JP2002538789A - 新規なヒトカリクレイン−様遺伝子 - Google Patents

新規なヒトカリクレイン−様遺伝子

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、核酸分子、そのような核酸分子によりコードされるカリクレイン−様タンパク質、およびタンパク質および核酸分子の使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 【発明の属する技術分野】
(技術分野) 発明の分野 本発明は、核酸分子、そのような核酸分子によりコードされるタンパク質;な
らびにタンパク質および核酸分子の使用に関する。 発明の背景 カリクレインおよびカリクレイン−様タンパク質は、セリンプロテアーゼ酵素
族のサブグループであり、そして高度な基質特異性を表す(1)。これらのカリ
クレインの生物学的役割は、特異的ポリペプチド前駆体(基質)を選択的開裂し
て強力な生物活性を有するペプチドを放出することである(2)。マウスおよび
ラットでは、カリクレインは大きな多重遺伝子族によりコードされている。マウ
スのゲノムでは、少なくとも24の遺伝子が同定された(3)。これらの遺伝子
の11の発現が確認された;残りは偽遺伝子であると思われる(4)。同じ族の
15〜20のカリクレインがラットのゲノムで見いだされ(5)、ここで少なく
ともこれらのうちの4つが発現することが知られている(6)。 3つのヒトのカリクレイン遺伝子、すなわち前立腺特異的抗原(PSAまたは
KLK3)(7)、ヒトの腺のカリクレイン(KLK2)(8)および組織(膵
臓−腎臓)カリクレイン(KLK1)(9)が記載された。PSA遺伝子は公開
された5.8kbの配列に広がり(7);KLK2遺伝子は5.2kbのサイズ
を有し、そしてその完全な構造も解明された(8)。KLK1遺伝子は約4.5
kb長であり、そしてこの遺伝子のエキソン配列およびエキソン/イントロン結
合が決定された(9)。 マウスのカリクレイン遺伝子は染色体7に最高11遺伝子の群でクラスターを
形成し、そして種々のクラスター中の遺伝子間の距離は、わずか3〜7Kbであ
り得る(3)。すべての3つのヒトのカリクレイン遺伝子は、染色体19q13
.2〜19q13.4に割り当てられ、そしてPSAとKLK2との間の距離は
12Kbであると予想された(9)。 マウスとヒトのカリクレインの間の主な差異は、ヒトのカリクレインの2つ(
KLK2およびKLK3)は前立腺でほとんど排他的に発現されるのに対し、動
物ではいずれのカリクレインもこの器官に局在しない。ヒトのカリクレイン遺伝
子族の他の新たな員の候補には、プロテアーゼM(10)(ザイム(Zyme)
(11)またはニューロシン(neurosin)(12)および正常上皮細胞
−特異的遺伝子−1(NES1)とも言われている)(13)を含む。両遺伝子
は染色体19q13.3(10、14)に割り当てられ、そして他のセリンプロ
テアーゼおよびカリクレイン遺伝子族との構造的相同性を表す(10〜14)。 発明の要約 PSA、KLK2、ザイムおよびNES1遺伝子の相対的なゲノムの位置を正
しく定める試みでは、ヒトの染色体19(19q13.3〜q13.4お)上の
およそ300Kbの連続する配列に広がる領域を調査した。本発明者は既知のカ
リクレイン遺伝子の相対的位置を同定することができ、そしてさらに彼らはヒト
のカリクレイン族の既知の員との位置的な近さ、および構造的類似性の両方を現
す他のカリクレイン−様遺伝子を同定した。新規遺伝子は、現在知られているカ
リクレイン族の員と相同性を現し、そして同じゲノム領域に同時に局在している
(co−localized)。これらの新規遺伝子はすでに知られているカリ
クレインと同様に、胸部、精巣および前立腺を含む種々のガンに用途を有する。 本明細書に記載するカリクレイン−様タンパク質は、個々に「KLK−L1、
KLK−L2、KLK−L3、KLK−L4、KLK−L5またはKLK−L6
」と呼び、そして集合的に「カリクレイン−様タンパク質」または「KLK−L
タンパク質」と呼ぶ。タンパク質をコードする遺伝子は、「klk−l1、kl
k−l2、klk−l3、klk−l4、klk−l5またはklk−l6」呼
び、そして集合的に「カリクレイン−様遺伝子」または「klk−l遺伝子」と
呼ぶ。 広く述べると本発明は、 (i)配列番号2、3、14、22、23、44、45、57、58、59、6
0、66または67にそれぞれ示すKLK−L1、KLK−L2、KLK−L3
、KLK−L4、KLK−L5またはKLK−L6のアミノ酸配列と実質的な配
列同一性を有するタンパク質をコードする核酸配列; (ii)配列番号2、3、14、22、23、44、45、57、58、59、
60、66または67にそれぞれ示すKLK−L1、KLK−L2、KLK−L
3、KLK−L4、KLK−L5またはKLK−L6のアミノ酸配列を含んで成
るタンパク質をコードする核酸配列; (iii)(i)に相補的な核酸配列; (iv)(i)の核酸配列の縮重形; (v)(i)、(ii)または(iii)の核酸配列に緊縮条件下でハイブリダ
イズすることができる核酸配列; (vi)配列番号2、3、14、22、23、44、45、57、58、59、
60、66または67にそれぞれ示すKLK−L1、KLK−L2、KLK−L
3、KLK−L4、KLK−L5またはKLK−Lのアミノ酸配列を含んで成る
タンパク質の切頭形、同族体、対立遺伝的または種の変異をコードする核酸配列
; (vii)(i)、(ii)または(iii)のフラグメント、または対立遺伝
的もしくは種の変異、 を含んで成る単離された核酸分子に関する。 好ましくは本発明の精製され、そして単離された核酸分子は; (i)TがUであることもできる配列番号1、13、21、43、56または6
5の配列を含んで成る核酸配列; (ii)(i)に相補的、好ましくは配列番号1、13、21、43、56また
は65の完全な核酸配列に相補的な核酸配列; (iii)(i)または(ii)の核酸、そして好ましくは少なくとも18ヌク
レオチドを有する核酸に、緊縮条件下でハイブリダイズすることができる核酸;
あるいは (iv)遺伝暗号の縮重により、コドン配列において(i)〜(iii)の核酸
とは異なる核酸分子、 を含んで成る。 本発明は、KLK−Lタンパク質の切頭形、KLK−Lタンパク質の同族体ま
たは相同体あるいはそれらの切頭形(KLK−Lタンパク質およびKLK−Lタ
ンパク質の切頭形、同族体および相同体も本明細書では集合的に「KLK−L関
連タンパク質」と呼ぶ)をコードする配列を含んで成る核酸分子も意図する。 本発明の核酸分子は、適当な発現ベクター、すなわち挿入するコード配列の転
写および翻訳に必要な要素を含むベクターに挿入することができる。したがって
、宿主細胞の形質転換に適合する組換え発現ベクターを構築することができ、こ
れは本発明の核酸分子および核酸分子に連結した1以上の転写および翻訳要素を
含んで成る。 組換え発現ベクターは、KLK−L関連タンパク質を発現する形質転換した宿
主細胞を調製するために使用することができる。したがって本発明はさらに、本
発明の組換え分子を含む宿主細胞を提供する。また本発明は生殖細胞および体細
胞が、特にKLK−Lタンパク質またはKLK−Lタンパク質の切頭形をコード
する本発明の核酸分子を含んで成る組換え分子を含むトランスジェニック非ヒト
哺乳動物も意図する。 さらに本発明は、本発明の精製され、そして単離された核酸分子を使用してK
LK−L関連タンパク質を調製するための方法を提供する。1態様では、KLK
−L関連タンパク質を調製する方法が提供され、この方法は(a)本発明の組換
え発現ベクターを宿主細胞に移し;(b)形質転換していない宿主細胞から形質
転換した宿主細胞を選択し;(c)選択した形質転換した宿主細胞を、KLK−
L関連タンパク質の発現を可能とする条件下で培養し;そして(d)KLK−L
関連タンパク質を単離することを含んで成る。 本発明はさらに広く、配列番号2、3、14、22、23、44、45、57
、58、59、60、66または67に示すアミノ酸配列を含んで成る単離され
たKLK−Lタンパク質を意図する。 本発明のKLK−L関連タンパク質は、融合タンパク質を調製するためにタン
パク質のような他の分子と連結することができる。これは例えばN−末端または
C−末端融合タンパク質の合成により達成することができる。 さらに本発明は、本発明のKLK−L関連タンパク質のエピトープに対する特
異性を有する抗体を意図する。抗体は検出可能な物質で標識し、そして組織およ
び細胞中で本発明のタンパク質を検出するために使用することができる。 また本発明は、本発明の核酸分子および/または本発明のタンパク質に対して
独自なヌクレオチドプローブの構築を可能とする。したがって本発明はまた、本
発明の核酸配列、または本発明のタンパク質またはそれらの部分をコードする核
酸配列を含んで成るプローブに関する。このプローブは、例えば検出可能な物質
により標識することができ、そして本発明のタンパク質の1以上の特性を現すタ
ンパク質をコードする核酸分子を含む本発明の核酸分子を、ヌクレオチド配列の
混合物から選択するために使用することができる。 さらに本発明は本発明のタンパク質に結合する物質を同定する方法を提供し、
この方法は、物質とタンパク質との間の複合体の形成を可能とする条件下でタン
パク質と潜在的に結合することができる少なくとも1つの物質をタンパク質と反
応させ、そして結合を検出することを含んで成る。結合は複合体を、遊離物質を
、または非複合化タンパク質をアッセイすることにより検出することができる。
本発明はまた、KLK−L関連タンパク質と相互作用する他の細胞内タンパク質
に結合する物質を同定する方法も意図する。方法はKLK−L遺伝子調節配列(
例えばプロモーター配列)に結合する化合物を同定するために使用することがで
きる。 さらに本発明は、化合物が本発明のKLK−L関連タンパク質の生物学的活性
をモジュレートする能力を評価する方法を提供する。例えばタンパク質とタンパ
ク質に結合する物質との相互作用を阻害または強化する物質を評価することがで
きる。1態様では、この方法は既知の濃度のKLK−L関連タンパク質を、タン
パク質に結合する物質および試験化合物に、物質とタンパク質との間の複合体の
形成を可能とする条件下で提供し、そして複合体を取り出し、かつ/または検出
することを含んで成る。 本発明のタンパク質の生物学的活性をモジュレートする化合物は、化合物の存
在下および不存在下で、組織および細胞中の本発明のタンパク質の発現パターン
およびレベルを比較することにより、本発明の方法を使用して同定することもで
きる。 本発明のタンパク質、本発明の方法を使用して同定される物質および化合物、
および本発明のペプチドは、本発明のKLK−L関連タンパク質の生物学的活性
をモジュレートするために使用することができ、そしてそれらはガン(例えば胸
部、精巣および前立腺ガン)のような状態の処置に使用することができる。した
がって、物質および化合物はガンに罹患している個体に投与するための組成物に
製剤することができる。 したがって本発明は、1以上の本発明のタンパク質、本発明のペプチドまたは
本発明の方法を使用して同定された物質または化合物、および医薬的に許容され
得るキャリアー、賦形剤または希釈剤を含んで成る組成物にも関する。ガンを処
置または予防する方法も提供され、この方法は必要な患者に本発明のKLK−L
関連タンパク質または本発明の組成物を投与することを含んで成る。 本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な記載から明らかになるだ
ろう。しかしこの詳細な記載から当業者には様々な変化および修飾が本発明の精
神および範囲内で明らかとなるので、本発明の好適な態様を示す詳細な記載およ
び具体的な実施例は説明を目的とするだけであると理解されるべきである。 (本発明の詳細な説明) 本発明に従えば当業界の専門家の知識の範囲内で通常の分子生物学、微生物学
および組み替えDNA技術が使用される。このような技術は例えば次のような文
献に詳細に説明されている:Sambrook,Pritsch,& Mani
atis,Molecular Clorning:A Laboratory
Manual,Second Edition(1989)Cold Spr
ing Harber Laboratory Press,Cold Spr
ing Harbor,N.Y.;DNA Clorning:A Pract
ical Approach,第I巻および第II巻、(D.N.Glover
編、1985);Oligonucleotode Synthesis(M.
J.Gait編、1984);Nucleic Acid Hybridiza
tion、 B.D.Hames & S.J.Higgins編(1985)
;Transcription and Translation,B.D.H
ames & S.J.Higgins編(1984);Animal Cel
l Culture,R.I.Fresney編、(1986);Immobi
laized Cells and enzymes,IRL Press(1
986);およびB.Perbal、A Pravtical Guide t
o Molecular Cloning(1984).1.本発明の核酸分子 上記のように、本発明によれば、KLK−Lタンパク質をコードする連鎖をも
つ単離された核酸分子が提供される。「単離された」という言葉は、組み替えD
NA技術で製造される場合には細胞材料または培地の媒質を、また化学合成によ
って製造する場合には化学反応原料または他の化学物質を実質的に含まない核酸
を意味する。また「単離された」核酸はその核酸が誘導された核酸を自然に迂回
する(flank)連鎖(即ち該核酸分子の5’および3’末端にある連鎖)を
含んでいない。「核酸」という言葉はDNAおよびRNAを含むものとし、二重
基準または単一基準のいずれであることもできる。一具体化例においては、核酸
分子は、配列番号2,3,14,22,23,44,45,57,58,59,
60,66または67に示されるアミノ酸連鎖を含むKLK−Lタンパク質をコ
ードしており、好ましくは配列番号1,13,21、43、56、または65に
示される核酸配列を含む核酸分子である。 本発明は配列番号2,3,14,22,23,44,45,57,58,59
,60,66または67に示されるアミノ酸配列を含むKLK−Lタンパク質を
コードする核酸に相補的な核酸配列、好ましくは配列番号1,13,21、43
、56、または65にに示される完全な核酸配列に相補的な核酸配列を含んでい
る。 本発明は、本発明の核酸配列に対し実質的な配列の同一性または相同性を有す
る核酸分子、或いは配列番号2,3,14,22,23,44,45,57,5
8,59,60,66または67に示されるアミノ酸配列に対し実質的な同一性
または類似性を有するタンパク質をコードする核酸分子を含んでいる。好ましく
はこれらの核酸分子は実質的な配列の同一性、例えば少なくとも30%、35%
、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%
または85%の核酸の同一性をもち、さらに好ましくは90%の核酸の同一性を
有し、尤も好ましくは少なくとも85%、96%、97%、98%または99%
の配列の同一性をもっている。当業界に公知であり本明細書で使用される「同一
性」という言葉は、二つまたはそれ以上のアミノ酸配列の間の関係、或いは二つ
またはそれ以上の核酸配列の間の関係を意味し、該配列を比較することによって
決定される。またこの言葉は、その場合に応じアミノ酸または核酸の間において
このような配列の連鎖を合致させることによって決定される配列の関係の程度を
意味する。同一性および類似性という言葉は当業界の専門家には良く知られた言
葉であり、通常の方法によって計算することができる(例えばComutati
onal Molecular Biology,Lesk,A.M.編、Ox
ford University Press,New York,1988;
Biocomputing:Informatics and Genome
Projects,Smith,D.W.編、Academic Press,
New York,1993;Computer Analysis of S
equence Data,Part I,Griffin,A.M.and
Griffin,H.G.編、Humana Press,New Jerse
y,1994;Sequence Analysis in Bolecula
r Biology,von Heinje,G.,Academic Pre
ss,1987;およびSequence Analysis Promer,
Gribskov,M.and Devereux,J.編、M.Stockt
on Press,New York,1991;CarilloH.and
Lipman,D.,SIAM J.Applied Math.,48巻、1
073頁(1988))。配列の間で最も大きな合致が得られるように工夫され
た方法が一般に好適である。同一性および類似性を決定する方法は次のような公
開されたコンピュータプログラムに中に体系化されている:GCGプログラムパ
ッケージ(Devereux,J.等、Nucleic Acid Resea
rch 12(1):387,1984;BLASTP,BLASTNおよびF
ASTA(Atschul,S.F.等、J.Molec.Biol.,215
,403〜410,1990)。BLAST XプログラムはNCBIまたは他
の所から公開されている(BLAST Manual、Atschul,S.等
、NCBI NLH NIH Bethesda,Md.20894;Atsc
hul,S.等、J.Mol.Biol.215:403〜410,1990)
。 KLK−Lタンパク質をコードする単離された核酸で遺伝子コードの縮重のた
めに本発明の核酸配列とは異なった配列をもつものも本発明の範囲内に入る。こ
のような核酸は機能的に同等なタンパク質(例えばKLK Lタンパク質)をコ
ードするが、遺伝子コードの縮重のためにKLK−Lタンパク質とは配列が異な
っている。一例としてKLK−Lタンパク質のヌクレオチド配列内部のDNA配
列の多形性のためにアミノ酸の配列には影響を与えないサイレント突然変異が生
じる。自然に起こる対立遺伝子の変異のために或る集団内部の個体の間で一つま
たはそれ以上のヌクレオチドの変動は起こり得る。このような任意のまたはすべ
ての核酸の変動は本発明の範囲内に入るものとする。DNA配列の多形はKLK
−Lタンパク質のアミノ酸配列を変化させることもできる。このようなアミノ酸
の多形もまた本発明の範囲内に入るものとする。 本発明の他の態様によれば、緊縮な条件下において、好ましくは配列番号2,
3,14,22,23,44,45,57,58,59,60,66または67
に示されるアミノ酸配列をもったKLK−Lタンパク質をコードする配列から成
る核酸分子に対し極めて緊縮な条件下においてハイブリダイズする核酸分子が提
供される。DNAのハイブリダイゼーションを促進する適切な緊縮条件は当業界
の専門家には公知であるか、またはCurent Protocols in
Molecular Biology,Hphn Wiley & Sons,
N.Y.(1989),6.3.1〜6.3.6の中に見出だすことができる。
例えば6.0xの塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)で約45℃に
おいて処理し、次いで50℃で2.0xのSSCで洗滌する。緊縮度は洗滌条件
に使用した条件に基づいて選ばれる。例えば洗滌段階における塩の濃度を50℃
における約2.0xSSCという高い緊縮度から選ぶことができる。また高い緊
縮条件では洗滌段階における温度を約65℃にすることができる。 本明細書に記載されているように本発明は、KLK−Lタンパク質の切断を含
むKLK−L関連タンパク質およびKLK−Lタンパク質の同族列をコードする
核酸分子を含むものとする。また本発明のcDNAに対応したmRNAの別のス
プライシングによって生じる本発明の核酸分子の変種も本発明の範囲内に入るこ
とを了解されたい(例えば配列番号58、59および60のKLK−L5のスプ
ライシング変種)。 DNAを含む本発明の単離された核酸分子は本発明の核酸配列のすべてまたは
一部に基づいて標識された核酸プローブをつくることによって単離することがで
きる。標識された核酸分子のプローブは適当なDNAライブラリー(例えばcD
NAまたは遺伝子DNAライブラリー)のスクリーニングを行なうのに使用され
る。例えばcDNAライブラリーを用い、標準的な方法で標識されたプローブを
使用してライブラリのスクリーニングを行なうことによりKLK−L関連タンパ
ク質をコードするcDNAを単離することができる。別法として遺伝子DNAラ
イブラリーを同様にスクリーニングし、KLK−L関連タンパク質をコードする
遺伝子を含むゲノムクローンを単離することができる。cDNAまたはゲノムD
NAライブラリーをスクリーニングして単離された核酸は標準的な方法で配列さ
せることができる。 DNAである本発明の単離された核酸分子は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR
)法およびcDNAまたはゲノムDNAを使用し、KLK−L関連タンパク質を
コードする核酸を選択的に増幅することによって単離することもできる。PCR
に使用するために本発明のヌクレオチドの配列から合成オリゴヌクレオチド・プ
ライマーを設計することができる。核酸はこれらのオリゴヌクレオチド・プライ
マーおよび標準的なPCR増幅法を使用してcDNAまたはゲノムDNAから増
幅することができる。このようにして増幅されたDNAは適切なベクターの中に
クローン化し、DNA配列の解析によって特徴付けることができる。cDNAは
、例えばChirgwin等のBiochemistry,18,5294〜5
299(1979)のチオシアン酸グアニジウム抽出法のような種々の方法によ
り全細胞mRNAを単離することによりmRNAからつくることができる。次い
で逆転写酵素を用いmRNAからcDNAを合成する(例えばGibco/BR
L,Bethesda,MDから入手できるMoloney MLV逆転写酵素
、またはSeikagaku America,Inc.,Sy.Peters
burg,FLから入手できるAMV逆転写酵素)。 RNAである本発明の単離された核酸分子は、KLK−L関連タンパク質をコ
ードするcDNAを適当なベクターの中にクローン化し、これによってcDNA
を転写してKLK−L関連タンパク質をコードするRNA分子をつくることによ
って単離することができる。例えばバクテリオファージ・プロモーター(例えば
T7プロモーター)の下流でcDNAを或るベクターの中にクローン化すること
ができる。試験管内でT7ポリメラーゼを用いてcDNAを転写し、得られたR
NAを通常の方法で単離することができる。 本発明の核酸分子は標準的な方法で化学的に合成することができる。ポリオキ
シヌクレオチドを化学的に合成する方法は公知であり、それだけには限定されな
いが固相合成法を含んでいる。この方法はペプチド合成法と同様に市販のDNA
合成器中で完全に自動化されている(例えばItakura等、米国特許4,5
98,049号;Caruthers等、同4,458,066号;およびIt
akura、同4,401,796号および同4,373,071号参照)。 或る特定の核酸分子がKLK−L関連タンパク質をコードしているかどうかを
決定するには、標準的な方法で適切な宿主細胞の中でcDNAを発現させ、本明
細書に記載した方法で発現したタンパク質を試験することによって行なうことが
できる。KLK−L関連タンパク質をコードするcDNAは標準的な方法、例え
ばジデオキシヌクレオチド連鎖終結法またはMaxam−Gilbert化学的
配列決定法により核酸の配列、およびコードされているタンパク質の予想アミノ
酸配列を決定することができる。 KLK−L関連タンパク質の開始コドンおよび翻訳されない配列はこの目的で
設計されたコンピュータ・ソフトウエア、例えばPC/Gene(Inteki
Genetics Inc.,Calif.)を用いて決定することができる。
KLK−L関連タンパク質をコードする遺伝子のイントロン−エクソン(int
ron−exon)構造および転写調節配列は、KLK−L関連タンパク質をコ
ードする本発明の核酸分子を用いて確認し、ゲノムDNAクローン・ライブラリ
ーを検証することができる。調節要素(regulatroy element
)は標準的な方法で同定することができる。これらの要素の機能は、これらの要
素を用いこれらの要素に動作的にに結合しているlacZ遺伝子のようなリポー
ター遺伝子を発現させることによって確かめることができる。これらの構造は通
常の方法を用いて培養した細胞の中に導入するか、非ヒト・トランスゼニック動
物モデルに導入することができる。DNA中の調節要素を同定する他に、このよ
うな構造物は当業界に公知の方法を用い該要素と相互作用する核酸を同定するの
に使用することができる。 本発明の特定の具体化例においては、本明細書に記載された方法を用いて単離
された核酸分子は突然変異したklk−l対立遺伝子である。突然変異株の対立
遺伝子は、例えばガン(例えば乳腺、睾丸、脳、結腸および前立腺のガン)の兆
候に寄与する遺伝子型をもつことが知られているか或いはもつと提案されている
個体から単離ことができる。突然変異体の対立遺伝子または突然変異体の対立遺
伝子の生産物は本明細書記載の治療法および診断法に使用することができる。例
えば突然変異体のklk−l遺伝子のcDNAは本明細書記載のようにしてPC
R法を用いて単離し、突然変異体の対立遺伝子のDNA配列を正常の対立遺伝子
と比較して突然変異体の遺伝子生成物の機能の喪失または変化の原因となる突然
変異を確かめることができる。突然変異体の対立遺伝子をもっていることが分か
っているか或いは疑われる個体からのDNAを用いてゲノム・ライブラリーをつ
くることができ、或いは突然変異体の対立遺伝子を発現することが知られている
か或いは疑われる組織からのRNAを用いてcDNAライブラリーをつくること
ができる。次に正常のklk−l遺伝子またはその適当な断片をコードする核酸
を標識し、これをプローブととして用いてこのようなライブラリーにおける対応
する突然変異体の対立遺伝子を同定することができる。突然変異体の配列を含む
クローンは精製して配列の解析を行なうことができる。また、突然変異体のkl
k−l対立遺伝子を発現することが知られている或いは疑われている組織から単
離されたRNAからのcDNAを用いて発現ライブラリーをつくることができる
。推定的な突然変異体によってつくられた遺伝子の生産物は例えば上記のように
してKLK−L関連タンパク質に対して特定的な抗体を用いて発現させスクリー
ニングを行なうことができる。この抗体を用いて同定されたライブラリーのクロ
ーンは精製して配列解析を行なうことができる。 本発明の核酸分子、またはこの分子の断片の配列は転写に対する正常な提示に
対して逆転させ、逆向きの核酸分子をつくることができる。逆向きの核酸分子は
当業界に公知の方法を用い化学的な合成法および酵素の連結反応を使用してつく
ることができる。 2.本発明のタンパク質 KLK−Lタンパク質のアミノ酸配列は、表1〜5または配列番号2、3、1
4、22、23、44、45、57、58、59、60、66もしくは67に示
すような配列を含んでなる。 表1〜5または配列番号2、3、14、22、23、44、45、57、58
、59、60、66もしくは67に示すようなアミノ酸配列を含んでなるタンパ
ク質に加えて、本発明のタンパク質は、KLK−Lタンパク質の切頭体、KLK
−Lタンパク質の類似体、及びKLK−Lタンパク質に配列同一性または類似性
を有するタンパク質、並びに本明細書に記述するようなその切頭体を包含する(
すなわち、KLK−L関連タンパク質に包含される)。切頭体タンパク質は、ト
リペプチド〜70merポリペプチドの大きさの範囲である、3〜70アミノ酸
残基の間のペプチドを含んでなることができる。 切頭体タンパク質は、アミノ基(−NH)、疎水性基(例えば、カルボベン
ゾキシ、ダンシルもしくはT−ブチルオキシカルボニル)、アセチル基、9−フ
ルオレニルメトキシ−カルボニル(PMOC)基、または脂質−脂肪酸コンジュ
ゲート、ポリエチレングリコールもしくは炭水化物を包含するがこれらに限定さ
れるものではない高分子をアミノ末端の端に有することができる。切頭体タンパ
ク質は、カルボキシル基、アミド基、T−ブチルオキシカルボニル基、または脂
質−脂肪酸コンジュゲート、ポリエチレングリコールもしくは炭水化物を包含す
るがこれらに限定されるものではない高分子をカルボキシ末端の端に有すること
ができる。 本発明のタンパク質はまた、KLK−Lタンパク質の類似体、並びに/または
1もしくはそれ以上のアミノ酸置換、挿入及び/もしくは欠失を含有するKLK
−Lタンパク質を包含することができるがこれらに限定されるものではない本明
細書に記述するようなその切頭体も包含することができる。アミノ酸置換は保存
的または非保存的性質のものであることができる。保存的アミノ酸置換は、KL
K−Lタンパク質アミノ酸配列の1またはそれ以上のアミノ酸を同様の電荷、大
きさ及び/または疎水性特性のアミノ酸で置換することを含む。保存的置換のみ
が行われる場合、得られる類似体は、好ましくは、KLK−Lタンパク質と機能
的に同等である。非保存的置換は、KLK−Lタンパク質アミノ酸配列の1また
はそれ以上のアミノ酸を異なった電荷、大きさ及び/または疎水性特性を有する
1またはそれ以上のアミノ酸で置換することを含む。 1またはそれ以上のアミノ酸挿入をKLK−Lタンパク質中に導入することが
できる。アミノ酸挿入は、単一のアミノ酸残基または2〜15アミノ酸の長さで
ある連続したアミノ酸からなることができる。 欠失は、KLK−Lタンパク質配列からの1もしくはそれ以上のアミノ酸また
は別個の部分の除去からなることができる。欠失アミノ酸は連続していてもして
いなくてもよい。欠失突然変異を有する得られた類似体の下限の長さは、約10
アミノ酸、好ましくは20〜40アミノ酸である。 本発明のタンパク質には、KLK−Lタンパク質に配列同一性もしくは類似性
を有するタンパク質及び/または本明細書に記述するようなその切頭体が包含さ
れる。そのようなKLK−Lタンパク質には、アミノ酸配列が、選択したハイブ
リダイゼーション条件下で(本明細書におけるストリンジェントなハイブリダイ
ゼーション条件の説明を参照)KLK−Lタンパク質を得るために用いたプロー
ブとハイブリダイズする他の種からのKLK−Lタンパク質領域のアミノ酸配列
を含んでなるタンパク質が包含される。これらのタンパク質は、一般に、KLK
−Lタンパク質に特有である同じ領域を有する。好ましくは、タンパク質は、表
1〜5または配列番号2、3、14、22、23、44、45、57、58、5
9、60、66もしくは67に示すアミノ酸配列と実質的な配列同一性、例えば
、約30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75
%、80%もしくは85%の同一性、好ましく90%の同一性、より好ましくは
少なくとも95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性、そして最
も好ましくは98%の同一性を有する。 アミノ酸配列相同性、類似性または同一性の%は、本明細書に記述するような
既知の方法を用いて基準配列と一致する整列したアミノ酸のパーセンテージとし
て計算される。 本発明はまた、本発明のタンパク質のアイソフォームも意図する。アイソフォ
ームは、本発明のタンパク質と同じ数及び種類のアミノ酸を含有するが、アイソ
フォームは異なる分子構造を有する。本発明により意図されるアイソフォームは
、好ましくは、本明細書に記述するような本発明のタンパク質と同じ特性を有す
る。 本発明はまた、融合タンパク質を製造するために選択したタンパク質またはマ
ーカータンパク質(以下参照)と結合したKLK−L関連タンパク質も包含する
。さらに、KLK−Lタンパク質及びKLK−Lタンパク質関連タンパク質の免
疫原性部分は、本発明の範囲内である。 本発明のKLK−L関連タンパク質は、組換えDNA法を用いて製造すること
ができる。従って、本発明のKLK−L関連タンパク質をコードする配列を有す
る本発明の核酸分子は、タンパク質の十分な発現を保証する適切な発現ベクター
中に既知のように導入することができる。可能な発現ベクターには、ベクターが
用いる宿主細胞と適合する限り、コスミド、プラスミドまたは改変したウイルス
(例えば、複製欠損性レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス
)が包含されるが、これらに限定されるものではない。 従って、本発明は、本発明の核酸分子並びに挿入したタンパク質配列の転写及
び翻訳のために必要な調節配列を含有する本発明の組換え発現ベクターを意図す
る。適当な調節配列は、細菌、真菌、ウイルス、哺乳類または昆虫遺伝子を包含
する様々な起源から得ることができる(例えば、Goeddel,Gene E
xpression Technology: Methods in Enz
ymology 185,Academic Press,San Diego
,CA(1990)に記述されている調節配列を参照)。適切な調節配列の選択
は、以下に説明するように選択した宿主細胞により決まり、そして当業者は容易
にこれを成し遂げることができる。必要な調節配列は、天然のKLK−Lタンパ
ク質及び/またはその隣接領域により供給することができる。 本発明はさらに、発現ベクター中にアンチセンスの向きにクローン化された本
発明のDNA核酸分子を含んでなる組換え発現ベクターを提供する。すなわち、
DNA分子は、このDNA分子の転写により、本発明のタンパク質またはそのフ
ラグメントの核酸配列にアンチセンスであるRNA分子の発現を与えるように調
節配列に連結される。様々な細胞タイプにおいてアンチセンスRNA分子の連続
発現を導くアンチセンス核酸に連結される調節配列、例えばウイルスのプロモー
ター及び/もしくはエンハンサーを選択することができ、またはアンチセンスR
NAの組織もしくは細胞タイプ特異的発現を導く調節配列を選択することができ
る。 本発明の組換え発現ベクターはまた、本発明の組換え分子で形質転換されたま
たはトランスフェクションされた宿主細胞の選択を容易にするマーカー遺伝子を
含有することもできる。マーカー遺伝子の例は、ある種の薬剤に対する耐性を与
えるG418及びハイグロマイシンのようなタンパク質、β−ガラクトシダーゼ
、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼ、
または免疫グロブリンもしくは免疫グロブリン、好ましくはIgGのFc部分の
ようなその一部をコードする遺伝子である。マーカーは、目的の核酸と別個のベ
クター上に導入することができる。 組換え発現ベクターはまた、組換えタンパク質の増加した発現;組換えタンパ
ク質の増加した可溶性;及びアフィニティー精製においてリガンドとして働くこ
とによる標的組換えタンパク質の精製の補助を与える融合部分をコードする遺伝
子を含有することもできる。例えば、融合タンパク質の精製後に融合部分から組
換えタンパク質を分離させるためにタンパク質分解切断部位を標的組換えタンパ
ク質に付加することができる。典型的な融合発現ベクターには、組換えタンパク
質にそれぞれグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結
合タンパク質またはプロテインAを融合するpGEX(Amrad Corp.
,Melbourne,Australia)、pMAL(New Engla
nd Biolabs,Beverly,MA)及びpRIT5(Pharma
cia,Piscataway,NH)が包含される。 組換え発現ベクターは、形質転換体宿主細胞を製造するために宿主細胞中に導
入することができる。「形質転換体宿主細胞」には、本発明の組換え発現ベクタ
ーで形質転換されているかまたはトランスフェクションされている宿主細胞が包
含される。「で形質転換される」、「でトランスフェクションされる」、「形質
転換」及び「トランスフェクション」という用語には、多数の標準的な技術の一
つによる細胞中への核酸(例えばベクター)の導入が包含される。原核細胞は、
例えば、電気穿孔または塩化カルシウムによる形質転換により核酸で形質転換す
ることができる。核酸は、リン酸カルシウムもしくは塩化カルシウム共沈殿、D
EAE−デキストランによるトランスフェクション、リポフェクチン、電気穿孔
または微量注入のような通常の技術により哺乳類細胞中に導入することができる
。宿主細胞を形質転換及びトランスフェクションする適当な方法は、Sambr
ook et al.(Molecular Cloning:A Labor
atory Manual、第2版,Cold Spring Harbor
Laboratory press(1989))及び他の実験教本に見出すこ
とができる。 適当な宿主細胞には、多種多様な原核及び真核宿主細胞が包含される。例えば
、本発明のタンパク質は、エシェリキア・コリ(E.coli)のような細菌細
胞、昆虫細胞(バキュロウイルスを用いる)、酵母細胞または哺乳類細胞におい
て発現することができる。他の適当な宿主細胞は、Goeddel,Gene
Expression Technology: Methods in En
zymology 185,Academic Press,San Dieg
o,CA(1991)に見出すことができる。 また、挿入した核酸配列の発現を調節するか、またはタンパク質を所望のよう
に修飾し(例えば、グリコシル化もしくはリン酸化)プロセシングする(例えば
切断する)宿主細胞を選択することもできる。タンパク質の翻訳後プロセシング
及び修飾の特異的且つ特徴的な機構を有する宿主系または細胞系を選択すること
ができる。例えば、CHO、VERO、BHK、HeLA、COS、MDCK、
293、3T3及びWI38を包含する真核宿主細胞を用いることができる。タ
ンパク質の長期の高収量の安定な発現のためには、遺伝子産物を安定に発現する
細胞系及び宿主系を工学設計することができる。 本明細書に記述する方法を用いて製造した宿主細胞及び特に細胞系は、KLK
−L関連タンパク質の活性を調節する化合物をスクリーニングすること及び評価
することにおいて特に有用であることができる。 本発明のタンパク質はまた、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、micr
o−pigs、ヤギ、ヒツジ、ブタ、非ヒト霊長類(例えば、ヒヒ、サル及びチ
ンパンジー)を包含するがこれらに限定されるものではない非ヒトトランスジェ
ニック動物において発現することもできる[Hammer et al.(Na
ture 315:680−683,1985),Palmiter et a
l.(Science 222:809−814,1983),Brinste
r et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:4
438−4442,1985),Palmiter and Brinster
(Cell.41:343−345,1985)及び米国特許第4,736,8
66号を参照]。KLK−L関連タンパク質をコードする本発明の核酸分子を動
物中に導入してトランスジェニック動物の創始系を作製するために当該技術分野
において既知である方法を用いることができる。そのような方法には、前核微量
注入、生殖細胞系へのレトロウイルスによる遺伝子導入、胚性幹細胞における遺
伝子ターゲッティング、胚の電気穿孔及び精子による遺伝子導入が包含される。 本発明は、全ての細胞においてKLK−L遺伝子を保有するトランスジェニッ
ク動物、及び全てではないがいくらかの細胞において導入遺伝子を保有する動物
を意図する。導入遺伝子は、単一の導入遺伝子としてまたはコンカテマーで組込
むことができる。導入遺伝子は、特定の細胞タイプに選択的に導入し、そしてそ
こにおいて活性化することができる(例えば、Lasko et al,199
2 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6236を参照)
。導入遺伝子は、遺伝子ターゲッティングにより内因性遺伝子の染色体部位中に
組込むことができる。導入遺伝子は、特定の細胞タイプに選択的に導入してその
細胞タイプにおいて内因性遺伝子を不活性化することができる(Gu et a
l Science 265:103−106を参照)。 トランスジェニック動物における組換えKLK−L関連タンパク質の発現は、
標準的な技術を用いて評価することができる。最初のスクリーニングは、導入遺
伝子が組み込まれているかどうかを分析するためにサザンブロット分析またはP
CR法により行うことができる。トランスジェニック動物の組織におけるmRN
A発現のレベルもまた、組織サンプルのノーザンブロット分析、インサイチュー
ハイブリダイゼーション及びRT−PCRを包含する技術を用いて評価すること
ができる。組織はまた、KLK−Lタンパク質に対する抗体を用いて免疫細胞化
学的に評価することもできる。 本発明のタンパク質はまた、固相合成(Merrifield,1964,J
.Am.Chem.Assoc.85:2149−2154)または均質な溶液
における合成(Houbenweyl,1987,Methods of Or
ganic Chemistry,E.Wansch編集,Vol.15 I及
びII,Thieme,Stuttgart)のようなタンパク質の化学におい
て周知である技術を用いて化学合成により製造することもできる。 タンパク質のような他の分子と結合した本発明のKLK−L関連タンパク質を
含んでなるN末端またはC末端融合タンパク質は、組換え技術により、KLK−
L関連タンパク質のN末端またはC末端と所望の生物学的機能を有する選択した
タンパク質またはマーカータンパク質の配列を融合することにより製造すること
ができる。得られた融合タンパク質は、本明細書に記述するような選択したタン
パク質またはマーカータンパク質に融合したKLK−Lタンパク質を含有する。
融合タンパク質を製造するために用いることができるタンパク質の例には、免疫
グロブリン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、赤血球凝集素
(HA)及び切断したmycが包含される。 3.抗体 本発明のKLK−L関連タンパク質は、これらのタンパク質に特異的な抗体を
製造するために用いることができる。タンパク質の非保存領域中の異なるエピト
ープに結合する抗体を製造することができる。タンパク質の非保存領域は、別の
タンパク質に実質的な配列相同性をもたないものである。十分に特性化されたド
メインのような保存領域からの領域もまた、KLK−L関連タンパク質の保存領
域に対する抗体を製造するために用いることができる。KLK−L関連タンパク
質に特異性を有する抗体はまた、本明細書に記述するような細菌において融合タ
ンパク質を発現することにより作られる融合タンパク質から作製することもでき
る。 本発明は、完全なモノクローナルもしくはポリクローナル抗体、及び免疫学的
に活性のフラグメント(例えば、そのFab、(Fab)フラグメントもしく
はFab発現ライブラリーフラグメント及びエピトープ結合フラグメント)、抗
体重鎖及び抗体軽鎖、遺伝子的に工学設計した単鎖Fv分子(Ladner e
t al,米国特許第4,946,778号)またはキメラ抗体、例えば、マウ
ス抗体の結合特異性を含有するが残りの部分はヒト起源のものである抗体を用い
ることができる。モノクローナル及びポリクローナル抗体、フラグメント並びに
キメラを包含する抗体は、当業者に既知である方法を用いて製造することができ
る。 4.本発明の核酸分子、KLK−L関連タンパク質及び抗体の用途 本発明の核酸分子、KLK−L関連タンパク質及び抗体は、癌(例えば乳癌、
精巣癌及び前立腺癌)または他の症状の予後及び診断評価、並びに癌に素因を有
する被験体の同定において用いることができる(4.1.1及び4.1.2節)
。本発明の核酸分子及びKLK−L関連タンパク質を検出する方法は、KLK−
L関連タンパク質及びKLK−L関連タンパク質をコードする核酸分子を検出す
ることにより、癌を包含する症状をモニターするために用いることができる。本
明細書に記述する方法は、KLK−L関連タンパク質の発生発現を研究するため
に使用できることもまた当業者に明らかであり、従って、KLK−L関連タンパ
ク質の役割にさらなる洞察を与える。また、本発明の用途には、KLK−Lまた
はKLK−L関連タンパク質の生物学的活性を調節する化合物の同定方法も包含
される(4.2節)。これらの化合物、抗体等は、癌の処置に用いることができ
る(4.3節)。 4.1診断方法 癌(例えば乳癌、精巣癌及び前立腺癌)を包含する症状の診断及び予後評価、
並びにそのような症状に素因を有する被験体の同定に様々な方法を用いることが
できる。そのような方法は、例えば、本発明の核酸分子及びそのフラグメント、
並びにペプチドフラグメントを包含するKLK−L関連タンパク質に対して誘導
された抗体を利用することができる。特に、例えば:(1)KLK−L突然変異
の存在の検出、または非疾病状態に対してKLK−L mRNAの過剰なもしく
は不十分な発現の検出、またはある種の症状もしくはそのような症状に対する感
受性と相関関係がある可能性があるKLK−L転写産物の選択的スプライシング
形態の定性的もしくは定量的検出;及び(2)非疾病状態に対して過剰なもしく
は不十分な量のKLK−L関連タンパク質または疾病状態もしくは疾病状態への
進行と相関関係がある改変された(例えば全長より小さい)KLK−Lタンパク
質の存在の検出に核酸及び抗体を用いることができる。 本明細書に記述する方法は、患者をスクリーニングして診断するため及び疾患
を発症する素因を示す個体をスクリーニングして同定するために、例えば臨床環
境において、都合よく用いることができる本明細書に記述する少なくとも1つの
特定のKLK−L核酸または抗体を含んでなる予め包装された診断キットを利用
することにより行うことができる。 核酸に基づく検出技術は、4.1.1節において以下に記述されている。ペプ
チド検出技術は、4.1.2節において以下に記述されている。本発明の方法を
用いて分析することができるサンプルには、KLK−Lを発現するかまたはKL
K−L関連タンパク質を発現することが既知であるかもしくは疑われるものが包
含される。これらのサンプルは、患者または細胞培養から得ることができ、そし
て生物学的流体、組織抽出物、新しく採取した細胞、及び細胞培養においてイン
キュベーションされている細胞のライセートを包含するがこれらに限定されるも
のではない。 本発明の核酸分子のいずれかから得られるオリゴヌクレオチドまたはより長い
フラグメントは、マイクロアレーにおける標的として用いることができる。マイ
クロアレーは、多数の遺伝子の発現レベルを同時にモニターするため並びに遺伝
子変異体、突然変異及び多型を同定するために用いることができる。マイクロア
レーからの情報は、遺伝子機能を決定するため、疾病の遺伝学的根拠を理解する
ため、疾病を診断するため及び治療薬を開発しその活性をモニターするために用
いることができる。 マイクロアレーの製造、使用及び分析は、当業者に周知である(例えば、Br
ennan,T.M.et al.(1995)米国特許第5,474,796
号;Schena,et al.(1996)Proc.Natl.Acad.
Sci.93:10614−10619;Baldeschweiler et
al.(1995),PCT出願WO95/251116;Shalon,D
.et al.(1995)PCT出願WO95/35505;Heller,
R.A.et al.(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.9
4:2150−2155;及びHeller,M.J.et al.(1997
)米国特許第5,605,662号を参照)。 4.1.1本発明の核酸分子を検出する方法 本発明の核酸分子により当業者はサンプル中の本発明の核酸配列の検出に使用
するヌクレオチドプローブを構築することができる。適当なプローブには、KL
K−Lタンパク質の領域からの少なくとも5個の連続したアミノ酸をコードする
核酸配列に基づく核酸分子が包含され、好ましくは、これらは15〜30ヌクレ
オチドを含んでなる。ヌクレオチドプローブは、32P、H、14C等のよう
な適切なシグナルを与え且つ十分な半減期を有する放射性標識のような検出可能
な物質で標識することができる。用いることができる他の検出可能な物質には、
特定の標識した抗体により認識される抗原、蛍光性化合物、酵素、標識した抗原
に特異的な抗体及び発光性化合物が包含される。適切な標識は、検出されるヌク
レオチドに対するプローブのハイブリダイゼーション及び結合の速度及びハイブ
リダイゼーションに利用可能なヌクレオチドの量に関して選択することができる
。標識したプローブは、Sambrook et al.1989,Molec
ular Cloning,A Laboratory Manual(第2版
)に一般的に記述されているようにニトロセルロースフィルターまたはナイロン
膜のような固体支持体上の核酸にハイブリダイズすることができる。核酸プロー
ブは、KLK−L関連タンパク質をコードする好ましくはヒト細胞中の遺伝子を
検出するために用いることができる。ヌクレオチドプローブはまた、癌の診断に
おいて;癌の進行をモニターすること;または治療処置をモニターすることにお
いて有用であることもできる。 プローブは、KLK−L関連タンパク質をコードする遺伝子を検出するために
ハイブリダイゼーション技術において用いることができる。この技術は、一般に
、本発明のプローブと患者または他の細胞起源からのサンプルより得られた核酸
(例えば組換えDNA分子、クローン化遺伝子)とを核酸中の相補的配列へのプ
ローブの特異的アニーリングに適した条件下で接触させること及びインキュベー
ションすることを含む。インキュベーション後に、アニーリングしていない核酸
を除き、そしてもしあればプローブにハイブリダイゼーションしている核酸の存
在を検出する。 本発明の核酸分子の検出は、PCRのような増幅方法を用いる特定の遺伝子配
列の増幅、及びそれに続く当業者に既知である技術を用いる増幅分子の分析を含
むことができる。適当なプライマーは、当業者により日常的に設計することがで
きる。 点突然変異、挿入、欠失及び染色体再編成を包含するklk−l構造に関する
異常を検出するためにゲノムDNAを生物学的サンプルのハイブリダイゼーショ
ンまたは増幅アッセイにおいて用いることができる。例えば、直接塩基配列決定
、一本鎖構造多型分析、ヘテロ二重鎖分析、変性勾配ゲル電気泳動、化学的ミス
マッチ切断及びオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを利用することがで
きる。 当業者に既知である遺伝子型類別技術は、klk−l遺伝子中の突然変異にご
く接近している多型を類別するために用いることができる。多型は、突然変異を
保有すると思われるファミリーの個体を同定するために用いることができる。多
型がklk−l遺伝子中の突然変異と連鎖不平衡を示す場合、それは突然変異を
保有すると患われる一般集団の個体をスクリーニングするために用いることもで
きる。用いることができる多型には、制限断片長多型(RFLP)及び単純配列
反復多型(SSLP)が包含される。 本発明のプローブは、RFLPを直接同定するために用いることができる。本
発明のプローブまたはプライマーはさらに、YAC、BAC、PAC、コスミド
、ファージまたはプラスミドのようなゲノムクローンを単離するために用いるこ
とができる。クローン中のDNAは、ハイブリダイゼーションまたは塩基配列決
定方法を用いてSSLPに関してスクリーニングすることができる。 本明細書に記述するハイブリダイゼーション及び増幅技術は、klk−l発現
の定性的及び定量的な面をアッセイするために用いることができる。例えば、k
lk−lを発現することが既知である細胞タイプまたは組織からRNAを単離し
、本明細書に記載したハイブリダイゼーション(例えば標準的なノーザン分析)
またはPCR技術を利用して試験することができる。これらの技術は、正常なま
たは異常な選択的スプライシングによる可能性がある転写産物の大きさの違いを
検出するために用いることができる。これらの技術は、癌の症状または他の疾患
の症状を示す個体に対して正常な個体において検出される全長及び/または選択
的スプライシング転写産物のレベルの定量的違いを検出するために用いることが
できる。 プライマー及びプローブは、上記の方法においいてインサイチューで、すなわ
ち、生検または切除術から得られた患者組織の組織切片(固定及び/または凍結
した)上で直接用いることができる。 4.1.2 KLK−L関連タンパク質を検出する方法 KLK−L関連タンパク質、または酵素コンジュゲートもしくは標識した誘導
体のような誘導体と特異的に反応する抗体は、様々なサンプル(例えば生物学的
材料)においてKLK−L関連タンパク質を検出するために用いることができる
。これらは診断または予後試薬として用いることができ、そしてこれらはKLK
−L関連タンパク質発現のレベルの異常、またはKLK−L関連タンパク質の構
造及び/もしくは時間的、組織、細胞もしくは非細胞位置の異常を検出するため
に用いることができる。抗体はまた、潜在的に治療に役立つ化合物をインビトロ
でスクリーニングして癌及び他の症状に対するそれらの効果を決定するために用
いることもできる。インビトロ免疫アッセイはまた、特定の治療の効能を評価す
るかまたはモニターするために用いることもできる。本発明の抗体はまた、KL
K−L関連タンパク質を生産するように遺伝子的に工学設計された細胞における
KLK−L発現のレベルを決定するためにインビトロで用いることもできる。 これらの抗体は、KLK−L関連タンパク質の抗原決定基と抗体の間の結合相
互作用によるあらゆる既知の免疫アッセイにおいて用いることができる。そのよ
うなアッセイの例は、放射線免疫アッセイ、酵素免疫アッセイ(例えばELIS
A)、免疫蛍光法、免疫沈降法、ラテックス凝集、赤血球凝集及び組織化学試験
である。これらの抗体は、サンプル中のKLK−L関連タンパク質を検出し定量
して特定の細胞事象もしくは病的状態における役割を決定するため及びそのよう
な病的状態を診断し処置するためにために用いることができる。 特に、本発明の抗体は、LKL−L関連タンパク質を検出するため、それを特
定の細胞及び組織並びに特定の非細胞位置に位置付けるため、並びに発現のレベ
ルを定量するために免疫組織化学分析において、例えば細胞及び非細胞レベルで
用いることができる。 KLK−L関連タンパク質を検出するために、光学及び電子顕微鏡検査を用い
て抗原を位置決定するための当該技術分野において既知である細胞組織技術を用
いることができる。一般に、本発明の抗体は、検出可能な物質で標識することが
でき、そして検出可能な物質の存在に基づいてKLK−L関連タンパク質を組織
及び細胞において位置決定することができる。検出可能な物質の例には、以下の
もの:放射性同位体(例えば、H、14C、35S、125I、131I)、
蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニドリン)、ルミノールのよ
うな発光標識;酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクト
シダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、アセチルコリンエステラ
ーゼ)、ビオチニル基(標識を有するアビジン、例えば、光学もしくは熱量測定
法により検出することができる蛍光マーカーもしくは酵素活性を含有するストレ
プトアビジンにより検出することができる)、二次レポーター(例えば、ロイシ
ンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープ標識)
により認識される予め決定されたポリペプチドエピトープが包含されるが、これ
らに限定されるものではない。ある態様として、標識は、可能性がある立体障害
を減らすために様々な長さのスペーサーアームによりつけられる。抗体はまた、
電子顕微鏡検査により容易に視覚化されるフェリチンもしくは金コロイドのよう
な電子高密度物質に結合することもできる。 抗体またはサンプルは、細胞、抗体等を固定することができる担体または個体
支持体上に固定することができる。例えば、担体または支持体は、ニトロセルロ
ース、またはガラス、ポリアクリルアミド、斑レイ岩及び磁鉄鉱であることがで
きる。支持体材料は、球状(例えばビーズ)、円柱状(例えば、試験管もしくは
ウェルの内部表面または杆状体の外部表面)、または平ら(例えば、シート、試
験細片)を包含するあらゆる可能な形状を有することができる。また、一次抗原
−抗体反応をKLK−L関連タンパク質に対して反応する抗体に特異性を有する
二次抗体の導入により増幅する間接的方法を用いることもできる。例として、K
LK−L関連タンパク質に対する特異性を有する抗体がウサギIgG抗体である
場合、二次抗体は、本明細書に記述するような検出可能な物質で標識したヤギ抗
−ウサギガンマ−グロブリンであることができる。 放射性標識が検出可能な物質として用いられる場合、KLK−L関連タンパク
質はオートラジオグラフィーにより位置決定することができる。オートラジオグ
ラフィーの結果は、様々な光学方法によりオートラジオフラフィー中の粒子の密
度を決定することにより、または粒子を計数することにより定量することができ
る。 4.2物質/化合物を同定するかまたは評価する方法 本明細書に記述する方法は、KLK−L関連タンパク質に結合するかまたはK
LK−L関連タンパク質と相互作用する他のタンパク質に結合する物質、KLK
−L関連タンパク質とKLK−L関連タンパク質もしくはKLK−L関連タンパ
ク質と相互作用する他のタンパク質に結合する物質との相互作用を妨げるかもし
くは増大する化合物を包含するKLK−L関連タンパク質の生物学的活性を調節
する物質を同定するために設計される。KLK−L調節配列に結合する化合物を
同定する方法もまた利用される。 本発明の方法を用いて同定される物質及び化合物には、Igを末端につないだ
融合ペプチド、ランダムペプチドライブラリーのメンバー並びにD−及び/また
はL−配置アミノ酸から作られた組み合わせ化学に由来する分子ライブラリーを
包含する可溶性ペプチド、ホスホペプチド(ランダムまたは部分的に縮重した指
定ホスホペプチドライブラリーを包含する)ようなペプチド、抗体[例えば、ポ
リクローナル、モノクローナル、ヒト化、抗−イディオタイプ、キメラ、単鎖抗
体、フラグメント(例えば、Fab、(Fab)及びFab発現ライブラリー
フラグメント、並びにそのエプトープ結合フラグメント)、並びに有機もしくは
無機小分子が包含されるがこれらに限定されるものではない。物質または化合物
は内因性の生理学的化合物であることができ、またはそれは天然のもしくは合成
の化合物であることができる。 KLK−L関連タンパク質を調節する物質は、KLK−L関連タンパク質に結
合するそれらの能力に基づいて同定することができる。従って、本発明はまた、
KLK−L関連タンパク質に結合する物質を同定する方法も提供する。本発明の
方法を用いて単離された物質は、通常の技術を用いて単離し、クローン化し、そ
して塩基配列決定することができる。本発明のポリペプチドと会合する物質は、
本発明のポリペプチドの生物学的または免疫学的活性のアゴニストまたはアンタ
ゴニストであることができる。 「アゴニスト」という用語は、ポリペプチドの活性の量を増やすかまたはその
期間を延ばす分子をさす。「アンタゴニスト」という用語は、ポリペプチドの生
物学的または免疫学的活性を減らす分子をさす。アゴニスト及びアンタゴニスト
は、本発明のポリペプチドと会合するタンパク質、核酸、炭水化物またはあらゆ
る他の分子を包含することができる。 KLK−L関連タンパク質と結合することができる物質は、物質−KLK−L
関連タンパク質の形成を可能とする条件下でKLK−L関連タンパク質に潜在的
に結合する試験物質とKLK−L関連タンパク質を反応させ、そして複合体を取
り出し、そして/または検出することにより同定することができる。複合体は、
物質−KLK−L関連タンパク質複合体に関して、遊離した物質に関して、また
は複合体を形成していないKLK−L関連タンパク質に関してアッセイすること
により検出することができる。物質−KLK−L関連タンパク質の形成を可能と
する条件は、物質及びタンパク質の性質及び量のような因子に関して選択するこ
とができる。 物質−タンパク質複合体、遊離した物質または複合体を形成していないタンパ
ク質は、通常の単離技術、例えば、塩析、クロマトグラフィー、電気泳動、ゲル
濾過、分別、吸収、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、凝集またはこれらの組み
合わせにより単離することができる。化合物のアッセイを容易にするために、K
LK−L関連タンパク質もしくは物質に対する抗体、または標識したKLK−L
関連タンパク質もしくは標識した物質を利用することができる。抗体、タンパク
質または物質は、上記のような検出可能な物質で標識することができる。 本発明の方法に用いるKLK−L関連タンパク質または物質は、不溶化するこ
とができる。例えば、KLK−L関連タンパク質または物質は、アガロース、セ
ルロース、デキストラン、セファデックス、セファロース、カルボキシメチルセ
ルロース、ポリスチレン、濾紙、イオン交換樹脂、プラスチックフィルム、プラ
スチックチューブ、ガラスビーズ、ポリアミン−メチルビニル−エーテルーマレ
イン酸コポリマー、アミノ酸コポリマー、エチレン−マレイン酸コポリマー、ナ
イロン、絹等のような適当な担体に結合することができる。担体は、例えば、チ
ューブ、試験プレート、ビーズ、円板、球等の形状であることができる。不溶化
したタンパク質または物質は、既知の化学的または物理的方法、例えば、臭化シ
アンカップリングを用いて適当な不溶性担体と材料を反応させることにより調製
することができる。 本発明はまた、KLK−L関連タンパク質と結合する物質とKLK−L関連タ
ンパク質の結合のアゴニストまたはアンタゴニスト(すなわち、エンハンサーま
たはインヒビター)に関してアッセイすることにより、本発明のKLK−L関連
タンパク質の生物学的活性を調節する能力について化合物を評価する方法も意図
する。化合物がKLK−L関連タンパク質の結合のアゴニストもしくはアンタゴ
ニスト及びタンパク質に結合する物質であるかどうかを評価する基本的方法は、
試験化合物の存在下で、物質−KLK−L関連タンパク質の形成を可能にする条
件下でKLK−L関連タンパク質及び物質を含有する反応混合物を調製すること
である。試験化合物は、最初に混合物に加えることができ、またはKLK−L関
連タンパク質と物質の添加後に加えることができる。試験化合物を含まないかま
たはプラシーボを含むコントロールの反応混合物も調製する。複合体の検出を検
出し、そして反応混合物ではなくコントロール反応における複合体の形成は、試
験化合物がKLK−L関連タンパク質と物質の相互作用を妨げることを示す。反
応は液相で実施することができ、またはKLK−L関連タンパク質、物質もしく
は試験化合物を本明細書に記述するように固定することができる。本発明のKL
K−L関連タンパク質の生物学的活性を調節する化合物の能力は、細胞に対する
生物学的作用を測定することにより試験することができる。 本発明の方法を用いてアッセイすることができるアゴニストまたはアンタゴニ
スト、すなわち、エンハンサーまたはインヒビターは、アゴニスト結合部位、拮
抗的アンタゴニスト結合部位、非拮抗的アンタゴニスト結合部位またはアロステ
リック部位を包含するタンパク質または物質上の1またはそれ以上の結合部位に
対して作用することができると理解される。 本発明はまた、KLK−L関連タンパク質に結合することができる物質とKL
K−L関連タンパク質との相互作用のアゴニストの影響を阻害するアンタゴニス
トに関してスクリーニングすることも可能にする。従って、本発明は、KLK−
L関連タンパク質の同じ結合部位を競合する化合物に関してアッセイするために
用いることができる。 本発明はまた、KLK−L関連タンパク質と相互作用するタンパク質に結合す
る化合物を同定する方法も意図する。タンパク質−タンパク質相互作用は、共免
疫沈降、架橋及び勾配もしくはクロマトグラフィーカラムによる共精製のような
常法を用いて同定することができる。KLK−L関連タンパク質と相互作用する
タンパク質をコードする遺伝子の同時の同定をもたらす方法もまた用いることが
できる。これらの方法には、標識したKLK−L関連タンパク質で発現ライブラ
リーを調べることが包含される。 インビボでタンパク質相互作用を検出するために2ハイブリッド系もまた用い
ることができる。一般に、2つのハイブリッドタンパク質をコードするプラスミ
ドを構築する。第一のハイブリッドタンパク質は、KLK−L関連タンパク質に
融合した転写アクチベータータンパク質のDNA−結合ドメインからなり、そし
て第二のハイブリッドタンパク質は、cDNAライブラリーの一部としてプラス
ミド中に組換えられているcDNAによりコードされる未知のタンパク質に融合
した転写アクチベータータンパク質のアクチベータードメインからなる。これら
のプラスミドを、調節領域が転写アクチベーターの結合部位を含有するレポータ
ー遺伝子(例えば、lacZ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、西洋
ワサビペルオキシダーゼ)を含有する酵母の株(例えば、サッカロミセス・セレ
ビシエ(S.cerevisiae))に形質転換する。ハイブリッドタンパク
質単独では、レポーター遺伝子の転写を活性化することができない。しかしなが
ら、2つのハイブリッドタンパク質の相互作用は、機能性アクチベータータンパ
ク質を再構成し、そしてレポーター遺伝子レポーター遺伝子の発現をもたらし、
これをレポーター遺伝子産物に関するアッセイにより検出する。 融合タンパク質を上記の方法に使用できることが理解される。特に、グルタチ
オン−S−トランスフェラーゼに融合したKLK−L関連タンパク質をこれらの
方法に用いることができる。 KLK−L関連タンパク質を調節する化合物を評価するために本発明の方法を
用いるために適当な試薬は、適当な容器中に包装した必要な材料を提供する都合
のよいキットに包装することができる。キットはまた、本発明の方法を行うこと
において有用な適当な支持体を含むこともできる。 4.3組成物及び処置 本発明のタンパク質、本明細書に記述する方法により同定される物質または化
合物、抗体、及び本発明のアンチセンス核酸分子は、KLK−L関連タンパク質
の生物学的活性を調節するために用いることができ、そしてそれらは、癌(例え
ば、前立腺癌、精巣癌、脳の癌、子宮癌、胸腺癌、卵巣癌、結腸癌、卵巣巖また
は乳癌)のような症状の処置に用いることができる。従って、物質、抗体、ペプ
チド及び化合物は、インビボでの投与のために適当な生物学的に適合した形態で
被験体への投与のために製薬学的組成物中に調合することができる。「インビボ
での投与のために適当な生物学的に適合した形態」は、治療効果が有毒な作用に
勝る投与する活性物質の形態を意味する。活性物質は、ヒト及び動物を包含する
生きている生物体に投与することができる。本発明の製薬学的組成物の治療的に
有効な量の投与は、所望の効果を得るために必要な投薬量及び期間で有効な量と
して定義される。例えば、物質の治療的に有効な量は、個体の疾病状態、年齢、
性別及び体重、並びに個体において所望の応答を引き出す抗体の能力のような因
子により変わる可能性がある。投薬計画は、最適な治療応答を与えるように調整
することができる。例えば、いくつかの分割した用量を毎日投与することができ
、または用量は治療状況の要求により示されるように対応して減らすことができ
る。 活性物質は、注射(皮下、静脈内等)、経口投与、吸入、経皮施用または直腸
投与によるような常法で投与することができる。投与の経路により、活性物質は
、物質を不活性化する可能性がある酵素、酸及び他の天然の条件から物質を防御
する材料中に被覆することができる。 本明細書に記述する組成物は、有効な量の活性物質が製薬学的に許容しうる賦
形剤との混合物に合わせられるように、被験体に投与することができる製薬学的
に許容しうる組成物のそれ自体既知の製造方法により調製することができる。適
当な賦形剤は、例えば、Remington’s Pharmaceutica
l Sciences(Remigton’s Pharmaceutical
Sciences,Mark Publishing Company,Ea
ston,Pa.,USA 1985)に記述されている。これに基づき、組成
物には、1またはそれ以上の製薬学的に許容しうる賦形剤または希釈剤と会合し
てそして適当なpHを有し且つ生理学的流体と等張である緩衝溶液中に含まれる
活性物質の溶液が包含される。 本発明の核酸分子は、カリクレインをコードする遺伝子に対するそれらの相同
性に基づき、高血圧症、心臓肥大、炎症性疾患、神経学的疾患及び血液凝固疾患
のような症状の処置においても有用である可能性がある。 標的とする器官、組織または細胞集団に核酸分子を送達するためにレトロウイ
ルス、アデノウイルス、ヘルペスもしくはワクシニアウイルス、または様々な細
菌プラスミドに由来するベクターを用いることができる。本発明のアンチセンス
を発現する組換えベクターを構築するために当業者に周知である方法を用いるこ
とができる(例えば、Sambrook et al(上記)Ausubel
et al(上記)に記述されている技術を参照)。 全長cDNA配列及び/またはそれらの調節要素を含んでなる核酸分子により
当業者は、遺伝子機能のセンス(Youssoufian H and H F
Lodish 1993 Mol Cell Biol 13:98−104
)またはアンチセンス(Eguchi et al (1991)Annu R
ev Biochem 60:631−652)調節における研究手段として本
発明のタンパク質をコードする配列を用いることができる。そのような技術は当
該技術分野において周知であり、そしてセンスもしくはアンチセンスオリゴマー
またはより大きいフラグメントをコーディングまたは制御領域に沿った様々な位
置から設計することができる。 本発明のタンパク質をコードする遺伝子は、高レベルの所望のKLK−Lをコ
ードするフラグメントを発現するベクターで細胞または組織をトランスフェクシ
ョンすることにより止めることができる。そのような構築物は、翻訳できないセ
ンスまたはアンチセンス配列で細胞を充満させることができる。DNAへの組込
みなしでさえ、そのようなベクターは、全てのコピーが内因性のヌクレアーゼに
より能力を奪われるまでRNA分子を転写し続けることができる。 遺伝子発現の改変は、本発明のタンパク質をコードする遺伝子の調節配列、す
なわち、プロモーター、エンハンサー及びイントロンにアンチセンスの分子、D
NA、RNAを設計することにより得ることができる。好ましくは、オリゴヌク
レオチドは、転写開始部位、例えば、リーダー配列の−10〜+10の間から得
られる。アンチセンス分子はまた、転写産物がリボソームへに結合するの妨げる
ことによりmRNAの翻訳を妨げるように設計することもできる。阻害はまた、
「三重らせん」塩基対合方法論を用いて成し遂げることもできる。三重らせん対
合は、ポリメラーゼ、転写因子または調節分子の結合のために十分に開く二重ら
せんの能力を弱める。三重らせんDNAを用いる治療的利点は、Gee J E
et al(Huber B E and B I Carr(1994)M
olecular and Immunologic Approaches,
Futura Publishing Co,Mt Kisco N.Y.中)
により概説された。 リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒する酵素RNA分子である。リボザ
イムは、相補的標的RNAへのリボザイム分子の配列特的ハイブリダイゼーショ
ン及びそれに続くエンドヌクレオ分解(endonucleolytic)切断
により作用する。従って、本発明は、本発明のタンパク質をコードする配列のエ
ンドヌクレオ分解切断を特異的且つ効率よく触媒することができる工学設計した
ハンマーヘッドモチーフリボザイム分子を意図する。 あらゆる潜在的RNA標的内の特定のリボザイム切断部位は、最初に、以下の
配列、GUA、GUU及びGUCを含むリボザイム切断部位に関して標的分子を
走査することにより同定することができる。いったんこれらの部位が同定される
と、切断部位を含有する標的遺伝子の領域に対応する15〜20リボヌクレオチ
ドの間の短いRNA配列をオリゴヌクレオチドを操作不能にする可能性がある二
次構造特徴に関して評価することができる。また、候補標的の適合性は、リボヌ
クレアーゼ保護アッセイを用いて相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼ
ーションに対する利用可能性を試験することにより決定することもできる。 細胞または組織中にベクターを導入する方法には、本明細書に説明する方法、
並びにインビボ、インビトロ及びエクスビボ治療のために適当なものが包含され
る。エクスビボ治療には、ベクターは、患者から得られ同じ患者への自家移植の
ためにクローン的に増やした幹細胞中に導入することができる(米国特許第5,
399,493号及び第5,437,994号を参照)。トランスフェクション
及びリポソームによる送達は、当該技術分野において周知である。 本明細書に開示する核酸分子はまた、新しい技術がトリプレット遺伝暗号及び
特定の塩基対相互作用のような特性を包含するがこれらに限定されるものではな
い現在既知であるヌクレオチド配列の特性による場合、まだ開発されていない分
子生物学技術において用いることもできる。 本発明はまた、本発明のポリペプチドの機能を研究する方法も提供する。本発
明の核酸分子または遺伝子の発現を欠くかまたは部分的に欠く細胞、組織及び非
ヒト動物は、遺伝子中に特定の欠失または挿入突然変異を有する本発明の組換え
発現ベクターを用いて開発することができる。組換え発現ベクターはまた、相同
的組換えにより内因性遺伝子を不活性化または改変し、それにより欠損性細胞、
組織または動物を作製するために用いることができる。 ヌル対立遺伝子は、欠失突然変異により胚性幹細胞のような細胞において作製
することができる。組換え遺伝子はまた、遺伝子を不活性化する挿入突然変異を
含有するように工学設計することもできる。そのような構築物は、次に、トラン
スフェクション、電気穿孔、注入等のような技術により胚性幹細胞のような細胞
中に導入することができる。完全な遺伝子を欠く細胞は、次に、例えば、サザン
ブロッティイング、ノーザンブロッティングにより、または本明細書に記述する
方法を用いてコードされるポリペプチドの発現をアッセイすることにより同定す
ることができる。そのような細胞は、次に、本発明のポリペプチドを欠損するト
ランスジェニック非ヒト動物を作製するために胚性幹細胞に融合することができ
る。突然変異の生殖細胞系伝達は、例えば、胚性幹細胞を8細胞胚のような初期
の胚とインビトロで集め;得られた胚盤胞をレシピエントのメスに移し;得られ
た集合キメラの生殖細胞系伝達を生み出すことにより成し遂げることができる。
そのような突然変異動物は、通常は遺伝子発現に依存する、特定の細胞集団、発
生パターン及びインビボプロセスを特定するために用いることができる。 従って、本発明は、生殖細胞及び体細胞の全てがKLK−L関連タンパク質を
コードする遺伝子を不活性化するかまたは改変する組換え発現ベクターを含有す
るトランスジェニック非ヒト動物を提供する。ある態様として、本発明は、生殖
細胞及び体細胞の全てが、KLK−L関連タンパク質に付随する病状をもたらす
KLK−L関連タンパク質をコードする遺伝子を不活性化するかまたは改変する
組換え発現ベクターを含有するトランスジェニック非ヒト動物を提供する。さら
に、本発明は、本発明のKLK−L関連タンパク質を発現しないトランスジェニ
ック非ヒト動物を提供する。ある態様として、本発明は、KLK−L関連タンパ
ク質に付随する病状をもたらすKLK−L関連タンパク質をコードする遺伝子を
発現しないトランスジェニック非ヒト動物を提供する。KLK−L関連タンパク
質病理学は、KLK−L関連タンパク質ホモ突然変異体に認められる表現型をさ
す。 トランスジェニック非ヒト動物には、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ハム
スター、イヌ、micro−pig、ブタ、ネコ、ヤギ及び非ヒト霊長類、好ま
しくはマウスが包含されるがこれらに限定されるものではない。 本発明はまた、(a)本発明のトランスジェニック非ヒト動物に作用因子を投
与すること; (b)該作用因子が、作用因子を投与されていない工程(a)のトランスジェニ
ック非ヒト動物に対してトランスジェニック非ヒト動物において病状(例えば、
KLK−L関連タンパク質に付随する病状)を減らすかまたは妨げるかどうかを
決定すること を含んでなる、KLK−L関連タンパク質と付随する病状、好ましくはKLK−
L関連タンパク質と付随する病状を減らすかまたは妨げる因子を試験するための
モデル系を提供するトランスジェニック非ヒト動物アッセイ系も提供する。 作用因子は、本明細書において説明するように癌のような症状の処置及び予防
において有用である可能性がある。作用因子はまた、本明細書に記述するような
製薬学的組成物に導入することもできる。 本発明のタンパク質、物質、化合物、抗体、核酸分子、作用因子及び組成物の
活性は、動物実験モデル系において確かめることができる。治療効能及び毒性は
、ED50(50%の集団において治療的に有効な用量)またはLD50(50
%の集団に致死の用量)統計値を計算することによるような、細胞培養において
または実験動物を用いて標準的な製薬学的方法により決定することができる。治
療指数は、有毒な作用に対する治療効果のある作用の用量比であり、そしてそれ
はED50/LD50比して表すことができる。大きい治療指数を示す製薬学的
組成物が好ましい。 以下の限定しない実施例は、本発明の実例となる。
【実施例】
実施例1 材料及び方法 ヒトゲノムDNAライブラリからの陽性PAC及びBACゲノムクローンの同定 PSA、KLK1、KLK2、NES1及びZyme遺伝子の配列は既知であ
る。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づく増幅案が開発され、それはこれら
の遺伝子のそれぞれ1つに関して特異的なPCR産物の生成を可能にした。32
Pで標識されたこれらのPCR産物をプローブとして用い、約100〜150K
b長の陽性のクローンを同定する目的のためにヒトゲノムDNA PACライブ
ラリ及びヒトゲノムDNA BACライブラリをスクリーニングした。これらの
実験のための一般的戦略は他に(14)公開されている。ゲノムライブラリをナ
イロン膜上に二重にスポッティングし、陽性のクローンを(14)に記載されて
いる通りにサザンブロット分析によりさらに確かめた。 染色体19上のDNA配列 The Lawrence Livermore National Lab
oratoryはヒトゲノムの配列決定プロジェクトに参加し、染色体19の配
列決定に焦点を当てている。この染色体についての多くの配列決定の情報をth
e Lawrence Livermore National Labora
toryのウェブサイトにおいて利用できる(http://www−bio.
llnl.gov/genome/gemnome.html)。 染色体19q13.3−13.4上のある領域を包含する約300Kbのゲノ
ム配列をそのウェブサイトから入手し、そこで既知のカリクレイン遺伝子を位置
決定する。この300Kbの配列はいろいろな長さの8つのコンティグ(con
tigs)により示される。複数の異なるコンピュータープログラムを用いるこ
とにより、図1及び図28において劇的に示す通り、その領域のほとんど連続的
な配列を確立した。コンティグのいくつかはDNAの両鎖上の領域を再構築する
ために、図1に示す通りに逆転していた。 PSA、KLK2、NES1及びZymeの公開されている配列ならびに整列
戦略を用いるコンピューターソフトウェアBLAST 2を用いることにより、
連続地図上のこれらの遺伝子の相対的位置を同定した(図28)。これらの既知
の遺伝子はさらなる研究のための証明(hallmarks)として働いた。そ
の領域のEcoR1制限地図もLawrence Livermore Nat
ional Laboratoryのウェブサイトにおいて利用できる。この制
限地図及びコンピュータープログラムWebCutter(http://ww
.firstmarket.com/cutter/cut2.html)を
用い、入手可能な配列の制限研究分析を行い、染色体19に沿ったこれらのコン
ティグの指定及び相対的位置をさらに確かめた。得られた既知の遺伝子の立体配
置(configuration)及び相対的位置を図1に示す。 遺伝子予測分析 全ゲノム領域のエキソン予測分析のために複数の異なるコンピュータープログ
ラムを用いた。すべてのプログラムを最初にPSA、Zyme及びNES1遺伝
子の既知のゲノム配列を用いて試験した。より信頼できるコンピュータープログ
ラム、GeneBuilder(遺伝子予測)、GeneBuilder(エキ
ソン予測)、Grail2及びGENEID−3をさらに使用するために選んだ
。 タンパク質相同性探求 新規遺伝子の推定エキソンを最初に対応するアミノ酸配列に翻訳した。推定新
規遺伝子のエキソンによりコードされるタンパク質に関するBLAST相同性探
求をBLASTPプログラム及びGenbankデータベースを用いて行った。 結果 染色体19上におけるPSA、KLK2、Zyme及びNES1の相対的位置 ヒトBACライブラリのスクリーニングはZyme遺伝子に関して陽性の2つ
のクローンを同定した(クローンBAC 288H1及びBAC 76F7)。
これらのBACsをPCRならびにPSA、NES1、KLK1及びKLK2に
関して特異的なプライマーによりさらに分析した。これらの分析は、両方のBA
CsがZyme、PSA及びKLK2に関して陽性であり、KLK1及びNES
1遺伝子に関して陰性であることを示した。 ヒトPACゲノムライブラリのスクリーニングは、NES1に関して陽性であ
る1つのPACクローンを同定した(クローンPAC 34B1)。さらなるP
CR分析は、このPACクローンがNES1及びKLK1遺伝子に関して陽性で
あり、PSA、KLK2及びZymeに関して陰性であることを示した。この情
報をその領域のEcoR1制限地図と組み合わせると、これらの4つの遺伝子の
相対的位置を確定することができた。PSAは最も中心にあり、KLK2、Zy
me及びNES1が続いた。さらにこれらの遺伝子の既知の配列を300Kbの
コンティグと整列させると、4つのすべての遺伝子の正確な位置決定及び、図1
において矢印で示す通り、転写の方向の決定が可能になった。KLK1遺伝子配
列はこれらのコンティグのいずれの上においても同定されず、NES1よりさら
に末端にある(telomeric)ようである(それがNES1と同じPAC
上で一緒に位置決定されるから)。 新規な遺伝子の同定 問題のゲノム領域における新規な遺伝子の存在を考えるために、以下の通りに
1組の規則を用いた: 1.少なくとも3つのエキソンのクラスターが見いだされねばならなかった。 2.高い予測得点(探求プログラムにより示される「良い」又は「優れた」質)
を有するエキソンのみを推定新規遺伝子の構築のために考慮した。 3.予測されるェキソンは、それらが少なくとも2つの異なるエキソン予測プロ
グラムによって同定された場合のみに信頼され得た。 この戦略を用いることにより、11の推定新規遺伝子が同定され、その3つは
続く相同性分析で、前にマッピングされていない既知の遺伝子、すなわちヒト表
皮角質層キモトリプシン酵素(HSCCE)、ヒトニューロプシン及びトリプシ
ン−様セリンプロテアーゼ(TLSP)であることが見いだされた。それらの相
対的位置を図1に示す。5つの遺伝子はすべて既知のヒトもしくは動物カリクレ
インタンパク質及び/又は他の既知のセリンプロテアーゼといろいろの相同性を
有する(図1においてKLK−L1、KLK−L2、KLK−L3、KLK−L
4及びKLK−L5及び図28においてKLK−L1〜KLK−L6として描く
)。 表1〜5に、新しく同定された遺伝子のそれぞれ1つに関する予備的エキソン
構造及び部分的タンパク質配列を示す。表6に、予備的分析で推定新規遺伝子に
よりコードされるタンパク質に相同性であると思われるいくつかのタクパク質を
示す。配列番号2、3、14、22、23、44、45、57、58、59、6
0、66及び67は、KLK−L1〜KLK−L6のアミノ酸配列を示し、配列
番号1、13、21、43、56及び65はKLK−L1〜KLK−L6をコー
ドする遺伝子の核酸配列を示す。 議論 新しく配列決定されたDNAにおけるタンパク質−コード遺伝子の予測は、大
きなゲノム配列決定プロジェクトの確立の後、非常に重要になっている。この問
題は、多くの同じでない部分でコード配列を中断させている真核遺伝子のエキソ
ン−イントロン構造のために、複雑になっている。タンパク質−コードエキソン
及び全体的遺伝子構造を予測するために、複数のコンピュータープログラムが開
発された。これらのプログラムはすべて、可能的機能性シグナルと既知のタンパ
ク質−コード領域の全体的な統計的性質との組合わせに基づいている(15)。
しかしながら、遺伝子構造予測のための最も強力な方法は、可能的機能性シグナ
ル(スプライシング部位、翻訳開始もしくは停止シグナルなど)に関する情報を
、予測されるタンパク質と既知のタンパク質群の間の相同性に関する情報と共に
、コード配列の統計的性質(コーディングポテンシャル(coding pot
ential))と組み合わせることである(16)。 マウス及びラットにおいて、カリクレインは大きな多重遺伝子ファミリーによ
りコードされ、これらの遺伝子は3.3〜7.0Kbのような小さい距離で密集
して群になる傾向がある。ヒト染色体19q13.1−q13.4と、カリクレ
インの遺伝子座を含むマウス染色体7の20−cMの近位部分の17の遺伝子座
の間における遺伝子の順序(gene order)の強い保存が実証されてい
る(17)。 ヒトにおいては、数個のカリクレイン遺伝子が同定されたのみである。事実、
KLK1、KLK2及びKLK3(PSA)のみがヒトカリクレイン遺伝子ファ
ミリーを示すと考えられている(9)。本明細書に記載する研究は、多数のカリ
クレイン−様遺伝子が染色体19q13.2−q13.4当たりの300Kbの
領域内に密集している強い証拠を提供する。3つの確定されたヒトカリクレイン
(KLK1、KLK2、KLK3)、Zyme及びNES1、ならびに表皮角質
層キモトリプシン酵素、ニューロプシン及びTLSP(トリプシン−様セリンプ
ロテアーゼ)ならびに他の5つの新規な遺伝子、KLK−L1〜KLK−L5は
1つの大きな遺伝子ファミリーを構成し得る。これは染色体19のこの領域にお
けるカリクレイン又はカリクレイン−様遺伝子の合計数を13にするであろう。 ヒト表皮角質層キモトリプシン酵素(19)、ニューロプシン(20)及びト
リブシン−様セリンプロテアーゼ(TLSP)(21)は3つの以前に特性化さ
れた遺伝子であり、カリクレイン及びセリンプロテアーゼファミリーの他のメン
バーと多くの構造的類似性を有する。しかしながらそれらは過去にマッピングさ
れていない。カリクレイン遺伝子ファミリーの領域内におけるそれらの正確なマ
ッピングは、これらの3つの遺伝子が新しく同定されたもの、あるいは既知のも
のと共に、おそらく1つの祖先遺伝子の複製に由来するファミリーを構成するこ
とを示している。これらの遺伝子のすべての相対的位置決定を図1に描く。 カリクレイン遺伝子は、古典的にキニノーゲンからリシルーブラジキニン(カ
リジン)を放出するそれらの能力により特性化されたセリンプロテアーゼのサブ
ファミリーである(18)。しかしながらもっと最近、カリクレインを記述する
ために新しい構造的概念が生まれた。蓄積された配列データから、マウスがカリ
クレインコード配列に高い相同性を有する多くの遺伝子を有することが現在では
明らかである(19−20)。Richard及び共同研究者等は、これらの遺
伝子を言うために「カリクレイン多重遺伝子ファミリー」の概念を寄せた(co
ntributed)(21−22)。この定義は遺伝子産物の特定の酵素的機
能にあまり基づいておらず、それよりマウス染色体7へのその配列の相同性及び
それらの緊密な連鎖(linkage)に基づいている。ヒトにおいては、KL
K1のみがカリクレインの機能的定義を満たしている。KLK2はトリプシン−
様酵素活性を有し、KLK3(PSA)は非常に弱いキモトリプシン−様酵素活
性を有している。KLK2及びKLK3のこれらの活性は、前駆体から生物学的
に活性なペプチドを放出することが知られていない。より新しい定義に基づくと
、カリクレインファミリーのメンバーはカリクレイン酵素のための遺伝子のみで
なく、神経成長因子及び表皮成長因子の前駆体をプロセシングする酵素を含む他
の相同性プロテアーゼをコードする遺伝子をも含む(8)。従って、酵素カリク
レインとカリクレインもしくはカリクレイン−様遺伝子の間の明確な区別に注意
することが重要である。 研究を行う場合、「良い」又は「優れた」質を有すると予測されるエキソンの
みを考慮し、少なくとも2つの異なるプログラムによって予測されるエキソンの
みを考慮した。さらに、推定遺伝子の存在は、少なくとも3つのエキソンがその
領域において対等に(coordinately)密集している場合にみに考慮
した。これらの新規な遺伝子が実際に既知のカリクレイン及び他のセリンプロテ
アーゼに相同であるというさらなる証拠は、イントロン相の比較から生ずる。以
前に公開された通り(14)、トリプシノーゲン、PSA及びNES1は5つの
コードエキソンを有し、その第1はイントロン相I(イントロンがコドンの第1
のヌクレオトドの後に存在する)を有し、第2はイントロン相II(イントロン
が第2のヌクレオチド及びコドンの後に存在する)を有し、第3はインロトン相
Iを有し、第4はインロトン相0(イントロンがコドン間に存在する)を有する
。第5のエキソンは停止コドンを有する。予測される新規なカリクレイン−様遺
伝子のイントロン相はこれらの規則に従っており、それぞれの表に示されている
。さらなる支持は、表1〜5に示す通り、新規な遺伝子における、セリンプロテ
アーゼの触媒ドメイン(catalytic domain)の保存アミノ酸の
同定から生ずる。 コンピュータープログラムの精度を調べるために、PSA、Zyme及びKL
K2遺伝子を含有する既知のゲノム領域を試験した。これらのプログラムの2つ
(Grail2及びGeneBuilder)は調べた既知の遺伝子の約95%
を検出することができた。発現配列標識配列(expressed seque
nce tag sequences(EST)との一致も、GeneBuil
derプログラムにおいて遺伝子構造予測のために用いることができ、これは特
に高い緊縮(例えば>95%相同性)においてプログラムの力を有意に向上させ
ることができた。 マウスにおいて、カリクレイン遺伝子の中の10は偽遺伝子(pseudog
enes)であると思われる(9)。 実施例2 前立腺及び乳房組織におけるプロスターゼ/KLK−L1 プロスターゼ/KLK−L1遺伝子の細かいマッピング及び、やはり同じ領域
にマッピングされる複数の他の相同遺伝子に対するその染色体における位置決定
を記載する。さらに、前立腺(最も高い発現を示す)の他にプロスターゼ/KL
K−L1が女性の乳房、精巣、副腎、子宮、結腸、甲状腺、脳、脊髄及び唾液腺
においても発現されることを示す広範囲の組織発現研究を行った。さらに、乳癌
細胞系BT−474において、遺伝子はアンドロゲン及びプロゲスチンにより上
方−調節される(up−regulated)。 材料及び方法 染色体19上のDNA配列 染色体19に関する大きなDNA配列決定データをThe Lawrence
Livermore National Laboratory(LLNL)
のウェブサイトにおいて利用できる(http://www−bio.llnl
.gov/genome/genome.html)。染色体19q13.3−
13.4上のある領域を包含する約300Kbのゲノム配列をそのウェブサイト
から入手し、そこで既知のカリクレイン遺伝子を位置決定する。この配列はいろ
いろな長さの9つのコンティグにより示される。PSA、KLK2、NES1及
びプロテアーゼMの配列ならびに整列プログラムBLAST 2(37)を用い
ることにより、連続地図上のこれらの遺伝子の相対的位置を決定した。 遺伝子予測分析 全ゲノム領域のエキソン予測分析のために複数の異なるコンピュータープログ
ラムを用いた。これらのすべてのプログラムを最初にPSA、プロテアーゼM及
びNES1遺伝子の既知のゲノム配列を用いて試験した。最も信頼できるコンピ
ュータープログラム、GeneBuilder(遺伝子予測)[http://
125.itba.mi.cnr.it/−webgene/genebuil
der.html]、GeneBuilder(エキソン予測)[http:/
/125.itba.mi.cnr.it/−webgene/genebui
lder.html]、Grail2[http://compbio.orn
l.gov]及びGENEID−3[http://apolo.imim.e
s/geneid.htmll]をさらに使用するために選んだ。 タンパク質相同性探求 新しく同定される遺伝子の推定エキソンを最初に対応するアミノ酸配列に翻訳
した。エキソンによりコードされるタンパク質に関するBLAST相同性探求を
BLASTPプログラム及びGenbankデータベースを用いて行った(37
)。 発現配列標識(ESTs)の探求 配列相同性探求をNational Center for Biotech
nology Informationウェブサーバー(http://www
ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)上で、BLASTNアル
ゴリズム(37)を用い、ヒトESTデータベース(dbEST)に対して行っ
た。>95%相同性を有するクローンをResearch Genetics
Inc.Huntsville,Alを介してI.M.A.G.E.(38)協
会から、及びThe Institute for Genomic Rese
arch(TIGR)(http://WWW.TIGR.ORG/tdb/t
db.htlm)から得た(表7)。クローンを増殖させ、精製し、次いで自動
化シークエンサーを用い、挿入片−フランキングベクタープライマーを用いて両
方向から配列決定した。 乳癌細胞系及び刺激実験 乳癌細胞系BT−474をAmerican Type Culture C
ollection(ATCC),Rockville,MDから購入した。B
T−474細胞をプラスチックフラスコ中で、グルタミン(200ミリモル/L
)、ウシインスリン(10mg/L)、胎児ウシ血清(10%)、抗生物質及び
抗真菌剤が補足されたRPMI培地(Gibco BRL,Gaithersb
urg,MD)中で密集近くまで培養した。次いで細胞を24−ウェル組織培養
プレート中にアリコートとして入れ、50%密集まで培養した。実験の24時間
前に培地を、10%木炭−ストリップト(charcoal−stripped
)胎児ウシ血清を含有するフェノールレッド非含有培地に変えた。刺激実験のた
めに、100%のエタノール中に溶解された種々のステロイドホルモンを培地中
に10−8Mの最終的濃度で加えた。標準として100%エタノールで刺激され
た細胞を含めた。細胞を24時間培養し、次いでmRNA抽出のために収穫した
。 逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応 Trizol試薬(Gibco BRL)を用い、製造者の指示に従って乳癌
細胞から全RNAを抽出した。RNA濃度を分光光度測定により決定した。2μ
gの全RNAをSuperscriptTM予備増幅システム(Gibco B
RL)を用いて第1鎖cDNA中に逆転写した。最終的容積は20μlであった
。新規な遺伝子の予測ゲノム構造及びEST配列から得られる組合わされた情報
に基づき、2つの遺伝子−特異的プライマーを設計した(表8)。Perkin
−Elmer 9600 サーマルサイクラー上において、1μlのcDNA、
10mMのTris−HCl(pH8.3)、50mMのKCl、1.5mMの
MgCl、200μMのdNTP(デオキシヌクレオシドトリホスフェート
)、150ngのプライマー及び2.5単位のAmpliTag Gold D
NAポリメラーゼ(Roche Molecular Systems,Bra
nchburg,NJ,USA)を含有する反応混合物中でPCRを行った。サ
イクリング条件はTag Gold DNAポリメラーゼの活性化のために94
℃で9分間、続いて94℃で30秒間、63℃で1分間の43サイクル及び63
℃で10分間の最後の延長であった。等しい量のPCR産物を2%アガロースゲ
ル上で電気泳動させ、臭化エチジウム染色により視覚化した。ゲノムDNAによ
る汚染を避けるために、RT−PCRのためのすべてのプライマーは少なくとも
2つのエキソンに及んだ。 KLK−L1の組織発現 26種のヒト組織から単離された全RNAをClontech,Palo A
lto,CAから購入した。組織培養実験のためにcDNAを上記の通りに調製
し、表8に記載するプライマー(配列番号5〜12)を用いるPCR反応に用い
た。組織cDNAを種々の希釈において増幅した。 PCR産物のクローニング及び配列決定 PCR産物のアイデンティティーを確証するために、それらをpCR 2.1
−TOPOベクター(Invitrogen,Carlsbad.CA,USA
)中に、製造者の指示に従ってクローニングした。自動化DNAシークエンサー
により、ベクター−特異的プライマーを用いて、挿入片を両方向から配列決定し
た。 結果 プロスターゼ/KLK−L1遺伝子の同定 染色体19q13.3−q13.4当たりの300KbのDNA配列のエキソ
ン予測戦略は、セリンプロテアーゼの構造記憶(structure remi
niscent)を有する新規な遺伝子を同定した。この遺伝子の主な特徴は、
他のヒトカリクレイン遺伝子との、アミノ酸及びDNAレベルにおけるその相同
性;触媒トリアド(ヒスチジン、アスパラギン酸及びセリン)の保存、エキソン
の数及びイントロン相の完全な保存であった。 EST配列相同性探求 遺伝子予測プログラム(上記のような)から得られる推定エキソンのヒトES
Tデータベース(dbEST)に対するEST配列相同性探求は、遺伝子の推定
エキソンへの>95%の同一性を有する5つの発現配列標識(ESTs)を明ら
かにした(表7)。陽性のクローンを得、挿入片を両方向から配列決定した。整
列を用いてEST配列とコンピュータープログラムにより予測されるエキソンの
間の比較を行い、EST配列に従ってエキソン−イントロンスプライシング部位
の最終的選択を行った。さらに、ESTsの多くが重なっており、データの精度
をさらに保証した。 klk−L2遺伝子のコード配列を配列番号1及びGenBAnk Acce
ssion♯AF135023に示す。遺伝子のエキソンは以下の通りである:
エキソン1(939−999);エキソン2(2263−2425);エキソン
3(2847−3097);エキソン4(3181−3317);及びエキソン
5(4588−4740)。KLK−L2タンパク質のアミノ酸配列を配列番号
2及び3に示す。 プロスターゼ/KLK−L1遺伝子のマッピング及び染色体上の位置決定 プロスターゼ/KLK−L1配列及びLawrence Livermore
National Laboratoryで構築されたコンティグの300K
b領域内の他の既知のカリクレイン遺伝子の配列の整列は、すべての遺伝子の正
確な位置決定ならびに、図2に示すように、転写の方向の決定を可能にした。P
SA及びKLK2遺伝子の間の距離は12,508bpであると計算された。プ
ロスターゼ/KLK−L1遺伝子はKLK2より26,229bp末端にあり、
反対方向で転写される。zyme遺伝子はプロスターゼ遺伝子より約51Kb末
端にあり、同じ方向で転写される。ヒト表皮角質層キモトリプシン酵素遺伝子、
ニューロプシン遺伝子及びNES1遺伝子はすべてzymeよりさらに末端にあ
り、すべてzymeと同じ方向で転写される。 プロスターゼ/KLK−L1遺伝子の組織発現 プロスターゼ/KLK−L1遺伝子を発現する組織をRT−PCRにより評価
した。cDNAsの種々の希釈において実験を行い、発現の相対的レベルについ
てのいくつかの情報を得た。アクチンに関するRT−PCRを正の標準として用
い、PSA cDNAに関するRT−PCRを組織に束縛される特異性を有する
他の正の標準として用いた。プロスターゼ/KLK−L1に関して陽性のEST
をPCR法のための標準として用いた。PSA遺伝子は予想通り前立腺において
高度に発現され、やはり最近の文献報告(24、25)から予想される通り、乳
房及び唾液腺において比較的低い程度に発現されることが見いだされた。甲状腺
、気管及び精巣におけるPSAの非常に低い発現も見いだされ、それは他者(2
6)による最近のRT−PCRデータと一致する発見である。 プロスターゼ/KLK−L1の組織発現を表9及び図3にまとめる。このプロ
テアーゼは主に前立腺、精巣、副腎、子宮、甲状腺、結腸、中枢神経系及び乳房
組織において発現され、もっとずっと低いレベルで他の組織において発現される
。乳房、精巣及び前立腺組織からのPCR産物をクローニングし、それらを配列
決定することにより、RT−PCR法の特異性をプロスターゼ/KLK−L1に
関して確証した。乳房組織を用いた1つの例を図4に示す。クローニングされた
PCR産物のすべてがプロスターゼ/KLK−L1に関して報告されたcDNA
配列と配列において同じであった。 プロスターゼ/KLK−L1遺伝子のホルモン性調節 プロスターゼ/KLK−L1発現がステロイドホルモン調節下にあるか否かを
評価するために、ステロイドホルモンレセプター−陽性乳癌細胞系BT−474
をモデル系として用いた。図5に示す通り、標準は予想通りに働き、すなわちア
クチンはすべてのcDNAsにおいてホルモン調節なく正に働き、エストロゲン
のみがpS2遺伝子を上方−調節し、アンドロゲン及びプロゲスチンによりPS
A遺伝子が上方−調節された。プロスターゼ/KLK−L1はPSAに類似して
主にアンドロゲン及びプロゲスチンにより上方−調節された。この上方−調節は
用量−依存性であり、それは≧10−10Mのステロイドホルモンレベルにおい
て明らかであった。 議論 KLK3遺伝子は、現在利用できる最良の腫瘍マーカーに該当するタンパク質
であるPSAをコードする(24)。齧歯類にはあまり多くのカリクレイン遺伝
子があるので、ヒトにおいてこのファミリーがわずか3つの遺伝子に制限されて
いることは多少驚くべきことである。さらに最近、NES1(13)及びzym
e/プロテアーゼM/ニューロシン(10−12)を含む新規なカリクレイン遺
伝子の候補がヒトにおいて発見された。既知のカリクレイン及び新しく発見され
たカリクレイン−様遺伝子は以下の類似性を共有している:(a)それらはセリ
ンプロテアーゼをコードする、(b)それらは5つのコードエキソンを有してい
る、(c)それらは互いに有意なDNA及びタンパク質相同性を共有している、
(d)それらはすべてのマウスカリクレイン遺伝子が位置決定されているマウス
染色体7上のある領域に構造的に類似している領域である染色体19q13.3
−q13.4上の同じ遺伝子座内にマッピングされる、(e)それらはステロイ
ドホルモンにより調節されると思われる。プロスターゼ/KLK−L1は同じフ
ァミリーのメンバーであり、それは、これらの共通の特性が新しく発見された遺
伝子によっても共有されているからである。 KLK−L1遺伝子の正確な位置決定及びその領域における他の遺伝子に関す
るその位置(図2)を決定した。プロスターゼ/KLK−L1はKLK2とzy
meの間にある。 Irwin et al.(27)は、セリンプロテアーゼ遺伝子をイントロ
ンの位置に従って5つの異なる群に分類できることを提案している。確定された
カリクレイン(KLK1、KLK2及びPSA)、トリプシノーゲン及びキモト
リプシノーゲンは:(1)活性部位ヒスチジン残基のためのコドンからすぐ下流
のイントロン、(2)活性部位アスパラギン酸残基のためのコドンを含有するエ
キソンから下流の第2イントロンならびに(3)活性部位セリン残基のためのコ
ドンを含有するエキソンからすぐ上流の第3イントロンを有する1つの群に属す
る。図6においてわかる通り、プロスターゼ/KLK−L1遺伝子のゲノム体制
(genomic organization)はこの群の遺伝子に非常に類似
している。エキソン1〜5のコード部分の長さはそれぞれ61、163、263
、137及び153bpであり、それはカリクレイン遺伝子のエキソンの長さに
近いか、又は同じであり、NES1(14)、zyme/プロテアーゼM/ニュ
ーロシン(10−12)及びニューロプシン(28)遺伝子のような同じ染色体
領域における新しく発見された他の遺伝子のそれらに類似しているか、又は同じ
でもある。 感受性RT−PCR案は、KLK−L1酵素が前立腺組織において発現され、
それは精巣、女性の乳腺、副腎、子宮、甲状腺、結腸、脳、肺及び唾液腺を含む
他の組織においても有意な量で発現されることを明らかにした(図3及び表9)
。RT−PCRプライマーの特異性は得られるPCR産物の配列決定により確証
され、1つの例が図4に示されている(配列番号4)。乳癌細胞系BT−474
を用いる組織培養研究は、プロスターゼ/KLK−L1を生産するこれらの細胞
の能力のみでなく、そのホルモン性調節もさらに確証した(図5)。 染色体19q13.3上の相同遺伝子(PSA、KLK2、プロスターゼ、z
yme及びNES1)の群を含む興味深いテーマが現在発展している。結び付け
られたデータは、それらのすべてが前立腺及び乳房組織において発現され、それ
らのすべてがホルモン的に調節されることを示唆している。これらの遺伝子はす
べて、タンパク質分解を介して成長因子又はそれらのレセプター、あるいはサイ
トカインを調節することにより(正に、又は負に)、細胞増殖、分化又はアポプ
トシスにおいてある役割を果たすカスケード経路の一部であり得る(30)。遺
伝子座19q13の充実性腫瘍及び神経膠腫への連鎖(31)も興味深く、それ
はその領域内の遺伝子のいくつかが転位により崩壊され得る可能性を向上させる
。 KLK−1L遺伝子はセリンプロテアーゼをコードし、それはカリクレイン遺
伝子ファミリーの他のメンバーとの相同性を示し、同じ染色体位置にマッピング
される。カリクレインの多くの構造的特徴がプロスターゼ/KLK−L1におい
て保存されている。2つの既知の遺伝子KLK2及びzymeの間のこの遺伝子
の正確なマッピングを示す。プロスターゼ/KLK−L1が前立腺の他に、女性
の乳房を含む多くの組織において発現されることがさらに示されている。この遺
伝子は本明細書においてプロスターゼとも呼ばれる。乳癌細胞系を用いて、これ
らの細胞によりプロスターゼ/KLK−L1が生産され得ること、ならびにその
発現がアンドロゲン及びプロゲスチンにより有意に上方一調節されることがさら
に示された。その領域における他の相同遺伝子(PSA、zyme及びNES1
)に関する情報に基づくと、プロスターゼ/KLK−L1は前立腺癌、乳癌及び
おそらく他の癌の発病及び/又は進行に含まれ得る。 実施例3 KLK−L2遺伝子の同定 材料および方法 染色体19のDNAシークエンシング 染色体19q13.3−q13.4上の約300kbのヌクレオチドのシーク
エンシングデータは、ローレンス リバーモア ナショナルラボラトリー(La
wrence Livermore National Laboratory
(LLNL)のウェッブサイト(http://www.bio.llnl.g
ov/genome/genome.html)から得た。配列は異なる長さの
9連続状態であった。利用可能な配列の制限分析は、“WebCutter”コ
ンピュータープログラム(http://www.firstmarket.c
om/cutter/cut2.html)を使用して行い、そしてこの領域の
EcoR1制限マップ(LLNLウェッブサイトから利用可能)によりほとんど
連続するゲノム配列の延長物を構築した。既知のカリクレイン遺伝子の相対的位
置:PSA(GeneBank寄託番号#X14810)、KLK2(Gene
Bank寄託番号#M18157)、およびザイム(GeneBank寄託番号
#U60801)を整列プログラムBLAST2(37)を利用して決定した。
新たな遺伝子同定多数のコンピュータープログラムを使用して、目的遺伝子領域
内に推定される新たな遺伝子の存在を予測した。このようなプログラムは最初に
PSA、プロテアーゼMおよびNES1遺伝子の既知の遺伝子配列を使用して試
験した。最も信頼できるコンピュータープログラムGeneBuilder(遺
伝子推定)(http://125.itba.mi.cnr.it/−web
gene/genebuilder.html)GeneBuilder(エキ
ソン推定)(http://125.itba.mi.cnr.it/−web
gene/genebuilder.html)、Grail2(http:/
/compbio.ornl.gov)およびGENEID−3(http:/
/apolo.imim.es/geneid.html)をさらなる使用に選
択した。発現した配列タグ(EST)調査推定上の新規遺伝子の予想されるエキ
ソンは、ヒトのESTデータベース(dbEST)に対して国立バイオテクノロ
ジーセンター情報ウェッブサーバー(http://www.ncbi.nlm
.nih.gov/BLAST/)でBLASTNアルゴリズム(37)を使用
した相同性調査にかけた。95%より高い相同性を持つクローンが、アラバマ州
、ハントスヴィルのリサーチジェネティック社(Research Genet
ics Inc.)を通してI.M.A.G.Eコンソーシアム(38)から得
られた(表10)。このクローンを増殖させ、精製し、そして自動化シークエン
サーで挿入物−フランキングベクタープライマーを使用して両方向からシークエ
ンシングした。cDNA末端の迅速な増幅(5’RACE)EST配列データお
よび予想される遺伝子の構造に従い、2つの遺伝子−特異的プライマーを設計し
た(R1&R2)(表11)。2回のRACE反応(ネスティッド(neste
d)PCR)を、ヒト精巣の5μlのMarathon Ready(商標)c
DNA(クローンテック(Clontech)、ポロ アルト、カリフォルニア
州、米国)を鋳型として用いて行った。反応混合物およびPCR条件は、製造元
の推薦に従い行った。簡単に説明すると、第1反応については変性を94℃で5
分間、続いて94℃で5秒間、続いて72℃で2分間を5サイクル、次に94℃
で5秒間、続いて70℃で2分間を5サイクル、次に94℃で5秒間、続いて6
5℃で2分間を30サイクル、そしてネスティッドPCR反応については25サ
イクル行った。 組織発現 26の異なるヒト組織から単離した全RNAは、カリフォルニア州のポロアル
トのクローンテック(Clontech)から購入した。cDNAは組織培養実
験用に以下に記載するように調製し、そして表11(配列番号9〜12、15〜
20)に記載するプライマーを用いてPCR反応に使用した。組織cDNAは様
々な希釈状態で増幅した。 胸部ガン細胞系およびホルモン刺激実験 胸部ガン細胞系BT−474は、メリーランド州、ロックビルのアメリカンタ
イプカルチャーコレクション(ATCC)から購入した。細胞は、グルタミン(
200ミリモル/リットル)、ウシインスリン(10mg/リットル)、ウシ胎
児血清(10%)、抗生物質および抗菌剤を補充したRPMI培地(ギブコ(G
ibco)BRL、ゲチスバーグ、メリーランド州)中で、プラスチックフラス
コ内で集密近くまで培養した。次いで細胞を24−ウェルの組織培養プレートに
分け、そして50%の集密度まで培養した。実験の24時間前、培養基は10%
の活性炭で処理したウシ胎児血清を含むフェノールレッドを含まない培地に変え
た。刺激実験には、100%エタノールに溶解した種々のステロイドホルモンを
培養基に最終濃度10・・Mで加えた。100%エタノールで刺激した細胞を対
照として含めた。細胞を24時間培養し、次いでmRNA抽出のために回収した
。 逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応 全RNAは、Trizol試薬(ギブコBRL)を製造元の指示に従い使用し
て胸部ガン細胞から抽出した。RNA濃度は分光光度的に測定した。2μgの全
RNAは、Superscript(商標)前増幅系(ギブコBRL)を使用し
て第1鎖cDNAに逆転写した。最終容量は20μlであった。新規遺伝子の推
定されるゲノム構造およびEST配列から得た合わせた情報に基づき、2つの遺
伝子−特異的プライマーを設計し(表11)、そしてPCRは1μのcDNA、
10mM Tris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、1.5mM
MgCl・、200μM sNTPs(デオキシヌクレオシド三リン酸)、15
0ngのプライマーおよび2.5単位のAmpliTaq Gold DNAポ
リメラーゼ(ロッシュ モレキュラー システムズ(Roche Molecu
lar Systems)、ブランチバーグ、ニュージャジー州、米国)を含む
反応混合物中で、パーキンエルマー(Perkin−Elmer)9600熱循
環器で行った。サイクル条件は、TaqGold DNAポリメラーゼを活性化
するために94℃で9分間、続いて43サイクルの94℃で30秒63℃で1分
、そして最終延長は63℃で10分間であった。等量のPCR生成物を2%アガ
ロースゲルで電気泳動し、そしてエチジウムブロマイド染色により視覚化した。
RT−PCR用のすべてのプライマーが、少なくとも2エキソンに広がり、ゲノ
ムDNAによる混入を回避した。 PCR生成物の同一性を確認するために、PCR生成物は製造元の指示に従い
pCR2.1−TOPOベクター(インビトロゲン(Invitrogen)、
カールスバーグ、カリフォルニア州、米国)にクローン化した。挿入物はベクタ
ー−特異的プライマーを使用して、自動化DNAシークエンサーで両方向からシ
ークエンシングした。 構造分析 多くの整列は、fip://fip.ebi.ac.uk/pub/soft
ware/dos/clustalw/clustalx/(clustalx
l.64b.msw.exe)から利用できるClustal X ソフトウェ
アパッケージおよびバイラー医科大学(Baylor College of
Medicine)(BCM)、ハウストン、テキサス州、米国[kiwi.i
mgen.bcm.tmc.edu:8808/search−launche
r/launcher/html)から利用可能な多整列プログラムを使用して
行った。系統発生的研究は、http://evolution.geneti
cs.wadhington.edu/phylip/getme.htmlで
利用できるPhylipソフトウェアパッケージを使用して行った。ディスタン
スマトリックス分析は、“Neighbor−joining/UPGMA”プ
ログラムを使用して行い、そしてパルシモニー(parsimony)分析は“
Protpars”プログラムを使用して行った。疎水性の研究は、BCMサー
チロウンチャープログラム(http://dot.imgen.bcm.tm
c.edu:993/seq−search/struc−predict.h
tml)を使用して行った。シグナルペプチドは“SignalP”サーバー(
http://www.cbs.dtu.dk/services/signa
l)を使用して予想した。タンパク質構造分析は“SAPS”(タンパク質配列
の構造分析)プログラム(http://dot.imgen.bcm.tmc
.edu:993/seq−search/struc−predict.ht
ml)を使用して行った。 結果 ゲノム配列のコンピューター分析では、4つのエキソンから成る推定上の新規
遺伝子が示された。この遺伝子は使用したすべてのプログラムにより検出され、
そしてすべてのエキソンが高い予測値を有した。推定されるエキソンのヒトES
Tデータベース(dbEST)に対するEST配列相同性調査では、推定される
エキソンの遺伝子に対して95%より高い同一性を有する異なる組織に由来する
9つの発現した配列タグ(EST)クローンが明らかとなった(表10)。陽性
クローンを得、そして挿入物を両方向からシークエンシングした。“BLAST
2配列”プログラムを使用して、EST配列を予想されたエキソンと比較し、そ
してEST配列に従いエキソン−イントロンスプライス部位の最終選択を行った
。種々のEST配列間の多くの重複領域の存在は、新規遺伝子の構造のさらなる
確認を可能とした。この遺伝子のコード配列を配列番号13およびGeneBa
nk寄託番号#AF135028に示す。遺伝子の3’末端は、2つの配列決定
したESTの末端でゲノム配列には存在しないポリAストレッチの存在により確
認された。配列決定したESTの1つにより、5’末端にさらなるエキソンの存
在が明らかとなった。このエキソンのヌクレオチド配列は、ゲノム配列と正に合
う。この遺伝子の5’末端をさらに同定するために5’RACEを行ったが、さ
らなる配列は得られなかった。しかし他のカリクレインの場合と同様に、さらな
に上流の非翻訳エキソン(1つまたは複数)を排除することはできなかった。K
LK−L2のアミノ酸配列を配列番号14に示す。 KLK−L2遺伝子のマッピングおよび染色体位置の決定 KLK−L2遺伝子および他の既知のカリクレイン遺伝子の配列を目的領域の
300Kb内で整列すると、図8の矢印で示すようにすべての遺伝子の正しい位
置および転写の方向を決定することが可能になる。PSA遺伝子は、KLK2か
ら12.508塩基対(bp)離れて最も原動体に近く、そして両遺伝子が同じ
方向に転写されることが分かった(セントロメアからテロメア)。プロスターゼ
/KLK−L1遺伝子は、26,229bpテロメアに近く、反対方向に転写さ
れ、KLK−L2が続く。KLK−L1とKLK−L2との間の距離は、約35
キロベース(Kb)である。ザイム遺伝子は5,981bpテロメアに近く、そ
してこれら3つの遺伝子は同じ方向に転写される(図8)。 KLK−L2遺伝子の構造の特徴づけおよびそのタンパク質産物 図7に提示されるようなKLK−L2遺伝子は、第19染色体q13.3−q
13.4上のゲノム配列の9,349bpの領域に広がる5個のコーディングエ
キソンおよび4個の介在イントロンから形成される。エキソンの長さはそれぞれ
73、262、257、134および156bpである。イントロン/エキソン
スプライス部位(mGT....AGm)およびそれらの隣接配列は、コンセン
サススプライス部位(−mGTAAGT...CAGm−)に緊密に関係する(
32)。KLK−L2遺伝子の推定に基づくタンパク質コーディング領域は、3
2kDaの予測される分子量をもつ推定される293アミノ酸のポリペプチドを
コードする879bpのヌクレオチド配列から形成される。予測される第一エキ
ソンの位置1および25に、2個の潜在的翻訳開始コドン(ATG)が存在する
(番号は配列番号13およびジェンバンク(GenBank)受託番号AF13
5028を指す)。第一のATGが開始コドンであろうと想定される。なぜなら
:(1)そのコドンの隣接配列(GCGGCCATGG)は、翻訳の開始のため
のコザックコンセンサス配列(GCC A/G CCATGG)(33)と緊密
に合致し、そして相同なザイム(zyme)遺伝子のものと正確に同一であるか
らである。この開始コドンでのN末端の推定のシグナル配列は、他のトリプシン
様セリンプロテアーゼ(プロスターゼおよびEMSP)に類似である(図9)。
cDNAは、ポリAテールの11bp上流に配置される保存されたポリアデニル
酸化シグナル(AATAAA)を含有する3’非翻訳領域の328bpで(ザイ
ムのポリAテールのものと正確に同一の位置で)終了する(11)。 KLK−L2遺伝子の疎水性研究は該タンパク質のN末端領域中に1個の疎水
性領域を示し(図10)、仮定されるシグナルペプチドが存在することを示唆し
ている。コンピュータ解析により、29アミノ酸のシグナルペプチドが予測され
、Ala29のカルボキシル端が切断部位である。KLK−L2タンパク質の予
測される構造モチーフのより良好な特徴付けのため、それをカリクレイン多遺伝
子ファミリーの他のメンバーと整列し、(図9)、そして予測されたシグナルペ
プチド切断部位がザイム(11)、KLK1(1)、KLK2(8)およびKL
K−L1の予測されたシグナル切断部位と合致することが見出された。また、配
列の整列は、類推によって、Ser66のカルボキシル端の切断部位の存在を支
持し、これは図9に整列される全部の他のカリクレインの活性化ペプチドの切断
について予測された正確な部位である。興味深いことに、成熟タンパク質の開始
するアミノ酸配列(IING(S)DC)が、プロスターゼおよびエナメルマト
リックスセリンプロティナーゼ1(EMSP)の遺伝子中で保存されている。従
って、他のカリクレインと同様、KLK−L2は、N末端シグナルペプチド(プ
レチモーゲン)、次いで活性化ペプチドおよび酵素ドメインを含有するプレプロ
酵素として合成されることもまたありそうである。 位置239のアスパラギン酸(D)の存在は、KLK−L2が、他のカリクレ
イン(例えばKLK1、KLK2、TLSP、ニューロプシン、ザイム、プロテ
アーゼおよびEMSP)の大部分と同様しかし対応する位置にセリン(S)残基
を有しかつキモトリプシン様活性を有することが既知であるPSAと異なる、ト
リプシン様切断パターンを所有するであろうことを示唆している(図9)。図9
中の点線を付けられた領域は、古典的カリクレイン(PSA、KLK1およびK
LK2)に特徴的しかしKLK−L2もしくはカリクレイン様遺伝子ファミリー
の他のメンバーで見出されない11アミノ酸のループを示す(11)。 カリクレイン多遺伝子ファミリーとの相同性 予測されたタンパク質の成熟の227アミノ酸配列を、「BLASTP」およ
び「BLAST2配列」プログラムを使用して、ジェンバンク(GenBank
)データベースおよび既知のカリクレインに対し整列した。KLK−L2はエナ
メルマトリックスセリンプロテイナーゼ1(EMSP1)遺伝子と54%のアミ
ノ酸配列の同一性および68%の類似性、トリプシン様セリンプロテアーゼ(T
LSP)およびニューロプシン双方の遺伝子と50%の同一性、ならびに、トリ
プシノーゲン、ザイムおよびPSA遺伝子とそれぞれ47%、46%および42
%の同一性を有することが見出されている。複数の整列研究は、セリンプロテア
ーゼの典型的な触媒三つ組残基がKLK−L2遺伝子中で保存されており(H
08、D153およびS245)、そして全部の他のカリクレインでの場合のよ
うに、十分に保存されたペプチドモチーフが触媒三つ組残基のアミノ酸残基の周
囲で見出される[すなわち、ヒスチジン(WLLTAAHC)、セリン(GDS
GGP)およびアスパラギン酸(DLMLI)]ことを示す(10、11)。 推定の成熟KLK−L2タンパク質中に12のシステイン残基が存在し、それ
らの10個は図9に整列されている全部のセリンプロテアーゼ中で保存されてお
り、そしてジスルフィド橋を形成すると期待することができる。他の2個のシス
テイン(C178およびC279)は、PSA、KLK1、KLK2もしくはト
リプシノーゲン中に見出されないが、しかしながら、それらはプロスターゼ、E
MSP1、ザイム、ニューロプシンおよびTLSP遺伝子中の類似の位置で見出
され、そして付加的なジスルフィド結合を形成すると期待される。セリンプロテ
アーゼの活性部位を取り巻く29個の「不変」アミノ酸が記述されている(39
)。これらのうち、26個はKLK−L2で保存されている。保存されないアミ
ノ酸の1つ(Proの代わりにSer210)はプロスターゼおよびEMSP1
遺伝子中でもまた見出され、第二のもの(Valの代わりにLeu103)はT
LSP遺伝子中でもまた見出され、そして第三のもの(Leuの代わりにVal
174)はプロスターゼもしくはEMSP1遺伝子中でもまた保存されていない
。タンパク質の進化の研究によれば、これらのアミノ酸変化のそれぞれは同一群
のタンパク質への保存された進化的置換を表す(39)。 KLK−L2遺伝子の進化 他のセリンプロテアーゼとのKLK−L2遺伝子の系統発生的関係を予測する
ため、「クラスタル(Clustal)X」多整列プログラムを使用してカリク
レイン遺伝子のアミノ酸配列を一緒に整列し、そして近隣結合(Neighbo
r−joining)/UPGMA法を使用して距離マトリックス樹を予測した
(図10)。系統発生的解析は、古典的カリクレイン(KLK1、KLK2およ
びPSA)を分離し、そしてKLK−L2をKLK−L1、EMSP1およびT
LSPとともにグループ分けした(40、41)。 KLK−L2遺伝子の組織発現 表12および図11に示されるとおり、KLK−L2遺伝子は脳、乳腺および
精巣で主に発現されるが、しかし、より低レベルの発現が多くの他の組織中で見
出されている。RT−PCRの特異性を確かめるため、PCR産物をクローン化
かつ配列決定した。 KLK−L2遺伝子のホルモン調節 KLK−L2遺伝子がステロイドホルモン調節下にあるかどうかを確かめるの
に、ステロイドホルモン受容体陽性の乳癌細胞系(BT−474)をモデルとし
て使用した。アンドロゲンおよびプロゲスチンによりアップレギュレートされる
ことが既知の対照としてPSAを、また、エストロゲンにアップレギュレートさ
れる対照としてpS2を使用した。結果は、KLK−L2がエストロゲンおよび
プロゲスチンによりアップレギュレートされることを示す(図12)。 卵巣組織中でのKLK−L2の発現 KLK−L2は卵巣腫瘍中でアップレギュレート(過剰発現)されている(図
13)。 考察 遺伝子予測のためのコンピュータプログラムおよび利用可能なESTデータベ
ースの助けを借りて、KLK−L2(カリクレイン様遺伝子2について)と命名
された新たな遺伝子を同定した。ゲノム配列中で見出されなかった配列決定され
たEST中の「ポリA」ストレッチの存在により該遺伝子の3’端を確かめ、ま
た、十分に保存されたコンセンサスのコザック配列中の開始コドンの存在により
翻訳の開始を同定した。 他のカリクレインでの場合にそうであるとおり、KLK−L2遺伝子は5個の
コーディングエキソンおよび4個の介在イントロンから構成され、そして、第二
のコーディングエキソンを除き、エキソンの長さはカリクレイン遺伝子ファミリ
ーの他のメンバーのものに匹敵する(図6)。エキソン−イントロンのスプライ
ス部位を、EST配列とゲノム配列を比較することにより同定し、そして、図6
に示されるとおり、コンセンサスのスプライス配列(−mGT......AG
m−)(32)の保存および完全に保存されたイントロン相によりさらに確認し
た。さらに、異なるエキソンに関する触媒三つ組残基の残基の位置もまた保存さ
れている(図6)。PSAおよびHSCCEを除いた大部分の他のカリクレイン
での場合にそうであるとおり、KLK−L2はキモトリプシンよりもトリプシン
により機能的に関係する(34)。KLK−L2の広範な組織発現は驚くことで
ないはずである。なぜなら、ノーザンブロット分析の代わりにより感受性のRT
−PCR技術を使用することにより、多くのカリクレイン遺伝子が、唾液腺、腎
、膵、脳および生殖系の組織(子宮、乳腺、卵巣および精巣)を包含する広範な
組織中で発現されていることが見出されたからである(34)。KLK−L2は
脳で高度に発現されている。別のカリクレイン、ニューロプシンもまた脳で高度
に発現されていることが見出され、そしてマウスの神経の可塑性で重要な役割を
有することが示されている(35)。また、ザイム遺伝子は脳で高度に発現され
ており、そしてアミロイドを発生させる潜在能力を有するようである(11)。
一緒にすれば、これらのデータは、中枢神経系におけるKLK−L2の可能な役
割を指す。 当初、各カリクレイン酵素は1個の特異的な生理学的基質を有すると考えられ
ていた。しかしながら、精製されたタンパク質がインビトロで切断することがで
きる基質の増大する数は、それらが多様な組織もしくは生理学的環境において多
様な機能を実施しているかも知れないという示唆につながっている。セリンプロ
テアーゼは、消化、組織の再建、血液凝固などに関与するタンパク質切断酵素を
コードし、そして、カリクレイン遺伝子の多くはプロペプチドの切断により活性
化されなくてはならない前駆体タンパク質として合成される。KLK−L2の予
測されるトリプシン様切断特異性はそれを他のカリクレインの候補の活性物質に
するか、もしくは、それは線維素溶解および血液凝固で見出されるものに類似の
酵素反応の「カスケード」に関与しているかも知れない(36)。 結論として、ヒトカリクレイン遺伝子ファミリーの新たなメンバー、KLK−
L2が特徴づけられた。この遺伝子はホルモン的に調節され、また、それは脳、
乳腺および精巣で主に発現されている。KLK−L2は腫瘍マーカーとして有用
であるかも知れない。 実施例4 材料および方法 新遺伝子発見のための戦略 染色体19q13.3−q13.4周辺の約300kbの配列決定データは、
Lawrence Livermore National Laborato
ry(LLNL)のウェブ・サイト(http://www−bio.llnl
.gov/genome/genome.html)から得られた。種々のコン
ピュータープログラムが、既に述べたように推定される新遺伝子の予測のために
使用された。 KLK−L3cDNAのためのRT−PCR 26種の異なるヒト組織から単離された全RNAは、Clontech,Pa
lo Alto.CAから購入された。cDNAは下記のように調製され、そし
てPCR増幅のために使用された。プライマーセット(L3−F1およびL3−
R1)は、組織中の遺伝子の存在を同定するために使用され、そしてリバースプ
ライマー(L3−R1)は、遺伝子の完全cDNAを増幅し、クローン化するた
めにその他のプライマー(L3−F2)とともに使用された。これらのプライマ
ー配列は表13に示される(配列番号:9−12,24−26)。組織cDNA
が種々の希釈において増幅された。 逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応 全RNA2μgが、SuperscriptTM予備増幅系(Gibco B
Rl,Gaithersburg,MD)を用いて第1鎖cDNA中に逆転写さ
れた。最終容量は20μlであった。新遺伝子の予測ゲノム構造およびEST配
列から得られる合体された情報に基づいて、2種の遺伝子特異的プライマー(L
3−F1およびL3−R1)が設計され(表13,配列番号:9−12,24−
26)、そしてPCRが、Perkin−Elmer 9600サーマルサイク
ラーにおいて、cDNA1μl、10mMTris−HCl(pH8.3)、5
0mMKCl、1.5mMMgCl、200μMdNTP(デオキシヌクレオ
シド三リン酸)、プライマー150mgおよびAmpliTaq Gold D
NAポリメラーゼ(Roche Molecular Systems,Bra
nchburg,NJ,USA)2.5ユニットを含有する反応混合液中で実施
された。サイクリング条件は94℃で9分間、続いて94℃30秒間の43サイ
クル、63℃1分間、および63℃10分間の最終伸長であった。等量のPCR
生成物が、2%アガロースゲル上で電気泳動され、そして臭化エチジウム染色に
よって可視化された。RT−PCRのためのすべてのプライマーは、ゲノムDN
Aによる汚染を避けるために少なくとも2エクソンにわたった。 乳がん細胞系およびホルモン刺激実験 乳がん細胞系BT−474はAmerican Type Culture Collection(ATCC),Rockville,MDから購入された
。細胞は、プラスチックフラスコにおいて、グルタミン(200mmol/L)
、ウシ・インスリン(10mg/ml)、胎児ウシ血清(10%)、抗生物質お
よび抗カビ剤を補足されたRPMI培地(Gibco BRl,Gaither
sburg,MD)中で集密近くまで培養された。次いで、細胞は24穴組織培
養プレート中に一定量添加され、そして50%集密まで培養され、実験24時間
前に培養培地は、10%木炭−ストリップされた(stripped)胎児ウシ
血清を含有するフェノールレッド不含培地に変えられた。刺激実験では、100
%エタノールに溶解された種々のステロイドホルモンが、最終濃度10−8Mに
おいて培養培地に添加された。100%エタノールにより刺激された細胞が対照
として培養された。細胞は24時間培養され、次いで、Trizol法(Gib
co BRl)による全RNA抽出のために収穫された。cDNAが調製され、
そして上記のように増幅された。対照遺伝子(PSA、pS2およびアクチン)
は既に明細書に記述されたように増幅された。 PCR生成物のクローニングおよび配列決定 PCR生成物の同定を立証するために、それらがpCR2.1−TOPOベク
ター(Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)中に製造者の
指示にしたがってクローン化された。インサートは自動DNAシーケンサーによ
り、ベクター特異的プライマーを用いて両方向から配列決定された。 ヒトゲノムDNAライブラリーからのポジティブPACおよびBACゲノムク
ローンの同定 プライマーセットZISおよびZIAS(表14、配列番号:27−42)を
用いて生成されたPCR生成物は精製され、次いで、ランダムプライマー法(S
ambrook,前出)によって32Pでラベルされ、そしてポジティブクロー
ンの同定のためにナイロン膜上に並列でスポットされたヒトゲノムDNA BA
Cライブラリーをスクリーニングするためにプローブとして使用された。フィル
ターは、15%ホルムアミド、500mMNaHPO、7%SDS、1%B
SA(w/v)中で65℃で一夜ハイブリダイズされ、次いで、0.1%SDS
を含有する2X SSC,1X SSC,0.2X SSCにより連続して65
℃において洗浄され、次いで、前記(Sambrook,前出)のようにX線フ
ィルムに暴露された。ポジティブクローンが得られ、選択用LB培地に塗布され
、次いで、単一クローンが一夜培養のためのLBブロスに移植された。NES1
についてポジティブなPACクローンが他に記述されるもの(14)と類似の方
法によって同定された。PACおよびBACライブラリーはde Jongら(
42)によって構築された。BACおよびPAC DNAの精製は、急速アルカ
リ溶解ミニプレプ(miniprep)法によって実施されたが、これは標準Q
iagen−Tip法の変法である。さらに、ポジティブクローンは前記(Sa
mbrook,前出)のようにサザンブロット解析によって確認された。 cDNA末端の5’急速増幅(5’RACE) KLK−L3遺伝子のEST配列およびコンピューター推定構造にしたがって
、2種の遺伝子特異的プライマーが設計された。2ラウンドのRACE反応(ネ
ストPCR)は、鋳型としてヒト精巣のMarathon ReadyTMcD
NA(Clontech)5μlを用いて遂行された。反応混合液および条件は
製造者の推薦にしたがって選択された。ポジティブバンドは、製造者の推薦にし
たがってQiagenゲル精製キットを用いてゲル精製された。 ゲノムDNAからの他の遺伝子の遺伝子特異的増幅 前立腺特異抗原(PSA)、ヒト腎臓カリクレイン(KLK1)、ヒト小腺カ
リクレイン(KLK2)、正常上皮細胞特異的I遺伝子(NESI)、KLK−
L1,KLK−L2およびzyme遺伝子の公表された配列にしたがって、遺伝
子特異的プライマーがこれらの遺伝子の各々について設計され(表14)、そし
てポリメラーゼ連鎖(PCR)に基づく増幅プロトコールを開発したが、これは
鋳型としてゲノムDNAを用いる特異的PCR生成物を生成することを可能にし
た。PCR反応は65℃のアニーリング/伸長温度を用いることによって上記の
ように実施された。 構造解析研究 多重整列は、ftp://ftp.ebi.ac.uk/pub/softw
are/dos/clustalx/(clustalw/clustalxl
.64.msw.exe)において利用できるclustalXソフトウエアパ
ッケージおよびBaylor Colege of Medicine(BCM
)search launcher(kiwi.imgen.bem.tmc.
edu:8808/search−launcher/launcher/ht
ml)から得られる多重整列プログラムを用いて遂行された。系統発生的研究は
、(http://evolution.genetics.washingt
on.edu/phylip/getme.html)から得られるPhyli
pソフトウエアパッケージを用いて遂行された。ディスタンスマトリックス解析
は、「Neighbor−Joining/UPGMA」プログラムを用いて遂
行され、そして節減解析は、「Prompters」プログラムを用いて行われ
た。疎水性研究は、BCMsearch launcherプログラム(htt
p://dot.imgen.bcm.tmc.edu:9331/seq−s
earch/struc−predict.html)を用いて遂行された。シ
グナルペプチドはSignalP WWW serve(http://www
.cbs.dtu.dk/services/signal)を用いて予測され
た。タンパク質構造解析は、SAPS(タンパク質配列の構造解析)プログラム
http://dot.imgen.bcm.tmc.edu:9331/s
eq−search/struc−predict.html)によおて遂行さ
れた。 結果: 染色体19q13.3−q13.4におけるヒト・カリクレイン座の隣接地図
の構築 ヒト染色体19q13.3−q13.4座(提案されたカリクレイン座)周辺
の配列情報は、Lawrence Livermore National L
aboratoryウェブサイトにおいて利用できる。長さ焼く300kbの配
列が得られた。これらの配列は種々の長さのコンティグの形態において存在した
。contigの制限解析研究は、種々のコンピュータープログラムを用いて実
施された。LLNLウエブサイトにおいてまた利用できるこの領域のEcoRI
制限地図によって、これらのcontigの相対的位置が、互いに関して定めら
れた。あるコンティグは重複していて、隣接するセグメントの構築を可能にした
;しかしながら、3個のギャップ(gap)が存在した。GenBankデータ
ベース(37)に対するこれらのはセグメントの<BLAST>解析は、2種の
古典的なカリクレイン、すなわち定義されるべきPSAおよびKLK2の正確な
配置を可能にした。カリクレイン遺伝子と同族である他の新しく発見されたセリ
ンプロテアーゼ、すなわちプロテアーゼM/zyme/ニューロシン(neur
osin)(10,11,12)、ヒト角質層キモトリプシン酵素(HSSCE
)(55)、ニューロプシン(neuropsin)(28)、正常上皮細胞−
特異的1遺伝子(NES1)(13)、トリプシン様セリンプロテアーゼ(TL
SP)(GenBankアクセス#AF164623)、KLK−L1(配列番
号:1)およびKLK−L2(配列番号:13)が位置決定された。300kb
ゲノム配列におけるギャップは部分的に次のように充たされた: (a)第1ギャップのマージン(margin)は、KLK2遺伝子の5’お
よび3’末端を含有することが分かった;このギャップは、KLK2遺伝子(G
enBankアクセス#M18157)のゲノム構造により充たされた。 (b)第3ギャップ(ギャップはセントロメアからテロメアに対して数えられ
る)のマージンは、zyme遺伝子mRNA配列の5’および3’末端をもつこ
とが分かった;かくしてzyme遺伝子に特異的な放射能標識プローブがヒトB
ACライブラリーをスクリーニングするために使用され、そして2つのポジティ
ブクローンが得られた。制限解析、続いてサザンブロッティングが実施され、z
yme遺伝子を含有するフラグメントが得られ、そして配列決定され、かくして
このギャップは充たされた。 (c)第2のギャップ(KLK−L1とKLK−L2の間)が、なお存在し、
そしてこの領域のEcoRI制限地図がその長さの近似的決定のために使用され
た(図14)。 これらの遺伝子の相対的位置についてのさらなる支持は、ゲノムDNAクロー
ンをスクリーニングするための遺伝子−特異的プライマーを用いてPCR反応を
行うことによって得られた。遺伝子(PAS,KLK2、KLK−L1、KLK
−L2およびzyme)のほとんどのセントロメア群が、1個のゲノムBACク
ローンに群がっていることが見いだされ、そして次の群(HSCCE,ニューロ
プシン、KLK−L3およびNES1)は、図14のデータから示されるように
、その他のクローン中に一緒に群がっていることが分かった。 KLK−L3遺伝子のクローニング 3個のエクソンから形成される推定される新遺伝子は、ゲノム配列のコンピュ
ーター解析によって予測された。予測されたエクソンは、ヒトESTデータベー
ス(dbEST)に対して配列相同性検索にかけられ、そして予測された遺伝子
と99%相同性を示すESTクローン(GenBankアクセス#AA5839
08)を明らかにした。このESTが得られ、精製され、そして配列決定され、
そして配列が、予測遺伝子を含有するゲノム領域に対してBLASTソフトウエ
ア(37)によって整列された。予測構造の下流のさらなるエクソンが同定され
た。遺伝子の3’末端が次のことによって証明された:(a)良好に保存された
領域における触媒三つ組残基のセリン残基の存在。この高度に保存されたモティ
ーフ(GDSGGP)は、常にあらゆる既知カリクレインにおける最後のエクソ
ンの最初において生じる。(b)予測されたアミノ酸配列とともに枠内に存在す
る終止コドンの存在。ゲノム配列において見いだされなかったESTの末端にお
ける19−ポリAストレッチの存在。 遺伝子のcDNA配列の精度を証明するために、PCR反応が推定鋳型として
種々のヒト組織から単離されたcDNAとともに、遺伝子(L3−F2およびL
3−R1)の予測構造の最初と最後のエクソンについて遺伝子特異的プライマー
を用いて遂行された。期待される大きさのポジティブバンドが、精巣cDNAか
ら単離され、そして完全に配列決定された。その配列がゲノム配列に対してBL
ASTによって整列され、エクソン/イントロン境界を明瞭に定義した。遺伝子
の5’末端のさらなる特徴付けでは、5’RACE反応が鋳型として精巣からの
Marathon Ready cDNAを用いて行われた。これは、開始コド
ンと5’非翻訳領域を含有するさらなるエクソンの同定を可能にした。遺伝子の
全配列は、配列番号:21(GenBankアクセス#AF135026)にお
いて示され、そしてKLK−L3タンパク質のアミノ酸配列は配列番号:22お
よび23において示される。 KLK−L3遺伝子の構造上の特徴: 図15に示されるように、KLK−L3遺伝子は、エクソンをコードしている
5およびイントロンに介入している4から形成される、しかしながら、他のカリ
クレインと同様に、さらなる上流の非翻訳エクソンの存在を除外することはでき
ない(14,28)。エクソン/イントロンスプライス部位のすべては、真核生
物のスプライス部位についての共通配列に適合する(32)。その遺伝子はさら
に、下記のように、ヒト・カリクレイン多重遺伝子ファミリーの共通の構造特性
に厳密に従う。 遺伝子の予測されるタンパク質−コーディング領域は、予測分子量27.5k
Daをもつ推定アミノ酸ポリペプチドをコードしている753bpから構成され
る。可能性のある翻訳開始コドンは、予測される第1のエクソンの位置28にお
いて見いだされる(ヌクレオチド番号は配列番号:21またはGenBankア
クセス#AF135026を指す)。このコドンは、共通Kozak配列(33
)と良く合致しないが、それは、脊椎動物mRNAの97%において生じる位置
(−3’)にプリンを有し(43)、それは、開始コドンに隣接しているzym
e遺伝子の配列とほとんど同一である。また、ほとんどのカリクレインが位置(
+4)に共通Gヌクレオチドをもたないは注目されるべきである。 ヌクレオチド6803−6808(AGTAAA)は、共通ポリアデニル化シ
グナル(44)に非常に似ていて、そして14ヌクレオチドの空間の後に、ゲノ
ムDNA中には見いだされない19ポリAヌクレオチドのストレッチへと続く。
他の可能性のあるポリアデニル化シグナルは、3’非翻訳領域において識別する
ことはできず、上記モチーフが実際にポリアデニル化シグナルであるということ
を示唆している。同じポリアデニル化シグナルモチーフは、KLK1およびKL
K2遺伝子について予測された。 KLK−L3タンパク質配列はユニークであるけれども、比較解析では、それ
がカリクレイン多重遺伝子ファミリーの他のメンバーと高度に相同であることを
明らかにした。KLK−L3は、TLSP遺伝子生産物とタンパク質同一性40
%を、そしてKLK−L2およびKLK−L1タンパク質と、それぞれ38%お
よび33%同一性を示す。疎水性解析では、アミノ末端領域が全く疎水性である
(図16)ことを明らかにし、これは、この領域が他のセリンプロテアーゼに類
似するシグナル配列を保持するであろう可能性と一致する。KLK−L3のアミ
ノ酸配列のコンピューター解析は、アミノ酸19と20間の切断部位を予測した
(GWA−DT)。配列の整列(図17)はまた、他のセリンプロテアーゼに相
同である部位において可能性のある切断部位(Arg22)を明らかにした(リ
ジン(K)またはアルギニン(R)がほとんどの場合に存在する)。KLK−L
3ポリペプチドを通して平均的に分布される数個の疎水性領域は、他のカリクレ
インおよびセリンプロテアーゼに類似して、球状タンパク質と合致している。図
17における点を付した領域は、古典的なカリクレイン(PAS,KLK1およ
びKLK2)の11−アミノ酸ループの特徴を示すが、KLK−L3またはカリ
クレイン多重遺伝子ファミリーの他のメンバーにおいては見いだされない(11
,41)。 セリンプロテアーゼの活性部位周囲の29個の「インバリアント」アミノ酸が
既に記述されている。これらの中、26個はKLK−L3において保存されてい
る。保存されていないアミノ酸の1つ(Proの代わりにSer168)はまた
、プロスターゼ、KLK−L2およびエナメルマトリックスセリンプロテアーゼ
(EMSP1)遺伝子において見いだされる。第2(Valの代わりにLeu
)はまた、TLSPおよびKLK−L2遺伝子において見いだされ、そして第
3は、Glyの代わりのAla26である。タンパク質進化の研究によれば、こ
れらの変化した各アミノ酸は、同じ群のタンパク質への保存された進化的変化を
表す(45)。12システイン残基は、推定成熟KLK−L3タンパク質におい
て存在しており、それらの10個は、図17に整列されているすべてのセリンプ
ロテアーゼ中に保存されており、そしてジスルフィド架橋を形成することが期待
されるであろう。他の2個(C136およびC238)は、PSA,KLK1、
KLK2もしくはトリプシノーゲンにおいて見いだされない;しかしながら、そ
れらはプロスターゼ、HSCCE、zyme ニューロプシンおよびTLSP遺
伝子において類似の位置に見いだされ、そして付加的なジスルフィド結合を形成
することが期待される。 他のセリンプロテアーゼとKLK−L3遺伝子との系統発生上の関連を予測す
るために、カリクレイン遺伝子のアミノ酸配列が、「ClustalX」多重整
列プログラムを用いて一緒に整列させられ、そしてディスタンスマトリックス・
トリーが、Neighbor−joining/UPGMA法を用いて予測され
た(図18)。系統発生的解析は、古典的なカリクレイン(KLK1、KLK2
およびPSA)を分別し、TLSP、ニューロプシン、zyme、HSCCEお
よびプロスターゼ/KLK−L1をグループとして纏めたが、これは既に公表さ
れた研究と一致する(11,41)。 KLK−L3遺伝子の組織発現およびホルモン調節 図19に示されるように、KLK−L3遺伝子は、胸腺、精巣、脊髄、小脳、
気管、乳腺、前立腺、脳、唾液腺、卵巣および皮膚(後者2つの組織は図におい
て示されない)において主として発現される。低レベルの発現は、胎児脳、胃、
肺、甲状腺、胎盤、肝臓、小腸および骨髄において見られる。子宮、心臓、胎児
肝臓、副腎、結腸、脾臓、骨格筋、膵臓および腎臓では発現は見られない。RT
−PCRを立証するために、具体的に、代表的PCR生成物がクローン化され、
そして配列決定された。図20は、KLK−L3遺伝子がヒト乳がん細胞系BT
−474においてステロイドホルモンによって調節されることを示している。 (考察) ヒト・カリクレイン遺伝子座が定義され、そしてカリクレイン及び他のカリク
レイン−様遺伝子の相対的位置を表す第1の詳細な地図が構成された(図14)
。この地図は古典的なカリクレインの位置についての以前の報告並びに放射線ハ
イブリッド及びFISH法(9、14、67)による幾つかの新規のカリクレイ
ンの適当な地図作成と一致している。しかし、この地図(図14に示されたよう
な)のあるセグメントの長さはその領域のEcoR1制限地図に依存しており、
大体のkb単位で測定されることに注意しなければならない。更に、幾つかのカ
リクレインは現在はまだ同定されていない1種類又は複数の余分の5′エキソン
を有する可能性であるので、遺伝子間の間隔の測定値は将来僅かに変化する可能
性がある。確認された5′−未翻訳エキソンを含むカリクレインはNESI(1
4)、ザイム(zyme)及びニューロプシン(neuropsin)(35)
を含む。この地図はまた方向性であり、PSA及びKLK2遺伝子が同一方向に
(セントロメアからテロメアに)転写され、そしてカリクレイン−様遺伝子の残
りが反対方向に転写される(図14)ことを示している。 初期の報告はKLK1がPSA(9)に約31kbセントロメアに局在するこ
とを示した。示された地図はPSAに24kbセントロメアのみ延伸し、このた
め、KLK1は精密に局在化されなかった。従ってKLK1遺伝子の正確な位置
はまだ鎖状染色体19配列データから規定しなければならない。この遺伝子座が
更に延伸され、そして他のカリクレイン−様遺伝子がPSAの上流又はTLSP
から下流に局在化される可能性はまだ存在する。 伝統的には、カリクレインはキニノーゲン(2)からリシル−ブラジキニン(
カリジン)を放出するそれらの能力を特徴としてもつ。ヒトにおいては、KLK
1のみが、この「機能的な」定義に当てはまる。KLK2及びKLK3は遺伝子
及びタンパク質の強度な構造的類似性並びに同一の染色体領域(20)上へのこ
れらの遺伝子の密接な局在化に基づいた同一族に指定される。より最近には、カ
リクレインを説明するのに新規の構造的考え方が出現した。Richardsと
その共同研究者はこれらの遺伝子(20、21)を表すために、マウスに「カリ
クレイン多重遺伝子族」の考え方を紹介した。この定義は遺伝子産物の特異的酵
素の機能に余り基礎をおかず、マウスの染色体7に対するその配列の類似性及び
その堅い結合を基礎にしている。 Irwin等(27)はセリン・プロテアーゼ遺伝子を前記のようなイントロ
ンの位置に従って5種類の異なる群に分類することができることを提唱した。そ
の結果は全てのカリクレイン(新規に同定されたKLK−L3遺伝子を含む)に
認められる。幾つかのより共通の構造的特徴の存在を示している。すなわち、(
1)すべての遺伝子は5個のコードするエキソン及び4個の介在イントロンから
形成される(幾つかの遺伝子は1種類又は複数の余分な5′未翻訳エキソン(2
4、31、35)(図21)をもつ可能性をもつ)。(2)エキソンの長さは通
常同等である(comparable)。(3)イントロン相は常に保存される
(I−II−I−0)(イントロン相の説明については図21を参照されたい)
。(4)これらの遺伝子は明らかに非カリクレイン−様遺伝子(図14)の介在
なしに、同一の染色体領域にクラスター集合している。従って、新規に同定され
たカリクレイン−様遺伝子(KLK−L3)とともに、この領域に存在する最近
同定されたすべてのセリン・プロテアーゼ(ザイム、HSCCE、ニュロブシン
、NESI、プロテアーゼ/KLK−L1、KLK−L2及びTLSP)は、拡
大されたヒト・カリクレイン多重遺伝子族の一員と考えることができるであろう
。 染色体バンド19q13は卵巣ガン(46)を含む様々なヒトの固形腫瘍に非
ランダムに再配列されており、最近入手可能なデータはカリクレイン遺伝子座が
多数の悪性腫瘍に関連していることを示している。少なくとも3種類のカリクレ
イン遺伝子(PSA、ザイム及びNESI)が乳ガン(10、13、47、48
)にダウンレギュレーションされ、そしてNESIは新規の腫瘍サプレッサー遺
伝子であるように見える(29)。更に、PSAは強力な抗脈管形成活性を示す
(49)。幾つかのこれにのカリクレインは、凝固又はアポプトシス過程に類似
のカスケード経路に関与して、それによりタンパク分解酵素の前駆体が活性化さ
れて、次いで下流の基質に作用することが可能である。これらの活性はプロPS
Aに作用して活性化するKLK2遺伝子生産物について発見された(50、51
)。 拡大されたヒト・カリクレイン遺伝子族はネズミの遺伝子族と類似の員数をも
つ。幾つかのしんきの反論できないデータはこれらの遺伝子の少なくとも幾つか
は腫瘍サプレッサーとして(29)、細胞成長の抑制的レギュレーターとして(
52)、抗脈管形成(49)及びアポトーシス(52)分子として作用する可能
性を挙げた。幾つかの遺伝子族の一員の主要な診断的価値もまた、十分に確定さ
れた(24、54)。これらの理由により、この遺伝子族のすべてを、可能な診
断的又は予測的マーカーとして又は候補的治療標的として検討することは重要で
ある。 新規に同定されたKLK−L3遺伝子は皮膚、胸腺、中枢神経系、乳房、前立
腺及び睾丸を含む多数の組織に発現される。KLK−L3の広範な組織発現は、
より感受性のRT−PCR法を使用することにより、多数のカリクレイン遺伝子
が広範な組織に発現されることが発現されることが発見されたので、驚くことで
はない。例えばPSA、KLK2、前立腺/KLK−L1及びKLK−L2は今
日、乳房及び多数の他の組織に発現することが知られている(30、54)。 多数の他のカリクレインと同様に、KLK−L3はステロイドホルモンにより
しかし、アンドローゲン及びプロゲスチンによりアップレギュレーションされる
PSA及びKLK2よりももっと複雑な様態でレギュレーションされる(71)
。研究された乳房ガンの細胞ラインにおいて、KLK−L3はプロゲスチン>エ
ストローゲン>アンドローゲンによりアツプレギュレートされるように見える(
図20)。 実施例5 材料および方法 染色体19上のDNA配列および新規な遺伝子の予測 染色体19q13.3−q13.4の近辺に存在する約300Kbのヌクレオ
チドの配列データをLawrence Livermore National
Laboratory(LLNL)のウエブサイト(http://www
http://www−bio.llnl.gov/genome/genom
e.html)から入手して、ゲノム配列のほとんど隣接した伸長部(almo
st contiguous stretch)を構築した。多数種のコンピュ
ータープログラムを用いて、そのようなゲノム領域に存在すると推定される新し
い遺伝子を予測した。 発現配列タグ(Expressed sequence tag)(EST)検
索 その推定した新しい遺伝子の予測されるエキソンに、National Ce
nter for Biotechnology Informationのウ
エブサーバー(http://www ncbi.nlm.nih.gov/B
LAST/)上のBLASTNアルゴリズム(37)をヒトESTデータベース
(dbEST)に対して用いた相同性検索を受けさせた。>95%の相同性を示
すクローンをI.M.A.G.E.協会(38)からResearch Gen
etics Inc、Huntsuville、ALを通して得た。このクロー
ンを増殖させ、精製した後、インサートフランキングベクタープライマー(in
sert−flanking vector primers)を用いた自動配
列決定装置で両方の方向から配列を決定した。 cDNA末端の迅速増幅(3’RACE) 前記遺伝子のEST配列データおよび予測構造に従って、遺伝子に特異的な2
種類のプライマーを設計して、ヒト精巣のMarathon Ready(商標
)cDNA(Clontech、Palo Alto、CA、米国)を鋳型とし
て5μl用いてRACE反応[ネステッド(nested)PCR]を2回実施
した。用いた反応混合物とPCR条件は製造業者の推奨に従った。 組織発現 異なる26種類のヒト組織から単離した全RNAをClontechから購入
した。cDNAを以下に記述する如く調製して、いろいろな組みのプライマーと
のPCR反応で用いた(表15、SEQ.ID.NO 46−55、9−12)
。組織cDNAをいろいろな希釈度で増幅させた。 乳癌細胞系およびホルモン刺激実験 乳癌細胞系BT−474をAmerican Type Culture C
ollection(ATCC)、Rockville、MDから購入した。グ
ルタミン(200ミリモル/L)、ウシインシュリン(10mg/L)、ウシ胎
児血清(10%)、抗生物質および抗真菌剤を補充したRRPMI培地(Gib
co BRL、Gaithersburg、MD)をプラスチック製フラスコに
入れて、その中で細胞をほぼ密集度に到達するまで培養した。次に、その細胞を
一定分量でウエルが24個備わっている組織培養板に移して、50%密集度に到
達するまで培養した。実験を行う24時間前に、前記培養培地を、炭を用いたス
トリッピングを受けさせ(charcoal−stripped)ておいたウシ
胎児血清を10%含有していてフェノールレッドを含まない培地に変えた。刺激
実験では、いろいろなステロイド系ホルモンを100%エタノールに溶解させて
培養培地に最終濃度が10−8Mになるように添加した。100%エタノールを
用いた刺激を受けさせた細胞を対照として含めた。この細胞を24時間培養した
後、収穫して、それにmRNA抽出を受けさせた。 リバーストランスクリプターゼポリメラーゼ連鎖反応 Trizol(商標)試薬(Gibco BRL)を製造業者の指示に従って
用いて、前記乳癌組織および細胞系から全RNAを抽出した。RNAの濃度を分
光光度計で測定した。Superscript(商標)予備増幅装置(Gibc
o BRL)を用いて2μgの全RNAを第一ストランドcDNAに逆転写させ
た。最終体積を20μlにした。新規な遺伝子に関して予測したゲノム構造およ
びEST配列から得た情報を一緒にすることを基にして、遺伝子に特異的な2種
類のプライマー(L4−F1およびL4−R1、表15のSEQ.ID.NO
46および47を参照)を設計した後、Perkin−Elmer 9600サ
ーマルサイクラー(thermal cycler)を用いて、cDNAが1μ
l、Tris−HCl(pH8.3)が10mM、KClが50mM、MgCl
が1.5mM、dNTP(デオキシヌクレオシドのトリホスフェート)が20
0μM、プラィマーが150ngおよびAmpliTaq Gold DNAポ
リメタラーゼ(Roche Molecular Systems、Branc
hburg、NJ、米国)が2.5単位入っている反応混合物中でPCRを実施
した。サイクリング条件(cycling conditions)は、Taq
Gold DNAポリメタラーゼを活性化させるための94℃で9分間に続い
て94℃で30秒間と63℃で1分間のサイクルを43サイクルと63℃で10
分間の最終的な伸長(extension)であった。PCR産物を等しい量で
用いて、これに2%アガロースゲルを用いた電気泳動を受けさせた後、それを臭
化エチジウムによる染色で可視化した。ゲノムDNAによる汚染を回避する目的
で、RT−PCR用プライマーの全部に少なくとも2個のエキソンを挿入させた
(spanned)。 PCR産物の同定を立証する目的で、それらを製造業者の指示に従ってpCR
2.1−TOPOベクター(Invitrogen、Carlsbad、CA
、米国)にクローン化した(cloned)。自動DNA配列決定装置を用い、
ベクターに特異的なプライマーを用いることで、前記挿入断片の配列決定を両方
の方向から行った。 正常および悪性乳房組織 整復乳房形手術を受けた女性から正常な乳房組織を得た。Ontario P
rovincial Steroid Hormone Receptor P
rogramに参与している病院の女性患者から乳腫瘍組織を得た。前記正常な
組織および腫瘍組織を外科切除後直ちに液体窒素に入れて凍結させて、この様式
で抽出まで貯蔵した。これらの組織をドライアイス温度でハンマーを用いて微粉
砕した後、この上に記述したようにTrizol試薬を用いてRNAを抽出した
。 構造分析 ftp://ftp.ebi.ac.uk/pub/software/do
s/clustalw/clustalx/[clustalx1.64b.m
sw.exe]で入手可能なClustal Xソフトウエアパッケージおよび
Baylor College of Medicine(BCM)、ヒュウス
トン、TX、米国[kiwi.imgen.bcm.tmc.edu:8808
/search−launcher/launcher/html]から入手可
能なマルチプルアライメント(multiple alignment)プログ
ラムを用いて、マルチプルアライメントを実施した。http://evolu
tion.genetics.washington.edu/phylip/
getme.htmlで入手可能なPhylipソフトウエアパッケージを用い
て系統発生研究を実施した。「Neighbor−Joining/UPGMA
」プログラムを用いてディスタンスマトリックス(Distance matr
ix)分析を実施しそして「Protpars」プログラムを用いて節減(pa
rsimony)分析を実施した。BCMサーチローンチャー(search
launcher)プログラム[http://dot.imgen.bcm.
tmc.edu:9331/seq−search/struc−predic
t.html]を用いて疎水性試験を実施した。「SignalP」サーバー[
http://www.cbs.dtu.dk/services/signa
l]を用いてシグナルペプチドを予測した。「SAPS」(蛋白質配列の構造分
析)プログラム[http://dot.imgen.bcm.tmc.edu
:9331/seq−search/struc−predict.html]
を用いて蛋白質構造の分析を実施した。 結果 KLK−L4遺伝子のクローン化 染色体19q13.3−q13.4の近辺のゲノム配列をコンピューターで解
析することで、少なくとも3個のエキソンで構成されている新規な推定遺伝子を
予測した。このような遺伝子が存在することを実験で実証する目的で、推定エキ
ソンにヒト発現配列タグ(EST)データベース(dbEST)に対する配列相
同性検索を受けさせることで、>97%の相同性を示す4種類のESTクローン
を同定した(表16)。全てのESTを睾丸組織からクローン化した。これらの
クローンを得た後、挿入断片の配列決定を両方の方向から行った。次に、配列を
コンピューターで予測した構造と比較し、そしてEST配列に従って、イントロ
ン/エキソンスプライス部位の最終的な選択を行った。 図22に示すように、3個のESTが前記遺伝子の予測した3個のエキソン(
エキソン3、4、5)にほとんど完全に合致し、そして1個のESTが予測した
エキソン3および5に完全に合致した。しかしながら、ESTは各々異なるエキ
ソン模様(exonic patterns)を伴ってさらなる上流に伸びてお
り、このことは、異なるスプライス変形(splice variants)が
存在することを示唆している。このようなクローン配列を解釈する試みで、ある
種のESTには可能な3個全部の読み取り枠内に割り込んでいる終止コドンが存
在することが示された。この3個の共通エキソンにGenBankのデータベー
スに対する相同性検索を受けさせることでGerman Human Geno
me Projectから得たcDNA配列であることが分かった。このクロー
ンはKLK−L4遺伝子の長い形態[この形態に関しては以下に記述する]と同
じエキソン2を有するが、終止コドンを伴って終結する伸長した(extend
ed)エキソン3を有する(図22)。このクローンを子宮組織から単離し、こ
れをソフトウエアで196個のアミノ酸から成る先が切り取られた蛋白質産物(
これの後に3’非翻訳領域が存在する)に翻訳させた(translated)
[GenBankアクセス番号AL050220]。 エキソン3および5に関して、遺伝子に特異的なプライマー[L4−F1およ
びL4−R1]を用いたRT−PCRで異なる26種類の組織からcDNAをス
クリーニング(表15および図22)することで、前記遺伝子が数多くの組織内
で発現することを実証した。当該遺伝子の完全構造を識別する目的で最も高いレ
ベルの発現を示した4種類の組織[唾液腺、乳腺、前立腺および精巣](図23
)および子宮[この組織からESTクローンAL050220を単離した]を選
択した。いろいろなESTクローンで見られる上流のエキソン内に位置するフォ
ーワードプライマー(forward primers)[プライマーL4−B
、L4−D、L4−E](表15および図22)の各々と一緒に1つのリバース
プライマー(reverse primer)(L4−R1)を用いていろいろ
なPCR反応を実施した。これらのPCR反応を、ESTクローンを正の対照と
して用いて、いろいろな実験条件下で実施した後、PCR産物の配列を決定した
。これらの形態のいずれも精巣(これには3形態全部が見られる)を除いて前記
組織のいずれにも見られなかった。 プライマーL4−R1およびL4−F1を用いたKLK−L4遺伝子のRT−
PCRにより、前記遺伝子は幅広く多様な組織内で発現することを確認した(図
23)。前記組織内に存在する構造形態を得る目的で相同性試験を実施した。K
LK−L4遺伝子の予測したポリペプチドと他のカリクレインおよびカリクレイ
ン様遺伝子の全部を整列させることによる相同性で、予測した3個のエキソンの
上流に更に少なくとも2個のエキソンが存在するはずであることが示された。こ
のような3番目のエキソンの上流に位置するゲノムフラグメントに、遺伝子を予
測するさらなるコンピューター解析を受けさせることで、エキソン2を、a)共
通のエキソン/イントロンスプライス部位、b)このエキソンの後方に位置して
いて他の公知カリクレイン全部のイントロン相と一致する保存イントロン相II
、c)このエキソンの末端部の直前に位置していて良好に保存されるペプチドモ
チーフ(以下を参照)に取り巻かれている触媒作用トリアド(triad)(H
76)のヒスチジン残基の存在、d)他のカリクレイン遺伝子に匹敵するエキソ
ンの長さ、を基にして識別した。また、保存されるイントロン相(相I)そして
前記エキソンの末端から匹敵する(他のカリクレインに比較して)距離の所に位
置する枠内(in−frame)出発コドンの存在を基にして、上流のゲノム配
列から1番目の潜在的エキソンを予測した。この予測した構造を実証する目的で
、予測した1番目のエキソン内に位置する別のフォーワードプライマー(プライ
マーL4−X1)(表15および図22)と一緒に1つのリバースプライマー(
L4−R1)を用いてPCR反応を実施した。試験を受けさせた組織から2つの
主要なPCR帯を得た、即ち予測した819bpの帯(主要)と約650bpの
主要でない追加的帯を得た(図24)。この2つの帯のクローン化および配列決
定を行うことで、前記遺伝子が前記組織内に2つの主要な形態、即ち長い形態[
SEQ.ID.No.43またはGenBank Accession No.
AF135024]と別の形態[短いKLK−L4変形と呼ぶ](これはエキソ
ン3の内部に位置していて上流の代替スプライスドナー部位を利用し、従って2
14bp短いmRNA産物を作り出す)で存在することが分かった。そのような
代替スプライス部位によってコード化領域(予測した終止コドンをエキソン4の
開始点に生じさせる)の枠シフト(frame−shifting)が引き起こ
され、それによって、触媒作用トリアドのセリン残基を含有しない先の切り取ら
れた蛋白質産物がもたらされる(図24および25)。 長いKLK−L4形態とESTを整列させる(図22)ことで、全てのEST
がエキソン3の末端部から80bp下流に位置する異なるスプライスドナー部位
を利用することが示された。このような追加的80bpはヌクレオチド位置55
05の所に枠内終止コドンを含有しており、それによって、より短いポリペプチ
ド産物の生成がもたらされるであろう。それらはまた位置8706の所に位置す
る代替ポリアデニル化(polyadenylation)シグナルも利用する
[番号はSEQ.ID.No.43またはGenBank Accession
No.AF135024を指す]。German Genome Proje
ctから得たクローンは別のスプライスドナー部位を利用し、この部位はイント
ロン3内のさらなる下流に位置しておりそして4番目のエキソンも5番目のエキ
ソンも伴わないポリAテールを伴って終結している。同じ終止コドン(位置55
05)が枠内に存在しており、従って先の切り取られた蛋白質産物が生じると予
測される(図22)。 前記遺伝子の3’末端を得る目的で3’RACE反応を実施し、そしてPCR
プライマーL4−R1の下流に位置する3’非翻訳領域の追加的375bpフラ
グメントを得た。更に、プライマーL4−F1およびL4−R3(表15および
図22)を用いたPCR反応を実施することで、前記フラグメントは試験を受け
させた組織の全部に存在することも実証した。このフラグメントは推定ポリアデ
ニル化シグナル変形(TATAAA)を伴って終結している。 KLK−L4遺伝子およびそれの蛋白質産物の構造的特徴付け 長い形態のKLK−L4遺伝子を図25に示す(SEQ.ID.NO.43)
。KLK−L4は5個のコード化エキソンと4個の介在イントロン(染色体19
q13.3−q13.4上のゲノム配列の8,905bpの領域を橋渡ししてい
る)で構成されている。このコード化領域の長さはそれぞれ52、187、26
9、137および189bpである。前記遺伝子の予測蛋白質コード化領域は8
31bpで構成されており、277個のアミノ酸で構成されていると推定される
予測分子質量が30.6kDaの蛋白質をエンコードする(図25)。イントロ
ン/エキソンスプライス部位(mGT....AGm、ここで、mは任意の塩基
である)およびそれらのフランキング配列は共通スプライス部位配列に一致して
いる。予測した1番目のエキソンの位置45の所に潜在的翻訳開始コドンが存在
する[番号はSEQ.ID.No43を指す]。このcDNAは終止コドンから
更に下流に少なくとも382bp伸びており、そしてこの領域の末端部に推定ポ
リアデニル化シグナル(TATAAA)が存在している(図25)。 疎水性分析により、アミノ末端領域は極めて疎水性であることが実証され(図
26)、このことは、前記領域が他のセリンプロテアーゼに類似した様式でシグ
ナル配列をつなぎ止めているであろうと言った可能性に一致している。図26は
、また、KLK−L4ポリペプチドの全体に渡ってむらなく分布している疎水性
領域がいくつか存在することも示しており、このことは、他のセリンプロテアー
ゼと同様に蛋白質が球形であることに一致している(13)。KLK−L4のア
ミノ酸配列をコンピューターで解析することで、アミノ酸20と21の間に開裂
部位が存在すると予測した(GVS−QE)。他のセリンプロテアーゼとの配列
相同性を調べた結果(図27)、別の潜在的開裂部位(Lys25)が非常に近
くに存在すると予測された。他の大部分のカリクレインはアルギニンまたはリジ
ンの後方の開裂によって活性化を受ける。従って、蛋白質産物は分泌される蛋白
質である可能性が非常に高い。図27の点線領域は、KLK−L4にもカリクレ
インマルチ遺伝子系列の他の員にも見られない古典的なカリクレイン(PSA、
KLK1およびKLK2)に特徴的な11個のアミノ酸から成るループが存在す
ることを示している(11、13、35)。 KLK−L4蛋白質のアミノ酸配列をSEQ.ID.NO.44および45に
示す。 真核生物のセリンプロテアーゼの配列分析により、不変アミノ酸が29個存在
することが示されている(39)。それらの中の28個はKLK−L4蛋白質内
に保存されそしてとりわけ他の全てのカリクレインでは残りのアミノ酸(Pの代
わりにQ182)は保存されない(図27)。推定成熟KLK−L4蛋白質には
システイン残基が10個存在する。それらは図27に整列させたセリンプロテア
ーゼの全部に保存され、ジスルフィド橋渡しを形成すると期待される。位置23
9の所にアスパルテート(D)が存在することは、KLK−L4がトリプシン様
開裂パターンを示すであろうことを示唆しており、これは他のカリクレインの大
部分[例えばKLK1、KLK2、TLSP、ニューロプシン、ザイム(zym
e)、プロスターゼ(prostase)およびEMSP]に類似しているが、
相当する位置にセリン(S)残基を有するPSAとは異なり、これはキモトリプ
シン様の活性を示すことが知られている(図27)(2、40)。 KLK−L4遺伝子の地図作成および染色体位置決め KLK−L4遺伝子と他の公知カリクレイン遺伝子の配列を興味の持たれる3
00Kb領域(ヒトカリクレイン遺伝子系列の座)内で整列させることにより、
公知遺伝子全部の正確な位置決めを行うことができかつ図28に矢印で示すよう
に転写の方向を決定することができた。PSA遺伝子はKLK1とKLK2遺伝
子の間に位置し、KLK2から13,319個の塩基対(bp)だけ離れて位置
し、そして両方の遺伝子とも同じ方向[セントロメア(centromereか
らテロメア(telomere)の方向]で転写される。他のカリクレイン様遺
伝子は全部逆の方向で転写される。KLK−L4はKLK−L6[SEQ.ID
.NO.65]から13kbだけセントロメリック(centromeric)
でありかつKLK−L5[SEQ.ID.NO.56]に対して21kbだけよ
りテロメリック(telomeric)である。 カリクレインマルチ遺伝子系列との相同性 BLASTアルゴリズム(37)を用いて、KLK−L4蛋白質(長い形態)
のアミノ酸配列をGenBankデータベースおよび公知のカリクレインに対し
て整列させることにより、KLK−L4はTLSPおよびザイム遺伝子と51%
のアミノ酸配列同一性を有し、KLK−L2と49%の同一性を示し、そしてP
SAおよびKLK2遺伝子のそれぞれと47%および45%の同一性を示すこと
が示された。複数整列試験(Multiple alignment stud
y)により、セリンプロテアーゼの典型的な触媒作用トリアドはKLK−L4遺
伝子内に保存され(H108、D153およびS245)そして他のカリクレイ
ン全部の場合と同様に触媒作用トリアドのアミノ酸残基の近辺に良好に保存され
るペプチドモチーフが見られることが分かっている[即ちヒスチジン(WLLT
AAHC)、セリン(GDSGGP)およびアスパルテート(DLMLI)](
図27)(1、11、13、35)。加うるに、更に図27に示すように、ヒト
カリクレイン遺伝子系列の中で完全またはある程度保存されることが分かってい
る他の残基もいくつか存在する。KLK−L4遺伝子と他のセリンプロテアーゼ
の系統発生関連性を予測する目的で、「Clustal X」複数整列プログラ
ムを用いてカリクレイン遺伝子のアミノ酸配列を一緒に整列させそしてNeig
hbor−joining/UPGMA方法を用いてディスタンスマトリックス
ツリー(distance matrix tree)を予測した(図29)。
系統発生分析により、ザイム、TLSP、KLK−L3、ニューロプシンおよび
NES1遺伝子を用いてグループ分けした(grouped)KLK−L4と古
典的なカリクレイン(KLK1、KLK2およびPSA)を区別し、これは、以
前に公開された研究(41)に一致しており、かつ前記グループの遺伝子は恐ら
く共通の祖先遺伝子から複製で生じるであろうことを示している。 KLK−L4遺伝子の組織発現およびホルモン調節 図23に示すように、KLK−L4遺伝子は主に乳腺、前立腺、唾液腺および
精巣内に発現し、他のカリクレインの場合と同様に、他の数多くの組織内で見ら
れる発現のレベルは低い。RT−PCR特異性を実証する目的で、PCR産物を
クローン化して配列を決定した。 ステロイド系ホルモンレセプタに陽性の乳癌細胞系(BT−474)をモデル
として用いて、KLK−L4遺伝子がステロイド系ホルモン調節下にあるか否か
を実証した。アンドロゲンおよびプロゲスチンによってアップレギュレイートさ
れる(up−regulated)ことが知られている対照遺伝子としてPSA
を用い、そして同じ細胞系内でエストロゲンによってアップレギュレイートされ
る対照遺伝子としてpS2を用いた。予備試験の結果は、KLK−L4はプロゲ
スチンおよびアンドロゲンによってアップレギュレイートされかつより低い度合
ではあるがエストロゲンによってアップレギュレイートされることを示している
(図30)。 乳癌組織および細胞系におけるKLK−L4の発現 KLK−L4遺伝子が乳房腫瘍内に発現する度合および頻度を特徴付ける目的
で正常な3個の乳房組織と19個の悪性乳房組織と3個の乳癌細胞系から得たc
DNAを用いた。これらのデータを帯強度の比較で解釈した。KLK−L4遺伝
子の発現は、19個の腫瘍の中の7個の腫瘍で検出されず、9個の腫瘍内で正常
組織よりも発現度合が低く、1個の腫瘍内で正常な組織に匹敵しており、そして
2個の腫瘍内で正常な組織よりも高かった。ホルモン刺激を用いないと、BT−
474およびT−47D細胞系にKLK−L4のmRNAは検出可能な度合では
存在しなかったが、MCF−7細胞系は陽性であった。このような予備試験の結
果は、前記遺伝子は乳房腫瘍の大部分(16/19)でダウンレギュレイートさ
れる(down−regulated)ことを示唆している。 考察 確立されたカリクレイン(KLK1、KLK2およびPSA)、トリプシノー
ゲンおよびキモトリプシノーゲンは、(1)活性部位であるヒスチジン残基のコ
ドンの直ぐ下流に1つのイントロンが存在し、(2)活性部位であるアスパラギ
ン酸残基のコドンを含有するエキソンの下流に2番目のイントロンが存在しかつ
(3)活性部位であるセリン残基のコドンを含有するエキソンの上流に3番目の
イントロンが存在する群に属する。図31は、KLK−L4は上述した判断基準
に合致することを示しており、その上、KLK−L4は染色体座19q13.3
−q13.4上の他のカリクレイン遺伝子の直ぐ近くに位置することを示してい
る(図28)。 KLK−L4遺伝子がサブセット(subset)の乳癌内でダウンレギュレ
イートされる可能性があることを示唆する前記予備的確認は驚くべきことではな
い。現在では、同じ染色体領域内に束になっているカリクレインおよびカリクレ
イン様遺伝子の多くが悪性に関係している(図28)と言った証拠が増加してき
ている。PSAが今までのところ前立腺癌の最良マーカーである(24)。最近
の報告により、PSAが抗脈管形成活性を示すと言った証拠が示されており、か
つそのような活性はそれがセリンプロテアーゼとして機能することに関係してい
る可能性があることも示されている(49)。このような研究は、他のセリンプ
ロテアーゼ(酵素のカリクレインマルチ遺伝子系列の新しい員を包含)もまた潜
在的抗脈管形成活性に関して評価すべきであることを示唆していた(49)。最
近の報告により、hK2(KLK2遺伝子がエンコードする)は前立腺癌の別の
有用な診断マーカーに成り得ることが示唆されている(57、58)。NES1
は腫瘍抑制遺伝子になると思われている(29)。プロテアーゼM遺伝子は一次
(primary)乳房および卵巣腫瘍内で差別的に発現することが示され(1
0)、そしてヒト皮膚角質層のキモトリプティック(chymotryptic
)酵素は卵巣癌内で異常に高いレベルで発現することが示された(59)。最近
同定された別のカリクレイン様遺伝子[KLK−L4の近くに位置し、腫瘍に関
連して差別的に発現する遺伝子−14(TADG14)と仮に呼ばれている](
代替様式で切除された形態のニューロプシン、図28を参照)は卵巣癌組織の約
60%で過剰に発現することが確認された(59)。また、新しく見つかった別
のカリクレイン様遺伝子であるプロスターゼ/KLK−L1は前立腺癌に関係し
ていると推測されている(41)。このように、広範に出版された新しい文献に
数多くのカリクレイン遺伝子がいろいろな形態のヒト癌に多重関連(multi
ple connections)していることが示唆されている。 真核細胞の核に存在するプレメッセンジャーRNAから介在するRNA配列(
イントロン)を取り除くことが遺伝子発現を調節する時の主要な段階である(6
0)。RNAスプライシングは、蛋白質イソ型多様性(isoform div
ersity)を生じさせることを可能にしかつ特殊な機能を持たせた特別な蛋
白質の発現を発生中の特定の細胞もしくは組織型に制限することを可能にする機
構を提供するものである(60)。後生動物の5’および3’スプライス部位の
所のプレ−mRNA内の配列要素(sequence elements)は非
常に緩んだ共通配列を有し、高い保存を示すのはイントロンの最初と最後の2つ
の塩基(GT...AG)のみである(Sambrook、前記)。このような
配列は単独ではスプライス部位選択の決定基にはなり得ない、と言うのは、同じ
であるが通常は活性を示さない共通配列を数多くの真核細胞の遺伝子のエキソン
とイントロンの両方に見ることができるからである。また、他の蛋白質ファクタ
ー(factors)および前記スプライス部位の下流に位置する配列も関与し
ている。 カリクレインの中には複数スプライス(multiple splice)形
態が頻繁に存在する。主要な1.6kbの転写物に加えて異なるRNA種がPS
A遺伝子から転写される(61)。数種の異なるPSA転写物をReigman
他が記述している(7)。興味の持たれることに、そのようなクローンの1つに
は3’非翻訳領域と開放読み取り枠(open reading frame)
の最初の373個のヌクレオチドが欠如しており、終止コドンを含有する伸長エ
キソンを有し、ここに記述する如きKLK−L4のcDNAのいくつかの代替形
態に匹敵するパターンを有する(図22)。Heuze他は、2.1kbのPS
A mRNAに相当する全長cDNAのクローン化を報告した。この形態はイン
トロン4の代替スプライシングでもたらされ、触媒活性に必須なセリン残基が欠
如している(61)。また、Reigman他は、ヒトの腺のカリクレイン2(
KLK2)遺伝子が代替スプライシングを受けた2つの形態は同じであることを
報告した(62)。この組織カリクレイン遺伝子(KLK1)の新規な転写物も
また結腸から単離された(63)。興味の持たれることに、このような転写物に
は組織カリクレイン遺伝子が有する最初の2つのエキソンが欠如しているが、最
後の3つのエキソンは完全に保存されており、確認したパターンはKLK−L4
遺伝子のある種のEST含有部分のそれと類似している(図22)。最近同定さ
れたカリクレイン様遺伝子であるニューロプシンは、主要形態に加えて、代替ス
プライシングを受けた2つの形態を有することが確認された(59、64)。こ
こで、KLK−L4遺伝子のクローン化を記述し、そして多数種の代替mRNA
形態の同定を記述する。このような形態は、代替スプライシングの結果として生
じる可能性がある(Sambrook、前記)(イントロンのセグメントを保持
)(7)か、或は代替転写開始部位の利用で生じる可能性がある(63)。長い
形態のKLK−L4および主要な代替スプライス変形[短いKLK−L4変形]
(図24)は翻訳、分泌および活性化に必要な同じ5’配列を有することから、
両方のmRNAとも分泌される蛋白質をエンコードすると仮定することができる
(61)。 長いKLK−L4と関連形態の相対的優勢度(predominance)を
調査する目的で、いろいろな組織から得たcDNAをPCRで増幅させた。この
実験[mRNAは匹敵する大きさを有し、1組のプライマーを同じ条件下で用い
る]では、一般に、mRNA種間の量的比較でPCRを用いるのは困難であるが
、そのような比較は妥当である(62)。試験を受けさせた5種類の正常な組織
(乳房、前立腺、精巣、唾液腺および子宮)の全部で長い形態のKLK−L4が
主要量で存在し、短い形態の発現は最小限のレベルであった(図24)。 代替スプライシングを受けた形態の存在は悪性に関係している可能性がある。
最近の文献は、良性前立腺上皮に比較して悪性は異なる分子形態のPSAを異な
る様式で発現する可能性があることを示唆している(65)。前立腺癌とは対照
的に、良性前立腺過形成ではPSA mRNAのスプライシングが異常に起こる
ことをHenttu他が記述した(66)。加うるに、転移が認めらるのに臨床
的に確認されない癌を潜在的に隠しているいろいろな前立腺組織がいろいろな形
態のPSAが存在する原因になっている可能性があると言ったが仮定が最近成さ
れた(65)。 実施例6材料および方法 染色体19上のDNA配列 染色体19q13.3−q13.4上のヌクレオチドの約300Kbの配列デ
ータをLawrence Livermore National Labor
atory(LLNL)(http://www.bio.llnl.gov/
genom/genom.htmlのウエブサイトから入手した。この配列は、
異なる長さの9コンティグの形であった。制限酵素分析、長PCR戦略、次いで
DNA配列決定、BACおよびPACライブラリースクリーニングおよび選択し
たクローンの末端配列決定を、完全なヒトカリクレイン遺伝子座を表す隣接ゲノ
ム領域を構築するために使用した。新規の遺伝子の同定 関係がある隣接ゲノム領域内の推定新規遺伝子の存在を予測するために、多数
のコンピュータープログラムを使用した。新規遺伝子予測のためのこれらのプロ
グラムの能力は、第一に試験パラメーターとして既知のカリクレインのゲノム配
列を使用して検討した。最も信頼できるコンピュータープログラム;GeneB
uilder(遺伝子予測)(http://125.itba.mi.cnr
.it/〜webgene/genebuilder.html)、GeneB
uilder (エキソン予測)(http://125.itba.mi.e
nr.cnr.it/〜webgene/genebuilder.html)
、Grail 2(http://combio.oml.gov)およびGE
NEID−3(http://apolo.imim.es/geneid.h
tml)を以後の使用のために選定した。発現された配列タグ(EST)サーチ 推定新規遺伝子の予測されたエキソンは、National Center
for Biotechnology Informationウエブサバー(
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)上
でヒトESTデータベース(dbEST)に対してBLASTINアルゴリズム
(37)を用いる相同性サーチにかけた。相同性>95%を有するクローンが、
Research Genetics Inc.Huntsville AL.
を通じてI.M.A.G.E.コンソーシアム(38)から入手された。このク
ローンを増殖、精製および挿入近接ベクタープライマーを用いて自動配列決定装
置により両方向から配列決定した。cDNA末端の迅速増幅(RACE) 遺伝子のEST配列および予測された構造について、遺伝子特異性プライマー
2組を5’および3’RACE反応のために設計した。RACE反応(ネスト(
nested)PCR)の2ラウンドは、ヒト睾丸および前立腺の5μl Ma
rathon ReadyTMcDNAおよび鋳型としてプロステート(pro
state)(Clontech,Palo Alto,CA,USA)を用い
てRACEの個々のタイプに対して行なった。反応混合物およびPCR条件は、
メーカーの推奨に従って整列した。要約すると、最初の変性は、5分間、94℃
、次いで、94℃で5秒間および72℃で2分間の5サイクル、次いで94℃で
5秒間および70℃で2分間の5サイクル、次いで94℃で5秒間、65℃で2
分間の30サイクルを第一反応に対して、そしてネストしたPCR反応に対して
25サイクルを行なった。組織発現 26種の異なるヒトから単離された全RNAをClontech,Palo
Alto,CAから購入した。cDNAは、組織培養実験に対して以下に記載の
ようにして調製し、そしてPCR反応のために使用した。すべての既知のカリク
レイン遺伝子を整列した後、2種のプライマー(KLK−L5−R1およびKL
K−L5−F1)(表17、配列番号61〜64、9〜12および図32)を比
較的低い相同性の場所から設計した。組織cDNAは、種々の希釈度で増幅した
。カリクレイン間の高い相同性のため、および非特異性増幅を除外するために、
OCR産物をクローニングして配列決定した。正常および悪性乳房組織 正常な乳房組織は、乳房減量手術を受けた女性から入手した。乳がん組織は、
Ontario Provincial Steroid Hormone R
eceptor Programの協力病院の女性患者から入手した。正常およ
びガン組織を外科手術後液体窒素中で直ちに冷凍し、そして抽出するまでそのま
ま保存した。液体窒素中で組織をハンマーを用いて粉砕し、そしてRNAをTr
izol試薬を用いて以下に記載のようにして抽出した。乳房および前立腺ガン細胞株およびホルモン刺激実験 乳がん細胞株BT−474およびT−47D、およびLNCaP前立腺ガン細
胞株をAmerican Type Culture Collection(
ATCC),Rockville,MDから購入した。細胞をRPMI培地(G
ibco BRL,Gaithersburg,MD)内で、グルタミン(20
0mmol/L)、ウシインスリン(10mg/L)、ウシ胎児血清(10%)
、抗生物質および抗真菌剤を補足し、プラスティックフラスコ内で集密の近くま
で培養した。次いで細胞を24ウエル組織培養プレート内に配置し、そして50
%集密まで培養した。実験の24時間前に、培養培地を、10%活性炭精製ウシ
胎児血清を含みフェノールレッドを含まない培地に交換した。刺激実験のために
、100%エタノール中に溶かした種々のステロイドホルモンを最終濃度10
Mに培地内に加えた。100%で刺激した培地を対照として含めた。細胞を2
4時間培養し、次いでmRNA抽出のために採取した。逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR) 全RNAをTrizol試薬(Gibco BRL)を用い、メーカーの指示
に従って細胞株または組織から抽出した。RNA濃度は、分光分析で測定した。
全RNAの2μlをSuperscripTM 前増幅システム(Gibco
BRL)を用いて第一鎖cDNA内に逆転写した。最終体積は20μlであった
。新規遺伝子の予測ゲノム配列およびEST配列から得た総合情報に基づいて、
2種の遺伝子特異性プライマーを設計し(KLK−L5−F1およびKLK−L
5−R1)(表17)、そしてcDNA 1μl、10mMトリス−HCl(p
H8.3)、50mM KCl、1.5mM MgCl2、200μM dNT
P(三リン酸デオキシヌクレオシド)、プライマー150ngおよびAmpli
Taq Gold DNAポリメラーゼ(Roche Molecular S
ystems,Branchburg,NJ,USA)2.5単位を含む反応混
合物内で、パーキンエルマー9600サーマルサイクルを用いて行なった。サイ
クリング条件は、Taq Gold DNAポリメラーゼの活性化のために94
℃で9分間、次いで94℃で30秒間、63℃で1分間の43サイクルおよび最
後に63℃で10分間の段階であった。PCRE産物の等量を2%アガロースゲ
ル上で電気泳動し、そしてエチジウムブロミド染色で可視化した。RT−PCR
のためのすべてのプライマーをゲノムDNAによる汚染を防ぐために少なくとも
2エキソンをスパンした。 PCR産物の同定を確認するために、これらをpCR2.1−TOPOベクタ
ー(Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)を用い、メーカ
ーの指示に従ってクローニングした。挿入物は、自動配列決定装置によりベクタ
ー特異性プライマーを用いて両方向から配列決定した。 構造解析 下記で入手できるClustal X ソフトウエア:ftp://ftp.
ebi.ac.uk/pub/software/dos/clustalw/
clustalx/(clustalx1.64b.msw.exe)およびB
aylor College of Medicine(BCM),Houst
on,TX USA(kiwi.imgen.bem.imc.edu:880
8/search−launcher/launcher/html)を用いて
多重整列プログラムを用いて多重整列を行なった。系統発生学的研究は、htt
p://evolution.genetics.washington.ed
u/phylip/getme.htmlから入手できるPhylipソフトウ
エアパッケージを用いて行なった。距離マトリックス解析は、「Neighbo
r−Joining/UPGMA」を用いそしてパーシモニー(Parsimo
ny)解析は、「Protpars」プログラムを用いて行なった。疎水性研究
は、BCMサーチローンチャープログラム(http://dot.imgen
.bcm.tmc.edu.9331/seq.search/struc−p
redict.html)を用いて行なった。シグナルペプチドは、[Sign
alP]サーバー(http://www.cbs.dtu.dk/servi
ces/signal)を用いて行なった。タンパク質構造解析は、”SAPS
”(タンパク質配列の構造解析)プログラム(http://dot/imge
n.bcm.tmc.edu/9331/seq−search/stru−p
redict.html)を用いて行なった。結果 KLK−L5遺伝子の同定 関係するゲノム領域のコンピューター解析(染色体19q13.3−q13.
4の周囲300Kb)は、少なくとも3個のエキソンを含んでなる推定遺伝子を
予測した。ヒト発現配列タグ(EST)データベースのスクリーニングは、予想
エキソンを99%相同性でESTクローン(ジーンバンクアクセション番号39
4679)を明らかにした。クローンを入手し、精製および配列決定した。ES
Tの全長配列を推定新規遺伝子を含むゲノム領域と比較し、イントロンにより分
離された一定領域(エキソン)と100%相同であることが分かった。この整列
は、新規遺伝子が7エキソンを含んでなることを示す。配列相同性の比較および
系統発生学的解析は、この新規の遺伝子が構造的に既知のカリクレインおよびそ
の他のプロテアーゼと類似していることを明らかにした(下記参照)。4種の新
規のカリクレイン遺伝子がこの領域内で発見されたので、この遺伝子はKLK−
L5と命名した(カリクレイン様遺伝子5として)。3個の可能なリーディング
フレーム内のコーディング領域を翻訳することを試みて、リーディングフレーム
中の1個のみが、インフレーム終止コドンを破壊することなく全長ポリペプチド
鎖を産生することが分かった。さらにこのリーディングフレームの正しさの支持
は、このフレームがセリンプロテアーゼ活性(触媒性三つ組)に必要な3個のア
ミノ酸残基およびその周囲にモチーフを保存することを証明して得られた。イン
フレームメチオニン開始コドンは、第二エキソン内に認められた。この開始コド
ンは、代表的なコンセンサスKozak配列(CCACCATGG)内に入る(
33)。従って、遺伝子は、他のカリクレイン様遺伝子と同様に少なくとも5’
非翻訳エキソンを有する〔例えばzyme、正常な外皮細胞特異性1遺伝子(N
ES1)(14)、およびneuropsin(35)〕。5’および3’RA
CE反応を遺伝子の5’および3’末端を得るために行なった。5’RACEで
はこれ以上の配列は得られなかった。しかし、3’RACEは、遺伝子の3’非
翻訳領域の同定を可能とした。追加の配列は、ゲノム構造内には存在しなかった
ポリーA延伸部分で終止し、これで遺伝子の3’の末端およびポリA−テイルの
開始を標識する。KLK−L5遺伝子のスプライス変種 KLK−L5遺伝子と他のカリクレインとの相同性解析は、追加の3’エキソ
ンの存在を明らかにし、これはカリクレイン多重遺伝子ファミリーの他のもので
は報告されていない所見である。さらに、2種の異なるPCRバンドが3’RA
CEを用いて得られた。これらのバンドの配列決定は、この遺伝子が少なくとも
2個のスプライス形をその3’末端で有することを明らかにした。最終エキソン
が単独隣接断片である一つの形および最終エキソンが2個のエキソンに分割され
介在するイントロンを有する別の形である。遺伝子の他の可能なスプライス変種
の全構造を同定するために、2種のプライマー(L5−F2およびL5−R2)
(表17および図32)を用いてPCRを行なった。26種の異なる組織からの
cDNAを鋳型として使用しそして反応は種々の実験条件下で行なった(アニー
リング温度、MgCl2濃度)。3種の明瞭なバンドが多くの組織で観察された
。これらのバンドを切除、ゲル精製および配列決定した。図32に示すように、
KLK−L5遺伝子は、3種の分子形を有することが認められた。 1)一つの形(以後は、「クラシカル」形と呼ぶ)は、5個のコーディングエ
キソンおよび4個の中間イントロンを有する代表的なカリクレイン様セリンプロ
テアーゼである(図32)。ある種の他のカリクレインと同様に、5’非翻訳エ
キソンも存在し、そして別の上流側の非翻訳エキソンの可能性も排除できない。
エキソン1、2および3は、上記のESTで示される。開始コドンは、第二エキ
ソン(数字は、配列番号56またはジーンバンクアクセッション番号AF135
025に対応する)内に存在する。終止コドンは、第6エキソン中に位置し、次
いで3’非翻訳領域、および代表的なポリアデニル化シグナル(AATAAA)
がポリ−A−テイルの16bp前に位置する(図33)。このKLK−L5の形
は、染色体19q13.3−q13.4上の5,801bpのゲノム長さをスパ
ンする。エキソンのコーディング領域の長さは、それぞれ37、160、260
、134および156bpである(図33および34)。予測されたタンパク質
コーディング領域は、747bpを形成し、予測分子量26.7kDaを有する
誘導248−アミノ酸タンパク質をコードする。イントロン/エキソンスプライ
ス部位(GT...AG)およびこれらの近接配列は、コンセンサススプライス
部位配列と合致する。 2)KLK−L5関連タンパク質−1をコーディングする第二のmRNA形は
、最後のエキソンが2個の別のエキソンに分割され、イントロンが介在する別の
スプライスされた形である(図32)。最終エキソンのこのスプリットは、位置
9,478における他の終止コドンの使用をもたらし、従って、「クラシカル」
KLK−L5形よりもアミノ酸6個長い誘導254アミノ酸タンパク質を創成し
、そのカルボキシ末端は、19アミノ酸が配列中で異なる(図32)。この変種
は、予測された分子量の27.1kDaを有する(塩基の番号付けに関しては配
列番号56およびジーンバンクアクセッション番号AF135025号参照)。 3)KLK−L5関連タンパク質−2をコーディングする第三のmRNA形は
、第4のエキソンがない他はクラシカルフォームに類似している(図32)。こ
れは、コーディング領域のフレームシフトに導き、そして早すぎるインフレーム
終止コドンは、位置9.180に存在する。この形のタンパク質コーディング領
域は、336bpからなり、分子量12kDaを有する予測された111アミノ
酸タンパク質をコードする。このタンパク質は、セリンプロテアーゼの特徴であ
るセリンおよびアルパラギン残基を欠失する。クラシカルKLK−L5遺伝子の構造解析 図35は、KLK−L5とプロテアーゼ特異性抗原(PSA)タンパク質の比
較疎水性分析を示す。両方の遺伝子のアミノ末端領域は、かなり疎水性であり、
KLK−L5のこの領域が多分PSAに類似するシグナルペプチドを内包するで
あろうことを示す。図35は、KLK−L5ポリペプチド内の数種の均等に分布
した疎水性領域も示し、これは他のセリンプロテアーゼに類似する球形タンパク
質と一致する(13)。図36は、KLK−L5タンパク質と他の同じファミリ
ー内の10成員との整列を示す。図36内の点線部分は、クラシカルヒトカリク
レインの11アミノ酸特性ループ(PSA、hK1およびhK2)を示すが、し
かしこれはKLK−L5タンパク質又は他のカリクレイン多重ファミリーの成員
には認められない(11、13、15)。カリクレインセリンプロテアーゼの配
列解析は、29個の不変のアミノ酸の存在を示す(39)。これらの内28個は
、KLK−L5ポリペプチドに変化しそして残りのアミノ酸(Pの代わりにS1
56)は、すべの他のカリクレインのなかで保存されない(図36)。システイ
ン残基20個が推定KLK−L5タンパク質内に存在し、これらの内10個はす
べてのカリクレイン内で保存され、そして残りの2個(C133およびC235
)は、たのカリクレインの大部分内に存在するが、しかしクラシカルカリクレイ
ン内には存在せず、これらが追加の2硫化物架橋を構成する(図36)。 位置194におけるアスパラギン酸(D)の存在は、KLK−L5がトリプシ
ン様の開裂パターンを有することを示唆し、他のカリクレイン(例えばhK1、
hK2、TLSP、neuropsin、zyme、prostase、および
EMSP)の大部分と類似するが、しかしPSAとは異なり、これは相当する位
置にセリン(S)残基を有し、そしてキモトリプシン様活性を有するとして知ら
れている(図36)(54)。カリクレイン多重遺伝子ファミリーの他の成員との相同性 KLK−L5遺伝子によりコードされるタンパク質は独特であるけれども、こ
れは他のカリクレイン様遺伝子と高度の相同性を有する。KLK−L5タンパク
質(クラシカル形)は、neuropsinと48%のアミノ酸配列一致および
57%の総合類似性、正常な外皮細胞特異性1遺伝子産物(NES1)と46%
の一致、およびPSAおよびhK2 タンパク質と38%の一致を有する。多重整列は、セリンプロテアーゼの代表的
な三つ組は、KLK−L5タンパク質で保存されることを示す(H62、D10
およびS200)(図33および36)。さらに、良く保存されたペプチドモ
チーフは、他のセリンプロテアーゼの場合と同様に触媒三つ組のアミノ酸残基の
周囲に発見される〔例えばヒスチジン(VLTAAHC)、セリン(GDSGG
P)、およびアスパラギン酸(DLRLL)〕(11、12)(図36)。図3
6は、またカリクレインとカリクレイン様タンパク質の間で良く保存される他の
アミノ酸残基を示す。KLK−L5タンパク質と他のセリンプロテアーゼとの系
統発生学的関連性を予測するために、カリクレインタンパク質のアミノ酸配列を
#Clustal X”多重整列プログラムを用いて一緒に整列し、そして距離
マトリックスをNeighbor−joining/UPGMAおよびProt
parsパーシモニー法を用いて予測した。図37は、クラシカルカリクレイン
(hK1、hK2およびPSA)およびNES1を有するクラスター化KLK−
L5およびneuropsinタンパク質のセリンプロテアーゼから遠い別の群
への分離を示し、これは以前の公開された研究(27、41)と一致し、そして
この遺伝子の群が、多分共通の先祖遺伝子から遺伝子重複により発生したことを
示す。KLK−L5遺伝子の組織発現およびホルモン調節 図38に示すように、遺伝子は第一に唾液腺、胃、子宮、気管、前立腺、胸腺
、肺、直腸、脳、胸および甲状腺に最初に発現するが、他のカリクレインと同様
に低レベルの発現は、一部の他の組織(睾丸、膵臓、小腸、脊髄)にのみ見られ
る。RT−PCR特異性を確認するために、PCR産物をクローニングして配列
決定した。遺伝子の3種のスプライス形がこれら組織の大部分で発現された。し
かし、各形の相対頻度は、組織毎に異なっていた(図38)。 KLK−L5遺伝子がステロイドホルモンの制御下にあるかどうかを研究する
ために、2種の乳がん細胞株(BT−474およびT−47D)および前立腺ガ
ン細胞株(LNCaP)をモデルとして使用した。LNCaP細胞の場合に、遺
伝子はアンドロゲンおよびプロゲスチンによってのみアップレギュレーションさ
れた。この細胞内でのみ、すべての3種のアイソフォームが発現された。BT−
474細胞中では、KLK−L5は、エストロゲンおよびアンドロゲンによりm
RNAレベルでアップレギュレーションされ、より低い程度でプロゲスチンでア
ップレギュレーションされることが見いだされた。能力の順番は、アンドロゲン
>プロゲスチン>エストロゲンであった。これらの細胞株の両方で、短いアイソ
フォーム(関連タンパク質−2)が存在した(図39)。KLK−L5は乳がん内でダウンレギュレーションされる mRNAレベルでのKLK−L5遺伝子の発現を、17の乳ガン組織および一
つの正常な乳房組織をRT−PCRで比較した。遺伝子は、すべての12ガンで
発現されなかった(図40)。すべての乳房組織内(正常および悪性)で、短い
アイソフォーム(関連タンパク質−2)が、1例のガンを除いて優勢であり、こ
れはクラシカル形でのみ発現した(図40、レーン8)。これらの結果は、使用
したガンおよび正常組織の数が比較的少ないので予備的と解釈されるべきである
KLK−L5遺伝子のマッピングおよび染色体定位 染色体19q13.3−q13.4上の広範なゲノム配列の知識は、正確な1
4カリクレイン様遺伝子の定位および転写の方向の決定を可能とし、これを図2
8に矢印で示す。PSAおよびKLK2のみがセントロメアから転写する。残り
の遺伝子は、逆方向に転写される。KLK1遺伝子が最もセントロメア的であり
、そしてKLK−L6遺伝子が最もテロメア的であった(KLK−L6;配列番
号65)。KLK−L5は、KLK−L4(配列番号43)から21.3Kbだ
けセントロメア寄りであり、トリプシン様セリンプロテアーゼ遺伝子(TLSP
)に1.6Kbテロメア寄りである(図28)。考察 図34に示すように、カリクレインは、下記の共通的構造特性を特徴とする。
(a)すべての遺伝子は、5コーディングエキソンおよび4介在イントロンから
形成される〔一部の遺伝子は余分の非翻訳エキソンを有する〕(14、35)。
(b)エキソンの長さは、通常同程度である。(c)イントロン相は、常に保存
される(I−II−I−0〕(イントロン相の定義については、図34の用語参
照)。(d)これらの遺伝子は、同じ染色体内にクラスターし、介在する非カリ
クレイン様遺伝子はない。(e)セリンプロテアーゼの触媒三つ組のヒスチジン
残基は第二コーディングエキソンの末端付近、アスパラギン酸残基は第三コーデ
ィングエキソンの中央部、そしてセリンは第五コーディングエキソンの開始部分
に位置する。図34に示すように、すべてのこれらの規範は、新規に同定された
KLK−L5遺伝子に適用される。従って、KLK−L5は、カリクレイン多重
遺伝子ファミリーの新規の成員と考えるべきである。 セリンプロテアーゼおよびカリクレインは、N−末端シグナルペプチド(pr
e−zymogen)を含む”preproenzyme”、次いで短い活性化
ペプチドとしておよび酵素ドメイン(41、56)として合成された。 Pre
proPSAは、pre−領域(シグナルペプチド、17残基)を構成する24
コーティングの追加残基およびロペプチド(7残基)を有する(67)。シグナ
ルペプチドは、タンパク質を小胞体(ER)へまたはこれを通過するように指令
する。ER内で、シグナルペプチドは除去され、そして得られたproPSAが
形質膜に輸送され、ここでこれが分泌される。疎水性研究(図35)は、KLK
−L5タンパク質のアミノ末端領域がシグナルペプチドを内包することを示した
。また、KLK−L5のコンピューター解析は、アミノ酸18および18の間の
開裂部位を予測した(SQA−AT)。従って、タンパク質産物は、分泌タンパ
ク質であると考えられる。 交互にスプライスされる形の存在は、KLK−L5遺伝子の独特な特徴ではな
い。数種の例えカリクレインが、種々の交互にスプライスされる形で発現される
ことが知られている。主要な1.6Kb転写物に加えて、数種のRNA種がPS
A遺伝子から転写される。さらに、その他(69、70)は、数種のRNAアイ
ソフォームを記述する。本されるイントロンおよび完全なエキソンの欠損は、こ
れらのアイソフォームの数種で報告されている。さらに、Riegmanらは、
ヒト腺カリクレイン(KLK2)遺伝子の2種の交互スプライス形を報告し(6
2)、そしてLiuらは同じ遺伝子の3種の交互形を単離した(68)。組織カ
リクレイン遺伝子の新規の転写物は、直腸から単離された(63)。最近同定さ
れたカリクレィン様遺伝子のneuropsinは、優勢な形に加えて2種の交
互スプライス形を有することが見いだされた(35、64)。本明細書には、K
LK−L5遺伝子のクラシカルカリクレイン形および2種の独特のスプライス形
のクローニングが記述された。クラシカル形およびスプライス形は、他のカリク
レインと同様にすべて同じ転写、分泌及び活性化に必要な5’配列、すなわち5
’リーダー配列、シグナルペプチド、もよびpro領域を有するので、すべの3
種のmRNA形は、分泌されたタンパク質を産生すると考えるのが合理的である
。一部の組織中で優勢なKLK−L5の形を同定する予備的知見を図53〜40
に記載する。 予備的結果は、KLK−L5が乳ガンおよび前立腺ガン細胞株中でステロイド
ホルモンによりアップレギュレーションされることを示す(図39)。これらの
結果は、多くのカリクレイン遺伝子もステロイドホルモンにより制御されるので
驚くものではない。種々の細胞株間でのステロイドホルモンの能力の順番は、別
途記載のように、これらの間のステロイドホルモンの存在頻度の相違に起因する
のであろう。 結論として、ヒトカリクレイン遺伝子ファミリーの新規の成員KLK−L5は
、カリクレイン座(染色体19q13.3−q13.4)にマップされることを
特徴とする。この遺伝子は、主要形の他に2種のスプライス形を有する。KLK
−L5は、種々の組織内に発現され、乳ガン中えはダウンレギュレーションされ
るように考えられ、そしてその発現はステロイドホルモンにより影響される。数
種の他のカリクレインがすでに有効なガンマーカーとして使用されているので、
KLK−L5も同様の臨床的使用を見いだすであろう。 実施例7 実施例6記載と本質的に同じ材料および方法を用いて、本発明をカリクレイン
多重遺伝子ファミリーのKLK−L6と呼ばれる他の新規の遺伝子を同定した。
KLK−L6遺伝子の完全な構造を図41に示す。エキソン1、2、3、4、5
、6および7は、核酸1172−1281、2561−2695、2781−2
842、3714−3885、5715−5968、6466−6602、およ
び7258−7520である。KLK−L6遺伝子の核酸配列も配列番号65、
KLK−L6タンパク質のアミノ酸配列を配列番号66および67に示す(ジー
ンバンクアクセッション番号AF161221参照)。 図42は、KLK−L6および前立腺特異性抗原(PSA)の比較疎水性解析
を示す。両方の遺伝子のアミノ末端領域は、非常に疎水性であり、KLK−L6
のこの領域がPSAに類似するシグナルペプチドを内包していることを示す。 KLK−L6の多重整列を本明細書記載のClustal Xソフトウエアプ
ログラムを用いて行なった(図43)。 KLK−L6タンパク質と他のセリンプロテアーゼの系統発生的関連性を予測
するために、カリクレインタンパク質のアミノ酸配列をClustal X多重
整列プログラムを用いて整列し、そして距離マトリックス樹をNeighbor
Ojoining/UPGMAおよびProtparsパーシモニー法を用いて
予測した。図44は、クラシカルカリクレイン(hK1、hK2およびPSA)
を分離する系統発生学的解析を示し、そしてKLK−L6を別の群に位置した。 好ましい態様により本発明を説明および記述して、当該分野の熟練者には、こ
の原理からはなれることなく、その順序および細部を変更出来ることが認められ
るであろう。上記の請求範囲内に入るすべての変更を請求する。 本明細書に引用したすべての出版物、特許および特許出願は、個々の出版物、
特許または特許出願が特定しそして個別に引用して編入すると指定された場合に
は、引用することにより本明細書中に編入される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 8つのコンティグにより表された染色体19q13.3〜q13.4の付近の
連続ゲノム配列(contiguous genomic sequence)
の約300Kbを示し、各コンティグはその長さをKbで示されている。コンテ
ィグ番号は、ローレンス・リバーモアー・ナショナル・ラボラトリー・ウエブサ
イト(Lawrence Livermore National Labor
atory website)において報告されたコンティグ番号を示す。7つ
の既知の遺伝子(PSA、KLK2、ザイム(Zyme)、NES1、HSCC
E、ニューロプシン(neuropsin)及びTLSP)の局在化(loca
lization)に留意されたい(これらの遺伝子のフルネームについては略
号参照)。すべての遺伝子は転写の方向を示す矢印で表される。ヒトカリクレイ
ンに対する相同性を持たない遺伝子はUG(未知の遺伝子)と呼ばれる。5つの
新しいカリクレイン様遺伝子(KLK−L1〜KLK−Lは最もセントロメリッ
クから最もテロメリックへと番号をつけられている。矢印のすぐ下又はすぐ上の
数は各コンティグにおける適当なKb長さを示す。遺伝子長さ及び遺伝子間の距
離は最も近い6.5kbに丸められる。ギャップの部位は星印でマークされる。
【図2】 染色体19q13.3〜q13.4の付近の連続ゲノム配列を示す。遺伝子は
コード化配列(coding sequence)の方向を示す水平な矢印によ
り表される。遺伝子間の距離は塩基対で表される。
【図3】 RT−PCRにより決定されたプロスターゼ(prostase)/KLK−
L1遺伝子の組織発現を示す。アクチン及びPSAは対照遺伝子である。解説は
表9に示される。
【図4】 プロスターゼ/KLK−L1プライマーを使用して女性の乳房組織からのcD
NAで得られたPCR生成物の配列を示す。プライマーはアンダーラインを付け
られている。配列は前立腺組織から得られた配列と同じである。
【図5】 BT−474乳癌腫細胞系(breast carcinoma cell
line)におけるプロスターゼ/KLK−L1遺伝子のホルモンの調節(ho
rmonal regulation)の実験結果を示すブロットである。DH
T=ジヒドロテストステロン。ステロイドは10−8Mの最終濃度で加えられる
。アクチン(ステロイドホルモンにより調節されない)、pS2(エストロゲン
によりアップレギュレーションされる)及びPSA(アンドロゲン及びプロゲス
チンによりアップレギュレーションされる)は対照遺伝子である。プロスターゼ
/KLK−L1はアンドロゲン及びプロゲスチンによりアップレギュレーション
される。
【図6】 PSA、KLK1、KLK2、ザイム、ニューロプシン及びプロスターゼ/K
LK−L1遺伝子のゲノム構造の比較を示す略図である。エキソンはオープンボ
ックスにより示されそしてイントロンは接続線により示される。矢印ヘッドは開
始コドンを示しそして鉛直矢印は停止コドンを示す。ボックスの上の文字は触媒
トリアド(catalytic triad)の相対的位置を示し、Hはヒスチ
ジンを示し、Dはアスパラギン酸を示し、そしてSはセリンを示す。ローマ数字
はイントロン相を示す。イントロン相はコドン内のイントロンの位置を指し、I
はイントロンがコドンの第1ヌクレオチドの後に存在することを示す。IIはイ
ントロンが第2ヌチドの後に存在することを示し、0はイントロンがコドン間に
存在することを示す。ボックス内の数はエキソンの長さを塩基対で示す。
【図7】 KLK−L2遺伝子のゲノム組織(genomic organizatio
n)及び部分的ゲノム配列を示す。イントロン配列はスプライス部位(spli
ce junctions)以外は示されていない。イントロンは小文字で示さ
れ、そしてエキソンは大文字で示される。開始コドン及び停止コドンは丸で囲ま
れており、そしてエキソン−イントロン接合部はボックスで囲まれている。コー
ド化領域の翻訳されたアミノ酸は単一文字略号により下に示される。触媒残基は
三角形内にある。推定ポリアデニル化シグナルはアンダーラインを付けられてい
る。
【図8】 染色体19q13.3〜q13.4付近の殆ど連続したゲノム配列の約300
Kb領域を示す。遺伝子はコード化配列の方向を示す水平矢印により表される。
遺伝子間の距離は塩基対で示される。
【図9】 KLK−L2の推定されたアミノ酸配列のカリクレイン多重遺伝子族のメンバ
ーとの整合(alignment)を示す。遺伝子は(頂部から底部へ)、プロ
スターゼ/KLK−L1、エナメルマトリックスセリンプロテイナーゼ1(EM
SP1)(GenBank、受け入れ番号#NP 004908)、KLK−L
2、ザイム(GenBank受け入れ番号#Q92876)、ニューロプシン(
GenBank受け入れ番号#BAA28673)、トリプシン様セリンプロテ
アーゼ(TLSP)(GenBank受け入れ番号#BAA33404)、PS
A(GenBank受け入れ番号#P07288)、KLK2(GenBank
受け入れ番号#P20151)、KLK1(GenBank受け入れ番号#NP
002248)、及びトリプシノーゲン(GenBank受け入れ番号#P0
7477)である。(配列番号68〜77参照)。ダッシュは配列をより良く整 る。触媒トリアド付近の保存された区域はボックスで囲まれている。予想される
【図10】 (A)はいくらかのカリクレイン遺伝子の予想される系統樹のデンドログラム
を示す。隣接結合/UPGAM法(neighbor−joining/UPG
AM method)を使用してKLK−L2をカリクレイン遺伝子族の他のメ
ンバーと整合させた。遺伝子の名称及び受け入れ番号は図9に列挙されている。
樹は古典的カリクレイン(KLK1、KLK2及びPSA)を同じグループに集
め、そしてKLK−L2遺伝子をEMSP、プロスターゼ及びTLSPと1つの
グループにおいて整合させた。(B)KLK−L2の疎水性と親水性のプロット
【図11】 RT−PCRにより決定されたKLK−L2遺伝子の組織発現を示すブロット
である。アクチン及びPSAは対照遺伝子である。解説は表12に示される。
【図12】 BT−474乳癌腫細胞系におけるKLK−L2遺伝子のホルモンの調節(h
ormonal regulation)を示すブロットである。DHT=ジヒ
ドロテストステロン。ステロイドは10−8Mの最終濃度で加えられる。アクチ
ン(ステロイドホルモンにより調節されない)、pS2(エストロゲンによりア
ップレギュレーションされる)及びPSA(アンドロゲン及びプロゲスチンによ
りアップレギュレーションされる)は対照遺伝子である。KLK−L2はエスト
ロゲン及びプロゲスチンによりアップレギュレーションされる。
【図13】 EtBr染色アガロースゲルのブロットである。全DNAは正常な組織、良性
(benign)組織及び癌組織から抽出され、そしてcDNAを発生させるた
めに使用された。PCRはcDNAに対して行われた。
【図14】 染色体19q13.3〜q13.4付近の殆ど連続したゲノム配列の約300
Kb領域を示す。遺伝子はコード化配列の方向を示す水平矢印により表される。
遺伝子長さ及び遺伝子間の距離は最も近い0.5kbに丸められる。ギャップの
部位は星印でマークされる。TLSPに対してテロメア側に他の3つのカリクレ
イン様遺伝子があるようである。
【図15】 KLK−L3遺伝子のゲノム組織及び部分的ゲノム配列を示す。イントロン配
列はスプライス部位以外は示されていない。イントロンは小文字で示され、そし
てエキソンは大文字で示される。全配列については配列番号21を参照されたい
。開始コドン及び停止コドンは丸で囲まれており、そしてエキソン−イントロン
接合部はボックスで囲まれている。コード化領域の翻訳されたアミノ酸は単一文
字略号により下に示される。触媒残基は三角形内にある。推定ポリアデニル化シ
グナルはアンダーラインを付けられている。
【図16】 KLK−L3のパターンをザイム遺伝子のパターンと比較した、疎水性及び親
水性のプロットである。シグナルペプチドを表すらしい最初の20のアミノ酸付
近の疎水性領域に留意されたい。
【図17】 KLK−L3の推定されたアミノ酸配列のカリクレイン多重遺伝子族のメンバ
ーとの整合である。遺伝子は(頂部から底部へそして括弧内はGenBank受
け入れ番号#である)、PSA(P07288)、KLK2(P20151)、
KLK1(NP002248)、トリプシノーゲン(P07477)、KLK−
L3(AF135026)、トリプシン様セリンプロテアーゼ(TLSP)(B
AA33404)、ニューロプシン(BAA28673)、ザイム(Q9287
6)、ヒト角質層キモトリプチック酵素(stratum corneum c
hymotryptic enzyme)(HSCCE)(AAD49718)
及びプロスターゼ/KLK−L1(AAD21581)である。(配列番号78
〜84参照)。ダッシュは配列をより良く整合させるためのギャップを表す。触
媒トリアドの残基は肉太でありそしてイタリック体であり、そして29のインバ
リアントセリンプロテアーゼ残基は(◆)により示される。システイン残基は(
●)により示される。触媒トリアド付近の保存された区域は黒で強調されている
。矢印ヘッド(▲)は潜在的開裂部位(potential cleavage
sites)を表す。点を打った区域はカリクレインループ配列を表す。
【図18】 いくらかのセリンプロテアーゼ及びカリクレイン遺伝子の予想される系統樹の
デンドログラムである。隣接結合/UPGAM法を使用してKLK−L3をカリ
クレイン遺伝子族の他のメンバーと整合させた。遺伝子の名称及び受け入れ番号
は図17に列挙されている。樹は古典的カリクレイン(KLK1、KLK2及び
PSA)を同じグループに集め、そしてKLK−L3遺伝子をTLSP、ニュー
ロプシン及びNES1遺伝子とともに1つのグループにおいて整合させた。KL
K−L4(配列番号43)はTLSP(21)に対して更に末端にある(lie
s further telomeric to TLSP(21))。
【図19】 RT−PCRにより決定されたKLK−L3遺伝子の組織発現を示すブロット
である。アクチン及びPSAは対照遺伝子である。
【図20】 BT−474乳癌腫細胞系におけるKLK−L3遺伝子のホルモンの調節を示
す。DHT=ジヒドロテストステロン。ステロイドは10−8Mの最終濃度で加
えられた。アクチン(ステロイドホルモンにより調節されない)、pS2(エス
トロゲンによりアップレギュレーションされる)及びPSA(アンドロゲン及び
プロゲスチンによりアップレギュレーションされる)は対照遺伝子である。KL
K−L3はプロゲスチン、エストロゲン及びアンドロゲンによりアップレギュレ
ーションされる。
【図21】 PSA、KLK2、ニューロプシン、NES1及びKLK−L3遺伝子のゲノ
ム構造の比較を示す略図である。エキソンはオープンボックスにより示されそし
てイントロンは接続線により示される。矢印ヘッドは開始コドンを示しそして矢
印は停止コドンを示す。ボックスの上の文字は触媒トリアドの相対的位置を示し
、Hはヒスチジンを示し、Dはアスパラギン酸を示し、そしてSはセリンを示す
。ローマ数字はイントロン相を示す。イントロン相はコドン内のイントロンの位
置を指し、Iはイントロンがコドンの第1ヌクレオチドの後に存在することを示
し、IIはイントロンが第2ヌチドの後に存在することを示し、0はイントロン
がコドン間に存在することを示す。ボックス内の数はエキソンの長さを塩基対で
示す。
【図22】 ESTs(表16)、ジャーマン・ゲノム・プロジェクトからのクローン、及
びKLK−L4の長い形態(long form)の比較ゲノム構造を示す。エ
キソンは連続バーにより表され、そしてイントロンは接続線により表される。連
続バーの上のエキソン番号はGenBank受け入れ番号#AF135024を
指す。EST IDsはGenBank受け入れ番号を表す。星印は停止コドン
の位置を示す。水平矢印はPCRプライマー(表15に記載されている)の方向
を示し、そして矢印ヘッドはエキソンに沿ったそれらの位置を示す。鉛直点線は
同じ断片の整合を示す。
【図23】 RT−PCRにより決定されたKLK−L4遺伝子の組織発現を示す。アクチ
ン及びPSAは対照遺伝子である。KLK−L4は乳房、前立腺、唾液腺及び精
巣において高度に発現される。
【図24】 上部パネルにおいて、長いKLK−L4形態及び短いKLK−L4バリアント
の比較ゲノム構造を示すダイアグラムである。エキソンはボックスにより示され
、そしてイントロンは接続線により表される。エキソン番号は配列番号43及び
GenBank受け入れ番号AF135024を指す。黒い領域は遺伝子の長い
形態では見いだされるが遺伝子の短い形態では見いだされない余分の断片(21
4bp)を示す。2つの形態の停止コドンの位置は星印によりマークされている
。フレームシフトは別の(alternative)スプライス部位の利用の結
果として起こり、そして停止コドンは短い形態においてエキソン4の始めに発生
させられる。下部のパネルはL4−R1及びL4−X1プライマー(図22及び
表15)を使用してKLK−L4遺伝子の増幅のPCR生成物を示す。主要な長
い形態及び、KLK−L4mRNAの短い形態を表す少いバンドに留意されたい
。(M)左側に示されたbpでのサイズを有するマーカー。使用された組織は(
1)唾液腺、(2)乳腺、(3)前立腺、(4)精巣、(5)子宮、(6)乳癌
組織、(7)負の対照である。
【図25】 KLK−L4遺伝子のゲノム組織及び部分的ゲノム配列を示す。イントロン配
列はスプライス部位以外は示されていない。イントロンは小文字で示され、そし
てエキソンは大文字で示される。全配列については配列番号43又はGenBa
nk受け入れ番号#AF135024を参照されたい。開始コドン及び停止コド
ンは丸で囲まれており、そしてエキソン−イントロン接合部はアンダーラインを
付けられている。コード化領域の翻訳されたアミノ酸は単一文字略号により下に
示される。触媒残基はボックスで囲まれている。推定ポリアデニル化シグナルは
アンダーラインを付けられている。
【図26】 腺性カリクレイン(glandular hallikrein)遺伝子2(
KLK2)と比較した、KLK−L4タンパク質の疎水性及び親水性のプロット
である。シグナルペプチドの存在を示唆するアミノ末端の疎水性領域に留意され
たい。
【図27】 KLK−L4の推定されたアミノ酸配列のカリクレイン多重遺伝子族のメンバ
ーとの整合を示す。遺伝子は(頂部から底部へそして括弧内はGenBank受
け入れ番号#である)、KLK−L1/プロスターゼ(AAD21581)、エ
ナメルマトリックスセリンプロティナーゼ1(EMSP)(NP 004908
)、KLK−L2(AF135028)、PSA(P07288)、KLK2(
P20151)、KLK−L1(NP 002248)、トリプシノーゲン(P
07477)、ザイム(Q92876)、KLK−L4(AF135024)、
トリプシン様セリンプロテアーゼ(TLSP)(BAA33404)、KLK−
L3(AF135026)、ニューロプシン(BAA28673)及び正常な上
皮細胞特異的1遺伝子(NES1)(Q43240)である。(配列番号78〜
88参照)。ダッシュは配列をより良く整合させるためのギャップを表す。触媒
トリアドの残基は肉太でタイプされており、そしてそれらの付近の保存されたモ
チーフ(conserved motifs)灰色により強調されている。29
のインバリアントセリンプロテアーゼは(●)により示され、そしてシステイン
【図28】 染色体19q13.3−q13.4の周辺のほぼ近接するゲノム配列の概略3
00Kb領域を示す。遺伝子はコード付け配列の方向を示す水平の矢印により表
される。それらの長さは各矢印の上部に示されている。遺伝子間の距離は矢印の
下の塩基対に記されている。KLK1およびPSAの間の距離は正確にはわから
ない。遺伝子の名称に関しては、略語を参照のこと。
【図29】 ある種のカリクレインおよびセリンプロテアーゼ遺伝子に関する予測される系
統樹の樹状図である。隣接−結合(neighbor−joining)/UP
GMA法を使用してKLK−L4を他のセリンプロテアーゼ類およびカリクレイ
ン遺伝子族の員と整列させた。樹は古典的なカリクレイン類(KLK1、KLK
2、およびPSA)を一緒にまとめそして1つの群の中のKLK−L4遺伝子を
酵素、NES1、ニューロプシン、KLK−L3、およびTLSPと整列させた
。他のセリンプロテアーゼは、示されているように、別の群で整列させられた。
【図30】 BT−474乳癌細胞系統におけるKLK−L4遺伝子のホルモン調節を示す
点である。DHT=ジヒドロテストステロン。ステロイド類を10−8Mの最終
濃度で加えた。アクチン(ステロイドホルモン類により調節されない)、pS2
(エストロゲン類により上方に調節される)並びにPSA(アンドロゲン類およ
びプロゲスチン類により上方に調節される)は対照遺伝子である。KLK−L4
はアンドロゲン類およびプロゲスチン類により上方に調節されそしてエストロゲ
ン類によりそれより少ない程度に上方調節される。HOを使用して全てのPC
R反応におけるPCR特異性を検査した。さらなる詳細に関しては、本文を参照
のこと。
【図31】 PSA、KLK2、ニューロプシン、NES1、およびKLK−L4遺伝子の
ゲノム構造の比較を示すスキーム図である。エキソンは黒色の囲みにより示され
そしてイントロンは連接線により示される。矢印の先は出発コドンを示しそして
矢印は停止コドンを示す。囲みの上の文字は触媒3回対称軸のアミノ酸類の相対
的位置を示し、Hはヒスチジンを示し、Dはアスパラギン酸を示しそしてSはセ
リンを示す。ローマ数字はイントロン状態(phase)を示す。イントロン状
態はコドン内のイントロンの位置を示し、Iはコドンの第1ヌクレオチド後にイ
ントロンが生ずることであり、IIは第2ヌクレオチド後にイントロンが生ずる
ことであり、0はコドン間でイントロンが生ずることである。囲み内の番号は塩
基対の中のエキソン長さを示す。疑問符はより多い未翻訳塩基の可能性を示す。
【図32】 KLK−L5の3つのスプライス形態である古典的なカリクレイン形態、関連
蛋白質−1、および関連蛋白質−2の比較用のゲノム構造を示す。エキソンは実
線により表されそしてイントロンは連接線により表される。エキソン番号はSE
Q.ID.NO.56およびゲンバンク・アクセッション(GenBank A
ccession)#AF135025を示す。出発コドンは逆矢印(▼)によ
り表されそして停止コドンは星印(*)により表される。プライマー位置は垂直
矢印の先(▲)により表されそしてそれらの方向は水平矢印により表される。プ
ライマー配列およびコードに関しては表17並びにSEQ.ID.NOs.61
−64および9−12を参照のこと。
【図33】 KLK−L5遺伝子のゲノム構成および部分的ゲノム配列を示す。イントロン
配列はスプライス部位周辺の短い配列以外は示されていない。イントロンはロア
ーケース文字でそしてエキソンは大文字で示される。全配列に関しては、SEQ
.ID.NO.56を参照のこと。出発および停止コドンは円で囲まれそしてエ
キソン−イントロン境界は下線が引かれている。コード付け領域の翻訳されたア
ミノ酸類は一文字略語により下に示されている。触媒基は囲みに入れられている
。推定ポリアデニル化信号は下線が引かれている。関連蛋白質−1形態の外部イ
ントロンは括弧間の肉太でない文字により表される。このイントロンがスプライ
スされる時に、枠はコドンAAC(アスパラギン、N、リシンの代わり、K)と
それが停止コドンTAA(円で囲まれる)に出合うまで続く。
【図34】 PSA、KLK2、ニューロプシン、NES1、KLK−L4およびKLK−
L5遺伝子のゲノム構造の比較を示すスキーム図である。エキソンは実線により
示されそしてイントロンは連接線により示される。矢印の先は出発コドンの部位
を示し、そして矢印は停止コドンを表す。囲みの上の文字は触媒3回対称軸の相
対的位置を示し、Hはヒスチジンを示し、Dはアスパラギン酸を示しそしてSは
セリンを示す。ローマ数字はイントロン状態を示す。イントロン状態はコドン内
のイントロンの位置を示し、Iはコドンの第1ヌクレオチド後にイントロンが生
ずることであり、IIは第2ヌクレオチド後にイントロンが生ずることであり、
0はコドン間でイントロンが生ずることである。囲み内の番号は塩基対の中のエ
キソン長さを示す。疑問符はより多い未翻訳塩基の可能性を示す。
【図35】 プロステート特異的抗原(PSA)と比較したKLK−L5の疎水性および親
水性のプロットを示す。疎水性N−末端は信号および活性化ペプチドを固定でき
る。
【図36】 KLK−L5の推定アミノ酸配列とカリクレイン多重遺伝子族の員との整列を
示す。(SEQ.ID.NOs.78−81、83、84を参照のこと)。ダッ
シュ(−)は配列をより良く整列させるための間隙を表す。触媒3回対称軸の基
は肉太文字により表され、そして29個の不変セリンプロテアーゼ基は(・)で
印がつけられている。システイン基は(◆)により印がつけられている。保存さ
れた領域は灰色でハイライトがつけられている。信号ペプチド中の予測される分
矢印はトリプシン類似分裂部位を示す。
【図37】 ある種のセリンプロテアーゼ類および他のカリクレイン蛋白質に関する予測さ
れる系統樹の樹状図である。隣接−結合/UPGMA法を使用してKLK−L5
を他のセリンプロテアーゼ類およびカリクレイン遺伝子族の員と整列させた。樹
は古典的なカリクレイン類(hK1、hK2、およびPSA)を一緒にまとめそ
して1つの群の中のKLK−L5蛋白質をNES1およびニューロプシンと整列
させた。他のセリンプロテアーゼ類は別の群で整列させられた。
【図38】 RT−PCRにより測定されたKLK−L5遺伝子の組織発現を示す。上の帯
(905塩基対、bp)は古典的な形態(図32参照)であり、中間部(776
bp)は関連蛋白質−1であり、そして下の帯(644bp)は関連蛋白質−2
である。スプライス変種の論議に関しては、本文を参照のこと。使用したプライ
マー類は、表17に示されているように、L5−F2およびL5−R2であった
【図39】 LnCaP前立腺癌細胞系統、BT−474およびT−47D乳癌細胞系統中
のKLK−L5遺伝子のホルモン調節を示す。ステロイド類を10−8Mの最終
濃度で加えた。アクチン(ステロイドホルモン類により調節されない)を対照遺
伝子として使用した。LNCaP中でのみの3種のイソ形態の検出に注目するこ
と。
【図40】 乳癌(1−17)および正常(18)組織中のKLK−L5遺伝子の発現を示
す。12種の癌組織中での発現の完全な不存在に注目すること。イソ形態に関し
ては図38を参照のこと。
【図41】 KLK−L6核酸分子の全構造を示す。
【図42】 プロテアーゼ特異的抗原(PSA)と比較したKLK−L6蛋白質の疎水性お
よび親水性のプロットである。
【図43】 KLK−L6の推定アミノ酸配列と多重遺伝子族の員との整列を示す。(SE
Q.ID.NOs.78−81、83、84参照)。ダッシュ(−)は配列をよ
り良く整列させるための間隔を表す。
【図44】 ある種のセリンプロテアーゼ類および他のカリクレイン蛋白質に関する予測さ
れる系統樹の樹状図である。隣接−結合/UPGMA法を使用してKLK−L6
を他のセリンプロテアーゼ類およびカリクレイン遺伝子族の員と整列させた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 C12N 9/64 A 4H045 C07K 16/40 C12Q 1/68 A C12N 9/64 G01N 33/53 D C12Q 1/68 M G01N 33/53 Z 33/566 C12N 15/00 ZNAA 33/566 A61K 37/02 (31)優先権主張番号 60/144,919 (32)優先日 平成11年7月21日(1999.7.21) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 エレフテリオス・ピー・デイアマンデイス カナダ・オンタリオ エム5ジー 2エツ クス2・トロント・ジエラードストリート ウエスト1504・スイート44 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA12 BA14 BA43 CA04 DA03 EA04 FA18 GA11 HA01 HA14 HA15 HA17 4B050 CC03 DD11 LL01 LL03 4B063 QA01 QQ01 QQ08 QQ36 QQ43 QR32 QR55 QS25 QS33 QS34 4C084 AA02 AA07 AA17 BA01 BA22 NA14 ZB26 4C086 AA01 AA03 EA16 NA14 ZB26 4H045 AA11 CA40 DA75 EA20 EA50 FA74

Claims (31)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 緊縮ハイブリダイゼーション条件下で、それぞれ配列番号1
    、13、21、43、56または65、あるいは配列番号1、13、21、43
    、56または65の相補鎖とハイブリダイスする少なくとも30個のヌクレオチ
    ドの単離されたKLK−L1、KLK−L2、KLK−L3、KLK−L4、K
    LK−L5またはKLK−L6核酸分子。
  2. 【請求項2】 (i)配列番号2、3、14、22、23、44、45、5
    7、58、59、60、66または67にそれぞれ示すKLK−L1、KLK−
    L2、KLK−L3、KLK−L4、KLK−L5またはKLK−L6タンパク
    質のアミノ酸配列と実質的な配列同一性を有するタンパク質をコードする核酸配
    列; (ii)配列番号2、3、14、22、23、44、45、57、58、59、
    60、66または67にそれぞれ示すKLK−L1、KLK−L2、KLK−L
    3、KLK−L4、KLK−L5またはKLK−L6タンパク質のアミノ酸配列
    を含んで成るタンパク質をコードする核酸配列; (iii)(i)に相補的な核酸配列; (iv)(i)の核酸配列の縮重形: (v)(i)、(ii)または(iii)の核酸配列に緊縮条件下でハイブリダ
    イズすることができる核酸配列; (vi)配列番号2、3、14、22、23、44、45、57、58、59、
    60、66または67にそれぞれ示すKLK−L1、KLK−L2、KLK−L
    3、KLK−L4、KLK−L5またはKLK−L6タンパク質のアミノ酸配列
    を含んで成るタンパク質の切頭形、同族体、対立遺伝子的または種の変異をコー
    ドする核酸配列;あるいは (vii)(i)、(ii)または(iii)のフラグメント、または対立遺伝
    子的もしくは種の変異、 を含んで成る単離された核酸分子。
  3. 【請求項3】 (i)TがUであることもできる配列番号1、13、21、
    43、56または65の配列を含んで成る核酸配列; (ii)(i)に相補的、好ましくは配列番号1、13、21、43、56また
    は65の完全な核酸配列に相補的な核酸配列; (iii)(i)または(ii)の核酸、そして好ましくは少なくとも18ヌク
    レオチドを有する核酸に、緊縮条件下でハイブリダイズすることができる核酸;
    あるいは (iv)遺伝暗号の縮重により、コドン配列において(i)〜(iii)の核酸
    とは異なる核酸分子、 を含んで成る本発明の精製され、そして単離された核酸分子。
  4. 【請求項4】 KLK−L1、KLK−L2、KLK−L3、KLK−L4
    、KLK−L5またはKLK−L6タンパク質の抗体に結合するタンパク質をコ
    ードする単離された核酸分子。
  5. 【請求項5】 ヘテロロガスなタンパク質をコードする核酸分子に融合され
    た、前記請求項のいずれかに記載の単離された核酸分子の調節配列。
  6. 【請求項6】 前記請求項のいずれかに記載の核酸分子を含んで成るベクタ
    ー。
  7. 【請求項7】 前記請求項のいずれかに記載の核酸分子を含んで成る宿主細
    胞。
  8. 【請求項8】 配列番号2または3に記載のアミノ酸配列を含んで成る単離
    されたKLK−L1タンパク質。
  9. 【請求項9】 配列番号14に記載のアミノ酸配列を含んで成る単離された
    KLK−L2タンパク質。
  10. 【請求項10】 配列番号22または23に記載のアミノ酸配列を含んで成
    る単離されたKLK−L3タンパク質。
  11. 【請求項11】 配列番号44または45に記載のアミノ酸配列を含んで成
    る単離されたKLK−L4タンパク質。
  12. 【請求項12】 配列番号57、58、59または60に記載のアミノ酸配
    列を含んで成る単離されたKLK−L5タンパク質。
  13. 【請求項13】 配列番号66または67に記載のアミノ酸配列を含んで成
    る単離されたKLK−L6タンパク質。
  14. 【請求項14】 配列番号2、3、14、22、23、44、45、57、
    58、59、60、66または67のアミノ酸配列に対して少なくとも65%の
    アミノ酸配列同一性を有する単離されたタンパク質。
  15. 【請求項15】 (a)請求項6に記載のベクターを宿主細胞に移し; (b)形質転換していない宿主細胞から形質転換した宿主細胞を選択し; (d)選択した形質転換した宿主細胞を、タンパク質の発現を可能とする条件下
    で培養し;そして (c)タンパク質を単離する、 ことを含んで成る、前記請求項のいずれかに記載のタンパク質の調製法。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の方法に従い調製したタンパク質。
  17. 【請求項17】 請求項8、9、10、11、12または13に記載のポリ
    ペプチドのエピトープに対する特異性を有する抗体。
  18. 【請求項18】 検出可能な物質で標識し、そして生物学的サンプル、組織
    および細胞を検出するために使用する、請求項17に記載の抗体。
  19. 【請求項19】 請求項8、9、10、11、12または13に記載のタン
    パク質、またはそれらの部分をコードする配列を含んで成るプローブ。
  20. 【請求項20】 前記請求項のいずれかに記載のタンパク質をコードする核
    酸分子の存在を決定することにより、またはタンパク質の存在を決定することに
    より、請求項8、9、10、11、12または13に記載のタンパク質により媒
    介される状態を診断し、そしてモニタリングする方法。
  21. 【請求項21】 状態がガンである、請求項20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 請求項8、9、10、11、12または13に記載のタン
    パク質に会合する物質を同定するための方法であって、(a)物質とタンパク質
    との間の会合を可能とする条件下でタンパク質と潜在的に会合することができる
    少なくとも1つの物質をタンパク質と反応させ、そして(b)物質と会合したタ
    ンパク質を取り出すか、または検出することを含んで成り、ここで会合したタン
    パク質および物質の検出は物質がタンパク質と会合したことを示す上記方法。
  23. 【請求項23】 化合物が請求項8、9、10、11、12または13に記
    載のタンパク質の生物学的活性をモジュレートする能力を評価する方法であって
    、既知の濃度のタンパク質をタンパク質に会合する物質および試験化合物に、物
    質とタンパク質との間の複合体の形成を可能とする条件下で提供し、そして複合
    体を取り出し、かつ/または検出することを含んで成る上記方法。
  24. 【請求項24】 生物学的サンプル中に配列番号2、3、14、22、23
    、44、45、57、58、59、60、66または67のアミノ酸配列を含ん
    で成るタンパク質をコードする核酸を検出する方法であって、 (a)請求項2に記載の核酸分子を生物学的サンプル中の核酸分子とハイブリダ
    イズさせ、これによりハイブリダイゼーション複合体を形成し;そして (b)ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程を含んで成り、ここでハイ
    ブリダイゼーション複合体の存在は生物学的サンプル中のタンパク質をコードす
    る核酸分子の存在と相関する上記方法。
  25. 【請求項25】 生物学的サンプル中の核酸分子が、ハイブリダイゼーショ
    ン工程の前にポリメラーゼ連鎖反応により増幅される、請求項24に記載の方法
  26. 【請求項26】 効果的な量の請求項17に記載の抗体、あるいは請求項2
    2または23に記載の方法に従い同定された物質または化合物を投与することを
    含んで成る、請求項8、9、10、11、12または13に記載のタンパク質に
    より媒介される状態の処置法。
  27. 【請求項27】 状態がガンである請求項26に記載の方法。
  28. 【請求項28】 1以上の前記請求項のいずれかに記載の核酸分子またはタ
    ンパク質、あるいは前記請求項のいずれかに記載の方法を使用して同定された物
    質または化合物、および医薬的に許容され得るキャリアー、賦形剤または希釈剤
    を含んで成る組成物。
  29. 【請求項29】 1以上の前記請求項のいずれかに記載の核酸分子またはタ
    ンパク質、あるいは前記請求項のいずれかに記載の方法を使用して同定された物
    質または化合物の、前記請求項のいずれかに記載のタンパク質により媒介される
    状態を処置するための医薬組成物の調製における使用。
  30. 【請求項30】 請求項8、9、10、11、12または13にそれぞれ記
    載のKLK−L1、KLK−L2、KLK−L3、KLK−L4、KLK−L5
    またはKLK−L6タンパク質を発現せず、それぞれKLK−L1、KLK−L
    2、KLK−L3、KLK−L4、KLK−L5またはKLK−L6タンパク質
    が関係する病状を生じる、トランスジェニック非ヒト哺乳動物。
  31. 【請求項31】 KLK−L1、KLK−L2、KLK−L3、KLK−L
    4、KLK−L5またはKLK−L6タンパク質が関係する病状を軽減するか、
    または抑制する作用物質を試験するためのモデル系を提供するトランスジェニッ
    ク動物アッセイ系であって、 (a)作用物質を請求項26に記載のトランスジェニック非ヒト動物に投与し;
    そして (b)該作用物質が、作用物質を投与しなかった工程(a)のトランスジェニッ
    ク非ヒト動物に対してトランスジェニック非ヒト動物におけるKLK−L1、K
    LK−L2、KLK−L3、KLK−L4、KLK−L5またはKLK−L6タ
    ンパク質が関係する病状を軽減するか、または抑制するかどうかを決定する、こ
    とを含んで成る上記トランスジェニック動物アッセイ系。
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