JP2007284337A - 炭化水素油中の微量成分を除去する吸着剤及びその製造方法 - Google Patents

炭化水素油中の微量成分を除去する吸着剤及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】炭化水素油に含まれる硫黄化合物や多環芳香族化合物などを効率的にかつ経済的に吸着除去する吸着剤及びその製造方法を提供する。また、本発明は、かかる吸着剤を用いる炭化水素油中の微量成分、特には硫黄化合物の除去方法、さらに前記吸着剤を装備した燃料電池システムを提供する。
【解決手段】植物系バイオマスを減圧下にて300〜900℃で炭化処理することにより、又は減圧下及び/又は不活性雰囲気下に200〜900℃で炭化処理した後にさらに賦活処理することにより、比表面積が200m/g以上、及び平均細孔径が20Å以上である炭化処理物又は賦活処理物を得、該炭化処理物又は賦活処理物から炭化水素油中の微量成分を除去する吸着剤を製造する。本発明はこうして製造された吸着剤、及び該吸着剤を用いる炭化水素油中の微量成分の除去方法、更に該吸着剤を用いた燃料電池システムである。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭化水素油中の微量成分、例えば硫黄化合物や多環芳香族化合物を吸着除去する吸着剤及びその製造方法に関する。さらに、該吸着剤を用いる炭化水素油中の微量成分の除去方法、及び該吸着剤を用いた燃料電池システムに関するものである。
21世紀に入り、環境問題に配慮して地球温暖化ガスであるCOガスの排出削減とNO等の自動車排出ガスの削減との両方の観点から、燃料内に含まれる硫黄分を一層低減することが求められている。近い将来には、ガソリン及び軽油に含まれる硫黄分は10ppm以下に規制されるものと予想される。また、オンボード改質方式燃料電池が搭載された自動車等の燃料電池の普及により、さらに低硫黄分の石油系液体燃料油が求められる可能性が有る。それゆえ、現在、超低硫黄分の石油系液体燃料油を得るために必要な脱硫技術が盛んに研究されている。
従来、軽油の脱硫技術として主に用いられてきた方法に水素化脱硫方法がある。しかしながら、水素化脱硫方法を用いて軽油を15ppm以下の低硫黄濃度に脱硫するためには、反応温度を上げる必要があり、反応温度を上げると製品軽油の色相が悪化するという問題が生じる。この軽油の色相の問題を改善する方法として、色相の悪化した軽油留分を活性炭と接触させる方法が提案されている(特許文献1、2)。また、第VI金属及び第VIII族金属のいずれか一方又は双方を担持させた結晶性アルミノ酸塩含有無機酸化物触媒又は活性炭触媒の存在下で水素化処理を行うことにより軽油を脱色する方法も提案されている(特許文献3)。また、水素化脱硫方法以外の脱硫技術に関しても様々なプロセス開発が行われており、例えば、炭化水素油に含まれる微量の硫黄化合物を除去するために、アルミナ担体に銅成分が担持された硫黄化合物吸着剤を用いた例がある(特許文献4)。
ところで、水素化脱硫方法により、軽油留分に残存する4−メチルジベンゾチオフェン(4−MDBT)、4,6−ジメチルジベンゾチオフェン(4,6−DMDBT)などの難脱硫化合物を除去して硫黄分を15ppm以下にするためには、膨大な量の触媒と水素が必要である。特に、水素は高価であり精製された軽油の価格に影響を与える。また、難脱硫化合物の脱硫に関して様々なプロセスの研究が行われているが、現状ではリアクターを増設して対処するしかない。それゆえ、軽油留分の低硫黄化を実現するために、簡便な設備でしかも低い運転コストで脱硫することができる革新的な技術が要求されている。
また、最近では、ディーゼルエンジンの排ガス中に含まれる多環芳香族化合物(Polycyclic Aromatic Hydrocarbon chemicals: PAH's)を低減する技術も求められている。すなわち、硫黄分やPAH'sの極めて少ない軽油は、大都市の大気汚染防止及び地球環境の保護という点で、社会へ大きく貢献できる可能性を秘めている。
一方、家庭用などの定置式燃料電池で使用する灯油の脱硫は、主にニッケル系脱硫剤を200℃前後で使用する化学吸着脱硫法が検討されているが、加熱のためのエネルギーを消費すること、起動に時間を要すること、灯油の気化を防止するために加圧条件で行う必要があり、システムが複雑になることなどの問題点があった。銅を添加したニッケル系脱硫剤は、150℃程度のより低温でもある程度の活性を有するが、上記問題を解決するまでには至っていない。また、ニッケル系脱硫剤はあらかじめ還元処理を施す必要があり、酸素と接触することにより急激な発熱反応が起きて活性が低下することから、脱硫剤の保管方法や燃料電池の停止方法にも問題がある。さらに、ニッケル化合物は毒性を有することから、一般家庭に普及した場合には管理方法を厳格にする必要もあるという問題も有する。(特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8)
また、酸化銅系脱硫剤は、120℃前後の比較的低温で、メルカプタン類などの硫黄化合物を含むナフサ留分の脱硫には利用されている(特許文献4)が、ベンゾチオフェン類やジベンゾチオフェン類を含む灯油やジベンゾチオフェン類を含む軽油などの脱硫に十分な性能を有する酸化銅系脱硫剤は存在しなかった。
一方、ゼオライトや活性炭等を常温付近で使用する物理吸着脱硫法も検討されている(特許文献9、特許文献10)が、硫黄化合物と競争吸着となる芳香族化合物を含む灯油や軽油などの炭化水素油の脱硫については性能の高い物理吸着剤が存在せず、所望の効果を得るためには非常に大量の物理吸着剤を必要とすることから実用的ではなかった。
灯油に含まれる硫黄化合物のタイプは、ベンゾチオフェン類及びジベンゾチオフェン類が大部分であり、特にベンゾチオフェン類の割合が大きく、全硫黄化合物に対するベンゾチオフェン類の割合は、硫黄分として70%以上である場合が多い。ベンゾチオフェン類の除去については、本発明者が先に提案した固体酸触媒及び/又は遷移金属酸化物が担持された活性炭などの脱硫剤を使用することで、比較的容易に除去することができる(特許文献11)。しかしながら、含有量の少ないジベンゾチオフェン類の除去は困難であり、特にアルキル基を多く有するアルキルジベンゾチオフェン類の除去が困難であった。本発明者は、先に軽油や灯油に含まれるジベンゾチオフェン類に対して高い除去性能を有する特定の細孔構造を有する活性炭、特に繊維状活性炭を提案した(特許文献12)。しかし、繊維状活性炭は綿状であり充填密度を高くできないため単位体積当たりの吸着性能を高くできないこと、製造工程が複雑で製造コストが高いことなどから、製油所などで大量に使用するには経済的でないと見込まれる。
従って、還元処理や水素を必要とせず、また、加圧を必要としない室温から150℃程度までの温度で、ジベンゾチオフェン類を効率的にかつ経済的に除去することができる脱硫剤及びその製造方法が求められている。
特開平6−136370号公報 特開2000−192054号公報 特開2000−282059号公報 特許第3324746号公報 特公平6−65602号公報 特公平7−115842号公報 特許第3410147号公報 特許第3261192号公報 特開2003−49172号公報 特開2005−2317号公報 WO2005−073348 WO2003−097771
本発明は、灯油や軽油などの炭化水素油に含まれる硫黄化合物や多環芳香族化合物などを効率的にかつ経済的に吸着除去する吸着剤及びその製造方法を提供することを課題とし、特には充填密度を高くすることができるため単位体積当たりの吸着性能が高い吸着剤、及び製造工程が複雑ではなく安価な製造コストで前記吸着剤を製造する吸着剤の製造方法を提供することを課題とする。また、本発明は、かかる吸着剤を用いる炭化水素油中の微量成分、特には硫黄化合物の除去方法を提供すること、さらに前記吸着剤を装備した燃料電池システムを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を進めた結果、植物系バイオマス、特に稲から得られる籾殻を原料として、特定の製造方法により製造した活性炭からなる吸着剤は、炭化水素油に含まれる硫黄化合物や多環芳香族化合物の単位重量当たりの吸着除去性能が優れる上に、充填密度を高くすることができるため単位体積当たりの吸着性能も高く、かつ、製造工程が複雑ではなく製造コストが安いという特段の効果を有することを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明は、下記の吸着剤の製造方法、及び該方法で製造された吸着剤、該吸着剤を用いる炭化水素油中の微量成分の除去方法、及び該吸着剤を装備した燃料電池システムに関する。
(1)植物系バイオマスを(A)減圧下にて300〜900℃で炭化処理することにより、又は(B)減圧下及び/又は不活性雰囲気下に200〜900℃で炭化処理した後にさらに賦活処理することにより、比表面積が200m/g以上、及び平均細孔径が20Å以上である炭化処理物又は賦活処理物を得た後、該炭化処理物又は賦活処理物を用いて吸着剤を製造することを特徴とする炭化水素油中の微量成分を除去する吸着剤の製造方法。
(2)(A)の炭化処理が、300〜500℃で実施され、(B)の炭化処理が、200〜500℃で実施される前記(1)に記載の吸着剤の製造方法。
(3)賦活処理は、二酸化炭素雰囲気下にて800〜900℃で0.1〜4時間実施される前記(1)又は(2)に記載の吸着剤の製造方法。
(4)炭化処理により得られた炭化処理物に、糖類からなるバインダーを加えて成形し、次いで得られた成形物を賦活処理する前記(1)〜(3)のいずれかに記載の吸着剤の製造方法。
(5)植物系バイオマスが、籾殻又は杉である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の吸着剤の製造方法。
(6)さらに、金属及び/又は金属酸化物を混合、担持する工程を含む、前記(1)〜(5)の何れかに記載の吸着剤の製造方法。
(7)植物系バイオマスを(A)減圧下にて300〜900℃で炭化処理することにより製造された、又は(B)減圧下及び/又は不活性雰囲気下に200〜900℃で炭化処理した後にさらに賦活処理を行うことにより製造された、比表面積が200m/g以上、及び平均細孔径が20Å以上である炭化処理物又は賦活処理物からなることを特徴とする炭化水素油中の微量成分を除去する吸着剤。
(8)(A)の炭化処理が、300〜500℃で実施され、及び(B)の炭化処理が、200〜500℃で実施される前記(7)に記載の吸着剤。
(9)賦活処理が、二酸化炭素雰囲気下にて800〜900℃で0.1〜4時間実施された前記(7)又は(8)に記載の吸着剤。
(10)炭化処理により得られた炭化処理物に、糖類からなるバインダーを加えて成形し、次いで得られた成形物を賦活処理して得られた前記(7)〜(9)のいずれかに記載の吸着剤。
(11)植物系バイオマスが、籾殻又は杉である前記(7)〜(10)のいずれかに記載の吸着剤。
(12)吸着剤が、さらに金属及び/又は金属酸化物が担持されているものである前記(7)〜(11)の何れかに記載の吸着剤。
(13)前記(7)〜(12)のいずれかに記載の吸着剤を用い、炭化水素油中に含まれる硫黄化合物及び/又は多環芳香族化合物を吸着除去することを特徴とする炭化水素油中の微量成分の除去方法。
(14)炭化水素油が灯油又は軽油である前記(13)に記載の除去方法。
(15)150℃以下の温度において灯油中の硫黄化合物を吸着除去する前記(13)又は(14)に記載の除去方法。
(16)前記(7)〜(12)のいずれかに記載の炭化水素油中の微量成分を除去する吸着剤を装備したことを特徴とする燃料電池システム。
本発明の吸着剤によれば、植物系バイオマス、特に稲から得られる籾殻を炭化処理し、さらには賦活処理して得た活性炭からなる吸着剤であるから、炭化水素油、特には硫黄化合物としてジベンゾチオフェン類を含む、あるいは多環芳香族化合物を含む灯油や軽油などの炭化水素油と、還元処理や水素添加を行わず、室温から150℃程度までの温度で、液相状態で接触させることにより硫黄化合物及び/又は多環芳香族化合物を効率よく経済的に吸着除去できる。そのため、灯油や軽油に含まれる硫黄化合物及び/又は多環芳香族化合物を吸着除去する場合には、従来よりコンパクトな設備で、かつ、より低廉なコストで除去することが可能である。さらに、燃料電池の原燃料である灯油などの脱硫に適用した場合には、起動やメンテナンスが比較的容易であり、また燃料電池のシステムを簡略化することが可能である。
本発明の吸着剤が適用対象とする炭化水素油としては、硫黄化合物としてジベンゾチオフェン類を含む、或いは、多環芳香族化合物を含む炭素数5〜20の炭化水素油を挙げることができる。これらの炭化水素油は、チオフェン類、メルカプタン類(チオール類)、スルフィド類、ジスルフィド類、二硫化炭素など、どんな種類の硫黄化合物を含有していても構わないが、本発明の吸着剤は、特に脱硫することが極めて困難なジベンゾチオフェン類などの硫黄化合物を含有した炭化水素油に対して顕著な効果を発揮する。例えば、全硫黄化合物に対するジベンゾチオフェン類の割合は、灯油では30%前後、軽油ではほぼ100%であり、灯油や軽油などの炭化水素油は本発明の吸着剤の適用対象として好ましい炭化水素油である。もちろん、本発明の吸着剤の適用対象は灯油や軽油に限定されるものではない。また、多環芳香族化合物は、ベンゼン環を2個以上有する化合物であり、炭素と水素以外のヘテロ原子を含有していても構わないが、2個のベンゼン環を形成する炭素がすべて同一平面上に位置する方が、本発明の吸着剤とのπ電子相互作用が強く、本発明の効果を顕著に得ることができる。
炭化水素油から硫黄分や多環芳香族化合物などを本発明の吸着剤で除去する場合、それらの含有量が多すぎると大量の吸着剤を必要とすることになり、水素化精製法など他の精製法の方が効率的であることから、硫黄分は20質量ppm以下、好ましくは10質量ppm以下、さらに好ましくは1質量ppm以下、多環芳香族化合物含有量は5質量%以下、好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
本発明の吸着剤で処理する対象として好適な一例である灯油は、一般的には、炭素数12〜16程度の炭化水素を主体とし、密度(15℃)0.790〜0.850g/cm、沸点範囲150〜320℃程度の油であり、パラフィン系炭化水素を主成分として多く含むが、芳香族系炭化水素を0〜30容量%程度含み、多環芳香族化合物も0〜5容量%程度含む。また、普通灯油といえば、灯火用及び暖房用・ちゅう(厨)房用燃料として日本工業規格JIS K2203に規定される1号灯油を指す。JISでは品質として、引火点40℃以上、95%留出温度270℃以下、硫黄分0.008質量%以下、煙点23mm以上(寒候用のものは21mm以上)、銅板腐食(50℃、3時間)1以下、色(セーボルト)+25以上と規定されている。通常、硫黄分は6ppm程度から80ppm以下、窒素分は数ppmから十ppm程度である。
本発明の吸着剤で処理する対象として好適な別の一例である軽油は、炭素数16〜20程度の炭化水素を主体とする油であり、密度(15℃)0.820〜0.880g/cm、沸点範囲140〜390℃程度で、パラフィン系炭化水素を多く含むが、芳香族系炭化水素を0〜30容量%程度含み、多環芳香族化合物も0〜10容量%程度含む。なお、一般的には、自動車用ディーゼルエンジンの燃料としてJIS K2204に「軽油」として標準的な性状が規定されている。
灯油や軽油に含まれる主な硫黄化合物は、ベンゾチオフェン類及びジベンゾチオフェン類であるが、チオフェン類、メルカプタン類(チオール類)、スルフィド類、ジスルフィド類、二硫化炭素などを含む場合もある。これらの硫黄化合物の定性及び定量分析には、ガスクロマトグラフ(Gas Chromatograph:GC)−炎光光度検出器(Flame Photometric Detector:FPD)、GC−原子発光検出器(Atomic Emission Detector:AED)、GC−硫黄化学発光検出器(Sulfur Chemiluminescence Detector:SCD)、GC−誘導結合プラズマ質量分析装置(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer:ICP−MS)などを用いることができるが、質量ppbレベルの分析にはGC−ICP−MSが最も好ましい。
ジベンゾチオフェン類は、1個以上の硫黄原子を異原子として含む複素環式化合物のうち、複素環が五原子環又は六原子環で且つ芳香性をもち(複素環に二重結合を2個以上有し)、さらに複素環が2個のベンゼン環と縮合している硫黄化合物及びその誘導体である。ジベンゾチオフェンはジフェニレンスルフィド、ビフェニレンスルフィド、硫化ジフェニレンとも呼ばれ、分子式C12Sで表わせる、分子量184の硫黄化合物である。4−メチルジベンゾチオフェンや4,6−ジメチルジベンゾチオフェンは、水素化精製における難脱硫化合物として良く知られている。その他の代表的なジベンゾチオフェン類として、トリメチルジベンゾチオフェン、テトラメチルジベンゾチオフェン、ペンタメチルジベンゾチオフェン、ヘキサメチルジベンゾチオフェン、ヘプタメチルジベンゾチオフェン、オクタメチルジベンゾチオフェン、メチルエチルジベンゾチオフェン、ジメチルエチルジベンゾチオフェン、トリメチルエチルジベンゾチオフェン、テトラメチルエチルジベンゾチオフェン、ペンタメチルエチルジベンゾチオフェン、ヘキサメチルエチルジベンゾチオフェン、ヘプタメチルエチルジベンゾチオフェン、メチルジエチルジベンゾチオフェン、ジメチルジエチルジベンゾチオフェン、トリメチルジエチルジベンゾチオフェン、テトラメチルジエチルジベンゾチオフェン、ペンタメチルジエチルジベンゾチオフェン、ヘキサメチルジエチルジベンゾチオフェン、ヘプタメチルジエチルジベンゾチオフェン、メチルプロピルジベンゾチオフェン、ジメチルプロピルジベンゾチオフェン、トリメチルプロピルジベンゾチオフェン、テトラメチルプロピルジベンゾチオフェン、ペンタメチルプロピルジベンゾチオフェン、ヘキサメチルプロピルジベンゾチオフェン、ヘプタメチルプロピルジベンゾチオフェン、メチルエチルプロピルジベンゾチオフェン、ジメチルエチルプロピルジベンゾチオフェン、トリメチルエチルプロピルジベンゾチオフェン、テトラメチルエチルプロピルジベンゾチオフェン、ペンタメチルエチルプロピルジベンゾチオフェン、ヘキサメチルエチルプロピルジベンゾチオフェンなどのアルキルジベンゾチオフェン、チアントレン(ジフェニレンジスルフィド、分子式C12、分子量216)、チオキサンテン(ジベンゾチオピラン、ジフェニルメタンスルフィド、分子式C1310S、分子量198)及びこれらの誘導体が挙げられる。
ベンゾチオフェン類は、1個以上の硫黄原子を異原子として含む複素環式化合物のうち、複素環が五原子環又は六原子環で且つ芳香性をもち(複素環に二重結合を2個以上有し)、さらに複素環が1個のベンゼン環と縮合している硫黄化合物及びその誘導体である。ベンゾチオフェンは、チオナフテン、チオクマロンとも呼ばれ、分子式CSで表わせる、分子量134の硫黄化合物である。その他の代表的なベンゾチオフェン類として、メチルベンゾチオフェン、ジメチルベンゾチオフェン、トリメチルベンゾチオフェン、テトラメチルベンゾチオフェン、ペンタメチルベンゾチオフェン、ヘキサメチルベンゾチオフェン、メチルエチルベンゾチオフェン、ジメチルエチルベンゾチオフェン、トリメチルエチルベンゾチオフェン、テトラメチルエチルベンゾチオフェン、ペンタメチルエチルベンゾチオフェン、メチルジエチルベンゾチオフェン、ジメチルジエチルベンゾチオフェン、トリメチルジエチルベンゾチオフェン、テトラメチルジエチルベンゾチオフェン、メチルプロピルベンゾチオフェン、ジメチルプロピルベンゾチオフェン、トリメチルプロピルベンゾチオフェン、テトラメチルプロピルベンゾチオフェン、ペンタメチルプロピルベンゾチオフェン、メチルエチルプロピルベンゾチオフェン、ジメチルエチルプロピルベンゾチオフェン、トリメチルエチルプロピルベンゾチオフェン、テトラメチルエチルプロピルベンゾチオフェンなどのアルキルベンゾチオフェン、チアクロメン(ベンゾア-γ-ピラン、分子式CS、分子量148)、ジチアナフタリン(分子式C、分子量166)及びこれらの誘導体が挙げられる。
チオフェン類は、1個以上の硫黄原子を異原子として含む複素環式化合物のうち、複素環が五原子環又は六原子環で且つ芳香性をもち(複素環に二重結合を2個以上有し)、さらに複素環がベンゼン環と縮合していない硫黄化合物及びその誘導体である。複素環同士が縮合した化合物も含む。チオフェンは、チオフランとも呼ばれ、分子式CSで表わせる、分子量84.1の硫黄化合物である。その他の代表的なチオフェン類として、メチルチオフェン(チオトレン、分子式CS、分子量98.2)、チアピラン(ペンチオフェン、分子式CS、分子量98.2)、チオフテン(分子式C、分子量140)、テトラフェニルチオフェン(チオネサル、分子式C2020S、分子量388)、ジチエニルメタン(分子式C、分子量180)及びこれらの誘導体が挙げられる。
チオフェン類もベンゾチオフェン類も硫黄原子を異原子として含む複素環の反応性が高く、固体酸系脱硫剤存在下で、複素環の解裂や複素環と芳香環との反応、或いは、分解が容易に起こる。ジベンゾチオフェン類はチオフェン環の両側にベンゼン環が結合していることから、チオフェン類やベンゾチオフェン類に比べて反応性が低い。トリメチルジベンゾチオフェン、テトラメチルジベンゾチオフェン、ペンタメチルジベンゾチオフェンなどのアルキル基を多く有するジベンゾチオフェン類は、固体酸系脱硫剤による除去が特に困難である。
また、メルカプタン類は、メルカプト基(-SH)を有する硫黄化合物RSH(Rはアルキル基やアリール基などの炭化水素基)であり、チオール又はチオアルコールとも呼ばれる。メルカプト基は反応性が高く、特に金属と容易に反応する。代表的なメルカプタン類として、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン(異性体を含む)、ブチルメルカプタン(ターシャリーブチルメルカプタンなどの異性体を含む)、ペンチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、ヘプチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタンやチオフェノール類Ar−SH(Arはアリール基)などが挙げられる。
スルフィド類は、チオエーテルとも呼ばれ、硫化アルキル及び硫化アリールの総称であり、一般式R−S−R’(R及びR’はアルキル基やアリール基などの炭化水素基)で表わされる硫黄化合物である。硫化水素の水素2原子をアルキル基などで置換した形の化合物である。スルフィド類は、鎖状スルフィド類と環状スルフィド類に分けられる。鎖状スルフィド類は、スルフィド類のうち、硫黄原子を異原子として含む複素環をもたない硫黄化合物である。代表的な鎖状スルフィド類として、ジメチルスルフィド、メチルエチルスルフィド、メチルプロピルスルフィド、ジエチルスルフィド、メチルブチルスルフィド、エチルプロピルスルフィド、メチルペンチルスルフィド、エチルブチルスルフィド、ジプロピルスルフィド、メチルヘキシルスルフィド、エチルペンチルスルフィド、プロピルブチルスルフィド、メチルヘプチルスルフィド、エチルヘキシルスルフィド、プロピルペンチルスルフィド、ジブチルスルフィドなどが挙げられる。環状スルフィド類は、スルフィド類のうち、1個以上の硫黄原子を異原子として含む複素環をもち、芳香性をもたない(五原子環又は六原子環で且つ二重結合を2個以上もつ複素環をもたない)硫黄化合物である。代表的な環状スルフィド類として、テトラヒドロチオフェン(硫化テトラメチレン、分子式CS、分子量88.1)、メチルテトラチオフェンなどが挙げられる。
ジスルフィド類は、二硫化物のことである。二硫化アルキル及び二硫化アリールの総称であり、一般式R-S-S-R’(R及びR’はアルキル基などの炭化水素基)で表わされる硫黄化合物である。R及びR’を構成する炭化水素基の炭素数の和は2〜8個が好ましく、具体的には、ジメチルジスルフィド、メチルエチルジスルフィド、メチルプロピルジスルフィド、ジエチルジスルフィド、メチルブチルジスルフィド、エチルプロピルジスルフィド、メチルペンチルジスルフィド、エチルブチルジスルフィド、ジプロピルジスルフィド、メチルヘキシルジスルフィド、エチルペンチルジスルフィド、プロピルブチルジスルフィド、メチルヘプチルジスルフィド、エチルヘキシルジスルフィド、プロピルペンチルジスルフィド、ジブチルジスルフィドなどの鎖状ジスルフィドなどが例示できる。
燃料電池の原燃料として灯油や軽油を用いる場合、灯油や軽油に含まれる硫黄は、水素製造過程で改質触媒の触媒毒であるから厳しく除去する必要がある。脱硫後の硫黄分として、50質量ppb以下、好ましくは20質量ppb以下、さらに好ましくは5質量ppb以下にする必要がある。
本発明の吸着剤は、灯油又は軽油に含まれるジベンゾチオフェン類などの脱硫しにくい硫黄化合物及び/又は多環芳香族化合物などを吸着除去するとき、特に顕著な効果が得られる。本発明の吸着する除去方法を適用する前及び/又は後に、別の硫黄化合物や多環芳香族化合物の除去方法を組み合わせることも有用であり、特に、灯油又は軽油に含まれる硫黄分を除去する場合、極めて低い値にまで脱硫することが可能である。具体的には、固体酸系脱硫剤などによるベンゾチオフェン類の吸着脱硫などと組み合わせると、一層大きな効果が得られる。また、ニッケル系脱硫剤などによる200℃前後の高温脱硫を行う前に、本発明の吸着剤により多環芳香族化合物を吸着除去しておくと、ニッケル系脱硫剤などによる炭素析出を低減することができ、脱硫剤の寿命を長くすることができる。
本発明の吸着剤は、植物系バイオマスを(A)減圧下にて300〜900℃で炭化処理することにより製造された、又は(B)減圧下及び/又は不活性雰囲気下に200〜900℃で炭化処理した後にさらに賦活処理することにより製造された比表面積が200m/g以上、及び平均細孔径が20Å以上である炭化処理物又は賦活処理物からなる吸着剤であり、炭化水素油中の微量成分を除去することができる。
炭化処理物又は賦活処理物は、植物系バイオマスである植物系有機物(炭素質物質)を炭化処理して、さらに必要に応じて賦活処理して製造された、実質的に炭素のみからなる孔隙構造の発達した炭素質物質であり、一般的に活性炭と称される(以下、炭化処理物及び賦活処理物を単に活性炭ということもある)。
一般的に活性炭の原料としては、多くの炭素質物質が考えられ、原料の種類によって活性炭の製造条件が異なる。活性炭原料としては、木材、のこくず、ヤシ殻、籾殻、パルプ廃液などの植物系バイオマスと、石炭、石油重質油、或いはそれらを熱分解したピッチやコークスなどの化石燃料系の原料がある。また、活性炭は形状によって粉末活性炭、粒状活性炭、及び繊維状活性炭に分類される。粉末活性炭は、100メッシュより小さな粉末の活性炭であり、通常はおがくず、木材チップ、木炭、草炭等から製造される。粒状活性炭は、1〜3mm程度の大きさの粒状であり、木炭、ヤシ殻炭、石炭、石油コークス等から製造される。また、繊維状活性炭は、一般的には合成高分子、タールピッチ或いは石油系ピッチを紡糸した繊維を出発原料とする高価な炭素繊維を賦活処理して製造される。
本発明の吸着剤に用いる活性炭は、植物系バイオマス、特に籾殻及び/又は杉などの木材の活性炭原料から得られたものが好ましく、炭化水素油に含まれる硫黄化合物及び/又は多環芳香族化合物の除去性能に優れた性能を発揮する。
植物系バイオマス、特に籾殻及び/又は杉などの木材は、導管などの水の通路が発達しており、活性炭とした際にも導管などに由来するメソ孔やマクロ孔が形成される。導管は、被子植物の維管束の主要な構成要素で、管状細胞(導管細胞)の上下の隔壁が消失し、縦に連なった組織で、根から吸収した水分の通路である。細胞壁は部分的に肥厚し、いろいろな模様を生じる。さらに、籾殻の場合には、含有するシリカなどの無機成分が、メソ孔やマクロ孔を形成する。
稲は、東南アジア原産のイネ科の一年草である。高さ1メートル前後、葉は線形で互生する。夏から秋の頃、茎頂に多数の小穂からなる花穂をつける。籾殻は、米を包んでいる外皮であり、籾米の殻である。水分を5〜10質量%程度含んでおり、50質量%前後が、無酸素雰囲気中で400℃まで加熱することで揮発する。さらに800℃まで加熱すると60〜70質量%程度が揮発する。800℃加熱後の炭化籾殻の組成は、炭素が30〜40質量%、水素が1質量%前後、窒素が1質量%前後、残りの60〜70質量%は無機成分である。無機成分うち、90質量%以上がSiOであり、残りはKO、P,CaOなどである。これらの組成は、土壌や気候などの影響を受け、産地により異なる。活性炭の原料としては、ミクロ孔を形成する炭素分が多い籾殻が好ましく、すなわち無機成分が少ない方が好ましい。
杉は、スギ科の常緑高木であり、日本の特産種で各地に植林される。幹は直立し、枝には針状の葉を螺旋(らせん)状に密につける。寿命が長く、高さ50メートル以上、径5メートル以上の巨木となるものもある。材は芳香があって木目がよく通り、軽くて軟らかいので、建築・家具・器具材などに多用されている。活性炭をつくる杉材としては、どのような形態のものであっても使用できるが、おがくず、木材チップなどの形が好ましく、また、杉の間伐材を用いることは資源の有効活用の観点からも好ましい。
炭化とは有機物の加熱変化によっておこる結合の解裂と、より安定な結合への組替えをもたらす分解、重縮合、芳香族環化など、炭素が濃縮され、炭素質の固体状生成物を与える一連の多種多様の化学反応の総称である。原料を高熱で炭化処理して、コークやチャーを得ることができると同時に、この炭化反応過程で水、酸化炭素、軽質の炭化水素が揮発すると同時に液体が留出する。活性炭の吸着特性に大きな影響を及ぼす細孔構造は、炭化処理温度によって変化する。本発明においては、200〜900℃の温度範囲で炭化処理を行う。炭化処理後、賦活処理を行わない場合は300〜900℃で炭化処理を行う。
炭化の温度は、植物系バイオマスを原料とすることから、前記の温度範囲においていずれの場合も高温側が低い方が好ましく、具体的には600℃以下が好ましく、500℃以下がより好ましく、特に好ましくは400℃以下である。
また、炭化処理は、減圧下に行うか、あるいは不活性雰囲気下に行う。減圧下かつ不活性雰囲気下に行うこともできる。減圧とは、50〜500hPaの範囲の圧力をいい、100〜300hPaがより好ましい。減圧が不十分な場合は、炭素成分が空気中の酸素と反応して消失する。一方、減圧が過度に進行した状態の真空下に炭化処理を行った場合、賦活化されなくなるので、別途賦活処理を行う必要がある。なお、ここで、真空とは、雰囲気の圧力が50hPa未満の状態をいう。
不活性雰囲気下に炭化処理を行う場合、窒素やアルゴンなどの不活性ガスの雰囲気下に行うことが好ましく、特に窒素ガスの流通下に行うことが経済的で好ましい。不活性雰囲気下とする理由は、空気中の酸素との反応を防止するためであり、酸素の混入を防止できる圧力であれば良く、大気圧前後の0.05〜0.2MPa(絶対圧力)が好ましい。0.05MPa(500hPa)以下まで減圧にするならば、十分に酸素は少ないので不活性雰囲気下とする必要がない。また、0.2MPa以上に加圧すると設備が高価となる上に圧力調整が必要となり、経済的ではない。炭化処理を、窒素雰囲気下で行う場合、200〜600℃で1〜3時間行う。その後、二酸化炭素雰囲気下800〜900℃で1〜3時間賦活処理を行うと、比表面積が大きく、かつ、細孔容積の大きい活性炭が得られる。また、減圧下800〜950℃で1〜3時間炭化処理を行っても、比表面積、及び細孔容積の大きい活性炭を得ることができる。
本発明に用いる活性炭の製造における炭化処理後の賦活処理の方法としては、特に限定するものでなく、一般的に用いられている従来の賦活法、例えばガス賦活法、薬品賦活法などを挙げることができる。我が国では、水蒸気を用いるガス賦活法が主流であるが、粉末活性炭の製造では、現在も塩化亜鉛を用いる薬品賦活法が用いられている。また、近年、新たな薬品賦活法であるアルカリ賦活法も報告されている。
なかでもガス賦活法はより好ましい方法であり、物理的な活性化とも言われ、炭素材料を高温で、例えば800〜900℃で水蒸気、二酸化炭素、酸素などのガスと一定時間、好ましくは0.1〜4時間接触反応させて、良好な性能を有する微細な多孔質の活性炭を製造することができる。賦活過程は二段階で進行すると考えられており、第一段階の加熱過程では炭素結晶化があまり進行していない未組織化部分の炭素が選択的に、一酸化炭素や二酸化炭素へ分解消費され、炭素結晶間の閉ざされていた微細な孔隙が開放されて、比表面積を急激に増加する。第二段階のガス化反応過程では、炭素結晶などの炭素が一酸化炭素や二酸化炭素へ反応消耗して、メソ孔、マクロ孔が形成される。
薬品賦活法は、原料に賦活薬品を均等に含浸させて、不活性ガス雰囲気中で加熱・焼成することにより、薬品の脱水及び酸化反応により、微細な多孔質の活性炭を製造する方法である。賦活薬品は、塩化亜鉛、硫酸、ホウ酸、硝酸、塩酸、リン酸、リン酸ナトリウム、塩化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、塩化カリウム、過マンガン酸カリウム、硫化カリウム、チオシアン酸カリウムなどの脱水、酸化、浸食性の薬品が用いられる。薬品賦活では、炭素質原料に対して、含浸させる薬品の質量比が活性化の重要な尺度であり、具体的には質量比は0.5〜2.0程度が好ましい。質量比が小さい場合にはミクロ孔を生成し、質量比が大きくなるにつれて孔径の大きい細孔を発達させて細孔容積も増大する。
植物系バイオマスは、水を運搬するための導管などが発達しておりメソ孔やマクロ孔を形成しやすい。また、籾殻の場合にはさらにシリカ成分を含むことにより、シリカ成分がメソ孔やマクロ孔を形成することから、シリカ成分を含まない木材よりもさらにメソ孔やマクロ孔を形成しやすい。従って、植物系バイオマス、特に籾殻は元来、メソ孔やマクロ孔を容易に形成できるので、メソ孔やマクロ孔を形成するための薬品賦活法は必ずしも必要ではなく、水蒸気や二酸化炭素、特に二酸化炭素によるガス賦活法が簡便で好ましい。
活性炭による吸着特性は、本質的には活性炭の表面と吸着質分子との接触、及びその場における相互作用エネルギーによって決まる。従って、細孔分布と吸着質分子径との関係が接触に影響し、吸着質分子の構造とその物性が相互作用の強度に影響する。すなわち、吸着質がジベンゾチオフェン類のように比較的大きい硫黄化合物の場合には、活性炭の吸着サイトであるミクロ孔が発達しているだけではなく、ミクロ孔までの通路となるメソ孔やマクロ孔も発達していることが必要である。また、活性炭の表面に部分的に存在する多環芳香族分子集合構造(グラファイト構造とも呼ぶ)のπ電子軌道とジベンゾチオフェン類や多環芳香族類のベンゼン環のπ電子軌道との相互作用により、活性炭にジベンゾチオフェン類が吸着するものと考えられる。さらに、液相吸着では、多くの場合、多成分系競争吸着であり、溶媒と溶質分子との相互作用、溶媒や溶質分子の吸着剤への吸着力が関係して複雑である。本発明者は、硫黄化合物の吸着容量は、単に比表面積だけに比例するのではないことを見出した。
比表面積が大きい粉末活性炭よりも相対的に比表面積の小さい繊維状活性炭の方が、吸着容量が大きい。様々な原因が考えられるが、前述の活性炭の細孔構造が大きく影響しているものと考えられる。繊維状活性炭は、粒状活性炭と比較した場合、一般的に吸着速度が非常に大きいこと、低濃度における吸着量が高いこと、フェルト状など多様な形状に加工可能であることなどの利点を有する。しかし、上記のように、合成高分子や石油系ピッチを紡糸した繊維を出発原料とする炭素繊維を賦活処理して製造される高価なものであるから、灯油や軽油の脱硫などに大量に使用するには経済的でない。本発明の吸着剤に用いる活性炭は、籾殻、杉などの植物系バイオマスを炭化、賦活処理する比較的安価な方法で得ることができ、しかも、籾殻などの植物系バイオマスは繊維質であることから、籾殻などを原料とした活性炭は、繊維状活性炭と同様の効果が得られる。
本発明の吸着剤は、灯油や軽油に含まれる硫黄化合物及び/又は多環芳香族化合物を吸着除去するとき、粉末状、粒子状、又は球状、ディスク状、円柱状等の成形品などのいずれの形ででも使用することが可能である。粉末状や粒子状で用いる場合には、活性炭を公知の適当な粉砕機で粉砕後、公知の適当な分級機で分級し、平均粒径0.5μm〜0.1mm程度の粉末状、平均粒径0.1〜5mm程度の粒子状の活性炭に篩い分けて、それぞれの活性炭を使用条件に応じて、適宜使用することができる。吸着剤を連続的に使用して、繰り返し再生する場合には、活性炭を成形品として使用することが好ましい。成形品の形状としては、硫黄化合物など、除去する微量成分の濃度勾配を大きくするため、流通式の場合には吸着剤を充填した容器前後の差圧が大きくならない範囲で小さい形状、特には球状が好ましい。球状の場合、大きさは、直径が0.1〜5mm、特には0.3〜3mmが好ましい。円柱状の場合には、直径が0.1〜4mm、特には0.12〜2mmで、長さは直径の0.5〜5倍、特には1〜2倍が好ましい。成形品は、吸着剤として使用中に割れを生じないように、0.5kg/ペレット以上、特には1.0kg/ペレット以上の破壊強度を有することが好ましい。なお、破壊強度は、木屋式錠剤破壊強度測定器(富山産業株式会社製、TH-203MP)等の圧縮強度測定器により測定される。
成形品として使用する場合には、(1)原料を成形した後、炭化処理し、次いで賦活処理しても良いし、(2)原料を炭化処理した後に成形し、賦活処理しても良いし、(3)原料を炭化処理及び賦活処理後に成形し、乾燥及び焼成しても良い。原料の大部分が揮発成分であることから炭化処理前に成形すると得られた活性炭の強度が高くならないこと、原料よりも炭化処理後の方がバインダー成分との混合が均一にできること、バインダー成分の炭化処理と賦活処理とを同時に行えることから工程が短縮できることなどから、前記(2)の原料を炭化処理した後に成形し、賦活処理することが特に好ましい。
原料及び/又は炭化処理物は、バインダー成分と混合する前に、粉砕処理を行うと、バインダー成分と均一に混合できることから特に好ましい。
成形する際には必要に応じてバインダー(粘結剤)を使用することができる。バインダーとしては、例えば、タールピッチ、タール相溶性樹脂、膨張黒鉛、リグニン、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース(CMC)、フェノール樹脂やポリビニルアルコールなどの合成高分子化合物、糖蜜、デンプン、甜菜絞り汁、黒糖、さとうきび絞り汁、オリゴ糖などの糖類からなる天然有機質系粘結剤、アルミナ、スメクタイト、水ガラス等の無機質系粘結剤などが例示される。原料である植物系バイオマスからの活性炭は糖類との混合性が最も良好であり、得られる活性炭の強度も高くなる。また、炭素源として、比表面積を向上させる効果もある。なかでも、デンプンや甜菜がより好ましい。
デンプンは、多糖類の一種であり、ブドウ糖(D-グルコース)の重合体である。約20質量%は直鎖状重合体のアミロースで、約80質量%は多くの分枝部をもつアミロペクチンで構成される。甜菜は、サトウダイコンやビートの別名である。バインダーとして使用するには、甜菜の絞り汁をそのまま用いることもできるが、粘性を高めるために煮詰めて濃縮することが好ましい。
これらの粘結剤は、成形できる程度に使用すればよく、特に限定されるものではないが、原料に対して通常0.05〜200質量%程度、特に好ましくは20〜100質量%が使用される。0.05質量%よりも少ないと、得られる活性炭の強度が低くなる。また、200質量%よりも多いと、籾殻などの特長である細孔構造などが十分に得られなくなる。なお、前記の粘結剤の使用量は、不特定量の水分を含有する天然有機質系粘結剤などの場合、水分を除いた残量を基準(乾燥基準)とする。
乾燥状態では粘結性を持たないので、十分乾燥させた粉末状の糖類に同じ重さの水を加え、それを約100℃で熱する。時間の経過とともに、水分は蒸発し、流動性のある液体(シロップ状糖類)となる。この状態で粘結剤として使用する。
比表面積を向上させるための炭素源として糖類を添加する場合には、粉末状の糖類を1〜20倍の重さの水に、約60℃で溶解し、糖類水溶液として炭化物に含浸しても良い。
本発明の活性炭は、活性炭が吸着しにくい硫黄化合物などの吸着性能を向上するため、及び/あるいは、メソ孔及びマクロ孔の存在量を増やして硫黄化合物などの拡散速度を向上するために、炭化処理、成形、賦活処理の途中又は後で、シリカ、アルミナ、ゼオライトなどの無機物を混合しても良い。また、銀、水銀、銅、カドミウム、鉛、モリブデン、亜鉛、コバルト、マンガン、ニッケル、白金、パラジウム、鉄などの金属及び/又は金属酸化物との複合化、すなわちこれらの金属を担持することにより吸着性能を向上させることもできる。安全性や経済性などから、好ましいのは銅、銀、マンガン、亜鉛、ニッケルの酸化物である。中でも銅は、安価な上に、常温付近から300℃程度の広い温度範囲で、また還元処理を行わない酸化銅の状態のまま、且つ、水素非存在下でも硫黄化合物の吸着に優れた性能を示すので特に好ましい。金属の好ましい担持量は、特に限定するものでなく、金属の種類によっても異なるが、仕上がりの吸着剤に対する金属単体基準で、貴金属の場合0.1〜20質量%、特には0.5〜5質量%担持することが好ましい。0.1質量%よりも少ないと担持効果が少なく、20質量%よりも多いと経済的でない。銅及びその他の金属の場合0.1〜60質量%、特には3〜20質量%担持することが好ましい。0.1質量%よりも少ないと担持効果が少なく、60質量%より多いと担体である活性炭との結合が弱い金属が多くなることから、金属成分が脱離する可能性がある。金属担持量が多いと活性炭が吸着しにくいチオフェン類やベンゾチオフェン類などの硫黄化合物の吸着性能をより向上することができる。
吸着剤は、前処理として吸着剤に吸着した微量の水分を除去するために、空気などの酸化雰囲気下ならば100〜200℃程度で乾燥することが好ましい。200℃を超えると酸素と反応して吸着剤の重量が減少するので好ましくない。一方、窒素などの非酸化雰囲気下では吸着剤を100〜800℃程度で乾燥することが好ましい。特に非酸化雰囲気下で吸着剤を400〜800℃で熱処理を行うと、有機物や含有酸素が除去され、吸着性能が向上するので一層好ましい。
硫黄化合物などが吸着する箇所を多くする意味から比表面積は大きい方が好ましいが、比表面積はミクロ孔の量と相関関係があり、比表面積が大きいほどミクロ孔が多い。しかしミクロ孔までの経路であるメソ孔やマクロ孔が十分に多くなければ、硫黄化合物などの吸着質がスムーズにミクロ孔まで拡散できない。ミクロ孔及びマクロ孔の全てを多くすると、吸着剤が非常に強度の低いものとなり、活性炭の形状を維持できなくなってしまうので、ミクロ孔とメソ孔及びマクロ孔のバランスが重要である。したがって、むやみに比表面積を大きくしても、すなわちミクロ孔を多くしても、メソ孔やマクロ孔が十分に多くなければ、大きな比表面積を十分に活用できないこととなる。
本発明の吸着剤の比表面積は、脱硫性能などの吸着に大きく影響するので、200〜4,000m/gが好ましく、さらには300〜3,000m/g、特には450〜2,000m/gが好ましい。また、平均細孔径は細孔容量に比例し、比表面積に反比例する。平均細孔径が大きすぎると、細孔容量が大きすぎて十分な密度が得られなくなり、単位体積当たりの吸着容量が低くなる。また、平均細孔径が大きすぎると、比表面積が小さすぎて十分な吸着サイトが得られなくなり、やはり吸着容量が低くなる。本発明の吸着剤の平均細孔径は、20〜40Åが好ましく、さらには20〜35Å、特には20〜30Åが好ましい。
細孔容積は、比表面積とも関係があるが、0.10ml/g以上が好ましく、さらには0.20ml/g以上、特には0.25ml/g以上が好ましい。細孔直径10Å未満の細孔容積は、硫黄化合物などの吸着容量を大きくするために、0.05ml/g以上、特には0.10ml/g以上とすることが好ましい。また、細孔直径10Å以上0.1μm未満の細孔容積は、硫黄化合物の細孔内拡散速度を大きくするために、0.01ml/g以上、さらには0.02ml/g以上、特には0.03ml/g以上とすることが好ましい。細孔直径0.1μm以上の細孔容積は、成形体の機械的強度を高くするために、0.3ml/g以下、特には、0.25ml/g以下とすることが好ましい。なお、通常、比表面積、全細孔容積は、窒素吸着法により、マクロ孔容積は水銀圧入法により測定される。窒素吸着法は簡便で、一般的に用いられており、様々な文献に解説されている。例えば、鷲尾一裕:島津評論 48 (1) 35-49 (1991)、ASTM (American Society for Testing and Materials) Standard Test Method D 4365-95などである。
また、本発明の吸着剤では、吸着剤に用いられる炭素材料のマイクロポア比表面積Smicro[m/g]、マイクロポア外部細孔容積Vext[cm/g]及びマイクロポア外部比表面積Sext[m/g]が、下記式(1)を満足することが好ましい。
micro×2×Vext/Sext>0.7 ・・・(1)
本発明の吸着剤に用いられる炭素材料は、比表面積が大きく、且つ、細孔径20〜500Å程度のメソポアを有することが好ましい。炭素材料の解析で用いられる比表面積、細孔径及び細孔容積などのパラメータ測定は、一般に、ガス分子と固体表面との間に働く分子間力に基づく物理吸着を利用したガス吸着法、特に窒素吸着法が用いられる。炭素材料は、平均細孔径が20Å以下のものが多いのでその解析には注意を要する。一般によく使用されるBET(Brunouer-Emmett-Teller)法は、下記式(2)に基づいて炭素材料の比表面積を求める方法である。
x/V/(1−x)=1/V/C+(C−1)x/V/C ・・・(2)
ここで、xは相対圧、Vは相対圧がxである時の吸着量、Vは単分子層吸着量、そして、Cは定数(>0)である。すなわち、BET法では定数Cは正の値である必要があり、負となる場合は適当でない。定数C<0の場合は、計算に用いる相対圧を、例えば0.05〜0.1と低くするか、或いは、Langmuir法で比表面積、細孔径、細孔容積などのパラメータを求める場合が多い。Langmuir法では、下記式(3)に基づいて炭素材料の比表面積が求められる。
x/V=x/V+1/V/C ・・・(3)
ここで、xは相対圧、Vは相対圧がxである時の吸着量、Vは単分子層吸着量、そして、Cは定数(>0)である。それゆえ、Langmuir法でも定数Cが負となる場合は適当でない。定数C<0であり、定数C<0の場合には、再測定等が必要である。
また、tプロット法によりマイクロポアの定量化が可能である。tプロット法では、横軸に吸着層の厚さt(相対圧の関数)、縦軸に吸着量をとり、吸着層の厚さtに対する炭素材料の吸着量の変化をプロットする。プロットされた特性において、tプロットの傾きが連続的に小さくなる吸着層の厚さ領域tが存在する。この領域tでは、多分子層吸着の進行に伴い、微細孔(マイクロポア)が吸着ガス(窒素)に満たされ、表面として寄与しなくなる。この現象は、吸着層の厚さ領域tでマイクロポアの充填が起こっていることに起因するので、吸着層の厚さtが領域tよりも小さい領域及び大きい領域では、ガス分子のマイクロポアへの充填や毛管凝縮は起こっていないので、tプロットの傾きは一定となる。それゆえ、吸着層の厚さtが領域tよりも大きい領域、すなわちガス分子のマイクロポアへの充填が終了した領域で直線を引くと、その傾きから炭素材料のマイクロポア以外の表面として寄与する部分の比表面積(外部比表面積)が求まる。また、吸着層の厚さtが領域tBよりも大きい領域で引かれた直線の縦軸の切片の値を液体に換算すれば、マイクロポア容積が求まる。以上のことをまとめると、炭素材料の吸着量V、マイクロポア外部比表面積Sext[m/g]、マイクロポア比表面積Smicro[m/g]、マイクロポア容積Vmicro[cm/g]及びマイクロポア外部細孔容積Vext[cm/g]は下記式(4)〜(8)で求められる。
V=αt+β (t>t) ・・・(4)
ext=α×10×D ・・・(5)
micro=β×D ・・・(6)
micro=S−Sext ・・・(7)
ext=V−Vmicro ・・・(8)
ここで、α[cm(STP:1atm、0℃)/g/nm]は吸着層の厚さtが領域tよりも大きい領域におけるtプロットの直線の傾き、β[cm(STP)/g]は吸着層の厚さtが領域tよりも大きい領域におけるtプロットの直線と縦軸との切片、Dは密度変換係数(ガスとして窒素使用時は0.001547)[cmliq/cm(STP)]、Sは全比表面積[m/g]、そして、Vは全細孔容積[cm/g]である。ただし、Sは上述のBET法やLangmuir法などで求めた全比表面積である。Vは、飽和蒸気圧に近い圧力における吸着ガス量を液体に換算した値と定義することが可能であり、例えば、相対圧0.95の時の吸着量[cm(STP)/g]にDを掛けた値である。
炭素材料の多くは、マイクロポアが大部分であり、マイクロポア外部のメソポアはほとんど存在しない。しかしながら、本発明者の検証実験によりマイクロポア外部に存在する微量のメソポアが硫黄化合物の吸着に大きく影響することを見出した。本発明者は、メソポアの影響を表す指標として、2×Vext/Sextの値が好適であることを見出した。2×V/Sという値は細孔が円筒形であると仮定した場合の平均細孔半径(D/2)或いは平板状細孔の壁間距離を表すので、2×Vext/Sextはメソポアの平均細孔半径(Dext/2)或いは壁間距離に近い値を表す指標である。さらに、本発明者は、先に軽油や灯油に含まれるジベンゾチオフェン類に対して高い除去性能を有する特定の細孔構造を有する活性炭、特に繊維状活性炭を提案した。硫黄化合物の吸着に関して、炭素材料のマイクロポア比表面積及びメソポア平均細孔半径(或いは壁間距離)が大きいほど好ましく、特に、両者の積(Smicro×2×Vext/Sext)の値が大きいほど炭素材料の吸着性能が向上することを見出した。具体的には、Smicro×2×Vext/Sextの値としては0.7cm/g以上、より好ましくは3.0cm/g以上、さらに好ましくは5.0cm/g以上で炭素材料の吸着性能が向上することが分かった。この原因は明らかではないが、炭素材料の吸着性能は単純にメソポアの量に依存するのではなく、炭素材料の吸着性能向上のためには、硫黄化合物の吸着により閉塞することのない十分な径のメソポアが必要であることを表しているものと考えられる。
本発明の吸着剤を脱硫に用いて、軽油中に含まれる硫黄分を低濃度まで除去するためには、例えば15ppm以下にするためには、吸着剤に用いられる炭素材料の充填密度を十分高くすることが望ましい。具体的には、炭素材料の充填密度C[g−adsorbent/ml-adsorbent]と、液相状態にある軽油の硫黄濃度が15ppmである場合の炭素材料単位重量当たりの吸着容量A[g−S/g−adsorbent]と、軽油の密度B[g/ml]との間には少なくとも下記式(9)が満足されていなければならない。
C>B×k÷A ・・・(9)
ここで、k=0.000015[g−S/g]である。なお、液相状態にある軽油の硫黄濃度が15ppmの場合、炭素材料単位重量当たりの吸着容量Aは吸着脱硫工程の温度での吸着等温線から求められる。
上述した炭素材料は、チオフェン類、ベンゾチオフェン類、ジベンゾチオフェン類の吸着性能が優れており、ゼオライト主成分の吸着剤と比べてベンゾチオフェン類、ジベンゾチオフェン類、特にジベンゾチオフェン類の吸着性能が優れており、また、多環芳香族化合物は吸着するが、一環芳香族分の影響は少ない。
一方、ゼオライト成分は、炭素材料と比べてメルカプタン類、鎖状スルフィド類、環状スルフィド類の吸着性能が優れている。従って、石油留分に含まれる硫黄化合物の種類及び量に応じて、吸着剤として炭素材料にゼオライト成分を組み合わせて用いることにより、石油留分に含まれる硫黄化合物を効率的に除去することが可能となる。ゼオライトの種類としては、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、L型ゼオライト、モルデナイト、フェリエライト、βゼオライトなどが挙げられる。
本発明の吸着剤と炭化水素油とを接触させる方法は、回分式(バッチ式)でも流通式でも良いが、成形品の吸着剤を充填した容器に炭化水素油を流通する流通式がより好ましい。
流通式の場合、接触させる条件としては、圧力は、常圧〜50kg/cmG、が好ましく、常圧〜10kg/cmGがより好ましく、特には0.1〜3kg/cmGが好ましい。流量は、LHSVで0.01〜100hr−1、特には0.05〜20hr−1が好ましい。脱硫処理を行う温度は、10〜150℃、特には30〜100℃が好ましい。
燃料電池システムにおいて、本発明の吸着剤を使用する場合には、本発明の吸着剤と他の吸着剤とを組み合わせて使用しても良い。本発明の吸着剤は、ジベンゾチオフェン類の除去性能に特に優れているので、ベンゾチオフェン類、メルカプタン類、或いは、スルフィド類など、他の種類の硫黄化合物の除去性能に優れた他の吸着剤、例えば、ベンゾチオフェン類の除去については本発明者が先に提案した固体酸触媒及び/又は遷移金属酸化物が担持された活性炭などの脱硫剤、メルカプタン類の除去については本発明が先に提案した酸化銅担持アルミナ、スルフィド類の除去についてはゼオライトなどとの組み合わせが好ましい。
製油所等において本吸着剤を使用する場合には、吸着剤を充填した吸着槽(または吸着塔)を2槽以上設置することが好ましい。まず1槽の吸着槽に硫黄化合物や多環芳香族化合物を吸着除去する炭化水素油を流通し、吸着剤の除去性能が低下して十分な除去硫性能が得られなくなった段階で別の吸着槽に切り替える。切り離された吸着槽は、新品の吸着剤に交換するか、又は劣化した吸着剤を脱着再生し、吸着工程中の吸着槽との切り替えに備える。さらに、吸着槽を2槽以上直列に接続し、最も上流側の吸着槽の除去性能がまったく無くなるか、或いは、著しく低下した段階で、当該吸着槽の使用を中止し、最も下流に新品の吸着剤を充填した、又は脱着再生した吸着槽が常に接続される方法が特に好ましい。
以下本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが,本発明はそれに限定されるものではない。
秋田県大潟村産あきたこまち(2002年収穫)、秋田県西木村産あきたこまち(2003年収穫)、秋田県雄勝郡産あきたこまち(2003年収穫)、秋田県由利本荘市産ひとめぼれ(2003年収穫)、秋田県横手市産あきたこまち(2003年収穫)及び静岡県豊岡村産(2004年収穫)の稲の籾殻、秋田県で生産された杉を、表1に示す条件で炭化処理及び賦活処理を行った。炭化処理は、真空下(5hPa)、200hPaの減圧下、又は常圧、窒素雰囲気下で、400〜900℃、1〜3時間の範囲で実施した。さらに、一部の試料については、賦活処理を、二酸化炭素雰囲気で、800〜900℃、0.25〜5時間の範囲で実施した。
Figure 2007284337
表1に記載の炭化処理及び賦活処理を行って得られた各活性炭の比表面積、細孔容積及び平均細孔径、マイクロポア外部比表面積Sext、マイクロポア容積、マイクロポア比表面積Smicro、マイクロポア平均細孔径Dmicro、マイクロポア外部細孔容積Vext、外部平均細孔径Dext、マイクロポア比表面積×外部平均細孔径/2(Smicro×Dext/2)を表2及び表3に示す。なお、平均細孔径[Å]は、次式(10)により求めた。
平均細孔径[Å]
=4×細孔容積[ml/g]/比表面積[m/g]×10 (10)
窒素雰囲気下400〜600℃で1〜3時間炭化処理した後に、二酸化炭素雰囲気下800〜900℃で1〜3時間賦活処理を行うか、あるいは、減圧下900℃で1時間炭化処理を行うと、比表面積が大きく、且つ、細孔容積の大きい活性炭が得られることが分かる。また同様の炭化処理及び賦活処理でも、籾殻の産地により物性が異なることが分かる。さらに、籾殻と杉を比較すると、杉の方が比表面積は大きいが、平均細孔径は小さいことが分かる。尚、原料により最適賦活処理温度は異なり、籾殻を原料とした場合、賦活化処理温度は、炭酸ガス雰囲気下、850℃であったが、杉を原料とした場合、賦活処理温度は、炭酸ガス雰囲気下、850℃以上とすると収率が著しく低下することから、800℃で行った。
Figure 2007284337
Figure 2007284337
上記のようにして調製した実施例1〜20、及び比較例1〜10の活性炭を吸着剤として用い、灯油への浸せき式吸着実験を実施した。調製した活性炭は、予め、150℃で3時間乾燥した。尚、賦活処理後にも籾殻は籾殻の形状を保持するなど原料形状を保持しているが、粉砕などは行わなかった。吸着剤に対する灯油の比率(重量)を8又は30として、灯油に吸着剤を浸せきし、10℃にて4日間静置後、灯油の硫黄分を分析した。浸せき前後の硫黄分の値から、次の式(11)により吸着除去した硫黄分の割合を脱硫率[%]として算出した。結果を表4に示す。
脱硫率[%]=100×(S−S)/S (11)
式中、S及びSは、それぞれ浸せき前及び浸せき後の硫黄分を示す。
Figure 2007284337
なお、上記の浸せき式吸着実験には、ジャパンエナジー社製の灯油を用いた。その性状は、沸点範囲158.5〜270.0℃、5%留出点170.5℃、10%留出点175.0℃、20%留出点181.5℃、30%留出点188.0℃、40%留出点194.5℃、50%留出点202.5℃、60%留出点211.0℃、70%留出点221.0℃、80%留出点232.0℃、90%留出点245.5℃、95%留出点256.5℃、97%留出点263.5℃、密度(15℃)0.7982g/ml、芳香族分17.5容量%、飽和分82.5容量%、硫黄分13.6質量ppm、軽質硫黄化合物(ベンゾチオフェンよりも軽質の硫黄化合物)に由来する硫黄分16質量ppb、ベンゾチオフェン類(ベンゾチオフェン、及びベンゾチオフェンよりも重質でありジベンゾチオフェンよりも軽質の硫黄化合物)に由来する硫黄分9.6質量ppm、ジベンゾチオフェン類(ジベンゾチオフェン、及びジベンゾチオフェンよりも重質の硫黄化合物)に由来する硫黄分4.0質量ppm(硫黄分全体に占める割合29質量%)、窒素分1質量ppm以下、多環芳香族分(2環、2.5環及び3環芳香族含有量の合計)0.29質量%であった。硫黄分は燃料酸化-紫外蛍光法硫黄分析装置を用いて、硫黄化合物のタイプはガスクロマトグラフ−誘導結合プラズマ質量分析装置(GC−ICP-MS)、多環芳香族定量分析は英国石油協会(The Institute of Petroleum)規格IP標準法391/95(屈折率検出器を用いた高速液体クロマトグラフによる中間留出物の芳香族炭化水素の分析)を用いて分析した。
窒素雰囲気下400〜600℃で1時間炭化処理した後に、二酸化炭素雰囲気下800〜900℃で1〜3時間賦活処理を行うか、あるいは、減圧下900℃で1時間炭化処理を行い作製した活性炭は脱硫率が高いことが分かる。また、籾殻と杉を比較すると、杉の方が比表面積は大きいにも拘らず、籾殻の方が高い脱硫率を得られることが分かる。
尚、活性炭は主にジベンゾチオフェン類を選択的に除去することから、又、灯油に含まれるジベンゾチオフェン類の含有量は、硫黄分全体に対して約30%であるので、脱硫率30%程度より高い脱硫率を得ることは困難である。
実施例2の活性炭で灯油/吸着剤比:8/1の条件で吸着試験を行った脱硫後の灯油の多環芳香族分は0.23質量%であった。本発明の吸着剤が、硫黄化合物と同様に多環芳香族化合を吸着除去できることがわかる。
(参考)
実施例2の活性炭で灯油/吸着剤比:8/1の条件で吸着試験を行った脱硫後の灯油をさらにタングステン酸・アルミナ(比表面積102m/g、細孔容積0.316ml/g、中央細孔径101Å、タングステン酸20質量%、ジルコニア53質量%、アルミナ25質量%)で同様の浸せき式吸着実験を実施した。タングステン酸・アルミナに対する灯油の比率(重量)は4とした。実験後の灯油の硫黄分は20質量ppb以下であった。
(実施例22)
成形吸着剤の製造
大潟村産あきたこまちの籾殻を窒素雰囲気下400℃で1時間炭化し、炭化籾殻を得た。また、十分乾燥させた粉末状の糖類(甜菜、黒糖及びさとうきび)に同じ重さの水を加えた後に、約100℃で熱して徐々に水分を蒸発させ、流動性のある液体(シロップ状糖類)を得た。炭化籾殻1.0gに対してシロップ状糖類を0.7g(乾燥基準)混合してペーストを調製した。該ペーストを1ton/cmの圧力で1分間プレスして直径15mm、厚さ5.0〜7.3mmのディスク状に成形した。その後に、該ディスク状成形物を二酸化炭素雰囲気下850℃で1〜2時間賦活処理を行った。その結果得られた賦活処理物の性状等を表5に示す。賦活処理後にもディスク形状を維持し、成形しない場合と同様に比表面積も高く、糖類をバインダーとすることにより成形が可能であることが分かる。
Figure 2007284337
(実施例23)
静岡県豊岡村産こしひかり(2004年収穫)の籾殻を窒素雰囲気下250℃で1時間炭化し、炭化籾殻を得た。また、十分乾燥させた粉末状の甜菜に同じ重さの水を加えた後に、約100℃で熱して徐々に水分を蒸発させ、流動性のある液体(シロップ状甜菜)を得た。炭化籾殻1.0gに対してシロップ状甜菜を甜菜として0.7g(乾燥基準)混合してペーストを調製した。該ペーストを3ton/cmの圧力で1分間プレスして直径30mm、厚さ2mmのディスク状に成形した。窒素雰囲気下400℃で1時間炭化し、2回炭化籾殻を得た。2回炭化籾殻を粉砕した後に、2回炭化籾殻1.0gに対してシロップ状甜菜を甜菜として0.3g(乾燥基準)混合してペーストを調製した。該ペーストを3ton/cmの圧力で1分間プレスして直径30mm、厚さ2mmのディスク状に成形した。その後に、該ディスク状成形物を二酸化炭素雰囲気下875℃で1時間賦活処理を行った。
(実施例24)
静岡県豊岡村産こしひかり(2004年収穫)の籾殻を窒素雰囲気下250℃で1時間炭化し、炭化籾殻を得た。また、十分乾燥させた粉末状の甜菜に11倍の重さの水を加えた後に、ホットスタラーで200rpmで攪拌しつつ約60℃まで昇温し、10分間保持して、甜菜溶液を得た。炭化籾殻2.0gに対して甜菜溶液を甜菜として2.0g(乾燥基準)噴霧して甜菜含浸炭化籾殻を調製した。18時間放置後、該甜菜含浸炭化籾殻を105℃のオーブンで2時間乾燥させた後に、窒素雰囲気下400℃で1時間炭化し、2回炭化籾殻を得た。2回炭化籾殻を粉砕した後に、2回炭化籾殻1.4gに対して甜菜溶液を甜菜として0.6g(乾燥基準)噴霧して2回甜菜含浸2回炭化籾殻を調製した。18時間放置後、該2回甜菜含浸2回炭化籾殻を3ton/cmの圧力で1分間プレスして直径30mm、厚さ3mmのディスク状に成形した。105℃のオーブンで1時間乾燥させた後に、該ディスク状成形物を二酸化炭素雰囲気下875℃で1時間賦活処理を行った。
(実施例25)
静岡県豊岡村産こしひかり(2004年収穫)の籾殻を窒素雰囲気下250℃で1時間炭化し、炭化籾殻を得た。また、十分乾燥させた粉末状の甜菜に2.5倍の重さの水を加えた後に、ホットスタラーで200rpmで攪拌しつつ約60℃まで昇温し、10分間保持して、甜菜溶液を得た。炭化籾殻2.0gに対して甜菜溶液を甜菜として2.0g(乾燥基準)噴霧して甜菜含浸炭化籾殻を調製した。18時間放置後、該甜菜含浸炭化籾殻を105℃のオーブンで2時間乾燥させた後に、窒素雰囲気下400℃で1時間炭化し、2回炭化籾殻を得た。2回炭化籾殻を粉砕した後に、2回炭化籾殻1.5gに対して甜菜溶液を甜菜として0.6g(乾燥基準)噴霧して2回甜菜含浸2回炭化籾殻を調製した。18時間放置後、該2回甜菜含浸2回炭化籾殻を3ton/cmの圧力で1分間プレスして直径30mm、厚さ3mmのディスク状に成形した。105℃のオーブンで1時間乾燥させた後に、該ディスク状成形物を二酸化炭素雰囲気下875℃で1時間賦活処理を行った。
(実施例26)
秋田県西木村産あきたこまち(2005年収穫)の籾殻を窒素雰囲気下250℃で1時間炭化し、炭化籾殻を得た。また、十分乾燥させた粉末状の甜菜に同じ重さの水を加えた後に、約100℃で熱して徐々に水分を蒸発させ、流動性のある液体(シロップ状甜菜)を得た。炭化籾殻1.0gに対してシロップ状甜菜を甜菜として0.7g(乾燥基準)混合してペーストを調製した。該ペーストを3ton/cmの圧力で1分間プレスして直径30mm、厚さ2mmのディスク状に成形した。窒素雰囲気下400℃で1時間炭化し、2回炭化籾殻を得た。2回炭化籾殻を粉砕した後に、2回炭化籾殻1.0gに対してシロップ状甜菜を甜菜として0.2g(乾燥基準)混合してペーストを調製した。該ペーストを3ton/cmの圧力で1分間プレスして直径30mm、厚さ2mmのディスク状に成形した。その後に、該ディスク状成形物を二酸化炭素雰囲気下875℃で1時間賦活処理を行った。
(実施例27)
秋田県西木村産あきたこまち(2005年収穫)の籾殻を窒素雰囲気下250℃で1時間炭化し、炭化籾殻を得た。また、十分乾燥させた粉末状の甜菜に同じ重さの水を加えた後に、約100℃で熱して徐々に水分を蒸発させ、流動性のある液体(シロップ状甜菜)を得た。炭化籾殻1.0gに対してシロップ状甜菜を甜菜として0.7g(乾燥基準)付着させて、甜菜付着炭化籾殻を調製した。該甜菜付着炭化籾殻を窒素雰囲気下400℃で1時間炭化し、2回炭化籾殻を得た。2回炭化籾殻を粉砕した後に、2回炭化籾殻1.0gに対してシロップ状甜菜を甜菜として0.2g(乾燥基準)混合してペーストを調製した。該ペーストを3ton/cmの圧力で1分間プレスして直径30mm、厚さ2mmのディスク状に成形した。その後に、該ディスク状成形物を二酸化炭素雰囲気下875℃で1時間賦活処理を行った。
上記のように比較的低い温度で炭化処理して調製した実施例23〜27の各活性炭の比表面積、細孔容積、平均細孔径を表2に示す。また、上記と同様に灯油への浸せき式吸着実験を実施した。調製した活性炭(ディスク状成形物)は、予め、150℃で3時間乾燥した後、粉砕した粉末吸着剤を、これに対する灯油の比率(重量)を30として、灯油に添加、攪拌して浸せきした。10℃にて7日間静置後、灯油の硫黄分を分析した。それぞれの結果から得られた脱硫率[%](灯油/吸着剤比:30/1)を表4に示す。表2及び4の実施例23〜27の値から、炭化温度を低下させたことにより、平均細孔径が低下することなく、比表面積が大きくなり、脱硫率が向上することが分かる。
(実施例28)
実施例23、25及び27のディスク状成形物を粉砕し、それぞれ同じ重量割合で混合して等重量混合物を調製した。該混合物2.0gに、イオン交換水6.8gに硝酸銅(II)三水和物を0.35g溶解して調製した硝酸銅水溶液を含浸した。一晩放置した後に、窒素雰囲気下400℃で1時間焼成して、酸化銅を仕上がりの吸着剤に対する金属銅として4質量%担持した籾殻活性炭を調製した。上記と同様に灯油への浸せき式吸着実験を実施した。その結果得られた脱硫率[%](灯油/吸着剤比:30/1)を表4に示す。酸化銅を担持させたことにより、脱硫率が大幅に向上することが分かる。なお、表4の「実施例23、25及び27混合物」は、酸化銅を担持させる前の等重量混合物の灯油への浸せき式吸着実験結果を示す。

Claims (16)

  1. 植物系バイオマスを(A)減圧下にて300〜900℃で炭化処理することにより、又は(B)減圧下及び/又は不活性雰囲気下に200〜900℃で炭化処理した後にさらに賦活処理することにより、
    比表面積が200m/g以上、及び平均細孔径が20Å以上である炭化処理物又は賦活処理物を得た後、
    該炭化処理物又は賦活処理物から吸着剤を製造する
    ことを特徴とする炭化水素油中の微量成分を除去する吸着剤の製造方法。
  2. (A)の炭化処理が、300〜500℃で実施され、及び(B)の炭化処理が、200〜500℃で実施される請求項1に記載の吸着剤の製造方法。
  3. 賦活処理が、二酸化炭素雰囲気下にて800〜900℃で0.1〜4時間実施される請求項1又は2に記載の吸着剤の製造方法。
  4. 炭化処理物に、糖類からなるバインダーを加えて成形し、次いで得られた成形物を賦活処理する請求項1〜3のいずれかに記載の吸着剤の製造方法。
  5. 植物系バイオマスが、籾殻又は杉である請求項1〜4のいずれかに記載の吸着剤の製造方法。
  6. さらに、金属及び/又は金属酸化物を混合し、担持する工程を含む、請求項1〜5の何れかに記載の吸着剤の製造方法。
  7. 植物系バイオマスを(A)減圧下にて300〜900℃で炭化処理することにより製造された、又は(B)減圧下及び/又は不活性雰囲気下に200〜900℃で炭化処理した後にさらに賦活処理を行うことにより製造された、比表面積が200m/g以上、及び平均細孔径が20Å以上である炭化処理物又は賦活処理物からなることを特徴とする炭化水素油中の微量成分を除去する吸着剤。
  8. (A)の炭化処理が、300〜500℃で実施され、及び(B)の炭化処理が、200〜500℃で実施された請求項7に記載の吸着剤。
  9. 賦活処理が、二酸化炭素雰囲気下にて800〜900℃で0.1〜4時間実施された請求項7又は8に記載の吸着剤。
  10. 炭化処理物に、糖類からなるバインダーを加えて成形し、次いで得られた成形物を賦活処理して得られた請求項7〜9のいずれかに記載の吸着剤。
  11. 植物系バイオマスが、籾殻又は杉である請求項7〜10のいずれかに記載の吸着剤。
  12. 吸着剤が、さらに金属及び/又は金属酸化物が担持されているものである請求項7〜11の何れかに記載の吸着剤。
  13. 請求項7〜12のいずれかに記載の吸着剤を用い、炭化水素油中に含まれる硫黄化合物及び/又は多環芳香族化合物を吸着除去することを特徴とする炭化水素油中の微量成分の除去方法。
  14. 炭化水素油が灯油又は軽油である請求項13に記載の除去方法。
  15. 150℃以下の温度において灯油中の硫黄化合物を吸着除去する請求項13又は14に記載の除去方法。
  16. 請求項7〜12のいずれかに記載の炭化水素油中の微量成分を除去する吸着剤を装備したことを特徴とする燃料電池システム。
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