JP2007278785A - 光強度分布の観察装置および観察方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 実際系において生成される光強度分布を、実際系と異なる波長の光および実際系と同じ表面凹凸型の光変調素子を用いて高精度に観察することのできる観察装置。
【解決手段】 所定の光学装置において表面凹凸型で透過型の光変調素子と結像光学系とにより生成される光強度分布を観察する観察装置。本発明の観察装置は、所定の光学装置で使用される光の波長λrとは異なる波長λsの光で光変調素子(MD)の凹凸表面を反射照明するための観察用照明光学系(18)と、反射照明された光変調素子からの光を結像させるための観察用結像光学系(19)とを備えている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、光強度分布の観察装置および観察方法に関し、特に所定の光学装置において光変調素子と結像光学系とにより生成される光強度分布の観察に関するものである。
微細回路パターンの露光やレーザ加工において、光変調素子と結像光学系とにより所定の光強度分布を生成し、この所定の光強度分布を有する光束を、結像光学系の像面に設定された被照射面に照射することが行われている。このとき、被照射面に生成される光強度分布は、光変調素子の作製誤差により変動することが多く、実際に生成されている光強度分布を観察して確認したいという希望は強い。ただし、光強度分布の変調の最小寸法が1μm程度に細かくなると、十分な解像度とダイナミックレンジとを兼ね備えた撮像素子が現存しないため、光強度分布の観察は困難である。
一例として、ガラス基板上に高機能のTFT(薄膜トランジスタ)を生成するために用いられる位相変調エキシマレーザアニーリング法の例を図11に示す。この方法を用いる結晶化装置では、図11(a)に示すような光変調素子101により、図11(b)に示すような光強度分布の勾配を生成し、図11(c)に示すようにa−Si(非晶質シリコン)を溶融した後に横方向に結晶成長させて、大粒径の結晶粒102を生成する。このとき、生成される光強度分布の勾配の長さは典型的には5μmであり、光強度(無変調のときの光強度を1に規格化したときの光強度)の変化範囲は、典型的には0.8−1.0である。この光強度分布を観察するには、0.5μm程度の解像度と、ピーク強度を1.0に規格化したときに0.01程度の強度差を検知できるような階調再現性とを有する撮像素子が必要であるが、そのような撮像素子は存在しない。
従来、たとえば位相変調エキシマレーザアニーリング法により得られるような変調の最小寸法の小さい光強度分布を観察するための観察装置として、リソグラフィシミュレーション顕微鏡(以下、単に「シミュレーション顕微鏡」という)が開発されている(たとえば非特許文献1を参照)。
田辺功、竹花洋一、法元盛久著、「フォトマスク技術のはなし」、株式会社工業調査会、p.134−136
微細回路の露光やレーザ加工では一般に縮小結像光学系(1/4倍もしくは1/5倍)を用いるが、非特許文献1に開示された従来のシミュレーション顕微鏡では拡大結像光学系を用いて得られる拡大像を撮像素子(たとえばCCD素子)により観察する。すなわち、シミュレーション顕微鏡では、結像光学系の物体側の開口数(開口角)が同じであれば、結像光学系の倍率を変えて得られる光強度分布は互いに相似であるという性質を利用している。シミュレーション顕微鏡を用いる手法では、高解像度の撮像素子を必要としないので、観察装置(以下、単に「観察系」ともいう)の構築が容易である。また、観察系では、光強度分布のうちの必要部分のみを観察すればよいため、観察対象である所定の光学装置(以下、単に「実際系」という)と同じ広さのフィールドサイズを必要としない。
ただし、従来のシミュレーション顕微鏡では、実際系と同じ波長の光を使用し、実際系と同じ開口数(開口角)の結像光学系および照明光学系を用いている。その結果、従来のシミュレーション顕微鏡では、実際系で使用される光が紫外光の場合には、レンズ材質、レンズ枚数の増加、収差の増加、無反射コートの困難性、対物レンズの入手困難性などに関連する様々な不都合があった。そこで、本出願人による特願2006−38391では、実際系において光変調素子と結像光学系とにより生成される光強度分布を、実際系と異なる波長の光を用いて観察する手法を提案している。
具体的に、上述の出願で提案された観察手法では、観察用結像光学系の開口半角を最適値に設定することにより、紫外光を用いる実際系の光強度分布を可視光で観察することができる。この観察手法では、光変調素子として表面凹凸型の位相変調素子を想定している。また、上述の出願では、光変調素子が透過型であるか反射型であるかについて明記されていないが、実際系および観察系の双方において光変調素子を透過型で使用することを前提としている。
この場合、実際系で用いた光変調素子をそのまま観察系で用いると、表面凹凸により生成される位相変調量が波長に反比例して小さくなるため、実際系よりも観察系の方が振幅(規格化された光強度の最大値と最小値との差)の小さい光強度分布が得られる。このため、撮像素子のダイナミックレンジの中の使用範囲が狭くなり階調精度が低下するとともに、光学系内の異物・汚れ、撮像素子のノイズ、照明のムラなどの影響によりSN比が低下し、ひいては光強度分布を高精度に観察することが困難である。一方、実際系と観察系とで振幅の等しい光強度分布を得るには、位相変調量が同じになるように段差量の異なる観察用の光変調素子を別途作製する必要があるが、このとき両者の位相変調量を同じに作製することは困難であり、ひいては光強度分布を高精度に観察することが困難である。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、実際系において生成される光強度分布を、実際系と異なる波長の光および実際系と同じ表面凹凸型の光変調素子を用いて高精度に観察することのできる観察装置および観察方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、所定の光学装置において表面凹凸型で透過型の光変調素子と結像光学系とにより生成される光強度分布を観察する観察装置であって、
前記所定の光学装置で使用される光の波長λrとは異なる波長λsの光で前記光変調素子の凹凸表面を反射照明するための観察用照明光学系と、
反射照明された前記光変調素子からの光を結像させるための観察用結像光学系とを備えていることを特徴とする観察装置を提供する。
第1形態の好ましい態様によれば、前記観察用結像光学系の物体側の開口半角αsは、前記所定の光学装置の前記結像光学系の物体側の開口半角をαrとするとき、sinαs/λs≒sinαr/λrの関係を満足する。また、前記観察用照明光学系の射出側の開口半角βsは、前記所定の光学装置において波長λrの光で前記光変調素子を照明する照明光学系の射出側の開口半角をβrとするとき、sinβs/λs≒sinβr/λrの関係を満足することが好ましい。
本発明の第2形態では、所定の光学装置において表面凹凸型で透過型の光変調素子と結像光学系とにより生成される光強度分布を観察する観察方法であって、
前記所定の光学装置で使用される光の波長λrとは異なる波長λsの光で、観察用照明光学系を介して前記光変調素子の凹凸表面を反射照明し、
反射照明された前記光変調素子からの光が観察用結像光学系を介して生成する光強度分布を観察することを特徴とする観察方法を提供する。
第2形態の好ましい態様によれば、前記光変調素子の前記凹凸表面で反射された光が前記観察用結像光学系を介して生成する光強度分布を観察する。あるいは、前記光変調素子の前記凹凸表面を通過して前記凹凸表面に近接配置または密着配置された反射面で反射された光が前記観察用結像光学系を介して生成する光強度分布を観察することが好ましい。
本発明の観察装置では、実際系において使用される光変調素子を反射照明し、光変調素子の凹凸表面で反射された光、あるいは光変調素子の凹凸表面を介して反射された光が生成する光強度分布を観察する。その結果、光変調素子の比較的大きな位相変調量に基づいて得られる振幅の大きな光強度分布を、高いSN比を確保しつつ高精度に観察することができる。すなわち、本発明の観察装置では、実際系において生成される光強度分布を、実際系と異なる波長の光および実際系と同じ表面凹凸型の光変調素子を用いて高精度に観察することができる。
本発明の具体的な説明に先立ち、図1を参照して結像の原理を説明する。図1において、単色光の面光源としての光源Σからの光が、照明光学系1を介して、光変調素子のような物体Oを照明する。物体Oを透過した光は、結像光学系2を介して、その像面3に光強度分布を形成する。物体側の開口角が同じであれば、結像光学系2の結像倍率を変化させても、結像光学系2の像面3に生成される光強度分布の大きさが変わるだけで、その形状は変わらない。
そこで、説明を簡単にするために、結像光学系2の結像倍率の大きさを1として、物体O(結像光学系2の物体面)と像面3とに、像の反転を考慮した共通の座標系(x,y)を設定する。結像光学系2の像面3に生成される光強度分布I(x',y')は下式(1)で表わされることが、H. H. Hopkinsにより示されている(たとえば鶴田著、「応用光学I」、p282−283を参照)。
Figure 2007278785
ただし、式(1)において、A(x,y)≡|u0(S;x,y)|である。u0(S;x,y)は、光源Σ上で点Sに中心をもつ面要素dσにより、物体面上(x,y)に生じる光の複素振幅である。g(x,y)は物体の複素振幅透過率分布であり、g*(x,y)はg(x,y)の複素共役である。u(x'−x,y'−y)は物体面上の(x,y)の点光源(単位振幅で位相0)により生成される像面(x',y')における複素振幅(もしくは複素振幅点像分布関数)であり、u*(x'−x,y'−y)はu(x'−x,y'−y)の複素共役である。積分域O1,O2は、物体が占める面積である。
また、式(1)において、位相コヒーレンス係数γ12(x1−x2,y1−y2)は、次の式(2)で表わされる。
Figure 2007278785
結像光学系2が無収差であり、結像光学系2の物体側の開口角の半分の値(以下、「開口半角」という)がαであり、照明光学系1の射出側の開口半角がβであるとすると、次の式(3a)〜(3c)に示す関係が導かれる。なお、式(3a)〜(3c)において、J1は1次の第1種ベッセル関数である。
γ12(z12)=2J1(z12)/z12 (3a)
ただし、z12=(2π/λ)sinβ[(x1−x22+(y1−y221/2
u(z1)=2J1(z1)/z1 (3b)
ただし、z1=(2π/λ)sinα[(x'−x12+(y'−y121/2
u(z2)=2J1(z2)/z2 (3c)
ただし、z2=(2π/λ)sinα[(x'−x22+(y'−y221/2
式(3a)〜(3c)において、結像光学系2の条件および照明光学系1の条件を表す変数はα,β,λのみであり、且つsinα/λおよびsinβ/λという形でのみ現われる。したがって、これらの値sinα/λおよびsinβ/λが実際系と観察系とで同じになるように観察系を構成すれば、式(3a)〜(3c)の値も実際系と観察系とで同じになり、ひいては式(1)で表される光強度分布も実際系と観察系とで同じになる。すなわち、以下の式(a)および(b)が満たされるとき、観察系で観察される光強度分布は実際系において生成される光強度分布と同じになる。
sinαs/λs=sinαr/λr (a)
sinβs/λs=sinβr/λr (b)
式(a)および(b)において、λsは観察系で使用される光の波長であり、αsは観察系の結像光学系の物体側の開口半角であり、βsは観察系の照明光学系の射出側の開口半角である。また、λrは実際系で使用される光の波長であり、αrは実際系の結像光学系の物体側の開口半角であり、βrは実際系の照明光学系の射出側の開口半角である。観察系で観察される光強度分布と実際系において生成される光強度分布とをほぼ一致させるには、結像光学系2に関連する式(a)をほぼ満足することが重要である。また、観察系で観察される光強度分布と実際系において生成される光強度分布とをさらに良好に一致させるには、結像光学系2に関連する式(a)をほぼ満足するとともに、照明光学系1に関連する式(b)もほぼ満足することが好ましい。
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図2は、本発明の実施形態にかかる観察装置が適用される結晶化装置の構成を概略的に示す図である。図2を参照すると、実際系としての結晶化装置は、被処理基板24上の非晶質シリコン膜を溶融させるエネルギ光を出力する光源として、波長λrが308nmのレーザ光を発振するXeClエキシマレーザ光源21を備えている。
XeClエキシマレーザ光源21からの光は、例えばホモジナイザ(不図示)を含む照明光学系22を介して、開口半角がβrの光で表面凹凸型の光変調素子(位相変調素子)MDを透過照明する。透過照明された光変調素子MDにより変調された光は、物体側の開口半角がαrで且つ結像倍率Mが例えば1/5の結像光学系23を介して被処理基板24に入射し、被処理基板24の表面上に所定の光強度分布を生成する。被処理基板24は、たとえば液晶ディスプレイ用板ガラス基板の上に化学気相成長法(CVD)により下地膜および非単結晶膜が順次形成されたものである。
所定の光強度分布を有する光が被処理基板24上の非単結晶半導体膜に照射されると、被照射領域内の溶融領域に温度勾配が生じ、光強度が最も低い点に対応して最初に凝固する部分もしくは溶融しない部分に結晶核が形成され、その結晶核を起点として結晶がラテラル成長する。なお、結晶化装置のさらに詳細な構成および作用については、特開2005−216893号公報などを参照することができる。
具体的に、本実施形態の結晶化装置において、結像光学系23の物体側開口数sinαrは0.03であり、コヒーレンスファクターすなわちσ値(照明光学系22の射出側開口数/結像光学系23の物体側開口数)は0.5である。したがって、照明光学系22の開口数sinβrは0.03×0.5である。また、上述したように、結晶化装置において使用される光の波長λrは308nmである。
図3は、本発明の実施形態にかかる観察装置の構成を概略的に示す図である。図3を参照すると、本実施形態にかかる観察系としての観察装置は、光源としてのハロゲンランプ11を備えている。ハロゲンランプ11から供給された光は、例えばホモジナイザ(不図示)を含む面光源形成光学系12aを介して、多数の小光源からなる実質的な面光源(二次光源)12bを形成する。面光源12bからの光束は、開口絞り12cにより制限された後、バンドパスフィルター12dを介して、所定の波長帯域を有し且つ中心波長λsの光となる。
バンドパスフィルター12dを通過した光は、集光光学系12eおよびハーフミラー12fを介して、多数の小光源からなる実質的な面光源12gを形成する。面光源12gからの光束は、第1対物光学系13を介して、実際系と同じ光変調素子MDを照明する。ただし、本実施形態の観察装置では、実際系と同じ光変調素子MDを反射照明している。反射照明された光変調素子MDからの光は、第1対物光学系13を介して集光され、開口絞りASで制限された後、ハーフミラー12fに入射する。
ハーフミラー12fを透過した光は、第2対物光学系14を介して、デジタルカメラ15の撮像面に所定の光強度分布を生成する。すなわち、面光源形成光学系12a,開口絞り12c,バンドパスフィルター12d,集光光学系12e,ハーフミラー12fおよび第1対物光学系13は、中心波長がλsで且つ開口半角がβsの光で光変調素子MDを反射照明する観察用照明光学系18を構成している。第1対物光学系13,開口絞りASおよび第2対物光学系14は、反射照明された光変調素子MDからの光を結像させて所定の光強度分布を生成する観察用結像光学系19を構成している。
ここで、観察用照明光学系18の射出側(光変調素子MD側)の開口半角βs(ひいては観察用照明光学系18の射出側の開口数sinβs)は、実質的な面光源12bの形成位置またはその近傍に配置された開口絞り12cにより規定される。観察用結像光学系19の物体側(光変調素子MD側)の開口半角αs(ひいては観察用結像光学系19の物体側の開口数sinαs)は、観察用結像光学系19の瞳位置またはその近傍に配置された開口絞りASにより規定される。
図4は、本実施形態において使用される光変調素子MDの位相変調パターンを概略的に示す図である。図4を参照すると、本実施形態の光変調素子MDは、0度の基準位相値を有する基準位相領域(図中空白部で示す)5aと、所定の変調用位相値(光変調素子MDの位相変調量に対応)を有する矩形状の変調位相領域(図中斜線部で示す)5bとを周期的に有する。ここで、変調位相領域5bは、面積を変えてたとえば所定のピッチにしたがって縦横に配置されている。
そして、正方形状の単位セル5cに対する変調位相領域5bの占有面積率(デューティ)は、図中水平方向に沿って0%〜50%の間で変化している。具体的には、位相パターンの繰り返し単位領域5dの両側における変調位相領域5bの占有面積率は50%であり、繰り返し単位領域5dの中央における変調位相領域5bの占有面積率は0%であり、その間において変調位相領域5bの占有面積率が単調に変化している。なお、単位セル5cは、結像光学系23の点像分布範囲以下の寸法を有する。
図5は、透過型で使用されたときの光変調素子MDの位相変調量を説明する図である。図5に示すように、光変調素子MDが透過型で使用される場合、基準位相領域5aを通過した光線Laと変調位相領域5bを通過した光線Lbとの間に生じる位相変調量θは、次の式(4)で表わされる。
θ=2π(n−1)d/λ (4)
式(4)において、nは光変調素子MDの凹凸形状の凸部を形成する光学材料の平均屈折率であり、dは光変調素子MDの凹凸形状の段差であり、λは光の波長である。具体的に、本実施形態の光変調素子MDは、屈折率nが1.46の石英により形成され、凹凸形状の段差dは130nmに設定されている。結晶化装置では、使用される光の波長λrが308nmであるから、結晶化装置において透過型で使用される光変調素子MDの位相変調量θは70度になる。
結晶化装置では、位相変調量θが70度の光変調素子MDを用いて結像光学系23の像面に生成される光強度分布を理論的に計算(シミュレーション)すると、図6(b)に示すような形状の光強度分布が得られた。すなわち、結像光学系23の像面(フォーカス位置)では、変調位相領域5bの占有面積率が50%である位置に対応して光強度が最も小さく、変調位相領域5bの占有面積率が0%である位置に対応して光強度が最も大きいV字状の光強度分布が得られた。なお、図6(b)において、縦軸は無変調のときの強度を1に規格化したときの光強度を示し、横軸は位置を示している。この表記は、図6(a)、図6(c)、図7(a)〜(c)、および図10においても同様である。
結像光学系23から離れる方向に結像光学系23の像面から140μmだけデフォーカスした位置(第1デフォーカス位置)では、図6(a)に示すように変形したV字状の光強度分布が得られた。結像光学系23の像面から結像光学系23へ近づく方向に140μmだけデフォーカスした位置(第2デフォーカス位置)では、図6(c)に示すように変形したV字状の光強度分布が得られた。
次に、比較例として、観察装置において光変調素子MDを透過照明して観察される光強度分布について考える。この比較例では、使用される光の波長λsが550nmであり、観察装置と結晶化装置との間で上述の式(a)および(b)の双方が満たされているものとする。この場合、式(4)にλ=550nmを代入して得られるように、比較例の観察装置において透過型で使用される光変調素子MDの位相変調量θは39度になる。比較例の観察装置では、位相変調量θが39度の光変調素子MDを用いて観察用結像光学系の像面に生成される光強度分布を理論的に計算すると、図7(b)に示すような形状の光強度分布が得られた。すなわち、観察用結像光学系の像面(フォーカス位置)では、図6(b)に示す光強度分布に対応するV字状の光強度分布が得られた。
また、上記第1デフォーカス位置に対応するように観察用結像光学系の物体面に対して光変調素子MDをデフォーカスさせたときに、観察用結像光学系の像面では、図7(a)に示すように、図6(a)に示す光強度分布に対応する形状の光強度分布が得られた。また、上記第2デフォーカス位置に対応するように観察用結像光学系の物体面に対して光変調素子MDをデフォーカスさせたときに、観察用結像光学系の像面では、図7(c)に示すように、図6(c)に示す光強度分布に対応する形状の光強度分布が得られた。
上述したように、結晶化装置で用いる光変調素子MDをそのまま比較例の観察装置において透過型で用いる場合、比較例の観察装置と結晶化装置との間で上述の式(a)および(b)の双方を満たすことにより、結晶化装置で生成される光強度分布に対応する形状の光強度分布を観察することができる。しかしながら、比較例の観察装置で使用される光の波長λsの方が結晶化装置で使用される光の波長λrよりも大きいため、比較例の観察装置における光変調素子MDの位相変調量θの方が結晶化装置における光変調素子MDの位相変調量θよりも小さくなる。
その結果、例えば図6(b)と図7(b)とを対比して明らかなように、比較例の観察装置で得られる光強度分布の振幅(規格化された光強度の最大値と最小値との差)は結晶化装置で得られる光強度分布の振幅よりも小さくなる。このように、結晶化装置で用いる光変調素子MDをそのまま観察装置において透過型で用いる場合、実際系としての結晶化装置よりも振幅の小さい光強度分布しか得られないため、撮像素子のダイナミックレンジの中の使用範囲が狭くなり階調精度が低下するとともに、光学系内の異物・汚れ、撮像素子としてのノイズ、光変調素子に対する照明のムラなどの影響によりSN比が低下し、ひいては光強度分布を高精度に観察することが困難である。
一方、結晶化装置(実際系)と観察装置(観察系)とで振幅の等しい光強度分布を得るには、位相変調量が同じになるように段差量の異なる観察用の光変調素子を別途作製する必要がある。具体的に、結晶化装置では段差drが130nmの光変調素子MDを用いているので、比較例の観察装置では下記の式(5)を満足する段差ds≒232nmの光変調素子MD’を別途作製する必要がある。
2π(n−1)dr/λr=2π(n−1)ds/λs (5)
一般に、光変調素子の凹凸形状の段差量が異なると、作製のためのプロセス条件が異なるため、パターンの太りや細りの発生などにより、位相変調パターンの寸法が異なってしまう可能性がある。また、実際系用の光変調素子の段差と観察用の光変調素子の段差との比が上式(5)に示す条件から外れると、振幅の等しい光強度分布が得られなくなる。さらに、比較的小さい段差の実際系用の光変調素子よりも、比較的大きい段差の観察用の光変調素子を作製する方が困難である。以上のように、結晶化装置と観察装置とで振幅の等しい光強度分布を得るために段差量の異なる観察用の光変調素子を別途作製する手法では、段差量の比較的大きい観察用の光変調素子を高精度に作製することは困難であり、ひいては光強度分布を高精度に観察することが困難である。
これに対し、図3に示す本実施形態の観察装置では、実際系と同じ光変調素子MDを反射照明し、光変調素子MDからの光が観察用結像光学系19を介して生成する光強度分布を観察する。具体的に、本実施形態では、図8(a)〜(c)に示す方式にしたがって光変調素子MDを反射照明し、光変調素子MDの凹凸表面で反射された光が観察用結像光学系19を介して生成する光強度分布を観察する。
図8(a)に示すA方式では、光変調素子MDの凹凸表面が、観察用照明光学系18からの光の入射側(図3中において下側)に向くように設定されている。この場合、基準位相領域5aに入射して反射された光線Laと変調位相領域5bに入射して反射された光線Lbとの間に生じる位相変調量θは、次の式(4A)で表わされる。
θ=4πd/λ (4A)
図8(b)に示すB方式では、光変調素子MDの凹凸表面が、観察用照明光学系18からの光の入射側(図3中において下側)に向き、且つ光変調素子MDの凹凸表面が屈折率n’を有する媒質層31に接するように設定されている。具体的に、媒質層31は、屈折率n’が1.74のヨウ化メチレンにより形成され、光変調素子MDとカバーガラス32との間に保持されている。カバーガラス32は、光変調素子MDの凹凸表面と反対側の平面に平行に配置された平行平面板である。
B方式の光変調素子MDでは、カバーガラス32および媒質層31を介して基準位相領域5aに入射した光線が、基準位相領域5aで反射され、媒質層31およびカバーガラス32を介して観察用結像光学系19へ入射する。同様に、カバーガラス32および媒質層31を介して変調位相領域5bに入射した光線は、変調位相領域5bで反射され、媒質層31およびカバーガラス32を介して観察用結像光学系19へ入射する。B方式の場合、基準位相領域5aに入射して反射された光線Laと変調位相領域5bに入射して反射された光線Lbとの間に生じる位相変調量θは、次の式(4B)で表わされる。
θ=4πn’d/λ (4B)
図8(c)に示すC方式では、光変調素子MDの凹凸表面と反対側の平面が、観察用照明光学系18からの光の入射側(図3中において下側)に向くように設定されている。C方式の光変調素子MDでは、光変調素子MDの内部を通過して基準位相領域5aに入射した光線が、基準位相領域5aで反射され、光変調素子MDの内部を通過して観察用結像光学系19へ入射する。同様に、光変調素子MDの内部を通過して変調位相領域5bに入射した光線は、変調位相領域5bで反射され、光変調素子MDの内部を通過して観察用結像光学系19へ入射する。
C方式の場合、基準位相領域5aに入射して反射された光線Laと変調位相領域5bに入射して反射された光線Lbとの間に生じる位相変調量θは、次の式(4C)で表わされる。
θ=4πnd/λ (4C)
なお、A方式、B方式およびC方式では、光変調素子MDの凹凸表面における反射率を向上させて観察を容易にするために、たとえばアルミニウムからなる反射膜33を凹凸表面に形成(蒸着)することが好ましい。また、C方式では、光反射性の媒質(例えば水銀などの液体金属)を光変調素子MDの凹凸表面に接触させることにより、凹凸表面における反射率を向上させて観察を容易にすることもできる。さらに、図8(b)では、光変調素子MDの凹凸表面に近接するようにカバーガラス32を配置しているが、カバーガラス32を凹凸表面に密着配置することもできる。この場合、媒質層31は基準位相領域5aの領域にのみ形成されることになるが、式(4B)で示す位相変調量θは変わらない。
また、本実施形態では、図9(a)および(b)に示す方式にしたがって光変調素子MDを反射照明し、光変調素子MDの凹凸表面を通過して凹凸表面に近接配置または密着配置された平面状の反射面で反射された光が観察用結像光学系19を介して生成する光強度分布を観察することもできる。
図9(a)に示すD方式では、光変調素子MDの凹凸表面と反対側の平面が観察用照明光学系18からの光の入射側(図3中において下側)に向き、且つ光変調素子MDの凹凸表面に近接して平面状の反射面34が設けられている。反射部材としての反射面34は、光変調素子MDの凹凸表面と反対側の平面に平行であり、例えば石英ガラス基板の表面にアルミニウムの薄膜を蒸着することにより形成されている。
D方式の光変調素子MDでは、光変調素子MDの内部および基準位相領域5aを通過して反射面34に入射した光線が、反射面34で反射され、基準位相領域5aおよび光変調素子MDの内部を通過して観察用結像光学系19へ入射する。同様に、光変調素子MDの内部および変調位相領域5bを通過して反射面34に入射した光線は、反射面34で反射され、変調位相領域5bおよび光変調素子MDの内部を通過して観察用結像光学系19へ入射する。
D方式の場合、基準位相領域5aを二度通過して光変調素子MDから射出された光線Laと、変調位相領域5bを二度通過して光変調素子MDから射出された光線Lbとの間に生じる位相変調量θは、次の式(4D)で表わされる。
θ=4π(n−1)d/λ (4D)
図9(b)に示すE方式は、図9(a)に示すD方式に類似しているが、光変調素子MDと反射面34との間に屈折率n’を有する媒質層35が形成されている点がD方式と相違している。具体的に、媒質層35は、上述の媒質層31と同様に、屈折率n’が1.74のヨウ化メチレンにより形成されている。E方式の光変調素子MDでは、光変調素子MDの内部、基準位相領域5aおよび媒質層35を通過して反射面34に入射した光線は、反射面34で反射され、媒質層35、基準位相領域5aおよび光変調素子MDの内部を通過して観察用結像光学系19へ入射する。
同様に、光変調素子MDの内部、変調位相領域5bおよび媒質層35を通過して反射面34に入射した光線は、反射面34で反射され、媒質層35、変調位相領域5bおよび光変調素子MDの内部を通過して観察用結像光学系19へ入射する。E方式の場合、基準位相領域5aを二度通過して光変調素子MDから射出された光線Laと、変調位相領域5bを二度通過して光変調素子MDから射出された光線Lbとの間に生じる位相変調量θは、次の式(4E)で表わされる。
θ=4π(n−n’)d/λ (4E)
なお、D方式およびE方式では、光変調素子MDの凹凸表面と反射面34との間隔が、観察用結像光学系19の焦点深度(λs/sin2αs)の1/2に比して大きくなると、デフォーカス(ぼけ)により本来の光強度分布が得られなくなる。そのため、光変調素子MDの凹凸表面と反射面34との間隔を観察用結像光学系19の焦点深度の1/2以下に設定することが望ましい。ちなみに、図9(a)および(b)では、光変調素子MDの凹凸表面から間隔を隔てて反射面34を配置しているが、例えば真空吸着により反射面34を凹凸表面に密着配置することもできる。このとき、E方式では、媒質層35は基準位相領域5aの領域にのみ形成されることになるが、式(4E)で示す位相変調量θは変わらない。
また、上述のB方式およびE方式では、媒質層31および媒質層35をヨウ化メチレンにより形成しているが、これに限定されることなく、1よりも大きい屈折率を有する適当な媒質、たとえば水(屈折率n’が1.33)のような液体を用いて媒質層31および媒質層35を形成することができる。
次の表(1)に、実際系としての結晶化装置において光変調素子MDを透過型で用いた場合、比較例の観察装置において光変調素子MDを透過型で用いた場合、本実施形態の観察装置において光変調素子MDをA方式〜E方式の反射型で用いた場合について、光変調素子MDの位相変調量を表わす式、この式に含まれる各パラメータ、および位相変調量θ(度)を示す。表(1)の各パラメータにおいて、段差dおよび波長λの単位はnmである。
表(1)
位相変調量を表わす式 n n’ d λ θ
実際系 2π(n−1)d/λ 1.46 130 308 70
比較例 2π(n−1)d/λ 1.46 130 550 39
A方式 4πd/λ 1.46 130 550 170
B方式 4πn’d/λ 1.46 1.74 130 550 296
C方式 4πnd/λ 1.46 130 550 248
D方式 4π(n−1)d/λ 1.46 130 550 78
E方式 4π(n−n’)d/λ 1.46 1.74 130 550 48
表(1)を参照すると、本実施形態の観察装置において光変調素子MDをA方式〜E方式の反射型で用いる場合、比較例の観察装置において光変調素子MDを透過型で用いる場合よりも、変調素子MDの位相変調量θが大きくなっている。この傾向は、観察装置において使用される光の波長λsに依存することなく成立する。また、E方式を除く各方式の反射型で光変調素子MDを用いる場合、実際系としての結晶化装置において光変調素子MDを透過型で用いる場合よりも、光変調素子MDの位相変調量θが大きくなっている。
このように、本実施形態の観察装置では、実際系としての結晶化装置において使用される光変調素子MDを反射照明し、光変調素子MDの凹凸表面で反射された光、あるいは光変調素子MDの凹凸表面を介して反射された光が生成する光強度分布を観察する方式を採用しているので、光変調素子MDの比較的大きな位相変調量θに基づいて得られる振幅の比較的大きな光強度分布を、比較的高いSN比を確保しつつ高精度に観察することができる。換言すれば、本実施形態の観察装置では、実際系としての結晶化装置において生成される光強度分布を、実際系と異なる波長の光および実際系と同じ表面凹凸型の光変調素子MDを用いて高精度に観察することができる。
また、本実施形態では、観察装置と結晶化装置との間で上述の式(a)および(b)の双方を満たすとともに、結晶化装置において透過型で用いるときの光変調素子MDの位相変調量と観察装置において反射型で用いるときの光変調素子MDの位相変調量とが一致するように、観察装置における光の波長λsを適宜選択することにより、観察装置と結晶化装置とで同じ光変調素子MDを用いて、観察装置と結晶化装置とで振幅の等しい光強度分布を得ることができる。以下、2つの実施例に基づいて、観察装置における光の波長λsを適宜選択することにより、結晶化装置と同じ光変調素子MDを用いて、結晶化装置と同じ振幅で同じ形状の光強度分布を観察することができることを説明する。
[第1実施例]
第1実施例の観察装置では、D方式にしたがって光変調素子MDを反射照明する。この場合、結晶化装置における光変調素子MDの位相変調量θrと観察装置における光変調素子MDの位相変調量θsとを一致させるには、観察装置における光の波長λsが次の式(6)に示す関係を満たす必要がある。すなわち、位相変調量θrと位相変調量θsとを一致させる光の波長λsは、次の式(7)に示すように616nmになる。
θs=4π(n−1)d/λs=2π(n−1)d/λr=θr (6)
λs=2λr=2×308=616nm (7)
こうして、第1実施例の観察装置では、バンドパスフィルター12dとして、所定の波長帯域を有し且つ中心波長λsが616nmの可視光を選択的に透過させる特性を有するバンドパスフィルターを用いている。また、第1実施例の観察装置では、結晶化装置との間で上述の式(a)および(b)の双方を満たすように、観察用結像光学系19の物体側開口数sinαsを0.06とし、σ値を実際系と同じ0.5としている。したがって、観察用照明光学系18の射出側開口数sinβsは0.06×0.5である。
また、観察用結像光学系19には、結像倍率の大きさが20倍で且つ焦点距離が10mmの第1対物レンズ13を用いている。そして、この第1対物レンズ13の瞳位置に直径1.2mmの開口を有する開口絞りASを設けて、観察用結像光学系19の物体側開口数sinαsを0.06に設定している。また、観察用結像光学系19により20倍に拡大された画像としての光強度分布を、210万画素の2/3インチCCDを有するデジタルカメラ15により検出している。
こうして、上述の式(a)の左辺sinαs/λsの値および右辺sinαr/λrの値、並びに式(b)の左辺sinβs/λsの値および右辺sinβr/λrの値は次の通りである。
sinαs/λs=0.06/616nm=9.7×10-5nm-1
sinαr/λr=0.03/308nm=9.7×10-5nm-1
sinβs/λs=0.06×0.5/616nm=4.9×10-5nm-1
sinβr/λr=0.03×0.5/308nm=4.9×10-5nm-1
第1実施例の観察装置では、中心波長λsが616nmの可視光でD方式にしたがって光変調素子MDを反射照明したときに観察用結像光学系19の像面に生成される光強度分布を理論的に計算すると、図10に示すような形状の光強度分布が得られた。すなわち、観察用結像光学系19の像面(フォーカス位置)では、結晶化装置において波長λrが308nmの紫外光で光変調素子MDを透過照明したときに結像光学系23の像面に生成される光強度分布(図6(b)に示す光強度分布)と同じ振幅で同じ形状の光強度分布が得られた。
[第2実施例]
第2実施例の観察装置では、A方式にしたがって光変調素子MDを反射照明する。この場合、結晶化装置における光変調素子MDの位相変調量θrと観察装置における光変調素子MDの位相変調量θsとを一致させるには、観察装置における光の波長λsが次の式(8)に示す関係を満たす必要がある。すなわち、位相変調量θrと位相変調量θsとを一致させる光の波長λsは、次の式(9)に示すように1339nmになる。
θs=4πd/λs=2π(n−1)d/λr=θr (8)
λs=2λr/(n−1)=2×308/(1.46−1)=1339nm (9)
こうして、第2実施例の観察装置では、バンドパスフィルター12dとして、所定の波長帯域を有し且つ中心波長λsが1339nmの赤外光を選択的に透過させる特性を有するバンドパスフィルターを用いている。また、第2実施例の観察装置では、結晶化装置との間で上述の式(a)および(b)の双方を満たすように、観察用結像光学系19の物体側開口数sinαsを0.13とし、σ値を実際系と同じ0.5としている。したがって、観察用照明光学系18の射出側開口数sinβsは0.13×0.5である。
また、観察用結像光学系19には、結像倍率の大きさが20倍で且つ焦点距離が10mmの第1対物レンズ13を用いている。そして、この第1対物レンズ13の瞳位置に直径2.6mmの開口を有する開口絞りASを設けて、観察用結像光学系19の物体側開口数sinαsを0.13に設定している。また、観察用結像光学系19により20倍に拡大された画像としての光強度分布を、210万画素の2/3インチCCDを有するデジタルカメラ15により検出している。
こうして、上述の式(a)の左辺sinαs/λsの値および右辺sinαr/λrの値、並びに式(b)の左辺sinβs/λsの値および右辺sinβr/λrの値は次の通りである。
sinαs/λs=0.13/1339nm=9.7×10-5nm-1
sinαr/λr=0.03/308nm=9.7×10-5nm-1
sinβs/λs=0.13×0.5/1339nm=4.9×10-5nm-1
sinβr/λr=0.03×0.5/308nm=4.9×10-5nm-1
第2実施例の観察装置では、中心波長λsが1339nmの赤外光でA方式にしたがって光変調素子MDを反射照明したときに観察用結像光学系19の像面に生成される光強度分布を理論的に計算すると、図10に示すような形状の光強度分布が得られた。すなわち、第2実施例では第1実施例と同様に、観察用結像光学系19の像面(フォーカス位置)では、結晶化装置において波長λrが308nmの紫外光で光変調素子MDを透過照明したときに結像光学系23の像面に生成される光強度分布(図6(b)に示す光強度分布)と同じ振幅で同じ形状の光強度分布が得られた。
なお、上述の説明では、第1実施例においてD方式を採用し、第2実施例においてA方式を採用しているが、その他のB方式、C方式およびE方式にしたがって光変調素子MDを反射照明する場合も、観察装置における光の波長λsを適宜選択することにより、結晶化装置と同じ光変調素子MDを用いて、結晶化装置と同じ振幅で同じ形状の光強度分布を観察することができる。
具体的に、B方式、C方式およびE方式を採用する場合、結晶化装置における光変調素子MDの位相変調量θrと観察装置における光変調素子MDの位相変調量θsとを一致させるために、観察装置における光の波長λsが次の式(10B)、(10C)および(10E)に示す関係を満たす必要がある。
θs=4πn’d/λs=2π(n−1)d/λr=θr (10B)
θs=4πnd/λs=2π(n−1)d/λr=θr (10C)
θs=4π(n−n’)d/λs=2π(n−1)d/λr=θr (10E)
また、上述の説明では、結晶化装置を実際系として本発明を説明しているが、これに限定されることなく、結晶化装置以外の他の一般的な実際系において光変調素子と結像光学系とにより生成される光強度分布の観察に対しても同様に本発明を適用することができる。
結像の原理を説明する図である。 本発明の実施形態にかかる観察装置が適用される結晶化装置の構成を概略的に示す図である。 本発明の実施形態にかかる観察装置の構成を概略的に示す図である。 本実施形態において使用される光変調素子MDの位相変調パターンを概略的に示す図である。 透過型で使用されたときの光変調素子MDの位相変調量を説明する図である。 結晶化装置において光変調素子MDを透過型で用いて生成される光強度分布を示す図であって、(a)は第1デフォーカス位置、(b)はフォーカス位置、(c)は第2デフォーカス位置に生成される光強度分布をそれぞれ示している。 比較例の観察装置において光変調素子MDを透過型で用いて生成される光強度分布を示す図であって、(a)は第1デフォーカス位置、(b)はフォーカス位置、(c)は第2デフォーカス位置に対応して生成される光強度分布をそれぞれ示している。 本実施形態の観察装置において光変調素子MDを反射照明する3つの方式を説明する図であって、(a)はA方式を、(b)はB方式を、(c)はC方式をそれぞれ示している。 本実施形態の観察装置において光変調素子MDを反射照明する別の2つの方式を説明する図であって、(a)はD方式を、(b)はE方式をそれぞれ示している。 第1実施例の観察装置において光変調素子MDをD方式で反射照明したときにフォーカス位置に生成される光強度分布を示す図である。 ガラス基板上に薄膜トランジスタを生成するために用いられる位相変調エキシマレーザアニーリング法の例を概略的に示す図である。
符号の説明
Σ 光源
1 照明光学系
O 物体
2 結像光学系
MD 光変調素子
11 光源
15 デジタルカメラ(撮像素子)
18 観察用照明光学系
19 観察用結像光学系
22 結晶化装置の照明光学系
23 結晶化装置の結像光学系

Claims (20)

  1. 所定の光学装置において表面凹凸型で透過型の光変調素子と結像光学系とにより生成される光強度分布を観察する観察装置であって、
    前記所定の光学装置で使用される光の波長λrとは異なる波長λsの光で前記光変調素子の凹凸表面を反射照明するための観察用照明光学系と、
    反射照明された前記光変調素子からの光を結像させるための観察用結像光学系とを備えていることを特徴とする観察装置。
  2. 前記観察用結像光学系の物体側の開口半角αsは、前記所定の光学装置の前記結像光学系の物体側の開口半角をαrとするとき、
    sinαs/λs≒sinαr/λr
    の関係を満足することを特徴とする請求項1に記載の観察装置。
  3. 前記観察用照明光学系の射出側の開口半角βsは、前記所定の光学装置において波長λrの光で前記光変調素子を照明する照明光学系の射出側の開口半角をβrとするとき、
    sinβs/λs≒sinβr/λr
    の関係を満足することを特徴とする請求項2に記載の観察装置。
  4. 前記観察装置で使用される光の波長λsは、前記所定の光学装置において用いられる前記光変調素子の位相変調量と、前記観察装置において用いられる前記光変調素子の位相変調量とがほぼ等しくなるように設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の観察装置。
  5. 前記光変調素子の前記凹凸表面は前記観察用照明光学系からの光の入射側に向くように設定され、前記凹凸表面で反射された光が前記観察用結像光学系に入射することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の観察装置。
  6. 前記観察装置で使用される光の波長λsは、前記光変調素子の前記凹凸形状の凸部を形成する光学材料の平均屈折率をnとし、前記凹凸形状の段差をdとし、前記所定の光学装置で使用される光の波長をλrとするとき、
    2π(n−1)d/λr≒4πd/λs
    の関係を満足することを特徴とする請求項5に記載の観察装置。
  7. 前記光変調素子の前記凹凸表面は前記観察用照明光学系からの光の入射側に向き、且つ前記凹凸表面は1よりも大きい所定の屈折率を有する媒質層に接し、前記媒質層を通過して前記凹凸表面で反射された光が前記観察用結像光学系に入射することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の観察装置。
  8. 前記観察装置で使用される光の波長λsは、前記光変調素子の前記凹凸形状の凸部を形成する光学材料の平均屈折率をnとし、前記凹凸形状の段差をdとし、前記所定の光学装置で使用される光の波長をλrとし、前記媒質層の屈折率をn’とするとき、
    2π(n−1)d/λr≒4πn’d/λs
    の関係を満足することを特徴とする請求項7に記載の観察装置。
  9. 前記光変調素子の前記凹凸表面と反対側の平面は前記観察用照明光学系からの光の入射側に向くように設定され、前記光変調素子の内部を通過して前記凹凸表面で反射された光が前記観察用結像光学系に入射することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の観察装置。
  10. 前記観察装置で使用される光の波長λsは、前記光変調素子の前記凹凸形状の凸部を形成する光学材料の平均屈折率をnとし、前記凹凸形状の段差をdとし、前記所定の光学装置で使用される光の波長をλrとするとき、
    2π(n−1)d/λr≒4πnd/λs
    の関係を満足することを特徴とする請求項9に記載の観察装置。
  11. 前記光変調素子の前記凹凸表面は、光反射性の媒質に接していることを特徴とする請求項9または10に記載の観察装置。
  12. 前記光変調素子の前記凹凸表面には反射膜が設けられていることを特徴とする請求項5乃至11のいずれか1項に記載の観察装置。
  13. 前記光変調素子の前記凹凸表面と反対側の平面は前記観察用照明光学系からの光の入射側に向き、且つ前記凹凸表面に近接配置または密着配置された反射面が設けられ、前記光変調素子の内部および前記凹凸表面を通過して前記反射面で反射された光が前記観察用結像光学系に入射することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の観察装置。
  14. 前記観察装置で使用される光の波長λsは、前記光変調素子の前記凹凸形状の凸部を形成する光学材料の平均屈折率をnとし、前記凹凸形状の段差をdとし、前記所定の光学装置で使用される光の波長をλrとするとき、
    2π(n−1)d/λr≒4π(n−1)d/λs
    の関係を満足することを特徴とする請求項13に記載の観察装置。
  15. 前記光変調素子の前記凹凸表面と反対側の平面は前記観察用照明光学系からの光の入射側に向き、前記凹凸表面に近接配置または密着配置された反射面が設けられ、且つ前記凹凸表面と前記反射面との間に1よりも大きい所定の屈折率を有する媒質層が設けられ、前記光変調素子の内部、前記媒質層および前記凹凸表面を通過して前記反射面で反射された光が前記観察用結像光学系に入射することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の観察装置。
  16. 前記観察装置で使用される光の波長λsは、前記光変調素子の前記凹凸形状の凸部を形成する光学材料の平均屈折率をnとし、前記凹凸形状の段差をdとし、前記所定の光学装置で使用される光の波長をλrとし、前記媒質層の屈折率をn’とするとき、
    2π(n−1)d/λr≒4π(n’−n)d/λs
    の関係を満足することを特徴とする請求項15に記載の観察装置。
  17. 所定の光学装置において表面凹凸型で透過型の光変調素子と結像光学系とにより生成される光強度分布を観察する観察方法であって、
    前記所定の光学装置で使用される光の波長λrとは異なる波長λsの光で、観察用照明光学系を介して前記光変調素子の凹凸表面を反射照明し、
    反射照明された前記光変調素子からの光が観察用結像光学系を介して生成する光強度分布を観察することを特徴とする観察方法。
  18. 前記光変調素子の前記凹凸表面で反射された光が前記観察用結像光学系を介して生成する光強度分布を観察することを特徴とする請求項17に記載の観察方法。
  19. 前記光変調素子の前記凹凸表面を通過して前記凹凸表面に近接配置または密着配置された反射面で反射された光が前記観察用結像光学系を介して生成する光強度分布を観察することを特徴とする請求項17に記載の観察方法。
  20. 前記観察用結像光学系の像面またはその近傍に生成される光強度分布を撮像素子により検出することを特徴とする請求項17乃至19のいずれか1項に記載の観察方法。
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