JP2007286154A - 感光性ポリアミド酸エステル組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
ポリイミド樹脂を用いて半導体装置を製造する場合には、通常、ポリイミド樹脂膜を基材上に形成し、リソグラフィー技術を利用して所望のパターンを形成する。具体的には、ポリイミド樹脂膜の上に、フォトレジストとフォトマスクを用いてフォトレジストのパターンを形成し、その後にエッチィングによるポリイミド樹脂のパターン化を行うという間接的なパターン形成方法が用いられる。しかしながら、この方法においては、初めに、マスクとなるフォトレジストのパターンをポリイミド樹脂膜の上に形成し、次にポリイミド樹脂をエッチングを行い、最後に不要になったフォトレジストパターンの剥離を行わなければならないため、工程が複雑であり、更に間接的なパターン形成であるが故に解像度が低い。又、エッチングにヒドラジンのような有毒物質を溶剤として用いる必要があるため、安全性の問題もある。
例えば、メモリー素子等を製造する場合は、製品の収率を上げるために、あらかじめ予備の回路を作っておいて製品の検査後に不要な回路を切るという操作を行う。従来の非感光性ポリイミドを用いたプロセスでは、不要な回路の切断は、ポリイミドパターンの形成前に行っていたのに対し、感光性ポリイミドを用いるプロセスでは、ポリイミドパターン形成時の解像度が高いため、パターンに不要な回路を切るための穴を設けておいて、ポリイミドパターンの形成後に予備回路を切ることができる。したがって、最終製品の完成時点により近い段階で予備回路を切断することが可能となり、更に高い製品の収率が達成される。
そこで、半導体チップの表面に再配線層を形成し、その上にバンプ(電極)を形成し、チップを裏返し(フリップ)て、プリント基板に直接実装するフリップチップ実装が提案されている。フリップチップ実装は配線距離を正確に制御できるため高速な信号を取り扱うハイエンド用途の素子や、実装サイズの小ささから携帯電話等に採用され、需要が急拡大している。そのため、再配線層の材料用として、上述したような感光性ポリイミド前駆体の優れたパターン形成性に加えて、複数の配線層をカバーできる厚膜でのパターン形成性がますます重要視されるようになった。さらにパターンを形成する際の露光源としてi線を使用する要求が高まっている。
しかし、これらの技術に開示された組成物よりもさらに高いi線露光可能膜厚を持つ感光性ポリイミド前駆体組成物が望まれている。すなわち、感光性ポリイミド前駆体組成物の塗布乾燥後における厚みが40〜50μmと厚い塗膜であってもi線によりパターン形成可能で、硬化後に20〜30μmの厚みを有するポリイミド膜となる厚膜i線硬化性と、アスペクト比(塗布乾燥後の厚み/解像度)が1以上のパターンを形成できる高解像性とを合わせ持つ感光性ポリイミド前駆体組成物が求められている。
一般式(1)におけるR" 基は、メチル基であることが好ましい。
本発明の三は、本発明の2のポリイミドパターンの形成方法により形成したポリイミドパターンを有することを特徴とする半導体装置である。
<感光性ポリアミド酸エステル組成物>
(A)ポリアミド酸エステル
本発明の組成物の成分であるポリアミド酸エステルは、下記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸ジエステルとジアミンとを縮合させた繰り返し単位からなるポリアミド酸エステルである。
上記ポリアミド酸エステルにおいて、その繰り返し単位中のX基は、テトラカルボン酸ジエステルの原料として用いるテトラカルボン酸誘導体に由来する基である。
好ましいテトラカルボン酸誘導体の例としては、4,4’−オキシジフタル酸二無水物が挙げられる。
上記のテトラカルボン酸二無水物のジエステル化反応に用いるアルコール類は、オレフィン性二重結合を有するアルコール類である。具体的には、2−メタクリロイルオキシエチルアルコール、2−アクリロイルオキシエチルアルコール、1−アクリロイルオキシ−2−プロピルアルコール、2−メタクリルアミドエチルアルコール、2−アクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2−ヒドロキシエチルビニルケトン、アリルアルコール、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート等を挙げることができる。これらのアルコール類は、1種あるいは2種以上を混合して用いることができる。
また、特開平06−080776号公報に記載のように、上記のオレフィン性二重結合を有するアルコール100モルに対し、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、及びイソプロピルアルコールを1〜30モル混合して用いることもできる。
本発明の組成物においては、上述した特定のテトラカルボン酸ジエステルと特定のジアミンとを縮合させたポリアミド酸エステルにより、厚膜i線硬化性及び高解像性と、その他の性能とのバランスをとることができる。
ポリアミド酸エステルの合成に使用するテトラカルボン酸ジエステルとジアミンのモル比は、1.0付近であることが好ましいが、目的とするポリアミド酸エステルの分子量に応じて0.7〜1.3の範囲で用いることができる。
本発明に用いるポリアミド酸エステルの具体的な合成方法に関しては従来公知の方法を採用することができる。これについては、例えば、国際公開第00/43439号パンフレットに示されている、テトラカルボン酸ジエステルを一度テトラカルボン酸ジエステルジ酸塩化物に変換し、該テトラカルボン酸ジエステルジ酸塩化物とジアミンを塩基性化合物の存在下で縮合反応に付しポリアミド酸エステルを合成する方法、およびテトラカルボン酸ジエステルとジアミンとを有機脱水剤の存在下で縮合反応に付す方法によってポリアミド酸エステルを合成する方法が挙げられる。
有機脱水機の例としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジエチルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、エチルシクロヘキシルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1−シクロヘキシル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、カルボジイミドなどが挙げられる。
本発明に用いるポリアミド酸エステルの重量平均分子量は、8000〜150000であることが好ましく、9000〜50000であることがより好ましい。
本発明の感光性ポリアミド酸エステル組成物の成分である光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、及びフルオレノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、及び2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン等のアセトフェノン誘導体、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、及びジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタール及び、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体、2,6−ジ(4’−ジアジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、及び2,6′−ジ(4’−ジアジドベンザル)シクロヘキサノン等のアジド類、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニルプロパンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニルプロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニルプロパンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、及び1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム等のオキシム類、N−フェニルグリシン等のN−アリールグリシン類、ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物類、並びに芳香族ビイミダゾール類、チタノセン類などが挙げられる。これらの中でも、厚膜i線硬化性及び光感度の点で上記オキシム類が好ましい。
これらの光開始剤の添加量は、(A)ポリアミド酸エステル100質量部に対し、1〜15質量部が好ましい。開始剤をポリアミド酸エステル100質量部に対し1質量部以上添加することで光感度にすぐれ、15質量部以下添加することで厚膜i線硬化性にすぐれる組成物とすることができる。
本発明のポリアミド酸エステル組成物の成分である溶媒としては、成分(A)及び(B)に対する溶解性の点から、極性の有機溶剤を用いることが好ましい。具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N―シクロヘキシル−2−ピロリドンなどが挙げられ、これらは単独または二種以上の組合せで用いることができる。
これらの溶媒は、塗布膜厚、粘度に応じて、(A)ポリアミド酸エステル100質量部に対し、30〜600質量部の範囲で用いることができる。
さらに本発明のポリアミド酸エステル組成物の保存安定性を向上させるため、溶媒として使用する有機溶剤中にアルコール類を含有させることが好ましい。
全溶媒中に占めるアルコール類の含量は5〜50重量%であることが好ましく、更に好ましくは10〜30重量%である。アルコール類の含量が5重量%以上の場合、ポリアミド酸エステル組成物の保存安定性が良好になり、また50重量%以下の場合、(A)成分であるポリアミド酸エステルの溶解性が良好になる。
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、光重合性の不飽和二重結合を有する化合物を添加することができる。
このような化合物としては光重合開始剤により重合可能な(メタ)アクリル化合物が好ましく、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート(各エチレングリコールユニットの数2〜20)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(各エチレングリコールユニットの数2〜20)、ポリ(1,2−プロピレングリコール)ジアクリレート、ポリ(1,2−プロピレングリコール)ジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、エチレングリコールジグリシジルエーテル-メタクリル酸付加物、グリセロールジグリシジルエーテル−アクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル−アクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル−メタクリル酸付加物、N,N’−ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)尿素などが挙げられる。また、これらの使用にあたっては、必要に応じて、単独でも2種以上を混合して用いてもかまわない。その添加量は、(A)ポリアミド酸エステル100質量部に対し、1〜50質量部とするのが好ましい。
増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビフェニレン)−ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4’−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N′−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、4−モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−d)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレン、ベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−フェニルテトラゾール等が挙げられる。これらは単独でまたは2〜5種類を組み合わせて用いることができる。
また、本発明の感光性組成物には、基材との接着性向上のため接着助剤を添加することもできる。接着助剤としては、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕フタルアミド酸、ベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−〔3−トリエトキシシリル〕プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸、ベンゼン−1、4−ビス(N−〔3−トリエトキシシリル〕プロピルアミド)−2,5−ジカルボン酸、3−(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤などが挙げられる。
これらの内では接着力の点からシランカップリング剤を用いることがより好ましい。接着助剤の添加量は、(A)ポリアミド酸エステル100質量部に対し、0.5〜10質量部の範囲が好ましい。
熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルフォプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。
感光性ポリアミド酸エステル組成物に添加する熱重合禁止剤の量としては、(A)ポリアミド酸エステル100質量部に対し、0.005〜5質量部の範囲が好ましい。
本発明のポリアミド酸エステル組成物においては、耐熱性及び耐薬品性を向上する成分として有機チタン化合物を添加することができる。使用可能な有機チタン化合物としては、チタン原子に有機化学物質が共有結合あるいはイオン結合を介して結合しているものであれば特に制限はない。
また、本発明に用いることのできる有機チタン化合物の別の具体的な例は、チタンキレート類である。本発明ではチタンキレート類の内、2個以上のアルコキシ基を有する化合物が、組成物の安定性及び良好なパターンがえられることからより好ましい。好ましいチタンキレート類としては、例えば、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n−ブトキサイド)(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)が挙げられる。
これらの有機チタン化合物の添加量は、(A)ポリアミド酸エステル100質量部に対し、0.3〜10質量部であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜2質量部である。添加量が0.3質量部以上で所望の耐熱性及び耐薬品性が発現し、また10質量部以下であれば保存安定性に優れる。
本発明の他の態様においては、下記の工程を包含するポリイミドパターンを基材上に形成する方法が提供される。
(a)上記の感光性ポリアミド酸エステル組成物を基材に塗布し、乾燥する工程;
(b)塗膜を、パターンを有するフォトマスクまたはレチクルを介して紫外線により露光後、未露光部を溶剤で溶解除去して、ポリアミド酸エステルのパターンを得る工程;
(c)ポリアミド酸エステルのパターンを加熱硬化することにより、ポリイミドのパターンを得る工程。
本発明で使用できる基材としては、シリコンウエハー、銅等の金属、ガラス、半導体、金属酸化絶縁膜、窒化ケイ素などが挙げられるが、好ましくはシリコンウエハーまたは銅基板が用いられる。
塗膜の乾燥方法としては、風乾、オーブンまたはホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。また、塗膜の乾燥は、感光性ポリアミド酸エステル組成物中のポリアミド酸エステルのイミド化が起こらないような条件で行うことが望ましい。具体的には、風乾、あるいは加熱乾燥を行う場合、20℃〜140℃で1分〜1時間の条件で行うことができる。乾燥後の塗膜の厚みは5〜50μmが好ましい。
現像に使用される現像液としては、ポリアミド酸エステル組成物に対する良溶媒、または良溶媒と貧溶媒との組み合わせが好ましい。良溶媒としては、N−メチルピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等が好ましく、貧溶媒としてはトルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が用いられる。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、ポリマーの溶解性によって良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整する。また、各溶媒を数種類組み合わせて用いることもできる。
上記のようにして得られたポリアミド酸エステルのパターンは加熱して感光成分を希散させるとともに、ポリイミド化させることによって、ポリイミドのパターンに変換する。加熱硬化させる方法としては、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。加熱は、280℃〜450℃で30分〜5時間の条件で行うことができる。加熱硬化させる際の雰囲気気体としては空気を用いても良く、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
また、本発明のさらに他の態様においては、前述の方法により形成したポリイミドパターンを有することを特徴とする半導体装置が提供される。特に、従来のi線硬化型ポリイミド前駆体組成物では得ることが困難であったシリコンウエハー上に厚みが20〜30μmかつアスペクト比が1以上のポリイミドのパターンを有する半導体装置を得ることができる。また、銅基板上に厚みが15〜25μmかつアスペクト比が1以上のポリイミドのパターンを有する半導体装置を得ることができる。なお、該半導体装置は、公知の半導体装置の製法に前述のポリイミドパターンの形成方法を組み合わせることで、得ることができる。
実施例、比較例及び参考例においては、感光性ポリアミド酸エステル組成物の物性を以下の方法に従って測定及び評価した。
(1)重量平均分子量
各ポリアミド酸エステルの重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)で測定した。
(2)解像度及びポリイミドパターンの精度
感光性ポリアミド酸エステル組成物を5インチシリコンウエハーまたは銅基板上にスピン塗布し、乾燥して10μm厚の塗膜を形成した。この塗膜にテストパターン付レチクルを用いてi線ステッパーNSR1755i7B(日本国、ニコン社製)により、300mJ/cm2 のエネルギーを照射した。次いで、ウエハー上に形成した塗膜を、シクロペンタノンを用いて現像機(D−SPIN636型、日本国、大日本スクリーン製造社製)でスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスしてポリアミド酸エステルのパターンを得た。
パターンを形成したウエハーを昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、日本国、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、200℃で1時間、続いて350℃で2時間熱処理することにより、5μm厚のポリイミドのパターンをシリコンウエハー上に得た。
「良好」・・・パターン断面がすそびきしておらず、アンダーカットや膨潤、ブリッジングが起こっていないものであり、且つアスペクト比が1以上であるもの。更に、加熱硬化時にパターン形状が変動しないもの。
「不良」・・・上記条件を1つでも満足していないもの。
4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2リットル容量のセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ−ブチロラクトン400mlを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ−ブチロラクトン180mlに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン105.1gをγ−ブチロラクトン350mlに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mlを加えて1時間攪拌し、次に、γ−ブチロラクトン400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3リットルのエチルアルコールに加えて粗ポリマーからなる沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5リットルに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28リットルの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリアミド酸エステルA)を得た。ポリアミド酸エステルAの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は23000だった。
4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2リットル容量のセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ−ブチロラクトン400mlを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ−ブチロラクトン180mlに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gをγ−ブチロラクトン350mlに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mlを加えて1時間攪拌し、次に、γ−ブチロラクトン400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3リットルのエチルアルコールに加えて粗ポリマーからなる沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5リットルに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28リットルの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリアミド酸エステルB)を得た。ポリアミド酸エステルBの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20000だった。
テトラカルボン酸として、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とジアミンとして、2,2−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパンを用い、前述の特許文献1の実施例1に記載の方法にて反応させてポリアミド酸エステルCを得た。ポリアミド酸エステルCの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は25000だった。
ポリアミド酸エステルAを用いて以下の方法で感光性ポリアミド酸エステル組成物を調整し、調整した組成物の評価を行った。
ポリアミド酸エステルA100gを、ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム(光開始剤)4g、テトラエチレングリコールジメタクリレート4g、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール1g、N−フェニルジエタノールアミン4g、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸3g、及び2−ニトロソ−1−ナフトール0.05gと共に、N−メチルピロリドン(NMP)80gと乳酸エチル20gからなる混合溶媒に溶解した。得られた溶液の粘度を、少量の該混合溶媒をさらに加えることによって約75ポイズに調整し、感光性ポリアミド酸エステル組成物とした。
該組成物を、前述の方法に従ってシリコンウエハに塗布乾燥、露光、現像、熱処理して得たポリイミド塗膜の解像度は塗布乾燥後の膜厚が10μmの場合は8μmであり、硬化後の膜厚は5μmであった。また塗布乾燥後の膜厚が50μmの場合の解像度は40μmであり、硬化後の膜厚は30μmであった。それぞれアスペクト比1以上を満たし、かつパターン精度は良好であった。
ポリアミド酸エステルAを用いて以下の方法で感光性ポリアミド酸エステル組成物を調整し、調整した組成物の評価を行った。
ポリアミド酸エステルA100gを、ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム(光開始剤)4g、テトラエチレングリコールジメタクリレート6.5g、ベンゾトリアゾール1g、N−フェニルジエタノールアミン6.5g、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸3g、及び2−ニトロソ−1−ナフトール0.05gと共に、N−メチルピロリドン(NMP)80gと乳酸エチル20gからなる混合溶媒に溶解した。得られた溶液の粘度を、少量の該混合溶媒をさらに加えることによって約75ポイズに調整し、感光性ポリアミド酸エステル組成物とした。
該組成物を、前述の方法に従って銅基板に塗布乾燥、露光、現像、熱処理して得たポリイミド塗膜の解像度は塗布乾燥後の膜厚が10μmの場合は8μmであり、硬化後の膜厚は5μmであった。また塗布乾燥後の膜厚が40μmの場合の解像度は30μmであり、硬化後の膜厚は24μmであった。それぞれアスペクト比1以上を満たし、かつパターン精度は良好であった。
ポリアミド酸エステルBをポリアミド酸エステルAの代わりに使用した以外は実施例1と同様に感光性ポリアミド酸エステル組成物を調整し、評価を行った。
該組成物を、前述の方法に従ってシリコンウエハに塗布乾燥、露光、現像、熱処理して得たポリイミド塗膜の解像度は塗布乾燥後の膜厚が10μmの場合は8μmであり、硬化後の膜厚は5μmであり、アスペクト比1以上を満たし、パターン精度は良好であった。しかしながら、塗布乾燥後の膜厚が50μmの場合はアンダーカットが発生し、必要条件を満たすパターンが得られなかった。
ポリアミド酸エステルBをポリアミド酸エステルAの代わりに使用した以外は実施例2と同様に感光性ポリアミド酸エステル組成物を調整し、評価を行った。
該組成物を、前述の方法に従って銅基板に塗布乾燥、露光、現像、熱処理して得たポリイミド塗膜の解像度は塗布乾燥後の膜厚が10μmの場合は8μmであり、硬化後の膜厚は5μmであり、アスペクト比1以上を満たし、パターン精度は良好であった。しかしながら、塗布乾燥後の膜厚が40μmの場合はアンダーカットが発生し、必要条件を満たすパターンが得られなかった。
ポリアミド酸エステルCをポリアミド酸エステルAの代わりに使用した以外は実施例1と同様に感光性ポリアミド酸エステル組成物を調整し、評価を行った。
該組成物を、前述の方法に従ってシリコンウエハに塗布乾燥、露光、現像、熱処理して得たポリイミド塗膜の解像度は塗布乾燥後の膜厚が10μmの場合は8μmであり、硬化後の膜厚は5μmであり、アスペクト比1以上を満たし、パターン精度は良好であった。しかしながら、塗布乾燥後の膜厚が50μmの場合はアンダーカットが発生し、必要条件を満たすパターンが得られなかった。
ポリアミド酸エステルCをポリアミド酸エステルAの代わりに使用した以外は実施例2と同様に感光性ポリアミド酸エステル組成物を調整し、評価を行った。
該組成物を、前述の方法に従って銅基板に塗布乾燥、露光、現像、熱処理して得たポリイミド塗膜の解像度は塗布乾燥後の膜厚が10μmの場合は8μmであり、硬化後の膜厚は5μmであり、アスペクト比1以上を満たし、パターン精度は良好であった。しかしながら、塗布乾燥後の膜厚が40μmの場合はアンダーカットが発生し、必要条件を満たすパターンが得られなかった。
Claims (4)
- 一般式(1)におけるR" 基がメチル基であることを特徴とする請求項1記載の感光性ポリアミド酸エステル組成物。
- (a)請求項1または2に記載の感光性ポリアミド酸エステル組成物を基材に塗布し、乾燥する工程、(b)塗膜をパターンを有するフォトマスクまたはレチクルを介して紫外線により露光後、未露光部を溶剤で溶解除去して、ポリアミド酸エステルのパターンを得る工程、(c)ポリアミド酸エステルのパターンを加熱硬化することにより、ポリイミドのパターンを得る工程、を含むことを特徴とするポリイミドパターンの形成方法。
- 請求項3記載のポリイミドパターンの形成方法により形成したポリイミドパターンを有することを特徴とする半導体装置。
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