JP2007285790A - 試験電流発生装置及び絶縁監視装置用の試験装置 - Google Patents
試験電流発生装置及び絶縁監視装置用の試験装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】1線が接地された単相交流又は3相交流の電路の零相電流を検出する零相電流検出センサZTの検出情報に基づいて、前記零相電流に含まれる抵抗性の電流成分を抽出して前記電路の絶縁監視を行う絶縁監視装置IOの動作試験を行うために、前記零相電流検出センサの検出対象箇所に試験用電流を流す絶縁監視装置用の試験電流発生装置5において、前記零相電流の検出情報と、前記試験用電流を流すことによって絶縁監視装置IOの検出にかかる前記抵抗性の電流成分の目標値と、前記抵抗性の電流成分の位相を特定するための情報として予め設定されている基準位相情報とに基づいて、前記零相電流に含まれる抵抗性の電流成分に足し合わせたときに前記目標値が得られる前記試験用電流を生成する。
【選択図】図1
Description
このような絶縁監視を行うための方式としては、零相変流器にて検出される零相電流は、大まかには地絡電流によって各線間の電流バランスが崩れた状態を表すことから、単に零相電流の大小を評価するだけの簡易的な監視方法も考えられる。
しかしながら、零相電流には、電路及び機器の対地静電容量や情報機器の電源に設けられたノイズフィルタを経て流れる容量性の電流成分が含まれており、単純に零相電流の大小を評価する方式では、純粋の地絡電流を精度良く評価することが困難となっている。
このため、漏電は劣化した絶縁抵抗を介するものであることから、抵抗性の電流成分を純粋の地絡電流として検出する方式が考えられており、接地線に商用周波数よりも低周波数の微小電圧を注入し、その注入電圧と同相の電流を零相変流器にて検出することで地絡電流を求める方式や、下記特許文献1に記載されているような、零相変流器が検出する零相電流から電圧と同相の電流成分である抵抗性の電流成分をベクトル的に抽出する方式が考えられている。
この2つの方式を比較すると、前者は、検出精度は高いものの低周波数の電圧を注入するためのトランスが必要となること等により、非常に高価なものとなるのに対して、後者の方式は、安価なシステム構成で十分に良好な検出精度が得られるものとなっている。
後者の零相電流から抵抗性の電流成分をベクトル的に抽出する方式の絶縁監視装置において、絶縁監視装置の試験方法としては、従来、例えば、零相変流器の試験用の巻線を通し、絶縁監視装置が絶縁監視している電路を停電させた状態で、その試験用の巻線に試験用電流を流して、絶縁監視装置が適正に動作するかを確認する方法や、あるいは、絶縁監視装置が絶縁監視している電路を停電させて零相変流器を取り外し、取り外した零相変流器に試験用の巻線を通すと共に試験用電流を流して、絶縁監視装置が適正に動作するかを確認する方法が取られている。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、監視対象の電路を停電させることなく活線状態のままで絶縁監視装置の精度試験を行えるようにする点にある。
零相電流Ioは、図8に示すように、ベクトル記号法によって、電圧Vと同相の抵抗性の電流成分Irと、その抵抗性の電流成分と90°位相が異なる容量性の電流成分Icとのベクトル和として表されるので、種々の方法により測定した電圧Vの位相(すなわち抵抗性の電流成分Irの位相)を特定するための情報が基準位相情報として与えられていれば、零相電流Ioの振幅及び位相と前記基準位相情報とから抵抗性の電流成分Irすなわち純粋の地絡電流を求めることができる。
絶縁監視装置の精度試験を行うためには、零相変流器又は変流器にて構成される零相電流検出センサの検出対象箇所に流れる電流を制御する必要があるが、この検出対象箇所に流れる電流の一部として元々流れている零相電流をそのまま利用する。
従って、元々流れている零相電流に足し合わせたときに、零相電流検出センサの検出対象箇所に流したい抵抗性の電流成分の目標値が得られる試験用電流を生成する。
尚、前記基準位相情報に基づいて設定する位相は、電圧位相すなわち零相電流のうちの抵抗性の電流成分の位相と必ずしも一致している必要なく、抵抗性の電流成分さえ特定されていれば、それに意図的に容量性の電流成分を付加する形で試験用電流の生成をしても良い。例えば、絶縁監視装置の精度試験を行うための機器の電源をとる商用電源の電源位相をそのまま使用しても良い。
絶縁監視装置は零相電流のうちの抵抗性の電流成分を抽出する操作を行うので、付加した容量性の電流成分は無視されるはずであり、逆に、付加した容量性の電流成分が適正に除去されているか否かの確認を行うことも可能である。
尚、基礎正弦波生成手段にて生成する正弦波の位相を抵抗性の電流成分の位相から意図的にずらせる場合には、その位相のずれ分の影響を振幅設定手段においても考慮して振幅を設定することになる。
これによって、絶縁監視装置の零相電流検出センサは、抵抗性の電流成分が確実にコントロールされた状態できれいな正弦波波形の電流を検出対象とすることになる。
絶縁監視装置の精度試験を行うためには、零相変流器又は変流器にて構成される零相電流検出センサの検出対象箇所に流れる電流を制御する必要があるが、この検出対象箇所に流れる電流の一部として元々流れている零相電流をそのまま利用して、そこに試験用電流を足し合わせる形で前記検出対象箇所を流れる電流を制御する。
絶縁監視装置の精度試験にあたっては、零相電流検出センサの試験用巻線に流す試験用電流を漸増させ、その漸増の過程で、地絡事故が発生したと絶縁監視装置が検知したとき、そのときに零相電流検出センサの検出対象箇所に流れている零相電流に含まれる抵抗性の電流成分が、所定の範囲内すなわち絶縁監視装置が地絡事故として検出動作すべきものとして予め設定されている電流値の範囲内にあるか否かを判定して、絶縁監視装置が適正に動作しているか否かを試験する。
絶縁監視装置の精度試験を行うためには、零相変流器又は変流器にて構成される零相電流検出センサの検出対象箇所に流れる電流を制御する必要があるが、この検出対象箇所に流れる電流の一部として元々流れている零相電流をそのまま利用して、そこに試験用電流を足し合わせる形で前記検出対象箇所を流れる電流を制御する。
絶縁監視装置の精度試験にあたっては、零相電流検出センサの試験用巻線に流す試験用電流を漸増させ、その漸増の過程で、絶縁監視装置が地絡事故として検出動作すべきものとして予め設定されている電流値の範囲の下限に達しない状態で検出動作してしまったり、あるいは、上限を超えても検出動作しないようなことがないかを判定することで、絶縁監視装置が適正に動作しているか否かを試験する。
絶縁監視装置の精度試験を行うためには、零相変流器又は変流器にて構成される零相電流検出センサの検出対象箇所に流れる電流を制御する必要があるが、この検出対象箇所に流れる電流の一部として元々流れている零相電流をそのまま利用して、そこに試験用電流を足し合わせる形で前記検出対象箇所に流れる電流を制御する。
試験用電流は、電路に流れる零相電流と足し合わせたときに基準正弦波と一致するように生成されるので、絶縁監視装置は、前記基準正弦波に相当する電流を検出することになる。
この基準正弦波に相当する正弦波電流の大きさを適宜に変更して絶縁監視装置の精度試験を行えることになる。
この試験用電流は、元々の零相電流に含まれる抵抗性の電流成分の存在を前提として、試験用電流を前記検出対象箇所に流した結果として前記零相電流検出センサの検出にかかる抵抗性の電流成分を的確に制御した状態で生成され、零相電流のうちの抵抗性の電流成分を抽出して絶縁監視を行う形式の絶縁監視装置の動作試験を、監視対象の電路を停電させることなく活線状態のままで行えるものとなった。
又、上記第3の発明によれば、絶縁監視装置の零相電流検出センサは、抵抗性の電流成分が確実にコントロールされた状態できれいな正弦波波形の電流を検出対象とすることになるので、零相電流のうちの抵抗性の電流成分を抽出して絶縁監視を行う形式の絶縁監視装置の動作試験を、監視対象の電路を停電させることなく活線状態のままで、しかも、より厳密に行えるものとなった。
又、上記第4の発明によれば、絶縁監視装置の零相電流検出センサは、抵抗性の電流成分が確実にコントロールされた状態できれいな正弦波波形の電流を検出対象とすることになるので、零相電流のうちの抵抗性の電流成分を抽出して絶縁監視を行う形式の絶縁監視装置の動作試験を、監視対象の電路を停電させることなく活線状態のままで、しかも、より厳密に行えるものとなった。
又、上記第6の発明によれば、元々流れている零相電流をそのまま利用して、そこに試験用電流を足し合わせる形で絶縁監視装置の試験を行うので、活線状態のままで絶縁監視装置の精度試験を行うことができる。
又、上記第7の発明によれば、元々流れている零相電流をそのまま利用して、そこに試験用電流を足し合わせる形で絶縁監視装置の試験を行うので、活線状態のままで絶縁監視装置の精度試験を行うことができると共に、零相電流検出センサの検出対象箇所に流れる電流が正弦波電流となるので、絶縁監視装置の精度試験を高精度で行うことができる。
<第1実施形態>
電力需要家の電源受配電設備付近での機器の接続形態を概略的に示す図1のように、配電線から引込み線にて電源受配電設備に引込まれた6.6kVの高圧は、変圧器Tにて200Vの3相3線,単相3線、あるいは、100Vの単相2線等の低電圧に変圧される。
変圧器Tの2次側(低圧側)の一端はB種接地線にて接地され、例えば、3相3線については3相の線のうちの1相の線が接地されている。
この接地線EBには、零相電流を検出する零相電流検出センサZCT1である零相変流器1が取り付けられ、更に、その零相変流器1の検出情報に基づいてこの電路の絶縁監視を行う絶縁監視装置IOが備えられている。
絶縁監視装置IOには、零相変流器1の検出情報に基づいて地絡電流を検出する地絡電流検出装置2と、地絡電流検出装置2が設定量以上の地絡電流を検出したときに警報信号を出力して報知するための警報信号出力装置3と、絶縁監視装置IOが遠隔地に存在する監視センターOCと通信回線CLを通じて通信するための通信回路4と、地絡電流検出装置2の動作試験(検出精度試験)を行うための試験用電流を生成する試験電流発生装置5と、地絡電流検出装置2の動作試験の実行を制御する試験制御装置6とが備えられている。
絶縁監視装置IOは、試験電流発生装置5と試験制御装置6とを備えることで、絶縁監視装置IO用の試験装置を内蔵していることになる。
試験電流発生装置5にて生成した試験用電流は、零相変流器1に通した(巻回した)試験用巻線7にて、零相変流器1の検出対象箇所に供給される。
抵抗性の電流成分を抽出するための具体的な手法としては、零相電流の位相と電圧位相との位相差を検出し、その位相差(角度)から零相電流の抵抗性成分をベクトル計算する手法で良いが、上記特許文献1に記載のように、線間電圧から生成した位相判定信号を利用してベクトル演算を行う手法でも良く、いずれにしても上記のような電路の電圧情報に基づいて適宜に抽出できる。
抵抗性電流分検出部23は、地絡電流検出装置2と同様にして零相電流に含まれる抵抗性の電流成分を抽出するものであり、零相電流検出センサZCT1の検出情報と電路の電圧情報とに基づいて抵抗性の電流成分を検出する手段として設けられている。
絶縁監視装置IOの動作試験は、監視センターOCから絶縁監視装置IOへ試験実行指令を送信することによって行われる。
監視センターOCでは、定期的に、管理下にある多数の絶縁監視装置IOに対して、試験実行指令を送信する。
この試験実行指令は、絶縁監視装置IOに備えられている試験制御装置6を送り先に指定した状態で送信され、試験制御装置6は通信回路4を介してこの試験実行指令を受け取る。
試験制御装置6は、試験実行指令の受信に伴い、図3に示す処理を開始する。
次ぎに、図示を省略する帰還抵抗により利得が「1」の差動増幅回路24の一方の入力に、零相変流器1の検出にかかる抵抗性の電流成分の目標値Itの初期値に相当する電圧値を設定する。
この初期値は、絶縁監視装置IOが警報を発する電流値よりも十分低い値に設定されている。
この目標値Itを設定すると、抵抗性電流分検出部23に対して、地絡電流検出装置2から入力される零相電流の検出信号について純粋の地絡電流Igr1(零相電流のうちの抵抗性の電流成分)を検出するように指示する(ステップ#3)。
正弦波電流発生回路25にて生成される正弦波電流の周波数は、監視対象の電圧の周波数と一致させてあり、位相は位相指示回路27にて指定される。
位相指示回路27は、正弦波電流発生回路25に対して指示する位相を、絶縁監視装置IOの設置時に設定して記憶している。
すなわち、絶縁監視装置IOを設置したときに、監視対象の電路の電圧をゼロクロス位相検出回路30へ入力させると共に、絶縁監視装置IOの動作用電源として使用している交流電源の電圧(通常、商用100V)をゼロクロス位相検出回路31に入力させて、両者の位相差を位相差検出回路32にて求める。
この位相差検出回路32にて求めた位相差の情報を、前記抵抗性の電流成分の位相を特定するための基準位相情報として位相指示回路27に記憶させておく。
この位相差(基準位相情報)は、監視対象の電路から絶縁監視装置IOの動作用電源に至るまでの変圧器の結線方式に依存し、30°の整数倍となるが、配線を変更しない限り不変である。
位相指示回路27は、自己の動作用電源の電圧位相と、記憶している位相差とから、監視対象の電路の電圧位相に一致する位相の正弦波電流を生成するように正弦波電流発生回路25へ位相指示信号を出力する。つまり、試験用電流を全て抵抗性の電流成分としている。
この試験用電流の生成過程をまとめると、試験電流発生装置5は、前記零相電流の検出情報と、試験用電流を流すことによって絶縁監視装置IOの検出にかかる抵抗性の電流成分の目標値Itと、前記基準位相情報とに基づいて、前記零相電流(接地線EBの零相電流)に含まれる抵抗性の電流成分と足し合わせたときに前記目標値Itが得られる試験用電流を生成していることになる。
更に、試験電流発生装置5は、正弦波電流発生回路25,ゲイン調整回路26及び位相指示回路27を備えることで、所定の位相を有し大きさが可変できる試験用電流を発生する試験用電流発生手段として機能している。
ゲイン調整回路26は、試験用電流の供給開始以降、シャント抵抗28によって検出する電流値が実効値でIt−Igr1を維持するように、正弦波電流発生回路25で生成する正弦波電流の振幅を制御する。
試験制御装置6は、この後、スイッチ29をオフ状態とすることでの試験用電流の供給停止(ステップ#6)、前記目標値Itを設定量(例えば、1mA)増加(ステップ#8)、抵抗性の電流成分の検出指示(ステップ#3)、スイッチ29をオン状態とすることでの試験用電流の供給再開(ステップ#4)を繰り返す。すなわち、試験用電流の大きさが漸増するように流している。
警報信号出力装置3は、試験制御装置6からの指令によって警報信号を出力しないように設定されているので、何もせずそのままの状態を維持する。
一方、地絡電流検出装置2から抵抗性の電流成分が上記の警報発生電流値以上となったことを示す信号を受け取った試験制御装置6は(ステップ#5)、スイッチ29をオフ状態として試験用電流の供給を停止(ステップ#9)した後、その時点の目標値Itが、上記の警報発生電流値の検出許容誤差内に収まっていれば合格、収まっていなければ不合格と合否を判定し(ステップ#10)、合否の判定結果と検出誤差とを監視センターOCへ送信する(ステップ#12)。
これに対して、前記目標値Itを上限値(前記警報発生電流値よりもある程度高い値に設定されている)まで上昇させても地絡電流検出装置2から前記警報発生電流値以上になったことを示す信号が出力されないときは(ステップ#7)、試験結果を不合格と判定して(ステップ#10)、その旨を送信する(ステップ#11)。
絶縁監視装置IOの試験制御装置6から試験の合否の判定結果等を受け取った監視センターOCでは、試験結果が不合格の場合、必要な修復措置をとる。
このように位相ずれさせた試験用電流を供給しても、地絡電流検出装置2の抵抗性の電流成分を抽出する機能が適正に機能していれば、上記の試験と同じ結果が得られるはずであり、地絡電流検出装置2の機能をより広い範囲でチェックできることになる。
更に、試験用電流の位相を監視対象の電圧位相と一致させて抵抗性の電流成分のみとして試験用巻線7に供給して行う試験と、試験用電流の位相を監視対象の電圧位相からずらせて試験用巻線7に供給して行う試験との両方の試験を行うことで、より厳密に試験を行うようにしても良い。
上記第1実施形態では試験用巻線7に供給する試験用電流を正弦波電流としているのに対して、本発明の第2実施形態は、試験電流発生装置5が試験用電流を試験用巻線7に供給した結果、零相変流器1の検出にかかる電流(試験用電流と元々の零相電流とを足し合わせた電流)が正弦波電流となるように制御するものであり、そのため、試験電流発生装置5の内部構成が上記第1実施形態におけるものと異なり、それに伴って試験制御装置6の制御態様も若干異なるものとなっている。
その他の部分は、全て上記第1実施形態と共通である。
尚、上記第1実施形態と共通する構成要素については、上記第1実施形態と同一符号を付している。
従って、演算増幅回路43は、ローパスフィルタ21からの入力信号と正弦波発生回路41からの入力信号とが一致するように試験用電流を制御する。
振幅設定回路42は、試験制御装置6から目標値Itが指示されたときに、地絡電流検出装置2において零相電流を電圧に変換する変換特性を基礎として、実効値が「It」の正弦波電流を零相変流器1が検出したときに地絡電流検出装置2からローパスフィルタ21へ送られてくる零相電流検出信号に一致する振幅の正弦波電圧を生成するように正弦波発生回路41に指示する。
正弦波発生回路41が生成する正弦波電圧の周波数は、監視対象の電圧の周波数と一致させてある。
正弦波発生回路41が生成する正弦波電圧の位相は、上記第1実施形態と全く同様に動作する位相指示回路27,ゼロクロス位相検出回路30,ゼロクロス位相検出回路31及び位相差検出回路32によって設定される。
すなわち、絶縁監視装置IOを設置したときに、監視対象の電路の電圧と絶縁監視装置IOの動作用電源として使用している交流電源の電圧との位相差を前記基準位相情報として位相指示回路27に記憶させておき、自己の動作用電源の電圧位相と、記憶している位相差とから、監視対象の電路の電圧位相に一致する位相の正弦波電圧を生成するように正弦波発生回路41へ位相指示信号を出力する。
この試験用電流の生成過程をまとめると、試験電流発生装置5は、前記零相電流の検出情報と、試験用電流を流すことによって絶縁監視装置IOの検出にかかる抵抗性の電流成分の目標値Itと、前記基準位相情報とに基づいて、前記零相電流(接地線EBの零相電流)に含まれる抵抗性の電流成分と足し合わせたときに前記目標値Itが得られる試験用電流を生成していることになる。
以上から、正弦波発生回路41,振幅設定回路42及び位相指示回路27は、前記目標値Itと、前記基準位相情報とに基づいて設定した振幅と位相とを有する正弦波を生成する目標正弦波生成手段TSとして機能し、演算増幅回路43が、検出対象箇所の零相電流の検出情報と目標正弦波生成手段TSにて生成した正弦波とを入力として、その2入力が一致するように試験用電流を生成する。
試験制御装置6の制御動作は図5のフローチャートに示すものであり、基本的な骨格は上記第1実施形態における図3のフローチャートと共通するが、抵抗性の電流成分の検出動作を行わせる指示と、その前後におけるスイッチ29のオンオフ指令とが不要になっている。
試験動作の流れは、警報信号出力装置3が警報信号を出力しないように設定した(ステップ#21)後、目標値Itを初期設定し(ステップ#22)、試験電流発生装置5への通電を開始することで試験用巻線7への試験用電流の供給を開始する(ステップ#23)。この後、前記目標値Itを徐々に上昇させながら(ステップ#26)、地絡電流検出装置2が警報(厳密には、抵抗性の電流成分が設定値以上となったことを示す信号)を出力するか否かを監視し(ステップ#24)、警報を出力すると、試験電流発生装置5への通電を停止して試験用電流の供給を停止した(ステップ#27)後、その時の目標値It(ここでは、試験対象の絶縁監視装置IOが地絡事故を検出動作した動作値となっている)から、上記の地絡事故を検出動作した動作値が設定許容範囲内に入っているか否かによってその動作値の良否を判定する(ステップ#28)。
その判定結果は監視センターOCへ送信される(ステップ#29)。こうして試験が完了すると、警報信号出力装置3が警報信号を出力できる状態に戻す(ステップ#30)。
このように位相ずれさせた電流が零相変流器1の検出にかかるように試験用電流を供給しても、地絡電流検出装置2の抵抗性の電流成分を抽出する機能が適正に機能していれば、上記の試験と同じ結果が得られるはずであり、地絡電流検出装置2の機能をより広い範囲でチェックできることになる。
更に、零相変流器1の検出にかかる電流の位相を監視対象の電圧位相と一致させて抵抗性の電流成分のみとして試験用巻線7に供給して行う試験と、零相変流器1の検出にかかる電流の位相を監視対象の電圧位相からずらせて試験用巻線7に供給して行う試験との両方の試験を行うことで、より厳密に試験を行うようにしても良い。
本発明の第3実施形態は、零相変流器1の検出にかかる電流を正弦波電流とする点で上記第2実施形態と共通するが、そのための試験電流発生装置5の具体構成が上記第2実施形態と異なる。
本第3実施形態では、図6に示すように、接地線EBに流れる零相電流を検出する手段として、上記第1実施形態及び上記第2実施形態と同様の零相変流器1(零相電流検出センサZCT1)に加えて、試験用零相電流検出センサZCT2として零相変流器10が設置されている。
この零相変流器10(試験用零相電流検出センサZCT2)は、上記のように零相変流器1(零相電流検出センサZCT1)と共通の電路の零相電流を検出対象としているのであるが、零相変流器1と異なり試験用巻線7が通されず試験用電流が通電されない位置に配置されている。
従って、試験用電流を試験用巻線7に流しても、零相変流器10は元々の零相電流だけを検出する状態を維持する。
この零相変流器10の検出情報を試験電流発生装置5に入力する点と、それに伴って試験電流発生装置5の内部構成が異なる点を除いて、本第3実施形態は上記第2実施形態と共通する。
尚、上記第1実施形態又は上記第2実施形態と共通する構成要素については、上記第1実施形態又は上記第2実施形態と同一符号を付している。
又、I/V変換回路51及びV/I変換回路52の変換特性、並びに、振幅設定回路42が指示する振幅のレベルは、共通の電圧と電流との変換基準で統一させてある。
従って、V/I変換回路52は、接地線EBに流れる零相電流と正弦波発生回路41で生成する正弦波電圧に対応する電流との差を試験用電流として試験用巻線7の供給し、その結果として、接地線EBの電流(元々の零相電流)と試験用巻線7の電流とを足し合わせて検出する零相変流器1は、正弦波発生回路41が生成する正弦波電圧の波形に一致する波形の正弦波電流を検出することになる。
正弦波発生回路41が生成する正弦波電圧の位相は、上記第1実施形態及び上記第2実施形態と全く同様に動作する位相指示回路27,ゼロクロス位相検出回路30,ゼロクロス位相検出回路31及び位相差検出回路32によって設定される。
すなわち、絶縁監視装置IOを設置したときに、監視対象の電路の電圧と絶縁監視装置IOの動作用電源として使用している交流電源の電圧との位相差を前記基準位相情報として位相指示回路27に記憶させておき、自己の動作用電源の電圧位相と、記憶している位相差とから、監視対象の電路の電圧位相に一致する位相の正弦波電圧を生成するように正弦波発生回路41へ位相指示信号を出力する。
この試験用電流の生成過程をまとめると、試験電流発生装置5は、前記零相電流の検出情報と、試験用電流を流すことによって絶縁監視装置IOの検出にかかる抵抗性の電流成分の目標値Itと、前記基準位相情報とに基づいて、前記零相電流(接地線EBの零相電流)に含まれる抵抗性の電流成分と足し合わせたときに前記目標値Itが得られる試験用電流を生成していることになる。
以上から、正弦波発生回路41,振幅設定回路42及び位相指示回路27は、前記目標値Itと、前記基準位相情報とに基づいて設定した振幅と位相とを有する正弦波を生成する目標正弦波生成手段TSとして機能し、差動増幅回路24が、零相変流器10(試験用零相電流検出センサZCT2)の検出情報と目標正弦波生成手段TSにて生成した正弦波との差をとって試験用電流を生成する。
又、本第3実施形態においても、正弦波発生回路41の正弦波電圧の位相を意図的にずらせて絶縁監視装置IOの試験を行って良いことも上記第2実施形態と同様である。
以上をまとめると、位相指示回路27,正弦波発生回路41及び振幅設定回路42を備えて構成されて所定の位相を有し大きさが可変な基準正弦波(正弦波発生回路41の出力正弦波)を発生する基準正弦波発生手段と、前記電路に設置した零相電流検出装置(試験用零相電流検出センサZCT2)で検出した零相電流と試験電流発生装置5で発生した試験用電流の和が前記基準正弦波と一致するように前記試験用電流を生成させる制御手段(差動増幅回路24)とを設け、試験対象の絶縁監視装置IOが、地絡事故が発生したと検出動作した時の前記基準正弦波の大きさから絶縁監視装置IOの動作値及び良否の判定を行うものとしてある。
以下、本発明のその他の実施形態を列記する。
(1)上記第1実施形態〜第3実施形態では、零相電流検出センサZCT1として零相変流器1を例示しているが、十分な感度を有するものであれば変流器を用いても良い。
これは、試験用零相電流検出センサZCT2についても同様である。
(2)上記第1実施形態〜第3実施形態では、試験電流発生装置5を絶縁監視装置IOに内蔵する場合を例示しているが、試験電流発生装置5は、絶縁監視装置IOとは別個独立の装置として備えるようにしても良い。
(3)上記第1実施形態〜第3実施形態では、監視対象の電路が3相3線の交流である場合を例示したが、変圧器Tの低圧側の中性点に接続された中性線を接地線EBにて接地する単相3線あるいは3相4線の交流や、2線のうちの1線を接地線EBにて接地する単相2線の交流の電路の絶縁監視を行う場合にも本発明を適用できる。
(5)上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、零相電流の検出情報を得るために絶縁監視装置IOの零相変流器1の検出情報を取得しているが、試験電流発生装置5で独自の零相電流検出センサを備えても良い。
特に、上記第1実施形態において、独自の零相電流検出を備える場合には、上記第3実施形態のように試験用電流が通電されない位置で零相電流を検出することで、前記目標値Itを更新する前後でスイッチ29をオンオフする必要がなくなり、スイッチ29を設けなくても良いことになる。
(7)上記第1実施形態〜第3実施形態では、監視センターOCからの試験実行指令によって絶縁監視装置IOの動作試験を行う場合を例示しているが、試験制御装置6自体に、例えば定期的に試験電流発生装置5にて試験用電流を生成して絶縁監視装置IOの動作試験を行うような試験実行スケジュールを記憶させておき、その試験実行スケジュールに従って、試験制御装置6が自発的に絶縁監視装置IOの動作試験を行って、その結果を監視センターOCに報告するように構成しても良い。
6 試験制御装置
24 差動増幅回路
43 演算増幅回路
AC 振幅調整手段
AS 振幅設定手段
CL 通信回線
CM 通信手段
SG 基礎正弦波生成手段
TS 目標正弦波生成手段
ZCT1 零相電流検出センサ
ZCT2 試験用零相電流検出センサ
Claims (7)
- 1線が接地された単相交流又は3相交流の電路の零相電流を検出する零相電流検出センサの検出情報に基づいて、前記零相電流に含まれる抵抗性の電流成分を抽出して前記電路の絶縁監視を行う絶縁監視装置の動作試験を活線状態で行うために、前記零相電流検出センサの検出対象箇所に試験用電流を流す絶縁監視装置用の試験電流発生装置であって、
前記零相電流の検出情報と、前記試験用電流を流すことによって前記絶縁監視装置の検出にかかる前記抵抗性の電流成分の目標値と、前記抵抗性の電流成分の位相を特定するための情報として予め設定されている基準位相情報とに基づいて、前記零相電流に含まれる抵抗性の電流成分に足し合わせたときに前記目標値が得られる前記試験用電流を生成する絶縁監視装置用の試験電流発生装置。 - 前記目標値に相当する設定情報と前記零相電流に含まれる抵抗性の電流成分の検出情報との差をとって前記試験用電流の振幅を設定する振幅設定手段と、
前記基準位相情報に基づいて設定した位相の正弦波を生成する基礎正弦波生成手段と、
前記基礎正弦波生成手段にて生成される正弦波を前記振幅設定手段にて設定された振幅に調整する振幅調整手段とが設けられた請求項1記載の絶縁監視装置用の試験電流発生装置。 - 前記目標値と前記基準位相情報とに基づいて設定した振幅と位相とを有する正弦波を生成する目標正弦波生成手段と、
前記検出対象箇所の零相電流の検出情報と前記目標正弦波生成手段にて生成した正弦波とを入力として、その2入力が一致するように前記試験用電流を生成する演算増幅回路とが設けられた請求項1記載の絶縁監視装置用の試験電流発生装置。 - 前記零相電流検出センサと共通の電路の零相電流を検出対象とし且つ前記試験用電流が通電されない位置に試験用零相電流検出センサが備えられ、
前記目標値と前記基準位相情報とに基づいて設定した振幅と位相とを有する正弦波を生成する目標正弦波生成手段と、
前記試験用零相電流検出センサの検出情報と前記目標正弦波生成手段にて生成した正弦波との差をとって前記試験用電流を生成する差動増幅回路とが設けられた請求項1記載の絶縁監視装置用の試験電流発生装置。 - 変圧器の低圧側の中性点若しくは一端が接地された単相交流又は3相交流の電路の零相電流を検出する零相電流検出センサの検出情報と前記電路の電圧情報とに基づいて、前記零相電流に含まれる抵抗性の電流成分を抽出して前記電路の絶縁監視を行う絶縁監視装置の動作試験を行うために、前記零相電流検出センサの検出情報と前記電路の電圧情報とに基づいて前記抵抗性の電流成分を検出する手段と、所定の位相を有し大きさが可変できる試験用電流を発生する試験電流発生手段とを設け、前記試験用電流を前記零相電流検出センサの試験用巻線に試験用電流の大きさが漸増するように流し、試験対象の前記絶縁監視装置が地絡事故の発生を検出した時の前記零相電流検出センサの検出にかかる前記抵抗性の電流成分の大きさを検出して試験対象の前記絶縁監視装置の動作値を求め、その動作値が所定の範囲内にあるか否かを判定することを特徴とする絶縁監視装置用の試験装置。
- 変圧器の低圧側の中性点若しくは一端が接地された単相交流又は3相交流の電路の零相電流を検出する零相電流検出センサの検出情報と前記電路の電圧情報とに基づいて、前記零相電流に含まれる抵抗性の電流成分を抽出して前記電路の絶縁監視を行う絶縁監視装置の動作試験を行うために、前記零相電流検出センサの検出情報と前記電路の電圧情報とに基づいて前記抵抗性の電流成分を検出する手段と、所定の位相を有し大きさが可変できる試験用電流を発生する試験電流発生手段とを設け、前記試験用電流を前記零相電流検出センサの試験用巻線に試験用電流の大きさが漸増するように流し、前記抵抗性の電流成分が、絶縁監視装置が地絡事故の発生と検出する検出範囲の下限未満で検出動作せず上限以下で検出動作するか否かを検出することを特徴とする絶縁監視装置用の試験装置。
- 変圧器の低圧側の中性点若しくは一端が接地された単相交流又は3相交流の電路の零相電流を検出する零相電流検出センサの検出情報と前記電路の電圧情報とに基づいて、前記零相電流に含まれる抵抗性の電流成分を抽出して前記電路の絶縁監視を行う絶縁監視装置の動作試験を行うために、前記零相電流電流検出センサの試験用巻線に流す試験用電流を発生する試験電流発生装置と、所定の位相を有し大きさが可変な基準正弦波を発生する基準正弦波発生手段と、前記電路に設置した零相電流検出装置で検出した零相電流と前記試験電流発生装置で発生した試験用電流の和が前記基準正弦波と一致するように前記試験用電流を生成させる制御手段とを設け、試験対象の絶縁監視装置が、地絡事故が発生したと検出動作した時の前記基準正弦波の大きさから絶縁監視装置の動作値及び良否の判定を行うことを特徴とする絶縁監視装置用の試験装置。
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