JP2007281221A - 透光性電磁波遮蔽材料 - Google Patents

透光性電磁波遮蔽材料 Download PDF

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Abstract

【課題】光学ロスが改良され透光性に優れ、また剥がれ等がなく均一で平滑なPDP等の前面パネルとして用いるこことができる反射防止等複合機能付き電磁波遮蔽材料構成物を提供する。
【解決手段】透明支持体上に反射防止機能、近赤外線遮蔽機能、ネオンガスに由来する発光の遮蔽機能、および電磁波遮蔽機能を有する各々の機能性フィルム、又は前記の機能のうち2種類以上を複合して有する複数の機能性フィルムを貼合して作製する透光性電磁波遮蔽材料において、各機能性フィルムの透明支持体が実質的に同じ材料からなることを特徴とする透光性電磁波遮蔽材料。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)の前面に使用する近赤外線およびネオン発光の吸収性であり、かつ可視光透過性を有する透光性電磁波遮蔽材料に関する。
近年電子機器の使用増大のために電磁波障害(EMI)を低減する必要性が高まっている。機器から放出される電磁波は、電子、電気機器の誤動作、障害の原因になるほか、人体に対しても害を与えることが指摘されている。この為、電子機器では、電磁波放出の強さを規格または規格内に抑えることが要求されている。
特にプラズマディスプレイパネル(PDP)は、希ガスをプラズマ状態にして紫外線を放射させこの光線で蛍光体を発光させる原理に基づくために原理的に電磁波を発生する。
また、このとき近赤外線も放射され、リモコン等の操作素子の誤動作を引き起こすので、電磁波遮蔽と同時に近赤外線の遮蔽も求められている。
電磁波遮蔽能は、簡便には表面抵抗値で表すことができ、PDP用の透光性電磁波遮蔽材料では10Ω/□以下が要求され,PDPを用いた民生用プラズマテレビにおいては、2Ω/□以下とする必要性が高く、より望ましくは0.2/□以下という極めて高い導電性が要求されている。
また、近赤外線放出の遮蔽に関する要求レベルは、800nm〜1000nmの範囲の吸収が、60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上が要求されており、更に高い遮蔽性が望まれている。
更に、PDPの機能を向上させるため、近赤外線吸収の他に、PDPパネル中のネオンガス発光に対する色調補正、外光の反射防止等、また薄膜ガラス製のPDP本体に対する機械的強度の付与等が求められている。
この為に、機械的強度を付与する目的で複数の透明基板を貼り合わせたり、電磁波遮蔽目的で導電性層、赤外線遮蔽のために赤外線吸収層、外光の反射防止のために反射防止層、色調補正目的で、可視光領域に吸収のある色素を含有した層が組み合わされ使用される。
上記問題のうち、特に電磁波防止と赤外吸収の課題を解決するために、開口部を有する金属メッシュを利用した電磁波遮蔽と赤外吸収染料を使用した遮蔽性とを両立させる方法がこれまで提案されている。
例えば、開口率の高い金属メッシュを焼き付けたガラス板に赤外線吸収フィルムを添付して作製するという方法は、金属メッシュの焼き付けの製造工程が煩雑かつ複雑で、生産に熟練度が要求されまた工程時間が長くかかるという問題点があった。
PDPの漏洩電磁波を遮断する電磁波シールド材料として、反射防止、赤外吸収機能等が複合化され一体化付与されたプラズマディスプレイ用前面パネルは知られている。例えば、電磁波遮蔽機能層を有する基体と、例えば、反射防止フィルム、近赤外線カットフィルム等、幾つかの機能性フィルム等を積層、貼合(貼り合わせる)することによりこれらは製造される(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、従来に於いては殆ど、各機能性フィルムの光学性能、また、貼合後の前面パネルの光学性能および物性に重要な関わりを持つそれぞれの機能性フィルムの支持体材料については特に言及がされてこなかった。
例えば、従来のパネルに於ける支持体材料については面内屈折率が高く、複屈折率の大きいものが用いられているため、フィルム表面やそのフィルム間の界面において光反射が大きく全体として光学ロスが大きくなってしまう。また、貼合したフィルムにおいて面内屈折率等の特性が大きく異なる場合、異なる樹脂フィルムの貼合、或いは成膜条件が大きく異なるフィルムの貼合を意味するため、熱収縮率等の変形物性が大きく異なってしまうことから、熱処理時や高温に長時間晒された場合などに、フィルム間の剥がれ等品質欠陥等が起こりやすく、製造には注意が必要である。
また、これらの複合機能を有すPDP用前面パネルにおいて、電磁波遮蔽能を有する導電性のメッシュには、エッチングメッシュ、導電印刷メッシュ等が用いられており、PDP用前面パネルの透光性を左右するメッシュの開口率と、電磁波シールド性の両立には、メッシュ線径の調整等、注意深く、煩雑かつ複雑な操作が必要であり、更に、反射防止機能や、近赤外線吸収機能、またネオン発光吸収機能等をそれぞれ有する機能性フィルムを組み合わせ作製される複合機能を有するPDP前面パネル用透光性電磁波遮蔽材料には、より複雑かつ煩雑で工数のかかる工程が必要である。
写真においては、銀塩粒子から現像により容易に金属銀が得られることから、写真現像を応用し金属銀のメッシュを作製することが可能である。例えば、ハロゲン化銀粒子を含む層を有する感光材料をメッシュ状の画像様に露光して現像処理すれば、銀粒子がメッシュ状に集合した導電性金属銀部が形成される(例えば、特許文献2、3)。これにより余り複雑な工程を経ずに、導電性メッシュパターンを有する電磁波遮蔽(シールド)材料が得られる。しかしながら、電磁波遮蔽導電性パターンに、単に、反射防止フィルム、近赤外線カットフィルム等、幾つかの機能性フィルム等を積層、貼合して、プラズマディスプレイ前面パネルに使用する透光性電磁波遮蔽材料(PDPフィルター)を作製しても、その支持体の選択によっては、電磁波遮蔽能に比して透光性が期待したレベルに達しないなどの問題があった。
特開2005−128091号公報 特開2004−221564号公報 特開2004−221565号公報
従って、本発明の目的は、光学ロスが改良され透光性に優れ、また剥がれ等がなく均一で平滑なPDP等の前面パネルとして用いるこことができる反射防止等複合機能付き電磁波遮蔽材料構成物を得ることにある。
本発明の上記課題は、以下の手段により達成される。
1.透明支持体上に反射防止機能、近赤外線遮蔽機能、ネオンガスに由来する発光の遮蔽機能、および電磁波遮蔽機能を有する各々の機能性フィルム、又は前記の機能のうち2種類以上を複合して有する複数の機能性フィルムを貼合して作製する透光性電磁波遮蔽材料において、各機能性フィルムの透明支持体が実質的に同じ材料からなることを特徴とする透光性電磁波遮蔽材料。
2.透明支持体上に反射防止機能を有する層を有する機能性フィルム、および、透明支持体上に近赤外線遮蔽機能、ネオンガスに由来する発光の遮蔽機能および電磁波遮蔽機能を有する層を複合して有する機能性フィルムの二つを貼合することを特徴とする前記1に記載の透光性電磁波遮蔽材料。
3.貼合される複数の前記機能性フィルムの透明支持体の各々は、面内レターデーション値(Ro)が0nm以上100nm以下、かつ、厚み方向のレターデーション値(Rt)が0nm以上500nm以下であることを特徴とする前記1または2に記載の透光性電磁波遮蔽材料。
(ここにおいて、透明支持体の面内方向のレターデーション値(Ro)、厚み方向のレターデーション値(Rt)はそれぞれ下記式で定義される。
Ro値=(Nx−Ny)×d
Rt値=((Nx+Ny)/2−Nz)×d
式中、Nxは透明支持体の製膜方向に平行な方向におけるフィルムの屈折率、Nyは製膜方向に垂直な方向における屈折率、Nzは厚み方向における屈折率、dは透明支持体の厚み(nm)を各々表す。尚、各レターデーション値は、それぞれ23℃、55%RHにおいて定義される値である。)
4.貼合される複数の機能性フィルムの透明支持体はセルロースエステルを主成分とすることを特徴とする前記1または2に記載の透光性電磁波遮蔽材料。
5.透明支持体上に電磁波遮蔽機能を有する層を形成した機能性フィルムが、透明支持体上に銀塩粒子を含む層を設けた電磁波遮蔽材料用原版を作製し、該電磁波遮蔽材料用原版を露光、現像処理することにより、金属銀部を形成し作製されたものであることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の透光性電磁波遮蔽材料。
6.前記銀塩粒子の平均粒径が10nm〜100nmであることを特徴とする前記5に記載の透光性電磁波遮蔽材料。
本発明により、光学ロスが改良され、透光性に優れた、PDP等の前面パネルとして用いるこことができる反射防止等複合機能付き電磁波遮蔽材料構成物を得ることができた。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
先ず、図面を参照して本発明に係る透光性電磁波遮蔽材料の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の電磁波遮蔽材料の実施の形態の一例を示す断面図である。なお、図1では、透光性電磁波遮蔽材料の積層構造を明確にするために、各層を離隔して示してあるが、これらはすべて積層一体化されている。
本発明の透光性電磁波遮蔽材料は、透明支持体上に反射防止機能、近赤外線遮蔽機能、ネオンガスに由来する発光の遮蔽機能、および電磁波遮蔽機能を有する各々の機能性フィルム、又は前記の機能のうち2種類以上を複合して有する複数の機能性フィルムを貼合して作製される。
本発明の透光性電磁波遮蔽材料1は、反射防止フィルム2を有し、電磁波遮蔽フィルム3、及び近赤外遮蔽機能および/またはネオンガスに由来する発光を遮蔽する機能(フィルタ層)を有する光線カットフィルム4が接着剤層5a,5bにより接着・積層され、更に光線カットフィルム5の裏面側に粘着剤層8が設けられ、離型紙6が取り付けられたものである。尚、更に光線カットフィルム5の裏面側に設けられた粘着剤層8によりPDPパネル面上に貼り付けられ使用される。
近赤外遮蔽機能およびネオンガスに由来する発光を遮蔽する機能はそれぞれ別々の支持体上に各機能層を形成して、それぞれ近赤外遮蔽フィルム、およびネオンガスによる発光を遮蔽する機能性フィルムの2つで構成してもよいが、透明支持体とはいえ余り多いと透過率が低下するため光線カットフィルムとして一つのフィルタ層で両者の機能をもたせることは好ましい態様である。
また図2は本発明の電磁波遮蔽材料の別の好ましい実施の形態を示す断面図である。
ここでは、透明支持体(フィルム)上に反射防止機能を有する層を有する反射防止フィルム2、および、透明支持体上に近赤外線および/またはネオンガスに由来する発光を同時に遮蔽するフィルタ機能を有する電磁波遮蔽フィルム7の二つを同様に貼合して形成した透光性電磁波遮蔽材料を示した。
即ち、図2において、電磁波遮蔽フィルム7は、透明支持体101の一方の面に電磁波シールド層104、他の面に光線カット機能を有するフィルタ層105が形成されたものであり、フィルタ層には、近赤外線および/またはネオンガスに由来する発光を吸収し遮蔽する材料が含有されている。
ここでは、透明支持体を3枚、また2枚用いて各遮蔽機能をそれぞれの機能性フィルムに分担して持たせた例を示したが、各機能を複数の支持体間でどの様に分担するかは、これに限定されない。
例えば図1、2に示した複合フィルムにおいては、この最表面の反射防止フィルム2の熱収縮率と電磁波遮蔽フィルムおよび最裏面の近赤外線および/またはネオンガスに由来する発光を吸収し遮蔽する光線カットフィルム5の熱収縮率とは略等しくすることが好ましく、それぞれの熱収縮率が基準となるフィルム支持体の熱収縮率の90〜110%特に95〜105%の範囲内であることが好ましい。また、それぞれ主収縮方向は等しいことが好ましい。これにより、透光性電磁波遮蔽材料1の反りは小さくなる。
好ましいのは、透光性電磁波遮蔽材料のすべてのフィルムの熱収縮率が略等しく、それらの主収縮方向がすべて等しいことである。主収縮方向は、フィルムの製造時の最大延伸方向に合致する。
したがって、本発明においては、各機能層を形成する機能性フィルムの透明支持体が実質的に同じ素材からなることが好ましい。実質的に同じ材料からなるということは、支持体(フィルム)を構成する樹脂材料の構造単位が類似であり、その重縮合単位が同じ構造的特徴を有することである。例えば、セルロースエステルフィルム同士、またポリエステルフィルム同士である。
セルロースエステルであれば、トリアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等はその重縮合単位が同じ構造的特徴を有するため実質的に同じ樹脂とみなすことができる。
本発明において、各フィルムを構成する樹脂において、それぞれの80%以上が、その重縮合単位が同じ構造的特徴を有する樹脂であれば実質的に同じ材料とみなすことができる。
重縮合単位が同じ構造的特徴を有する樹脂において、同じ構造的特徴を有する重縮合単位が全体の70%以上で一致していればさらに好ましい。又、同一の樹脂であればさらに好ましい。
これにより、各機能性フィルム界面での反射等も減少することで、透光性電磁波遮蔽材料全体としての光透過性(透光性)が向上する。
支持体としては、面内屈折率が低く複屈折率の小さいこと、また異方性が小さいことが好ましい。
従って、貼合される複数の前記機能性フィルムの透明支持体の各々は、面内レターデーション値(Ro)が、0nm以上100nm以下、かつ、厚み方向のレターデーション値(Rt)が0nm以上500nm以下であることが好ましい。
ここにおいて、透明支持体の面内方向のレターデーション値(Ro)、厚み方向のレターデーション値(Rt)はそれぞれ下記式で定義される。
Ro値=(Nx−Ny)×d
Rt値=((Nx+Ny)/2−Nz)×d
式中、Nxは透明支持体の製膜方向に平行な方向におけるフィルムの屈折率、Nyは製膜方向に垂直な方向における屈折率、Nzは厚み方向における屈折率、dは透明支持体の厚み(nm)を各々表す。尚、
なお、リターデーション値(Ro)、(Rt)は自動複屈折率計を用いて測定することができる。例えば、KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長590nmで求めることができる。
これにより、更に、各機能性フィルム界面での反射等も減少し透光性(光透過性)が向上する。
本発明において各種機能性フィルムの支持体として用いられる透明支持体(フィルム)としては、実質的に同じ材料から選択することで、PET(ポリエチレンテレフタレート),PC(ポリカーボネート),セルロースエステル(トリアセチルセルロース),PMMA(ポリメチルメタアクリレート)等の各種の樹脂フィルム等をもちいることができるが、本発明においては、面内、また厚み方向でのレターデーションが小さいことからセルロースエステルを主成分とするフィルムが好ましい(後述する)。セルロースエステルを主成分とするフィルムとは、フィルムを構成する樹脂中、少なくとも80質量%、好ましくは90質量%がセルロースエステルであることをさす。
反射防止フィルム2としては、透明ベースフィルム(厚さは例えば25〜250μm程度)上に下記(1)の単層膜や、高屈折率透明膜と低屈折率透明膜との積層膜、例えば、下記(2)〜(5)のような積層構造の積層膜を形成したものが挙げられる。
(1) 電磁波シールド性光透過積層フィルムを貼着するパネルの構成材料よりも屈折率の低い透明膜を一層積層したもの
(2) 高屈折率透明膜と低屈折率透明膜を1層ずつ合計2層に積層したもの
(3) 高屈折率透明膜と低屈折率透明膜を2層ずつ交互に合計4層積層したもの
(4) 中屈折率透明膜/高屈折率透明膜/低屈折率透明膜の順で1層ずつ、合計3層に積層したもの
(5) 高屈折率透明膜/低屈折率透明膜の順で各層を交互に3層ずつ、合計6層に積層したもの
透明ベースフィルムとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート),PC(ポリカーボネート),セルロースエステル(トリアセチルセルロース),PMMA(ポリメチルメタアクリレート)等の樹脂フィルムが挙げられるが、本発明においては、前記のように、面内、また厚み方向でのレターデーションが小さいという要請から、セルロースエステルフィルムが好ましい。
高屈折率透明膜としては、ITO(スズインジウム酸化物)又はZnO、AlをドープしたZnO、TiO2、SnO2、ZrO等の屈折率1.6以上の薄膜、好ましくは透明導電性の薄膜を形成することができる。高屈折率透明膜は、これらの微粒子をアクリルやポリエステルのバインダーに分散させた薄膜でもよい。また、低屈折率透明膜としてはSiO2、MgF2、Al23等の屈折率が1.6以下の低屈折率材料よりなる薄膜を形成することができる。低屈折率透明膜としては、シリコン系、フッ素系の有機材料からなる薄膜も好適である。これらの膜厚は光の干渉で可視光領域での反射率を下げるため、膜構成、膜種、中心波長により異なってくるが4層構造の場合、パネル貼着側の第1層(高屈折率透明膜)が5〜50nm、第2層(低屈折率透明膜)が5〜50nm、第3層(高屈折率透明膜)が50〜100nm、第4層(低屈折率透明膜)が50〜150nm程度の膜厚で形成される。
このような反射防止フィルム2の上にはハードコート層1aを形成しても良い。ハードコート層1aとしてはアクリル系、シリコーン系等の硬質樹脂が好適であり、その厚さは0.1〜10μm程度が好適である。
この反射防止フィルム2には通常(図示されていないが)黒枠部を印刷等によって形成してある。この黒枠部9の幅は、電磁波シールド部材の大きさによっても若干異なるが、通常の場合、5〜50mmに形成される。
このように、最表面の反射防止フィルム2の裏面に黒枠部9を形成することにより、その下層の電磁波シールド層3、近赤外線カットフィルム4及び透明基板5の周縁部に傷や、端面から侵入した異物等の欠陥が存在していても、この欠陥は黒枠部9により隠蔽され、表面側から見えることはない。
電磁波遮蔽フィルム3としては、導電性メッシュ、エッチングメッシュ、導電印刷メッシュを形成したフィルム、透明導電性フィルム等を用いることができる。
導線性メッシュとしては、光透過性の向上、モアレ現象の防止を図る上で、例えば、線径1μm〜1mm、開口率40〜95%のものが好ましい。線径が1mmを超えると開口率が下り、1μmより低下すると、電磁波シールド性が下がり、両立させることができない。好ましい線径は10〜500μm、開口率は50〜90%である。
メッシュの開口率とは、当該メッシュの投影面積における開口部分が占める面積割合をいう。
エッチングメッシュとしては、銅、アルミ、ステンレス、クロムなどの金属膜をPET、PC、PMMAなどの透明ベースフィルム上形成し、フォトリソグラフィーの手法で格子状やパンチングメタル状などの任意の形状にエッチング加工したものを用いることができる。又金属箔をエポキシ系、ウレタン系等接着剤によって透明ベースフィルムに貼り合わせたものを用いてもよい。
また、銀、銅、アルミ、ニッケル等の金属粒子又はカーボン等の非金属導電粒子を、エポキシ系、ウレタン系、EVA系、メラニン系、セルロース系、アクリル系等のバインダーに混合したものを、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷などにより、PET、PC、PMMA等の透明ベースフィルム上に格子状等のパターンで印刷した導電印刷メッシュを用いることができる。
また、透明導電性フィルムとしては、導電性粒子を分散させた樹脂フィルム、又は基材フィルムに透明導電性層を形成したものを用いることができる。
本発明においては、特に、上記開口率及び線径を維持する上で、銀塩粒子を含む層を設けた電磁波遮蔽材料用原版から、これをメッシュパターン状に露光、現像処理して、金属銀を形成し、作製した銀メッシュを用いることが好ましい。
この銀メッシュの作製においては、セルロースエステルフィルムを支持体として用いることで、メッシュパターンの露光時に、細線の線太りが少ないので透光率の低下が抑えられる。
(銀塩含有層)
本発明において、電磁波遮蔽フィルムは、透明支持体上に銀塩粒子を含む層を設けた電磁波遮蔽材料用原版を作製し、該電磁波遮蔽材料用原版をメッシュ状パターンに露光後、これを現像処理することにより、金属銀部を形成することで作製される。電磁波遮蔽材料用原版は、光センサーとして銀塩を含有する層(銀塩含有層)が支持体上に設けられたもので、銀塩含有層は、銀塩のほか、バインダー、溶媒等を含有することができる。
〈銀塩〉
本発明で用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀などの無機銀塩及び酢酸銀などの有機銀塩が挙げられるが、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
本発明では、ハロゲン化銀を光センサーとして機能させるために使用するが、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられるハロゲン化銀に関する技術は、本発明においてそのまま用いることができる。
ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。例えば、AgCl、AgBr、AgIを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、さらにAgBrを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。
ここで、「AgBr(臭化銀)を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。このAgBrを主体としたハロゲン化銀粒子は、臭化物イオンのほかに沃化物イオン、塩化物イオンを含有していてもよい。
ハロゲン化銀は固体粒子状であるため、露光、現像処理後に形成されるメッシュパターン状金属銀層の品質の観点からは、ハロゲン化銀の平均粒子サイズは、球相当径で0.1〜1000nm(1μm)であることが好ましく、1nm〜100nmであることがより好ましく、10nm〜100nmであることがさらに好ましい。尚、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径である。
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、三角形平板状、4角形平板状など)、八面体状、14面体状など様々な形状であることができる。
ハロゲン化銀は、さらに他の元素を含有していてもよく、例えば、写真乳剤において、硬調な乳剤を得るために用いられる金属イオンをドープすることも有用である。特にロジウムイオンやイリジウムイオンなどの遷移金属イオンは、金属銀像の生成の際に露光部と未露光部の差が明確に生じやすくなるため好ましく用いられる。ロジウムイオン、イリジウムイオンに代表される遷移金属イオンは、各種の配位子を有する化合物であることもできる。そのような配位子としては、例えば、シアン化物イオンやハロゲンイオン、チオシアナートイオン、ニトロシルイオン、水、水酸化物イオンなどを挙げることができる。具体的な化合物の例としては、K3Rh2Br9及びK2IrCl6などが挙げられる。
本発明において、ハロゲン化銀に含有されるロジウム化合物及び/又はイリジウム化合物の含有率は、好ましくは、ハロゲン化銀の銀のモル数に対して、10-10〜10-2モル/モルAgであり、10-9〜10-3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
その他、Pd(II)イオン及び/又はPd金属を含有するハロゲン化銀も好ましく用いることができる。このようなハロゲン化銀粒子は、ハロゲン化銀粒子を形成する過程においてPdを添加することにより作製することができ。またPd(II)イオンを後熟時に添加するなどの方法でハロゲン化銀表層に存在させることも好ましい。
Pdは、無電解メッキ触媒としてよく知られて用いられており、このPdの含有によって、物理現像や無電解メッキの速度を速め、所望の電磁波シールド材の生産効率を上げ、生産コストの低減に寄与する。
本発明において、ハロゲン化銀に含まれるPdイオン及び/又はPd金属の含有率は、ハロゲン化銀の銀のモル数に対して10-8〜10-4モル/モルAgであることが好ましく、10-6〜10-5モル/モルAgであることがさらに好ましい。
また、ゼラチンとの結合を抑制しAgXへより効率的に配位させるために、Pd(SCN)2錯体やパラジウムグリシネートとして添加することが好ましい。
Pd化合物の例としては、PdCl4やNa2PdCl4等が挙げられる。
ハロゲン化銀は、さらに光センサーとしての感度を向上させるため、写真乳剤で行われる化学増感を施すこともできる。化学増感としては、例えば、金増感などの貴金属増感、イオウ増感などのカルコゲン増感、還元増感等を利用することができる。
本発明で使用できる乳剤としては、例えば、特開平11−305396号公報、特開2000−321698号公報、特開平13−281815号公報、特開2002−72429号公報の実施例に記載されたカラーネガフィルム用乳剤、特開2002−214731号公報に記載されたカラーリバーサルフィルム用乳剤、特開2002−107865号公報に記載されたカラー印画紙用乳剤などを好適に用いることができる。
〈バインダー〉
本発明の銀塩含有層において、バインダーは、銀塩粒子を均一に分散させ、かつ銀塩含有層と支持体との密着を補助する目的で用いることができ、本発明においては、非水溶性ポリマー及び水溶性ポリマーのいずれもバインダーとして用いることができるが、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体等が挙げられる。
本発明の銀塩含有層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。銀塩含有層中のバインダーの含有量は、Ag/バインダー体積比で1/4〜100であることが好ましく、1/3〜10であることがより好ましく、1/2〜2であることがさらに好ましい。1/1〜2であることが最も好ましい。銀塩含有層中にバインダーをAg/バインダー体積比で1/4以上含有すれば、物理現像及び/又はメッキ処理工程において金属粒子同士が互いに接触しやすく、高い導電性を得ることが可能であるため好ましい。
〈溶媒〉
本発明の銀塩含有層で用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、酢酸エチルなどのエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。ハロゲン化銀ゼラチン乳剤を用いるには水を主体とすることが好ましい。
[露光]
本発明において、支持体上に設けられた銀塩含有層の露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線などの光、X線などの放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
上記光源としては、例えば、陰極線(CRT)を用いた走査露光を挙げることができる。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、簡便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば、赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種又は2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤色、緑色及び青色に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。また、紫外線ランプも好ましく、水銀ランプのg線、水銀ランプのi線等も利用される。
また本発明では、露光は種々のレーザービームを用いて行うことができる。例えば、本発明における露光は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、又は半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく用いることができる。
レーザー光源としては、具体的には、波長430〜460nmの青色半導体レーザー(2001年3月の第48回応用物理学関係連合講演会で日亜化学発表)、半導体レーザー(発振波長約1060nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した約530nmの緑色レーザー、波長約685nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6738MG)、波長約650nmの赤色半
導体レーザー(日立タイプNo.HL6501MG)などが好ましく用いられる。
銀塩含有層をパターン状に露光する方法は、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。
[現像処理]
本発明では、銀塩含有層を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、例えば、富士フィルム社製のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社製のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72などの現像液、又はそのキットに含まれる現像液、また、D−85などのリス現像液を用いることができる。
本発明では、上記の露光及び現像処理を行うことにより金属銀部、好ましくはパターン状金属銀部が形成されると共に、後述する光透過性部が形成される。
本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
現像処理で用いられる現像液は、画質を向上させる目的で、画質向上剤を含有することができる。画質向上剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどの含窒素へテロ環化合物を挙げることができる。また、リス現像液を利用する場合特に、ポリエチレングリコールを使用することも好ましい。
現像処理後の露光部に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
本発明における現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透明性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
[物理現像及びメッキ処理]
本発明では、前記露光及び現像処理により形成された金属銀部に導電性を付与する目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像及び/又はメッキ処理を行う。本発明では物理現像又はメッキ処理のみで導電性金属粒子を金属性部に担持させることが可能であるが、さらに物理現像とメッキ処理を組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させることもできる。
本発明における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオンなどの金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフィルム、インスタントスライドフィルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
本発明において、メッキ処理は、無電解メッキ(化学還元メッキや置換メッキ)、電解メッキ、又は無電解メッキと電解メッキの両方を用いることができる。本発明における無電解メッキは、公知の無電解メッキ技術を用いることができ、例えば、プリント配線板などで用いられている無電解メッキ技術を用いることができ、無電解メッキは無電解銅メッキであることが好ましい。
無電解銅メッキ液に含まれる化学種としては、硫酸銅や塩化銅、還元剤としてホルマリンやグリオキシル酸、銅の配位子としてEDTAやトリエタノールアミン等、その他、浴の安定化やメッキ皮膜の平滑性を向上させるための添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジン等が挙げられる。電解銅メッキ浴としては、硫酸銅浴やピロリン酸銅浴が挙げられる。
本発明におけるメッキ処理時のメッキ速度は、緩やかな条件で行うことができ、さらに5μm/hr以上の高速メッキも可能である。メッキ処理において、メッキ液の安定性を高める観点からは、例えば、EDTAなどの配位子など種々の添加剤を用いることができる。
[酸化処理]
本発明では、現像処理後の金属銀部、並びに物理現像及び/又はメッキ処理後に形成される導電性金属部には、好ましくは酸化処理が行われる。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
酸化処理としては、例えば、Fe(III)イオン処理など、種々の酸化剤を用いた公知の方法が挙げられる。酸化処理は、銀塩含有層の露光及び現像処理後、あるいは物理現像又はメッキ処理後に行うことができ、さらに現像処理後と物理現像又はメッキ処理後のそれぞれで行ってもよい。
本発明では、さらに露光及び現像処理後の金属銀部を、Pdを含有する溶液で処理することもできる。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。この処理により無電解メッキ又は物理現像速度を促進させることができる。
[導電性金属部]
次に、本発明における導電性金属部について説明する。
本発明では、導電性金属部は、前述した露光及び現像処理により形成された金属銀部を物理現像又はメッキ処理することにより前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させることにより形成される。
金属銀は、露光部に形成させる場合と、未露光部に形成させる場合がある。物理現像核を利用した銀塩拡散転写法(DTR法)は、未露光部に金属銀を形成させるものである。本発明においては、透明性を高めるために露光部に金属銀を形成させることが好ましい。
前記金属部に担持させる導電性金属粒子としては、上述した銀のほか、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、コバルト、スズ、ステンレス、タングステン、クロム、チタン、パラジウム、白金、マンガン、亜鉛、ロジウムなどの金属、又はこれらを組み合わせた合金の粒子を挙げることができる。導電性、価格等の観点から導電性金属粒子は、銅、アルミニウム又はニッケルの粒子であることが好ましい。また、磁場シールド性を付与する場合、導電性金属粒子として常磁性金属粒子を用いることが好ましい。
上記導電性金属部において、コントラストを高くし、かつ導電性金属部が経時的に酸化され退色されるのを防止する観点からは、導電性金属部に含まれる導電性金属粒子は銅粒子であることが好ましい。
現像銀を用いる場合、現像銀そのものが黒色のため、黒化処理を省いてもよいが、後述の物理現像或いはメッキ処理を行った場合には、必要に応じて黒化処理を行ってもよい。黒化処理は、プリント配線板分野で行われている方法を用いて行うことができる。例えば、亜塩素酸ナトリウム(31g/l)、水酸化ナトリウム(15g/l)、リン酸三ナトリウム(12g/l)の水溶液中で、95℃で2分間処理することにより黒化処理を行うことができる。
上記導電性金属部は、該導電性金属部に含まれる金属の全質量に対して、銀を50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することがさらに好ましい。銀を50質量%以上含有すれば、物理現像及び/又はメッキ処理に要する時間を短縮し、生産性を向上させ、かつ低コストとすることができる。
さらに、導電性金属部を形成する導電性金属粒子として銅及びパラジウムが用いられる場合、銀、銅及びパラジウムの合計の質量が導電性金属部に含まれる金属の全質量に対して80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明における導電性金属部は、導電性金属粒子を担持するため良好な導電性が得られる。このため、本発明の透光性電磁波シールド膜(導電性金属部)の表面抵抗値は、103Ω/sq以下であることが好ましく、2.5Ω/sq以下であることがより好ましく、1.5Ω/sq以下であることがさらに好ましく、0.1Ω/sq以下であることが最も好ましい。
本発明の導電性金属部は、透光性電磁波シールド材料としての用途である場合、正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形などの(正)n角形、円、楕円、星形などを組み合わせた幾何学図形であることが好ましく、これらの幾何学図形からなるメッシュ状であることがさらに好ましい。EMIシールド性の観点からは三角形の形状が最も有効であるが、可視光透過性の観点からは同一のライン幅なら(正)n角形のn数が大きいほど開口率が上がり可視光透過性が大きくなるので有利である。
なお、導電性配線材料の用途である場合、前記導電性金属部の形状は特に限定されず、目的に応じて任意の形状を適宜決定することができる。
透光性電磁波シールド材料の用途において、上記導電性金属部の線幅は20μm以下、線間隔は50μm以上であることが好ましい。また、導電性金属部は、アース接続などの目的においては、線幅は20μmより広い部分を有していてもよい。また画像を目立たせなくする観点からは、導電性金属部の線幅は18μm未満であることが好ましく、15μm未満であることがより好ましく、14μm未満であることがさらに好ましく、10μm未満であることが最も好ましい。
本発明における導電性金属部は、可視光透過率の点から開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、メッシュをなす細線のない部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅10μm、ピッチ200μmの正方形の格子状メッシュの開口率は、90%である。
[光透過性部]
本発明における「光透過性部」とは、透光性電磁波シールド膜のうち導電性金属部以外の透明性を有する部分を意味する。光透過性部における透過率は、前述のとおり、支持体の光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、さらにより好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
本発明における光透過性部は、前記銀塩含有層を露光及び現像処理することにより、金属銀部と共に形成される。光透過性部は、透過性を向上させる観点から、前記現像処理後、さらには物理処理又はメッキ処理後に酸化処理を行うことが好ましい。
[透光性電磁波シールド膜の層構成]
本発明の透光性電磁波シールド膜における支持体の厚さは、5〜200μmであることが好ましく、30〜150μmであることがさらに好ましい。5〜200μmの範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、かつ取り扱いも容易である。
物理現像及び/又はメッキ処理前の支持体上に設けられる金属銀部の厚さは、支持体上に塗布される銀塩含有層用塗料の塗布厚みに応じて適宜決定することができる。金属銀部の厚さは、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、0.01〜9μmであることがさらに好ましく、0.05〜5μmであることが最も好ましい。また、金属銀部はパターン状であることが好ましい。金属銀部は1層でもよく、2層以上の重層構成であってもよい。金属銀部がパターン状であり、かつ2層以上の重層構成である場合、異なる波長に感光できるように、異なる感色性を付与することができる。これにより、露光波長を変えて露光すると、各層において異なるパターンを形成することができる。このようにして形成された多層構造のパターン状金属銀部を含む透光性電磁波シールド膜は、高密度なプリント配線板として利用することができる。
導電性金属部の厚さは、ディスプレイの電磁波シールド材の用途としては、薄いほどディスプレイの視野角が広がるため好ましい。さらに、導電性配線材料の用途としては、高密度化の要請から薄膜化が要求される。このような観点から、導電性金属部に担持された導電性金属からなる層の厚さは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
従来のエッチングを用いた方法では、金属薄膜の大部分をエッチングで除去、廃棄する必要があったが、本発明では必要な量だけの導電性金属を含むパターンを支持体上に設けることができるため、必要最低限の金属量だけを用いればよく、製造コストの削減のみでなく廃棄物の削減という面からも有利である。
電磁波遮蔽材料用原版において、銀塩粒子を含む層を設ける透明支持体としては、各機能性フィルムの支持体として同一のものを用いることで、種々の支持体を用いることができる。例えば、PET、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、トリアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステルフィルム、PMMA等のほかにも、アクリル、PC、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタアクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン等の各フィルムが挙げられ、好ましくは、PET、PC、セルロースエステルフィルム、PMMA等であるが、屈折率が小さく異方性の少ないことからセルロースエステルフィルムが好ましい。
電磁波遮蔽フィルムの支持体として用いられるフィルムの厚さは、通常の場合、0.05〜1mm程度が好ましい。
このように、電磁波遮蔽フィルム、また、反射防止層を有するフィルム(反射防止フィルム)、また後述する光線カットフィルム等の支持体の材料としては、同一の材料であれば、その表面、また各支持体界面間における反射等による光学ロスが少ないめ、電磁波遮蔽材料構成物として全体に電磁波遮蔽性に優れかつ透光性が高く、また、実質的に同種材料からなる複合フィルムであるためカール等も小さく貼合剥がれ等の問題も少ないという特徴を有する。
このような光学特性を有する支持体として、本発明においては、セルロースエステルを主成分とするフィルムが好ましい。セルロースエステルを主成分とするとは、フィルムを構成する高分子材料のうち80%以上、好ましくは90%以上がセルロースエステルであることをいう。
本発明に用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることが出来、また、これらから得られたセルロースエステルは、それぞれを単独あるいは任意の割合で混合使用することが出来る。また、セルロースエステルフィルムの分子量は重量平均分子量(Mw)で10000〜200000のものが好ましく、20000〜100000のものが更に好ましい。尚、セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、標準ポリスチレンを用いた構成曲線により高速液体クロマトグラフィーを用い測定できる。
本発明に使用するセルロースエステルは下記の式(I)〜(IV)を満足するものが好ましい。
(I) 2.6≦A+B≦3.0
(II) 1.9≦A≦3.0
(III) 0≦B≦0.8
(IV) 1.9<A−B
ここで、式中A及びBは、セルロースの水酸基に置換されているアシル基の置換度を表し、Aはアセチル基の、またBは炭素原子数3〜5のアシル基の置換度である。
具体的には、炭素原子数3〜5のアシル基はC25CO−、C37CO−、C49CO−で、セルロースエステルとしては、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等である。
置換度はセルロースの全水酸基に対するアシル化された割合で、これをグルコーズユニット当たり3個の水酸基に対するアシル基の置換した個数として表したものである。本発明においては、上記式の置換度を逸脱するとフィルムとした場合、耐水性が劣ったり、耐熱性が劣ったり、軟化し易くなったりして本発明の目的に適合しなくなる。
なお、置換度は、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び炭素原子数3乃至5の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって得られる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
(流延法)
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムとしては、溶液流延、溶融流延法どちらの方法により成膜されたものでもよい。溶液流延法においては、原料のセルロースエステルを良溶媒、貧溶媒からなる溶媒に溶解したドープ液を作製し、これを鏡面を有する支持体上に流延して成膜する。
尚、ドープ中には、セルロースエステルと共に、可塑剤、また紫外線吸収剤、酸化防止剤、微粒子等各種の添加剤を同時に或いは別添加して混合することができる。
セルロースエステルに対する良溶媒は置換されたアシル基、それぞれの置換度によってよっても異なるが、ほぼセルローストリアセテートと同様な溶媒が用いられるが、何れかセルロースエステルの良溶媒となるものも含めてまとめて下記に例示すると、メチレンクロライド、クロロフォルム、トリクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、ニトロメタン、ニトロエタン、メチルアセテート、エチルアセテート、エチレングリコールエーテルアセテート、エチレンカーボネート、テトラフルオロエタノール、トリフルオロエタノール、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、アミルアセテート等を挙げることが出来る。これらの中には、常法では溶解しないものも含まれている。この他、上記溶媒と混合して溶媒として用いられるものとして、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブタノール、シクロヘキサン等をあげることが出来る。
セルロースエステルの貧溶媒としては、ベンゼン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、o−クロロトルエン、シクロヘキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、水等を挙げることが出来るが、良溶媒と適度の割合に混合することによって溶解性を示すものもあり、例えばメタノールやエタノールがそれである。
溶液流延製膜方法は、セルロースエステルドープを鏡面を有する無端のステンレスベルトあるいは回転するドラムの流延用支持体上に流延し、その上で溶媒を蒸発させ、流延用支持体が1周する前にドープ膜を剥離し、千鳥状に配置された多数のロール上を搬送したり、テンターで搬送したりして乾燥し、巻き取ってフィルムとする製膜方法である。
金属支持体は無限に移行する無端の金属ベルト或いは回転する金属ドラムであり、その表面は鏡面となっている。上記の如きドープを加圧型定量ギヤポンプを通して加圧ダイに送液し、流延位置において、金属支持体上に加圧ダイからドープを流延する。膜厚の調節には、所望の厚さになるように、ドープ濃度、ポンプの送液量、ダイの口金のスリット間隙、ダイの押し出し圧力、金属支持体の速度等をコントロールするのがよい。
金属支持体上での乾燥工程は、ウェブ(金属支持体上に流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)側及び支持体裏側から加熱風を吹かせる方法、支持体の裏面から加熱液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等がある。またそれらを組み合わせる方法も好ましい。
乾燥方法は、例えば、金属支持体温度を0〜40℃、好ましくは5〜30℃として流延するのが好ましい。ウェブに当てる乾燥風は30〜45℃程度が好ましいが、これに限定されない。
剥離工程は、金属支持体上で有機溶媒を蒸発させて、金属支持体が一周する前にウェブを剥離する工程で、その後ウェブは乾燥工程に送られる。金属支持体からウェブを剥離する位置のことを剥離点といい、また剥離を助けるロールを剥離ロールという。
また、ウェブの厚さにもよるが、剥離点でのウェブの残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に支持体上で充分に乾燥させてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりすることがある。通常、残留溶媒量が20〜150質量%でウェブの剥離が行われる。本発明において好ましい剥離残留溶媒量は20〜40質量%または60〜120質量%で、特に好ましくは20〜30質量%または70〜115質量%である。
セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、支持体より剥離したフィルムを更に乾燥し、残留溶媒量を2.0質量%以下にすることが好ましい、より好ましくは1.0質量%、更に好ましくは、0.5質量%以下である。
ウェブ乾燥工程ではロールを千鳥状に配置したロール乾燥装置、ウェブの両端をクリップで把持しながら、幅保持或いは若干幅方向に延伸するテンター乾燥装置でウェブを搬送しながら乾燥する方式が採られる。ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行う。簡便さの点で熱風で行うのが好ましい。
上記記載の乾燥工程において設定される温度としては、好ましくは、Tg(ガラス転移温度を表す)〜(Tg−70℃)であり、更に好ましくはTg〜(Tg−50℃)であるが、特に好ましくはTg〜(Tg−30℃)である。通常、乾燥は40〜150℃の範囲で段階的に高くしていくことが好ましく、50〜140℃の範囲で行うことが更に好ましい。
尚、延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することが好ましい。また、二軸延伸を行う場合にも同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
また、同時2軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。同時2軸延伸の好ましい延伸倍率は幅方向に×1.05〜×1.5倍で長手方向(流延方向)に×0.8〜×1.3倍であり、特に幅方向に×1.1〜×1.5倍、長手方向に×0.8〜×0.99倍とすることが好ましい。特に好ましくは幅方向に×1.1〜×1.4倍、長手方向に×0.9〜×0.99倍である。
セルロースエステルフィルムの膜厚は10〜200μmが好ましく、40〜120μmが更に好ましく、50〜70μmが特に好ましい。
セルロースエステルフィルムの幅は、1.4m以上、好ましくは1.4m〜4mの範囲が、生産性の観点から大サイズの液晶表示装置に好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムは、高い光透過率、高い透湿性、寸法安定性などから光学用フィルムとして好ましい。
これにより、本発明のセルロースエステルフィルムの面内方向のレターデーション値(Ro)は、23℃、55%RHにおいて100nm以下であり、また、厚み方向のレターデーション値(Rt値)は、23℃、55%RHにおいて、500nm以下となる様調整する。
尚、本発明において、”23℃、55%RHにおいて”とは、35mm四方にカットした測定試料を23℃、55%RH条件下に8時間放置した後、同条件下にて測定する事を意味する。
(溶融流延)
本発明で用いられるセルロースエステルフィルムは、上記のように、溶液流延法で製造されるものでも、又、溶融流延法で製造されるものでもよい。
溶融成膜セルロースエステルフィムとしては、特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられ、中でも前記において、1.9≦A≦2.5、0.1≦B≦0.8であることが好ましい。
セルロースエステルは綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を原料として合成されたセルロースエステルを前記同様に単独または混合して用いることができる。
溶融押出しは、少なくともセルロースエステルと可塑剤を混合した原料を単軸押出し機または多軸押出し機に投入してからTダイよりフィルム状に排出する。押出し機、及びTダイに至る装置には、ギアポンプ、溶融押出し液の濾過を行うフィルターを付加することが好ましい。
前記溶融押出し時の温度は、セルロースエステルのガラス転移温度(Tg)〜Tg+100℃であることが好ましい。さらにTg+10〜Tg+90℃であることが好ましい。
また、原料タンク、原料の投入部、押出し機内といった原料の供給、溶融工程を、窒素ガス等の不活性ガスで置換あるいは減圧することが好ましい。
セルロースエステルフィルムは、溶融流延後、フィルム形状での冷却段階で延伸処理して、幅手方向または製膜方向に延伸製膜されたフィルムであることが好ましい。
前述の冷却ロールから剥離され、得られた未延伸フィルムを複数のロール群及び/または赤外線ヒーター等の加熱装置を介してセルロースエステルのガラス転移温度(Tg)−50℃からTg+100℃の範囲内に加熱し、一段または多段縦延伸することが好ましい。次に、上記のようにして得られた縦方向に延伸されたセルロースエステルフィルムを、Tg−50〜Tg+100℃の温度範囲内で横延伸し、次いで熱固定することが好ましい。それぞれ最終的には流延方向に1.0〜2.0倍、幅方向に1.01〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に1.01〜1.5倍、幅方向に1.05〜2.0倍に範囲で行うことが好ましい。
ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法等が挙げられる。もちろんこれらの方法は、組み合わせて用いてもよい。また、所謂テンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
製膜工程のこれらの幅保持あるいは横方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
フィルムの厚さは10〜500μmが好ましい。特に20μm以上、さらに35μm以上が好ましい。また、150μm以下、さらに120μm以下が好ましい。
次に、近赤外線遮蔽機能、また、ネオンガスに由来する発光の遮蔽機能について説明する。
本発明の電磁波遮蔽材料構成物において用いられる近赤外線遮蔽機能フィルムは、例えば、近赤外線遮蔽材料を含有する近赤外線遮蔽層を透明支持体上に形成して作製する(光線カットフィルム5)。
本発明において、この透明支持体は、前記の他の機能性フィルムの支持体と実質的に同じ材料であある。好ましくは、前記セルロースエステルフィルムである。
近赤外線遮蔽フィルムとしては、透明基材フィルム上に、銅系、フタロシアン系、酸化亜鉛、銀、ITO(酸化インジウム錫)等の透明導電性材料、ニッケル錯体系、ジイモニウム系等の近赤外線カット材料のコーティング層を近赤外線遮蔽層(フィルタ層)として設けたものを用いることができる。この基材フィルムは、得られる電磁波シールド性光透過性積層フィルムの厚さを過度に厚くすることなく、取り扱い性、耐久性を確保する上で10μm〜1mm程度とするのが好ましい。また、この基材フィルム上に形成される近赤外線遮蔽層のコーティングの厚さは、通常の場合、0.5〜50μm程度である。
本発明においては、近赤外線遮蔽材料のうちの好ましくは2種以上の材料を用いた近赤外線カット層を設けても良く、2種以上のコーティング層を混合したり、積層したり、ベースフィルムの両面に分けてコーティングしたり、2種以上の近赤外線カットフィルムを積層しても良い。
本発明においては次のような近赤外線遮蔽材料を用いるのが、透明性を損なうことなく、良好な近赤外線カット性能(例えば850〜1250nmなど近赤外の幅広い波長域において、近赤外線を十分に吸収する性能)を得る上で好ましい。
前記850〜1250nmの範囲に吸収をもつ種々の有機、又錯体系の染料が用いられるが、例えば、
(c)厚さ0.5〜50ミクロンのニッケル錯体系とイモニウム系の混合材料を適当な透明バインダーを用いて膜としたコーティング層
(e)厚さ0.5〜50ミクロンの有機色素系コーティング層
等が好適であるが、何らこれらに限定されるものではない。
支持体上に塗設する際に用いるバインダーとしては、たとえば、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂およびそのケン化物、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等種々の樹脂が挙げられ、なかでもポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
又溶剤としては、例えばブタン、ペンタン、シクロペンタンシクロヘキサン等のある間、シクロアルカン類、エタノール、プロパノール等のアルコール類、セロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、ジオキサン、THF等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド等の高極性溶媒類等が挙げられ、用いられる材料の溶解製に応じて単独又混合して使用することができる。
バインダー中の濃度は、通常0.05〜50質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜20%の範囲である。
溶液また分散液の透明基材への塗布は例えば、ディップコート法、バーコート法、エアーナイフコート法、グラビアコート法等を用いることができる。また、との塗布量は乾燥膜厚として通常、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜10μmの範囲である。
また、本発明においては、プラズマディスプレイの発光において、不要な光をカットする特定可視光線遮蔽機能として、近赤外線遮蔽材料に加えてえて、ネオンガスに由来する発光を遮蔽する機能を有することが構成要件の一つである。
この為に、本発明においては、ネオンガスに由来する発光を吸収する材料を含有する層を透明支持体上に設けた光線カットフィルムを用いることができる。ネオンガスに由来する発光を吸収する材料としては、可視スペクトル領域において、580nm〜600nmに波長域に透過率の極小値を有する材料、例えば有機染料等の材料があり、これらを含有する層を透明支持体上に形成し、ネオンガスに由来する発光を遮蔽する機能を有する機能性フィルムを作製することができる。
特定可視光域、即ち、580nm〜600nmの波長域に透過率の極小値を有する有機、無機の染料、顔料等の材料は、よく知られておりこれらを用いることで作製できる。580nm〜600nmの波長域に吸収極大を有する染料或いは顔料を用いることができる。
これら特定波長域の可視光を吸収する染料、顔料はフィルタ染料としてよく知られており、例えば、特開2005−197240等に記載されたものが挙げられる。
しかしながら、ネオンガスに由来する発光を吸収する材料を含有する層を有する機能性フィルムを別に作製するよりは、前記近赤外線を遮蔽する機能性層およびネオンガスに由来する発光を吸収する色素等の材料を有するそれぞれの機能層を同一の支持体上に設けることが好ましく、また、二つの機能性材料を同時に一つの層中に含有させ、近赤外線を遮蔽する機能とネオンガスに由来する発光を遮蔽する機能とを同時に持たせた層を形成することが好ましい。積層する透明支持体の数が多くなると、光反射の起こる界面が増加し、また材料自体による吸収等も数に比例して増加するので電磁波遮蔽材料ととしての透光性が低下してしまう。
又、電磁波遮蔽材料構成物において、接着剤層5A,5Bを構成する接着樹脂としては、透明で弾性のあるもの、例えば、通常、合せガラス用接着剤として用いられているものが好ましい。
このような弾性を有した樹脂としては、具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、金属イオン架橋エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、部分鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体、カルボキシルエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリレート共重合体等のエチレン系共重合体が挙げられる(なお、「(メタ)アクリル」は「アクリル又はメタクリル」を示す。)。その他、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等も用いることができる。
接着剤層5A,5Bの厚さは、例えば10〜1000μm程度が好ましい。
なお、接着剤層5A,5Bは、その他、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、老化防止剤、塗料加工助剤を少量含んでいてもよく、また、フィルター自体の色合いを調整するために染料、顔料などの着色剤、カーボンブラック、疎水性シリカ、炭酸カルシウム等の充填剤を適量配合してもよい。
又、前記近赤外線吸収性、また580nm〜600nmに吸収のある染料、顔料をこの接着剤層中に含有させてもよい。
この接着剤層5A,5Bを形成する接着用シートは、接着樹脂と上述の添加剤とを混合し、押出機、ロール等で混練した後カレンダー、ロール、Tダイ押出、インフレーション等の成膜法により所定の形状にシート成形することにより製造される。成膜に際してはブロッキング防止、圧着時の脱気を容易にするためエンボスが付与される。接着性改良の手段として、接着用シートへのコロナ放電処理、低温プラズマ処理、電子線照射、紫外光照射などの手段も有効である。
粘着剤層8の粘着剤(感圧接着剤)としては、アクリル系、SBS、SEBS等の熱可塑性エラストマー系などが好適に用いられる。これらの粘着剤には、タッキファイヤー、紫外線吸収剤、着色顔料、着色染料、老化防止剤、接着付与剤等を適宜添加することができる。この粘着剤層8の厚みは10〜1000μm程度が良い。この粘着剤層8には、図1に示す如く適当な剥離紙(フィルム)6を装着しておく。
なお、図1は本発明のPDPフィルタの一例を示す図であり、本発明はその要旨を超えない限り、何ら図示のものに限定されるものではない。
最表層のフィルムについても反射防止フィルムに限らず、透明フィルム上に、シリカを含有する樹脂塗料を塗布して光拡散性層を形成した防眩フィルムであっても良い。防眩フィルムとしては、凝集性シリカ等の粒子の凝集によって光拡散性層の表面に凹凸を付与したもの、塗膜の厚みよりも大きな粒径の樹脂ビーズを添加して表面に凹凸を付与したもの、表面に凹凸を持った賦型フィルムを使用し、固化していない塗膜表面にラミネートして凹凸形状を転移させた後、賦型フィルムを剥がして得たもの等がある。
このPDPフィルタは、最表面に保護フィルムが貼着されてもよい。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが本発明はこれにより限定されるものではない。
以下の方法により支持体フィルムを作製した。
〈PETフィルムの作製〉
以下のようにPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂を得た。
(PET樹脂)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール65質量部に、エステル交換触媒として酢酸マグネシウム水和物0.05質量部を添加し、常法に従ってエステル交換を行った。得られた生成物に、三酸化アンチモン0.05質量部、リン酸トリメチルエステル0.03質量部を添加した。次いで、徐々に昇温、減圧にし、280℃、66.5Paで重合を行い、固有粘度0.70のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を得た。
以上のようにして得られたPET樹脂を用いて、以下のようにして下塗り層付二軸延伸PETフィルムを作製した。
(下塗り層付二軸延伸PETフィルム)
PET樹脂をペレット化したものを、150℃で8時間真空乾燥した後、285℃でTダイから層状に溶融押しだし、30℃の冷却ドラム上で静電印加しながら密着させ、冷却固化させ、未延伸フィルムを得た。この未延伸シートをロール式縦延伸機を用いて、80℃で縦方向に3.3倍延伸した。得られた一軸延伸フィルムに下記下引き塗布液A(固形分4質量%)をキスコート法にて片面にウェット膜厚2g/m2になるように塗布した。引き続き、テンター式横延伸機を用いて、第一延伸ゾーン90℃で総横延伸倍率の50%延伸し、さらに第二延伸ゾーン100℃で総横延伸倍率3.3倍になるように延伸した。次いで、70℃2秒間、前熱処理し、さらに第一固定ゾーン150℃で5秒間熱固定し、第二固定ゾーン220℃で15秒間熱固定した。次いで160℃で横(幅手)方向に5%弛緩処理し、テンターを出た後に、駆動ロールの周速差を利用して、140℃で縦(長手)方向に弛緩処理を行い、室温まで60秒かけて冷却し、フィルムをクリップから解放、スリットし、巻き取り、厚さ100μmの二軸延伸PETフィルムを得た。この二軸延伸PETフィルムのTgは79℃であった。
(下引き塗布液A)
アクリル共重合体 40質量部
化合物(G) 50質量部
ポリグリセリン 10質量部
塗布液中の全固形分が4%となるように純水にて仕上げた。
アクリル共重合体:メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル/アクリル酸/メタクリル酸ヒドロキシエチル/アクリルアミド=30/47.5/10/2.5/10、重量平均分子量50万
Figure 2007281221
(支持体の熱処理)
懸垂式熱弛緩装置を用いて、温度:180℃、搬送張力:230kPa、時間:15秒の条件で弛緩熱処理し、さらに室温まで10℃/minで冷却してから巻き取った。
得られたPETフィルムの面内方向のレターデーション値(Ro)、厚み方向のレターデーション値(Rt)はそれぞれ自動複屈折率計 KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長590nmで求めたところ、それぞれ1500nm、16700nmであった。
〈セルロースエステルフィルムAの作製〉
アセチル基の置換度が2.88で粘度平均重合度が300のセルローストリアセテート100質量部、酢酸メチル475質量部、アセトン25質量部、及びトリフェニルフォスフェート(可塑剤)10質量部を混合した。次に二重構造の容器に入れ、混合物をゆっくり攪拌しながら外側のジャケットに冷媒として−75℃にコントロールしたHFE−7100(住友スリーエム(株)製)を導入した。これにより内側容器内の混合物を−70℃まで冷却した。混合物が均一に冷却されるまで30分間冷却を続けた。
次いで、容器の外側のジャケット内の冷媒を排出し、代わりに温水をジャケットに導入した。続いて内容物を攪拌し、40分かけて30℃まで昇温し、更に20分間攪拌を続けた。
この一連の冷却と加温の操作を3回繰り返して透明なドープを得た。ドープを30℃で一晩静置し、脱泡操作を施した後、ドープを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し製膜に供した。
得られたドープを定量ギヤポンプでダイに送液し、エンドレスに走行しているステンレスベルトに乾燥後の膜厚がとなるように流延した。裏面から50℃の温水を接触させて温度制御されたベルト上で前半の乾燥を行い、後半は90℃の乾燥風を当ててウェブを乾燥させた。ベルトがほぼ1周したところでベルトからウェブを剥離し、ウェブの両端をクリップで把持しながら120℃で5分間、続いてロール群を通しながら搬送しつつ140℃で20分間乾燥させ最終的に膜厚100μmのセルローストリアセテートフィルムを得た。同様に面内方向のレターデーション値(Ro)、厚み方向のレターデーション値(Rt)を測定したところ、それぞれ10nm、5nmであった。
〈セルロースエステルフィルムBの作製〉
アセチル置換度A=1.90、プロピオニル置換度B=0.71のセルロースアセテートプロピオネートを、公知の方法(特開平8−134101)を用いて合成した。尚、分子量は液体クロマトグラフィーにて測定したところMw=22000であった。
製造したセルロースアセテートプロピオネートを塩化メチレンを用いて溶解し、溶媒による溶液流延製膜法を採用して膜厚100μmのフィルムを製造し、セルロースエステルフィルムを得た。尚、可塑剤としてエチルフタリルエチルグリコレート(対樹脂10質量部)を使用した。
作製したセルロースエステルフィルムの面内方向のレターデーション値(Ro)、厚み方向のレターデーション値(Rt)を測定したところ、それぞれ110nm、80nmであった。
〈セルロースエステルフィルムCの作製〉
セルロースエステル(イーストマンケミカル社製、CAP−482−20)を空気中、常圧下で130℃、2時間乾燥し、室温まで放冷した。この混合物にジエチルヘキシルアジペートをセルロースエステルに対して8質量部添加し、230℃の溶融温度で加熱溶融した後、T型ダイより溶融押し出し、更に160℃において、1.2×1.2の延伸比で延伸した。同様に、膜厚100μmのフィルムを得た。作製したセルロースエステルフィルムの面内方向のレターデーション値(Ro)、厚み方向のレターデーション値(Rt)は、それぞれ40nm、50nmであった。
次に、上記のフィルムを用いて、以下の反射防止フィルムを作製した。
《反射防止フィルム1の作製》
作製したPETフィルムの表面(冷却ドラムに接していた側)上に、下記のハードコート層用塗布液を孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート用塗布液を調製し、これをマイクログラビアコーターを用いて塗布し、90℃で乾燥後、紫外線ランプを用い照射部の照度が150mW/cm2で照射量を150mJ/cm2として塗布層を硬化させ、厚さ3μmの屈折率1.61のハードコート層を形成した。
〈ハードコート層用塗布液〉
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 100質量部
光反応開始剤 5質量部
(イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ(株)製))
酢酸エチル 120質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 120質量部
シリコン化合物 0.1質量部
(BYK−307(ビックケミージャパン社製))
上記ハードコート層塗布液に平均粒径10μmの酸化ジルコニウム微粒子分散物を添加して屈折率1.61となるように調整した。
更にハードコート層上に、下記の低屈折率層用塗布液をダイコーターで塗布し、100℃、30秒間乾燥させ、更に紫外線を120W/cm2照射して硬化させ、低屈折率層を形成し反射防止フィルムを作製した。
〈低屈折率用塗布液〉
最初に、テトラエトキシシラン289gとエタノール553gを混和し、これに0.15%酢酸水溶液157gを添加し、25℃のウォーターバス中で20時間攪拌することでアルコキシケイ素加水分解物液1を調製した。
これを用いて下記組成の低屈折率用塗布液を調製した。
アルコキシケイ素加水分解物液1 21質量部
直鎖ジメチルシリコーン−EOブロックコポリマー(FZ2207 日本ユニカー社製)10%PGME溶液 0.26質量部
シランカップリング剤(KBM503・信越化学製) 0.64質量部
プロピレグリコールモノメチルエーテル 36質量部
イソプロピルアルコール 36質量部
※PGME;プロピレングリコールモノメチルエーテル
《反射防止フィルム2の作製》
前記反射防止フィルム1において、PETフィルムをセルロースエステルフィルムAにかえた以外は同様にして、セルロースエステルフィルムA/ハードコート層/低屈折率層からなる反射防止フィルム2を作製した。
《反射防止フィルム3の作製》
前記反射防止フィルム1において、PETフィルムをセルロースエステルフィルムBにかえた以外は同様にして、セルロースエステルフィルムA/ハードコート層/低屈折率層からなる反射防止フィルム3を作製した。
《反射防止フィルム4の作製》
前記反射防止フィルム1において、PETフィルムをセルロースエステルフィルムCにかえた以外は同様にして、反射防止フィルム4を作製した。
次いで、上記のフィルムを用いて電磁波シールドメッシュフィルム(電磁波遮蔽フィルム)を以下のように作製した。
《電磁波シールドメッシュフィルム1の作製》
銀38gに対してゼラチン3gを含む球相当径(平均粒径)0.05μmのAgBrI(I=2mol%)粒子を含むハロゲン化銀乳剤を調製した。この乳剤中には、Ir錯体(ヘキサクロルイリジウム(IV)カリウム)をIrイオンとして3.3×10-6モル/Ag1モル、またRh錯体(ヘキサブロムロジウム(III)カリウム)をRhイオンとして3.7×10-6モル/Ag1モル含有している。又、ゼラチン/銀体積比は1.0とした。
この乳剤にNa2PdCl4を添加し、更に塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤と共に、乾燥膜厚が1μmとなるように前記下引き済みPETフィルム支持体上に塗布し、電磁波遮蔽材料用原版1を作製した。
電磁波遮蔽材料用原版1の乾燥させた塗布膜にレーザー波長405nmのCTPセッター(ECRM社製)を用いて、2400dpi(ドットパーインチ;1インチ(2.54cm)当たりのドット数)条件にて線幅10μm、隣接する平行線間の距離(ピッチ)200μmの格子状パターン(メッシュパターン)を露光した。
その後、25℃のCDH−100現像液(コニカミノルタ製)で60秒現像し、CFL871定着液(コニカミノルタ製)で3分処理後、40℃の温純水で5分洗浄する現像処理を行った。その結果、線幅10μm、ピッチ200μmの現像銀メッシュ画像が得られた。
さらに、メッキ液(硫酸銅0.06モル/L,ホルマリン0.22モル/L,トリエタノールアミン0.12モル/L,およびポリエチレングリコール100ppm、黄血塩50ppm、α、α′−ビピリジン20ppmを含有する、pH=12.5の無電解Cuメッキ液)を用い、45℃にて無電解銅メッキ処理を行った後、10ppmのFe(III)イオンを含有する水溶液で酸化処理を行ない、電磁波シールドメッシュフィルム1を得た。
《電磁波シールドメッシュフィルム2の作製》
前記電磁波遮蔽材料用原版1において、PETフィルムを、セルロースエステルフィルムAに変更した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤を塗布し、電磁波遮蔽材料用原版2を作製、その後同様に露光現像処理して、電磁波シールドメッシュフィルム2を作製した。尚、ハロゲン化銀乳剤を塗布する際に、セルロースエステルフィルムにはあらかじめ、親水化処理を行った。
《電磁波シールドメッシュフィルム3の作製》
前記電磁波遮蔽材料用原版1において、PETフィルムを、セルロースエステルフィルムBに変更した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤を塗布し、電磁波遮蔽材料用原版2を作製、その後同様に露光現像処理して、電磁波シールドメッシュフィルム3を作製した。尚、ハロゲン化銀乳剤を塗布する際に、セルロースエステルフィルムにはあらかじめ、親水化処理を行った。
《電磁波シールドメッシュフィルム4の作製》
同様に、前記電磁波遮蔽材料用原版1において、PETフィルムを、セルロースエステルフィルムCに変更した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤を塗布し、電磁波遮蔽材料用原版3を作製、その後同様に露光現像処理して、電磁波シールドメッシュフィルム3を作製した。
また、近赤外線遮蔽能、ネオン発光遮蔽能をもつ光線カットフィルムを以下のように作製した。
《光線カットフィルム1》
作製したPETフィルム上に、以下のポリメチルメタクリレート樹脂(ダイヤナールBR−80(三菱レーヨン社製))30質量%トルエン溶液にジインモニウム系近赤外線吸収色素(N,N,N′,N′−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウムの6フッ化アンチモン酸塩)7.6%/樹脂分、更に、ネオンに由来する580〜600nmの波長域を吸収する色素として、下記dye−1〜3の混合物(1/3/1)を同様に樹脂分に対し0.32%とし、トルエン、MEKに混合溶解(樹脂分10質量%として、)してバーコーターにて塗布、乾燥膜厚4.5μmのフィルタ層を有する光線カットフィルム1を得た。
Figure 2007281221
《光線カットフィルム2》
光線カットフィルム1において、PETフィルムに代えて、前記セルロースエステルフィルムAを用いて同様に近赤外線遮蔽能、ネオン発光遮蔽能をもつ光線カットフィルム2を作製した。
次いで、近赤外線遮蔽能、ネオン発光遮蔽能をもつ電磁波シールドメッシュフィルムを作製した。
《電磁波シールドメッシュフィルム5の作製》
前記で作製した電磁波シールドメッシュフィルム2の裏面に、ポリメチルメタクリレート樹脂(ダイヤナールBR−80(三菱レーヨン社製))30質量%トルエン溶液にジインモニウム系近赤外線吸収色素(N,N,N′,N′−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウムの6フッ化アンチモン酸塩)7.6%/樹脂分、更に、ネオンに由来する580〜600nmの波長域を吸収する色素として、dye−1〜3の混合物(1/3/1)を同様に樹脂分に対し0.32%とし、トルエン、MEKに混合溶解(樹脂分10質量%として、)してバーコーターにて塗布して、乾燥膜厚4.5μmの近赤外線遮蔽能、ネオン発光遮蔽能を持つフィルタ層を形成し、電磁波シールドメッシュフィルム5を得た。
《電磁波シールドメッシュフィルム6の作製》
電磁波シールドメッシュフィルム5の作製において、電磁波シールドメッシュフィルム2にかえて、電磁波シールドメッシュフィルム3を用いて、同様に近赤外線遮蔽能、ネオン発光遮蔽能付き電磁波シールドメッシュフィルム6を作製した。
《電磁波シールドメッシュフィルム7の作製》
電磁波シールドメッシュフィルム5の作製において、電磁波シールドメッシュフィルム2にかえて、電磁波シールドメッシュフィルム4を用いて、同様に近赤外線遮蔽能、ネオン発光遮蔽能付き電磁波シールドメッシュフィルム7を作製した。
〔電磁波遮蔽材料(PDPフィルター)1〜3の作製〕
以上作製した各機能性フィルムを用いて、以下の構成からなる透光性電磁波遮蔽材料を作製した。即ち図1、また2に示したような構成で、表1に従って上記各機能性フィルムを用い、プラズマデイスプレイ用の電磁波遮蔽材料(PDPフィルター)を作製した。
即ち、反射防止フィルムの裏面にアクリル樹脂系粘着剤を塗布乾燥しつつ厚さ40μmの剥離フィルムを貼り付けた後、これを電磁波シールドメッシュフィルムの形成されたメッシュ上に剥離フィルムを剥がしつつ貼り付けた。更に同様に粘着剤を用いて、反射防止フィルムと一体化した電磁波シールドメッシュフィルムを光学カットフィルムに貼り付け、それぞれ表1に示したような3つの機能性フィルムからなるプラズマデイスプレイ用の電磁波遮蔽材料(PDPフィルター)1〜3を作製した。但し粘着剤層8および離型紙6は省いた。
また、反射防止フィルムおよび近赤外線遮蔽能、ネオン発光遮蔽能付き電磁波シールドメッシュフィルムからなる電磁波遮蔽材料を作製した。
〔電磁波遮蔽材料(PDPフィルター)4の作製〕
前記で作製した反射防止フィルム1の裏面に前記同様に粘着剤を塗設し、これを近赤外線遮蔽能、ネオン発光遮蔽能付き電磁波シールドメッシュフィルム5の導電性のメッシュが形成された側に貼り付け、2つのフィルムからなるプラズマデイスプレイ用の電磁波遮蔽材料(PDPフィルター)4を作製した。
〔電磁波遮蔽材料(PDPフィルター)5の作製〕
電磁波遮蔽材料(PDPフィルター)4において、反射防止フィルム1の代わりに反射防止フィルム2を用いたほかは同様に電磁波遮蔽材料(PDPフィルター)5を作製した。
〔電磁波遮蔽材料(PDPフィルター)6の作製〕
反射防止フィルム1の代わりに反射防止フィルム3を、また、電磁波シールドメッシュフィルム5の代わりに、電磁波シールドメッシュフィルム6を用いたほかは電磁波遮蔽材料(PDPフィルター)4と同様に電磁波遮蔽材料(PDPフィルター)6を作製した。
〔電磁波遮蔽材料(PDPフィルター)7の作製〕
反射防止フィルム1の代わりに反射防止フィルム4を、また、電磁波シールドメッシュフィルム5の代わりに、電磁波シールドメッシュフィルム7を用いたほかは電磁波遮蔽材料(PDPフィルター)4と同様に電磁波遮蔽材料(PDPフィルター)7を作製した。これらについても粘着剤層8および離型紙6については省略した。
以上作製した電磁波遮蔽材料1〜7について、以下の評価を行った。
〔評価〕
得られた各電磁波遮蔽材料について、
〈透過率〉
各電磁波遮蔽材料について、日立製作所製分光光度計U−4000型を用いて、可視光領域(360nm〜700nm)における全光透過率(積分値)を測定した。
尚、各電磁波遮蔽材料について、全光透過率は電磁波遮蔽材料1の全光透過率を100とする相対値で表した。
〈貼合品質〉
貼合後のフィルムを、60℃、90%RH環境下に3日間放置した後、貼合部の剥がれや浮き等、品質が劣化していないか目視で評価した。
剥がれや、浮きなど、品質欠陥が発生しているものを×、剥がれや、浮きなど、品質欠陥が発生していないものを○とした。
Figure 2007281221
各機能性フィルムの支持体を同種としたとき、又特にセルロースエステルフィルムを各機能性フィルムの支持体としたとき良好な透過率、また貼合品質が得られていることが判る。3つのフィルムを貼り合わせ構成した電磁波遮蔽材料1〜3においては、同種の支持体を用い試料が透過率、また貼合品質共に向上していることが判る。また、同種の支持体同士でもリターデーション値が小さいものの方がより透過率が向上している。
また、2枚のフィルムを貼合したものについても、比較である電磁波遮蔽材料4に比べ、本発明の試料は透過率、貼合品質共に明らかに向上している。
本発明の電磁波遮蔽材料の実施の形態を示す断面図である。 本発明の電磁波遮蔽材料の別の実施の形態を示す断面図である。
符号の説明
1 透光性電磁波遮蔽材料
2 反射防止フィルム
3 電磁波遮蔽フィルム
4 光線カットフィルム
5a、5b 接着剤層
6 離型紙
8 粘着剤層

Claims (6)

  1. 透明支持体上に反射防止機能、近赤外線遮蔽機能、ネオンガスに由来する発光の遮蔽機能、および電磁波遮蔽機能を有する各々の機能性フィルム、又は前記の機能のうち2種類以上を複合して有する複数の機能性フィルムを貼合して作製する透光性電磁波遮蔽材料において、各機能性フィルムの透明支持体が実質的に同じ材料からなることを特徴とする透光性電磁波遮蔽材料。
  2. 透明支持体上に反射防止機能を有する層を有する機能性フィルム、および、透明支持体上に近赤外線遮蔽機能、ネオンガスに由来する発光の遮蔽機能および電磁波遮蔽機能を有する層を複合して有する機能性フィルムの二つを貼合することを特徴とする請求項1に記載の透光性電磁波遮蔽材料。
  3. 貼合される複数の前記機能性フィルムの透明支持体の各々は、面内レターデーション値(Ro)が0nm以上100nm以下、かつ、厚み方向のレターデーション値(Rt)が0nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の透光性電磁波遮蔽材料。
    (ここにおいて、透明支持体の面内方向のレターデーション値(Ro)、厚み方向のレターデーション値(Rt)はそれぞれ下記式で定義される。
    Ro値=(Nx−Ny)×d
    Rt値=((Nx+Ny)/2−Nz)×d
    式中、Nxは透明支持体の製膜方向に平行な方向におけるフィルムの屈折率、Nyは製膜方向に垂直な方向における屈折率、Nzは厚み方向における屈折率、dは透明支持体の厚み(nm)を各々表す。尚、各レターデーション値は、それぞれ23℃、55%RHにおいて定義される値である。)
  4. 貼合される複数の機能性フィルムの透明支持体はセルロースエステルを主成分とすることを特徴とする請求項1または2に記載の透光性電磁波遮蔽材料。
  5. 透明支持体上に電磁波遮蔽機能を有する層を形成した機能性フィルムが、透明支持体上に銀塩粒子を含む層を設けた電磁波遮蔽材料用原版を作製し、該電磁波遮蔽材料用原版を露光、現像処理することにより、金属銀部を形成し作製されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の透光性電磁波遮蔽材料。
  6. 前記銀塩粒子の平均粒径が10nm〜100nmであることを特徴とする請求項5に記載の透光性電磁波遮蔽材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013012604A (ja) * 2011-06-29 2013-01-17 Fujifilm Corp 導電性フイルムの製造方法
WO2017056635A1 (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 コニカミノルタ株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子

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