JP2007296982A - ディスクブレーキ - Google Patents

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Abstract

【課題】 所謂ブレーキ鳴きの発生を抑えることができ、急ブレーキ(強ブレーキ)の操作時等には作動液圧を十分に供給することができるようにする。
【解決手段】 シリンダボア2C,2Dのうちディスク1の回転方向の入口側に位置するシリンダボア2Cを、給排管13、弁装置15を介してブレーキ配管12に接続する。回転方向出口側のシリンダボア2Dは、給排管14のみを介してブレーキ配管12に接続する。車両のブレーキ操作を開始したときに、シリンダボア2Cよりもシリンダボア2D側で先に液圧を供給し、その後に弁装置15が開弁したときに遅延時間ΔTをもってシリンダボア2C側にも液圧を供給する。ディスク1の回転方向の出口側で先にピストン5Bを駆動し、その後に回転方向の入口側でピストン5Aを駆動して摩擦パッド11をディスク1に押圧する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、例えば二輪車または四輪車等の車両に制動力を付与するのに好適に用いられるディスクブレーキに関し、特に、複数個のシリンダボアが形成されたキャリパを備えてなるディスクブレーキに関する。
一般に、二輪車または四輪車等の車両に設けられ、マスタシリンダからの液圧供給によってシリンダボア内のピストンを押動し、回転するディスクの両面に摩擦パッドを押圧することにより、車両に制動力を付与する構成としたディスクブレーキは知られている。
また、この種の従来技術によるディスクブレーキとして、ディスクの両面にそれぞれ対向して複数のシリンダボアが形成された一対のキャリパと、該各キャリパのシリンダボア内にそれぞれ摺動可能に挿嵌された複数のピストンとを備え、これらのピストンは、外部から各シリンダボア内に供給された液圧により摩擦パッドをディスクの両面に押圧する構成とした対向ピストン型のディスクブレーキがある(例えば、特許文献1参照)。
そして、従来技術による対向ピストン型のディスクブレーキでは、ブレーキ操作の開始時に所謂ブレーキ鳴き等が発生するのを抑えるため、前記各キャリパに形成した複数のシリンダボアのうち、前記ディスクの回転方向入口側に位置するシリンダボアをマスタシリンダに対して接続するブレーキ配管の途中に固定絞り等を設ける構成としている。
これにより、前記マスタシリンダから各シリンダボアに供給される液圧は、ディスクの回転方向出口側よりも回転方向入口側の方が固定絞りの絞り作用で相対的に小さくなるので、回転しているディスクに対して摩擦パッドが出口側で片当りするのを防止でき、所謂ブレーキ鳴きの発生原因となる摩擦パッドの起振(振動)等を低減できるものである。
特開平4−83928号公報
ところで、上述した従来技術のディスクブレーキでは、キャリパに形成した複数のシリンダボアのうち、ディスクの回転方向入口側に位置するシリンダボアとマスタシリンダとの間に固定絞り等を設ける構成としているため、例えば急ブレーキ(強ブレーキ)の操作時等にブレーキペダルを強く踏込んだとしても、ディスクの回転方向入口側に位置するシリンダボア内では固定絞りの影響で液圧が即座に上昇しない。
この結果、急ブレーキの操作時等にブレーキペダルを強く踏込んだとしても、ディスクブレーキを高い応答性をもって作動させることができず、作動液圧が不足して車両の制動距離が長くなる等の不具合が発生するという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、所謂ブレーキ鳴き等の発生を抑えることができると共に、急ブレーキ(強ブレーキ)の操作時等には各シリンダボア内の液圧を高い応答性をもって増大でき、作動液圧が不足する等の問題を解消できるようにしたディスクブレーキを提供することにある。
上述した課題を解決するため、本発明は、ディスクの回転方向に離間して複数のシリンダボアが形成されたキャリパを有し、該キャリパの各シリンダボア内には、外部から供給された液圧によって摩擦パッドを前記ディスクに押圧するピストンをそれぞれ摺動可能に挿嵌してなるディスクブレーキに適用される。
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記複数のシリンダボアのうち前記ディスクの回転方向の入口側に位置する一のシリンダボア側には、他のシリンダボア側よりも前記液圧の供給開始時間を遅らせる遅延手段を設けたことにある。
また、請求項2の発明によると、前記遅延手段は、前記一のシリンダボアに対して液圧を給排するため前記キャリパに設けられた給排口の近傍に配設する構成としている。
また、請求項3の発明によると、前記遅延手段は、前記他のシリンダボアに対する液圧供給が開始された後に遅延時間をもって開弁する構成としている。
一方、請求項4の発明によると、前記遅延手段は、前記他のシリンダボアに供給される液圧が予め決められた圧力値まで上昇したときに開弁する構成としている。
また、請求項5の発明によると、前記遅延手段は、一旦開弁した後に前記一のシリンダボアに供給された液圧が大気圧のレベルに低下するまでは開弁状態を保つ構成としている。
さらに、請求項6の発明によると、前記他のシリンダボア側には外部から供給される液圧に予圧を与える予圧手段を設け、該予圧手段は、前記一のシリンダボア側で前記遅延手段が開弁し始めたときに前記他のシリンダボア側の液圧に予圧を付与する構成としている。
上述の如く、請求項1に記載の発明によれば、キャリパに設けた複数のシリンダボアのうちディスクの回転方向の入口側に位置する一のシリンダボア側に、他のシリンダボア側よりも液圧の供給開始時間を遅らせる遅延手段を設ける構成としているので、例えば車両のブレーキ操作を開始したときに一のシリンダボアよりも他のシリンダボア側で先に液圧を供給でき、その後に遅延時間をもって一のシリンダボア側にも液圧を供給することができる。このため、各シリンダボア内にそれぞれ挿嵌されたピストンのうち、前記他のシリンダボア側で先にピストンを駆動して摩擦パッドをディスクに押圧でき、その後に一のシリンダボア側でもピストンを駆動して摩擦パッドをディスクに押圧することができる。
従って、ブレーキ操作の開始時に摩擦パッドが回転しているディスクに対して出口側で片当りするのを防止でき、所謂ブレーキ鳴きの発生原因となる摩擦パッドの起振(振動)等を低減することができる。そして、前記遅延時間が経過した後には全てのシリンダボア内にブレーキ操作に対応した液圧を供給することができる。このため、急ブレーキの操作時等にブレーキペダルを強く踏込んだときには、これに対応した液圧を全てのシリンダボア内に供給でき、ディスクブレーキを高い応答性をもって作動させることができる。これにより、強ブレーキの操作時には作動液圧を十分に高めることができ、車両の制動距離等を短く抑えることができる。
また、請求項2に記載の発明のように、一のシリンダボアに対して液圧を給排するためキャリパに設けられた給排口の近傍に遅延手段を設けることにより、遅延手段を一のシリンダボアに近い位置に配置でき、一のシリンダボアに対する液圧の供給開始時間を、他のシリンダボア側よりも確実に遅らせることができる。
また、請求項3に記載の発明では、遅延手段を、他のシリンダボアに対する液圧供給が開始された後に遅延時間をもって開弁する構成としているので、例えば車両のブレーキ操作によりマスタシリンダから他のシリンダボア側に液圧を供給し始めたときに、予め閉弁状態にある遅延手段を所定の遅延時間をもって開弁させることができ、一のシリンダボア側には他のシリンダボアに対して所定の遅延時間をもって液圧を供給することができる。
一方、請求項4に記載の発明では、遅延手段を、他のシリンダボアに供給される液圧が予め決められた圧力値まで上昇したときに開弁する構成としているので、車両のブレーキ操作によりマスタシリンダからの液圧が前記圧力値に達するまでは、遅延手段を閉弁状態に保つことができ、その後に液圧が所定の圧力値に達したときに遅延手段を開弁することができる。これにより、他のシリンダボア側で先にピストンを駆動して摩擦パッドをディスクに押圧した後に、一のシリンダボア側では遅延時間をもってピストンを駆動し摩擦パッドをディスクに押圧することができる。
また、請求項5に記載の発明では、一旦開弁した遅延手段を、一のシリンダボアに供給された液圧が大気圧のレベルに低下するまでは開弁状態に保ち、大気圧のレベルとなったときに遅延手段を閉弁することができ、これにより、次なるブレーキ操作時にも遅延手段の開,閉弁制御を安定して行うことができる。
さらに、請求項6に記載の発明によると、他のシリンダボア側には外部から供給される液圧に予圧を与える予圧手段を設け、該予圧手段は、一のシリンダボア側で遅延手段が開弁し始めたときに他のシリンダボア側の液圧に予圧を付与する構成としているので、例えばマスタシリンダから他のシリンダボア側に供給される液圧が、遅延手段の開弁に伴って一時的に低下しても、この低下分を予圧手段からの予圧により補うことができ、車両のブレーキ操作に対応した液圧を他のシリンダボア側に供給し続けることができる。
以下、本発明の実施の形態によるディスクブレーキとして、二輪自動車等に適用される対向ピストン型のディスクブレーキを例に挙げ、添付図面を参照して詳細に説明する。
ここで、図1ないし図4は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は二輪車等の車輪と共に回転するディスク、2,3は該ディスク1の一側(例えば、アウタ側)と他側(例えば、インナ側)に互いに対向して設けられたキャリパを示している。
そして、該キャリパ2,3のうちディスク1の一面側に位置するキャリパ2は、図2に示すように、ディスク1の周方向に延びたキャリパ本体2Aと、該キャリパ本体2Aの中央部に凹設され後述の摩擦パッド11を収容するパッド収容溝2Bと、該パッド収容溝2Bの底部側に開口するようにキャリパ本体2Aに形成され、ディスク1の周方向に離間した一対のシリンダボア2C,2D等とにより構成されている。
この場合、キャリパ本体2Aの長手方向両端側には、パッド収容溝2Bの両側に位置してディスク1の軸方向に突出する衝合部2E,2Fが設けられ、これらの衝合部2E,2Fは、相手方のキャリパ3(後述の衝合部3E,3F)に対して衝合状態で固定されるものである。
また、他側のキャリパ3についても一側のキャリパ2とほぼ同様に形成され、キャリパ本体3A、後述する摩擦パッド11用のパッド収容溝3B、一対のシリンダボア3C,3Dおよび衝合部3E,3F等を有している。そして、キャリパ3は、衝合部3E,3Fを相手方となるキャリパ2の衝合部2E,2Fに衝合させた状態でボルト等を介してキャリパ2と一体的に締結されている。
また、キャリパ2,3のうち一方のキャリパ(例えば、キャリパ2)には、図1に示すようにディスク1の径方向内側に向けて突出する取付ブラケット4,4がキャリパ本体2Aに一体形成されている。そして、該取付ブラケット4は、車両のフロントフォーク等にボルト(いずれも図示せず)を介して固着状態で取付けられるものである。
このように、取付ブラケット4を車両に取付けた状態では、キャリパ2,3がディスク1を挟んで対向配置される。そして、この状態ではシリンダボア2C,2Dとシリンダボア3C,3Dとが、ディスク1を挟んでに互いに対向するように設置されるものである(図2参照)。
この場合、ディスク1が図2中の矢示A方向に回転する場合(車両の前進時)を前提にすると、キャリパ2のシリンダボア2Cは、ディスク1の回転方向の入口側に位置し、シリンダボア2Dは回転方向の出口側に位置する。また、キャリパ3についても、ディスク1の回転方向の入口側に一方のシリンダボア3Cが配置され、他方のシリンダボア3Dは、ディスク1の回転方向の出口側に配置されるものである。
5,5,…はキャリパ2のシリンダボア2C,2D内とキャリパ3のシリンダボア3C,3D内にそれぞれ摺動可能に挿嵌された複数(例えば、合計4個)のピストンを示している。そして、これらのピストン5は、図2中に示すように有底筒状体として形成され、シリンダボア2C,2D,3C,3Dとの間にはそれぞれ液圧室6,6,…を形成している。
なお、以下の説明では、キャリパ2のシリンダボア2C,2Dのうち、ディスク1の回転方向の入口側に位置するシリンダボア2C側のピストン5を、ピストン5Aとして説明し、回転方向の出口側に位置するシリンダボア2D側のピストン5を、ピストン5Bとして説明する。また、キャリパ3側についても、ディスク1の回転方向入口側のピストン5を、ピストン5Aとし、回転方向出口側のピストン5を、ピストン5Bとして説明する。
7,8は一側のキャリパ2に設けられた液圧の給排口で、該給排口7,8は、図2に示すようにシリンダボア2C,2Dの底部側に位置してキャリパ本体2Aに形成された液孔からなり、後述のブレーキ配管12から供給された液圧をシリンダボア2C,2D(液圧室6)内に流入,出させるものである。
9A,9Bはキャリパ2内に穿設された通液路、10A,10Bはキャリパ3内に穿設された他の通液路を示している。そして、前記給排口7,8は、キャリパ2側の通液路9A,9Bとキャリパ3側の通液路10A,10Bとを介してキャリパ3のシリンダボア3C,3D(液圧室6)にも連通するものである。
ここで、通液路9A,10Aは、ディスク1の回転方向(矢示A方向)入口側に位置するシリンダボア2C,3C間を互いに連通させるため、キャリパ2,3のパッド収容溝2B,3Bを迂回するように略「く」字状に屈曲して形成されている。また、通液路9B,10Bは、ディスク1の回転方向出口側に位置するシリンダボア2D,3D間を互いに連通させるため、キャリパ2,3のパッド収容溝2B,3Bを迂回するように略「く」字状に屈曲して形成されている。
11,11はディスク1の両面側にそれぞれ配設された摩擦パッドで、該各摩擦パッドは、図2に示す如くキャリパ2,3のパッド収容溝2B,3B内にそれぞれ収容され、該パッド収容溝2B,3B内を各ピストン5A,5Bを介してディスク1の軸方向に摺動変位する。これにより、各摩擦パッド11は、ディスク1の両面に押圧され、例えば図2中の矢示A方向に回転しているディスク1に対して制動力を付与するものである。
12はキャリパ2,3の各液圧室6に液圧を給排するためのブレーキ配管で、該ブレーキ配管12は、その一側が車両のマスタシリンダ(図示せず)等に接続され、他側(先端側)はキャリパ2の給排口7,8側に向けて延びている。そして、ブレーキ配管12の先端側は、後述の給排管13,14に接続されている。
13,14はキャリパ2の給排口7,8に接続して設けられた給排管で、該給排管13,14は、図2、図3に示すようにブレーキ配管12の先端側に位置して二又状に分岐した分岐管として構成されている。そして、給排管13は、前記マスタシリンダからブレーキ配管12を介して給排される液圧をキャリパ2の給排口7側に流入,出させる。また、給排管14は、同様にブレーキ配管12を介して給排される液圧をキャリパ2の給排口8側に流入,出させるものである。
15は給排管13の途中に設けられた遅延手段としての弁装置で、該弁装置15は、例えば電磁式弁装置(電磁弁)等により構成され、後述する制御装置18からの制御信号により開,閉弁が制御される。ここで、弁装置15は、図2に示すようにキャリパ2の給排口7近傍に位置して給排管13,14のうち一方の給排管13側に設けられている。
そして、弁装置15は、キャリパ2,3に設けた複数のシリンダボア2C,2D,3C,3Dのうち、ディスク1の回転方向入口側に位置するシリンダボア2C,3Cに供給する液圧を後述の如く制御し、該シリンダボア2C,3Cに対する液圧の供給開始時間を、回転方向出口側に位置する他のシリンダボア2D,3Dよりも後述の遅延時間ΔT(図4参照)分だけ遅らせるものである。
この場合、弁装置15は、図4中に示す後述の特性線20に沿ってブレーキ配管12内の液圧が圧力値P1 まで上昇したときに開弁し、その後は開弁状態を続け、前記液圧が大気圧のレベルに低下したときに閉弁する構成とするのがよい。また、弁装置15は、ブレーキ配管12内への液圧供給が開始されてから所定の遅延時間ΔTをもって開弁し、その後に前記液圧が大気圧のレベルに低下したときに閉弁する構成としてもよいものである。
16は車両のブレーキ操作を検出するペダルセンサで、このペダルセンサ16は、例えば車両のブレーキペダル(図示せず)近傍に配置され、図4に示す後述の特性線19の如くON,OFFされる開閉スイッチ等により構成されるものである。即ち、ペダルセンサ16は、ブレーキペダルの踏込み操作を開始すると、後述の制御装置18に閉成信号(ON信号)を出力し、ペダル操作を解除したときには開成信号(OFF信号)を出力するものである。
17はブレーキ操作時の液圧を検出する圧力センサで、該圧力センサ17は、例えばブレーキ配管12の途中等に設けられ、ブレーキ配管12内の圧力をブレーキ液圧として検出する。そして、圧力センサ17は、このときの検出圧力(液圧)を後述の制御装置18に出力するものである。
18はマイクロコンピュータ等によって構成された制御装置で、この制御装置18は、図3に示す如く入力側がペダルセンサ16および圧力センサ17等に接続され、出力側が弁装置15等に接続されている。また、制御装置18は、ROM、RAM等からなる記憶部18Aを有し、この記憶部18A内には、弁装置15の開,閉弁制御を行うための処理プログラム等が格納されている。そして、制御装置18は、ペダルセンサ16および圧力センサ17からの検出信号に基づいて弁装置15を、図4に示す後述の特性線22に沿って開,閉制御するものである。
本実施の形態によるディスクブレーキは、上述の如き構成を有するもので、次に、制御装置18による弁装置15の開,閉制御について説明する。
まず、図4に示す時間T1 でブレーキ操作を開始した場合を例に挙げると、ペダルセンサ16からの検出信号は、図4中の特性線19の如く時間T1 でOFF状態からON状態に切換わる。そして、ブレーキ配管12内の液圧は、図4中に実線で示す特性線20の如く時間T1 以降でブレーキ操作(例えば、ブレーキペダルのストローク)に対応して増,減される。
このため、キャリパ2のシリンダボア2D側では、ブレーキ配管12内の液圧が給排管14、給排口8を介して供給されることにより、ディスク1の回転方向出口側に位置するピストン5Bを、回転方向入口側のピストン5Aよりも先に駆動でき、ディスク1の回転方向出口側(ピストン5B側)で摩擦パッド11をディスク1に押圧することができる。
そして、ブレーキ配管12内の液圧が圧力値P1 まで上昇したときには、これを圧力センサ17で検出することにより、制御装置18から弁装置15に開弁信号(制御信号)を出力する。これによって、弁装置15は、図4中に実線で示す特性線22の如く時間T2 で遅延時間ΔTをもって開弁し、その後は時間T4 に至るまで開弁状態を続ける。
この結果、ディスク1の回転方向入口側に位置するシリンダボア2C内では弁装置15の開弁に伴って、例えばマスタシリンダからの液圧が供給されるようになり、シリンダボア2C内の液圧を、図4中に一点鎖線で示す特性線21の如く時間T2 以降に漸次増大することができる。
これにより、ディスク1の回転方向入口側に位置するピストン5Aをシリンダボア2C内の液圧によって、例えば遅延時間ΔTをもって駆動でき、ディスク1の回転方向入口側(ピストン5A側)でも摩擦パッド11をディスク1に押圧することができる。
そして、図4中の時間T2 以降では、キャリパ2のシリンダボア2C,2D内でピストン5A,5Bをそれぞれ駆動して摩擦パッド11をディスク1の一側面に押圧することができる。また、このときには、図2に示すキャリパ3のシリンダボア3C,3D内でもそれぞれピストン5A,5Bを駆動して摩擦パッド11をディスク1の他側面に押圧でき、これにより摩擦パッド11,11間でディスク1を両側から挟持し、車両に制動力を付与することができる。
次に、ブレーキ操作を解除したときには、ペダルセンサ16からの信号が図4中の特性線19に示す如く、時間T3 でON状態からOFF状態に切換わる。そして、ブレーキ配管12内の液圧は、特性線20,21の如く時間T3 以降でブレーキ操作が解除されるに伴って急激に低下し、時間T4 でシリンダボア2C,2D内の液圧が大気圧のレベルに達する。
そこで、制御装置18は、圧力センサ17からの検出信号によりブレーキ配管12内の液圧が大気圧のレベルまで低下したときに、弁装置15に対する制御信号の出力を停止し、弁装置15を図4に示す特性線22のように、時間T4 以降は閉弁状態に保持するものである。
かくして、本実施の形態によれば、例えばキャリパ2に設けたシリンダボア2C,2Dのうちディスク1の回転方向入口側に位置するシリンダボア2Cを、給排管13、弁装置15を介してブレーキ配管12に接続し、回転方向出口側のシリンダボア2Dは、給排管14のみを介してブレーキ配管12に接続する構成としている。
これにより、車両のブレーキ操作を開始したときには、シリンダボア2Cよりもシリンダボア2D側で先に液圧を供給することができ、その後に弁装置15が開弁したときに遅延時間ΔTをもってシリンダボア2C側にも液圧を供給することができる。このため、ディスク1の回転方向出口側に位置するシリンダボア2D側で先にピストン5Bを駆動して摩擦パッド11をディスク1に押圧することができ、その後に回転方向入口側のシリンダボア2Cでもピストン5Aを駆動して摩擦パッド11をディスク1に押圧することができる。
従って、ブレーキ操作の開始時に摩擦パッド11が回転しているディスク1に対して、例えば回転方向(図3中の矢示A方向)出口側で片当りするのを防止でき、摩擦パッド11の起振(振動)等を低減できると共に、所謂ブレーキ鳴きの発生を抑えることができる。そして、前記遅延時間ΔTが経過した後には全てのシリンダボア2C,2D(3C,3D)内にブレーキ操作に対応した液圧を供給することができる。
このため、急ブレーキの操作時等にブレーキペダルを強く踏込んだときには、これに対応した液圧を全てのシリンダボア2C,2D(3C,3D)内に供給でき、ディスクブレーキを高い応答性をもって作動させることができる。これにより、強ブレーキの操作時には作動液圧を十分に高めることができ、車両の制動距離等を短く抑えることができる。
なお、上記実施の形態においては、圧力センサ17を用いて弁装置15を圧力値P1で開弁するようにしたが、これに限らず、制御装置18内のタイマを用いてペダルセンサ16がON状態となってから遅延時間ΔT後に開弁するようにしてもよい。
次に、図5は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、ディスクの回転方向入口側に位置するシリンダボアとブレーキ配管との間に設ける遅延手段を、固定絞り付逆止弁等からなる弁装置により構成したことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、31,32はキャリパ2の給排口7,8に接続して設けられた給排管を示し、該給排管31,32は、第1の実施の形態で述べた給排管13,14と同様に、ブレーキ配管12の先端側に位置して二又状に分岐した分岐管として構成されている。しかし、給排管31,32のうちシリンダボア2Cに給排口7を介して接続される給排管31には、後述する逆止弁34の前,後を迂回するようにバイパス管路31Aが追加して設けられている。
33は給排管31の途中に設けられた遅延手段としての弁装置で、該弁装置33は、固定絞り付逆止弁等を用いて構成され、後述するスプリング付勢式の逆止弁34と絞り弁35とにより構成されている。
34は弁装置33の一部を構成するスプリング付勢式の逆止弁で、該逆止弁34は、後述の絞り弁35と並列に接続されるように給排管31の途中に設けられている。そして、逆止弁34は、スプリング34Aにより常時閉弁方向に付勢され、例えばブレーキ配管12内の液圧が所定の設定圧力(例えば、図4中に例示した圧力値P1 )を越えたときに、スプリング34Aの付勢力に抗して開弁するものである。この場合、スプリング34Aの付勢力を変えることにより、逆止弁34の開弁圧は適宜に調整されるものである。
35は逆止弁34と共に弁装置33を構成する絞り弁で、この絞り弁35は、バイパス管路31Aの途中に設けられ、給排管31に対して逆止弁34とは並列に接続されている。そして、絞り弁35は、バイパス管路31A内を流れるブレーキ液(液圧)に絞り抵抗を与え、絞り弁35の前,後に圧力差を生じさせるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、スプリング付勢式の逆止弁34と絞り弁35とからなる固定絞り付逆止弁である弁装置33を、給排管31の途中に設けているので、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができ、所謂ブレーキ鳴きの発生原因となる摩擦パッド11の起振(振動)等を低減することができる。
即ち、本実施の形態では、例えばブレーキ操作の開始時にブレーキ配管12側から液圧が供給されると、給排管31側では、バイパス管路31A、絞り弁35を介して少量のブレーキ液が流通する。しかし、給排管31の途中に設けた逆止弁34は、スプリング34Aにより閉弁状態に保持されるので、ディスク1の回転方向出口側に位置するシリンダボア2D側で先にピストン5Bを駆動して摩擦パッド11をディスク1に押圧することができる。
そして、その後にブレーキ配管12内の液圧がスプリング34Aの設定圧力よりも高くなった段階で逆止弁34が開弁することによって、ディスク1の回転方向入口側に位置するシリンダボア2Cでも液圧を発生させ、この液圧でピストン5Aを駆動して摩擦パッド11をディスク1に押圧することができ、ピストン5A,5Bにより摩擦パッド11を介してディスク1に制動力を付与することができる。
一方、ブレーキ操作を解除したときには、ブレーキ液圧が低下するに伴ってシリンダボア2D側の液圧は、ブレーキ配管12を介してマスタシリンダ(リザーバ)側に排出される。また、シリンダボア2C内の液圧は、逆止弁34が閉弁することにより、絞り弁35を介してのみブレーキ配管12側に漸次排出される。これにより、ピストン5A,5Bを摩擦パッド11と共にディスク1から離間する方向に変位させ、ディスク1に対する制動力を解除することができる。
しかも、本実施の形態では、弁装置33をスプリング付勢式の逆止弁34と絞り弁35とで構成することにより、第1の実施の形態で用いた制御装置18等を不要にでき、装置全体を簡素化し、製造コスト等を低減することができる。
次に、図6は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。しかし、本実施の形態の特徴は、給排管13の途中に弁装置41を設け、給排管14の途中には他の弁装置42を設ける構成としたことにある。
ここで、遅延手段としての弁装置41,42は、第1の実施の形態で述べた弁装置15と同様に電磁式弁装置等により構成され、後述する制御装置44からの制御信号によりそれぞれ開,閉制御される。しかし、この場合の弁装置41,42は、制御装置44が回転センサ43からの検出信号に基づいて車両の前,後進を判定するときに、その判定結果に従ってそれぞれの開,閉弁が制御されるものである。
また、制御装置44は、第1の実施の形態で述べた制御装置18とほぼ同様に構成され、記憶部44A等を有している。しかし、制御装置44は、ディスク1または車輪等の回転方向を検出する回転センサ43からの信号により、車両が前進しているか、後進しているかを判定する機能等を有している。
そして、制御装置44は、車両が前進(ディスク1が矢示A方向に回転)していると判定したときに、弁装置41を第1の実施の形態で述べた弁装置15と同様に、図4中に例示した特性線22の如く開,閉制御し、弁装置42については開弁状態に保持し続けるものである。
また、制御装置44は、車両が後進(ディスク1が矢示B方向に回転)していると判定したときに、弁装置42を第1の実施の形態で述べた弁装置15と同様に、図4中に例示した特性線22の如く開,閉制御し、この場合には弁装置41を開弁状態に保持し続けるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、ディスク1が矢示A方向に回転する車両の前進時には、回転方向出口側に位置する弁装置42を開弁状態に保持しつつ、ブレーキ操作時に回転方向入口側に位置する弁装置41を開,閉制御することにより、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
一方、車両が後進するときには、ディスク1が矢示B方向に回転するので、この場合には、回転方向(矢示B方向)出口側に位置する弁装置41を開弁状態に保持しつつ、ブレーキ操作時に回転方向入口側に位置する弁装置42を開,閉制御することができる。
従って、本実施の形態では、車両の前進時に加えて後進時にも、ディスク1の回転方向出口側で摩擦パッド11が片当りするのを防止でき、摩擦パッド11の起振(振動)等を低減できると共に、所謂ブレーキ鳴きの発生を抑えることができる。しかも、強ブレーキの操作時には作動液圧を十分に高めることができ、車両の制動距離等を短く抑えることができる。
次に、図7および図8は本発明の第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、他のシリンダボア側に供給される液圧に対し必要に応じて予圧を与える予圧手段を追加して設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、51は液圧の給排管14から分岐して設けられた予圧管で、該予圧管51は、一側が後述の予圧源53に接続され、その他側は、キャリパ2の給排口8とブレーキ配管12との間で給排管14の途中位置に接続されている。そして、予圧管51の途中には後述の予圧制御弁52が設けられている。
52は予圧管51の途中に設けられた予圧制御弁で、該予圧制御弁52は、弁装置15とほぼ同様な電磁式弁装置等により構成され、後述する制御装置54からの制御信号によって開,閉制御される。しかし、予圧制御弁52は、後述の圧力降下ΔP(図9参照)を補正するために短時間だけ開弁され、これ以外のときには閉弁状態に保持されるものである。
53は液圧の予圧手段を構成する予圧源で、該予圧源53は、例えば液圧ポンプ(図示せず)により予め決められた設定圧力まで加圧された液圧を蓄圧する蓄圧器(アキュムレータ)等により構成されている。そして、予圧源53は、内部に蓄圧した液圧を予圧制御弁52が開弁されたときに予圧管51内に向け予圧として供給するものである。
54は本実施の形態で採用した制御装置で、該制御装置54は、第1の実施の形態で述べた制御装置18とほぼ同様に構成され、記憶部54A等を有している。しかし、制御装置54は、弁装置15の開,閉制御に加えて予圧制御弁52の開,閉制御を行うものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができ、例えば車両の前進途中でブレーキ操作を行ったときに所謂ブレーキ鳴きの発生原因となる摩擦パッド11の起振(振動)等を低減することができる。
しかも、本実施の形態では、液圧の予圧源53を予圧管51、予圧制御弁52を介して給排管14に接続する構成としているので、例えば図9に示す比較例のように、ブレーキ操作の開始後の時間T2 で圧力降下ΔPが発生しても、これを予圧源53からの液圧(予圧)供給によって補正することができ、図8中に実線で示す特性線55のようにブレーキ液圧を滑らかに増減(制御)することができる。
即ち、車両が前進(ディスク1が矢示A方向に回転)している途中で、例えば時間T1 においてブレーキ操作を開始した場合、キャリパ2のシリンダボア2D側では、ブレーキ配管12内の液圧が給排管14、給排口8を介して供給されることにより、例えば図9中に実線で示す特性線55′に沿ってシリンダボア2D内の液圧が上昇する。
一方、シリンダボア2C内の液圧は、時間T2 で遅延時間ΔTをもって弁装置15が開弁したときに、ブレーキ配管12内の液圧が給排管13、給排口7を介して供給されることにより、図9中に一点鎖線で示す特性線56′に沿って上昇する。
しかし、ブレーキ配管12からの液圧は、これまで給排管14側にのみ供給している状態から、時間T2 において給排管13,14の両方に供給することになるため、時間T2 を過ぎた段階(即ち、弁装置15が開弁し始めた段階)で給排管14を介してシリンダボア2D側に供給される液圧には、図9中の特性線55′の如く圧力降下ΔPが生じる。
そこで、本実施の形態では、時間T2 の段階で予圧制御弁52を短時間だけ開弁し、予圧源53内に蓄圧した液圧を予圧管52、給排管14内に向け予圧として供給する。これにより、給排管14(シリンダボア2D)側に供給される液圧を、図8中の特性線55の如く滑らかに昇圧することができる。
また、給排管13(シリンダボア2C)側に供給する液圧も、図8中に一点鎖線で示す特性線56の如く滑らかに昇圧することができ、これにより、ディスク1の回転方向入口側(シリンダボア2C側)と出口側(シリンダボア2D側)とでピストン5A,5Bを安定して駆動することができる。
従って、例えば図9に示す比較例のようにブレーキ操作の開始後の時間T2 で圧力降下ΔPが発生するのを、予圧源53からの液圧(予圧)供給によって補正することができ、図8中の特性線55,56のようにブレーキ液圧を滑らかに増減(制御)することができる。
次に、図10は本発明の第5の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、前述した第4の実施の形態による構成に加えて、車両の前,後進途中でのブレーキ制御を共に安定させる構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、61,62はキャリパ2の給排口7,8に接続して設けられた給排管を示し、該給排管61,62は、第1の実施の形態で述べた給排管13,14と同様に、ブレーキ配管12の先端側に位置して二又状に分岐した分岐管として構成されている。しかし、この場合の給排管61,62には、後述の予圧管65,66が途中位置から分岐して設けられている。
63,64は給排管61,62の途中に設けられた遅延手段としての弁装置で、該弁装置63,64は、第1の実施の形態で述べた弁装置15と同様に電磁式弁装置等により構成され、後述する制御装置71からの制御信号によりそれぞれ開,閉制御される。しかし、この場合の弁装置63,64は、第3の実施の形態で述べた弁装置41,42と同様に、車両の前進,後進を判定するときの判定結果に従ってそれぞれの開,閉弁が制御されるものである。
65は液圧の給排管61に分岐して設けられた予圧管で、該予圧管65は、一側が後述の予圧源69に接続され、その他側は、キャリパ2の給排口7と弁装置63との間で給排管61の途中位置に接続されている。そして、予圧管65の途中には後述の予圧制御弁67が設けられている。
66は液圧の給排管62に分岐して設けられた予圧管で、該予圧管66は、一側が後述の予圧源69に接続され、その他側は、キャリパ2の給排口8と弁装置64との間で給排管62の途中位置に接続されている。そして、予圧管66の途中には後述の予圧制御弁68が設けられている。
67,68は予圧管65,66の途中に設けられた予圧制御弁を示し、該予圧制御弁67,68は、弁装置63,64とほぼ同様な電磁式弁装置等により構成され、後述する制御装置71からの制御信号によりそれぞれ開,閉制御される。しかし、予圧制御弁67,68は、前記第4の実施の形態で述べたように圧力降下ΔP(図9参照)を補正するために短時間だけ開弁され、これ以外のときには閉弁状態に保持されるものである。
69は液圧の予圧手段を構成する予圧源で、該予圧源69は、第4の実施の形態で述べた予圧源53と同様に構成されている。そして、予圧源69は、内部に蓄圧した液圧を予圧制御弁67,68が開弁されたときに予圧管65,66内に向け予圧として供給するものである。
即ち、一方の予圧制御弁67を開弁したときには、予圧源69からの液圧が予圧管65、給排管61、給排口7を介してシリンダボア2C(液圧室6)内に予圧となって付加(供給)される。そして、予圧制御弁67を閉弁すると、前記予圧の供給は遮断される。また、他方の予圧制御弁68を開弁したときには、予圧源69からの液圧が予圧管66、給排管62、給排口8を介してシリンダボア2D(液圧室6)内に予圧となって付加(供給)される。そして、予圧制御弁68を閉弁すると、前記予圧の供給は遮断されるものである。
70は車両の前,後進を検知する回転センサで、該回転センサ70は、前記第3の実施の形態で述べた回転センサ43と同様に構成され、ディスク1または車輪等の回転方向を検出する。そして、後述の制御装置71は、回転センサ70からの検出信号により車両が前進しているか、後進しているかを判定する。
71は本実施の形態で採用した制御装置で、この制御装置71は、第1の実施の形態で述べた制御装置18とほぼ同様に構成され、記憶部71A等を有している。しかし、制御装置71は、回転センサ70からの検出信号により車両が前進しているか、後進しているかを判定する機能等を有している。
そして、制御装置71は、車両が前進(ディスク1が矢示A方向に回転)していると判定したときに、弁装置63を第1の実施の形態で述べた弁装置15と同様に、図4中に例示した特性線22の如く開,閉制御し、弁装置64については開弁状態に保持し続ける。また、制御装置71は、前述した第4の実施の形態と同様に圧力降下ΔP(図9参照)を補正するため弁装置63が開弁し始めたときに、予圧制御弁68を短時間だけ開弁させるものである。
一方、制御装置71は、車両が後進(ディスク1が矢示B方向に回転)していると判定したときに、弁装置64を第1の実施の形態で述べた弁装置15と同様に、図4中に例示した特性線22の如く開,閉制御し、この場合には弁装置41を開弁状態に保持し続ける。また、制御装置71は、図9に例示した圧力降下ΔPを補正するため弁装置64が開弁し始めたときに、予圧制御弁67を短時間だけ開弁させるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態では、前述した第4の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができ、図8に例示した特性線55,56のようにブレーキ液圧を滑らかに増減(制御)することができる上に、車両の前進時に加えて後進時にも、所謂ブレーキ鳴きの発生原因となる摩擦パッド11の起振(振動)等を低減することができる。
次に、図11ないし図14は本発明の第6の実施の形態を示し、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。しかし、本実施の形態の特徴は、車両の緩制動時と急制動時とを識別し、この識別結果に基づいて弁装置15の開,閉制御を行う構成としたことにある。
ここで、本実施の形態で採用した制御装置81は、第1の実施の形態で述べた制御装置18とほぼ同様に構成され、記憶部81A等を有している。しかし、この制御装置81は、図13中に二点鎖線で示す基準特性82を、車両のブレーキ操作が緩制動であるか急制動であるかを判別するための特性として、例えば記憶部81A内に予め格納している。
即ち、車両のブレーキ操作時に、例えばマスタシリンダ(図示せず)からブレーキ配管12内に供給されるブレーキ液圧の立上り特性は、図13中に例示する特性線83のように液圧の上昇率(単位時間当りの上昇率)が比較的小さいときには緩制動時であり、特性線84のように液圧の上昇率が大きいときには急制動時であると判別することができる。
また、所謂ブレーキ鳴きは、緩制動時にはタイヤからのスキール音やエンジン音等が比較的静かであるため運転者の耳につきやすく、逆に急制動時には、運転者の意識が制動に集中するため運転者の耳につきにくい。
そこで、本実施の形態では、ブレーキ操作の開始時に圧力センサ17で監視している液圧の変化特性(単位時間当りの液圧変化)を初期段階で読込み、この変化特性と図13中に二点鎖線で示す基準特性82とを比較することにより、緩制動であるか急制動であるかを判定する。
そして、緩制動と判定したときには、制御装置81からの制御信号により弁装置15を図12中に実線で示す特性線86に沿って開,閉弁させる。これにより、例えば第1の実施の形態で述べた図4中の特性線22と同様に弁装置15を開,閉制御することができ、所謂緩制動時に運転者の耳につき易いブレーキ鳴きの発生を良好に抑えることができる。
一方、制御装置81で急制動と判定したときには、弁装置15を図12中に二点鎖線で示す特性線87の如く、時間T1 (ブレーキ操作の開始時に可能な限り近似した時間)に開弁させ、その後の時間T4 (図4参照)まで開弁し続ける。これにより、所謂ブレーキ鳴きが運転者の耳につかない急制動時には、弁装置15を最初から開放してシリンダボア2C,2Dの両方にブレーキ配管12からの液圧を即座に供給することができる。
かくして、このように構成される本実施の形態では、車両の緩制動時と急制動時とを制御装置81により識別し、この識別結果に基づいて弁装置15の開,閉制御を行うことにより、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
なお、前記第6の実施の形態では、図12に特性線86,87で示すように弁装置15を常閉の制御弁(電磁弁)を用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば常開の電磁弁を用いて弁装置(遅延手段)を構成し、制御装置からの電気信号で図12に示す特性線86,87のように閉弁または開弁させるように構成してもよい。
そして、弁装置15を常開の電磁弁で構成した場合には、例えば電気系統の失陥時にも弁装置15を開放状態に保つことにより、ブレーキの制御を安全サイドで行うことができる。また、この点は前記第1,第3〜第5の実施の形態で用いた弁装置15,41,42,63,64についても同様である。
また、前記第1の実施の形態では、図1、図2に示すように対向ピストン型のディスクブレーキを例に挙げ挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばインナ脚部側に複数のシリンダボアを有し、アウタ脚部が複数の爪部により構成されるキャリパを用いたディスクブレーキにも適用できるものである。そして、この点は第2〜第6の実施の形態についても同様である。
さらに、前記第1の実施の形態では、一側のキャリパ2に2個のシリンダボア2C,2Dを設けてなるディスクブレーキを例に挙げ挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば一側のキャリパに3個以上のシリンダボアを形成してなるディスクブレーキにも適用できる。
そして、この場合には、ディスクの回転方向で最も入口側寄りに位置するシリンダボア側に、例えば給排管等を介して弁装置等の遅延手段を設ける構成とすればよい。また、この点は第2〜第6の実施の形態についても同様である。
本発明の第1の実施の形態によるディスクブレーキを示す正面図である。 キャリパのシリンダボア等を図1中の矢示II−II方向からみた断面図である。 図2に示すディスクブレーキの制御ブロック図である。 ペダルセンサの動作特性、液圧の変化特性および弁装置の開,閉制御を示す特性線図である。 第2の実施の形態によるディスクブレーキを示す部分断面図である。 第3の実施の形態によるディスクブレーキの制御ブロック図である。 第4の実施の形態によるディスクブレーキの制御ブロック図である。 第4の実施の形態による液圧の変化特性を示す特性線図である。 比較例による液圧の変化特性を示す特性線図である。 第5の実施の形態によるディスクブレーキの制御ブロック図である。 第6の実施の形態によるディスクブレーキの制御ブロック図である。 第6の実施の形態による弁装置の開,閉制御を示す特性線図である。 緩制動時、急制動時等における液圧の変化特性を示す特性線図である。
符号の説明
1 ディスク
2,3 キャリパ
2C,3C 一方のシリンダボア
2D,3D 他方のシリンダボア
5,5A,5B ピストン
6 液圧室
7,8 給排口
11 摩擦パッド
12 ブレーキ配管
13,14,31,32,61,62 給排管
15,33,41,42,63,64 弁装置(遅延手段)
16 ペダルセンサ
17 圧力センサ
18,44,54,71,81 制御装置
34 スプリング付勢式の逆止弁
35 絞り弁
43,70 回転センサ
51,65,66 予圧管
52,67,68 予圧制御弁
53,69 予圧源(予圧手段)
ΔT 遅延時間
P1 圧力値

Claims (6)

  1. ディスクの回転方向に離間して複数のシリンダボアが形成されたキャリパを有し、該キャリパの各シリンダボア内には、外部から供給された液圧によって摩擦パッドを前記ディスクに押圧するピストンをそれぞれ摺動可能に挿嵌してなるディスクブレーキにおいて、
    前記複数のシリンダボアのうち前記ディスクの回転方向の入口側に位置する一のシリンダボア側には、他のシリンダボア側よりも前記液圧の供給開始時間を遅らせる遅延手段を設けたことを特徴とするディスクブレーキ。
  2. 前記遅延手段は、前記一のシリンダボアに対して前記液圧を給排するため前記キャリパに設けられた給排口の近傍に配設してなる請求項1に記載のディスクブレーキ。
  3. 前記遅延手段は、前記他のシリンダボアに対する液圧供給が開始された後に遅延時間をもって開弁する構成としてなる請求項1または2に記載のディスクブレーキ。
  4. 前記遅延手段は、前記他のシリンダボアに供給される液圧が予め決められた圧力値まで上昇したときに開弁する構成としてなる請求項1または2に記載のディスクブレーキ。
  5. 前記遅延手段は、一旦開弁した後に前記一のシリンダボアに供給された液圧が大気圧のレベルに低下するまでは開弁状態を保つ構成としてなる請求項1,2,3または4に記載のディスクブレーキ。
  6. 前記他のシリンダボア側には外部から供給される液圧に予圧を与える予圧手段を設け、該予圧手段は、前記一のシリンダボア側で前記遅延手段が開弁し始めたときに前記他のシリンダボア側の液圧に予圧を付与する構成としてなる請求項1,2,3,4または5に記載のディスクブレーキ。
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