JP2007282928A - 体外循環回路、圧力測定ラインと圧力測定手段の接続状態の確認方法、及び体外循環装置 - Google Patents

体外循環回路、圧力測定ラインと圧力測定手段の接続状態の確認方法、及び体外循環装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、圧力測定ラインの接続不良時に除菌フィルタが濡れてしまうことのない、更には操作及び検知が簡便な圧力測定ラインの接続状態確認方法及び接続不良箇所の検出方法、この方法を実施するのに適した体外循環回路、更には圧力測定ラインの接続状態の確認方法を実施するのに適した体外循環装置を提供することを可能にすることを目的としている。
【解決手段】 圧力測定ラインとなる動静脈圧測定ライン7a,7bを有する体外循環回路であって、該動静脈圧測定ライン7a,7bの圧力測定手段となる動静脈圧測定部10a,10bとの接続側末端に接続時のみに弁が開く弁付きコネクタ9a,9bを有し、該弁付きコネクタ9a,9bの回路側に除菌フィルタ8a,8bが接続されていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧力測定ラインを有する体外循環回路、これを用いた圧力測定ラインと圧力測定手段の接続状態の確認方法及びこの方法を実施するための体外循環装置に関するものである。
体外循環による体液浄化治療では、治療に先立って体液処理器と各回路を体液浄化装置本体に接続し、更に体外循環回路の圧力測定ライン末端と圧力測定手段とを除菌フィルタを介して直接接続する。この作業後、例えば回路内の特定部分の圧力を監視すれば液体流通路の流動状態がわかるため、目詰まり等の有無やその発生部位を察知することが出来る。しかし、もし回路と体液処理器或いは圧力測定ラインと圧力測定部に接続不良があった場合は、回路内の圧力を正しく計測出来なくなり、所定の条件下で運転出来なくなるおそれがある。
そこで、接続不良を検出する方法が幾つか検討されている。例えば特許文献1においては、血液回路のローラーポンプを利用して圧力測定ラインに圧力を負荷し、除菌フィルタの装着不良を検出する方法が開示されている。また特許文献2においては、圧力測定ラインに併設したエアーポンプにより圧力を負荷して接続不良を検出する方法が開示されている。また、特許文献3においては、落差により圧力を負荷して接続不良を検出する方法が開示されている。
特開平02−289259号公報 特開2002−095741号公報 特開2005−218709号公報
しかしながら、前述の特許文献1、2、3の何れの方法においても接続不良がおこると圧力測定ラインを含む体外循環回路内は大気圧となるため接続不良箇所の特定が困難であった。また、圧力測定ラインの末端と圧力測定手段とを除菌フィルタを介して接続した場合、接続不良時に除菌フィルタの末端より体外循環回路内部の空気が流失するため、体外循環回路内部の液体で除菌フィルタが濡れてしまうおそれがあった。除菌フィルタは一度濡れてしまうと、再生することは難しく、交換することが必要となるが、その際、圧力測定ラインを切断する必要があり、無菌的な接続が困難となるため、安全上細心の注意と技術を要するという問題があった。
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、圧力測定ラインの接続不良時に除菌フィルタが濡れてしまうことがなく、更には操作及び検知が簡便な圧力測定ラインの接続状態の確認方法及び接続不良箇所の検出方法、この方法を実施するのに適した体外循環回路、更には圧力測定ラインの接続状態の確認方法を実施するのに適した体外循環装置を提供せんとするものである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、通常、接続不良時の体外循環回路内圧は大気圧になることから、接続不良時に体外循環回路内圧を保つことが出来れば、簡便に接続不良を検出出来ると考え、これを実施するための体外循環回路を考案し、これを用いることにより上記推測が正しいことを確認した。つまり、体外循環回路の圧力測定ライン末端と圧力測定手段とを接続時のみに弁が開く弁付きコネクタを介して接続すれば、圧力測定ラインと圧力測定手段との接続不良及び接続不良箇所を簡便に検出出来、しかも接続不良時に除菌フィルタを濡らすことがないことを見出し、本発明を完成したものである。
即ち、前記目的を達成するための本発明に係る体外循環回路の第1の構成は、少なくとも2つ以上の圧力測定ラインを有する体外循環回路であって、前記圧力測定ラインの圧力測定手段との接続側末端に接続時のみに弁が開く弁付きコネクタを有し、前記弁付きコネクタの回路側に除菌フィルタが接続されていることを特徴とすることを特徴とする。
また、本発明に係る体外循環回路の第2の構成は、前記第1の構成の体外循環回路に、体液と空気を隔離する隔膜を内蔵した圧力センサを有する圧力測定ラインが接続されていることを特徴とする。
また、本発明に係る圧力測定ラインと圧力測定手段の接続状態の確認方法は、前記第1、第2の構成の体外循環回路における前記圧力測定ラインと前記圧力測定手段の接続状態の確認方法であって、前記圧力測定ラインを前記圧力測定手段に接続し、前記体外循環回路内を加圧若しくは減圧した時に、前記圧力測定手段により圧力の変動を検知した場合は前記圧力測定ラインと前記圧力測定手段の接続は良好と検知し、前記体外循環回路内を加圧若しくは減圧したにもかかわらず前記圧力測定手段により圧力の変動を検知しない場合は前記圧力測定ラインと前記圧力測定手段との接続は不良と検知することを特徴とする。
また、本発明に係る体外循環装置は、少なくとも前記第1、第2の構成の体外循環回路と、前記体外循環回路内を加圧若しくは減圧する圧力調整手段と、前記体外循環回路内の圧力を検知する圧力測定手段と、前記体外循環回路内を前記圧力調整手段により加圧若しくは減圧したにもかかわらず前記圧力測定手段により圧力の変動を検知しない場合に圧力の変動が無いことを知らせる警報手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、体外循環回路内部を加圧若しくは減圧することにより、体外循環回路に接続された圧力測定ラインと圧力測定手段との接続状態を確認出来、また接続不良箇所を検出出来る。更に、接続時のみに弁が開く弁付きコネクタを前記圧力測定ライン末端に有するため、前記圧力測定ラインと前記圧力測定手段との接続不良時に除菌フィルタが濡れてしまうことも無い。
図により本発明に係る体外循環回路、圧力測定ラインと圧力測定手段の接続状態の確認方法、及び体外循環装置の一実施形態を具体的に説明する。図1は本発明に係る体外循環装置を血液吸着療法に用いる場合の一例を示す模式図、図2は本発明に係る体外循環装置を血液透析装置として構成した場合の一例を示す模式図、図3は本発明に係る体外循環装置を血液透析装置として構成した場合の他の例を示す模式図、図4は本発明に係る体外循環装置を血液透析装置として構成した場合の更に別の例を示す模式図である。
本発明に係る体外循環装置における体外循環回路の接続不良検出方法の代表的な構成は、体液浄化装置における体外循環回路の接続不良箇所を検出する方法において、少なくとも2つ以上の圧力測定ラインを有する体外循環回路に接続され、圧力測定ラインの圧力測定手段との接続側末端に接続時のみに弁が開く弁付きコネクタを有する複数の圧力測定ラインと、圧力測定ラインの末端側を接続する複数の圧力測定手段と、体外循環回路内部を加圧若しくは減圧する圧力調整手段の機構とを備え、前記体外循環回路内部の圧力を、前記各圧力測定手段で検出することを特徴とする。
これにより、圧力測定ラインと圧力測定手段との接続不良箇所を検出することが出来る。また、前記圧力測定ラインと前記圧力測定手段との接続不良が発生した場合に除菌フィルタが濡れてしまうことがない。
本発明でいう体液とは血液、血漿、リンパ液、腹水、尿等のことをいう。
本発明でいう体外循環回路とは、体液若しくは透析液等の治療液を循環させるための導管のことを言い、血液濾過療法、血液透析療法、血液濾過透析療法、持続緩徐式血液透析療法、持続緩徐式血液濾過療法、持続緩徐式血液濾過透析療法、血漿交換療法、血漿吸着療法、二重濾過血漿交換療法、血液吸着療法、血球成分除去療法、腹水濾過濃縮再静注療法、経皮的心肺補助等の体外循環療法で用いられる回路のこという。
体外循環回路の素材には塩化ビニル、シリコンゴム、オレフィン系樹脂等が使用出来、中でも軟質塩化ビニルが好んで用いられる。この回路にはチャンバ(「ドリップチャンバ」と呼ばれることもある)、ポンプ用チューブ、コネクタ、三方活栓、圧力測定用分岐チューブ、抗凝固剤注入用接続口、補液接続口、プライミング液接続口、濾液排出用チューブ、一時的体液貯留容器、外付けのクランプ、体液のサンプリングポート、等の部品を必要に応じて付属させることが出来る。
本発明でいう体外循環装置とは、血液濾過装置、血液透析装置、血液濾過透析装置、持続緩徐式血液透析装置、持続緩徐式血液濾過装置、持続緩徐式血液濾過透析装置、血漿交換装置、血漿吸着装置、二重濾過血漿交換装置、血液吸着装置、血球成分除去装置、腹水濾過濃縮再静注装置、経皮的心肺補助等の体外循環装置のこという。
本発明でいう圧力測定ラインは、体液の流通を担うメインチューブ若しくは体液に接する透析液等の治療液の流通を担う非体液チューブから分岐するが、その分岐の仕方は、直接、或いは、例えばT字管、十字管、三方活栓、ドリップチャンバのような部品を通じて枝分かれすることが出来、体外循環回路から枝分かれしてさえいれば、その手段は問わない。体液の体外循環回路における圧力測定ラインには、動脈圧測定ライン、静脈圧測定ライン、採血圧測定ライン,濾過圧測定ライン、血漿圧測定ライン、血漿入り口圧測定ライン等がある。
本発明に用いられる接続時のみに弁が開く弁付きコネクタとは、圧力測定手段の接続部分が正しく接続されているときには弁が開き、圧力測定ラインと圧力測定手段が不完全にしか連通しておらず正しく接続されていない、或いは圧力測定ラインと圧力測定手段が接続されていないときには弁が閉じており、圧力測定ラインの末端は流体の流通が出来ない状態になる弁のことをいう。例示すると、テルモ社製シュアプラグ(SP-1S)のようなコネクタが挙げられる。
本発明でいう圧力測定手段とは、体外循環回路内の圧力を検知するもので、−500mmHg〜500mmHg程度の圧力を測定する手段のことを言い、ブルドンカン式圧力計、マノメータ、半導体圧力センサ等が例示出来る。中でも半導体圧力センサが電気出力として圧力データを得ることが出来、警報手段を制御し易いので用い易い。体外循環回路における圧力測定手段には、動脈圧測定部、静脈圧測定部、非血液側圧力測定部等がある。
本発明でいう圧力調整手段とは、体外循環回路内を加圧若しくは減圧する手段のことを言い、エアーポンプ、回転式のチューブポンプ(ローラーポンプ)、落差等が例示出来るが、これらに限定されるものではない。中でも、治療に不必要な機器の取り付けがないため、一般的に体液浄化装置に使用されている回転式のチューブポンプを用いると良い。体液の体外循環回路における圧力調整手段は、血液ポンプ等である。
本発明でいう除菌フィルタとは、体外循環回路内に雑菌が混入するのを防ぐために用いられるフィルタであり、孔径は0.45μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.22μm以下のメンブレンフィルタを用いる。また、体外循環回路内の液体により圧力測定手段が濡らされて破損することを防止するために、ガス透過性が高く且つ疎水性のメンブレンフィルタを用いることが好ましい。疎水性膜は水性液体が通過するのを阻止する性質があるので、圧力測定手段が濡れて破損することを防止出来る。このような除菌フィルタが弁付きコネクタの回路側に接続される。
本発明でいう体液と空気を隔離する隔膜を内蔵した圧力センサ(以下、「隔膜式圧力センサ」という)とは、体液と空気との接触を防止するために、隔膜(体外循環回路内の圧力により変形する変形部)で体液と空気とを分離して圧力測定を行うことが出来るものである。
この隔膜式圧力センサは、密閉された容器内部を隔膜により体液室と空気室とに分割し、前記体液室を体液が流通するように体外循環回路を接続するとともに、前記空気室の空気の圧力を計測出来る構造を有している。隔膜式圧力センサの容器形状は、球形、円筒形等と多種あり、その材質は生体適合性を有し、かつ硬質であることが好ましく、塩化ビニル、硬質塩化ビニル、ポリカーボネート、シリコン系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン等が挙げられる。
また、体液と空気を分離する隔膜の形状は、平板形、三角波形、サイン波のような形状等あるが圧力を正しく測定出来るものであれば問題は無い。そして、その隔膜の材質は生体適合性を有し、かつ圧力に対して柔軟に変形することが好ましく、塩化ビニル、ポリ塩化ビニル、シリコン系樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーコンパウンド等が挙げられる。また、平板形状を成しているが、断面から見て三角波形状や、サイン波のような形状をしていても問題はなく、また、変形部に占める変形する部分の面積や形状は、圧力を正しく測定出来るものであれば問題はなく、特に限定するものではない。
このような体液と空気を隔離する隔膜を内蔵した圧力センサを有する圧力測定ラインが体外循環回路に接続される。
本発明でいう体液処理器とは、血液を含む体液から除去対象物質を除去する、或いは血液を含む体液中の成分を賦活する、等の機能を持つ医療用具をいう。血液を処理する体液処理器は血液処理器と呼ぶ。例えば病因物質を吸着により除去する吸着器(全血を処理するタイプと血漿或いは血漿成分を処理するタイプがある)、血球に富む成分と血漿とに分離する血漿分離器(膜方式と遠心分離方式がある)、血漿中の高分子量物質と低分子量物質とを分離する血漿成分分離器、血液透析器、血液濾過透析器、血液濾過器、特定のリガンドを固定した刺激材による血球の刺激を行なう免疫賦活器、血液中の特定の血球を除去する血球選択除去器、膜を通して酸素と二酸化炭素を移動させる人口肺等が例示出来る。
本発明でいう警報手段とは、警報発生を視覚的に伝えるLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)、ランプ等の発光素子やモニタ表示、または警報発生を聴覚的に伝えるブザー等のことをいうが、使用者に警報を知らせることが出来る手段であれば良い。
本発明に係る警報手段は、体外循環回路内を圧力調整手段により加圧もしくは減圧したにもかかわらず圧力測定手段により圧力の変動を検知しない場合に圧力の変動が無いことを知らせるものである。
以下、本発明に係る体外循環回路、圧力測定ラインと圧力測定手段との接続状態の確認方法、及び体外循環装置について例を示しながら説明する。以下に示す具体的な部材の配置等は、理解を容易にするための例示であって、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、本発明の実施態様の一つとして血液吸着装置の例を示すものである。図1において、体外循環装置となる血液吸着装置20は、制御手段となる制御部11aと、体液処理器となる血液処理器2と、該血液処理器2の血液入口側に接続された動脈側血液回路3と、血液出口側に接続された静脈側血液回路4とを有している。
この動脈側血液回路3と静脈側血液回路4の血液流路となるチューブをメインチューブと呼ぶ。尚、本実施形態の血液処理器2は、血液吸着器であるが、内部空間に充填液を満たしたウェットタイプでも充填液を充填しないドライタイプでもかまわない。尚、本実施態様での血液処理器2はウェットタイプとして説明する。
動脈側血液回路3には、圧力測定ラインとなる動脈圧測定ライン7aよりも末端側に体外循環回路内を加圧若しくは減圧する圧力調整手段となる血液ポンプ1が配置され、該血液ポンプ1と血液処理器2との間には動脈側チャンバ6aを介して、動脈圧測定ライン7aが配置さている。
この動脈圧測定ライン7aの末端側から順に接続時のみに弁が開く弁付きコネクタ9a、疎水性膜を濾過部とした除菌フィルタ8aが配置されており、接続時のみに弁が開く弁付きコネクタ9aにより制御部11aにある体外循環回路内の圧力を検知する圧力測定手段となる動脈圧測定部10aに接続されている。
一方、静脈側血液回路4はその途中部に静脈側チャンバ6bを介して圧力測定ラインとなる静脈圧測定ライン7bが配置されている。この静脈圧測定ライン7bの末端側から順に接続時のみに弁が開く弁付きコネクタ9b、疎水性膜を濾過部とした除菌フィルタ8bが配置されており、接続時のみに弁が開く弁付きコネクタ9bにより制御部11aにある圧力測定手段となる静脈圧測定部10bに接続されている。
尚、静脈側血液回路4の末端側にはプライミング液貯留部12が接続されているが、プライミング液貯留部12は動脈側血液回路3の末端側に接続されていても良い。
静脈側血液回路4の静脈圧測定ライン7bよりも末端側には、本回路の遮断と解除を行なうためのバルブ5が配置されている。バルブ5は特に限定しないが、鉗子の他にクランプ類、例えばローラークランプ、ロバートクランプ及びピンチバルブ等が軟質の血液回路の一時的な遮断、解除に特に優れており好ましい。
血液処理器2は、動脈側血液回路3及び静脈側血液回路4を接続するための二つの接続部を有している。
圧力測定ラインである動静脈圧測定ライン7a,7bは、それぞれ疎水性の除菌フィルタ8a,8bを介して、接続時のみに弁が開く弁付きコネクタ9a,9bによって圧力測定手段となる動静脈圧測定部10a,10bにそれぞれ接続されるラインである。
圧力測定ラインである動静脈圧測定ライン7a,7bの仕様は特に限定する必要は無く、体外循環回路に一般的に用いられる圧力測定ラインを用いれば良い。例示すれば、内径0.5mm〜5mm、肉厚0.5mm〜2mm程度の軟質塩化ビニルチューブまたはシリコンチューブ等であれば、体外循環レベルの圧変形には耐えて正確な圧力測定が出来る。
前記圧力測定ラインに配置する除菌フィルタ8a,8bは、過度の圧力上昇や何らかの誤操作によって、体外循環装置となる血液吸着装置20の圧力測定部内に血液等の液体が浸入したり、或いは血液吸着装置20から体外循環回路内へ雑菌が侵入するのを防止したりするために取り付けられている。
また、圧力測定ラインである動静脈圧測定ライン7a,7bの末端に配置され、該動静脈圧測定ライン7a,7bと圧力測定手段となる動静脈圧測定部10a,10bとの接続に使用する接続時のみに弁が開く弁付きコネクタ9a,9bは、圧力測定ラインである動静脈圧測定ライン7a,7bと、圧力測定手段となる動静脈圧測定部10a,10bとの接続が正常な場合は弁が開くことで通気可能となり、圧力測定ラインである動静脈圧測定ライン7a,7bと、圧力測定手段となる動静脈圧測定部10a,10bとの接続が接続不良時には弁が閉まることで通気不可能となる機能を有する。従って、弁が閉まっている状態で密閉性を保つことが出来る弁付きコネクタである必要がある。
尚、図示しないが、動静脈圧測定部10a,10bは、体外循環装置となる血液吸着装置20の本体内部で圧力計に接続しており、その実測値は本体の表示部に表示される。圧力計の仕様や表示機構は特に限定しない。また、一般的な計装機器と同様に、実測値が所定の設定圧に到達する、或いは所定の範囲を外れると信号音や警報を吹鳴させても良い。
以上が本発明の体外循環装置となる血液吸着装置20の全体構成であるが、本血液回路に付随するポンプ類やチャンバ等の仕様については特に限定する必要はなく、体外循環療法において一般的に用いられるものであれば何れでも良い。また、抗凝固剤の注入回路やサンプリングポート等、体外循環回路で当然に用いられる付随品については図示しないが、それぞれ適宜配置すれば良い。
続いて、上記構成を有する血液吸着装置20により圧力測定ラインと圧力測定手段との接続状態の確認方法及び接続不良箇所を検出する方法について説明する。
初期状態としては、圧力調整手段となる血液ポンプ1が配置されている動脈側血液回路3は、血液ポンプ1を停止状態にすることによって血液回路の一部が遮断されており、また、静脈側血液回路4はバルブ5を閉じることにより遮断されている。即ち、バルブ5のみではなく、血液ポンプ1も回路を一時的に遮断する開閉手段として作用している。
静脈側血液回路4の末端には生理食塩水を充填したプライミング液貯留部12が接続されている。更に動脈側、静脈側の圧力測定ラインとなる動静脈圧測定ライン7a,7bは、それぞれ圧力測定手段となる動静脈圧測定部10a,10bに接続され、既に圧力測定と表示が可能な状態になっている。
このように、初期状態では圧力測定ラインとなる動静脈圧測定ライン7a,7b以外の全ての流体流通路がその一部で遮断されており、液体の流通は出来ない。尚、体液処理器となる血液処理器2がウェットタイプの場合も、上記の通り血液処理器2に接続する全ての液体流通路が遮断されているため、充填液が回路内を移動することはない。
尚、もし圧力測定ラインとなる動静脈圧測定ライン7a,7bと圧力測定手段となる動静脈圧測定部10a,10bとの接続が外れていても、動静脈圧測定ライン7a,7b末端に配置されている弁付きコネクタ9a,9bが閉じているため、プライミング液貯留部12の液、血液処理器2内部の充填液は実質的に移動せず、除菌フィルタ8a,8bが濡れてしまうということは無い。
次に、初期状態を維持しつつ、圧力調整手段となる血液ポンプ1を血液処理器2、圧力測定ラインとなる動静脈圧測定ライン7a,7bで構成されている回路内部を加圧若しくは減圧させる方向に駆動させ、圧力測定手段となる動静脈圧測定部10a,10bによってそれぞれの圧力を監視することで、圧力測定ラインとなる動静脈圧測定ライン7a,7bと圧力測定手段となる動静脈圧測定部10a,10bとの接続不良箇所を検出する。
つまり、接続不良のある圧力測定手段となる動静脈圧測定部10a,10bの圧力は、前記回路内部を加圧若しくは減圧しているにもかかわらず圧力が上昇若しくは下降しないため、接続不良箇所を特定出来る。
また、正常に接続されている圧力測定手段となる動静脈圧測定部10a,10bの圧力は上昇若しくは下降するので、任意の設定圧に達したことを検知することで、圧力測定ラインとなる動静脈圧測定ライン7a,7bと、圧力測定手段となる動静脈圧測定部10a,10bとが接続されていることを確認出来る。
尚、圧力測定ラインとなる動静脈圧測定ライン7a,7bと、圧力測定手段となる動静脈圧測定部10a,10bとが接続されていることを確認するための設定圧は、血液回路、血液ポンプ1等に負担をかけない程度であれば、特に限定はしない。
また、上記接続不良の検出は、各圧力測定手段となる動静脈圧測定部10a,10bの圧力値を使用者が読み取り、設定範囲内にあることを判断する単純な方法でも良い。しかし、体外循環装置となる血液吸着装置20に備えられた制御手段となる制御11aを用いて判断させるように構成し、接続不良箇所を自動的に検知する血液浄化装置として構成することも出来る。その場合、図示しない記憶手段に設定圧若しくは設定圧範囲を記憶させておき、制御部11aが所定のタイミング(例えば使用者による操作等)において記憶した設定範囲と検出した各圧力を比較し、判断した結果をモニタ表示、または信号音にて警報を発するように構成する。
即ち、圧力測定ラインとなる動静脈圧測定ライン7a,7bを圧力測定手段となる動静脈圧測定部10a,10bにそれぞれ接続し、体外循環回路内を加圧もしくは減圧した時に、圧力測定手段となる動静脈圧測定部10a,10bにより圧力の変動を検知した場合は圧力測定ラインとなる動静脈圧測定ライン7a,7bと圧力測定手段となる動静脈圧測定部10a,10bとの接続は良好と検知し、体外循環回路内を加圧もしくは減圧したにもかかわらず圧力測定手段となる動静脈圧測定部10a,10bにより圧力の変動を検知しない場合は圧力測定ラインとなる動静脈圧測定ライン7a,7bと圧力測定手段となる動静脈圧測定部10a,10bとの接続は不良と検知することが出来る。
図2は体外循環装置が血液透析装置である場合の装置構成を例に示す図である。図2に示すように、体外循環装置となる血液透析装置21は、制御手段となる制御部11bを備えている。体液処理器となる血液処理器2の非血液側には、廃液回路15と透析液供給回路16が接続されている。
透析液供給回路16には、透析液供給ポンプ14を解して透析液貯留部17が接続されている。このように血液処理器2の非血液側回路に2本の非血液側チューブを接続する場合、圧力測定ラインとなる非血液側圧力測定ライン7cを血液処理器2に直接接続出来ないので、廃液回路15の一部に接続している。
ここで、排出ポンプ13は、廃液回路15において非血液側測定ライン7cよりも末端側に接続されている。排出ポンプ13を開閉手段として回路を遮断し、非血液側圧力測定ライン7cにより圧力を検出し、該圧力測定ラインとなる非血液側圧力測定ライン7cと、圧力測定手段となる非血液側圧力測定部10cとの接続状態を判別するためである。
尚、排出ポンプ13を圧力調整手段として、血液ポンプ1と透析液供給ポンプ14を開閉手段とする、若しくは透析液供給ポンプ14を圧力調整手段として、血液ポンプ1と排出ポンプ13を開閉手段として用いることも可能である。
尚、図2において、圧力測定ラインである非血液側圧力測定ライン7cの末端に配置され、該非血液側圧力測定ライン7cと、圧力測定手段となる非血液側圧力測定部10cとの接続に使用する接続時のみに弁が開く弁付きコネクタ9cは、前述と同様に、圧力測定ラインである非血液側圧力測定ライン7cと、圧力測定手段となる非血液側圧力測定部10cとの接続が正常な場合は弁が開くことで通気可能となり、圧力測定ラインである非血液側圧力測定ライン7cと、圧力測定手段となる非血液側圧力測定部10cとの接続が接続不良時には弁が閉まることで通気不可能となる機能を有する。
圧力測定ラインである非血液側圧力測定ライン7cは、疎水性の除菌フィルタ8cを介して、接続時のみに弁が開く弁付きコネクタ9cによって圧力測定手段となる非血液側圧力測定部10cに接続されるラインである。他の構成は前述した図1と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
図3は、図2に示して前述した体外循環装置となる血液透析装置21において、動脈側チャンバ6a、動脈圧測定ライン7a、除菌フィルタ8a、弁付きコネクタ9aが無い場合を示す図である。この場合も、上記と同様に回路内部を血液ポンプ1、排出ポンプ13、若しくは透析液供給ポンプ14のいずれかの圧力調整手段により加減圧し、圧力測定ラインとなる静脈圧測定ライン7b,非血液側圧力測定ライン7cを通じて各圧力測定ラインの接続状態を確認出来、かつ接続不良箇所がある場合はその箇所を検出し、前述した警報手段により警報を発することが可能である。他の構成は前述した図1、図2と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
図4は、図2に示して前述した体外循環装置となる血液透析装置21において、動脈側チャンバ6aの替わりに隔膜を介して回路内部の圧力を測定する隔膜式圧力センサ18を設置し、除菌フィルタ8aと弁付きコネクタ9aが無い場合を示す図である。
本実施形態では、隔膜式圧力センサ18を設置すると隔膜を介して回路内部の圧力を測定出来るため、隔膜式圧力センサ18から分岐している圧力測定ラインとなる動脈圧測定ライン7aと、圧力測定手段となる動脈圧測定部10aとの接続不良時に回路内部の圧力は保たれる。よって、この場合も圧力測定ラインとなる動脈圧測定ライン7aと、圧力測定手段となる動脈圧測定部10aとの接続状態を上記と同様に、回路内部の圧力を加減することで確認出来る。
つまり、図4のような構成でも回路内部を血液ポンプ1、排出ポンプ13、若しくは透析液供給ポンプ14の何れかの圧力調整手段により体外循環回路内を加減圧し、圧力測定ラインとなる動脈圧測定ライン7a,静脈圧測定ライン7b,非血液側圧力測定ライン7cをそれぞれ通じて各圧力測定ラインの接続状態を確認出来、かつ接続不良箇所がある場合はその箇所を検出し、前述した警報手段により警報を発することが可能である。
尚、図4では、隔膜式圧力センサ18と該隔膜式圧力センサ18から分岐した圧力測定ラインは動脈側血液回路部にあるが、隔膜式圧力センサ18と該隔膜式圧力センサ18から分岐した圧力測定ラインの位置は限定されない。他の構成は前述した図1、図2と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
本発明の活用例として、圧力測定ラインを有する体外循環回路、これを用いた圧力測定ラインと圧力測定手段の接続状態の確認方法及びこの方法を実施するための体外循環装置に適用することが出来る。
本発明に係る体外循環装置を血液吸着療法に用いる場合の一例を示す模式図である。 本発明に係る体外循環装置を血液透析装置として構成した場合の一例を示す模式図である。 本発明に係る体外循環装置を血液透析装置として構成した場合の他の例を示す模式図である。 本発明に係る体外循環装置を血液透析装置として構成した場合の更に別の例を示す模式図である。
符号の説明
1…血液ポンプ(圧力調整手段)
2…血液処理器(体液処理器)
3…動脈側血液回路
4…静脈側血液回路
5…バルブ
6a…動脈側チャンバ
6b…静脈側チャンバ
7a…動脈圧測定ライン(圧力測定ライン)
7b…静脈圧測定ライン(圧力測定ライン)
7c…非血液側圧力測定ライン(圧力測定ライン)
8a〜8c…除菌フィルタ
9a〜9c…接続時のみに弁が開く弁付きコネクタ
10a…動脈圧測定部(圧力測定手段)
10b…静脈圧測定部(圧力測定手段)
10c…非血液側圧力測定部(圧力測定手段)
11a,11b…制御部
12…プライミング液貯留部
13…排出ポンプ
14…透析液供給ポンプ
15…廃液回路
16…透析液供給回路
17…透析液貯留部
18…隔膜式圧力センサ
20…血液吸着装置(体外循環装置)
21…血液透析装置(体外循環装置)

Claims (4)

  1. 少なくとも2つ以上の圧力測定ラインを有する体外循環回路であって、
    前記圧力測定ラインの圧力測定手段との接続側末端に接続時のみに弁が開く弁付きコネクタを有し、
    前記弁付きコネクタの回路側に除菌フィルタが接続されていることを特徴とする、体外循環回路。
  2. 請求項1記載の体外循環回路に、体液と空気を隔離する隔膜を内蔵した圧力センサを有する圧力測定ラインが接続されていることを特徴とする、体外循環回路。
  3. 請求項1または請求項2のいずれかに記載の体外循環回路における前記圧力測定ラインと前記圧力測定手段の接続状態の確認方法であって、
    前記圧力測定ラインを前記圧力測定手段に接続し、
    前記体外循環回路内を加圧もしくは減圧した時に、前記圧力測定手段により圧力の変動を検知した場合は前記圧力測定ラインと前記圧力測定手段の接続は良好と検知し、
    前記体外循環回路内を加圧もしくは減圧したにもかかわらず前記圧力測定手段により圧力の変動を検知しない場合は前記圧力測定ラインと前記圧力測定手段との接続は不良と検知することを特徴とする、圧力測定ラインと圧力測定手段の接続状態の確認方法。
  4. 少なくとも請求項1または請求項2のいずれかに記載の体外循環回路と、
    前記体外循環回路内を加圧もしくは減圧する圧力調整手段と、
    前記体外循環回路内の圧力を検知する圧力測定手段と、
    前記体外循環回路内を前記圧力調整手段により加圧もしくは減圧したにもかかわらず前記圧力測定手段により圧力の変動を検知しない場合に圧力の変動が無いことを知らせる警報手段と、
    を有することを特徴とする、体外循環装置。
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