JP2007278789A - マイクロ流体チップ - Google Patents

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Abstract

【課題】 PCRなどを行うのに適した加熱冷却構造を有する新規なマイクロ流体チップを提供する。
【解決手段】 第1の基板と第2の基板とからなり、該第1の基板と第2の基板との間に流体を移送するためのマイクロチャネルを少なくとも1本有するマイクロ流体チップにおいて、
前記マイクロ流体チップは少なくとも1個の加熱冷却構造を有し、該加熱冷却構造は、
前記マイクロチャネルが接続される所定の容積の第1の空間を有し、
前記第1の空間に隣接して、弾性を有する薄膜により隔離された、前記第1の空間の平面面積よりも大きな平面面積と所定の容積を有する第2の空間を、前記第1の基板又は第2の基板の何れかに有し、
前記第1の空間に隣接して、前記第2の空間が配設されていない側の基板を貫通して伝熱部材が配設されており、該伝熱部材には冷熱源を接触させることができることを特徴とするマイクロ流体チップ。
【選択図】 図2

Description

本発明はマイクロ流体チップに関する。更に詳細には、本発明はマイクロ流体チップに形成した微細構造内における微量流体の移送を伴う加熱冷却方法に関する。
最近、マイクロ・トータル・アナリシス・システムズ(μTAS)又はラブ・オン・チップ(Lab-on-Chip)などの名称で知られるように、基板内に所定の形状の流路を構成するマイクロチャネル及びポートなどの微細構造を設け、該微細構造内で物質の化学反応、合成、精製、抽出、生成及び/又は分析など各種の操作を行うことが提案され、一部実用化されている。このような目的のために製作された、基板内にマイクロチャネル及びポートなどの微細構造を有する構造物は総称して「マイクロ流体チップ」又は「マイクロ流体デバイス」などと呼ばれる。
マイクロ流体チップは遺伝子解析、臨床診断、薬物スクリーニング及び環境モニタリングなどの幅広い用途に使用できる。常用サイズの同種の装置に比べて、マイクロ流体チップは(1)サンプル及び試薬の使用量が著しく少ない、(2)分析時間が短い、(3)感度が高い、(4)現場に携帯し、その場で分析できる、及び(5)使い捨てできるなどの利点を有する。
従来のマイクロ流体チップ100は、例えば、図7A及び図7Bに示されるように、合成樹脂などの材料からなる上面基板102に少なくとも1本のマイクロチャネル104が形成されており、このマイクロチャネル104の少なくとも一端には入出力ポートとなるべきポート105,106が形成されており、基板102の下面側に透明又は不透明な素材(例えば、ガラス又は合成樹脂フィルム)からなる下面基板108が接着されている。この下面基板108の存在により、ポート105,106及びマイクロチャネル104の底部が封止される。図7A及び図7Bに示されるようなマイクロ流体チップの材質や構造及び製造方法は例えば、特許文献1、特許文献2及び非特許文献1などに提案されている。
マイクロ流体チップのマイクロチャネルやポートなどの微細構造内で行われる化学的な操作の中には、対象となる物質の温度が重要な要素となる場合があり、必要に応じて加熱や冷却の手段を講じることになる。例えば、化学反応を促進するために、室温より高い温度に加熱したり、あるいは検体溶液や試薬を安定的に一時保存するために、室温より低い温度に冷却することが頻繁に行われる。マイクロ流体チップの分野においても、微細構造内に導入した微量流体に対して加熱や冷却を行う必要性があり、各種の加熱冷却方法が検討されている。
化学的操作と同時に、マイクロ流体チップ内の微量流体を移送する必要がある。すなわち、入力ポートに分注したある量の流体を入力ポートから反応室に移送したり、一つの反応室から別の反応室に移送したり、また、反応室から検出部などに移送したりする必要がある。マイクロ流体チップを高密度・高集積化し、より複合的で高度な操作を行うようにした場合、多種多様な工程が必要になり、微量流体を適切に移送する必要性がますます高まってくる。よって、加熱冷却の操作と同時に微量流体の移送を十分に考慮した方法が望まれる。
流体に対する加熱冷却の操作とその移送の問題を議論する上で、具体的な例の一つとしてPCRを挙げることができる。以下の説明では、PCRを対象とする操作として議論する。
PCRとは「Polymerase Chain Reaction」の略であり、「酵素連鎖反応」等と訳し、DNA断片の増幅を行う分子生物学上の重要な技術である。PCRは適切に調合したPCR溶液に3段階の温度サイクルを与えることにより行われる反応である。場合によっては、2段階の温度サイクルで行えるPCR試薬もあるが、以下の説明では、一般的な3段階の温度サイクルを行うことを前提にする。
PCR溶液とは、(a)プライマー、(b)酵素、(c)鋳型DNAなどの混合水溶液であるが、ここではその調合方法などに関する説明は省略する。
3段階の温度サイクルとは、(ア)熱変性、(イ)アニーリング、(ウ)伸長と呼ばれる異なった温度の状態を繰り返す操作で、それぞれ95℃近辺、55℃近辺、72℃近辺の温度が用いられる。各温度を維持する時間は、数十秒から数分である。サイクル数は30回前後が一般的である。この他に、サイクルの最初の熱変性を長い時間行ったり(初期熱変性)、サイクルの最後の伸長を長い時間行ったり(最終伸長)する場合がある。
PCR溶液に所望の温度サイクルを操作する方式として、予め所望の一定温度に調整された複数の温度区画にPCR溶液を順次移送する方式がある。この方式は、必要とするPCR溶液のみを加熱冷却すればよいため、反応時間を短くできるが、反面、反応中に適宜PCR溶液を移送しなければならない。このような温度サイクル操作方式を用いてマイクロ流体チップでPCRを行う方法が非特許文献1に記載されている。
非特許文献1では、マイクロ流体チップ内に3つの区画を設け、そこを順次通過するように蛇行する流路を配し、外部に設けたポンプを用いてその流路にPCR溶液を送液し、もってPCR溶液に対する3段階の温度サイクルを操作している。このような処理方法はフロースルーPCR(Flow Through PCR)法と呼ばれることがある。
フロースルーPCR法では、30回前後の温度サイクルを繰り返すため、流路を長くする必要があった。その流路の一端からポンプで送液すると、流し始めの時点と、流路が溶液で満たされた後の時点とで、流量が大きく異なった。それは、送液量の違いにより送液圧力が異なることで、流路や溶液の体積が変化したり、ポンプの性能によっては送液圧力によって吐出流量が異なるためである。特に、マイクロ流体チップのような微細流路では液体の界面力の作用も送液流量に大きく影響する。また、流路全てに溶液が満たされた後も、細い流路全長に渡る圧力伝播には時間を要し、流体全体が一定で均一の流れに達するには時間がかかった。
このように、安定した流量が得られないため、目的の温度サイクルが正確に行われるまでには、PCR溶液の無駄が生じる可能性があった。更に、所望のPCR産物の量を得るには、流路外へPCR産物を流し出すために、少なくとも流路容積の分だけ余計なPCR溶液を必要とした。すなわち、マイクロ流体チップで行われるPCRであっても、フロースルーPCR法は比較的溶液の量が多い場合に適応可能な方式であった。現在もフロースルーPCR法の改良研究は続けられているが、一方向に一定流量で送液することには変わりなく、送液方法に関した大きな進歩は見られない。
マイクロ流体チップにおけるフロースルーPCR法以外のPCR方式として、非特許文献2に、往復(シャトル)PCR法が記載されている。この方式は、マイクロ流体チップ内に設けた3つの温度区画に対して一度だけ通過する流路を配し、その流路内の微量液滴を往復で移送し、所望の温度サイクルを実現するものである。
図8Aは、非特許文献2に記載された往復(シャトル)PCR法を実施するためのマイクロ流体チップ110の部分概要平面透視図であり、図8Bは、図8AにおけるB−B線に沿った部分概要断面図である。所望の3種類の温度に調整した加熱ブロック112−1〜112−3をマイクロ流体チップの下面より接触させ、3種類の温度区画を形成している。更に、その3つの温度区画を通る流路114が設けられている。各温度区画の間には流路114よりも細い細管118が配設されている。流路114の一端はチップ外部に開き、そこよりPCR溶液を出し入れするための出入口が設けられている。他端は、或る容積を有するチャンバー116に接続されている。チャンバー116はゴム弾性体120を介してマイクロ流体チップ外部のアクチュエータ122に機械的に結合されている。アクチュエータでチャンバーを押すことにより、チャンバーの容積を任意に変化させることができる。
図8Cは、アクチュエータ122でチャンバー116を押した状態を示す部分概要断面図である。このようにチャンバー116の容積を減少させると、流路114内の溶液は出入り口方向に移送され、その逆にチャンバー116の容積を増加させると、流路内の溶液はチャンバー方向に移送される。すなわち、アクチュエータ122の変位を適宜に制御することで、チャンバー116の容積を変化させ、PCR溶液を3つの温度区画の間で往復的に移送し、温度サイクルを実現する方式である。
この往復(シャトル)PCR法は、フロースルーPCR法と比較して、少量のPCR溶液に対してPCRが適応可能な方式であり、PCR溶液の無駄も比較的少ない。また、流路が短く、マイクロ流体チップにおける平面的な占有面積が小さくて済む。更に、同一流路を多数、並列的に設けることで、同時に複数のPCRが並列処理で行えるなどの利点が有る。
しかし、往復(シャトル)PCR法には次のような問題点も存在する。
(1)流路が特殊である。
各温度区画の間で正確な液量を移送できないと、正しい温度サイクルが行われない。そのために、前記非特許文献2では、各温度区画の間に細管118を用いた一種のバルブ構造(Capillary Burst Valve)を設けなければならなかった。マイクロ流体チップのような微細流路では、流路の一端に設けられたチャンバーの容積変化と同量の流体の移送は全く期待できない。それは、主に液体の界面力によるものである。特にこの方式のように、流路の離れた一端に配置したアクチュエータを用い、流体を一定方向だけでなく、逆方向にも移送させる場合、チャンバー容積を同量増加させ、あるいは減少させても、移送方向によって移送される液量が異なる。前記の細管によるバルブ構造は、その部分での流体の移送を故意に妨げ、アクチュエータの駆動方法を工夫することで一定量の流体を移送するように工夫している。しかし、細管の寸法や形状など、適切な流路設計を行うことが非常に難しく、具体的な設計指針が無い。
(2)アクチュエータが高価で、その駆動方法が複雑・高度である。
前記に関連し、アクチュエータは単に一定変位の位置決め制御により、チャンバーの容積を一定量可変にすれば良いという単純なものではなく、その変位速度が重要になる。すなわち、速度も制御し、例えば、流体の移送初期は高速に変化させ(急激に高い圧力を作用させ)、流体のバルブ構造部分の通過を行わせる等の複雑・高度な駆動方法が必要になる。
(3)多点間の流体移送に適しない。
3つの温度区画の間の流体の移送を一つのアクチュエータにより行うため、アクチュエータは他段階のアナログ的な制御が必要になる。単純なデジタル的なオン・オフ制御では流体の移送は行われない。更に、温度区画が3つ以上に増え、多点間の流体移送を行う必要がある場合、流路が長くなり、流路の一端に配置したチャンバーの容積変化による流体の移送は、技術的に困難である。
(4)多工程化に適しない。
流路の一端に大きなチャンバーが配置されているので、加熱冷却を行うPCR以外の他の工程との間の流体移送が行い難い。元々、前記非特許文献2に示されている技術は、マイクロ流体チップで温度サイクルによるPCR工程のみを行うことを前提としたものであり、DNA抽出やPCR溶液の調合といった前工程や、電気泳動によるDNA検出といった後工程等の流体の移送は考慮されていない。
(5)PCR溶液の容量を変えることができない。
PCRを行う溶液の容量は、温度区画内の流路の大きさによって決定されてしまい、一度マイクロ流体チップを製作してしまった後は、アクチュエータの動作を変更する等で容量の変更をすることができない。
(6)他の温度区画の溶液が無駄になる。
対象とする溶液を或る温度区画で加熱冷却している間にも、他の温度区画で余分な溶液が加熱冷却されることになり、それが無駄になる。溶液の無駄を解消するため、必要量の溶液の前後を気体で区切った液滴のみを流路に導入し、PCRを行うことも考えられるが、流路内に所定量の液滴を形成することは非常に困難な操作である。
(7)液滴の蒸発が防止できない。
また、PCRのように100℃近い高温に加熱する場合、PCR水溶液の液滴は気体との界面から頻繁に蒸発し、溶液の量や濃度の変化が生じてしまう。更に、蒸発した気体により流路内の圧力が変化し、液滴の移送に障害をもたらす。蒸発の観点からは、気体で区切られた液滴ではなく、密閉され気体を含まない液体の方が好ましい。
(8)並列処理を行う場合、複数のアクチュエータ及びその駆動操作が必要となる。
同一流路を複数、並列に配置して並列処理を行う場合、各流路に一つずつアクチュエータを設ける必要がある。高価なアクチュエータを複数使用することは非経済的であり、また、各アクチュエータに対し前記のような高機能・高精度な駆動操作を行わなければならず、その制御回路も複雑かつ高価となる。更に、マイクロ流体チップの微細構造と異なり、外部に配置するアクチュエータは比較的大きな寸法であり、多数を高密度に配置することは困難である。
特開2001−157855号公報 米国特許第5965237号明細書 Martin U. Kopp et al.; "Chemical Amplification:Continuous-Flow PCR on a Chip", Science, Vol.280, pp.1046-1048, 15 May 1998 Olivier Frey et al.; "Microfluidic Multi-Channel System for Polymerase Chain Reaction with Integrated Liquid Handling", Proceedings of μ TAS 2005 Conference, Vol.1, pp.79-81, 2005
従って、本発明の目的は、(1)流路設計が容易である、(2)流体移送を行う駆動源が単純かつ安価で、駆動方法も簡便である、(3)多点間の流体移送に適している、(4)多工程化に適している、(5)操作対象とする流体の容量を可変することができる、(6)操作対象とする流体の無駄が無い、(7)流体の蒸発を防止することができる、(8)密閉・予圧操作に適している、及び(9)並列処理に適している等の特徴を有する加熱冷却構造を提供することである。
特に、本発明の目的はマイクロ流体チップにおける微量流体の移送を伴う、前記のような特徴を有する加熱冷却構造を提供することである。
更に、本発明の目的は光を用いた観察及び解析に適した加熱冷却構造を提供することである。
前記課題を解決するための手段として、請求項1における発明は、第1の基板と第2の基板とからなり、該第1の基板と第2の基板との間に流体を移送するためのマイクロチャネルを少なくとも1本有するマイクロ流体チップにおいて、
前記マイクロ流体チップは少なくとも1個の加熱冷却構造を有し、該加熱冷却構造は、
前記マイクロチャネルが接続される所定の容積の第1の空間を有し、
前記第1の空間に隣接して、弾性を有する薄膜により隔離された、前記第1の空間の平面面積とほぼ同等又はそれよりも大きな平面面積と所定の容積を有する第2の空間を、前記第1の基板又は第2の基板の何れかに有し、
前記第1の空間に隣接して、前記第2の空間が配設されていない側の基板を貫通して伝熱部材が配設されており、該伝熱部材には冷熱源を接触させることができることを特徴とするマイクロ流体チップである。
前記課題を解決するための手段として、請求項2における発明は、前記加熱冷却構造において、前記第1の空間は流体試料を加熱・冷却するための空間であり、前記第2の空間は前記弾性薄膜を介して前記第1の空間の容積を変化させるための圧力空間であり、前記第2の空間内には気体又は液体が圧力媒体として充填されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体チップである。
前記課題を解決するための手段として、請求項3における発明は、前記加熱冷却構造において、前記伝熱部材と第1の空間との間に伝熱薄膜が更に配設されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体チップである。
前記課題を解決するための手段として、請求項4における発明は、前記加熱冷却構造において、前記第1の空間に接続されるマイクロチャネルの途中に開閉弁を更に有することを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体チップである。
前記課題を解決するための手段として、請求項5における発明は、前記加熱冷却構造において、前記第1の基板、第2の基板及び伝熱部材が全て光透過性材料から形成されており、前記冷熱源は前記第1の空間から伝熱部材を透過する光の進路を塞がないように配置されるか又は構成されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体チップである。
前記課題を解決するための手段として、請求項6における発明は、前記加熱冷却構造を複数個並列的に有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のマイクロ流体チップである。
前記課題を解決するための手段として、請求項7における発明は、前記加熱冷却構造を複数個直列的に有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のマイクロ流体チップである。
前記課題を解決するための手段として、請求項8における発明は、前記加熱冷却構造を複数個直列的に有し、かつ、該直列的に配列された加熱冷却構造を複数個並列的に有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のマイクロ流体チップである。
前記課題を解決するための手段として、請求項9における発明は、前記加熱冷却構造はPCRを行うために使用されることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のマイクロ流体チップである。
前記のような加熱冷却構造を有するマイクロ流体チップを使用することにより次のような効果が得られる。
(1)流路設計が容易である。
第1の空間(温度室)や第2の空間(圧力室)の基準容積を求める程度で、難しい設計手法を必要としない。
(2)流体移送を行う駆動源が単純・安価で、駆動方法も簡便である。
蓄圧した空圧容器と電磁弁のオンオフで行える。
(3)多点間の流体移送に適している。
移送の原理上、点数に制限がない。
(4)多工程化に適している。
加熱冷却を行う温度室の上部等に流体移送を行う圧力室を配置しており、前後工程間のマイクロチャネル途中にその移送を妨げる構造物を設ける必要がない。
(5)流体の容量を可変にすることができる。
操作圧力を適宜選択することで移送される流体の容量を可変にできる。従来のマイク口流体チップの微細構造は高価な鋳型によって成型され、寸法の異なるマイクロチャネルはそれぞれ別の鋳型を必要とする。同―のマイク口流体チップで適宜必要量のPCR産物が得られれば、極めて経済的である。
(6)流体の無駄がない。
順圧操作時は温度室の容積をほぼゼロにすることができ、不要な温度室に溶液を溜めることがない。
(7)液体の蒸発を防止することができる。
温度室は伝熱部材と圧力室に挟まれたサンドイッチ構造である。伝熱部材にガスバリア性のある材質を用い、圧力室に液体を満たすことで、温度室内の液体の蒸発を防止することができる。
(8)密閉・予圧操作に適している。
温度室の前後には自由に開閉弁が設けられ、しかも、開閉弁が閉じられた状態でも複数の温度室間の流体移送が問題なく行われ、よって、流体を密閉状態で加熱冷却できる。特に流体に対して予圧を与えた状態で加熱冷却でき、液体の蒸発や気体の拡張を防止することもできる。
(9)並列処理に適している。
液体移送の為の駆動源を共通にすることができ、並列処理の系統数が増えても、マイク口流体チップの製造や周辺機器に掛かるコストに大きく影響せず、駆動も1系統分だけの駆動で全ての系統の処理が行える。
また、マイク口流体チップ内に於ける液体移送の為の駆動部である圧力室の平面的な占有面積が小さく、多系統を高密度で配置できる。
(10)光を用いた観察・解析に適している。
流体移送用のアクチュエータとして圧電素子や電動モーター等の遮光物を温度室近傍に配置する必要がなく、圧力媒体に気体またほ透明流体を用いることで圧力室側からの光を用いた観察・解析が行える。
更に、透明な伝熱部材と冷熱源の配置や形状を工夫することで、透過光による観察,解析も可能である。
以下図面を参照しながら本発明のマイクロ流体チップについて詳細に説明する。図1は本発明のマイクロ流体チップで使用される加熱冷却構造の一例の部分平面透視図であり、図2は図1におけるII-II線に沿った部分概要断面図である。本発明のマイクロ流体チップ1は、基本的に上面基板3、中間基板4及び下面基板5とからなる。本発明のマイクロ流体チップでは、中間基板4には、流体の加熱または冷却を行うことを目的とした温度室7が配設されている。温度室7の形状は図示された円形状に限定されず、楕円形状、矩形などでもよい。また、温度室7の容積は非処理流体の容量を考慮して適宜決定することができる。温度室7には流体の出し入れを行うためのマイクロチャネル9が接続されている。図示された実施態様では、入口用と出口用の2本のマイクロチャネルが配設されているが、1本で出入を兼ねることもできる。また、2本以上のマイクロチャネルを使用する場合、図示されたような180゜の正対的な配置に限らず、一方のマイクロチャネルに対して他方のマイクロチャネルが鋭角又は鈍角に配置されるような形状も取り得る。温度室7に隣接して、温度室7をカバーする大きさの圧力室11が上面基板3に配設されている。圧力室11は温度室7の上部に設けることが好ましい。圧力室11の平面面積は温度室7の平面面積とほぼ同等又はそれよりも大きい。従って、圧力室11の平面面積は温度室7の平面面積よりも若干小さくてもよいし、全く同等であるか又は大きくてもよい。圧力室11は圧力管路13を介して圧力源(図示されていない)に接続されている。圧力源は例えば、エアーコンプレッサーなどである。温度室7と圧力室11とは弾性薄膜15で仕切られている。弾性薄膜15は中間基板4と一体化しているが、別体とすることもできる。弾性薄膜15は温度室7と圧力室11との圧力差に応じて、温度室7側に撓んだり、圧力室11側に撓んだりして、温度室7の容積を可変にすることができる。温度室7に隣接して、温度室7全体をカバーする大きさの伝熱部材17が配設されている。図示された実施態様では、下面基板5を貫通して温度室7の下部に配設されている。伝熱部材17はマイクロ流体チップ1のその他の構成部材よりも熱伝導性が高い材質(例えば、ガラス、シリコン、Cu又はAl等)から形成されていることが好ましい。伝熱部材17の一部は下面基板5から露出させ、マイクロ流体チップ1の外部に設けた冷熱源19と、熱伝導が良好になるように直接接触させることが好ましい。冷熱源19は温度室7内の流体を加熱又は冷却する目的近傍の温度になるように温度制御する。具体的には、伝熱ヒータやペルチェ素子等を組み込み、温調器(図示されていない)等により制御することができる。下面基板5と伝熱部材17とを仕切るために、伝熱薄膜21を使用することが好ましい。伝熱薄膜21の存在により、伝熱部材17の配設箇所からの流体の漏洩を防止できるばかりか、温度室7内の流体が伝熱部材17の表面に直接接触することを防止できる。伝熱薄膜21は合成樹脂製のフィルムなどである。マイクロ流体チップ1の大部分を構成する部材は、合成樹脂等の素材を用いることで伝熱部材17と比較して熱伝導性を低く設定し、同時に外部との断熱効果を持たせることが好ましい。なお、図1及び図2では、温度室7前後のマイクロチャネル9の途中に、開閉弁23aと23bが配設されているが、これらは必要に応じて配設することが可能であり、その開閉弁の構造などは本発明の構成要件ではなく、既存のどのような開閉弁を用いてもかまわない。
加熱冷却を行うには、まずマイク口流体チップ1を伝熱部材17が冷熱源19に接触するように据付ける。冷熱源19と伝熱部材17との間の熱伝導が良好に行われるように、伝熱部材17を冷熱源19に押付けるような力を掛けて据付けたり、冷熱源19と伝熱部材17との接触面に熱伝導グリースなどを塗布しておくことが好ましい。冷熱源19の温度は予め所望の温度に維持し、その上でマイク口流体チップ1を据付けてもよいし、マイク口流体チヅプ1を据付けた後に所望の温度に変化させてもよい。冷熱源19の温度は常に一定の温度を維持するように制御してもよいし、所望の時間的な温度変化を生じさせるように制御してもよい。冷熱源は19マイク口流体チップ1の外部に設置される為、流路のような微細な構造物の必要はなく、よって、一般的な加熱または冷却の手段が使用でき、温度制御は容易である。大きさの点から、冷熱源19の熱容量に比較し、伝熱部材17や温度室7等の熱容量は極めて小さく、冷熱源19が伝熱部材17に接触しても、冷熱源19の温度は影響され難いことなども温度制御を容易にしている。冷熱源19を室温より高い温度に調整してあっても、移送されてくる流体がその温度より高い場合は、その冷熱源19は冷却作用をすることになる。例えばPCRの操作に於いて、95℃で熱変性されたPCR溶液を次に55℃でアニールする場合、55℃に調整した冷熱源19は、PCR溶液を加熱するのではなく冷却することになる。すなわち、冷熱源19は状況によって加熱と冷却の両方の機能を果たす。よって電熱ヒーターの加熱のみによって温度制御した冷熱源19も、適度な放熱特性を持っていることが好ましい。伝熱部材17は温度室7に面した部分を通して温度室7内の液体を均―な温度で加熱冷却する必要がある。その為に、伝熱部材17には熱伝導が良好な材料を用い、温度勾配の少ない均一な温度分布となるようにすることが好ましい。また、温度室7内の液体が伝熱薄膜21を通して蒸発することを防止する為、伝熱薄膜21はガスバリア性の高い材料を用いることが好ましい。
伝熱薄膜21はマイクロチャネル9を封止する役目と同時に、伝熱部材と流体あるいは温度室7周辺の部材との間の熱伝導を担う。その為に適度の厚みの薄膜であることが好ましい。温度室7周辺の部材は、マイクロチャネル9や温度室7を構成すると同時に、マイク口流体チップ1の他の部分に伝熱部材17からの熱を伝えない断熱の役目を担う。その為には伝熱部材17より熱伝導の低い材料を用いることが好ましい。冷熱源19と伝熱部材17、伝熱部材17と伝熱薄膜21、伝熱薄膜21と温度室7の周辺部材、伝熱薄膜21及び温度室7の周辺部材と流体との間で熱伝導が行われ、流体は冷熱源と同じ温度に加熱又は冷却される
図3A及び図3Bは本発明のマイクロ流体チップ1における流体移送の具体的態様を説明するための部分概要断面図である。
図3Aに示されるように、圧力室11を温度室7より高圧に操作(順圧操作と呼ぶ)すると、圧力室11と温度室7の問の弾性薄膜15は温度室7側にたわみ、温度室の容積は減少する。逆に、図3Bに示されるように、圧力室11を温度室7より低圧に操作(逆圧操作と呼ぶ)すると、弾性薄膜15は圧力室11側にたわみ、温度室7の容積は増加する。
マイクロチャネル9に流体を導入しておくと、温度室7の容積の増加分に等しい容量の流体が温度室7の中に流入し、温度室7の容積の減少分に等しい容量の流体が温度室7から流出する。圧力室11の順圧及び逆圧操作と、温度室7に接続したマイクロチャネル9の途中に設けた開閉弁23a及び23bの操作を組合せることで、流体を目的の方向に移送することができる。本発明のマイクロ流体チップ1が前掲の非特許文献2に記載されたマイクロ流体チップと最も異なるのは、流体の加熱冷却を行う流路(本発明では温度室7)の容積を可変にすることで、流体の移送が確実に行える点である。
流体移送に於いて弾性薄膜15は重要な部材であり、弾性溥膜15は適度な弾性を有している必要がある。その材料としてPDMS(ポリジメチルシロキサン)が適している。PDMSはシリコーンゴムの総称であり、RTVゴム等もそれに含まれる。PDMSはマイク口流体チップ等の微細構造を形成するには適した材料として既に認知されており、弾性薄膜15以外にもマイクロチャネル9や温度室7、圧力室11を構成する材料とすることができる。すなわち、上面基板3及び中間基板4全体をPDMSで作製できる。あるいは、マイク口流体チップ1を構成する材料として、弾性薄膜15以外は硬質樹脂も使用可能である。PDMSを含めた樹脂は―般的に熱伝導係数が小さく、断熱材としても適している。
圧力室11の順圧及び逆圧操作は、圧力室11に圧力媒体(気体又は液体等)を送り込んだり(順圧操作)、または圧力室11から圧力媒体を吸引したり(逆圧操作)して行う。また、温度室7側を予め大気圧より高い圧力(予圧と呼ぶ)に維持しておき、圧力室11をその予圧より高い圧力に加圧したり(順圧操作)、または大気圧に開放したり(逆圧操作)しても良い。この場合、圧力媒体を吸引する必要がなく、加圧専用の機器(例えば、コンプレッサー等)のみの使用で順圧及び逆圧操作が行える利点がある。
順圧操作の圧力が高くなるに従って、温度室7の容積の減少量は大きくなるが、ある一定以上の圧力になると。弾惟薄膜15は温度室7全体に倣ってたわみ、他のマイクロチャネル9等の容積と比較して温度室7の容積はほぼゼロとみなせるようになる。すなわち、温度室7の容積をゼ口にするだけであれば、順圧操作に用いる圧力はある一定値以上であればよく、圧力の精度を必要とせず、圧力操作が極めて容易である。同様に、逆圧操作の圧力が高くなるに従って、温度室7の容積の増加量は大きくなるが、ある一定以上の圧力になると、弾性薄膜15は圧力室11全体に倣ってたわみ、温度室7の容積は、圧力操作を行わない(差圧が生じていない)時の温度室7の容積(基準容積と呼ぶ)と圧力室11の容積(基準容積と呼ぶ)を足し合わせたものにほぼ等しくなる。すなわち、温度室7の容積を、温度室7の基準容積と圧力室11の基準容積を足し合わせた容積にするだけであれば、逆圧操作に用いる圧力はある一定値以上であればよく、圧力の精度を必要とせず、圧力操作が極めて容易である。
移送される流体の容量は、逆圧操作時の温度室7の容積と順圧操作時の温度室7の容積の差に等しい。前述のように、順圧操作及び逆圧操作に於いて、それぞれある一定以上の圧力を用いれば、移送される流体の容量は、温度室7及び圧力室11の基準容積を足し合わせた容積に等しくなる。勿論、順圧操作及び/又は逆圧操作に於いて、ある一定以内の圧力を用いれば、移送される流体の容量は、温度室7及び圧力室11の基準容積を足し合わせた容積以内となる。すなわち、順圧操作及び/又は逆圧操作に用いる操作圧力を適宜に選択すれば、移送される流体の容量を可変にすることができる。
図1では温度室7や圧力室11は単純な円柱形状であったが、その他の形状でもよい。温度室7は流体が流れる流路ともなるので、液溜りが発生し難い流線型や、他のマイクロチャネル9と同じ直線的な形状でもよい。尚、温度室7を出入りする流体の移送は、圧力操作により強制的に行われるので、液溜りは元々発生し難い。
温度室7や圧力室11の寸法は、加熱冷却を行う流体の量によって決定する。すなわち、温度室7と圧力室11の基準容積を合計した容量が最大となる。前述のように、それ以内であれば、操作圧力を適宜選択することで変更することができる。温度室または圧力室の基準容積を求めるのは極めて簡単であり、よって、温度室7や圧力室11の設計に特殊な手法は必要無い。
操作圧力の発生方法や制御方法について更に説明する。ここでは一般的に用いられる空圧源を例にとる。所定の圧力を操作するには、その都度コンプレッサーの起動・停止を行ってもよいが、所定の圧力に到達するまでの時間が掛かり、また、所定の圧力を維持するように制御する必要がある。一方、本発明者らは次の方式を推奨する。数10ccから数100ccの小型の空圧容器を必要とする操作圧力の種類の個数だけ用意し、各容器に予め所定の操作圧力を蓄圧する。蓄圧の操作はコンプレッサーの起動・停止や調圧弁などを適宜用いる。蓄圧する圧力は大気圧より高くてもよいし、大気圧より低くても(負圧)よい。空圧容器とマイク口流体チップ1の圧力室11との途中には、適宜電磁弁を配して配管する。例えば、1つの圧力室11に対して2種類の圧力を切り替えて操作できるように切替弁などを複数組合せる。圧力室11に対する圧力操作はそれらの電磁弁のオンオフのみで行う。マイク口流体チップ1の圧力室11等の容積は空圧容器の容積に比較して極めて小さく、電磁弁のオンオフに伴う空気の消費量も少ない。よって、一度蓄圧した空圧容器の圧力はほとんど変化せず、複数回の圧力操作に使用可能である。勿論、空圧容器の圧力が許容範囲外に変化したら再度蓄圧操作を行えばよい。この方法では順圧及び逆圧操作が電磁弁のオンオフという極めて単純な操作で行える。
圧力室11に満たす圧力媒体は、一般的に空気やその他の気体を用いることが簡便だが、液体が好ましい場合もある。加熱冷却の対象流体をその沸点近くまで加熱する時などは、弾性薄膜15を通した対象流体(正確には流体内に含まれる液体成分であるが、簡便の為に流体とする)の蒸発の危険がある。特に圧力室11内を気体で満たした場合はその可能性が高い。圧力媒体として一部あるいは全部に液体を用い、少なくとも圧力室11に液体を満たしておくと、温度室7内の対象流体を覆うようになり、流体の蒸発を良好に防止できるガスバリア効果がある。圧力媒体として対象流体より沸点の高い液体を用いると、その液体自身の蒸発も軽減できる。具体的には、対象流体が水溶液の場合、大気圧(1気圧)下での水の沸点は100℃であり、PCR等で95℃付近まで加熱すると水の蒸発が顕著になる。この時、圧力媒体の一例としてミネラルオイルを用いると、ミネラルオイルの沸点は300℃以上が一般的で、95℃では蒸発は殆ど無視でき、水蒸気に対する良好なガスバリア性を発揮する。マイクロ流体チップ1の上面基板3の素材としてPDMSが有効であることを前述したが、PDMSは他の樹脂と比較しても気体透過性が高く、よって蒸発防止等に於けるガスバリア性は劣っている。マイクロ流体チップ1の上面基板3の素材としてPDMSを用いた場合は特に、圧力室11に満たした液体が大きなガスバリア効果を発揮する。ミネラルオイル以外の好適な液体圧力媒体は例えば、沸点が100℃超の鉱物油(例えば、パラフィンオイル、ワセリンなど)、植物油(例えば、オリーブオイルなど)、シリコンオイル、エチレングリコール又はエチレングリコールと水の混合液などである。
本発明の加熱冷却構造は、温度室7の上部等に液体の移送を司る圧力室11を設けていることにより、温度室7に接続するマイクロチャネル9には何らの制約がなく、必要に応じてマイクロチャネル途中に開閉弁23a、23b等を配置できる。よって、適宜な開閉弁を用いることにより温度室7を密閉状態にして加熱冷却が行える。
高温に維持される液体の蒸発防止には、1つには気体と接触させないことである。その為には気体を含まない液体のみを密閉状態に保つ必要がある。よって、密閉状態にて加熱冷却が行える本発明のマイクロ流体チップ1は、液体の蒸発防止に適した加熱冷却構造である。
更に、液体の蒸発防止には、液体を予め加圧しておくとよい。液体の圧力を上げることで、その液体の沸点が上昇すると同時に、蒸発に伴う気体の拡張を抑えることができる。密閉された液体でも、そこに含まれる僅かな気体を元に、液体の蒸発とそれに伴う気体の拡張が起こる。それは密閉された空間がある圧力に達するまで継続される。―且、気体が占有する体積が大きくなると、その部分から温度室7の壁を通して、マイク口流体チップ1の外に気体が透過していく割合が多くなる。それが液体の蒸発を助長する。また、密閉状態を作る開閉弁23a、23bの種類によっては、気体に対して十分な流路閉鎖機能を果たさない場合がある。気体の拡張がそうした開閉弁にまで及ぶと、開閉弁を通して気体が漏れ、それもまた液体の蒸発を助長する要因になる。気体の拡張はひどい場合には温度室から流体を排除し、加熱冷却すべき容量が減少したり、全く加熱冷却が行われない事態を招く。
本発明のマイクロ流体チップ1の特徴の1つは、加熱冷却する流体に予圧を与え、その状態で加熱冷却を行うことである。それは主に流体移送を行う為の圧力操作を目的とするが、同時に上述のような気体の拡張を抑え、それによる各種の弊害を防止する効果がある。流体に予圧を与える具体的な手段に関し、本発明は特に規定しないが、―般的なポンプを用いた送液や空気圧を用いた圧送によることができる。予圧範囲は一般的に、数十KPa〜数百KPa程度である。予圧が数十KPa未満では予圧により得られる前記のような効果が不十分となる。一方、予圧が数百KPa超では予圧により得られる前記のような効果が飽和するばかりか、逆に開閉弁などの他の構成部材を損傷する可能性がある。
化学的な操作では、物質の加熱冷却後に観察や解析を行う場合もあるが、加熱冷却中の反応過程を観察したり解析する必要がある場合もある。例えばリアルタイムPCR等である。後述するが、本発明のマイクロ流体チップ1はPCRに適した加熱冷却構造である。PCRの中でもリアルタイムPCRは1塩基多型(SNPs)の解析等を行う重要な手法の1つである。このような観察・解析には一般に光が用いられる。
図4Aは、本発明のマイクロ流体チップ1の別の実施態様の部分概要平面透視図であり、図4B及び図4Cは図4AにおけるIV-IV線に沿った部分概要断面図である。図示された実施態様のマイクロ流体チップ1Aは前記の光分析に好適なマイクロ流体チップである。図示された実施態様のマイクロ流体チップ1Aでは、透明な素材(例えば、PDMS等)からなる上面基板3の上方から光分析を行うための照射光を照射し、圧力室11、温度室7及び透明な素材(例えば、PDMS等)からなる伝熱薄膜21を透過した透過光を伝熱部材17の下側に配置された受光素子27で受光して温度室7内の検体の観察・解析を行うことができる。この場合、圧力室11には光透過性の気体又は液体が存在しなければならない。図4Bの実施態様では、冷熱源19が温度室7の位置と重ならないように、伝熱部材17の片側に偏位されており、伝熱部材17にガラスなどの透明素材を使用することにより光分析を可能にしている。また、図4Cの実施態様では、温度室7に対応する位置に貫通孔25を有する冷熱源19と共に、伝熱部材17にガラスなどの透明素材を使用することにより光分析を可能にしている。冷熱源19を温度室7より偏位して配置したり、温度室7の下部に貫通穴25を有する冷熱源19を配置しても、伝熱部材17が均一な温度分布を形成し、温度室7の対する加熱冷却には支障を生じない。
図5は本発明のマイクロ流体チップ1の更に別の実施態様の部分概要平面透視図である。図示された実施態様のマイクロ流体チップ1Bは温度室7及び圧力室11のペアを3組有する。温度室7−1、7−2及び7−3はそれぞれPCRにおける熱変性(95℃)、伸長(72℃)及びアニーリング(55℃)を行うものとする。従って、図示されていないが、各温度室下部の冷熱源もこれらの温度に調整する。マイクロ流体チップ1Bは冷熱源に接触させて据付け、予め熱的な安定を維持しておくことが好ましい。なお、PCRは熱変性、アニーリング、伸長の順に行うが、温度室7−1、7−2及び7−3の配置は、その順と異なる。それは、冷熱源をなるべく温度差が少ない順に配置し、相互の熱的干渉を軽減するためである。
図5に示されるマイクロ流体チップ1BによりPCRを行う場合の開閉弁23a、23bの開閉動作と圧力室11−1〜11−3の圧力操作を下記の表1に示された手順で行う。
Figure 2007278789

前記表1において、順圧操作の場合、温度室の溶液は排出され、逆圧操作の場合、温度
室に溶液が満たされる。
前記表1において、工程1の「溶液導入」では、開閉弁23aを開き、同時に温度室7−1に対し逆圧操作を行い、PCRの前工程よりPCR溶液を温度室7−1に導入する。初期状態で開閉弁23aと23bの間に残っていた僅かな空気を、溶液導入と同時に開閉弁23bを一時期開くことで、開閉弁23bの外に排除(エアーベント)する場合もある。
工程2の「変性」では、開閉弁23aを閉じ、初期変性の時間だけ維持する。
工程3の「アニーリング」では、温度室7−1に対して順圧操作を行うと同時に、温度室7−3に対し逆圧操作を行い、PCR溶液を温度室7−3に移送し、アニーリングの時間だけ維持する。
工程4の「伸長」では、温度室7−3に対して順圧操作を行うと同時に、温度室7−2に対して逆圧操作を行い、PCR溶液を温度室7−2に移送し、伸長の時間だけ維持する。
以後は、工程2から工程4を必要回数(例えば、30回)繰り返す。なお、2サイクル目からの変性は初期変性より短い時間でよい。また、最後のサイクルの伸長は、最終伸長として時間を長くする。
工程5の「溶液排出」では、所定のサイクル数終了後に開閉弁23bを開き、同時に全ての温度室に対し順圧操作を行い、PCR産物を後工程へ移送する。
工程2から工程3への移行時に、溶液は温度室7−2を通過して移送される。その間、温度室7−2は順圧操作が行われており。その容積はほぼゼ口である。しかし、開閉弁と異なり温度室7−2はマイクロチャネル9を完全に塞いでいる訳ではなく、僅かな隙閥を通して流体の移送は問題なく行われる。あるいは、溶液が温度室7−2を通過する僅かな時間だけ、温度室7−2を逆圧操作してもよい。
以上は3種類の温度の例だが、その移送の原理から明らかなように、2種類の温度の場合でも、また4種類以上の温度でも適応可能である。
更に、複数の温度室を設け、その-ー部を選択的に使用することも可能である。例えば温度室は3つ設けるが、適宜その内の1つまたは2つを選んで使用することもできる。未使用の温度室は順圧操作によりその容積をほぼゼ口にすることで、溶液の無駄は発生しない。一方、前掲の非特許文献2はマイクロチャネルの―端に設けたチヤンバーの微妙な容積変化で流体を移送している為、多点(例えば3種類の温度以上)間での移送が困難になる。また、多点になると溶液の無駄が発生する可能性があった。
図6は本発明のマイクロ流体チップ1の更に他の実施態様の部分概要平面透視図である。図示された実施態様のマイクロ流体チップ1Cは別々のマイクロチャネル9−1〜9−3にそれぞれ温度室7−1〜7−3及び圧力室11−1〜11−3を配置し、並列処理を行うためのものである。図示された実施態様では、各マイクロチャネルに温度室がそれぞれ1つしか配設されていないが、図5に示された実施態様のように、複数個の温度室を配設することもできる。並列処理を行う温度室に対応した各圧力室は、圧力管路13により一連的に接続する。以上により、―つの圧力操作で同時に複数の温度室を操作でき、並列処理が行えることになる。圧力操作に必要な空圧源等は1系統分で済み、空圧源等の大きさとは無関係に高密度でマイクロチャネルを配置でき、極めて容易で経済的に並列処理が実現できる。PCRを例に取ると、複数の検体(鋳型DNA)に対して同―のプライマーによるPCRを行う場合や、一種類の検体に対して、異なるプライマーによるPCRを行う場合等があり、並列処理が行い易いことは重要である。
加熱冷却構造を有する本発明のマイクロ流体チップを用いてPCRを実施し、効果を検証した。
(1)使用したマイクロ流体チップの仕様諸元
上面基板及び下面基板の構造材:PDMS;
伝熱部材:ガラス、厚さ1mm;
マイクロチャネル寸法:幅100μm、深さ150μm;
温度室寸法:直径3mmの円柱、深さ150μm、基準容積約1μL;
圧力室寸法:直径3mmの円柱、深さ150μm、基準容積約1μL、温度室と同心円状に配置;
温度室の配置:15mm間隔で3個直列に配置し、更にそれを10系統並列に配置;
弾性薄膜:厚さ300μmのPDMS膜;
伝熱薄膜:厚さ200μmのPDMS膜;
開閉弁:直列に3個配置した温度室の前後のマイクロチャネル途中に開閉弁を配置;
圧力媒体:圧力室にはミネラルオイルを満たした。
(2)使用した冷熱源の仕様諸元
鋼ブロックにカートリッジヒーターと熱電対を組み込み、電子温度調節器とSSR(ソリッドステートリレー)にて鋼ブロックの温度を制御した。3つの銅ブロックの温度設定は、変性、伸長、アニーリングに対応して、それぞれ95℃、72℃、60℃とした。
(3)使用したPCR溶液の仕様諸元
PCR試薬は米国プロメガ社のPCR Core System IIを用いた。
鋳型DNAとプライマーは、前述の製品に含まれるPCRコントロール用のプラスミドDNAとプライマーを用いた。PCRが正常に行われた場合、323bpのDNA断片が増幅される。
PCR溶液は50μL当り、下記の表2のように調合した。
Figure 2007278789
(4)圧力操作
PCR溶液は予圧70KPaで、まず変性に対応する温度室に導入した。温度室と圧力室の基準容積の合計は約2μLであり、よって1系統当り約2μL、並列処理10系統で合計約20μLのPCR溶液を導入した。系統ごとに異なるPCRが行えるが、今回は全て同一のPCR溶液とした。順圧操作は圧力室に110KPaを加圧することで行った。逆圧操作は、溶液に予圧が掛けてある為、圧力室の圧を大気開放することで行った。
(5)温度サイクル
次に示す時間で温度サイクルを行った。
初期変性2分+(変性30秒+アニーリング30秒+伸長30秒)x30サイクル+最終伸長2分で合計49分
尚、サイクル時間は更に短縮できる可能性があるが、上記は余裕を考慮し長いサイクル時間としている。
(6)PCRの確認
温度サイクル中の温度室を圧力室側から観察することができた。
PCR溶液中に気体の拡張は見られなかった。
温度サイクル後に並列処理10系統を合計して約20μLのPCR産物がマイク口流体チップより回収できた。
よって、PCRによる溶液の蒸発はほとんど無視できる程度のものであったと推察される。
前記実施例1において同収したPCR産物の内、10μLを用いて市販の電気泳動解析装置{旧日立電子エンジアリング社製のマイクロチップ電気泳動装置(名称:コスモアイ、型式:SV1100形、使用チップ:i−チップDNA、使用試薬:コスモアイ用DNA鎖長分析キット(型式:IC−1000N)、内部標準DNA:100bpと800bp(前記試薬に含まれる)}によりDNA断片の解析を行った。その結果、323bp近辺に明確なバンドがあることを確認した。よって、本発明の加熱冷却構造によりPCRが正常に行われたと同時に、予圧下に於いてもPCRが可能であることが証明された。
以上、本発明のマイクロ流体チップの好ましい実施態様について具体的に説明してきたが、本発明は開示された実施態様にのみ限定されず、様々な改変を行うことができる。例えば、下面基板をガラスやアクリル樹脂で形成することもできる。
本発明のマイクロ流体チップは、加熱冷却操作を必要とする様々な分野で使用できる。例えば、本発明のマイクロ流体チップは、医学、獣医学、歯科学、薬学、生命科学、食品、農業、水産、警察鑑識など様々な分野で好適に有効利用することができる。特に、本発明のマイクロ流体チップは、蛍光抗体法、in situ Hibridization等に最適なマイクロ流体チップとして、免疫疾患検査、細胞培養、ウィルス固定、病理検査、細胞診、生検組織診、血液検査、細菌検査、タンパク質分析、DNA分析、RNA分析などの広範な領域で安価に使用できる。
本発明のマイクロ流体チップで使用される加熱冷却構造の一例の部分平面透視図である。 図1におけるII-II線に沿った部分概要断面図である。 本発明のマイクロ流体チップ1における流体移送の具体的態様を説明するための部分概要断面図であり、温度室の容積が減少された状態を示す。 本発明のマイクロ流体チップ1における流体移送の具体的態様を説明するための部分概要断面図であり、温度室の容積が増大された状態を示す。 本発明のマイクロ流体チップ1の別の実施態様の部分概要平面透視図である。 図4AにおけるIV-IV線に沿った或る実施態様の部分概要断面図である。 図4AにおけるIV-IV線に沿った別の実施態様の部分概要断面図である。 本発明のマイクロ流体チップの更に別の実施態様の部分概要平面透視図である。 本発明のマイクロ流体チップの更に他の実施態様の部分概要平面透視図である。 従来のマイクロ流体チップの概要平面図である。 図7AにおけるB−B線に沿った概要断面図である。 非特許文献2に記載された往復(シャトル)PCR法を実施するためのマイクロ流体チップの部分概要平面透視図である。 図8AにおけるB−B線に沿った部分概要断面図である。 図8Aにおけるアクチュエータ122でチャンバー116を押した状態を示す部分概要断面図である。
符号の説明
1,1A,1B,1C 本発明のマイクロ流体チップ
3 上面基板
4 中間基板
5 下面基板
7 温度室
9 マイクロチャネル
11 圧力室
13 圧力管路
15 弾性薄膜
17 伝熱部材
19 冷熱源
21 伝熱薄膜
23a,23b 開閉弁
25 貫通孔
27 受光素子
100 従来のマイクロ流体チップ
102 上面基板
104 マイクロチャネル
105 ポート
106 ポート
108 下面基板
110 非特許文献2に記載された往復(シャトル)PCR法を実施するためのマイクロ
流体チップ
112 加熱ブロック
114 マイクロチャネル
116 チャンバー
118 細管
120 ゴム弾性体
122 アクチュエータ

Claims (9)

  1. 第1の基板と第2の基板とからなり、該第1の基板と第2の基板との間に流体を移送するためのマイクロチャネルを少なくとも1本有するマイクロ流体チップにおいて、
    前記マイクロ流体チップは少なくとも1個の加熱冷却構造を有し、該加熱冷却構造は、
    前記マイクロチャネルが接続される所定の容積の第1の空間を有し、
    前記第1の空間に隣接して、弾性を有する薄膜により隔離された、前記第1の空間の平面面積とほぼ同等又はそれよりも大きな平面面積と所定の容積を有する第2の空間を、前記第1の基板又は第2の基板の何れかに有し、
    前記第1の空間に隣接して、前記第2の空間が配設されていない側の基板を貫通して伝熱部材が配設されており、該伝熱部材には冷熱源を接触させることができることを特徴とするマイクロ流体チップ。
  2. 前記加熱冷却構造において、前記第1の空間は流体試料を加熱・冷却するための空間であり、前記第2の空間は前記弾性薄膜を介して前記第1の空間の容積を変化させるための圧力空間であり、前記第2の空間内には気体又は液体が圧力媒体として充填されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体チップ。
  3. 前記加熱冷却構造において、前記伝熱部材と第1の空間との間に伝熱薄膜が更に配設されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体チップ。
  4. 前記加熱冷却構造において、前記第1の空間に接続されるマイクロチャネルの途中に開閉弁を更に有することを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体チップ。
  5. 前記加熱冷却構造において、前記第1の基板、第2の基板及び伝熱部材が全て光透過性材料から形成されており、前記冷熱源は前記第1の空間から伝熱部材を透過する光の進路を塞がないように配置されるか又は構成されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体チップ。
  6. 前記加熱冷却構造を複数個並列的に有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のマイクロ流体チップ。
  7. 前記加熱冷却構造を複数個直列的に有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のマイクロ流体チップ。
  8. 前記加熱冷却構造を複数個直列的に有し、かつ、該直列的に配列された加熱冷却構造を複数個並列的に有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のマイクロ流体チップ。
  9. 前記加熱冷却構造はPCRを行うために使用されることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のマイクロ流体チップ。
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