JP2008060280A - 電磁波遮蔽フィルタ、複合フィルタ、ディスプレイ、及び電磁波遮蔽フィルタの製造方法 - Google Patents

電磁波遮蔽フィルタ、複合フィルタ、ディスプレイ、及び電磁波遮蔽フィルタの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電磁波遮蔽機能を有し、且つ外光による画像コントラスト低下が改善されたディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタ及びその製造方法、当該電磁波遮蔽フィルタに機能層が積層された複合フィルタ、並びにこれらのフィルタを用いたディスプレイを提供する。
【解決手段】少なくとも一方の面の画像表示領域全体に透明導電体層12が積層された透明基材11の両面に、非導電性のメッシュ状光吸収層13が設けられている、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタ。
【選択図】図1

Description

本発明は、陰極線管(以下CRTとも呼称)、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPとも呼称)などのディスプレイ(画像表示装置)から発生する電磁波を遮蔽(シールド)する電磁波遮蔽フィルタ及び複合フィルタ、並びにこれらを用いたディスプレイに関し、また、当該電磁波遮蔽フィルタの製造方法に関する。
さらに詳しくは、明所での画像コントラストに優れた電磁波遮蔽フィルタ、及び複合フィルタ、並びにこれらを用いたディスプレイに関し、また、当該電磁波遮蔽フィルタの製造方法に関する。
近年、電気電子機器の機能高度化と増加利用に伴い、電磁気的なノイズ妨害(Electro Magnetic Interference;EMI)が増え、CRT、プラズマディスプレイパネル等のディスプレイでも電磁波が発生する。
通常、電磁波を遮蔽するために、電磁波遮蔽用フィルタがディスプレイパネルの前面に前面板として設けられる。ディスプレイパネルの前面から発生する電磁波の遮蔽性は、30MHz〜1GHzの電磁波において損失比30dB以上の性能が必要である。特に、PDPにおいては、プラズマ放電を利用しており、周波数帯域が30MHz〜1GHzの不要な電磁波が発生するので、この不要な電磁波が外部に漏れて他の機器(例えば情報処理装置等)へ弊害を与えることを極力防止する必要がある。さらに、ディスプレイの表示画像を視認しやすくするため、電磁波遮蔽用の金属(特に銅)メッシュ(ライン部)部分が見えにくく、また、メッシュパターン精度がよくメッシュの乱れがなく、適度な透明性(可視光透過性)を有することが必要である。尚、本願明細書に於いて、特に断らない限り、電磁波とは広義の電磁波のうち、特に赤外線よりも低周波数のもの、中でも特にMHz帯からGHz帯の周波数帯域のものを意味する。
また、上記電磁波遮蔽フィルタに、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色調調整機能、及び紫外線吸収機能等、画像表示装置から発生する特定波長の不要な光を遮蔽する機能や、外光(太陽、電灯等からディスプレイに入射する外来の光)の反射を防止するための反射防止機能や、防擦傷機能及び防汚染機能等、画像表示装置や鑑賞者、又は周辺に存在する電子機器を保護する機能の中から選択される、いずれか一種もしくは二種以上の機能を有する層(以下、機能層と呼ぶことがある。)を一層又は二層以上積層してなる複合フィルタを、前面板として用いることが可能である。
例えば、PDPは、データ電極と蛍光層を有するガラスと透明電極を有するガラスとの組合体であり、作動すると電磁波の他、波長800〜1,100nmの近赤外線、及び熱が大量に発生する。プラズマディスプレイ前面より発生する近赤外線は、他のVTRなどの機器を誤作動させるので、近赤外線吸収機能を有する層をディスプレイの前面に設けて遮蔽する必要がある。
一方で、これら電磁波遮蔽フィルタ及び複合フィルタは、ディスプレイの前面に配置されるので、明室や屋外において使用される際に外光により画像コントラストの低下が生じる等、映像品質に悪影響を与える場合がある。特に、表示面が平面な画像表示装置の場合、外光が斜入射した際に、鏡面反射した外光が表示光と共に観察者の目に入り、画面が見にくくなる場合がある。
外光によるコントラストの低下を改善する手段として、導電性のパターン上に光吸収層(暗色層、黒化層)を設ける態様が挙げられ、様々な解決手段が提案されている。例えば、特許文献1には、透明な電磁波遮蔽用基板の両面に、それぞれ平行線からなる導電性パターンを上記の透明な電磁波遮蔽用基板の一方の側から透視して、上記の表裏両面に設けた平行線からなる導電性パターンが、互いに交叉する方向に走行するように形成し、かつ、当該導電性パターン上に黒化層を設けることにより、コントラストの良い表示が得られる旨が開示されている。しかし、特許文献1の電磁波遮蔽板は、ディスプレイの走査線に対しモアレ等の発生を防止することを目的としているため、導電性パターンの形状が平行線からなり、基板の両面に黒化層を設けたとしても、せいぜい格子状の黒色層が片面に設けられているのと同等のコントラスト向上効果しか得られない。
特許文献2には、透明な基材の少なくとも一面に、1つの平行線群ないし互いに交叉する複数の平行線群の形状に、導電性層を配設した電磁波シールド用の部材であって、少なくとも、各平行直線群の各直線間は、他の直線群の直線領域を除き、透明樹脂層にて面方向に隙間なく埋められており、且つ、導電性層が金属薄膜からなる電磁波シールド部材において、少なくとも導電性層の1方の面に、光吸収層を設けたことを特徴とする電磁波シールド部材が開示されている。しかし、光透過性基材の少なくとも一方の面に設けられた導電性層に光吸収層を設けることにより、導電性層によるコントラストの低下を防止することができる旨の記載はあるものの、光吸収層を透明な基材の両面に設ける目的について、明確な言及はなされておらず、また、黒化層を線状の金属薄膜の側面に形成した態様は記載されていない。
特許文献3には、透明基材の一方の面上に金属層のパターンを有するシールド材において、前記金属層のパターンの両面及び側面が黒化処理されていることを特徴とするシールド材が開示されているが、透明基材の両面に黒化層を設ける態様に関する示唆はない。
特開平11−177272号公報 特開2000−277977号公報 特開2002−009484号公報
上述の通り、外光による画像コントラストの低下を改善するため、導電性のパターン上に光吸収層(暗色層、黒化層)を設けた、様々な態様の電磁波遮蔽フィルタ及び複合フィルタが提案されているが、更に高いコントラスト向上効果を有するディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタ及び複合フィルタが嘱望されている。
上記実情に鑑み、本発明は、電磁波遮蔽機能を有し、且つ外光による画像コントラスト低下が改善されたディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタ及びその製造方法、当該電磁波遮蔽フィルタに機能層が積層された複合フィルタ、並びにこれらのフィルタを用いたディスプレイを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、透明基材の表裏両面にメッシュ状光吸収層を設けた電磁波遮蔽フィルタが、上記目的を達成することができるという知見を見出し、本発明を完成させるに到った。
すなわち、本発明のディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタは、少なくとも一方の面の画像表示領域全体に透明導電体層が積層された透明基材の両面に、非導電性のメッシュ状光吸収層が設けられている。
本発明によれば、透明基材の両面にメッシュ状光吸収層が設けられていることにより、透明基材の片面のみにメッシュ状光吸収層が設けられている場合よりも、外光の斜入射を効率よく吸収することができるため、ディスプレイの表示面に配置して用いる際に、特に、明所又は屋外において使用される際に、画像コントラスト低下を改善することができる。尚且つ、これに加えて、電磁波遮蔽機能を奏する層に高光反射率の金属箔を用い無い為、黒化処理無しでも金属メッシュよりも外光反射による画像コントラスト低下の影響が少ない。また、透明基材の少なくとも一面側の画像表示領域全体に、電磁波遮蔽層としての透明導電体層を設けるので、エッチングプロセスによりメッシュ状導電性パターンを形成する場合よりも工程が簡素である。
本発明のディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタは、前記メッシュ状光吸収層が暗色樹脂で形成されていることが、形成しやすさの点から好ましい。
また、本発明のディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタは、前記透明基材両面に備えられたメッシュ状光吸収層が、フィルタ正面から見て完全に重なり合うように位置合わせされていることが、電磁波遮蔽フィルタの開口率を大きくすることができるため、ディスプレイの表示面に配置して用いる際に、表示発光の輝度を低下させることなく、高い画像コントラストが得られる点から好ましい。
本発明のディスプレイ用複合フィルタは、前記ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタ、及び、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色調調整機能、紫外線吸収機能、反射防止機能、防眩機能、防擦傷機能、及び防汚染機能のいずれか一種もしくは二種以上の機能を有する一層又は二層以上のフィルタを積層してなる。
このような複合フィルタは、画像コントラストの改善、電磁波遮蔽機能の他、各種機能が付加された、厚みが薄いディスプレイ用前面板として用いることができる。
本発明のディスプレイは、前記ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタ、又は前記ディスプレイ用複合フィルタが、ディスプレイの表示面に配置されていることを特徴とする。このようなディスプレイは、電磁波遮蔽フィルタ又は複合フィルタが有する透明基材の両面に配置されたメッシュ状光吸収層の働きにより画像コントラストが向上し、且つ電磁波遮蔽フィルタの働きにより、観察者側への電磁波の射出を防止することができる。更に、複合フィルタが有する各種機能によるメリットも享受できる。
本発明のディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタの製造方法の一態様として、少なくとも一方の面の画像表示領域全体に透明導電体層が積層された透明基材の両面に、非導電性の光吸収インキを用いて、フォトリソグラフィー法によりメッシュ状光吸収層を形成することを特徴とする、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタの製造方法が挙げられる。
本発明によれば、画像表示領域全体にエッチング工程によらずに簡便に透明導電体層を形成して可視光の透過を妨げずに電磁波遮蔽効果を持たせるとともに、更に、透明基材両面に、フィルタ正面から見て完全に重なり合うように位置合わせしてメッシュ状光吸収層を形成することが容易であるため、ディスプレイの前面に設置して使用される際に、表示光の輝度を低下させることなく、表示コントラストを向上させることができる電磁波遮蔽フィルタを容易に製造することができる。
また、本発明のディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタの製造方法の別の態様として、少なくとも一方の面の画像表示領域全体に透明導電体層が積層された透明基材の両面に、非導電性の光吸収インキを用いて、メッシュ状に印刷することにより光吸収層を形成することを特徴とする、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタの製造方法が挙げられる。
本発明によれば、画像表示領域全体にエッチング工程によらずに簡便に透明導電体層を形成して可視光の透過を妨げずに電磁波遮蔽効果を持たせるとともに、更にその上に、印刷法により簡便に光吸収インキ等の光吸収性材料をメッシュ状に形成することにより、外光による画像コントラスト低下を低減することができる。
本発明によれば、電磁波遮蔽機能を奏する層を高光反射率の金属箔を用い無い為、黒化処理無しでも金属メッシュよりも外光反射による画像コントラスト低下の影響が少なく、尚且つ、透明基材の表裏両面にメッシュ状光吸収層が設けられることにより、明室や屋外での使用の際に、斜入射の外光が効率良く吸収され、画像コントラストの低下を軽減することができ、且つ、電磁波遮蔽機能を併せ持つ電磁波遮蔽フィルタ及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、上記電磁波遮蔽フィルタに機能層を積層させた複合フィルタを提供することができる。
また、本発明によれば、上記電磁波遮蔽フィルタ又は上記複合フィルタがディスプレイの表示面に配置されているディスプレイを提供することができる。
1.ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタ
〔層構成〕
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、以下に示す各図は、説明のため寸法、形状を適宜誇張して示している。
本発明のディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタは、本発明のディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタは、少なくとも一方の面の画像表示領域全体に透明導電体層が積層された透明基材の両面に、非導電性のメッシュ状光吸収層が設けられている。
本発明によれば、透明基材の両面にメッシュ状光吸収層が設けられていることにより、透明基材の片面のみにメッシュ状光吸収層が設けられている場合よりも、外光の斜入射を効率よく吸収することができるため、ディスプレイの表示面に配置して用いる際に、特に、明所又は屋外において使用される際に、画像コントラスト低下を改善することができる。尚且つ、これに加えて、電磁波遮蔽機能を奏する層を高光反射率の金属箔を用い無い為、黒化処理無しでも金属メッシュよりも外光反射による画像コントラスト低下の影響が少ない。また、透明基材の少なくとも一面側の画像表示領域全体に、電磁波遮蔽層としての透明導電体層を設けるので、エッチングプロセスによりメッシュ状導電性パターンを形成する場合よりも工程が簡素である。
図1は当該本発明の電磁波遮蔽フィルタの基本的な形態を例示する断面図である。図1の電磁波遮蔽フィルタは、透明基材11の片面に透明導電体層12が配置され、更に当該透明導電体層12上、及び透明導電体層非形成側の面上に、メッシュ状光吸収層13が設けられている構成である。
図2は、図1の電磁波遮蔽フィルタの斜視図である。メッシュ状光吸収層13は、開口部103が密に配列したメッシュ状であり、該メッシュ状領域101は開口部103と枠をなしているライン部104から構成されている。
図3は、図2のAA断面図、及びBB断面図である。図3(A)は開口部を横断する断面を示し、開口部103とライン104が交互に構成され、図3(B)はライン104を縦断する断面を示し、メッシュ状光吸収層13からなるライン部104が連続して形成されている。尚、図1に示した、電磁波遮蔽フィルタの断面図はいずれもAA断面図に該当する。
また、図4は本発明の電磁波遮蔽フィルタの別の形態を例示する断面図である。図4の電磁波遮蔽フィルタは、透明基材11の両面に透明導電体層12が配置され、更に当該導電体層12の表面に、メッシュ状光吸収層13が設けられている構成である。
また、本発明のディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタは、前記透明基材両面に備えられたメッシュ状光吸収層が、フィルタ正面から見て完全に重なり合うように位置合わせされていることが、電磁波遮蔽フィルタのメッシュの開口率を大きくすることができるため、ディスプレイの表示面に配置して用いる際に、表示発光の輝度を低下させることなく、高い画像コントラストが得られる点から好ましい。
図5は、本発明の電磁波遮蔽フィルタを表示光が透過する様子を表した模式的断面図である。図5(A)は、透明基材両面に備えられたメッシュ状光吸収層が、フィルタ正面から見て完全に重なり合うように位置合わせされている電磁波遮蔽フィルタの断面形状を例示する模式図であり、図5(B)は、メッシュ状光吸収層の位置合わせがされていない電磁波遮蔽フィルタの断面形状を例示する模式図である。両者をディスプレイの前面に配置すると、図5(A)のフィルタのほうが、メッシュの開口率が大きいため、表示発光の透過率が大きくなる点において、図5(B)のフィルタに比べて優れている。
また、上記図1〜図5には図示されていないが、上記各層間に接着剤層や別の透明基材等、その他の層が設けられていても良い。
以上の例示は、本発明の電磁波遮蔽フィルタの態様を限定するものではない。本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明の電磁波遮蔽フィルタについて、透明基材から、各層毎に順に説明する。
[透明基材]
透明基材は、機械的強度が弱い透明導電体層を補強するための層である。従って、機械的強度と共に光透過性を有すれば、その他、耐熱性等も適宜勘案した上で、用途に応じたものを選択使用すれば良い。透明基材の具体例としては、例えば、樹脂等の有機材料からなる板及びシート(乃至フィルム。以下同様。)等、並びに、ガラス等の無機材料からなる板等である。
上記有機材料からなる板及びシート等として用いる透明樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などのスチレン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、イミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
なお、これら樹脂は、樹脂材料的には、単独、又は複数種類の混合樹脂(ポリマーアロイを含む)として用いられ、また層的には、単層、又は2層以上の積層体として用いられる。また、積層体とする場合は層間に接着剤層を介して積層しても良いし、接着剤層無しで直接2層を熱融着、共押出し等により積層しても良い。また、樹脂シートの場合、1軸延伸や2軸延伸した延伸シートが機械的強度の点でより好ましい。
また、これら樹脂中には、必要に応じて適宜、紫外線吸収剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。
また、上記ガラス板のガラスとしては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラスなどがあり、より好ましくは熱膨脹率が小さく寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラス等が挙げられ、ディスプレイの前面基板等とする電極基板と兼用することもできる。
透明基材の厚さは、用途に応じたものとすれば良く特に制限は無く、透明樹脂から成る場合は、通常12〜1000μm程度であるが、好ましくは50〜500μmである。一方、透明基材がガラス板である場合には、通常1〜5mm程度が好適である。いずれの材料においても、上記未満の厚さとなると機械的強度が不足して反りや弛み、破断などが起こり、上記を超える厚さとなると過剰性能でコスト高となる上、薄型化が難しくなる。
また、透明基材は、前面基板及び背面基板等からなるディスプレイ本体の一構成要素である前面基板と兼用しても良いが、前面基板の前に配置する前面フィルタとして電磁波遮蔽フィルタを用いる形態では、薄さ、軽さの点で、板よりも樹脂シートが優れており、また割れない等の点でも、ガラス板よりも可撓性を有する樹脂シートが優れている。更に、樹脂シートを用いることにより、電磁波遮蔽フィルタをロールツーロール方式により連続的に製造することにより生産性を向上できる。尚、ロールツーロール方式(ロールツーロール加工ともいう。)とは、可撓性を有し、ロール状に巻かれた帯状(連続帯状)のシート又は積層体をそのロールから引き出し、引き出した前記連続帯状のシート又は積層体をロール状に巻き取る搬送方式を利用した、連続帯状のシート又は積層体の処理方式の総称である。ロールツーロール方式によれば、例えば、ラミネート装置と組み合わせて2種類の連続帯状の積層体を連続的に積層したり、塗布装置及び乾燥装置と組み合わせて連続帯状のシートに連続的に塗工したり、レジスト塗布、レジスト乾燥、マスク露光、現像、エッチング、洗浄、乾燥装置等と組み合わせて連続帯状の積層体を連続的にフォトエッチング処理したり、あるいはこれらを組み合わせて連続的に処理したりすること等が可能である。
この様な点で、透明基材としては樹脂シートが好ましい材料であるが、樹脂シートのなかでも、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂シートが、透明性、耐熱性、コスト等の点で好ましく、より好ましくは2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシートが最適である。なお、透明基材の透明性は高いほどよいが、好ましくは可視光線透過率で80%以上となる光透過性が良い。
[透明導電体層]
本発明に係る透明導電体層は、CRTやPDPなどのディスプレイから発生する電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽層として機能する層である。
透明導電体層として用いられる材料は、薄膜としたときに画像表示を可能とする透視性があるものであれば特に限定されず、この分野において電磁波遮蔽機能を有する材料として知られる公知の材料すなわち金属、金属酸化物及び導電性ポリマーなどを用いることができる。例えば、銀、パラジウム、白金、ロジウム、アルミニウム、コバルト、ニッケル、錫などの金属薄膜若しくはこれらの合金からなる薄膜、あるいは、この分野において透明電極として一般に知られるITO(酸化インジウム−酸化錫)薄膜、FTO(フッ素ドープ酸化錫)薄膜、ATO(酸化錫−酸化アンチモン)薄膜及びAZO(酸化亜鉛−酸化アルミ系)薄膜などの金属酸化物薄膜若しくはこれら材料の組み合わせ、更には上記金属とこれら金属酸化物との組み合わせを挙げることができる。また導電性ポリマーとしては、ポリチオフェン、ポリアセチレン等を利用することができる。
本発明においては、上記金属又は金属酸化物をスパッタリング等の公知の方法で透明基材の少なくとも一方の面の画像表示領域全体に設けるので、従来、主流であった金属メッシュからなる電磁波遮蔽層をエッチングプロセスにより設ける場合に比べて、工程が簡素となる利点を有するものである。
なお、透明導電体層は、画像表示領域全体に一様に設けることができるものであれば、上記スパッタリングに限らず、真空蒸着、イオンプレーティング、CVD、PVD、プラズマCVD、プラズマPVD等の成膜法で形成することができる。
あるいは、上記金属及び/又は金属酸化物からなる材料を微粒子状にしたもの、或いは導電性ポリマーを含む塗工液を直接塗布する方法、あるいは上記材料で予め形成したシートを貼着する方法などによっても形成することができる。
上記形成方法のなかでも、真空蒸着、或いはスパッタリングが、生産性と膜の均質性、導電性等の観点から特に好ましい。形成する透明導電体層の厚さは、10nm〜100nmとすることが可視光透過性及び電磁遮蔽効果のバランスの観点から好ましい。また透明導電体層の可視光透過率は、波長380〜780nmにおいて、平均70%以上であることが好ましい。
ここで画像表示領域とは、本発明の電磁波遮蔽フィルタを組み入れたディスプレイにおいて、画像が表示される領域を意味し、フレームのはめ込み部分などの透明基材表面の周縁部は含まない趣旨である。
尚、本発明に於いては、透明導電体層を形成する必要が有るのは、最低限画像表示領域であるが、画像表示領域外からの電磁波輻射も更に遮蔽したり、或いは該透明導電体層の接地を容易にする為に、画像表示領域の外周部に迄透明導電体層が延長して設けられていても良い。
[メッシュ状光吸収層]
本発明に係るメッシュ状光吸収層は、透明基材上に形成された透明導電体層上、及び透明導電体層が形成されていないほうの透明基材上に直接又は一若しくは複数の中間介在層を介して形成される。
メッシュ状光吸収層は、電磁波遮蔽用シートへ入射する外光を吸収させて、ディスプレイの画像の視認性を向上させるものであり、とくに明室や屋外における使用時の外光による画像コントラスト低下を防ぐものである。
このように光吸収層を設けることは画像コントラスト向上に効果的であるが、その一方で表示画像の明度を極度に低下させないよう十分に可視光を透過させるような態様で設ける必要がある。
本発明においては、メッシュ状に光吸収層を設けることにより、画像コントラスト向上と画像明度の低下防止とのバランスをとっている。
ここで、メッシュ状とは、特に限定される形状ではなく、十分な光吸収機能を発揮し、且つ、画像明度を知覚しうる程度に低下させない形状であればよい。例えば、格子パターン、亀甲パターン、菱形パターン、円形パターン及び三角形パターン等の開口部パターンをもつ所謂メッシュ状パターン等々、種々のパターンが可能であり、また円や三角など各単位形状は平面内に海島状に互いに離間して設けられるものであってもよい。
メッシュはこれら形状からなる複数の開口部を有し、開口部間は通常幅均一のライン状のライン部となり、通常は、開口部及び開口部間は全面で同一形状同一サイズである。
また表示画像の明度を落としすぎずに、コントラストを十分に向上させる観点から、画像表示領域全体の面積に対する光吸収層の占有率は、50%〜95%であることが好ましい。
図6はメッシュの開口部の平面視形状が正方形又は長方形の場合におけるメッシュ状領域の拡大図である。このようなメッシュ状領域の形状の場合、開口部の光透過率を100%、ライン部の光透過率を0%とすると、メッシュの開口率Tr(%)は、下記式より求めることができる。
Tr(%)=〔(b×d)/{(a+b)×(c+d)}〕×100
=〔(b×d)/{P1×P2}〕×100
P1=a+b
P2=c+d
(ただし、a及びbはメッシュ状領域のライン幅、c及びdはメッシュ状領域の開口幅であり、また、P1及びP2はメッシュ状領域の平面視形状の繰返周期(ラインピッチ)であり、それぞれ、図6に対応する。)
メッシュの開口率Trは、50〜95%、更に70〜90%の範囲内であることが、表示コントラストと表示発光の透過性のバランスが良い点から好ましい。
具体的サイズを例示すれば、図2に示すような、メッシュの開口部の平面視形状が正方形のメッシュ状領域の場合、開口率及びメッシュの非視認性の点で、開口部間のライン部104の幅(ライン幅Wと称する。)は、少なくとも5μm以上確保することが電磁波遮蔽効果の発現、破断防止、及びメッシュ状導電体層の透明基材側又はその反対側の面に光吸収層を設ける態様の場合、斜入射する外光の吸収効率の点から好ましい。但し、30μm以下、更に20μm以下、特に10μm以下であることが、表示発光の透過性の点から。好ましい。
また、開口部の間口幅は(ラインピッチP)−(ライン幅W)で表され、本発明においては、500μm以下、更に300μm以下とするのが、メッシュ状導電体層の透明基材側又はその反対側の面に光吸収層を設ける態様の場合、斜入射する外光の吸収効率の点から好ましい。また、120μm以上とするのが、表示発光の透過性の点から好ましい。但し、MHz帯〜GHz帯の電磁波遮蔽性発現のためには、最大3000μm以下とする。
また、メッシュ状領域のバイアス角度(メッシュのライン部と電磁波遮蔽シートの外周辺とのなす角度)は、ディスプレイの画素ピッチや発光特性を考慮して、モアレが出難い角度に適宜設定すれば良い。
また、メッシュ状光吸収層の厚さは、通常1〜20μm程度、好ましくは5〜15μm程度である。
メッシュ状光吸収層は、外光を吸収しうる吸収波長帯をもつ非導電性材料により好適に形成される。中でも380nm〜780nmの可視光線波長帯域の一部或いは全域に亙って大きな吸収波長帯をもつ所謂暗色の樹脂が表示画像の色再現に影響しないという観点から好ましい。暗色とは、黒以外にも黒に近い灰色等の無彩色或いは紺色、褐色、深緑色、臙脂色等の有彩色の暗色の色を含む趣旨であるが、表示画像の色再現に影響しない点で無彩色がより好ましく、且つ黒が良い。
メッシュ状光吸収層に含まれる、暗色樹脂に含まれる着色材料としては、公知の着色材料、例えば、カーボンブラック(墨)、黒色酸化鉄、コバルト−鉄−クロム系黒色顔料、マンガンフェライト系黒色顔料、アニリンブラック等の暗色系有機顔料などが挙げられる。また、暗色樹脂に含まれるバインダ樹脂としては、メッシュ状光吸収層の形成方法に応じて、公知のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の中から選択したものを用いることができるが、得られるメッシュパターンの強度や基板に対する密着性の観点から、光又は熱硬化性樹脂であることが好ましく、メッシュパターン形成の容易さや得られるパターンの精細度、正確性の観点から、光硬化性樹脂を用いることが特に好ましい。
また、バインダ樹脂の乾燥、硬化方式としては、溶液(又はエマルジョン)からの溶剤(又は分散媒)の乾燥による乾燥固化方式、熱、紫外線、電子線などのエネルギーによる重合、架橋反応を利用した硬化方式、或いは樹脂中の水酸基、エポキシ基等の官能基と硬化剤中のイソシアネート基などとの架橋、重合等の反応を利用した硬化方式などが適用できる。
特に、本発明においては、光吸収層は非導電性の光吸収インキにより形成することが好ましく、その場合、上記顔料及び樹脂のほかに、溶剤及び補助剤等、インキとして通常添加される成分を含む塗工液を使用することが好ましい。
好ましい光吸収インキとしては、カーボンブラックから成る黒色顔料を2液硬化型ポリウレタン樹脂のバインダ樹脂に添加した組成のものがある。
メッシュ状光吸収層は、各種印刷法、各種フォトリソグラフィー等によって形成することができるが、メッシュ状光吸収層が、フィルタ正面から見て完全に重なり合うように位置合わせするのが容易である点から、フォトリソグラフィー法によるメッシュ状光吸収層の形成方法が有利である。
一方、工程簡素化の観点から、各種印刷法で形成することが有利である。印刷法としては、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット法など各種公知の印刷法を使用することができる。
製造方法の具体的詳細については後述する。
以下、本発明の電磁波遮蔽フィルタの製造方法について例示するが、製造方法の態様を限定するものではない。
まず、透明基材を準備する。透明基材として、上述した基材の中から選択して用いることができる。
電磁波遮蔽フィルタを連続的に製造し生産性を向上できる点では、透明基材が樹脂基材である場合、メッシュ層形成等の少なくとも製造初期の段階においては、連続帯状のシートの形態で取り扱うのが好ましい。
なお、透明基材は、適宜その表面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの公知の易接着処理を行ってもよい。
次に、透明導電体層を準備する。透明導電体層を準備する方法としては、従来公知の光透過性の電磁波遮蔽フィルタに於ける、透明導電体層の積層方法を適宜採用でき、例えば、透明基材の一方の面へ、蒸着、スパッタ等の物理的薄膜形成法によって、Ag等の金属薄膜層やITO等の金属酸化物薄膜層を形成することができる。(例えば、特開平10−335883号公報)
以下、本発明の電磁波遮蔽フィルタの製造方法について述べる。
まず、透明基材を準備する。透明基材として、上述した基材の中から選択して用いることができる。
電磁波遮蔽フィルタを連続的に製造し生産性を向上できる点では、透明基材が樹脂基材である場合、透明導電体層形成等の少なくとも製造初期の段階においては、連続帯状のシートの形態で取り扱うのが好ましい。特に、帯状で連続して巻き取られたロール状の積層体を加工していく所謂ロールツーロール方式で連続的に製造することにより生産性を向上できる。
なお、透明基材は、適宜その表面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの公知の易接着処理を行ってもよい。
次に、透明基材の少なくとも一方の面上に透明導電体層を形成する。このとき透明導電体層を設ける領域は透明基材の一方の面の画像表示領域全域である。
既に記載した透明導電体層形成材料を、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング、CVD、PVD、プラズマCVD、プラズマPVD等の製膜法、あるいは、上記金属及び/又は金属酸化物からなる材料を微粒子状にしたものを直接塗布する方法、上記導電性ポリマーを含む塗工液を直接塗布する方法、あるいは上記材料で予め形成したシートを貼着する方法などによって、画像表示領域全体に形成する。本工程も、ロールツーロール方式により連続的に行うことが、生産性の点から好ましい。
次に、形成した透明導電体層表面、及び、透明導電体層を形成していない側の透明基材表面に、非導電性のメッシュ状光吸収層を形成する。
メッシュ状光吸収層の形成法としては、上記の如く、各種フォトリソグラフィー法や、各種印刷法を利用することができる。
本発明のディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタの好ましい製造方法の一態様として、例えば、少なくとも一方の面の画像表示領域全体に透明導電体層が積層された透明基材の両面に、非導電性の光吸収インキを用いて、フォトリソグラフィー法によりメッシュ状光吸収層を形成することを特徴とする、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタの製造方法が挙げられる。
このような製造方法によれば、画像表示領域全体にエッチング工程によらずに簡便に透明導電体層を形成して可視光の透過を妨げずに電磁波遮蔽効果を持たせるとともに、更に、透明基材両面に、フィルタ正面から見て完全に重なり合うように位置合わせしてメッシュ状光吸収層を形成することが容易であるため、ディスプレイの前面に設置して使用される際に、表示光の輝度を低下させることなく、表示コントラストを向上させることができる電磁波遮蔽フィルタを容易に製造することができる。
フォトリソグラフィー法は、例えば次のように行われる。透明基材表面に形成した透明導電体層表面、及び、透明導電体層を形成していない側の透明基板表面に、感光性レジストとして機能する光吸収インキを塗布し、乾燥した後に、所定のパターンを有するフォトマスクを、光吸収インキの塗工面の近傍に配置して、密着露光し、水現像し、硬膜処理などを施し、ベーキングすることにより、所望のパターンのメッシュ状光吸収層を形成する。
その際、透明基材の両面に形成されるメッシュ状領域の開口部及びライン部が一致するように見当合わせを行ってから露光(アライメント露光)することが、得られる電磁波遮蔽フィルタの透過率を向上させることができる点から好ましい。
尚、光吸収インキは、ネガ型、ポジ型の何れも使用可である。光吸収インキがネガ型の場合は、フォトマスクのメッシュパターンはライン部が透明なものを用いる。又感光性レジストがポジ型の場合は、フォトマスクのメッシュパターンは開口部が透明ものを用いる。又、露光パターンとしては、電磁波遮蔽フィルタとして所望のパターンであり、最低限メッシュ状領域のパターンから構成される。
上記光吸収インキの塗布は、巻取り加工では、帯状の積層体を連続又は間歇で搬送させながら、金属層面へ、カゼイン、PVA、ゼラチンなどのレジストをディッピング(浸漬)、カーテンコート、掛け流しなどの方法で行う。また、光吸収インキの塗布の代わりに、光吸収性を有するドライフィルムレジストを用いてもよく、作業性が向上できる。
本発明のディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタの好ましい製造方法の別の態様として、例えば、少なくとも一方の面の画像表示領域全体に透明導電体層が積層された透明基材の両面に、非導電性の光吸収インキを用いて、メッシュ状に印刷することにより光吸収層を形成する。
このような製造方法によれば、画像表示領域全体にエッチング工程によらずに簡便に透明導電体層を形成して可視光の透過を妨げずに電磁波遮蔽効果を持たせるとともに、更にその上に、印刷法等により簡便に光吸収インキ等の光吸収性材料をメッシュ状に形成することにより、外光による画像コントラスト低下を低減することができる。
印刷方法としては、公知の印刷方法を用いることができるが、フレキソ印刷が微細な線の再現性の点から好ましい。
なお、本発明のディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタの製造方法は、上記実施形態に限定されるものではない。
2.ディスプレイ用複合フィルタ
本発明のディスプレイ用複合フィルタは、前記ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタ、及び、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色調調整機能、紫外線吸収機能、反射防止機能、防眩機能、防擦傷機能、及び防汚染機能のいずれか一種もしくは二種以上の機能を有する一層又は二層以上のフィルタ(以下、機能フィルタと呼称する場合がある。)を積層してなる。
このような複合フィルタは、画像コントラストの改善、電磁波遮蔽機能の他、各種機能が付加された、厚みが薄いディスプレイ用前面板として用いることができる。
本発明の複合フィルタを構成する機能フィルタには、例えば、シートや板状或いは塗膜状の、反射(含む防眩)防止フィルタ、近赤外吸収フィルタ等の光学フィルタや、防擦傷フィルタ、防汚染フィルタ等の保護フィルタが含まれる。
電磁波遮蔽フィルタの製造方法によっては、透明基材を支持基材として、その上に機能フィルタを積層した形態でも良いし、機能フィルタが支持基材としての機能を兼ねていても良いし、機能フィルタと透明基材とが相互に積層された構成もあり得る。
なお、これらの機能フィルタは、従来の複合フィルタに於いて公知のものを用いてもよい。
[近赤外線吸収フィルタ]
近赤外線吸収フィルタとしては、近赤外線吸収剤を有する市販フィルム(例えば、東洋紡績社製、商品名No2832)を用いたり、近赤外線吸収色素をバインダへ含有させた組成物を製膜したり、或いは組成物を透明基材上に塗布して積層してもよい。近赤外線吸収色素としては、光学フィルタをプラズマディスプレイパネルの前面に適用する場合、プラズマディスプレイパネルが放出するキセノンガス放電に起因して生じる近赤外線領域、即ち、800nm〜1100nmの波長域を吸収するものを用いる。該帯域の近赤外線の透過率が20%以下、更に10%以下であることが好ましい。同時に近赤外線吸収フィルタは、可視光領域、即ち、380nm〜780nmの波長域で、十分な光線透過率を有することが望ましい。
近赤外線吸収色素としては、具体的には、ポリメチン系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、イモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、アミニウム系化合物、ピリリウム系化合物、セリリウム系化合物、スクワリリウム系化合物、銅錯体類、ニッケル錯体類、ジチオール系金属錯体類の有機系近赤外線吸収色素、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンモン、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化ランタン等の無機系近赤外線吸収色素、を1種、又は2種以上を併用することができる。また、バインダ樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が用いられる。又バインダ樹脂の乾燥、硬化方式としては、溶液(又はエマルジョン)からの溶媒(又は分散媒)の乾燥による乾燥固化方式、熱、紫外線、電子線などのエネルギーによる重合、架橋反応を利用した硬化方式、或いは樹脂中の水酸基、エポキシ基等の官能基と硬化剤中のイソシアネート基などとの架橋、重合等の反応を利用した硬化方式などが適用できる。
[ネオン光吸収フィルタ]
ネオン光吸収フィルタは、光学フィルタがプラズマディスプレイ用として用いられる際に、プラズマディスプレイパネルから放射されるネオン光、即ちネオン原子の発光スペクトルを吸収するべく設置される。ネオン光の発光スペクトル帯域は波長550〜640nmの為、ネオン光吸収フィルタの分光透過率は波長550〜640nmにおいて50%以下になるように設計することが好ましい。ネオン光吸収フィルタは、少なくとも550〜640nmの波長領域内に吸収極大を有する色素として従来から利用されてきた色素を近赤外線吸収フィルタのところに挙げたようなバインダ樹脂に分散させて形成することができる。該色素の具体例としては、シアニン系、オキソノール系、メチン系、サブフタロシアニン系もしくはポルフィリン系等を挙げることができる。
[調色フィルタ]
調色フィルタは、PDPからの発光の色純度や色再現範囲、電源OFF時のディスプレイ色などの改善の為にディスプレイ用複合フィルタの色を調整するためのものである。例えば調色色素をバインダ樹脂に分散させた組成物を製膜したり、或いはこれを透明基材又は他の機能性フィルタ上に塗布し、必要に応じ乾燥、硬化処理等を経て形成することができる。調色色素としては、可視領域である380〜780nmに最大吸収波長を有する公知の色素から、目的に応じて任意に色素を組み合わせて使用することができる。調色色素として用いることのできる公知の色素としては、特開2000−275432号公報、特開2001−188121号公報、特開2001−350013号公報、特開2002−131530号公報等に記載の色素が好適に使用できる。更にこのほかにも、黄色光、赤色光、青色光等の可視光を吸収するアントラキノン系、ナフタレン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、シアニン系等の色素を使用することができる。当該バインダ樹脂としては、上記近赤外線吸収フィルタのところに挙げたような樹脂を用いることができる。
[紫外線吸収フィルタ]
紫外線吸収フィルタは、主に近赤外線吸収フィルタに含まれる近赤外線吸収色素の外光(紫外線)による分解を防ぐために設けられるため、近赤外線吸収フィルタより観察者側に積層される。紫外線吸収フィルタとしては、例えば、紫外線吸収剤をバインダ樹脂に分散させて形成することができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等の有機系化合物、微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム等からなる無機系化合物からなるものが挙げられる。当該バインダ樹脂としては、上記近赤外線吸収フィルタのところに挙げたような樹脂を用いることができる。
[反射防止フィルタ]
反射防止(AR)フィルタは、外部からの光(例えば蛍光灯、自然光等)が光学積層体の表面にて反射する際、その反射率を低くする役割を果たす層である。反射防止フィルタは、低屈折率層、高屈折率層、及び/又は中屈折率層が複数層形成された多層構造が一般的であり、例えば、低屈性率層と高屈折率層とを交互に積層した構成が挙げられる。これら各層は、蒸着やスパッタ等の乾式法で、或いは塗工等の湿式法も利用して形成することができる。
低屈折率層には、後述する防眩フィルタの低屈折率層及び低屈折率剤の説明で挙げられる材料が用いられ、高屈折率層及び中屈折率層には、後述する防眩フィルタの高屈折率剤/中屈折率剤の説明で挙げられる材料が用いられる。
[防眩フィルタ]
防眩(AG)フィルタは、通常、複合フィルタの観察者側の最表面に設けられ、当該フィルタに入射する外光の鏡面反射(正反射ともいう。以下適宜両呼称を使い分ける)による強い光の映り込みを防ぎ、あらゆる方向に弱く反射(拡散反射)させることにより、防眩性を発現する層である。防眩フィルタとしては、樹脂バインダ中にシリカなどの無機フィラーを添加した塗膜形成や、或いは賦形シートや賦形版等を用いた賦形加工により、層表面に外光を乱反射する微細凹凸を設けた層として形成することができる。樹脂バインダの樹脂としては、表面層として表面強度が望まれる関係上、硬化性アクリル樹脂や、下記ハードコート層同様に電離放射線硬化性樹脂等が好適に使用される。
本発明の複合フィルタは、観察者側の最表面が凹凸形状を有する防眩層を観察者側の表面に配置してなる複合フィルタであって、前記防眩層の凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の十点平均粗さをRzとした場合に、
Smが60μm以上250μm以下であり、
θaが0.3度以上1.0度以下であり、
Rzが0.3μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
従来、PC(パーソナルコンピュータ)用途の画像表示装置の前面に設けられてきた、防眩層を有する複合フィルタは、当該防眩層表面の微細な凹凸形状が、当該複合フィルタに入射する外光の鏡面反射による強い光の映り込みを防ぎ、あらゆる方向に弱く反射(拡散反射)させるため、防眩性は十分であるが、一方で、観測者の目に入射する当該拡散反射光が、画像表示装置から発生する表示光の再現性を損なわせ、特に本来の濡れたような黒色(艶黒感)が再現されにくいという欠点があった。
防眩層の最表面の形状が上記条件を満たしている場合、従来用いられてきた防眩層にくらべて、表面はなめらかで緩やかな凹凸形状であり、かかる凹凸形状が複合フィルタに入射した外光は正反射角近傍に適度に拡散反射するため、必要な防眩性を有しつつ、従来の複合フィルタでは実現することが困難であった黒色再現性、特に艶黒感を顕著に改善することができる。また、透明導電体層の存在により電磁波遮蔽機能を併せ持つことから、様々なディスプレイにおいて使用可能な画像表示装置用複合フィルタを提供することが可能であり、特に、電磁波を遮蔽する必要性の高いPDPに適用する場合にも非常に有効である。また、LCDに用いる場合は、ディスプレイ内部におけるバックライト背面からの透過光が、パネル最表面に形成された防眩層の凹凸形状面を透過するとき、その凹凸形状が微細なレンズの役割をして、表示される画素等を乱してしまう状態、いわゆる「ギラツキ」を防止することができる。
なお、本発明において、本来の濡れたような黒色とは、明室環境下において、外光の正反射光及び拡散反射光が観測者の目に届かない状態で、画像表示装置に黒色表示させたときに、濡れたような艶のある黒色を示すことを意味し、このような黒色を艶黒感と称している。
艶黒感は明室環境下で黒色表示したパネルを想定した黒のアクリル板に、本発明品を貼り合わせ、目視観測することにより評価する。具体的には、黒色アクリル板202に、例えば、日立化成工業(株)製、商品名「DA−1000」などの光学フィルム用のアクリル系粘着剤などの透明粘着剤で本発明の複合フィルタ201を貼りあわせた評価用サンプル200を水平面に置き、評価用サンプル200、評価者203、及び三波長線管(30W)204を図7に示すような位置関係で配置し、三波長線管204を点灯させた状態で目視官能評価を行い、艶のある黒色を再現することができるか否かにより良否を判定する。
また、本発明において映り込み防止性能(防眩性)は、以下のような方法で評価する。図8は、本発明に係る画像表示装置用複合フィルタの、映り込み防止性能の測定法を模式的に示したものである。複合フィルタ201の表示装置側に、黒色アクリル板202を、光学フィルム用アクリル系粘着剤(日立化成工業(株)社製、商品名「DA−1000」)を介して貼り合わせた評価用サンプル200を、冶具205に備え付ける。また、幅20mmの白黒ストライプ板206を用意する。評価用サンプル200、評価者203、及び白黒ストライプ板206を図8に示すような位置関係で配置し、更に、室内の天井の任意の位置に、任意の数だけ設けられた三波長線管204との位置関係を調整して、サンプル面の照度が250lxで、ストライプの輝度(白)が65cd/mとなるようにする。この状態で観察者がサンプルを見たときに、映り込んだストライプが認識できるか否かにより、良否を判定する。
尚、本明細書において使用するRz、Sm、θa、Yは下記の通り定義される。
≪凹凸の平均間隔Sm(μm)、平均傾斜角θa、10点平均粗さ(Rz)≫
本発明による複合フィルタを構成する防眩層は凹凸形状を有する。Sm(μm)とは、この防眩層の凹凸の平均間隔を表し、θa(度)は凹凸部の平均傾斜角を表し、(Rz)は、10点平均粗さを表す。これらの用語の定義は、JIS B0601 1994に準拠し、表面粗さ測定器(型番:SE−3400/小坂研究所製)の取り扱い説明書(1995,07,20改訂)にも記載されている。θa(度)は角度単位であり、傾斜を縦横比率で表したものがΔaである場合、Δa=tanθa=(各凹凸の極小部と極大部の差(各凸部の高さに相当)の総和/基準長さ)で求められる。ここで、「基準長さ」とは、下記の測定条件:と同じで、SE-3400で実際に触針測定する測定長さ(カットオフ値λc)であり、本発明では0.8mmを使用している。
本発明では、SE−3400/小坂研究所製にて、以下の条件で測定を実施した。
1)表面粗さ検出部の触針:
型番/SE2555N(2μm標準)(株)小坂研究所製
(先端曲率半径2μm/頂角:90度/材質:ダイヤモンド)
2)表面粗さ測定器の測定条件:
基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):0.8mm
評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):4.0mm
触針の送り速さ:0.1mm/s
≪表面ヘイズ≫
ヘイズ値は、JIS K−7136に従って測定することができる。測定に使用する機器としては、反射・透過率計HM−150(村上色彩技術研究所)が挙げられる。
「表面ヘイズ」は、以下のように求められる。防眩層の凹凸上にペンタエリスリトールトリアクリレートなどの樹脂(モノマー又はオリゴマー等の樹脂成分を包含する)をメチルエチルケトン、トルエン、及びその混合溶媒などで希釈し、固形分60%としたものをワイヤーバーで乾燥膜厚が8μmとなるように塗布する。これによって、防眩層の表面凹凸がつぶれ、平坦な層となる。ただし、この防眩層を形成する組成物中にレベリング剤などが入っていることで、リコート剤がはじきやすく濡れにくいような場合は、あらかじめ防眩フィルムをケン化処理(2mol/l のNaOH(又はKOH)溶液に55℃条件下、3分間浸したのち、水洗し、キムワイプで水滴を完全に除去した後、オーブンを用いて50℃条件下、1分間乾燥)により、親水処理を施すとよい。この表面を平坦にしたフィルムは、表面凹凸によるヘイズをもたない、内部ヘイズだけを持つ状態となっている。このヘイズを、内部ヘイズとして求めることができる。そして、内部ヘイズを、元のフィルムのヘイズ(全体ヘイズ)から差し引いた値が、表面凹凸だけに起因するヘイズ(表面ヘイズ)として求められる。
≪反射Y値≫
本発明において、反射Y値はJIS Z8722で定義されるものであり、島津製作所製 MPC3100分光光度計にて、5°正反射率を380〜780nmまでの波長範囲で測定し、その後、人間が目で感じる明度として換算するソフト(MPC3100内蔵)で算出される、視感反射率を示す値である。なお、5°正反射率を測定する場合には、光学積層体であるフィルムの裏面反射を防止するため、測定膜面とは逆側に、黒テープ(寺岡製)を貼って測定する。
最表面が上記特定の凹凸形状を有する防眩層は、1層又は2層以上からなり、少なくとも凹凸層を有し、必要に応じて表面形状調整層、低屈折率層を有する。
〔凹凸層〕
凹凸層は、光透過性基材や当該基材に積層した任意の層上に形成する。凹凸層を形成する方法の例としては、上記光透過性基材等の表面に、1)樹脂に透光性微粒子を添加した凹凸層用組成物を用いて凹凸層を形成する方法、2)透光性微粒子を添加しないで、樹脂等のみを含んだ凹凸層用組成物を用いて凹凸層を形成する方法、3)塗膜に凹凸形状を賦型して凹凸層を形成する方法等が挙げられる。
また、本発明にあっては、上記光透過性基材等の表面に、予め調製しておいた凹凸層を積層してもよい。この場合、上記1)〜3)の方法によって別途調製された凹凸層であってよい。
凹凸層用組成物を付与して凹凸層を形成する場合には、凹凸層用組成物をゲル分率で30%以上80%以下、好ましくは下限が35%以上であり、より好ましくは40%以上であり、好ましくは下限が70%以下であり、より好ましくは60%以下で硬化させることが、凹凸層と表面形状調整層との密着性と、耐擦傷性がよい点から好ましい。
尚、ゲル分率は、例えば、該組成物が紫外線硬化性樹脂の場合には、以下の方法により求めることができる。まず、サンプルとして、凹凸層用組成物の成分のうち、モノマー、オリゴマー、ポリマー、その他添加剤など、透光性微粒子以外の成分を含むインキを作製し、厚さ50μmPET基材上に、5μmの膜厚に塗工し、10〜100mJの範囲で10mJ間隔でUV照射条件を変えて照射したサンプルを各々作製する。次に、当該サンプルを10cm角に切り、n数を三点取り、重さAを測定する。次に、モノマーが溶解すると考えられる溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、トルエン、及びその混合溶媒など。アクリレート系組成物の場合、代表的にはアセトン、メチルエチルケトン。)に12時間以上浸漬し、溶剤から各サンプルを取り出して、オーブンで十分乾燥(60℃×2分)し、乾燥したサンプルの重さBを測定する。次に、溶剤に浸漬前の重さAと、乾燥したサンプルBとの差をとり、この値をCとする。最後に、下記式を用いて各照射量毎のゲル分率(%)を算出する。
「ゲル分率(%)」=100−C/A
1)樹脂に透光性微粒子を添加した凹凸層用組成物を用いて形成される凹凸層
本発明の複合フィルタの一実施形態として、凹凸層が、前記光透過性基材又は透明導電体層の観察者側の表面に、樹脂に透光性微粒子を添加した凹凸層用組成物を塗工して凹凸層を形成する方法によって形成されたものである複合フィルタを挙げることができる。
(透光性微粒子)
透光性微粒子は、目的に応じ、1種類だけでなく、成分が異なるもの、形状が異なるもの、粒度分布が異なるものなどを2種類以上混合して用いることができる。好ましくは、1〜3種類用いるのがよい。但し、凹凸を形成する以外の目的のために、更に多種の粒子を用いることもできる。
本発明に用いられる1種又は2種以上の透光性微粒子は、球状、例えば真球状、回転楕円体状等のものであってよく、真球状であることがより好ましい。1種又は2種以上の透光性微粒子の各平均粒子径(μm)は、0.5μm以上20μm以下であることが好ましく、0.5μm以上10.0μm以下がより好ましい。より好ましい。0.5μm未満の場合、防眩層に添加すべき前記透光性微粒子の添加量を非常に多くしないと、十分な防眩性や光拡散効果が得にくくなる。また、粒径が20μmを超えるときは、防眩層の表面形状が粗くなり、面質を悪化させたり、表面へイズの上昇により白味が増してしまう恐れがある。なお、透光性微粒子の平均粒子径とは、含有される各々の粒子が、単分散型の粒子(形状が単一な粒子)であれば、その平均粒子径を表し、ブロードな粒度分布を持つ不定形型の粒子であれば、粒度分布測定により、最も多く存在する粒子の粒径を平均粒子径として表している。上記微粒子の粒径は、主に、コールターカウンター法により計測できる。また、この方法以外に、レーザー回折法、SEM写真撮影による測定によっても計測できる。また、上記透光性微粒子は、凝集粒子であってもよく、凝集粒子である場合は、二次粒子径が上記範囲内であることが好ましい。
上記各透光性微粒子は、透光性微粒子全体の80%以上(好ましくは90%以上)が、各平均粒子径±1.0(好ましくは0.3)μmの範囲内にあることが好ましい。これによって、防眩層の凹凸形状の均一性を良好なものとすることができる。但し、平均粒子径が3.5μm未満の微粒子を使用する場合には、上記の粒径分布範囲外になる微粒子、例えば2.5μm、1.5μmの不定形微粒子を使用してもよい。
上記各透光性微粒子は、特に限定されず、無機系、有機系のものが使用することができる。有機系材料により形成されてなる微粒子の具体例としては、プラスチックビーズを挙げることができる。プラスチックビーズとしては、ポリスチレンビーズ(屈折率1.60)、メラミン樹脂ビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.50〜1.53)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54〜1.58)、ベンゾグアナミンビーズ、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合ビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、等が挙げられる。上記プラスチックビーズは、その表面に疎水性基を有することが好ましく、例えば、スチレンビーズを挙げることができる。無機系微粒子としては、不定形シリカ、無機シリカビーズ等を挙げることができる。
上記不定形シリカは、分散性が良好な粒径0.5〜5μmのシリカビーズを使用することが好ましい。以下で詳述する防眩層形成用塗工液の粘度上昇を生じることなく上記不定形シリカの分散性を良好なものとするために、粒子表面に有機物処理を施して疎水化した不定形シリカを使用することが好ましい。上記有機物処理には、ビーズ表面に化合物を化学的に結合させる方法や、ビーズ表面とは化学的に結合させることなく、ビーズを形成する組成物に存在するボイドなどに浸透させるような物理的な方法があり、どちらを使用してもよい。一般的には、水酸基またはシラノール基等のシリカ表面の活性基を利用する化学的処理法が、処理効率の観点で好ましく用いられる。処理に使用する化合物としては、上述活性基と反応性の高いシラン系、シロキサン系、シラザン系材料などが用いられる。例えば、メチルトリクロロシラン等の、直鎖アルキル単置換シリコーン材料、分岐アルキル単置換シリコーン材料、或いはジ-n-ブチルジクロロシラン、エチルジメチルクロロシラン等の直鎖アルキル多置換シリコーン化合物や、分岐鎖アルキル多置換シリコーン化合物が挙げられる。同様に、直鎖アルキル基若しくは分岐アルキル基の単置換、多置換シロキサン材料、シラザン材料も有効に使用することができる。
必要機能に応じ、アルキル鎖の末端、乃至中間部位に、ヘテロ原子、不飽和結合基、環状結合基、芳香族官能基等を有するものを使用しても構わない。
これらの化合物は、含まれるアルキル基が疎水性を示すため、被処理材料表面を、親水性から疎水性に容易に変換することが可能となり、未処理では親和性の乏しい高分子材料とも、高い親和性を得ることができる。
本発明において2種類以上の透光性微粒子を混合して用いる場合には、第1の微粒子の平均粒子径をR1(μm)とし、第2の微粒子の平均粒子径をR2(μm)とした場合に、下記式(I):
0.25R1(好ましくは0.50R1)≦R2≦1.0R1(好ましくは0.70R1)(I)
を満たすものが好ましい。
2が0.25R1以上であることにより、塗布液の分散が容易となり、粒子が凝集することがない。また、塗布後の乾燥工程においてフローティング時の風の影響を受けることなく、均一な凹凸形状を形成することができる。この関係は、第2の微粒子に対する第3の微粒子にも成り立つ。第3の微粒子をR3とすると、
0.25R2≦R3≦1.0R2
を満たすものが好ましい。
互いに異なる成分からなる2種類以上の微粒子を混合して用いる場合には、当該2種類以上の微粒子は、上記のように平均粒子径が異なることも好ましいが、同じ平均粒子径であるものも好適に用いられる。
また、本発明の別の態様によれば、バインダと、第1の微粒子と、第2の微粒子との単位面積当りの総質量比が、第1の微粒子の単位面積当りの総質量をM、第2の微粒子の単位面積当りの総質量をM、バインダの単位面積当りの総質量をMとした場合に、下記の式(II)及び(III):
0.08≦(M+M)/M≦0.36 (II)
0≦M≦4.0M (III)
を満たすものが好ましい。
中でも、上記第2の微粒子の含有量は、上記第1の微粒子の含有量に対して、3〜100質量%であることが好ましい。また、3種類以上の微粒子を含む場合、第3の微粒子の含有量は、第2の微粒子の3〜100質量%であることが好ましい。第4の微粒子以降の粒子含有量も、この関係に従うのが好ましい。
本発明における防眩層は、表面の凹凸を形成し防眩性を付与するだけでなく、マトリクスと透光性微粒子との屈折率の違いにより生じる内部散乱性(屈折率差が大きいほど、内部散乱性は大きくなる)を付与することが好ましい。
この内部散乱性は、防眩性フィルムで問題となるギラツキ(表面凹凸がレンズの働きをし、特に、画素サイズの小さい高精細ディスプレイの場合に、輝度のバラツキを生じさせ、視認性の低下を引き起こす現象)改良性を持たせることができる。
このようなギラツキ改良性を付与する透光性微粒子としては、前記バインダの屈折率との差が0.03〜0.20であるものを用いることが好ましい。防眩層に含まれるバインダと透光性微粒子との屈折率の差を0.03以上、0.20以下が好ましいとしたのは、屈折率差が0.03未満の場合は、両者の屈折率の差が小さすぎて、光拡散効果を得られず、又、屈折率差が0.20よりも大きい場合は、光拡散性が高すぎて、フィルム全体が白化してしまうからである。なお、前記透光性微粒子と前記バインダとの屈折率差は、0.04以上、0.16以下が特に好ましい。
前記透光性微粒子において、2種類以上の異なる屈折率を有する透光性微粒子を用い、それら透光性微粒子の混合を行なう場合には、透光性微粒子の屈折率は、各々の透光性微粒子の屈折率と使用比率とに応じた平均値として見なすことができ、透光性微粒子の混合比率調整により細かい屈折率設定が可能となり、1種類の場合よりも制御が容易となり、様々な設計が可能となる。
従って、本発明においては、前記透光性微粒子として2種類以上の異なる屈折率を有する透光性微粒子を用いても良い。この場合には、第1の透光性微粒子と第2の透光性微粒子との屈折率の差を0.03以上、0.10以下とすることが好ましい。前記透光性微粒子のうち、第1の透光性微粒子と第2の透光性微粒子との屈折率の差を0.03以上、0.10以下が好ましいとしたのは、屈折率差が0.03未満の場合は、両者の屈折率の差が小さすぎて、両者を混合しても屈折率の制御の自由度が小さく、又、屈折率差が0.10よりも大きい場合は、マトリクスとの屈折率差の大きい透光性微粒子により光拡散性が決定してしまうからである。なお、前記屈折率差は、0.04以上、0.09以下がより好ましく、0.05以上、0.08以下が特に好ましい。
前記防眩層に含有させる第1の透光性微粒子としては、特に透明度が高く、バインダとの屈折率差が前述のような数値になるものが好ましい。第1の透光性微粒子に用いられる有機微粒子としては、具体的には、アクリルビーズ(屈折率1.49〜1.533)、アクリル−スチレン共重合体ビーズ(屈折率1.55)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.57)等が挙げられる。無機微粒子としては、不定形シリカビーズ(屈折率1.45〜1.50)が挙げられる。
第2の透光性微粒子としては、有機微粒子が好適であり、特に透明度が高く、透光性樹脂との屈折率差が前述のような数値になるものを組み合わせて用いることが好ましい。
第2の透光性微粒子に用いられる有機微粒子としては、具体的にはスチレンビーズ(屈折率1.60)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合ビーズ(1.66)等が挙げられる。
また、前記透光性微粒子として2種類の異なる屈折率を有する透光性微粒子を用いる場合には、前述のように、第1の透光性微粒子の粒径>第2の透光性微粒子の粒径とすることも好ましいが、あえて2種類の微粒子の粒径を揃えることにより、第1の透光性微粒子と第2の透光性微粒子の比率を自由に選択し用いることもでき、このようにすることで、光拡散性の設計が容易になる。第1の透光性微粒子と第2の透光性微粒子との粒径を揃えるためには、単分散粒子が得やすい有機微粒子が、この点で好ましい。粒径にばらつきがないほど、防眩性や内部散乱特性にばらつきが少なくなり、防眩層の光学性能設計が容易になるので好ましい。単分散性を更に上げる手段として、風力分級、ろ過フィルタによる湿式ろ過分級が挙げられる。
凹凸層において、前記透光性微粒子の合計の含有量は、凹凸層の固形分全質量に対して、5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、10質量%以上30質量%以下である。5質量%未満であると、十分な防眩性や内部散乱性が付与できず、40質量%を超えると、膜強度が落ち、防眩層にハードコート性を付与させることができないので好ましくない。
上記のような透光性微粒子を多く添加した場合には、樹脂組成物中で透光性微粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性微粒子の沈降防止に有効であるが、粒径や使用量によっては、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、バインダに対して塗膜の透明性を損なわない程度に含有させるとよい。
また、凹凸層には、屈折率の調整を目的として、無機フィラーを含有させても良い。すなわち、バインダと前記透光性微粒子の屈折率差を適切に大きくできない場合に、透光性微粒子が拡散している、透光性微粒子を除外した部分の防眩層のマトリクスの屈折率を調節するために、バインダ中に適宜無機フィラーを加えても良い。この場合に用いられる無機フィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダに該無機フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞うようなものが好ましい。
本発明の凹凸層のバインダ、透光性微粒子および無機フィラーの混合物のバルクの屈折率、すなわち、凹凸層の屈折率は、1.48〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.51〜1.80、更に好ましくは1.54〜1.70である。なお、透光性微粒子を除外した部分の防眩層のマトリクスの屈折率は、1.50〜2.00であることが好ましい。屈折率を上記範囲とするには、バインダ、透光性微粒子及び/又は無機フィラーの種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
以上のようにすると、前記透光性微粒子と凹凸層マトリクスとの適切な屈折率差の選択により、フィルム全体が白化したりすること化することができ、ギラツキを抑えることができる。
(樹脂)
凹凸層は上記透光性微粒子と、硬化型樹脂により形成することができる。本発明において、「樹脂」は、所謂狭義の樹脂である重合体高分子(ポリマー)の他、モノマー(単量体)、オリゴマー、プレポリマー等の樹脂成分を包含する概念である。硬化型樹脂としては、透明性のものが好ましく、その具体例としては、紫外線または電子線で代表される電離放射線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂と溶剤乾燥型樹脂(熱可塑性樹脂など、塗工時に固形分を調整するための溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂)との混合物、または熱硬化型樹脂の三種類が挙げられ、好ましくは電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂の具体例としては、(メタ)アクリレート基等のラジカル重合性官能基を有する化合物、例えば、(メタ)アクリレート系のオリゴマー、プレポリマー、或いは単量体(モノマー)が挙げられる。具体的には、(メタ)アクリレート系オリゴマー又はプレポリマーとしては、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジェン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アルリル酸エステルから成るオリゴマー又はプレポリマーが挙げられる。又、(メタ)アクリレート系単量体としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。尚、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートを意味する。
(メタ)アクリレート系化合物以外の例としては、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能又は多官能単量体、或いはビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、芳香族ビニルエーテル、脂肪族ビニルエーテル等のオリゴマー又はプレポリマー等のカチオン重合性官能基を有する化合物が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用する場合には、光重合開始剤または光重合促進剤として増感剤を添加することができる。
光重合開始剤の具体例としては、ラジカル重合性官能基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、ベンゾイン類、ベンゾインメチルエーテル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、アシルホスフィンオキシド類、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、等が挙げられ、これらを単独で、又は混合して用いる。1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンは、例えば商品名イルガキュア184(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)として入手可能である。また、α-アミノアルキルフェノン類としては、例えば商品名イルガキュア907、369として入手可能である。
カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。
また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性組成物100重量部に対し、0.1〜10重量部である。
電離放射線硬化型樹脂に混合して使用される溶剤乾燥型樹脂としては、主として熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は一般的に例示されるものが利用される。溶剤乾燥型樹脂の添加により、塗布面の塗膜欠陥を有効に防止することができる。好ましい熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(例えば、2,6−キシレノールの重合体)、セルロース誘導体(例えば、セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類)、シリコーン樹脂(例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン)、ゴム又はエラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム)等が好ましい。
スチレン系樹脂の具体例としては、スチレン系単量体の単独又は共重合体(例えば、ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体)、スチレン系単量体と他の重合性単量体[例えば、(メタ)アクリル系単量体、無水マレイン酸、マレイミド系単量体、ジエン類]との共重合体等が含まれる。スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体[例えば、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体等]、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。好ましいスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体[例えば、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のスチレンとメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体]、AS樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等が含まれる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体との共重合体等が使用できる。(メタ)アクリル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸C1−10アルキル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリール;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル;トリシクロデカン等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート等が例示できる。共重合性単量体の具体例としては、前記スチレン系単量体、ビニルエステル系単量体、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等が例示でき、これらの単量体は、単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
(メタ)アクリル系樹脂の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂等)等が挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂の具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキル、特にメタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%程度)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
有機酸ビニルエステル系樹脂の具体例としては、ビニルエステル系単量体の単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニル、ポリプロピオン酸ビニル等)、ビニルエステル系単量体と共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等)又はそれらの誘導体が挙げられる。ビニルエステル系樹脂の誘導体の具体例としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール樹脂等が含まれる。
ビニルエーテル系樹脂の具体例としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルt−ブチルエーテル等のビニルC1−10アルキルエーテルの単独又は共重合体、ビニルC1−10アルキルエーテルと共重合性単量体との共重合体(ビニルアルキルエーテル−無水マレイン酸共重合体等)が挙げられる。ハロゲン含有樹脂の具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
オレフィン系樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィンの単独重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の共重合体が挙げられる。脂環式オレフィン系樹脂の具体例としては、環状オレフィン(例えば、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン)の単独又は共重合体(例えば、立体的に剛直なトリシクロデカン等の脂環式炭化水素基を有する重合体)、前記環状オレフィンと共重合性単量体との共重合体(例えば、エチレン−ノルボルネン共重合体、プロピレン−ノルボルネン共重合体)等が例示できる。脂環式オレフィン系樹脂の具体例としては、商品名「アートン(ARTON)」、商品名「ゼオネックス(ZEONEX)」等として入手できる。
ポリカーボネート系樹脂の具体例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の脂肪族ポリカーボネート等が含まれる。
ポリエステル系樹脂の具体例としては、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸を用いた芳香族ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリC2−4アルキレンテレフタレートやポリC2−4アルキレンナフタレート等のホモポリエステル、C2−4アルキレンアリレート単位(C2−4アルキレンテレフタレート及び/又はC2−4アルキレンナフタレート単位)を主成分(例えば、50重量%以上)として含むコポリエステル等、が例示できる。コポリエステルの具体例としては、ポリC2−4アルキレンアリレートの構成単位のうち、C2−4アルキレングリコールの一部を、ポリオキシC2−4アルキレングリコール、C6−10アルキレングリコール、脂環式ジオール(シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香環を有するジオール(フルオレノン側鎖を有する9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、ビスフェノールA、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体等)等で置換したコポリエステル、芳香族ジカルボン酸の一部を、フタル酸、イソフタル酸等の非対称芳香族ジカルボン酸、アジピン酸等の脂肪族C6−12ジカルボン酸等で置換したコポリエステルが含まれる。ポリエステル系樹脂の具体例としては、ポリアリレート系樹脂、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸を用いた脂肪族ポリエステル、ε−カプロラクトン等のラクトンの単独又は共重合体も含まれる。好ましいポリエステル系樹脂は、通常、非結晶性コポリエステル(例えば、C2−4アルキレンアリレート系コポリエステル等)等のように非結晶性である。
ポリアミド系樹脂の具体例としては、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12等の脂肪族ポリアミド、ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸等)とジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン)とから得られるポリアミド等が挙げられる。ポリアミド系樹脂の具体例としては、ε−カプロラクタム等のラクタムの単独又は共重合体であってもよく、ホモポリアミドに限らずコポリアミドであってもよい。
セルロース誘導体のうちセルロースエステル類の具体例としては、例えば、脂肪族有機酸エステル、例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート等のセルロースアセテート;セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のC1−6有機酸エステル等が挙げられ、芳香族有機酸エステル(セルロースフタレート、セルロースベンゾエート等のC7−12芳香族カルボン酸エステル)、無機酸エステル類、例えば、リン酸セルロース、硫酸セルロース等)が例示でき、酢酸・硝酸セルロースエステル等の混合酸エステルであってもよい。セルロース誘導体の具体例としては、セルロースカーバメート類(例えば、セルロースフェニルカーバメート等が挙げられ、セルロースエーテル類、例えば、シアノエチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシC2−4アルキルセルロース;メチルセルロース、エチルセルロース等のC1−6アルキルセルロース;カルボキシメチルセルロース又はその塩、ベンジルセルロース、アセチルアルキルセルロース等が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、光透過性基材の材料がトリアセチルセルロース「TAC」等のセルロース系樹脂の場合、熱可塑性樹脂の好ましい具体例として、セルロース系樹脂、例えばニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。セルロース系樹脂を用いることにより、光透過性基材と必要に応じて設ける帯電防止層との密着性と透明性とを向上させることができる。さらに、上記したアセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体の他に、酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、アクリル樹脂及びその共重合体、メタアクリル樹脂及びその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂を用いる場合、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等をさらに添加して使用することができる。
(凹凸層の形成)
凹凸層は、透光性微粒子と樹脂とを適切な溶剤、例えば、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロルエタン等のハロゲン化炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素またはこれらの混合物に、混合して得た塗工用組成物を光透過性基材に塗布することにより形成することができる。前記透光性微粒子は、好ましくは、第1の微粒子と第2の微粒子からなるか、第1の微粒子と第2の微粒子と第3の微粒子からなるのがよい。
本発明の好ましい態様によれば、上記の塗工用組成物に、フッ素系またはシリコーン系などのレベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤を添加した塗工用組成物は、塗布または乾燥時に塗膜表面に対して塗工安定性、滑り性や防汚性を付与でき、かつ、耐擦傷性の効果を付与することを可能とする。
塗工用組成物を光透過性基材に塗布する方法としては、ロールコート法、ミヤバーコート法、グラビアコート法等の塗布方法が挙げられる。塗工用組成物の塗布後に、乾燥と紫外線硬化を行う。紫外線源の具体例としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が挙げられる。紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、または直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。樹脂が硬化し、樹脂中の透光性微粒子が固定されて、防眩層の最表面に所望の凹凸形状が形成される。
2)透光性微粒子を含まず、樹脂等を含んだ凹凸層用組成物で形成される凹凸層
本発明の複合フィルタの別の実施形態として、凹凸層が、前記微粒子を含まず、少なくとも1つのポリマー、少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体、及び溶剤を含む凹凸層用組成物を、光透過性基材又は透明導電体層上に塗工し、液相からのスピノーダル分解により、相分離構造を形成し、硬化性樹脂前駆体を硬化させたものである複合フィルタが挙げられる。
(ポリマー)
ポリマーは、スピノーダル分解により相分離可能な複数のポリマー、例えば、セルロース誘導体と、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂等、またはこれらの組合せが挙げられる。硬化性樹脂前駆体は、複数のポリマーのうち、少なくとも一種のポリマーと相溶性を有していてもよい。複数のポリマーのうち、少なくとも1つのポリマーが、硬化性樹脂前駆体の硬化反応に関与する官能基、例えば、(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有していてもよい。ポリマー成分としては、通常、熱可塑性樹脂が使用される。
熱可塑性樹脂の具体例としては、1)樹脂に透光性微粒子を添加した凹凸層用組成物を用いて形成される凹凸層について説明した熱可塑性樹脂と同様の樹脂の中から、単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
好ましい熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、及びゴム又はエラストマー等が挙げられる。樹脂としては、通常、非結晶性であり、かつ有機溶剤(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶剤)に可溶な樹脂が使用される。特に、成形性又は製膜性、透明性や耐候性の高い樹脂、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
ポリマー成分としては、硬化反応に関与する官能基(又は硬化性化合物と反応可能な官能基)を有するポリマーを用いることもできる。このポリマーは、官能基を主鎖に有していてもよく、側鎖に有していてもよい。前記官能基は、共重合や共縮合等により主鎖に導入されてもよいが、通常、側鎖に導入される。このような官能基の具体例としては、縮合性基や反応性基(例えば、ヒドロキシル基、酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基又はイミノ基、エポキシ基、グリシジル基、イソシアネート基)、重合性基(例えば、ビニル、プロペニル、イソプロペニル基、ブテニル、アリル等のC2−6アルケニル基、エチニル、プロピニル、ブチニル等のC2−6アルキニル基、ビニリデン等のC2−6アルケニリデン基、又はこれらの重合性基を有する基(例えば、(メタ)アクリロイル基)等が挙げられる。これらの官能基のうち、重合性基が好ましい。
重合性基を側鎖に導入する方法としては、例えば、反応性基や縮合性基等の官能基を有する熱可塑性樹脂と、前記官能基との反応性基を有する重合性化合物とを反応させる方法を用いることができる。
官能基を有する熱可塑性樹脂としては、カルボキシル基又はその酸無水物基を有する熱可塑性樹脂(例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂)、ヒドロキシル基を有する熱可塑性樹脂(例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース誘導体、ポリアミド系樹脂)、アミノ基を有する熱可塑性樹脂(例えば、ポリアミド系樹脂)、エポキシ基を有する熱可塑性樹脂(例えば、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系樹脂やポリエステル系樹脂)等が例示できる。また、スチレン系樹脂やオレフィン系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂に、前記官能基を共重合やグラフト重合で導入した樹脂であってもよい。
重合性化合物としては、カルボキシル基又はその酸無水物基を有する熱可塑性樹脂の場合は、エポキシ基やヒドロキシル基、アミノ基、イソシアネート基等を有する重合性化合物等を用いることができる。ヒドロキシル基を有する熱可塑性樹脂の場合は、カルボキシル基又はその酸無水物基やイソシアネート基等を有する重合性化合物等が挙げられる。アミノ基を有する熱可塑性樹脂の場合は、カルボキシル又はその酸無水物基やエポキシ基、イソシアネート基等を有する重合性化合物等が挙げられる。エポキシ基を有する熱可塑性樹脂の場合は、カルボキシル基又はその酸無水物基やアミノ基等を有する重合性化合物等が挙げられる。
前記重合性化合物のうち、エポキシ基を有する重合性化合物としては、例えば、エポキシシクロヘキセニル(メタ)アクリレート等のエポキシシクロC5−8アルケニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が例示できる。ヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシC1−4アルキル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のC2−6アルキレングリコール(メタ)アクリレート等が例示できる。アミノ基を有する重合性化合物としては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノC1−4アルキル(メタ)アクリレート、アリルアミン等のC3−6アルケニルアミン、4−アミノスチレン、ジアミノスチレン等のアミノスチレン類等が例示できる。イソシアネート基を有する重合性化合物としては、例えば、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレートやビニルイソシアネート等が例示できる。カルボキシル基又はその酸無水物基を有する重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸や無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸又はその無水物等が例示できる。
代表的な例としては、カルボキシル基又はその酸無水物基を有する熱可塑性樹脂とエポキシ基含有化合物、特に(メタ)アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等)とエポキシ基含有(メタ)アクリレート(エポキシシクロアルケニル(メタ)アクリレートやグリシジル(メタ)アクリレート等)の組み合わせが挙げられる。具体的には、(メタ)アクリル系樹脂のカルボキシル基の一部に重合性不飽和基を導入したポリマー、例えば、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のカルボキシル基の一部に、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチルアクリレートのエポキシ基を反応させて、側鎖に光重合性不飽和基を導入した(メタ)アクリル系ポリマー(サイクロマーP、ダイセル化学工業(株)製)等が使用できる。
熱可塑性樹脂に対する硬化反応に関与する官能基(特に重合性基)の導入量は、熱可塑性樹脂1kgに対して、0.001〜10モル、好ましくは0.01〜5モル、さらに好ましくは0.02〜3モル程度である。
これらのポリマーは適当に組み合わせて使用できる。すなわち、ポリマーは複数のポリマーで構成されていてもよい。複数のポリマーは、液相スピノーダル分解により、相分離可能であってもよい。また、複数のポリマーは、互いに非相溶であってもよい。複数のポリマーを組み合わせる場合、第1の樹脂と第2の樹脂との組み合わせは特に制限されないが、加工温度付近で互いに非相溶な複数のポリマー、例えば、互いに非相溶な2つのポリマーとして適当に組み合わせて使用できる。例えば、第1の樹脂がスチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等)である場合、第2の樹脂は、セルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル類)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル等)、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(前記ポリC2−4アルキレンアリレート系コポリエステル等)等であってもよい。また、例えば、第1のポリマーがセルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル類)である場合、第2のポリマーは、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等)、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(前記ポリC2−4アルキレンアリレート系コポリエステル等)等であってもよい。複数の樹脂の組合せにおいて、少なくともセルロースエステル類(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロースC2−4アルキルカルボン酸エステル類)を用いてもよい。
スピノーダル分解により生成された相分離構造は、活性光線(紫外線、電子線等)や熱等により最終的に硬化し、硬化樹脂を形成する。そのため、防眩層に耐擦傷性を付与でき、耐久性を向上できる。
硬化後の耐擦傷性の観点から、複数のポリマーのうち、少なくとも一つのポリマー、例えば、互いに非相溶なポリマーのうち一方のポリマー(第1の樹脂と第2の樹脂とを組み合わせる場合、特に両方のポリマー)が硬化性樹脂前駆体と反応可能な官能基を側鎖に有するポリマーであるのが好ましい。
第1のポリマーと第2のポリマーとの割合(重量比)は、例えば、第1のポリマー/第2のポリマーが、1/99〜99/1、好ましくは5/95〜95/5、さらに好ましくは10/90〜90/10程度の範囲から選択でき、通常、20/80〜80/20程度、特に30/70〜70/30程度である。
相分離構造を形成するためのポリマーとしては、前記非相溶な2つのポリマー以外にも、前記熱可塑性樹脂や他のポリマーが含まれていてもよい。
ポリマーのガラス転移温度は、例えば、−100℃〜250℃、好ましくは−50℃〜230℃、さらに好ましくは0〜200℃程度(例えば、50〜180℃程度)の範囲から選択できる。なお、表面硬度の観点から、ガラス転移温度は、50℃以上(例えば、70〜200℃程度)、好ましくは100℃以上(例えば、100〜170℃程度)であるのが有利である。ポリマーの重量平均分子量は、例えば、1,000,000以下、好ましくは1,000〜500,000程度の範囲から選択できる。
(硬化性樹脂前駆体)
硬化性樹脂前駆体としては、熱や活性エネルギー線(紫外線や電子線等)等により反応する官能基を有する化合物であり、熱や活性エネルギー線等により硬化又は架橋して樹脂(特に硬化又は架橋樹脂)を形成可能な種々の硬化性化合物が使用できる。前記樹脂前駆体としては、例えば、熱硬化性化合物又は樹脂[エポキシ基、重合性基、イソシアネート基、アルコキシシリル基、シラノール基等を有する低分子量化合物(例えば、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂)]、活性光線(紫外線等)により硬化可能な光硬化性化合物(例えば、光硬化性モノマー、オリゴマーの紫外線硬化性化合物)等が例示でき、光硬化性化合物は、EB(電子線)硬化性化合物等であってもよい。なお、光硬化性モノマー、オリゴマーや低分子量であってもよい光硬化性樹脂等の光硬化性化合物を、単に「光硬化性樹脂」という場合がある。
光硬化性化合物には、例えば、単量体、オリゴマー(又は樹脂、特に低分子量樹脂)が含まれ、単量体としては、例えば、単官能性単量体[(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル系単量体、ビニルピロリドン等のビニル系単量体、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の橋架環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート等]、少なくとも2つの重合性不飽和結合を有する多官能性単量体[エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アダマンタンジ(メタ)アクリレート等の橋架環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の3〜6程度の重合性不飽和結合を有する多官能性単量体]が例示できる。
オリゴマー又は樹脂としては、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体の(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート(ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等)、ポリエステル(メタ)アクリレート(例えば、脂肪族ポリエステル型(メタ)アクリレート、芳香族ポリエステル型(メタ)アクリレート等)、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、ポリエステル型ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル型ウレタン(メタ)アクリレート)、シリコーン(メタ)アクリレート等が例示できる。これらの光硬化性化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましい硬化性樹脂前駆体は、短時間で硬化できる光硬化性化合物、例えば、紫外線硬化性化合物(モノマー、オリゴマーや低分子量であってもよい樹脂等)、EB硬化性化合物である。特に、実用的に有利な樹脂前駆体は、紫外線硬化性樹脂である。さらに、耐擦傷性等の耐性を向上させるため、光硬化性樹脂は、分子中に2以上(好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4程度)の重合性不飽和結合を有する化合物であるのが好ましい。硬化性樹脂前駆体の分子量としては、ポリマーとの相溶性を考慮して5000以下、好ましくは2000以下、さらに好ましくは1000以下程度である。
硬化性樹脂前駆体は、その種類に応じて、硬化剤を含んでいてもよい。例えば、熱硬化性樹脂では、アミン類、多価カルボン酸類等の硬化剤を含んでいてもよく、光硬化性樹脂では光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤としては、慣用の成分、例えば、アセトフェノン類又はプロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキシド類等が例示できる。光硬化剤等の硬化剤の含有量は、硬化性樹脂前駆体100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜8重量部(特に1〜5重量部)程度であり、3〜8重量部程度であってもよい。
硬化性樹脂前駆体は硬化促進剤を含んでいてもよい。例えば、光硬化性樹脂は、光硬化促進剤、例えば、第三級アミン類(例えば、ジアルキルアミノ安息香酸エステル)、ホスフィン系光重合促進剤等を含んでいてもよい。
(ポリマーと硬化性樹脂前駆体との具体的な組合せ)
上記少なくとも1つのポリマー及び上記少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体のうち、少なくとも2つの成分が、加工温度付近で互いに相分離する組み合わせで使用されることが、好ましい。ここで加工温度付近とは、組成物を塗工した後に溶剤を乾燥させるときの50℃〜120℃程度の加工温度を意味する。相分離する組み合わせとしては、例えば、(a)複数のポリマー同士が互いに非相溶で相分離する組み合わせ、(b)ポリマーと硬化性樹脂前駆体とが非相溶で相分離する組み合わせや、(c)複数の硬化性樹脂前駆体同士が互いに非相溶で相分離する組み合わせ等が挙げられる。これらの組み合わせのうち、通常は、(a)複数のポリマー同士の組み合わせや、(b)ポリマーと硬化性樹脂前駆体との組み合わせであり、特に(a)複数のポリマー同士の組み合わせが好ましい。相分離させる両者の相溶性が低い場合、溶剤を蒸発させるための乾燥過程で両者が有効に相分離し、防眩層としての機能が向上する。
熱可塑性樹脂と硬化性樹脂前駆体(又は硬化樹脂)とは、通常、互いに非相溶である。ポリマーと硬化性樹脂前駆体とが非相溶で相分離する場合に、ポリマーとして複数のポリマーを用いてもよい。複数のポリマーを用いる場合、少なくとも1つのポリマーが樹脂前駆体(又は硬化樹脂)に対して非相溶であればよく、他のポリマーは前記樹脂前駆体と相溶してもよい。
互いに非相溶な2つの熱可塑性樹脂と、硬化性化合物(特に複数の硬化性官能基を有するモノマー又はオリゴマー)との組み合わせであってもよい。さらに、硬化後の耐擦傷性の観点から、前記非相溶な熱可塑性樹脂のうち少なくとも一方のポリマー(特に両方のポリマー)が硬化反応に関与する官能基(前記硬化性樹脂前駆体の硬化に関与する官能基)を有する熱可塑性樹脂であってもよい。
ポリマーを互いに非相溶な複数のポリマーで構成して相分離する場合、硬化性樹脂前駆体は、非相溶な複数のポリマーのうち、少なくとも1つのポリマーと加工温度付近で互いに相溶する組合せで使用される。すなわち、互いに非相溶な複数のポリマーを、例えば、第1の樹脂と第2の樹脂とで構成する場合、硬化性樹脂前駆体は少なくとも第1の樹脂又は第2の樹脂のどちらかと相溶すればよく、好ましくは両方のポリマー成分と相溶してもよい。両方のポリマー成分に相溶する場合、第1の樹脂及び硬化性樹脂前駆体を主成分とした混合物と、第2の樹脂及び硬化性樹脂前駆体を主成分とした混合物との少なくとも二相に相分離する。
選択した複数のポリマーの相溶性が低い場合、溶剤を蒸発させるための乾燥過程でポリマー同士が有効に相分離し、防眩層としての機能が向上する。複数のポリマー相分離性は、双方の成分に対する良溶剤を用いて均一溶液を調製し、溶剤を徐々に蒸発させる過程で、残存固形分が白濁するか否かを目視にて確認することにより簡便に判定できる。
通常、ポリマーと、樹脂前駆体の硬化により生成した硬化又は架橋樹脂とは互いに屈折率が異なる。また、複数のポリマー(第1の樹脂と第2の樹脂)の屈折率も互いに異なる。ポリマーと硬化又は架橋樹脂との屈折率の差、複数のポリマー(第1の樹脂と第2の樹脂)との屈折率の差は、例えば、0.001〜0.2、好ましくは0.05〜0.15程度であってもよい。
ポリマーと硬化性樹脂前駆体との割合(重量比)は、特に制限されず、例えば、ポリマー/硬化性樹脂前駆体が、5/95〜95/5程度の範囲から選択でき、表面硬度の観点から、好ましくは5/95〜60/40程度であり、さらに好ましくは10/90〜50/50、特に10/90〜40/60程度である。
(溶剤)
溶剤は、前記ポリマー及び硬化性樹脂前駆体の種類及び溶解性に応じて選択し使用することができ、少なくとも固形分(複数のポリマー及び硬化性樹脂前駆体、反応開始剤、その他添加剤)を均一に溶解できる溶剤であればよく、湿式スピノーダル分解において使用することができる。そのような溶剤としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合溶剤であってもよい。
凹凸層用組成物中の溶質(ポリマー及び硬化性樹脂前駆体、反応開始剤、その他添加剤)の濃度は、相分離が生じる範囲及び流延性やコーティング性等を損なわない範囲で選択でき、例えば、1〜80重量%、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは15〜40重量%(特に20〜40重量%)程度である。
(凹凸層の形成法)
凹凸層は、少なくとも一つのポリマーと少なくとも一つの硬化性樹脂前駆体とを、適切な溶剤を用いて混合した凹凸層用組成物を光透過性基材に付与し、その後、溶剤の蒸発に伴うスピノーダル分解により、相分離構造を形成する工程と、硬化性樹脂前駆体を硬化させ、少なくとも凹凸層を形成する工程とを経ることにより得ることができる。相分離工程は、通常、ポリマーと硬化性樹脂前駆体と溶剤とを含む混合液(特に均一溶液等の液状組成物)を光透過性基材の表面に塗布又は流延する工程と、塗布層又は流延層から溶剤を蒸発させて規則的又は周期的な平均相間距離を有する相分離構造を形成する工程とで構成されており、硬化性樹脂前駆体を硬化させることにより凹凸層を得ることができる。
本発明の好ましい態様によれば、混合液として、熱可塑性樹脂と、光硬化性化合物と、光重合開始剤と、熱可塑性樹脂および光硬化性化合物を可溶な溶剤とを含む凹凸層用組成物が使用でき、スピノーダル分解により形成された相分離構造の光硬化成分を光照射により硬化することにより凹凸層が形成される。また、他の好ましい態様では、混合液として、互いに非相溶な複数のポリマーと、光硬化性化合物と、光重合開始剤と、溶剤とを含む凹凸層用組成物が使用でき、スピノーダル分解により形成された相分離構造の光硬化成分を光照射により硬化することにより凹凸層が形成される。また、好ましい態様としては、熱可塑性樹脂と、この熱可塑性樹脂に非相溶で且つ光硬化性基を有する樹脂と、光硬化性化合物と、光重合開始剤と、樹脂および光硬化性化合物を可溶な溶剤とを含む組成物からのスピノーダル分解により相分離構造を形成し、光照射することにより凹凸層を形成してもよい。
このような溶剤の蒸発を伴うスピノーダル分解により、相分離構造のドメイン間の平均距離に規則性又は周期性を付与できる。そして、スピノーダル分解により形成された相分離構造は、硬化性樹脂前駆体を硬化させることにより直ちに固定化できる。硬化性樹脂前駆体の硬化は、硬化性樹脂前駆体の種類に応じて、加熱、光照射等、あるいはこれらの方法の組合せにより行うことができる。加熱温度は、相分離構造を有する限り、適当な範囲、例えば、50〜150℃程度から選択でき、層分離工程と同様の温度範囲から選択してもよい。
防眩層の一部又は全部を構成する凹凸層は、液相からのスピノーダル分解(湿式スピノーダル分解)により相分離構造を形成し、凹凸形状になっている。すなわち、ポリマーと硬化性樹脂前駆体と溶剤とで構成された凹凸層用組成物を用い、この凹凸層用組成物の液相(又は均一溶液やその塗布層)から、溶剤を乾燥等により蒸発又は除去する過程で、濃度の濃縮に伴って、スピノーダル分解による相分離が生じ、相間距離が比較的規則的な相分離構造を形成できる。より具体的には、前記湿式スピノーダル分解は、通常、少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体と溶剤とを含んでなる凹凸層用組成物(好ましくは均一溶液)を光透過性基材等の支持体に塗布し、塗布層から溶剤を蒸発させることにより行うことができる。
本発明にあっては、このスピノーダル分解において、相分離の進行に伴って共連続相構造を形成し、さらに相分離が進行すると、連続相が自らの表面張力により非連続化し、液滴相構造(球状、真球状、円盤状や楕円体状等の独立相の海島構造)となる。従って、相分離の程度によって、共連続相構造と液滴相構造との中間的構造(上記共連続相から液滴相に移行する過程の相構造)も形成できる。本発明の凹凸層の相分離構造は、海島構造(液滴相構造、又は一方の相が独立または孤立した相構造)、共連続相構造(又は網目構造)であってもよく、共連続相構造と液滴相構造とが混在した中間的構造であってもよい。これらの相分離構造により溶剤乾燥後には凹凸層の表面に微細な凹凸を形成できる。
相分離構造において、凹凸層の表面に凹凸形状が形成され、かつ表面硬度を高める点からは、少なくとも島状ドメインを有する液滴相構造(海島構造)であるのが有利である。なお、ポリマーと前記前駆体(又は硬化樹脂)とで構成された相分離構造が海島構造である場合、ポリマー成分が海相を形成してもよいが、表面硬度の観点から、ポリマー成分が島状ドメインを形成するのが好ましい。なお、島状ドメインの形成により、乾燥後には凹凸層の表面に所望の光学特性を発揮する凹凸形状が形成される。
前記相分離構造のドメイン間の平均距離は、通常、実質的に規則性又は周期性を有している。例えば、ドメインの平均相間距離は、表面粗さ形状でいうところのSmに相当し、60〜250μmであるのがよい。さらに好ましいのは、60〜200μmの範囲である。
上記相分離構造のドメイン間の平均距離は、樹脂の組み合わせの選択(特に溶解性パラメータに基づく樹脂の選択)等によって調整することができる。このようにドメイン間の平均距離を調整することによって、最終的に得られるフィルム表面の凹凸間の距離を所望の値とすることができる。
3)塗膜に凹凸形状を賦型して形成される凹凸層
また、本発明の複合フィルタの更に別の実施形態として、凹凸層が、2)の方法と同様に、凹凸形状の形成のために微粒子を必要としない別の方法によって形成されたものである複合フィルタを挙げることができる。
3−1)凹凸層は、表面が平坦な、凹凸層の前駆層を形成し、その後、当該前駆層の表面に対して、凹凸形状を付与する賦型処理を行って形成されてもよい。例えば、光透過性基材上に、凹凸層の前駆層を形成し、該凹凸層の表面に凹凸形状を形成することが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、凹凸層が有する凹凸形状と逆の凹凸形状を有する型を用いた賦型処理で行われることが好ましい。逆の凹凸形状を有する型はエンボス版、エンボスロール等が挙げられ、これらの内容は後記する3−2)と同じであってよい。
3−2)凹凸層は、光透過性基材と凹凸層の表面に形成される凹凸形状と逆の凹凸形状を有する型とを所定の間隔を空けて対向させ、それらの間に凹凸層用組成物を供給し、同時に硬化処理することにより、所望の凹凸形状を有してなる凹凸層として形成されてもよい。
これらの形成法によれば、微粒子を配合せずに、所望の凹凸形状を有する防眩層を形成した光学積層体を得ることもできるので、凹凸層組成物の選択範囲が広いという利点を有する。つまり、ギラツキ防止性を付与する必要がある場合には、凹凸層用組成物に、光拡散性を有する微粒子を必要以上に添加する必要がないし、ギラツキ防止性が不必要であれば、微粒子は使用しないで、様々な樹脂材料を用途にあわせて選択できるようになる。本発明の好ましい態様によれば、エンボスローラー以外に、平板状のエンボス板を用いることもできる。
エンボスローラー又は平板状のエンボス板等に形成されている凹凸型面は、サンドブラスト法又はビーズショット法等の公知の種々の方法により、形成することができる。サンドブラスト法によるエンボス版(エンボスローラー)を用いて形成された単層防眩層は、その凹凸形状を断面でみた場合、凹形状が多数分布した形状となる。ビーズショット法によるエンボス版(エンボスローラー)を用いて形成された単層防眩層は、凹凸形状を断面でみた場合、上側に凸形状が多数分布した形状となる。
単層防眩層の表面に形成された凹凸形状の平均粗さが同じ場合に、上側に凸部が多数分布した形状を有している単層防眩層は、上側に凹部が多数分布した形状を有しているものと比較して、室内の照明装置等の写り込みが少ないとされている。このことから、本発明の好ましい態様によれば、ビーズショット法により単層防眩層の凹凸形状と同一形状に形成された凹凸型を利用して単層防眩層の凹凸形状を形成することが好ましい。
凹凸型面を形成するための型材としては、金属、プラスチック、木またはこれらの複合体を使用することができる。本発明の好ましい型材としては、強度、繰返使用による耐摩耗性の観点から、金属としてのクロムが好ましく、経済性等の観点から、鉄製エンボス版(エンボスローラー)の表面にクロムをメッキしたものが好ましくは例示される。
サンドブラスト法またはビーズショット法により凹凸型を形成する際に、吹き付ける粒子(ビーズ)の具体例としては、金属粒子、シリカ、アルミナ、またはガラス等の無機質粒子が挙げられる。これらの粒子の粒子径(直径)としては、50μm〜300μm程度であることが好ましい。これらの粒子を型材に吹き付ける際には、これら粒子を高速の気体と共に吹き付ける方法が挙げられる。この際、適切な液体、例えば、水等を併用してよい。また、本発明にあっては、凹凸形状を形成した凹凸型には、使用時の耐久性を向上させる目的で、クロムメッキ等を施してから使用することが好ましく、硬膜化、および腐食防止の上で好ましい。
4)光拡散層からなる凹凸層
凹凸層は、光拡散層からなるものであってもよい。ここで「光拡散層」とは、本来、画像表示装置のバックライト側に使用される光拡散板または光拡散フィルムであり、上記1)〜3)に示した防眩層とは用途が相違するものである。光拡散板または光拡散フィルムは、一般的に各種ディスプレイあるいは照明器具において、光源の光を均一に広げ、視認性を高めるために用いられている。これらの光拡散板あるいは光拡散フィルムは、通常、光源とディスプレイの間に設置され、点光源ないしは線光源を均一な面光源に変換することを目的として用いられるものである。液晶表示のバックライト用の光拡散板または光拡散フィルムとしては、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等の光透過性樹脂の表面に凹凸を形成したものが挙げられる。また、ポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等の光透過性樹脂に光拡散剤を分散したり、さらには光拡散剤を光透過性樹脂中に配合分散させた組成物をフィルム基材上に塗布したりして作製される。
この光拡散層を凹凸層として使用する場合には、この上に表面形状調整層を積層し、必ず二層以上にすることで本案件の所望の形状とすることができる。
(光拡散剤)
光拡散剤としては、炭酸カルシウム、アクリル系粒子等が挙げられる。光拡散剤に使用されるアクリル系粒子の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリレート重合体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリレート重合体;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニルモノマー;アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート等の架橋性モノマー等を重合させることによって得られるものである。アクリル系粒子は単独または二種以上を組み合わせて用いることができる。アクリル系粒子の平均粒子径は1μm以上50μm以下であり、好ましくは下限が6μm以上であり、上限が20μm以下である。
(樹脂)
光拡散層の形成に使用される樹脂の具体例としては、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、オルガノシロキサン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂等が挙げられる。この中でも、光拡散剤との屈折率差の制御性、濡れ性や透明基材との接着性あるいは樹脂自体の耐擦傷性、耐光性、透明性などの点から、ポリエステル系樹脂が好ましい。
(任意の添加剤)
光安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、レベリング剤、その他の添加剤を光拡散層を形成する樹脂組成物中に更に添加してもよい。レベリング剤としては、フッ素系またはシリコーン系等のレベリング剤が挙げられる。レベリング剤を添加した光拡散層用組成物は、塗布または乾燥時に塗膜表面に対して塗工適性を向上させ、滑り性や防汚性が付与でき、かつ、耐擦傷性の効果を付与することを可能とする。
(板又はフィルム形態の光拡散層)
「光拡散層」は、光透過性基材に形成された板またはフィルムに形成されてもよい。この場合、光透過性基材の具体例としては、一般的なものを使用することができるが、透明性、耐光性、コーティング適性等の理由から、ポリカーボネートまたはポリエチレンテレフタレートが好ましくは挙げられる。光透過性基材の厚みは50μm以上200μm以下程度である。
5)好ましい凹凸層
本発明にあっては、凹凸層が、光透過性基材に対して浸透性の溶剤を含有する凹凸層用組成物を用いて形成されることにより、光透過性基材と光拡散層(または、各種上記製法による凹凸層)との界面が実質的に存在しない防眩層が得られるので、複合フィルタの干渉縞の発生を防止する点から好ましい。
ここで、「界面が(実質的に)存在しない」とは、1)二つの層面が重なり合ってはいるが実際に界面が存在しないこと、及び2)屈折率からみて両者の面に界面が存在していないと判断されることを包含する。
「界面が(実質的に)存在しない」の具体的な基準としては、光学積層体の干渉縞観察による。すなわち、光学積層体の裏面に黒テープを貼り、3波長蛍光灯の照射下で光学積層体の上から目視にて観察する。このとき、干渉縞が確認できる場合は、別途に断面をレーザー顕微鏡により観察すると界面が確認されることから、これを「界面が存在する」と認定する。一方、干渉縞が確認できない場合又は極めて弱い場合は、別途に断面をレーザー顕微鏡により観察すると界面が見られないか又は極めて薄くしか見えない状態となることから、これを「界面が実質的に存在しない」と認定する。なお、レーザー顕微鏡は、各界面からの反射光を読み取り、非破壊的に断面観察できる。これは、各層に屈折率差がある場合のみ、界面として観察されるものであるため、界面が観察されない場合は、屈折率的にも差がない、界面がないと考えることができる。
また、本発明の光学積層体は、界面が実質的に存在しないことが好ましい。少なくとも干渉縞が視認されないことが望ましい。
本発明において、上記浸透性溶剤は凹凸層用組成物に透明性基材への浸透性を付与するために用いられる。よって、本発明にあっては、浸透性溶剤の「浸透性」とは、凹凸層用組成物に浸透性を付与することができる性質のことを意味しており、光透過性基材に対する浸透性、膨潤性、湿潤性等のすべての概念を包含する意である。浸透性溶剤の具体例としては、ケトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、エステル類;蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、含窒素化合物;ニトロメタン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、グリコール類;メチルグリコール、メチルグリコールアセテート、エーテル類;テトラヒドロフラン、1,4―ジオキサン、ジオキソラン、ジイソプロピルエーテル、ハロゲン化炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロルエタン、グリコールエーテル類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、その他、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレンが挙げられ、またはこれらの混合物が挙げられ、好ましくはエステル類、ケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトンなどが挙げられる。その他、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコールなどのアルコール類や、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類も、上記溶剤と混合して用いることができる。
また、凹凸層と光透過性基材との間に、薄層を備えてなる複合フィルタも、光透過性基材と凹凸層との界面が存在しないものすることができる点から好ましい。
薄層は、重量平均分子量が200以上1000以下であり、かつ、一又は二つの官能基を有する樹脂と、浸透性溶剤とを含んでなる組成物により形成されてなるものである。本発明にあっては、この「薄層」は薄膜、薄い塗膜等の概念を包含するものである。本発明の好ましい態様によれば、薄層の層厚は、0.001μm以上、50μm以下であり、好ましくは下限が0.01μm以上であり、上限が20μm以下である。
薄層形成に使用する樹脂(モノマー、オリゴマー等の樹脂成分を包含する)は、その重量平均分子量が200以上1000以下であり、好ましくは下限が220以上であり、上限が900以下のものである。このような樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエーテル樹脂、多価アルコール、エチレングリコール(メタ)アクリレート、およびペンタエリスリトール(メタ)アクリレートモノステアレート等の(メタ)アクリレート樹脂からなる群から選択される一種または二種以上の混合物が挙げられ、好ましくは、ウレタン樹脂が挙げられる。
これらに属する樹脂の具体例としては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、ビスフェノールFEO変性ジアクリレート、ビスフェノールAEO変性ジアクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリ1,2−ブタジエンジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールビスβ−アクリロイルオキシプロピネート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリレート、N−ビニルピロリドン、エチルアクリレート、プロピルアクリレート等のアクリル酸エステル類、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ノニルフェニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、テトラフルフリルメタクリレート、およびそのカプロラクトン変性物などの誘導体、スチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸等およびこれらの混合物が挙げられる。
樹脂は一つまたは二つの官能基を有するものであるが、このような「官能基」の具体例としては、(メタ)アクリレート系の官能基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、アルコキシル基等およびこれらの混合物が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリレート系の官能基が挙げられる。
薄層を形成する際に、樹脂は浸透性溶剤と混合して使用することができる。ここで、浸透性溶剤は、樹脂に光透過性基材に対する浸透性を付与するために用いられる。浸透性溶剤は、光学積層体の干渉縞を有効に防止する効果を有する。
浸透性溶剤の具体例としては、上記凹凸層用組成物に浸透性を付与するために用いられる浸透性溶剤や、ニトロメタン、N―メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物、炭酸プロピレン等、又はこれらの混合物が挙げられる。より好ましい浸透性溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン等が挙げられる。
〔表面形状調整層〕
本発明にあっては、防眩層表面の凹凸形状を調整するために、凹凸層の上に表面形状調整層を形成しても良い。表面形状調整層は、凹凸層の表面粗さにおいて凹凸スケール(凹凸の山高さと山間隔)の1/10以下のスケールで凹凸形状に沿って存在している微細な凹凸を埋めて、スムージングを掛けて凹凸表面を滑らかにしたり、あるいは、凹凸の山間隔や山高さ、山の頻度(個数)の調整をする。また、表面形状調整層に、帯電防止、屈折率調整、高硬度化、防汚染性等の機能をさらに付与してもよい。
表面調整層の膜厚(硬化時)は0.6μm以上15μm以下であることが好ましく、より好ましくは下限が3μm以上であり上限が8μm以下である。なお、上記表面調整層の厚みは、後述するレーザー顕微鏡観察、SEM,TEM観察で上述した方法と同様に測定した値である。
(樹脂)
樹脂(モノマー、オリゴマー等の樹脂成分を包含する)としては、透明性のものが好ましく、その具体例としては、紫外線または電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂と溶剤乾燥型樹脂との混合物、または熱硬化型樹脂の三種類が挙げられ、好ましくは電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂の具体例としては、凹凸層で述べた樹脂を挙げることができる。また、必要に応じて電離放射線硬化型樹脂に混合して使用することができる光重合開始剤、光重合促進剤、光増感剤、溶剤乾燥型樹脂等も、凹凸層で述べたものをそれぞれ使用することができる。
上記表面調整層は、流動性を調整する有機微粒子や無機微粒子を含有するものであってもよい。微粒子の中でも好ましいのは、コロイダルシリカである。従来、表面調整層の形成によって微細な凹凸を目止めして、スムージングをかけようとすると、過剰なスムージングがかかってしまうことによって、防眩性が著しく低下してしまった。しかし、上記コロイダルシリカを含有する組成物によって被膜の形成を行うと、防眩性と黒色再現性の両立を図ることができる。このような効果が得られる作用は、明確ではないが、コロイダルシリカを含有する組成物は、その流動性が制御されることによって表面の凹凸形状への追随性が良好であることから、スムージングにおいて、従来の表面調整層では完全につぶれてしまう下地凹凸層にある微細な凹凸形状に、適度な滑らかさを付与させながら完全につぶさず残すことができるものと推測される。
上記流動性調整剤として使用することができる有機微粒子又は無機微粒子の形状は特に制限されるものではなく、例えば、球状、板状、繊維状、不定形、中空等のいずれのものでも良い。特に、好ましい流動性調整剤は、コロイダルシリカである。
本発明において「コロイダルシリカ」とは、コロイド状態のシリカ粒子を水又は有機溶媒に分散させたコロイド溶液を意味する。上記コロイダルシリカの粒子径(直径)は、1〜50nm程度の超微粒子のものであることが好ましい。なお、本発明におけるコロイダルシリカの粒子径は、BET法による平均粒子径(BET法により表面積を測定し、粒子が真球であるとして換算して平均粒子径を算出する)である。
上記コロイダルシリカは、公知のものであり、市販のものとしては、例えば、「メタノールシリカゾル」、「MA−ST−M」、「IPA−ST」、「EG−ST」、「EG−ST−ZL」、「NPC−ST」、「DMAC−ST」、「MEK」、「XBA−ST」、「MIBK−ST」(以上、日産化学工業(株)製品、いずれも商品名)、「OSCAL1132」、「OSCAL1232」、「OSCAL1332」、「OSCAL1432」、「OSCAL1532」、「OSCAL1632」、「OSCAL1132」、(以上、触媒化成工業(株)製品、いずれも商品名)で市販されているものを挙げることができる。
上記有機微粒子又は無機微粒子は、表面調整層のバインダ樹脂質量100に対し、微粒子質量が5〜300で含まれていることが好ましい(微粒子質量/バインダ樹脂質量=P/V比=5〜300/100)。5未満であると、凹凸形状への追随性が不充分となるため、艶黒感等の黒色再現性と防眩性とを両立することが困難になる場合がある。300を超えると、密着性や耐擦傷性など物性面で不良が起こるため、この範囲以内がよい。添加量は、添加する微粒子によって変化するが、コロイダルシリカの場合には、添加量は5〜80が好ましい。80を超えると、それ以上添加しても防眩性が変化しない領域となるため、添加する意味がなくなることと、これを超えると下層との密着性不良が起こるため、この範囲以下にすることがよい。
(表面形状調整層の形成法)
表面形状調整層は、表面形状調整層用組成物を光透過性基材等に塗布することにより形成されてよい。表面形状調整層用組成物を塗布する方法としては、ロールコート法、ミヤバーコート法、グラビアコート法等の塗布方法が挙げられる。表面形状調整層用組成物の塗布後に、乾燥と紫外線硬化を行う。紫外線源の具体例としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が挙げられる。紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、または直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
〔低屈折率層〕
低屈折率層は、外部からの光(例えば蛍光灯、自然光等)が光学積層体の表面にて反射する際、その反射率を低くするという役割を果たす層である。本発明の好ましい態様によれば、単層からなる防眩層、つまり凹凸層の上か、または、二層以上からなる防眩層、表面形状調整層の表面に低屈折率層を形成したものが好ましい。低屈折率層は、その屈折率が該層の下の層のそれより低いものである。
本発明の好ましい態様によれば、低屈折率層に隣接する凹凸層又は表面形状調整層の屈折率が1.5以上であり、低屈折率層の屈折率が1.45以下であり、好ましくは1.42以下で構成されてなるものが好ましい。
低屈折率層としては、好ましくは1)シリカ又はフッ化マグネシウムを含有する樹脂、2)低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、3)シリカ又はフッ化マグネシウムを含有するフッ素系樹脂、4)シリカ又はフッ化マグネシウムの薄膜等のいずれか構成される。フッ素樹脂以外の樹脂については、凹凸層を構成する樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
上記フッ素系樹脂としては、少なくとも分子中にフッ素原子を含む重合性化合物又はその重合体を用いることができる。重合性化合物は、特に限定されないが、例えば、電離放射線で硬化する官能基、熱硬化する極性基等の硬化反応性の基を有するものが好ましい。また、これらの反応性の基を同時に併せ持つ化合物でもよい。この重合性化合物に対し、重合体とは、上記のような反応性基などを一切もたないものである。
電離放射線硬化性基を有する重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有するフッ素含有モノマーを広く用いることができる。より具体的には、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロブタジエン、パーフルオロ‐2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソールなど)を例示することができる。(メタ)アクリロイルオキシ基を有するものとして、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、α−トリフルオロメタクリル酸メチル、α−トリフルオロメタクリル酸エチルのような、分子中にフッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物;分子中に、フッ素原子を少なくとも3個持つ炭素数1〜14のフルオロアルキル基、フルオロシクロアルキル基又はフルオロアルキレン基と、少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物などもある。
熱硬化性極性基として好ましいのは、例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の水素結合形成基である。これらは、塗膜との密着性だけでなく、シリカなどの無機超微粒子との親和性にも優れている。熱硬化性極性基を持つ重合成化合物としては、例えば、4−フルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体;フルオロエチレン−炭化水素系ビニルエーテル共重合体;エポキシ、ポリウレタン、セルロース、フェノール、ポリイミド等の各樹脂のフッ素変性品などを挙げることができる。
電離放射線硬化性基と熱硬化性極性基とを併せ持つ重合性化合物としては、アクリル又はメタクリル酸の部分及び完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類、完全又は部分フッ素化ビニルエステル類、完全または部分フッ素化ビニルケトン類等を例示することができる。
また、含フッ素重合体としては、例えば、次のようなものを挙げることができる。
上記電離放射線硬化性基を有する重合性化合物の含フッ素(メタ)アクリレート化合物を少なくとも1種類含むモノマー又はモノマー混合物の重合体;上記含フッ素(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種類と、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートの如き分子中にフッ素原子を含まない(メタ)アクリレート化合物との共重合体;フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンのような含フッ素モノマーの単独重合体又は共重合体など。これらの共重合体にシリコーン成分を含有させたシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体も使うことができる。この場合のシリコーン成分としては、(ポリ)ジメチルシロキサン、(ポリ)ジエチルシロキサン、(ポリ)ジフェニルシロキサン、(ポリ)メチルフェニルシロキサン、アルキル変性(ポリ)ジメチルシロキサン、アゾ基含有(ポリ)ジメチルシロキサン、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、アルキル・アラルキル変性シリコーン、フルオロシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、メチル水素シリコーン、シラノール基含有シリコーン、アルコキシ基含有シリコーン、フェノール基含有シリコーン、メタクリル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が例示される。中でもジメチルシロキサン構造を有するものが好ましい。
さらには、以下のような化合物からなる非重合体又は重合体も、フッ素系樹脂として用いることができる。すなわち、分子中に少なくとも1個のイソシアナト基を有する含フッ素化合物と、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基のようなイソシアナト基と反応する官能基を分子中に少なくとも1個有する化合物とを反応させて得られる化合物;フッ素含有ポリエーテルポリオール、フッ素含有アルキルポリオール、フッ素含有ポリエステルポリオール、フッ素含有ε−カプロラクトン変性ポリオールのようなフッ素含有ポリオールと、イソシアナト基を有する化合物とを反応させて得られる化合物等を用いることができる。
また、上記したフッ素原子を持つ重合成化合物や重合体とともに、凹凸層製造方法に記載したような各樹脂成分を混合して使用することもできる。更に、反応性基等を硬化させるための硬化剤、塗工性を向上させたり、防汚性を付与させたりするために、各種添加剤、溶剤を適宜使用することができる。
本発明の好ましい態様によれば、低屈折率剤として、「空隙を有する微粒子」を利用することが好ましい。「空隙を有する微粒子」は低屈折率層の層強度を保持しつつ、その屈折率を下げることを可能とする。本発明において、「空隙を有する微粒子」とは、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造体を有し、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の気体の占有率に反比例して屈折率が低下する微粒子を意味する。また、本発明にあっては、微粒子の形態、構造、凝集状態、塗膜内部での微粒子の分散状態により、内部、及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子も含まれる。この微粒子を使用した低屈折率層は、屈折率を1.30〜1.45に調節することが可能である。
空隙を有する無機系の微粒子の具体例としては、特開2001−233611号公報で開示されている技術を用いて調製したシリカ微粒子が好ましくは挙げられる。また、特開平7−133105、特開2002−79616号公報、特開2006−106714号公報等に記載された製法によって得られるシリカ微粒子であってもよい。空隙を有するシリカ微粒子は製造が容易でそれ自身の硬度が高いため、バインダと混合して低屈折率層を形成した際、その層強度が向上され、かつ、屈折率を1.20〜1.45程度の範囲内に調製することを可能とする。特に、空隙を有する有機系の微粒子の具体例としては、特開2002−80503号公報で開示されている技術を用いて調製した中空ポリマー微粒子が好ましく挙げられる。
塗膜の内部及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子としては先のシリカ微粒子に加え、比表面積を大きくすることを目的として製造され、充填用のカラムおよび表面の多孔質部に各種化学物質を吸着させる除放材、触媒固定用に使用される多孔質微粒子、または断熱材や低誘電材に組み込むことを目的とする中空微粒子の分散体や凝集体を挙げることができる。そのような具体的としては、市販品として日本シリカ工業株式会社製の商品名NipsilやNipgelの中から多孔質シリカ微粒子の集合体、日産化学工業(株)製のシリカ微粒子が鎖状に繋がった構造を有するコロイダルシリカUPシリーズ(商品名)から、本発明の好ましい粒子径の範囲内のものを利用することが可能である。
「空隙を有する微粒子」の平均粒子径は、5nm以上300nm以下であり、好ましくは下限が8nm以上であり上限が100nm以下であり、より好ましくは下限が10nm以上であり上限が80nm以下である。微粒子の平均粒子径がこの範囲内にあることにより、低屈折率層に優れた透明性を付与することが可能となる。
(低屈折率層の形成)
低屈折率層の形成に当たっては、必要に応じて適宜な溶剤を用い、粘度を、樹脂組成物として好ましい塗布性が得られる0.5〜5cps(25℃)、好ましくは0.7〜3cps(25℃)の範囲のものとすることが好ましい。粘度を適切に調節することによって可視光線の優れた反射防止膜を実現でき、かつ、均一で塗布ムラのない薄膜を形成することができ、かつ基材に対する密着性に特に優れた低屈折率層を形成することができる。
樹脂の硬化手段は、凹凸層の項で説明したのと同様であってよい。硬化処理のために加熱手段が利用される場合には、加熱により、例えばラジカルを発生して重合性化合物の重合を開始させる熱重合開始剤がフッ素系樹脂組成物に添加されることが好ましい。
低屈折率層の膜厚(nm)dは、下記式(V):
=mλ/(4n) (V)
(上記式中、nは低屈折率層の屈折率を表し、mは正の奇数を表し、好ましくは1を表し、λは波長であり、好ましくは480〜580nmの範囲の値である)を満たすものが好ましい。
また、本発明にあっては、低屈折率層は下記数式(VI):
120<n<145 (VI)
を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
〔添加剤〕
上記各層は、更に別の機能を有していてもよく、例えば、帯電防止剤、屈折率調整剤、防汚染剤、硬度調整剤からなる群から選択される一種または二種以上の機能付加成分を含んでなる組成物により形成されてもよい。機能付加成分は、上記各層のうち、特に表面形状調整層に含有させることが好ましい。
I)帯電防止剤(導電剤)
上記各層、特に表面形状調整層中に、帯電防止剤を含有させることにより、光学積層体の表面における塵埃付着を有効に防止することができる。帯電防止剤の具体例としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、または金属キレート部を有し、かつ、電離放射線により重合可能なモノマーまたはオリゴマー、或いは官能基を有するカップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。
また、導電性超微粒子が挙げられる。導電性微粒子の具体例としては、金属酸化物からなるものを挙げることができる。そのような金属酸化物としては、ZnO(屈折率1.90、以下、カッコ内の数値は屈折率を表す。)、CeO(1.95)、Sb(1.71)、SnO(1.997)、ITOと略して呼ばれることの多い酸化インジウム錫(1.95)、In(2.00)、Al(1.63)、アンチモンドープ酸化錫(略称;ATO、2.0)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(略称;AZO、2.0)等を挙げることができる。微粒子とは、1ミクロン以下の、いわゆるサブミクロンの大きさのものを指し、好ましくは、平均粒子径が0.1nm〜0.1μmのものである。この平均粒子径の範囲内であることにより、超微粒子をバインダに分散した折、ヘイズがほとんどなく、全光線透過率が良好な高透明な膜を形成できる組成物を作製できるという観点からみて好ましい。上記導電性金属酸化物微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法等によって測定することができる。
また、帯電防止剤として、導電性ポリマーが挙げられ、その具体例としては、脂肪族共役系のポリアセチレン、芳香族共役系のポリ(パラフェニレン)、複素環式共役系のポリピロール、ポリチオフェン、含ヘテロ原子共役系のポリアニリン、混合型共役系のポリ(フェニレンビニレン)が挙げられ、これら以外に、分子中に複数の共役鎖を持つ共役系である複鎖型共役系、前述の共役高分子鎖を飽和高分子にグラフトまたはブロック共重した高分子である導電性複合体等を挙げられる。
上記帯電防止剤は、上記バインダ樹脂量(溶剤を除く)に対する添加が5〜250質量%であることが好ましい。より好ましくは、上記添加量の上限が100以下であり、下限が7以上である。添加量を上記数値範囲に調整することにより、光学積層体としての透明性を保ち、また艶黒感や防眩性等の性質に悪影響を与えることなく、帯電防止性能を付与することができる点で好ましい。
尚、本発明の別の態様によれば、本発明による防眩層を構成する各層間に、任意の層として、帯電防止層(導電層)を形成してもよい。
帯電防止層の形成の具体例としては、防眩層の各層の上面に導電性金属もしくは導電性金属酸化物等を蒸着またはスパッタリングすることにより蒸着膜を形成する方法または樹脂中に導電性微粒子を分散した樹脂組成物を塗布するにより塗膜を形成する方法が挙げられる。
帯電防止層を蒸着により形成する場合、帯電防止剤としては、導電性金属もしくは導電性金属酸化物、例えばアンチモンドープのインジウム・錫酸化物(以下、「ATO」という)、インジウム・錫酸化物(以下、「ITO」という)が挙げられる。帯電防止層としての蒸着膜の厚さは、10nm以上200nm以下であり、好ましくは上限が100nm以下であり、下限が50nm以下である。
帯電防止層は帯電防止剤を含む塗液により形成されてもよい。この場合、帯電防止剤は、機能付加成分としての帯電防止剤において説明したものと同様のものを使用できる。導電性微粒子を用いて塗膜する場合、好ましくは硬化型樹脂を用いる。硬化型樹脂としては、凹凸層を形成するものと同様であってよい。塗膜を形成するには、導電性微粒子に硬化型樹脂に含ませた塗液を、ロールコート法、ミヤバーコート法、グラビアコート法等の塗布方法により塗布する。塗布後に、乾燥と紫外線硬化を行う。
電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法としては、電子線または紫外線の照射によって硬化する。電子線硬化の場合には、100KeV〜300KeVのエネルギーを有する電子線等を使用する。紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等を使用する。
II)屈折率調整剤
表面形状調整層に、屈折率調整剤を添加し、防眩層表面の反射防止特性を調整することが可能となる。屈折率調整剤には、低屈折率剤、中屈折率剤、高屈折率剤等が挙げられる。
II−a)低屈折率剤
低屈折率剤は、その屈折率が防眩層より低いものである。本発明の好ましい態様によれば、防眩層の屈折率が1.5以上であり、低屈折率剤の屈折率が1.5未満であり、好ましくは1.45以下で構成されてなるものが好ましい。
具体的には、低屈折率層の説明において挙げた低屈折率剤を好ましく用いることができる。
低屈折率剤を含有させた表面形状調整層の膜厚は、1μmよりも厚い方が好ましい。これは、この層が最外層となるため、耐擦傷性や硬度が必要であるからである。
II−b)高屈折率剤/中屈折率剤
反射防止性をさらに向上させるために、高屈折率剤、中屈折率剤を表面形状調整層に含有させてもよい。高屈折率剤、中屈折率剤の屈折率は1.46〜2.00の範囲内で設定されてよく、中屈折率剤は、その屈折率が1.46〜1.80の範囲内のものを意味し、高屈折率剤は、その屈折率が1.65〜2.00の範囲内のものを意味する。
これら高屈折率剤/中屈折率剤としては、微粒子が挙げられ、その具体例(かっこ内は屈折率を示す)としては、酸化亜鉛(1.90)、チタニア(2.3〜2.7)、セリア(1.95)、スズドープ酸化インジウム(1.95)、アンチモンドープ酸化スズ(1.80)、イットリア(1.87)、ジルコニア(2.0)が挙げられる。
III)レベリング剤
表面形状調整層は、レベリング剤を添加することができる。レベリング剤の好ましいものとしては、フッ素系またはシリコーン系等が挙げられる。レベリング剤を添加した表面形状調整層は、塗工面を良好にし、塗布または乾燥時に塗膜表面に対して塗工適性を向上させ、滑り性や防汚性を付与し、かつ、耐擦傷性の効果を付与することを可能とする。
IV)防汚染剤
表面形状調整層には防汚染剤を含有させることができる。防汚染剤は、光学積層体の最表面の汚れ防止を主目的とし、さらに光学積層体の耐擦傷性を付与することが可能となる。防汚染剤の具体例としては、後述の防汚フィルタに用いられる添加剤を挙げることができる。
V)硬度調整剤(高硬化剤)
表面形状調整層は、耐擦傷性の効果を付与することを目的として、硬度調整剤(高硬化剤)を添加することができる。硬度調整剤の具体例としては、後述の防擦傷フィルタに用いられる電離放射線硬化性樹脂を挙げることができる。
防眩層は、凹凸層、及び必要に応じて表面形状調整層、低屈折率層により構成されてなるが、さらに任意の層として、上記添加剤を含んでなる層、例えば帯電防止層、防汚染層等を備えてなるものであってよい。帯電防止層、防汚染層は、上記帯電防止剤、防汚染剤等を樹脂に添加した組成物を調製し、それぞれの層を塗布し、必要に応じ乾燥、硬化処理等を経て形成することができる。
上記防眩層全体の層厚は、5μm以上25μm以下であり、好ましくは下限が6μm以上であり、上限が20μm以下である。
尚、防眩層の層厚とは、防眩層が凹凸層のみからなる場合、凹凸層の層厚を意味し、表面形状調整層、その他機能層などが積層され、多層になっている場合、当該多層全体の膜厚を意味する。つまり、基材の表示面側界面から空気と接する防眩性凹凸最表面までの厚さをいう。
防眩層の層厚は、例えば、共焦点レーザー顕微鏡(LeicaTCS-NT:ライカ社製:倍率「100〜1000倍」)を用いて、光学積層体の断面を透過観察し、界面の有無を判断し、1画面につき、凹凸の最大凸部、最小凹部の基材からの膜厚を1点ずつ計2点測定し、それを5画面分、計10点測定し、平均値を算出することにより求めることができる。ハレーションのない鮮明な画像を得るため、測定の際に、共焦点レーザー顕微鏡に、湿式の対物レンズを使用し、かつ、対物レンズと光学積層体との間の空気層を消失させるため、光学積層体の上に屈折率1.518のオイルを約2ml乗せて観察し判断した。
その他、TEMやSEMの断面観察によっても、5画面を観察することでレーザー顕微鏡と同様な方法で算出することができる。
[防擦傷フィルタ]
防擦傷フィルタ(ハードコート層)としては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートプレポリマー、或いは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーを単独で或いはこれらの中から2種以上選択して組み合わせて配合した電離放射線硬化性樹脂を用いた塗膜として形成するとことができる。なおここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する複合的表記である。
[防汚フィルタ]
防汚染剤の具体例としては、撥水性、撥油性、指紋拭き取り性を発現するような添加剤が有効である。より具体例としては、フッ素系化合物、ケイ素系化合物、またはこれらの混合化合物が挙げられる。より具体的には、2−パーフロロオクチルエチルトリアミノシラン等のフロロアルキル基を有するシランカップリング剤等が挙げられ、特に、アミノ基を有するものが好ましくは使用することができる。
[その他の層]
本発明の複合フィルタは、上記各機能フィルタ間又は機能フィルタと透明基材の間に、それぞれ透明接着剤層が設けられていても良い。透明基材、透明接着剤層の各々も単層の場合もあるし多層の場合もある。また、複合フィルタをディスプレイ全面に直接貼り合わせる態様においては、複合フィルタの表示装置側に耐衝撃層を積層してなるものであってもよい。また、上記電磁波遮蔽フィルタがメッシュ状パターンの光吸収層を形成する場合、メッシュ領域の開口部に、平坦化層を積層してなるものであってよい。
尚、複合フィルタを構成する透明基材は、上述した電磁波遮蔽シートで用いられる材料を適宜用いることができる。
(透明接着剤層)
上記各層を接着するのに、接着剤層(又は粘着剤層)が用いられても良い。接着剤層は、接着しようとする層同士を接着することが可能なものであれば、材料の種類等は特に限定されるものではなく、例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等、公知の透明接着剤を適宜使用することができる。
具体的には、ポリエステルウレタン、アクリルウレタン、ポリエーテルウレタン等のポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール単独もしくはその部分鹸化品、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等を好ましく用いることができる。また、本発明に用いられる透明接着剤層は、紫外線硬化型であってもよく、また熱硬化型であってもよい。特に、透明基材との密着性や、ネオン光吸収色素等との相溶性、分散性などの観点からアクリル樹脂もしくはポリエステル樹脂が好ましい。
(耐衝撃層)
また、ディスプレイ全面に直接貼り合わせる用途の複合フィルタの場合、複合フィルタの表示装置側の面には、耐衝撃効果を高める観点から、耐衝撃層を設けてもよい。耐衝撃層は、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系等が適用でき、樹脂中でも、アクリル系樹脂、或いはウレタン系樹脂が好ましい。例えば、上記接着剤層に用いられる粘着剤を用いて、厚さ100〜200μmの粘着剤層を形成したものを好適に用いることができる。
当該耐衝撃層中に、上述のような近赤外線吸収色素、ネオン光吸収色素、及び/又は調色色素を1種以上含有させてもよい。
(平坦化層)
メッシュ状パターンとして形成された光吸収層と各機能層とを接着積層するための透明接着剤の表面の粗さを埋めるため、及び/又は気泡の混入を防止して透明化するため、必要に応じて平坦化樹脂と称される透明樹脂をメッシュ状パターンの開口部に充填して、平坦化層として被覆しても良い。
平坦化層は透明性が高く、メッシュ状光吸収層との接着性が良く、当該平坦化層に積層する接着剤との接着性がよいものであればよい。但し、平坦化層の表面に、突起、凹み、ムラがあると、ディスプレイ前面へ設置した際に、モアレ、干渉ムラ、ニュートンリングが発生したりするので好ましくない。この様な問題を防ぐために好ましい方法としては、樹脂として熱又は紫外線硬化樹脂を塗布した後に、平面性に優れ剥離性のある基材を積層し、塗布樹脂を熱又は紫外線で硬化させて、剥離性基材を剥離し除去する方法が挙げられる。平坦化層の表面は、平面性基材の表面が転写されて、平滑な面が形成される。該平坦化層に用いる樹脂としては、特に限定されず各種の天然又は合成樹脂、熱又は電離放射線硬化樹脂などが適用できるが、樹脂の耐久性、塗布性、平坦化しやすさ、平面性などから、アクリル系の紫外線硬化樹脂が好適である。尚、メッシュ状光吸収層の膜厚が薄い(5μm程度以下)場合は、斯かる平坦化層は無くても、上記支障は無い。
3.ディスプレイ
本発明のディスプレイは、前記ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタ、又は前記ディスプレイ用複合フィルタが、ディスプレイの表示面に配置されていることを特徴とする。このようなディスプレイは、電磁波遮蔽フィルタ又は複合フィルタが有する透明基材両面の光吸収層の働きにより画像コントラストが向上し、且つ電磁波遮蔽フィルタの働きにより、観察者側への電磁波の射出を防止することができる。更に、複合フィルタが有する各種機能によるメリットも享受できる。
これらフィルタを表示面に配置する方法としては、螺接、貼着等、従来公知の方法を利用することができるが、工程の簡素化の観点からは、樹脂製のフィルタを貼着により直接又は粘着層を介してフィルタ表面に固定することが好ましい。
粘着層としては、上記複合フィルタの説明において述べた透明接着剤層と同様のものを使用することができる。
尚、上記本発明の電磁波遮蔽フィルタは、必要に応じて、いずれの面を表示面側に向けて配置されてもよい。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、実施例中、部は特に特定しない限り重量部を表す。
<実施例1>
厚さ100μmで連続帯状の無着色透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製、商品名「A4300」)を用意した。尚、該基材フィルムの両面にはポリエステル樹脂系プライマー層を形成した。
次に、該基材フィルムの一方の面に、厚さ400ÅのAgをスパッタ法で堆積させ、透明導電体層を形成した。
次に、基材フィルムの両面に、線幅50μm、繰返周期500μmの正方格子上のパターンを、2液硬化型ポリウレタン樹脂のバインダにカーボンブラックの黒色顔料を添加した黒インキを、フレキソ印刷機を用いて、メッシュ状光吸収層を形成し、実施例1の電磁波遮蔽フィルタを得た。
<実施例2>
基材フィルムの両面に、厚さ400μmのAgをスパッタ法で逐次堆積させ、透明導電体層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の電磁波遮蔽フィルタを得た。
<実施例3>
まず、実施例1と同様にして、基材フィルムの一方の面に、厚さ400μmのAgをスパッタ法で堆積させ、透明導電体層を形成した。
次に、黒色の感光性レジスト(インクテック社製)を、両面全面に塗布後、積層シートの両面に線幅10μm、ピッチ(繰返周期)300μmの正方格子から成るメッシュパターンを形成することが可能なフォトマスクを、表面のメッシュパターンと裏面のメッシュパターンの位置が一致する様に見当を合わせて配置した上で、密着露光した。その後、水で現像し、硬膜処理、ベーキングして、PETフィルムの両面に、メッシュのライン部に相当する領域上にはレジスト層が残留し、開口部に相当する領域上にはレジスト層が無い、黒色レジストパターンを形成し、実施例3の電磁波遮蔽シートを得た。レジストパターンの厚みは10μmだった。
<比較例1>
透明導電体層が積層された面の反対側の面に、黒色レジストパターンを積層しなかったこと以外は実施例1と同様にして、黒化層が透明基材の片面にのみに積層された比較例1の電磁波遮蔽フィルタを得た。
<比較例2>
透明基材のいずれか一方の面に、黒色レジストパターンを積層しなかったこと以外は実施例2に従って、黒化層が透明基材の片面にのみに積層された比較例2の電磁波遮蔽フィルタを得た。
<比較例3>
透明導電体層が積層された面の反対側の面に、黒色レジストパターンを積層しなかったこと以外は実施例3と同様にして、黒化層が透明基材の片面にのみに積層された比較例3の電磁波遮蔽フィルタを得た。
〔性能評価方法〕
上記、各実施例、及び比較例に対して、以下の点を評価した。
(1)目視コントラスト評価
市販PDP表示装置(パイオニア社製、品名「PDP−435HDL(42インチ)」の前面基板から既存の光学フィルムを除去した。実施例の電磁波遮蔽フィルタの一方の面を、光学フィルム用アクリル系粘着剤(日立化成工業(株)社製、商品名「DA−1000」)を介してPDP前面に当接し、ゴムローラで加圧して貼着した。そして、電磁波遮蔽フィルタ402を貼り付けたPDP401及び40Wの白色蛍光灯404((株)東芝製、商品名「ネオライン白色FL40S−W」)2本を、図9のように配置し、PDP表示部表面の中心の照度が輝度計による測定値で370lxとなるように外光を設定した状態で、評価者403の位置から以下の目視評価を行った。
比較例の電磁波遮蔽フィルタについては、メッシュ状導電体層及び黒化層が設けられていない面を、光学フィルム用アクリル系粘着剤(日立化成工業(株)社製、商品名「DA−1000」)を介してPDP前面に当接したことを除き、実施例と同様の手順で評価を行なった。
コントラストの官能評価は、上記PDP401の画像品質(明るさ、及びコントラスト等)を「標準」モードに設定し、無彩色の最高濃度(完全な黒)及び無彩色の最低濃度(完全な白)の画像データからなる2色で碁盤目(方形格子)を交互に配置したパターンの画像データ(図10)を表示し、目視で当該パターンの白黒の境界がはっきり見えるように感じるか否かで、良否を判断した。白黒の境界がはっきり見えたものを○、そうでなかったものを×とした。
以上の官能評価は、評価人10人により行われ、下記基準により判定した。
[判定基準]
「良好」:評価人6人以上が○の場合
「不良」:評価人5人以下が○の場合
<評価結果>
実施例1〜3で得られた本発明の電磁波遮蔽フィルタの評価結果は、いずれも「良好」であり、実施例の電磁波遮蔽フィルタをPDPと組み合わせて配置した本発明の表示装置では、透明基材の両面に光吸収層を設けたことによる作用によって、外光によるコントラストの低下がなく、コントラストの高い映像を表示することができた。
一方、比較例1〜3で得られた、片面のみに黒化処理がなされた電磁波遮蔽フィルタの評価結果は、いずれも「不良」であり、コントラストが不十分であった。
本発明の電磁波遮蔽フィルタの基本的な形態の一例の断面図である。 本発明に係る電磁波遮蔽フィルタの一例(図1)の斜視図である。 本発明に係る電磁波遮蔽フィルタの一例(図2)の断面図である。 本発明の電磁波遮蔽フィルタの一例の断面図である。 本発明の電磁波遮蔽フィルタを表示光が透過する様子を表した模式的断面図である。 メッシュの開口部の平面視形状が正方形又は長方形の場合におけるメッシュ状領域の平面拡大図である。 本発明に係る画像表示装置用複合フィルタの、明室環境における艶黒感の測定法を模式的に示したものである。 本発明に係る画像表示装置用複合フィルタの、映り込み防止性能の測定法を模式的に示したものである。 本発明に係る電磁波遮蔽フィルタの目視コントラストの評価方法を示す図である。 本発明に係る電磁波遮蔽フィルタのコントラストの官能評価のための画像データを示したものである。
符号の説明
11 透明基材
12 透明導電体層
13 メッシュ状光吸収層(暗色層)
101 メッシュ状領域
103 開口部
104 ライン部
200 評価用サンプル
201 複合フィルタ
202 黒色アクリル板
203 評価者
204 三波長線管
205 冶具
206 白黒ストライプ板
401 PDP(プラズマディスプレイパネル)
402 電磁波遮蔽フィルタ
403 評価者
404 白色蛍光灯

Claims (7)

  1. 少なくとも一方の面の画像表示領域全体に透明導電体層が積層された透明基材の両面に、非導電性のメッシュ状光吸収層が設けられている、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタ。
  2. 前記メッシュ状光吸収層が暗色樹脂で形成されている、請求項1に記載のディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタ。
  3. 前記メッシュ状光吸収層が、フィルタ正面から見て完全に重なり合うように位置合わせされている、請求項1又は2に記載のディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタ。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタ、並びに、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色調調整機能、紫外線吸収機能、反射防止機能、防眩機能、防擦傷機能、及び防汚染機能のいずれか一種もしくは二種以上の機能を有する一層又は二層以上のフィルタを積層してなる、ディスプレイ用複合フィルタ。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載のディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタ、又は請求項4に記載のディスプレイ用複合フィルタが、ディスプレイの表示面に配置されていることを特徴とするディスプレイ。
  6. 少なくとも一方の面の画像表示領域全体に透明導電体層が積層された透明基材の両面に、非導電性の光吸収インキを用いて、フォトリソグラフィー法によりメッシュ状光吸収層を形成することを特徴とする、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタの製造方法。
  7. 少なくとも一方の面の画像表示領域全体に透明導電体層が積層された透明基材の両面に、非導電性の光吸収インキを用いて、メッシュ状に印刷することによりメッシュ状光吸収層を形成することを特徴とする、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルタの製造方法。
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