JP2007279019A - 排気ガスセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】センサ内部で生じた凝縮水による素子割れをより効果的に抑制することが可能な排気ガスセンサを得る。
【解決手段】酸素測定部3aの表面とホルダ2の挿入孔2bの内表面との間のクリアランスD1を、酸素測定部3aの表面と内側プロテクタ4iの内表面との間のクリアランスD2未満に設定した。これにより、酸素測定部3aの表面とホルダ2の挿入孔2bの内表面との間の空間で生じた凝縮水は、酸素測定部3aの表面と内側プロテクタ4iの内表面との間の空間に抜けやすくなり、また、酸素測定部3aの表面と内側プロテクタ4iの内表面との間の空間で生じた凝縮水は、酸素測定部3aの表面とホルダ2の挿入孔2bの内表面との間の空間へ浸入しにくくなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば車両などに搭載された内燃機関の排気管に搭載され、排気ガス中の特定成分の検出を行う排気ガスセンサに関する。
車両に搭載された内燃機関の排気管には、排気ガス中の特定成分を検出する排気ガスセンサが取り付けられており、この排気ガスセンサの検出結果を基にして排気エミッションの低減制御が行われる。排気ガスセンサとしては種々あるが、酸素センサは多用されており(下記[特許文献1]参照)、そのほかにもNOxセンサやリニア空燃比センサなどがある。
特開平9−222416号公報
これらの排気ガスセンサの内部には、成分検出用の素子が収納されているが、排気ガス中の水蒸気が凝縮し、この凝縮水がセンサ内部の素子に達して素子割れが発生する場合があった。そこで、この種のセンサでは、素子の周囲にプロテクタと呼ばれるカバーが取り付けられている。プロテクタは排気ガス中の異物が素子に付着するのを抑制する役目もある。しかしながら、センサ(プロテクタ)内部での凝縮によって発生した凝縮水によって素子割れが発生することもあった。
上記特許文献1によれば、酸素センサの外部から内部への凝縮水の侵入を抑制することができる。しかしながら、センサ内部で生じた凝縮水に対する対策は十分なものではなかった。
そこで、本発明は、センサ内部で生じた凝縮水による素子割れをより効果的に抑制することが可能な排気ガスセンサを得ることを目的とする。
請求項1に記載の排気ガスセンサは、排気ガス中の特定成分の濃度を検出する検出部を備えた検出素子と、検出素子の基端側を保持しつつセンサ取付部への取付機構を備えたホルダと、ホルダに取り付けられて上記検出素子の上記検出部を保護するプロテクタとを備える排気ガスセンサにおいて、上記ホルダに形成された検出素子挿入孔の内表面と上記検出部表面とのクリアランスを、上記プロテクタの内表面と上記検出部表面とのクリアランスより小さくしたことを特徴とする。なお、検出素子の検出部とは、排気ガスに晒される部位を示す。
請求項2に記載の排気ガスセンサは、排気ガス中の特定成分の濃度を検出する検出部を備えた検出素子と、検出素子の基端側を保持しつつセンサ取付部への取付機構を備えたホルダと、ホルダに取り付けられて上記検出素子の上記検出部を保護するプロテクタとを備える排気ガスセンサにおいて、上記ホルダに形成された検出素子挿入孔の内表面と上記検出部表面とのクリアランス、および上記プロテクタの内表面と上記検出部表面とのクリアランスを、0.9mm未満に設定したことを特徴とする。
請求項3に記載の排気ガスセンサは、上記プロテクタにはガス流通孔が形成され、上記検出素子挿入孔の内表面と上記検出部表面とのクリアランスは、当該検出素子挿入孔のホルダ先端側の筒状領域でのクリアランスであり、上記プロテクタの内表面と上記検出部表面とのクリアランスは、上記ホルダの先端に最も近いガス流通孔とホルダ先端との間の領域でのクリアランスであることを特徴とする。
請求項1に記載の排気ガスセンサによれば、検出素子挿入孔の内表面と検出部表面とのクリアランスを、プロテクタの内表面と検出部表面とのクリアランスより小さくしたため、検出素子挿入孔の内表面と検出部表面との間の空間で生じた凝縮水は、プロテクタの内表面と検出部表面との間の空間に抜けやすく、プロテクタの内表面と検出部表面との間の空間で生じた凝縮水は、検出素子挿入孔の内表面と検出部表面との間の空間へ浸入しにくくなる。すなわち、かかる構成によれば、センサ内部で生じた凝縮水がセンサの内部側には浸入し難くかつ外部側には抜けやすくなるため、センサ内部で生じた凝縮水が残留することによる素子割れを抑制することができる。
請求項2に記載の排気ガスセンサによれば、排気ガス中に含まれた水分がセンサ内部で凝縮しても、その滴径が0.9mm未満であればすぐに蒸発するため、上記各クリアランスを0.9mm未満とすることで素子割れを抑制することができる。
請求項3に記載の排気ガスセンサによれば、最も素子割れが生じやすいホルダの先端部付近で、センサ内部で生じた凝縮水による素子割れを抑制することができる。
以下、本発明の酸素センサの具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、排気ガスセンサを、自動車用内燃機関の排気管に装着された空燃比検出用の酸素センサとして実施した場合について例示する。図1は、本実施形態の酸素センサの先端部の断面図(酸素センサの中心軸を含む断面での断面図)、図2は、凝縮水の水滴径(クリアランスの大きさ)と素子割れ発生比率との相関関係を示すグラフである。
図1に示されるように、ホルダ2はセンサ1の先端部側に配設されており、鋼材等の金属材料により形成されている。ホルダ2の外周側には、排気管20側に固定するためのねじ部2aが形成されている。また、ホルダ2の先端側には、筒状のプロテクタ嵌合部が形成されている。また、ホルダ2の内周側には、断面円形の検出ロッド(検出素子)3が挿通される挿入孔2bが設けられている。
検出ロッド3は、ホルダ2に形成された素子挿入孔を貫通して図1の左右両側に露出しており(ただし右側部分は図示せず)、排気ガスに晒される側(図1の左側)の先端部には酸素測定部(検出部)3aが形成されている。酸素測定部3aは、電極層や固体電解質層や、これらの層を保護する保護層が印刷後焼結されることで構築されている。
この検出ロッド3には、ヒータパターンなども印刷形成されており、これに通電することで酸素測定部3aを早期に活性化温度まで昇温させることも可能である。また、検出ロッド3の図1に図示されている端部(酸素測定部3a)側から反対側の端部(図1より右側の領域;図示せず)にかけては、電極層のリード部や参照ガス(通常は空気)を拡散させるガス拡散層、これらの層の保護層などが印刷後焼結されることで構築されている。この部分はホルダ2の挿入孔2bの内面と接触し、ホルダ2によって検出ロッド3が保持されている。なお、上述した酸素測定部3aは、ホルダ2の先端側に形成された略円筒状の挿入孔2bの内面とは接触していない。
酸素測定部3aは、ホルダ2に溶接やかしめ等で固定された二重管構成の有底円筒状のプロテクタ4i,4o内に挿入されている。内側および外側のプロテクタ4i,4oにはそれぞれガス流通用の流通孔(円孔)4a,4bが形成されており、検出ガスは、これら流通孔4a,4bを経由してプロテクタ4i,4o内に進入して酸素測定部3aの周囲に到達する。なお、図1中の符号5で示される部材は、酸素センサ1を排気管20の取付部に取り付けた際に、その接続部分のシールを行うシール部材である。
これら流通孔4a,4bは、センサ軸方向に対してずらして開口されている。このようにすることで、排気ガス中に含まれる凝集水の水滴が内側のプロテクタ4i内部の酸素測定部3aに到達しにくくしてある。
ところが、上述したように、プロテクタ4i内部で凝集して水滴となる水分もある。そこで、この水分との接触による酸素測定部3aの素子割れを抑制するため、本実施形態では、酸素測定部3aの表面とホルダ2の挿入孔2bの内表面との間のクリアランスD1を、酸素測定部3aの表面と内側プロテクタ4iの内表面との間のクリアランスD2より小さくしてある。
こうすることで、酸素測定部3aの表面とホルダ2の挿入孔2bの内表面との間の空間で生じた凝縮水は、酸素測定部3aの表面と内側プロテクタ4iの内表面との間の空間に抜けやすくなり、また、酸素測定部3aの表面と内側プロテクタ4iの内表面との間の空間で生じた凝縮水は、酸素測定部3aの表面とホルダ2の挿入孔2bの内表面との間の空間へ浸入しにくくなる。すなわち、かかる構成によれば、センサ1の内部で生じた凝縮水がセンサ1の内部側には浸入し難くかつ外部側には抜けやすくなるため、センサ1の内部で生じた凝縮水が残留することによる素子割れを抑制することができる。
さらに、本実施形態では、酸素測定部3aの表面とホルダ2の挿入孔2bの内表面との間のクリアランスD1及び酸素測定部3aの表面と内側プロテクタ4iの内表面とのクリアランスD2は、いずれも、0.9mm以上1.4mm未満の範囲を除いて設定されている。すなわち、クリアランスD1,D2は、0.9mm未満か、あるいは、1.4mm以上に設定されている。
この酸素センサ1は、排気管20に対して、先端を下方に向けて取り付けられる。よって、センサ内部で発生する凝縮水の滴径が1.4mm以上であれば、水滴の自重によって下方に滴下して酸素測定部3aに接触することはない。すなわち、上述したクリアランスD1,D2が1.4mm以上とされていれば、凝縮水との接触による酸素測定部3aの素子割れを抑制できるのである。このことが、図2中のグラフの一点鎖線によって示されている。
一方、センサ内部で発生する凝縮水の滴径が0.9mm未満であれば、水滴は排気ガスの熱ですぐに蒸発してしまう。よって、クリアランスD1,D2が0.9mm未満であれば、凝縮水はすぐに蒸発するために酸素測定部3aの素子割れを抑制できるのである。このことが、図2中のグラフの実線によって示されている。これらのことを考慮すると、クリアランスD1,D2を0.9mm以上1.4mm未満を除く範囲に設定しておけば、酸素測定部3aの素子割れを抑制できる。
なお、クリアランスD1,D2を0.9mm未満とする場合でも、0.1mm以上0.9mm未満とされることが特に好ましい。酸素測定部3aは、ホルダ2の挿入孔2bの内表面や内側プロテクタ4iの内表面と接触させないことが好ましく、0.1mm以上のクリアランスは確保することが好ましい。また、クリアランスD1,D2を1.4mm以上とする場合でも、1.4mm以上7.0mm未満とされることが特に好ましい。クリアランスD1,D2を7.0mm以上とすると、酸素センサ1の大型化を招いてしまう。また、通常酸素センサ1の排気管20への取付孔(ねじ部2a)は、M18のねじの規格を用いているため、クリアランスD1,D2を7.0mm以上とするとねじ込めない大きさとなってしまい、大きな改変が必要となってしまう。
特に、上述したクリアランスD2の好ましい範囲に関しては、少なくとも、内側プロテクタ4iに設けられた流通孔4a(最もホルダ2の先端に近いもの)よりもホルダ2側の範囲に対して適用されることが好ましい。排気ガス(被測定ガス)中の水分による凝縮水は、流通孔4aよりもホルダ2側に停滞しやすいため、この範囲に上述したクリアランスD2の好ましい範囲を適用することで、効果的に素子割れを抑制することができる。
また、上述したクリアランスD1,D2に関しては、断面ほぼ一定の円環状に形成されることが好ましい。上述したように、排気ガス(被測定ガス)中の水分による凝縮水は、流通孔4aよりもホルダ2側に停滞するため、その間のクリアランス形状を規定することで検出素子の素子割れを効果的に抑制できる。
さらに、上述した実施形態のように、検出ロッド3の先端側に拡大部分が形成され、当該拡大部分の一般部分(非拡大部分)との境界が挿入孔2bのホルダ先端側の筒状領域内に配置される構造にあっては、当該筒状領域内では、保護層で被覆されず比較的細くなっている非拡大部分(基端側部分)の表面と筒状領域の内面とのクリアランスが最大となる場合もあるが、その場合には、当該最大クリアランスがプロテクタ4iの内表面と検出部表面(拡大部分の表面)とのクリアランスD2(最小のクリアランス)より小さいことが望ましい。
本発明の排気ガスセンサは、上述した実施形態のものには限定されない。例えば、上述した実施形態では排気ガスセンサとして酸素センサである場合を説明したが、排気ガス中の特定成分を測定する他の排気ガスセンサ(NOxセンサやリニア空燃比センサやHCセンサなど)であってもよい。また、上述した実施形態の排気ガスセンサは、ロッド型の検出素子を持つ酸素センサであったが、コップ型又はプレート型(板状)の検出素子を持つ酸素センサなどであってもよい。
また、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項1に記載の排気ガスセンサでは、上記ホルダに形成された検出素子挿入孔の内表面と上記検出部表面との最大クリアランスを、上記プロテクタの内表面と上記検出部表面との最小クリアランスより小さくするのが好適である。
こうすれば、例えば、略円筒状のプロテクタおよび検出素子挿入孔に矩形断面の検出素子が挿入されている場合等、場所によってクリアランスの大きさが変化する構造の排気ガスセンサであっても、クリアランスの大小関係を維持できるため、センサ内部で生じた凝縮水が当該内部に留まるのをより確実に抑制することができる。
(ロ)請求項2に記載の排気ガスセンサでは、上記ホルダに形成された検出素子挿入孔の内表面と上記検出部表面とのクリアランス、および上記プロテクタの内表面と上記検出部表面とのクリアランスを、0.1mm以上とするのが好適である。
こうすれば、酸素測定部がホルダの挿入孔の内表面やプロテクタの内表面と接触して、検出性能が低下したり組み付け時に損傷が生じたりするのを抑制することができる。
(ハ)請求項1〜3および上記(イ)、(ロ)のうちいずれか一つに記載の排気ガスセンサでは、上記検出素子の先端側に拡大部分が形成され、当該拡大部分の境界が上記検出素子挿入孔のホルダ先端側の筒状領域内に配置されるようにするのが好適である。
こうすれば、筒状領域を設けたことによって検出素子先端側の拡大部分が検出素子挿入孔の内壁と干渉して損傷を受けたりする不具合を抑制することができる構造の排気ガスセンサにおいて、センサ内部に生じた凝縮水が当該センサ内部に留まるのをより確実に抑制することができる。
さらに、この場合においては、非拡大部分(境界より基端側の部分)の表面と筒状領域の内面とのクリアランス(最大クリアランス)が、プロテクタの内表面と検出部表面(拡大部分の表面)とのクリアランス(最小クリアランス)より小さいことが好適である。
(ニ)請求項1〜3および上記(イ)、(ロ)、および(ハ)のうちいずれか一つに記載の排気ガスセンサでは、上記ホルダに形成された検出素子挿入孔の内表面と上記検出部表面とのクリアランスの断面、および上記プロテクタの内表面と上記検出部表面とのクリアランスの断面を、センサの軸方向に沿って略一定とするのが好適である。
こうすれば、クリアランスの設定(設計)および製造時の管理が容易になるため、上記本発明による作用および効果をより確実に得られるようになる。特に、これらクリアランスを双方とも円環状とすれば、当該作用および効果をより一層確実に得られるようになる。
(ホ)請求項1に記載のガスセンサでは、上記ホルダに形成された検出素子挿入孔の内表面と上記検出部表面とのクリアランス、および上記プロテクタの内表面と上記検出部表面とのクリアランスを、0.9mm未満に設定するのが好適である。
こうすれば、凝縮水がセンサ内部へ浸入しにくくなる上、センサ外部へ排出されやすくなり、さらに蒸発しやすくなるため、凝縮水がセンサ内部に留まるのをより一層抑制することができる。
本発明の酸素センサの一実施形態の先端部断面図である。 凝縮水滴径(クリアランス幅)と素子割れ発生率との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 酸素センサ(排気ガスセンサ)
2 ホルダ
2a ねじ部
2b 検出素子挿入孔
3 検出ロッド(検出素子)
3a 酸素測定部(検出部)
4i,4o プロテクタ
4a,4b 流通孔
D1,D2 クリアランス

Claims (3)

  1. 排気ガス中の特定成分の濃度を検出する検出部を備えた検出素子と、検出素子の基端側を保持しつつセンサ取付部への取付機構を備えたホルダと、ホルダに取り付けられて前記検出素子の前記検出部を保護するプロテクタとを備える排気ガスセンサにおいて、
    前記ホルダに形成された検出素子挿入孔の内表面と前記検出部表面とのクリアランスを、前記プロテクタの内表面と前記検出部表面とのクリアランスより小さくしたことを特徴とする排気ガスセンサ。
  2. 排気ガス中の特定成分の濃度を検出する検出部を備えた検出素子と、検出素子の基端側を保持しつつセンサ取付部への取付機構を備えたホルダと、ホルダに取り付けられて前記検出素子の前記検出部を保護するプロテクタとを備える排気ガスセンサにおいて、
    前記ホルダに形成された検出素子挿入孔の内表面と前記検出部表面とのクリアランス、および前記プロテクタの内表面と前記検出部表面とのクリアランスを、0.9mm未満に設定したことを特徴とする排気ガスセンサ。
  3. 前記プロテクタにはガス流通孔が形成され、
    前記検出素子挿入孔の内表面と前記検出部表面とのクリアランスは、当該検出素子挿入孔のホルダ先端側の筒状領域でのクリアランスであり、
    前記プロテクタの内表面と前記検出部表面とのクリアランスは、前記ホルダの先端に最も近いガス流通孔とホルダ先端との間の領域でのクリアランスであることを特徴とする請求項1または2に記載の排気ガスセンサ。
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