JP2007271823A - ホログラフィック記録用組成物及びその製造方法、並びに光記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】オキサゾリン環を有する化合物が開環重合してなるポリマーと、ラジカル重合性モノマーと、光重合開始剤とを含むことを特徴とするホログラフィック記録用組成物である。該オキサゾリン環を有する化合物が開環重合してなるポリマーが、一般式(1)で表される繰り返し単位を有する態様が好ましい。
ただし、前記一般式(1)中、Rは、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す。該アルキル基及びアリール基は、それぞれ置換基を有していてもよい。nは、1以上の整数を表す。
【選択図】なし
Description
<1> オキサゾリン環を有する化合物が開環重合してなるポリマーと、ラジカル重合性モノマーと、光重合開始剤とを含むことを特徴とするホログラフィック記録用組成物である。
<2> オキサゾリン環を有する化合物が開環重合してなるポリマーが、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する前記<1>に記載のホログラフィック記録用組成物である。
<3> オキサゾリン環を有する化合物が、下記一般式(2)で表される前記<1>から)<2>のいずれかに記載のホログラフィック記録用組成物である。
該アルキル基及びアリール基は、それぞれ置換基を有していてもよい。
<4> オキサゾリン環を有する化合物が開環重合してなるポリマーのガラス転移温度(Tg)が、−20℃以上30℃以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載のホログラフィック記録用組成物である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載のホログラフィック記録用組成物を製造する方法であって、オキサゾリン環を有する化合物を熱によって開環重合させる工程を含むことを特徴とするホログラフィック記録用組成物の製造方法である。
<6> 前記<1>から<4>のいずれかに記載のホログラフィック記録用組成物からなるホログラフィック記録層を有することを特徴とする光記録媒体である。
<7> 第一の基板と、フィルタ層と、ホログラフィック記録層と、第二の基板とを有する前記<6>に記載の光記録媒体である。
<8> 第二の基板が、サーボピットパターンを有する前記<7>に記載の光記録媒体である。
<9> サーボピットパターン表面に、反射膜を有する前記<8>に記載の光記録媒体である。
<10> フィルタ層が、第一の光を透過し、第二の光を反射する前記<7>から<9>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<11> フィルタ層と反射膜との間に、第一の基板表面を平滑化するための第1ギャップ層を有する前記<7>から<10>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<12> ホログラフィック記録層とフィルタ層との間に、第2ギャップ層を有する前記<7>から<11>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<13> 可干渉性を有する情報光及び参照光を、前記<6>から<12>のいずれかに記載の光記録媒体に照射し、前記情報光と前記参照光とにより干渉像を形成し、該干渉像を前記光記録媒体のホログラフィック記録層に記録することを特徴とする光記録方法である。
<14> 情報光の光軸と参照光の光軸とが同軸となるように、光記録媒体に前記情報光及び前記参照光を照射し、該情報光と該参照光との干渉により生成される干渉像を光記録媒体のホログラフィック記録層に記録する前記<13>に記載の光記録方法である。
<15> 前記<13>から<14>のいずれかに記載の光記録方法によりホログラフィック記録層に記録された干渉パターンに、参照光を照射して情報を再生することを特徴とする光再生方法である。
<16> 可干渉性を有する情報光及び参照光を、前記<6>から<12>のいずれかに記載の光記録媒体に照射し、前記情報光と前記参照光とにより干渉像を形成し、該干渉像を前記光記録媒体に記録することを特徴とする光記録再生装置である。
本発明のホログラフィック記録用組成物は、オキサゾリン環を有する化合物が開環重合してなるポリマー(バインダー)と、ラジカル重合性モノマーと、光重合開始剤とを少なくとも含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記バインダーは、マトリックスとも呼ばれ、記録や保存に関わるラジカル重合性モノマーや光重合開始剤を保持するためのポリマーであり、塗膜性、膜強度、及びホログラム記録特性向上の効果を高める目的で使用されるものである。
前記バインダーは、オキサゾリン環を有する化合物が開環重合してなるポリマーであり、該オキサゾリン環を有する化合物、更に必要に応じてその他の成分を反応させてなる。
前記バインダーは、直鎖状又は三次元架橋構造であり、ラジカル重合性モノマーとの相溶性などを考慮して適宜選択される。
前記アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ターシャリーオクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、などが挙げられる。これらは更に置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、フェニル基、アミノ基、エーテル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、ヘテロ環基、などが挙げられ、これらの中でも、エーテル基、アシルオキシ基がより好ましい。
前記アリール基としては、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントラニル基、などが挙げられる。これらは更に置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、アルキル基、フェニル基、アミノ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、ヘテロ環基、などが挙げられ、これらの中でも特に、アルキル基が好ましい。
前記オキサゾリン環を有する化合物としては、オキサゾリン環を1分子中に1個以上有していれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該オキサゾリン環を、1分子中に1〜5個有するのが好ましく、1〜2個有するのがより好ましい。
前記アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数が1〜10であるのが好ましく、1〜5がより好ましく、1〜2が特に好ましい。
前記アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ターシャリーオクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、などが挙げられる。これらは更に置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、フェニル基、アミノ基、エーテル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、ヘテロ環基、などが挙げられ、これらの中でも、エーテル基、アシルオキシ基がより好ましい。
これらの中でも、開環重合の容易さから考慮すると、前記オキサゾリン環の4位及び5位の置換基としては、それぞれ水素原子であるのが特に好ましい。
前記アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数が1〜20であるのが好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5が特に好ましい。
前記アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ターシャリーオクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、などが挙げられる。これらは更に置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、フェニル基、アミノ基、エーテル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、ヘテロ環基、などが挙げられ、これらの中でも、エーテル基、アシルオキシ基がより好ましい。
前記アリール基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数が6〜20であるのが好ましく、6〜10がより好ましく、6が特に好ましい。
前記アリール基としては、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントラニル基、などが挙げられる。これらは更に置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、アルキル基、フェニル基、アミノ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、ヘテロ環基、などが挙げられ、これらの中でも、アルキル基がより好ましい。
前記その他の成分としては、例えば、開環重合開始剤が挙げられる。該開環重合開始剤としては、前記オキサゾリン環を有する化合物を開環重合できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、具体的には、酸発生剤やアルキル化剤などが挙げられる。該酸発生剤としては、例えば、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4,4’−ジ−t−ブチルジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−ジエチルアミノフェニルベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、などが挙げられる。また、該アルキル化剤としてはトリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、トリフルオロメタンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記開環重合開始剤のホログラフィック記録用組成物における含有量としては、オキサゾリン環を有する化合物を開環重合できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該オキサゾリン環を有する化合物の全質量に対し、0.01〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.1〜1質量%が更に好ましい。
前記オキサゾリン環を有する化合物は、本発明のホログラフィック記録用組成物からなるホログラフィック記録層を有する光記録媒体のホログラフィック記録層部分を、有機溶媒、例えばジオキサンなどで抽出して、GPC又はHPLCにより分離し、NMRなどで同定することができる。
前記オキサゾリン環を有する化合物が開環重合したポリマーはポリアミドであり、赤外吸収スペクトルにより、そのアミド基が確認でき、また、そのポリマーを酸や塩基で処理することにより、結合していたアミド結合を切断し、それらに対応したポリアミンを検出することができる。
前記ラジカル重合性モノマーとは、情報記録に関与し、後述する光重合開始剤によりラジカル重合を行うことができる化合物を意味する。
前記ラジカル重合性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、アリル基、ビニル基のような不飽和結合を有するモノマーなどが好適に挙げられる。これらラジカル重合性モノマーは、単官能であっても多官能であってもよい。
前記ラジカル重合性モノマーとしては、具体的には、アクリロイルモルホリン、フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールPO変性ジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、2−ナフト−1−オキシエチルアクリレート、2−カルバゾイル−9−イルエチルアクリレート、(トリメチルシリルオキシ)ジメチルシリルプロピルアクリレート、ビニル−1−ナフトエート、N−ビニルカルバゾール、2,4−ジブロモフェニルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、ペンタブロムアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、などが挙げられる。これらの中でも、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、2,4−ジブロモフェニルアクリレート、N−ビニルカルバゾールが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤としては、光により重合反応を起こす開始種になりうるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ラジカル重合性開始剤が好適に挙げられる。
前記ラジカル重合開始剤としては、記録光に対する感度を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光照射によりラジカル重合を引き起こす材料などが挙げられる。
前記ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾール、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ジ−t−ブチルジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−ジエチルアミノフェニルベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾイン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−2−オン、ベンゾフェノン、チオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルアシルホスフィンオキシド、トリフェニルブチルボレートテトラエチルアンモニウム、ビス(η−5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)、ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニルチタニウム〕、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、照射する光の波長に合わせて後述する増感色素を併用してもよい。
前記その他の成分としては、例えば、増感色素、重合禁止剤又は酸化防止剤、光熱変換材料、などが挙げられる。なお、本発明のホログラフィック記録用組成物に含有しうるその他の成分は、これらに限定されるものではない。
前記ホログラフィック記録用組成物は、必要に応じて増感色素を含有することができる。該増感色素としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、「Research Disclosure,Vol.200,1980年12月、Item 20036」や「増感剤」(p.160〜p.163、講談社;徳丸克己・大河原信/編、1987年)等に記載された公知の化合物を使用することができる。
前記増感色素としては、具体的には、特開昭58−15603号公報に記載の3−ケトクマリン化合物、特開昭58−40302号公報に記載のチオピリリウム塩、特公昭59−28328号公報、同60−53300号公報に記載のナフトチアゾールメロシアニン化合物、特公昭61−9621号公報、同62−3842号公報、特開昭59−89303号公報、同60−60104号公報に記載のメロシアニン化合物が挙げられる。
また、「機能性色素の化学」(1981年、CMC出版社、p.393〜p.416)や「色材」(60〔4〕212−224(1987))等に記載された色素も挙げることができる。具体的には、カチオン性メチン色素、カチオン性カルボニウム色素、カチオン性キノンイミン色素、カチオン性インドリン色素、カチオン性スチリル色素が挙げられる。
更に、クマリン(ケトクマリン又はスルホノクマリンも含まれる)色素、メロスチリル色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等のケト色素;非ケトポリメチン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、アントラセン色素、ローダミン色素、アクリジン色素、アニリン色素、アゾ色素等の非ケト色素;アゾメチン色素、シアニン色素、カルボシアニン色素、ジカルボシアニン色素、トリカルボシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素等の非ケトポリメチン色素;アジン色素、オキサジン色素、チアジン色素、キノリン色素、チアゾール色素等のキノンイミン色素等も分光増感色素に含まれる。
前記増感色素は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ホログラフィック記録用組成物は、該ホログラフィック記録用組成物の貯蔵安定性を改良する目的で重合禁止剤又は酸化防止剤を含有することができる。
前記重合禁止剤又は酸化防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、具体的には、ハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシヤリ−ブチルフェノール)、トリフェルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト,フェノチアジン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
前記ホログラフィック記録用組成物は、該ホログラフィック記録用組成物からなるホログラフィック記録層の感度を向上させる目的で光熱変換材料を含有することができる。
前記光熱変換材料としては、特に制限はなく、目的とする機能や性能に応じて適宜選択することができ、例えば、フォトポリマーとともにホログラフィック記録層へ添加する際の簡便さや、入射光の散乱などを引き起こさないといった特性から、有機染料色素が好ましく、また、記録に用いる光源の光を吸収、散乱しないといった点において、赤外線吸収色素が好ましい。
前記赤外線吸収色素の前記ホログラフィック記録用組成物における含有量としては、前記ホログラフィック記録用組成物の全質量に対して0.001〜5質量%が好ましく、この範囲であると、熱を十分に発生させることができる。また、該含有量としては、0.1〜2質量%がより好ましい。
本発明のホログラフィック光記録用組成物の製造方法は、オキサゾリン環を有する化合物を熱によって開環重合させる工程を含んでなり、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記マトリックス形成工程においては、それぞれの化合物を一度に添加しても、順次添加してもよいが、作製方法の簡便さから一度に添加することが好ましい。
次いで、得られたマトリックスと、ラジカル重合性モノマー、光重合開始剤、更に必要に応じてその他の成分を混合させることにより、本発明の光記録用組成物を製造することができる。
なお、前記光記録用組成物が十分低い粘度ならばキャスティングすることによってホログラフィック記録層を形成することができる。一方、キャスティングできないような高粘度である場合には、ディスペンサーを用いて後述する第一の基板に前記光記録用組成物を盛りつけ、この光記録用組成物上に第二の基板で蓋をするように押し付けて、全面に広げて記録を形成することができる。
本発明の記録媒体は三次元記録層を有する。三次元記録層とは2光子吸収を用いた積層記録層や、光の干渉を用いたホログラフィック記録層などである。以下は、具体的にホログラフィック記録についての光記録媒体について説明する。
本発明の光記録媒体は、本発明の前記ホログラフィック記録用組成物からなるホログラフィック記録層を有し、好ましくは第一の基板と、フィルタ層と、ホログラフィック記録層と、第二の基板とを有してなり、更に必要に応じて、反射膜、第1ギャップ層、第2ギャップ層、等のその他の層を有してなる。
前記基板は、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、ディスク形状、カード形状などが挙げられ、光記録媒体の機械的強度を確保できる材料のものを選定する必要がある。また、記録及び再生に用いる光が基板を通して入射する場合は、用いる光の波長領域で十分に透明であることが必要である。
前記基板材料としては、通常、ガラス、セラミックス、樹脂、などが用いられるが、成形性、コストの点から、樹脂が特に好適である。
前記樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂、などが挙げられる。これらの中でも、成形性、光学特性、コストの点から、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂が特に好ましい。
前記基板は、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記ホログラフィック記録層は、ホログラフィを利用して情報が記録され得るものであり、本発明の前記ホログラフィック記録用組成物からなる。
前記ホログラフィック記録層の厚みが、上述の好ましい数値範囲であると10〜300多重のシフト多重を行っても十分なS/N比を得ることができ、更に、該厚みが、上述のより好ましい数値範囲であるとそれが顕著である点で有利である。
前記フィルタ層は、前記第二の基板のサーボピットパターン上、後述する反射層上、又は後述する第1ギャップ層上に設けられる。
前記フィルタ層は、複数種の光線の中から特定の波長の光のみを反射する、波長選択反射機能を有し、第一の光を透過し、第二の光を反射する。特に、入射角が変化しても選択反射波長にずれが生じることなく、前記反射膜を設けた場合は情報光及び参照光による光記録媒体の該反射膜からの乱反射を防止し、ノイズの発生を防止する機能もあり、前記光記録媒体に前記フィルタ層を積層することにより、高解像度、回折効率の優れた光記録が得られる。
前記フィルタ層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ダイクロイックミラー層、色材含有層、誘電体蒸着層、単層又は2層以上のコレステリック層及び必要に応じて適宜選択したその他の層の少なくともいずれかを積層した積層体により形成される。
前記フィルタ層は、直接ホログラフィック記録層など共に、前記基板上に塗布などにより積層してもよく、フィルム等の基材上に積層してフィルタ層を作製し、これを基板上に積層してもよい。
前記反射膜は、前記基板のサーボピットパターン表面に形成される。
前記反射膜の材料としては、記録光や参照光に対して高い反射率を有する材料を用いることが好ましい。使用する光の波長が400〜780nmである場合には、例えば、Al、Al合金、Ag、Ag合金、などを使用することが好ましい。使用する光の波長が650nm以上である場合には、Al、Al合金、Ag、Ag合金、Au、Cu合金、TiN、などを使用することが好ましい。
なお、前記反射膜として、光を反射すると共に、追記及び消去のいずれかが可能な光記録媒体、例えば、DVD(ディジタル ビデオ ディスク)などを用い、ホログラムをどのエリアまで記録したかとか、いつ書き換えたかとか、どの部分にエラーが存在し交替処理をどのように行ったかなどのディレクトリ情報などをホログラムに影響を与えずに追記及び書き換えすることも可能となる。
前記反射膜の厚みは、十分な反射率を実現し得るように、50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。
前記第1ギャップ層は、必要に応じて前記フィルタ層と前記反射膜との間に設けられ、第一の基板表面を平滑化する目的で形成される。また、ホログラフィック記録層内に生成されるホログラムの大きさを調整するのにも有効である。即ち、前記ホログラフィック記録層は、記録用参照光及び情報光の干渉領域をある程度の大きさに形成する必要があるので、前記ホログラフィック記録層とサーボピットパターンとの間にギャップを設けることが有効となる。
前記第1ギャップ層は、例えば、サーボピットパターンの上から紫外線硬化樹脂等の材料をスピンコート等で塗布し、硬化させることにより形成することができる。また、フィルタ層として透明基材の上に塗布形成したものを使用する場合には、該透明基材が第1ギャップ層としても働くことになる。
前記第1ギャップ層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜200μmが好ましい。
前記第2ギャップ層は、必要に応じて前記ホログラフィック記録層と前記フィルタ層との間に設けられる。
前記第2ギャップ層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン(PSF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメタクリル酸メチル=ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のような透明樹脂フィルム、又は、JSR社製商品名ARTONフィルムや日本ゼオン社製商品名ゼオノアのような、ノルボルネン系樹脂フィルム、などが挙げられる。これらの中でも、等方性の高いものが好ましく、TAC、PC、商品名ARTON、及び商品名ゼオノアが特に好ましい。
前記第2ギャップ層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜200μmが好ましい。
<第一の実施形態>
図1は、本発明の第一の実施形態における光記録媒体の構成を示す概略断面図である。この第一の実施形態に係る光記録媒体21では、ポリカーボネート樹脂製又はガラス製の第一の基板1にサーボピットパターン3が形成され、該サーボピットパターン3上にアルミニウム、金、白金等でコーティングして反射膜2が設けられている。なお、図1では第一の基板1全面にサーボピットパターン3が形成されているが、周期的に形成されていてもよい。また、このサーボピットパターン3の高さは、通常1,750Å(175nm)であり、基板を始め他の層の厚みに比べて充分に小さいものである。
第1ギャップ層8上にはフィルタ層6が設けられ、該フィルタ層6と第二の基板5(ポリカーボネート樹脂製又はガラス製)によってホログラフィック記録層4を挟むことによって光記録媒体21が構成される。
このフィルタ層6は、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層した多層蒸着膜である。
この多層蒸着膜からなるフィルタ層6は、第1ギャップ層8上に真空蒸着により直接形成してもよいし、基材上に多層蒸着膜を形成したフィルムを光記録媒体形状に打ち抜いて配置してもよい。
図2は、本発明の第二の実施形態における光記録媒体の構成を示す概略断面図である。この第二の実施形態に係る光記録媒体22では、フィルタ層6とホログラフィック記録層4との間に第2ギャップ層7が設けられていること以外は第一の実施形態と同様である。
前記第2ギャップ層7は、情報光及び再生光がフォーカシングするポイントが存在する。このエリアをフォトポリマーで埋めていると過剰露光によるモノマーの過剰消費が起こり多重記録能が下がってしまう。そこで、無反応で透明な第2ギャップ層を設けることが有効となる。
前記第二の実施形態における光記録媒体22周辺での光学的動作は、前述した第一の実施形態の前記光記録媒体21周辺での光学的動作と同様である。
本発明の光記録方法は、可干渉性を有する情報光及び参照光を本発明の前記光記録媒体に照射し、前記情報光と前記参照光とにより干渉像を形成し、該干渉像を前記光記録媒体のホログラフィック記録層に記録することを特徴とする。
この場合、情報光の光軸と参照光の光軸とが同軸となるように、光記録媒体に前記情報光及び前記参照光を照射し、該情報光と該参照光との干渉により生成される干渉像を前記光記録媒体のホログラフィック記録層に記録することが好ましい。
本発明の光再生方法は、本発明の前記光記録方法によりホログラフィック記録層に記録された干渉パターンに参照光を照射して情報を再生することを特徴とする。
ここで、本発明の光記録方法及び再生方法は、以下に説明する本発明の光記録再生装置を用いて好適に行われる。
この光記録再生装置100は、光記録媒体20が取り付けられるスピンドル81と、このスピンドル81を回転させるスピンドルモータ82と、光記録媒体20の回転数を所定の値に保つようにスピンドルモータ82を制御するスピンドルサーボ回路83とを備えている。
また、光記録再生装置100は、光記録媒体20に対して情報光と記録用参照光とを照射して情報を記録すると共に、光記録媒体20に対して再生用参照光を照射し、再生光を検出して、光記録媒体20に記録されている情報を再生するためのピックアップ31と、このピックアップ31を光記録媒体20の半径方向に移動可能とする駆動装置84とを備えている。
コントローラ90は、信号処理回路89より出力される基本クロックやアドレス情報を入力すると共に、ピックアップ31、スピンドルサーボ回路83、及びスライドサーボ回路88等を制御するようになっている。スピンドルサーボ回路83は、信号処理回路89より出力される基本クロックを入力するようになっている。コントローラ90は、CPU(中央処理装置)、ROM(リード オンリ メモリ)、及びRAM(ランダム アクセス メモリ)を有し、CPUが、RAMを作業領域として、ROMに格納されたプログラムを実行することによって、コントローラ90の機能を実現するようになっている。
−ホログラフィック記録用組成物の調製−
2-(1−エチルプロピル)オキサゾリン(合成品)4.344g、トリフルオロメタンスルホン酸メチル(アルドリッチ社製)0.15g、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート(第一工業製薬株式会社製)0.423g、光重合開始剤(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、イルガキュア784)0.086gを窒素気流下で混合して、ホログラフィック記録組成物を調製した。
−ホログラフィック記録用組成物の調製−
実施例1において、2-(1−エチルプロピル)オキサゾリン(合成品)4.344gの代わりに2−プロピルオキサゾリン(合成品)4.344gを用いた以外は、実施例1と同様にして、ホログラフィック記録用組成物を調製した。
−ホログラフィック記録用組成物の調製−
実施例1において、2-(1−エチルプロピル)オキサゾリン(合成品)4.344gの代わりに2−(5−エチルペンチル)オキサゾリン(合成品)4.344gを用いた以外は、実施例1と同様にして、ホログラフィック記録用組成物を調製した。
−ホログラフィック記録用組成物の調製−
実施例1において、2-(1−エチルプロピル)オキサゾリン(合成品)4.344gの代わりに2−(1-エチルプロピル)オキサゾリン(合成品)2.172gと2−ヘプチルオキサゾリン(合成品)2.172gを用いた以外は、実施例1と同様にして、ホログラフィック記録用組成物を調製した。
−ホログラフィック記録用組成物の調製−
ビスシクロヘキシルメタンジイソシアネート(東京化成株式会社製)31.5g、ポリプロピレンオキサイドトリオール(分子量1,000)61.2g、テトラメチレングリコール2.5g、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート3.1g、光重合開始剤(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、イルガキュア784)0.69g、及びジブチルジラウレートスズ(和光純薬株式会社製)1.01gを窒素気流下で混合して、ホログラフィック記録組成物を調製した。
−光記録媒体の作製−
厚み0.5mmのガラスの片面を532nmの波長に対して垂直な入射光による反射率が0.1%となるように反射防止処理を施して、第一の基板を作製した。
厚み0.5mmのガラスの片面を532nmの波長に対して垂直な入射光による反射率が90%となるようにアルミニウム蒸着を施して、第二の基板を作製した。
次に、第一の基板の反射防止処理していない面上に厚み500μmの透明ポリエチレンテレフタレートシートをスぺーサーとして設けた。
次いで、実施例1〜4及び比較例1の各ホログラフィック記録用組成物を、それぞれ第一の基板上に盛り付け、第二の基板のアルミニウム蒸着した面をホログラフィック記録用組成物上に空気を巻き込まないように貼合し、スぺーサーを介して第一の基板と第二の基板と貼合させた。その後、80℃にて4時間放置して、各光記録媒体を作製した(ドライサンプル)。
実施例1〜4及び比較例1の各ホログラフック記録用組成物を、200mLビーカーにいれ、温度30℃/湿度90%の恒温度・恒湿度条件下で24時間放置した。それらを用いて、上記ドライサンプル作製と同様にして、各光記録媒体を作成した(ウエットサンプル)。
作製した各光記録媒体について、コリニアホログラム記録再生試験機(パルステック工業株式会社製、SHOT−1000)を用い、記録ホログラムの焦点位置における記録スポットの大きさ(直径200μm)でホログラムを書き込み、以下のようにして、感度(記録エネルギー)の測定及び水の影響の評価を行った。結果を表1に示す。
作製した各光記録媒体のドライサンプルについて、記録時の照射光エネルギー(mJ/cm2)を変化させ、再生信号のエラー確率(BER)の変化を測定した。通常、記録光パワーの増加にともない、再生信号の輝度(μON)が増加し、再生信号のBERが徐々に低下する傾向にある。ここで、感度は信号がμON=200になる場合の照射光エネルギーを光記録媒体の記録感度とした。
作製した各光記録媒体のドライサンプル及びウェッサンプルを用いて、コリニアホログラム記録再生試験機(パルステック工業株式会社製、SHOT−1000)にて記録の明るさを評価した。ドライサンプルの記録の明るさをμON(D)、ウェットサンプルの記録の明るさをμON(W)とすると、水の影響による記録性の違いは明るさの下記数式1で示す保持率として表される。
<数式1>
保持率(%)=(μON(W)/μON(D))×100
本発明の光記録媒体は、水に対する安定性に優れたホログラフィック記録用組成物からなるホログラフィック記録層を有するので、製造安定性に優れ、高密度画像記録が可能なボリュームホログラム型の各種光記録媒体に好適に用いられる。
2 反射膜
3 サーボビットパターン
4 ホログラフィック記録層
5 第二の基板
6 フィルタ層
7 第2ギャップ層
8 第1ギャップ層
12 対物レンズ
13 ダイクロイックミラー
14 検出器
15 1/4波長板
16 偏光板
17 ハーフミラー
20 光記録媒体
21 光記録媒体
22 光記録媒体
31 ピックアップ
81 スピンドル
82 スピンドルモータ
83 スピンドルサーボ回路
84 駆動装置
85 検出回路
86 フォーカスサーボ回路
87 トラッキングサーボ回路
88 スライドサーボ回路
89 信号処理回路
90 コントローラ
91 走査部
100 光記録再生装置
A 入出射面
FE フォーカスエラー信号
TE トラッキングエラー信号
RF 再生信号
Claims (7)
- オキサゾリン環を有する化合物が開環重合してなるポリマーと、ラジカル重合性モノマーと、光重合開始剤とを含むことを特徴とするホログラフィック記録用組成物。
- オキサゾリン環を有する化合物が開環重合してなるポリマーのガラス転移温度(Tg)が、−20℃以上30℃以下である請求項1から3のいずれかに記載のホログラフィック記録用組成物。
- 請求項1から4いずれかに記載のホログラフィック記録用組成物を製造する方法であって、オキサゾリン環を有する化合物を熱によって開環重合させる工程を含むことを特徴とするホログラフィック記録用組成物の製造方法。
- 請求項1から4のいずれかに記載のホログラフィック記録用組成物からなるホログラフィック記録層を有することを特徴とする光記録媒体。
- 第一の基板と、フィルタ層と、ホログラフィック記録層と、第二の基板とを有する請求項5に記載の光記録媒体。
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