の先端側から第2環状リブ22Bを乗り越えた位置で周方向に巻回されている。第2ベース補強コード27は、第2ビードワイヤー28を包んで折り返され、第1ベース補強コード24の外面に配置されている。中間ゴム層29は、第2ベース補強コード27の外面を覆うように配置されている。
前記のニップル22、内面ゴム管23、第1ベース補強コード24、第1ビードワイヤー25、補強ワイヤー26、第2ベース補強コード27、第2ビードワイヤー28、中間ゴム層29により、ベースホース21が構成される。
浮力層30は、図3(A)に示すように、ベースホース21の外面に帯状の浮力材32が螺旋状に巻回されて構成されている。浮力材32は、図3(B)に示すように、浮力材本体34と接着層36により構成されている。浮力材本体34は、帯状とされ、独立気泡の発泡体で構成されている。浮力材本体34の材料としては、天然ゴムの発泡体、ポリエチレンの発泡体などを用いることができる。
接着層36は、浮力材本体34の一方の側端面34Aに長手方向に沿って全面に亘って接着されている。接着層36は、伸縮可能とされており、発泡体であることが好ましい。材料としては、EPOM、フッ素ゴムなどを用いることができる。発泡体で構成することにより、浮力を減少させることなく浮力層30を構成することができる。また、接着層36の融点は、浮力材本体34の融点よりも高いことが好ましい。このように、接着層35の融点を浮力材本体34の融点よりも高いものとすることにより、加硫処理の際の加熱で浮力材本体34が縮んでも、接着層36を縮ませることなく浮力材本体34の縮みに追従させることができる。
なお、接着層36の幅Wとしては、5mm〜20mm程度が適当である。
浮力材32は、図4にも示すように、ベースホース21の外面に、隣り合う側端面32Aと側端面32Bとが接着し合うように隙間なく螺旋状に巻回される。ベースホース21の長手方向の一端から他端に向かって、外面を覆うように螺旋状に巻回されて1層が構成され、当該構成された層の外側に同様にして複数層積層され(一般的に3〜6層、本実施形態では3層)、浮力層30が構成される。
浮力層30の外側は、外側補強コード40で覆われ、外側補強コード40の外側は外面ゴム層42で覆われている。外面ゴム層42は、マリンホース20の最外面を構成している。
次に、上記構成のマリンホース20の製造方法について説明する。
ニップル22の先端側の第1環状リブ22Aの手前まで、予め成型されている内面ゴム管23を外挿する。そして、第1環状リブ22Aを乗り越えた位置に第1ビードワイヤー25を配置して、第1ベース補強コード24で内面ゴム管23の外側を覆う。
次に、第1ベース補強コード24の外側に補強ワイヤー26を螺旋状に巻回し、第2環状リブ22Bを乗り越えた位置に第2ビードワイヤー28を配置して、第2ベース補強コード27で第1ベース補強コード24の外側を覆う。その外側を、中間ゴム層29で覆う。そして、第1次加硫処理を行い、ベースホース21を製造する。
次に、ベースホース21の外側に、浮力材32を螺旋状に隙間なく巻回して、3層構成とし、浮力層30を構成する。このとき、浮力材32の側端面34Bと接着層36の端面36Aには、接着材が塗布され、接着層36を圧縮して互いに隙間なく接着される。
次に、浮力層30の外側を外側補強コード40で覆い、外側補強コード40の外側を外面ゴム層42で覆う。そして、第2加硫処理を行う。第2加硫処理では、外側から径方向の内側への圧力が加えられる。このようにして、マリンホース20が製造される。
本実施形態では、第2加硫処理前の浮力材32の側端面32A、32Bは、図5(A)に示すように、伸縮可能な接着層36を介して接着されている。したがって、加硫により浮力材本体34が縮んでも、図5(B)に示すように、接着層36が伸張して浮力材本体34の縮み分を吸収するので、隙間が生じることなく良好な接着を維持することができる。
なお、本実施形態では、加硫処理前に、接着層36を圧縮して側端面34Aと側端面34Bとの間に配置したが、接着層36は伸縮可能な材料で構成されているので、必ずしも圧縮しておく必要はない。特に、本実施形態のように圧縮しておくことにより、伸張幅を大きくすることができ、浮力材本体34の縮みにより確実に追従させることができる。
なお、従来のように、側端面P同士を接着し合う場合には、図6(A)に示すように、加硫処理前には接着されているが、加硫により浮力材Fが縮むと、図6(B)に示すように、隙間Sが発生してしまっていた。
以上説明したように、本実施形態のマリンホース用の浮力材32によれば、加硫処理後も、側端面の良好な接着状態を維持することができる。
また、本実施形態のマリンホース20は、浮力層30において、螺旋状に巻回された浮力材32の側端面が良好に接着されている。したがって、万が一、外面ゴム層42、外側補強コード40に損傷が生じても、浮力層30の接合部分の隙間から海水が流入してしまうことを防止することができる。
タンカーからの原油の輸送に使用されるマリンホースを示す説明図である。 本実施形態のマリンホースの長手方向の一部半断面図である。 (A)は、本実施形態の浮力材のベースホースへの巻回し状態を示す説明図であり、(B)は巻回された浮力材の一部断面図である。 本実施形態の浮力材のベースホースへの巻回し状態を示す説明図である。 本実施形態の浮力材の接合部分の(A)は加硫処理前の断面図であり、(B)は加硫処理後の断面図である。 従来の浮力材の接合部分の(A)は加硫処理前の断面図であり、(B)は加硫処理後の断面図である。
符号の説明
20 マリンホース
21 ベースホース
30 浮力層
32 浮力材
32A 側端面
32B 側端面
34 浮力材本体
36 接着層

Claims (6)

  1. ベースホースの外側に隙間なく螺旋状に巻回され、マリンホースの浮力層を構成する、マリンホース用の浮力材であって、
    帯状とされ、発泡体で構成された浮力材本体と、
    前記浮力材本体の一方の側端面に長手方向に沿って接着された、伸縮可能な接着層と、
    を備えたマリンホース用の浮力材。
  2. 前記接着層が、発泡体で構成されていること、を特徴とする請求項1に記載のマリンホース用の浮力材。
  3. 前記接着層の融点が前記浮力材本体の融点よりも高いこと、を特徴とする請求項1または請求項2に記載のマリンホース用の浮力材。
  4. ベースホースと、
    ベースホースの外側に隙間なく請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のマリンホース用の浮力材を螺旋状に巻回して構成された浮力層と、
    を備えたマリンホース。
  5. ベースホースの外側に隙間なく請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のマリンホース用の浮力材を螺旋状に巻回して浮力層を形成し、
    前記浮力層の外側に外側ゴム層を形成し、
    その後加硫処理を行う、マリンホース製造方法。
  6. 前記浮力材は、前記接着層を圧縮した状態でベースホースの外側に隙間なく螺旋状に巻回されること、を特徴とする、請求項5に記載のマリンホース製造方法。
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