JP2007295830A - 安定性に優れた流動食 - Google Patents

安定性に優れた流動食 Download PDF

Info

Publication number
JP2007295830A
JP2007295830A JP2006125612A JP2006125612A JP2007295830A JP 2007295830 A JP2007295830 A JP 2007295830A JP 2006125612 A JP2006125612 A JP 2006125612A JP 2006125612 A JP2006125612 A JP 2006125612A JP 2007295830 A JP2007295830 A JP 2007295830A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tricalcium phosphate
liquid food
calcium
less
average particle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006125612A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Yamaguchi
明 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Pharma Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Pharma Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Pharma Corp filed Critical Asahi Kasei Pharma Corp
Priority to JP2006125612A priority Critical patent/JP2007295830A/ja
Publication of JP2007295830A publication Critical patent/JP2007295830A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Seeds, Soups, And Other Foods (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

【課題】高濃度のカルシウムを含有し、成分が凝集又は沈降しない懸濁安定性に優れた流動食を提供すること。
【解決手段】平均粒径が1μm以下の微粒リン酸三カルシウムを使用することで、流動食中成分の凝集又は沈降を抑制し、外部視認性の包装形態において外観上の見た目の悪さが改善され、カルシウムを高濃度に含有する懸濁安定性に優れた流動食を取得することができ、上記課題が解決できた。
【選択図】なし

Description

本発明は、良好な懸濁安定性を示し、経管もしくは経口用食品として有用なカルシウム含有流動食に関する。
人間が生命維持活動を行なうにあたり必要な栄養素は、蛋白質、炭水化物、脂質、ミネラル類、ビタミン類であり5大栄養素と呼ばれている。これらの栄養素は日常の食事から摂取するのが通常であるが、手術後の患者の一部、あるいは嚥下・咀嚼能力が低下した高齢者では、上記栄養素を総合的に含んだ栄養補助食品を利用する必要がある。流動食はこの一例であり、上記栄養素を高濃度で含有する濃厚流動食として、手術前後の患者又は嚥下・咀嚼能力が低下した高齢者への栄養補助食品として広く用いられている(特許文献1)。
上記栄養素の1つであるミネラル類の一種にカルシウムがある。カルシウムは骨を強くし、体を正常に機能させるのに重要な働きをするため、流動食中に必要な栄養素として含有される。通常、カルシウム源としては水溶性カルシウム塩を使用することが多い。成人が一日に必要なカルシウム量は600mg以上と言われており、必要量のカルシウムを摂取する上で流動食中に高濃度にカルシウムを含有させることが重要である。
特開2002−223732
本発明の課題は、高濃度のカルシウムを含有しつつ、成分が凝集又は沈降しない懸濁安定性に優れた流動食を提供することにある。
流動食には適度に蛋白を含有させる必要があり、その手段としてカゼインナトリウム、カゼインマグネシウム、又はカゼインカルシウム等の乳蛋白が用いられる。そして、流動食中にカルシウムをある程度高濃度に含有させるために乳蛋白としてカゼインカルシウムのみを使用する方法が考えられるが、カゼインカルシウムは水不溶性であり流動食中凝集又は沈降が起こってしまうため、必要量の蛋白量を含有させるためには水溶性のカゼインナトリウムをも蛋白源として用いる必要がある。
本発明者は、流動食中にある程度高濃度にカルシウムを含有させるべくカルシウム源としてカゼインカルシウムのみを用いた結果、徒に蛋白量が増え、さらには凝集又は沈降を起こしやすくなることを見出した。そこで本発明者は、凝集又は沈降を起こすことなく必要量のカルシウムを含有させるためカゼインカルシウムを軽減し、代替物として水溶性カルシウム塩であるグリセロリン酸カルシウム又は乳酸カルシウムを用いた結果、懸濁状態が不安定になり益々凝集又は沈降が起こってしまうこと、一方、不溶性カルシウム塩である通常のリン酸三カルシウムを必要量用いてもリン酸三カルシウム自体が凝集又は沈降してしまうことを見出し、さらには流動食が外部視認性で内容物が見える包装形態である場合に、成分が偏在することにより外観上見た目が悪くなるという新規な課題を見出した。そこで本発明者はかかる課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、意外にも水不溶性でありカルシウム源としては通常用いにくいリン酸三カルシウムであって、平均粒径が1μm以下の微粒リン酸三カルシウムを使用することにより流動食中成分の凝集又は沈降を抑制し、外部視認性の包装形態において外観上の見た目の悪さが改善され、カルシウムを高濃度に含有する懸濁安定性の良好な流動食を製造する方法を見出し、本発明を完成するに至った。従来は成分の凝集又は沈降を防止するためには水不溶性カルシウム塩を少量しか添加することができなかったが、本発明により、カルシウム源を流動食中に容易に且つ多量に添加できるようになり、リン酸三カルシウムの沈降による液中でのミネラル成分の偏在やザラツキ感、見た目の悪さが改善されたのである。
すなわち、本発明は以下のものに関する。
〔1〕リン酸三カルシウムの平均粒径が1μm以下である微粒リン酸三カルシウムを含有する流動食;
〔2〕平均粒径が1μm以下である微粒リン酸三カルシウムの含量がリン酸三カルシウムとして0.6〜2.0g/Lである前記〔1〕に記載の流動食;
〔3〕平均粒径が1μm以下である微粒リン酸三カルシウムの含量がリン酸三カルシウムとして0.6〜1.5g/Lである前記〔1〕に記載の流動食;
〔4〕リン酸三カルシウムの含量がリン酸三カルシウムとして0.6〜2.0g/Lである前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の流動食;
〔5〕エネルギーが0.9〜2.2kcal/mLである前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の流動食;
〔6〕以下のa)〜d)の工程により製造される流動食;
a)平均粒径が1μm以下である微粒リン酸三カルシウムを流動食に対して0.6〜2.0g/Lの分量で水に投入する工程
b)流動食中のリン酸三カルシウムとして合計0.6〜2.0g/Lとなるように、平均粒径が1.1〜10μmの通常リン酸三カルシウムを前記a)の水に投入する工程
c)蛋白質、炭水化物、脂質、ミネラルを投入する工程
d)高圧ホモジナイザーにて均質化する工程
〔7〕カルシウム含量が600〜800mg/Lである前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の流動食;
〔8〕平均粒径が1μm以下である微粒リン酸三カルシウムを流動食に対して0.6〜2.0g/Lの分量で用いることによる、懸濁状態の安定した流動食の製造方法;
〔9〕平均粒径が1μm以下である微粒リン酸三カルシウムを流動食に対して0.6〜2.0g/Lの分量で用いることによる、流動食の安定化方法。
本発明により、高濃度のカルシウムを含有しつつも、成分の凝集又は沈降が抑制された懸濁安定性に優れた流動食が提供される。さらには、懸濁安定性を改善することで偏在によるカルシウムの供給不足や見た目の悪さが改善された流動食が提供される。
本発明において、流動食とは、水分を多く含みそのまま食するのに適した、少なくとも蛋白質、脂質、炭水化物、ビタミン、又はミネラルを含む食品である。さらに食物繊維等その他必要な栄養素、又はミネラル酵母等も流動食中に含有させることもできる。流動食としては上記成分を高濃度に含有する濃厚流動食であることが好適である。
本発明においてg/Lとは流動食単位体積あたりの成分含量(重量)を意味している。また、本発明において通常リン酸三カルシウムとは、平均粒径1.1〜10μmのリン酸三カルシウムを意味し、さらに本発明において微粒リン酸三カルシウムとは平均粒径1μm以下の微細なリン酸三カルシウムを意味する。
蛋白質の原料としては、乳蛋白、植物性蛋白質(大豆蛋白質等)、その他動物性蛋白質(卵蛋白質、ゼラチン等)、又はこれらの蛋白質の加水分解物(コラーゲンペプチド等)が挙げられる。乳蛋白としては、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム、又はカゼインマグネシウム等が例示され、水溶性の観点からカゼインナトリウム又はカゼインマグネシウムであることが好ましく、また、カルシウムを含有させる観点からカゼインカルシウムであることが好ましい別の態様もある。さらに、カゼインナトリウムがより好ましい別の態様もある。
流動食に対する蛋白質の配合比率は、上限としては、100g/L以下であることが好ましく、70g/L以下であることがより好ましく、下限としては、20g/L以上であることが好ましく、30g/L以上であることがより好ましい。
脂質は、一般の食用油が使用できる。食用油であれば特に限定されないが、例えば、植物油脂(大豆油、コーン油、菜種油、オリーブ油、シソ油、又はヤシ油)中鎖脂肪油、高度不飽和脂肪酸含有油脂(魚油等)が挙げられる。脂質の配合割合は、上限としては、80g/L以下であることが好ましく、70g/L以下であることがより好ましく、下限としては、10g/L以上であることが好ましく、20g/L以上であることがより好ましい。
炭水化物は、一般的に食用として利用されているものが使用できる。例えば、澱粉、デキストリン、砂糖、オリゴ糖、又は食物繊維が挙げられる。炭水化物の配合割合は、上限としては、400g/L以下であることが好ましく、300g/L以下であることがより好ましく、下限としては、100g/L以上であることが好ましく、150g/L以上であることがより好ましい。
ビタミンは、レチノール当量を発現するもの、ビタミンB1、B2、B6、B12、C、D、E、K、ナイアシン、パントテン酸、又は葉酸等を使用することができる。これらは1種のみを使用してもよく、また、2種以上を組み合わせて用いることもできる。ビタミンの量は、『日本人の食事摂取基準[2005年度版]』に記載の推奨量、目安量、目標量、又は上限量に従い適宜設定することができる。
ミネラルは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄等は食品添加物扱いの塩の形で添加することができる。これらは1種のみを使用してもよく、また、2種以上を組み合わせて用いることもできる。ミネラルの量は、『日本人の食事摂取基準[2005年度版]』に記載の推奨量、目安量、目標量、又は上限量に従い適宜設定することができる。
流動食は、通常の食事が摂取できない口腔外科手術前後の患者、又は嚥下・咀嚼能力の衰えた高齢者等に経口投与や経管注入することで必要な栄養を補給する食品であり、栄養補助食品として用いることができる。
本発明の流動食において、カルシウム源として使用される微粒リン酸三カルシウムは、その平均粒径が1μm以下であれば特に限定されないが、凝集又は沈降を抑制し、懸濁安定性を改善するという観点で好ましい平均粒径は、上限としては、1.0μm以下であることが好ましく、0.9μm以下であることがより好ましく、0.7μm以下であることがさらに好ましく、0.5μm以下であることが特に好ましく、0.3μm以下であることが最も好ましく、下限としては、0.01μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましく、0.1μm以上であることがさらに好ましい。また、このような平均粒径にすることで長期保管においても凝集又は沈降を防止することができ、例えば6ヶ月間保管しても凝集又は沈降を起こすことがない。
また、本発明の流動食において使用する平均粒径1μm以下の微粒リン酸三カルシウムは、アラビアガム等の安定剤を含有するものを用いることもできる。アラビアガム含有リン酸三カルシウムを用いる場合、アラビアガムを除いたリン酸三カルシウム自体の量が所望の量となるのに対応する量のアラビアガム含有リン酸三カルシウムを用いればよい。該アラビアガム含有リン酸三カルシウムを用いる場合は加熱処理により流動食中にゲル状異物が生じない量で用いることができる。
本発明の流動食において使用する平均粒径1μm以下の微粒リン酸三カルシウムの流動食に対する含量は、0.55g/L以上であれば特に限定されないが、リン酸三カルシウムとして、上限としては、2.0g/L以下であることが好ましく、1.5g/L以下であることがより好ましく、1.3g/L以下であることがさらに好ましく、1.1g/L以下であることが特に好ましく、0.9g/L以下であることが最も好ましく、下限としては0.55g/L以上であることが好ましく、0.6g/L以上であることがより好ましく、0.65g/L以上であることがさらに好ましく、0.7g/L以上であることが特に好ましい。
本発明の流動食においては、所望の量のリン酸三カルシウムを含有させるために平均粒径1μm以下の微粒リン酸三カルシウム及び平均粒径1.1〜10μmの通常リン酸三カルシウムとを組み合わせて使用することができる。まず、平均粒径1μm以下の微粒リン酸三カルシウムを上記の好ましい分量使用し、続いて流動食中において所望の量のリン酸三カルシウム量にするために平均粒径1.1〜10μmの通常リン酸三カルシウムを不足分使用すればよい。また、流動食中含有されるカルシウム量については、乳蛋白としてカゼインカルシウムを用いることで調節することができる。
本発明の流動食における、使用するリン酸三カルシウム全量、すなわち使用する微粒リン酸三カルシウム及び通常リン酸三カルシウムの合計量は、沈殿・凝集が生じず、成分が偏在することがない量であれば特に限定されないが、上限としては、2.0g/L以下であることが好ましく、1.7g/L以下であることがより好ましく、1.5g/L以下であることがさらに好ましく、1.3g/L以下であることが特に好ましく、1.1g/L以下であることが最も好ましく、下限としては0.6g/L以上であることが好ましく、0.7g/L以上であることがより好ましく、0.8g/L以上であることがさらに好ましく、0.9g/L以上であることが特に好ましく、1.0以上であることが最も好ましい。前述した通り、流動食中のリン酸三カルシウムの合計量が前記範囲となる本発明の流動食を得るためには、上記の好ましい微粒リン酸三カルシウムの量を使用し、流動食中の上記好適なリン酸三カルシウム全量に対して不足する量の通常リン酸三カルシウムを使用すればよい。
本発明の流動食において使用するカルシウム源としてのカゼインカルシウムの流動食に対する含量は、上限としては40g/L以下であることが好ましく、35g/L以下であることがより好ましく、30g/L以下であることがさらに好ましく、25g/L以下であることが特に好ましく、下限としては10g/L以上であることが好ましく、15g/L以上であることがより好ましく、20g/L以上であることがさらに好ましい。カゼインカルシウムの使用量は、流動食中の全カルシウム含量が、微粒リン酸三カルシウム及び通常リン酸三カルシウム由来のカルシウムとの和で、600〜800mg/L、より好ましくは700〜800mg/Lとなるように適宜設定することができる。本発明の流動食におけるカルシウム濃度が前記の濃度であることにより、流動食1Lを摂取すれば成人の一日あたりに必要なカルシウム量を摂取することができるが、1Lという一日あたりの流動食摂取量は通常の摂取量であり、本発明の凝集又は沈降を起こすことのない懸濁安定性に優れた流動食により容易に成人一日あたり必要なカルシウム量を摂取することができる。カルシウムの含量は、原子吸光分析又はICP発光分析等通常の方法で測定することができる。
本発明の流動食は、流動食全体としてのエネルギーが流動食1mlあたり、上限としては2.2kcal/ml以下であることが好ましく、2.1kcal/ml以下であることがより好ましく、2.0kcal/ml以下であることがさらに好ましく、下限としては0.9kcal/ml以上であることが好ましく、0.95kcal/ml以上であることがより好ましく、1.0kcal/ml以上であることがさらに好ましい。
本発明により以下のa)〜d)の工程により製造される流動食が提供される。すなわち、
a)平均粒径が1μm以下である微粒リン酸三カルシウムを流動食に対して0.6〜2.0g/Lの分量で水に投入する工程
b)流動食中のリン酸三カルシウムとして合計0.6〜2.0g/Lとなるように、平均粒径が1.1〜10μmの通常リン酸三カルシウムを前記a)の水に投入する工程
c)蛋白質、炭水化物、脂質、ミネラルを投入する工程
d)高圧ホモジナイザーにて均質化する工程
である。
工程a)における微粒リン酸三カルシウムの含量は上記の好ましい量を使用することができる。また、工程b)における流動食中のリン酸三カルシウムの合計量も上記の好ましい含量を使用することができる。該製造方法は工程a)〜c)の順に原料を投入していく方法であるが、工程a)及びb)に示す原料を水に投入したもの、別途工程c)に示す原料を水に投入したものを調製し、これら2つを混合させたものを高圧ホモジナイザーで均質化することで本発明の流動食を得ることもできる。
高圧ホモジナイザーにおける圧力は均質化可能圧力であれば特に限定されないが、好ましくは20MPa以上、より好ましくは30MPa以上である。
本発明の流動食は例えば以下に示す方法で製造することができる。約60℃の温水に、上記の好ましい量の微粒リン酸三カルシウム及び通常リン酸三カルシウム、また、必要に応じて食物繊維及びミネラル酵母を添加し高圧ホモジナイザーにて30MPaで分散処理する。続いてカゼインカルシウム等の蛋白質、炭水化物、ミネラル、又はビタミンを添加、溶解し、さらに油脂類を添加した後、高圧ホモジナイザーにて50MPaで均質化処理することにより本発明の流動食を製造することができる。
また、以下に示す方法によっても本発明の流動食を製造することができる。約60℃の温水に、上記の好ましい量の微粒リン酸三カルシウム及び通常リン酸三カルシウム、また、必要に応じて食物繊維及びミネラル酵母を添加し高圧ホモジナイザーにて30MPaで分散処理する。続いてカゼインカルシウム等の蛋白質、炭水化物、ミネラル、又はビタミンを添加溶解した約60℃温水を別途用意し、これと前記分散処理液とを混合させ、さらに油脂類を添加した後、高圧ホモジナイザーにて50MPaで均質化処理することにより本発明の流動食を製造することができる。
本発明の流動食は、高濃度にカルシウムを含有し、流動食中成分の凝集又は沈降が起こらず、懸濁安定性が良好であり、また外部視認性の包装形態において外観上の見た目の悪さが改善されている。
本発明の流動食をプラスチック製の袋に入れることでプラスチック製袋封入流動食となすことができる。特に該プラスチック製袋が外部視認性である場合に、本発明の流動食は成分の凝集又は沈降を生じず、成分が偏在しないため、本発明の効果を発揮することができる。プラスチック製袋は外部視認性であることが好ましく、外部視認性であれば特に限定されない。
本発明により、高濃度にカルシウムを含有し、成分の凝集又は沈降を起こさず、懸濁安定性が良好な流動食の安定化方法が提供される。カルシウム源として平均粒径が1μm以下である微粒リン酸三カルシウムを流動食に対して上記の好ましい分量で用い、さらに通常リン酸三カルシウム及びカゼインカルシウムで必要なカルシウム量に調製することにより、カルシウムを高濃度に含有した流動食を安定化することができる。安定化とは懸濁安定化又は保存安定化を意味することがあるが、好ましくは懸濁安定化である。
本発明において、平均粒径とは、種々の大きさの粒子の粒径の平均であり、レーザー回折法により測定することができる。また、平均粒径を測定における粒径基準として体積パラメーターを用いることができる。ピーク分布の計算方法としては平均径を用いることができる。屈折率の値としては1.30−0.00iを用いることができる。
粒子の平均粒径を測定する際には、前処理を行った後、粒子を湿式測定する。すなわち、測定対象の粉体を水に投入したものを高圧ホモジナイザーにて20MPaにて均質化処理した後、上記レーザー回折を用いた粒度分布測定装置で平均粒径を測定することができる。
以下に実施例、比較例、及び試験例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
<リン酸三カルシウムの平均粒径の測定>
1Lの60℃蒸留水に、通常リン酸三カルシウム(太平化学産業製、リン酸三カルシウム含量98g以上/100g)を16g加え、高圧ホモジナイザーにて圧力20MPaで均質化処理したもの、及び1Lの60℃蒸留水に、微粒リン酸三カルシウム(マリンサイエンス、製品名フォスカルシウムP−24、リン酸三カルシウム含量64g/100g)を25g(リン酸三カルシウム16g含有)加え、高圧ホモジナイザーにて圧力20MPaで均質化処理したもの用い、通常リン酸三カルシウム及び微粒リン酸三カルシウムそれぞれの平均粒径を粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA910型)を用いて測定した。その際、粒径基準を体積、ピーク分布の計算方法を平均径、屈折率を1.30−0.00iに設定して測定を行った。
その結果、通常リン酸三カルシウムの平均粒径は4.2μmであったのに対し、微粒リン酸三カルシウムは0.42μmであった。
[実施例1]
60℃蒸留水0.6Lに、微粒リン酸三カルシウム(マリンサイエンス、製品名フォスカルシウムP−24、リン酸三カルシウム含量64重量%、平均粒径0.42μm)2.0g(リン酸三カルシウム1.28g含有)、通常リン酸三カルシウム(太平化学産業製、リン酸三カルシウム含量98重量%以上)1.27g、ミネラル酵母1.4g、食物繊維21gを加え高圧ホモジナイザーにて圧力30MPaで分散処理した。続いて60℃蒸留水1.2Lを加え、さらに乳蛋白110g(うちカゼインカルシウム37g)、コラーゲンペプチド20g、デキストリン440g、ミネラル類(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び鉄)25g、ビタミン類(ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、葉酸、パントテン酸、及びナイアシン)2gを加え溶解した後、植物油脂73g、界面活性剤9gを入れて攪拌乳化し、蒸留水にて全量を2Lに調製した。この調製液を、高圧ホモジナイザーにて圧力50MPaで均質化処理後を行うことで流動食を取得した。該流動食200mlをプラスチック製袋に入れ、121℃20分間レトルト滅菌処理した。
[実施例2]
微粒リン酸三カルシウム2.38g(リン酸三カルシウム1.52g含有)、通常リン酸三カルシウム1.02gを用いる以外は実施例1と同様の方法により流動食を取得した。
[実施例3]
微粒リン酸三カルシウム2.78g(リン酸三カルシウム1.78g含有)、通常リン酸三カルシウム0.76gを用いる以外は実施例1と同様の方法により流動食を取得した。
[実施例4]
微粒リン酸三カルシウム3.18g(リン酸三カルシウム2.04g含有)、通常リン酸三カルシウム0.51gを用いる以外は実施例1と同様の方法により流動食を取得した。
[実施例5]
通常リン酸三カルシウムは使用せず、微粒リン酸三カルシウム3.97g(リン酸三カルシウム2.54g含有)を使用する以外は実施例1と同様の方法により流動食を取得した。
実施例1〜5についてはいずれもカルシウム含量が700〜800mg/Lの範囲内であった。
[比較例1]
微粒リン酸三カルシウムは使用せず、通常リン酸三カルシウム2.54gを使用する以外は実施例1と同様の方法により流動食を取得した。
[比較例2]
微粒リン酸三カルシウム1.60g(リン酸三カルシウム1.02g含有)、通常リン酸三カルシウム1.52gを用いる以外は実施例1と同様の方法により流動食を取得した。
[試験例]
実施例1〜5及び比較例1、2の流動食を室温にて1ヶ月静置保管し、生じる沈降物の重量の測定及び沈降物の目視観察判定を行った。
沈降物の重量は、200ml入りの袋を開封し静かに液部を廃棄した後、沈降物を回収し、これを105℃で恒量になるまで乾燥し重量測定した。その結果を表1に示した。
表1に示すように、実施例1〜5については懸濁安定性に優れ、流動食中成分の分散性も良好であり、流動食中に異物も確認されなかった。それに対し比較例1及び2については分散性が悪く、軽く振っても再分散せず沈降物が残ったままの状態であった。
Figure 2007295830
目視観察判定
◎:目視で沈降物がほとんどない。
○:目視で沈降物が少なく、軽く振ると容易に再分散し、沈降物がなくなる。
×:目視で沈降物が多く、軽く振っても再分散しない。
本発明の流動食は、カルシウムを高濃度に含有しつつも、成分の凝集又は沈降が抑制され、懸濁安定性に優れており、手術前後の患者又は嚥下・咀嚼能力が低下した高齢者への栄養補助食品として本発明の流動食を摂取することにより、カルシウムを始めとする栄養素を安定して取得することができる。

Claims (8)

  1. リン酸三カルシウムの平均粒径が1μm以下である微粒リン酸三カルシウムを含有する流動食。
  2. 平均粒径が1μm以下である微粒リン酸三カルシウムの含量がリン酸三カルシウムとして0.6〜2.0g/Lである請求項1に記載の流動食。
  3. リン酸三カルシウムの含量がリン酸三カルシウムとして0.6〜2.0g/Lである請求項1又は2に記載の流動食。
  4. エネルギーが0.9〜2.2kcal/mLである請求項1〜3のいずれかに記載の流動食。
  5. 以下のa)〜d)の工程により製造される流動食。
    a)平均粒径が1μm以下である微粒リン酸三カルシウムを流動食に対して0.6〜2.0g/Lの分量で水に投入する工程
    b)流動食中のリン酸三カルシウムとして合計0.6〜2.0g/Lとなるように、平均粒径が1.1〜10μmの通常リン酸三カルシウムを前記a)の水に投入する工程
    c)蛋白質、炭水化物、脂質、ミネラルを投入する工程
    d)高圧ホモジナイザーにて均質化する工程
  6. カルシウム含量が600〜800mg/Lである請求項1〜5のいずれかに記載の流動食。
  7. 平均粒径が1μm以下である微粒リン酸三カルシウムを流動食に対して0.6〜2.0g/Lの分量で用いることによる、懸濁状態の安定した流動食の製造方法。
  8. 平均粒径が1μm以下である微粒リン酸三カルシウムを流動食に対して0.6〜2.0g/Lの分量で用いることによる、流動食の安定化方法。
JP2006125612A 2006-04-28 2006-04-28 安定性に優れた流動食 Pending JP2007295830A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006125612A JP2007295830A (ja) 2006-04-28 2006-04-28 安定性に優れた流動食

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006125612A JP2007295830A (ja) 2006-04-28 2006-04-28 安定性に優れた流動食

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007295830A true JP2007295830A (ja) 2007-11-15

Family

ID=38765880

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006125612A Pending JP2007295830A (ja) 2006-04-28 2006-04-28 安定性に優れた流動食

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007295830A (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09238645A (ja) * 1996-03-08 1997-09-16 Meiji Milk Prod Co Ltd 液状食品における不溶性カルシウムの 沈降防止・風味改善法
JP2001299280A (ja) * 2000-04-20 2001-10-30 Mitsui Chemicals Inc カルボキシル基を含有する多糖類/カルシウム化合物複合体を含有するカルシウム補強剤
JP2005304378A (ja) * 2004-04-21 2005-11-04 Q P Corp ゾル状又はゲル状食品調製用粉末組成物

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09238645A (ja) * 1996-03-08 1997-09-16 Meiji Milk Prod Co Ltd 液状食品における不溶性カルシウムの 沈降防止・風味改善法
JP2001299280A (ja) * 2000-04-20 2001-10-30 Mitsui Chemicals Inc カルボキシル基を含有する多糖類/カルシウム化合物複合体を含有するカルシウム補強剤
JP2005304378A (ja) * 2004-04-21 2005-11-04 Q P Corp ゾル状又はゲル状食品調製用粉末組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6562119B2 (ja) 液状食品組成物
CN103504293B (zh) 液态营养组合物
JP4972308B2 (ja) ゲル化栄養剤およびその製造方法
JP2016501037A5 (ja)
JP2016501037A (ja) 低粘度、高カロリー密度の経口栄養組成物および関連する方法
TW201200033A (en) Nutritional emulsions comprising calcium HMB and soluble protein
JP2007126379A (ja) 酸性液状経腸栄養剤の製造方法
TW201236578A (en) Nutritional products comprising beta-hydroxy-beta-methylbutyrate
JP4907439B2 (ja) 乳化状総合栄養食
JP5788112B2 (ja) 液状栄養組成物
JP2023105115A (ja) 栄養組成物
JP5665009B2 (ja) 液状乳化栄養組成物
JPH07102106B2 (ja) 経口,経管栄養食の製造法
JP2007295830A (ja) 安定性に優れた流動食
WO2014200079A1 (ja) 液状食品組成物の製造方法
JP6659928B2 (ja) 微粒子乳化油脂高含有中性栄養物
JP7085704B1 (ja) ゲル状栄養組成物
TWI814232B (zh) 凝膠狀營養組合物
CN108208839A (zh) 包含脂质的高热量液体营养乳剂
JP2000157213A (ja) 栄養組成物
JP6019577B2 (ja) 液状乳化組成物の製造方法
EP3979826A1 (en) Nutritional ingredient with flow and antifoam properties
JP2002363095A (ja) 血圧上昇抑制剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090313

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100713

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100817

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100929

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101124