JP2007295852A - 疾患マーカー、dnaマイクロアレイ、薬剤スクリーニング方法及びぶどう膜炎検査方法 - Google Patents

疾患マーカー、dnaマイクロアレイ、薬剤スクリーニング方法及びぶどう膜炎検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ぶどう膜炎の診断やぶどう膜炎の治療又は予防のための薬剤のスクリーニング等に有効な疾患マーカー、DNAマイクロアレイ、薬剤スクリーニング方法、及び、ぶどう膜炎検査方法の提供。
【解決手段】遺伝子、その転写RNA、又はRNA配列のうち少なくとも連続した12塩基の部分配列を含むオリゴヌクレオチド又はそれらのいずれかと特異的に結合する抗体、のいずれかを含み、ぶどう膜炎の診断、ぶどう膜炎の治療又は予防のための薬剤のスクリーニング、ぶどう膜炎の治療又は予防のための薬剤の評価の少なくともいずれかに用いる疾患マーカーであって、前記遺伝子が、インターロイキン7受容体遺伝子、ケモカイン(C motif)リガンド 1 遺伝子、ケモカイン (C-X-C)受容体6遺伝子から選択されるいずれかの遺伝子であることを特徴とする疾患マーカー。
【選択図】図5

Description

本発明は、ぶどう膜炎の検査及びぶどう膜炎の治療又は予防のための薬剤のスクリーニングに関し、詳しくは、ぶどう膜炎の診断やぶどう膜炎の治療又は予防のための薬剤のスクリーニング等に利用できる疾患マーカー、DNAマイクロアレイ、薬剤スクリーニング方法、及び、ぶどう膜炎検査方法に関する。
ぶどう膜炎は、脈絡膜、毛様体、又は虹彩(これらの組織を総称してぶどう膜という)に、何らかの原因で炎症が起こることをいう。ぶどう膜炎には、ベーチェット病、サルコイドーシス、原田病、膠原病・関節炎・腸疾患・皮膚疾患に伴って二次的に生じるぶどう膜の炎症など様々な原因があり、また、ウイルスや細菌、その他の病原体の感染が原因である場合もある。ぶどう膜炎は、慢性化し、視力の低下や、重篤な障害を引き起こすこともあり、その原因となる疾患の正確な診断をして、疾患に合った治療をすることが必要であるが、診断は困難である場合が多い。また、ぶどう膜炎の治療には、一般にステロイド剤が用いられるが、難治性の症状もあり、より特異的な薬剤の開発が望まれている。ぶどう膜炎の原因の約半数はベーチェット病、サルコイドーシス、原田病の三大ぶどう膜炎が占めているといわれている。
実験的自己免疫性ぶどう膜炎(EAU)は、臓器特異的なCD4+のT細胞によって引き起こされる疾患で、遺伝学的に疾患感受性のあるマウスの系統に網膜関連抗原である例えばinterphotoreceptor retinoid-binding proteins(IRBPs)や、tyrosinase family proteinsなどを免疫して作成されたり、これらの抗原に特異的に反応するT細胞を移植して作成されたりする。EAUは網膜の結節形成や網膜への多核白血球・マクロファージの浸潤、血管炎、視細胞の破壊などで特徴づけられる(例えば非特許文献1参照)。EAUは、自己免疫性の眼疾患である眼サルコイドーシス、ベーチェット病、原田病の動物モデルとして確立されている(例えば非特許文献2及び3参照)。
ステロイド剤の全身投与は重症ぶどう膜炎の標準的な治療方法である。薬理学的なステロイド剤の効果に関して様々なメカニズムが提唱されている。その例として、炎症部位に存在する好中球やマクロファージがステロイド剤投与により減少するという報告や、ステロイド剤がサイトカインの発現変化を変えることにより容量依存的にT細胞にアポトーシスを誘導するという報告がある。最近になって、ラットのEAUモデルにおいて、ステロイド治療によりTh1系の良く知られたサイトカインであるinterferon(IFN)-gammaの発現が減少するという報告がなされた(例えば非特許文献4参照)。
これまでの報告で、Th1タイプの免疫反応がEAU発症に重要な役割を果たしていることが明らかにされてきた(例えば非特許文献5及び6参照)。EAUのマウスモデルで、定量的PCR法や免疫染色法を用いていくつかのケモカイン・サイトカイン遺伝子の発現同定がなされてきた(例えば非特許文献7参照)。いくつかのサイトカイン・ケモカイン遺伝子、例えばinterleukin(IL)-2IFN-gammatumor necrosis factor(TNF)-alphachemokine(C-X-C motif)ligand 9(CXCL9)/monokine induced by IFN-gamma(Mig)CXCL10/IP-10 (IFN-gamma-inducible protein of 10 KDa)、及びchemokine(C-X-C
motif)receptor 3(CXCR3)などがEAUの発症に関与しているという報告(例えば非特許文献8〜10参照)や、Th2系のサイトカインであるIL-4IL-10が疾患の寛解に役割を果たしているといった報告はあった(例えば非特許文献9、11、12参照)。しかしながら、EAUのモデルにおいてステロイド治療が炎症関連遺伝子にどのような発現制御を及ばしているのかは不明であった。また、ぶどう膜炎の症状がある疾患のうち、眼サルコイドーシス、ベーチェット病、原田病におけるサイトカイン・ケモカイン・及びそれら受容体の遺伝子発現の違いも明らかでなかった。
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本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、ぶどう膜炎の診断やぶどう膜炎の治療又は予防のための薬剤のスクリーニング等に有効な疾患マーカー、DNAマイクロアレイ、薬剤スクリーニング方法、及び、ぶどう膜炎検査方法を提供することを目的とする。
発明者らは、EAUのマウスモデルを用いてサイトカイン・ケモカイン及びそれらの受容体の遺伝子発現を解析し、さらに、ステロイド治療がサイトカイン・ケモカイン及びそれらの受容体の遺伝子発現に及ぼす影響を包括的に解析した。これにより、ステロイド治療後のEAU寛解に役割を果たす炎症関連遺伝子についての新しい知見を得て本発明に至った。
また、ヒトの眼サルコイドーシス、ベーチェット病、原田病における遺伝子発現を解析し、それぞれの疾病の特異的発現パターンに関する知見を得て本発明に至った。
即ち、前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 遺伝子、前記遺伝子が転写するRNA、前記遺伝子又はRNAの核酸配列のうち少なくとも連続した12塩基の部分配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド、前記遺伝子がコードするタンパク質、前記タンパク質の断片であるポリペプチド、及び、前記タンパク質及びポリペプチドの少なくともいずれかと特異的に結合することのできる抗体、のいずれかを含み、ぶどう膜炎の診断、ぶどう膜炎の治療又は予防のための薬剤のスクリーニング、ぶどう膜炎の治療又は予防のための薬剤の評価の少なくともいずれかに用いる疾患マーカーであって、
前記遺伝子が、インターロイキン7受容体遺伝子(IL-7r)、ケモカイン(C motif)リガンド1遺伝子(XCL1)、ケモカイン(C-X-C)受容体6遺伝子(CXCR6)、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド1遺伝子(CXCL1)、インターロイキン21受容体遺伝子(IL21r)、インターロイキン10受容体β遺伝子(IL10rb)、インターロイキン2受容体γ鎖遺伝子(IL2rg)、インターロイキン9受容体遺伝子(IL9r)、ケモカイン(C-C motif)リガンド8遺伝子(CCL8)、ケモカイン(C-C)レセプター8遺伝子(CCR8)、インターロイキン1α遺伝子(IL1a)、インターロイキン4受容体α遺伝子(IL4ra)、ケモカインオーファンレセプター1遺伝子(CMKor1)、インターロイキン3受容体α鎖遺伝子(IL3ra)、インターロイキン10遺伝子(IL10)、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド11遺伝子(CXCL11)、ケモカイン(C-C motif)リガンド3遺伝子(CCL3)、ケモカイン(C-C)受容体9遺伝子(CCR9)、インターロイキン18遺伝子(IL18)、及び、インターロイキン16遺伝子(IL16)から選択されるいずれかの遺伝子であることを特徴とする疾患マーカー。
<2> 前記遺伝子が、インターロイキン7受容体遺伝子(IL-7r)、ケモカイン(C motif)リガンド1遺伝子(XCL1)及びケモカイン(C-X-C)受容体6遺伝子(CXCR6)から選択されるいずれかの遺伝子である前記<1>に記載の疾患マーカー。
<3> 基板上に、遺伝子の核酸配列のうち少なくとも連続した12塩基の部分配列を含む複数のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが整列してなり、前記遺伝子が、少なくとも、インターロイキン7受容体遺伝子(IL-7r)、ケモカイン(C motif)リガンド1遺伝子(XCL1)及びケモカイン(C-X-C)受容体6遺伝子(CXCR6)、ケモカイン(C-C)受容体2遺伝子(CCR2)、及びリンホトキシンA遺伝子(LTA)を含み、前記遺伝子又はその転写物とそれぞれ特異的に結合し、前記遺伝子の発現をモニタリングすることを特徴とするDNAマイクロアレイ。
<4> 前記遺伝子が、更に、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド1遺伝子(CXCL1)、インターロイキン21受容体遺伝子(IL21r)、インターロイキン10受容体β遺伝子(IL10rb)、インターロイキン2受容体γ鎖遺伝子(IL2rg)、インターロイキン9受容体遺伝子(IL9r)、ケモカイン(C-C motif)リガンド8遺伝子(CCL8)、ケモカイン(C-C)レセプター8遺伝子(CCR8)、インターロイキン1α遺伝子(IL1a)、インターロイキン4受容体α遺伝子(IL4ra)、ケモカインオーファンレセプター1遺伝子(CMKor1)、インターロイキン3受容体α鎖遺伝子)(IL3ra)、インターロイキン10遺伝子(IL10)、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド11遺伝子(CXCL11)、ケモカイン(C-C motif)リガンド3遺伝子(CCL3)、ケモカイン(C-C)受容体9遺伝子(CCR9)、インターロイキン18遺伝子(IL18)、及び、インターロイキン16遺伝子(IL16)を含む前記<4>に記載のDNAマイクロアレイ。
<5> 前記<1>に記載の疾患マーカーの少なくともいずれかを用い、ぶどう膜炎に関する疾患の治療又は予防に有効な候補化合物をスクリーニングすることを特徴とする薬剤スクリーニング方法。
<6> インターロイキン7受容体遺伝子(IL-7r)、ケモカイン(C motif)リガンド1遺伝子(XCL1)及びケモカイン(C-X-C)受容体6遺伝子(CXCR6)から選択されるいずれかの遺伝子の発現、転写又は翻訳を選択的に制御する物質、又は、IL-7rタンパク質、XCL1タンパク質及びCXCR6タンパク質から選択されるいずれかのタンパク質の機能を制御する物質を選択することにより、ぶどう膜炎に関する疾患の治療又は予防に有効な候補化合物をスクリーニングすることを特徴とする薬剤スクリーニング方法。
<7> ステロイド剤投与後の遺伝子発現の変化を指標とした階層的クラスター解析によりクラスター化された遺伝子リストに基づいて、遺伝子発現量を測定することを特徴とするぶどう膜炎検査方法。
<8> インターロイキン13受容体遺伝子α2鎖遺伝子(IL13ra2)、インターロイキン7受容体γ鎖遺伝子(IL7r)、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド12遺伝子(CXCL12)、形質転換成長因子β受容体1遺伝子(TGFbR1)、モカイン(C-C)受容体5遺伝子(CCR5)、インターロイキン2受容体α鎖遺伝子(IL2ra)、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド15遺伝子(CXCL15)、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子受容体α遺伝子(CSF2ra)、ケモカイン(C motif)受容体遺伝子(XCR1)、インターロイキン11受容体遺伝子α鎖遺伝子(IL11ra)、形質転換成長因子β2遺伝子(TGFb2)、ケモカイン(C-C motif)受容体7遺伝子(CCR7)、インターロイキン12受容体β2(IL12rb2)、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド1(CXCL1)、ケモカイン(C-C motif)受容体1-like 1(CCCR1l1)、ケモカイン(C-C motif)リガンド11(CCL11/eotaxin)、ケモカイン(C-X-C motif)受容体4(CXCR4)の少なくともいずれかの遺伝子の発現を指標とし、前記遺伝子の発現量を測定することを特徴とするぶどう膜炎検査方法。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、ぶどう膜炎の診断やぶどう膜炎の治療又は予防のための薬剤のスクリーニング等に有効な疾患マーカー、DNAマイクロアレイ、薬剤スクリーニング方法、及び、ぶどう膜炎検査方法を提供することができる。
本発明の疾患マーカーは、ぶどう膜炎の診断、ぶどう膜炎の治療又は予防のための薬剤のスクリーニング、ぶどう膜炎の治療又は予防のための薬剤の評価の少なくともいずれかに用いられるものをいう。ぶどう膜炎の診断とは、ぶどう膜炎に関する疾患の種類、罹患の有無や、罹患の程度、罹患の進行若しくは改善の有無や改善の程度を診断するものなどをいう。ぶどう膜炎に関する疾患の種類としては、眼サルコイドーシス、ベーチェット病、原田病等が挙げられる。また、ぶどう膜炎の治療又は予防のための薬剤のスクリーニングとは、ぶどう膜炎の治療薬又は予防薬の有効成分となる候補物質をスクリーニングすることをいう。
前記疾患マーカーは、遺伝子、前記遺伝子が転写するRNA、前記遺伝子又はRNAの核酸配列のうち少なくとも連続した12塩基の部分配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド、前記遺伝子がコードするタンパク質、前記タンパク質の断片であるポリペプチド、及び、前記タンパク質及びポリペプチドの少なくともいずれかと特異的に結合することのできる抗体、のいずれかを含み、前記遺伝子は、インターロイキン7受容体遺伝子(IL-7r)、ケモカイン(C motif)リガンド1遺伝子(XCL1)、ケモカイン(C-X-C)受容体6遺伝子(CXCR6)、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド1遺伝子(CXCL1)、インターロイキン21受容体遺伝子(IL21r)、インターロイキン10受容体β遺伝子(IL10rb)、インターロイキン2受容体γ鎖遺伝子(IL2rg)、インターロイキン9受容体遺伝子(IL9r)、ケモカイン(C-C motif)リガンド8遺伝子(CCL8)、ケモカイン(C-C)レセプター8遺伝子(CCR8)、インターロイキン1α遺伝子(IL1a)、インターロイキン4受容体α遺伝子(IL4ra)、ケモカインオーファンレセプター1遺伝子(CMKor1)、インターロイキン3受容体α鎖遺伝子(IL3ra)、インターロイキン10遺伝子(IL10)、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド11遺伝子(CXCL11)、ケモカイン(C-C motif)リガンド3遺伝子(CCL3)、ケモカイン(C-C)受容体9遺伝子(CCR9)、インターロイキン18遺伝子(IL18)、及び、インターロイキン16遺伝子(IL16)から選択されるいずれかの遺伝子である。
本発明の疾患マーカーとなる前記遺伝子は、ぶどう膜炎の罹患に関連して、ステロイド剤投与により発現が一時的に増加する遺伝子である。発明者らは、マウスのEAUモデルにおいて発現が変化する遺伝子を解析し、さらに、ステロイド剤投与の影響に着目し、代表的なステロイド剤であるプレドニゾロン投与後の炎症に関係する遺伝子を包括的に解析した。その結果、多くのサイトカイン・ケモカイン及びそれらの受容体遺伝子は、EAU発症のピークで発現上昇するが、ステロイド剤の投与により、大部分のサイトカイン・ケモカイン及びそれらの受容体遺伝子が発現抑制されることが明らかとなった。また、ステロイド剤投与後の遺伝子発現変化がそれぞれの観察時で異なる事が明らかになった。例えば、ステロイド剤投与後1日目で47遺伝子、2日目で10遺伝子、3日目で46遺伝子が優位に発現抑制を受けた。加えてそれぞれの観察時の上位10遺伝子が異なっているため、プレドニゾロン投与後の遺伝子発現制御の様子を明らかにするために階層的クラスタリングの方法を用いて解析を行った。
階層的クラスター解析は、マイクロアレイ法による膨大で連続的な変化を包括的に解析することができる有用な方法であり、Eisen MB,Spellman PT,Brown PO,Botstein D.Cluster analysis and display of genome-wide expression patterns.Proc Natl Acad Sci USA.1998;95:14863-14868.に開示された手法に基づき、DNASIS Stat software(Hitachi Software Engineering Co.)を用いて行うことができる解析方法である。その結果、サイトカイン・ケモカイン及びそれらの受容体遺伝子は、クラスター1(フラットパターン)、クラスター2(マウンテンパターン)、クラスター3(ラージダウンヒルパターン)、クラスター4(スモールダウンヒルパターン)の4つのクラスターに分類された。クラスター1は、投与1日目、2日目もしくは両方で発現変化のない(1日、2日のいずれにおいても1.5倍未満の発現の増減)フラットパターン(図2B及び3)である。投与3日目で、優位に発現抑制がかかるものがあるが、多くは変化が無い遺伝子である。クラスター2は、全ての観察ポイントで常に発現が抑制されている遺伝子である。2日目の抑制の程度が弱いので、このクラスターの形はマウンテンパターンである(図2B及び3)。クラスター3は、1日目で顕著に発現上昇(2.5倍以上)し、2日目3日目で劇的に発現低下するラージダウンヒルパターン(図2B及び3)である。クラスター4は、1日目で2.5倍より低い軽度発現上昇と、2日目3日目での緩徐な発現低下を示すスモールダウンヒルパターン(図2B及び3)である。
すなわち、多くの遺伝子がフラットパターン及びマウンテンパターンに分類され、プレドニゾロン投与により発現に変化がないか、抑制傾向にあるのに対し、ステロイド剤投与後1日目に発現が上昇する遺伝子群(ラージダウンヒルパターンと、スモールダウンヒルパターン)があることが明らかになった。フラットパターンの遺伝子がステロイド剤による作用には関与しないこと、また、マウンテンパターンの遺伝子がステロイド剤による一般的抑制作用を受けていることが示唆されるのに対し、このラージダウンヒルパターンとスモールダウンヒルパターンに属する遺伝子は、ステロイド剤投与による疾患治癒に関連して何らかの機能を果たしていると考えられ、該疾患治癒のための薬剤のターゲットとなることが示唆された。
すなわち、ステロイドの薬理効果は、転写因子(具体的にはNFkBなど)の活性を抑制することによりその下流にあり発現制御を受けている遺伝子群(今回のデータで発現抑制を受けた大部分の遺伝子)の転写活性を制御することにより発揮される。すなわち、ステロイドを投与すると結果として、遺伝子抑制が起こるのが通常であるが、それに反して1日目に発現上昇する遺伝子は、結果として発現制御される遺伝子とは異なり、この遺伝子自体の動きが原因となって一連の発現抑制へと向かう可能を持った遺伝子群であると予想される。したがって、その直接の原因となっているクラスター3、4に含まれる遺伝子群は薬剤の重要なターゲットとなり得るものであり、これらの遺伝子の発現、転写、翻訳を選択的に制御する(特に上昇させる)物質や、そのタンパク質の機能を制御する物質は候補薬剤になる可能性がある。
疾患治癒に関連して機能を有していることの実証例として、ラージダウンヒルパターンに分類された、CCR2Lymphotoxin A/TNF-betaがある。CCR2はCCL2/monocyte chemotactic protein(MCP)-1の主要な受容体であるが、ラットのexperimental autoimmune encephalomyelitis(EAE)/EAUモデルにおいて高い発現レベルにあることが知られている。また、CCL2/MCP-1がEAEのモデルにおいてTh1の免疫応答を強めることが報告されている(Locksley RM,Killeen N,Lenardo MJ.The TNF and TNF receptor superfamilies:integrating mammalian biology.Cell.2001;104:487-501.)。Keinoらは、EAUマウスにおいて、CCR2の発現上昇がTh1タイプT細胞のような炎症細胞を呼び寄せるのに関与していることを報告した(前記非特許文献10参照)。また、TNFファミリーであるLymphotoxin Aは、リンパ球の活性化やリンパ組織の発達に重要な役割を持つ。Lymphotoxin Aはリンパ球から分泌され、ベーチェット病などの炎症疾患に関係する。ベーチェット病患者のLymphotoxin Aレベルは健常人と比べて高いことが報告されている(Lee EB,Kim JY,Lee YJ,Park MH,Song YW.TNF and TNF receptor polymorphisms in Korean Behcet’s disease patients.Hum Immunol.2003;64:614-620.)。これらの報告は、ラージダウンヒルパターンの発現パターンを示す遺伝子が、リンパ球の働きに重要な遺伝子であることを裏付けており、ラージダウンヒルパターンの遺伝子の働きをターゲットにすれば、眼の炎症コントロールを行うための新しい治療方法の開発につなげることができる。
ラージダウンヒルパターンに分類された他の遺伝子である、IL-7はマウスのpre-B細胞の増殖を刺激するのに役割を果たす(Namen AE,Lupton S,Hjerrild K,et al.Stimulation of B-cell progenitors by cloned murine interleukin-7.Nature.1988;333:571-573.)。過去の研究者は、骨髄において前駆細胞からB細胞が分化するときに、IL-7と30kDaのcofactorが作用したIL-7rからのシグナルが必要であることを明らかにしている(Lai L,Goldschneider I.Cutting edge:Identification of a hybrid cytokine consisting of IL-7 and the beta-chain of the hepatocyte growth factor/scatter factor.J Immunol.2001;167:3550-3554.)。CXCL16の受容体であるCXCR6/BONZOはeffector T細胞がTh1系の炎症反応を起こすよう変化するのに重要な役割をはたす(Kim CH,Kunkel EJ,Boisvert J,et al.Bonzo/CXCR6 expression defines type 1-polarized T-cell subsets with extralymphoid tissue homing potential.J Clin Invest.2001;107:595-601.)。XCL1/LymphotactinはCD4+とCD8+T-細胞の遊走性を高め、末梢血リンパ球の細胞内カルシウム濃度の上昇を誘導する(Yoshida T,Imai T,Kakizaki M,Nishimura M,Yoshie O.Molecular cloning of a novel C or gamma type chemokine,SCM-1.FEBS Lett.1995;360:155-159.、Kennedy J,Kelner GS,Kleyensteuber S,et al.Molecular cloning and functional characterization of human lymphotactin.J Immunol.1995;155:203-209.)。しかし、以上の3遺伝子において、EAUの発症に関わることは報告されておらず、眼の炎症の治療に対するステロイド剤投与の効果に関しても報告されていなかった。本発明においては、これらの、新たにEAUとの関係が明らかになり、ステロイド治療において顕著に発現上昇するインターロイキン7受容体遺伝子(IL-7r)、ケモカイン(C motif)リガンド1遺伝子(XCL1)、及び、ケモカイン(C-X-C)受容体6遺伝子(CXCR6)に関するものを疾患マーカーとする。このうち、IL-7rはEAUマウスにおいて約14倍発現上昇することからも、特にステロイド剤による疾患治療において重要な役割を果たすと考えられ、ぶどう膜炎等の治療薬のスクリーニングターゲットとして重要であることが分かった。
また、スモールダウンヒルパターンに分類される遺伝子も、ラージダウンヒルパターンに分類される遺伝子ほど顕著ではないが、ステロイド剤投与による発現上昇が見られ、ステロイド剤による疾患治療において役割を果たすと考えられる。スモールダウンヒルパターンに分類される遺伝子としては、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド1遺伝子(CXCL1)、インターロイキン21受容体遺伝子(IL21r)、インターロイキン10受容体β遺伝子(IL10rb)、インターロイキン2受容体γ鎖遺伝子(IL2rg)、インターロイキン9受容体遺伝子(IL9r)、ケモカイン(C-C motif)リガンド8遺伝子(CCL8)、ケモカイン(C-C)レセプター8遺伝子(CCR8)、インターロイキン1α遺伝子(IL1a)、インターロイキン4受容体α遺伝子(IL4ra)、ケモカインオーファンレセプター1遺伝子(CMKor1)、インターロイキン3受容体α鎖遺伝子(IL3ra)、インターロイキン10遺伝子(IL10)、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド11遺伝子(CXCL11)、ケモカイン(C-C motif)リガンド3遺伝子(CCL3)、ケモカイン(C-C)受容体9遺伝子(CCR9)、インターロイキン18遺伝子(IL18)、及び、インターロイキン16遺伝子(IL16)が挙げられる。
これらの遺伝子は、哺乳類に共通した遺伝子であり、ヒトにも存在し、GenBankのアクセッションナンバー(表2)からその核酸配列、タンパク質のアミノ酸配列の情報を知ることができる。例えば、インターロイキン7受容体遺伝子(IL-7r)、ケモカイン(C motif)リガンド1遺伝子(XCL1)、及び、ケモカイン(C-X-C)受容体6遺伝子(CXCR6)の核酸配列(配列番号2、4及び6)及び該タンパク質のアミノ酸配列(配列番号1、3及び5)は、以下のとおりである。
IL−7r(配列番号1)
1 mmalgrafai vfcliqavsg esgnaqdgdl edadaddhsf wchsqlevdg sqhlltcafn
61 dsdintanle fqicgallrv kcltlnklqd iyfiktsefl ligssnicvk lgqknltckn
121 maintivkae apsdlkvvyr keandflvtf naphlkkkyl kkvkhdvayr pargesnwth
181 vslfhtrtti pqrklrpkam yeikvrsiph ndyfkgfwse wspsstfetp epknqggwdp
241 vlpsvtilsl fsafllvila hvlwkkrikp vvwpslpdhk ktleql


(配列番号2)
1 gtcttcctcc ctccctccct tcctcttact ctcattcatt tcatacacac tggctcacac
61 atctactctc tctctctatc tctctcagaa tgacaattct aggtacaact tttggcatgg
121 ttttttcttt acttcaagtc gtttctggag aaagtggcta tgctcaaaat ggagacttgg
181 aagatgcaga actggatgac tactcattct catgctatag ccagttggaa gtgaatggat
241 cgcagcactc actgacctgt gcttttgagg acccagatgt caacatcacc aatctggaat
301 ttgaaatatg tggggccctc gtggaggtaa agtgcctgaa tttcaggaaa ctacaagaga
361 tatatttcat cgagacaaag aaattcttac tgattggaaa gagcaatata tgtgtgaagg
421 ttggagaaaa gagtctaacc tgcaaaaaaa tagacctaac cactatagtt aaacctgagg
481 ctccttttga cctgagtgtc gtctatcggg aaggagccaa tgactttgtg gtgacattta
541 atacatcaca cttgcaaaag aagtatgtaa aagttttaat gcacgatgta gcttaccgcc
601 aggaaaagga tgaaaacaaa tggacgcatg tgaatttatc cagcacaaag ctgacactcc
661 tgcagagaaa gctccaaccg gcagcaatgt atgagattaa agttcgatcc atccctgatc
721 actattttaa aggcttctgg agtgaatgga gtccaagtta ttacttcaga actccagaga
781 tcaataatag ctcaggggag atggatccta tcttactaac catcagcatt ttgagttttt
841 tctctgtcgc tctgttggtc atcttggcct gtgtgttatg gaaaaaaagg attaagccta
901 tcgtatggcc cagtctcccc gatcataaga agactctgga acatctttgt aagaaaccaa
961 gaaaaaattt aaatgtgagt ttcaatcctg aaagtttcct ggactgccag attcataggg
1021 tggatgacat tcaagctaga gatgaagtgg aaggttttct gcaagatacg tttcctcagc
1081 aactagaaga atctgagaag cagaggcttg gaggggatgt gcagagcccc aactgcccat
1141 ctgaggatgt agtcatcact ccagaaagct ttggaagaga ttcatccctc acatgcctgg
1201 ctgggaatgt cagtgcatgt gacgccccta ttctctcctc ttccaggtcc ctagactgca
1261 gggagagtgg caagaatggg cctcatgtgt accaggacct cctgcttagc cttgggacta
1321 caaacagcac gctgccccct ccattttctc tccaatctgg aatcctgaca ttgaacccag
1381 ttgctcaggg tcagcccatt cttacttccc tgggatcaaa tcaagaagaa gcatatgtca
1441 ccatgtccag cttctaccaa aaccagtgaa gtgtaagaaa cccagactga acttaccgtg
1501 agcgacaaag atgatttaaa agggaagtct agagttccta gtctccctca cagcacagag
1561 aagacaaaat tagcaaaacc ccactacaca gtctgcaaga ttctgaaaca ttgctttgac
1621 cactcttcct gagttcagtg gcactcaaca tgagtcaaga gcatcctgct tctaccatgt
1681 ggatttggtc acaaggttta aggtgaccca atgattcagc tatttaaaaa aaaaagagga
1741 aagaatgaaa gagtaaagga aatgattgag gagtgaggaa ggcaggaaga gagcatgaga
1801 ggaaaaaaa

XCL1(配列番号3)
1 mrllilallg icsltayive gvgsevsdkr tcvslttqrl pvsriktyti tegslravif
61 itkrglkvca dpqatwvrdv vrsmdrksnt rnnmiqtkpt gtqqstntav tltg

(配列番号4)
1 ctcagcagga cctcagccat gagacttctc atcctggccc tccttggcat ctgctctctc
61 actgcataca ttgtggaagg tgtagggagt gaagtctcag ataagaggac ctgtgtgagc
121 ctcactaccc agcgactgcc ggttagcaga atcaagacct acaccatcac ggaaggctcc
181 ttgagagcag taatttttat taccaaacgt ggcctaaaag tctgtgctga tccacaagcc
241 acatgggtga gagacgtggt caggagcatg gacaggaaat ccaacaccag aaataacatg
301 atccagacca agccaacagg aacccagcaa tcgaccaata cagctgtgac tctgactggc
361 tagtagtctc tggcaccctg tccgtctcca gccagccagc tcatttcact tta

CXCR6(配列番号5)
1 mddghqesal ydghyegdfw lfnnssdnsq enkrflkfke vflpcvylvv fvfgllgnsl
61 vliiyifyqk lrtltdvfll nlpladlvfv ctlpfwayag tyewvfgtvm cktlrgmyam
121 nfyvsmltlt citvdrfivv vqatkafnrq akwkiwgqvi clliwvvsll vslpqiiygh
181 vqdidklicq yhseeistmv lviqmtlgff lplltmilcy sgiiktllha rnfqkhkslk
241 iiflvvavfl ltqtpfnlam liqstsweyy titsfkyaiv vteaiayfra clnpvlyafv
301 glkfwknvwk lmkdigclsh qgvpsqwkss edssktcsas hnvettsmfq l

(配列番号6)
1 gcagaccttg cttcatgagc aagctcatct ctggaacaaa ctggcaaagc atctctgctg
61 gtgttcatca gaacagacac catggcagag catgattacc atgaagacta tgggttcagc
121 agtttcaatg acagcagcca ggaggagcat caagacttcc tgcagttcag caaggtcttt
181 ctgccctgca tgtacctggt ggtgtttgtc tgtggtctgg tggggaactc tctggtgctg
241 gtcatatcca tcttctacca taagttgcag agcctgacgg atgtgttcct ggtgaaccta
301 cccctggctg acctggtgtt tgtctgcact ctgcccttct gggcctatgc aggcatccat
361 gaatgggtgt ttggccaggt catgtgcaag agcctactgg gcatctacac tattaacttc
421 tacacgtcca tgctcatcct cacctgcatc actgtggatc gtttcattgt agtggttaag
481 gccaccaagg cctacaacca gcaagccaag aggatgacct ggggcaaggt caccagcttg
541 ctcatctggg tgatatccct gctggtttcc ttgccccaaa ttatctatgg caatgtcttt
601 aatctcgaca agctcatatg tggttaccat gacgaggcaa tttccactgt ggttcttgcc
661 acccagatga cactggggtt cttcttgcca ctgctcacca tgattgtctg ctattcagtc
721 ataatcaaaa cactgcttca tgctggaggc ttccagaagc acagatctct aaagatcatc
781 ttcctggtga tggctgtgtt cctgctgacc cagatgccct tcaacctcat gaagttcatc
841 cgcagcacac actgggaata ctatgccatg accagctttc actacaccat catggtgaca
901 gaggccatcg catacctgag ggcctgcctt aaccctgtgc tctatgcctt tgtcagcctg
961 aagtttcgaa agaacttctg gaaacttgtg aaggacattg gttgcctccc ttaccttggg
1021 gtctcacatc aatggaaatc ttctgaggac aattccaaga ctttttctgc ctcccacaat
1081 gtggaggcca ccagcatgtt ccagttatag gccttgccag ggtttcgaga agctgctctg
1141 gaatttgcaa gtcatggctg tgccctcttg atgtggtgag gcaggctttg tttatagctt
1201 gcgcattctc atggagaagt tatcagacac tctggctggt ttggaatgct tcttctcagg
1261 catgaacatg tactgttctc ttcttgaaca ctcatgctga aagcccaagt agggggtcta
1321 aaatttttaa ggactttcct tcctccatct ccaagaatgc tgaaaccaag ggggatgaca
1381 tgtgactcct atgatctcag gttctccttg attgggactg gggctgaagg ttgaagaggt
1441 gagcacggcc aacaaagctg ttgatggtag gtggcacact gggtgcccaa gctcagaagg
1501 ctcttctgac tactgggcaa agagtgtaga tcagagcagc agtgaaaaca agtgctggca
1561 ccaccaggca cctcacagaa atgagatcag gctctgcctc accttggggc ttgacttttg
1621 tataggtaga tgttcagatt gctttgatta atccagaata actagcacca gggactatga
1681 atgggcaaaa ctgaattata agaggctgat aattccagtg gtccatggaa tgcttgaaaa
1741 atgtgcaaaa cagcgtttaa gactgtaatg aatctaagca gcatttctga agtggactct
1801 ttggtggctt tgcattttaa aaatgaaatt ttccaatgtc tgccacacaa acgtatgtaa
1861 atgtatatac ccacacacat acacacatat gtcatatatt actagcatat gagtttcata
1921 gctaagaaat aaaactgtta aagtctccaa act
前記遺伝子は、2本鎖DNAのみならず、それを構成するセンス鎖及びアンチセンス鎖といった各1本鎖DNAを包含する。ゲノムDNAを含む2本鎖DNA及びcDNAを含む1本鎖DNA(正鎖)並びに該正鎖と相補的な配列を有する1本鎖DNA(相補鎖)のいずれもが含まれる。相補的な配列とは、正鎖に対して、A:T及びG:Cといった塩基対関係に基づいて、塩基的に相補的な関係にある配列をいう。
また、前記遺伝子が転写するRNA、前記遺伝子又はRNAの核酸配列のうち少なくとも連続した12塩基の部分配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド、前記遺伝子がコードするタンパク質、前記タンパク質の断片であるポリペプチド、及び、前記タンパク質及びポリペプチドの少なくともいずれかと特異的に結合することのできる抗体も本発明の疾患マーカーとして用いることができる。
前記疾患マーカーのうち、前記オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド及び抗体は、生体内での前記遺伝子発現及び発現により生じたタンパク質を特異的に検出するための公知の方法のプローブとして、またオリゴヌクレオチドは、生体内で前記遺伝子発現によって生じたRNA又はそれに由来するポリヌクレオチドを増幅するためのプライマーとして、さらにタンパク質は結合する物質のスクリーニングに有効に利用することができる。前記遺伝子発現を特異的に検出する方法としては、ノーザンブロット法、RT-PCR法、in situハイブリダーゼーション法や、後述するDNAマイクロアレイなどが挙げられる。
前記オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは、前記遺伝子又はRNAの核酸配列のうち少なくとも連続した12塩基の部分配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドであれば特に制限はなく、部分配列の長さは、疾患マーカーの用途に応じて適宜選択することができる。前記プライマーとして用いる場合には、通常12bp〜100bpであり、15bp〜35bpの塩基長を有するものが好ましい。また前記検出プローブとして用いる場合には、通常12bp〜全配列の塩基数であり、1kb以下であることが好ましい。また、前記オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは、前記遺伝子又はRNAの核酸配列のうち少なくとも連続した12塩基の部分配列を含んでいれば、該遺伝子又はDNAの断片そのものでなくてもよく、前記遺伝子又はRNAとストリンジェントな条件でハイブリダイスすることができる程度の相補関係を有するものであってもよい。なお、ここでストリンジェントな条件は、複合体或いはプローブを結合する核酸の融解温度(Tm)に基づいて決定することができる(Berger and Kimmel 1987,Guide to Molecular Cloning Techniques Methods in Enzymology,Vol. 152,Academic Press,San Diego CA)。例えばハイブリダイズ後の洗浄条件として、通常「1×SSC、0.1%SDS、37℃」程度の条件を挙げることができる。前記条件で洗浄しても、前記遺伝子又はRNAの核酸配列のうち少なくとも連続した12塩基の部分配列からなるオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドとハイブリダイズ状態を維持するものをいう。
検出プローブ及びプライマーとして用いられるオリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドは、前記疾患マーカーの遺伝子の塩基配列に基づき、公知の方法により作成することができる。例えばVector NTI(Infomax社製)等を利用して設計し、作成することができる。
疾患マーカーの抗体は、疾患マーカー遺伝子の翻訳産物であるタンパク質を免疫抗原とし、これを特異的に認識することを特徴とする抗体である。前記抗体は、ポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよい。これらの抗体は、周知の製造方法を用いて製造することができる。具体的には、抗体がポリクローナル抗体の場合には、例えば大腸菌等で発現し精製した疾患マーカーである遺伝子の翻訳産物を用いて、あるいは当該タンパク質の部分アミノ酸配列を有するオリゴペプチドを合成して、家兎等の非ヒト動物に免疫し、該免疫動物の血清から得ることが可能である。一方、モノクローナル抗体の場合には、大腸菌等で発現し精製した疾患マーカーである遺伝子の翻訳産物あるいは該タンパクの部分アミノ酸配列を有するオリゴペプチドをマウス等の非ヒト動物に免疫し、得られた脾臓細胞と骨髄腫細胞とを細胞融合させて調製したハイブリドーマ細胞の中から得ることができる。
疾患マーカーのタンパク質は、疾患マーカーの遺伝子の配列情報に基づいて、周知の方法により得ることができる。すなわち、DNAをクローニングし、プラスミドを構築し、宿主へトランスフェクションし、形質転換体を培養し、培養物からタンパク質を回収する。
本発明のDNAマイクロアレイは、基板上に、遺伝子の核酸配列のうち少なくとも連続した12塩基の部分配列を含む複数のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが整列してなり、前記遺伝子が、少なくとも、インターロイキン7受容体遺伝子(IL-7r)、ケモカイン(C motif)リガンド1遺伝子(XCL1)及びケモカイン(C-X-C)受容体6遺伝子(CXCR6)、ケモカイン(C-C)受容体2遺伝子(CCR2)、及びリンホトキシンA遺伝子(LTA)を含み、前記遺伝子又はその転写物とそれぞれ特異的に結合し、前記遺伝子の発現をモニタリングすることを特徴とする。オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは、インターロイキン7受容体遺伝子(IL-7r)、ケモカイン(C motif)リガンド1遺伝子(XCL1)、ケモカイン(C-X-C)受容体6遺伝子(CXCR6)、ケモカイン(C-C)受容体2遺伝子(CCR2)及びリンホトキシンA遺伝子(LTA)の核酸配列のうち少なくとも連続した12塩基の部分配列を含み、前記遺伝子又はその転写物とそれぞれ特異的に結合し、遺伝子発現を検出することができるものである。前記遺伝子としては、更に、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド1遺伝子(CXCL1)、インターロイキン21受容体遺伝子(IL21r)、インターロイキン10受容体β遺伝子(IL10rb)、インターロイキン2受容体γ鎖遺伝子(IL2rg)、インターロイキン9受容体遺伝子(IL9r)、ケモカイン(C-C motif)リガンド8遺伝子(CCL8)、ケモカイン(C-C)レセプター8遺伝子(CCR8)、インターロイキン1α遺伝子(IL1a)、インターロイキン4受容体α遺伝子(IL4ra)、ケモカインオーファンレセプター1遺伝子(CMKor1)、インターロイキン3受容体α鎖遺伝子(IL3ra)、インターロイキン10遺伝子(IL10)、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド11遺伝子(CXCL11)、ケモカイン(C-C motif)リガンド3遺伝子(CCL3)、ケモカイン(C-C)受容体9遺伝子(CCR9)、インターロイキン18遺伝子(IL18)、及び、インターロイキン16遺伝子(IL16)を含んでいてもよい。
基板としては、特に制限はなく、ガラス、樹脂等公知の材料から選択できる。前記オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは基板上に整列固定されてなり、この固定オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドとターゲットDNA断片とのハイブリダイゼーションを行い、高感度でターゲットDNA断片を検出する。
形成されたハイブリッドの検出手段としては、DNA断片試料に予め結合させた蛍光標識若しくは放射性標識を利用する方法や、ハイブリッドに取り込まれる蛍光発生基若しくは導電性基を持つインターカレータを利用する方法など公知の方法を適宜用いることができる。
本発明のDNAマイクロアレイは、ぶどう膜炎の診断やぶどう膜炎の治療又は予防のための薬剤のスクリーニングに用いることができる。
前記DNAマイクロアレイの作製方法としては、基材表面において直接オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを合成する方法(オン・チップ法)と、予め別に調製したオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを基材表面に固定する方法とがあるが、そのいずれを用いてもよい。
オン・チップ法としては、光照射で選択的に除去される保護基の使用と、半導体製造に利用されるフォトリソグラフィー技術及び固相合成技術とを組み合わせて、微小なマトリックスの所定の領域でのオリゴヌクレオチドの選択的合成を行う方法が挙げられる。
一方、予め調製したオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを基材表面に固定する方法としては、まず、複数種類のプローブDNAが入っているマイクロプレートを用意する。また、ガラス板を用意しておき、その表面にpoly-l-Lysine等のDNAとガラスの結合剤をコーティングする。この後、マイクロプレートに入っているプローブDNAをピンに付着させ、表面にDNAとガラスの結合剤(poly-l-Lysine)がコーティングしてあるガラス基材の上に、スポッター等を用いて、ピンに付着させたプローブDNAを接触させてスポットする。マイクロプレートに入っている全てのプローブDNAをスポットし終わるまでこの作業を繰り返し、DNAマイクロアレイを製造する。
また、DNAマイクロアレイのハイブリダイゼーション工程は、プローブDNAが結合剤でガラス基材上にスポットされているDNAマイクロアレイと、蛍光物質で標識したサンプルDNAを、ともにハイブリダイゼーション溶液に入れてハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーション溶液は、ホルムアルデヒド、SSC(NaCl,trisodiumcitrate)、SDS(sodium dodecyl sulfate)、EDTA(ethylenediamidetetraacetic acid)、蒸留水などからなる混合液であり、混合比率は使用するDNAの性質により異なる。このとき、サンプルDNAとDNAマイクロアレイ上のプローブDNAが相補鎖DNAであれば、両者は二重らせん構造をとり結合する。一方、両者が相補鎖でなければ結合することはなく、蛍光物質で標識したサンプルDNAは、そのままハイブリダイゼーション溶液に残留するか、その一部はガラス基材上にコーティングされている結合剤と結合し残る場合もある。
ガラス基材上に残った蛍光物質で標識したサンプルDNAを水槽等の中に入れて洗浄すると、プローブDNAと結合していないサンプルDNAは排除される。その後、プローブDNAと結合しているサンプルDNAに標識している蛍光物質を、所定の光源からの光エネルギーで励起させ、蛍光物質が励起して発光する光をCCDなどの光センサーで検出することでハイブリダイゼーションの検出を行うことができる。
本発明の薬剤スクリーニング方法は、前記疾患マーカーの少なくともいずれかを用い、ぶどう膜炎に関する疾患の治療又は予防に有効な候補化合物をスクリーニングするものであれば特に制限はない。前記インターロイキン7受容体遺伝子(IL-7r)、ケモカイン(C motif)リガンド1遺伝子(XCL1)及びケモカイン(C-X-C)受容体6遺伝子(CXCR6)のような疾患マーカー遺伝子群は、薬剤の重要なターゲットとなり得るものであり、これらの遺伝子の発現、転写又は翻訳を選択的に制御する(特に上昇させる)物質や、IL-7r、XCL1及びCXCR6タンパク質の機能を制御する物質をスクリーニングすることにより、ぶどう膜炎に関する疾患の治療又は予防に有効な物質をスクリーニングすることができる。
本発明の薬剤スクリーニング方法においては、本発明の疾患マーカーのうちオリゴヌクレオチドをプライマーとして用い、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを検出用プローブとして用いて、被検試料における疾患マーカー遺伝子の発現を検出し、該遺伝子の発現量を変化させる物質をぶどう膜炎に関する疾患の治療又は予防に有効な候補化合物としてスクリーニングすることができる。遺伝子の発現の検出に際しては、被検試料における遺伝子を増幅するために、定量的又は半定量的PCRを用いることができる。該PCRとしてはRT−PCR(逆転写PCR)又はリアルタイムPCR法を用いることができる。該PCRを行うに際しては、検出する遺伝子を増幅するためのセンスプライマー及びアンチセンスプライマーからなるプライマーを用いる。該プライマーの構築は、前述のように公知の方法に基づいて適宜行うことができる。たとえば、前記IL−7r遺伝子の検出については、配列番号7及び配列番号8のプライマー等を用いることができる。
(配列番号7)
aagatgcaga actggatgac
(配列番号8)
tttccaatca gtaagaattt
被検試料の遺伝子を、上記のセンスプライマー及びアンチセンスプライマーの少なくとも1対以上のプライマーを用いて増幅し、増幅した遺伝子を本発明の検出用プローブを用いて検出する。
また、本発明の薬剤スクリーニング方法においては、前記本発明のDNAマイクロアレイを用いて、被検試料における疾患マーカー遺伝子の発現を検出し、該遺伝子発現量を変化させる物質をぶどう膜炎に関する疾患の治療又は予防に有効な候補化合物としてスクリーニングすることができる。
また、本発明の薬剤スクリーニング方法においては、本発明の疾患マーカーのうち抗体を用いた蛍光抗体法を用いて、被検試料における疾患マーカー遺伝子の発現によるポリペプチド又はタンパク質を検出することができる。蛍光抗体法により前記ポリペプチドを標識化するには、本発明の前記ポリペプチドに特異的に結合する本発明の疾患マーカーである抗体を蛍光標識し、これを、抗原を発現している被検試料に結合させて、ポリペプチド又はタンパク質を標識化する(直接蛍光抗体法)か、或いは、抗原を発現している細胞に、未標識の本発明の特異抗体を結合させた後に、標識化した二次抗体(抗免疫グロブリン抗体)を結合させてポリペプチド又はタンパク質を標識化し(間接蛍光抗体法)、該標識化したポリペプチド又はタンパク質を発現するかどうかを検出し、スクリーニングを行う。
なお、この場合被検試料は、マウス、ラット、ブタ、ヒツジ、イヌ等の実験動物における末梢血、組織をホモゲナイズした溶液の上清や懸濁液などを用いることができる。
さらに、本発明の薬剤スクリーニング方法においては、本発明の疾患マーカーのうちタンパク質を用いて、前記タンパク質に特異的に結合する物質を選択することによりスクリーニングすることにより、ぶどう膜炎に関する疾患の治療又は予防に有効な候補化合物としてスクリーニングすることができる。
本発明のぶどう膜炎検査方法は、ステロイド剤投与後の遺伝子発現の変化を指標とした階層的クラスター解析によりクラスター化された遺伝子リストに基づいて、遺伝子発現量を測定することを特徴とする。
ステロイド剤とは、シクロペンタヒドロフェナントレンの誘導体の有機化合物であって、共通して、ステロイド核を有するステロイドホルモンを有効成分とする薬剤の総称である。ステロイド剤は、リンパ球の働きを抑え、炎症を強力に抑制する。本発明において、ステロイド剤に特に制限はなく、公知のステロイド剤を適宜用いることができる。公知のステロイド剤としては、プレドニゾロン、酢酸ヒドロコルチゾン、トリアムシノロンアセトニド、酪酸ヒドロコルチゾン、プロピオン酸アルクロメタゾン、酪酸クロベタゾン、吉草酸ベタメタゾン、フルオキシノロンアセトニド、プロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、吉草酸ジフルコルトロン、フルオシノニド、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、ジフルプレドナート、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾン等が挙げられる。
「ステロイド剤投与後の遺伝子発現の変化を指標とした階層的クラスター解析によりクラスター化された遺伝子リスト」は、マウス等の実験動物又はヒトにおいて、ステロイド剤投与群とステロイド剤非投与群とのデータを比較して、前述のように階層的クラスター解析することによって得ることができ、具体的には、前記フラットパターン、マウンテンパターン、ラージダウンヒルパターン及びスモールダウンヒルパターンの4パターンに分類された遺伝子リストをいう。リストに含まれる遺伝子としては、例えば、図3に記載のサイトカイン・ケモカイン関連遺伝子が挙げられるが、これに限定するものではなく、また、図3に記載の遺伝子から適宜抽出することができる。このとき、遺伝子リストには、クラスター3に含まれる遺伝子に加えてCXCL9やCXCL10、IFN-gamma・IL-12・IL-4・IL-10を含むことが望ましい。
また、「クラスター化された遺伝子リストに基づいて、遺伝子発現量を測定する」とは、クラスター化された遺伝子リストの遺伝子発現量を測定し、その結果をクラスターごとに整列させた遺伝子リストに対応させて可視化して表示することをいう。これにより、ランダムに整列させるよりも、疾患に特異的な発現パターンを検出しやすい。
また、本発明のぶどう膜炎検査方法は、インターロイキン13受容体遺伝子α2鎖遺伝子(IL13ra2)、インターロイキン7受容体γ鎖遺伝子(IL7r)、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド12遺伝子(CXCL12)、形質転換成長因子β受容体1遺伝子(TGFbR1)、モカイン(C-C)受容体5遺伝子(CCR5)、インターロイキン2受容体α鎖遺伝子(IL2ra)、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド15遺伝子(CXCL15)、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子受容体α遺伝子(CSF2ra)、ケモカイン(C motif)受容体遺伝子(XCR1)、インターロイキン11受容体遺伝子α鎖遺伝子(IL11ra)、形質転換成長因子β2遺伝子(TGFb2)、ケモカイン(C-Cmotif)受容体7遺伝子(CCR7)、インターロイキン12受容体β2(IL12rb2)、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド1(CXCL1)、ケモカイン(C-C motif)受容体1-like 1(CCCR1l1)、ケモカイン(C-C motif)リガンド11(CCL11/eotaxin)、ケモカイン(C-X-C motif)受容体4(CXCR4)の少なくともいずれかの遺伝子の発現を指標とし、前記遺伝子の発現量を測定することを特徴とする。これらの遺伝子は、ぶどう膜炎において発現が4倍以上上昇し、ぶどう膜炎発症と特に関連を有している遺伝子であり、ぶどう膜炎の診断に有用である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例における試薬、材料及び実験手法は、以下のとおりである。
(実施例1)
自己免疫性ぶどう膜炎発症において発現変化する遺伝子を調べるため、EAUマウスにおける遺伝子発現をマイクロアレイで解析した。
(マウス)
Japan SLC,Inc.(Shizuoka,Japan)より90匹のC57BL/6マウスを購入した。マウスは、病原体フリーの条件で飼育され、8から10週齢で使用した。実験動物は、Association for Research in Vision and Ophthalmology(ARVO)規約の眼科研究における実験動物の使用規約に基づいて使用した。
(ペプチドとアジュバント)
マウスに投与してぶどう膜炎を起こさせるためのペプチドは、ヒトのIRBPペプチドを使用した。IRBPの1番目から20番目相当する部分IRBP1-20(GPTHLFQPSLVLDMAKVLLD)を使用しているが、この部分は、過去にぶどう膜炎を起こすことが報告されているものである(前記非特許文献1及び、Namba K,Ogasawara K,Kitaichi N,et al.Amelioration of experimental autoimmune uveoretinitis by pretreatment with a pathogenic peptide in liposome and anti-CD40 ligand monoclonal antibody.J Immunol.2000;165:2962-2969.)。ペプチドは、Gene Net Co.,Ltd.(Fukuoka,Japan)より購入した。Complete Freund’s adjuvant(CFA)と結核死菌H37RaはそれぞれSigma-Aldrich(St.Louis,MO)及びDIFCO(Detroit,MO)から購入した。百日咳菌の毒素はWako Pure Chemical Industries(Tokyo,Japan)から購入した。IRBPペプチドは、PBSに5mg/mlの濃度で調整した。
(EAUの作成とクリニカルスコア)
C57BL/6マウスの右足背部、右鼠径部、尾根部に100mgのIRBPと6.0mg/mlの結核死菌を含んだCFAを容積比1:1で混合した溶液を接種した。1010 organisms/mouseに調整した、百日咳菌の毒素100mlをマウスの腹腔に追加免疫した。免疫後、10日目より、スリットランプにより毎日炎症の程度を観察した。炎症のピークはペプチド免疫後16日目に見られた。EAUのクリニカルスコア(炎症の程度評価の基準)は過去の報告に従い(Thurau SR,Chan CC,Nussenblatt RB,Caspi RR.Oral tolerance in a murine model of relapsing experimental autoimmune uveoretinitis(EAU):induction of protective tolerance in primed animals.Clin Exp Immunol.1997;109:370-376.)、0から4にグレード分けされた。我々は、研究を通じてgrade 2のマウスを使用した。
(マウスからのサンプルの回収)
EAUにおける遺伝子発現を解析するために、ペプチド免疫後16日目のEAUマウス10匹を屠殺し眼球を回収した。アジュバントのみを免疫したマウス群をコントロールとした。
(トータルRNAの回収)
動物間のばらつきを最小にするために同一条件で10匹のマウスの眼を回収して1つのサンプルとしてまとめた(Dong H,Toyoda N,Yoneyama H,et al.Gene expression profile analysis of the mouse liver during bacteria-induced fulminant hepatitis by a cDNA microarray system.Gene expression profile analysis of the mouse liver during bacteria-induced fulminant hepatitis by a cDNA microarray system.Biochem Biophys Res Commun.2002 Nov;298:675-686.Chakravarti S,Wu F,Vij N,Roberts L,Joyce S.Microarray studies reveal macrophage-like function of stromal keratocytes in the cornea.Invest Ophthalmol Vis Sci.2004;45:3475-3484.)。眼球を取り出しすぐに準備した。まとめられた眼球は、TRIZOL reagent(Invitrogen Inc.,Carlsbad,CA)を加えてHG30 homogenizer(Hitachi Koki Co.,Ltd.,Tokyo,Japan)を用いてホモゲナイズされた。トータルRNAは、プロトコールに従い回収された。cetyltrimethylammonium bromide法を用いて、リポ糖タンパクのコンタミネーションを除いた(Carninci P,Hayashizaki Y.High-efficiency full-length cDNA cloning.Methods Enzymol.1999;303:19-44.)。DNAのコンタミネーションはDNase Iを用いて除かれた。RANの最終産物は、260/280nmの比が1.9-2.0、230/260nmの比が0.5以下の純度の基準を満たすものであった。RNAの質は、ゲル電気流動を行って、28Sと18Sのribosomal RNAのバンドを可視化することにより、RNAの量は260nmの吸収量で決定した。
(cDNAマイクロアレイチップ)
マウスサイトカイン・ケモカインチップ(Kakengeneqs Co.,Ltd.,Chiba,Japan)で解析できる遺伝子は、マウスのサイトカイン29遺伝子、サイトカイン受容体34遺伝子、ケモカイン33遺伝子、ケモカイン受容体遺伝子21遺伝子の合計117遺伝子であり、ほとんどのサイトカイン・ケモカイン遺伝子を含んでいる。2つのハウスキーピング遺伝子(GAPDH,beta-actin)とマウスとは全く関係の無い3つの遺伝子(tobacco chloroplast DNA,part of a cloning vector,and a solvent that suspends the PCR products)がポジティブコントロール、ネガティブコントロールとしてそれぞれチップ上にのせられている(表1−1及び1−2)。
(cDNAの作成とハイブリダイゼーション)
100mgのトータルRNAを、市販のキット(LabelStar Array kit;Qiagen,Valencia,CA)を用いて、double-strand cDNA合成した。cDNAを合成する際に、cyanine 5(Cy5)を結合したdUTP(Perkin-Elmer,Boston,MA)をコントロール群、cyanine 3(Cy3)を結合したdUTP(Perkin-Elmer,Boston,MA)を対象群としてプロトコール通りに標識した。それぞれのRANのサンプルは、Cy3とCy5で3回ずつ標識され、得られた標識cDNAsは混合されcDNAマイクロアレイチップに同時にハイブリダイゼーションされた。EAUにおける発現パターンはコントロールマウスと比較された。アレイハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーションの温度が65oC以外はKakengeneqs Co.,Ltd.の提供するプロトコールどおりに行った。
(マイクロアレイの定量)
ハイブリダイズされたマイクロアレイの蛍光イメージは、428 Array Scanner(Affymetrix,Santa Clara,CA)を用いてCy3を532nmでCy5を635nmで検出することにより得た。それぞれのチップは2回スキャンされた。蛍光強度の生データの解析では、DNASIS Array(Hitachi Software Engineering Co.,Ltd.,Tokyo,Japan)を用いてスポットのシグナル強度の計算を行った。DNASIS Arrayは、シグナル強度のノーマライゼーション、バックグラウンド補正、DNAチップ間の比較、スポットデータの解析などを行うソフトウェアである。Housekeeping遺伝子のシグナル強度の中間値の算出によりデータのノーマライゼーションを行っている。1つのRNAサンプルにつき3回のデータを集め平均値を算出した。コントロールもしくは対象群のいずれかのうち3回の実験の中で2回以上シグナルが検出できなかった遺伝子については更なる解析を行わなかった。対象群の、正規化し平均化された蛍光強度はコントロールと比較され蛍光強度比を算出した。2倍以上の発現上昇もしくは発現低下を持って優位差ありとした。同じ実験を3回繰り返して再現性のあるデータを得た。
(マイクロアレイ反応の信頼性及び再現性の検討)
図1AにCy3とCy5のダイスワッピング(dye swapping)法による散布図を示す。3回の独立した実験の平均のデータのプロットであるが、相関係数がR2=0.995と非常に良い実験の信頼性を得た。
マイクロアレイ反応の再現性は、同じRNAを3回独立して標識してハイブリダイゼーションした結果のクラスターイメージを比較することで行った。マイクロアレイのデータはDNASIS Stat software(Hitachi Software Engineering Co.)を用いて階層的クラスター解析(Eisen MB,Spellman PT,Brown PO,Botstein D.Cluster analysis and display of genome-wide expression patterns.Proc Natl Acad Sci USA.1998;95:14863-14868.)し、可視化した。クラスター数等については、実施例2で後述するようにして決定したものを用いた。図1Bには、6回の独立した実験のクラスターイメージを並べて示している。3回の実験では、EAUマウス由来のRNAをCy3でコントロールマウス由来のRNAをCy5で標識して、競合ハイブリダイゼーションを行い、別の3回の実験ではEAUマウス由来のRNAをCy5でコントロールマウス由来のRNAをCy3で標識して、競合ハイブリダイゼーションを行った。チップ間のノーマライゼーションは、それぞれのマイクロアレイチップにスポットされているコントロール遺伝子の蛍光強度を比較することにより行った。それぞれ3回の実験は同様な傾向を示した。
(EAU発症において発現変化する遺伝子のマイクロアレイの結果)
表2に、EAUマウスとコントロールマウスについて、cDNAマイクロアレイチップに同時にハイブリダイゼーションさせて得られたEAU発症による発現変化の結果を表した。解析した大部分の遺伝子はEAU発症において発現上昇していた。3回のハイブリダイゼーション実験のすくなくとも2回以上の結果においてコントロール群と対象群の比が2倍以上変化したとき遺伝子発現が変化したと仮定した。この条件の下で解析すると、117遺伝子のうち91遺伝子が2倍以上優位にEAU発症で発現上昇し、17遺伝子には優位な変化はみられなかった。9個の遺伝子については、コントロールにおいて発現を検出できなかったので、発現についての評価をしていない。しかしながら、この9個の遺伝子は確かにEAU発症において発現上昇していた。発現上昇していた遺伝子の大部分はTh1タイプのサイトカイン・ケモカイン及び受容体遺伝子であったが、いくつかのTh2タイプの遺伝子も優位に発現上昇していた。注目すべき点は、サイトカイン・ケモカイン受容体遺伝子が特にEAU発症においてより強く発現上昇される(上位10遺伝子中8遺伝子)。
コントロール群に対して4倍以上発現上昇している、上位17遺伝子は、特にEAU発症と関連を有している遺伝子であり、ぶどう膜炎の診断や、治療薬のターゲットとして、有用であることが示唆された。
(実施例2)
プレドニゾロン投与後に発現変化する遺伝子を調べるために、プレドニゾロン投与後のEAUマウスにおいて、マイクロアレイ解析を行った。
(リン酸プレドニゾロンのEAUマウスへの投与)
実施例1と同様にEAUマウスを作成した。炎症がピークに達したときのEAUマウスに体重換算で7.5mg/kgの0.9%NaClの生理食塩水に溶かしたリン酸プレドニゾロン(LKT Laboratories,Inc.,West St.Paul,MI)を1回静脈投与した(Augustin AJ,Spitznas M,Sekundo W,et al.Effects of allopurinol and steroids on inflammation and oxidative tissue damage in experimental lens induced uveitis:a biochemical and morphological study.Br J Ophthalmol.1996;80:451-457.Augustin AJ,Loeffler KU,Sekundo W,Grus FH,Lutz J.Effects of systemically applied allopurinol and prednisolone on experimental autoimmune uveitis.Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol.1999;237:508-512.)。この投与量は、ヒトのぶどう膜炎である原田病の臨床治療に用いられている投与量とほぼ同量である(Moorthy RS,Inomata H,Rao NA.Vogt-Koyanagi-Harada syndrome.Surv Ophthalmol.1995;39:265-292.)。
(マウスからのサンプル回収)
プレドニゾロンの効果を調べるために、プレドニゾロン投与後、1日目、2日目、3日目のマウスをそれぞれ10匹ずつ屠殺し眼球を回収した。0.9%の生理食塩水を投与した群をコントロールとし、投与後1日目、2日目、3日目のマウスをそれぞれ10匹ずつ屠殺し、眼球を回収した。
(cDNAの作成とハイブリダイゼーション)
実施例1と同様にトータルRNAを回収し、DNAチップとハイブリダイゼーションさせた。プレドニゾロン投与群マウスにおける遺伝子発現パターンは、投与日数を合わせたプレドニゾロンを投与しないEAUマウス群をコントロールとして比較した。
(クラスター解析の方法)
マイクロアレイのデータはDNASIS Stat software(Hitachi Software Engineering Co.)を用いて階層的クラスター解析し、可視化した。クラスター解析の中で、Silhouette IndexとDunn’s Indexを用いて最適なクラスター数を決定した。
(プレドニゾロン投与後に発現変化する遺伝子のマイクロアレイの結果)
表3には、機能別のカテゴリーと発現変化の倍数変化を示した。治療1日目後、優位に発現低下した遺伝子が47遺伝子、2日目に10遺伝子、3日目に46遺伝子が発現低下していた。1日目に10遺伝子が発現上昇していたが、その後は上昇した遺伝子は無かった。
表4に投与1日目に発現上昇した10遺伝子を示し、表5に投与1日目、2日目、3日目のそれぞれの時点での発現低下した上位10遺伝子をそれぞれ示した。発現低下した上位10遺伝子はそれぞれの時点で異なっていた。クリニカルスコアは、観察期間中は有意には変化しなかった。
(プレドニゾロン投与後の遺伝子発現変化のクラスター解析の結果)
図2Bにそれぞれの遺伝子の発現プロファイルのクラスターイメージを示した。Silhouette IndexとDunn’s Indexを参考にして適切なクラスター数を決定した。その結果、両方のindexで高値を示した(Silhouette Index,-0.12;Dunn’s Index,0.51)、4クラスターが適切なクラスター数と判定した(図2A)。
クラスター1は、投与1日目、2日目もしくは両方で発現変化のない(1倍前後)28遺伝子を含んでいた。投与3日目で、いくつかの遺伝子は優位に発現抑制かかるものがあるが、多くは変化が無い遺伝子である。したがって、このクラスターの発現変化のパターンをフラットパターン(図2B)ということとした。EAUで約14倍発現上昇するIL-13ra2はこのクラスターに属し、プレドニゾロン投与では優位な発現変化を認めなかった。また、一般的に、生理的な環境の変化で発現に変化の見られないとされるGAPDHbeta-actinもこのクラスターに含まれ、このクラスターに属する遺伝子はプレドニゾロンの主なターゲットでない可能性を示唆している。また、IL-2遺伝子もこのクラスターに含まれた。IL-2遺伝子のmRNAの発現のピークは、EAUの発症の活動期にみられ、病気が治るにつれて発現も低下していくことが報告されている(非特許文献9)。しかし、ステロイド剤はIL-2の産生を優位に抑制せずChikanza IC,Kozaci D,Chernajovsky Y.The molecular and cellular basis of corticosteroid resistance.J Endocrinol.2003;179:301-310.、Skjolaas KA,Grieger DM,Hill CM,Minton JE.Glucocorticoid regulation of type 1 and type 2 cytokines in cultured porcine splenocytes.Vet Immunol Immunopathol.2002;87:79-87.、Van Wauwe J,Aerts F,Walter H,de Boer M.Cytokine production by phytohemagglutinin-stimulated human blood cells:effects of corticosteroids,T cell immunosuppressants and phosphodiesterase IV inhibitors.Inflamm Res.1995;44:400-405.)、代表的な免疫抑制剤であるシクロスポリンAがIL-2の遺伝子発現を抑制するとの報告がある(Kiani A,Rao A,Aramburu J.Manipulating immune responses with immunosuppressive agents that target NFAT.Immunity.2000;12:359-372.、Crabtree GR.Generic signals and specific outcomes:signaling through Ca2+,calcineurin,and NF-AT.Cell.1999;96:611-614.、Rao A,Luo C,Hogan PG.Transcription factors of the NFAT family:regulation and function.Annu Rev Immunol.1997;15:707-747.)。最近の研究で、ステロイド治療に抵抗性の難治性ぶどう膜炎に対して、シクロスポリンAが有効であったといういくつかの報告がある(Nussenblatt RB,Scher I.Effects of cyclosporine on T-cell subsets in experimental autoimmune uveitis.Invest Ophthalmol Vis Sci.1985;26:10-14.、Nussenblatt RB,Palestine AG,Chan CC,Mochizuki M,Yancey K.Effectiveness of cyclosporin therapy for Behcet's disease. Arthritis Rheum.1985;28:671-679.、Nussenblatt RB,Palestine AG,Chan CC.Cyclosporine therapy for uveitis:long-term followup.J Ocul Pharmacol.1985;1:369-382.)。IL-2遺伝子がクラスター1に属することは、これらの報告とよく合致した。
クラスター2は全ての観察ポイントで常に発現が抑制されている遺伝子(67遺伝子)を含んでいた。2日目の抑制の程度が弱いので、このクラスターの形は山型に良く似ていた(図2B)。117のサイトカイン・ケモカインと受容体遺伝子のうち、半分以上(67遺伝子)がマウンテンパターンを示すクラスター2に属していた。優位に発現低下する遺伝子は2日目で数が少なくなっていた。クラスター2の代表的な遺伝子はCCR5IL-2raCCL11/eotaxinCCL5/regulated upon activation normally T-expressedpresumably secreted(RANTES)である。以上のことをまとめると、クラスター2はプレドニゾロン治療での主要な遺伝子発現変化である。このクラスターには、眼炎症よく知られた遺伝子であるINF-gammaIL-6、TGF-betaIL-2rCXCL9、及びRANTES/CCL5が含まれていた(前記非特許文献6、8、9、10、Avichezer D,Chan CC,Silver PB,Wiggert B,Caspi RR.Residues 1-20 of IRBP and whole IRBP elicit different uveitogenic and immunological responses in interferon gamma deficient mice.Exp Eye Res.2000;71:111-118.、Sonoda KH,Sasa Y,Qiao H,et al.Immunoregulatory role of ocular macrophages:the macrophages produce RANTES to suppress experimental autoimmune uveitis.J Immunol.2003;171:2652-2659.、Namba K,Kitaichi N,Nishida T,Taylor AW.Induction of regulatory T cells by the immunomodulating cytokines alpha-melanocyte-stimulating hormone and transforming growth factor-beta2.J Leukoc Biol.2002;72:946-952.、Crane IJ,McKillop-Smith S,Wallace CA,Lamont GR,Forrester JV.Expression of the chemokines MIP-1alpha,MCP-1,and RANTES in experimental autoimmune uveitis.Invest Ophthalmol Vis Sci.2001;42:1547-1552.)。プレドニゾロン投与による遺伝子発現抑制が2日目で他の日と比べて弱くなる理由は明らかではないが、1つの可能性として、生理的な補償が一時的に起こるメカニズムの存在が考えられる。
クラスター3には、5つの遺伝子が含まれた。1日目で優位に発現上昇(2.5倍以上)し、2日目3日目で劇的に発現低下するパターンを示していた。このクラスターをラージダウンヒルパターンと呼ぶこととした。クラスター3の存在は、本発明における注目すべき発見であった。クラスター3に属する5つの遺伝子IL-7rXCL1/LymphotactinCXCR6/BONZOCCR2及びLymphotoxin A/TNF-betaは、プレドニゾロン投与により有意に1日目で発現上昇され、2日目、3日目に連続的に抑制がかかるパターンを示した。
クラスター4には17遺伝子が含まれ、1日目で2.5倍より低い軽度発現上昇と、2日目3日目での緩徐な発現低下を示すスモールダウンヒルパターンであった。クラスター4の発現パターンはクラスター3とよく似ていが、発現上昇の程度、発現抑制の程度がクラスター3のそれと比べて弱い。このクラスター4には、CCR8CXCL11/ interferon-inducible T-cell alpha-chemoattractant(I-TAC)等が属した。NK細胞・T細胞・単球で発現されているCCR8は炎症で発現が強く誘導される(Napolitano M,Zingoni A,Bernardini G,et al.Molecular cloning of TER1,a chemokine receptor-like gene expressed by lymphoid tissues.J Immunol.1996;157:2759-2763.、Tiffany HL,Lautens LL,Gao JL,et al.Identification of CCR8:a human monocyte and thymus receptor for the CC chemokine I-309.J Exp Med.1997;186:165-170.)。従来の研究により、CCR8やCXCL11/I-TACは内皮細胞の機能制御に役割を果たし、FGF2やVEGFのように血管新生分子として働くことが明らかにされてきた(Bernardini G,Spinetti G,Ribatti D,et al.I-309 binds to and activates endothelial cell functions and acts as an angiogenic molecule in vivo.Blood.2000;96:4039-4045.)局所的な網膜下血管新生はEAUの眼における一つの臨床症状であり、ステロイド剤が血管新生を抑制することもよく知られたことである(Jonas JB,Kreissig I,Kamppeter B,Degenring RF.Intravitreal triamcinolone acetonide for the treatment of intraocular edematous and neovascular diseases.Ophthalmologe.2004;101:113-120.、Jonas JB,Kreissig I,Degenring RF.Treatment of oedematous,proliferative and neovascular diseases by intravitreal triamcinolone acetonide.Klin Monatsbl Augenheilkd.2003;220:384-390.)。それゆえ、ステロイド剤がCXCL11やCCR8などを通じて血管新生をコントロールしているのではないかと考えられる。
図3にそれぞれのクラスターに属する遺伝子の詳細な情報を示した。
(定量的RT-PCRによるマイクロアレイデータの検証)
Northern blotting法やマイクロアレイ反応やreal-time PCR法を使ったmRNAの定量で方法による結果の違いが時折観察されることがある。そこで、EAU発症における正確な遺伝子発現変化やプレドニゾロン投与に伴う遺伝子発現変化を確かめるために遺伝子を選択して、RT-PCRを行った。
市販されているプライマーとプローブのセットのある遺伝子を解析に用いた。IL-21r、TNF-alpha、CXCL1遺伝子がEAUの発症に関わる遺伝子の例として、CXCL4、CXCL5、CXCR6、IL-16の遺伝子がステロイド治療後の効果を解析した実験の代表例として選択された。GAPDH,18s rRNA遺伝子をPCR反応のポジティブコントロールとして用いている。
500ngのトータルRNAをrandom hexamer primers(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)とSuperScript II(Invitrogen Corp.)を用いて逆転写反応を行った。real-time PCR反応はLow Density Array(Applied Biosystems,Foster City,CA)を用いて行った。Low density Arrayは、comparative Ct法を用いて相対的な遺伝子の発現プロファイルの比較が行える手段であるPfaffl MW,Horgan GW,Dempfle L.Relative expression software tool(REST)for group-wise comparison and statistical analysis of relative expression results in real-time PCR.Nucleic Acids Res.2002;30:e36.、Ariani F,Mari F,Pescucci C,et al.Real-time quantitative PCR as a routine method for screening large rearrangements in Rett syndrome:Report of one case of MECP2 deletion and one case of MECP2 duplication.Hum Mutat.2004;24:172-177.)。
18s rRNAの遺伝子発現を相対的な比較の基準として用いた。遺伝子特異的なPCR産物はABI PRISM 7900HT配列決定システム(Applied Biosystems)を用いて検出して定量した。反応のパラメーターは、50℃2分・94.5℃10分・97℃15秒の後、59.7℃でのannealing/extensionを1分・97℃1分の組み合わせを40サイクル、最後に59.7℃でのannealing/extensionを1分であった。それぞれの反応は4回行った。
マイクロアレイの結果と定量的RT-PCRの結果の比較はt検定した。P<0.05を統計的に有意とみなした。
(定量的RT-PCRの結果)
図4Aでは、EAUマウスにおいて発現上昇パターンを示す遺伝子の例であるIL-21rTNF-alpha及びCXCL1について、同一のRNAソースを用いて、マイクロアレイ解析と定量的RT-PCR実験とを行った結果を比較して示した。また、図4Bでは、プレドニゾロン投与後の、クラスター1、2、3及び4に属する遺伝子例について、マイクロアレイ解析と定量的RT−PCR実験とを行った結果を比較して示した。マイクロアレイ解析と定量的RT-PCR実験における発現比は相関があり、このことは実験の信頼性を示している。
(実施例3)
ヒトぶどう膜炎の患者の、難治・診断不能症例について、末梢血における遺伝子発現を疾患ごとに解析した。インフォームドコンセントに基づく同意を得た被験者から、大阪大学医学部倫理委員会承認を受けたプロトコール下で末梢血採血し、RNAを抽出して、遺伝子発現を解析した。遺伝子発現の解析は、健常者から採取した試料をコントロール(正常群)とし、正常群・疾患群のそれぞれの遺伝子の発現量を調べ、正常群の遺伝子の発現量を1として対応する遺伝子の発現比がどのように変わっているのかを調べた。前述した4クラスターに属する遺伝子を順に配列して、遺伝子発現プロファイルの結果を図5にした。赤色が濃くになるにつれて、発現比が正常と比べて上昇している(2倍以上、中には数100倍以上)ことを、緑色が明るくなればなるほど発現が強く抑制されていることを示す(0に近づく)。
カラム1は健常者、カラム2から5はVLH(Vogt-Koyanagi-Harada disease(原田病))、カラム6はSO(交感性眼炎(VKHと分子発症メカニズムは似ているが臨床的には別の疾患として分類されている疾患))、カラム7は眼サルコイドーシス、カラム8及び9はベーチェット病と診断された被験者から採取した試料を用いた。図中Steroidの欄は、ステロイド投与済みの場合は+、ステロイド非投与の場合は−を表示した。Excerbationとは、受診時に疾患が増悪していた場合もしくは、視力低下などの疾患増悪に伴う自覚症状の出現があることを示す。
クラスターのおおまかなパターンを俯瞰すると、各疾患において遺伝子の発現パターンが異なっていることがわかる。さらに、例えばVKHのステロイド非投与や、VKHのステロイド投与済みの結果に見られるように、同一の疾患では、おおまかな発現パターンは似ていることがわかる。このことから、該検査方法は、疾患分類に利用できることが実証され、この方法を用いれば、実施者の技量に関わらず、ある程度まで疾患分類を行うことができる。検査手段としての感度は、微量な遺伝子(mRNA)を検出できるので、非常に感度が高い。また、VKHとSOのように臨床的には同じ病態を示す疾患でも、遺伝子発現レベルでは5と6のようにかなり異なっているので、VKHとSOを区別することができ、病因の発見につながるものである。
本発明は、ぶどう膜炎の診断やぶどう膜炎の治療又は予防のための薬剤のスクリーニング等に利用できる。
図1Aは、ダイスワッピング法によるマイクロアレイ反応の信頼性の測定結果を示す図である。図1Bは、個々のマイクロアレイのクラスターイメージを比較して、マイクロアレイ反応の再現性を示す図である。 図2Aは、プレドニゾロン投与後の経時的な遺伝子発現のクラスター解析におけるクラスター数決定のための解析を示す。 図2Bは、プレドニゾロン投与後の経時的な遺伝子発現のクラスター解析の結果を示す。 図3は、図2で決定した各クラスターに属する遺伝子を示す。 図4Aは、EAUマウスにおいて発現上昇パターンを示す遺伝子の例であるIL-21rTNF-alpha及びCXCL1について、同一のRNAソースを用いて、マイクロアレイ解析と定量的RT-PCR実験とを行った結果を比較した図である。 図4Bは、プレドニゾロン投与後の、クラスター1、2、3及び4に属する遺伝子例について、マイクロアレイ解析と定量的RT−PCR実験とを行った結果を比較した図である。 図5は、ヒトぶどう膜炎における疾患別の遺伝子発現プロファイリングを示す。

Claims (8)

  1. 遺伝子、前記遺伝子が転写するRNA、前記遺伝子又はRNAの核酸配列のうち少なくとも連続した12塩基の部分配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド、前記遺伝子がコードするタンパク質、前記タンパク質の断片であるポリペプチド、及び、前記タンパク質及びポリペプチドの少なくともいずれかと特異的に結合することのできる抗体、のいずれかを含み、ぶどう膜炎の診断、ぶどう膜炎の治療又は予防のための薬剤のスクリーニング、ぶどう膜炎の治療又は予防のための薬剤の評価の少なくともいずれかに用いる疾患マーカーであって、
    前記遺伝子が、インターロイキン7受容体遺伝子(IL-7r)、ケモカイン(C motif)リガンド1遺伝子(XCL1)、ケモカイン(C-X-C)受容体6遺伝子(CXCR6)、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド1遺伝子(CXCL1)、インターロイキン21受容体遺伝子(IL21r)、インターロイキン10受容体β遺伝子(IL10rb)、インターロイキン2受容体γ鎖遺伝子(IL2rg)、インターロイキン9受容体遺伝子(IL9r)、ケモカイン(C-C motif)リガンド8遺伝子(CCL8)、ケモカイン(C-C)レセプター8遺伝子(CCR8)、インターロイキン1α遺伝子(IL1a)、インターロイキン4受容体α遺伝子(IL4ra)、ケモカインオーファンレセプター1遺伝子(CMKor1)、インターロイキン3受容体α鎖遺伝子(IL3ra)、インターロイキン10遺伝子(IL10)、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド11遺伝子(CXCL11)、ケモカイン(C-C motif)リガンド3遺伝子(CCL3)、ケモカイン(C-C)受容体9遺伝子(CCR9)、インターロイキン18遺伝子(IL18)、及び、インターロイキン16遺伝子(IL16)から選択されるいずれかの遺伝子であることを特徴とする疾患マーカー。
  2. 前記遺伝子が、インターロイキン7受容体遺伝子(IL-7r)、ケモカイン(C motif)リガンド1遺伝子(XCL1)及びケモカイン(C-X-C)受容体6遺伝子(CXCR6)から選択されるいずれかの遺伝子である請求項1に記載の疾患マーカー。
  3. 基板上に、遺伝子の核酸配列のうち少なくとも連続した12塩基の部分配列を含む複数のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが整列してなり、前記遺伝子が、少なくとも、インターロイキン7受容体遺伝子(IL-7r)、ケモカイン(C motif)リガンド1遺伝子(XCL1)及びケモカイン(C-X-C)受容体6遺伝子(CXCR6)、ケモカイン(C-C)受容体2遺伝子(CCR2)、及びリンホトキシンA遺伝子(LTA)を含み、前記遺伝子又はその転写物とそれぞれ特異的に結合し、前記遺伝子の発現をモニタリングすることを特徴とするDNAマイクロアレイ。
  4. 前記遺伝子が、更に、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド1遺伝子(CXCL1)、インターロイキン21受容体遺伝子(IL21r)、インターロイキン10受容体β遺伝子(IL10rb)、インターロイキン2受容体γ鎖遺伝子(IL2rg)、インターロイキン9受容体遺伝子(IL9r)、ケモカイン(C-C motif)リガンド8遺伝子(CCL8)、ケモカイン(C-C)レセプター8遺伝子(CCR8)、インターロイキン1α遺伝子(IL1a)、インターロイキン4受容体α遺伝子(IL4ra)、ケモカインオーファンレセプター1遺伝子(CMKor1)、インターロイキン3受容体α鎖遺伝子(IL3ra)、インターロイキン10遺伝子(IL10)、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド11遺伝子(CXCL11)、ケモカイン(C-C motif)リガンド3遺伝子(CCL3)、ケモカイン(C-C)受容体9遺伝子(CCR9)、インターロイキン18遺伝子(IL18)、及び、インターロイキン16遺伝子(IL16)を含む請求項4に記載のDNAマイクロアレイ。
  5. 請求項1に記載の疾患マーカーの少なくともいずれかを用い、ぶどう膜炎に関する疾患の治療又は予防に有効な候補化合物をスクリーニングすることを特徴とする薬剤スクリーニング方法。
  6. インターロイキン7受容体遺伝子(IL-7r)、ケモカイン(C motif)リガンド1遺伝子(XCL1)及びケモカイン(C-X-C)受容体6遺伝子(CXCR6)から選択されるいずれかの遺伝子の発現、転写又は翻訳を選択的に制御する物質、又は、IL-7rタンパク質、XCL1タンパク質及びCXCR6タンパク質から選択されるいずれかのタンパク質の機能を制御する物質を選択することにより、ぶどう膜炎に関する疾患の治療又は予防に有効な候補化合物をスクリーニングすることを特徴とする薬剤スクリーニング方法。
  7. ステロイド剤投与後の遺伝子発現の変化を指標とした階層的クラスター解析によりクラスター化された遺伝子リストに基づいて、遺伝子発現量を測定することを特徴とするぶどう膜炎検査方法。
  8. インターロイキン13受容体遺伝子α2鎖遺伝子(IL13ra2)、インターロイキン7受容体γ鎖遺伝子(IL7r)、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド12遺伝子(CXCL12)、形質転換成長因子β受容体1遺伝子(TGFbR1)、モカイン(C-C)受容体5遺伝子(CCR5)、インターロイキン2受容体α鎖遺伝子(IL2ra)、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド15遺伝子(CXCL15)、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子受容体α遺伝子(CSF2ra)、ケモカイン(C motif)受容体遺伝子(XCR1)、インターロイキン11受容体遺伝子α鎖遺伝子(IL11ra)、形質転換成長因子β2遺伝子(TGFb2)、ケモカイン(C-C motif)受容体7遺伝子(CCR7)、インターロイキン12受容体β2(IL12rb2)、ケモカイン(C-X-C motif)リガンド1(CXCL1)、ケモカイン(C-C motif)受容体1-like 1(CCCR1l1)、ケモカイン(C-C motif)リガンド11(CCL11/eotaxin)、ケモカイン(C-X-C motif)受容体4(CXCR4)の少なくともいずれかの遺伝子の発現を指標とし、前記遺伝子の発現量を測定することを特徴とするぶどう膜炎検査方法。

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