JP2007283584A - 平版印刷用湿し水濃縮組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、印刷作業を行うにあたり、印刷版面の親水性非画線部への濡れ性が良好となる等、IPAを添加した際と同様な効果が得られ、泡立ちが少なくて供給量の調節を容易に行うことができ、インキの過剰乳化や給水ローラー汚れを防止することができる平版印刷用湿し水濃縮組成物を提供することを課題とする。
さらに、比較的画線部が湿し水により侵食されやすいCTP用印刷版においても、印刷中に画線部が脱落する等の印刷物品質上の問題が起こらない平版印刷用湿し水濃縮組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】 一般式(1)で示される化合物の少なくとも一種類を0.1〜15質量%含有することを特徴とする平版印刷用湿し水濃縮組成物。
(式(1)において、R1は水素、炭素数が1〜4のアルキル基を示し、式中のa及びcは1〜15の整数であって2≦a+c≦30であり、bは1≦b≦10の整数である。)
【選択図】 なし
さらに、比較的画線部が湿し水により侵食されやすいCTP用印刷版においても、印刷中に画線部が脱落する等の印刷物品質上の問題が起こらない平版印刷用湿し水濃縮組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】 一般式(1)で示される化合物の少なくとも一種類を0.1〜15質量%含有することを特徴とする平版印刷用湿し水濃縮組成物。
(式(1)において、R1は水素、炭素数が1〜4のアルキル基を示し、式中のa及びcは1〜15の整数であって2≦a+c≦30であり、bは1≦b≦10の整数である。)
【選択図】 なし
Description
本発明は、平版印刷用湿し水濃縮組成物に関する。本発明の組成物は水等で希釈して平版オフセット印刷における湿し水として用いられる。
平版印刷版を用いたオフセット印刷法は、水と油が混じり合わない性質を利用した印刷方式であり、印刷版面は、水を受容してインキを反発する部分と水を反発しインキを受容する部分からなり、前者が非画線で後者が画線部である。この方式では、インキに湿し水を与え過ぎるとインキの乳化が過剰になり、インキを供給するローラー上にインキが堆積して転移不良が発生する。一方、湿し水が少な過ぎると非画線部にインキが付着し汚れの原因となる。
このインキと湿し水とのバランスを保つため、従来から湿し水にはイソプロピルアルコール(以下、IPAと呼ぶ)が添加され、更に各種親水性物質として例えばアラビアゴム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、版表面酸化物を除去する整面剤としてリン酸、重クロム酸アンモニウム、硝酸、及びクエン酸等が添加されていた。また、各種添加物を溶解させるため有機溶剤などが添加されていた。ここでIPAを添加する効果としては、印刷版面の親水性非画線部への濡れが良好になることと、湿し水の粘度を上げて給水装置から版面への湿し水の供給を滑らかにすること等が挙げられる。
しかし、IPAは危険物第4類アルコール類に該当し、使用に際しては火気に注意を払う必要がある。又、有機溶剤予防規則第2種有機溶剤に該当し、水溶液中の濃度は5質量%以下で管理するように規制されている。湿し水中には通常5〜20質量%程度の濃度で添加して使用することから、局所排気装置等を講ずる必要があるなどの問題があった。
このため、近年IPAを全く用いないか、用いても湿し水中濃度が5質量%以下であるような湿し水ないしは湿し水組成物が提案されてきた。例えばIPAの代替化合物として他の有機溶剤等を添加したものとして、特許文献1〜5を挙げることが出来る。
又、アルコール類のエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加体等の界面活性剤を添加することも提案されている。例えば特許文献6〜19においては、1価や2価のアルコールまたは3価以上の多価アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加した界面活性剤を添加した湿し水ないし湿し水組成物が提案されている。
特許文献20〜24では、1価または2価のアルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを付加したポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーが提案されている。
しかし、これらの界面活性剤を使用すると、エチレンオキサイドの比率が高いことから親水性が高くなり、インキの中に湿し水が過剰に入ることで過乳化状態を引き起こしやすくなる。過乳化状態になると湿し水を運ぶためのローラーである給水ローラーが過乳化したインキより汚れてしまい、湿し水が均一に上がらなくなるという、いわゆる給水ローラー汚れが発生してしまう。
更にその浸透性により平版印刷用版材の画線部を侵食し、印刷中に画線部が脱落して印刷物品質を低下させる問題(版トレと呼ばれる)が発生しやすい。特に近年赤外線を放射する固体レーザーまたは半導体レーザーを用いて、コンピューター等のデジタルデータから版面に印刷すべき画像を直接記録して製版するいわゆるCTP(Computer to Plate)用印刷版が普及しているが、それらの版においてはその傾向が顕著である。
しかし、これらの界面活性剤を使用すると、エチレンオキサイドの比率が高いことから親水性が高くなり、インキの中に湿し水が過剰に入ることで過乳化状態を引き起こしやすくなる。過乳化状態になると湿し水を運ぶためのローラーである給水ローラーが過乳化したインキより汚れてしまい、湿し水が均一に上がらなくなるという、いわゆる給水ローラー汚れが発生してしまう。
更にその浸透性により平版印刷用版材の画線部を侵食し、印刷中に画線部が脱落して印刷物品質を低下させる問題(版トレと呼ばれる)が発生しやすい。特に近年赤外線を放射する固体レーザーまたは半導体レーザーを用いて、コンピューター等のデジタルデータから版面に印刷すべき画像を直接記録して製版するいわゆるCTP(Computer to Plate)用印刷版が普及しているが、それらの版においてはその傾向が顕著である。
本発明の課題は、印刷作業を行うにあたり、印刷版面の親水性非画線部への濡れ性が良好となる等、IPAを添加した際と同様な効果が得られ、泡立ちが少なくて供給量の調節を容易に行うことができ、インキの過剰乳化や給水ローラー汚れを防止することができる平版印刷用湿し水濃縮組成物を提供することである。
さらに、比較的画線部が湿し水により侵食されやすいCTP用印刷版においても、印刷中に画線部が脱落する等の印刷物品質上の問題が起こらない平版印刷用湿し水濃縮組成物を提供することである。
さらに、比較的画線部が湿し水により侵食されやすいCTP用印刷版においても、印刷中に画線部が脱落する等の印刷物品質上の問題が起こらない平版印刷用湿し水濃縮組成物を提供することである。
本発明は上記課題を達成するため、従来の湿し水濃縮組成物の成分が持つ欠点がなく、環境上安全でかつ湿し水濃縮組成物の成分として適した化合物について研究を重ねた結果、下記一般式(1)で表される化合物を平版印刷版用湿し水濃縮組成物に含有させることで、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
従って本発明は、下記一般式(1)で示される少なくとも一種類の化合物を含有し、好ましくは一般式(2)で示される化合物をも含有し、さらに好ましくは一般式(3)で表される化合物を含有することを特徴とする平版印刷版用湿し水濃縮組成物に関するものである。
従って本発明は、下記一般式(1)で示される少なくとも一種類の化合物を含有し、好ましくは一般式(2)で示される化合物をも含有し、さらに好ましくは一般式(3)で表される化合物を含有することを特徴とする平版印刷版用湿し水濃縮組成物に関するものである。
(式(1)において、R1は水素、炭素数が1〜4のアルキル基を示し、式中のa及びcは1〜15の整数であって2≦a+c≦30であり、bは1≦b≦10の整数である。)
本発明の平版印刷用湿し水濃縮組成物は、IPA等の労働安全衛生上の問題を生じさせる事なく、液安定性に優れた湿し水組成物であり、印刷適性に優れ、CTP版の画線部に対する侵食性のない湿し水濃縮組成物である。
本発明で使用する一般式(1)で表される化合物において、R1は水素またはアルキル基を示し、アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル基が挙げられる。式中、bは1〜10の整数を表し、a及びcはそれぞれ1〜15の整数を表し、2≦a+c≦30である。a及びcとして、より好ましくはそれぞれ5〜15の整数を表し、10≦a+c≦30である。また、bとして、より好ましくは1〜6の整数である。
本発明の平版印刷版用湿し水濃縮組成物において、上記一般式(1)で示される化合物は、その一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。これらの化合物の湿し水濃縮組成物における含有量は、湿し水濃縮組成物全質量に基づいて0.1〜15質量%が適当であり、好ましくは1〜10質量%である。
0.1質量%より少ないと動的表面張力が高くなり湿し水の印刷適性の範囲が狭くなる。一方、その含有量が15質量%を超えるとインキ中に湿し水が入りやすくなり、過剰乳化等を起こす原因となりやすい。一般式(1)で示される化合物は市販品として、竹本油脂株式会社製のパイオニンシリーズ、旭電化株式会社製のプルロニック等が市販されている。
0.1質量%より少ないと動的表面張力が高くなり湿し水の印刷適性の範囲が狭くなる。一方、その含有量が15質量%を超えるとインキ中に湿し水が入りやすくなり、過剰乳化等を起こす原因となりやすい。一般式(1)で示される化合物は市販品として、竹本油脂株式会社製のパイオニンシリーズ、旭電化株式会社製のプルロニック等が市販されている。
本発明における平版印刷用湿し水濃縮組成物は、更に下記一般式(2)で示される少なくとも1種類の化合物を0.1〜5質量%含有することが好ましい。
式(2)において、R2は互いに独立して、水素原子、−CH3、−CH2CH2OH、又は−CH2CH(OH)CH3を表す。一般式(2)で示される化合物の具体例としてはヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、メチルセルロース(SM)等のセルロース誘導体が挙げられる。
上記一般式(2)で示されるセルロース誘導体で好ましく使用される化合物はヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等であり、これらの化合物の含有量は、湿し水濃縮組成物全質量の0.1〜5質量%が適当であり、好ましくは0.3〜2質量%である。
0.1質量%より少ないと湿し水の粘度が低くなり、インキローラー上での水上がりが悪くなる。一方、その含有量が5質量%を超えると湿し水の粘度が高くなり、インキローラー上での湿し水が供給過多になりインキが過剰に乳化して堆積することにより転移不良となりやすい。
0.1質量%より少ないと湿し水の粘度が低くなり、インキローラー上での水上がりが悪くなる。一方、その含有量が5質量%を超えると湿し水の粘度が高くなり、インキローラー上での湿し水が供給過多になりインキが過剰に乳化して堆積することにより転移不良となりやすい。
本発明の湿し水濃縮組成物には、上記一般式(1)、及び一般式(2)の化合物に更に下記一般式(3)で示される化合物を加えることが好ましい。一般式(3)で示される化合物を加えることで動的表面張力の低下が可能であり、高速回転するローラー上で均一な水膜を得ることが出来る。これらの化合物の湿し水組成物における含有量は、湿し水濃縮組成物全質量に基づいて0.1〜5質量%が適当であり、好ましくは0.2〜2質量%である。0.1質量%より少ないと動的表面張力が高くなり均一な濡れ性が得られなくなり、その含有量が5質量%を超えるとインキ中に湿し水が入りやすくなり、過剰乳化等を起こす原因となりやすい。
また、HLBが4以下であると親油性が高くなり、湿し水濃縮組成物の液安定性が悪くなり、HLBが15以上になると親水性が高くなり、過剰乳化を起こし易くなる。従って、HLBは4〜15の範囲で、より好ましくは4〜12の範囲である。
一般式(3)で示される化合物は市販品として、エアープロダクツアンドケミカルズ社製のサーフィノール等が市販されている。
また、HLBが4以下であると親油性が高くなり、湿し水濃縮組成物の液安定性が悪くなり、HLBが15以上になると親水性が高くなり、過剰乳化を起こし易くなる。従って、HLBは4〜15の範囲で、より好ましくは4〜12の範囲である。
一般式(3)で示される化合物は市販品として、エアープロダクツアンドケミカルズ社製のサーフィノール等が市販されている。
式(3)において、v+x=1〜10且つw+y=0〜5である。
本発明ではサーフィノール420(v+x=1.3)、サーフィノール440(v+x=3.5)、サーフィノール465(v+x=10)、サーフィノール2502(v+x=5且つw+y=2)等が好適に使用できる。
本発明には各種添加物の可溶化性の向上、インキの乳化を調整する化合物として、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノt-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノt-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノt-ブチルエーテル等の有機溶剤が用いられる。
これらの化合物の中でより好ましくはエチレングリコールモノt-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノt-ブチルエーテル等が用いられる。これらの化合物は単独でも2種類以上の化合物を併用してもよく、最適に使用するには10〜70質量%であり、より好ましくは20〜50質量%である。
これらの化合物の中でより好ましくはエチレングリコールモノt-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノt-ブチルエーテル等が用いられる。これらの化合物は単独でも2種類以上の化合物を併用してもよく、最適に使用するには10〜70質量%であり、より好ましくは20〜50質量%である。
又、本発明では印刷版に湿し水を供給するローラー上に均一な水膜を形成するために次のような界面活性剤を単独で用いても、2種類以上併用しても良い。
アニオン型界面活性剤の具体例としては、例えば脂肪酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩類、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類などが挙げられる。
カチオン型界面活性剤の具体例としては、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などが挙げられる。その他弗素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤も使用することができる。但し、使用する場合には湿し水使用時の発泡性を考慮して、平版印刷用湿し水濃縮組成物全質量中1.0質量%以下とすることが適当である。
アニオン型界面活性剤の具体例としては、例えば脂肪酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩類、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類などが挙げられる。
カチオン型界面活性剤の具体例としては、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などが挙げられる。その他弗素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤も使用することができる。但し、使用する場合には湿し水使用時の発泡性を考慮して、平版印刷用湿し水濃縮組成物全質量中1.0質量%以下とすることが適当である。
非イオン型界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル化物類、ソルビタン脂肪酸部分エステル化物類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル化物類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル化物類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル化物類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル化物類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル化物類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル化物類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N、N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、トリエタノールアミン脂肪酸エステル類、トリアルキルアミンオキシド類などが挙げられる。
更に、本発明の平版印刷用湿し水濃縮組成物には印刷版面の非画線部であるアルミ基板表面に対するちり状の過剰乳化インキの付着防止や、紙からの溶出物などによる異物の付着を防止することを目的に水溶性の有機酸や無機酸を添加してもよい。有機酸として、例えばコハク酸、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、シュウ酸、マロン酸、レブリン酸、フイチン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。無機酸として、例えばリン酸、ピロリン酸及びポリリン酸に代表される縮合リン酸の他、硝酸、硫酸などが挙げられる。これら化合物の平版印刷用湿し水濃縮組成物中での含有量は0.1〜5質量%で、好ましくは0.1〜2質量%の範囲で用いられる。
更に、本発明の平版印刷用湿し水濃縮組成物には、湿し水として使用する水道水等の水や、インキや紙からの溶出物によるPHの変動を防止することを目的として水溶性の有機酸や無機酸の塩類を添加する。具体的には有機酸として、例えばコハク酸、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、ヒドロキシ酢酸、シュウ酸、マロン酸、レブリン酸、フイチン酸、有機ホスホン酸等であり、無機酸として、例えばリン酸、硝酸、硫酸などが挙げられる。これら有機酸及びまたは無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、あるいはアンモニウム塩、有機アミン酸などを使用する。これら化合物の平版印刷用湿し水濃縮組成物中での含有量は0.1〜5質量%で、好ましくは0.5〜3質量%の範囲で用いられる。
本発明の平版印刷用湿し水濃縮組成物には、キレート化合物を用いても良い。キレート化合物は水道水や井戸水に含まれる炭酸カルシウムが印刷機上のローラーに堆積することを防止し、印刷適性や印刷物品質を安定させる働きを有する。具体的には、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ニトリロトリ酢酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)などやこれらのナトリウム塩類、カリウム塩類、および有機アミン塩類などを挙げることが出来る。これらのキレート剤は濃縮湿し水中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが選ばれる。これら化合物の平版印刷用湿し水濃縮組成物中での含有量は5質量%以下が適当である。
この他、本発明では湿し水循環装置において湿し水が泡立つことを防止するため、シリコーン系消泡剤及びまたはフッ素系消泡剤が好ましく使用される。その中で、乳化分散型及び可溶化型などいずれも使用できる。これら化合物の平版印刷用湿し水濃縮組成物中での含有量は0.1〜0.5質量%程度である。
又、本発明では印刷機の湿し水循環装置において長期間使用する際の水の腐敗を防止するための防腐剤として、イミダゾール誘導体、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンズトリアゾール誘導体、アミジンまたはグアジニンの誘導体、4級アンモニウム塩類、ピリジンまたはキノリンの誘導体、ダイアジンまたはトリアゾールの誘導体、オキサゾールまたはオキサジンの誘導体などを使用してもよい。好ましい添加量は、細菌、カビ、酵母などに対して安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、これら化合物の平版印刷用湿し水濃縮組成物中での含有量は4質量%以下の範囲が好ましく、また種々の細菌、カビ、酵母に対して効力のあるような2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。
又、本発明の平版印刷版用湿し水濃縮組成物には着色剤として水溶性の食品用色素などを用いてもよく、例えば黄色色素としてはCINo.19140、15985、赤色色素としてはCINo.16185、45430、16255、45380、45100、紫色色素としてはCINo.42640、青色色素としてはCINo.42090、73015、緑色色素としてはCINo.42095などが挙げられる。
本発明の平版印刷版用湿し水濃縮組成物は水道水や井戸水などの水で10〜100倍に希釈し、平版印刷機上で使用される。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚%及び部は、特に指定のない限り質量基準である。
本発明による実施例では一般式(1)で示される化合物として、パイオニンP−2015−R(竹本油脂(株)製品名、R1=H、a+c=10、b=6)、パイオニンP−1310−R(竹本油脂(株)製品名、R1=H、a+c=20、b=3)を用いた。
比較例として、プルロニック25R−2(旭電化(株)製品名、R1=H、a+c=43、b=14)を使用した。
比較例として、プルロニック25R−2(旭電化(株)製品名、R1=H、a+c=43、b=14)を使用した。
一般式(2)で示される化合物として、メトローズ60SH−50(信越化学(株)製品名、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、R2=水素原子、又は−CH3、又は−CH2CH(OH)CH3)、HPC−L(日本曹達(株)製品名、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、R2=水素原子、又は−CH2CH(OH)CH3)を用いた。比較例として、アラビアゴムを使用した。
一般式(3)で示される化合物として、サーフィノール420(エアープロダクツアンドケミカルズ(株)製品名、v+x=1.3)、サーフィノール440(エアープロダクツアンドケミカルズ(株)製品名、v+x=3.5)サーフィノール465(エアープロダクツアンドケミカルズ(株)製品名、v+x=10)、サーフィノール2502(エアープロダクツアンドケミカルズ(株)製品名v+x=5且つw+y=2)を使用した。
実施例及び比較例の配合を表1に示す。単位はグラムであり、表1の組成以外の残部として水を加えてそれぞれの全量を1000mlとした。
実施例及び比較例の配合を表1に示す。単位はグラムであり、表1の組成以外の残部として水を加えてそれぞれの全量を1000mlとした。
本発明の湿し水実施例1〜7及び比較例1〜3について、水で50倍に希釈(濃度2.0%)し、以下に示す(a)、及び(b)のテストを実施した。それらの結果を表2に示す。
(a)湿し水濃縮液の保存安定性テスト
湿し水濃縮液を10mlのガラスサンプル瓶に入れ、40℃の恒温装置に約1ヶ月放置し、液の保存安定性を確認する。評価基準は次の通りである。
○・・・変化なし。
△・・・白濁し、層分離する。
×・・・成分が分離し、沈殿物が発生する。
湿し水濃縮液を10mlのガラスサンプル瓶に入れ、40℃の恒温装置に約1ヶ月放置し、液の保存安定性を確認する。評価基準は次の通りである。
○・・・変化なし。
△・・・白濁し、層分離する。
×・・・成分が分離し、沈殿物が発生する。
(b)プレート侵食性テスト
50%網点とベタの画線のあるCTP版(TP−W;コダックポリクロームグラフィックス(株)製)を作成し、各湿し水に5時間浸漬させ、画線部に侵食がみられるか確認を行った。評価基準は次の通りである。
○・・・画線部侵食性なし。
△・・・液界面に侵食性が見られる。
×・・・50%網点が侵食され、画線部が取れる。
50%網点とベタの画線のあるCTP版(TP−W;コダックポリクロームグラフィックス(株)製)を作成し、各湿し水に5時間浸漬させ、画線部に侵食がみられるか確認を行った。評価基準は次の通りである。
○・・・画線部侵食性なし。
△・・・液界面に侵食性が見られる。
×・・・50%網点が侵食され、画線部が取れる。
更に本発明の湿し水実施例1〜7および比較例1〜3について、印刷テストを実施した。印刷条件は以下の通りである。
印刷機:ローランド−704(ディック・マンローランド社製)、
印刷速度:10,000枚/1時間、
印刷用紙:十条ダイヤコート57.5kg/A全、
湿し水機構:ローランドマチック、
温湿度:23〜24℃,50〜60%RH、
インキ:フュージョンG紅−N(大日本インキ化学工業(株)製)、
印刷版:TP−W(CTP版;Computer to Plate;コダックポリクロームグラフィックス(株)製)。
以上の条件で下記のテスト(c)〜(f)を実施した。それらの結果を同じく表2に示す。
印刷機:ローランド−704(ディック・マンローランド社製)、
印刷速度:10,000枚/1時間、
印刷用紙:十条ダイヤコート57.5kg/A全、
湿し水機構:ローランドマチック、
温湿度:23〜24℃,50〜60%RH、
インキ:フュージョンG紅−N(大日本インキ化学工業(株)製)、
印刷版:TP−W(CTP版;Computer to Plate;コダックポリクロームグラフィックス(株)製)。
以上の条件で下記のテスト(c)〜(f)を実施した。それらの結果を同じく表2に示す。
(c)水幅適性
印刷機の給水量の目盛り(目盛り1〜99、給水ローラーの回転数の目盛りでもある)で網点の絡みが発生する水目盛りを下限値、紙面のベタ部分の濃度が0.1落ちた水目盛りを上限値とする下限値と上限値の幅を調べた。評価基準は次の通りである。
○・・・35目盛り以上の水幅。
△・・・30〜25目盛り以内の水幅。
×・・・25目盛り以下の水幅。
印刷機の給水量の目盛り(目盛り1〜99、給水ローラーの回転数の目盛りでもある)で網点の絡みが発生する水目盛りを下限値、紙面のベタ部分の濃度が0.1落ちた水目盛りを上限値とする下限値と上限値の幅を調べた。評価基準は次の通りである。
○・・・35目盛り以上の水幅。
△・・・30〜25目盛り以内の水幅。
×・・・25目盛り以下の水幅。
(d)給水ローラー安定性
印刷10,000枚終了後の給水ローラーの汚れ具合を観察した。評価基準は次の通りである。
○・・・汚れなし。
△・・・若干汚れがある。
×・・・汚れる。
印刷10,000枚終了後の給水ローラーの汚れ具合を観察した。評価基準は次の通りである。
○・・・汚れなし。
△・・・若干汚れがある。
×・・・汚れる。
(e)不感脂化適性
印刷を一旦停止してから約1時間放置後に再印刷したとき、印刷物の非画線部の汚れ解消具合を調べた。評価基準は次の通りである。
○・・・インキの汚れが非画線部からすぐ消える。
△・・・インキの汚れが若干残る。
×・・・インキの汚れが残る。
印刷を一旦停止してから約1時間放置後に再印刷したとき、印刷物の非画線部の汚れ解消具合を調べた。評価基準は次の通りである。
○・・・インキの汚れが非画線部からすぐ消える。
△・・・インキの汚れが若干残る。
×・・・インキの汚れが残る。
(f)乳化適性
印刷テストにおいて、インキ練ローラー及び紙面上のインキの乳化状態を調べた。評価基準は次の通りである。
○・・・適性乳化状態。
△・・・やや過乳化状態。
×・・・過剰乳化状態。
印刷テストにおいて、インキ練ローラー及び紙面上のインキの乳化状態を調べた。評価基準は次の通りである。
○・・・適性乳化状態。
△・・・やや過乳化状態。
×・・・過剰乳化状態。
比較例1ではプレート侵食性テストにおいて液界面に侵食が見られ、更にインキ練ローラー上でのインキが過剰乳化状態であった。
比較例2では湿し水濃縮組成物の成分が分離し、沈殿物が発生した。更にプレート侵食性テストにおいて液界面に侵食が見られ、インキ練ローラー上でやや乳化状態が悪かった。
比較例3ではプレート侵食性テストにおいて液界面に侵食が見られ、水幅適性がなく、給水ローラーに汚れが発生した。更に不感脂化適性において、約1時間放置後に再印刷したとき、非画線部の汚れの解消がやや悪く、インキ練ローラー上でのインキがやや過剰乳化状態であった。
比較例2では湿し水濃縮組成物の成分が分離し、沈殿物が発生した。更にプレート侵食性テストにおいて液界面に侵食が見られ、インキ練ローラー上でやや乳化状態が悪かった。
比較例3ではプレート侵食性テストにおいて液界面に侵食が見られ、水幅適性がなく、給水ローラーに汚れが発生した。更に不感脂化適性において、約1時間放置後に再印刷したとき、非画線部の汚れの解消がやや悪く、インキ練ローラー上でのインキがやや過剰乳化状態であった。
本発明の平版印刷用湿し水濃縮組成物は、IPA等の労働安全衛生上の問題を生じさせる事なく、液安定性に優れた湿し水組成物であり、平版オフセット印刷に用いる湿し水として印刷適性に優れ、普及が拡大しているCTP版の画線部に対する侵食性が少ない。
Claims (3)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006111956A JP2007283584A (ja) | 2006-04-14 | 2006-04-14 | 平版印刷用湿し水濃縮組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006111956A JP2007283584A (ja) | 2006-04-14 | 2006-04-14 | 平版印刷用湿し水濃縮組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007283584A true JP2007283584A (ja) | 2007-11-01 |
Family
ID=38755798
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006111956A Pending JP2007283584A (ja) | 2006-04-14 | 2006-04-14 | 平版印刷用湿し水濃縮組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007283584A (ja) |
-
2006
- 2006-04-14 JP JP2006111956A patent/JP2007283584A/ja active Pending
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