JP2007292116A - 転がり軸受、軸受ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】鍛造時の素材変形に伴う材料の流れに着目した方法で、転がり軸受の寿命を長くする。
【解決手段】鍛造工程で素材の芯部が軌道溝21bの表層部に出現すると、軌道溝21bの表層部は、多数の鍛流線Tが極端に折れ曲がって方向性を持って並んだ状態になる。この鍛流線Tの折れ曲がり点を結んだ塑性流れ曲線Sの方向を示す直線LS と、接触点P2 での軌道溝21bの接線L1 と、のなす角度θを30°〜90°にする。軌道溝とボールとの接触楕円25の長軸の長さを2Aとしたときに、塑性流れ曲線Sが、接触点P2 から1.1A以上離れた位置を通過するようにする。
【選択図】図2

Description

この発明は、転がり軸受および軸受ユニット(複列の軌道溝を有する外輪およびフランジが一体になっている外側部材と、内輪と、ボールを備えた軸受)に関する。
近年、自動車の燃費を向上するために、軽量化を目的とした車輪支持用軸受のユニット化が進んでいる。図8は、ユニット化された車輪支持用軸受の一例を示す断面図である。このユニットは、内側部材1と、外側部材2と、ボール3と、保持器4と、第1のシール5と、第2のシール6と、スリンガ7とで構成され、ボール3が転動する軌道溝を二列備えている。
内側部材1は、二列の軌道溝を有する内輪11、車軸を内嵌するハブ12、および車輪側部材8を固定するフランジ13を有する。内側部材1は第1の部材1aと第2の部材1bとからなる。第1の部材1aは、内輪11の一方の内輪軌道溝11aの部分とハブ12とフランジ13が一体に形成されたもの(ハブ輪)である。第2の部材1bは、他方の内輪軌道溝11bが形成されたリング状部材であって、第1の部材1aに外嵌されている。
外側部材2は、二列の軌道溝21a,21bを有する外輪21と、車体の懸架装置(車体側部材)を固定するボルト穴22aが形成されたフランジ22とが一体に形成されたものである。
このような複雑な形状を有する内側部材1および外側部材2は、従来、0.5質量%程度の炭素を含有する中炭素鋼からなる素材を用い、熱間鍛造で所定形状に加工した後、軌道溝の表層部を高周波焼入れにより硬化させることで製造されている。
また、内部に水が浸入するような過酷な使用条件に耐えることができるように、車輪支持用軸受ユニットの寿命向上要求が高まっている。この要求に応える方法としては、特定の合金成分を含有した鋼からなる素材を用いる方法や、清浄度の高い鋼からなる素材を用いる方法があるが、これらの方法には、素材が調達しにくくなる、生産性が低減する、コストが上昇する等の問題がある。
これに対して、下記の特許文献1および2には、鍛造工程の条件で変化するメタルフロー(鍛流線)の向きを特定範囲に設定することにより、転がり軸受の寿命を長くすることが開示されている。特許文献1では、回転軸を含む断面におけるメタルフローの当該回転軸に対する角度の最大値を10°以上50°以下に設定している。特許文献2では、ボールの公転方向に対するメタルフローの角度を±15°以内に設定している。
また、下記の特許文献3には、転がり寿命の向上を図りながら軌道溝の加工取り代を削減することを目的として、軌道溝の曲率中心と「ファイバーフロー」の断面が析出している点とを直線で結び、この直線の軌道面との交点で軌道溝の接線を引き、この交点におけるファイバーフローの接線と、前記軌道溝の接線とのなす角度を「ファイバーフローの角度」と定義し、この角度を15°以下にすることが記載されている。
特許第3123055号公報 特開平8−42576号公報 特開2005−35513号公報
本発明は、鍛造時の素材変形に伴う材料の流れに着目した方法ではあるが、特許文献1〜3とは異なる方法で、内部に水が浸入するような過酷な使用条件下での転がり軸受の寿命を長くすることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、素材の鍛造工程を経て製造され、軸線を含む断面における軌道溝のボール接触点での接線と、前記断面における軌道溝表層部の塑性流れ曲線の方向を示す直線と、のなす角度が30°以上90°以下であり、軌道溝とボールとの接触楕円の長軸の長さを2Aとしたときに、前記塑性流れ曲線は、軌道溝とボールとの接触点から1.1A以上離れた位置を通過することを特徴とする転がり軸受の軌道輪を提供する。また、この軌道輪を備えたことを特徴とする転がり軸受を提供する。
本発明はまた、複列の軌道溝を有する外輪およびフランジが一体に、素材の鍛造工程を経て製造された軸受ユニット外側部材であって、軸線を含む断面における軌道溝のボール接触点での接線と、前記断面における軌道溝表層部の塑性流れ曲線の方向を示す直線と、のなす角度が30°以上90°以下であり、軌道溝とボールとの接触楕円の長軸の長さを2Aとしたときに、前記塑性流れ曲線は、軌道溝とボールとの接触点から1.1A以上離れた位置を通過することを特徴とする軸受ユニット外側部材を提供する。また、この外側部材と、内輪と、ボールを備えたことを特徴とする軸受ユニットを提供する。
本発明はまた、複列の軌道溝を有する内輪、車軸を内嵌するハブ、および車輪側部材を固定するフランジを有し、少なくとも一列の軌道溝とハブとフランジが一体に、素材の鍛造工程を経て製造された内側部材と、複列の軌道溝を有する外輪および車体側部材を固定するフランジが一体に、素材の鍛造工程を経て製造された外側部材と、ボールと、を備えた車輪支持用軸受ユニットにおいて、フランジと一体化された内輪の軌道溝および外輪の軌道溝の少なくともいずれかは、軸線を含む断面における軌道溝のボール接触点での接線と、前記断面における軌道溝表層部の塑性流れ曲線の方向を示す直線と、のなす角度が30°以上90°以下であり、軌道溝とボールとの接触楕円の長軸の長さを2Aとしたときに、前記塑性流れ曲線は、軌道溝とボールとの接触点から1.1A以上離れた位置を通過することを特徴とする車輪支持用軸受ユニットを提供する。
本発明はまた、素材の鍛造工程を経て転がり軸受の軌道輪を製造する方法において、軸線を含む断面における軌道溝のボール接触点での接線と、前記断面における軌道溝表層部の塑性流れ曲線の方向を示す直線と、のなす角度が30°以上90°以下であり、軌道溝とボールとの接触楕円の長軸の長さを2Aとしたときに、前記塑性流れ曲線は、軌道溝とボールとの接触点から1.1A以上離れた位置を通過するように鍛造条件を設定することを特徴とする軌道輪の製造方法を提供する。
複列の軌道輪と単列の軌道輪とを比較した場合や、軌道輪にフランジが一体化されている軸受部材とフランジがない軌道輪のみの軸受部材とを比較した場合に、これらが素材の鍛造工程を経て製造されていると、より複雑な形状である「複列の軌道輪」および「軌道輪にフランジが一体化されている軸受部材」は、鍛造工程で素材の芯部(中心付近の部分)が軌道溝表層部に出現し易くなる。素材の芯部が軌道溝表層部へ出現していることは、軸線を含む断面を腐食させて実体顕微鏡で観察した時に、軌道溝表層部で多数の鍛流線が極端に折れ曲がって方向性を持って並んだ状態になっていることにより確認できる。
本発明では、鍛流線の折れ曲がり点を結んだ線を「塑性流れ曲線」と称し、その方向を示す線を「塑性流れ曲線の方向を示す直線」と称する。ここで、素材の芯部(中心付近の部分)は、周辺の部分よりも介在物が存在しやすい(鋼の清浄度が低い)ため、芯部が軌道溝表層部に存在すると、介在物を起点とした剥離が生じやすい。
しかし、本発明によれば、素材の芯部が軌道溝表層部(表面から、最大剪断応力深さに相当する深さまでの範囲)へ出現した場合でも、(1) 「塑性流れ曲線の方向を示す直線」と「軌道溝のボール接触点での接線」とのなす角度(θ)が30°以上90°以下であり、(2) 塑性流れ曲線が、軌道溝とボールとの接触点から1.1A以上(好ましくは1.3A以上)離れた位置を通過する、という二つの条件を満たすことにより、これらの条件を満たさない場合と比較して、剥離起点となる介在物の存在率が低くなって、軌道溝に剥離が生じ難くなる。
具体的には、剥離の起点となる介在物は鍛流線に沿って存在しているため、前記角度θを30°以上90°以下と大きくすることにより、これより小さい場合と比較して、介在物の軌道溝の面積当たりの存在率が低くなる。
また、図2に示すように、前記条件(2) を満たす塑性流れ曲線Sは、軌道溝21bの表層部で接触楕円25の外側に存在しているが、前記条件(2) を満たさない塑性流れ曲線S’は、軌道溝21bの表層部で接触楕円25の内側に存在している。すなわち、「軌道溝とボールとの接触楕円の長軸の長さを2Aとしたときに、軌道溝とボールとの接触点から1.1A以上離れた位置を通過している」塑性流れ曲線Sは、軌道溝21bの表層部で接触楕円25の外側に存在している。そして、塑性流れ曲線は介在物の存在率が高い素材の芯部を示す線であるため、本発明では、塑性流れ曲線が接触楕円の外側に存在することで、ボールと軌道溝との間の最も負荷がかかる面での介在物の存在率を低くすることができる。
なお、円柱状素材を用いる場合、円柱状素材の径方向で中心から半径の40%となる部分が軌道溝とボールとの接触楕円の外側になるようにすることや、素材の炭素含有率を12ppm以下、硫黄含有率を0.015質量%以下にすることが、ボールと軌道溝との間の最も負荷がかかる面での介在物の存在率を低くするという点で好ましい。
本発明によれば、素材の鍛造工程を経て製造された軌道輪(外側部材)の、軸線を含む断面における軌道溝のボール接触点での接線と、前記断面における軌道溝表層部の塑性流れ曲線の方向を示す直線とのなす角度(θ)が30°以上90°以下であり、塑性流れ曲線が、軌道溝とボールとの接触点から1.1A以上離れた位置を通過するという二つの条件を満たすことにより、これらの条件を満たさない場合と比較して、転がり軸受(軸受ユニット)の寿命を長くすることができる。
本発明の車輪支持用軸受ユニットによれば、フランジと一体化された内輪の軌道溝および外輪の軌道溝の少なくともいずれかについて、軸線を含む断面における軌道溝のボール接触点での接線と、前記断面における軌道溝表層部の塑性流れ曲線の方向を示す直線とのなす角度(θ)が30°以上90°以下であり、塑性流れ曲線が、軌道溝とボールとの接触点から1.1A以上離れた位置を通過するという二つの条件を満たすことにより、これらの条件を満たさない場合と比較して、内部に水が浸入するような過酷な使用条件での寿命を長くすることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、この実施形態の軸受ユニット外側部材を示す断面図である。この断面図は軸線を含む断面の左側部分のみを示し、右側部分は省略している。
この外側部材2は、図8に示すユニット化された車輪支持用軸受の外側部材2に相当し、二列の軌道溝21a,21bを有する外輪21と、車体の懸架装置(車体側部材)を固定するボルト穴22aが形成されたフランジ22と、が一体に形成されたものである。
この断面において、軌道溝21bの表層部に、塑性流れ曲線(鍛流線Tの折れ曲がり点を結んだ線)Sが存在している。軌道溝21aを構成する溝(軌道溝)の表層部には塑性流れ曲線が存在していない。符号P1 は軌道溝21aとボール3との接触点であり、符号P2 は軌道溝21bとボール3との接触点である。
図2は、図1の軌道溝21bの部分を拡大した図である。図2に、この塑性流れ曲線Sの方向を示す直線LS と、軌道溝21bのボール接触点P2 での接線L1 と、これらの線のなす角度θを示す。この例で角度θは82.5°である。
図2には、また、軌道溝21bのボール3との接触楕円25が、軌道溝21bの上側に投影表示されている。接触楕円25の中心は、軌道溝21bとボール3との接触点P2 であり、この点を示す直線Cと、接触楕円25の長軸25aの両端を示す直線H1 ,H2 が表示されている。そして、長軸25aの長さを2Aとすると、直線Cと直線H1 および直線H2 との距離はAとなる。
この例では、塑性流れ曲線Sの軌道溝21bとの交点Ps と、軌道溝21bのボール接触点P2 との距離Kが、K1 =1.89Aになっている。すなわち、この塑性流れ曲線Sは、軌道溝21bとボール3との接触点P2 から1.89Aだけ離れた位置を通過している。
したがって、この外側部材2は、本発明の二つの条件(30°≦θ≦90°、K≧1.1A)を満たしている。
なお、図2に二点鎖線で示した塑性流れ曲線S’は、軌道溝21bとの交点PS'と軌道溝21bのボール接触点P2 との距離K2 が、0.74Aになっている。すなわち、この塑性流れ曲線S’は、軌道溝21bとボール3との接触点P2 から0.74Aだけ離れた位置を通過している。
図3を用いて、図1の外側部材2の製造方法を説明する。
先ず、図3(a)に示すように、円柱状の素材を用意し、据え込み工程により、円柱の軸方向両側から押し潰す。これにより、図3(b)に示す状態とする。次に、鍛造工程にり、図3(c)に示すように、フランジ22と外輪21と、両軌道の間の部分210を繋ぐ部分23とが一体化された形状に成形する。次に、ピアスパンチ工程により、繋ぎ部分23を除去して、図3(d)に示す形状とする。次に、図3(e)に示すように、冷間ローリング成形で軌道溝21a,21bを形成する。
そして、軸方向におけるフランジ22の位置および繋ぎ部分23の位置と、冷間ローリング成形による拡径率を変えることにより、角度θが異なる外側部材2を得ることができる。また、使用する円柱状素材の直径を変えることにより、塑性流れ曲線Sの軌道面通過位置(点Ps )が異なる外側部材2を得ることができる。
本発明の実施例に相当する軸受ユニットを図4(a)に示す。この図は、軸線Zを含む断面図である。この軸受ユニットは、複列アンギュラ玉軸受の外輪21にフランジ22が一体化された形状であり、それぞれ一列の軌道11a,11bを備えた二つの内輪10a,10bと、二列の軌道溝21a,21bを備えた外輪21にフランジ22が一体化された外側部材2と、ボール3で構成されている。この軸受ユニットの内径(d)は25mmであり、外径(D)は63.5mmであり、幅(B)は44.5mmであり、作用点距離(K)は51mmである。
この軸受ユニットについて、外側部材2の軌道溝21bのボール接触点P2 と点PS (塑性流れ曲線の軌道溝21bとの交点)との距離K、および角度θを、下記の表1に示す各値にした場合の寿命を調べた。その試験軸受用の外輪として、図5に示す形状の外輪20aを作製した。この外輪20は、外側部材2のフランジ22を除去して図4(b)に示す複列の外輪21とした後、この外輪21を軸方向で二等分(ラインHに沿って切断)することにより得られる。
先ず、図3(a)に示すように、SUJ2製の円柱状素材として、直径が50〜70mmの各値で、軸方向寸法が70mmであるものを用意した。次に、2500tonのプレス機(栗本鉄工所製)を用い、この素材を軸方向を上下方向にして上下の金型の間に置き、1150〜1200℃で、軸方向寸法が30〜40mmとなるまで押し潰すことにより、据え込み工程を行い、図3(b)に示す状態にした。
次に、鍛造工程により、図3(c)に示すように、外輪21とフランジ22と、両軌道溝の間の部分210を繋ぐ部分23とが一体化された形状に成形した。次に、ピアスパンチ工程により、繋ぎ部分23を除去して、図3(d)に示す形状にした。次に、図3(e)に示すように、冷間ローリング成形を行って軌道21a,21bを形成するとともに、両端部の内径N1 を50mmに、中間部の内径N2 を41mmに、全体の外径Dを66mmに拡げることにより、外側部材2の形状とした。
次に、旋削加工によりフランジ22を除去した後、旋削加工により軌道溝21a,21bの溝形状を整えた。次に、高周波焼入れを行った後、180℃で2時間の焼戻し処理を施して、表面硬さをHRC59にした。次に、研削加工により軌道溝21a,21bの溝形状を含む各寸法が正確な寸法になるようにした。
なお、角度θを変化させるために、図3(c)の鍛造工程の条件および図3(e)の冷間ローリング成形による拡径率を変えた。また、使用した円柱状素材の直径の違いで、塑性流れ曲線Sの軌道面通過位置(点Ps )が変化する。
これにより、図4(b)に示す複列の外輪21を得、この外輪21を、放電加工により軸方向で二等分(ラインHに沿って切断)した。この状態で、二等分された各外輪20aについて、軸線Zを含む断面を腐食させて実体顕微鏡で観察し、軌道溝の表層部での鍛流線の状態を調べ、塑性流れ曲線Sを引いて角度θおよび距離Kを測定した。その結果を下記の表1に併せて示す。
なお、実際の外側部材2を作製する場合には、図3(e)に示す形状にした後にフランジ22を除去しないで、旋削加工により軌道溝21a,21bの溝形状を整えた後に、高周波焼入れおよび焼戻し処理を施す。
試験軸受用のボール3としては、SUJ2製で通常の熱処理が施されたものを用い、内輪10aは以下の方法で作製した。先ず、山陽特殊製鋼の高清浄度SUJ2鋼製の円柱状素材(直径50mm×軸方向寸法1m)を、軸方向で42mmに切断した後、旋削加工で内輪形状にした。次に、840℃に加熱した後に冷却する焼入れを行った後、180℃で2時間の焼戻し処理を施して、表面硬さをHRC61にした。次に、研削加工を行って、軌道溝11aの溝形状を含む各寸法が正確な寸法になるようにした。
この試験軸受の寿命試験を、図5に示す方法で行った。先ず、内輪10aに回転軸Jを取り付けた状態で試験軸受を容器Y内に置く。この状態で、容器Y内に、潤滑油「VG10」に水を5質量%混合した液体Eを入れ、液体E内に試験軸受全体が浸るようにする。次に、回転軸Jの上からアキシャル荷重Pa(8820N)を付与した状態で、回転軸Jを速度1000min-1で回転させる。
また、この試験で使用する試験機を、試験軸受に生じる振動を振動計で常時測定し、外輪20aの軌道面に剥離が生じて振動計の測定値が一定値を超えると回転を停止するとともに、回転開始から停止までの時間を記録するように構成する。そして、この回転停止までの時間を試験軸受の寿命とした。
また、各サンプル毎に10個の軸受を用意して試験を行い、L10寿命を調べた。そして、θ=0でK=1.1AであるNo. 1のL10寿命で、No. 1〜24のL10寿命を除算することにより、No. 1のL10寿命を「1」とした「寿命比」を得た。その結果を下記の表1に併せて示す。表1では本発明の構成から外れる数値に下線を施した。θとKの両方に下線のないものが本発明の実施例に相当し、いずれかに下線のあるものが比較例に相当する。
また、その結果を、θとL10寿命との関係を示すグラフ(図6)と、「K/A」とL10寿命との関係を示すグラフ(図7)にまとめた。
Figure 2007292116
図6のグラフから分かるように、外側部材の角度θが30°以上であると、寿命比が2.0以上となるのに対して、30°未満であると寿命比は1.5未満であった。図7のグラフから分かるように、「K/A」≧1.1であると寿命比が2.0以上となるのに対して、「K/A」≦1.0であると寿命比は1.5未満であった。
したがって、本発明の実施例に相当する軸受ユニットは、比較例に相当する軸受ユニットと比較して、内部に水が侵入するような過酷な使用条件での寿命が長くなる。
本発明の軸受ユニット外側部材の一実施形態を示す断面図である。 図1の軌道溝21bの部分を拡大した図である。 本発明の軸受ユニット外側部材の作製方法を説明する図である。 実施例で作製した試験軸受の基になる軸受ユニットを示す断面図である。 実施例で行った寿命試験を説明する図である。 実施例で行った寿命試験のデータを、外側部材の角度θとL10寿命との関係にまとめたグラフである。 実施例で行った寿命試験のデータを、外側部材の「K/A」とL10寿命との関係にまとめたグラフである。 軽量化された車輪支持用軸受ユニットの一例を示す断面図である。
符号の説明
1 内側部材
1a 第1の部材(ハブ輪)
1b 第2の部材
11b 内輪軌道溝
11 内輪
12 ハブ
13 フランジ
2 外側部材
21 外輪
21a 軌道溝
21b 軌道溝
22a 懸架装置(車体側部材)を固定するボルト穴
22 フランジ
25 接触楕円
25a 接触楕円の長軸
3 ボール
4 保持器
5 第1のシール
6 第2のシール
7 スリンガ
8 車輪側部材
Ls 塑性流れ曲線の方向を示す直線
1 接触点での軌道溝の接線
S 塑性流れ曲線
1 接触点
2 接触点
θ L1 とLs とのなす角度

Claims (6)

  1. 素材の鍛造工程を経て製造され、軸線を含む断面における軌道溝のボール接触点での接線と、前記断面における軌道溝表層部の塑性流れ曲線の方向を示す直線と、のなす角度が30°以上90°以下であり、
    軌道溝とボールとの接触楕円の長軸の長さを2Aとしたときに、前記塑性流れ曲線は、軌道溝とボールとの接触点から1.1A以上離れた位置を通過することを特徴とする転がり軸受の軌道輪。
  2. 請求項1記載の軌道輪を備えたことを特徴とする転がり軸受。
  3. 複列の軌道溝を有する外輪およびフランジが一体に、素材の鍛造工程を経て製造された軸受ユニット外側部材であって、
    軸線を含む断面における軌道溝のボール接触点での接線と、前記断面における軌道溝表層部の塑性流れ曲線の方向を示す直線と、のなす角度が30°以上90°以下であり、
    軌道溝とボールとの接触楕円の長軸の長さを2Aとしたときに、前記塑性流れ曲線は、軌道溝とボールとの接触点から1.1A以上離れた位置を通過することを特徴とする軸受ユニット外側部材。
  4. 請求項3記載の外側部材と、内輪とボールを備えたことを特徴とする軸受ユニット。
  5. 複列の軌道溝を有する内輪、車軸を内嵌するハブ、および車輪側部材を固定するフランジを有し、少なくとも一列の軌道溝とハブとフランジが一体に、素材の鍛造工程を経て製造された内側部材と、
    複列の軌道溝を有する外輪および車体側部材を固定するフランジが一体に、素材の鍛造工程を経て製造された外側部材と、
    ボールと、
    を備えた車輪支持用軸受ユニットにおいて、
    フランジと一体化された内輪の軌道溝および外輪の軌道溝の少なくともいずれかは、
    軸線を含む断面における軌道溝のボール接触点での接線と、前記断面における軌道溝表層部の塑性流れ曲線の方向を示す直線と、のなす角度が30°以上90°以下であり、
    軌道溝とボールとの接触楕円の長軸の長さを2Aとしたときに、前記塑性流れ曲線は、軌道溝とボールとの接触点から1.1A以上離れた位置を通過することを特徴とする車輪支持用軸受ユニット。
  6. 素材の鍛造工程を経て転がり軸受の軌道輪を製造する方法において、
    軸線を含む断面における軌道溝のボール接触点での接線と、前記断面における軌道溝表層部の塑性流れ曲線の方向を示す直線と、のなす角度が30°以上90°以下であり、
    軌道溝とボールとの接触楕円の長軸の長さを2Aとしたときに、前記塑性流れ曲線は、軌道溝とボールとの接触点から1.1A以上離れた位置を通過するように鍛造条件を設定することを特徴とする軌道輪の製造方法。
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