JP2007283908A - ア−ムレスト装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡潔な構造で、略水平の使用位置から上方起立又は下方倒立のいずれもの格納位置まで回動でき、水平近傍での使用角度が微調整可能で、作動が静粛・円滑な使い勝手、安全性、耐久性とも優れたア−ムレスト装置を提供する。
【解決手段】本体を所定角度にロックする鋸歯状のロック歯と、ロック歯が相互に噛合するように付勢する弾性部材と、前記支持軸と同心円状の所定の長さの円弧状となった複数の案内溝を有し、回転側部材または固定側部材のいずれか一方に設けられたガイドと、前記案内溝内を摺動する複数の摺動駒と、それぞれの摺動駒と係合するように回転側部材または固定側部材の他方に設けられた複数の係合突起とを有し、前記ガイドに高さが異なった複数の段差部が形成されており、前記係合突起が高さが異なった段差部に当接することにより、固定側部材を軸方向に往復移動させて前記ロック歯の噛合又はその解除が行われる。
【選択図】図4

Description

本発明は、自動車のシートやトイレの便器或いは家具用や事務用椅子等からなる支持体の横に装着され、支持体の上方に起立又は下方に倒立した収納位置から回動させることにより略水平方向に引出して用いるアームレスト装置に関し、特に、使用位置近傍での角度調整が可能なアームレスト装置に関する。
アームレスト装置としては、使用者に合せて角度が微調整できたり、操作レバー等の操作をせずに収納位置からそのまま引下げて使用でき、収納するときも逆に回動させることによりそのまま収納できるものが使用勝手が良好なものが求められている。このようなア−ムレスト装置の従来例としては、特許文献1、2、3に記載されたものが知られている。
特許文献1記載のア−ムレスト装置は、周面の一部にラチェット歯を有するディスクがアームレスト本体に固定され、取付プレートがアームレスト本体の支持軸に固定されるとともに前記ディスクと取付プレートとの間に制御部材が回転自在に支持された構造となっている。制御部材は、一対のアーム及び操作部が形成されたプレート状であり、かつディスクの回転運動に随伴できるようにディスクの表面に圧接付勢されている。
さらに、ディスクと同じ平面内に位置する爪部及び制御部材の操作部と同じ平面内に位置する従動部を有するラチェット爪の爪部がラチェット歯に係合する方向に付勢された状態で取付プレートに回転自在に支持されている。また、前記制御部材の一対のアーム間に取付プレートのストッパを介在させて制御部材の回動角度を制限させ、これにより制御部材が一方の可動限にあるときに、制御部材への操作部によってラチェット爪の従動部が持ち上げられ、その回転に伴いラチェット爪の爪部がラチェット歯から退却するようになっている。
特許文献2記載のア−ムレスト装置は、対向面に菊花状に形成されており、逆回転方向には相互の回転が規制される複数の鋸歯を噛合させた固定菊座及び回転菊座をそれぞれ取付軸に固嵌及び遊嵌して設け、固定菊座、回転菊座の一方を軸方向に移動可能としてばねによって相手方に付勢するとともに、固定菊座が取付軸に遊嵌されている。
そして、回転菊座の正回転方向の回転によって所定角度遅れて追従回転する制御板を設け、制御板が追従回転することによって固定菊座との係合が外れて軸方向移動可能な固定菊座又は回転菊座をばね力に抗して離反方向に押して鋸歯の噛合を外して固定菊座上を移動させ、この状態で回転菊座を逆回転方向に回転させることにより、制御板が所定角度遅れて追従回転して固定菊座と係合し、固定菊座又は回転菊座がばねの力で戻されて鋸歯が噛合するようになっている。
特許文献3記載の第1の実施例では、アームレストなどのヒンジ素子の調整機構が記載されている。この調整機構は同文献の図2に示すように、ラチェット及びクラウン2相互に対向する面の周辺セクター上に歯が設けられ、ラチェットとして作用する円盤状部品が減少した面積(溝状)の制御区分を有し、ラチェットとクラウンとの間の軸に挿通されたセパレータが制御区分内に留まってラチェット及びクラウンの歯を分離状態に維持し、セパレータがクラウン上で外部に案内され、ばねにより連続的に押されるようになっている。
また、特許文献3記載の第2の実施例におけるヒンジ素子の調整機構は、同文献の図8に示すように、セパレータがクラウンに形成された窓内に留まる突起を備えたリング様式の部片から形成され、セパレータが手動作動のために楔の形状となった外部制御子と連係するようになっている。
さらに、特許文献3記載の第3の実施例におけるヒンジ素子の調整機構は、同文献の図9に示すように、ラチェットに形成された対応する溝穴内で移動する軸方向の突起をそれぞれ備えた、直径方向で対向する一対の側及び外部アームを有するリングにより形成されたセパレータにより補足される。一方、アームがクラウンに形成された相補的なハウジング内に位置していて、調整段階中のラチェットの回転がセパレータを不動に維持できて、ラチェットとクラウンとの間の異なる位置を確立する。ヒンジ素子の調整機構の折り畳み即ち調整の異なる位置は、セパレータの突起がラチェットの溝穴の端部の1つに対して制限されてセパレータの引きずりを生じさせ、それぞれの押圧及びクラウンに関するラチェットの対応する軸方向運動を生じさせる角度変位が発生するまでこの位置を維持する。これにより、両方の部品間の分離が上記機構のリセットを許容するようになっている。
また、クラウンのハウジングが段差部を備えた平坦区分で終端するその傾斜壁の1つを有し、平坦区分から、別の平坦区分が平坦区分よりも一層高いレベルで形成されている。従って、セパレータの回転が平坦区分に達するまで傾斜壁に沿ってセパレータを上昇させ、セパレータのこの軸方向の運動が当該クラウンに関するラチェットの軸方向運動を生じさせ、両方の部品の係合解除を行う。また、クラウンに対応するハウジングの傾斜壁の端部即ち出口が、上記機構のリセット中にセパレータを保持する小さな隆起部を有し、ラチェットとセパレータとの間の摩擦効果を阻止するよう構成されている。
特許第2582264号公報 特開2005−186858号公報 特表2003−520156号公報
しかしながら、特許文献1記載の構造では、1個のラッチェット爪に荷重がかかるためラッチェット爪の負荷が大きく耐久性に劣る。負荷を軽滅するためにはラッチェット爪を大きくする必要があり、それにより調整角度も大きくなり使い勝手が悪くなる。又、制御部材を摩擦により随伴回動させているため磨耗し易く、それにより作動が安定しない等の問題点があった。
特許文献2記載の構造では、固定菊座及び回転菊座の菊花状に形成された複数の鋸歯を噛合させた構造により一点噛合による圧力増大を排して鋸歯のピッチの細小化を可能にしているものの、制御板を所定角度遅れて追従回転させるため回転菊座の鋸歯の円周の一部が約40%に亘って欠歯しており、その分歯に掛かる負荷が大きくなり耐久性に劣るという問題点があった。
特許文献3における第1の実施例の構造では、セパレータがラチェットとクラウンとの間に入り込むための減少した面積の制御区分が必要であり、そのためラチェット及びクラウンの歯が欠歯した部分が生じ、その分歯に掛かる負荷が大きくなり耐久性に劣るという問題点があった。
特許文献3における第2の実施例の構造では、セパレータを楔(外部制御子)により手動操作する必要があるため操作性に劣るという問題点があった。
特許文献3における第3の実施例の構造では、セパレータの突起とその突起より長くラチェットに形成した溝穴とにより角度遅れ及び引きずり作動を行う構造であることから、ヒンジ素子例えばアームレストの略水平の使用位置から水平近傍での角度調整可能範囲(ロック範囲)の後に、引き続き同じ回転方向での略垂直方向のバックレストに沿った格納位置までのロック不可範囲が存在しないと繰り返し作動しない。従って、略垂直方向上向きの格納位置から略水平の使用位置まで回動するアームレストには適用できる。
しかしながら、略垂直方向下向きの格納位置から略水平の使用位置まで回動するアームレストに適用する場合は、略水平の使用位置から下向きの格納位置まで引下げるときの途中角度(水平近傍での角度調整可能範囲の下限)でセパレータのアームがハウジングの端壁に当接してセパレータが回転してロック可能状態になるため、それ以上の回動が不可能となる不便さがある。この場合、アームレストをさらに下向きの格納位置まで回動できるように溝穴の長さを拡張することも考えられるが、この場合には、アームレストを下向きの格納位置から略水平の使用位置まで引上げるとき、ラチェットとクラウンとの歯部の相互乗り越え(ラチェット作動)の噛合い音(カチカチ音)が全域にわたって発生するため、車内や室内の静粛性が損なわれて問題となる。すなわち、このような特許文献3の構造では、水平近傍で角度調整し、垂直下に収納するものには適用できないという問題点があった。
さらに、特許文献3における第3の実施例では、十字形ディスクの取付け穴や複数の溝穴等を有するラチェット、隆起部や段差部や傾斜壁等を有する一対のハウジング等を備えたクラウン、及びアームや突起を有するリング状のセパレータなどのように全体が複雑で重厚な形態となっており、重量アップやコスト高となる問題点があった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、簡潔な構造で、通常の略水平の使用位置から上向き起立又は下向き倒立のいずれもの方向への格納位置まで回動できると共に、水平近傍での使用角度の微調整が可能などの使い勝手がよく、作動が静粛且つ円滑で、安全性及び耐久性を有したア−ムレスト装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明のア−ムレスト装置は、支持体の支持軸を中心に回転可能に取り付けられ、アームレスト本体の回動を支持する回転側部材と、この回転側部材に対向すると共に回転拘束された状態で軸方向への移動可能に支持軸に取り付けられた固定側部材と、前記回転側部材及び固定側部材の対向部分の全周にわたって相互に噛合するように形成され、前記アームレスト本体を所定角度にロックする鋸歯状のロック歯と、回転側部材及び固定側部材のロック歯が相互に噛合するように付勢する弾性部材と、前記支持軸と同心円状の所定の長さの円弧状となった複数の案内溝を有し、回転側部材または固定側部材のいずれか一方に設けられたガイドと、前記回転側部材の回転に伴って前記案内溝内を摺動する複数の摺動駒と、それぞれの摺動駒と係合するように回転側部材または固定側部材の他方に設けられた複数の係合突起とを有し、前記ガイドに高さが異なった複数の段差部が形成されており、前記係合突起が高さが異なった段差部に当接することにより、固定側部材を軸方向に往復移動させて前記ロック歯の噛合又はその解除が行われることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のアームレスト装置であって、前記摺動駒を案内溝の端面に押し付けるように付勢するサブ付勢部材をさらに備えていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のアームレスト装置であって、前記段差部は、低・中・高の3段階となっており、前記係合突起が係合することにより低い段差部はロック歯を噛合させ、中間段差部はロック歯の噛合を解除し、高い段差部は回転側部材の回転を停止することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載のアームレスト装置であって、前記摺動駒は、前記中間段部と略同じ高さとなっていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載のアームレスト装置であって、前記摺動駒は、前記中間段部よりも低い高さとなっていることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項記載のアームレスト装置であって、前記案内溝は、前記支持軸と同心円となる1または複数の円周上に少なくとも2つが軸対称位置に設けられ、前記係合突起がそれぞれの案内溝に対向するように複数が配置されていることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項記載のアームレスト装置であって、前記係合突起は、前記回転側部材または固定側部材から前記案内溝に向けて斜めに切り起こされた斜め切り起こしであることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、アームレスト本体を略水平の使用位置から収納位置方向への所定角度範囲の回転では、ロック歯の鋸歯毎にロックされて角度調整が行われる。また、所定角度範囲を超えた引き続く収納位置方向への回転又は途中で反対に使用位置方向への逆回転ではロック歯のロックが解除される。また、逆に収納位置から使用位置方向までの回転でもロック解除された状態でフリーに回転することができる。これらにより使い勝手が良好となる。このような請求項1記載の発明では、水平使用位置近傍を角度調整可能とし、それより上方向をロック解除範囲として上方に起立した位置を収納位置とする車両用シートや事務用椅子などのアームレスト装置として適用することができるばかりでなく、水平使用位置近傍を角度調整可能とし、それより下方向をロック解除範囲として下方に倒立した位置を収納位置とする便器や遊技場用椅子などのアームレスト装置としても適用することができるため、適用範囲が格段に拡大する。
また、回転側部材及び固定側部材の全周にロック歯を設け、このロック歯によりアームレスト本体に掛かる荷重を受けるため、大きな荷重を受けることができ、安全性及び耐久性とも向上させることができる。このため、ロック歯を細かくして歯数を増やすことにより、安全性及び耐久性とも確保した上で、アームレスト本体の使用位置近傍において一層細かい角度調整が可能となる。
さらに、複数の係合突起により2点以上で支えて固定側部材を軸方向に移動させるため、固定側部材の傾倒による支持軸とのコジリなどが発生せず、作動が円滑であるのに加えて、固定側部材を摩擦に頼って移動させないことから安定した作動を確保するとともに耐久性に優れるという効果がある。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様な効果を有するのに加えて、サブ付勢部材が摺動駒を案内溝の端面に押し付けるため、摺動駒を移動させるために係合突起が摺動駒と係合する凸部を摺動駒に設ける必要がなく、アームレスト本体の動きが滑らかになり、使い勝手を一層向上させることができる。
請求項3の発明によれば、請求項1及び2の発明と同様な効果を有するのに加えて、係合突起が低い段差部に係合しているときは回転側部材及び固定側部材のロック歯が噛合してアームレスト本体の使用位置近傍での角度調整が可能となる。また、係合突起が中間段差部に係合しているときは固定側部材を回転側部材から離反させてロック歯の噛合を解除し、係合突起が高い段差部に係合するとアームレスト本体の回転が規制される等の機械的な制御動作により、アームレスト本体の水平使用位置近傍での角度調整及びそれ以外の角度範囲でのフリーな回転を確実に行うことができ、使用上の信頼性を確保することができる。
請求項4の発明によれば、請求項1〜3の発明と同様な効果を有するのに加えて、摺動駒が中間段差部と略同じ高さとなっているため、係合突起が中間段差部上と摺動駒の両方に移り易くなる。このため、固定側部材を回転側部材から離反させてロック歯の噛合を解除し、上述した水平使用位置近傍の角度調整範囲以外でのフリーな回転を確実に行う信頼性を確保することができる。
請求項5の発明によれば、請求項1〜3の発明と同様な効果を有するのに加えて、摺動駒が中間段差部より低い高さとなっているため、係合突起が摺動駒を乗り越え中間段差部上に係合すると同時に、摺動駒は係合突起から離れてフリー状態となる、これにより、摺動駒が付勢部材の付勢力により案内溝の端面に当接するまで押し戻され、アームレスト本体の使用位置へのリセットを確実に行うことができる。
請求項6の発明によれば、請求項1〜5の発明と同様な効果を有するのに加えて、1又は複数の同心円周上で複数の摺動駒及びこれらに係合する係合突起により複数箇所で支えて固定側部材を軸方向に移動させるため、固定側部材の傾倒による支持軸とのコジリなどが発生することがなく、一層円滑な作動を確保でき、安定した作動を行うことができる。
請求項7の発明によれば、請求項1〜6のいずれか1項の発明と同様な効果を有するのに加えて、係合突起が斜めに切起された斜め切起しであるため、構造及び加工が簡易であり、しかも弾性力に富み、案内溝の各段差部と摺動駒への係合及び摺動が衝撃を発生することなく滑らかに行われる。このためア−ムレストの一層円滑で、安定した作動を確保することができる。
以下、本発明を図示する実施形態により具体的に説明する。なお、各実施形態において、同一の部材には同一の符号を付して対応させてある。
(第1実施形態)
図1〜図15は、アームレスト装置を自動車用シートに適用した本発明の第1実施形態を示し、図1はアームレスト装置1が取り付けられた自動車用シートの側面図、図2はアームレスト装置1の一部破断正面図、図3は図2の一部破断側面図、図4は図2のA−A線断面図、図5〜図8はそれぞれ図4のB−B線、C−C線、D−D線、E−E線断面図、図9は図7のF−F線断面、図10は図9のG矢視断面図、図11〜図15は作動を示す展開断面図である。
この実施形態において、ア−ムレスト装置(以下、「アームレスト」とも略称する)1は、図1に示すように、シートバック2の側面に回動可能に装着されている。このアームレスト装置1は略水平位置に引下げて使用され、使用しない時はシートバック2の背面に沿った位置(図1の二点鎖線で示す位置)に起立状となって収納される。アームレスト装置1は図2に示すように、人が肘を載せて使用するアームレスト本体3と、アームレスト本体3を回転ロックするロック機構4とから大略構成されている。
アームレスト本体3は、図3に示すように、プレス成形等によって断面コ字形に成形された薄鋼板製のインサイドアーム3a及びアウトサイドアーム3bを備え、これらが突き合わせられて加締めやねじ止めされることにより内部が空洞となった閉断面構造となっている。
ロック機構4は、図3、図4及び図7に示すように、支持軸5、回転側部材6、固定側部材7、弾性部材8、ガイド9、摺動駒10、固定プレート12、ワッシャー13及びナット14から構成されている。
支持軸5は、シートバック2側からねじ部5a、外周に歯形が加工された星型断面のスプライン部5b、円柱部5c、鍔部5d、六角柱部5e、先端部5fが順次形成され、ねじ部5aを介してナット14によりシートバック2の側板2aに固定される。
固定プレート12は、例えば鋼板のプレス成形品で図4及び図5に示すように、支持軸5のスプライン部5bに圧入されることによりスプライン結合され、さらに固定プレート12の脚部12aがシートバック2の側板2aの穴2bに挿入される。これにより支持軸5は、シートバック2に対して回転が拘束されて固定される。
支持軸5の円柱部5cは回転側部材6及びインサイドアーム3aに挿入され、この挿入によって回転側部材6及びアーム3が回転可能に支持軸5に支持される。回転側部材6及びインサイドアーム3aは、支持軸5の鍔部5dと固定プレート12に挟まれており、これにより横方向のガタが発生しないように組立てられている。回転側部材6は、外形が円形となっており、図4及び図6に示すように円板部に設けられた複数(図示では2つ)の穴6cにインサイドアーム3aの凸部3cが挿入されて係合することによりインサイドアーム3aと一体化されている。これにより回転側部材6はアームレスト本体3と一体的に回転する。
固定側部材7は、回転側部材6と対向するように配置されるものであり、回転側部材6と同径の円状外形となっており、その中心に支持軸5の六角柱部5eより僅かに大きい六角穴7bが穿設されている。そして、図4及び図8に示すように、支持軸5の六角柱部5eが固定側部材7の六角穴7bに挿入されることにより、固定側部材7は回転が拘束されるとともに軸方向への移動が可能となった状態で支持軸5に取り付けられている。
回転側部材6及び固定側部材7は、例えば薄鋼板のプレス成形品であり、対向部分の全周にわたって相互に噛合するロック歯6g、7gが形成されている。ロック歯6g、7gは鋸歯状に形成されており、図2において、アームレスト本体3が反時計回り方向に回転する時はロック歯6g、7gの垂直面6h、7hが噛合い、アームレスト本体3が時計回り方向に回転する時はロック歯6g、7gの斜面6i、7iにより滑動して固定側部材7が離反する方向(軸方向)に移動する。すなわち、鋸歯状のロック歯6g、7gは、固定側部材7に対して回転側部材6のラチェット回転を可能にするように形成されている。回転側部材6の円板部には、図6及び図9に示すように、支持軸5と同心の一つの第1円周C1上に軸対称に配置された2個の斜め切起し6aが固定側部材7側に向けて形成されている。
弾性部材8はコイル状の圧縮ばねからなり、固定側部材7と支持軸5の先端部5fに加締めによって固定されたワッシャー13との間に配置され、固定側部材7を常に回転側部材6に押し付ける方向に付勢している。この弾性部材の付勢により、ロック歯6g、7gが相互に噛合するようになっている。
ガイド9は、図9に示すように、固定側部材7の円板部における回転側部材6側の対向面に開設された複数の穴7aと、ガイド9に設けられた凸部9aとによりスナップフィットで固定されており、これによりガイド9と固定側部材7とが一体化されている。
ガイド9には、図7に示すように、前記第1円周C1上に相応して摺動駒10をガイドする案内溝9bが軸対称に2本形成されている。案内溝9bは、斜め切起し6aに対応した位置すなわち第1円周C1上にあって、図10に示すように、摺動駒10が外れないように遊嵌する断面逆T字形状にそれぞれ形成されている。また、2本の案内溝9bは、摺動駒10が第1円周C1方向に所定角度例えばアームレスト1の回転角度45°に相当する角度だけ移動することが可能な範囲に形成されている。この場合、斜め切起し6aは、後述するように案内溝9bを有するガイド9又は摺動駒10と摺動又は係合関係となっており、これによりこれらに係合する係合突起となっている。このため、斜め切起し6aの同心円径方向(第1円周C1方向)の幅は、いずれも円弧状の案内溝9bあるいは摺動駒10の径方向のいずれの幅よりも大きく設定されている。
図9〜図15に示すように、ガイド9には第1円周C1上に沿って円弧状の3個の段差部が形成されている。段差部は最低段差部9d、中間段差部9e、最高段差部9fの3段階の高さを有する段状に形成されている。
ガイド9における中間段差部9eの高さは、その上に回転側部材6の斜め切起し6aが乗上げたとき、固定側部材7を支持軸5の六角柱部5eに沿って軸方向に移動させ、回転側部材6及び固定側部材7のロック歯6g、7gの噛合を解除するのに十分な高さに設定されている。最低段差部9dの高さは、回転側部材6及び固定側部材7のロック歯6g、7gが噛合しているとき、斜め切起し6aに干渉しない高さに設定されている。最高段差部9fは、回転側部材6の斜め切起し6aが当接して回転側部材の移動(回転)を止めるストッパーとなる高さに設定されている。
摺動駒10は、上述した円弧状の案内溝9bの中を摺動可能であり、その端部(例えば図7における時計回り方向の先端部)には、図7及び図9に示すように、凸部10aが斜め切起し6a側との対向面である上面10eに形成されている。凸部10aは、斜め切起し6aが乗り上がり易いように前後が傾斜するとともに頂上が滑に例えば円弧状に形成されている。この実施形態においては、摺動駒10の上面10eは、ガイド9の中間段差部9eと同じ高さに形成することが望ましい。この理由は、後述するように、回転側部材6の斜め切起し6aがガイド9の中間段差部9eと摺動駒10の上面10eとの双方に乗り移り易くするためである。
次に、この実施形態の作動を展開断面図である図11〜図15を参照して説明する。これらの図において、(a)は図9に対応した作動説明図、(b)は図1に対応する作動の模式図である。
回転側部材6及び固定側部材7のロック歯6g、7gは、図3及び上述したように鋸歯状となっており、このためロック歯6g、7gの斜面6i、7iに力が加わる方向(図1における時計回り方向)の回転では、斜面6i、7iが相対的に滑動し弾性部材8に抗してロック歯6g、7gが離反する方向に固定側部材7を支持軸5の六角柱部5eに沿って移動させ1歯ずつアームレスト本体3を動かすことが可能ないわゆるラチェット回転する。一方、逆方向(図1における反時計回り方向)の力に対しては、ロック歯6g、7gの垂直面6h、7hで噛合い、回転側部材6が固定されているアームレスト本体3の回転を支持軸5に固定されている固定側部材7によりロックする。
従って、アームレスト本体3は略水平位置から起立する方向の所定範囲、例えば45°の範囲では一つのロック歯6g、7g毎の回転角度調整が可能であり、アームレスト本体3を起立する方向に所定角度範囲を過ぎて回転するとロックが解除され、その位置から収納位置までロック歯6g、7gが接触することなく分離した状態でフリーに回転することができる。さらに、アームレスト本体3をロックが解除された位置から収納位置までの間で逆に再度略水平位置までロック歯6g、7gが分離した状態でフリーに戻すこともできるようになっている。この作動について以下に説明する。
図11は、アームレスト本体3を略水平位置まで引下げた状態を示す。この状態では、回転側部材6、7のロック歯6g、7gは相互に噛合した状態(図3)で、回転側部材6の斜め切起し6aはガイド9の最低段差部9dより僅かに浮き上がった位置にある。
図12は、図11の使用状態からアームレスト本体3を時計回り方向に引上げ(起立し)始めた状態を示す。アームレスト本体3を時計回り方向に回転すると、図12(a)に示すように、固定側部材7はそのロック歯7gが回転側部材6のロック歯6gを乗り越え、これにより弾性部材8の付勢力に抗して離反方向に押されて同図(a)で示す上方に(支持軸5の六角柱部5eに沿って)移動しながら回転側部材6はL方向に回転する。このとき、斜め切起し6aは摺動駒10の凸部10aを乗り越える量までは動かずに、摺動駒10を随伴して図示右方向に移動する(すなわち、図12(b)における時計回り方向に回転する)。
この段階では、アームレスト本体3を手放して停止させるか又は反時計回り方向に逆回転させると、固定側部材7は弾性部材8の付勢力により回転側部材6側に押し戻されて再び回転側部材6及び固定側部材7のロック歯6g、7gが相互に噛合い反時計回り方向回転がロックされた状態となる。
図13は、図12の状態からアームレスト本体3を時計回り方向に所定角度、例えば45°近辺まで引上げた(起立した)状態を示す。摺動駒10の右端面10bがガイド9の端面9gに突き当たる所定角度例えばアームレスト本体3の45°位置までアームレスト本体3に固定された回転側部材6は図11、12における動きを繰り返しながら回転する。このとき、摺動駒10は斜め切起し6aから離れて案内溝9bの中で自由状態となるため、先に摺動駒10の右端面10bとガイド9の端面9gに突き当たる位置まで移動していても摺動駒10の位置に関係なく、回転側部材6は所定角度例えばアームレスト本体3の45°の位置まで上述した図12におけると同様な回転をすることができる。
すなわち、図11の略水平の使用状態から図13の所定角度(例えば45°)までの回転範囲においては、アームレスト本体3の時計回り方向には回転側部材6及び固定側部材7のロック歯6g、7gが相互に乗り越えて回転し、反時計回り方向にはロック歯6g、7gが相互に噛合いロックされた状態となる。この範囲では、いわゆるラチェット回転によるアームレスト本体3のロック歯6g、7g毎の角度調整が可能な角度調整可能範囲となる。
図14は、図13の引上げ状態からアームレスト本体3を時計回り方向に所定角度例えば45°以上引上げた(起立した)ロック解除状態を示す。アームレスト本体3を所定角度例えば45°位置よりさらに時計回り方向に回転すると、摺動駒10がガイド9の端面9gに突き当たった状態で動かないため、斜め切起し6aは摺動駒10の凸部10aを乗り越えて動く。この位置では斜め切起し6aはガイド9の中間段差部9eと同じ高さの摺動駒10の上面10e上に乗り上げるため、回転側部材6と固定側部材7のロック歯6g、7gは完全に離反し、アームレスト本体3はロック解除され回転フリーな状態となる。この位置からは、アームレスト本体3をロック解除状態のまま収納位置まで回転する(起立させる)ことも、逆回転して略水平位置まで戻す(引下げる)こともできる。
図15は、図14のロック解除状態からアームレスト本体3を再び反時計回り方向に引下げ始めた状態を示す。図14の位置からアームレスト本体3を略水平位置に引下げようとすると、回転側部材6は図15(a)におけるM方向すなわち図15(b)の反時計回り方向に回転する。M方向の動きでは、斜め切起し6aの先端が摺動駒10の凸部10aに突き当たって係合するため、摺動駒10を引き摺り随伴して移動する。アームレスト本体3が略水平位置までくると摺動駒10の左側の端面10cがガイド9の端面9hに突き当たる。
アームレスト本体3を更に図15のM方向に回転すると、斜め切起し6aは摺動駒10の凸部10aを乗り越えて図11の状態になる。この状態になると、固定側部材7は弾性部材8の付勢力により回転側部材6側に押し戻されて再び回転側部材6及び固定側部材7のロック歯6g、7gは互いに噛合うことができ、アームレスト本体3の反時計回り方向がロックされる。
図11及び図15に示すように、摺動駒10の高さとガイド9の中間段差部9eの高さは略同程度となっている。このため、斜め切起し6aが摺動駒10の上面10e及びガイド9の中間段差部9e上のいずれにも確実に乗って連続的に摺動するので、図14の位置からアームレスト本体3をロック解除状態のまま収納位置まで回転させる(起立させる)ことも、反対に略水平位置まで戻す(引下げる)ことも、あるいは、アームレスト本体3を収納位置から略水平位置までロック解除状態のまま戻す(引下げる)こともできる。これにより、アームレスト本体3のフリーな回転動作の信頼性が確保される。
なお、アームレスト本体3を図11(a)における左方向(図11(b)の反時計回り方向)又は図14(a)における右方向(図14(b)の時計回り方向)に回転すると、回転側部材6の斜め切起し6aがガイド9のストッパーとなる最高段差部9fに突き当たって回転停止する。
(第2実施形態)
図16〜図19は、本発明の第2実施形態におけるアームレスト装置を示し、図16はアームレスト装置のロック機構の断面図であり、図4のC−C線断面図に相当する。図17は図4のD−D線断面図に相当する。図18は図17のH矢視断面図、図19は図17のI矢視断面図である。
この実施形態においては、図16に示すように、回転側部材6の円板部には、異なる径の2つの同心円の第1、第2円周C1、C2上にそれぞれ90°ずれて軸対称に配置された2個の斜め切起し6a、6bがいずれも固定側部材7側に向けて形成されている。
ガイド9には、図17に示すように、2つの同心円の第1円周C1、第2円周C2上に相応して摺動駒10をガイドする案内溝9bと摺動駒11をガイドする案内溝9cとがそれぞれ90°ずれて軸対称に2本ずつ形成されている。このように、この実施形態では、第1実施形態の第1円周C1上の回転側部材6の斜め切起し6a及びガイド9の案内溝9bに加えて、その内側の同心円の第2円周C2上に回転側部材6の斜め切起し6b及びガイド9の案内溝9cがそれぞれ90°ずれて軸対称に追加形成されている。この斜め切起し6b及び案内溝9cは斜め切起し6a及び案内溝9bと全く同様の相対的な作動を行う。
案内溝9b、9cは、斜め切起し6a、6bにそれぞれ対応した位置すなわち第1、第2円周C1、C2上にあって、図18及び図19に示すように、摺動駒10、11が外れないように遊嵌する断面逆T字形状にそれぞれ形成されている。また、案内溝9b、9cは、図17に示すように摺動駒10、11がそれぞれ第1、第2円周C1、C2方向の所定角度例えばアームレスト本体3の回転角度45°に相当する角度だけ移動できる範囲に形成されている。斜め切起し6bも、案内溝9cを有するガイド9又は摺動駒11と摺動又は係合する係合突起となる。このため、斜め切起し6bの径方向の幅も、第1実施形態と同様に、案内溝9cあるいは摺動駒11の径方向の幅よりも大きく設定されている。
ガイド9は図17〜図19に示すように、第1、第2円周C1、C2上に沿って同心円弧状に最低段差部9d、中間段差部9e、最高段差部9fの3段階の高さを有する段状にそれぞれ形成されている。これは第1実施形態と同様である。すなわち、中間段差部9eの高さは、その上に回転側部材6の斜め切起し6a、6bが乗上げたとき、固定側部材7を支持軸5の六角柱部5eに沿って移動させ、回転側部材6及び固定側部材7のロック歯6g、7gの噛合いを解除するのに十分な高さに設定されている。最低段差部9dの高さは、回転側部材6及び固定側部材7のロック歯6g、7gが噛合っているとき、斜め切起し6a、6bに干渉しない高さに設定されている。最高段差部9fは、回転側部材6の斜め切起し6a、6bが当接して回転側部材の移動(回転)を止めるストッパーとなる高さに設定されている。
摺動駒10、11は、それぞれ案内溝9b、9cの中を摺動可能であり、それぞれの端部(例えば図17における時計回り方向の先端部)には、図17あるいは図9に示すように、凸部10a、11aが回転側部材6の斜め切起し6a、6b側の上面10e、11e(11eは図示しない)上にそれぞれ形成されている。凸部10a、11aは斜め切起し6a、6bが乗り上がり易いように前後が傾斜するとともに頂上が滑に例えば円弧状にそれぞれ形成されている。この実施形態においても、摺動駒10、11の反摺動面10e、11eは、ガイド9の中間段差部9eと同じ高さに形成することが望ましい。斜め切起し6b及び摺動駒11は斜め切起し6a及び摺動駒10と全く同様の作動を行う。
アームレスト本体3が90°を超える範囲の大きな回転をする場合は、上記した構造にすることにより固定側部材7を回転側部材6の斜め切起し6aあるいは6bを介して軸対照的に複数ヶ所(少なくとも2ヶ所以上)で支えて支持軸5の六角柱部5eに沿って動かすことができるため、固定側部材7の傾倒による六角柱部5eとのコジリなどが発生せず、円滑で安定した作動を確保することができる。一方、アームレスト本体3の回転範囲が90°以下の場合は、摺動駒10あるいは摺動駒11が円周C1あるいはC2方向45°より小さい角度に動ける範囲に形成することにより摺動駒10あるいは摺動駒11を同一円周C1あるいはC2上でそれぞれ3ヶ所とすることもできる。これによって、円滑で安定した作動の信頼性を一層向上させることができる。また、第1実施形態においては、弾性部材8をコイルばねとしているが、板ばねや皿ばねなどのその他の圧縮ばねあるいはゴムなどの弾性作用を有する弾性部材を用いることができる。
(第3実施形態)
図20〜図25は本発明の第3実施形態を示す。この実施形態では、アームレスト装置1を便器20に適用するものであり、図20は第3実施形態の側面図を示す。この実施形態では、アームレスト本体4が下方向に倒立した鎖線で示す収納位置から引上げられた略水平の位置で使用するようになっている。
第1実施形態及び第2実施形態の構造をそのまま、便器20へ取付けると、略水平位置から下方向に所定角度、例えば45°位置までがロックしない範囲となり、使用することができないことになる。また、第1及び第2実施形態のままロックしない範囲を略水平位置より上にもって行き、略水平位置から収納位置までの全域をロック範囲とすることも可能であるが、そうすると収納位置から略水平位置まで引上げるとき全域に亘り回転側部材6及び固定側部材7のロック歯6g、7gの噛合い音がして室内の静粛性を損なう。
以上のことから、この実施形態では、アームレスト本体3の下方収納位置から所定角度、例えば45°位置までの引上げ時においては回転側部材6及び固定側部材7のロック歯6g、7gが噛合わないようにすると共に、所定角度例えば45°から略水平使用位置までの回転範囲を前記実施例と同様なラチェット回転による角度調整可能範囲としている。
この実施形態におけるアームレスト本体3及びロック機構4(支持軸5、回転側部材6、固定側部材7、圧縮ばね8、ガイド9、摺動駒10、ll、固定プレート12、ワッシャー13及びナット14)は、構造的には上記第1及び第2実施形態と同様である。なお、この実施形態においては、第1及び第2実施形態に対して部分的に形状(特に周方向長さなどの寸法)が異なっていても同一の機能を有する部材には同一の符号を付して対応させてある。
図21〜図25は、この実施形態の作動を示し、各図において、(a)は図9に対応した作動説明の展開図、(b)は(a)に作動を示す図20に対応する模式図である。
図21は、図20の収納位置からアームレスト本体3を時計回り方向に45°過ぎまで引上げた状態を示す。この状態では、回転側部材6及び固定側部材7のロック歯6g、7gは共に噛合した状態で、回転側部材6の斜め切起し6aはガイド9の最低段差部9dより僅かに浮き上がった位置にある。
図22は図21の状態からさらにアームレスト本体3を時計回り方向に45°以上引上げた状態を示す。アームレスト本体3を時計回り方向に回転すると、図22(a)に示すように、固定側部材7はロック歯7gが回転側部材6のロック歯6gを乗り越えることにより図示上方に(図4及び図8における支持軸5の六角柱部5eに沿って)動きながら、回転側部材6はL方向に回転するが、この際に斜め切起し6aは摺動駒10の凸部10aを乗り越える量までは動かずに、摺動駒10と共に随伴して図示右方向(図20における時計回り方向)に回転する。
この段階では、アームレスト本体3を手放して停止させるか又は反時計回り方向に逆回転させると、固定側部材7は弾性部材8の付勢力により回転側部材6側に押し戻されて再び回転側部材6及び固定側部材7のロック歯6g、7gが相互に噛合い反時計回り方向回転がロックされた状態となる。
摺動駒10の右端面10bがガイド9の端面9gに突き当たる略水平位置までは図21及び図22における動きを繰り返しながら回転する。摺動駒10は案内溝9bの中で自由状態であるため、斜め切起し6aから離れて、先に揺動駒10の右端面10bがガイド9の端面9gに突き当たる位置まで移動していても摺動駒10の位置に関係なく回転側部材6は45°の位置まで図22におけると同様な動きをすることができる。
図23は、略水平の使用状態から再び反時計回り方向に引下げ始めるのに先立ち、アームレスト本体3を一旦上方に微小角度引上げてロック解除した状態を示す。アームレスト本体3を略水平の使用状態から微小角度上方に引上げると、摺動駒10がガイド9の端面9gに突き当たった状態で動かないため、斜め切起し6aは摺動駒10の凸部10aを乗り越えて動く。この位置では斜め切起し6aはガイド9の中間段差部9eと同じ高さの摺動駒10の上面10eに乗り上げるため、回転側部材6と固定側部材7のロック歯6g、7gは完全に離反し、アームレスト本体3はロック解除された状態となる。
図24は図23のロック解除状態からアームレストを反時計回り方向に45°の角度まで引下げた状態を示す。一旦、図23のロック解除状態になり、アームレスト本体3を反時計回り方向に回転して引下げると、図24(a)に示すように、回転側部材6の斜め切起し6aが摺動駒10の上面10eに乗り上げた状態で左方向(M方向)に摺動駒10を引き摺り随伴して動く。アームレスト本体3が45°の位置までくると摺動駒10の左端側の端面10cがガイド9の端面9hに突き当たる。
図25は、図24の状態からさらにアームレスト本体3を反時計回り方向に45°以上引下げた(倒立した)状態を示す。アームレスト本体3を図24における45°位置よりさらに反時計回り方向(M方向)に回転して行くと、摺動駒10がガイド9の端面9hに突き当たった状態で動かないため、斜め切起し6aは摺動駒10の凸部10aを乗り越え、ガイド9の中間段差部9e上に乗り上げ、回転側部材6と固定側部材7のロック歯6g、7gが完全に離反したロック解除状態のままアームレスト本体3は反時計回り方向に回転し続ける。このロック解除状態では、アームレスト本体3を収納位置まで引下げる(倒立させる)ことも、逆に略水平位置(使用位置)まで戻す(引上げる)ことも自由に行うことができる。
なお、アームレスト本体3を図25における左方向(反時計回り方向)又は図23における右方向(時計回り方向)に回転すると、回転側部材6の斜め切起し6aがガイド9のストッパーとなる最高段差部9fに突き当たるため、回転停止する。
この実施形態においても、第2実施形態と同様に斜め切起し6b及び摺動駒11を設けても良く、これらの斜め切起し6b及び摺動駒11は、斜め切起し6a及び摺動駒10と全く同じ作動を行う。
(第4実施形態)
この実施形態では、第1実施形態〜第3実施形態に対し、摺動駒10あるいは摺動駒11及びガイド9の一部の構造を変更した点を除き、他の構成は全く同様である。すなわち、第1実施形態に対しては、摺動駒10の凸部10aをなくして上面10eを平坦にし、摺動駒10とガイド9の間にコイルばねなどのサブ付勢部材15を挿入するとともに、摺動駒10の上面10eはガイド9の中間段差部9eより僅かに低くしたものであり、これらの変更点を除き、他の構成は第1実施形態と全く同様である。
図26〜図28は、この実施形態の作動を示し、各図において、(a)は作動の展開図、(b)はアームレスト装置の模式図である。図21(a)はこの実施形態のアームレスト本体3を略水平の使用位置まで引下げた使用状態(図1相当)を示す。この実施形態では、サブ付勢部材15としての圧縮コイルばねの一端部が摺動駒10の右端面10bに固定され、他端部がガイド9の端面9g側に設けられた溝9i内に固定又はフリー状態で収容されている。これに対し、図示しないが、サブ付勢部材15として引張りばねの一端部が摺動駒10の左端面10cに固定し、他端部がガイド9の壁9h側に設けられた溝内に固定されるようにしても良い。いずれの場合も付勢部材15は、常に摺動駒10をガイド9の壁9hに押し付ける方向に付勢された状態で取付けられている。
図26の状態では、回転側部材6、7のロック歯6g、7gは相互に噛合した状態(図3相当)であり、回転側部材6の斜め切起し6aはガイド9の最低段差部9dより僅かに浮き上がった位置にある。
図27は図26の状態からアームレストを時計回り方向に45°近辺まで引上げた(起立した)状態を示す。アームレスト本体3を時計回り方向に回転すると、固定側部材7のロック歯7gが回転側部材6のロック歯6gを乗り越えることにより、固定側部材7は弾性部材8の付勢力に抗して離反方向に押され、回転側部材6はL方向に回転する。この際、斜め切起し6aは摺動駒10の上面10eに乗り上げる量までは動かずに、サブ付勢部材15の付勢力に抗して摺動駒10を随伴して右方向(L方向すなわち時計回り方向)に回転する。そして、アームレスト本体3の所定角度例えば45°の位置で摺動駒10の右端面10bがガイド9の端面9gに突き当たる。
さらに、アームレスト本体3を所定角度例えば45°位置から時計回り方向に回転すると、摺動駒10がガイド9の端面9gに突き当たった状態で動かないため、斜め切起し6aは摺動駒10の上面10eを乗り越え、上面10eより若干高めのガイド9の中間段差部9e上に乗り上がる。このとき、回転側部材6と固定側部材7のロック歯6g、7gは完全に離反し、アームレスト本体3はロック解除され回転フリーの状態となる。
この実施形態においても、図26の略水平のアームレスト本体3使用状態から所定角度までの回転範囲は、第1実施形態と同様なラチェット回転による角度調整可能範囲となっている。
図28は図27の作動時において、摺動駒10がサブ付勢部材15により図26の初期位置に押し戻されたリセット状態を示す。図27の作動時において、斜め切起し6aが摺動駒10の上面10eを乗り越え、上面10eより若干高めのガイド9の中間段差部9e上に乗り上がると同時に、摺動駒10は斜め切起し6aから離れてフリー状態となるので、サブ付勢部材15の付勢力によりガイド9の反対側の端面9gに当接するまで押し戻される。
図28の状態では、ガイド9の壁9gに当接している摺動駒10とガイド9の中間段差部9eとが案内溝9bに沿って連続的に近接している。このため、斜め切起し6aが摺動駒10の上面10e及びガイド9の中間段差部9e上のいずれにも乗って連続的に摺動するため、図28の位置からアームレスト本体3をロック解除状態のまま収納位置まで回転する(起立させる)ことも、反対に略水平位置まで戻す(引下げる)ことも、あるいは、アームレスト本体3を収納位置から略水平位置までロック解除状態のまま戻す(引下げる)ことも自由に可能となっている。
本発明は、図1〜図28に示した実施形態に限定されることなく、種々変更が可能である。例えば、アームレスト本体3の全体回転角度及び使用位置近傍の角度調整範囲や係合突起(斜め切起し6a、6b)、案内溝9b、9cあるいは摺動駒10、11等の配置、数量及び形状あるいはその他も含む部材の材質等を任意に変更することができる。また、ガイド9や摺動駒10、11あるいは回転側部材6及び固定側部材7等の摺動部分を有する部材としては、一方又は両方を潤滑性金属又は非金属部材とすることが望ましい。
また、加工又はプレス成形による薄板状の回転側部材6及び固定側部材7と案内溝及び段差部が形成されたガイド9とを別部材としたが、回転側部材6又は固定側部材7とガイド9とを一体とした部材とすることもできる。この場合、実施形態の方が回転側部材及び固定側部材を薄板状のプレス成形品とすることができることから、アームレスト装置全体が簡潔で軽量な構造となり、加工コストも削減することができる。
以上のように、本発明によれば、対向した部分の全周にわたってロック歯を設けた固定側部材及び回転側部材、同心円状の複数の案内溝及び段差部、案内溝内を摺動する摺動駒、摺動駒及び段差部上を係合又は摺動する係合突起などを有することにより、簡潔な構造で、略水平の使用位置から上向き起立又は下向き倒立のいずれもの格納位置まで回動でき、水平近傍での使用角度がロック歯における鋸歯毎の微調整可能などの使い勝手がよく、作動が静粛・円滑で、安全性及び耐久性に優れたア−ムレスト装置とすることができる。
本発明の第1実施形態におけるアームレスト本体がシートバックに沿って起立した収納位置から引下げられて略水平の使用状態における自動車用シートの側面図である。 本発明のアームレスト装置の一部破断側面図である。 図2の一部破断背面図である。 図2のA−A線断面図である。 図4のB−B線断面図である。 図4のC−C線断面図である。 図4のD−D線断面図である。 図4のE−E線断面図である。 図7のF−F線における展開図である。 図9のG矢視断面図である。 (a)は図1の使用状態の図9に対応する作動を説明する展開図、(b)は(a)の作動状態を示す図1に対応する模式図である。 (a)は図11の使用状態からアームレストを時計回り方向に引上げ(起立し)始めた状態の作動を説明する展開図、(b)は(a)の作動状態を示す模式図である。 (a)は図12の状態からアームレストを時計回り方向に45°近辺まで引上げた(起立した)状態の作動を説明する展開図、(b)は(a)の作動状態を示す模式図である。 (a)は図13の状態からアームレストを時計回り方向に45°以上引上げた(起立した)ロック解除状態の作動を説明する展開図、(b)は(a)の作動状態を示す模式図である。 (a)は図14のロック解除状態からアームレストを再び反時計回り方向に引下げ始めた状態の作動を説明する展開図、(b)は(a)の作動状態を示す模式図である。 本発明の第2実施形態のアームレスト装置におけるのロック機構の断面図であり、図4のC−C線断面に相当する。 第2実施形態のアームレスト装置におけるロック機構の断面図であり、図4のD−D線断面に相当する。 図17のH矢視断面図である。 図17のI矢視断面図である。 本発明を便器に適用した第3実施形態を示す側面図である。 (a)は図20の収納位置からアームレストを時計回り方向に45°過ぎまで引上げた状態の図9に対応すると同様な作動を説明する展開図、(b)は(a)の作動状態を示す図20に対応する模式図である (a)は図21の状態からさらにアームレストを時計回り方向に45°以上引上げた状態の作動を説明する展開図、(b)は(a)の作動状態を示す模式図である。 (a)は図20の使用状態から再び反時計回り方向に引上げ(引下げ)始めるに当たりアームレストを一旦上方に引上げロック解除した状態の作動を説明する展開図、(b)は(a)の作動状態を示す模式図である。 (a)は図23のロック解除状態からアームレストを反時計回り方向に45°まで引下げた状態の作動を説明する展開図、(b)は(a)の作動状態を示す模式図である。 (a)は図24の状態からさらにアームレストを反時計回り方向に45°以上引下げた(倒立した)状態の作動を説明する展開図、(b)は(a)の作動状態を示す模式図である。 (a)は本発明の第4実施形態のアームレストの使用状態(図1相当の回転側部材及び固定側部材が噛合するロック状態)の作動を説明する展開図(図9相当に対応)、(b)は(a)の作動状態を示す模式図である。 (a)は図26の状態からアームレストを時計回り方向に45°近辺まで引上げた(起立した)状態の作動を説明する展開図、(b)は(a)の作動状態を示す模式図である。 (a)は図27の作動時において、摺動駒が圧縮ばねにより図26の初期位置に押し戻された状態の作動を説明する展開図、(b)は(a)の作動状態を示す模式図である。
符号の説明
1 ア−ムレスト装置
2 シートバック
2a シートの側板
3 アームレスト本体
3a インサイドアーム
3b アウトサイドアーム
3c、9a、10a 凸部
4 ロック機構
5 支持軸
6 回転側部材
6a、6b 係合突起(斜め切起し)
6g、7g ロック歯
6h、7h 垂直面
6i、7i 斜面
7 固定側部材
8 弾性部材
9 ガイド
9b、9c 案内溝
9d 最低段差部
9e 中間段差部
9f 最高段差部
10、11 摺動駒
15 サブ付勢部材

Claims (7)

  1. 支持体の支持軸を中心に回転可能に取り付けられ、アームレスト本体の回動を支持する回転側部材と、
    この回転側部材に対向すると共に回転拘束された状態で軸方向への移動可能に支持軸に取り付けられた固定側部材と、
    前記回転側部材及び固定側部材の対向部分の全周にわたって相互に噛合するように形成され、前記アームレスト本体を所定角度にロックする鋸歯状のロック歯と、
    回転側部材及び固定側部材のロック歯が相互に噛合するように付勢する弾性部材と、
    前記支持軸と同心円状の所定の長さの円弧状となった複数の案内溝を有し、回転側部材または固定側部材のいずれか一方に設けられたガイドと、
    前記回転側部材の回転に伴って前記案内溝内を摺動する複数の摺動駒と、
    それぞれの摺動駒と係合するように回転側部材または固定側部材の他方に設けられた複数の係合突起とを有し、
    前記ガイドに高さが異なった複数の段差部が形成されており、前記係合突起が高さが異なった段差部に当接することにより、固定側部材を軸方向に往復移動させて前記ロック歯の噛合又はその解除が行われることを特徴とするアームレスト装置。
  2. 前記摺動駒を案内溝の端面に押し付けるように付勢するサブ付勢部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載のアームレスト装置。
  3. 前記段差部は、低・中・高の3段階となっており、前記係合突起が係合することにより低い段差部はロック歯を噛合させ、中間段差部はロック歯の噛合を解除し、高い段差部は回転側部材の回転を停止することを特徴とする請求項1または2記載のアームレスト装置。
  4. 前記摺動駒は、前記中間段部と略同じ高さとなっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のアームレスト装置。
  5. 前記摺動駒は、前記中間段部よりも低い高さとなっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のアームレスト装置。
  6. 前記案内溝は、前記支持軸と同心円となる1または複数の円周上に少なくとも2つが軸対称位置に設けられ、前記係合突起がそれぞれの案内溝に対向するように複数が配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のアームレスト装置。
  7. 前記係合突起は、前記回転側部材または固定側部材から前記案内溝に向けて斜めに切り起こされた斜め切り起こしであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のアームレスト装置。
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