JP2007294168A - 平面型表示装置、並びに、スペーサ - Google Patents

平面型表示装置、並びに、スペーサ Download PDF

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Abstract

【課題】スペーサに沿った画素の相対的な輝度変化を軽減することができる、平面型表示装置において使用されるスペーサ、並びに、係るスペーサが組み込まれた平面型表示装置を提供する。
【解決手段】複数の電子放出領域が設けられたカソードパネルと、蛍光体層及びアノード電極が設けられたアノードパネルとが、それらの周縁部で接合され、スペーサがカソードパネルとアノードパネルとの間に配置され、カソードパネルとアノードパネルとによって挟まれた空間が真空に保持された平面型表示装置であって、スペーサは、(a)スペーサ基材、及び、(b)スペーサ基材の側面部上に形成された帯電防止膜から構成されており、(A)帯電防止膜は酸化クロムと酸化ケイ素とを含有しており、(B)帯電防止膜におけるケイ素のクロムに対する原子数比は、0.4乃至2.4の範囲にある。
【選択図】 図1

Description

本発明は、平面型表示装置において使用されるスペーサ、並びに、係るスペーサが組み込まれた平面型表示装置に関する。
陰極線管(CRT)に代わる画像表示装置として、平面型(フラットパネル形式)の表示装置が種々検討されている。このような平面型の表示装置として、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンス表示装置(ELD)、プラズマ表示装置(PDP)を例示することができる。また、電子放出素子を組み込んだ平面型表示装置の開発も進められている。ここで、電子放出素子として、冷陰極電界電子放出素子、金属/絶縁膜/金属型素子(MIM素子とも呼ばれる)、表面伝導型電子放出素子が知られており、これらの冷陰極電子源から構成された電子放出素子を組み込んだ平面型表示装置は、高解像度、高輝度のカラー表示、及び、低消費電力の観点から注目を集めている。
冷陰極電界電子放出素子を組み込んだ平面型表示装置である冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と略称する場合がある)は、一般に、2次元マトリックス状に配列された各サブピクセルに対応した電子放出領域を有するカソードパネルと、電子放出領域から放出された電子との衝突により励起されて発光する蛍光体層を有するアノードパネルとが、真空に保持された空間を介して対向配置された構成を有する。電子放出領域には、通常、1又は複数の冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略称する場合がある)が設けられている。電界放出素子として、スピント型、扁平型、エッジ型、平面型等を挙げることができる。
一例として、スピント型電界放出素子を有する表示装置の概念的な一部端面図を図5に示し、カソードパネルCP及びアノードパネルAPを分解したときのカソードパネルCPとアノードパネルAPの一部分の模式的な分解斜視図を図6に示す。この表示装置を構成するスピント型電界放出素子は、支持体10上に形成されたカソード電極11と、支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12と、絶縁層12上に形成されたゲート電極13と、ゲート電極13及び絶縁層12に設けられた開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)と、開口部14の底部に位置するカソード電極11上に形成された円錐形の電子放出部15から構成されている。
この表示装置において、カソード電極11は、第1の方向(図5及び図6においてY方向)に延びる帯状であり、ゲート電極13は、第1の方向とは異なる第2の方向(図5及び図6においてX方向)に延びる帯状である。一般に、カソード電極11とゲート電極13とは、これらの両電極11,13の射影像が互いに直交する方向に各々帯状に形成されている。帯状のカソード電極11と帯状のゲート電極13とが重複する重複領域が、電子放出領域EAであり、1サブピクセルの領域に相当する。そして、係る電子放出領域EAが、カソードパネルCPの有効領域(表示装置の表示領域に対応する領域)内に、通常、2次元マトリックス状に配列されている。
一方、アノードパネルAPは、基板20上に所定のパターンを有する蛍光体層22(具体的には、赤色発光蛍光体層22R、緑色発光蛍光体層22G、及び、青色発光蛍光体層22B)が形成され、蛍光体層22がアノード電極24で覆われた構造を有する。尚、これらの蛍光体層22の間は、カーボン等の光吸収性材料から成る光吸収層(ブラックマトリックス)23で埋め込まれており、表示画像の色濁り、光学的クロストークの発生を防止している。尚、図中、参照番号21は隔壁を表し、参照番号40は例えば板状のスペーサを表し、参照番号25はスペーサ保持部を表し、参照番号26はフリットガラス等の接合材料から成る接合部材を表し、参照番号16は層間絶縁層を表し、参照番号17は収束電極を表す。尚、図6においては、隔壁やスペーサ、スペーサ保持部、収束電極、層間絶縁層の図示を省略した。
アノード電極24は、蛍光体層22からの発光を反射させる反射膜としての機能の他、蛍光体層22の帯電防止といった機能を有する。また、隔壁21は、蛍光体層22から反跳した電子、あるいは、蛍光体層22から放出された2次電子(以下、これらの電子を総称して、後方散乱電子と呼ぶ)が他の蛍光体層22に衝突し、所謂光学的クロストーク(色濁り)が発生することを防止する機能を有する。
1サブピクセルは、カソードパネル側の電子放出領域EAと、これらの電界放出素子の一群に対面したアノードパネル側の蛍光体層22とによって構成されている。カラー表示の表示装置の場合には、1画素(1ピクセル)は、1つの赤色発光蛍光体層、1つの緑色発光蛍光体層、及び、1つの青色発光蛍光体層の集合から構成されている。有効領域には、係る画素が、例えば数十万〜数百万個ものオーダーにて配列されている。
そして、アノードパネルAPとカソードパネルCPとを、電子放出領域EAと蛍光体層22とが対向するように配置し、周縁部において接合部材26を介して接合した後、排気し、封止することによって、表示装置を作製することができる。アノードパネルAPとカソードパネルCPと接合部材26とによって囲まれた空間は高真空(例えば、1×10-3Pa以下)となっている。
従って、アノードパネルAPとカソードパネルCPとの間にスペーサ40を配設しておかないと、大気圧によって表示装置が損傷を受けてしまう。スペーサ40は、スペーサ基材40Aと、スペーサ基材40Aの側面部上に設けられた帯電防止膜40Bとから成る。これらについては後述する。
カソード電極11には相対的に負電圧がカソード電極制御回路31から印加され、ゲート電極13には相対的に正電圧がゲート電極制御回路32から印加され、収束電極17には収束電極制御回路(図示せず)から相対的に負電圧(例えば、0ボルト)が印加され、アノード電極24にはゲート電極13よりも更に高い正電圧がアノード電極制御回路33から印加される。係る表示装置において表示を行う場合、例えば、カソード電極11にカソード電極制御回路31から走査信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路32からビデオ信号を入力する。あるいは、カソード電極11にカソード電極制御回路31からビデオ信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路32から走査信号を入力する。カソード電極11とゲート電極13との間に電圧を印加した際に生ずる電界により、量子トンネル効果に基づき電子放出部15から電子が放出され、この電子がアノード電極24に引き付けられ、アノード電極24を通過して蛍光体層22に衝突する。その結果、蛍光体層22が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。つまり、この冷陰極電界電子放出表示装置の動作は、基本的に、ゲート電極13に印加される電圧、及び、カソード電極11に印加される電圧によって制御される。
スペーサ40を構成するスペーサ基材40Aは、ガラスやセラミックス等の剛性材料から成る。スペーサ40は、その両端が、それぞれ、アノード電極24と、収束電極17とに接している。従って、スペーサ40の両端間には、アノード電極24に印加される電圧と、収束電極17に印加される電圧との電位差(電圧)が加わる。尚、表示装置の形式によっては、スペーサのカソードパネル側は、他の電極、例えばゲート電極と接することもある。この場合には、スペーサの両端間には、アノード電極に印加される電圧と、ゲート電極に印加される電圧との電位差(電圧)が加わる。従って、スペーサ40に過大な電流が流れないように、スペーサ40は基本的に高抵抗であることが必要とされる。
図7の(A)及び(B)に、スペーサ40の近傍に位置する画素における電子ビームの軌道を模式的に示す。尚、図7の(A)及び(B)においては、隔壁やスペーサ保持部、層間絶縁層の図示を省略した。図7の(A)に示すように、電子放出部15から放出された電子は、蛍光体層22に向かう。しかし、スペーサ40の近傍の電子放出部15から電子が放出される際に、一部の電子が、スペーサ40の側面部に衝突することがある。また、図7の(B)に示すように、アノードパネルAPにおけるアノード電極24を通過し、蛍光体層22に衝突した電子の一部は、蛍光体層22で後方散乱され、後方散乱電子の一部はスペーサ40の側面部に衝突する。スペーサ40に電子が衝突すると、その表面から2次電子が放出される。スペーサ40に衝突する電子の量とスペーサから放出される2次電子の量とに差がある場合には、スペーサ40が帯電して電子の軌道に影響を与え、スペーサ40に沿った画素に輝度変化が生ずる。このため、2次電子放出係数が1に近い材料から成る帯電防止膜40Bが、スペーサ基材40Aの側面部上に設けられている。特表2004−500688号公報等に開示されている酸化クロムは、2次電子放出係数が1に近く、帯電防止膜を構成する材料として好適である。
特表2004−500688号公報
ところで、スペーサ基材40Aの側面部上に、CrOx等の酸化クロムから成る帯電防止膜40Bが設けられているとき、帯電防止膜40Bが電子の衝突により還元され、電子が衝突した部分の電気抵抗が変動する場合がある。上述したように、スペーサ40の両端間には、アノード電極に印加される電圧と、ゲート電極に印加される電圧との電位差(電圧)が加わっている。従って、電子が衝突した部分における帯電防止膜40Bの電気抵抗が変化すると、スペーサ40近傍の電界が変化し、電子ビーム軌道が湾曲する(図8参照)。これにより、表示装置のスペーサ40近傍の画素における輝度特性も変化する。
帯電防止膜40Bの電気抵抗特性の変動は、通常、表示装置の動作時間に応じて大きくなる。従って、上述した電子ビーム軌道の湾曲も、表示装置の動作時間に応じて、その程度が大きくなる。これに伴い、表示装置のスペーサ40近傍の画素における輝度特性は、経時変化を示す。一方、スペーサ40から離れた画素については、上記の現象は生じない。このため、表示装置の表示画像において、スペーサ40に沿った画素に相対的な輝度変化が生じ、表示画像の均一性が悪化する。
従って、本発明の目的は、酸化クロムを含有する帯電防止膜の電気抵抗の変動を低減し、スペーサに沿った画素の相対的な輝度変化を軽減することができる平面型表示装置、並びに、平面型表示装置において使用されるスペーサを提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の平面型表示装置は、複数の電子放出領域が設けられたカソードパネルと、蛍光体層及びアノード電極が設けられたアノードパネルとが、それらの周縁部で接合され、スペーサがカソードパネルとアノードパネルとの間に配置され、カソードパネルとアノードパネルとによって挟まれた空間が真空に保持された平面型表示装置であって、
スペーサは、
(a)スペーサ基材、及び、
(b)スペーサ基材の側面部上に形成された帯電防止膜、
から構成されており、
(A)帯電防止膜は酸化クロムと酸化ケイ素とを含有しており、
(B)帯電防止膜におけるケイ素のクロムに対する原子数比は、0.4乃至2.4の範囲にあることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するための本発明のスペーサは、複数の電子放出領域が設けられたカソードパネルと、蛍光体層及びアノード電極が設けられたアノードパネルとが、それらの周縁部で接合され、カソードパネルとアノードパネルとによって挟まれた空間が真空に保持される平面型表示装置において使用され、カソードパネルとアノードパネルとの間に配置されるスペーサであって、
スペーサは、
(a)スペーサ基材、及び、
(b)スペーサ基材の側面部上に形成された帯電防止膜、
から構成されており、
(A)帯電防止膜は酸化クロムと酸化ケイ素とを含有しており、
(B)帯電防止膜におけるケイ素のクロムに対する原子数比は、0.4乃至2.4の範囲にあることを特徴とする。
発明者は、酸化ケイ素から成る膜は、酸化クロムから成る膜に対し、電子の衝突による電気抵抗の変動が少ないことに注目した。衝突する電子の速度にもよるが、酸化ケイ素の2次電子放出係数はおよそ2〜3程度である。従って、帯電防止という観点からすると、酸化ケイ素は帯電防止膜を構成する材料として好ましいとはいえない。しかし、酸化クロムと酸化ケイ素とを含有した膜(以下、酸化クロム/酸化ケイ素膜と略称する場合がある)にあっては、酸化クロム及び酸化ケイ素の2次電子放出係数特性が重畳して観察される。定性的には、酸化クロム/酸化ケイ素膜の2次電子放出係数特性は、酸化クロムと酸化ケイ素との比率によって変化する。同様に、酸化クロム/酸化ケイ素膜における電子の衝突による電気抵抗の変動特性についても、酸化クロムと酸化ケイ素との比率によって変化する。発明者は、酸化クロム/酸化ケイ素膜において、ケイ素のクロムに対する原子数比が所定の範囲にあると、電子の衝突による電気抵抗の変動が抑制され、かつ、実用上充分な帯電防止機能を確保することができることを見いだした。即ち、酸化クロムと酸化ケイ素とを含有する帯電防止膜において、ケイ素のクロムに対する原子数比を0.4乃至2.4の範囲とすることにより、実用上充分な帯電防止機能を確保でき、電子の衝突による電気抵抗の変動を抑制することができる。
本発明の平面型表示装置を構成するスペーサ、あるいは、本発明のスペーサ(以下、これらを総称して、本発明のスペーサと呼ぶ場合がある)にあっては、帯電防止膜を構成する酸化クロム/酸化ケイ素膜は、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法といった各種の物理的気相成長法(PVD法);各種の化学的気相成長(CVD)法;スクリーン印刷法;リフトオフ法;ゾル・ゲル法等、周知の方法により形成することができるが、中でも、帯電防止膜は酸化クロムと酸化ケイ素を含有するターゲットを用いたスパッタリング法により形成されることが好ましい。そして、この場合、酸化クロム/酸化ケイ素膜におけるクロムとケイ素との組成比は、実質的にターゲットの組成比で決まる。従って、酸化クロムと酸化ケイ素とを含有し、ケイ素のクロムに対する原子数比が0.4乃至2.4の範囲にあるターゲットを用いたスパッタリング法により、ケイ素のクロムに対する原子数比が0.4乃至2.4の範囲にある帯電防止膜を容易に形成することができる。
また、上記の好ましい形態、構成を含む本発明のスペーサにあっては、限定するものではないが、帯電防止膜の膜厚として、2nm乃至10nmを例示することができる。
本発明のスペーサにおいては、帯電防止膜におけるケイ素のクロムに対する原子数比を、例えばラザフォード後方散乱分光法(RBS法)により得ることができる。尚、RBS法では、一般に鏡面上に形成された膜については正確に原子数比を測定することができるが、凹凸面上に形成された膜については正確に測定できない場合がある。また、スペーサ基材がケイ素やクロムを含んでいると、測定結果が影響を受ける場合がある。従って、スペーサ基材表面が充分な鏡面でない等の場合には、鏡面の検査用基材を準備し、検査用基材上の膜を測定すればよい。検査用基材として、例えば、クロム及びケイ素を含まない膜が成膜されたシリコンウエハーやガラス、表面を鏡面研磨した高純度のアルミナ基板等を用いることができる。即ち、帯電防止膜を形成する工程において、スペーサ基材と検査用基材とを並べた状態で帯電防止膜を形成し、検査用基材上に形成された帯電防止膜を測定することにより、帯電防止膜におけるケイ素のクロムに対する原子数比を正確に測定することができる。
以下、本発明の平面型表示装置、あるいは、本発明のスペーサを、単に、本発明と呼ぶ場合がある。
本発明において、スペーサ基材を構成する剛性材料として、セラミックスやガラスを例示することができる。セラミックス材料として、ムライト等のケイ酸アルミニウム化合物やアルミナ等の酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、コーディオライト、硼珪酸塩バリウム、珪酸鉄、ガラスセラミックス材料、これらに、酸化チタンや酸化クロム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化ニッケルを添加したもの等を例示することができるし、例えば、特表2003−524280号公報等に記載されている材料を用いることもできる。ガラス材料として、高歪点ガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)、硼珪酸ガラス(Na2O・B23・SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)を例示することができる。尚、スペーサ基材の端部に対して面取りを行い、突起部等を除去することが好ましい。
本発明において、スペーサ基材をセラミックス材料から構成する場合には、スペーサ基材を構成するセラミックス材料を、例えば、
(a)セラミックス粉末を分散質とし、バインダーを添加してグリーンシート用スラリーを調製し、
(b)グリーンシート用スラリーから、グリーンシートを得、その後、
(c)グリーンシートを焼成する、
ことにより得ることができる。スペーサ基材を構成するセラミックス材料は、グリーンシート用スラリー内のセラミックス粉末を焼結することにより形成される。グリーンシート用スラリーの分散質となるセラミックス粉末を構成する材料として、上述のスペーサ基材の説明において例示したと同様の材料を挙げることができる。尚、必要な場合には、スラリーに導電性付与材料を分散質として加えてもよい。導電性付与材料は、スラリー内にあっては、必ずしも導電性を示さなくてもよい。導電性付与材料は、グリーンシートの焼成の際に化学的組成が変化するものであってもよいし、焼成により化学的組成が変化しないものであってもよい。具体的には、グリーンシートを焼成することにより、グリーンシート内の導電性付与材料も焼成されるが、焼成された導電性付与材料が導電性を示すものであればよい。グリーンシート用スラリーの分散質となる導電性付与材料として、例えば、金や白金等の貴金属;モリブデン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物、ニッケル酸化物等の金属酸化物;チタン炭化物、タングステン炭化物、ニッケル炭化物等の金属炭化物;モリブデン酸アンモニウム等の金属塩を挙げることができる。更には、これらの混合物であってもよい。また、グリーンシート用スラリーに添加されるバインダーを構成する材料として、有機系バインダー材料(例えば、アクリル系エマルジョンやポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール)あるいは無機系バインダー材料(例えば、水ガラス)を挙げることができる。
以上の好ましい構成、態様を含む本発明の平面型表示装置を、1又は複数の冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略称する)から構成された電子放出領域を有する冷陰極電界電子放出表示装置とすることができるし、あるいは又、金属/絶縁膜/金属型素子(MIM素子とも呼ばれる)から構成された電子放出領域を有する平面型表示装置、表面伝導型電子放出素子から構成された電子放出領域を有する平面型表示装置とすることもできる。
平面型表示装置を冷陰極電界電子放出表示装置とする場合、電子を放出する電子放出領域は、1又は複数の電界放出素子を備え、
各電界放出素子は、
(a)支持体上に形成され、第1の方向に延びる帯状のカソード電極、
(b)カソード電極及び支持体上に形成された絶縁層、
(c)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に延びる帯状のゲート電極、
(d)カソード電極とゲート電極の重複する重複部分に位置するゲート電極及び絶縁層の部分に設けられ、底部にカソード電極が露出した開口部、及び、
(e)開口部の底部に露出したカソード電極上に設けられた電子放出部、
から成る。
ここで、電界放出素子の型式は特に限定されず、スピント型電界放出素子(円錐形の電子放出部が、開口部の底部に位置するカソード電極の上に設けられた電界放出素子)や、扁平型電界放出素子(略平面の電子放出部が、開口部の底部に位置するカソード電極の上に設けられた電界放出素子)を挙げることができる。
カソードパネルにおいて、カソード電極の射影像とゲート電極の射影像とは直交することが、即ち、第1の方向と第2の方向とは直交することが、冷陰極電界電子放出表示装置の構造の簡素化といった観点から好ましい。そして、カソード電極とゲート電極とが重複する重複領域が電子放出領域に該当し、電子放出領域がカソードパネルの有効領域に2次元マトリックス状に配列されている。
冷陰極電界電子放出表示装置にあっては、カソード電極及びゲート電極に印加された電圧によって生じた強電界が電子放出部に加わる結果、量子トンネル効果により電子放出部から電子が放出される。そして、この電子は、アノードパネルに設けられたアノード電極によってアノードパネルへと引き付けられ、蛍光体層に衝突する。そして、蛍光体層への電子の衝突の結果、蛍光体層が発光し、画像として認識することができる。
冷陰極電界電子放出表示装置において、カソード電極はカソード電極制御回路に接続され、ゲート電極はゲート電極制御回路に接続され、アノード電極はアノード電極制御回路に接続されている。尚、これらの制御回路は周知の回路から構成することができる。実動作時、アノード電極制御回路からアノード電極に印加される電圧(アノード電圧)VAは、通常、一定であり、例えば、5キロボルト〜15キロボルトとすることができる。あるいは又、アノードパネルとカソードパネルとの間の距離をd0(但し、0.5mm≦d0≦10mm)としたとき、VA/d0(単位:キロボルト/mm)の値は、0.5以上20以下、好ましくは1以上10以下、一層好ましくは4以上8以下を満足することが望ましい。冷陰極電界電子放出表示装置の実動作時、カソード電極に印加する電圧VC及びゲート電極に印加する電圧VGに関しては、階調制御方式として電圧変調方式を採用することができる。
電界放出素子は、一般に、以下の方法で製造することができる。
(1)支持体上にカソード電極を形成する工程、
(2)全面(支持体及びカソード電極上)に絶縁層を形成する工程、
(3)絶縁層上にゲート電極を形成する工程、
(4)カソード電極とゲート電極との重複領域におけるゲート電極及び絶縁層の部分に開口部を形成し、開口部の底部にカソード電極を露出させる工程、
(5)開口部の底部に位置するカソード電極上に電子放出部を形成する工程。
あるいは又、電界放出素子は、以下の方法で製造することもできる。
(1)支持体上にカソード電極を形成する工程、
(2)カソード電極上に電子放出部を形成する工程、
(3)全面(支持体及び電子放出部上、あるいは、支持体、カソード電極及び電子放出部上)に絶縁層を形成する工程、
(4)絶縁層上にゲート電極を形成する工程、
(5)カソード電極とゲート電極との重複領域におけるゲート電極及び絶縁層の部分に開口部を形成し、開口部の底部に電子放出部を露出させる工程。
電界放出素子には収束電極が備えられていてもよい。即ち、例えばゲート電極及び絶縁層上には更に層間絶縁層が設けられ、層間絶縁層上に収束電極が設けられている電界放出素子、あるいは又、ゲート電極の上方に収束電極が設けられている電界放出素子とすることもできる。ここで、収束電極とは、開口部から放出され、アノード電極へ向かう放出電子の軌道を収束させ、以て、輝度の向上や隣接画素間の光学的クロストークの防止を可能とするための電極である。アノード電極とカソード電極との間の電位差が数キロボルト以上のオーダーであって、アノード電極とカソード電極との間の距離が比較的長い、所謂高電圧タイプの冷陰極電界電子放出表示装置において、収束電極は特に有効である。収束電極には、収束電極制御回路から相対的な負電圧(例えば、0ボルト)が印加される。収束電極は、必ずしも、カソード電極とゲート電極とが重複する重複領域に設けられた電子放出部あるいは電子放出領域のそれぞれを取り囲むように個別に形成されている必要はなく、例えば、電子放出部あるいは電子放出領域の所定の配列方向に沿って延在させてもよいし、電子放出部あるいは電子放出領域の全てを1つの収束電極で取り囲む構成としてもよく(即ち、収束電極を、冷陰極電界電子放出表示装置としての実用上の機能を果たす中央部の表示領域である有効領域の全体を覆う薄い1枚のシート状の構造としてもよく)、これによって、複数の電子放出部あるいは電子放出領域に共通の収束効果を及ぼすことができる。
スピント型電界放出素子にあっては、電子放出部を構成する材料として、モリブデン、モリブデン合金、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、タンタル合金、クロム、クロム合金、及び、不純物を含有するシリコン(ポリシリコンやアモルファスシリコン)から成る群から選択された少なくとも1種類の材料を挙げることができる。スピント型電界放出素子の電子放出部は、スパッタリング法や真空蒸着法といった各種のPVD法、各種のCVD法によって形成することができる。
扁平型電界放出素子にあっては、電子放出部を構成する材料として、カソード電極を構成する材料よりも仕事関数Φの小さい材料から構成することが好ましく、どのような材料を選択するかは、カソード電極を構成する材料の仕事関数、ゲート電極とカソード電極との間の電位差、要求される放出電子電流密度の大きさ等に基づいて決定すればよい。あるいは又、電子放出部を構成する材料として、係る材料の2次電子利得δがカソード電極を構成する導電性材料の2次電子利得δよりも大きくなるような材料から適宜選択してもよい。扁平型電界放出素子にあっては、特に好ましい電子放出部の構成材料として、炭素、より具体的にはアモルファスダイヤモンドやグラファイト、カーボン・ナノチューブ構造体(カーボン・ナノチューブ及び/又はグラファイト・ナノファイバー)、ZnOウィスカー、MgOウィスカー、SnO2ウィスカー、MnOウィスカー、Y23ウィスカー、NiOウィスカー、ITOウィスカー、In23ウィスカー、Al23ウィスカーを挙げることができる。尚、電子放出部を構成する材料は、必ずしも導電性を備えている必要はない。
カソード電極、ゲート電極、収束電極の構成材料として、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)等の金属;これらの金属元素を含む合金(例えばMoW)あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンド等の炭素薄膜;ITO(酸化インジウム−錫)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。また、これらの電極の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング法、CVD法やイオンプレーティング法とエッチング法との組合せ;スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、メタルマスク印刷法といった各種印刷法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル−ゲル法等を挙げることができる。各種印刷法やメッキ法によれば、直接、例えば帯状のカソード電極やゲート電極を形成することが可能である。
絶縁層や層間絶縁層の構成材料として、SiO2、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガラス、ガラスペーストといったSiO2系材料;SiN系材料;ポリイミド等の絶縁性樹脂を、単独あるいは適宜組み合わせて使用することができる。絶縁層や層間絶縁層の形成には、CVD法、塗布法、スパッタリング法、各種印刷法等の公知のプロセスが利用できる。
第1開口部(ゲート電極に形成された開口部)あるいは第2開口部(絶縁層に形成された開口部)の平面形状(支持体表面と平行な仮想平面で開口部を切断したときの形状)は、円形、楕円形、矩形、多角形、丸みを帯びた矩形、丸みを帯びた多角形等、任意の形状とすることができる。第1開口部の形成は、例えば、異方性エッチング、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができ、あるいは又、ゲート電極の形成方法に依っては、第1開口部を直接形成することもできる。第2開口部の形成も、例えば、異方性エッチング、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができる。
電界放出素子においては、電界放出素子の構造に依存するが、1つの開口部内に1つの電子放出部が存在してもよいし、1つの開口部内に複数の電子放出部が存在してもよいし、ゲート電極に複数の第1開口部を設け、係る第1開口部と連通する1つの第2開口部を絶縁層に設け、絶縁層に設けられた1つの第2開口部内に1又は複数の電子放出部が存在してもよい。
電界放出素子において、カソード電極と電子放出部との間に抵抗体膜を設けてもよい。抵抗体膜を設けることによって、電界放出素子の動作安定化、電子放出特性の均一化を図ることができる。抵抗体膜を構成する材料として、シリコンカーバイド(SiC)やSiCNといったカーボン系材料、SiN、アモルファスシリコン等の半導体材料、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル等の高融点金属酸化物を例示することができる。抵抗体膜の形成方法として、スパッタリング法や、CVD法、各種印刷法を例示することができる。1つの電子放出部当たりの電気抵抗値は、概ね1×106〜1×1011Ω、好ましくは数十ギガΩとすればよい。
カソードパネルを構成する支持体として、あるいは又、アノードパネルを構成する基板として、ガラス基板、表面に絶縁膜が形成されたガラス基板、石英基板、表面に絶縁膜が形成された石英基板、表面に絶縁膜が形成された半導体基板を挙げることができるが、製造コスト低減の観点からは、ガラス基板、あるいは、表面に絶縁膜が形成されたガラス基板を用いることが好ましい。ガラス基板として、高歪点ガラス、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)、硼珪酸ガラス(Na2O・B23・SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)、無アルカリガラスを例示することができる。
平面型表示装置において、アノード電極と蛍光体層の構成例として、(1)基板上に、アノード電極を形成し、アノード電極の上に蛍光体層を形成する構成、(2)基板上に、蛍光体層を形成し、蛍光体層上にアノード電極を形成する構成、を挙げることができる。尚、(1)の構成において、蛍光体層の上に、アノード電極と導通した所謂メタルバック膜を形成してもよい。また、(2)の構成において、アノード電極の上にメタルバック膜を形成してもよい。
アノード電極は、全体として1つのアノード電極から構成されていてもよいし、複数のアノード電極ユニットから構成されていてもよい。後者の場合、アノード電極ユニットとアノード電極ユニットとはアノード電極抵抗体層によって電気的に接続されていることが望ましい。アノード電極抵抗体層を構成する材料として、カーボン、シリコンカーバイド(SiC)やSiCNといったカーボン系材料;SiN系材料;酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル、酸化クロム、酸化チタン等の高融点金属酸化物;アモルファスシリコン等の半導体材料;ITOを挙げることができる。また、SiC抵抗膜上に抵抗値の低いカーボン薄膜を積層するといった複数の膜の組み合わせにより、安定した所望のシート抵抗値を実現することも可能である。アノード電極抵抗体層のシート抵抗値として、1×10-1Ω/□乃至1×1010Ω/□、好ましくは1×103Ω/□乃至1×108Ω/□を例示することができる。アノード電極ユニットの数(Q)は2以上であればよく、例えば、直線状に配列された蛍光体層の列の総数をq列としたとき、Q=qとし、あるいは、q=k・Q(kは2以上の整数であり、好ましくは10≦k≦100、一層好ましくは20≦k≦50)としてもよいし、一定の間隔をもって配置されたスペーサ群の数に1を加えた数とすることができるし、ピクセルの数あるいはサブピクセルの数と一致した数、あるいは、ピクセルの数あるいはサブピクセルの数の整数分の一とすることもできる。また、各アノード電極ユニットの大きさは、アノード電極ユニットの位置に拘わらず同じとしてもよいし、アノード電極ユニットの位置に依存して異ならせてもよい。全体として1つのアノード電極の上にアノード電極抵抗体層を形成してもよい。
アノード電極(アノード電極ユニットを包含する)は、導電材料層を用いて形成すればよい。導電材料層の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法といった各種PVD法;各種CVD法;各種印刷法;リフトオフ法;ゾル−ゲル法等を挙げることができる。即ち、導電材料から成る導電材料層を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき、この導電材料層をパターニングしてアノード電極を形成することができる。あるいは又、アノード電極のパターンを有するマスクやスクリーンを介して導電材料をPVD法や各種印刷法に基づき形成することによって、アノード電極を得ることもできる。尚、アノード電極抵抗体層も同様の方法で形成することができる。即ち、抵抗体材料からアノード電極抵抗体層を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づきこのアノード電極抵抗体層をパターニングしてもよいし、あるいは、アノード電極抵抗体層のパターンを有するマスクやスクリーンを介して抵抗体材料のPVD法や各種印刷法に基づく形成により、アノード電極抵抗体層を得ることができる。基板上(あるいは基板上方)におけるアノード電極の平均厚さ(後述するように隔壁を設ける場合、隔壁の頂面上におけるアノード電極の平均厚さ)として、3×10-8m(30nm)乃至5×10-7m(0.5μm)、好ましくは5×10-8m(50nm)乃至3×10-7m(0.3μm)を例示することができる。
アノード電極の構成材料として、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)等の金属;これらの金属元素を含む合金あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンド等の炭素薄膜;ITO(酸化インジウム−錫)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。尚、アノード電極抵抗体層を形成する場合、アノード電極抵抗体層の抵抗値を変化させない導電材料からアノード電極を構成することが好ましく、例えば、アノード電極抵抗体層をシリコンカーバイド(SiC)から構成した場合、アノード電極をモリブデン(Mo)から構成することが好ましい。
蛍光体層は、単色の蛍光体粒子から構成されていても、3原色の蛍光体粒子から構成されていてもよい。蛍光体層の配列様式はドット状である。具体的には、平面型表示装置がカラー表示の場合、蛍光体層の配置、配列として、デルタ配列、ストライプ配列、ダイアゴナル配列、レクタングル配列を挙げることができる。即ち、直線状に配列された蛍光体層の1列は、全てが赤色発光蛍光体層で占められた列、緑色発光蛍光体層で占められた列、及び、青色発光蛍光体層で占められた列から構成されていてもよいし、赤色発光蛍光体層、緑色発光蛍光体層、及び、青色発光蛍光体層が順に配置された列から構成されていてもよい。ここで、蛍光体層とは、平面型表示装置において1つの輝点を生成する蛍光体領域であると定義する。また、1画素(1ピクセル)は、1つの赤色発光蛍光体層、1つの緑色発光蛍光体層、及び、1つの青色発光蛍光体層の集合から構成され、1サブピクセルは、1つの蛍光体層(1つの赤色発光蛍光体層、あるいは、1つの緑色発光蛍光体層、あるいは、1つの青色発光蛍光体層)から構成される。尚、隣り合う蛍光体層の間の隙間がコントラスト向上を目的とした光吸収層(ブラックマトリックス)で埋め込まれていてもよい。
蛍光体層は、発光性結晶粒子から調製された発光性結晶粒子組成物を使用し、例えば、赤色の感光性の発光性結晶粒子組成物(赤色発光蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、赤色発光蛍光体層を形成し、次いで、緑色の感光性の発光性結晶粒子組成物(緑色発光蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、緑色発光蛍光体層を形成し、更に、青色の感光性の発光性結晶粒子組成物(青色発光蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、青色発光蛍光体層を形成する方法にて形成することができる。あるいは又、赤色発光蛍光体スラリー、緑色発光蛍光体スラリー、青色発光蛍光体スラリーを順次塗布した後、各蛍光体スラリーを順次露光、現像して、各蛍光体層を形成してもよいし、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、フロート塗布法、沈降塗布法、蛍光体フィルム転写法等により各蛍光体層を形成してもよい。基板上における蛍光体層の平均厚さは、限定するものではないが、3μm乃至20μm、好ましくは5μm乃至10μmであることが望ましい。発光性結晶粒子を構成する蛍光体材料としては、従来公知の蛍光体材料の中から適宜選択して用いることができる。カラー表示の場合、色純度がNTSCで規定される3原色に近く、3原色を混合した際の白バランスがとれ、残光時間が短く、3原色の残光時間がほぼ等しくなる蛍光体材料を組み合わせることが好ましい。
蛍光体層からの光を吸収する光吸収層が、隣り合う蛍光体層の間、あるいは、隔壁と基板との間に形成されていることが、表示画像のコントラスト向上といった観点から好ましい。ここで、光吸収層は、所謂ブラックマトリックスとして機能する。光吸収層を構成する材料として、蛍光体層からの光を90%以上吸収する材料を選択することが好ましい。このような材料として、カーボン、金属薄膜(例えば、クロム、ニッケル、アルミニウム、モリブデン等、あるいは、これらの合金)、金属酸化物(例えば、酸化クロム)、金属窒化物(例えば、窒化クロム)、耐熱性有機樹脂、ガラスペースト、黒色顔料や銀等の導電性粒子を含有するガラスペースト等の材料を挙げることができ、具体的には、感光性ポリイミド樹脂、酸化クロムや、酸化クロム/クロム積層膜を例示することができる。尚、酸化クロム/クロム積層膜においては、クロム膜が基板と接する。光吸収層は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法とエッチング法との組合せ、真空蒸着法やスパッタリング法、スピンコーティング法とリフトオフ法との組合せ、各種印刷法、リソグラフィ技術等、使用する材料に依存して適宜選択された方法にて形成することができる。
蛍光体層から反跳した電子、あるいは、蛍光体層から放出された2次電子が他の蛍光体層に入射し、所謂光学的クロストーク(色濁り)が発生することを防止するために、隔壁を設けることが好ましい。
隔壁の形成方法として、スクリーン印刷法、ドライフィルム法、感光法、キャスティング法、サンドブラスト形成法を例示することができる。ここで、スクリーン印刷法とは、隔壁を形成すべき部分に対応するスクリーンの部分に開口が形成されており、スクリーン上の隔壁形成用材料をスキージを用いて開口を通過させ、基板上に隔壁形成用材料層を形成した後、係る隔壁形成用材料層を焼成する方法である。ドライフィルム法とは、基板上に感光性フィルムをラミネートし、露光及び現像によって隔壁形成予定部位の感光性フィルムを除去し、除去によって生じた開口に隔壁形成用材料を埋め込み、焼成する方法である。感光性フィルムは焼成によって燃焼、除去され、開口に埋め込まれた隔壁形成用材料が残り、隔壁となる。感光法とは、基板上に感光性を有する隔壁形成用材料層を形成し、露光及び現像によってこの隔壁形成用材料層をパターニングした後、焼成(硬化)を行う方法である。キャスティング法(型押し成形法)とは、ペースト状とした有機材料あるいは無機材料から成る隔壁形成用材料層を型(キャスト)から基板上に押し出すことで隔壁形成用材料層を形成した後、係る隔壁形成用材料層を焼成する方法である。サンドブラスト形成法とは、例えば、スクリーン印刷やメタルマスク印刷法、ロールコーター、ドクターブレード、ノズル吐出式コーター等を用いて隔壁形成用材料層を基板上に形成し、乾燥させた後、隔壁を形成すべき隔壁形成用材料層の部分をマスク層で被覆し、次いで、露出した隔壁形成用材料層の部分をサンドブラスト法によって除去する方法である。隔壁を形成した後、隔壁を研磨し、隔壁頂面の平坦化を図ってもよい。
隔壁における蛍光体層を取り囲む部分の平面形状(隔壁側面の射影像の内側輪郭線に相当し、一種の開口領域である)として、矩形形状、円形形状、楕円形状、長円形状、三角形形状、五角形以上の多角形形状、丸みを帯びた三角形形状、丸みを帯びた矩形形状、丸みを帯びた多角形等を例示することができる。これらの平面形状(開口領域の平面形状)が2次元マトリックス状に配列されることにより、格子状の隔壁が形成される。この2次元マトリックス状の配列は、例えば井桁様に配列されるものでもよいし、千鳥様に配列されるものでもよい。
隔壁形成用材料として、例えば、感光性ポリイミド樹脂や、酸化コバルト等の金属酸化物により黒色に着色した鉛ガラス、SiO2、低融点ガラスペーストを例示することができる。隔壁の表面(頂面及び側面)には、隔壁に電子ビームが衝突して隔壁からガスが放出されることを防止するための保護層(例えば、SiO2、SiON、あるいは、AlNから成る)を形成してもよい。
本発明において、スペーサは、例えば、アノードパネルに設けられた後述する隔壁と隔壁との間に挟み込んで固定すればよく、あるいは又、例えば、アノードパネル及び/又はカソードパネルにスペーサ保持部を形成し、スペーサ保持部によって固定すればよい。
カソードパネルとアノードパネルとを接合部材により接合する場合、接合部材全体がフリットガラス等の接合材料から成る構成とすることもできるし、あるいは又、接合部材が、棒状あるいはフレーム状(枠状)であってガラスやセラミックス等の剛性材料から成る枠体と、枠体のカソードパネル側の面上に設けられている接合材料層と、枠体のアノードパネル側の面上に設けられている接合材料層とから成る構成とすることもできる。枠体の高さを適宜選択することにより、接合部材全体が接合材料から成る構成に比べ、カソードパネルとアノードパネルとの間の対向距離をより長く設定することが可能である。接合材料あるいは接合材料層を構成する材料として、B23−PbO系フリットガラスやSiO2−B23−PbO系フリットガラスといったフリットガラスが一般的であるが、融点が120〜400゜C程度の所謂低融点金属材料を用いてもよい。係る低融点金属材料としては、In(インジウム:融点157゜C);インジウム−金系の低融点合金;Sn80Ag20(融点220〜370゜C)、Sn95Cu5(融点227〜370゜C)等の錫(Sn)系高温はんだ;Pb97.5Ag2.5(融点304゜C)、Pb94.5Ag5.5(融点304〜365゜C)、Pb97.5Ag1.5Sn1.0(融点309゜C)等の鉛(Pb)系高温はんだ;Zn95Al5(融点380゜C)等の亜鉛(Zn)系高温はんだ;Sn5Pb95(融点300〜314゜C)、Sn2Pb98(融点316〜322゜C)等の錫−鉛系標準はんだ;Au88Ga12(融点381゜C)等のろう材(以上の添字は全て原子%を表す)を例示することができる。
カソードパネルとアノードパネルと接合部材の三者を接合する場合、三者を同時に接合してもよいし、あるいは、第1段階でカソードパネル又はアノードパネルのいずれか一方と接合部材とを接合し、第2段階でカソードパネル又はアノードパネルの他方と接合部材とを接合してもよい。三者同時接合や第2段階における接合を高真空雰囲気中で行えば、カソードパネルとアノードパネルと接合部材とにより囲まれた空間は、接合と同時に真空となる。あるいは、三者の接合終了後、カソードパネルとアノードパネルと接合部材とによって囲まれた空間を排気し、真空とすることもできる。接合後に排気を行う場合、接合時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいずれであってもよく、また、雰囲気を構成する気体は、大気であっても、あるいは窒素ガスや周期律表0族に属するガス(例えばArガス)を含む不活性ガスであってもよい。
排気を行う場合、排気は、カソードパネル及び/又はアノードパネルに予め接続された排気管を通じて行うことができる。排気管は、典型的にはガラス管、あるいは、低熱膨張率を有する金属や合金[例えば、ニッケル(Ni)を42重量%含有した鉄(Fe)合金や、ニッケル(Ni)を42重量%、クロム(Cr)を6重量%含有した鉄(Fe)合金]から成る中空管から構成され、カソードパネル及び/又はアノードパネルの無効領域(平面型表示装置としての実用上の機能を果たす中央部の表示領域である有効領域を額縁状に包囲する領域)に設けられた貫通部の周囲に、上述のフリットガラス又は低融点金属材料を用いて接合され、空間が所定の真空度に達した後、熱融着によって封じ切られ、あるいは又、圧着することにより封じられる。尚、封じる前に、平面型表示装置全体を一旦加熱してから降温させると、空間に残留ガスを放出させることができ、この残留ガスを排気により空間外へ除去することができるので好適である。
本発明のスペーサによれば、酸化クロムと酸化ケイ素とを含有する帯電防止膜において、ケイ素のクロムに対する原子数比を0.4乃至2.4の範囲とすることにより、実用上充分な帯電防止機能を確保でき、電子の衝突による電気抵抗の変動を抑制することができる。また、本発明の平面型表示装置によれば、スペーサに沿った画素に生ずる輝度変化が低減された平面型表示装置を得ることができる。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例は、本発明の平面型表示装置、及び、本発明のスペーサに関する。実施例の平面型表示装置の概念的な一部端面図を図1に示す。実施例の平面型表示装置は、背景技術において説明した表示装置と同様に、冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と略称する)である。
実施例の表示装置における、カソードパネルCP及びアノードパネルAPを分解したときのカソードパネルCPとアノードパネルAPの一部分の模式的な分解斜視図は、図6に示したと同様である。
実施例の表示装置は、複数の電子放出領域EAが設けられたカソードパネルCPと、蛍光体層22及びアノード電極24が設けられたアノードパネルAPとが、それらの周縁部で接合され、スペーサ140がカソードパネルCPとアノードパネルAPとの間に配置され、カソードパネルCPとアノードパネルAPとによって挟まれた空間が真空に保持された表示装置である。
スペーサ140は、スペーサ基材140A、及び、スペーサ基材140Aの側面部上に形成された帯電防止膜140Bから構成されている。そして、帯電防止膜140Bは酸化クロムと酸化ケイ素とを含有しており、帯電防止膜140Bにおけるケイ素のクロムに対する原子数比は、0.4乃至2.4の範囲にある。スペーサ140の詳細については、後述する。
以下、実施例の表示装置の構造を説明し、次いで、実施例のスペーサ及び表示装置の製造方法について説明する。その後、実施例のスペーサを組み込んだ表示装置の特性について説明する。
先ず、実施例の表示装置の構造について説明する。
図1に示すように、実施例におけるカソードパネルCPにあっては、カソード電極11は、第1の方向(Y方向)に延びる帯状であり、ゲート電極13は、第1の方向とは異なる第2の方向(X方向)に延びる帯状である。カソード電極11とゲート電極13とは、これらの両電極11,13の射影像が互いに直交する方向に各々帯状に形成されている。帯状のカソード電極11と帯状のゲート電極13とが重複する重複領域が、電子放出領域EAである。1サブピクセルに相当する電子放出領域EAには、複数の電界放出素子が設けられており、1サブピクセルに相当する電子放出領域EAが、カソードパネルCPの有効領域内に、2次元マトリクス状に配列されている。
絶縁層12及びゲート電極13上には層間絶縁層16が形成され、その上に、厚さ0.4μmのアルミニウムから成る収束電極17がDCスパッタリング法に基づき設けられている。収束電極17は、複数の電界放出素子に共通の収束効果を及ぼすことができる。層間絶縁層16には、第1開口部14Aに連通した第3開口部14Cが設けられている。カソードパネルCPの無効領域には、真空排気用の貫通孔(図示せず)が設けられており、この貫通孔には、真空排気後に封じ切られるチップ管とも呼ばれる排気管(図示せず)が取り付けられている。
実施例において、電子放出領域EAを構成する電界放出素子は、スピント型電界放出素子から構成されている。スピント型電界放出素子は、
(a)支持体10に形成されたカソード電極11、
(b)支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12、
(c)絶縁層12上に形成されたゲート電極13、
(d)ゲート電極13及び絶縁層12に設けられた開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)、並びに、
(e)開口部14の底部に位置するカソード電極11上に形成された円錐形の電子放出部15、
から構成されている。
実施例において、アノードパネルAPは、基板20、並びに、この基板20上に形成された蛍光体層22、及び、蛍光体層22を覆うアノード電極24から構成されている。より具体的には、アノードパネルAPは、基板20、基板20上に形成された隔壁21と隔壁21との間の基板20上に形成され、多数の蛍光体粒子から成る蛍光体層22(赤色発光蛍光体層22R、緑色発光蛍光体層22G、青色発光蛍光体層22B)、及び、蛍光体層22上に形成されたアノード電極24を備えている。アノード電極24は、厚さ約0.3μmのアルミニウム(Al)から成り、有効領域を覆う薄い1枚のシート状であり、隔壁21及び蛍光体層22を覆う状態で設けられている。蛍光体層22と蛍光体層22との間であって、隔壁21と基板20との間には、表示画像の色濁り、光学的クロストークの発生を防止するために、光吸収層(ブラックマトリックス)23が形成されている。そして、カソードパネルCPとアノードパネルAPとによって挟まれた空間は真空(圧力:例えば10-3Pa以下)とされている。
図2は、実施例の表示装置における隔壁21とスペーサ140と蛍光体層22の配置状態を説明するための模式的な平面図である。また、図2においてはアノード電極24の図示を省略している。隔壁21の平面形状としては、格子形状(井桁形状)、即ち、1サブピクセルに相当する、例えば平面形状が略矩形の蛍光体層22の四方を取り囲む形状である。隔壁21の一部は、スペーサ140を保持するためのスペーサ保持部25としても機能する。
1サブピクセルは、カソードパネル側の電子放出領域EAと、これらの電界放出素子の一群に対面したアノードパネル側の蛍光体層22とによって構成されている。有効領域には、画素(ピクセル)が、例えば数十万〜数百万個ものオーダーにて配列されている。尚、カラー表示の表示装置においては、1画素(1ピクセル)は、赤色発光サブピクセル、緑色発光サブピクセル、及び、青色発光サブピクセルの組から構成されている。
実施例において、カソード電極11はカソード電極制御回路31に接続され、ゲート電極13はゲート電極制御回路32に接続され、収束電極17は収束電極制御回路(図示せず)に接続され、アノード電極24はアノード電極制御回路33に接続されている。これらの制御回路は周知の回路から構成することができる。表示装置の実動作時、アノード電極制御回路33からアノード電極24に印加されるアノード電圧VAは、通常、一定であり、例えば、5キロボルト〜15キロボルト、具体的には、例えば、9キロボルト(例えば、d0=2.0mm)とすることができる。一方、表示装置の実動作時、カソード電極11に印加する電圧VC及びゲート電極13に印加する電圧VGに関しては、
(1)カソード電極11に印加する電圧VCを一定とし、ゲート電極13に印加する電圧VGを変化させる方式
(2)カソード電極11に印加する電圧VCを変化させ、ゲート電極13に印加する電圧VGを一定とする方式
(3)カソード電極11に印加する電圧VCを変化させ、且つ、ゲート電極13に印加する電圧VGも変化させる方式
のいずれを採用してもよい。
表示装置の実動作時、カソード電極11には相対的に負電圧(VC)がカソード電極制御回路31から印加され、ゲート電極13には相対的に正電圧(VG)がゲート電極制御回路32から印加され、収束電極17には収束電極制御回路から例えば0ボルトが印加され、アノード電極24にはゲート電極13よりも更に高い正電圧(アノード電圧VA)がアノード電極制御回路33から印加される。係る表示装置において表示を行う場合、例えば、カソード電極11にカソード電極制御回路31から走査信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路32からビデオ信号を入力する。尚、カソード電極11にカソード電極制御回路31からビデオ信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路32から走査信号を入力してもよい。カソード電極11とゲート電極13との間に電圧を印加した際に生ずる電界により、量子トンネル効果に基づき電子放出部15,15Aから電子が放出され、この電子がアノード電極24に引き付けられ、アノード電極24を通過して蛍光体層22に衝突する。その結果、蛍光体層22が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。つまり、この表示装置の動作は、基本的に、ゲート電極13に印加される電圧VG、及びカソード電極11に印加される電圧VCによって制御される。
以上、実施例の表示装置の構造を説明した。次いで、実施例のスペーサ140及び表示装置の製造方法について説明する。
実施例のスペーサ140は、セラミックス材料から成るスペーサ基材140A、及び、スペーサ基材140Aの側面部上に形成された帯電防止膜140Bから構成されている。帯電防止膜140Bは酸化クロムと酸化ケイ素とを含有しており、帯電防止膜140Bにおけるケイ素のクロムに対する原子数比は、0.4乃至2.4の範囲にある。
以下、図3を参照して、実施例のスペーサの製造方法、及び、実施例の平面型表示装置の製造方法を説明する。図3は、実施例のスペーサ及び平面型表示装置の製造工程図である。
[工程−100]
先ず、セラミックス粉末や導電性付与材料としての金属酸化物粉末を分散質とし、例えばアクリル系エマルジョンやポリビニルアルコール(PVA)等の有機材料から成るバインダーを添加してグリーンシート用スラリーを調製する(図3の[工程−100]参照)。実施例においては、セラミックス材料や金属酸化物の比率を変えた4種類のスラリーを用いた。実施例におけるスラリーを構成するセラミックス材料や金属酸化物の組成を表1に掲げる。これらの材料を、例えば、界面活性剤を含む水等から成る分散媒と混合して、スラリーを調製する。
[工程−110]
次いで、グリーンシート用スラリーから、グリーンシートを得る(図3の[工程−110]参照)。実施例では、調製したグリーンシート用スラリーをブレードコート法によって厚さ約125μmのシートとし、100゜Cで充分に乾燥させることで、グリーンシートを得たが、これに限定するものではない。
[工程−120]
その後、グリーンシートに焼成処理を施し、板状のセラミックス材料を得る(図3の[工程−120]参照)。尚、グリーンシートは焼成処理により約20%程度縮む。実施例では、グリーンシートをモリブデン製のセッターの上に載せ、1650゜C、窒素:水素=1:3の雰囲気下で、約1時間焼成することにより、板状のセラミックス材料を得たが、これに限定するものではない。
[工程−130]
次いで、板状のセラミックス材料を切断し、スペーサ基材140Aを得る(図3の[工程−130]参照)。実施例において、スペーサ基材140Aの寸法を、長手方向(図1においてX方向)に150mm、厚さ方向(図1においてY方向)に100μm、高さ方向(図1においてZ方向)に2mmとしたが、これらに限定するものではない。尚、スペーサ基材140Aの比抵抗を、表1に示す。
[工程−140]
その後、スペーサ基材140Aの側面部上に、2nm乃至10nmの膜厚の帯電防止膜140Bを形成する(図3の[工程−140]参照)。実施例においては、スパッタリング法により下記の表2に例示する条件にて帯電防止膜140Bを形成する。実施例においては、酸化クロムと酸化ケイ素との比率を変えた6種類のターゲットを用いてスパッタリングを行った。具体的には、ターゲット6種類×スラリー4種類の組み合わせにより計24種類のスペーサを準備した。表1において、例えば「仕様1−A」の表記における”1”はターゲットの種類、”A”は、スラリーの種類を表す。
上記の計24種類のスペーサについてラザフォード後方散乱分光法(RBS法)により、帯電防止膜140Bにおけるケイ素のクロムに対する原子数比を求めた。表面を鏡面研磨した高純度のアルミナ基板を検査用基材として用い、帯電防止膜を形成する工程において、スペーサ基材と検査用基材とを並べた状態で帯電防止膜を形成し、検査用基材上に形成された帯電防止膜を測定した。表1に結果を示す。尚、「仕様3−A」〜「仕様3−D」、「仕様4−A」〜「仕様4−D」、及び、「仕様5−A」〜「仕様5−D」が実施例に相当する。「仕様1−A」〜「仕様1−D」、「仕様2−A」〜「仕様2−D」、及び、「仕様6−A」〜「仕様6−D」は比較例に相当する。
上記の[工程−100]〜[工程−140]によって、スペーサ基材140Aと帯電防止膜140Bとから成る実施例のスペーサ140を製造することができる。
[工程−150]
次いで、平面型表示装置の組立を行う。具体的には、スペーサ140を介して、蛍光体層22と電子放出領域EAとが対向するようにアノードパネルAPとカソードパネルCPとを配置する。アノードパネルAPとカソードパネルCP(より具体的には、支持体10と基板20)とを、接合部材26を介して、周縁部において接合する。例えば、接合部材を枠体と接合材料層とから成る構成とする場合には、接合部材26を構成する枠体とアノードパネルAPとの接合部位、及び、枠体とカソードパネルCPとの接合部位にフリットガラスを塗布することにより、接合部材を構成する接合材料層を形成し、予備焼成にてフリットガラスを乾燥した後、アノードパネルAPとカソードパネルCPと枠体とを貼り合わせ、約450゜Cで10〜30分の本焼成を行う。尚、焼成による酸化等を防ぐため、不活性ガス雰囲気中で本焼成を行うことが望ましい。その後、アノードパネルAPとカソードパネルCPと接合部材26とによって囲まれた空間を、貫通孔(図示せず)及びチップ管(図示せず)を通じて排気し、空間の圧力が10-4Pa程度に達した時点でチップ管を加熱溶融や圧接により封じ切る。このようにして、アノードパネルAPとカソードパネルCPと接合部材26とに囲まれた空間を真空にすることができる。その後、必要な外部回路との配線を行い、実施例の平面型表示装置を完成させることができる。
表1に記した「仕様1−A」〜「仕様6−A」のスペーサを組み込んだ表示装置を用いて、スペーサ140近傍の画素における輝度特性の経時変化を測定した。具体的には、表示領域全面に白色を表示して、スペーサ140近傍の画素(実施例においては1サブピクセル)について、以下に説明する方法により、輝度重心の測定を行なった。表示装置の駆動条件を、アノードパネルAP(より具体的には、アノード電極24)に印加される電圧を約10kVとし、この電圧とアノード電極に流れる電流量の実効値から計算される電力が略20Wとなるように設定する。尚、平面型表示装置の表示領域は約40cm×30cmである。
先ず、図4の(A)〜(B)を参照して、輝度重心の求め方について説明する。図4の(A)は、スペーサ140の近傍に位置する画素(実施例においては1サブピクセル)における電子ビームの軌道を模式的に示した図である。図4の(B)は、図4の(A)に示す状態において、蛍光体層22の輝度分布を模式的に示した図である。通常、蛍光体層22の周囲部の輝度は、蛍光体層22の中央部の輝度よりも、相対的に低くなる傾向がある。図4の(B)における破線は、蛍光体層22における輝度の等高線を模式的に示したものである。図4の(B)に示すように、蛍光体層22の右上端部を原点(0,0)とし、蛍光体層22上の点(xi,yj)における輝度がL(xi,yj)で与えられるとき、以下の式(1)、式(2)により、輝度の重心の座標(XC,YC)を求めることができる。
Figure 2007294168
Figure 2007294168
測定対象となる画素について、表示装置の動作直後の輝度重心(以下、初期状態の輝度重心と呼ぶことがある)と、動作状態で所定時間が経過した後の輝度重心(以下、経時変化後の輝度重心と呼ぶことがある)を測定した。具体的には、点灯直後の表示装置の測定対象となる画素について、その内部の輝度の分布を、CCDカメラ等により測定した。その測定結果を用いて、輝度L(xi,yj)を求めることができる。次いで、求めた輝度L(xi,yj)を用いて、初期状態の輝度重心の座標(XCS,YCS)を計算した。次いで、表示装置を動作状態で所定時間が経過した後、上記と同様の手順により、経時変化後の輝度重心の座標(XCT,YCT)を計算した。
初期状態の輝度重心の座標(XCS,YCS)と、経時変化後の輝度重心の座標(XCT,YCT)とを用いて、輝度重心の位置変化量が求まる。具体的には、両者の輝度重心の間の距離を計算で求めればよい。実施例の表示装置について、上記の作業を行い、スペーサ近傍に位置する画素の輝度重心が5μm移動するまでの動作時間を算出した。結果を、表1に示す。
表1に示すように、スペーサ近傍に位置する画素の輝度重心が5μm移動するまでの動作時間は、「仕様1−A」〜「仕様1−D」、及び、「仕様2−A」〜「仕様2−D」のスペーサにあっては、2×104時間未満であり、表示装置の動作時間の目処となる2万時間を確保できない。これに対し、「仕様3−A」〜「仕様3−D」、「仕様4−A」〜「仕様4−D」、及び、「仕様5−A」〜「仕様5−D」のスペーサにあっては、2.5×104時間以上となる。尚、「仕様6−A」〜「仕様6−D」のスペーサにあっては、帯電防止膜の機能が不十分であり、表示装置の動作直後からスペーサの帯電に起因する輝度変化が視認されたため、経時変化の測定は中止した。
以上の測定結果より、帯電防止膜に含まれるケイ素のクロムに対する原子数比を、表1に示す0.4乃至2.4の範囲とすることにより、酸化クロムを含有する帯電防止膜の電気抵抗の変動を低減し、スペーサに沿った画素の相対的な輝度変化を軽減することができる。
[表1]
Figure 2007294168
[表2]
[スパッタリング法による帯電防止膜の成膜条件]
スペーサ基材温度 :25゜C
成膜速度 :0.2nm/秒
圧力 :0.5Pa
プロセスガス :Ar
スパッタ方法 :RFスパッタ
以上、本発明を、好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例にて説明した平面型表示装置、カソードパネルやアノードパネル、冷陰極電界電子放出表示装置や冷陰極電界電子放出素子の構成、構造は例示であり、適宜変更することができるし、カソードパネルやアノードパネル、冷陰極電界電子放出表示装置や冷陰極電界電子放出素子の製造方法も例示であり、適宜変更することができる。更には、カソードパネルやアノードパネルの製造において使用した各種材料も例示であり、適宜変更することができる。表示装置においては、専らカラー表示を例にとり説明したが、単色表示とすることもできる。
電界放出素子においては、専ら1つの開口部に1つの電子放出部が対応する形態を説明したが、電界放出素子の構造に依っては、1つの開口部に複数の電子放出部が対応した形態、あるいは、複数の開口部に1つの電子放出部が対応する形態とすることもできる。あるいは又、ゲート電極に複数の第1開口部を設け、絶縁層に係る複数の第1開口部に連通した複数の第2開口部を設け、1又は複数の電子放出部を設ける形態とすることもできる。
表面伝導型電子放出素子と通称される素子から電子放出源を構成することもできる。この表面伝導型電子放出素子は、例えばガラスから成る支持体上に酸化錫(SnO2)、金(Au)、酸化インジウム(In23)/酸化錫(SnO2)、カーボン、酸化パラジウム(PdO)等の導電材料から成り、微小面積を有し、所定の間隔(ギャップ)を開けて配された一対の電極がマトリックス状に形成されて成る。それぞれの電極の上には炭素薄膜が形成されている。そして、一対の電極の内の一方の電極に行方向配線が接続され、一対の電極の内の他方の電極に列方向配線が接続された構成を有する。一対の電極に電圧を印加することによって、ギャップを挟んで向かい合った炭素薄膜に電界が加わり、炭素薄膜から電子が放出される。係る電子を第2パネル上の蛍光体層に衝突させることによって、蛍光体層が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。あるいは又、金属/絶縁膜/金属型素子から電子放出源を構成することもできる。
図1は、実施例の平面型表示装置(冷陰極電界電子放出表示装置)の概念的な一部端面図である。 図2は、実施例の平面型表示装置における隔壁とスペーサと蛍光体層の配置状態を説明するための模式的な平面図である。 図3は、実施例のスペーサ及び平面型表示装置(冷陰極電界電子放出表示装置)の製造工程図である。 図4の(A)は、スペーサの近傍に位置する画素(実施例においては1サブピクセル)における電子ビームの軌道を模式的に示した図であり、図4の(B)は、図4の(A)に示す状態において、蛍光体層の輝度分布を模式的に示した図である。 図5は、スピント型電界放出素子を有する従来の冷陰極電界電子放出表示装置の概念的な一部端面図である。 図6は、カソードパネル及びアノードパネルを分解したときのカソードパネルとアノードパネルの一部分の模式的な分解斜視図である。 図7の(A)及び(B)は、スペーサの近傍に位置する画素における電子ビームの軌道を模式的に示した図である。 図8は、スペーサの近傍に位置する画素において、帯電防止膜の電気抵抗特性が変化することにより電子ビーム軌道が湾曲することを説明するための模式的な図である。
符号の説明
CP・・・カソードパネル、AP・・・アノードパネル、10・・・支持体、11・・・カソード電極、12・・・絶縁層、13・・・ゲート電極、14,14A,14B・・・開口部、15,15A・・・電子放出部、16・・・層間絶縁層、17・・・収束電極、18・・・剥離層、19・・・導電材料層、20・・・基板、21・・・隔壁、22,22R,22G,22B・・・蛍光体層、23・・・ブラックマトリックス、24・・・アノード電極、25・・・スペーサ保持部、26・・・接合部材、31・・・カソード電極制御回路、32・・・ゲート電極制御回路、33・・・アノード電極制御回路、40・・・スペーサ、40A・・・スペーサ基材、40B・・・帯電防止膜、140・・・スペーサ、140A・・・スペーサ基材、140B・・・帯電防止膜

Claims (6)

  1. 複数の電子放出領域が設けられたカソードパネルと、蛍光体層及びアノード電極が設けられたアノードパネルとが、それらの周縁部で接合され、スペーサがカソードパネルとアノードパネルとの間に配置され、カソードパネルとアノードパネルとによって挟まれた空間が真空に保持された平面型表示装置であって、
    スペーサは、
    (a)スペーサ基材、及び、
    (b)スペーサ基材の側面部上に形成された帯電防止膜、
    から構成されており、
    (A)帯電防止膜は酸化クロムと酸化ケイ素とを含有しており、
    (B)帯電防止膜におけるケイ素のクロムに対する原子数比は、0.4乃至2.4の範囲にあることを特徴とする平面型表示装置。
  2. 帯電防止膜は酸化クロムと酸化ケイ素を含有するターゲットを用いたスパッタリング法により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の平面型表示装置。
  3. 帯電防止膜の膜厚は2nm乃至10nmであることを特徴とする請求項1に記載の平面型表示装置。
  4. 複数の電子放出領域が設けられたカソードパネルと、蛍光体層及びアノード電極が設けられたアノードパネルとが、それらの周縁部で接合され、カソードパネルとアノードパネルとによって挟まれた空間が真空に保持される平面型表示装置において使用され、カソードパネルとアノードパネルとの間に配置されるスペーサであって、
    スペーサは、
    (a)スペーサ基材、及び、
    (b)スペーサ基材の側面部上に形成された帯電防止膜、
    から構成されており、
    (A)帯電防止膜は酸化クロムと酸化ケイ素とを含有しており、
    (B)帯電防止膜におけるケイ素のクロムに対する原子数比は、0.4乃至2.4の範囲にあることを特徴とするスペーサ。
  5. 帯電防止膜は酸化クロムと酸化ケイ素を含有するターゲットを用いたスパッタリング法により形成されていることを特徴とする請求項4に記載のスペーサ。
  6. 帯電防止膜の膜厚は2nm乃至10nmであることを特徴とする請求項4に記載のスペーサ。
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