JP2007285884A - 蛋白質結晶化観察方法及び蛋白質結晶化観察装置 - Google Patents

蛋白質結晶化観察方法及び蛋白質結晶化観察装置 Download PDF

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Abstract

【課題】生成された蛋白質の結晶を、正確且つ迅速に結晶化を判定することが可能な蛋白質結晶化観察方法・装置を提供すること。
【解決手段】結晶化容器の中で蛋白質の結晶が成長していく過程を撮像手段を通して観察する蛋白質結晶化観察方法・装置において、前記撮像手段で撮像された撮像画像を、パターンマッチング法によって前記結晶化容器の内部にある蛋白質溶液が貯留されている溶液貯留部領域を認識させ、前記撮像画像を前記溶液貯留部領域の周辺部に形成される円周状の暗部領域とさらにその内側に形成される中心部領域とに画像分割し、前記暗部領域を極座標走査で所定の階調により周辺部明暗データとして取得し、前記中心領域をXY座標走査で所定の階調により中心部明暗データとして取得し、周辺部明暗データと中心部明暗データに基づき、結晶化された蛋白質の有無・数及びその形状とを認識する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒトをはじめ、様々な生物のゲノム(Genom)(配偶子または生物体を構成する細胞に含まれる染色体の一組、または、その中のDNAの総体)配列が明らかにされる中で、ポスト・ゲノム研究として、遺伝子産物である蛋白質の立体構造と分子機能に基づいてゲノム機能を解明しようとする“構造ゲノム科学”の研究分野に関するものであって、さらに詳しくは、良質な蛋白質の結晶を生成し、その結晶化過程を観察するために利用される蛋白質結晶化観察方法及び蛋白質結晶化観察装置に関するものである。
近年、“構造ゲノム科学研究”の分野において、結晶化した蛋白質にX線をあて、構造解析することで蛋白質の全体的な構造や原子・分子の配置を明らかにすることが行われている。その理由は、蛋白質は直線状ではなく、それが折り畳まれた立体構造になっており、その立体構造が蛋白質の特定の“機能”を決定するからである。すなわち、蛋白質の立体構造が特定できれば、それと結合する構造を持つ物質をより速く創り出すことができる。
例えば、創薬研究の分野において、ある蛋白質に薬が作用する部分の形状や大きさを見つけ出す研究が行われており、創薬標的蛋白質の構造解析結果から論理的かつ効率的に薬物分子を設計する手法を確立することが期待されている。
一方、蛋白質の構造解析の方法としては、NMR(Nucler Magnetic Resonance)装置を用いる方法もあるが、分子量が3〜4万程度のものまでしか対応できない。それ以上の大きな蛋白質の構造解析を行うためには、X線構造解析でしか対応できない。X線構造解析を行うためには、試料となる蛋白質を結晶化する必要がある。そのために、蛋白質の結晶化過程を観察し、効率よく蛋白質を結晶化すると共に良質な蛋白質結晶を生成させる必要性が急速に増大している。
このような目的で蛋白質を結晶化する方法としては、蒸気拡散法(Vapor Diffusion)が知られている。この蒸気拡散法には、ハンギング・ドロップ(Hanging Drop)や、シッティング・ドロップ(Sitting Drop)と呼ばれる方法がある。特に、シッティング・ドロップは、ハンギング・ドロップと比較してより大量の試料の結晶化が可能であるが、結晶化容器(Well)中の蛋白質溶液を貯留する溶液貯留部への吸着・付着に注意する必要がある。
シッティング・ドロップによる蛋白質の結晶化は、図7に示したようなカバー112bによって密封された結晶化容器(Well)112を温度管理された恒温室に入れ、前記結晶化容器の溶液貯留部112cの窪みに溜めた結晶母液112a(蛋白質溶液)中に含まれた水分を、蒸気平衡の原理により、沈殿剤溶液を入れたリザーバ112d中に移行させ、その結果、ある時点で平衡状態となる。これによって結晶母液112aは過飽和状態になり、結晶が析出するというものである。結晶が出来る時間は、使用する蛋白質により違い、短いものでは30分程度、長いものでは3ヶ月〜半年のものもある。
上述したような結晶化過程を観察し、蛋白質の結晶化の有無を判別する作業は、これまで作業者が結晶の出来栄えを、目視によって観察していた。そのため、96の結晶化容器を格納した結晶化プレートの1枚を観察する場合、96回の確認作業が必要であり、長時間を有するとともに、作業者に過度の労働を強いていた。
このような結晶化観察を自動化するための観察方法及び観察装置として、カメラによって蛋白質溶液の電子画像を取得し、前記電子画像の原画像と微分画像を共に用いることにより、試料の蛋白質溶液が、「溶液のままであるか」、「沈殿を起こしているか」、「微結晶が得られているか」、あるいは、「結晶が得られているか」を判定する結晶化観察装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−9949公報
ところが、上述したような結晶化観察装置では、蛋白質結晶化容器、特に溶液貯留部の周縁部によって生じる影については、何ら考慮がされていないため、この影を蛋白質の結晶であると誤認することが懸念されていた。また、溶液貯留部に貯留された蛋白質溶液が表面張力により盛り上がりレンズのように中心部と周辺部では屈折率が変わり、蛋白質溶液のレンズ効果により、照明光が観察領域の周縁部に回り込んで影を形成するため、これも誤認の一因として懸念されていた。さらに、結晶化された蛋白質は、高価のものは数千万円するものもあるため、自動化された結晶化観察装置では、結晶化が進んでいる試料を、ほぼ100%の確率で同定することが要求される。
そこで、本発明の目的は、生成された蛋白質の結晶を結晶化容器の影や照明の照射具合によって、誤認することなく、正確且つ迅速に結晶化を判定することが可能な蛋白質結晶化観察方法及び蛋白質結晶化観察装置を提供することにある。
請求項1に係る発明は、結晶化容器の中で蛋白質の結晶が成長していく過程を撮像手段を通して観察する蛋白質結晶化観察方法において、前記撮像手段で撮像された撮像画像を、パターンマッチング法によって、前記結晶化容器の内部にある蛋白質溶液が貯留されている溶液貯留部領域を認識させ、前記撮像画像を前記溶液貯留部領域の内側周辺部に形成される円周状の暗部領域と、さらにその内側に形成される中心部領域とに画像分割し(S1〜S3)、前記円周状の暗部領域を極座標走査で所定の階調により周辺部明暗データとして取得すると共に、前記中心部領域をXY座標走査で前記所定の階調により中心部明暗データとして取得し(S4、S5)、前記周辺部明暗データと前記中心部明暗データに基づき、結晶化された蛋白質の有無・数及びその形状とを認識する(S6)ことによって上記課題を解決するものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の蛋白質結晶化観察方法に加えて、前記蛋白質の結晶化が、シッティング・ドロップ方式によることによって、上記課題を解決するものである。
請求項3に係る発明は、結晶化容器の中で蛋白質の結晶が成長していく過程を撮像手段を通して観察する蛋白質結晶化観察装置において、前記撮像手段で撮像された撮像画像を、パターンマッチング法によって結晶化容器の内部にある蛋白質溶液が貯留されている溶液貯留部領域を認識する溶液貯留部認識手段と、前記溶液貯留部領域の内側周辺部に形成される円周状の暗部領域と、さらにその内側に形成される中心部領域とに画像分割する画像分割手段(S1〜S3)と、前記円形状の暗部領域を極座標走査で所定の階調により周辺部明暗データを取得すると共に、前記中心部領域をXY座標走査で前記所定の階調により中心部明暗データを取得する明暗データ取得手段(S4、S5)と、前記周辺部明暗データと前記中心部明暗データに基づき、結晶化された蛋白質結晶の有無・数及びその形状とを識別する結晶化判別手段(S6)とからなることによって、上記の課題を解決するものである。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の蛋白質結晶化観察装置に加えて、前記蛋白質の結晶化が、シッティング・ドロップ方式によることによって、上記課題を解決するものである。
請求項1に係る発明によれば、結晶化容器の中で蛋白質の結晶が成長していく過程を撮像手段を通して観察する蛋白質結晶化観察方法において、前記撮像手段で撮像された撮像画像を、パターンマッチング法によって、前記結晶化容器の内部にある蛋白質溶液が貯留されている溶液貯留部領域を認識させ、前記撮像画像を前記溶液貯留部領域の内側周辺部に形成される円周状の暗部領域と、さらにその内側に形成される中心部領域とに画像分割し(S1〜S3)、前記円周状の暗部領域を極座標走査で所定の階調により周辺部明暗データとして取得すると共に、前記中心部領域をXY座標走査で前記所定の階調により中心部明暗データとして取得し(S4、S5)、前記周辺部明暗データと前記中心部明暗データに基づき、結晶化された蛋白質の有無・数及びその形状とを認識する(S6)ことによって、結晶化容器内にできた影の領域を蛋白質であると誤認することなく、結晶化過程の観察及び結晶化された蛋白質の観察が迅速かつ正確に判別することが可能になる。
請求項2に係る発明によれば、請求項1に記載の蛋白質結晶化観察方法が奏する効果に加えて、前記蛋白質の結晶化が、シッティング・ドロップ方式によることによって、ハンギング・ドロップ方式と比較してより大量の試料の結晶化過程の観察を迅速かつ正確に行うことが可能になる。
請求項3に係る発明によれば、結晶化容器の中で蛋白質の結晶が成長していく過程を撮像手段を通して観察する蛋白質結晶化観察装置において、前記撮像手段で撮像された撮像画像を、パターンマッチング法によって前記結晶化容器の内部にある蛋白質溶液が貯留されている溶液貯留部領域を認識する溶液貯留部認識手段と、前記溶液貯留部領域の内側周辺部に形成される円周状の暗部領域と、さらにその内側に形成される中心部領域とに画像分割する画像分割手段(S1〜S3)と、前記円形状の暗部領域を極座標走査で所定の階調により周辺部明暗データを取得すると共に、前記中心部領域をXY座標走査で前記所定の階調により中心部明暗データを取得する明暗データ取得手段(S4、S5)と、前記周辺部明暗データと前記中心部明暗データに基づき、結晶化された蛋白質結晶の有無・数及びその形状とを識別する結晶化判別手段(S6)とからなることによって、結晶化容器内にできた影の領域を蛋白質であると誤認することなく結晶化過程の観察及び結晶化された蛋白質の観察を迅速かつ正確に判別することが可能になる。
請求項4に係る発明によれば、請求項3に記載の蛋白質結晶化観察装置が奏する効果に加えて、前記蛋白質の結晶化がシッティング・ドロップ方式によることによって、ハンギング・ドロップ方式と比較してより大量の試料の結晶化過程の観察及び結晶化された蛋白質の観察を迅速かつ正確に判別することが可能になる。
さらに、本発明によれば、溶液貯留部領域全域を計測領域としているので、結晶化された蛋白質を見逃すことがなく、品質の向上が図られる。なお、上記の記載において、文中に括弧書きしたS1、S2・・・の記載は、本発明の理解を助けるために、本発明のフローチャート(図10)に記載したステップを示したものである。
本発明の実施の形態の一例について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の蛋白質結晶化観察装置100の装置構成を説明する概略斜視図を示しており、図2は、図1に示した蛋白質結晶化観察装置100の光学系を示した概念図である。図1に示したように、この蛋白質結晶化観察装置100は、蛋白質が溶け込んだ水滴などの試料を格納する複数の結晶化容器112を有する結晶化プレート110と、結晶化プレート110を載置するバックライト照明を兼ねた観察ステージ120と、蛋白質の結晶化過程を撮像するカメラ130を有している。そして、観察ステージ120の上方には、カメラ130をXY軸方向に移動可能なように支持するX軸方向直線スライダ150とY軸方向直線スライダ140が備えられている。このX軸方向直線スライダ150及びY軸方向スライダ140には、パソコン端末PCの操作により、あるいは、パソコン端末上の蛋白質結晶化自動観察用ソフトフェアによって、カメラ130をX方向及びY方向並びに極座標方向に移動させるための駆動源を有している。前述のように本実施例では、結晶化プレート110を観察ステージ120に載置しカメラ130をXY軸方向に移動させながら結晶化過程の観察を行うため、結晶化プレート110に振動等が加わることがなく精密な測定が可能である。
カメラ130の機種については、特に限定されるわけではないが、小型・軽量で耐久性に優れ、感度が高く画像の歪みも少ないなどの特徴を持つ市販の2次元モノクロCCDビデオカメラ(Charged Coupled Device Video camera)が好適に使用される。本実施例においては、1600×1400画素の2次元モノクロCCDカメラを使用している。
上記バックライト照明を兼ねた観察ステージ120は、図1及び図2に示すように結晶化観察をより正確に行うためにできる限り均一な平行光線となるような工夫が施されている。具体的には、面発光LED(Light Emitting Diode)122の上に、光の強弱を均一化するための拡散板124が配置され、さらにその上に光の特定の偏波のみを透過させる偏向フィルタ126が配置されている。なお、本実施例では、照明手段としてバックライト照明、すなわち、透過照明方式を採用しているが、照明手段としては、これに限られることなく、カメラ130のレンズとの一体化も可能なリング照明方式を採用することも可能である。
また、カメラ130のレンズの前には、図2に示したように、前記偏向フィルタ126と同じ偏波の光のみを透過させる偏向フィルタ132が設置されており、前記偏向フィルタ126と協働して、一方向の偏波光のみを透過させている。これによって、撮像される画像に歪みなどが発生することを抑制している。このような、光学系の構成をしているため、照明をいくつも使って影を消す必要がなく、1つの照明と1つのカメラで蛋白質結晶化過程を観察できるため、蛋白質結晶化観察装置を小型化することが可能である
このような光学系で撮像された画像データは、パソコン端末PCに入力され、画像処理が施され結晶の有無・数及びその形状などの情報が取得される。取得されたデータは、例えば、パソコン内のハードディスクや別に用意されたデータベースに蓄積され、前記蛋白質結晶化自動観察用ソフトフェアによって、自動的に結晶化過程が記憶される。さらに、一枚の画像データをパソコンの画面に表示させ、GUI(Graphical User Interface)を用いて作業者が個別に画像処理を行うことも可能である。なお、図1に示した蛋白質結晶化観察装置100の装置構成においては、横12行×縦8列の96個の結晶化容器112を格納する日京テクノス(株)製の結晶化プレート110を使用している。図3は、前記日京テクノス(株)製の結晶化プレート110の斜視図である。図4は、図3に示した結晶化プレート110の上面図であり、図5は、その側面図、図6は、図4のVI−VI線における断面図である。図7は、図6のVII部として示した結晶化容器(well)112の断面図を示している。
なお、本実施例では、図7に示したような結晶化容器112を格納した日京テクノス(株)製の結晶化プレート110を使用しているが、結晶化プレートは、これに限られるものではない。例えば、図8(a)に側面断面図を、図8(b)に上面図を示したように上面正方形の結晶化容器212を二つに分割し、片側をリザーバ212dとし、反対側に溶液貯留部212cを設け、前記溶液貯留部212cの中心に結晶母液(蛋白質溶液)212aを貯留した結晶化容器212を格納した結晶化プレート210を用いることも可能である。
図9(a)は、上述した結晶化容器212を格納した結晶化プレート210の斜視図であり、図9(b)は、その上面図である。この結晶化プレートを用いた場合、図7に示した結晶化容器112に比べて結晶母液212aの存在箇所が、正方形の片側に限定されるため、パターンマッチング法による溶液貯留部領域の探索エリアが半分になり、観察時間が短縮されるという利点がある。
上述した実施例では、一つの結晶化容器(Well)112の中に、水分等を吸収するリザーバ112dと、試料が貯留される溶液貯留部112cと前記溶液貯留部112c上に滴下された結晶母液112aとカバー112bを有しているシッティング・ドロップ法で使用されるものを示しているが、この方法に限定されることはなく、ハンギング・ドロップ法に適用することも当業者であれば、困難なことではない。
次に本発明の蛋白質結晶観察装置100によって、蛋白質の結晶化を認知する工程について、図10に示したフローチャートの流れにしたがって説明する。なお、下記の記載において、文中に括弧書きしたS1、S2・・・の記載は、本発明の理解を助けるために、フローチャートに記載したステップを示したものである。
まず、図1及び図2に示したようにカメラ130によって、結晶化プレート110の中の観察対象となる結晶化容器112を予め、何も入っていない状態で撮像しコンピュータに取り込む(S1、S2)。その撮像画面をGUIに映した時の例を図11に示す。この撮像画面を基にコンピュータ上に描いたカメラ130と同じ画素である1600×1400画素の仮想画面上に蛋白質溶液が貯留されている溶液貯留部領域を認識させ、ピクセル(1画素)単位で溶液貯留部領域とその外周の円周状の周辺領域とを区分する円を図17に示したように描く。なお、図17に示したピクセル単位の円は、図示の都合上、40×35画素で描いており、実際の縮尺とは、全く異なっていることに留意されたい。また、この円をテンプレートとして、結晶化過程にある観察対象の結晶化容器112の撮像画像に対して、パターンマッチング処理を施し、前記結晶化容器の内部にある蛋白質溶液が貯留されている溶液貯留部領域を認識させる(S1〜S3)。なお、本実施例に於いては、溶液貯留部領域(計測領域)とその外周の円周領域(計測外領域)を区分しているが、計測領域と計測外領域を区分する方法は、2区分でなくそれ以上の区分を行うことも可能である。また、計測領域の形状も円だけでなく四角形や三角形や六角形等の形状とすることも可能であるが、ここではその具体的方法等についての説明は割愛する。
パターンマッチング処理の具体的な方法としては、ソフトウェアとして市中に出回っているものをカスタマイズ(Customize)することにより、すなわち、多数のユーザ向けに設定されているハードウェアやソウトウェアの機能を、特定のユーザの運用形態や使用目的に合わせて変更することによって利用することができる。本発明に用いた具体的方法としては、対象となる2つの画像、すなわち、上記テンプレート画像と観察対象の結晶化容器画像の2つの画像に対して正規化相関法、すなわち2つの画像の正規化相関値が最も大きくなる点を求めることによって、結晶化容器の内部の溶液貯留部領域の周辺部に形成される円周状の暗部領域とその内側に同心円状に形成される中心部領域とに画像分割するための円をピクセル単位で求める。このようにして導出された外周円をGUI上に点線で示したものを図12に示す。なお、本実施例に於いては正規化相関法によって、画像分割をするための境界円を導出したが、残差マッチングとなど、他のパターンマッチングの手法を用いることも可能である。
図12に点線で示した外周円113が、溶液貯留部の外縁を定めるものであって、この外周円113より外側の明暗は、結晶化容器の溶液貯留部によって生じる影あるいは照明の照射具合によって生じた影(光の透過・反射によって生じた光輝領域を含む)であると判断され、観察の対象から除外される。
一方、前記外周円113と同心円状に前記外周円113の約3分の2程度の大きさの内周円114を仮想画面上に描く。そして、図13に斜線で示したように、前記外周円113と前記内周円114に挟まれた領域を溶液貯留部領域の周辺に形成される円周状の暗部領域115と認識し、この領域を極座標方向に走査して、円周方向に4セグメント単位に濃度平均の最大値と最小値を減算し、差が所定の閾値以上の場合、結晶ありと判断され、所定の閾値未満の場合結晶無しと判断される(S4)。
本発明で採用した前記円周状の暗部領域115の処理方法を模式的に表現すると、図17に示したように、4ピクセル×4ピクセルからなる16ピクセルを1セグメントとする。1ピクセル毎に所定の階調、例えば、256階調で濃淡を取得し、1セグメント毎の濃度平均を求める。そして、隣接した4セグメントずつを一つの単位として、その中の最大値と最小値を減算し、その値が所定の閾値、例えば、70より大きい場合、異なる物質間の境界がある、すなわち結晶がある判断する。逆に、所定の閾値未満である場合、それは、均一な物質が、4セグメント以上に亘って存在していることを意味しており、そのような物質は、結晶ではなく、結晶化容器の形状や、照明の照射具合によって生じた影であると判断する。具体的に示すと、図17に示したように左から1セグメントの濃度平均が、50、80、100、120、120、120、120、120、50・・・である場合、左から順に4セグメントごとの差を求めると、4セグメント(A)が120−50=70で閾値70以上になるため結晶ありと判断する。4セグメント(B)の場合、120−80=40で閾値70未満になるため結晶ではないと判断する。以下同様に、4セグメント(C)〜4セグメント(E)も結晶ではないと判断する。4セグメント(F)は、120−50=70で閾値70以上になるため結晶であると判断される。このように順次処理を行うことによって、円周状の暗部領域に形成された結晶を確認することができる。それをGUI上に示したものが図14である。
このように、円周状の明暗領域115を極座標走査で観察することにより、溶液貯留部領域の周縁部に形成される結晶を、周縁部に形成される影の影響を受けることなく的確に確認することができる。
次に、中心領域、すなわち内周円114の中の観察であるが、ここには、結晶化容器の形状や、照明の照射具合によって生じた影は存在しないため、XY方向のセグメント単位で濃淡値を求めて、その値が閾値以上である場合、結晶ありと判断し、閾値未満である場合何も存在しないと判断する(S5)。
最後に円周上の暗部領域で観察された結晶と中央部領域で観察された結晶の論理和を演算することにより最終判別結果とする(S6)。それをGUI上に示したものが図15である。
本発明は、結晶化容器の中で蛋白質の結晶が成長していく過程を撮像手段により観察する際に、計測領域と計測外領域に分割すると共に、計測領域を外周部は極座標走査で中心部をXY座標走査で観察するという新規な知見に基づいており、この方法を用いることによって、蛋白質の結晶化過程を、無人で且つ高い判別精度で観察可能とし、蛋白質構造解析のハイスループット化(大量・高速化)に寄与するものであって、その産業上の利用可能性は極めて大きい。
本発明の蛋白質結晶化観察装置のハード構成を示した概略斜視図である。 本発明の蛋白質結晶化観察装置の光学系の構成を示す概念図である。 本発明に使用した結晶化プレートである。 図3に示した結晶化プレートの上面図である。 図3に示した結晶化プレートの側面図である。 図4に示した結晶化プレートをVI−VI線で切断した時の断面図である。 図6でVII部と示した結晶化容器の拡大断面図である。 図7とは別の形態の結晶化容器であり(a)が垂直断面図であり(b)が上面図である。 図8に示した結晶化容器を格納した結晶化プレートであり(a)が斜視図であり(b)が上面図である。 本発明の蛋白質結晶化観察方法のフローチャートである。 結晶がない場合の結晶化容器を示しているGUIである。 結晶化容器の溶液貯留部領域の外縁を示す外周円113と中心部領域の外縁を示す内周円114を示しているGUIである。 外周円と中心部領域に挟まれた円周状の暗部領域を示しているGUIである。 円周状の暗部領域から観察された結晶を示しているGUIである。 円周状の暗部領域と中心部領域とから観察された結晶を示しているGUIである。 パターンマッチング方法に使用するテンプレートの概略図である。 円周状の暗部領域で結晶の検出をする概略を示した説明図である。
符号の説明
100 ・・・ 蛋白質結晶化観察装置
110、210 ・・・ 結晶化プレート
112、212 ・・・ 結晶化容器
113 ・・・ (溶液貯留部領域の外縁を示す)外周円
114 ・・・ (中心部領域の外縁を示す)内周円
115 ・・・ 円周状の暗部領域
120 ・・・ 観察ステージ
122 ・・・ 面発光LED
124 ・・・ 拡散板
126 ・・・ 偏光フィルタ
130 ・・・ カメラ
140 ・・・ Y軸方向直線スライダ
150 ・・・ X軸方向直線スライダ

Claims (4)

  1. 結晶化容器の中で蛋白質の結晶が成長していく過程を撮像手段を通して観察する蛋白質結晶化観察方法において、
    前記撮像手段で撮像された撮像画像を、パターンマッチング法によって前記結晶化容器の内部にある蛋白質溶液が貯留されている溶液貯留部領域を認識させ、
    前記撮像画像を前記溶液貯留部領域の内側周辺部に形成される円周状の暗部領域と、さらにその内側に形成される中心部領域とに画像分割し、
    前記円周状の暗部領域を極座標走査で所定の階調により周辺部明暗データとして取得すると共に、前記中心部領域をXY座標走査で前記所定の階調により中心部明暗データとして取得し、
    前記周辺部明暗データと前記中心部明暗データに基づき、結晶化された蛋白質の有無・数及びその形状とを認識すること
    を特徴とする蛋白質結晶化観察方法。
  2. 前記蛋白質の結晶化が、シッティング・ドロップ方式によることを特徴とする請求項1に記載の蛋白質結晶化観察方法。
  3. 結晶化容器の中で蛋白質の結晶が成長していく過程を撮像手段を通して観察する蛋白質結晶化観察装置において、
    前記撮像手段で撮像された撮像画像を、パターンマッチング法によって前記結晶化容器の内部にある蛋白質溶液が貯留されている溶液貯留部領域を認識する溶液貯留部認識手段と、
    前記溶液貯留部領域の内側周辺部に形成される円周状の暗部領域とさらにその内側に形成される中心部領域とに画像分割する画像分割手段と、
    前記円形状の暗部領域を極座標走査で所定の階調により周辺部明暗データを取得すると共に、前記中心部領域をXY座標走査で前記所定の階調により中心部明暗データを取得する明暗データ取得手段と、
    前記周辺部明暗データと前記中心部明暗データに基づき、結晶化された蛋白質結晶の有無・数及びその形状とを識別する結晶化判別手段
    とからなることを特徴とする蛋白質結晶化観察装置。
  4. 前記蛋白質の結晶化が、シッティング・ドロップ方式によることを特徴とする請求項3に記載の蛋白質結晶化観察装置。
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