JP6386685B1 - 湿し水組成物およびオフセット印刷方法 - Google Patents

湿し水組成物およびオフセット印刷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、カルシウム塩などの析出防止が可能で、湿し水の汚れ(濁り)の抑制にも効果があり、さらにブランケットパイリングの発生を抑制できる湿し水組成物を提供することを目的とする。【解決手段】特定のモノアミノポリカルボン酸およびその塩と、所定の式で表されるグリセリントリエステル化合物とを含有する湿し水組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、オフセット印刷に使用する湿し水組成物に関する。
オフセット印刷は、本質的に水と油が混じり合わない性質を利用した印刷方式であり、オフセット印刷の版面は、水を受容し油性インキを反撥する範囲である非画線部と、水を反撥し油性インキを受容する範囲である画線部からなる。非画線部と画線部には、界面化学的な差を拡大して、非画線部のインキ反撥性と画線部のインキ受容性とを増大させることがなされる。そのために、非画線部の形成に用いられる湿し水に、様々な化学物質を添加し、その性能を最大限に発揮できるように鋭意検討されてきた。
上記非画線部に親水性を付与するために添加する化学物質として、硝酸、リン酸、ホスホン酸、硫酸、塩酸またはこれらの塩などが利用される。一方、湿し水には、通常水道水や井戸水が使用され、これらに含まれるカルシウムイオンなどが上記のリン酸、ホスホン酸またはこれらの塩などと反応し、不溶性物質を析出させ、この析出物が印刷機のローラに付着し、堆積して、インキの正常な転移を阻害し、印刷に支障をきたすことがある。
さらに、再生紙、特に白色度を上げた炭酸カルシウムのような多価金属塩を多量に含むコート層を紙の表面に設けた軽量コート再生紙などの利用が増え、これらの再生紙を使用して、長時間連続的に印刷を行なうと、印刷に使用する湿し水が再生紙などの表面コート層に含まれる炭酸カルシウムを溶解し、湿し水中のカルシウムイオン濃度が増加する傾向がみられる。
このようにカルシウムイオンが増加すると前述の通り、酸や酸塩類と反応し、不溶性物質の析出が顕著になり、さらに問題を増長させることがあった。
このような問題を解決するために、特許文献1では、セルロース誘導体、pH緩衝液、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、3−メトキシブタノール及びテトラフェニルホスホニウムブロマイドを含む平版印刷用濃縮湿し水組成物が提案され、特に上記カルシウムイオンなどによる不溶性物質の析出を解消するために、キレート化合物を添加することが記載されている。また、特許文献2では、特定のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、特定のスルホン酸ナトリウム塩、及び特定のアセチレンジオール化合物を含有する平版印刷用湿し水濃縮組成物が提案され、さらにカルシウムによるスケールの形成を防止するためにジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸7ナトリウム塩を含有させることが記載されている。また、特許文献3では、t−アミルアルコールを含む、オフセット印刷用の湿し水濃縮液が提案され、カルシウムイオンを結合するために硬水軟化剤として、キレート化剤を使用することが記載されている。
しかし、これらキレート化剤はカルシウムイオンなどによる不溶性物質の析出を解消するのに効果はあるが、依然インキの正常な転移を阻害し、印刷に支障をきたすことがあり、また印刷経過に伴う湿し水の汚れ(濁り)が解消できないという問題もあった。そこで出願人は、カルシウムイオンなど以外にも原因があると考え、調査したところ湿し水の導電率に影響することを見い出した。すなわち、カルシウムイオンなどだけでなく、紙に添加されている接着剤やバインダーなどが原因であると思われ、上記特許文献1〜3に使用されているキレート化剤では、導電率を低下させる効果がないことも確認し、また湿し水の汚れ(濁り)を解消できないことも確認した。
一方、特許文献4では、特定のアミノカルボン酸化合物と、エチレンジアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキササイドを付加した化合物を有する平版印刷版用湿し水組成物が提案され、カルシウム塩などの析出を防止するものが記載されている。
特許文献4には、カルシウム塩などの析出防止のために、特定のアミノカルボン酸化合物、特にイミノ二酢酸およびイミノ二酢酸のナトリウム塩が実施例に記載されているが、導電率について測定した記載がなく、湿し水の汚れ(濁り)についてまったく評価していない。
特許文献5には、アミノカルボン酸化合物の少なくとも1種を含有する平版印刷版用湿し水組成物が提案され、特許文献4と同等の化合物を含むものが記載されているが、イソプロピルアルコール系に代替しうる安全性の高さと優れる印刷適性を提供することを目的としたものであって、カルシウムイオンなどによる不溶性物質の析出を解消することや湿し水の汚れ(濁り)についてまったく評価していない。
また、前記した通り、オフセット印刷は、オフセット印刷の版面上には水を受容し油性インキを反撥する範囲である非画線部と、水を反撥し油性インキを受容する範囲である画線部があり、版面上に形成された画線部に受容した油性インキは、ブランケットに転移し、さらにブランケットから基材である紙に転移することによって印刷されている。このとき、長時間の連続印刷を行うと、油性インキの成分(樹脂、顔料など)と紙の成分(繊維、填料など)が混じり合ったものが、ブランケット上の非画線部分に徐々に堆積してくる、いわゆる「ブランケットパイリング」が発生する。特に、オフセット輪転(オフ輪)印刷は長時間連続運転が可能で、生産性が高いことを特徴とするが、このブランケットパイリングが発生しやすいという問題があった。
ブランケットパイリングは、特に回転するブランケット胴の後ろ側(くわえ尻側という)に画線部の油性インキが押し出されるようにして堆積しやすく、その堆積物の高さが大きくなると、ブランケットから紙へ油性インキの転移が阻害され、油性インキの着肉が不良の印刷物となってしまう。しかも、このときには印刷を停止してブランケットを洗浄し、堆積物を除去しなければならず、損紙の増大、生産性の低下が非常に大きく、改良が望まれている。
前記した特許文献1〜5はいずれもブランケットパイリングについて、詳細な検討がされておらず、これを解消するには至っていない。また湿し水の汚れ(濁り)についてまったく評価していない。
特開平5−112085号公報 特開2009−126132号公報 特開2012−91461号公報 特開2007−276298号公報 特開平11−291659号公報
そこで、本発明は、カルシウム塩などの析出防止が可能で、湿し水の汚れ(濁り)の抑制にも効果があり、さらにブランケットパイリングの発生を抑制できる湿し水組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、特定のモノアミノポリカルボン酸と特定のグリセリントリエステル化合物を含有することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)水で25〜200倍に希釈してオフセット印刷に使用する湿し水組成物であって、
イミノジ酢酸、およびイミノジ酢酸ナトリウム塩の中から選ばれる少なくとも1種を湿し水組成物に対し0.1〜5質量%トリアセチンを湿し水組成物に対し1〜30質量%含有することを特徴とする湿し水組成物、
(2)さらに、酸、塩類および下記一般式()で表される化合物を含有することを特徴とする(1)に記載の湿し水組成物、
−O−(CHCHRO)−H (
(ここで、式中、Rは炭素数が1〜4のアルキル基であり、Rは水素原子またはメチル基であり、nは1〜4の整数である。)
(3)前記酸が、リン酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、コハク酸、およびマレイン酸の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする()に記載の湿し水組成物、
(4)前記塩類が、硝酸アンモニウム、リン酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする()または()に記載の湿し水組成物、
(5)さらに、下記一般式()で表されるピロリドン誘導体を含有することを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載の湿し水組成物、
Figure 0006386685
(ここで、式中、Rは炭素数が2〜12のアルキル基である。)
(6)(1)〜()のいずれかに記載の湿し水組成物を水で25〜200倍に希釈した希釈液を使用する印刷工程を含むことを特徴とするオフセット印刷方法、
である。
本発明によれば、カルシウム塩などの析出防止が可能で、湿し水の汚れ(濁り)の抑制にも効果があり、さらにブランケットパイリングの発生を抑制できる湿し水組成物を提供できる。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施の形態が可能である。
本発明の湿し水組成物は、モノアミノポリカルボン酸およびその塩と、下記一般式(1)で表されるグリセリントリエステル化合物とを含有することが好ましい。
Figure 0006386685
(ここで、式中、R、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜4の炭化水素基であるか、またはR、RおよびRのうちのどれか2つがそれぞれ独立して炭素数1〜4の炭化水素基であり、かつ残りの1つが炭素数1〜17の炭化水素基である。)
前記モノアミノポリカルボン酸およびその塩は、イミノジ酢酸、イミノジ酢酸ナトリウム塩、メチルイミノジ酢酸、β−アラニンジ酢酸、およびヒドロキシエチルイミノジ酢酸の中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、なかでもイミノジ酢酸、イミノジ酢酸ナトリウム塩がより好ましい。
モノアミノポリカルボン酸およびその塩の含有量は、湿し水組成物に対し0.1〜5質量%であり、0.3〜3質量%であることがより好ましく、0.5〜1質量%であることがさらに好ましい。前記範囲内であることにより、カルシウム塩などの析出防止および湿し水の汚れ(濁り)の抑制効果を有する。5質量%を超えると、水との相溶性が落ち、白濁するおそれがある。0.1質量%より少ないと、析出防止および湿し水の汚れ(濁り)の抑制効果が劣る。
前記一般式(1)で表されるグリセリントリエステル化合物は、具体的にはトリアセチン、1,2,3−プロパントリオール2−プロピオナート1,3−ジアセタート、1,2,3−プロパントリオール1−プロピオナート2,3−ジアセタート、1,2,3−プロパントリオール1,3−ジプロピオナート2−アセタート、1,2,3−プロパントリオール1,2−ジプロピオナート3−アセタート、トリプロピオニン、ヘキサン酸2,3−ビス(アセチルオキシ)プロピル、ヘキサン酸2−アセチルオキシ−1−[(アセチルオキシ)メチル]エチル、トリブチリン、グリセロールトリイソブチラート、オクタン酸2−アセチルオキシ−1−[(アセチルオキシ)メチル]エチル、トリバレリン、トリイソバレリン、[S,(−)]−2−O,3−O−ジバレリル−1−O−ビバロイル−L−グリセロール、[R,(+)]−2−O,3−O−ジバレリル−1−O−ビバロイル−D−グリセロール、1−O,2−O−ジアセチル−3−O−ラウロイルグリセロール、1,3,10−トリアセトキシ2,4,6−トリメチルデカン、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノオレートトリアセチン、トリプロピオニン、トリブチリン、トリバレリン、トリイソバレリン、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノオレートなどが挙げられる。なかでも、トリアセチン、トリプロピオニン、トリブチリン、トリバレリン、トリイソバレリン、グリセリンジアセトモノラウレート、およびグリセリンジアセトモノオレートがより好ましく、トリアセチンがさらに好ましい。
これらの中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、2種以上を併用してもよい。
これらは、関東化学(株)、有機合成薬品工業(株)、大八化学工業(株)、理研ビタミン(株)、東京化成工業(株)などから入手することができる。
グリセリントリエステル化合物の含有量は、湿し水組成物に対し0.1〜50質量%であり、1〜30質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることがさらに好ましい。前記範囲内であることにより、ブランケットパイリングを抑制でき、良好なブラン洗浄性、給水ローラー汚れ抑制、良好な乳化適性を有する。50質量%を超えると、水との相溶性が落ち、白濁したり、他の溶剤分が少なくなるため印刷版への濡れ性が落ち、汚れやすくなるおそれがある。
前記モノアミノポリカルボン酸およびその塩と、前記一般式(1)で表されるグリセリントリエステル化合物とを併用することで、カルシウム塩などの析出防止および湿し水の汚れ(濁り)の抑制に効果があるとともに、ブランケットパイリングの発生を抑制できるという顕著な効果を発揮する。
湿し水組成物には、さらに酸、塩類および下記一般式(2)で表される化合物を含有することが好ましい。
−O−(CHCHRO)−H (2)
(ここで、式中、Rは炭素数が1〜4のアルキル基であり、Rは水素原子またはメチル基であり、nは1〜4の整数である。)
前記酸としては、具体的には、有機酸では、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシ酢酸、蓚酸、マロン酸、レブリン酸、スルファニル酸、p−トルエンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸などが挙げられ、無機酸では、例えばリン酸、硝酸、硫酸、ポリリン酸などが挙げられる。なかでも、リン酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、コハク酸、およびマレイン酸がより好ましい。
これらの中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、2種以上を併用してもよい。
酸の含有量は、湿し水組成物に対し0.1〜10質量%であり、0.5〜5質量%であることがより好ましく、1〜3質量%であることがさらに好ましい。0.1質量%より少ないと、整面性が落ち、汚れやすくなる。10質量%を超えると、pHが下がり、乾燥が遅れるおそれがある。
前記塩類としては、上記有機酸および/または無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩あるいはアンモニウム塩、有機アミン塩などが挙げられ、具体的には、硝酸アンモニウム、リン酸塩、クエン酸塩、およびp−トルエンスルホン酸塩が好ましい。
これらの中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、2種以上を併用してもよい。
塩類の含有量は、湿し水組成物に対し0.1〜10質量%であり、0.5〜5質量%であることがより好ましく、1〜3質量%であることがさらに好ましい。0.1質量%より少ないと、整面性が落ち、汚れやすくなる。10質量%を超えると、水に溶けにくくなり、白濁や分離が生じるおそれがある。
前記一般式(2)で表される化合物としては、Rの例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基があり、ジオール系化合物の溶解性を高め、かつブランケットパイリングを抑制する観点から、n−ブチル基あるいはt−ブチル基であることが特に好ましい。Rは、水素原子またはメチル基であることが好ましく、メチル基がより好ましい。nは1〜4の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることが特に好ましい。
具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリブチルエーテル、ジエチレングリコールモノターシャリブチルエーテル、トリエチレングリコールモノターシャリブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノターシャリブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、テトラプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、テトラプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノターシャリブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノターシャリブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノターシャリブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノターシャリブチルエーテルなどが挙げられ、なかでもエチレングリコールモノターシャリブチルエーテル、プロピレングリコールモノターシャリブチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールなどがより好ましい。
これらの中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、2種以上を併用してもよい。
一般式(2)で表される化合物の含有量は、湿し水組成物に対し1〜80質量%であり、5〜70質量%であることがより好ましく、10〜60質量%であることがさらに好ましい。1質量%より少ないと、表面張力が下がらず、汚れやすくなる。80質量%を超えると、印刷インキとの相溶性が上がり、過乳化しやすくなる。
湿し水組成物には、さらに下記一般式(3)で表されるピロリドン誘導体を含有することが好ましい。
Figure 0006386685

(ここで、式中、Rは炭素数が2〜12のアルキル基である。)
一般式(3)で表されるピロリドン誘導体としては、エチルピロリドン、ブチルピロリドン、ペンタピロリドン、ヘキサピロリドン、オクチルピロリドン、ラウリルピロリドンなどが挙げられ、なかでもオクチルピロリドンがより好ましい。
一般式(3)で表されるピロリドン誘導体の含有量は、湿し水組成物に対し0.01〜10質量%であり、0.1〜5質量%であることがより好ましく、0.5〜3質量%であることがさらに好ましい。
本発明の湿し水組成物には、さらにホウ酸類またはフタル酸水素カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸類としては、ホウ酸、三酸化二ホウ素(無水または水和物)、四ホウ酸ナトリウム(無水物または水和物)、メタホウ酸ナトリウムなどが挙げられ、なかでもホウ酸、三酸化二ホウ素、四ホウ酸ナトリウムがより好ましい。
これらの中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、2種以上を併用してもよい。
ホウ酸類またはフタル酸水素カリウムの含有量は、湿し水組成物に対し0.1〜10質量%であり、0.5〜5質量%であることがより好ましく、1〜4質量%であることがさらに好ましい。
本発明の湿し水組成物には、グリコール類および/またはアルコール類などの水溶性有機溶媒を含有してもよい。グリコール類としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコールおよびペンタプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどが挙げられ、なかでもプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールがより好ましい。アルコール類としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−アミルアルコール、ベンジルアルコール、ペンタエリスリトール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ブトキシエタノールなどが挙げられる。
これらの中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、2種以上を併用してもよい。
これら水溶性有機溶媒の含有量は、湿し水組成物に対し1〜50質量%であり、10〜40質量%であることがより好ましい。
湿し水組成物には、2個のOH基を有し、該2個のOH基間の最短の炭素数が2〜6であり、かつ総炭素数が9であるジオール系非環状炭化水素化合物を含有してもよい。OH基間の最短の炭素数が2のものとして、具体的には、1,2−ノナンジオール、2,3−ノナンジオール、3,4−ノナンジオール、2−メチルオクタン−2,3−ジオール、2−メチル−3,4−オクタンジオール、2,2,5−トリメチル−3,4−ヘキサンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ヘプタンジオール、2−エチルヘプタン−1,2−ジオール、3−エチル−5−メチル−1,2−ヘキサンジオール、2,3−ジメチルヘプタン−2,3−ジオール、3−エチル−4−メチルヘキサン−3,4−ジオール、4−メチル−4,5−オクタンジオール、3−イソプロピル−4−メチル−2,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。OH基間の最短の炭素数が3のものとして、具体的には、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチルヘプタン−3,5−ジオール、1,3−ノナンジオール、2,4−ノナンジオール、4,6−ノナンジオール、2,4−ジメチルヘプタン−1,3−ジオール、2,4−ジメチル−3,5−ヘプタンジオール、2,2−ジメチル−3,5−ヘプタンジオール、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオール、3,4−ジメチル−3,5−ヘプタンジオール、2−メチルオクタン−3,5−ジオール、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオール、2−[(1R)−1−メチル−3−メチルブチル]−1,3−プロパンジオール、2−sec−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2−ヘキシルプロパン−1,3−ジオール、2−メチル−2−(1−メチルブチル)−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ペンチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−オクタンジオール、2−メチルオクタン−1,3−ジオール、2,2−ジプロピル−1,3−プロパンジオール、2,4,5−トリメチルヘキサン−2,4−ジオール、2,2,4,4−テトラメチルペンタン−1,3−ジオール、2,4−ジメチルヘプタン−2,4−ジオール、3−プロピル−1,3−ヘキサンジオールなどが挙げられる。OH基間の最短の炭素数が4のものとして、具体的には、1,4−ノナンジオール、2,5−ノナンジオール、3−メチルオクタン−1,4−ジオール、4,6−ジメチル−2,5−ヘプタンジオール、2−(1,2−ジメチルプロピル)ブタン−1,4−ジオール、2−イソペンチル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,4−ヘプタンジオール、2,2,3,3−テトラメチル−1,4−ペンタンジオール、2,4−ジメチルヘプタン−1,4−ジオール、4−メチルオクタン−1,4−ジオール、6,6−ジメチル−2,5−ヘプタンジオールなどが挙げられる。OH基間の最短の炭素数が5のものとして、具体的には、1,5−ノナンジオール、2,6−ノナンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、4,6−ジメチルヘプタン−1,5−ジオール、2,6−ジメチルヘプタン−1,5−ジオール、2−イソプロピル−1,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,5−ヘプタンジオール、2,6−ジメチル−2,6−ヘプタンジオール、3,3,5−トリメチルヘキサン−1,5−ジオール、6,6−ジメチル−1,5−ヘプタンジオール、7−メチル−1,5−オクタンジオールなどが挙げられる。OH基間の最短の炭素数が6のものとして、具体的には、1,6−ノナンジオール、2−メチル−2,7−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。なかでも、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールおよび2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールが好ましい。
これらの中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、2種以上を併用してもよく、前記水溶性有機溶媒と併用してもよい。
本発明の湿し水組成物には、水溶性高分子化合物を含有してもよい。水溶性高分子化合物としては、具体的には、アラビアゴム、澱粉誘導体(例えばデキストリン、酵素分解デキストリン、ヒドロキシプロピル化酵素分解デキストリン、カルボキシメチル化澱粉、燐酸澱粉、オクテニルコハク化澱粉など)、アルギン酸塩、繊維素誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、それらのグリオキサール変性体など)の天然物とその変性体およびポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドおよびその共重合体、ポリアクリル酸およびその共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体などの合成物などが挙げられる。
これらの中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、2種以上を併用してもよい。
水溶性高分子化合物の含有量は、湿し水組成物に対し0〜5質量%であり、0〜3質量%であることがより好ましく、0.5〜2質量%であることがさらに好ましい。
本発明の湿し水組成物には、糖類およびグリセリンからなる群を含有してもよい。糖類としては、単糖類、二糖類及びオリゴ糖類などから選択することができ、水素添加によって得られる糖アルコールもこれに含まれる。具体例としてD−エリトロース、D−スレオース、D−アラビノース、D−リボース、D−キシロース、D−エリスロ−ペンテュロース、D−アルロース、D−ガラクトース、D−グルコース、D−マンノース、D−タロース、β−D−フラクトース、α−L−ソルボース、6−デオキシ−D−グルコース、D−グリセロ−D−ガラクトース、α−D−アルロ−ヘプチュロース、β−D−アルトロ−3−ヘプチュロース、サッカロース、ラクトース、D−マルトース、イソマルトース、イヌロビオース、ヒアルビオウロン、マルトトリオース、D,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズルシット、アロズルシット、マルチトール、還元水あめなどが挙げられる。
これらの中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、2種以上を併用してもよい。
糖類およびグリセリンからなる群の含有量は、湿し水組成物に対し0〜5質量%であり、0〜4質量%であることがより好ましく、1〜3質量%であることがさらに好ましい。
本発明の湿し水組成物には、エチレンジアミンのポリエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド付加化合物を含有してもよい。エチレンジアミンのポリエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド付加化合物としては、ポリプロピレングリコール部(疎水基)の分子量が1,500〜5,000、総分子中のエチレンオキサイド付加重量%が10〜40%、分子量が2,000〜8,500のものが使用でき、なかでも、ポリプロピレングリコール部の分子量が2,000〜4,000、総分子中のエチレンオキシド付加重量%が10〜20重量%のものがより好ましい。
これらの付加化合物の含有量は、湿し水組成物に対し0〜5質量%であり、0.02〜3質量%であることがより好ましく、0.1〜2質量%であることがさらに好ましい。
本発明の湿し水組成物には、着色剤、防錆剤、消泡剤などを含有してもよい。着色剤としては、食品用色素等が好ましく使用できる。例えば、黄色色素としてはCINo.19140、15985、赤色色素としてはCINo.16185、45430、16255、45380、45100、紫色色素としてはCINo.42640、青色色素としてはCINo.42090、73015、緑色色素としてはCINo.42095などが挙げられる。
防錆剤としては、例えばベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、チオサリチル酸、ベンゾイミダゾール及びその誘導体等が挙げられる。
消泡剤としてはシリコン消泡剤が好ましく、その中で乳化分散型及び可溶化型などのいずれも使用することができる。
本発明の湿し水組成物には、少量の界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤として、アニオン型界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホこはく酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホこはく酸モノアミド2ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硬化ひまし油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類などが挙げられ、なかでもジアルキルスルホこはく酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキルナフタレンスルホン酸塩類が好ましく用いられる。
ノニオン型界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸部分エステル類、蔗糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどが挙げられ、なかでもポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー類、アセチレングリコール類やアセチレンアルコール類およびこれらの酸化エチレンおよび/または酸化プロピレン付加物などが好ましく用いられる。
カチオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などが挙げられる。
また両性界面活性剤の例としては、アルキルイミダゾリン類が挙げられる。
さらに、フッ素系界面活性剤が挙げられる。フッ素系アニオン界面活性剤としては、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、フッ素系ノニオン界面活性剤としては、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルプロピレンオキサイド付加物、フッ素系カチオン界面活性剤としては、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩などが挙げられる。
これらの界面活性剤の含有量は、発泡の問題やインキとの乳化を考慮すると、湿し水組成物に対し5質量%以下が好ましく、0〜2質量%が適当である。
残余は水である。上述の各種成分を水、好ましくは脱塩水に溶解し、湿し水組成物を得ることができる。この湿し水組成物は低温にさらされたりすると場合によっては含有している塩類が析出したり、不均一となることがあるので適宜水で希釈した希釈液としてもよい。
本発明の湿し水組成物は、水道水、井戸水等で25〜200倍に希釈した希釈液として用いる。その際、希釈液中のモノアミノポリカルボン酸およびその塩の含有量が0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましく、1〜3質量%であることがさらに好ましい。また、希釈液中のグリセリントリエステル化合物の含有量が、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましく、1〜3質量%であることがさらに好ましい。前記モノアミノポリカルボン酸およびその塩とグリセリントリエステル化合物の含有量を前記範囲内とすることにより、カルシウム塩などの析出防止および湿し水の汚れ(濁り)の抑制に効果があるとともに、ブランケットパイリングの発生を抑制できるという顕著な効果を有する。モノアミノポリカルボン酸およびその塩の含有量が10質量%を超えるあるいはグリセリントリエステル化合物の含有量が10質量%を超えると、水との相溶性が落ち、白濁したり、他の溶剤分が少なくなるため印刷版への濡れ性が落ち、汚れやすくなるおそれがある。
本発明の湿し水組成物は、種々のオフセット印刷版に対して使用することができる。
例えば、アルミニウム板を支持体とし、その上に感光層を有する感光性オフセット印刷版(あらかじめ感光性を付与した印刷版で、PS版と呼ばれる。)を画像露光及び現像して得られたオフセット印刷版に対して好適に使用できる。
可視や赤外線のレーザーで直接露光するCTP用のオフセット印刷版(CTPプレート)にも好適に使用することができる。具体例としてはフォトポリマータイプデジタルプレート(例えば、コダック合同会社製:エクスサーモTP−W)や、サーマルポジタイプデジタルプレート(例えば、富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(株)製:XPシリーズ)などが挙げられる。
無処理型オフセット印刷版にも好適に使用できる。無処理型オフセット印刷版では、印刷機上で可視や赤外線のレーザーで直接露光し、露光部分以外の非画線部を湿し水組成物(希釈液)で洗い流し、その後、通常のオフセット印刷方法により印刷する。従って、無処理型オフセット印刷版では、従来のPS版やCTP版で使用されてきた現像処理、水洗、リンス液処理等の後処理工程が不要となるため、これらの廃棄物が排出されない。無処理型オフセット印刷版としては、例えば、ブルーアース(コニカミノルタビジネスソリューションズ(株)製)、XZ−R(富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(株)製)、アズーラシリーズ(日本アグファ・ゲバルト(株)製)、Sonola XJ(コダック合同会社製)などが挙げられる。
上述したPS版、CTP版および無処理型オフセット印刷版を用いるには、これらの版に対して画像を露光して得られたオフセット印刷版を作製し、これを用いて一般的なオフセット印刷方法による印刷工程を経て、印刷物が形成される。
本発明の印刷物に用いる基材としては、通常のオフセット印刷が可能な用紙であれば使用できるが、特に、オフセット印刷に適する更紙(非塗工紙)、微塗工紙、コート紙、アート紙などが好ましく用いられる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を示す。
[湿し水組成物の作製]
表1および表2の処方にしたがって、湿し水組成物を各々作製した。
Figure 0006386685
Figure 0006386685
[導電率の変化]
表1および表2の湿し水組成物について、軟水にて50倍に希釈し、湿し水とし、該湿し水中に、短冊状に切断した中質コート紙(UPMウルトラH、UPM社製)2gを浸した。この際に、紙を浸す前と1時間経過後の湿し水の導電率を測定した。導電率は、LAQUA F74S型電気伝導率計((株)堀場製作所製)および汎用電気伝導率用セル(浸せき形) 3552−10D((株)堀場製作所製)を用いて測定した。
1時間経過後と浸す前の導電率の差を求めた。導電率の差が小さいほど、カルシウムイオンなどを湿し水中に混入させないことを示し、軟水の導電率の差よりも小さいものを良好と判断する。
[ブランケットパイリング]
下記実機印刷試験時において、1万部ごとに印刷物をサンプリングし、印刷画像を目視にて観察し、ブランケットパイリングの発生状況を確認した。
ブランケットパイリングの発生について、◎:10万部以上印刷しても発生しない、○:10万部未満、7万部以上印刷しても発生しない、△:7万部未満、5万部以上印刷した時点で発生はみられるが、印刷物として許容できる(実用上問題ない)、×:5万部未満の印刷で発生し印刷物として許容できない、の4段階で評価した。
なお、上記評価は目視で観察しやすい紅インキにて行なった。
印刷機:(株)小森コーポレーション製 システム35 4色オフセット輪転機
印刷回転数:800rpm
印刷版:富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(株)製 XP−F(CTP版) AM175線
印刷インキ:東京インキ(株)製 ガイア墨、藍、紅、黄
用紙:日本製紙(株)製 OKコートL
湿し水:水道水にて50倍に希釈し調整した各湿し水組成物
[湿し水の濁り]
上記実機印刷試験終了後の湿し水の濁りを目視にて観察した。
湿し水の濁りについて、○:まったく濁っていない、△:やや濁りがある(実用上問題ない)、×:濁っている、の3段階で評価した。
導電率の変化、ブランケットパイリング、湿し水の濁りについての結果を、表3に示した。表3中の参考例は、軟水の結果である。
Figure 0006386685
表3より、実施例1〜5は、比較例よりもブランケットパイリング、湿し水の濁りの両方が優れていることが明確である。また、この両者の相乗効果により、ブランケットパイリングに対して効果が向上する。モノアミノポリカルボン酸およびその塩を含まないものは、湿し水の濁りについては効果がなく、特定のグリセリントリエステル化合物を含まないものは、ブランケットパイリングに対して効果がない。比較例4、5のキレート剤を含んでも、湿し水の濁りに対してはまったく効果がみられない。特許文献4に類似の比較例6は、ブランケットパイリング、湿し水の濁りに対して効果がみられない。特許文献3に類似の比較例7および特許文献5に類似の比較例8ともに、ブランケットパイリングに対して効果がなく、湿し水の濁りに対してはまったく効果がみられない。

Claims (6)

  1. 水で25〜200倍に希釈してオフセット印刷に使用する湿し水組成物であって、
    イミノジ酢酸、およびイミノジ酢酸ナトリウム塩の中から選ばれる少なくとも1種を湿し水組成物に対し0.1〜5質量%トリアセチンを湿し水組成物に対し1〜30質量%含有することを特徴とする湿し水組成物。
  2. さらに、酸、塩類および下記一般式()で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の湿し水組成物。
    −O−(CHCHRO)−H (
    (ここで、式中、Rは炭素数が1〜4のアルキル基であり、Rは水素原子またはメチル基であり、nは1〜4の整数である。)
  3. 前記酸が、リン酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、コハク酸、およびマレイン酸の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項に記載の湿し水組成物。
  4. 前記塩類が、硝酸アンモニウム、リン酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項またはに記載の湿し水組成物。
  5. さらに、下記一般式()で表されるピロリドン誘導体を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の湿し水組成物。
    Figure 0006386685
    (ここで、式中、Rは炭素数が2〜12のアルキル基である。)
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の湿し水組成物を水で25〜200倍に希釈した希釈液を使用する印刷工程を含むことを特徴とするオフセット印刷方法。
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