JP2007296464A - フミン物質吸着剤とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フミン物質に対して従来の吸着剤よりも吸着能力に優れており、かつ吸着速度が格段に速いフミン物質吸着剤とその製造方法を提供する。
【解決手段】結晶質ヒドロキシアパタイトと多孔質シリカとの複合多孔質体であって、該複合多孔質体表面が針状結晶化しているヒドロキシアパタイトシリカ複合多孔質体からなることを特徴とするフミン物質吸着剤であり、好ましくは、添加後30分以内に初期フミン物質濃度を半減する吸着性能を有するフミン物質吸着剤。この吸着剤は針状の珪酸カルシウムにリン酸を反応させることによって、表面が針状結晶化したヒドロキシアパタイトシリカ複合多孔質体を形成することによって製造することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、フミン物質を吸着するヒドロキシアパタイトシリカ複合多孔質体(HAPS多孔質体と云う場合がある)からなる吸着剤とその製造方法に関する。フミン物質は腐植質とも云われ、動植物体などが微生物分解を受けて生成した高分子の天然有機物であり、フミン酸やフルボ酸などはフミン物質の一種である。
本発明は、これらのフミン物質に対して従来の吸着剤よりも吸着能力に優れており、かつ吸着速度が格段に速いフミン物質吸着剤とその製造方法に関する。
近年、水道水等に利用される原水の水質は、汚染の拡大により劣化傾向にある。飲料用に供される水道水等には殺菌のために塩素が添加されており、水中の残留塩素を一定濃度以上含有することが定められている。具体的には、例えば、水道法等に健康・公衆衛生の観点に基づいて塩素の運用方法が規定されている。
しかし、塩素には殺菌作用の他に無機物の酸化作用や有機物の酸化分解作用があり、天然有機物の一種であるフミン物質は、塩素により発ガン物質であるトリハロメタン類に酸化分解される。しかも原水中に含まれるフミン物質は、汚染によって増加する傾向があり、これに伴い発生するトリハロメタン類の濃度も増加する傾向がある。そのため、トリハロメタン類を除去し、またはトリハロメタン類の発生を抑制するためにフミン物質を除去する浄化処理が求められている。
フミン物質の除去方法として、硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウム等のアルミニウム塩を凝集剤にして吸着除去する凝集剤添加法が従来から知られている。この方法は、表面にマイナス電荷を帯びているフミン物質に対して、プラスの電荷を帯びたアルミニウム水酸化物を添加して凝集沈殿させる方法である。しかし、アルミニウム塩の投入後にpHの制御を行わなければならず、また、装置の大型化や後処理が必要になるという問題がある。
他のフミン物質除去方法としては、オゾン曝気や紫外線照射によって酸化分解する方法も知られている。しかし、この方法は、フミン物質そのものを強制的に酸化して分子量の小さい化合物に変えた後、活性炭吸着やそのまま揮発させて除去する方法であり、装置の大型化や後処理が必要になるという問題がある。
一方、トリハロメタン類を吸着除去する活性炭は、フミン物質の吸着除去にも用いることができ、フミン物質の中でも分子量の小さいもの(1500程度)に有効である。しかし、従来の活性炭は以下のような課題を有していた。
(イ)分子量の大きなフミン物質に対しては、吸着に有効な孔径が小さいために、フミン物質の吸着によって孔の入口が塞がれてしまい、活性炭単量重量当たりの吸着容量が低くなり、吸着性能が充分に発揮されない.
(ロ)活性炭自体が水圧に押しつぶされて多孔質が日詰まりするため、有効に吸着することができない。
(ハ)従来の活性炭の製造方法では、高分子量のフミン物質を吸着するのに適した細孔径分布を有する活性炭を製造するのは困難である。
水酸アパタイトを用いた土壌有機物(フミン酸等)の除去方法も知られている(特許文献1)。この水酸アパタイトは活性炭よりは吸着効果が高いものの、初期吸着性能には限界がある。また、カルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属元素をシリカゲルに担持してなる吸着剤(特許文献2)や、チタンを多孔質体に担持してなる吸着剤(特許文献3)が知られているが、これらも初期吸着性能には限界があり、さらに製造が面倒であり、チタンを用いるものはコスト高である。
特開平07−256248号公報 特開2004−141752号公報 特開2005−238174号公報
本発明は、従来知られているフミン物質吸着剤の上記問題を解決したものであり、フミン物質に対して従来の吸着剤よりも吸着能力に優れており、かつ吸着速度が格段に速いフミン物質吸着剤とその製造方法を提供する。
本発明は、以下に示す構成によって上記課題を解決したフミン物質吸着剤とその製造方法に関する。
(1)結晶質ヒドロキシアパタイトと多孔質シリカとの複合多孔質体であって、該複合多孔質体表面が針状結晶化しているヒドロキシアパタイトシリカ複合多孔質体からなることを特徴とするフミン物質吸着剤。
(2)全細孔容積が0.5ml/g以上である上記(1)に記載するフミン物質吸着剤。
(3)平均粒径10〜60μm、BET比表面積100m2/g以上、透水率1〜100×10-4cm/sである上記(1)または上記(2)の何れかに記載するフミン物質吸着剤。
(4)フミン物質含有水溶液に添加したときに、添加後30分以内に初期フミン物質濃度を半減する上記(1)〜上記(3)の何れかに記載するフミン物質吸着剤。
(5)フミン物質含有水溶液に添加したときに、添加後60分以内に初期フミン物質濃度を20%以下に低減する上記(1)〜上記(4)の何れかに記載するフミン物質吸着剤。
(6)珪酸カルシウムにリン酸を反応させて結晶質ヒドロキシアパタイトと多孔質シリカとの複合多孔質体を製造する方法において、針状の珪酸カルシウムにリン酸を反応させることによって、表面が針状結晶化したヒドロキシアパタイトシリカ複合多孔質体からなるフミン物質吸着剤を製造する方法。
本発明のフミン物質吸着剤は、結晶質ヒドロキシアパタイトと多孔質シリカとの複合多孔質体であり、例えば、フミン物質の吸着に適した数〜十数nmの細孔を多く持ち、細孔容積が高く、好ましくは全細孔容積0.5ml/g以上の複合多孔質体であり、さらに複合多孔質体の表面が針状結晶化しており、そのため、フミン物質に対し吸着容量が大きく、吸着速度が速く、また高分子量から低分子量までのフミン物質を満遍なく吸着するという優れた性質を有している。
本発明のフミン物質吸着剤は、具体的には、例えば、フミン物質含有水溶液に添加したときに、添加後30分以内に初期フミン物質濃度を半減する吸着速度を有し、また、添加後60分以内に初期フミン物質濃度を20%以下に低減する吸着速度を有する。
また、本発明のフミン物質吸着剤は、例えば、平均粒径10〜60μm、好ましくは10〜40μmの適度な粒子径を有しながらBET比表面積100m2/g以上の大きな比表面積を有するので、優れた吸着性と共に高い透水性を有しており、具体的には例えば、透水率が1〜100×10-4cm/sであるので目詰りを生じ難く、長時間安定に使用することができる。
本発明の吸着剤は、結晶質ヒドロキシアパタイトによる複合体であるので、水に対して溶解性が低く、例えば、リン溶解度が3.5ppm以下、好ましくは1.0ppm以下であり、耐水性に優れている。
アルミ添加によって高分子量フミン物質を凝集沈殿させ、さらに活性炭によって低分子量フミン物質を吸着除去するという二段階の除去工程を行う従来の処理方法に対して、本発明のフミン物質吸着剤によればこのような二段階の工程を必要とせず、一段の工程でフミン物質を除去することができる。
また、針状結晶の珪酸カルシウムにリン酸を反応させることによって、表面が針状結晶化したヒドロキシアパタイトシリカ複合多孔質体からなるフミン物質吸着剤を製造する本発明の方法によれば、表面が針状結晶化し、フミン物質に対する吸着速度の速いHAPS吸着剤を製造することができる。
以下、本発明について最良の実施形態と共に具体的に説明する。
本発明のフミン物質吸着剤は、結晶質ヒドロキシアパタイトと多孔質シリカとの複合多孔質体である。ヒドロキシアパタイトを含有しないシリカは多孔質であってもフミン物質を全く吸着しない。
また、本発明のフミン物質吸着剤は、上記複合多孔質体表面の広い範囲が針状結晶化しており、例えば、複合多孔質体表面の約半分以上の範囲が針状結晶化しているものが好ましい。さらに、本発明のフミン物質吸着剤は、平均粒径10〜60μm、好ましくは10〜40μmであって、針状結晶が粒子表面の広い範囲に存在するものが良い。
本発明のフミン物質吸着剤として用いる上記複合多孔質体は、珪酸カルシウム粒子にリン酸を反応させて製造することができるが、このとき、珪酸カルシウム粒子が球状ないしは塊状であると、ヒドロキシアパタイトの針状結晶は珪酸カルシウム粒子の少ない表面に積み重なるようにして析出するため、吸着剤として有効に働く針状結晶は複合多孔質体表面の一部にしか存在せず、フミン物質に対する吸着速度が向上しない。一方、珪酸カルシウム粒子が針状であると上記複合多孔質体の表面全体に針状結晶が存在するようになり、フミン物質に対する吸着速度が格段に速い吸着剤を得ることができる。
本発明のフミン物質吸着剤は、具体的には、後述の実施例に示すように、例えば、フミン物質含有水溶液に添加したときに、添加後30分以内に初期フミン物質濃度を半減する吸着速度を有し、また、添加後60分以内に初期フミン物質濃度を20%以下に低減する吸着速度を有する。
本発明のフミン物質吸着剤は、多孔質体であり、例えば、全細孔容積0.5ml/g以上、BET比表面積100m2/g以上のものが好ましい。全細孔容積およびBET比表面積がこれより小さいと、フミン物質に対する吸着性能が低くなる。また、透水率が1〜100×10-4cm/sであるものが好ましい。透水率がこの範囲であるものは目詰まりを生じ難く、長期間安定に使用することができる。
また、本発明のフミン物質吸着剤は、結晶質ヒドロキシアパタイトによる複合体であるので、水に対して溶解性が低く、例えば、リン溶解度が3.5ppm以下、好ましくは1.0ppm以下であるので、耐水性に優れている。ヒドロキシアパタイトが非晶質であるとリン酸が溶解しやすいので耐水性が低く、長期間の使用に耐えない。
本発明のフミン物質吸着剤として用いるヒドロキシアパタイトシリカ複合多孔質体は、珪酸カルシウム化合物にリン酸を反応させて、カルシウム分を結晶質ヒドロキシアパタイトに転化させると共にシリカ分を多孔質シリカとして析出させることによって製造することができる。
従来の製造方法のように、多孔質シリカ等の多孔質材料にヒドロキシアパタイトを含浸させ、または析出させる方法によって製造したものは、基材が多孔質でもヒドロシキアパタイトの析出によってその多孔性が損なわれてしまうので、本発明のような多孔質体を得ることができない。
一方、珪酸カルシウムをリン酸と反応させる製造方法によれば、ヒドロキシアパタイトの生成と共に多孔質なシリカが生成するので、多孔性を損なうことなく、ヒドロキシアパタイトと多孔質シリカとの複合体が形成される。また、珪酸カルシウム化合物とリン酸との反応方法を工夫することにより、珪酸カルシウム化合物の酸分解により生じる多孔質シリカを、もとの珪酸カルシウム化合物粒子から遊離させず、その粒子表面にヒドロキシアパタイトと同時に析出させることによって、良好な濾過特性、沈降性、透水性を有する複合多孔質体を得ることができる。さらに、生成するヒドロキシアパタイトは結晶性が良いため、水に対する溶解牲も低いという利点を有する。単に石灰質原料とリン酸を反応させただけのヒドロキシアパタイト単体では、このようなフミン物質の吸着特性と、良好な濾過特性、沈降性、透水性、水に対する低溶解性のすべてを満足させる吸着剤とすることはできない。
以下、本発明の製造方法を具体的に説明する。
本発明のフミン物質吸着剤として用いるHAPS複合多孔質体は、基材となる珪酸カルシウムにリン酸を反応させて製造することができる。
珪酸カルシウム化合物は珪酸原料と石灰原料とを水性スラリーとしたものを、例えばオートクレーブ中において水熱反応を行なって合成した一般的によく知られているものを好適に用いることができる。その種類としては、珪酸カルシウム化合物であれば特に限定されず、例えば、トバモライト、ジャイロライト、ゾノトライトなどの結晶質珪酸カルシウム、あるいは非晶質珪酸カルシウムなど何れの珪酸カルシウムを用いることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、これらの珪酸カルシウム化合物は粉体の状態だけではなく、これらの珪酸カルシウム化合物を適当な方法で成型した板状物あるいは塊状物を用いることができる。
上記HAPS複合多孔質体の基材となる珪酸カルシウムは、平均粒径が40μm以下であって針状粒子のものが好ましい。珪酸カルシウムの平均粒径が40μmより大きいと、粒子表面の広い範囲を針状結晶化するのが難しい。珪酸カルシウムのカルシウムとシリカのモル比(Ca/Si)は0.1〜2.0であるものが好ましく、0.8〜1.5前後のモル比であるものがより好ましい。カルシウムとシリカのモル比(Ca/Si)が上記範囲であるものは、針状粒子となり、粒子表面の広い範囲を針状結晶化することができる。
次に、珪酸カルシウム化合物のヒドロシキアパタイト化を行う。これは水熱反応により生成した珪酸カルシウム化合物のスラリーあるいは成型品を浸漬した水性溶液に、リン酸を添加することによって行うことができる。
例えば、非晶質シリカ粉などの珪酸原料に消石灰などの石灰原料に水を加えて水熱反応させ、珪酸カルシウムスラリーを製造し、このスラリーにリン酸を加えてヒドロシキアパタイト化する場合、水熱反応によって針状粒子の珪酸カルシウムを生成させたスラリーを用いると良い。
リン酸濃度は2〜50%、好ましくは5〜40%の範囲がよい。リン酸濃度が2%未満では処理すべき液の量が増大して不都合であり、50%より高い場合は、局部的な液のpHの低下によって微細なヒドロシキアパタイトやシリカ粒子が発生しやすくなるので不都合である。リン酸の替わりに、リン酸アンモニウムやリン酸ナトリウムのような水溶性リン酸塩を用いることもできる。
リン酸の添加量は、珪酸カルシウム化合物中のカルシウムと添加するリン酸のモル比(Ca/P)が1.9未満になるように定めることが望ましい。このモル比が1.9以上であると、フミン物質の吸着能力が低下するだけでなく、透水性も低下する。一方、このモル比が低い場合は、吸着剤のリンの溶解度が上がる傾向を示すので、工業的にみてCa/Pモル比1.3以上が推奨される。
リン酸の添加に際しては、珪酸カルシウム化合物の分解に見合った速度で徐々にリン酸を加えていくことが肝要である。リン酸液に珪酸カルシウムを浸漬する方法、あるいは珪酸カルシウムのスラリーにリン酸を添加する方法の何れにおいても、添加速度が速すぎる場合には、液のpHが急激に下がるため、珪酸カルシウム化合物の粒子形状が崩れ、微細なヒドロシキアパタイトやシリカ粒子が発生し、透水性が劣化する。反応中の溶液のpHが7.0以上、好ましくは8.0以上を維持するようにリン酸を添加することによって結晶性の良いヒドロシキアパタイトが生成し、かつ透水性に優れた複合多孔質体を得ることができる。
上記反応において、液温を40〜100℃の範囲で上げ、また液を攪拌して反応速度を促進することができる。ヒドロシキアパタイト化の反応時間は、原料の種類や粒度、粉体であるか成型体かなどによって異なり、一概に定めることはできないが、通常は0.5〜12時間程度で十分である。
珪酸カルシウム化合物にリン酸を反応させることによって、ヒドロシキアパタイトと多孔質シリカとの複合体を得ることができるが、この複合体の多孔質度をさらに上げたい場合には、リン酸の添加に先立ち、珪酸カルシウム化合物にリン酸以外の酸を予め作用させ、カルシウム分を酸処理によって除去することによって、細孔容積の高い複合体を得ることができる。
珪酸カルシウム化合物のカルシウム分をあらかじめ部分的に除去しておくと、多孔質シリカの割合が高くなり、多孔質度の高い複合体が得られるので、この複合体を例えば蛋白質の吸着剤などに用いる場合には吸着量を高めることができる。珪酸カルシウムの大部分のカルシウムを予め除去することによって、表層のみがヒドロシキアパタイトで覆われた多孔質シリカを得ることもできる。
カルシウム分を予め除去する際に用いる酸としては塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸などの有機酸が用いられ、また二酸化炭素を吹き込む方法でもよい。さらに酸処理の替わりに酸性陽イオン交換樹脂も用いることもできる。
カルシウム分を予め除去するための酸の添加も、先に述べたように珪酸カルシウム化合物からカルシウムが溶出する速度に見合った速度、具体的にはpH5.0以上を保持する速度で徐々に酸を加えていくことが好ましい。pH5.0を下回ると、微細なシリカ粒子が発生し、濾過処理に時間がかかるようになるので好ましくない。なお、液温を40〜100℃の範囲で上げたり、液を攪拌することによって反応速度を促進することができる。カルシウム除去の反応時間は、原料の種類や粒度、粉体であるか成型体かなどによって異なり、一概に定めることはできないが、通常は0.5〜3時間程度で十分である。
反応後、このスラリーまたは成型体を固液分離し、水洗した後、再び水性スラリーあるいは水に浸漬してリン酸を添加し、ヒドロキシアパタイト化を行なうと良い。このようにして得たヒドロキシアパタイトシリカ複合多孔質体は、濾過あるいは遠心分離等の公知の手段によって固液分離した後に乾燥処理して吸着剤として使用することができる。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示す。なお、製造した複合多孔質体の物性は以下に示す方法によって測定した。
(1)フミン物質の吸着速度
TOC(全有機炭素)濃度30mg/l程度に調整したフミン物質溶液50mlに対し、試料0.25gを添加し、室温においてマグネティックスターラーで撹拌を行ない、フミン物質を吸着させた。所定時間ごとに試料液をサンプリングし、濾過後、分光光度計で波長350nmにおける吸光度を測定し、予め作成しておいたTOC濃度と吸光度の関係を示す検量線よりフミン物質濃度を求めた。この吸着時間とフミン物質濃度の関係を各実施例および各比較例について図1および図2に示した。なお、試験に用いたフミン物質溶液A、Bは次の手順で調製した。
〔フミン物質溶液A〕:試薬フミン酸1.0gを0.1モルNaOH溶液100mlに溶解させた後、アルカリを除去するために強酸性陽イオン交換樹脂(DIAION SK-112L) 5.1gを加えてpHを7.0に調整した。全量を200mlとした後、遠心分離機により樹脂と未溶解残渣を取り除き、原液とした。この原液を水で希釈し、TOC濃度30mg/l程度に濃度調整したものを試験に供した。
〔フミン物質溶液B〕:腐植質土壌30g(乾土)に0.1モルHCl溶液300mlを加え、常温で1時間撹拌後、遠心分離を行なって上澄みを除去した。沈殿を希NaOH溶液で中和後、0.1モルNaOH溶液300mlを加え、常温で3時間振とうした後、沈殿を遠心分離で除去した。上澄みに強酸性陽イオン交換樹脂(DIAION SK-112L)7.0gを加えてpHを7.0に調整し、メンブレンフィルターで濾過した後、水で希釈して、TOC濃度30mg/l程度に濃度調整したものを試験に供した。
(2)フミン物質吸着等温線の測定
前記フミン物質溶液A、フミン物質溶液B 10mlに対し、試料を0.01g〜0.2gの範囲で適量添加し、25℃の恒温槽中で48時間振盪を行なった。この試料液を濾過後、分光光度計で波長350nmにおける吸光度を測定し、予め作成しておいたTOC濃度と吸光度の関係を示す検量線よりフミン物質濃度を求めた。溶液のフミン物質濃度と試料が吸着したフミン物質量の関係を両対数グラフにプロットしたものを各実施例および各比較例について図3および図4に示した。
〔実施例1〕
耐火被覆建材用珪酸カルシウム(ゾノトライト)スラリーを予め70℃に加熱して、ゾノトライトのカルシウム分に対してCa/Pモル比1.67に相当するリン酸を、スラリーを攪拌しつつ1時間かけて添加した。添加後、1時間攪拌し、スラリーを濾過、乾燥してヒドロキシアパタイトシリカ複合多孔質体を得た。この物性値を図1、図2、図3、図4に、SEM写真を図5に示す。
〔実施例2〕
珪酸原料(平均粒径20μmの非晶質シリカ粉)100gと消石灰191gを、水−固形分比15相当分の水を加え、オートクレーブ中で攪拌しながら200℃、8時間水熱反応を行なった。生成した珪酸カルシウムスラリーを予め70℃に加熱して、珪酸カルシウムのカルシウム分に対してCa/Pモル比1.67に相当するリン酸を、スラリーを攪拌しつつ1時間かけて添加した。添加後、1時間攪拌し、スラリーを濾過、乾燥してヒドロキシアパタイトシリカ複合多孔質体を得た。この物性値を図1、図2、図3、図4に、SEM写真を図6に示す。
〔実施例3〕
非晶質の珪酸原料(平均粒径20μm)100gと消石灰51gを、水−固形分比10相当分の水を加え、オートクレーブ中で攪拌しながら180℃、4時間水熱反応を行なった。生成した非晶質珪酸カルシウムスラリーを予め70℃に加熱して、非晶質珪酸カルシウムのカルシウム分に対してCa/Pモル比1.67に相当するリン酸を、スラリーを攪拌しつつ1時間かけて添加した。添加後、1時間攪拌し、スラリーを濾過、乾燥してヒドロキシアパタイトシリカ複合多孔質体を得た。この物性値を図1、図2、図3、図4に、SEM写真を図7に示す。
〔比較例〕
比較のため、市販の活性炭1(比較例1)、活性炭2(比較例2)、市販のヒドロキシアパタイト(比較例3)について、おのおの実施例と同様の測定値を図1、図2、図3、図4に示した。
図1および図2に示すように、実施例1〜3の吸着剤は、フミン物質A、Bを含有する水溶液に添加したときに、添加後30分以内に初期フミン物質濃度(TOC濃度30mg/l)を半分以下に低減しており、とくに実施例1,2の吸着剤は添加後30分以内に初期フミン物質濃度を1/3以下に低減し、添加後60分以内に初期フミン物質濃度を20%以下に低減している。一方、比較例1、2では、30分経過後のTOC濃度は何れも15mg/l以上であり、初期吸着速度が大幅に低い。
さらに、図1に示すように、フミン物質Aに対して、本発明の実施例1、2、3は何れも180分経過後にはTOC濃度が5mg/l以下であり、特に実施例1、2では、20分経過後すでにTOC濃度は5mg/l以下、60分経過後には約2.5mg/l以下、180分経過後にはTOC濃度が殆どゼロであり、フミン物質に対して短時間で優れた吸着効果を有することが判る。この傾向は図2においても同様であり、フミン物質Bに対しても実施例1、2が優れた吸着効果を有している。一方、比較例1、2は何れもは180分経過後でもTOC濃度は60分経過後と大差なく、吸着効果が格段に低い。
図3のフミン物質Aに対する吸着等温線のグラフから、本発明の実施例はいずれも、TOC濃度20mg/l以下の低濃度領域において吸着量が比較例に比べて勝っており、また、直線の傾きが比較例に比べて緩やかであることから、低濃度においても吸着能力が高いことがわかる。図4に示すようにフミン物質Bの場合においても図3と概略同様な結果であり、実施例1〜3、とくに実施例1は低濃度においても高い吸着能力を有していることが示された。この低濃度における高い吸着能力と吸着速度は、水中のフミン物質を短時間で完全に除去する上で極めて有効である。
図5〜図7に示すように、本発明のHAPS複合多孔質体は、粒子表面が針状結晶化しており、これが初期吸着速度が高く、かつ優れた吸着効果を有することに関係しているものと考えられる。とくに、図5および図6に示すように、実施例1、2のHAPS複合多孔質体は表面の広い範囲が針状結晶化しており、高い初期吸着速度と優れた吸着効果を有している。一方、実施例3のHAPS複合多孔質体は粒径が40μm以上であり、比較的粗粒であるため、実施例1、2よりはやや初期吸着速度が低い傾向がある。
フミン物質Aに対する吸着効果を示すグラフ フミン物質Bに対する吸着効果を示すグラフ フミン物質Aに対する吸着等温線を示すグラフ フミン物質Bに対する吸着等温線を示すグラフ 実施例1のHAPS複合多孔質体表面を示す電子顕微鏡(SEM)写真 実施例2のHAPS複合多孔質体表面を示す電子顕微鏡(SEM)写真 実施例3のHAPS複合多孔質体表面を示す電子顕微鏡(SEM)写真

Claims (6)

  1. 結晶質ヒドロキシアパタイトと多孔質シリカとの複合多孔質体であって、該複合多孔質体表面が針状結晶化しているヒドロキシアパタイトシリカ複合多孔質体からなることを特徴とするフミン物質吸着剤。
  2. 全細孔容積が0.5ml/g以上である請求項1に記載するフミン物質吸着剤。
  3. 平均粒径10〜60μm、BET比表面積100m2/g以上、透水率1〜100×10-4cm/sである請求項1または請求項2の何れかに記載するフミン物質吸着剤。
  4. フミン物質含有水溶液に添加したときに、添加後30分以内に初期フミン物質濃度を半減する請求項1〜請求項3の何れかに記載するフミン物質吸着剤。
  5. フミン物質含有水溶液に添加したときに、添加後60分以内に初期フミン物質濃度を20%以下に低減する請求項1〜請求項4の何れかに記載するフミン物質吸着剤。
  6. 珪酸カルシウムにリン酸を反応させて結晶質ヒドロキシアパタイトと多孔質シリカとの複合多孔質体を製造する方法において、針状の珪酸カルシウムにリン酸を反応させることによって、表面が針状結晶化したヒドロキシアパタイトシリカ複合多孔質体からなるフミン物質吸着剤を製造する方法。


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