JP2007286484A - 単層型電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基体上に、中間層と、感光層とを備えた単層型電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置であって、
中間層が、結着樹脂と、酸化チタンを含有するとともに、当該酸化チタンとして、下記特性(a)〜(c)を有するものを用いる。
(a)酸化チタンの平均一次粒径が10〜30nmの範囲内の値であること
(b)酸化チタンが、アルミナ、シリカ及び有機ケイ素化合物によって表面処理を施されていること
(c)酸化チタン表面の有機ケイ素化合物の重量割合(JIS−K−5101−15に準拠して測定)が、4〜9.5重量%の範囲内の値であること
【選択図】図2
Description
このうち単層型電子写真感光体は、積層型電子写真感光体と比較して構造が単純であることから、生産が容易であるとともに、コスト的にも有利である。また、使用時のオゾン発生が少なく、膜削れに対する裕度が大きい等の利点を有する正帯電型電子写真感光体を製造する場合においても、単層型電子写真感光体が多く用いられている。この理由は、一般に有機物がマイナス電荷を輸送しにくいことから、機能分離した積層型電子写真感光体として製造することは困難となるためである。
そこで、これらの問題を解決すべく、特定のポリビニルアセタール樹脂からなる中間層を設けた単層型電子写真感光体が開示されている(例えば、特許文献1)。
ところが、特許文献1で開示された感光体においては、これらの問題をある程度改善することができたものの、中間層を設けることによって、感光体の電気特性や画像特性の環境依存性が大きくなるという新たな問題が生じていた。
すなわち、本発明は、低温低湿環境下においても優れた明電位を得ることができるとともに、高温高湿環境下においてもかぶりの発生を抑制できる単層型電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
中間層が、結着樹脂と、酸化チタンを含有するとともに、当該酸化チタンが、下記特性(a)〜(c)を有することを特徴とする単層型電子写真感光体が提供され、上述した問題を解決することができる。
(a)酸化チタンの平均一次粒径が10〜30nmの範囲内の値であること
(b)酸化チタンが、アルミナ、シリカ及び有機ケイ素化合物によって表面処理を施されていること
(c)酸化チタン表面の有機ケイ素化合物の重量割合(JIS−K−5101−15に準拠して測定)が、4〜9.5重量%の範囲内の値であること
すなわち、所定範囲内の粒径を有するとともに、所定の表面処理が施された酸化チタンを中間層に含有させることにより、中間層における酸化チタンの分散性を向上させつつ、中間層の電気絶縁性を好適な範囲に調整することができる。
したがって、本発明の単層型電子写真感光体であれば、低温低湿環境下においても優れた明電位を得ることができるとともに、高温高湿環境下においてもかぶりの発生を抑制することができる。
このように構成することにより、中間層の電気絶縁性を好適な範囲に調整することが、さらに容易になる。
このように構成することにより、中間層における酸化チタンの分散性と電気絶縁性とのバランスを、さらに良好にすることができる。
このように構成することにより、中間層を形成する際の塗布液の粘度をより適当なものとすることができる。したがって、塗布液を均一に塗布して、均一な膜厚の中間層を形成することができる。
このように構成することにより、残留電荷を速やかに基体側に移動させることができるとともに、中間層と基体との密着性を向上させることができる。
すなわち、本発明としての画像形成装置であれば、上述した特定の単層型電子写真感光体を搭載しているため、低温低湿環境下においても優れた明電位を得ることができるとともに、高温高湿環境下においてもかぶりの発生を抑制することができる。したがって、負帯電型と比較して潜像形成能に劣る正帯電型の画像形成を行った場合であっても、優れた品質の画像を安定的に形成することができる。
このように接触式の帯電手段を用いることにより、非接触式の帯電手段と比較して、温度及び湿度の影響を受けることなく安定的に帯電することができる。
本発明の第1の実施形態は、基体上に、中間層と、感光層とを備えた単層型電子写真感光体であって、
中間層が、結着樹脂と、酸化チタンを含有するとともに、当該酸化チタンが、下記特性(a)〜(c)を有することを特徴とする単層型電子写真感光体である。
(a)酸化チタンの平均一次粒径が10〜30nmの範囲内の値であること
(b)酸化チタンが、アルミナ、シリカ及び有機ケイ素化合物によって表面処理を施されていること
(c)酸化チタン表面の有機ケイ素化合物の重量割合(JIS−K−5101−15に準拠して測定)が、4〜9.5重量%の範囲内の値であること
以下、本発明の第1の実施形態としての単層型電子写真感光体について、各構成要件ごとに具体的に説明する。
本発明としての単層型電子写真感光層の基本的な構成としては、図1に示すように、基体12上に中間層16を設け、その上に単一の感光層14を設けて単層型電子写真感光体10を構成したものである。
この中間層16は、特定の酸化チタンと、結着樹脂と、を所定の溶媒に溶解または分散させた塗布液を、基体12上に塗布し、乾燥させることで形成することができる。
また、感光層14は、電荷発生剤と、電子輸送剤と、正孔輸送剤と、結着樹脂と、を所定の溶媒に溶解又は分散させた塗布液を、上述した中間層16上に塗布し、乾燥させることで形成することができる。
このような単層型電子写真感光体10は、正負いずれの帯電型にも適用可能であるとともに、層構成が簡単であって、感光層を形成する際の被膜欠陥を抑制できることから、生産性に優れている。また、層間の界面が少ないことから、光学的特性を向上させることができる。
図1に例示する基体12としては、導電性を有する種々の材料を使用することができる。例えば、鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属や、上述した金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、アルマイト、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス等があげられる。
また、基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、基体は、使用に際して十分な機械的強度を有するものが好ましい。
また、図1に例示するように、基体12上に、結着樹脂と、特定の酸化チタンを含有する中間層16を設けることを特徴とする。以下、結着樹脂や酸化チタン等に分けて、中間層について説明する。
(1)−1 種類
結着樹脂として、例えば、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂を用いることが好ましい。
また、ポリビニルブチラール樹脂及びポリビニルホルマール樹脂を用いる場合には、その構造中に、ビニルアセタール50〜75モル%、ポリビニルアルコール10〜50モル%及びポリ酢酸ビニル0〜15モル%を含有するものを用いることが好ましい。
そして、ポリビニルブチラール樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂にブチルアルデヒドを反応させることにより得られ、ポリビニルホルマール樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂にホルムアルデヒドを反応させることにより得ることができるが、これらの樹脂は、特に、フェノール系樹脂との相溶性に優れているとともに、フェノール系樹脂との反応性や接着性に優れていることから好ましい樹脂である。
また、結着樹脂の平均分子量(数平均分子量、以下同様である。)を1,000〜50,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、結着樹脂の平均分子量が1,000未満になると、中間層を形成する際の塗布液の粘度が著しく低下し、添加する正孔輸送剤の平均分子量によっては、均一な膜厚を得ることが困難になったり、機械的強度や成膜性、あるいは接着性が著しく低下したりする場合があるためである。一方、結着樹脂の平均分子量が50,000を超えると、中間層を形成する際の塗布液の粘度が著しく増加し、中間層の厚さを制御することが困難になったり、電荷移動性が著しく低下したりする場合があるためである。
したがって、結着樹脂の平均分子量を2,000〜30,000の範囲内の値とすることがより好ましく、5,000〜15,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、結着樹脂の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン換算の分子量として測定することもできるし、あるいは、結着樹脂が縮合系樹脂の場合には、その縮合度から計算により算出することもできる。
また、結着樹脂の溶液粘度(エタノール/トルエン=1/1溶剤中、5重量%濃度)を10〜200mPa・secの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、結着樹脂の溶液粘度が10mPa・sec未満になると、中間層の成膜性が低下して膜厚差が大きくなったり、中間層の機械的強度や接着性が著しく低下したり、さらには顔料等の分散性についても低下したりする場合があるためである。一方、結着樹脂の溶液粘度が200mPa・secを超えると、均一な厚さの中間層を形成することが困難になったりする場合があるためである。
したがって、結着樹脂の溶液粘度(エタノール/トルエン=1/1溶剤中、5重量%濃度)を30〜180mPa・secの範囲内の値とすることがより好ましく、50〜150mPa・secの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、結着樹脂が水酸基を有する皮膜形成樹脂の場合、その水酸基量を10〜40mol%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、水酸基を有する皮膜形成樹脂の水酸基量が10mol%未満になると、中間層の機械的強度や成膜性、あるいは接着性が著しく低下したり、あるいは顔料等の分散性についても低下したりする場合があるためである。一方、水酸基を有する皮膜形成樹脂の水酸基量が40mol%を超えると、ゲル化しやすくなったり、均一な厚さの中間層を形成することが困難になったりする場合があるためである。
したがって、結着樹脂として、水酸基を有する皮膜形成樹脂を使用する場合、その水酸基量を20〜38mol%の範囲内の値とすることがより好ましく、25〜35mol%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、中間層に、上述した結着樹脂とともに、酸化チタンを添加することを特徴とする。
この理由は、酸化チタンは、所定の電気特性を有することから、感光層における余分な電荷を基体側へと逃がすことができるためである。
すなわち、中間層に対して酸化チタンを含有させることにより、感光層における残留電荷の蓄積を抑制することができるため、低温低湿環境下において繰り返し画像形成を行った場合であっても、明電位の変化を効果的に抑制することができるためである。
また、酸化チタンは、結晶質、非結晶質のいずれも使用することができる。また、酸化チタンが結晶質である場合には、その結晶型をアナタ−ス型、ルチル型及びブルッカイト型のいずれも使用することができるが、特にルチル型を用いることがより好ましい。
また、酸化チタンの平均一次粒径を10〜30nmの範囲内の値と制御することを特徴とする。
この理由は、酸化チタンの平均一次粒径を、かかる範囲内の値とすることによって、中間層における酸化チタンの分散性を向上させることができるためである。
すなわち、酸化チタンの平均一次粒径が10nm未満の値となると、酸化チタンに対して、後述する特定の表面処理を均一に施すことが困難となる場合があるためである。一方、酸化チタンの平均一次粒径が30nmを超えた値となると、中間層における分散性が低下し、高温高湿環境下におけるかぶりの原因となる場合があるためである。
したがって、中間層に含まれる酸化チタンの平均一次粒径を12〜25nmの範囲内の値とすることがより好ましく、15〜20nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる酸化チタンの平均一次粒径は、電子顕微鏡写真及び画像処理装置を組み合わせて、算出することができる。
また、酸化チタンが、アルミナ、シリカ、及び有機ケイ素化合物によって表面処理を施されていることを特徴とする。
さらに、酸化チタン表面の有機ケイ素化合物の重量割合(JIS−K−5101−15に準拠して測定)が、4〜9.5重量%の範囲内の値であることを特徴とする。
この理由は、所定の表面処理が施された酸化チタンを中間層に含有させることにより、中間層における酸化チタンの分散性を向上させつつ、中間層の電気絶縁性を好適な範囲に調整することができるためである。
したがって、本発明の単層型電子写真感光体であれば、低温低湿環境下においても優れた明電位を得ることができるとともに、高温高湿環境下においてもかぶりの発生を抑制することができるためである。
以下、アルミナ及びシリカによる表面処理と、有機ケイ素化合物による表面処理とに分けて、それぞれ説明する。
上述したように、本発明で用いる酸化チタンは、アルミナ及びシリカによって表面処理を施されていることを特徴とする。
この理由は、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)によって表面処理を施すことによって、中間層における酸化チタンの基本的な分散性を向上させることができるためである。
また、酸化チタンに対して、アルミナ及びシリカによる表面処理を施した後に、後述する有機ケイ素化合物による表面処理を施すことによって、酸化チタン表面における有機ケイ素化合物の重量割合を、所定の範囲内の値に調整することが容易となるためである。
したがって、中間層の導電性や酸化チタンの分散性を好適な状態に調整することが容易となるためである。
まず、塩化アルミニウム等のアルミニウム塩の水溶液中に、酸化チタンを分散させて分散液を得る。次いで、得られた分散液に対して水酸化ナトリウム等のアルカリ性物質を加えて、酸化チタン表面に水酸化アルミニウムを析出させた後、500℃程度の温度で強熱することによって、アルミナによる表面処理をすることができる。
まず、酸化チタンを水酸化ナトリウム等のアルカリ性物質とともに水に添加し、アルカリ性の水性スラリーを得る。次いで、得られた水性スラリーに対してシリカゾルまたはケイ酸アルカリ水溶液を添加して、水性スラリーのpHをアルカリ性に保持することによって、表面にシリカ被膜が形成された酸化チタンを得ることができる。次いで、得られた酸化チタンに対して、洗浄、乾燥等の処理を施すことで、シリカによる表面処理をすることができる。
この理由は、かかる添加量が0.1重量部未満の値となると、酸化チタンの基本的な分散性を十分に向上させることができない場合があるためである。一方、かかる添加量が50重量部を超えた値となると、酸化チタンに対して均一に表面処理を施すことが困難となったり、中間層の電気絶縁性に対する影響が大きくなって、その調整が困難となる場合があるためである。
したがって、かかるアルミナ及びシリカの添加量を、酸化チタン100重量部に対し合計して1〜30重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜20重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、上述したように、本発明で用いる酸化チタンは、有機ケイ素化合物によって表面処理を施されており、かつ、酸化チタン表面の有機ケイ素化合物の重量割合(JIS−K−5101−15に準拠して測定)が、4〜9.5重量%の範囲内の値であることを特徴とする。
この理由は、有機ケイ素化合物によって表面処理を施すことによって、酸化チタンの吸水性を制御することができるとともに、分散性をさらに向上させることができるためである。
さらに、酸化チタン表面における有機ケイ素化合物の重量割合を、かかる範囲内の値とすることによって、中間層における酸化チタンの分散性と、電気絶縁性とのバランスを良好な状態に調整することができるためである。
すなわち、かかる有機ケイ素化合物の重量割合が4重量%未満の値となると、中間層における酸化チタンの分散性が低下して凝集粒子を形成する場合がある。このような場合、かかる凝集粒子は電荷の経路となって、微小リークが生じ、高温高湿環境下におけるかぶりの原因となる傾向があるためである。一方、有機ケイ素化合物の重量割合が9.5重量%を超えた値となると、中間層の電気絶縁性が過度に大きくなり、感光層における残留電荷を基体側へと逃がすことができなる場合がある。その結果、低温低湿環境下で繰り返し画像形成をした場合には、明電位が顕著に変化してしまう場合があるためである。
したがって、酸化チタン表面における有機ケイ素化合物の重量割合を、4.5〜9重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜8.5重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる酸化チタン表面における有機ケイ素化合物の重量割合の測定方法は、後述する実施例において、詳細に説明する。
図2においては、横軸に酸化チタン表面において、JIS−K−5101−15に準拠して測定されるメチルハイドロジェンポリシロキサンの重量割合(重量%)を採り、縦軸に高温高湿環境下で画像形成を行った場合におけるFD値(−)を採った特性曲線を示している。なお、単層型電子写真感光体において使用した中間層は、上述したメチルハイドロジェンポリシロキサンによる表面処理を施した酸化チタン240重量部に対して、メチルハイドロジェンポリシロキサンによる表面処理を施していない酸化チタン120重量部を混合し、結着樹脂100重量部に対して加えて作成したものである。
かかる特性曲線から理解されるように、メチルハイドロジェンポリシロキサンの重量割合(重量%)の値が変化するのにしたがって、FD値は臨界的に変化し、下に凸の曲線を描いている。
より具体的には、メチルハイドロジェンポリシロキサンの重量割合(重量%)の値が0〜4重量%へと増加すると、FD値が、約0.02〜0.006へと急激に減少している。そして、メチルハイドロジェンポリシロキサンの重量割合(重量%)の値が4〜9.5重量%の範囲では、FD値が0.005前後の低い値を安定して維持している。一方、メチルハイドロジェンポリシロキサンの重量割合(重量%)の値が9.5重量%を超えた値となると、FD値が極端に増加してしまうことが分かる。
したがって、酸化チタン表面における有機ケイ素化合物の重量割合を、4〜9.5重量%の範囲内の値とすることによって、高温高湿環境下で画像形成した場合であってもFD値を低い値に保つことができ、かぶりの発生を効果的に抑制することができることが、具体的に理解される。
なお、FD値の測定方法等は、後の実施例において詳述する。
この理由は、かかる有機ケイ素化合物の処理量が1重量部未満になると、有機ケイ素化合物の処理効果が得られにくく、分散性が向上しない場合があるためである。一方、かかる有機ケイ素化合物の処理量が15重量部を超えると、酸化チタンの電気特性を有効に発揮することが困難となる場合があるためである。
したがって、酸化チタンの分散性等と、電気絶縁性とのバランスがさらに良好になることから、中間層に含まれる酸化チタン100重量部に対する有機ケイ素化合物の添加量を3〜12重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、酸化チタンの添加量を、中間層の結着樹脂100重量部に対して120〜380重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、中間層における酸化チタンの分散性と電気絶縁性とのバランスを、さらに良好にすることができるためである。
すなわち、かかる添加量が、中間層の結着樹脂100重量部に対して120重量部未満の値となると、中間層の電気絶縁性が過度に大きくなり、感光層における残留電荷を基体側へと逃がすことが困難となる場合があるためである。一方、かかる添加量が、中間層における結着樹脂100重量部に対して380重量部を超えた値となると、中間層において酸化チタンが凝集しやすくなる場合があるためである。
したがって、酸化チタンの添加量を、中間層の結着樹脂100重量部に対して150〜350重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、180〜320重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、酸化チタンの添加量とは、次項において記載するように、本発明にかかる酸化チタンと、それとは別の酸化チタンとを併用する場合には、それらの合計量を意味する。
この理由は、有機ケイ素化合物による表面処理が施されていない酸化チタンを併用することによって、中間層の電気絶縁性をさらに好適な範囲に調整することが容易となるためである。
すなわち、第1の酸化チタンと、第2の酸化チタンと、の混合比を調節することによって、中間層の電気絶縁性を適宜調整することができるためである。
また、第1の酸化チタンと、第2の酸化チタンと、の混合比は5:1〜1:1の範囲内とすることが好ましく、4:1〜2:1の範囲内とすることがより好ましい。
また、中間層中には、光散乱を生じさせて干渉縞の発生を防止する目的、分散性向上等の目的により、電荷輸送性顔料とは異なる各種添加剤(有機微粉末または無機微粉末)を添加することが好ましい。
特に、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料や、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やフッ素樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等が好ましい添加剤である。
また、微粉末等の添加剤を添加する場合、その粒径を0.01〜3μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる粒径が大きすぎると中間層の凹凸が大きくなったり、電気的に不均一な部分が生じたり、さらには、画質欠陥を生じ易くなったりする場合があるためである。一方、かかる粒径が小さすぎると、十分な光散乱効果が得られない場合があるためである。
なお、微粉末等の添加剤を添加する場合、その添加量を、中間層の固形分に対して重量比で1〜70重量%、より好ましくは5〜60重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
また、このような電荷輸送剤としては、従来公知の種々の化合物を使用することができる。
また、中間層は膜厚を厚くすることによって、支持基材における凹凸の隠蔽性が高まるため、スポット状の画質欠陥は低減する方向にあって好ましいが、それとは逆に、残留電位の上昇等の電気的特性が低下する傾向にある。
したがって、中間層の膜厚を0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、1〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
(1)電荷発生層
(1)−1 種類
また、本発明における電荷発生剤としては、例えば、無金属フタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体や、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンといった無機光導電材料等の従来公知の電荷発生剤を用いることができる。
より具体的には、下記式(1)〜(4)で表されるフタロシアニン系顔料(CGM−A〜CGM−D)を使用することがより好ましい。
この理由は、光源として半導体レーザを備えたレーザビームプリンタやファクシミリ等のデジタル光学系の画像形成装置に使用する場合には、600〜800nm以上の波長領域に感度を有する感光体が必要となるためである。
その一方で、ハロゲンランプ等の白色の光源を備えた静電式複写機等のアナログ光学系の画像形成装置に使用する場合には、可視領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えばペリレン系顔料やビスアゾ顔料等を好適に用いることができる。
また、電荷発生剤の添加量としては、後述する結着樹脂100重量部に対して、0.1〜50重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷発生剤の添加量をかかる範囲内の値とすることによって、感光体への露光をした際に、当該電荷発生剤が効率的に電荷を発生することができるためである。すなわち、かかる電荷発生剤の添加量が、結着樹脂100重量部に対して0.1重量部未満の値となると、電荷発生量が感光体上に静電潜像を形成するのに不十分となる場合があるためである。一方、かかる電荷発生剤の添加量が、結着樹脂100重量部に対して50重量部を超えた値となると、感光層用塗布液中に均一に分散させることが困難となる場合があるためである。
よって、結着樹脂100重量部に対する電荷発生剤の添加量を0.5〜30重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
(2)−1 種類
また、電荷輸送層に用いる電荷輸送剤(正孔輸送剤及び電子輸送剤)としては、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4′−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等の正孔輸送物質;クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、ジフェノキノン化合物等の電子輸送物質;及び上記した化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体等の一種単独または二種以上の組合せを挙げることができる。
また、電荷輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、1〜120重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる電荷輸送剤の添加量が1重量部未満の値となると、感光層の電荷輸送能が極端に低下し、画像特性に悪影響を与える場合があるためである。
また、添加量が120重量部を超える値となると、分散性が低下し、結晶化しやすくなるという問題が生じるためである。
したがって、電荷輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、5〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましく、10〜90重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、電子写真装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、或いは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光体層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等を添加することが好ましい。
例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が用いられる。また、光安定剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体があげられる。
本発明の電子写真感光体に使用する結着樹脂の種類は特に制限されるものではないが、例えば、ポリカーボネート樹脂をはじめ、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
また、感光層の膜厚を5.0〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる感光層の厚さが5.0μm未満の値となると、感光体としての機械的強度が不十分となる場合があるためである。一方かかる感光層の厚さが100μmを超えた値となると、中間層から剥離しやすくなったり、均一に形成することが困難となる場合があるためである。したがって、かかる感光層の厚さを10〜80μmの範囲内の値とすることがより好ましく、20〜40μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)基体の準備
干渉縞の発生防止のためには、エッチング、陽極酸化、ウエットブラスティング法、サンドブラスティング法、粗切削、センタレス切削等の方法を用いて、支持基体の表面に粗面化処理を行うことが好ましい。
また、酸化チタンに対して表面処理を施す方法としては、例えば、粉砕機を用いて、溶媒を用いずに、アルミナ、シリカ、有機ケイ素化合物及び酸化チタンを混合、分散させて酸化チタンの表面処理をする乾式処理方法を用いることが好ましい。
また、適当な溶媒に溶解させたアルミナ、シリカ及び有機ケイ素化合物を、酸化チタンスラリーに対して加えた後、撹拌し、その後、乾燥させて酸化チタンの表面処理をする湿式処理方法を用いることも好ましい。
なお、乾式処理方法と、湿式処理方法とでは、より均一な表面処理が可能であることから、湿式処理方法がより好ましい。
この理由は、かかる湿式メディア分散型装置であれば、分散能に優れるため、酸化チタンの凝集粒子を効果的に粉砕及び分散させながら、均一な表面処理を施すことができるためである。
ここで、湿式メディア分散型装置とは、装置内にメディアが充填されているとともに、例えば、高速回転可能な撹拌ディスク等の分散力を向上させる部材を備えた装置である。
また、上述したメディアとしては、ボールやビーズ等を用いることが好ましく、より均一な表面処理をするためには、ビーズを用いることが好ましい。
また、ビーズの原材料としては、アルミナ、ガラス、ジルコン、ジルコニア、スチール及びフロント石等が好適に使用される。
また、ビーズの直径としては、0.3〜2mmの範囲内とすることが好ましい。
(3)−1 中間層用塗布液の準備
また、中間層を形成するにあたり、樹脂成分を溶解した溶液中に上述した酸化チタン及び正孔輸送剤等の添加剤を添加して、分散処理を行い、塗布液を形成することが好ましい。
また、分散処理を行う方法は特に制限されるものではないが、一般的に公知のロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等を用いることが好ましい。
より具体的には、中間層用塗布液の製造に際して、下記工程(A)〜(B)を含むことが好ましい。
(A)酸化チタンを、中間層を構成する全結着樹脂量の31〜65重量%に該当する結着樹脂を溶解させてなる結着樹脂溶液中に添加して、一次分散液とする工程
(B)一次分散液に対して、全結着樹脂量の35〜69重量%に該当する結着樹脂を溶解させて、中間層用塗布液とする工程
この理由は、複数段階に分けずに、最初から全量の結着樹脂と、全量の酸化チタンと、有機溶剤と、を一段階で混合した場合、酸化チタン粒子表面における、樹脂との接触割合と、有機溶剤との接触割合とが、不均一となりやすいためである。したがって、中間層用塗布液中における酸化チタン表面の性質が変化し、酸化チタンの分散性が悪化する場合があるためである。また、一段階で混合した場合、特に、平均一次粒径が0.015μm以下の酸化チタンを使用すると、顕著に分散性が低下する場合があるためである。
したがって、工程(A)において加える結着樹脂の量を、全結着樹脂の35〜60重量%に相当する分量とすることがより好ましく、40〜55重量%に相当する分量とすることがさらに好ましい。
また、中間層用塗布液の塗布方法については特に制限されるものではないが、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いることができる。
なお、中間層およびその上の感光層をより安定的に形成するためには、中間層用塗布液の塗布後、30〜200℃で、5分〜2時間、加熱乾燥処理を実施することが好ましい。
また、感光体層塗布液を準備した後、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いて、感光体層を形成することが好ましい。なお、加湿処理方法を用いない場合には、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥するのが好ましい。そして、加熱乾燥の条件としては、例えば、30〜200℃の温度で、5分〜2時間の範囲とすることが好ましい。
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態としての単層型電子写真感光体を備えるとともに、当該単層型電子写真感光体の周囲に、帯電手段、現像手段、転写手段、除電手段を配置した画像形成装置であって、帯電手段が、単層型電子写真感光体表面をプラス極性に帯電させることを特徴とする画像形成装置である。
以下、第1の実施形態において既に説明した内容は省略し、第2の実施形態として、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
まず、画像形成装置100の感光体111を、矢印Aで示す方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転させた後、その表面を帯電手段112によって所定電位(プラス極性)に帯電させる。なお、図3においては、帯電手段112としては、帯電ロールを用いている。
次いで、露光手段113により、画像情報に応じて光変調されながら反射ミラー等を介して、感光体111の表面を露光する。この露光により、感光体111の表面に静電潜像が形成される。
次いで、この静電潜像に基づいて、現像手段114により潜像現像が行われる。この現像手段114の内部にはトナーが収納されており、このトナーが感光体111表面の静電潜像に対応して付着することで、トナー像が形成される。
また、記録紙120は、所定の転写搬送経路に沿って、感光体下部まで搬送される。このとき、感光体111と転写手段115との間に、所定の転写バイアスを印加することにより、記録材120上にトナー像を転写することができる。
一方、トナー像転写後の感光体111はそのまま回転を続け、転写時に記録紙120に転写されなかった残留トナー(付着物)が感光体111の表面から、クリーニング装置117によって除去される。また、感光体111の表面に残留した電荷は、除電手段102により消去され、次の画像形成に供されることになる。
したがって、低温低湿環境下においても優れた明電位を得ることができるとともに、高温高湿環境下においてもかぶりの発生を抑制することができる。したがって、負帯電型と比較して潜像形成能に劣る正帯電型の画像形成を行った場合であっても、優れた品質の画像を安定的に形成することができる。
この理由は、非接触式の帯電手段と比較して、温度及び湿度の影響を受けることなく安定的に帯電することができるためである。
すなわち、非接触式の帯電手段においては、放電することによって空気を介して感光体を帯電させることから、かかる空気の温度や湿度の影響で帯電が不安定となる場合があるためである。一方、接触式の帯電手段であれば、そのような問題が生じず、安定的に感光体を帯電することができるためである。さらには、接触帯電方式の帯電手段であれば、非接触式の帯電手段に比べて全体構成が簡易であり、オゾン等の有害物質の発生もないことから、環境特性にも優れていると言える。
1.酸化チタンの表面処理
容器内に、シリカとアルミナで表面処理した酸化チタン(テイカ(株)製、MT−05、数平均一次粒子径:10nm)100重量部、メチルハイドロジェンポリシロキサン48重量部及びトルエン500重量部を加えて混合し、顕濁液を得た。次いで、撹拌機を用いて、かかる顕濁液を20分間撹拌し、酸化チタンスラリーを得た。次いで、混練機を用いて得られた酸化チタンスラリーを混練した後、減圧加熱を行って溶媒を除去し、表面処理された酸化チタン粒子(熱処理前)を得た。次いで、得られた酸化チタン粒子(熱処理前)を150℃でキュアリング(熱処理)を行い、表面処理された酸化チタン粒子(第1の酸化チタン)を得た。
また、得られた表面処理された酸化チタン粒子の表面におけるメチルハイドロジェンポリシロキサンの重量割合を測定した。
すなわち、JIS−K−5101−15に準拠して、以下に示すようにして測定した。
a)まず、メチルハイドロジェンポリシロキサンによって表面処理された酸化チタン粒子を、乾燥器中で、105℃で2時間乾燥した後、デシケータ中で常温まで放熱した。
b)次いで、乾燥後の酸化チタン粒子2gを、磁器るつぼに入れ、質量を計測した。
c)次いで、質量を計測した後の酸化チタン粒子を、ガスバーナーを用いて600℃で1時間強熱した。
d)次いで、強熱後の磁器るつぼをデシケータ中で常温まで放冷した。
e)次いで、強熱及び冷却後の酸化チタン粒子の質量を計測した。
f)次いで、測定される酸化チタン粒子の質量が一定になるまで工程c)及びd)を繰り返した。
g)次いで、下記式(1)で表される計算を行い、強熱残分I(重量%)を算出した。
I=(m1/m0)×100 (1)
(式(1)中のI、m0及びm1は、それぞれI:強熱残分(重量%)、m0:乾燥した酸化チタン粒子の質量(g)、m1:強熱後の酸化チタン粒子の質量(g)を示す。)
h)次いで、下記式(2)で表される計算を行い、酸化チタン表面のメチルハイドロジェンポリシロキサンの重量割合S(重量%)とした。
S=100−I (2)
(式(2)中のI及びSは、それぞれI:強熱残分(重量%)、S:酸化チタン表面のメチルハイドロジェンポリシロキサンの重量割合(重量%)を示す。)
なお、得られた結果は表1に示す。
ペイントシェーカーを用いて、得られた酸化チタン(第1の酸化チタン)240重量部、アルミナ及びシリカによる表面処理のみで、メチルハイドロジェンポリシロキサンによる表面処理を施していない酸化チタン(テイカ(株)製、MT−05、数平均一次粒子径:10nm)(第2の酸化チタン)120重量部、アミランCM8000(東レ(株)製、四元共重合ポリアミド樹脂)100重量部、メタノール650重量部及びブタノール550重量部を1時間混合、分散し、中間層用塗布液とした。
次いで、得られた中間層用塗布液を5μmのフィルターにてろ過した後、直径30mm、長さ254mmのアルミニウム素管の一端を上にして、得られた中間層用塗布液中に5mm/secの速度で浸漬させて塗布した。次いで、130℃、30分の条件で熱処理し、膜厚2μmの中間層を形成した。
次いで、超音波分散機を用いて、電荷発生剤として、式(2)で表されるチタニルフタロシアニン(CGM−B)の結晶5重量部、正孔輸送剤として、下記式(5)で表される化合物(HTM−1)70重量部、電子輸送剤として下記式(6)で表される化合物(ETM−1)30重量部、結着樹脂としてポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製TS2020)100重量部及び溶剤としてテトラヒドロフラン800重量部を混合、分散し、感光層用塗布液とした。
次いで、上述した中間層上に、得られた感光層用塗布液を、製造直後から60分以内に、ディップコート法にて塗布した。次いで、130℃、30分の条件で熱処理し、膜厚25μmの感光層を形成し、単層型電子写真感光体を得た。
まず、アルゴン置換したフラスコ中に、反応原料として、o−フタロニトリル22gと、チタンテトラブトキシド25gと、尿素2.28gと、キノリン300gとを加えた後、撹拌装置を用いて撹拌しながら、150℃まで昇温した。
次いで、フラスコ内の反応原料から発生する蒸気を留去しながら、さらに215℃まで昇温した。その後、この温度を維持しつつ、さらに2時間、撹拌しながら反応原料を反応させた。
次いで、反応終了後、150℃まで冷却した時点で、フラスコから反応物を取り出し、ガラスフィルターによってろ別した。次いで、得られたN,N−ジメチルホルムアミド及びメタノールで順次洗浄した後、真空乾燥して、青紫色の固体24gを得た。
次いで、加熱を停止し、23±1℃まで冷却した後、12時間反応液を静置して安定化処理を行った。
次いで、安定化された反応液を、ガラスフィルターを用いてろ別し、得られた固体をメタノールでさらに洗浄した。次いで、それを真空乾燥して、チタニルフタロシアニン化合物の粗結晶9.83gを得た。
次いで、撹拌装置付きのフラスコ内に、得られたチタニルフタロシアニンの粗結晶5gと、濃硫酸100ミリリットルとを加えて、均一に溶解させた。
次いで、得られた溶液を、氷冷下の水中に滴下した後、室温で15分間撹拌し、さらに23±1℃で30分間静置して再結晶させた。
なお、得られたチタニルフタロシアニン結晶は、初期及び1,3−ジオキソランまたはテトラヒドロフラン中に7日間浸漬しても、ブラッグ角度2θ±0.2°=7.4°及び26.2°にピークが発生していないこと、及び吸着水の気化に伴う90℃付近のピーク以外に296℃において1つのピークがあることを確認した。
(1)画像かぶりの評価
また、得られた単層型電子写真感光体を用いて、画像かぶりの評価を行った。
すなわち、得られた単層型電子写真感光体をプリンター(京セラミタ(株)製FS1010)に搭載し、高温高湿環境下(温度35℃、相対湿度85%)で白紙画像を形成した。次いで、得られた白紙画像上における画像かぶりの発生の有無を目視により確認し、下記基準に沿って評価した。
○:画像かぶりが発生していない
△:画像かぶりがわずかに発生している
×:画像かぶりが顕著に発生している
また、得られた単層型電子写真感光体を用いて、FD値の評価を行った。
すなわち、上述した画像かぶりの評価と同様の条件で白紙画像を形成した。次いで、得られた白紙画像におけるFD1値(−)から、未出力の白紙のFD0値(−)を引き、FD値として、下記基準に沿って評価した。
○:FD値が0〜0.008未満の値である
△:FD値が0.008〜0.015未満の値である
×:FD値が0.015以上の値である
また、得られた単層型電子写真感光体を用いて、明電位変化の評価を行った。
すなわち、得られた単層型電子写真感光体をプリンター(京セラミタ(株)製FS1010)に搭載し、低温低湿環境下(温度10℃、相対湿度20%)で1500枚印刷し、現像位置での電位を、明電位(V)として測定した。次いで、予め測定しておいた初期の明電位(V)と、低温低湿環境下、1500枚印刷後での明電位(V)との差を算出し、明電位変化(V)とし、下記基準に沿って評価した。
○:明電位変化が−10〜0V未満の値である
△:明電位変化が−20〜−10V未満の値である
×:明電位変化が−20V未満の値である
また、上述した各評価結果を総合的に評価すべく、下記基準に沿って総合評価を行った。
○:画像かぶりの評価、FD値の評価及び明電位変化の評価の全てにおいて○の評価を受けている
×:画像かぶりの評価、FD値の評価及び明電位変化の評価のうちいずれかにおいて△または×の評価を受けている
また、実施例2〜8においては、第1の酸化チタン及び第2の酸化チタンの中間層におけるそれぞれの含有量、メチルハイドロジェンポリシロキサンによる表面処理を施す際に添加したメチルハイドロジェンポリシロキサンの添加量及び酸化チタン表面におけるメチルハイドロジェンポリシロキサンの重量割合を、それぞれ表1に示すように変えたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
また、比較例1〜11においては、第1の酸化チタン及び第2の酸化チタンの中間層におけるそれぞれの含有量、メチルハイドロジェンポリシロキサンによる表面処理を施す際に添加したメチルハイドロジェンポリシロキサンの添加量、酸化チタン表面におけるメチルハイドロジェンポリシロキサンの重量割合及び第1の酸化チタンにおける平均一次粒径を、それぞれ表1に示すように変えたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
12:基体
14:感光層
16:中間層
100:画像形成装置
102:除電手段
111:単層型電子写真感光体
112:帯電手段
113:露光手段
114:現像手段
115:転写手段
117:クリーニング装置
120:記録紙
Claims (7)
- 基体上に、中間層と、感光層とを備えた単層型電子写真感光体であって、
前記中間層が、結着樹脂と、酸化チタンを含有するとともに、当該酸化チタンが、下記特性(a)〜(c)を有することを特徴とする単層型電子写真感光体。
(a)酸化チタンの平均一次粒径が10〜30nmの範囲内の値であること
(b)酸化チタンが、アルミナ、シリカ及び有機ケイ素化合物によって表面処理を施されていること
(c)酸化チタン表面の有機ケイ素化合物の重量割合(JIS−K−5101−15に準拠して測定)が、4〜9.5重量%の範囲内の値であること - 前記酸化チタンを第1の酸化チタンと称した場合に、当該第1の酸化チタンとは別のアルミナ及びシリカによって表面処理された第2の酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1に記載の単層型電子写真感光体。
- 前記酸化チタンの添加量を、前記中間層の結着樹脂100重量部に対して120〜380重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の単層型電子写真感光体。
- 前記中間層の結着樹脂の平均分子量を1,000〜50,000の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の単層型電子写真感光体。
- 前記中間層の厚さを0.1〜50μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の単層型電子写真感光体。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の単層型電子写真感光体を備えるとともに、当該単層型電子写真感光体の周囲に、帯電手段、現像手段、転写手段、除電手段を配置した画像形成装置であって、
前記帯電手段が、前記単層型電子写真感光体の表面をプラス極性に帯電させることを特徴とする画像形成装置。 - 前記帯電手段を、接触式の帯電手段とすることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
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