JP2007284374A - 消化酵素反応抑制・遅延剤 - Google Patents

消化酵素反応抑制・遅延剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2007284374A
JP2007284374A JP2006112707A JP2006112707A JP2007284374A JP 2007284374 A JP2007284374 A JP 2007284374A JP 2006112707 A JP2006112707 A JP 2006112707A JP 2006112707 A JP2006112707 A JP 2006112707A JP 2007284374 A JP2007284374 A JP 2007284374A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
digestive enzyme
polysaccharide
enzyme reaction
retarder
reaction inhibitor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006112707A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5132076B2 (ja
Inventor
Yoshinori Yoshimura
美紀 吉村
Takahiro Funemi
孝博 船見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
San Ei Gen FFI Inc
Hyogo Prefectural Government
Original Assignee
San Ei Gen FFI Inc
Hyogo Prefectural Government
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by San Ei Gen FFI Inc, Hyogo Prefectural Government filed Critical San Ei Gen FFI Inc
Priority to JP2006112707A priority Critical patent/JP5132076B2/ja
Publication of JP2007284374A publication Critical patent/JP2007284374A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5132076B2 publication Critical patent/JP5132076B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、平均分子量を調整した多糖類を含有する消化酵素反応抑制・遅延剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、多糖類を含有する消化酵素反応抑制・遅延剤であって;
該多糖類1 wt%水溶液の動的粘弾性を、直径50 mmの円錐−平板型治具を備える動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリック・サイエンティフィック社製)を用いて、20℃で測定した際、(a)周波数(角速度)0.1〜100rad/sの範囲においてG’’>G’であり、さらに(b)複素粘性率η=(G’ +G’’)1/2/ωがニュートニアン平衡を示し、その時のηが1Pa・s未満であることを特徴とする、消化酵素反応抑制・遅延剤を提供する。なお、G’、G’’、ωはそれぞれ、貯蔵弾性率、損失弾性率、周波数(角速度)を示す。
【選択図】なし

Description

本発明は、消化酵素反応抑制・遅延剤に関する。
先進国では、近年、脂質と蛋白質の過剰摂取が指摘されており、エネルギー過剰に起因すると考えられる肥満および生活習慣病が増加している。
かかる状況において、食物繊維は人間の消化酵素で分解されず、同時に食した脂質や蛋白質等の摂取栄養素の消化・吸収を抑制・遅延させ、エネルギー過剰を抑制する効果があるとされるため、肥満や生活習慣病の予防効果が期待されている。さらに、食物繊維はコレステロールの低下、便通改善作用等の生理効果もあり、その摂取が推進されているが、まだその摂取は十分ではない。
一方、植物の根茎や種子から抽出・分離されたグルコマンナン、ローカストビーンガム、グァーガム等の多糖類は、乳化性、増粘性、ゲル化性、安定性といった機能性を有し、食品の品質やテクスチャーを改良する目的で食品産業界において広く用いられている。これらの多糖類は人間の消化酵素で分解されず、上記の食物繊維と同等の生理効果を有するため、近年は食物繊維源としても使用されている。
これらの多糖類は水中で高粘度を発現するため、少量の添加でも食品の物理的性質やテクスチャーを大きく変える場合があり、これが嗜好性の低下につながることもある。従って、食物繊維としての生理効果を得るほど多量に添加することが困難であり、この問題を回避するため酵素で分解して低粘度(低分子)化した製品が開発されている。
一方、多糖類が脂質や蛋白質等の摂取栄養素の消化・吸収を抑制・遅延させる効果は、多糖類の粘度に関係があることが知られており(非特許文献1)、従って、低粘度(低分子)化した多糖類では食物繊維としての生理効果は得られても、消化酵素反応を抑制・遅延させ、栄養素の過剰吸収を防ぐ効果は低いと考えられていた。
G. Isaksson et al., "Effect of Dietary Fiber on Pancreatic Enzyme Action, and Time of Incubation", Gastroenterology 82:918-24, 1998
本発明は、平均分子量を調整した多糖類を含有する消化酵素反応抑制・遅延剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、レオロジーの実験研究を重ね、ゼロずり粘度を指標に同様の粘度になるように各種多糖類水溶液を調製し、分離大豆蛋白質等の基質に添加して基質の分解曲線から消化反応を測定した。複素粘性率、貯蔵弾性率等の動的粘弾性パラメータに着目して測定結果を解析した結果、特定の分子特性を有する多糖類が系の物理的性質を大きく変化させることなく、消化酵素による基質の消化反応を効果的に抑制・遅延することを見出した。本発明者らは、種々の平均分子量、モル分子数の多糖類水溶液を用いて、その消化反応抑制・遅延効果を検討し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、以下の項に記載の消化酵素反応抑制・遅延剤を提供する:
項1.多糖類を含有する消化酵素反応抑制・遅延剤であって;
該多糖類1wt%水溶液の動的粘弾性を、直径50mmの円錐−平板型治具を備える動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリック・サイエンティフィック社製)を用いて、20℃で測定した際、
(a)周波数0.1〜100rad/sの範囲においてG’’>G’であり、さらに
(b)複素粘性率η=(G’ +G’’)1/2/ωがニュートニアン平衡を示し、ηが1Pa・s未満であることを特徴とする消化酵素反応抑制・遅延剤:
ここで、G’、G’’、wはそれぞれ、貯蔵弾性率、損失弾性率、および周波数を示す;
項2.多糖類の平均分子量が、静的光散乱法により測定した際、重量平均分子量として2.0×10g/mol以下である、項1に記載の消化酵素反応抑制・遅延剤;
項3.消化酵素基質と共に用いられる消化酵素反応抑制・遅延剤であって、該反応抑制・遅延剤に含まれる多糖類の割合が消化酵素基質1mol当り0.5〜100 mmolであることを特徴とする、項1または2に記載の消化酵素反応抑制・遅延剤;
項4.多糖類が、グルコマンナン、ローカストビーンガム、グァーガムからなる群より選択される少なくとも1つである、項1〜3のいずれか一項に記載の消化酵素反応抑制・遅延剤;
項5.多糖類が、グァーガムである、項4に記載の消化酵素反応抑制・遅延剤;
項6.消化酵素基質が蛋白質である、項1〜5のいずれか一項に記載の消化酵素反応抑制・遅延剤;
項7.消化酵素が、蛋白質分解酵素である、項1〜6のいずれか一項に記載の消化酵素反応抑制・遅延剤。
本発明の消化酵素反応抑制・遅延剤は、系の物理的性質を大きく変化させることなく、蛋白質等の基質の消化酵素反応を効果的に抑制・遅延させ、栄養素の急激な体内吸収と過剰摂取を防ぐことができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
消化酵素反応抑制・遅延剤
本発明において、消化酵素反応抑制・遅延剤とは、体内の消化酵素による蛋白質等の基質の消化反応を抑制・遅延させるための組成物を示す。
本発明の消化酵素反応抑制・遅延剤は、多糖類を含有することを特徴とする。
本発明の消化酵素反応抑制・遅延剤に含まれる多糖類は、多糖類1 wt%水溶液の動的粘弾性を、直径50mmの円錐−平板型治具を備える動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリック・サイエンティフィック社製)を用いて、20℃で測定した際、
(a)周波数(角速度)0.1〜100rad/sの範囲においてG’’>G’であり、さらに
(b)複素粘性率η=(G’ +G’’)1/2/ωがニュートニアン平衡を示し、その時のηが1Pa・s未満であることを特徴とする。
ここで、G’ 、G’’、ωはそれぞれ、貯蔵弾性率、損失弾性率、周波数(角速度)を示す。本発明の消化酵素反応抑制・遅延剤に含まれる多糖類は、上記の条件で動的粘弾性を測定した場合、損失正接tanδ=G’’/G’>1となることを特徴とする。
本発明において、0.1〜100rad/sの範囲において複素粘性率ηがニュートニアン平衡を示すとは、上記範囲でニュートン流動の挙動を示す周波数領域が存在することを意味する。
ここで、ニュートン流動とは、複素粘性率が周波数によらず一定値を示す現象、言い換えると、周波数と複素剛性率が比例するようなレオロジー挙動をいう。
本発明の消化酵素反応抑制・遅延剤に含まれる多糖類としては、上記の動的粘弾性パラメータを満足し得るものであれば、任意のものを用いることができるが、例えば、多糖類としては、キサンタンガム、ガラクトマンナン(グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム等)、カラギナン、カシアガム、グルコマンナン、ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、タマリンドシードガム、ペクチン、サイリウムシードガム、ゼラチン、トラガントガム、カラヤガム、アラビアガム、ガティガム、ラムザンガム、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、寒天、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、カードラン、プルラン、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)等のセルロース誘導体、水溶性ヘミセルロース、大豆多糖類、加工・化工でん粉、未加工でん粉(生でん粉)、デキストリンなどから選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。好ましくはグルコマンナン、ガラクトマンナン等であり、更に好ましくはガラクトマンナンである。
ガラクトマンナンとしては、グァーガム、ローカストビーンガム等が挙げられる。グァーガムが好ましい。
これらの多糖類は、1種単独でまたは2種以上混合して使用される。
また、これらの多糖類は、市販されているか、または当該分野において公知の方法により得ることができる。さらに、これらの多糖類は、原料選別や酵素/酸処理によって平均分子量が調整されていることが好ましい。
本発明の消化酵素反応抑制・遅延剤中に含まれる多糖類の平均分子量は、静的光散乱法(散乱強度の濃度および角度依存性)により測定した際、通常、重量平均分子量として2.0×10g/mol以下、好ましくは0.05×10〜2.0×10g/mol、より好ましくは0.5×10〜2.0×10g/molである。
本発明の消化酵素反応抑制・遅延剤中の多糖類の含有量は、多糖類の種類、分子量等により変化し得るが、通常、5 wt%以下、好ましくは0.01〜5 wt%、より好ましくは0.05〜3 wt%である。
本発明の消化酵素反応抑制・遅延剤により抑制される消化反応の基質としては、例えば、炭水化物、脂質、蛋白質等が挙げられるが、好ましくは蛋白質である。
また、本発明の消化酵素反応抑制・遅延剤が対象とする消化酵素としては、例えば、炭水化物分解酵素、脂質分解酵素、蛋白質分解酵素等が挙げられるが、好ましくは蛋白質分解酵素である。
本発明の消化酵素反応抑制・遅延剤は、任意成分として、香料、着色剤、賦形剤、温感、温熱成分、エキス類、界面活性剤、溶剤、溶解剤、pH調整剤、緩衝剤、基剤、消包剤、乳化剤、懸濁剤、軟化剤、粘調剤、分散剤、賦形剤、滑沢剤、酸化防止剤、防腐剤、保存剤、可塑剤等を適当量配合しても良い。
上記の本発明の消化酵素反応抑制・遅延剤を食品と共に摂取することによって、食品中に含まれる炭水火物、脂質、蛋白質等の消化酵素基質の消化を抑制及び/または遅延させることができる。
本発明が対象とする食品としては、例えばアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、シャーベット、及び氷菓等の冷菓類;牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、菜汁飲料、茶飲料、イオン飲料、スポーツ飲料、機能性飲料、ビタミン補給飲料、栄養補給バランス飲料、ゼリー飲料及び粉末飲料等の飲料類;カスタードプリン,ミルクプリン及び果汁入りプリン等のプリン類、ゼリー、ババロア及びヨーグルト等のデザート類;チューインガムや風船ガム等のガム類(板ガム、糖衣状粒ガム);マーブルチョコレート等のコーティングチョコレートの他、イチゴチョコレート、ブルーベリーチョコレート及びメロンチョコレート等の風味を付加したチョコレート等のチョコレート類;ソフトキャンディー(キャラメル、ヌガー、グミキャンディー、マシュマロ等を含む)やタフィ等のキャラメル類;ソフトビスケットやソフトクッキー等の菓子類;乳化タイプドレッシング、セパレートドレッシング及びノンオイルドレッシング等のドレッシング類、ケチャップ、たれ及びソース等のソース類;ストロベリージャム、ブルーベリージャム、マーマレード、リンゴジャム、杏ジャム及びプレザーブ等のジャム類;赤ワイン等の果実酒;シロップ漬のチェリー、アンズ、リンゴ、イチゴ等の加工用果実;ハム、ソーセージ、及び焼き豚等の畜肉加工品;魚肉ハム、魚肉ソーセージ、魚肉すり身、蒲鉾、竹輪、はんぺん、薩摩揚げ、伊達巻き及び鯨ベーコン等の水産練り製品;うどん、冷麦、そうめん、ソバ、中華そば、スパゲッティ、マカロニ、ビーフン、はるさめ及びワンタン等の麺類;食パン、菓子パン、及び惣菜パン等のパン類、コーヒークリーム、生クリーム、カスタードクリーム、ホイップクリーム、発酵クリーム及びサワークリーム等のクリーム類、コンソメスープ、ポタージュスープ、クリームスープ、中華スープ等の各種スープ、味噌汁、清汁、シチュウ、カレー、及びグラタン等のスープ類;その他、各種総菜及び加工食品等を挙げることができる。また、このような一般食品に加えて、蛋白質・リン・カリウム調整食品、塩分調整食品、油脂調整食品、整腸作用食品、カルシウム・鉄・ビタミン強化食品、低アレルギー食品、濃厚流動食、ミキサー食、及びキザミ食等の特殊食品や治療食及びいわゆるトロミ剤と呼ばれる咀嚼・嚥下補助食品等を挙げることができる。
本明細書中において、消化酵素反応抑制・遅延剤を食品と共に摂取する(または消化酵素基質と共に用いられる)とは、当該反応抑制・遅延剤を食品(または消化酵素基質)と同時に、食前に、または食後に摂取することを示す。ここで、当該反応抑制・遅延剤を食品(または消化酵素基質)と同時に摂取する場合、当該反応抑制・遅延剤は食品(または消化酵素基質)と別々であっても、予め食品中に混合されていてもよい。
これらの場合において、本発明の消化酵素反応抑制・遅延剤に含まれる多糖類の割合は、消化酵素基質1mol当り、通常0.5〜100 mmol、好ましくは1〜100 mmol、より好ましくは2〜50 mmolである。
本発明の消化酵素反応抑制・遅延剤を、当該反応遅延剤中に含まれる多糖類のモル分子数が上記割合となるように用いることによって、所望の消化酵素反応抑制・遅延効果を得ることができる。従って、平均分子量を調整した多糖類を上記の添加量の範囲内で用いることにより、系の物理的性質を大きく変化させることなく、所望の効果を有する消化酵素反応抑制・遅延剤を提供することができる。
実験例1
実験材料および方法
多糖類として、コンニャクグルコマンナン(KGM)、ローカストビーンガム(LBG)、グァーガム(GG)、蛋白質として分離大豆蛋白質(SPI)(分子量約35万。実施例2についても同じ)、酵素としてパンクレアチンを用いた。
蛋白質に添加する多糖類の濃度を予め水溶液のゼロずり粘度が10、20、及び30 mPa・sになるように決定し、試料(SPI+酵素+水)に添加した。
表1に各試料のSPI、多糖類、パンクレアチン濃度を示す。ここでサンプル名は、(多糖類の種類−多糖類水溶液のゼロずり粘度)を示す。例えば、GG[1]-10とは、グァーガムGG[1]水溶液のゼロずり粘度が10 mPa・sとなるように濃度を決定し、それと同じ濃度を試料に添加したものを示す。従って、同一の多糖類試料であれば、ゼロずり粘度が高い方が多糖類の濃度が高く、すなわち系中に存在する多糖類の鎖状分子数が多いことになる。
レオウィン(Thermo HAAKE社製)を用い、多糖類添加蛋白質の消化酵素分解過程を動的粘弾性の時間依存性から検討した。貯蔵弾性率G’の経時変化を次式(数1)により近似し、最小二乗法を用いて速度定数k1、k2、平衡値G’3Sを求めた。
Figure 2007284374
実験に用いた多糖類試料のうち、GG[1]水溶液(1 wt%)の動的粘弾性の周波数依存性を図1に、多糖類添加蛋白質の分解の速度定数(Rate constant)k1を図2に示す。
なお、使用した多糖類の重量平均分子量は、GG[1]: 2.0×10 g/mol、LBG: 1.0×10 g/mol、KGM: 1.1×10 g/molであった。
Figure 2007284374
図1から、本実験に使用したグァーガムの1 wt%水溶液は、周波数0.1〜100rad/sの範囲において常にG’’>G’、すなわちtan δ>1(tan δ=G’’/G’: 損失正接)であった。また、複素粘性率η=(G’+G’’)1/2/ωがニュートニアン平衡を示し、その値が1Pa・s未満であった。
図2に蛋白質分解速度の速度定数を表す。図2から、多糖類無添加の分離大豆蛋白質と比較して、グルコマンナン、ガラクトマンナン(グァーガム、ローカストビーンガム)を添加した蛋白質の速度定数が小さいことが分かる。従って、ゼロずり粘度10〜30mPa・sという比較的低粘度領域(分解速度に及ぼす粘度の影響をほぼ無視できる粘度領域)での多糖類の添加によって、蛋白質の分解が遅延していることがわかる。
多糖類別による速度定数の比較では、ガラクトマンナン(グァーガム、ローカストビーンガム)混合系がグルコマンナン混合系より速度定数が小さいことより、蛋白質の分解抑制・遅延効果が高いことがわかる。
さらに、いずれもゼロずり粘度が高い30mPa・s(GG[1]−30、LBG−30、及びKGM−30)の試料の方が10mPa・s(GG[1]−10、LBG−10、及びKGM−10)の試料より分解速度定数が小さくなることから、系中に存在する多糖類のモル分子数が多くなると蛋白質の分解が遅延することが示唆される。
実験例2
実験材料および方法
多糖類として、グァーガム(GG[1]、GG[2]、GG[3]、GG[4])、蛋白質として分離大豆蛋白質(SPI)、酵素としてパンクレアチンを用いた。
グァーガムは、それぞれ、水溶液のゼロずり粘度が10、20、及び30mPa・sとなるように濃度を決定し、試料に添加した。表2に各試料のSPI、グァーガム、パンクレアチン濃度を示す。
レオウィン(Thermo HAAKE社製)を用い、グァーガム添加蛋白質の消化酵素分解過程を動的粘弾性の時間依存性から検討した。貯蔵弾性率G’の経時変化を次式(数2)により近似し、最小二乗法を用いて速度定数k1、k2、平衡値G’3Sを求めた。
Figure 2007284374
用いたグァーガム試料のうち、GG[3]、GG[4]水溶液(1 wt%)の動的粘弾性の周波数依存性を図3及び4に、グァーガム添加蛋白質の分解の速度定数k1を図5に示す。
なお、使用したグァーガムの平均分子量は、GG[1]: 2.0×10 g/mol、GG[2]: 1.7×10 g/mol、GG[3]: 1.2×10 g/mol、GG[4]: 1.0×10 g/molであった。
Figure 2007284374
図3及び4より、いずれのグァーガムの1 wt%水溶液も、周波数0.1〜100rad/sの範囲において常にG’’>G’であり、すなわち、tan δ>1(tan δ=G’’/G’: 損失正接)であった。また、複素粘性率η=(G’+G’’)1/2/ωがニュートニアン平衡を示し、その値が1Pa・s未満であった。
図5より、いずれのグァーガム混合系もSPI単独系より速度定数が小さく、約75%低下した。消化酵素の基質である蛋白質1 molに対し、グァーガムを2〜20 mmolとなるように添加すると、消化酵素反応を効果的に抑制・遅延できることがわかった。
図1は、実験例1における、グァーガムGG[1]水溶液(1 wt%)の動的粘弾性の周波数依存性を示す。 図2は、実験例1における多糖類添加蛋白質の消化酵素分解速度の速度定数kを示す。 図3は、実験例2における、グァーガムGG[3]水溶液(1 wt%)の動的粘弾性の周波数依存性を示す。 図4は、実験例2における、グァーガムGG[4]水溶液(1 wt%)の動的粘弾性の周波数依存性を示す。 図5は、実験例2におけるグァーガム添加蛋白質の消化酵素分解速度の速度定数kを示す。

Claims (7)

  1. 多糖類を含有する消化酵素反応抑制・遅延剤であって;
    該多糖類1wt%水溶液の動的粘弾性を、直径50mmの円錐−平板型治具を備える動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリック・サイエンティフィック社製)を用いて、20℃で測定した際、
    (a)周波数0.1〜100rad/sの範囲においてG’’>G’であり、さらに
    (b)複素粘性率η=(G’ +G’’)1/2/ωがニュートニアン平衡を示し、ηが1Pa・s未満であることを特徴とする消化酵素反応抑制・遅延剤。
    ここで、G’、G’’、wはそれぞれ、貯蔵弾性率、損失弾性率、および周波数を示す。
  2. 多糖類の平均分子量が、静的光散乱法により測定した際、重量平均分子量として2.0×10g/mol以下である、請求項1に記載の消化酵素反応抑制・遅延剤。
  3. 消化酵素基質と共に用いられる消化酵素反応抑制・遅延剤であって、該反応抑制・遅延剤に含まれる多糖類の割合が消化酵素基質1mol当り0.5〜100 mmolであることを特徴とする、請求項1または2に記載の消化酵素反応抑制・遅延剤。
  4. 多糖類が、グルコマンナン、ローカストビーンガム、グァーガムからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の消化酵素反応抑制・遅延剤。
  5. 多糖類が、グァーガムである、請求項4に記載の消化酵素反応抑制・遅延剤。
  6. 消化酵素基質が蛋白質である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の消化酵素反応抑制・遅延剤。
  7. 消化酵素が、蛋白質分解酵素である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の消化酵素反応抑制・遅延剤。
JP2006112707A 2006-04-14 2006-04-14 消化酵素反応抑制・遅延剤 Active JP5132076B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006112707A JP5132076B2 (ja) 2006-04-14 2006-04-14 消化酵素反応抑制・遅延剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006112707A JP5132076B2 (ja) 2006-04-14 2006-04-14 消化酵素反応抑制・遅延剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007284374A true JP2007284374A (ja) 2007-11-01
JP5132076B2 JP5132076B2 (ja) 2013-01-30

Family

ID=38756484

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006112707A Active JP5132076B2 (ja) 2006-04-14 2006-04-14 消化酵素反応抑制・遅延剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5132076B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5117485B2 (ja) * 2007-02-20 2013-01-16 三井化学アグロ株式会社 含フッ素ピラゾールカルボニトリル誘導体およびその製造方法、並びに該含フッ素ピラゾールカルボニトリル誘導体を利用して得られる含フッ素ピラゾールカルボン酸誘導体およびその製造方法。
JP2017160406A (ja) * 2016-03-11 2017-09-14 森永製菓株式会社 部分脱アシル化ジェランガム

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02229117A (ja) * 1989-02-28 1990-09-11 Dainippon Pharmaceut Co Ltd 脂質低下剤および便通改善剤

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02229117A (ja) * 1989-02-28 1990-09-11 Dainippon Pharmaceut Co Ltd 脂質低下剤および便通改善剤

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5117485B2 (ja) * 2007-02-20 2013-01-16 三井化学アグロ株式会社 含フッ素ピラゾールカルボニトリル誘導体およびその製造方法、並びに該含フッ素ピラゾールカルボニトリル誘導体を利用して得られる含フッ素ピラゾールカルボン酸誘導体およびその製造方法。
JP2017160406A (ja) * 2016-03-11 2017-09-14 森永製菓株式会社 部分脱アシル化ジェランガム

Also Published As

Publication number Publication date
JP5132076B2 (ja) 2013-01-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU775411B2 (en) Methods for lowering viscosity of glucomannan compositions
EP2081446B1 (en) Improved thickener composition for food products
JP5057972B2 (ja) ペクチンの改質方法及びその応用
JP6208671B2 (ja) 満腹を誘導する方法および組成物
JP4781208B2 (ja) 粉末の造粒方法及び易分散・易溶解性顆粒組成物
KR102347061B1 (ko) 식품 조성물
WO2006131963A1 (ja) ペクチンの改質方法及びその応用
JP2006213867A (ja) キサンタンガムの改質方法及びその応用
KR20170093834A (ko) 수중유형 조성물 및 이것을 사용한 식품
JP4352205B2 (ja) 嚥下食組成物及びその評価方法
JP2005261430A (ja) ペクチンの改質方法及びその応用
JP4833038B2 (ja) ラムザンガムの新規用途
JP5132076B2 (ja) 消化酵素反応抑制・遅延剤
JP2008161092A (ja) 粉末の造粒方法
JP4589251B2 (ja) 粉末の造粒方法及び易溶性顆粒組成物
JP2005218361A (ja) 食品の品質改良法および品質改良された食品
TW201501653A (zh) 含大麥粉末之食品
JP2007159564A (ja) 麺類用食感改良剤
JP5172107B2 (ja) 水溶性高分子のランピング防止剤
JP2010263877A (ja) クレス種子抽出物の新規用途
US20170354176A1 (en) Food or beverage composition
Cartagena et al. A texture-modified dessert with high nutritional value designed for people with dysphagia: effect of refrigeration and frozen storage
JP6503168B2 (ja) 大麦粒を含むレトルト食品
JP2011010561A (ja) ランピング防止剤
JP2012044960A (ja) 固形状食品及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090220

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20090220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120403

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20120601

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20120606

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120702

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120724

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120921

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121016

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121106

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151116

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5132076

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250