JP2007275069A - Pca3タンパク質、pca3遺伝子、及びこれらの用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】全般的に、前立腺癌特異的な抗原であるPCA3およびその前立腺癌診断・治療への利用方法の提供。
【解決手段】PCA3タンパク質をコードする核酸分子;精製されたPCA3タンパク質とポリペプチド;組換え核酸分子を含む細胞;PCA3タンパク質及びポリペプチドに特異的な結合親和性を有する抗体;PCA3タンパク質をコードする核酸を検出可能な核酸プローブ;サンプル材料中のPCA3タンパク質又はポリペプチドをコードする核酸を検出する方法;核酸プローブ又は抗体を包含するキット。その塩基配列、タンパク質、又は抗体を用いて、前立腺癌に罹患した哺乳類動物の診断、病態評定又は予後の判断を行なうためのバイオアッセイ;前立腺癌の治療方法;及び生体における前立腺癌の予防方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、前立腺癌抗原PCA3に関する。本発明は特に、以下の主題に関する:PCA3タンパク質をコードする核酸分子;精製されたPCA3タンパク質とPCA3ポリペプチド;組換え核酸分子;該組換え核酸分子を含む細胞;PCA3タンパク質とPCA3ポリペプチドとへの特異的結合親和性を有する抗体;該抗体を産生するハイブリドーマ;PCA3タンパク質をコードする核酸を検出するための核酸プローブ;PCA3タンパク質又はPCA3ポリペプチドをコードする核酸を検体から検出するための方法;核酸プローブ又は抗体を含むキット;本発明の核酸配列、タンパク質又は抗体を用いて、前立腺癌に罹患した哺乳類動物の診断、病態評定又は予後の判断を行なうためのバイオアッセイ;前立腺癌の治療方法;生体における前立腺癌の予防方法。
西欧の男性人口において、前立腺癌は最も一般に診断される悪性腫瘍であり、がんに関連する死亡件数の第2位を占めている。この癌腫が周囲や遠隔部の組織に転移すると、有効な治療方法がない。従って、前立腺癌を抑制する(即ち、前立腺癌による死亡率を低下させる)ための努力は、この癌がまだ他の組織に転移せず(locally confined)、潜在的に治癒可能な状態にある間の発見率を高めることに集中している。前立腺癌を早期に発見するための研究によって、臓器限局的(organ-confined)で潜在的に治癒可能な前立腺癌の発見率はかなり高まっている。しかし、この発見率の増加によって前立腺癌そのものによる死亡率(prostate cancer-specific mortality rates)が減少することはまだ実証されていない。また、早期診断によって死亡率が減少するという証拠もない。そして、米国とヨーロッパの両方で、スクリーニングプログラムの有効性と許容性、過度診断(overdiagnosis)と過度治療(overtreatment)の問題、及び、早期治療が前立腺癌の罹患率と死亡率の減少につながる可能性、などについての議論がまだ続いており、前立腺癌の早期発見は論争の絶えない問題となっている[Schroder, Urology 46: 6270 (1995)]。
前立腺マーカー酵素の血清中濃度の測定は、前立腺癌の臨床での検出、診断及び管理に有効であることが分かっている。最も広く用いられている前立腺マーカー酵素は、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)と前立腺特異抗原(PSA)の2種類である。通常、これらの酵素はともに前立腺上皮細胞から精液中に分泌されるが、前立腺に疾患をもつ患者においては循環器系に漏出するので、免疫学的アッセイによって検出することができる[Armbruster, Clin. Che. 39: 181−95(1993)]。
前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)は前立腺に関する最も初期の血清中マーカーの1つであるが、機能はまだ分かっておらず、ヒト前立腺分泌物に最も多量に存在するタンパク質成分である。しかし、前立腺特異的酸性ホスファターゼと、全ての組織で産生されるリソソーム酸性ホスファターゼとの間に構造的類似性があることが報告されているので、PAPを前立腺腫瘍のマーカーとして使用することは容易ではない。また、良性前立腺肥大(benign prostatic hyperplasia)(BPH)における場合と比較して、前立腺癌におけるPAPmRNAとPAPタンパク質の産生レベルは低い傾向にある。近年、前立腺癌の臨床管理において、PAPの測定は血清PSAの測定に取って替わられた。
前立腺特異抗原は、1970年代にいくつかの研究者グループによって前立腺特異的タンパク質として精液から同定された。1979年に、前立腺特異抗原は前立腺癌組織から抗原として単離精製された。更なる研究によって、PSAは、前立腺と尿道周囲の腺の円柱上皮細胞によってのみ産生されることがわかった。実は、正常な前立腺上皮と良性過形成組織は、PSA mRNAとPSAタンパク質を、前立腺癌組織よりも多量に産生する。また、前立腺癌(カルシノーマ)における分化能の喪失が、前立腺内のPSAレベルの減少と関連することが示された。
前立腺疾患の結果として生じた前立腺の構造的異常は、PSA(とPAP)の血清中への漏出の増加につながるので、血清PSAの測定値を前立腺癌のマーカーとして使用することができる。診断用PSA試験にはBPHと前立腺癌とを区別するための特異性に欠けるという欠陥があることが初期の研究で示されたにもかかわらず、PSA試験は1986年に導入され、前立腺癌患者の管理に大きな変化をもたらした。PSAの臓器特異性についての知見や、血清PSAレベルの上昇と前立腺疾患との関係についての知見の増加、更に、生検の技術と組織学的評価技術の進歩によって、PSA試験には臨床的価値が認められるようになった[このような有用性は、他のいかなる(前立腺)腫瘍マーカーによってもまだ達成されていない]。PSAをコードする遺伝子のクローニングによって、この遺伝子がヒトカリクレイン遺伝子ファミリーの一員であることが判明し、PSAをマーカーとして使用するための新たな道筋が開発された。すなわち、非常に高感度な、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応法(RT−PCR)を用いて前立腺癌患者からの血液サンプル中の極めて微量の悪性前立腺癌細胞を検出することにより、微少転移を示す前立腺癌患者を発見するための高感度な技術を提供できるかも知れない[Moreno et al., Cancer Res. 52: 6110-12 (1992);及び Katz et al., Urology 43: 765-75 (1994)]。
前立腺特異的膜抗原(prostate-specific membrane antigen)(PSM)は、もともと、LNCaPヒト前立腺アデノカルシノーマ細胞の膜分画でマウスを免疫することによって得られる抗体を用いて発見された。PAPやPSAと同様に、PSMは、正常な前立腺、BPH及び前立腺癌のいずれにも検出されるが、他の組織には存在しない。PSMについても、RT−PCR法を用いて血液循環中の前立腺癌細胞を検出する研究が行なわれているが、PSMの前立腺癌マーカーとしての有用性を確立するには更なる研究が必要である。
要するに、現在PSAは前立腺癌の主要なマーカーであると認識されており、前立腺癌の兆候を示す患者の検出への有用性と、治療後の患者の観察、特に前立腺の外科的切除後の患者の観察への有用性が認められている(なお、PSAが検出可能なレベルにあることは、病巣が残存するか転移していることを示し、PSAレベルの上昇は疾患の再発を示す)。PSAのマーカーとしての欠点は、(1)PSAは前立腺癌をBPHから必ずしも区別できないことと、(2)前立腺癌の分化能の喪失とともにPSAの発現レベルが低下すること、である。
進行した前立腺癌によって男性人口のかなりの割合がまだ生命を脅かされていることを考えると、(後期の)前立腺癌の新たな治療方法や診断方法を開発する必要性がある。
本発明は、このような必要を満足することを目的とする。
本明細書においては多くの文献に参照するが、この参照によって、これらの文献の内容を本明細書に組み入れるものである。
発明の開示
本発明においては、PCA3又はその断片をコードする単離された核酸分子が提供される。
本発明においては、また、PCA3又はそのエピトープ含有領域であるところの精製されたポリペプチドが提供される。
本発明においては、また、PCA3タンパク質又はポリペプチドをコードする核酸が検体中に存在することを特異的に検出するための核酸が提供される。
本発明においては、また、PCA3をコードする核酸を検体から検出するための方法が提供される。
本発明においては、また、PCA3をコードする核酸の存在を検体から検出するためのキットが提供される。
本発明においては、また、5’から3’への方向に、宿主細胞において転写を開始させるのに有効なプロモーター、及び上記の単離された核酸分子を包含する組換え核酸分子が提供される。
本発明においては、また、ベクターと上記の単離された核酸分子を包含する組換え核酸分子が提供される。
本発明においては、また、アンチセンスPCA3核酸分子が提供される。
本発明においては、また、上記の組換え核酸分子を含有する細胞が提供される。
本発明においては、また、上記の組換え核酸分子を含有するヒト以外の生物が提供される。
本発明においては、また、PCA3又はそのエピトープ含有領域への特異的結合親和性を有する抗体が提供される。
本発明においては、また、検体中のPCA3を検出する方法が提供される。
本発明においては、また、検体中のPCA3の量を測定する方法が提供される。
本発明においては、また、PCA3を発現する前立腺癌細胞に対する防御を誘導するための免疫用薬剤が提供される。そのような免疫用薬剤は、好ましくは、PCA3を包含するポリペプチド、又は、その抗原性領域、又は、PCA3を包含する融合タンパク質、又は、PCA3の抗原性領域を包含する融合タンパク質である。このような態様の免疫用薬剤はワクチン剤として機能することになる。
本発明においては、また、PCA3への特異的結合親和性を有する抗体を検出する方法が提供される。
本発明においては、また、上記の抗体を含有する第1容器手段と、上記の抗体と結合しうる物質と標識物質とからなる検出用結合物質の入った第2容器手段を包含する診断キットが提供される。
本発明においては、また、上記のモノクロナール抗体を産生するハイブリドーマが提供される。
本発明においては、また、ヒトの疾患、特に前立腺癌のための診断方法が提供される。好ましくは、患者における前立腺癌の存在または前立腺癌の発病素因(predisposition)を診断する方法が提供される。
本発明においては、また、(1)PCA3をコードする核酸配列、(2)アンチセンスPCA3核酸分子、(3)PCA3タンパク質、及び(4)抗PCA3抗体、からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いる治療方法が提供される。
本発明の更なる諸目的及び諸利益は、以下の説明から明らかとなる。
用語の定義
本明細書では、組換えDNA(rDNA)技術で用いられる用語が数多く使用されている。このような用語の意味のおよぶ範囲を含めて、明細書と請求の範囲の理解を明確にし、且つ、一貫させるために、以下のように定義する。
単離された核酸分子:「単離された核酸分子」とは、一般に理解され、また、本発明で用いられているように、ヌクレオチドの重合体を意味し、DNA及びRNAを含むが、これらに限定はされない。「単離された核酸分子」という用語のうち「単離された」とは、自然界において生体内(in vivo)に存在する状態から精製されていることである。
組換えDNA:各種の原料から得られたDNAセグメントを結合させることによって形成されたあらゆるDNA分子であり、組換えDNA技術(遺伝子工学ともいう)を用いて産生されるものである。
DNAセグメント:DNAセグメントとは、一般に理解され、また、本発明で用いられているように、直鎖状に伸びたヌクレオチドを包含する分子を意味する。ここでいうヌクレオチドとは、タンパク質、タンパク質断片又はポリペプチドとよばれる、直鎖状のアミノ酸残基からなる配列を包含する分子を、遺伝暗号を介してコードする配列に存在するものである。
遺伝子:単鎖のポリペプチド又はタンパク質に関連するDNA配列で、本発明においては、5’及び3’の非翻訳末端を含む。このポリペプチドは、タンパク質の機能的な活性が保持される限り、全長塩基配列又はコード配列のあらゆる部分によってコードすることができる。
相補鎖DNA(cDNA):メッセンジャーRNA(mRNA)の逆転写によって合成される組換え核酸分子。
構造遺伝子:mRNAに転写され、次に特定のポリペプチドの特性を示すアミノ酸配列に翻訳されるDNA配列。
制限エンドヌクレアーゼ:制限エンドヌクレアーゼ(又は、制限酵素)は、DNA分子における特定の塩基配列(通常、4、5又は6塩基対の長さ)を認識し、この配列が現れるところであればどこでもDNA分子を開裂することができる酵素である。例えば、EcoRIはGAATTC/CTTAAGの塩基配列を認識する。
制限酵素断片:制限酵素による消化によって産生されるDNA分子を制限酵素断片という。あらゆるゲノムを、特定の制限酵素による消化によって、そのゲノム特有の制限酵素断片の集合体とすることができる。
アガロースゲル電気泳動:制限酵素断片の長さにおける多型性を検出するために、二本鎖DNA分子を分子サイズによって分離する分析方法が必要とされる。このような分離を行うために最も一般的に用いられている技術が、(これが唯一の技術というわけではないが)アガロースゲル電気泳動である。この方法の原理は、DNA分子がゲルの中を移動し、ゲルが、最も大きい分子の動きを最大限に遅らせ、最も小さい分子の動きを最小限に遅らせて、篩のようなはたらきをするというものである。尚、小さいDNA断片ほど、電気泳動中のアガロースゲルにおける移動度が大きくなる。
アガロースゲル電気泳動によって分離されたDNA断片は、そのパターンに含まれる断片の数が少なければ、染色操作をすることによって直接視覚化することができる。ゲノムのDNA断片は幸い視覚化することができる。しかし、ヒトゲノムを含めてほとんどのゲノムは、あまりにも多くのDNA配列を含んでいるので、制限酵素断片の単純なパターンをつくることができない。例えば、ヒトゲノムは、EcoRIによって約1,000,000の異なるDNA断片に消化される。これらの断片を小さな部分集団として視覚化するために、サザンハイブリダイゼーション法(Southern hybridization procedure)と呼ばれる方法が適用できる。
サザントランスファー法:サザントランスファー法(ブロッティング法とも呼ばれる)は、ニトロセルロースフィルター又は他の適当な物質の表面の上に、アガロースゲル電気泳動によって分離されたDNAを物理的に、即ち、分離操作で得られたDNA断片の相対的な位置を保持しながら転写することを目的としている。アガロースゲルからニトロセルロースに転写させるために用いられる方法には、毛細管現象によってDNAをゲルからニトロセルロースフィルターに吸い出す方法も含まれる。
核酸のハイブリダイゼーション:核酸のハイブリダイゼーションは、相補的な塩基配列を有する2つの一本鎖核酸分子を適切な条件下で混合した場合、これらの分子は熱力学的に好ましい二本鎖構造に再形成されるという原理に基いている。この二本鎖構造は、たとえ2つの相補的な一本鎖核酸のうちの片方がニトロセルロースフィルターに固定されていても、これらの間で形成されるものである。サザンハイブリダイゼーション法ではこの状況が生じる。上述したように、試験する個々のサンプルのDNAを制限酵素で消化し、アガロースゲル電気泳動で分離する。次にDNAを一本鎖型に変換し、ニトロセルロースフィルターに移行すると、ハイブリダイゼーションプローブに再アニーリングできるようになる。ハイブリダイゼーション条件の例としては、Current protocols in Molecular Biology[Ausubel, F.M.ら、John Wily and Sons社、ニューヨーク、NY (1989)]に記載されているものなどが挙げられる。ニトロセルロースフィルターは、標識プローブとともに、50%ホルムアルデヒド、高塩濃度バッファー[5× SSC(20×:3M NaCl/0.3Mクエン酸三ナトリウム)又は5× SSPE(20×:3.6M NaCl/0.2M NaH2PO4/0.02M EDTA, pH 7.7)]、5× デンハルト溶液、1%SDS、そして100・g/ml変性サケ精子DNAを含む溶液中で、68℃で一晩インキュベートする。この後、0.2×SSC/0.1% SDSで、室温(ストリンジェンシーの低い条件)、42℃(ストリンジェンシーが中位の条件)又は68℃(ストリンジェンシーの高い条件)から所望のストリンジェンシーで選択した温度で数回洗浄する。この温度は、DNAハイブリッドの融点(Tm)を基準にして選択する。
ハイブリダイゼーションプローブ:サザンハイブリダイゼーション法においては特定のDNA配列を可視化するために、標識DNA分子、即ち、ハイブリダイゼーションプローブを分離されたDNAに反応させて、ニトロセルロースフィルターに結合させる。標識DNAプローブに相補的なDNA配列を保持するフィルター上の領域が、再アニーリング反応の結果、標識される。このような標識を示すフィルター上の領域が可視化される。ハイブリダイゼーションプローブは一般に、特定のDNA配列を分子クローニングすることによって産生される。
オリゴヌクレオチド、又はオリゴマー:2個以上、好ましくは3個以上のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドからなる分子。その正確なサイズは多くの因子に依存し、またオリゴヌクレオチドの最終的な機能や用途に依存する。オリゴヌクレオチドは合成によって又はクローニングによって作製することができる。
配列の増幅:標的配列を大量に発生させる方法。一般に、1個以上の増幅プライマーが核酸配列にアニールする。適切な酵素を用いて、プライマーに隣接した、又は、プライマー間にある配列が増幅される。
増幅用プライマー:標的配列に隣接する部分にアニールし、標的配列の相補鎖であるプライマー伸長産物の合成を開始する条件下においては、DNA合成の開始点となることが可能なオリゴヌクレオチド。
アンチセンス核酸分子:本発明において「アンチセンス核酸分子」とは、標的となる塩基配列(DNA又はRNA)のある部分で安定な二本鎖又は三本鎖をつくることができる分子を意味する。アンチセンス核酸分子の使用やこのような分子の設計や修飾については公知の文献、例えばWO96/32966号公報、WO96/11266号公報、WO94/15646号公報、WO93/08845号公報、及び米国特許第5, 593, 974号公報等に記載されており、従来からよく知られている。本発明におけるアンチセンス核酸分子は、本発明の塩基配列を基に設計することができ、また公知の方法にしたがって修飾することができる。例えば、従来から一般に知られているように、分解に対する耐性を高める、標的となる配列に対する親和性を高める、選択した細胞や細胞内区画に輸送できるようにする、並びに/あるいは、ヌクレオチドアナログの使用及び/又は選択されたその化学的断片を置換によってそれらの脂溶性を向上させることを目的として、アンチセンス核酸分子を設計することもできる。
ベクター:クローン化されるようにDNAを挿入することができるプラスミド又はファージDNA又はその他のDNA配列。ベクターは宿主細胞中で自律複製することができ、また、目的のDNA配列を挿入する際にベクターを切断することができる1個又は少数のエンドヌクレアーゼ認識部位によって、ベクターを更に特徴づけることができる。ベクターは、このベクターで形質転換した細胞を同定するのに適したマーカーを更に含有することができる。マーカーとしては、例えば、テトラサイクリン耐性やアンピシリン耐性などがある。「クローニングビークル」という言葉が「ベクター」として使われることもある。
発現:発現とは、構造遺伝子がポリペプチドを産生するプロセスのことである。発現には、遺伝子のmRNAへの転写と、mRNAのポリペプチドへの翻訳とが含まれる。
発現ベクター:クローニングベクターと同義であるが、宿主に形質転換した後に、クローン化された遺伝子を発現することができるベクター又はビークル。クローン化された遺伝子は、通常プロモーター配列などのある制御配列の制御下にある(即ち、制御配列と発現可能な状態で結合している)。
発現制御配列は、ベクターに発現可能な状態で結合している配列を原核細胞宿主又は真核細胞宿主内のいずれかで発現するために設計されているかどうか、そして、エンハンサー、終止配列、組織特異的因子及び/又は転写開始及び終止部位などの転写要素を更に含有することができるかどうかによって変化する。
機能的誘導体:ある配列の「機能的誘導体」とは、タンパク質でも核酸でも、タンパク質又は核酸配列の生物学的活性と実質的に同様の(機能的又は構造的な)活性を有する分子である。タンパク質の機能的誘導体は、共有結合した炭水化物などの翻訳後修飾を、特定の機能を達成するためにこのような修飾が必要かどうかに応じて、含有することができる。「機能的誘導体」という用語には、ある分子の「断片」、「セグメント」、「変異体」、「アナログ」又は「化学的誘導体」の意味が含まれる。
本発明で用いられているように、ある分子が正常では分子の一部ではない付加的な化学成分を含んでいる場合、その分子を他の分子の「化学的誘導体」という。このような化学成分によって、分子の溶解性や吸収性、生物学的半減期などを改良することができる。またこの化学成分によって、分子の毒性を減少させたり、分子に望ましくない副反応を排除又は弱めることなどもできる。このような効果をもたらすことができる化学成分については、Remington's Pharmaceutical Sciences (1980) に開示されている。このような化学成分を分子にカップリングする方法は従来からよく知られている。
変異体:タンパク質又は核酸の「変異体」とは、構造と生物学的活性においてタンパク質又は核酸と実質的に同様の分子を意味する。よって、2個の分子が共通の活性を有して互いに代替可能であれば、これらの分子の一方の組成又は二次、三次又は四次構造が他方のものと同一でなかったり、又はアミノ酸配列又はヌクレオチド配列が同一でなかったとしても、これらの分子は本発明で用いられる変異体と考える。
対立遺伝子:「対立遺伝子」とは、染色体上の所定の遺伝子座を占有する遺伝子のもう1方の形態である。
変異:「変異」とは、娘細胞に遺伝し、更にその後の世代にも受け継がれて変異細胞や個々の変異体を生じさせる可能性のある遺伝物質中の検出可能な変化である。変異細胞の子孫が、多細胞生物中の体細胞のみに生じる場合には、生物体には変異細胞からなる突然変異スポット又は領域が発生する。有性生殖を行う生物体の生殖系における変異は、配偶子によって次の世代に遺伝し、体細胞と生殖細胞の両方において新たな変異条件を伴なった個体を生じることがあり得る。このような変異は、核酸分子に影響を与えるような検出可能な異常であり、その化学的又は物理的な構造、可変性、複製、表現型の機能、又は1個以上のデオキシリボヌクレオチドの組換えのいずれか(又はこれらの組み合わせ)であり得る。ヌクレオチドは付加、欠損、置換、逆位、又は逆位を伴う又は逆位を伴わない転位することができる。変異は自然に起こることもあるし、突然変異誘発物質を使用することによって実験的に誘発することもできる。核酸分子の変異体は、変異の結果として得られるものである。変異体ポリペプチドは変異核酸分子に由来する。
:「種」とは、実際に交配するか又は交配可能な自然個体群の集団である。核酸分子又はタンパク質における種間の違いは、種間において生じる塩基配列又はアミノ酸配列の変化であり、その存在は、問題となっている分子のDNA配列を調べることによって決定することができる。
ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE):ポリペプチドをその分子サイズによって分離するための最も一般的な技術が(これが唯一の技術というわけではないが)、ポリアクリルアミドゲル電気泳動である。この方法の原理は、ポリペプチド分子がゲルの中を移動し、ゲルが、最も大きい分子の動きを最大限に遅らせ、最も小さい分子の動きを最小限に遅らせて、篩のようなはたらきをするというものである。尚、小さいポリペプチド断片ほど、電気泳動中のポリアクリルアミドゲルにおける移動度が大きくなる。電気泳動の前も途中も、ポリペプチドは概して界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)に常にさらされるという、ポリペプチドが変性される条件下にある。電気泳動を行う前のゲルはSDSの非存在下で処理されている。ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離されたポリペプチドは、ポリペプチド成分の数が少なければ、染色操作をすることによって直接視覚化することができる。
ウエスタントランスファー法: ウエスタントランスファー(ブロッテイングともいう)は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離したポリペプチドを、ポリペプチドのゲル上の位置を保持しつつ、物理的にニトロセルロースフィルターに移行するか、又はその他の適当な担体の表面にポリペプチドを移行するための方法である。その後、目的のポリペプチドに特異的に結合する抗体をプローブとして用いて、得られたブロットから目的のポリペプチドを検出することができる。
精製:「精製した」タンパク質又は核酸とは、それぞれ細胞由来成分から分離したタンパク質又は核酸を意味する。「精製した」タンパク質又は核酸は、自然界には存在しない純度まで精製されたものである。
実質的に純粋な:「実質的に純粋な」タンパク質又は核酸とは、その他の細胞由来成分を全く含まないタンパク質又は核酸である。
発明の概要を上述したので、次に図面に参照しながら、本発明の好ましい態様について説明する。
本発明の具体例の一部を示す添付の図面に参照しながら行う、本発明の好ましい態様の説明より、本発明のその他の目的、利点及び特徴は明らかになる。以下の説明は本発明を限定するものではない。
本発明の好ましい態様の説明
本発明をより明確に記載する目的で、本発明の詳細な説明を以下の項目に分けて記載した。これらは本発明を限定するものではない。
I.PCA3ポリペプチドをコードする単離された核酸分子
II.精製されたPCA3ポリペプチド
III.PCA3核酸を特異的に検出するための核酸プローブ
IV.サンプル材料中のPCA3核酸を検出するための方法
V.サンプル材料中のPCA3核酸を検出するためのキット
VI.PCA3核酸分子を包含するDNA構造体及びこのような構造体を含む細胞
VII.PCA3ポリペプチドに対して結合親和性を有する抗体及びこの抗体を産生するハイブリドーマ
VIII.サンプル材料中のPCA3ポリペプチド又は抗体を検出するための方法
IX.PCA3ポリペプチド又は抗体を包含する診断用キット
X.診断目的のスクリーニング
XI.治療目的の処置
XII.ヒト以外のトランスジェニックPCA3動物
I.PCA3ポリペプチドをコードする単離された核酸分子
本発明の一つの態様は、単離された(精製された)PCA3核酸分子に関する。PCA3核酸分子は、次の群より選ばれる塩基配列と少なくとも90%(更に好ましくは、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の相同性を有する塩基配列を包含することが好ましい。
(a)配列番号2又は配列番号7の全長アミノ酸配列を包含するPCA3ポリペプチドをコードする塩基配列;
(b)Centraal voor Schimmelcultures に受託番号CBS 682.97として寄託されているポリヌクレオチドクローンがコードしている全長アミノ酸配列を包含するPCA3ポリペプチドをコードする塩基配列;
(c)Centraal voor Schimmelcultures に受託番号CBS 100512として寄託されているポリヌクレオチドクローンがコードしている全長アミノ酸配列を包含するPCA3ポリペプチドをコードする塩基配列;及び
(d)上記(a)、(b)及び(c)のいずれかの塩基配列と相補的な塩基配列。
pMB9は、PCA3遺伝子のエクソン1、2、3、4a及び4bを含むPCA3cDNAクローンである。pMB9は、ブタペスト条約の規定に基づき、1997年4月10日に受託番号CBS 682.97として、オランダ国、3584 CH ユトレヒト、パドゥアラーン 8(Padualaan 8, 3584 CH Utrecht)にあるユトレヒト大学(University of Utrecht)内のファバーヘンコレクション(Phabagen Colection)[オランダ国、3740 AG バールン、ポストブス 273、ウーストラート1(Oosterstratt 1, Postbus 273, 3740 AG Baarn)にあるセントラル ブァ シメカルチャーズ(Centraal voor Schimmelcultures)の一部]に寄託した。
λDD3.6は、エクソン3、4a、4b、4c及び4dを含むPCA3cDNAクローンである。λDD3.6は、ブタペスト条約の規定に基づき、1998年3月27日に受託番号CBS 100521として、ブタペスト条約の規定に基づき、1997年4月10日に受託番号CBS 682.97として、オランダ国、3584 CH ユトレヒト、パドゥアラーン 8(Padualaan 8, 3584 CH Utrecht)にあるユトレヒト大学(University of Utrecht)内のファバーヘンコレクション(Phabagen Colection)[オランダ国、3740 AG バールン、ポストブス 273、ウーストラート1(Oosterstratt 1, Postbus 273, 3740 AG Baarn)にあるセントラル ブァ シメカルチャーズ(Centraal voor Schimmelcultures)の一部]に寄託した。
本発明の一つの好ましい態様において、単離された核酸分子は、配列番号1の塩基配列と90%(さらに好ましくは95%、96%、97%、98%、99%又は100%)を越える相同性又は類似性を有するPCA3塩基配列を包含する。他の好ましい態様においては、単離された核酸分子は、配列番号1の中のPCA3をコードする配列を包含する。さらに他の好ましい態様においては、単離された核酸分子は、配列番号2又は配列番号7のPCA3アミノ酸配列をコードする塩基配列である。さらに他の好ましい態様においては、単離された核酸分子は、配列番号6の塩基配列と90%(さらに好ましくは95%、96%、97%、98%、99%又は100%)を越える相同性又は類似性を有するPCA3塩基配列を包含する。さらに他の好ましい態様においては、本発明の単離された核酸分子は、配列番号6の塩基配列の中のPCA3をコードする配列を包含する。
さらに、PCA3のスプライス変異体のcDNAを包含する塩基配列や、それと少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の相同性を有する塩基配列も本発明に含まれる。実際、エクソンのすべての組み合わせが可能であることから、スプライス変異体の例としては、エクソン1、2、3、4a及び4b(配列番号1);エクソン1、3、4a、4b及び4c(配列番号3と、領域4bに隣接する領域4c;図1を参照);エクソン1、3、4a、4b、4c及び4d(配列番号3と、領域4bに隣接する領域4cと、領域4cに隣接する領域4d;図1を参照);エクソン1、3、4a及び4b(配列番号3);エクソン1、3及び4a(配列番号4);又はエクソン1、2、3、4a、4b、4c及び4d(配列番号6)等の単離されたPCA3核酸が挙げられる。また、上記のスプライス変異体の一つと、好ましくは少なくとも90%(さらに好ましくは、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の相同性を有する塩基配列を包含するPCA3核酸分子が好ましい。
さらに、ここに述べた単離された核酸分子と同様の機能を有する核酸分子、及びそれらの誘導体も、本発明に含まれる。例えば、配列番号1または配列番号6に記載の塩基配列を置換、挿入又は欠損させて変化させることができる。コード領域の塩基配列には縮重があるため、配列番号2や配列番号7に記載のアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列をコードする他のDNA配列も、本発明に用いることができる。例えば、配列番号1、3 、4又は6に記載のPCA3塩基配列に変異を誘導した配列(即ち、コドンの置換によって、この配列のコードするアミノ酸配列中のあるアミノ酸残基を同様の機能を有する他のアミノ酸に置換した配列)の全長又は1部を包含する塩基配列が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
さらに、本発明の塩基配列は、配列番号1、3、4又は6に記載の塩基配列又はその誘導体の5’末端及び/又は3’末端に少なくとも一つの塩基の付加、欠損又は置換して得られる塩基配列も包含する。付加、欠損又は置換に用いられる塩基又はポリヌクレオチドについては、付加、欠損又は置換によって得られる塩基配列のコードするアミノ酸配列が、配列番号2又は7のアミノ酸配列をコードする限り特に限定はない。さらに、核酸分子は、必要に応じて、その5'末端及び/又は3'末端に制限酵素認識部位を付加しても良い。従って、遺伝暗号の縮重によって許容されるPCA3をコードする配列及びその断片のすべての変異体も、本発明に含まれる。
さらに、ある塩基配列の一つ又は二つ以上のコドンの欠損や、異なるアミノ酸をコードするコドンに置換することによって変異体塩基配列を作製し、変異体ポリペプチドを製造することもできる。この場合、変異体ポリペプチドの構造は、変異を誘発する前の核酸分子から製造されるポリペプチドと異なるが、通常のポリペプチドと実質的に同じ用途又は活性を有する。本技術分野においては明らかなように、2つのポリペプチドは同様の機能を有するものであり、それらをコードする核酸分子と同様に、2つのポリペプチドの差が遺伝暗号の縮重と関係がない場合にも同様である。
A.核酸分子の単離
本発明の一態様においては、PCA3に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする単離された核酸分子が提供される。特に、このような核酸分子は、PCA3RNA又はDNAを含む生物試料から単離することができる。
本発明の核酸分子は、cDNAクローニング及びサブトラクティブ・ハイブリダイゼイション(subtractive hybridization)の手法を用いて、PCA3RNAを含む生物試料から単離することができる。また、本発明の核酸分子との相同性を有するプローブを用いて、cDNAライブラリーから単離することもできる。
本発明の核酸分子は、ゲノムDNAを含む生物試料又は、ゲノムライブラリーから単離することができる。適切な生物試料は、生物体、器官、組織、血液及び細胞などであるがこれらに限定されるものではない。生物試料の採取方法は、試料の性質によって異なる。
当業者は、個体間におけるゲノム中の微少な対立変異の存在を認識すると思われる。本発明の核酸分子には、PCA3コード配列の機能的誘導体である限り、すべての対立遺伝子変異体が含まれる。PCA3対立遺伝子が配列番号1又は6の塩基配列と同じ配列をコードしていない場合には、その遺伝子を単離してPCA3と同定することが可能である。この場合、本明細書の記載と同様の方法、特に、本発明に開示されている配列に基づくプライマーを用いたPCR法によって適当な遺伝子を増幅することが可能である。
当業者は、ヒト以外の生物(例えば、真核生物、具体的には哺乳類、鳥類、魚類及び植物、より具体的にはゴリラ、アカゲザル及びチンパンジー)もPCA3遺伝子を有することに気がつくだろう。本発明には、上記した生物から単離されたPCA3核酸分子も含まれるが、これらに限定されるものではない。
B.核酸分子の合成
本発明の単離された核酸分子には、化学的に合成された核酸分子も含まれる。例えば、PCA3遺伝子の発現産物をコードする塩基配列を有する核酸分子を設計し、必要であれば、それを適当な、更に小さい断片にすることもできる。そして、核酸分子又はそれぞれの断片に対応するオリゴマーを合成することができる。このような合成オリゴヌクレオチドは、たとえば、Matteucciらのトリエステル法[J. Am. Chem. Soc. Vol.103, pp.3185-3191 (1981)]や自動DNA合成機を用いて製造することができる。
オリゴヌクレオチドは、化学合成又はクローニングにより製造することができる。必要ならば、オリゴマーの5’末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いてリン酸化することができる。過剰な酵素を用いることにより、アニーリング又はラベリングを行う前の1本鎖核酸分子をキナーゼで処理することもできる。プローブをラベルするためにキナーゼで処理する場合には、高い比活性を有する放射性同位元素を含むATPを用いることができる。その後、得られたDNAオリゴマーをアニーリング及びT4リガーゼによるライゲーションなどに付すことができる。
II.精製されたPCA3ポリペプチド
本発明の他の1つの態様は、PCA3に対応するアミノ酸配列を有する精製された(好ましくは実質的に純粋な)ポリペプチド、又はその機能的誘導体に関する。好ましい態様である本発明のポリペプチドの有するアミノ酸配列としては、配列番号2又は7のアミノ酸配列、或いはその突然変異体又は種間変異体のアミノ酸配列、或いは少なくとも80%の相同性又は少なくとも90%の類似性(好ましくは少なくとも90%、95%、96%、97%、98%又は99%の相同性、或いはそのポリペプチドと少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の類似性)を有するアミノ酸配列、或いはそのポリペプチドの中の少なくとも6個(好ましくは少なくとも10、15、20、25又は50個の隣接するアミノ酸残基)からなるアミノ酸配列が挙げられる。
本発明の好ましい態様は、PCA3のエピトープに関する。上記したポリペプチドのエピトープは、免疫原エピトープ又は抗原エピトープである。免疫原エピトープとは、免疫原である全長タンパク質の中の、抗体産生応答を引き起こす部分である。抗原エピトープとは、抗体産生応答を引き起こすことが可能なタンパク質の断片である。抗原エピトープ断片の選択方法は当業界では良く知られており、Sutcliffe et al., Science 219:660-666 (1983)を参照することができる。本発明の、抗原エピトープ含有ペプチド及びポリペプチドは、ポリペプチドを特異的に認識する免疫応答を高めるのに有用である。本発明の抗原エピトープ含有ペプチド及びポリペプチドは、本発明のタンパク質の中から選ばれる少なくとも7つのアミノ酸残基(好ましくは9、10、12、15又は20のアミノ酸残基)を包含する。例えば、抗原性を有するペプチドとして、HTQEAQKEAQR(配列番号5)が挙げられる。
PCA3のアミノ酸配列の変異体は、DNAに突然変異を誘発することにより調製することができる。このような変異体には、配列番号2又は7のアミノ酸配列内にアミノ酸残基の欠損、挿入又は置換を誘発することにより調製することができる。最終的に得られる変異体が所望の活性を有するならば、欠損、挿入と置換をどのように組み合わせてもかまわない。
アミノ酸配列の変異を導入する部位は前もって決めておいても、そこに誘発する変異を前もって決める必要はない。例えば、ある部位に誘発する突然変異を最適に行うためには、ランダム突然変異誘発を標的コドン又は領域で行い、発現されたPCA3変異体の中から所望の活性の最適な組み合わせを示す変異体をスクリーニングすることが可能である。塩基配列のわかっている配列の中の任意の部位に置換による突然変異を誘発するための技術は良く知られている。例えば、部位特異的突然変異誘発を行うことができる。
本発明で行うPCA3変異体の調製は、初期段階で作製した変異体(earlier prepared variant)又は変異を有さないタンパク質をコードするDNAに部位特異的突然変異を誘発をすることが好ましい。部位特異的突然変異誘発においては、目的の変異をコードする特定のオリゴヌクレオチド配列を用いて、PCA3変異体を作製することができる。部位特異的突然変異誘発の方法は当業界では一般的に良く知られており、例えば、Adelman et al., DNA 2:183 (1983) や Ausubel et al.,“Current Protocols in Molecular Biology”, J. Wiley and Sons, NY, 1996 などの刊行物に記載されている。
アミノ酸配列の欠損は、通常、約1〜30アミノ酸残基、好ましくは1〜10アミノ酸残基であり、典型的な欠損変異においては、隣接したアミノ酸が欠損している。
アミノ酸配列の挿入には、アミノ末端及び/又はカルボキシル末端への、1アミノ酸残基から実質的には無制限の長さのポリペプチドの融合や、配列内における単数又は複数のアミノ酸残基の挿入が挙げられる。配列内への挿入(すなわち、全長PCA3配列内への挿入)は、通常、約1〜10アミノ酸残基、好ましくは1〜5アミノ酸残基である。
変異体の第3のグループは、PCA3分子内の少なくとも1アミノ酸残基、好ましくは1アミノ酸残基のみ、を欠損し、それとは異なる残基をその位置に挿入したものである。PCA3の特性を微細に調節しようと望む場合には、下記の表1に従った置換を行うことが好ましい。
Figure 2007275069
機能的又は免疫学的な特性に実質的な変化を誘発する場合には、表1に示した置換よりも保存性の低い置換、即ち、以下の(a)〜(c)により顕著な影響を与えるアミノ酸残基を選択すればよい:(a)置換領域におけるポリペプチド骨格の構造、即ち、シートやへリックスなどの立体構造;(b)標的部位におけるの分子の電荷又は疎水性;又は(c)アミノ酸の側鎖の大きさ。通常、行なわれる置換は、(a)グリシン及び/又はプロリンを他のアミノ酸残基に置換するか、或いは欠損又は挿入する;(b)親水性のアミノ酸残基、例えばセリン残基やスレオニン残基を疎水性のアミノ酸残基、例えばロイシン残基、イソロイシン残基、フェニルアラニン残基、バリン残基又はアラニン残基に置換するか、或いは疎水性のアミノ酸残基を親水性のアミノ酸残基に置換する;(c)システイン残基を他のアミノ酸残基に置換するか、又は他のアミノ酸残基をシステイン残基に置換する;(d)陽電荷の側鎖を有するアミノ酸残基、例えばリシン残基、アルギニン残基又はヒスチジン残基を、負電荷の側鎖を有するアミノ酸残基、例えばグルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基に置換する、又は負電荷の側鎖を有するアミノ酸残基を陽電荷の側鎖を有するアミノ酸残基に置換する;或いは(e)大きな側鎖を有するアミノ酸残基、例えばフェニルアラニン残基を、そのような側鎖をもたないアミノ酸残基、例えばグリシン残基に置換するか、又は、小さな側鎖を有するアミノ酸残基を大きな側鎖を有するアミノ酸残基に置換する。
一部の欠損、挿入及び置換はPCA3の特徴に根本的な変化をもたらすと考えられない。しかしながら、変異の誘発前に置換、欠損又は挿入によって生じる効果を正確に予測できない場合には、当業者にとっては、変異の誘発後に慣例的なスクリーニングアッセイの手順に従って、効果的な変異体を選択することが好ましい。例えば、典型的には変異体は、PCA3をコードする本来の核酸分子に部位特異的突然変異を誘発し、組換え細胞の培養によって変異体核酸を発現し、場合によっては、培養細胞から変異体を精製する。精製はカラムを用いたイムノアフィニティー吸着(変異体に残っている少なくとも1つの免疫エピトープにリガンドを結合させることにより、変異体をカラムに吸着する)などにより行うことができる。その後、細胞溶解液又は精製PCA3変異体に対して、適当なスクリーニングアッセイを用いて目的の活性を測定する。例えば、任意の抗体に対する親和性などのPCA3分子の免疫学的特質の変化は、競合イムノアッセイにより測定する。免疫調節活性の変化は適宜なアッセイで測定する。酸化還元又は熱安定性、疎水性、タンパク質分解に対する感受性、或いは坦体との凝集形成又は多量体形成の傾向などのタンパク質特性の変化は、一般的に当業者によく知られた方法でアッセイする。
本発明のペプチドを得る方法として様々な公知の方法を用いることができる。1つの態様においては、自然界において本発明のペプチドを生成している組織や細胞から精製する。それに替わる方法としては、上記の単離された核酸断片を用い、任意の生物にPCA3タンパク質を発現させることができる。本発明のペプチドを含む試料としては、細胞、細胞のタンパク質抽出物や細胞膜抽出物、又は体液が挙げられる。このような試料は、アッセイの形態、検出方法及び試料として用いられる組織、細胞又は抽出物の性質により異なる。
本発明のペプチドを天然に有する生物であれば、どのような生物でも本発明のペプチドの原料として用いることができる。本明細書において“原料生物”とは、サブユニットのアミノ酸配列が由来する元の生物を意味し、サブユニットを発現し、最終的にサブユニットを単離した生物とは関係ない。
公知のタンパク質単離の方法に従い、天然の異物を含まないペプチドを得ることは、当業者には容易である。タンパク質単離の方法としては、免疫クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、イオン交換クロマトグラフィー、及び免疫アフィニティークロマトグラフィーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
好ましい態様においては、ペプチドの精製はイオン交換クロマトグラフィー又はサイズ排除クロマトグラフィーで行なわれる。数多い公知のイオン交換樹脂の内のどれもが使用できるが、例えば、mono Q、sepharose Q、marco-prep Q、AG1-X2やHGが使用できる。また、サイズ排除樹脂の例としては、Superdex 200、Superose 12やSephycryl 200が挙げられ、これらに限定されるものではない。樹脂からの溶出には、0.01Mから2.0Mの塩化カリウム又は塩化ナトリウム水溶液を用いることができる。
III.PCA3核酸を特異的に検出するための核酸プローブ
更に他の1つの態様においては、本発明は、ストリンジェントな条件において、サンプル材料中のPCA3核酸の存在を特異的に検出するための、PCA3核酸と結合する上記核酸分子又はその断片を包含する核酸プローブに関する。
好ましい態様としては、本発明は、PCA3をコードするRNA又はDNA、又はPCA3遺伝子に選択的にハイブリダイズし、PCA3に関連しないRNA又はDNAとは選択的にハイブリダイズしない10〜1000塩基(好ましくは、10〜500、10〜100、10〜50、10〜35、20〜1000、20〜500、20〜100、20〜50、又は20〜35塩基)からなる単離された核酸プローブであって、以下の(a)〜(h)よりなる群から選ばれる配列と少なくとも90%の相同性を有するポリヌクレオチドを含む核酸分子中の少なくとも10個(好ましくは、15、18、20、25、又は30個)の連続した塩基からなる塩基配列と相補的な核酸プローブに関する。
(a) 配列番号2又は7の全長アミノ酸配列を包含するPCA3ポリペプチドをコードする塩基配列;
(b) Centraal voor Shmmelculturesに受託番号CBS 682.97として寄託されているポリヌクレオチドクローンがコードしている全長アミノ酸配列を包含するPCA3ポリペプチドをコードする塩基配列;
(c) Centraal voor Schemmelculturesに受託番号 CBS 100521として寄託されているポリヌクレオチドクローンがコードしている全長アミノ酸配列を包含するPCA3ポリペプチドをコードする塩基配列;
(d) 配列番号1、3、4、又は6の塩基配列を包含するPCA3遺伝子をコードする塩基配列;
(e)配列番号1の1番〜98番、99番〜263番、264番〜446番、447番〜985番又は986番〜2037番の配列を包含するPCA3遺伝子のエクソンをコードする塩基配列;
(f)配列番号6の1番〜120番、121番〜285番、 286番〜468番、469番〜1007番、1008番〜2066番、2067番〜2622番又は2623番〜3582番の配列を包含するPCA3遺伝子のエクソンをコードする塩基配列;
(g)上記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)の塩基配列のいずれかに相補的な塩基配列;及び
(h)既に上記した塩基配列。
本発明の核酸プローブは、配列番号1の511番〜985番の配列、配列番号1の567番〜961番の配列、配列番号6の533番〜1007番の配列又は配列番号6の589番〜983番の配列には特異的にハイブリダイズしないことが好ましい。
相補的配列は、コード領域に対して相補的な配列を包含する場合には、アンチセンス核酸とも呼ばれる。
本発明で用いることが出来る特定の核酸プローブの例を下記の表2に示す。
Figure 2007275069
勿論、当業者には明らかように、配列番号1と配列番号6の配列、及び本発明のその他の配列に存在する、上記と同様の又は異なった領域から、上記以外の様々なプローブを設計することができる。
本発明の核酸プローブを用いた通常のハイブリダイゼーション法により、適当な染色体DNA又はcDNAライブラリーから本発明の他の核酸分子を得ることができる。 染色体DNA又はcDNAライブラリーは、当業界において一般に用いられる方法によって適当な細胞から調製することができる(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, second edition, Sambrooks, Fritsh and Maniatis, Cold Spring Harbor Laboratory編, 1989参照)。
また、化学合成によって、PCA3アミノ酸配列のN末端及びC末端部分に対応する塩基配列を有する核酸プローブを得ることもできる。このようにして合成された核酸プローブをプライマーとして用いて、一般的に行われているポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術に従って(実質的に、PCR protocols, A Guide to Methods and Applications, Michael et al., Academic Press編、1990に従って)PCRを行い、適当な染色体DNA、cDNA又は細胞株ライブラリーから本発明の断片を得ることが出来る。
当業者であれば、当技術分野において知られているコンピューターによるホモロジーの検索 (sequence alignment) 及び配列分析法を用いて、本明細書に記載の配列から上記のようなプローブを設計することができる(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, second edition, Sambrooks, Fritsh, and Maniatis, Cold Spring Harbor Laboratory編, 1989参照)。
本発明のハイブリダイゼーションプローブは、放射線標識、酵素標識、蛍光標識、アビジン−ビオチン標識、化学発色等の標準的な標識技術によって標識することができる。ハイブリダイゼーションの後、プローブは公知の方法で視覚化することができる。
本発明の核酸プローブは、DNAプローブのみならずRNAを含み、これらは当業界で知られている技術を用いて製造することができる。
上記の方法の1つの態様においては、核酸プローブは固形担体上に固定化される。そのような固形担体の例としては、ポリカーボネート等のプラスチック、アガロース及びセファロース等の複合炭水化物、及びポリアクリルアミド及びラテックスビーズ等のアクリル樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。 核酸プローブを上記のような固形担体へ固定化する技術は、当業界でよく知られている。
本発明の核酸プローブを用いた検出方法に適した試験サンプルとしては、例えば、細胞又は細胞の核酸抽出物、又は体液が挙げられる。上記方法において用いられるサンプル材料は、アッセイの形式、検出方法、検定される組織、細胞、抽出物の性質によって異なる。細胞から核酸抽出物を調製する方法は良く知られており、そのような公知の方法を用いて、アッセイの方法に応じた適切なサンプルを容易に得ることができる。
IV.サンプル材料中のPCA3核酸を検出するための方法
更に他の1つの態様においては、本発明は、サンプル材料中のPCA3核酸を検出する方法であって、a)ハイブリダイゼーションの起こりうる特定のハイブリダイゼーション条件下においてサンプル材料と上記の核酸プローブとを接触せしめ、そしてb)核酸分子に結合したプローブの存在を検出する、ことを包含する方法に関する。当業者であれば、上記したような公知の技術に従い核酸プローブを適宜選択することができる。 用いるサンプル材料の例としては、ヒト組織由来のRNA又はDNAが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
V.サンプル材料中のPCA3核酸を検出するためのキット
更に他の1つの態様においては、本発明は、上記の核酸プローブの入った少なくとも1つの容器手段を包含することを特徴とする、サンプル材料中のPCA3核酸を検出するためのキットに関する。好ましい態様においては、上記のキットは更に洗浄用試薬、及び結合した核酸プローブの検出を可能にする試薬からなる群より選ばれる少なくとも1つを包含する他の容器を包含する。 検出用試薬の例としては、放射線標識プローブ、酵素標識プローブ(西洋わさびペルオキシダーゼ、 アルカリフォスファターゼ等)、アフィニティー標識プローブ(ビオチン、アビジン、又はストレプトアビジン等)が挙げられるが、これ等に限定されない。
詳細には、複数の容器を有する区分けされたキットとしては、試薬が別々の容器に入っているキットであればどのようなキットであっても良い。容器の例としては、小型のガラス容器、プラスチック容器、又はプラスチック片又は紙片製の容器が挙げられる。また、そのような容器としては、1つの容器から他の容器に試薬を効率よく移動できるもの、即ち、サンプル材料と試薬とが互いに混合することを防ぎ、且つそれぞれの容器の薬品や溶液を他の容器に定量的に加えることができるものを用いる。容器の用途に関しては、例えば、試験サンプルを受け入れる容器、アッセイに用いるプローブやプライマーを含有する容器、洗浄用試薬(リン酸緩衝化生理食塩水、トリス−緩衝液等)を含有する容器、ハイブリダイズしたプローブ、結合抗体及び増幅された物質を検出するために用いる試薬を含有する容器として用いることができる。
当業者には明らかなように、本発明の核酸プローブは当業界でよく知られている確立したキット形式に容易に組み入れることができる。
VI.PCA3核酸分子を包含するDNA構造体及びこのような構造体を含む細胞
本発明の他の態様によれば、宿主細胞において5’から3’への転写を開始するのに有効なプロモーター及び上述した核酸分子を包含する組換えDNA分子が提供される。本発明の更に他の態様によれば、ベクター及び上述した核酸分子を包含する組換えDNA分子が提供される。
本発明の更に他の態様によれば、細胞中で機能しうる転写制御領域、上述したポリペプチドに対応するアミノ酸配列をコードするRNA配列に対して相補的な配列、及び細胞中で機能しうる転写終止領域を包含する核酸分子が提供される。
上述した各分子は単離及び/又は精製されたDNA分子である。
本発明の更に他の態様によれば、上述した核酸分子を含む細胞又はヒト以外の生物体が提供される。
本発明の更に他の態様によれば、本発明のペプチドは、それを発現するように形質転換された細胞から精製される。
ここでは、通常はタンパク質を全く生成しないか、あるいは低レベルでしか生成しない細胞に遺伝学的な操作を加えることにより、タンパク質を生成するように形質転換された細胞を、「所望のペプチドを発現するように形質転換された」細胞という。当業者であれば、真核生物あるいは原核生物のいずれに対しても、ゲノム配列、cDNA配列、あるいは合成配列のいずれをも導入し発現させるようにすることができる。
DNAのような核酸分子が転写及び翻訳の調節情報を含む塩基配列を包含しており、そしてそのような配列がポリペプチドをコードする塩基配列に「発現可能に結合している」場合に、そのような核酸分子を「発現することが可能である」という。「発現可能に結合している」とは、調節DNA配列及び発現させるべきDNA配列が、遺伝子配列発現が可能なように結合されていることをいう。遺伝子配列発現のために必要な調節領域は、正確には、生物体によって変わるが、一般に、原核生物においては、RNAに転写したときに合成を開始するシグナルを発するDNA配列、及び、プロモーター(それはRNAへの転写を起こさせる)の両方を含むプロモーター領域を包含する。そのような領域は、通常、TATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列等のような、転写及び翻訳の開始配列を伴う5’−非コード配列を包含する。
もし望まれれば、3’の非コード領域からPCA3コード配列は上述の方法により得ることができる。この領域には、終止及びポリアデニル化のような転写終止調節配列を保持することができる。従って、本来、PCA3遺伝子をコードするDNA配列に隣り合う3’−領域を保持することにより、転写終止シグナルが発せられるようになる。発現宿主細胞中において転写終止シグナルが充分に機能しない場合には、宿主細胞中で機能する3’−領域に置き換えることができる。
(プロモーター領域配列及びPCA3コード配列のような)二つのDNA配列は、これら二つのDNA配列間の結合が、それにより(1)フレームシフト変異が起こらないか、(2)PCA3コード配列の転写を起こさせるプロモーター領域配列の能力に干渉しないか、又は、(3)プロモーター領域配列によりPCA3コード配列が転写される能力に干渉しないときには、発現可能に結合しているという。従って、プロモーターがDNA配列の転写を起こすことができる場合に、プロモーター領域はDNA配列に発現可能に結合しているといえる。
本発明は、原核生物又は真核生物における、PCA3コード配列(又はその機能的誘導体)の発現を含む。原核生物宿主細胞は、一般に、組換えタンパク質の生成に最も有効かつ適切なものであり、従って、PCA3コード配列の発現に用いるのに好適である。
原核生物は、しばしば種々の大腸菌株に代表される。しかしながら、他の細菌株などの他の微生物株も用いることができる。原核生物系においては、宿主細胞と親和性を有する種から誘導された複製部位及び制御配列を含むプラスミド ベクターを用いることができる。好適なプラスミド ベクターの例としてはpBR322、pUC18、pUC19、pUC118、pUC119等を、好適なファージ、即ち、バクテリオファージベクターの例としてはλgt10、λgt11等を、好適なウイルスベクターの例としてはpMAM−neo、pKRC等を挙げることができる。本発明で選択されるベクターは、選択された宿主細胞において複製可能であることが必要である。
原核生物系宿主として認識されているものの例としては、大腸菌、バチルス、ストレプトミセス、シュードモナス、サルモネラ、セラシア等の細菌類を挙げることができる。しかしながら、そのような条件下では、ペプチドはグリコシル化されない。原核生物系宿主は、発現プラスミドにおけるレプリコン及び制御配列に対して親和性がなければならない。
原核細胞中でPCA3を発現するためには、PCA3をコードする配列を機能的原核生物系プロモーターに発現可能に結合することが必要である。そのようなプロモーターは、構成要素を成しているか、又は、更に好ましくは、調節可能なものである(すなわち、誘導又は抑制解除可能である)ことがより好ましい。構成要素を成しているプロモーターの例としてはバクテリオファージλのintプロモーター、pBR322配列のβ−ラクタマーゼ遺伝子のblaプロモーター、及びpBR325配列のクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子のCATプロモーター等を挙げることができる。誘導可能な原核生物系プロモーターの例としてはバクテリオファージλの左右の主要なプロモーター(L及びPR)、大腸菌のtrprecAlacZlacl、及びgalプロモーター、α−アミラーゼ[Ulmanenら、J. Bacteriol. 162: 176-182頁(1985年)]及び枯草菌(Bacillus subtilis)のσ−28に特異的なプロモーター[Gilmanら、Gene sequence 32: 11-20頁(1984年)]、バシラス属のバクテリオファージのプロモーター[Gryczan, In: The Molecular Biology of the Bacilli, Academic Press, Inc., NY(1982年)]、及びストレプトマイシス属プロモーター[Wardら、 Mol. Gen. Genet. 203: 468-478頁(1986年)]。原核生物系プロモーターはGlick[J. Ind. Microbiol. 1: 277-282頁(1987年)]、Cenatiempo[Biochimie 68: 505-516頁(1986年)]、及びGottesman[Ann. Rev. Genet. 18: 415-442頁(1984年)]らによって概説されている。
原核生物系細胞における適切な発現のためには、また、遺伝子配列をコードする配列の上流のリボソーム結合部位の存在が必要である。このようなリボソーム結合部位は、例えば、Goldらによって開示されている[Ann. Rev. Microbiol. 35: 365-404頁(1981年)]。
制御配列、発現ベクター、形質転換方法等の選択は、遺伝子の発現に用いられる宿主細胞のタイプに依存する。ここで、「細胞(cell)」、「細胞株(cell line)」及び「培養細胞(cell culture)」とは互換可能な用語であり、また、これらの称呼はその継代物を包含する。従って「形質転換体」又は「形質転換細胞」なる用語は、継代の回数にかかわらず、初代細胞及びそれから誘導される培養細胞を包含する。また、意図的変異か或いは突然変異かにかかわらず、変異によって、全ての継代細胞はDNA成分において正確には同一ではない。しかしながら、変異継代細胞は元の形質転換細胞と同一の機能を有する。
本発明の発現システムで用いられる宿主細胞は、PCA3ペプチドの発現に適していれば厳格には限定されない。適当な宿主細胞としては真核細胞を挙げることができる。
好ましい真核生物系宿主の例としては、酵母、真菌、昆虫細胞、in vivo、又は組織培養された哺乳類動物細胞を挙げることができる。好ましい哺乳類動物細胞としては、HeLa細胞、線維芽細胞に由来するVERO又はCHO−K1のような細胞、又はリンパ球由来の細胞及びそこから誘導した細胞を挙げることができる。
これらに加えて、例えば植物細胞も宿主として用いることができ、カリフラワーモザイクウイルス35S及び19S、ノパリン合成酵素プロモーター及びポリアデニル化シグナル配列のような、植物細胞に適した制御配列を用いることができる。
他の好ましい宿主である昆虫細胞の例としては、ショウジョウバエの幼虫を挙げることができる。昆虫細胞を宿主として用いる際には、ショウジョウバエのアルコール脱水素酵素プロモーターが用いられる[Rubin, Science 240: 1453-1459頁(1998年)]。代わりに、昆虫細胞中に多量のPCA3を発現するように処理したバクロウイルスベクターを用いることもできる(Jasny, Science 238: 1653頁(1987年);Millerら, Genetic Engineering(1986年); Setlow, J.K.ら編, Plenum, Vol.8: 277-297頁)。
異なる宿主細胞は、タンパク質の翻訳、及び翻訳後のプロセシング及び修飾(例えば、グリコシル化、分裂)に関し特徴的かつ特定のメカニズムを有している。適切な細胞株又は宿主システムを、外来遺伝子の発現したタンパク質の所望の変異及びプロセシングを確実にするために選択することができる。
一連の酵母遺伝子配列発現システムのいずれも、解糖系の酵素をコードする発現遺伝子配列からプロモーター及び終止要素を組み込んだものを利用することができる。これらの酵素はグルコースに富んだ培地中で酵母を培養させた場合に多量に製造することができる。公知の解糖系の遺伝子配列類も極めて効率的な転写制御シグナルを与えることができる。
酵母は、翻訳後のペプチドの修飾をも遂行し得るという実質的な利点を有する。酵母中で所望のタンパク質を製造するために、強力なプロモーター配列及び高コピー数のプラスミドを用いる多くのDNA組換え法が存在する。酵母は、複製された哺乳類動物遺伝子配列製造物のリーダー配列を認識し、リーダー配列を有するペプチド(すなわち、ペプチド前駆体)を分泌することが知られている。哺乳類動物宿主によるPCA3の発現に役立つ、いくつかの可能なベクターシステムが存在する。
宿主の性質に応じて、多くの種類の転写及び翻訳調節配列を用いることができる。転写及び翻訳調節シグナルは、アデノウイルス、ウシ乳頭腫ウイルス、サルウイルス等のウイルス源由来のものを用いることができる。そして、これらの調節シグナルは高発現レベルを有する特定の遺伝子配列と結合させて用いる。これらの代わりに、アクチン、コラーゲン、ミオシン等の哺乳類動物発現産物からのプロモーターを用いることもできる。転写開始調節シグナルは、転写を抑制するか、あるいは活性化するかを選択することができるので、遺伝子配列の発現を調節することができる。興味深いのは、調節シグナルは温度感受性であり、温度を変えることによって発現が抑制されたり開始されたりし、また或いは、メタボライトのような化学的調節に付される。
上述したように、真核生物宿主におけるPCA3の発現には、真核生物調節領域を用いることが必要である。一般に、そのような領域は、RNA合成を開始するのに充分なプロモーター領域を含んでいる。好ましい真核生物系プロモーター領域の例としてはネズミメタロチオネインI(mouse metallothionein I)遺伝子配列(Hamerら, J. Mol. Appl. Gen. 1: 273-288頁(1982年));ヘルペスウイルスのTKプロモーター(McKnight, Cell 31: 355-365頁(1982年));SV40初期プロモーター(Benoistら, Nature(ロンドン) 290: 304-310頁(1981年));酵母gal4遺伝子配列プロモーター(Johnstonら, Proc. Natl. Acad. Sci.(USA)79: 6971-6975頁(1982年); Silverら, Proc. Nati. Acad. Sci.(USA)81: 5951-5955頁(1984年))及びCMV前初期遺伝子プロモーター(Thomseonら, Proc. Natl. Acad. Sci.(USA)81: 659-663頁(1984年))を挙げることができる。
広く知られているように、真核生物系mRNAの翻訳は最初のメチオニンをコードするコドンで開始される。そのため、真核生物系プロモーターとPCA3コード配列との結合に、メチオニン(すなわちAUG)をコードするコドンが介在しないことを確認することが好ましい。このようなコドンが存在することにより、AUGコドンがPCA3コード配列と同一のリーディングフレームに存在する場合には融合タンパク質を形成し、あるいは、AUGコドンがPCA3コード配列と同一のリーディングフレームに存在しない場合にはフレームシフト変異をもたらす。
PCA3核酸分子及び発現可能に結合したプロモーターは、原核生物又は真核生物中に非複製DNA(又はRNA)分子として導入することができる。該非複製分子は、直鎖形分子又はより好ましくは閉環状分子(closed covalent circular molecule)のいずれでもよい。これらの分子は自律的な複製ができないため、遺伝子の発現は導入された配列の一時的な発現を通じて起こる。あるいは、恒常的な発現は、導入されたDNA配列の宿主染色体への組込みを通じて起こる。
1つの態様においては、所望の遺伝子配列を宿主細胞の染色体に導入可能なベクターを用いることができる。所望のDNAが染色体中に安定に組み込まれた細胞を選択できるようにするために、このような発現ベクターを含む宿主細胞の選択を可能にする1つ又はそれ以上のマーカーをベクターに導入しておくことができる。このマーカーとしては、例えば、栄養要求性の宿主に原栄養性を賦与するものや、殺生物剤耐性(例えば、抗生物質や、銅などの重金属への耐性)を賦与するものが挙げられる。選択可能なマーカー遺伝子配列は、発現されるべきDNA遺伝子配列に直接に連結してもよいし、コトランスフェクションによって同じ宿主細胞に導入してもよい。1本鎖結合タンパク質mRNAの合成を最適に行なうためには、更なる遺伝子要素が必要である。この更なる遺伝子要素の例としては、スプライスシグナルや、転写プロモーター、エンハンサーシグナル配列、終止シグナルが挙げられる。これらの遺伝子要素が組み込まれたcDNA発現ベクターの例としては、Okayama, Molec. Cell. Biol. 3:280 (1983)に記載のものが挙げられる。
好ましい態様においては、導入される核酸分子は、宿主内で自立的に複製可能なプラスミドベクター又はウイルスベクターに組み込まれる。多岐にわたるベクターのうちのいずれもこの目的に使用できる。特定のプラスミドベクターやウイルスベクターを選択する上で重要なポイントとしては、以下の点を挙げることができる: ベクターを含む宿主細胞を、ベクターを含まない宿主細胞から識別及び単離する際の容易性;特定の宿主内で求められるベクターのコピー数;及び、生物種の異なる宿主間を移動することができるベクター(シャトルベクター)の使用が望ましいか否か。原核細胞用ベクターの好ましい例としては、大腸菌中で複製可能なプラスミド(例えば、pBR322, ColE1, pSC101, pACYC 184, ΠVX)が挙げられる。このようなプラスミドは、例えば、Sambrookによって開示されている(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, second edition, edited by Sambrook, Fritsch, and Maniatis, Cold Spring Harbor Laboratory, 1989を参照)。バシルス用プラスミドの例としては、pC194、pC221、pT127等が挙げられる。このようなプラスミドは、Gryczanによって開示されている[The Molecular Biology of the Bacilli, Academic Press, NY (1982), pp.307−329を参照]。ストレプトミセス用プラスミドの好適な例としては、pIJ101[Kendall et al., J. Bacteriol. 169:4177−4183 (1987)]や、φC31などのストレプトミセスのバクテリオファージ[Chater et al., Sixth International Symposium on Actinomycetales Biology, Akademiai Kaido, Budapest, Hungary (1986), pp.45−54]が挙げられる。シュードモナス用プラスミドは、John et al.[Rev. Infect. Dis. 8:693−704 (1986)]や Izaki[Jpn. J. Bacteriol. 33:729−742 (1978)]によって開示されている。
真核細胞用プラスミドの好適な例としては、BPV、ワクシニア、SV40、2ミクロン サークル(2-micron circle)などと、その誘導体が挙げられる。これらのプラスミドは当業界では周知である[Botstein et al., Miami Wntr. Symp. 19:265−274 (1982); Broach, The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces: Life Cycle and Inheritance, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, p.445−470 (1981); Broach, Cell 28:203−204 (1982); Bollon et al., J. Clin. Hematol. Oncol. 10:39−48 (1980); Maniatis, Cell Biology: A Comprehensive Treatise, Vol. 3, Gene Sequence Expression, Academic Press, NY, p.563−608 (1980)]。
所望のDNA構築体を発現可能な状態で含むベクター又は核酸分子を作製した後、種々の好適な導入手段のいずれかを用いて、DNA構築体を適当な宿主細胞に導入することができる。この導入手段の例としては、トランスフォーメーション、トランスフェクション、接合、プロトプラスト融合法、エレクトロポレーション、パーティクルガン法(particle gun technology)、リン酸カルシウム法、直接マイクロインジェクション、などが挙げられる。ベクターを導入した宿主細胞を選択培地で培養することによって、ベクターを含む細胞を選択的に増殖させる。クローニングされた遺伝子分子が発現することによって、PCA3が産生される。遺伝子の発現は形質転換細胞のそのままの状態で起きるか、又は、形質転換細胞の分化を誘導してから起きる(分化は、例えば、神経芽細胞腫細胞などにブロモデオキシウラシルを投与することによってその分化を誘導できる)。
VII.PCA3ポリペプチドに対する結合親和性を有する抗体及びこの抗体を含むハイブリドーマ
更に他の1つの態様においては、本発明は上記したようなPCA3ポリペプチド又はそのPCA3ポリペプチド結合断片に対して特異的な結合親和性を有する抗体に関する。もし、抗体がPCA3ポリペプチド以外のポリペプチドに結合しないのであれば、その抗体はPCA3ポリペプチドと特異的に結合する。PCA3に選択的に結合する抗体を選択して、例えば、PCA3を含有する組織における様々なPCA3発現の分析等の方法に用いることができる。しかし、上記の抗体の利用分野はこの方法に限定されない。
本発明のPCA3タンパク質は、例えば、抗体の産生、医薬組成物の同定、DNAとタンパク質との間の相互作用の研究等の様々な操作や方法において用いることができる。
本発明のPCA3ペプチドは抗体やハイブリドーマを製造するのに用いることができる。当業者には明らかなように、抗体を製造する際には、本明細書に記載の方法で製造したペプチドを免疫原として用いることができる。
本発明の抗体は、モノクローナル及びポリクローナル抗体、及びこれらの抗体の断片を含む。また、本発明の抗体は更に1本鎖抗体も含む。分子のイディオタイプを含有する抗体断片は公知の方法で製造することができる。このような断片の例として、F(ab’)2断片、Fab’断片、Fab断片及びFv断片等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明において特に有用なのは、人体にて産生されるPCA3抗体、又は組換え技術等によって「ヒューマナイズした(humanized)」(即ち、ヒトにおいて免疫原性を示さない)PCA3抗体である。ヒューマナイズした抗体は、例えば、抗体の免疫原性を有する部位を、これと対応するが免疫原性を有しない部位で置換することによって製造することができる(即ち、キメラ抗体の製造)[Robinson. R.R. et al.、国際特許出願PCT/US86/02269号;Akira, K, et al., 欧州特許出願第184,187号;Taniguchi, M.、欧州特許出願弟171,496号;Morrison, S.L. et al et al., 欧州特許出願第173,494号;Neuberger M.S. et al., 国際出願公開第WO 86/01533号;Cabilly, S. et al., 欧州特許願弟125,023号;Better, M.et al., Science 240:1041-1043(1988);Liu, A.Y.et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 米国 84:3439-3443(1987); Liu, A.Y.et al., J.Immunol.139:3521-3526(1987); Sun.L.K. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 米国84:214-218(1987); Nishimura, Y.et al, Canc.Res.47:999-1005(1987);Wood, C.R.et al., Nature 314:446-449(1985);及び Shaw et al., J. Natl. Cancer Inst. 80:1553-1559(1988)]。「ヒューマナイズされた(humanized)」キメラ抗体に関する一般的な考察はMorrison, S.L.[Science, 229:1202〜1207(1985)]及び Oi, V.T.et al[Bio techniques 4:214(1986)]が行っている。適切な「ヒューマナイズされた」抗体は、CDR置換又はCEA置換によって製造することができる[Jones, P.T.et al., Nature 321:552-525(1986); Verhoeyan et al., Science 239:1534(1988);及びBeidler, C.B.et al., J.Immunol. 141:4053-4060(1988)]。
更に他の1つの態様においては、本発明は上記したモノクローナル抗体を製造するハイブリドーマに関する。ハイブリドーマは、特定のモノクローナル抗体を分泌することができる不死化した細胞株である。
モノクローナル抗体及びハイブリドーマを調製する技術は一般に当業界でよく知られている[Campbell,“Monoclonal Antibody Technology: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology”, Elsevier Science Publishers, オランダ国、アムステルダム(1984);及び St. Groth et al., J.Immunol.Methods 35:1-21(1980)]。
抗体を製造することが知られている動物(マウス、ウサギ等)であれば、適切なポリペプチドを用いて免疫することができる。免疫する方法は当業界でよく知られている。そのような方法の例としては、ポリペプチドの皮下又は腹膜間注射が挙げられる。当業者には明らかなように、免疫に用いるポリペプチドの量は免疫する動物の種類、ポリペプチドの抗原性及び注射の場所によって異なる。
ポリペプチドは、修飾したりアジュバントと混合して投与することでペプチド抗原性を高めることができる。ポリペプチドの抗原性を高める方法は当業界でよく知られており、例えば、抗原を異種タンパク(グロブリンやβ−ガラクトシダーゼ等)とカップリングするか、又は免疫時にアジュバントを加えることなどによって行うことができる。
モノクローナル抗体に関しては、免疫した動物から取り出した脾臓細胞をミエローマ細胞と融合し、モノクローナル抗体を製造するハイブリドーマ細胞を得ることができる。
所望の性質を有する抗体を製造するハイブリドーマ細胞の同定は、様々な公知の方法を用いて行うことができる。このような公知の方法の例としては、ELISA、ウエスタンブロット分析又はラジオイムノアッセイ[Lutz et al., Exp.Cell Res.175:109〜124(1988)]を用いたハイブリドーマのスクリーニングを挙げることができる。
所望の抗体を分泌するハイブリドーマをクローニングし、公知の方法を用いて、クローンのクラス及びサブクラスを決定することができる[Campbell, Monoclonal Antibody Technology: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, supra (1984)]。
ポリクローナル抗体を得る際には、免疫した動物から抗体含有抗血清を採取し、上記したスクリーニング法のいずれかを用いて所望の特異性を有する抗体の存在を検出することができる。
本発明の更に他の1つの態様においては、上述した抗体を検出可能なように標識する。抗体を検出可能なように標識することは、放射性同位体、アフィニティー標識(ビオチン及びアビジン等)、酵素標識(西洋ワサビペルオキシダーゼ及びアルカリフォスファターゼ等)、蛍光標識(FITC及びローダミン等)、及び常磁性原子等を用いて行うことができる。上記のような標識を行う方法は当業界でよく知られており、例えば、Sternberger et al., J.Histochem.Cytochem.18:315 (1970);Bayer et al., Meth. Enzym.62:308 (1979);Engval et al., Immunol. 109:129 (1972);及び Goding, J. Immunol. Meth. 13:215 (1976) を参照することができる。標識した本発明の抗体をin vitroin vivo又はin situでのアッセイに用いることにより、特定のペプチドを発現する細胞又は組織を同定することができる。
本発明の更に他の1つの態様においては、上記した抗体を固形担体に固定する。固形担体の例としては、ポリカーボネート等のプラスチック;アガロース及びセファロース等の複合炭水化物;ポリアクリルアミド及びラテックスビーズ等のアクリル樹脂が挙げられる。抗体を上記のような固形担体に固定化する方法は当業界でよく知られている[Weir et al.,“Handbook of Experimental Immunology”4th Ed., Blackwell Scientific Publications, 英国、オックスフォード、第10章(1986);及びJacoby et al., Meth.Enzym. 34 Academic Press, N.Y.(1974)]。固定化された本発明の抗体は免疫クロマトグラフィー及びin vitroin vivo又はin situでのアッセイに用いることができる。
更に、当業者であれば、抗体に関する上記の技術、方法及びキットのみならず、現在知られている操作を用いて、特定のペプチド配列に結合可能なペプチドを製造し、合理的に設計された抗ペプチドペプチドを容易に製造することができる[例えば、Hurby et al, “Application of Synthetic Peptide:Antisence Peptides”, In Synthetic Peptides, A User's Guide, W.H. Freeman, NY, pp.289-307(1992)、及び Kaspczak et al., Biochemistry 28:9230-8(1989)を参照]。
抗ペプチドペプチドを製造する方法には2通りある。第1の方法においては、疎水性で非荷電の極性基を維持しながら、PCA3ペプチド配列における塩基性アミノ酸残基を酸性残基で置換することによって製造することができる。例えば、リジン残基、アルギニン残基、及び/又はヒスチジン残基をアスパラギン酸又はグルタミン酸で置換し、 グルタミン酸残基をリジン残基、アルギニン残基又はヒスチジン残基で置換する。
VIII.サンプル材料中のPCA3ポリペプチド又は抗体を検出するための方法
更に他の1つの態様においては、本発明はサンプル材料中のPCA3ポリペプチドを検出するための方法に関する。この方法は、a)免疫複合体が形成され得る条件下において、サンプル材料と上記の抗体(タンパク質)とを接触せしめ、そして、b)PCA3ポリペプチドに結合した該抗体の存在を検出することを包含する。詳細には、サンプル材料を少なくとも1種の本発明の抗体と共にインキュベートし、抗体がサンプル材料に結合したかどうかを分析することによってサンプル材料中のPCA3ポリペプチドを検出することができる。サンプル材料中のPCA3のレベルが通常のPCA3のレベルと異なることは、特定の疾患(例えば、前立腺癌)であることを示す。
本発明の更に他の1つの態様においては、本発明はサンプル材料中のPCA3抗体を検出するための方法に関する。この方法は、a)免疫複合体が形成され得る条件下において、サンプル材料と上記のPCA3タンパク質とを接触せしめ、そして、b)抗体に結合したPCA3タンパク質又はPCA3タンパク質に結合した抗体の存在を検出することを包含する。詳細には、サンプル材料を少なくとも1種の本発明のPCA3タンパク質と共にインキュベートし、抗体がサンプル材料に結合したかどうかを分析することによってサンプル材料中のPCA3抗体を検出することができる。
抗体をサンプル材料と共にインキュベートする際の条件は、分析の形式、検出方法、分析に用いる抗体の種類や性質等によって異なる。当業者には明らかなように、一般に知られている形式の免疫アッセイ[例えば、ラジオイムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイ、オクタロニー拡散法(diffusion based Ouchterlony)及びロケット免疫蛍光アッセイ(rocket immunofluorescent assays)等]を、本発明の抗体を用いて行うことは容易である。上記のような免疫アッセイの例としては、Chard, An Introduction to Raedioimmunoassay and Related Techniques, Elsevier Science Publishers, オランダ国、アムステルダム (1986);Bullock et al., Techniques in Immunocytochemistry, Academic Press, Orlando, FL Vol.1 (1982), Vol.2(1983)Vol.3 (1985);Tijssen, Practice and Theory of Enzyme Imunoassays;及びLaboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Elsevier Science Publishers, オランダ国、アムステルダム (1985)に記載のものを挙げることができる。
本発明において、免疫アッセイに用いるサンプル材料としては、細胞、タンパク質や細胞の膜抽出物、又は血液、血清、血漿及び尿等の体液等を用いることができる。上記の方法において用いるサンプル材料はアッセイの形式、検出方法及びサンプル材料として用いる組織、細胞又は抽出物の性質によって異なる。タンパク質抽出物又は細胞膜抽出物の調製方法は公知であり、これらの公知の方法を用いて、アッセイに用いるシステムに適合したサンプル材料を容易に得ることができる。
IX.PCA3タンパク質又は抗PCA3抗体を用いる診断キット
本発明の更に他の1つの態様によると、上記の検出方法を実施するために必要な試薬の全てを備えたキットが提供される。
このキットは、i)上記の抗体の入った第1容器手段、及びii)上記の抗体に結合しうる物質(binding partner)と標識物質とからなる検出用結合物質(conjugate)の入った第2容器手段を包含することができる。
又は、このキットは、i)上記のタンパク質の入った第1容器手段と、好ましくは更に、ii)上記のタンパク質と結合しうる物質と標識物質とからなる検出用結合物質の入った第2容器手段を包含することができる。より具体的には、このキットは、例えば、上記のPCA3タンパク質を包含し、疾病を有する可能性のある動物又はヒトの血清中の抗体検出に用いることができる。
他の好ましい態様においては、このキットは、洗浄用試薬と、抗原と結合した抗体の存在を検出できる試薬からなる群から選ばれる少なくとも1種の試薬を更に包含する。検出用試薬の例としては、標識された2次抗体等が挙げられる。また、標識された1次抗体を用いる場合の検出用試薬の例としては、標識された1次抗体と反応可能な発色性結合試薬、酵素型結合試薬、または抗体型結合試薬等が挙げられる。しかし、検出用試薬はこれらに限定されるものではない。この場合のコンパートメント化されたキットの構造や材料などは、核酸プローブキットに関連して前記で説明したものと同様のものでよい。
当業者には明らかなように、当業界で広く用いられている公知のキットの形式に本発明における抗体を容易に組み入れることができる。
X. 診断的スクリーニング
以下の議論は特にヒト患者について述べるが、その教示はPCA3を発現するいかなる動物にも適用可能である。
本発明の診断方法及びスクリーニング方法は、家族歴に基づき、PCA3の発現レベルの変化に関連した疾患を発病する危険があると疑いのもたれる患者、またはPCA3に関連した疾患(例えば前立腺癌)を診断することが望ましい患者に特に有用である。
本発明によれば、PCA3タンパク質をコードするDNA、即ち本発明のPCA3遺伝子、またはその断片を用いることによって、スクリーニングを必要とする患者について前兆のスクリーニング(presymptomatic screening)をすることが今や可能である。本発明のスクリーニング方法によると、患者にPCA3遺伝子の欠損または異常があるかどうかを出生前の診断を含む前兆診断(presymptomatic disagnosis)を行うことができ、従って、その患者がPCA3関連疾患を将来発症するかまたは現在すでに発症しているかどうかの可能性に関する所見を下すことができる。これは、例えばPCA3関連疾患の病歴のある家族をもつ人々などから、PCA3遺伝子の変異や欠損の保有者を発見するのに特に有用である。また、最適な時期に疾患へ医療上の介入を行なうためには、早期診断が望ましい。
スクリーニング方法の好ましい1つの態様においては、組織検体を個体から採取して、(1)「正常な」PCA3遺伝子の存在、(2)PCA3mRNAの存在、及び(3)PCA3タンパク質の存在、からなる群から選ばれる少なくとも1種についてスクリーニングする。正常なヒトPCA3遺伝子の同定は、例えば、本発明で教示するPCA3配列(またはその機能的断片)に対して調製されたDNAプローブを用い、RFLP分析を含む手法によって「正常な」DNAの制限酵素による消化のパターンを検出し、これを患者のDNAの制限酵素消化パターンと対比することによって、行なうことができる。同様にして、患者のPCA3mRNAの分析データを、PCA3関連疾患を発症する危険性のないヒトの個体群から同様のプローブを用いて見出される正常なPCA3mRNAの(a)レベル及び/又は(b)サイズと比較することができる。また、PCA3活性についての生物学的なアッセイを行なうか、または抗PCA3抗体を用いる免疫学的なアッセイを行なって、PCA3タンパク質を(a)検出及び/又は(b)定量することができる。PCA3タンパク質のアッセイを行なう場合、スピードの点で免疫学的アッセイが好ましい。(1)異常なPCA3DNAサイズのパターン、及び/又は(2)異常なPCA3mRNAサイズまたはレベル、及び/又は(3)異常なPCA3タンパク質のレベルは、患者がPCA3に関連した疾患を発症する危険性のあることを示唆している。
より詳しくは、本発明においては、患者の有する前立腺癌または前立腺癌の素因を診断する方法が提供される。
本発明のスクリーニング方法及び診断方法において、全長PCA3DNAコード配列をプローブとして使用する必要はない。むしろ、正常なもしくは罹患した個体から採取したDNAサンプル中のPCA3遺伝子の存在、または該遺伝子の欠損、または該遺伝子の物理的特性の異常(電気泳動移動パターンの変化等)を検出すのるに十分な長さの核酸断片を使用することだけが必要である。恐らく、上記したプローブのいずれも使用可能であろう。
所望ならば、羊水穿刺、絨毛穿刺及び胎児内視鏡検査等、胎児細胞を採取する公知の方法を用いて、出生前の診断を実施することができる。出生前の染色体分析を行なうことにより、染色体において正常なPCA3遺伝子を保有する部分がヘテロ接合状態にあるかどうかを調べることができる。
XI. 治療的処置
A. 治療用核酸
治療剤としての治療用核酸の治療効果は特に限定されるものではないが、例えば、標的細胞に対して以下の治療効果のうちの少なくとも1種の効果を有することができる: DNA配列の転写に対する阻害;RNA配列の翻訳に対する阻害;RNAまたはDNA配列の逆転写に対する阻害;タンパク質の翻訳後修飾に対する阻害;DNA配列の転写の誘導;RNA配列の翻訳の誘導;RNAまたはDNA配列の逆転写の誘導;タンパク質の翻訳後修飾の誘導;治療用核酸のRNAへの転写;治療用核酸のタンパク質または酵素への翻訳;及び、治療用核酸を標的細胞の染色体へ組み込むことによる、標的細胞での構成的または一時的な発現。
治療用核酸の具体的な治療効果の例としては、以下のものを挙げることができる: アンチセンスRNAまたはDNA等を利用して、欠陥遺伝子の不活性化(turning off)またはその発現の調節;ウイルスの複製または合成に対する阻害;治療用タンパク質をコードするかまたは欠陥タンパク質を修正する外来核酸を発現させることによる遺伝子治療;hnRNA、mRNA、tRNA、rRNA等のRNAの欠陥または発現量の低下の修復(modifying);薬剤もしくはプロドラッグをコードすること、または特定のキメラ状受容体を発現する疾患細胞または正常細胞中で薬剤もしくはプロドラッグとして機能する化合物を生成させる酵素をコードすること;及びその他公知のあらゆる治療効果を挙げることができる。しかし、治療効果の例はこれらに限定されるものではない。
PCA3に関連した疾患(好ましくは前立腺癌)の治療を必要とする患者に実施される治療方法においては、疾患の原因となる兆候のないPCA3遺伝子を適切な方法と量で患者の細胞に与えることによって、その患者を治療するに十分な時間と量でPCA3タンパク質を発現させることができる。好ましくは、遺伝子置換(「ノックアウト」)技術を利用して、疾患(具体的には前立腺癌)を引き起こすPCA3遺伝子を、疾患を引き起こさないPCA3遺伝子で置換する。
また、本発明においては、少なくとも1種のPCA3アンチセンスオリゴヌクレオチドの有効量と薬学的に許容し得る担体とからなる医薬組成物も提供される。上記アンチセンスオリゴ体の例としては、PCA3エクソン1、2、3、4a〜4dに相補的で長さが12〜500塩基の少なくとも1種のヌクレオチド配列;配列番号1、3、4もしくは6のDNA配列;及び、配列番号2もしくは配列番号7から選ばれる少なくとも4個のアミノ酸をコードするDNA配列等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
あるいは、PCA3核酸は、コレステロール、コール酸塩、デオキシコール酸等の多くのステロール類から選ばれる脂肪親和性の担体と組み合わせることができる。好ましいステロールはコレステロールである。
本発明のPCA3遺伝子治療用核酸及び医薬組成物は、所期の目的が達成されるものであればどのような手段で投与してもよい。例えば、非経口、皮下、静脈内、筋肉内, 腹腔内または経皮などの種々のルートにより投与することができる。投与量は、年齢、健康状態、体重、並行して行われる治療がある場合はその種類と治療の回数、及び所望する効き目などを考慮して選択される。
少なくとも1種のPCA3遺伝子の発現を低減するのに有効な量のPCA3アンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する全ての組成物は本発明の範囲に包含される。各成分の有効量は個体により異なるが、有効量の最適な範囲の決定は当業者の技術で行なうことができる。代表的な例を挙げると、例えばヒト等の哺乳類にPCA3核酸を0.005〜1mg/kg/日(治療を施す哺乳類の体重1kg及び1日当たり)の量で投与するか、またはこれと当量の薬学的に許容し得る塩の形態で投与することができる。
非経口投与のための好適な剤形としては、例えば、水溶性の塩などの水溶性形態のPCA3核酸を水溶液としたものが挙げられる。更に、適当な油性の注射用懸濁液の形で、有効成分の懸濁液を投与することができる。好適な親油性溶媒またはビヒクルの例としては、ゴマ油等の脂肪油や、オレイン酸エチルやトリグリセライド等の合成脂肪酸エステルが挙げられる。注射用水性懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩, ソルビトール及び/又はデキストラン等、懸濁液の粘度を高める物質を含有してもよい。場合によっては、懸濁液は安定剤を含有してもよい。
細胞から遺伝子またはタンパク質が欠失したヒト患者の細胞へ必要な遺伝子を送達するための数多くのベクター系が当業界において知られている。例えば、レトロウイルス系、特に修飾レトロウイルス系や単純ヘルペススウイルス系(Gage et al., 米国特許第 5,082,670号)を利用することができる。これらを用いる方法は、例えば Breakefield, X.A. et al., The New Biologist 3:203-218 (1991);Huang, Q. et al., Experimental Neurology 115:303-316 (1992);WO93/03743;WO90/0944;Taylor, WO92/06693;Mulligan, R.C., Science 260:926-932 (1993);及びBrown et al.,“Retroviral Vectors,”in DNA Cloning:A Practical Approach, Volume 3, IRL Press, Washington, D.C. (1987) に教示されている。正常に発現されるPCA3タンパク質をコードするDNA配列を送達すると、病態(例えば前立腺癌)の原因となるPCA3遺伝子を効果的に置換するであろう。
核酸を運ぶベクターの細胞への導入を可能にする手段としては、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、トランスダクション、DEAE-デキストランを用いるトランスフェクション、リポフェクション、リン酸カルシウム法、または当業者にとって公知の他の方法が挙げられる[Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Sambrook et al., eds., Cold Spring Harbor Press, Plainview, New York (1989)]。しかし、導入手段はこれらに限定されるものではない。
本発明の他の1つの態様においては、正常なPCA3遺伝子を細胞内で組換え遺伝子として発現し、該細胞を遺伝子治療が必要とされる哺乳類、好ましくはヒトに移植することができる。遺伝子治療を個体に施すためには、PCA3遺伝子の全部または一部に相当する遺伝子配列をベクターに挿入し、宿主細胞に導入する。
更に、患者の細胞に核酸を導入するために利用できる遺伝子治療方法は、Chatterjee and Wong, Current Topics in Microbiol. and Immuno., 218:61-73 (1996);Zhang, J. Mol. Med., 74:191-204 (1996);Schmidt-Wolf and Schmidt-Wolf, J. of Hematotherapy 4:551-561 (1995);Shaughnessy et al., Seminars in Oncology, 23(1):159-171 (1996);及びDunbar Annu. Rev. Med., 47:11-20 (1996)に記載されている。
前立腺癌細胞における遺伝子の特異的発現は、細胞特異的エンハンサーや細胞特異的プロモーター等の適切な細胞特異的調節配列を用いることにより達成することができる。
このように、特定の形態にあるPCA3の不適切な発現を阻害することによって、PCA3に関連した病状の緩和に遺伝子治療を利用することができる。しかも、特定の形態にあるPCA3を適切なレベルで発現させることによって、上記病状の緩和に遺伝子治療を利用することもできる。この場合、前述のように、ウイルスの形態で投与されるDNAまたはRNA構築体として、特定のPCA3核酸配列を導入することができる。
B. PCA3のアンタゴニストとアゴニスト
PCA3のアンタゴニストとアゴニストがPCA3の活性をそれぞれ阻害及び亢進する能力は、PCA3を含む細胞を用いて評価することができる。アンタゴニストやアゴニストとして挙動する作用物質(agent)の存在下でのPCA3タンパク質の機能を測定するための、細胞内のPCA3活性のアッセイを行なうことができ、こうして、PCA3の活性を阻害する作用物質と亢進する作用物質を同定することができる。
上記のアッセイでスクリーニングされる作用物質としては、抗体、ペプチド、炭水化物、ビタミン誘導体または他の薬剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。スクリーニングにかけるべき作用物質の選択は、1)ランダムに、または2)理論的根拠に基づく(rational)選択方法により、または3)例えばタンパク質モデリングやリガンドモデリング技術(好ましくは、コンピュータによるモデリング)を用いる方法によって行なうことができる。
ランダムスクリーニングにおいては、抗体、ペプチド、炭水化物または薬剤等の作用物質がランダムに選択され、PCA3タンパク質に結合する能力やPCA3タンパク質の活性を刺激または阻害する能力が評価される。
あるいは、理論的根拠に基づき作用物質を選択または設計してもよい。本明細書において、「理論的根拠に基づき作用物質を選択または設計」するとは、PCA3タンパク質の立体配置に基づいて作用物質を選択することを意味する。
1つの態様において、本発明は、下記の工程(a)及び工程(b)からなる、PCA3の活性を刺激または阻害するアンタゴニストまたはアゴニストのスクリーニング方法に関する:
(a)PCA3を発現する細胞を、試験に供される作用物質と共にインキュベートし;そして
(b)PCA3のATPへの結合に及ぼす作用物質の効果を測定して、細胞におけるPCA3タンパク質の活性を評価する。
上記の方法において使用可能な細胞としては、PCA3を機能可能な形態で発現する細胞であり、且つ、そのPCA3活性が測定可能な細胞である限り、いかなる細胞でも用いることができる。好ましい発現細胞は真核細胞または真核生物である。このような細胞には、当業界で周知の通常の方法により、PCA3をコードするDNA配列を含ませることができる。あるいは、当業者は、PCA3タンパク質をコードするmRNAを細胞に直接導入することができる。
本発明は更に、PCA3リガンド(前述のアンタゴニスト及びアゴニストなど)を用いることにより、細胞内のPCA3タンパク質の活性を調整する方法を提供する。一般に、PCA3活性を阻害または刺激することが確認されたリガンド(アンタゴニスト及びアゴニスト)は、PCA3タンパク質を発現する細胞と該リガンドとが生体内(in vivo)で接触することが可能となるように製剤化することができる。上記細胞とリガンドとが接触することにより、PCA3タンパク質の活性の調整が生体内(in vivo)で行われる。製剤化への障害や毒性の問題がない限り、上記の方法で発見されたリガンドは生体内での使用に有効である。
他の1つの態様において、本発明は、動物[好ましくは哺乳類(具体的にはヒト)]内のPCA3レベルを変化させるのに十分な量のPCA3またはPCA3リガンド(PCA3アンタゴニスト及びアゴニストなど)を動物に投与する方法に関する。投与されたPCA3またはPCA3リガンドは、PCA3に関連する機能を特異的に発揮することができるであろう。また、PCA3は前立腺癌細胞に発現されるので、PCA3またはPCA3リガンドを投与することによって、そうした細胞内のPCA3レベルを変化させることができる。
当業者は、個々のいかなる治療プロトコールのための投与量でも容易に定め得ることが理解できるであろう。投与量は、望ましくない交叉反応、アナフィラキシー反応等の副作用を引き起こすほど大きすぎてはならない。一般に、投与量は、患者の年齢、症状、性別、疾患の程度、もしあれば拒絶反応(counter indications)、及びその他の可変要素に応じて変りうるものであり、個々の医師によって調整される。PCA3またはPCA3リガンドの投与量は、1日当たり0.001 mg/kg〜50 mg/kgの範囲とすることができ、この量を1日に1回投与するかまたは複数回に分けて投与し、これを1日から数日間行なうことができる。PCA3またはPCA3リガンドの非経口的な投与は、注射によって行なうか、または時間をかけて徐々に灌流させることによって行なうことができる。また、PCA3またはPCA3リガンドは、静脈内、腹腔内、筋肉内または皮下などのいずれの経路で投与してもよい。
非経口的投与用の剤形の例としては、滅菌済の水性溶液または非水性溶液、懸濁液及びエマルジョン等が挙げられる。非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、オレイン酸エチル等の注射可能な有機エステルが挙げられる。水性溶媒の例としては、水、アルコール水溶液(alcoholic/aqueous solutions)、エマルジョンまたは懸濁液等が挙げられ、生理食塩水や緩衝液等も含まれる。非経口用ビヒクルの例としては、塩化ナトリウム溶液、ブドウ糖と塩化ナトリウムを加えたリンゲル液(Ringer's dextrose and sodium chloride)、加乳したリンゲル液(lactated Ringer's)、及び不揮発性油等が挙げられる。静脈内投与用ビヒクルの例としては、体液・栄養補給剤や電解質補給剤[例えば、ブドウ糖を加えたリンゲル液(Ringer's dextrose)をベースにしたもの]などが挙げられる。また、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤、不活性ガス等の保存剤やその他の添加剤を含有させてもよい。これらの点の全般ついて、Remington's Pharmaceutical Science, 16th Ed., Mack Eds. (1980)を参照のこと。
他の1つの態様において、本発明は、PCA3に関連する活性を変化させるのに十分な量のPCA3またはPCA3リガンドと、薬学的に許容し得る希釈剤、担体または賦形剤とを包含する医薬組成物に関する。当業者は、適切な濃度や投与単位サイズを容易に決定することができる[例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (16th ed., Osol, A., Ed., Mack, Easton PA (1980) 及びWO 91/19008を参照]。
C.免疫療法
本発明はまた、in vivoにおいてPCA3の生物活性を阻害又は中和し、且つPCA3に特異的な、上記したPCA3抗体(好ましくはマウス抗PCA3抗体及びマウス−ヒト抗PCA3キメラ抗体、並びにその断片及び領域)を提供する。これらの抗体は、PCA3の異常な発現に伴う病態(pathologies and conditions)を示す患者の治療を目的として使用することができる。本発明の抗体並びにその断片、領域及び誘導体は、in vivoにおいて上記PCA3の生物活性を阻害及び/または中和することができる、PCA3のエピトープを認識する領域を少なくとも1つ含むことが好ましい。
治療に際しては、抗体、その断片または誘導体を、1回以上非経口的に投与する。本発明のマウス抗体及びマウス−ヒトキメラ抗体、並びにそれらの断片及び領域は、上記PCA3に対する親和性が高く、また上記PCA3の生物活性を阻害及び/または中和する作用が強いので、ヒトの医薬品として好ましく用いることができる。
本発明のモノクローナル抗体の投与方法は、哺乳類の体内の作用すべき部位に抗体が到達できるような方法であれば、どのような方法でもよい。タンパク質は経口投与すると消化されやすいので、抗体の吸収を最適化するため、通常注射による非経口投与、即ち静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射などが行われる。
本発明のモノクローナル抗体は、単独で治療薬として投与しても、他の治療薬と組み合わせて投与してもよい。また本発明のモノクローナル抗体は、それ自体だけで投与してもよいが、一般的には、投与経路や、医薬品に関する標準的な慣例などに基づき選択された、医薬品用担体と共に投与する。
当然のことながら、投与量は公知の種々の要因、例えばその薬物の薬力学的特性、投与法及び投与経路、投与を受ける者の年齢、健康状態及び体重、病状の性質及び程度、併用する処置の種類、薬物投与の頻度、所望する効果などにより異なるが、通常、有効成分の1日当りの投与量は、体重1kg当り約0.1〜100mgである。通常、所望の結果を得るためには、1日に、体重1kg当り有効成分0.5〜50mg、好ましくは1〜10mgを、1日1〜6回に分けて、または徐放性製剤として投与すればよい。
一般に、内服に適する製剤(組成物)は、1投与単位当り約1〜500mgの有効成分を含む。これらの医薬品組成物には、通常その医薬品組成物の重量に対し約0.5〜95重量%の有効成分が含まれる。
非経口投与(注射)を行う場合、上記の抗体は、溶液、懸濁液、乳液、薬学的に許容される非経口投与(注射)用賦形剤を添付した凍結乾燥粉末などの形態で処方することができる。非経口投与(注射)用賦形剤の例としては、水、食塩水、リンゲル液、ブドウ糖溶液、5%ヒト血清アルブミン溶液などを挙げることができる。リポソームや、不揮発性油などの非水性賦形剤を用いてもよい。この非経口投与(注射)用賦形剤や凍結乾燥粉末は、等張性を維持するための添加剤(例えば、塩化ナトリウム、マンニトールなど)や、化学的安定性を維持するための添加剤(例えば、緩衝化剤、保存剤など)を含んでいてもよい。また、上記の製剤は、通常用いられる方法により滅菌する。
適切な医薬品用担体に関しては、当該分野において標準的な参考文献である、Remington's Pharmaceutical Sciences (A. Osol著)の最新版に記載がある。
本発明のマウス抗体及びマウス−ヒトキメラ抗体、並びにそれらの断片及び領域は、イムノコンジュゲート(immunoconjugates)として治療に用いることができる[Ann. Int. Med., 111: 592-603(1989)に記載の、R.O. Dillmanによる総説を参照]。本発明のマウス抗体及びマウス−ヒトキメラ抗体、並びにそれらの断片及び領域は、細胞毒性を有するタンパク質[例えばリシン−A(Risin-A)、シュードモナス毒素、ジフテリア毒素など;但しこれらに限定されるものではない]と結合させることができる。抗体またはその他のリガンドと結合した毒素は、当該技術分野において公知である[例えば、S. Olsnesら、Immunol. Today, 10: 291-295(1989)を参照]。植物及び細菌の毒素は、典型的にはタンパク質合成系を崩壊させることによって殺細胞作用を示す。
本発明の抗体には、上記以外の治療効果を有する部位を結合させることができる。治療効果を有する部位の例としては、放射性核種(radionuclide)、細胞毒性物質、医薬品などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。抗体に結合させ、in vivoにおいて抗原上の部位に送達することができる放射性核種の例としては、212Bi、131I、186Re、90Yなどを挙げることができるが、これら以外の放射性核種の使用を否定するものではない。放射性核種は、放射線療法の分野において知られている通り、局所的に細胞に放射線を照射して、細胞内に種々の障害を引き起こすことにより、細胞毒性作用を示す。
抗体に結合させた後、in vivoでの治療に用いることのできる、細胞毒性を示す医薬品の例としては、ダウノルビシン、ドキソルビシン、メトトレキセート、マイトマイシンCなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。細胞毒性を示す医薬品は、DNA合成、RNA合成、タンパク質合成などの重要な細胞のプロセスに干渉する。当該分野において知られている、この種の医薬品に関する詳細な説明、及びその作用機序については、Goodman and Gilman's THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS 第7版 (1985) (A.G. Goodmanら著、Macmillan Publishing Co.より発行) を参照することができる。
本発明の抗体は、他のモノクローナル抗体や、他のマウス抗体及びマウス−ヒトキメラ抗体、並びにそれらの断片及び領域や、抗体と相互作用するエフェクター細胞の数や活性を増すのに役立つ、リンホカイン類や造血細胞成長因子類などと組み合わせても有利に用いることができる。
XII.ヒト以外のトランスジェニックPCA3動物
ヒト以外のトランスジェニックPCA3動物の作成方法
本発明における、ヒト以外の動物は、形質転換により内因性遺伝子が分断または改変されている動物(ノックアウト動物)、及び/またはヒトPCA3の発現に繋がる1種以上の導入遺伝子(transgenes)がそのゲノムに導入されている動物を包含する。アンチセンスPCA3核酸を導入されている動物もまた好ましい。
そのようなヒト以外の動物には、げっ歯目、ヒト以外の霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、両生類、爬虫類などの脊椎動物が含まれる。このヒト以外の動物は、ヒト以外の哺乳動物から選ばれることが好ましく、ラットやマウスを含むげっ歯目から選ばれる動物、特にマウスが好ましい。
本発明でいうトランスジェニック動物とは、動物の体内に、遺伝子が天然には起こらない導入方法(即ち人為的な操作)により、その動物の体内に自然に生じることのない遺伝子(例えば、外来遺伝子や、遺伝子操作を受けた内因性遺伝子)を1種以上導入することにより得られる動物を意味する。天然には起こらない遺伝子導入方法により導入された遺伝子、即ち導入遺伝子は、遺伝子を導入する動物の遺伝情報の構成(configuration)に含まれる遺伝子及び/または導入遺伝子が組込まれる染色体上の座に自然界で見出される遺伝子でない限り、その動物と同一種から得られるものであっても、別の種から得られるものであってもよい。導入遺伝子は、外来性DNA配列、即ち宿主動物のゲノム中に通常見出されることのない配列を含んでいてもよい。あるいは、または更に導入遺伝子は、天然のものとは異なっている(abnormal)内因性DNA配列、即ち、遺伝子のin vivoにおける通常の発現様式の改変、または遺伝子によってコードされた内因性遺伝子産物の生物活性の改変又は削除を目的として、配列が再編成または変異を受けている配列を包含してもよい[Reconbimant DNA 第2版{J.D. Watsonら著、W.H. Freeman and Co. (ニューヨーク)より発行 (1992)}、第255-272頁、J.W.Gordon, Intl. Rev. Cytol., 115:171-229 (1989)、R. Jaenisch, Science, 240:1468-1474 (1989)、J. Rossant, Neuron, 2:323-334 (1990)]。
本発明のヒト以外のトランスジェニック動物は、ヒト以外の動物の生殖細胞系(germline)に導入遺伝子を導入することによって作製される。本発明の導入遺伝子の導入には、種々の発生段階にある胚性標的細胞(embryonic target cell)が用いられる。導入遺伝子の導入は、胚性標的細胞の発生段階に応じて、種々の方法により行われる。
1.接合体へのマイクロインジェクションは、本発明の実施に際して、動物のゲノムに導入遺伝子を組み込むための好ましい方法である。接合体とは、前核の融合やそれに続く細胞分裂を起こしていない受精卵であって、導入遺伝子のDNA配列をマイクロインジェクションにより導入する場合、その標的細胞として好ましい細胞である。マウス接合体中の雄性前核の直径が約20μmになると、導入用のDNA配列を含む溶液1〜2ピコリットルを繰り返して注入することができる。接合体を用いて導入遺伝子を導入する場合、次のような利点がある。注入された導入遺伝子のDNA配列は、1回目の細胞分裂の前に、宿主動物のゲノム中に組み込まれることが多い[Brinsterら、Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 82: 4438-4442 (1985)]。その結果、得られたトランスジェニック動物[創始動物(founder animals)]の全ての細胞は、組み込まれた導入遺伝子を特定の遺伝子座に安定に保持しており、このような導入遺伝子はトランスジェニック対立遺伝子(transgenic allele)と呼ばれる。トランスジェニック対立遺伝子はメンデルの法則に従う遺伝様式を示す。トランスジェニック動物と非トランスジェニック動物との交雑により生まれた子孫の半数は、メンデルの独立の法則に従いトランスジェニック対立遺伝子を持つことになる。
2.動物に本発明の導入遺伝子を導入する方法として、ウイルスによる組み込みを行うことも可能である。発生途中の胚を胚盤胞の段階までin vitroで培養する。この段階になると、割球はウイルス感染を受けることがある[R. Jaenisch, Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 73: 1260-1264 (1976)]。酵素処理によって透明帯を除去すると、割球の(ウイルス)感染が促進される[Manipulating the Mouse Embryo、Hoganら著、 Cold Spring Harbor Press (ニューヨーク州、Cold Spring Harbor)より発行 (1986)]。典型的なものとしては、複製能が欠損しているが、ウイルスの有するDNA配列を宿主の遺伝子中に組み込む機能は保持されているようなウイルスベクターを介して、導入遺伝子を導入する[Jahnerら、Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 82: 6927-6931 (1985)及びVan der Puttenら、Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 82: 6148-6152 (1985)]。導入遺伝子を含むウイルスベクターを産生する細胞の単層上の割球の培養により、形質転換体(transfection)が容易且つ効率よく得られる[Van der Puttenら、Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 82: 6148-6152 (1985) 及びStewartら、EMBO Journal, 6: 383-388 (1987)]。或いは、もっと後の発生段階、例えば胞胚腔の段階でウイルスに感染させてもよい[D. Jahnerら、Nature, 298: 623-628 (1982)]。いずれの場合においても、ウイルスによる組み込みで作製したトランスジェニック創始動物は、トランスジェニック対立遺伝子に関してのモザイクである。即ちこの場合、導入遺伝子はトランスジェニック創始動物を構成している細胞の1つのサブセット(subset)にしか導入されていない。その上、1つの創始動物において、複数のウイルスによる組み込みが起こり、その結果複数のトランスジェニック対立遺伝子が生じる場合があり、更にその複数のトランスジェニック対立遺伝子が後の世代の子孫において分離されることもありうる。また、この方法によって生殖細胞系に導入遺伝子を導入することも可能ではあるが、実際に導入遺伝子の導入が起こる頻度は低いと考えられる[D. Jahnerら、Nature, 298: 623-628 (1982)]。しかしながら、この方法によって動物の生殖細胞系に導入遺伝子が導入できれば、全ての細胞(即ち体細胞と生殖細胞の両方)にトランスジェニック対立遺伝子が導入されている子孫を作成することができる。
3.胚幹細胞(以降「ES細胞」と称する)もまた、導入遺伝子を導入する場合の標的細胞として有用な細胞である。ES細胞は、in vitroで培養された着床前の胚から得られる細胞である[M.J. Evansら、Nature, 292:154-156 (1981); M.O. Bradleyら、Nature, 309:255-258 (1984); Gosslerら、Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 83:9065-9069 (1986); Robertsonら、Nature, 322:445-448 (1986); E.J. Robertson、{E.J. Robertson編、Teratocarcinoma and Embryonic Stem Cells: A Practical Approach, ILI Press. (オックスフォード)より発行 (1987), 第71〜112頁}]。ES細胞は市販されており(例えば、ミズーリ州セントルイス、Genome Systems, Inc. などより入手可能)、確立された方法[R.H. Lovell-Badge、Teratocarcinoma and Embryonic Stem Cells: A Practical Approach, E.J. Robertson編、ILI Press. (オックスフォード)より発行 (1987), 第153〜183頁]により、1つ以上の導入遺伝子を用いて形質転換することができる。形質転換されたES細胞を、動物の胚盤胞に組み込むことができる。すると、ES細胞は胚に定着(colonize)し、その一部はこの動物[この動物はキメラ(2種以上の動物に由来する細胞によって構成されている)である][R. Jaenisch, Science, 240: 1468-1474 (1989)]の生殖細胞系となる。この場合も、この方法によって動物の生殖細胞系に導入遺伝子が導入できれば、全ての細胞(即ち体細胞と生殖細胞の両方)にトランスジェニック対立遺伝子が導入されている子孫を作成することができる。
導入遺伝子の導入は、初期段階においてはラマルク説に従うような(Lamarckian)[メンデル的でない(non-Mendelian)]挙動を示す場合もある。しかし、本発明の導入遺伝子は、生殖細胞系に安定に導入され、メンデルの法則に従う遺伝子座(Mendelian loci)に位置してトランスジェニック動物の子孫に移行する。この他の形質転換法では、モザイクのトランスジェニック動物が得られ、導入遺伝子を有する細胞と有さない細胞が生じる。モザイクのトランスジェニック動物において、生殖細胞が導入遺伝子を有さない場合、導入遺伝子は子孫に移行しない。それでも、モザイクのトランスジェニック動物は導入遺伝子に基づく表現型を示すことができる。
ヒトの疾病の動物モデルを提供することを目的として、ヒト以外の動物に導入遺伝子を導入することができる。このような動物モデルの作製に用いられる導入遺伝子としては、ヒトの遺伝病における先天的代謝異常に関連する変異遺伝子産物をコードする導入遺伝子や、ヒトが病原体(即ち、細菌、ウイルス、その他の病原性微生物)に対して感受性を示すのに必須のヒトの因子をコードする導入遺伝子[Lederら、米国特許第5,175,383号(1992年12月29日)、Kindtら、米国特許第5,183,949号(1993年2月2日)、Smallら、 Cell, 46:13-18 (1986)、Hooperら、 Nature, 326:292-295 (1987)、Staceyら、 Nature, 332:131-136 (1988)、Windleら、 Nature, 343:665-669 (1990)、Katzら、 Cell, 74:1089-1100 (1993)]を挙げることができる。遺伝子の導入によってもたらされる変異は、通常は内因性の遺伝子配列を、選択及び/または検出を可能とするマーカーをコードするDNA配列に置換した、ヌル(いわゆる「ノックアウト」)対立遺伝子を含む。得られたヒト以外のトランスジェニック動物は、疾患にかかりやすいか、或いは導入遺伝子により疾患にかかるので、この動物には色々な用途がある。例えば、疾患を引き起こす組成物の同定や、疾患を引き起こすか、その疑いのある組成物の病原性の高さ(pathogenic potential)の評価[A.J.M. Berns、米国特許第5,174,986号(1992年12月29日)]、又、疾患の治療や症状の改善に用いることが考えられる組成物の評価に使用することができる{Scottら、WO 94/12627(1994年)}。
子孫から得た遺伝物質を分析し、本発明の導入遺伝子の配列に対応する、または本発明の導入遺伝子によってコードされる特有の配列を有する生体分子の有無を調べることにより、本発明の導入遺伝子を受け継いでいる子孫と、導入遺伝子を受け継いでいない同腹子(littermate)とを区別することができる。例えば、本発明の導入遺伝子の選択的マーカーによってコードされたポリペプチドを含む体液をイムノアッセイにより分析し、上記のようなポリペプチドの有無を調べればよい。導入遺伝子を受け継いでいる子孫を同定するためのより単純で信頼性の高い手段としては、以下のような方法を挙げることができる。動物の末端部(extremity)、例えば尾から組織検体を取り、この検体に関して、本発明の導入遺伝子に特有の部位のDNA配列(例えば、選択的マーカー)に対応する核酸配列の有無を調べる。このような核酸配列の有無は、例えば、導入遺伝子に特有の部位に対応するDNA配列を用いたハイブリダイゼーション(いわゆるサザンハイブリダイゼイション)や、検体中のDNA配列を基質とし、導入遺伝子のDNA配列に由来するオリゴヌクレオチドを用いるPCRの増幅産物の分析などによって調べることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、これは本発明を限定するものではない。
PCA3cDNA及びゲノムDNAの単離及び特徴付け
前立腺癌の新しいマーカーを同定するために、differential display analysis (Liang et al., Science 257: 967-971, 1992)を用いて、正常な前立腺と比較して、前立腺癌で過剰発現している遺伝子を同定した。具体的には、同一患者の正常な前立腺組織、良性前立腺肥大(BPH)組織及び悪性前立腺組織のそれぞれから全RNAを抽出して解析を行った。4つのアンカープライマーと5つの任意のプライマーによる20種類の異なるプライマーセットを用いて、両者で見かけ上異なった発現をする11種のmRNA(即ち、調べた全ての癌組織においては一貫して過剰発現しているが、正常組織或いはBPH組織においては発現していないmRNA)を同定した。これらのmRNAの相補鎖DNA(cDNA)断片をノーザンブロット解析にプローブとして用いて、differential display法で調べた前立腺腫瘍における一貫した過剰発現を確認した。こうしたプローブの1つであるDD3(486bpのcDNAプローブ)によって、調べたヒト前立腺腫瘍50例中47例において高度に過剰発現している2.3kb並びに4.0kbの2つの主要な転写物を検出した。一方、同一患者の正常組織またはBPH組織においては、これらの転写物の発現は全くみられなかった(又は非常に低レベルであった)。
全長のcDNAクローンを得るために、ヒト前立腺腫瘍の初代培養組織から単離したmRNAを用いてcDNAライブラリーを構築した。このライブラリーのスクリーニングによって250個のDD3関連陽性クローンを得た。このうち80クローンを精製し、自動シークエンス解析によってその塩基配列を決定した。
λFIX2に組込んだヒト胎盤ゲノムDNAで構築されたゲノムライブラリーについて、DD3をプローブとして用いてスクリーニングし、4つの異なるクローンを得た。このうち2つのクローン(λFIX−ME3及び−ME4)は遺伝子の5’末端側に位置し、残りの2つのクローン(λFIX−ME1及び−ME2)は遺伝子の3’末端側に位置する断片であった。λFIX−ME4の5’末端をサブクローニングし、ゲノムライブラリーのスクリーニングにプライマーとして用いた。そして3つの新規且つ固有のクローンを単離した(λFIX−IH1、−IH2及び−IH6)。
分析した80個のcDNAクローンから、選択的スプライシング或いは選択的ポリアデニル化によって少なくとも4つの異なる転写物が存在することが示された。cDNAクローンと比較したゲノムクローンの塩基配列の解析によりPCA3遺伝子のゲノム構造が示された。3つのイントロンと4つのエクソンが存在しており、最初のイントロンの長さはおよそ20kbである。
1つめのcDNA種は、cDNAクローンのおよそ5%にみられ、エクソン1、2、3、4a及び4bを含んでいる(真に保存されたポリA付加シグナルは、4bの下流に起こるポリアデニル化の上流に存在する)(図1参照)。
2つめのcDNA種は、cDNAクローンのおよそ15%にみられ、エクソン1、3、4a、4b及び4cを含み、第2エクソンの選択的スプライシングによって生じ(即ち、このcDNAには第2エクソンが存在していない)、上記とは異なる(真に保存された)ポリA付加シグナルで終結している(図1参照)。
3つめのcDNA種は、エクソン1、3、4a及び4bを含み、最も一般的にみられるものである(80クローンのうちのおよそ65%に相当)(図1参照)。このcDNAはノーザンブロット解析でみられる最も顕著な転写物(2kb)に対応するものであると考えられる。
4つめのcDNA種は、エクソン1、3及び4aを含み、全クローンの約15%にみられ、元のDD3クローンの終結部位にあたる4aの下流で終結している(図1参照)。ここに存在するポリA付加シグナルは保存配列に近い。
PCA3は、ノーザンブロットで異なるサイズの転写物が観察されること、及び異なる種類のクローンが同定されていることから明らかなように、この遺伝子では顕著な選択的スプライシングが(選択的ポリアデニル化と共に)起こる。前述したように、エクソンの全ての組合せが実質的に可能なので、他のスプライシング変異体も同定することができる。例えば、エクソン2、3、4a、4b及び4cを有するcDNAクローンが最近同定されている。実際に、実質的に全ての可能なエクソンの組合わせで表されるクローンが同定されていると考えられる。
λDD3.6というクローンのシークエンシングにより、このようなスプライシング変異体の1つが同定された。λDD3.6は、25歳の男性の前立腺RNAから構築したcDNAライブラリー(CLONTECH社より購入)をPCA3プローブを用いてスクリーニングすることによって同定、単離したλgt11クローンである。λDD3.6はエクソン3、4a、4b、4c及び4dを含んでいる。しかしながら、このcDNAクローンはイントロン配列(イントロン2の一部とイントロン3)も含んでいる。
2つの寄託したクローンpMB9及びλDD3.6の比較を図3に示す。
異なる組合せのエクソンについてコンピュータ解析で調べてオープンリーディングフレーム(ORF)を同定し、タンパク質のコード領域を予測した。最長のORFがタンパク質のコード領域である可能性の最も高いで領域であった。153塩基の最長のORFが51アミノ酸残基からなる小さなペプチドPCA3をコードしている。PCA3はエクソン3の一部とエクソン4aによってコードされている。小さなサイズのタンパク質は、そのタンパク質がメッセンジャー分子として最もよく機能し、細胞から分泌される可能性を有することを示唆している。エクソン1、2、3及び4aから4dの塩基配列並びにPCA3のアミノ酸配列を図2と図5(それぞれ、配列番号1及び6と2及び7に相当)に示す。
通常の技術を有する者が、上記した方法に従ってcDNAクローンの単離及び特徴付けを行えば、配列番号6及び図5に示す塩基配列を有するcDNAクローンを得ることができると認識するだろう。例えば、従来技術でよく知られているように、エクソン1、2、3、4a、4b、4c及び4dの少なくとも1つの5’末端に特異的なプローブを更に用いて、全長PCA3cDNAを有するクローンを得る確率を上昇させることができる。例えば、96穴プレートを用いて、上記のプローブで多数のPCA3陽性cDNAクローンをスクリーニングすることができる。よく知られているように、又ここに記載するように、所望のcDNAクローンを得るまでPCA3陽性クローンの塩基配列を決定を行うことも、当然のことながら可能である。
その上、PCA3特異的プライマーとPCRのような増殖法を用いて、配列番号6及び図5に示す配列を有するcDNAクローンを得ることも可能である。例えば、PCA3cDNAの最端の5’末端並びに3’末端に特異的なプライマーを用いたPCR技術によって、例えば前立腺腫瘍から単離したRNAから所望の産物(ほぼ4kb)を増幅し、そのPCR産物をクローニングすることができる。しかしながら、PCR増幅は間違った塩基を取り込む可能性があるので、完全なcDNAのシークエンシングがほとんどの場合必要である。
通常の技術を有する者にはよく知られているように、配列番号6及び図5に示す配列を有するcDNAクローンは、ここに記載したクローン(或いは新たに単離されたクローン)と従来の遺伝子工学的手法を用いて構築することもできる。
例えば、寄託したクローンであるpMB9やλDD3.6を用いてそのような全長のcDNAクローンを構築することができる。配列番号6及び図5に示す塩基配列を有するこのようなcDNAクローンを構築するための方法の例を以下に示すが、本願を限定するものではない。
λDD3.6ファージDNAをNdeIで完全に消化し、およそ2kbのNdeI断片をアガロースゲルから単離する。この断片は、PCA3のエクソン4bの一部、エクソン4cと4、d及び約50塩基のファージDNAを含んでいる。次に、この2kb断片の末端をDNAポリメラーゼのKlenow断片とdNTPsで平滑末端化し、この平滑末端化断片を更にBluescript SKのHincII/SmaI切断部位に連結する。HincIIとSmaIの消化によるBluescriptのHindIII認識部位の欠失は、以下に示すこの特定の方法における更なるクローニングステップには重要なことである。複数のNdeI認識部位がλgt11ファージにも存在するため、NdeIで消化するといくつかの付加的な断片を生じ、そのうちのいくつかは2kbに近い(具体的には、1.8kbと2.5kb)ことに注目されたい。しかしながら、これらの異なるバンドはアガロースゲル上で即座に分離される。λDD3.6の平滑末端化した2kbのNdeI断片のBluescriptへの挿入(この構築物をPCA3−Xという)における正しい方向性は、SacI単一で消化することによって証明することができる。その際、アガロースゲルをエチヂウムブロマイド染色した時に、約0.45kb断片と約4.5kbの断片を生ずる。また、塩基配列の解析を行ってPCA3挿入断片の確認することもできる。
次に、PCA3−X構築物をHindIIIとBamHIで完全に消化し、4.8kbのベクター挿入物断片をアガロースゲルゲルから単離する。この結果、挿入物から約0.2kbのDNAが除去される。同時にpMB9をBamHIとHindIIIで完全に消化すると、1.9kbの挿入物(PCA3のエクソン1、2、3、4a及び4bの大部分を含む)をアガロースゲルから単離することができる。pMB9由来の挿入物をPCA3−X構築物のBamHI/HindIII切断部位に連結する。連結した構築物PCA3−Yは、エクソン1の最初の22塩基を除きPCA3の完全なcDNAを含んでいる(以下の記載及び図4参照)。PCA3−Y構築物とオリゴマー(74bp:配列番号8)を共にBamHIとPstIで完全に切断し、切断したオリゴマーをPCA3−Y構築物に連結することによってこの最初の22塩基をPCA3cDNAに付加することができる。この構築物をPCA3−Zという。塩基配列の解析を行い、オリゴマーが正しく連結されたことを証明することができる(即ち、複数のオリゴマーが並んだものではなく、単一のオリゴマーが連結されたことを確認する)。当然、PCA3−Z内に形成されたcDNAのシークエンシングを行って、核酸配列の完全性を証明することもできる。
体細胞のハイブリッドパネル(hybrid panel)のスクリーニングによって、PCA3をコードする遺伝子がヒト9番染色体上に局在することが明らかとなった。プローブとして4つのPCA3関連ゲノムクローンの混合物を用い、ヒトリンパ球の細胞分裂中期の染色体にハイブリダイズさせたところ、PCA3は9q21〜22にマップされた(図1も参照)。
進化の過程におけるPCA3遺伝子の保存をサザンブロット解析で研究したところ、この遺伝子の相同遺伝子がサル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ及びブタにも存在することが示された。この遺伝子はイヌやネコにも存在している。一方、PSAをコードする遺伝子は霊長類のみにみられる。
PCA3の前立腺特異的な発現
PCA3に特異的なプライマーを開発する際に、いくつかの正常ヒト組織から抽出したRNAを用いてRT−PCR解析を行った。40サイクルのPCRで、正常前立腺組織及びBPH組織におけるPCA3関連産物が増幅された。PCA3の発現は、非常に前立腺特異的である。何故なら、以下の正常ヒト組織においては、同様の条件下でPCA3産物を全く増幅することができなかったからである。調べた組織は、動脈、脳、前胸部、膀胱、大腸、十二指腸、心臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、胎盤、精嚢、骨格筋、皮膚、脊髄、脾臓並びに精巣である。ヒト前立腺癌由来の細胞株であるALVA−31、DU145、JCA−1、PPC−1、PC3並びにTSU−Pr1においても、PCA3関連PCR産物は全く検出できなかった。ヒト前立腺アデノカルシノーマ細胞株LNCaPでは、40サイクルのPCRで産物を得ることができる(一方、同じ条件下で、前立腺腫瘍では20サイクル以内で産物を得ることができる)。前立腺に特異的なPCA3の発現の評価に用いた技術は、前立腺癌の診断試験に適応することができる。その上、前立腺を原発巣とする転移巣の同定に適応することもできる。
更に、半定量的なRT−PCR解析を行って、PCA3の発現をPSA(前立腺特異抗原)並びにPSM(前立腺特異的膜抗原)の発現と比較し、PCA3−RT−PCR解析を悪性前立腺標本と良性前立腺標本との区別に用いることができるかどうかを確認した。RT反応を定量化した後、10ngのcDNAをPCR反応に用いた。対照として、β2−ミクログロブリンについても調べた。調べた25例中23例において、検出されたPCA3産物によって悪性の標本と良性の標本とを明確に区別することができた。一方、PSA及びPSMではこの区別をすることができなかった。即ち、正常サンプルと腫瘍サンプルにおいてほぼ等量の産物が認められた。PSAとPCA3の発現をノーザンブロット解析でも比較した。その結果は、PCA3の高い腫瘍特異性を明確に示している。正常組織或いはBPH組織と比較して、前立腺癌では少なくとも20倍のPCA3の過剰発現が観察される。この結果は、良性組織と比較して、悪性組織で減少しているPSM並びにPSAの発現とは顕著に異なっている。よって、PCA3は前立腺癌を診断するのための優れたマーカーとなることは明らかである。
前立腺癌の理想的な腫瘍マーカーは、良性組織と悪性組織とを明確に区別できるだけでなく、この疾患に苦しむ患者の臨床的成果(即ち、治療効果や腫瘍の進行度)についても予測できなければならない。データは、実際にPCA3の発現レベルが腫瘍の悪性度(tumor grade)と明確に相関する傾向にあることを示している。
RISH(即ち、免疫組織化学)を用いて、PCA3の過剰発現、腫瘍の悪性度、進行度(stage)及び臨床的成果のあいだに相関関係があるかどうかを確認することができる。パラフィン包埋標本及び氷結標本を用いれば、長期の臨床的継続管理が可能となる。コンピュータ画像解析を用いて、RISHで検出したようなPCA3の発現レベルの定量化を行い、これを外部基準に対して標準化する(Tamimi et al., Cancer Res. 53: 5512-5516, 1993; Tamimi et al., B. J. Cancer, 1996)。腫瘍の悪性度、病理学的な腫瘍の進行度、臨床学的な腫瘍の進行度、PSAレベル並びにPCA3の発現を変量とした多変量の回帰分析(Gleasonを含む)を用いると、PCA3が進行を正確に予知するかどうか並びに(付加的な)予後価値を有するかどうかが確認される。
現在有効な進行度分類様式では検出されない極微量の造血性微小癌組織の転移細胞を検出するために、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)アッセイが開発されている。このRT−PCRアッセイは、前立腺癌や他の悪性腫瘍を患う患者に対して既に行われている。高感度の(nested)RT−PCRアッセイ[或いは、NASBA、PCR、QB rep.、SOA、TMA並びにLCR(Winn-Deen, J. Clin., Liquid Assay 19: 21-26, 1996)に限定されない他の種類の増幅アッセイ]を用いて、前立腺の循環血中に存在する前立腺癌細胞を検出することができる。即ち、転移を有する危険性又は転移が進行する危険性にあるとみなされる癌患者を検出することができる。実験には適正な対照(例えばβ2−ミクログロブリン)が含まれ、半定量的な方法で行われる(即ち、cDNA合成量を定量化し、PCR解析に等量のcDNAを投入する)。
分子レベルでの進行度分類研究が大容量のBIOMED IIプログラム(「前立腺癌のマーカー」という研究)で行われる。この広範囲な協力的研究においては、PSAとPSMが、前立腺癌に対する他の潜在的に興味深いマーカーと共に研究される。関連する研究施設においては、前立腺疾患と診断されている患者から既に血液サンプルが回収されている。循環している腫瘍細胞の検出に用いるための患者の血液サンプルについても、その回収及び処理法の適正化が始まっている。例えば、血液を回収し、末梢血白血球を精製するためにvacutainerTM CPT-tubes(BecktonDickinson社製)をTrizolTM RNA−抽出法(チオシアン酸グアニジン法に基づく)と共に用いると、PCR解析に適当な高純度且つ高濃度のRNAを調製することができる。PCA3特異的プライマーを用いて前立腺癌患者の血液から抽出したRNA中のPCA3転写物を増幅したところ、転移が立証されている患者だけでなく、限局的な疾患であると想定される患者の循環血液中にさえ、前立腺癌細胞の存在を検出できることが示された。個別の前立腺癌患者に対するPCA3の予後価値を決定するために、より多数の患者人口を対象とした研究、及び臨床データと継続管理との相関性に対する研究が広範囲に行われる。
Nested RT−PCR解析(或いは同様の増幅法)は、PCA3を発現する臓器が他に(未だに調べられていない臓器の中に)あるかどうかを決定する手段を提供すると考えられる。例えば、クーパー腺(前立腺と同様の胚由来)及びスキーン腺(女性における前立腺「相同物」)についても、PCA3を調べることができる。
10%の腫瘍細胞を含む「正常な」前立腺組織標本の1つにおいてPCA3の発現が検出され、腫瘍マーカーとしてのPCA3の高い感受性を示した。この方法で、2、3例のBPHサンプルにおいてもPCA3の発現も検出し、その結果、これらのサンプルが小さな腫瘍細胞領域を含むことを見出した。前立腺癌におけるPCA3の発現レベルは腫瘍の悪性度と明確に相関する傾向を示している。これらのデータは、ノーザンブロットハイブリダイゼーションの結果であるオートラジオグラフィーの解析に基づいている。
PCA3の発現が分化能の欠失と共に上昇しているという観察結果は、PSAに対して報告されているものとは異なっている。何故なら、PSAの発現レベルは、分化能の欠失と共に減少している(Hakalahti et al., Int. J. Cancer 55: 590-597, 1993)からである。正常組織又はBPH組織と比較して、前立腺癌においては少なくとも20倍のPCA3の過剰発現が認められる。これは、良性組織に対して悪性組織では減少すると報告されているPSAの発現とは顕著に異なっている。PCA3の発現は転移研究4例中4例において検出された。
PCA3の転写開始部位の同定
PCA3の転写開始部位を決定するために、プライマー・エクステンション法、ヌクレアーゼS1マッピング、5’RACE(急速cDNA末端増幅法)を行った。その結果、主要な転写開始部位が4塩基の範囲内に局在することが見出された(図4参照)。
これらの実験結果は、pMB9のcDNA配列(配列番号1及び図2参照)に関して、cDNAのサイズを5’方向に更に22塩基延ばした。この付加的な5’ポリヌクレオチド配列は配列番号6及び図5にも示している。
参考文献として上記した刊行物の内容は、全て本明細書に組み込まれたものとする。
本発明を明確にし、その理解を容易にする目的で本発明を詳細に記載したが、本明細書を読む当業者においては、本発明の実際の範囲及び添付の請求の範囲から逸脱することなく、本発明の形態及びその細部に変更を加えることが可能である点をご理解頂きたい。
本発明の好ましい態様について説明したが、本明細書に添付のクレームによって定義された本発明の本質及びその性質から逸脱することなく本発明の説明を改変することは可能である。
図1に、PCA3遺伝子のゲノム構造を示す。 図2Aは、PCA3cDNAの構造を示し、図2Bは、PCA3cDNAの塩基配列とそのアミノ酸配列(それぞれ配列番号1と2に示した)である。 図3AとBは、cDNAクローンであるpMB9及びλDD3.6を比較した模式図である。 図4に、PCA3の転写開始部位(TSS)を示す。転写開始部位は、プライマー伸張反応(PE)、ヌクレアーゼS1マッピング(S1)及び5’RACE(Rapid Amplification of cDNA Ends)法で決定した。 図5Aは、PCA3cDNAの構造を示し、図5Bは、PCA3cDNAの塩基配列とそのアミノ酸配列(それぞれ配列番号6と7に示した)であり、推定されるポリアデニル化シグナルを下線で示した。

Claims (26)

  1. 次の(a)〜(c)からなる群より選ばれる単離された核酸分子。
    (a)正常ヒト組織と比べて、前立腺癌組織において過剰発現していることを特徴とする、配列番号1、3、4又は6からなる塩基配列;
    (b)上記(a)の塩基配列に完全に相補的な塩基配列;及び
    (c)上記(a)又は(b)の塩基配列の中の少なくとも10個の連続した塩基にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする少なくとも15塩基からなる塩基配列であって、PCA3核酸を特異的に増幅するか又は検出することのできる塩基配列。
  2. 正常ヒト組織と比べて、前立腺癌組織において過剰発現している単離された核酸分子であって、次の(a)と(b)からなる群より選ばれる単離された核酸分子。
    (a)配列番号1、3、4又は6の塩基配列;及び
    (b)配列番号1、3、4又は6の塩基配列に完全に相補的な塩基配列の中の少なくとも10個の連続した塩基にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする少なくとも15塩基からなる塩基配列であって、PCA3核酸を特異的に増幅するか又は検出することのできる塩基配列。
  3. 請求項1で定義した核酸分子の部分配列からなり、該部分配列が次の(a)と(b)からなる群より選ばれることを特徴とする単離された核酸分子。
    (a)以下のPCA3遺伝子のエクソン又はそれらの組み合わせから選ばれる連続した15〜50塩基からなる塩基配列:エクソン1(配列番号1の1番〜98番の配列又は配列番号6の1番〜120番の配列)、エクソン2(配列番号1の99番〜263番の配列又は配列番号6の121番〜285番の配列)、エクソン3(配列番号1の264番〜446番の配列又は配列番号6の286番〜468番の配列)、エクソン4a(配列番号1の447番〜985番の配列又は配列番号6の469番〜1007番の配列)、エクソン4b(配列番号1の986番〜2037番の配列又は配列番号6の1008番〜2066番の配列)、エクソン4c(配列番号6の2067番〜2622番の配列)とエクソン4d(配列番号6の2623番〜3582番の配列);及び
    (b)上記(a)の塩基配列に相補的な塩基配列。
  4. 該ストリンジェントな条件が、5×SSC、5×デンハルト溶液、1% SDS及び100μg/mlの変性サケ精巣DNAを含む溶液中で68℃のハイブリダイゼーション条件であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の単離された核酸分子。
  5. 該正常ヒト組織が、動脈、脳、前胸部、十二指腸、心臓、肝臓、卵巣、胎盤、精嚢、骨格筋、皮膚、脊髄、脾臓、精巣及び前立腺からなる群より選ばれるものであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の単離された核酸分子。
  6. サンプル材料中のPCA3核酸を検出する方法にして、
    a)ハイブリダイゼーションの起こりうる条件下において該サンプル材料と請求項1〜5のいずれかの核酸分子とを接触せしめ、
    b)PCA3核酸に結合した該核酸分子の存在を検出する、
    ことを包含する方法。
  7. 正常ヒト組織と比べて、前立腺癌組織において過剰発現しているPCA3核酸を検出するためのキットであって、請求項1〜5のいずれかの核酸分子の入った少なくとも1つの容器手段を包含することを特徴とするキット。
  8. 次の(a)と(b)からなる群より選ばれる単離された核酸分子。
    (a)正常ヒト組織と比べて、前立腺癌組織において過剰発現していることを特徴とする、配列番号6の401番〜553番塩基からなる塩基配列;及び
    (b)上記(a)の塩基配列に完全に相補的な塩基配列。
  9. 配列番号1の塩基配列からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の単離された核酸分子。
  10. 配列番号3の塩基配列からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の単離された核酸分子。
  11. 配列番号4の塩基配列からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の単離された核酸分子。
  12. 配列番号6の塩基配列からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の単離された核酸分子。
  13. 該単離された核酸分子が、ALVA−31、JCA−1、PPC−1、DU145、PC3及びTSU−Pr1からなる群より選ばれるヒト前立腺癌由来の細胞株と比較して、前立腺癌組織において過剰発現していることを特徴とする、請求項1〜5と8〜12のいずれかに記載の単離された核酸分子。
  14. ベクターと、請求項1〜5と8〜13のいずれかの核酸分子とを包含することを特徴とする組換え核酸分子。
  15. 請求項14の組換え核酸分子を含む単離された細胞。
  16. 生物試料における前立腺癌細胞の存在又は癌化する素因を有する前立腺細胞の存在を検出するための方法であって、
    請求項1〜5と8〜13のいずれかの単離された核酸分子を用いて生物試料中のPCA3核酸の量を測定し、正常前立腺組織と比べて、該生物試料において該PCA3核酸が過剰発現していることをもって、該生物試料中に前立腺癌細胞又は癌化する素因を有する前立腺細胞が存在すると判定する
    ことを包含する検出方法。
  17. 該PCA3核酸がPCA3 mRNAであることを特徴とする、請求項16に記載の検出方法。
  18. 5’から3’への方向に、宿主細胞において転写を開始させるのに有効なプロモーター、及び請求項1〜5と8〜13のいずれかの核酸分子を包含することを特徴とする組換え核酸分子。
  19. 請求項17の組換え核酸分子を含むヒト以外の生物。
  20. 該塩基配列(b)が、塩基配列(a)に完全に相補的であることを特徴する、請求項3に記載の単離された核酸分子。
  21. 少なくとも15塩基からなる塩基配列が、15〜50塩基からなる塩基配列であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の単離された核酸分子。
  22. 患者から得たサンプル材料中のPCA3核酸を定量することによって、該患者の有する前立腺癌又は前立腺癌の素因を診断するための診断用キットであって、請求項3又は4の核酸分子の入った少なくとも1つの容器手段を包含することを特徴とするキット。
  23. 該PCA3核酸がPCA3 mRNAであることを特徴とする、請求項22に記載のキット。
  24. 該サンプル材料が、器官、組織、細胞、細胞抽出物及び体液からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項6、16又は17に記載の方法、あるいは請求項7、22又は23に記載のキット。
  25. 該体液が、血液、血清、血漿及び尿からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項24に記載の方法又はキット。
  26. 該体液が尿であることを特徴とする、請求項25に記載の方法又はキット。
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