JP2007278910A - 検査方法及び検査装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体装置の電流電圧特性のうち、半田のボイドに起因して生じる部分的な温度上昇による電圧低下を示す領域の電圧を測定するための測定電流Im(Im1)と、その領域以外の電圧領域にある電圧を測定する測定電流Im(Im2)を設定して、Im1の測定電流Im及びIm2の測定電流Imにより発熱前後で電圧測定を行い、電圧測定結果をもとに、Im1の測定電流Imを用いた場合の発熱前後の電圧変化分ΔVF21及びIm2の測定電流Imを用いた場合の発熱前後の電圧変化分ΔVF22を算出し、電圧変化分ΔVF22を基準とした電圧変化分ΔVF21の大きさにより、ボイドの大きさを評価する。
【選択図】図1
Description
図9は、ボイドがある場合とない場合の半導体装置の断面と半導体チップの表面温度を模式的に示す図である。
熱抵抗法は、図9(B)のような、ボイドによる部分的な温度上昇を、発熱前後の半導体装置の電流電圧特性から検出して、ボイドの有無を判定する方法である。
超音波探傷法は、超音波を照射し、ボイド部分の反射を捉えて、映像化し、ボイドの面積を直接捉える手法である。
熱抵抗法では、図9で示したような半導体チップ50上に電極を形成し、その電極とヒートシンク52との間に電流を流して、電流電圧特性を測定する。その後、一定時間、大電流を流して発熱させたのち、再び電流電圧特性を測定する。発熱前後の電圧変化分ΔVは、以下の式で表される。
ここで、Wは発熱時の電力(W)、Rthは熱抵抗(℃/W)、Kは温度係数(V/℃)である。
ここでは簡単のため、半導体チップ50の半導体素子を、ダイオード60を用いて等価的に表した回路について示している。等価回路は、ダイオード60と動作抵抗61が直列に接続された回路となる(図10(A))。なお、このような等価回路を用いた熱抵抗法を、ΔVF法と呼ぶ。
例えば、図9(B)で示したようなボイド53がある場合、発熱時には、半導体チップ50中で部分的な温度上昇が発生する。このとき、等価回路は、ボイド53がない半田51上の半導体素子を等価的に示したダイオード60aと動作抵抗61aによる直列回路と、ボイド53上の半導体素子を等価的に示したダイオード60bと動作抵抗61bによる直列回路とが、並列に接続された回路となる(図11(A))。この等価回路では、ボイド53上の半導体素子の部分的な温度上昇により、ダイオード60bのオン電圧はダイオード60aよりも低くなる。
例えば、測定電流Imを、特性線VF4の折れ点P1よりも大きいImaに設定し、発熱前の電圧VF1aと発熱後の電圧VF4aを測定し、電圧変化分ΔVF2aを算出する。この電圧変化分ΔVF2aが、ボイドなしの時の、発熱前と発熱後と電圧変化分ΔVF1よりも大きければボイドがあると判定する。そして、電圧変化分ΔVF2aと、電圧変化分ΔVF1との差が大きいほど、ボイドが大きいと判断する。
ここでは、図11(B)における電圧変化分ΔVF2aを算出するときの測定タイミングを示している。まず時刻t1において、Imaの測定電流Imを等価回路に流し、発熱前の電圧VF1aを測定する。その後、時刻t2において、測定電流Imを遮断して代わりに大電流(以下パワー電流IFという。)を流し、電圧VFPを印加して所定時間発熱させる。時刻t3には、パワー電流IFを遮断し、再びImaの測定電流Imを等価回路に流し、発熱後の電圧VF4aを測定し、電圧VF1aと電圧VF4aの電圧変化分ΔVF2aを算出する。その後、前述したように、ボイドなしの場合の電圧変化分ΔVF1と電圧変化分ΔVF2aとを比較することで、ボイドの有無及び大きさを評価する。
半導体チップにおける半導体素子の温度係数は、ウェハ内、ウェハごと、またはロットごとにばらつく場合がある。温度係数がばらつくと、式(1)からわかるようにΔVもばらつく。また、半田の厚さのばらつきによっても、ΔVはばらつく。
例えば、温度係数が小さい場合や、半田の厚さが標準より薄い場合、温度係数や半田の厚さが標準のものと同じ条件で発熱させても、電流電圧特性は、特性線VF5のようになり、温度係数や半田の厚さが標準の特性線VF4よりもシフト量が小さくなる。このとき、測定によって得られる発熱後の電圧VF5aと、発熱前の電圧VF1bとの電圧変化分ΔVF3は、ボイドがあるにも拘らず、温度係数が標準のときのボイドなし時の電圧変化分ΔVF1(ボイド有無の判定基準)よりも小さくなる。つまり、ボイドの検出が不可能になってしまうという問題があった。
また、本発明の他の目的は、簡単に精度よくボイドを検査可能な検査装置を提供することである。
図1は、本実施の形態の検査方法を説明する図である。
また、図2は、半導体装置の電流電圧特性を測定する測定回路と、測定対象の半導体装置の等価回路を示す図である。
発熱後の電流電圧特性のうち、特性線VF2はボイドがない場合の電流電圧特性を示し、式(1)に従って、電圧変化分ΔVF1だけ特性線VF1がシフトしたものである。また、特性線VF3はボイドが生じた半田12上の半導体チップ11の電流電圧特性を示している。半田12中にボイドが存在する場合には、半導体装置1の電流電圧特性は、特性線VF2、VF3を合成した特性線VF4のようになる。
本実施の形態の検査方法では、まず、スイッチ5をオフの状態にしておき、測定電流Imを半導体装置1に流し、そのときの測定端子n1、n2間の電圧を電圧計3にて測定する。本実施の形態では、2つの大きさの測定電流Imを用いる。ここでは、始めに、発熱後、ボイドによる部分的な温度上昇による電圧低下を示す領域の電圧を測定するための大きさの測定電流Imを流す。具体的には特性線VF4の折れ点P1よりも小さい値、Im1の大きさの測定電流Imを流す。そして、電圧計3にて測定端子n1、n2間の電圧を測定すると、発熱前は、図1のように、電流電圧特性は特性線VF1に従うので、電圧VF11が得られる(時刻t1〜t2)。
また、本実施の形態の検査方法において、電流電圧特性の測定タイミングは、以下のようにしてもよい。
ここでは、2回のパワー電流IFの供給で、発熱前後の各電圧を測定している。まず、測定電流ImをIm1に設定して、発熱前の電圧VF11を測定する(時刻t10〜t11)。その後、パワー電流IFを流して半導体装置1を発熱させる(時刻t11〜t12)。その後、パワー電流IFの供給を停止して、再び測定電流ImをIm1に設定して、発熱後の電圧VF41を測定する(時刻t12〜t13)。その後半導体装置1を冷まし、今度は測定電流ImをIm2に設定して、発熱前の電圧VF12を測定する(時刻t14〜t15)。次に、再び、パワー電流IFを流して半導体装置1を発熱させる(時刻t15〜t16)。その後、パワー電流IFの供給を停止して、再び測定電流ImをIm2に設定して、発熱後の電圧VF42を測定する(時刻t16〜t17)。
ここでは、前述の特性線VF4が温度係数や半田の厚さが標準の場合の、電流電圧特性であるとしている。温度係数が小さい場合や、半田の厚さが標準より薄い場合、標準のものと同じ条件で発熱させても、電流電圧特性は、特性線VF4よりもシフト量の小さい特性線VF5で示されるようになる。このような場合、従来では、測定電流ImがIm1の大きさのときの発熱前後の電圧変化分ΔVF31は、ボイドの有無の判定基準となる電圧変化分ΔVF1よりも小さくなり、ボイドの検出が不可能になってしまうという問題があった。
図6は、検査装置の概略のブロック図である。
検査装置30は、測定部31と、演算処理部32を有する。
図7は、ΔVce法を用いる場合の測定回路の例である。
図のように、測定端子n1、n2間にIGBT41を接続している。また、ゲートには、ゲート電圧Vgsatを入力して飽和させている。これにより、コレクタ−エミッタ間の電圧Vceは、図1で示した電流電圧特性と同様の特性を示し、前述した本実施の形態の検査方法を適用可能となる。バイポーラトランジスタについても同様である(但し、ベース電圧を飽和させる。)。
図8は、ΔVge法を用いる場合の測定回路の例である。
図のように、IGBT45のゲート−エミッタ間に電圧計3を接続し、コレクタ−エミッタ間を流れる前述したような2つの大きさの測定電流Imで、発熱前後での電圧Vgeを測定する。但し、電圧Vgeの測定時に、コレクタ−エミッタ間の電圧Vceを一定にするために、コレクタの情報を、バッファ46を介してゲート−エミッタ間に接続した電圧調整回路47に送り、ゲート電圧を調整する。
2、4 定電流源
3 電圧計
5 スイッチ
11 半導体チップ
12 半田
13 ヒートシンク
20 ダイオード
21 動作抵抗
n1、n2 測定端子
Claims (10)
- 半田による接合部を有した半導体装置を検査する検査方法において、
前記半導体装置の電流電圧特性のうち、前記半田のボイドに起因して生じる部分的な温度上昇による電圧低下を示す領域の電圧を測定するための第1の測定電流と、前記領域以外の電圧領域にある電圧を測定する第2の測定電流を設定して、前記第1の測定電流及び前記第2の測定電流により発熱前後で電圧測定を行い、
電圧測定結果をもとに、前記第1の測定電流を用いた場合の発熱前後の第1の電圧変化分及び前記第2の測定電流を用いた場合の発熱前後の第2の電圧変化分を算出し、
前記第2の電圧変化分を基準とした前記第1の電圧変化分の大きさにより、前記ボイドの大きさを評価することを特徴とする検査方法。 - 前記第1の電圧変化分と前記第2の電圧変化分との差により前記ボイドの大きさを評価することを特徴とする請求項1記載の検査方法。
- 前記第1の電圧変化分と前記第2の電圧変化分の比により前記ボイドの大きさを評価することを特徴とする請求項1記載の検査方法。
- 前記電流電圧特性は、前記半導体装置を等価的に表したダイオードの電流電圧特性であることを特徴とする請求項1記載の検査方法。
- 前記電流電圧特性は、前記半導体装置を等価的に表したMOSFETのドレイン−ソース間の電流電圧特性であることを特徴とする請求項1記載の検査方法。
- 前記電流電圧特性は、前記半導体装置を等価的に表したIGBTまたはバイポーラトランジスタのコレクタ−エミッタ間の電流電圧特性であることを特徴とする請求項1記載の検査方法。
- 前記電流電圧特性は、前記半導体装置を等価的に表したIGBTの、コレクタ−エミッタ間に流れる電流と、ゲート−エミッタ間電圧との電流電圧特性であることを特徴とする請求項1記載の検査方法。
- 前記電流電圧特性は、前記半導体装置を等価的に表したバイポーラトランジスタの、コレクタ−エミッタ間に流れる電流と、ベース−エミッタ間電圧との電流電圧特性であることを特徴とする請求項1記載の検査方法。
- 前記電流電圧特性は、前記半導体装置を等価的に表したMOSFETの、ソース−ドレイン間に流れる電流と、ゲート−ソース間電圧との電流電圧特性であることを特徴とする請求項1記載の検査方法。
- 半田による接合部を有した半導体装置を検査する検査装置において、
前記半導体装置の電流電圧特性のうち、前記半田のボイドに起因して生じる部分的な温度上昇による電圧低下を示す領域の電圧を測定するための第1の測定電流と、前記領域以外の電圧領域にある電圧を測定する第2の測定電流を設定して、前記第1の測定電流及び前記第2の測定電流により発熱前後で電圧測定を行う測定部と、
電圧測定結果をもとに、前記第1の測定電流を用いた場合の発熱前後の第1の電圧変化分及び前記第2の測定電流を用いた場合の発熱前後の第2の電圧変化分を算出し、前記第2の電圧変化分を基準とした前記第1の電圧変化分の大きさにより、前記ボイドの大きさを評価する演算処理部と、
を有することを特徴とする検査装置。
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