JP2007277780A - 耐溶剤性保護具 - Google Patents

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【課題】本発明は、可撓性がよく、作業性に優れ、耐溶剤性と耐久性がよく、使用過程で傷がつきにくい耐溶剤性保護具を提供することを目的とする。
【解決手段】保護具基材上に、一般式(1):
−R1 (1)
(式中、R1は置換または未置換の炭素数2〜8のアルキル基であり、Aは−O−または−OC(=O)−である)で示される基を側鎖に有する変性ポリビニルアルコール系樹脂から形成される層を有する耐溶剤性保護具である。
【選択図】なし

Description

本発明は、変性ポリビニルアルコール系樹脂から形成される層を有する耐溶剤性保護具に関する。
一般的に、研究所または製造工場などの各種機関において、作業者の安全性、製品の汚染を防止する等の目的、または、安全衛生等の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンフィルム等のポリマーフィルムから製造される保護手袋等の保護具が用いられている。また、これらのポリマーフィルムから製造された手袋等は、一般家庭においても広く普及している。
ところが、これらのポリマーフィルム製の手袋は、耐溶剤性が低いため、溶剤を扱う作業を行った場合、作業中に溶剤が浸透してしまう等の問題があった。また、ガスバリアー性に優れたエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂からなる手袋等も知られているが、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂は、ガスバリアー性が優れているものの、耐水性に劣る、硬く脆い、伸縮性、引裂強度が不充分である、などの問題点を有するものであり、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルム単独で手袋等の保護具を構成することは困難であった。
このような問題点を解決するものとして、ポリエチレンフィルムと織布との間にエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムが挿入された3層構造の手袋が提案されている(例えば、非特許文献1または2参照)。しかし、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムを用いた場合、手袋がごわごわして着用感が悪いものであり、また、基材との接着性が不充分であるため、使用中にエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルム層が剥離するという問題があった。
実用新案登録第3076245号公報 実用新案登録第3083971号公報
本発明は、可撓性がよく、作業性に優れ、耐溶剤性と耐久性がよく、使用過程で傷がつきにくい耐溶剤性保護具を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、保護具基材上に、一般式(1):
−(A)n−R1 (1)
(式中、R1は置換または未置換の炭素数2〜8のアルキル基であり、Aは−O−または−OC(=O)−であり、nは0または1である)
で示される基を側鎖に有する変性ポリビニルアルコール系樹脂から形成される層を有する耐溶剤性保護具に関する。
変性ポリビニルアルコール系樹脂のガラス転移温度が、−20〜75℃であることが好ましい。
変性ポリビニルアルコール系樹脂の変性率が、2〜15モル%であることが好ましい。
変性ポリビニルアルコール系樹脂から形成される層の厚さが、0.001〜100μmであることが好ましい。
本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂の側鎖に特定の官能基を導入した変性ポリビニルアルコール系樹脂を使用することを特徴とし、柔軟性を有し、耐溶剤性に優れるだけでなく、層が剥離しにくく長期間使用できる耐溶剤性保護具を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明するが、以下に記載する説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に限定されるものではない。
本発明は、保護具基材上に、一般式(1):
−(A)n−R1 (1)
(式中、R1は置換または未置換の炭素数2〜8のアルキル基であり、Aは−O−または−OC(=O)−であり、nは0または1である)
で示される基を側鎖に有する変性ポリビニルアルコール(以下、PVAとする)系樹脂から形成される層を有する耐溶剤性保護具に関する。
上記PVA系樹脂の側鎖に特定の官能基を導入した変性PVA系樹脂は、特に基材との密着性に優れているので、コーティングした時に良好で剥離しにくいという効果を呈する。
一般式(1)のR1は、置換または未置換の炭素数2〜8のアルキル基であり、好ましくは炭素数3〜6のアルキル基である。R1としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等があげられ、必要に応じて、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシカルボニル基(−COOR)、カルボキシル基(−COOH)、スルホン酸基等の置換基で置換されていてもよい。
本発明においては、変性によって親水性が著しく変化しない点から、R1が水酸基で置換されていることが好ましい。
nは0または1であり、1であることが好ましい。
Aは−O−または−OC(=O)−であり、−OC(=O)基であることが好ましい。
本発明で用いる一般式(1)で示される基を側鎖に有する変性PVA系樹脂は、特に限定されないが、一般式(1)中のnが1の場合、後反応によりPVA系樹脂へ側鎖を導入して得ることが好ましく、nが0の場合は、PVA系樹脂を製造する際に、共重合により側鎖を導入して得ることが好ましい。
まず、一般式(1)中のnが1の場合の変性PVA系樹脂について説明する。
原料として用いるPVA系樹脂は、通常、ビニルエステル系モノマーを重合して得られる重合体をケン化して製造される。本発明においては、そのような樹脂に限定されず、該ビニルエステル系モノマーと共重合可能な成分との共重合体をケン化して得られる樹脂を用いることもできる。
ビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等があげられるが、これらの中でも、経済的な面で酢酸ビニルが好ましい。
ビニルエステル系モノマーと共重合可能な成分としては、たとえば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、トリメトキシビニルシラン等のビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、グリセリンモノアリルエーテル、エチレンカーボネート等があげられる。さらに、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、3−ブテントリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のカチオン基含有単量体、アセトアセチル基含有単量体等もあげられる。これらを単独でまたは2種以上用いることができる。
これらの中でも酢酸ビニルとの共重合性に優れ、耐水性・耐湿性に優れた共重合体が得られる点からエチレンが好ましい。
すなわち、本発明で用いるPVA系樹脂としてはエチレン−ビニルアルコール系樹脂(以下、EVOHとする)が好ましい。
以下、本発明で用いるEVOHについて詳しく説明する。
EVOHのエチレン含有量は特に限定されないが、0〜70モル%であることが好ましく、20〜70モル%であることがより好ましく、20〜60モル%であることがさらに好ましく、20〜55モル%であることが特に好ましい。上限値をこえると本発明の効果が得られない傾向がある。また、エチレン含有量が少なすぎると保護具表面の耐水性が低下する傾向があるため好ましくない。
EVOHのケン化度は特に限定されないが、80〜100モル%であることが好ましく、90〜100モル%であることがより好ましく、95〜100モル%であることがさらに好ましく、99〜100モル%であることが特に好ましい。ケン化度が下限値未満であると本発明の効果が得られない傾向がある。
EVOHの210℃におけるメルトフローレート(MFR)は、0.01〜80g/10分であることが好ましく、0.1〜50g/10分であることがより好ましい。MFRが前記範囲外であると製造上の効率が著しく低下する傾向があり、好ましくない。
一般式(1)で示される基が、−OC(=O)−R1である場合、PVA系樹脂にラクトン類を反応させて変性PVA系樹脂を得ることができる。
ラクトン類としては、従来公知のラクトン開環重合法によってポリエステルを形成し得るラクトン類をあげることができ、たとえば、β−プロピオンラクトン類、γ―ブチロラクトン類、ε−カプロラクトン類、δ−バレロラクトン類等をあげることができる。PVA系樹脂の存在下にラクトン類を開環重合する方法は、PVA系樹脂にポリエステルがグラフトした樹脂が一段の反応で容易に得られるため、予め開環重合や縮合重合反応によってポリエステルを生成してからPVA系樹脂と反応させる方法よりも工数も少なく簡単で好ましい。
β−プロピオンラクトン類としては、β−プロピオンラクトン、ジメチルプロピオンラクトン等があげられる。
γ−ブチロラクトン類としては、ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−ラウロラクトン、γ−パルミトラクトン、γ−ステアロラクトン、クロトノラクトン、α−アンゲリカラクトン、β−アンゲリカラクトン等をあげられる。
ε−カプロラクトン類としては、ε−カプロラクトン、モノメチル−ε−カプロラクトン、モノエチル−ε−カプロラクトン、モノプロピル−ε−カプロラクトン、モノドデシル−ε−カプロラクトン等のアルキル基の炭素数が1〜5程度のモノアルキル−ε−カプロラクトン類;2〜3個のアルキル基がε−位置の炭素原子以外の同一または異なる炭素原子の水素と置換しているジアルキルまたはトリアルキル−ε−カプロラクトン類;置換基がアルコキシ基、アリール基、ベンジル基、シクロアルキル基またはアラルキル基等である置換ε−カプロラクトン類等があげられる。
δ−バレロラクトン類としては、5−バレロラクトン、3−メチル−5−バレロラクトン、3,3−ジメチル−5−バレロラクトン、2−メチル−5−バレロラクトン、3−エチル−5−バレロラクトン等があげられる。
これらの中でも、本発明で使用するラクトン類としては、特に限定されないが、ε−カプロラクトン類およびδ−バレロラクトン類が好ましく、安価かつ容易に入手できる点から、ε−カプロラクトンがより好ましい。
一般式(1)で示される基が、−O−R1である場合、PVA系樹脂にエポキシ化合物を反応させて変性PVA系樹脂を得ることができる。
エポキシ化合物としては、特に限定されないが、本発明の目的のひとつである柔軟性の点から、分子量500以下の一価エポキシ化合物であることが好ましい。具体的には、一般式(2):
Figure 2007277780
一般式(3):
Figure 2007277780
一般式(4):
Figure 2007277780
一般式(5):
Figure 2007277780
一般式(6):
Figure 2007277780
一般式(7):
Figure 2007277780
一般式(8):
Figure 2007277780
(式中、R2、R3、R4、R5およびR6は、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基(アルキル基またはアルケニル基など)、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基(シクロアルキル基、シクロアルケニル基など)、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基(フェニル基など)を表す。また、i、j、k、lおよびmは、1〜8の整数を表す。)
で示される化合物をあげることができる。
一般式(2)で表されるエポキシ化合物としては、エポキシエタン(エチレンオキサイド)、エポキシプロパン、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、3−メチル−1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、2,3−エポキシペンタン、3−メチル−1,2−エポキシペンタン、4−メチル−1,2−エポキシペンタン、4−メチル−2,3−エポキシペンタン、3−エチル−1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、2,3−エポキシヘキサン、3,4−エポキシヘキサン、3−メチル−1,2−エポキシヘキサン、4−メチル−1,2−エポキシヘキサン、5−メチル−1,2−エポキシヘキサン、3−エチル−1,2−エポキシヘキサン、3−プロピル−1,2−エポキシヘキサン、4−エチル−1,2−エポキシヘキサン、5−メチル−1,2−エポキシヘキサン、4−メチル−2,3−エポキシヘキサン、4−エチル−2,3−エポキシヘキサン、2−メチル−3,4−エポキシヘキサン、2,5−ジメチル−3,4−エポキシヘキサン、3−メチル−1,2−エポキシへプタン、4−メチル−1,2−エポキシへプタン、5−メチル−1,2−エポキシへプタン、6−メチル−1,2−エポキシへプタン、3−エチル−1,2−エポキシへプタン、3−プロピル−1,2−エポキシへプタン、3−ブチル−1,2−エポキシへプタン、4−エチル−1,2−エポキシへプタン、4−プロピル−1,2−エポキシへプタン、5−エチル−1,2−エポキシへプタン、4−メチル−2,3−エポキシへプタン、4−エチル−2,3−エポキシへプタン、4−プロピル−2,3−エポキシへプタン、2−メチル−3,4−エポキシへプタン、5−メチル−3,4−エポキシへプタン、5−エチル−3,4−エポキシへプタン、2,5−ジメチル−3,4−エポキシへプタン、2−メチル−5−エチル−3,4−エポキシへプタン、1,2−エポキシヘプタン、2,3−エポキシヘプタン、3,4−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、2,3−エポキシオクタン、3,4−エポキシオクタン、4,5−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、2,3−エポキシノナン、3,4−エポキシノナン、4,5−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、2,3−エポキシデカン、3,4−エポキシデカン、4,5−エポキシデカン、5,6−エポキシデカン、1,2−エポキシウンデカン、2,3−エポキシウンデカン、3,4−エポキシウンデカン、4,5−エポキシウンデカン、5,6−エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、2,3−エポキシドデカン、3,4−エポキシドデカン、4,5−エポキシドデカン、5,6−エポキシドデカン、6,7−エポキシドデカン、エポキシエチルベンゼン、1−フェニル−1,2−エポキシプロパン、3−フェニル−1,2−エポキシプロパン、1−フェニル−1,2−エポキシブタン、3−フェニル−1,2−エポキシブタン、4−フェニル−1,2−エポキシブタン、1−フェニル−1,2−エポキシペンタン、3−フェニル−1,2−エポキシペンタン、4−フェニル−1,2−エポキシペンタン、5−フェニル−1,2−エポキシペンタン、1−フェニル−1,2−エポキシヘキサン、3−フェニル−1,2−エポキシヘキサン、4−フェニル−1,2−エポキシヘキサン、5−フェニル−1,2−エポキシヘキサン、6−フェニル−1,2−エポキシヘキサン等があげられる。
一般式(3)で表されるエポキシ化合物としては、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、n−プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、tert−ブチルグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−3−ペンチルオキシプロパン、1,2−エポキシ−3−ヘキシルオキシプロパン、1,2−エポキシ−3−ヘプチルオキシプロパン、1,2−エポキシ−3−オクチルオキシプロパン、1,2−エポキシ−3−フェノキシプロパン、1,2−エポキシ−3−ベンジルオキシプロパン、1,2−エポキシ−4−メトキシブタン、1,2−エポキシ−4−エトキシブタン、1,2−エポキシ−4−プロポキシブタン、1,2−エポキシ−4−ブトキシブタン、1,2−エポキシ−4−ペンチルオキシブタン、1,2−エポキシ−4−ヘキシルオキシブタン、1,2−エポキシ−4−ヘプチルオキシブタン、1,2−エポキシ−4−フェノキシブタン、1,2−エポキシ−4−ベンジルオキシブタン、1,2−エポキシ−5−メトキシペンタン、1,2−エポキシ−5−エトキシペンタン、1,2−エポキシ−5−プロポキシペンタン、1,2−エポキシ−5−ブトキシペンタン、1,2−エポキシ−5−ペンチルオキシペンタン、1,2−エポキシ−5−ヘキシルオキシペンタン、1,2−エポキシ−5−フェノキシペンタン、1,2−エポキシ−6−メトキシヘキサン、1,2−エポキシ−6−エトキシヘキサン、1,2−エポキシ−6−プロポキシヘキサン、1,2−エポキシ−6−ブトキシヘキサン、1,2−エポキシ−6−ヘプチルオキシヘキサン、1,2−エポキシ−7−メトキシへプタン、1,2−エポキシ−7−エトキシへプタン、1,2−エポキシ−7−プロポキシへプタン、1,2−エポキシ−7−ブチルオキシへプタン、1,2−エポキシ−8−メトキシへプタン、1,2−エポキシ−8−エトキシへプタン、1,2−エポキシ−8−ブトキシへプタン、グリシドール、3,4−エポキシ−1−ブタノール、4,5−エポキシ−1−ペンタノール、5,6−エポキシ−1−ヘキサノール、6,7−エポキシ−1−へプタノール、7,8−エポキシ−1−オクタノール、8,9−エポキシ−1−ノナノール、9,10−エポキシ−1−デカノール、10,11−エポキシ−1−ウンデカノール等があげられる。
一般式(4)で表されるエポキシ化合物としては、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、プロパンジオールモノグリシジルエーテル、ブタンジオールモノグリシジルエーテル、へプタンジオールモノグリシジルエーテル、ヘキサンジオールモノグリシジルエーテル、へプタンジオールモノグリシジルエーテル、オクタンジオールモノグリシジルエーテル等があげられる。
一般式(5)で表されるエポキシ化合物としては、3−(2,3−エポキシ)プロポキシ−1−プロペン、4−(2,3−エポキシ)プロポキシ−1−ブテン、5−(2,3−エポキシ)プロポキシ−1−ペンテン、6−(2,3−エポキシ)プロポキシ−1−ヘキセン、7−(2,3−エポキシ)プロポキシ−1−ヘプテン、8−(2,3−エポキシ)プロポキシ−1−オクテン等があげられる。
一般式(6)で表されるエポキシ化合物としては、3,4−エポキシ−2−ブタノール、2,3−エポキシ−1−ブタノール、3,4−エポキシ−2−ペンタノール、2,3−エポキシ−1−ペンタノール、1,2−エポキシ−3−ペンタノール、2,3−エポキシ−4−メチル−1−ペンタノール、2,3−エポキシ−4,4−ジメチル−1−ペンタノール、2,3−エポキシ−1−ヘキサノール、3,4−エポキシ−2−ヘキサノール、4,5−エポキシ−3−ヘキサノール、1,2−エポキシ−3−ヘキサノール、2,3−エポキシ−4−メチル−1−ヘキサノール、2,3−エポキシ−4−エチル−1−ヘキサノール、2,3−エポキシ−4,4−ジメチル−1−ヘキサノール、2,3−エポキシ−4,4−ジエチル−1−ヘキサノール、2,3−エポキシ−4−メチル−4−エチル−1−ヘキサノール、3,4−エポキシ−5−メチル−2−ヘキサノール、3,4−エポキシ−5,5−ジメチル−2−ヘキサノール、3,4−エポキシ−2−ヘプタノール、2,3−エポキシ−1−ヘプタノール、4,5−エポキシ−3−ヘプタノール、2,3−エポキシ−4−ヘプタノール、1,2−エポキシ−3−ヘプタノール、2,3−エポキシ−1−オクタノール、3,4−エポキシ−2−オクタノール、4,5−エポキシ−3−オクタノール、5,6−エポキシ−4−オクタノール、2,3−エポキシ−4−オクタノール、1,2−エポキシ−3−オクタノール、2,3−エポキシ−1−ノナノール、3,4−エポキシ−2−ノナノール、4,5−エポキシ−3−ノナノール、5,6−エポキシ−4−ノナノール、3,4−エポキシ−5−ノナノール、2,3−エポキシ−4−ノナノール、1,2−エポキシ−3−ノナノール、2,3−エポキシ−1−デカノール、3,4−エポキシ−2−デカノール、4,5−エポキシ−3−デカノール、5,6−エポキシ−4−デカノール、6,7−エポキシ−5−デカノール、3,4−エポキシ−5−デカノール、2,3−エポキシ−4−デカノール、1,2−エポキシ−3−デカノール等があげられる。
一般式(7)で表されるエポキシ化合物としては、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロヘプタン、1,2−エポキシシクロオクタン、1,2−エポキシシクロノナン、1,2−エポキシシクロデカン、1,2−エポキシシクロウンデカン、1,2−エポキシシクロドデカン等があげられる。
一般式(8)で表されるエポキシ化合物としては、3,4−エポキシシクロペンテン、3,4−エポキシシクロヘキセン、3,4−エポキシシクロヘプテン、3,4−エポキシシクロオクテン、3,4−エポキシシクロノネン、1,2−エポキシシクロデセン、1,2−エポキシシクロウンデセン、1,2−エポキシシクロドデセン等があげられる。
これらの中でも、エポキシ化合物としては、変性ポリビニルアルコール系樹脂の柔軟性の点から、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、エポキシプロパン、エポキシエタン、グリシドールが好ましい。
上記の側鎖を与える化合物の添加量は、PVA系樹脂、上記の側鎖を与える化合物の種類などによって適宜選択すればよいが、PVA系樹脂100重量部に対して、5〜60重量部であることが好ましく、10〜55重量部であることがより好ましい。添加量が下限値未満であると本発明の目的である柔軟性が不充分となる傾向があり、上限値より多いと表面強度が低下する傾向がある。
また、開環重合を伴う反応である場合は、従来公知の開環重合触媒を添加することが好ましい。開環重合触媒としては、例えば、チタン系化合物、錫系化合物等をあげることができる。具体的には、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトライソプロポキシチタンなどのチタニウムアルコキシド、ジブチルジブトキシスズなどのスズアルコキシド、ジブチルスズジアセテートなどのスズエステル化合物などがあげられるが、これらの中でも安価かつ容易に入手できる点からテトラ−n−ブトキシチタンが好ましい。
また、反応時間および温度は、特に限定されるものではなく、適宜選択すればよいが、10〜220℃で5分〜24時間攪拌しながら行うことが好ましく、100〜220℃で5分〜10時間攪拌しながら行うことがより好ましい。
また、一軸および二軸押し出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダー等の混練機中で加熱溶融状態で反応を行うことも可能である。
次に、一般式(1)中のnが0の場合(一般式(1)で示される基が、−R1である場合)の変性PVA系樹脂について説明する。
かかる変性PVA系樹脂は、通常、−R1で示される基を有するビニル系化合物と、ビニルエステル系モノマーおよび必要により該ビニルエステル系モノマーと共重合可能な成分とを重合し、得られた重合体をケン化することによって得ることができる。
ビニルエステル系モノマーおよびビニルエステル系モノマーと共重合可能な成分としては、前記同様のものをあげることができ、それらの中でも、前記同様の理由により、ビニルエステル系モノマーとしては酢酸ビニルが好ましく、ビニルエステル系モノマーと共重合可能な成分としてはエチレンが好ましい。
かかる−R1としては、前記したものをあげることができるが、結晶性を低下させることによって柔軟性が向上するにもかかわらず、水素結合力により耐水性、耐溶剤性の低下が少ない点から、特に一般式(9):
Figure 2007277780
(式中、R7〜R9は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4の有機基である)
で示されるものが好ましい。
7〜R9としては、ビニルエステル系モノマーとの共重合性に優れ、結晶性低減と耐水性維持のバランスに優れる点から、すべて水素原子であることが好ましく、その水素原子が樹脂特性を大幅に損なわない程度の有機基で置換されたものでもよい。
一般式(9)のR7〜R9が有機基である場合、その有機基としては特に限定されないが、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、アルコキシカルボニル基(−COOR)、カルボキシル基(−COOH)、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。
−R1を有するコモノマーとしては、その水酸基の一部あるいは全部がアシル基あるいはアセタール基で保護されているものも含まれる。
一般式(9)で示される基を有するコモノマーとしては、その水酸基の一部あるいは全部がアシル基あるいはアセタール基で保護されているものも含まれ、たとえば、3,4−ジオール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテン、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン、2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン等をあげることができる。
かかる変性PVA系樹脂の製造方法については特に限定されないが、前記コモノマーを用い、これらとビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、あるいはコモノマーとしてビニルエチレンカーボネートを用い、得られた共重合体をケン化、脱炭酸する方法があげられる。
これらの中でも、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法が共重合反応性に優れる点で好ましく、3,4−ジアシロキシ−1−ブテンとして、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを用いることがより好ましい。また、これらのモノマーの混合物を用いてもよい。
また、少量の不純物として3,4−ジアセトキシ−1−ブタン、1,4−ジアセトキシ−1−ブテン、1,4−ジアセトキシ−1−ブタン等を含んでいても良い。
以下、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンをコモノマーとした共重合方法について説明するが、これに限定されるものではない。
3,4−ジアシロキシ−1−ブテン等と、ビニルエステル系モノマーおよびエチレン単量体を共重合する方法としては特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、またはエマルジョン重合等の公知の方法を採用することができるが、通常は溶液重合が行われる。共重合時のモノマー成分の仕込み方法としては特に制限されず、一括仕込み、分割仕込み、連続仕込み等任意の方法が採用される。
なお、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン等の共重合割合は特に限定されないが、変性率に合わせて共重合割合を決定すればよい。
また、共重合体中のエチレン含有量は重合時のエチレンの圧力によって制御することが可能であり、目的とするエチレン含有量により一概にはいえないが、通常は25〜80kg/cm2の範囲から選択される。
かかる共重合で用いられる溶媒としては、通常、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールやアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等があげられ、工業的には、メタノールが好適に使用される。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すればよく、例えば、溶媒がメタノールの時は、好ましくは、S(溶媒)/M(モノマー)=0.01〜10(重量比)、より好ましくは0.05〜7(重量比)程度の範囲から選択される。
共重合に当たっては重合触媒が用いられ、かかる重合触媒としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル等の公知のラジカル重合触媒やt−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、α,α’ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−iso−プロピルパーオキシジカーボネート]、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ジイソブチリルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類などの低温活性ラジカル重合触媒等があげられる。
重合触媒の使用量は、触媒の種類により異なり一概には決められないが、重合速度に応じて任意に選択される。例えば、アゾビスイソブチロニトリルや過酸化アセチルを用いる場合、ビニルエステル系モノマーに対して10〜2000ppmが好ましく、特には50〜1000ppmが好ましい。
また、共重合反応の反応温度は、使用する溶媒や圧力により40℃〜沸点程度の範囲から選択することが好ましい。
本発明では、上記触媒とともにヒドロキシラクトン系化合物またはヒドロキシカルボン酸を共存させることにより、得られる変性PVA系樹脂の色調を良好(無色に近づける)にできる点で好ましい。
ヒドロキシラクトン系化合物としては、分子内にラクトン環と水酸基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸、グルコノデルタラクトン等をあげることができ、これらの中でもL−アスコルビン酸、エリソルビン酸が好ましい。
また、ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸等をあげることができ、これらの中でも、クエン酸が好ましい。
かかるヒドロキシラクトン系化合物またはヒドロキシカルボン酸の使用量は、回分式および連続式いずれの場合でも、ビニルエステル系モノマー100重量部に対して0.0001〜0.1重量部が好ましく、0.0005〜0.05重量部がより好ましく、0.001〜0.03重量部がさらに好ましい。使用量が下限値未満では、これらの添加効果が得られない傾向があり、上限値をこえるとビニルエステル系モノマーの重合を阻害する傾向があり、好ましくない。
かかる化合物を重合系に仕込むにあたっては、特に限定はされないが、通常は低級脂肪族アルコールや酢酸ビニルを含む脂肪族エステルや水等の溶媒またはこれらの混合溶媒で希釈されて重合反応系に仕込まれる。
また、上記の共重合時に本発明の効果を阻害しない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよく、かかる単量体としては、前記ビニルエステル系モノマーと共重合可能な成分をあげることができる。
得られた共重合体は、次いでケン化されるのであるが、かかるケン化にあたっては、上記で得られた共重合体をアルコールまたは含水アルコールに溶解された状態で、アルカリ触媒または酸触媒を用いて行われる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノール等があげられるが、メタノールが特に好ましい。アルコール中の共重合体の濃度は系の粘度により適宜選択されるが、通常は10〜60重量%の範囲から選ばれる。
ケン化に使用される触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒、硫酸、塩酸、硝酸、メタスルフォン酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等の酸触媒があげられる。
かかるケン化触媒の使用量については、ケン化方法、目標とするケン化度等により適宜選択されるが、アルカリ触媒を使用する場合は通常、ビニルエステル系モノマーおよび3,4−ジアシロキシ−1−ブテン等のモノマーの合計量に対して0.001〜0.1当量であることが好ましく、0.005〜0.05当量がより好ましい。
かかるケン化方法に関しては目標とするケン化度等に応じて、バッチケン化、ベルト上の連続ケン化、塔式の連続ケン化の何れも可能で、ケン化時のアルカリ触媒量が低減できることやケン化反応が高効率で進み易い等の理由より、好ましくは、一定加圧下での塔式ケン化が用いられる。
また、ケン化時の圧力は目的とする組成により適宜選択することができるが、たとえば、2〜7kg/cm2の範囲から選択されることが好ましく、このときの温度は80〜150℃が好ましく、100〜130℃がより好ましい。
得られるEVOHのエチレン含有量やケン化度は、特に限定されないが、前記範囲にあることが好ましい。
得られた変性PVA系樹脂の変性率としては、99/1〜1/99(モル比)であることが好ましく、98/2〜85/15であることがより好ましい。変性率が下限値未満であると柔軟性が不足する傾向があり、上限値をこえると保護具のコーティング面の強度が不充分となる傾向がある。
得られた変性PVA系樹脂のガラス転移温度は、−20〜75℃であることが好ましく、0〜50℃であることがより好ましい。下限値未満であると保護具のコーティング面の強度が不足する傾向があり、上限値をこえると柔軟性が低下し、本発明の目的を達成することができない場合がある。
得られた変性PVA系樹脂の結晶化度は、1〜40であることが好ましく、5〜30であることがより好ましい。下限値未満であると保護具のコーティング面の強度が不足する傾向があり、上限値をこえると柔軟性が不足する傾向がある。
本発明において保護具としては、溶剤等の薬物から人体を保護するものであり、たとえば、手袋、エプロン、眼鏡、ゴーグル、帽子、マスクなどの可撓性を必要とする保護具などをあげることができる。これらの中でも本発明の特徴である耐溶剤性と柔軟性に優れる点が活用される用途であるという点から、手袋が好ましい。
保護具の基材としては、特に限定されるものではないが、織布、不織布、熱可塑性プラスチック、紙などをあげることができる。
織布、不織布としては、たとえば、綿、毛(羊毛、アンゴラ)、絹、麻、ビスコース繊維(レーヨン、ポリノジック)、銅アンモニア繊維(アセテート、トリアセテート)、プロミック繊維、ナイロン繊維(ナイロン、アラミド)、ビニロン繊維、ポリ塩化ビニリデン系合成繊維、ポリ塩化ビニル系合成繊維、ポリエステル系合成繊維、ポリアクリロニトリル系合成繊維、ポリエチレン系合成繊維、ポリプロピレン系合成繊維、ポリウレタン系合成繊維、ポリクラール繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、羽毛などの繊維を一種類以上含む織布または不織布があげられる。好ましくは、ポリ塩化ビニリデン系合成繊維、ポリ塩化ビニル系合成繊維、ポリウレタン系合成繊維などの繊維を一種類以上含む織布または不織布である。
熱可塑性プラスチックとしては、特に限定されず、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、エチレン−プロピレン(ブロックまたはランダム)共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン(PP)、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン等のオレフィンの単独または共重合体、あるいはこれらのブレンド物などの広義のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、共重合ポリアミド、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、芳香族および脂肪族ポリケトン、脂肪族ポリアルコール等があげられる。好ましくは、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタンエラストマーなどがあげられる。
これらの中でも、作業性の点から、綿、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエステルからなる保護具であることが好ましい。
保護具の基材の厚さは、特に限定されるものではないが、0.01〜5mmであることが好ましく、0.01mm〜2mmであることがより好ましい。下限値未満であると保護具の充分な強度が得られない傾向があり、上限値をこえると柔軟性が不足し、作業性が低下する傾向がある。
本発明の耐溶剤性保護具を製造する方法は、たとえば、一般式(1)で示される基を有する変性PVA系樹脂を溶解する溶剤に溶かして塗布する方法があげられる。
塗布方法としては、スプレーコート法、ディップコート法、ブレードコーティング法、ロッドコーティング法、グラビアコーティング法、カーテンコーティング法、ダイヘッドコーティング法、スピンコーティング法、ハケ塗り法など、通常の塗布方法を採用することができる。また、変性PVA系樹脂を溶融させて、押出コートにより行ってもよい。これらの中でも、複雑な形状への塗布が可能である点から、ディップコート法が好ましい。
溶剤としては、一般式(1)で示される基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂を溶解するものであればよく、特に限定されないが、溶解性の点から、アルコールが好ましい。アルコールとしては、たとえば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの炭素数1〜8のアルコールをあげることができる。これらの中でも、溶解性と溶液の安定性の点から、エチルアルコールが好ましい。
溶液濃度は、0.1〜30重量%であることが好ましく、5〜20重量%であることがより好ましい。下限値未満であると塗布の効率が低く、所望の塗布量を得るために複数回の塗布が必要となる傾向があり、上限値をこえると溶液の粘度が高くなり、均一に塗布することができなくなる場合がある。
塗布する際の溶液温度は、0〜100℃であることが好ましく、5〜90℃であることがより好ましい。下限値未満であると溶液粘度が高くなり、均一に塗布することが困難になる傾向があり、上限値をこえると溶剤の揮発のため、均一に塗布することができなくなる場合がある。また、塗布後は、乾燥させることが好ましい。
乾燥温度および時間は、特に限定されるものではなく、用いた溶剤によって好ましい条件を選択すべきであるが、0〜150℃、0.5〜10時間であることが好ましい。
変性PVA系樹脂から形成される層の厚さは、乾燥後0.001〜100μmであることが好ましく、0.01〜50μmであることがより好ましい。下限値未満であると耐溶剤性が不充分となる傾向があり、上限値をこえると柔軟性が不充分となる傾向がある。
また、保護具基材上にプレコート層を設けてもよい。プレコート層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニルからなる層をあげることができる。
プレコート層の厚さとしては、0.01μm〜5mmであることが好ましく、0.1〜100μmであることがより好ましい。プレコート層は、前述の塗布方法を用いて作製することができる。
また、保護具基材として、布などの浸透性が高いものを採用する場合は、溶剤の浸透を防止するために、プレコート層を設けることが好ましい。
このようにして得られた手袋は、耐溶剤性を有しているか、とくにメチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル、シリコーンオイルなどの溶剤に対して耐性を有している。
以下、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中「部」、「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
<耐溶剤性>
実施例および比較例で得られた多層ラミネートシートのEVOH側にトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンを0.5mL滴下し、10分後に多層ラミネートシートの布の表面に溶剤が浸透しているか確認し、以下の基準により評価した。
○:表面に溶剤がない。
×:表面に溶剤がある。
<屈曲性>
実施例および比較例で得られた多層ラミネートシートを、50回屈曲させた後に、上記と同様の方法で耐溶剤性を評価した。
<密着性>
実施例および比較例で得られた多層ラミネートシートを用いて、50回屈曲させた後の密着性を目視により観察し、以下の基準により評価した。
○:全く剥離が認められない
△:一部剥離が認められた
×:著しく剥離が認められた
実施例1
エチレン含有量32モル%、酢酸ビニル部分のケン化度99モル%の組成を有するEVOH樹脂100重量部、ε−カプロラクトン30重量部、テトラ−n−ブトキシチタン0.3重量部をニーダーに仕込み、220℃で30分間反応させ、変性EVOH樹脂(EVOH/ε−カプロラクトン=77/22)を得た。得られた変性EVOH樹脂のガラス転移温度は11℃、変性率は8.6モル%であった。
得られた変性EVOH樹脂を押出成形(成形温度190℃)し、厚さ20μmのフィルムを作製した。該フィルムの片面にアンカーコート剤(東洋モートン(株)製、アドコートAD−335A)を塗布、80℃で5分間乾燥し、アンカーコート面に厚さ0.14mmの綿布を、ラミネーション機を用いて設定温度70℃にて貼り合わせ、多層ラミネートシートを作製した。
比較例1
変性EVOH樹脂にかえて、エチレン含有量32モル%、酢酸ビニル部分のケン化度99モル%の組成を有する未変性EVOH樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、多層ラミネートシートを得た。
Figure 2007277780
Figure 2007277780

Claims (4)

  1. 保護具基材上に、一般式(1):
    −(A)n−R1 (1)
    (式中、R1は置換または未置換の炭素数2〜8のアルキル基であり、Aは−O−または−OC(=O)−であり、nは0または1である)
    で示される基を側鎖に有する変性ポリビニルアルコール系樹脂から形成される層を有する耐溶剤性保護具。
  2. 変性ポリビニルアルコール系樹脂のガラス転移温度が、−20〜75℃である請求項1記載の耐溶剤性保護具。
  3. 変性ポリビニルアルコール系樹脂の変性率が、2〜15モル%である請求項1または2記載の耐溶剤性保護具。
  4. 変性ポリビニルアルコール系樹脂から形成される層の厚さが、0.001〜100μmである請求項1〜3のいずれかに記載の耐溶剤性保護具。
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