JP2007280766A - プラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイパネルの製造方法 Download PDF

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Hidetaka Fujii
英貴 藤井
Takayuki Onishi
孝之 大西
Masataka Kokubu
正孝 國分
Kazuo Sakai
一男 堺
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Abstract

【課題】放電電圧を低下させることができるようにしたプラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供する。
【解決手段】一対の基板の間に電極、蛍光体層、及びガス媒体が封入された放電セルを有するプラズマディスプレイパネルにおいて、上記蛍光体層の表面上には、プラズマディスプレイパネルの駆動時の環境下においてHOを発生または放出する物質を含有するHO発生放出層が形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイパネルの製造方法に関する。更に詳しくは、放電電圧を低下させることができるようにしたプラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイパネルの製造方法に関する。
近年、プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」と略す場合がある)は、大画面薄型、高画質で視野角も広い等といった優れた特性から脚光を浴びている。PDPは、密閉された放電セル内にガス媒体が封入され、このガス媒体中で放電が発生されることによって画像形成が行われるものである。
PDPは特にハイビジョン映像用の大型の薄型フラットディスプレイとして普及してきているが、今後の更なる普及が進むように、高輝度化・高発光効率化の他に、消費電力の低減化及び放電電圧の安定化を図るために放電電圧を低くすることが求められている。
放電電圧を低くする方法としては、PDPの放電セル内に水蒸気を導入することが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1によれば、PDPの製造工程の一つであるパネルを封止する工程時(封着工程時)に、PDPの放電セル内に少なくとも水蒸気が含まれたガス媒体を導入する。そして、蛍光体(特に青色蛍光体)の劣化を防止するために、封着工程における封着時の雰囲気を乾燥雰囲気にすることが重要であり、封着工程の最後に水蒸気を含むガス媒体を導入することが提案されている。
特開2001−222957号公報
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、次のような課題がある。
即ち、特許文献1によれば、パネルを封止する封着工程時に、水蒸気が含まれたガス媒体を放電セル内に導入している。よって、ガス媒体がパネル全体に均等に導入されてしまい、RGBの三つのセル中の特定のセルだけに水蒸気を優先的に導入することは困難である。RGBのセルにそれぞれ塗布される赤色、緑色、青色の各蛍光体は、その種類によって放電電圧が異なるため、各セル毎に選択的に放電電圧を低下させることができるような技術が好ましい。
(本発明の目的)
そこで本発明の目的は、放電電圧を低下させることができるようにしたプラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供することにある。
また本発明の他の目的は、RGBの各セル毎に選択的に放電電圧を低下させることができるようにしたプラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
本発明は、一対の基板の間に電極、蛍光体層、及びガス媒体が封入された放電セルを有するプラズマディスプレイパネルにおいて、上記蛍光体層の表面上には、プラズマディスプレイパネルの駆動時の環境下においてHOを発生または放出する物質を含有するHO発生放出層が形成されている、プラズマディスプレイパネルである。
上記したHOを発生または放出する物質はベーマイトまたは/及びギブサイトであることが好ましい。本明細書及び特許請求の範囲にいう「ベーマイトまたは/及びギブサイト」には、ベーマイトまたはギブサイトのいずれか一方を含む場合もあるし、あるいはベーマイト及びギブサイトの両方を含む場合もある。
本発明は、一対の基板の間に電極、蛍光体層、及びガス媒体が封入された放電セルを有するプラズマディスプレイパネルにおいて、上記蛍光体層の表面上には、ベーマイトまたは/及びギブサイトを含有する層が形成されている、プラズマディスプレイパネルである。
本発明は、一対の基板の間に電極、蛍光体層、及びガス媒体が封入された放電セルを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、HOを発生または放出する物質を含有するHO発生放出層を上記蛍光体層の表面上に形成すると共に、該HO発生放出層が含有するHOを発生または放出する物質の量をプラズマディスプレイパネルのRGBの各セル毎に調整するようにしたHO発生放出層の形成工程を有している、プラズマディスプレイパネルの製造方法である。
本発明は上記構成を備え、次の効果を有する。
(a)本発明によれば、プラズマディスプレイパネルの放電電圧を低下させることが可能である。
(b)また本発明によれば、水蒸気が含まれたガス媒体を放電セル内に導入する従来技術と相違して、プラズマディスプレイパネルのRGBの各セル毎にHOを発生または放出する物質の量を調整することにより、セル毎に選択的に放電電圧を低下させることができる。
本発明に係るプラズマディスプレイパネルでは、蛍光体層の表面上にHO発生放出層が形成されている。そして、このHO発生放出層は、プラズマディスプレイパネルの駆動時の環境下においてHOを発生または放出する物質、あるいはベーマイトまたは/及びギブサイトを含有している。よって、少なくともPDPの駆動時に、このHO発生放出層からHOを発生または放出させて放電セル内にHOを含ませることで、プラズマディスプレイパネルの放電電圧を低下させることが可能となる。
このHO発生放出層は、蒸着法、塗布法(スピンコート法)、スクリーン印刷法、インクジェット等の各種方法によって形成することができる。
発生または放出されるHOの状態は、気体の水蒸気または液体の水、あるいは水蒸気及び水が混合された状態(以下、「水蒸気等」という場合がある)が考えられる。水蒸気である場合、放電セル内のガス媒体に水蒸気が例えば0.01体積%以上、1体積%以下含まれるようにHOを発生または放出する物質の量を調整することができる。
ところで、PDPでは、放電ガスのガス媒体から放出される真空紫外線を蛍光体層の蛍光体で可視光に変換して発光させる。よって、蛍光体層の表面上に形成されるHO発生放出層の膜厚は、少なくとも真空紫外線を透過できる膜厚であって、しかもPDPの発光効率の低下を防ぐために、真空紫外線損失が低い膜厚であることが好ましい。
またプラズマディスプレイパネルの製造工程は、PDPの製造メーカーによって多少異なるが、通常、蛍光体ペースト焼成工程、封着工程、排気工程をこの順に含んでいる。更に各工程における加熱温度も製造メーカーによって多少異なっているが、その一例を挙げると、蛍光体ペースト焼成工程が500℃程度、封着工程が450℃程度、排気工程が350℃程度となっている。なお、PDPの一般的な構造と製造方法の詳細は、上記した特許文献1に記載されている。
更に、製造されたPDPの駆動時(放電中)でのプラズマのエネルギーは高く、PDPの駆動時の環境下においては500℃以上のエネルギーを有していると考えられている。
そして上記したように、蛍光体(特に青色蛍光体)の劣化を防止するためには、上記封着工程における封着時の雰囲気を乾燥雰囲気にすることが、有効であると言われている。したがって、HOを発生または放出する物質としては、プラズマディスプレイパネルの封着工程の環境下でHOを発生または放出しないかあるいは本質的にHOを発生または放出せず、少なくともプラズマディスプレイパネルの駆動時の環境下においてHOを発生または放出する物質が好ましい。
つまり、HOを発生または放出する物質は、封着工程における加熱温度以上の温度環境下で、HOを発生または放出することができる物質であることが好ましいと言うことができる。
よって、例えば封着工程が450℃であるとすると、HOを発生または放出する物質は450℃よりも高い温度でHOを発生または放出することができる物質であることが好ましい。
この条件を満たせば、封着工程ではHOを発生または放出させないようにすることができ、更に500℃以上のエネルギーを有していると考えられるPDPの駆動時の環境下においてHOを発生または放出させることが可能となる。
Oを発生または放出する物質としては、ベーマイト(Al・HOまたはAlO(OH))やギブサイト(Al・3HO)を挙げることができる。ベーマイト及びギブサイトは、500℃以上の加熱温度でHOを発生または放出することができる。ベーマイトとギブサイトは、それらを単独で、または組み合わせて(混合物も含む)使用することもできる。
(ベーマイトの熱重量/示差熱分析)
熱重量/示差熱分析(TG-DTA)により、500℃以上の加熱温度でベーマイトがHOを発生または放出すること確認した。試料として用いたベーマイトは、2〜3μmの透明または白色の粉体である。加熱温度を変化させながら、試料の重量変化の測定した結果を図1に示す。
図1から分かるように、HOの発生または放出に起因して、約400℃〜約515℃(398.9〜514.8℃)まで約2%(1.98%)の重量減少が有り、更に約515℃〜約594℃(514.8〜593.7℃)まで約13%(12.88%)の重量減少が生じていることが確認できる。
以下、本発明を図面に示した実施の形態に基づき更に詳細に説明する。なお、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
図2は、本発明に係るプラズマディスプレイパネルの一実施の形態を示す概略断面説明図である。
このPDPは、交流面放電型のプラズマディスプレイパネルであって、図2では一つのセルを示しているが、赤色、緑色、青色の各色を発光するセルが多数配列されてPDP全体が構成される。
PDPは、前面ガラス基板1上に、表示電極2と誘電体層3及び保護層4が配された前面板を有している。更に、背面ガラス基板5上にアドレス電極6、可視光反射層7、隔壁8、及びHO発生放出層91が表面に形成された蛍光体層9が配された背面板を有している。そして、上記構成の前面版と背面板とを張り合わせ、この前面板と背面板間に形成される放電空間内に放電ガスが封入された構成となっている。なお、上記可視光反射層7は反射層を省略することもできる。
以下、その詳細を説明する。
前面ガラス基板1上に表示電極2が配され、誘電体層3により被覆されている。更にこの誘電体層3上に、MgOからなる保護層4が被覆されている。
一方、背面ガラス基板5の表示面側にはアドレス電極6が配列され、このアドレス電極6が可視光反射層7によって被覆されている。更に可視光反射層7の表面と隔壁8の側面を覆うように、赤色、緑色、または青色のいずれかの蛍光材料によって形成された蛍光体層9が設けてある。
更に蛍光体層9の表面には、ベーマイトまたは/及びギブサイトを含有するHO発生放出層が形成されている。HO発生放出層は、蒸着法、塗布法(スピンコート法)、スクリーン印刷法、インクジェット等の各種方法によって形成される。
そして、上記したように、前面ガラス基板1上に表示電極2、誘電体層3及び保護層4が配された前面板と、背面ガラス基板5上にアドレス電極6、可視光反射層7、隔壁8、及びHO発生放出層91が表面に形成された蛍光体層9が配された背面板と、を張り合わせ、この前面板と背面板間に形成される放電空間内に放電ガス(Xe−Ne系ガス)が封入されている。
そうして、PDPの駆動時において、上記HO発生放出層91から放電セル内にHOが発生または放出され、これによってPDPの放電電圧を低下させることが可能となる。
なお、本明細書で使用している用語と表現はあくまで説明上のものであって、限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本考案は図示の実施例に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
ベーマイトの熱重量/示差熱分析結果を示すグラフ。 本発明に係るプラズマディスプレイパネルの一実施の形態を示す概略断面説明図。
符号の説明
1 前面ガラス基板
2 表示電極
3 誘電体層
4 保護層
5 背面ガラス基板
6 アドレス電極
7 可視光反射層
8 隔壁
9 蛍光体層
91 HO発生放出層

Claims (4)

  1. 一対の基板の間に電極、蛍光体層、及びガス媒体が封入された放電セルを有するプラズマディスプレイパネルにおいて、
    上記蛍光体層の表面上には、プラズマディスプレイパネルの駆動時の環境下においてHOを発生または放出する物質を含有するHO発生放出層が形成されている、
    プラズマディスプレイパネル。
  2. Oを発生または放出する物質がベーマイトまたは/及びギブサイトである、
    請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 一対の基板の間に電極、蛍光体層、及びガス媒体が封入された放電セルを有するプラズマディスプレイパネルにおいて、
    上記蛍光体層の表面上には、ベーマイトまたは/及びギブサイトを含有する層が形成されている、
    プラズマディスプレイパネル。
  4. 一対の基板の間に電極、蛍光体層、及びガス媒体が封入された放電セルを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    Oを発生または放出する物質を含有するHO発生放出層を上記蛍光体層の表面上に形成すると共に、該HO発生放出層が含有するHOを発生または放出する物質の量をプラズマディスプレイパネルのRGBの各セル毎に調整するようにしたHO発生放出層の形成工程を有している、
    プラズマディスプレイパネルの製造方法。
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