JP2007289102A - 釣り竿 - Google Patents

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慎一郎 山中
Tomokazu Kitazaki
友和 北崎
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Abstract

【課題】 竿全体としての一体感のある装飾を施すことができながら、竿の曲がり状態を容易に把握でき、釣り操作が容易に行える釣り竿を提供する。
【解決手段】 元竿3に表面に、板状リールシート5を載置し、ベースフレーム5Cに糸7を巻き付けて板状リールシート5を固定する。糸7を巻き付ける前か又は巻き付けた後に、塗料の染み込みを抑制する染み止め剤を塗布して、糸7の上から樹脂塗料8を塗布して、糸7の巻き付け状態を固定する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、竿外周面の所定箇所に載置される竿装着具の脚部に取付固定用の糸を巻回して、前記竿装着具を取付固定する釣り竿に関する。
取付固定用の糸で取付固定された竿装着具の前記糸に対して、樹脂塗料を塗布して、取付固定用の糸の巻回状態を固定する構成を採っていた(特許文献1)。
実開平6−7472号公報(段落番号〔0007〕、及び、図2)
樹脂塗料を塗布する前に、取付固定用の糸に塗装用の塗料が染み込まないように、染み止め剤を塗布することが行われていた。しかし、その染み止め剤によって、取付固定用の糸が黒くなることがあり、竿の外周面に施された装飾と、取付固定用の糸部分の黒くなった部分とが区分けされることとなり、竿全体としての一体感のある装飾を施すことができなかった。
本発明の目的は、竿全体としての一体感のある装飾を施すことができながら、竿の曲がり状態を容易に把握でき、釣り操作が容易に行える釣り竿を提供する点にある。
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、芯糸の回りに合成樹脂製の薄い被覆体を施して形成してある取付固定用の糸で、竿外周面の所定箇所に竿装着具を固定してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
〔作用効果〕
竿装着具を取付固定する糸として、芯糸の回りに合成樹脂製の薄い被覆体を施してある特殊な糸を採用することによって、染み止め剤を取付固定用の糸に施しても、被覆体によって保護され、糸は黒くならない。
合成樹脂製の薄い被覆体が光線による干渉効果を発揮するところから、糸においても装飾効果を発揮させることができる。
取付固定用の糸は竿装着具を竿に取り付ける為に竿に巻回してあるところから、竿の周面における位相が異なる位置では異なる干渉色を発色することとなり、このことによって、多様な模様を作り出すことともなる。
請求項2に係る発明の特徴構成は、請求項1に係る発明において、前記竿装着具がリールを取り付け固定する板状リールシートである点にあり、その作用効果は次の通りである。
〔作用効果〕
つまり、板状リールシートにおいても、この取付固定用の糸が発揮する発色効果によって装飾性を発揮させることができ、竿の外周面と一体的な装飾効果を発揮させることができる。
請求項3に係る発明の特徴構成は、請求項1に係る発明において、竿装着具がリールから繰出された釣糸を案内する釣糸ガイドである点にあり、その作用効果は次の通りである。
〔作用効果〕
つまり、釣糸ガイドにおける竿に載置されている脚部においても、この取付固定用の糸が発揮する発色効果によって装飾性を発揮させることができ、竿の外周面と一体的な装飾効果を発揮させることができる。
しかも、竿が曲がることによっても取付固定用の糸が、光線の干渉効果が変化して異なる発色状態を呈するところから、この発色状態の変化を魚の当り検出等に利用することができ、釣り操作を容易に行うことができる。
請求項4に係る発明の特徴構成は、請求項1〜3のうちいずれか一つに係る発明において、竿外周面の所定箇所に竿装着具を載置し、請求項1記載の取付固定用の糸を竿装着具の脚部に巻回して竿装着具を固定し、前記糸に染み止めを施した状態で、巻回した糸の表面に透明な樹脂塗料を施して固定している点にあり、その作用効果は次の通りである。
〔作用効果〕
染み止め剤を施しても糸に影響しないので、芯糸の色彩と合成樹脂製の薄い被膜の光線による干渉効果とが融合した多様な発色を行わせることができ、装飾性の高い釣り竿を提供できるに至った。
〔第1実施形態〕
本願発明の適用について、キス釣り等に使用される投げ竿に基づいて説明する。図1及び図2示すように、穂先竿1、二番竿2、元竿3を並継式に連結して釣り竿Aを構成するとともに、穂先竿1、二番竿2に夫々釣糸ガイド4を装着するとともに、元竿3にリール6取付用の板状リールシート5を取り付けてある。
元竿3の所定位置に取付固定用の糸7で固定される装着具の一例としての板状リールシート5について説明する。図2に示すように、板状リールシート5は、全体が金属で構成されており、竿先側にリール6のリール脚6aを挿入保持する固定フード5Aと竿尻側にリール脚6aを挿入保持解除自在な可動フード5Bとを備え、両フード5A、5Bとを取り付けている細長板状のベースフレーム5Cとで構成してある。そのベースフレーム5Cにおける両フード5A、5Bから突出する竿先端部5a、竿尻端部5b、及び、両フード5A、5Bとの間に位置する中間部5cを、糸7を巻き付けて固定する板状の装着部として形成する。糸7を巻き付けた後、樹脂塗料8を塗布して固定状態を確定する。
糸7について説明する。ここで使用する糸7は、株式会社フジックス社製の登録商標『プリズマ』で表されるプリズマミシン糸である。プリズマミシン糸の諸元は次ぎのようになっている。
構成 121 dtex/芯
繊度 240 dtex
強力 8.4 N(860gf)
伸度 23 %
図3に示すように、プリズマミシン糸7は、芯糸7Aに被覆体として特殊なフィルム7Bを螺旋状に巻き付けたものであり、フィルム7Bにおける光の屈折により、多色発色を可能とした糸である。芯糸7Aは全長に亘って一色のものであり、好みの色が選択でき、ポリエステル製である。
特殊フィルム7Bも、ポリエステル製の樹脂から作られたテープであり、芯糸7Aの軸線方向に沿ってテープの隣接する端部同士が一部重なる状態で巻回してある。
特殊フィルム7Bとしては、全長に亘ってフィルム厚を一定のものに設定してもよいが、フィルムの長手方向に沿ってフィルム厚を変動させるものであってもよい。フィルム7Bは透明である。
元竿3等の竿体は、図示してはいないが、炭素繊維等の強化繊維を引き揃えたものにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて形成したプリプレグシートを複数枚重ねたものに、マンドレルを載せ付けて巻き取り、焼成後所定長さに裁断し研磨加工を施して、製造される。
図2(ロ)に示すように、上記した元竿3の表面に、板状リールシート5を載置し、ベースフレーム5Cにおける両フード5A、5Bから突出する竿先端部5a、竿尻端部5b、及び、両フード5A、5Bとの間に位置する中間部5cに対して、糸7を巻き付けて固定する。糸7を巻き付ける前か又は巻き付けた後に、塗料の染み込みを抑制する染み止め剤を塗布して、後記する樹脂塗料8が糸7に染み込むことを抑制する。
糸7を巻付けて板状リールシート5を元竿3に取り付けた状態で、糸7の上から樹脂塗料8を塗布して、糸7の巻き付け状態を固定する。この樹脂塗料8は、エポキシ系又はウレタン系の樹脂であり、巻付けられている糸7が外から視認できるように、透明である。
以上のように、芯糸7Aの被覆体として特殊なフィルム7Bを巻回しているので、染み止め剤を塗布しても芯糸7Aが黒くなることなく、原色状態を維持し、装飾効果を維持する。
〔第2実施形態〕
元竿3等の所定位置に取付固定用の糸7で固定される装着具の一例としての釣糸ガイド4の取付構造について説明する。図4に示すように、釣糸ガイド4は、竿の装着面から離れる先端部に釣り糸挿通用の孔4Aを備えるとともに、その先端部から竿の装着面に載置される脚部4B、4Bを延出してある。
釣糸ガイド4の脚部4B、4Bを竿の載置面に取付固定する方法は、前記した板状リールシート5を糸7によって取り付ける方法と同一である。つまり、糸7を巻き付けて脚部を竿の載置面に固定する。糸7を巻き付ける前か又は巻き付けた後に、塗料の染み込みを抑制する染み止め剤を塗布して、糸7の上から樹脂塗料8を塗布して、糸7の巻き付け状態を固定する。
釣糸ガイド4を竿の載置面に取り付けるのに、前記した特殊な糸7を使用したので、芯糸7Aに施されている色彩が着色効果を発揮するとともに、芯糸7Aに外皮されている特殊フィルム7Bが竿の曲がり具合によって、光線の干渉による発色効果を発揮し、竿の外周面に施された塗装色との一体感を醸し出すことができる。
また、釣糸ガイド4を固定した糸7の色彩が竿の曲がりによって変化するところから、穂先竿等の曲がり具合を判断し易く、魚の当り等を容易に捉えることができ、釣り操作が容易になる。
〔第3実施形態〕
ここでは、穂先竿1等の外周面に光の干渉を利用して発色する干渉薄膜層9を形成する状態について説明する。
干渉薄膜層9を形成する方法として真空蒸着法を採用するが、図示していない次ぎのような方法によって実施する。つまり、真空チャンバー内に公転しながら自転する複数の竿を縦向き姿勢で支持したホルダーを設置し、そのホルダーに向けて蒸発させた蒸着物を竿に付着させて、干渉薄膜層9を構成する。干渉薄膜層9を施した後、釣糸ガイド4等を取付けて、穂先竿1等を構成する。
蒸着方法としては、抵抗加熱方式、電子銃方式、プラヅマ方式等あるが、適宜選択できる。竿に付着させる蒸着物としては、金属蒸着物、又は、セラミック蒸着物が選定される。つまり、
(イ) 金属蒸着物としては、クロム、アルミニューム、モリブデン等が使用できる。
(ロ) 一方、セラミック蒸着物としては、窒化クロム(CrN)、酸化チタン(TiO)や窒化チタン(TiN)が使用される。これらの生成膜の厚さとしては、約1ミクロンより薄く形成する。
図5に示すように、干渉薄膜層9は上下二層9A,9Bからなり、後記するように、異なる蒸着物を蒸着して構成される。
干渉薄膜層9の厚みは1〜5ミクロンであり望ましくは2〜3ミクロンであり、鋸歯状外周面1Aに沿って均一な厚みを維持する状態で堆積される。この干渉薄膜層9に到達した光線は、上層9Aの表面に反射される光線と、上下層9A,9Bの境界層で反射される光線と、下層9Bと鋸歯状外周面1Aとの境界層で反射される光線とが干渉して、多色発色の状態を呈する。
図5に示すように、下層9B、上層9Aに使用される蒸着物としては、前記したもののなから、下層9Bに蒸着される蒸着物はクロムが選定され、上層9Aに蒸着される蒸着物は酸化チタンが選定される。但し、前記したように、異なる蒸着物、例えば、アルミナ、モリブデン等を使用でき、これらは物理的蒸着法としてスパッタリング、窒化クロム等を使用する場合にはイオンプレーティングを使用できる。
竿体の装飾として、酸化珪素等を使用するならば、化学的蒸着法を使用することができる。
このように、竿の外周面に施された干渉薄膜層9における、光線の干渉を利用した発色状態と、釣糸ガイド4を固定している糸7における光線の干渉を利用した発色状態とが、共に光線を利用した発色状態を呈するので、竿全体が同じ原理の発色状態を呈することとなり、装飾において一体感を呈することができる。
〔第4実施形態〕
ここでは、口金10の装飾糸として前記した糸7を施す点について説明する。図6に示すように、中竿2等の竿先端にプリプレグからなる膨出部2Aを形成するとともに、この膨出部2Aに口金10を装着固定している。
口金10の外周面には、凹入溝を形成してあり、その凹入溝内に前記した糸7を巻回して、糸7を施した凹入溝を被覆するように前記した樹脂塗料8を施してある。
これによって、竿の外周面に施した塗装との繋がりができ、塗装としての一体感を出すことができる。
〔別実施の形態〕
(1) リールシート5や釣糸ガイド4等を取付固定する糸7としてポリエステル系の樹脂糸やフィルムを使用することについて記載したが、同等の機能を有するものであれば、PET等の他のエンジニアリング樹脂を使用してもよい。
(2) 取付固定用の糸7が芯糸7Aを樹脂フィルムの被覆体7Bで覆われているので、取付固定用の糸7で竿装着物4,5等を固定した状態で樹脂塗料8を塗布する際に、前段階として、染み止め剤は特に塗布しなくてもよい。
釣り竿を示す側面図 (イ) 板状リールシートを竿に取り付ける前の状態を示す斜視図、(ロ) 板状リールシートを糸で竿に取り付けた状態を示す斜視図 板状リールシートを取り付ける糸を示めす分解図 (イ) 釣糸ガイドを竿に取り付ける前の状態を示す斜視図、(ロ) 釣糸ガイドを竿に取り付けた状態を示す斜視図 竿の外周面に干渉薄膜層を形成した状態を示す縦断側面図 竿の竿先端に装着する口金に、釣糸ガイド固定用の糸を装飾用として巻回した状態を示す縦断側面図
符号の説明
4、5 竿装着具
6 リール
7 取付固定用の糸
7A 芯糸
7B 被覆体
8 樹脂塗料
9 干渉薄膜層

Claims (4)

  1. 芯糸の回りに合成樹脂製の薄い被覆体を施して形成してある取付固定用の糸で、竿外周面の所定箇所に竿装着具を固定してある釣り竿。
  2. 前記竿装着具がリールを取り付け固定する板状リールシートである請求項1記載の釣り竿。
  3. 前記竿装着具がリールから繰出された釣糸を案内する釣糸ガイドである請求項1記載の釣り竿。
  4. 竿外周面の所定箇所に竿装着具を載置し、請求項1記載の取付固定用の糸を竿装着具の脚部に巻回して竿装着具を固定し、前記糸に染み止めを施した状態で、巻回した糸の表面に透明な樹脂塗料を施して固定している請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載の釣り竿の竿装着具取付方法。
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