JP2007288518A - 圧電振動子の周波数調整方法および圧電振動子の周波数調整装置 - Google Patents

圧電振動子の周波数調整方法および圧電振動子の周波数調整装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 周波数調整時のばらつきを極力抑制し、特性の安定した圧電振動子の周波数調整方法、および圧電振動子の周波数調整装置を提供する。
【解決手段】
パレット1を熱遮断板3に取着した状態で、各ワーク5や温度センサSを各収納凹部11に搭載し、また温度調整素子Tをパレットに取着する。各収納凹部にワーク5を搭載した後、押え板2でワークや温度センサ温度調整素子を固定する。イオンミリングによりワークに対し順次調整動作を行うが、周波数調整実行時に温度センサにより周波数調整用マスク装置や水晶振動子の温度を測定する。測定結果が所定温度範囲外である場合、温度調整部により温度調整を実施する。
【選択図】 図1

Description

本発明はATカット水晶振動子や音叉型水晶振動子等の圧電振動子の周波数調整方法および圧電振動子の周波数調整装置に関するものである。
圧電振動子の例として表面実装型の音叉型水晶振動子を例にとり背景技術を説明する。音叉型水晶振動子は例えば水晶ウェハからフォトリソグラフィー技術により多数個の音叉型水晶振動片(圧電振動素子)の形成と励振電極の形成を一括製造し、ここで得られた励振電極形成された音叉型水晶振動片をセラミックパッケージに搭載し、パッケージに形成された端子と電気的機械的接合を行った後、リッドにてパッケージを気密封止する。一般的にはこれら製造工程中に各種電気的調整を行うステージが数箇所設けられ、例えば周波数調整もこの調整ステージの中で複数回実施される。
例えば音叉型水晶振動片はパッケージに格納された後に微調整が行われるが、従来この調整は、多数個のパッケージを周波数調整用のマスク装置に対してマトリクス状に格納し、各パッケージの音叉型水晶振動片の調整領域に対応した調整用開口から調整動作を実施する。調整動作は調整対象の音叉型水晶振動片の特性をモニタリングしながら実施する。よく用いられる周波数調整方法は、音叉型水晶振動片に形成された電極に対して、金属材料を付加するパーシャル蒸着法や予め形成された電極(金属)材料を除去するイオンミリング法をあげることができる。しかしながらこれらいずれの調整方法も調整時には一部の蒸着材料がマスクに付着したり、一部のイオンがマスクに照射されることにより、マスク装置の温度が徐々に上昇するという問題があった。特許文献1はイオンガスにより電極材料を除去する製造方法が開示されているが、このような場合においてもイオンガスがマスクにも照射され、マスクの温度が上昇するという問題があった。
ところで圧電振動子は周波数温度特性を有しており、測定する温度条件によってその周波数が変動することがある。例えば音叉型水晶振動子は図6に示すように、その温度特性は常温付近を頂点とする2次曲線となるように設定される。よって上述の多数個の音叉型水晶振動片を格納したマスクを用いた場合、どうしても周波数調整動作に起因してマスクが熱せられ、音叉型水晶振動片の周囲温度は最初の周波数測定時点と最後の周波数測定時点とで大きく異なる。従ってこのような変動する温度環境で周波数調整された音叉型水晶振動片は、最終的に大きな周波数ばらつきを有するものとなり、周波数調整における歩留まりが低下するという問題点を有していた。
特開2002-299982号
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、周波数調整時のばらつきを極力抑制し、特性の安定した圧電振動子の周波数調整方法、および圧電振動子の周波数調整装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、本発明は調整動作時の治工具並びにワーク(圧電振動素子や圧電振動素子が保持されたパッケージ)の温度変動を抑制することを目指したもので、次の各構成により上記課題を解決するものである。
すなわち請求項1に示すように、表面に励振電極が形成された圧電振動子の周波数調整方法であって、温度センサおよび温度調整素子を有するとともに圧電振動子用の収納凹部を複数有する治工具を用意し、当該治工具に圧電振動子を収納する工程と、圧電振動子に対して周波数調整を行う工程と、当該周波数調整中に前記治工具の温度センサにより温度情報を取得し、当該温度情報に基づき温度調整素子により前記治工具に対し所定温度に加熱または冷却を行う工程と、を有することを特徴としている。
周波数調整は前述のパーシャル真空蒸着による付加質量方法であってもよいし、ドライエッチングの1種であるイオンミリングによる質量除去方法であってもよいが、いずれの調整方法であってもマスク装置等の治工具の温度が変動する。請求項1によれば、この治工具の温度変動を温度センサで検出し、例えば温度上昇した場合、温度調整素子により冷却動作を行うことにより、上昇した温度を低下させる。これにより圧電振動子の温度変動による周波数調整誤差を抑制するとともに、調整ばらつきを抑制することができる。
上記圧電振動子は励振電極が形成された素子状態であってもよいし、当該素子がパッケージに保持された周波数調整領域(励振電極や素子)が露出している状態であってもよい。なお、素子状態の場合は、例えばフォトリソグラフィ技術を用いて一体的に形成された枠体の中に多数個の圧電振動板がマトリクス状に形成された構成であってもよい。
なお、治工具には調整用開口が設けられているが、この開口はワークの前記圧電振動板の調整領域に対応した位置に形成される。圧電振動板の調整領域は、圧電振動板の振動モードや特性に応じて圧電振動素子自体や励振電極に設定したり、あるいは別途金属膜を形成した調整領域にしてもよい。また治工具に形成された収納凹部は、量産性を考慮するとマトリクス状に形成されていることが好ましい。
前記温度センサはサーミスタや半導体温度センサ等の汎用のセンサを用いることができるが、圧電式の温度センサであってもよい。特に調整対象と同じ圧電振動素子を用いることにより温度特性が同様の傾向を示すため正確な温度測定ができ好ましい。なお、周波数変化により温度を測定する圧電振動素子を用いた温度センサにおいては温度に対する周波数が予め判明している圧電振動子を用いる。
当該温度センサは治工具に複数設けてもよい。これにより治工具の広い範囲の温度を把握することができ、温度調整実施に有効となる。また温度調整素子も複数用いることにより、治工具全体の温度を好適に調整することができる。このように複数の温度センサを用い、かつ複数の温度調整素子を用いることにより、1つの治工具内の温度分布を把握し、必要に応じて全体あるいは部分的な温度調整を行うことができ、治工具の温度安定化ひいては周波数調整される複数の圧電振動子の温度を、ばらつきを抑制した状態で任意の温度で安定させることができる。
さらに複数の温度センサに対応して温度調整素子を実作業に合わせてバランスよく配置することにより、治工具内の収納凹部をグルーピングして温度管理をすることも可能である。例えば、通常の周波数調整作業では、漸次治工具並びに圧電振動素子の温度が上昇する傾向がある。従って1つの治工具において調整処理が後半になる収納凹部部分については冷却を行う必要があるが、このような場合は温度センサと温度調整素子の配置密度が前記調整処理後半となる収納凹部近傍で高くなるよう設定してもよい。
前記温度調整素子にペルチェ素子(熱電冷却素子)を用いてもよい。ペルチェ素子は直流電流(DC)を流すことによって、素子の表面が加熱または冷却し、接続極性によって加熱冷却を切り替えることができるので、温度調整に有効である。
また温度調整素子は圧電振動素子や圧電振動素子を保持したパッケージおよび治工具に接触している構成としてもよい。圧電振動素子の周波数調整は真空中で行うことがあるが、このような場合熱伝導が抑制されるので、接触による熱伝導を用いることにより、冷却加熱の温度調整を効率的に行うことができる。
以上の製造方法を実施する周波数調整装置は請求項2に示すように、表面に励振電極が形成された圧電振動子の周波数調整装置であって、温度センサおよび温度調整素子を有するとともに、圧電振動子用の収納凹部を複数有する治工具と、当該治工具に収納された圧電振動子に対して周波数調整を行う周波数調整部と、周波数調整中に前記温度センサからの温度情報に基づき前記温度調整素子を所定温度に加熱または冷却する動作を行わしめる制御部と、を有することを特徴としている。
治工具は複数の部材からなる構成であってもよい。例えば、マトリクス状に配置された収納凹部を有する板状のパレットと当該パレットの上部に位置しワークの一部を被覆する押さえ板を有する構成としてもよい。なお、パレットの底部(底板部分)に調整用開口が形成されているが、当該調整用開口を有する底部をマスク板として分離させ、パレットをワークガイドとマスク板からなる構成としてもよい。さらに周波数調整時の熱伝導を抑制する熱伝導を抑制する厚肉の熱遮断板を設けてもよい。なお、治工具を構成する複数の部材は嵌め合い構造を設けこれらを一体化する構成としてもよい。
温度センサや温度調整素子は前述と同様に複数設けてもよく、これにより治工具の温度分布を正確に把握することができるとともに、治工具内の温度ばらつきを抑制することができる。
請求項2によれば、この治工具の温度変動を温度センサで検出し、例えば温度上昇した場合、温度調整素子により冷却動作を行うことにより、上昇した温度を低下させる。これにより圧電振動子の温度変動による周波数調整誤差を抑制するとともに、調整ばらつきを抑制することができる。
本発明によれば、周波数調整時のばらつきを極力抑制し、良好な特性の圧電振動子を得ることができる。
以下、本発明による好ましい実施の形態として音叉型水晶振動子の周波数調整を例にとり、図面に基づいて説明する。図1は本発明に用いる治工具である周波数調整マスク装置の分解斜視図であり、図2は圧電振動素子である音叉型水晶振動板をセラミックパッケージに搭載したワーク(圧電振動子)を示す平面図、図3は周波数調整マスク装置の一部断面図、図4は周波数調整システムの概要を示す図である。
周波数調整マスク装置は、ワーク5を搭載するパレット1と、パレット1の上面に取着される押え板2と、パレット1の下面に取着される熱遮断板3とからなる。ワーク5は図2に示すように、一面が開口したセラミックパッケージ51に圧電振動素子である音叉型水晶振動板52を搭載している。セラミックパッケージ51には外部端子と電気的に接続された電極パッド511,512が形成され、ここに導電接合材Sにより音叉型水晶振動板52が接合されている。また音叉型水晶振動板52には金属膜からなる励振電極が形成されているが、この表示は割愛する。音叉型水晶振動板52の両振動腕521,522の先端部分には調整用の金属膜521a,522aが形成されている。
パレット1には複数のワーク搭載用の収納凹部11,11, ...がマトリクス状に形成されている。また各収納凹部の底面には表裏貫通した調整用開口11a,11aが設けられている。当該調整用開口11a,11a,...はワークの被調整領域の構成によって、その形状、数が決定されるが、本実施の形態においては1つの収納凹部に2つの調整用開口が形成されている。これは前述の音叉型水晶振動板の調整用の金属膜521a,522aに対応して、調整用開口が各々設けられているためである。なお、当該調整用開口は前記調整用の金属膜521a,522aの両者に対応させた一つの開口であってもよい。なお、パレットは調整用開口部を有する底面(底板部分)についてマスク板として別構成体とし、収納凹部を有するワークガイド部分と分離してもよい。この場合、ネジ止め、磁力等により両者を一体化して用いる。
本実施の形態においては、パレットの長手方向両端の列に並ぶ収納凹部には、温度センサSとして用いる音叉型水晶振動子を収納している。この温度センサ用の音叉型水晶振動子は予め温度に対する出力周波数が特定されているリファレンスワークとして用いられる。当該温度センサSとして用いる音叉型水晶振動子はセラミックパッケージの開口部分がリッド53にて気密封止された構成であり、音叉型水晶振動素子(圧電振動素子)が気密封止された構成である。従って、周波数調整を実施する音叉型水晶振動子はパレットの長手方向両端の列を除く収納凹部に収納される。なお、この温度センサSの配置構成は変更可能であり、収納凹部の外周領域に配置したり、あるいは中央領域に配置したり、あるいは実際の周波数調整作業によって温度分布の偏在する部分に高密度配置する等の調整を行ってもよい。
ワークを固定する押え板2はその平面形状がパレット1と同サイズでSUS304等のステンレス材からなり、前記収納凹部に対応して、それぞれ2つの検査用開口21,21が形成されている。当該検査用開口21,21は前記ワークの外部端子5a,5bに対応して設けられており、図3に示すように周波数調整動作実行時には当該検査用開口21,21を介して外部端子5a,5bに検査プローブPを当接して、その特性を発振回路を介して周波数カウンタCによりモニタリングする。なお、本実施の形態では押え板にSUS304等のステンレスを用いているが、これに限らず、例えば放熱作用の大きい材料、例えばアルミニウム、銅あるいはこれらの合金等の金属材料をあげることができる。また放熱作用を高めるために表面積を増加させたり、薄板構成にする等の工夫をしてもよい。
熱遮断板3もその外形はパレット1と同サイズでSUS304等のステンレス材からなり、パレット1に形成された調整用開口11a,11a、・・・に対応した開口31,31、・・・が形成されている。またスタッド(金属柱)3a,3b,3c,3dが4角に一体的に形成されており、この各スタッドにパレット1の4角に形成された貫通孔1a,1b,1c,1d、および押え板2に形成された貫通孔2a,2b,2c,2dを貫通させて一体化する。
また熱遮断板3の外周部分には複数の温度調整素子Tが各辺に配置されている。当該温度調整素子Tは例えばペルチェ素子を用いており、加熱冷却をスムーズに行うことができるが、他の加熱冷却が行える素子であってもよいし、あるいは冷却のみあるいは加熱のみ可能な素子を用いてもよい。なお、図1においては温度調整素子(ペルチェ素子)の電気的接続構成は明示していないが、各ペルチェ素子から一対の電極端子が引き出され、後述の温度制御部に接続されている。
なお、押え板2と熱遮断板3は同じ材料を用いているが、熱遮断板の厚さt3は押え板の厚さt1よりも厚い構成としており、これにより熱遮断板の熱容量を大きくしている。基本的にはパレット1の調整用開口11aと熱遮断板3の合計熱容量が押え板の熱容量より大きい構成であればよく、また熱遮断板とパレットの収納凹部底部厚さt2領域の合計熱容量が押え板の熱容量より大きい構成とすればよいが、熱遮断板3の厚さを厚くすることにより、パレットへの熱伝導を抑制するので好ましい。
パレット1と押え板2とを熱制御板3のスタッド3a,3b,3c,3dにより位置決め一体化する。一体化の固定は図示していないが、ねじ止めやあるいは磁力による方法をあげることができる。図3は周波数調整マスク装置の一部断面図を示しているが、周波数調整マスク装置の外周に温度調整素子Tが熱遮断板3内に取り付けられている。熱遮断板の上部に設けられた温度調整素子Tはパレット1に接触しており、これにより治工具である周波数調整マスク装置の温度を調整している。温度調整素子Tに隣接して温度センサSである温度センサ用の音叉型水晶振動子が収納凹部11に格納されており、周波数調整マスク装置の温度を測定する。また当該温度センサSに隣接して音叉型水晶振動板52がセラミックパッケージ51に収納されたワーク5が格納されている。ワーク5は開口部が前記調整用開口11aや開口31に向うよう配置される。なお、これら開口は前記音叉型水晶振動板52に形成された調整用の金属膜521a,522aに対応している。
なお、治工具である周波数調整マスク装置は上記構成に限定されるものではなく、例えば調整用開口を有するマスクを一体化したパレットと、パレット上部に配置されワークを固定する押え板と、パレットの下部に配置され温度調整素子を保持する温度調整素子保持板と、当該保持板の下部に配置される熱遮断板とからなり、これらを一体化した構成であってもよい。
以上のような上記周波数調整用マスク装置を用いた圧電振動素子の周波数調整方法について説明する。図4に示すように周波数調整装置は調整に係るすべての動作制御を制御部60にて行っている。すなわち温度センサ部61は温度センサSや温度データ記憶処理部等を有し、前記温度センサSを介して治工具やワークの温度を検出する。複数の温度センサを用いた場合は、各測定領域の温度を検出し、温度分布データを得る。このような温度データは制御部60に送られる。温度調整部62は温度調整素子Tや温度制御部や電源等を有し、制御部60からの指令に基づいて所定の加熱あるいは冷却を温度調整素子Tを用いて行う。周波数調整部64は例えばイオンミリングにて周波数調整を行う場合は、イオンミリング装置や周波数調整用マスク装置(治工具)の搬送装置等を含み、制御部からの指令により必要な周波数調整を行う。周波数測定部63はワークとコンタクトするプローブやプローブで駆動する装置、そして発振回路および周波数カウンタ等を含む。なお、周波数調整時の周波数をリアルタイムにモニタリングする場合は、周波数調整を行っているワークの外部端子5a,5bにプローブをコンタクトさせ、周波数調整状況をモニタリングする。
図1に示すようにパレット1を熱遮断板3に取着した状態で、各ワーク5や温度センサSを各収納凹部11に搭載し、また温度調整素子Tをパレットに取着する。この搭載はワークのパッケージ開口部および音叉型水晶振動板52の調整用金属膜521a,522aが下方の調整用開口11に対向するよう実施される。各収納凹部にワーク5を搭載した後、押え板2でワークや温度センサ温度調整素子を固定する。
本実施の形態においてはイオンミリング装置で金属膜を除去する方法により周波数調整を行う。イオンミリングはマトリクス状に配されたワーク5に対し順次調整動作を行うが、ワーク毎に前述の検査プローブPを介して周波数カウンタCにより周波数調整進行状況をモニタリングする。所定の周波数まで調整を行った時点でイオンミリングのイオン照射を遮断し、次のワークの調整に進み、この動作を各ワーク毎に順次繰り返す。
この周波数調整実行時に温度センサにより周波数調整用マスク装置や水晶振動子の温度を測定する。各温度センサに引出端子を設けてそれぞれ連続して温度測定を行ってもよいし、前記ワークの周波数測定用のプローブを用いて所定時間間隔で周波数を測定し、測定時点の温度を求めてもよい。
温度測定部からの温度情報は制御部に送られ、所定温度範囲外である場合、温度調整部により温度調整を実施する。所定温度より高い温度の場合は冷却を行うが、温度調整素子にペルチェ素子を用いた場合、ワーク側が冷却されるよう接続極性を設定し、通電することにより冷却を行う。また温度測定の結果、周波数調整用マスク装置内で温度分布ばらつきが大きい場合は、マスク装置内全体の温度が均一かつ所定温度内になるように温度調整を行う。なお、当該温度調整は通常の周波数調整作業において温度変動が予め予測できる場合は、温度変動を予測して予め冷却等の温度調整を行ってもよい。
すべての周波数調整が完了後、必要な安定化処理、洗浄等を行った後、シーム溶接またはビーム溶接または加熱炉等の手法により、パッケージ開口を図示しないリッドにて気密封止する。
本発明による周波数調整マスク装置の他の実施の形態を図5とともに説明する。基本的な構成は上述の実施の形態で説明した周波数調整マスク装置と同一であるので、同じ構成部分は同番号を用いて説明する。本実施の形態においては温度調整板4をパレット1と熱遮断板3間に設けた点と熱遮断板表面に凹凸加工を施した放熱部32(放熱機構)を形成する点に特徴がある。また使用しているワークはATカット水晶振動板54をパッケージに搭載した構成であり、調整動作は励振電極の中央部分に対して行うために調整用開口31の位置は収納凹部の中央部分に設けられている。
周波数調整マスク装置は、ワーク5を搭載するパレット1と、パレット1の上面に取着される押え板2と、パレット1の下面に取着される温度調整板4と当該温度調整板の下面に取着される熱遮断板3とからなる。
パレット1には複数のワーク搭載用の収納凹部11,11, ...がマトリクス状に形成されている。また各収納凹部の底面には表裏貫通した調整用開口11a,11aが設けられている。当該調整用開口11a,11a,...はワークの被調整領域の構成によって、その形状、数が決定されるが、本実施の形態においては前述のATカット水晶振動板54に形成された励振電極(図示せず)に対応して、1つの収納凹部に1つの調整用開口が形成されている。
本実施の形態においては、温度センサSはATカット水晶振動子を用いている。この温度センサ用のATカット水晶振動子は予め出力周波数に対する温度が特定されているリファレンスワークとして用いられる。当該温度センサSとして用いるATカット水晶振動子はセラミックパッケージの開口部分がリッド53にて気密封止された構成であり、ATカット水晶振動板(圧電振動素子)が気密封止された構成である。この温度センサSは周波数調整マスク装置に1つ用いてもよいし、複数用いてもよい。
またパレット1と熱遮断板3との間には温度調整板4が配置されている。この温度調整板4は全体がペルチェ素子等の温度調整素子で構成されており、パレット1に形成された調整用開口11a,11a、・・・に対応した開口41、41、・・・が形成されている。なお、当該温度調整板4は温度調整素子のチップを搭載したパレット構成であってもよい。
押え板2はその外形がパレット1と類似するサイズでSUS304等のステンレス材からなり、前記収納凹部に対応して、それぞれ2つの検査用開口21,21が形成されている。当該検査用開口21,21は前記ワークの外部端子5a,5bに対応して設けられており、図5に示すように周波数調整動作実行時には当該検査用開口を介して外部端子5a,5bに検査プローブPを当接して、その特性を発振回路を介して周波数カウンタCによりモニタリングする。なお、本実施の形態では押え板にSUS304等のステンレスを用いているが、これに限らず、例えば放熱作用の大きい材料、例えばアルミニウム、銅あるいはこれらの合金等の金属材料をあげることができる。また放熱作用を高めるために表面積を増加させたり、薄板構成にする等の工夫をしてもよい。
熱遮断板3もその外形はパレット1と同サイズでSUS304等のステンレス材からなり、パレット1に形成された調整用開口11a,11a、・・・に対応した開口31,31、・・・が形成されている。またスタッド(金属柱)3a,3b,3c,3dが4角に一体的に形成されており、この各スタッドにパレット1の4角に形成された貫通孔1a,1b,1c,1d、および押え板2に形成された貫通孔2a,2b,2c,2d、そして温度調整板に形成された貫通孔4a,4b,4c,4d(一部図示せず)を貫通させて一体化する。なお、熱遮断板の下面には凹凸加工を施した放熱部32(放熱機構)が形成されている。この放熱部32は周波数調整用マスク装置の熱を放熱するとともに、例えばペルチェ素子を用いた場合は非冷却面の加熱(放熱)部の熱を効率的に放熱することができる。
なお、押え板2と熱遮断板3は同じ材料を用いているが、熱遮断板の厚さt3は押え板の厚さt1よりも厚い構成としており、これにより熱遮断板の熱容量を大きくしている。基本的にはパレット1の調整用開口11aと熱遮断板3の合計熱容量が押え板の熱容量より大きい構成であればよく、また熱遮断板とパレットの収納凹部底部厚さt2領域の合計熱容量が押え板の熱容量より大きい構成とすればよいが、熱遮断板3の厚さを厚くすることにより、パレットへの熱伝導を抑制するので好ましい。
パレット1と押え板2と温度調整板4とを熱遮断板3のスタッドにより位置決めし一体化する。一体化の固定は図示していないが、ねじ止めやあるいは磁力による方法をあげることができる。また図5に示すように、周波数調整マスク装置の下方の層に温度調整板4が設けられている。温度調整板4はパレット1に接触しており、これにより治工具である周波数調整マスク装置の温度を調整することができる。パレットの一部収納凹部には温度センサSである温度センサ用のATカット水晶振動子が格納されている。また当該温度センサSに隣接してATカット水晶振動板54がセラミックパッケージ51に収納されたワーク5が格納されている。ワーク5は開口部が前記調整用開口11aや開口31に向うよう配置される。
なお調整動作は前述のイオンミリング以外にパーシャル蒸着により行ってもよい。また本実施の形態においては、厚肉パレットを採用しているので、パレットと熱遮断板を一体化する際の位置ずれの問題を無くすことができるという利点を有している。さらに熱遮断板に放熱部を有する構成であるので、パレット等に伝熱しても当該放熱部により効率的に放熱でき、ワーク周囲の温度上昇を避けることができる。
上記各実施の形態では、音叉型水晶振動子やATカット水晶振動子を例示したが他の振動モードの圧電振動子であってもよく、またパッケージの中に圧電振動板に追加して他の電子素子を格納した構成についても適用することができる。
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形
で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎ
ず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであ
って、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属す
る変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
圧電振動子の量産に適用できる。
第1の実施形態による周波数調整用マスク装置の分解斜視図。 ワークの平面図。 第1図に示す周波数調整用マスク装置の一部断面図。 周波数調整装置のシステム構成を示す図。 周波数調整用マスク装置の他の例を示す一部断面図。 音叉型水晶振動子の温度特性を示す図。
符号の説明
1 パレット
2 押え板
3 熱遮断板
4 温度調整板
5 ワーク
S 温度センサ
T 温度調整素子

Claims (2)

  1. 表面に励振電極が形成された圧電振動子の周波数調整方法であって、
    温度センサおよび温度調整素子を有するとともに圧電振動子用の収納凹部を複数有する治工具を用意し、当該治工具に圧電振動子を収納する工程と、
    圧電振動子に対して周波数調整を行う工程と、
    当該周波数調整中に前記治工具の温度センサからの温度情報を取得し、当該温度情報に基づき温度調整素子により前記治工具に対し所定温度に加熱または冷却を行う工程と、
    を有する圧電振動子の周波数調整方法。
  2. 表面に励振電極が形成された圧電振動子の周波数調整装置であって、
    温度センサおよび温度調整素子を有するとともに圧電振動子用の収納凹部を複数有する治工具と、当該治工具に収納された圧電振動子に対して周波数調整を行う周波数調整部と、周波数調整中に前記温度センサからの温度情報に基づき前記温度調整素子を所定温度に加熱または冷却する動作を行わしめる制御部と、を有する圧電振動子の周波数調整装置。

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