JP2007296376A - 穿刺具 - Google Patents

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Abstract

【課題】穿刺操作等を妨げず、簡単な操作で採血後の針管の先端開口を封止することができる穿刺具を提供すること。
【解決手段】穿刺具は、先端部に鋭利な針先21を有する針管2と、針管2の基端部に固定されたハブと、ハブに対して回動可能に設置されたプロテクタ4とを有する。プロテクタ4は、針管2の針先21を覆う第1の位置と、針管2から離間する第2の位置とに回動する。プロテクタ4は、プロテクタ本体43と、該プロテクタ本体43の先端部にプロテクタ本体43の長手方向に移動可能に設けられ収納部44とを有し、収納部44内には、封止部材7が収納されている。収納部44を押圧して基端方向へ移動すると、針管2の針先21が封止部材7に穿刺され、針管2の先端開口22が封止部材7により気密的に封止される。
【選択図】図4

Description

本発明は、動脈血を採血するための動脈血採血器具に装着して使用される穿刺具に関する。
血中のガス分圧、pHなどを分析、測定するために、動脈血を採血することが行なわれている。これに用いられる動脈血採血器具は、静脈血の採血と異なり、動脈内の血圧により血液が採血器具内に導入されるように構成されている。
この場合、採血器具のシリンジ内に血液が血圧により導入されるに伴い、シリンジ内の空気が外部に排出される必要があるため、シリンジの内外は、フィルター部材を介して通気可能となっている。
このような動脈血採血器具を用いて、動脈血を採血する場合、その先端部に注射針を装着して使用する。この注射針は、先端に鋭利な針先を有する針管と、針管の基端に固着されたハブとで構成されている。
ところで、採血された血液に大気中の酸素や二酸化炭素が混入すると、血中のガス分圧、pHなどを正確に分析、測定ができなくなる。このため、従来、採血後は、封止部材を収納した筒状のキャップを、速やかに針管に被せて、針先を封止部材に突き刺すことにより、針管の先端開口を封止して血液と大気との接触を防止することが行なわれている。
しかしながら、このような針管にキャップを被せる作業は、キャップの一端部の開口内に針管をその先端から挿入して行われるため、その作業に際して、針先等に付着、残留している血液が作業者の手に着いたり、針先で作業者の手を刺したりしないようにするために、細心の注意を払わねばならず、この操作に多大な手間を要するという問題がある。
本発明の目的は、構成が簡単であり、簡単な操作で採血後の針管をプロテクタ内に収納することができるとともに、針管の先端開口を封止することができる穿刺具を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(12)の本発明により達成される。
(1) 動脈血採血器具の先端部に装着して使用される穿刺具であって、
先端に針先を有する針管と、前記針管の基端に設置されたハブと、前記針管の少なくとも針先を覆う第1の位置と、前記針管から離間する第2の位置とに変位可能なプロテクタとを有し、
前記プロテクタは、長手形状のプロテクタ本体と、前記プロテクタ本体の先端部に前記プロテクタ本体の長手方向に沿って相対的に移動可能に設置され、前記プロテクタ本体とは別体の部材で構成された収納部と、前記収納部内に収納され、前記針管の先端開口を封止することができる封止部材とを備え、
前記プロテクタを前記第1の位置とし、前記収納部を前記プロテクタ本体の基端方向へ移動させると、前記針管の針先が前記封止部材に穿刺され、前記針管の先端開口が前記封止部材により気密的に封止されるように構成されていることを特徴とする穿刺具。

(2) 前記収納部の前記プロテクタ本体からの離脱を阻止する離脱阻止手段を有する上記(1)に記載の穿刺具。
(3) 前記離脱阻止手段は、前記プロテクタ本体に形成された凸部と、前記収納部に形成され、前記爪と係合し得る凹部とで構成されている上記(2)に記載の穿刺具。
(4) 前記凸部および前記凹部は、それらが係合した状態で前記収納部を前記プロテクタ本体の基端方向へ移動させると、当該移動に伴って前記凸部および前記凹部の係合が自動的に解除されるよう構成されている上記(3)に記載の穿刺具。
(5) 前記凸部および前記凹部は、それぞれ傾斜面を有し、当該傾斜面同士が摺動して前記凸部および前記凹部の係合が解除される上記(3)または(4)に記載の穿刺具。
(6) 前記プロテクタ本体には、弾性変形可能な弾性片が設けられ、前記弾性片の端部に前記凸部が形成されている上記(3)ないし(5)のいずれかに記載の穿刺具。
(7) 前記弾性片は、前記プロテクタ本体の先端部に設けられた一対のスリットの間に形成されている上記(6)に記載の穿刺具。
(8) 前記弾性片は、その両端がそれぞれ固定端および可動端を構成し、前記固定端において前記プロテクタ本体に対し片持ち支持されている上記(6)または(7)に記載の穿刺具。
(9) 前記封止部材は、弾性材料で構成され、その内部に前記針管の針先を収納することにより、前記針管の先端開口を気密的に封止する上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の穿刺具。
(10) 前記プロテクタは、その長手方向に沿って形成された溝を有し、可撓性の連結部材を介して前記ハブに連結または一体化され、
前記プロテクタは、前記連結部材の変形により回動して、前記溝を介して前記針管の少なくとも針先を収納するよう構成されている上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の穿刺具。
(11) 前記プロテクタを前記第1の位置に保持する保持手段を有する上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の穿刺具。
(12) 前記保持手段は、弾性変形可能な係合片で構成されている上記(11)に記載の穿刺具。
本発明によれば、簡単な操作で、迅速かつ安全に、採血後の針管をプロテクタ内に収納することができるとともに、針管の先端開口を封止することができる。
封止部材の内部に、針管の針先を収納するよう構成することにより、針管の先端開口をより確実に封止することができる。
また、プロテクタが回動により変位するよう構成した場合、穿刺操作の操作性をより向上することができる。
また、本発明は、小型で簡単な構造、少ない部品点数で前記効果を達成することができる。
以下、本発明の穿刺具を添付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明の穿刺具を説明する前に、本発明の穿刺具を装着して使用する動脈血採血器具について説明する。
図6は、動脈血採血器具の構成を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図6中の上側を「基端」、下側を「先端」という。
図6に示す動脈血採血器具100は、外筒(シリンジ)200と、外筒200内で摺動し得るガスケット300と、ガスケット300を移動操作するプランジャ400とを備えている。
外筒200は、有底筒状の部材で構成され、底部210の中央部には、外筒200の胴部より縮径した縮径部220が一体的に形成されている。この縮径部220には、本発明の穿刺具1のハブ(図示せず)が嵌合、装着されて使用される。
従って、動脈血の採血の際には、血液は、縮径部220の内腔230より、外筒200内に導入される。
また、外筒200の基端外周には、板状のフランジ240が一体的に形成されている。プランジャ400を外筒200に対し相対的に移動操作する際などには、このフランジ240に指を掛けて操作を行うことができる。
外筒200内には、弾性材料で構成されたガスケット300が収納されている。ガスケット300は、外筒200内で、外筒200の長手方向に摺動することができる。このとき、ガスケット300の外周部310は、外筒200の内周面250に対し密着しつつ摺動し、液密性を保持することができる。
このガスケット300の中心部には、基端から先端まで貫通する通気用の孔320が形成されている。
孔320の先端付近には、孔320を封止するように、フィルター部材350が設置されている。このフィルター部材350は、気体は透過するが液体は透過できない構成のものである。
フィルター部材350の構成材料としては、例えば、各種焼結多孔体、疎水性不織布、その他の多孔質体が挙げられる。この場合、焼結多孔体としては、例えばポリエチレン等の高分子材料(粉末)と、親水性(水溶性、水膨潤性)ポリマーとを含む材料を焼結したもの等が好ましく用いられる。
ガスケット300の基端側には、ガスケット300を移動操作するプランジャ400が連結されている。
プランジャ400は、ほぼ円筒状の部材で構成され、その先端部には、きのこ状のヘッド部410が形成されている。このヘッド部410は、ガスケット300の基端側から孔320内に嵌入され、ガスケット300の基端に形成された係合部330と係合する。これにより、プランジャ400を基端方向および先端方向に移動したとき、それに追従してガスケット300も移動する。
また、ヘッド部410には、ガスケット300の孔320およびプランジャ400の内部空間430にそれぞれ連通する通気用の孔420が形成されている。
プランジャ400の内部空間430は、プランジャ400の基端に開放している。また、プランジャ400の基端部外周には、リング状のフランジ440が一体的に形成されている。プランジャ400を外筒200に対し相対的に移動操作する際などには、このフランジ440に指を掛けて操作を行うことができる。
なお、外筒200の構成材料は、内部の視認性を確保するために、実質的に透明であるのが好ましい。
このような動脈血採血器具100では、外筒200とガスケット300とで囲まれる空間260内に、例えば、ヘパリン(ヘパリンリチウム、ヘパリンナトリウム)のような抗凝固剤500が収納されている。
本発明の穿刺具1は、このような動脈血採血器具100の先端部に装着して使用される。
以下、本発明の穿刺具について説明する。
図1および図2は、それぞれ、本発明の穿刺具の実施形態を示す縦断面図、図3は、図1中のX−X線断面図である。なお、以下の説明では、図1および図2中の右側を「基端」、左側を「先端」と言う。
図1および図2に示す穿刺具1は、先端部に鋭利な針先21を有する針管(針体)2と、この針管2の基端部に固定されたハブ3と、ハブ3に対して回動(変位)可能に設置されたプロテクタ4と、プロテクタ4に設けられた封止部材7とを備えている。以下、各部の構成について説明する。
針管2は、中空針であり、例えば、ステンレス鋼のような金属材料で構成されている。針管2の先端部には、鋭利な針先21が形成されている。この針先21の形状は特に限定されず、本実施形態では、針管2の軸線に対し所定角度傾斜した刃面を有する形状をなしている。
また、針管2の先端は、先端開口22で開放している。
針管2の基端部には、ハブ3が液密に固着(固定)され、針管2の内腔とハブ3の内部とが連通している。
針管2のハブ3に対する固着方法としては、特に限定されず、例えば、カシメ、融着(熱融着、高周波融着等)、接着剤による接着等の方法が挙げられる。
針管2の長さは、針管2をプロテクタ4で覆ったとき、針先21がプロテクタ4の先端から突出しない(はみ出さない)程度の長さとされる。
ハブ3は、ほぼ筒状の部材で構成され、好ましくは透明(無色透明)、着色透明または半透明の樹脂で構成され、内部の視認性が確保されている。
このハブ3は、基端方向に向かってその外径および内径が漸増するテーパ状をなしている。このテーパ状部分には、前述した外筒200の縮径部220が挿入、嵌合され、これにより、穿刺具1が動脈血採血器具100に装着される。
ハブ3の基端外周には、リング状に突出したフランジ31が形成されている。例えば、動脈血採血器具100に穿刺具1を装着する操作や、動脈血採血器具100から穿刺具1を取り外す操作の際に、フランジ31に指を引っ掛けてこの操作を行うことができ、これにより、操作をより確実に行なうことができる。
また、ハブ3の先端側外周には、複数(図示の構成では4本)のリブ32が形成されている。
ハブ3および後述するプロテクタ4、連結部材5、固定部材6の構成材料は、特に限定されず、それぞれ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の各種樹脂材料が挙げられる。
このようなハブ3に対しては、針管2の少なくとも針先21を覆うこと(または収納すること)が可能なプロテクタ4が回動可能に設置されている。
プロテクタ4は、可撓性を有する帯状(または線状)の連結部材5を介して固定部材6と連結されている。本実施形態の場合、プロテクタ4と連結部材5と固定部材6とは、同一材料により一体的に形成されている。これにより、部品点数が少なく、簡単な構成で、プロテクタ4を回動可能に設置することができる。
固定部材6は、リング状(環状)をなしており、ハブ3に対し嵌合により固定されている。
なお、固定部材6は、図示の構成では、全周が繋がったリング状(環状)をなしているが、これに限らず、例えば周方向の一部が欠損したC字状をなすもの(Cリング)であってもよい。
また、固定部材6のハブ3に対する固定方法は、嵌合によるものに限定されず、例えば、接着剤による接着、融着(熱融着、超音波融着、高周波融着等)、カシメ部材や締付け具等により固定されていてもよいし、ハブ3と一体化されていてもよい。
プロテクタ4は、有底筒状の部材で構成され、筒状部分の長手方向の全長に渡って、針管2に臨む部分に溝(スリット)41が形成されている。すなわち、プロテクタ4は、図3に示すように、横断面が略C字状をなしている。プロテクタ4は、この溝41を介して、その内部に針管2の少なくとも針先21を収納することができる。
このプロテクタ4は、可撓性を有する連結部材5が変形することにより、針管2の少なくとも針先21を覆う第1の位置(図1の二点鎖線および図2参照)と、針管2から離間する第2の位置(図1の実線参照)とに回動(変位)する。
この場合、連結部材5の変形等によるプロテクタ4の回動角度範囲(回動可能な最大の角度の範囲)は、特に限定されないが、45〜180°程度が好ましく、80〜120°程度であるのがより好ましい。このような範囲であると、穿刺等の操作性が特に優れる。
なお、可撓性を有する帯状の連結部材5は、その構成が簡単であり、製造も容易である点で好ましいが、これに限らず、連結部材5に代わり、プロテクタ4を回動させることができる任意のヒンジ構造部で構成される回動機構を採用することもできる。この場合、回動機構は、プロテクタ4の姿勢(回動角度)を固定する機能、特に多段階(例えば、図1中の姿勢A、B、C)に固定する機能を有していてもよい。
このようなプロテクタ4の先端部内側には、封止部材7が設置されている。プロテクタ4を第1の位置とした後、続いて、封止部材7の内部に針管2の針先21を埋入して収納し、針管2の先端開口22を好ましくは気密的に封止する。
封止部材7で針管2の先端開口22を気密的に封止することにより、動脈血採血器具100内に採取された動脈血に大気中の酸素や二酸化炭素が混入するのがより確実に防止される。これにより、血中のガス分圧、pH等をより正確に分析、測定することができる。
封止部材7の設置構造については、後に、図4および図5を参照しつつ詳細に説明する。
封止部材7は、弾性材料(高粘性材料)で構成されている。この弾性材料としては、特に限定されないが、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の各種ゴムや、ポリウレタン系、ポリスチレン系等の各種熱可塑性エラストマーを用いることができ、パテや粘土、パラフィンを用いてもよい。
また、封止部材7は、針管2の針先21を内部に収納すると、それ自体の弾性力(粘着力)により、針管2の針先21の外周部に密着して固定する機能も有している。換言すれば、封止部材7は、針管2の針先21を内部に収納すると、針管2に固定される。これにより、封止部材7を備えるプロテクタ4は、針管2の針先21を覆った状態(第1の位置)に固定(保持)される。
また、プロテクタ4をより確実に第1の位置に保持するためには、プロテクタ4に保持手段を設けるのが好ましく、本実施形態では、この保持手段として、プロテクタ4の内部に係合片42が設置されている(図1、図2、図3参照)。
この係合片42は、弾性変形可能な板状の部材であり、図3に示すように、プロテクタ4と一体的に形成されたものでも、プロテクタ4に別部材を固着したものでもよい。
この係合片42は、針管2が溝41を介してプロテクタ4内に入って行く際、係合片42を越えてプロテクタ4の奥側へ移動することはできるが、一旦この状態となると、針管2がプロテクタ4内から出ようとする方向(図3中下方)へ移動しようとしても、針管2が係合片42に当接し、針管2によって図3中下方へ押圧された係合片42の端部421がプロテクタ4の内面に当接し、それ以上下方へ移動することができなくなり、針管2が係合片42を越えて溝41から出ようとすることを阻止する。
このような保持手段を設けることにより、穿刺具1では、誤って針先21がプロテクタ4外へ露出することがより確実に防止されるので、針管2の先端開口22の封止がより確実に維持されるとともに、高い安全性が持続される。
なお、保持手段の構造、機能等は、図示のものに限定されないことは、言うまでもなく、例えば、針管2を挟持するクリップ、チャック等であってもよい。
図4および図5は、それぞれ、本発明の穿刺具におけるプロテクタの先端側の構成、すなわち、封止部材の設置構造を示す部分断面図および縦断面図である。
図4および図5に示すように、プロテクタ4は、プロテクタ本体43と、このプロテクタ本体43の先端部に設けられ、封止部材7を収納する収納部44とを備えている。
プロテクタ本体43は、ほぼ筒状をなす長手形状の部材で構成され、その長手方向のほぼ全長に渡って、針管2に臨む部分に溝431が形成されている。
また、プロテクタ本体43の先端部には、先端から所定長さで設けられたほぼ平行する一対のスリット432が形成され、これらの間に、弾性変形可能な板バネ(弾性片)433が形成されている。
この板バネ433は、その基端を固定端、その先端を可動端としてプロテクタ本体43に対して片持ち支持され、可動端が弾性的に図4および図5中上下方向(針管2に対してほぼ垂直な方向)に変位(変形)する。
また、この板バネ433の先端内面(図4および図5中、下面)には、プロテクタ本体43の内側に向って突出した爪(凸部)434が一体的に形成されている。この爪434は、後述する収納部44の基端部に形成された凹部441に係合する。
このプロテクタ本体43の先端部には、その長手方向に沿って相対的に移動可能な収納部(スライド部)44が設置されている。この収納部44は、プロテクタ本体43とは独立した有底筒状の部材(別部材の)で構成され、その内部には、前述した封止部材7が収納されている。
また、収納部44は、その外径がプロテクタ本体43の内径とほぼ等しく設定されている。すなわち、プロテクタ本体43と収納部44とは、それらの中心軸がほぼ一致している。これにより、プロテクタ本体43に対して収納部44を相対的に移動させる操作の際に、これらの中心軸がズレてしまうのを好適に防止することができ、封止部材7の内部に、針管2の針先21をより確実に収納することができる。
また、収納部44の基端部には、爪434に係合可能な凹部441が形成されている。収納部44をプロテクタ本体43の先端部に位置させ、凹部441に爪434が係合すると、収納部44は、プロテクタ本体43に対して、図4に示す状態からさらに先端方向へ移動するのが防止(阻止)される。これにより、収納部44は、プロテクタ本体43から脱落(外れる)のが防止される。すなわち、これらの爪434(板バネ433)と凹部441とで、収納部44のプロテクタ本体43からの離脱を阻止する離脱阻止手段が構成される。
また、図5に示すように、爪434および凹部441には、それぞれ傾斜面が形成されており、爪434が凹部441に係合した状態から収納部44を指等で押圧してプロテクタ本体43の基端方向(図5中右方向)へ移動する際には、爪434および凹部441の傾斜面同士が摺動して爪434が凹部441から外れ、これらの係合が解除され、爪434の頂部が収納部44の外面に乗り上げる。
なお、図示の構成では、凹部441は、収納部44の外周方向の一部に形成されているが、これに限らず、収納部44の外周面の全長に渡ってリング状(環状)に形成されていてもよい。
次に、穿刺具1の使用方法の一例について、詳細に説明する。
[1] 穿刺具1のハブ3に外筒200の縮径部220を挿入、嵌合して、穿刺具1を動脈血採血器具100に装着する。また、プロテクタ4を例えば位置A〜位置Bの任意の位置(穿刺操作の邪魔にならない位置:第2の位置)として、針管2から離間した状態とし、動脈血採血器具100を把持する。
なお、プロテクタ4の位置は、操作者の希望に応じて、適宜選択することができ、操作をさらに容易に行なうことができる。
[2] この状態で、針管2の針先21を患者の動脈に穿刺すると、動脈内の圧力により、動脈血が外筒200(空間260)内に導入される。
この動脈血の流入により、空間260内の空気は、フィルター部材350を通して排出されるが、動脈血は、フィルター部材350を通過できず、外部への漏れ出しは生じない。さらに、水膨潤性高分子を混ぜ込んだ(含む)材料で構成したフィルター部材350を用いた場合、空間250内が血液で満たされ、フィルター部材350にしみ込むと、フィルター部材350が膨張し、外気と血液の接触を遮断することもできる。
この操作の際に、ハブ3に対し固定部材6(プロテクタ4)が周方向に回転することはなく、操作を確実に行うことができる。
[3] 空間260内が動脈血で満たされたら、針管2の針先21を患者の動脈から抜き取る。
[4] 次に、プロテクタ4を図1中反時計周りに回動させ、位置Bを経て位置C(第1の位置)へ変位させる。これにより、針管2の針先21は、プロテクタ4内に収納される。
また、このとき、針管2は、係合片42を越えてプロテクタ4の奥側へ移動し、プロテクタ4の内面に当接する。この状態で、針管2が戻ろうとしても(第2の位置の方向へ移動しようとしても)、前述した係合片42による逆方向への移動阻止機能により、針管2は、係合片42を越えて溝41から出ることが防止される。これにより、プロテクタ4は、第1の位置に保持される。
[5] 次いで、収納部44の先端を指等で、プロテクタ本体43の基端方向(図4中矢印方向)へ押圧すると、爪434の凹部441への係合が解除される。さらに、収納部44の先端を基端方向へ押圧すると、爪434の頂部付近が収納部44の外面に摺接しつつ、収納部44は、プロテクタ本体43の基端方向へ移動して、プロテクタ本体43の内部に進入していく。これにより、針管2の針先21が封止部材7に穿刺される。すなわち、封止部材7は、針管2の針先21をその内部に埋入して収納し、針管2の先端開口22を気密的に封止する。封止部材7は、自らの弾性力により針管2の針先21の外周部に密着する(図5参照)。
この状態で、プロテクタ4は、位置C(第1の位置)に保持されるとともに、封止部材7は、針管2の針先21をその内部に埋入して収納し、針管2の先端開口22を気密的に封止する。
[6] 以上のようにして針管2の針先21がプロテクタ4内に収納され、かつ封止部材7により針管2の先端開口22が封止されたら、穿刺具1を装着した状態のままで、抗凝固剤500の作用が好適に発揮されるように、動脈血採血器具100に、揺動、振動、回転、上下反転等を与えて抗凝固剤500の動脈血への溶解、混和を助ける。次いで、この動脈血を、血中のガス分圧、pH等の分析、検査に供する。
以上、本発明の穿刺具を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、穿刺具を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
例えば、封止部材は、針管の先端開口に当接して、該先端開口を封止するような構成のものであってもよい。
また、プロテクタの第1の位置と第2の位置との変位は、回動によるものに限定されるものではなく、例えば、針管の長手方向に沿って相対的に移動(スライド)させるもの等であってもよい。
本発明の穿刺具の実施形態を示す縦断面図である。 本発明の穿刺具の実施形態を示す縦断面図である。 図1中のX−X線断面図である。 本発明の穿刺具におけるプロテクタの先端側の構成を示す部分断面図である。 本発明の穿刺具におけるプロテクタの先端側の構成を示す縦断面図である。 動脈血採血器具の構成を示す縦断面図である。
符号の説明
1 穿刺具
2 針管
21 針先
22 先端開口
3 ハブ
31 フランジ
32 リブ
4 プロテクタ
41 溝
42 係合片
421 端部
43 プロテクタ本体
431 溝
432 スリット
433 板バネ
434 爪
44 収納部
441 凹部
5 連結部材
6 固定部材
7 封止部材
100 動脈血採血器具
200 外筒
210 底部
220 縮径部
230 内腔
240 フランジ
250 内周面
260 空間
300 ガスケット
310 外周部
320 孔
330 係合部
350 フィルター部材
400 プランジャ
410 ヘッド部
420 孔
430 内部空間
440 フランジ
500 抗凝固剤

Claims (5)

  1. 動脈血採血器具の先端部に装着して使用される穿刺具であって、
    先端に針先を有する針管と、前記針管の基端に設置されたハブと、前記針管の少なくとも針先を覆う第1の位置と、前記針管から離間する第2の位置とに変位可能なプロテクタとを有し、
    前記プロテクタは、長手形状のプロテクタ本体と、前記プロテクタ本体の先端部に前記プロテクタ本体の長手方向に沿って相対的に移動可能に設置され、前記プロテクタ本体とは別体の部材で構成された収納部と、前記収納部内に収納され、前記針管の先端開口を封止することができる封止部材とを備え、
    前記プロテクタを前記第1の位置とし、前記収納部を前記プロテクタ本体の基端方向へ移動させると、前記針管の針先が前記封止部材に穿刺され、前記針管の先端開口が前記封止部材により気密的に封止されるように構成されていることを特徴とする穿刺具。
  2. 前記収納部の前記プロテクタ本体からの離脱を阻止する離脱阻止手段を有する請求項1に記載の穿刺具。
  3. 前記離脱阻止手段は、前記プロテクタ本体に形成された凸部と、前記収納部に形成され、前記爪と係合し得る凹部とで構成されている請求項2に記載の穿刺具。
  4. 前記凸部および前記凹部は、それらが係合した状態で前記収納部を前記プロテクタ本体の基端方向へ移動させると、当該移動に伴って前記凸部および前記凹部の係合が自動的に解除されるよう構成されている請求項3に記載の穿刺具。
  5. 前記凸部および前記凹部は、それぞれ傾斜面を有し、当該傾斜面同士が摺動して前記凸部および前記凹部の係合が解除される請求項3または4に記載の穿刺具。
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