JP2007271727A - 緑色顔料分散液、着色樹脂組成物、カラーフィルタ及び液晶表示装置 - Google Patents

緑色顔料分散液、着色樹脂組成物、カラーフィルタ及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】視認性の高いカラーフィルタを得ることができる顔料分散液を提供する。
【解決手段】顔料分散液に、キノフタロン系黄顔料と、アゾ系黄顔料と、分散媒とを含有させることにより、形成される緑色画素を2枚の偏光板の間に挟んで、XYZ表色系色度図の色度座標(x、y)を測定した場合、平行透過光の色度(xp、yp)と直交透過光の色度(xc、yc)が式(i)を満たすようにする。
Δxy=[(xp−xc2+(yp−yc21/2<0.096 (i)
なお緑色画素は、透明ガラス基板上に該緑色顔料分散液を、乾燥後の塗布膜の厚さが1.5〜2.5μmとなるように塗布し、230℃30分間乾燥させることにより形成される。
【選択図】なし

Description

本発明は、顔料分散液、着色樹脂組成物、カラーフィルタ及び液晶表示装置に関するものである。詳しくは、視認性に優れた液晶表示装置を実現することができる緑色顔料分散液、並びに、それを用いた着色樹脂組成物、カラーフィルタ及び液晶表示装置に関する。
従来、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタを製造する方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法が知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状及び精度等の観点から、平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されている。
顔料分散法では、液中に顔料を分散させた顔料分散液を用意し、この顔料分散液から着色樹脂組成物(所謂レジスト)を調製し、その着色樹脂組成物を基板に塗布してカラーフィルタを製造する。したがって、顔料分散液を改良することにより、カラーフィルタの性質を改良することが可能となることがある。そこで、カラーフィルタの性質を改良するべく、顔料分散液について様々な開発がなされている。
例えば、特許文献1では、顔料分散液の分散安定性などを高めるための技術が開示されている。液晶表示装置は、近年その薄型であることゆえの省スペース性、軽量性、省電力性などが評価され、大型のテレビ、モニタにも用途が急速に拡大してきている。一般に、大型のテレビやモニタに使用するためにはカラーフィルタには高コントラストであることが要求されるため、特許文献1記載の技術では、液晶表示装置のコントラストを高めるべく、顔料分散液の分散安定性等を改善するようにしている。
ところで、液晶表示装置等は、通常、一対の偏光板を備えている。そして、偏光板の偏光軸を制御することにより、映像表示のための光の強さを調整している。ところが、従来は、カラーフィルタの平行透過光(2枚の偏光板の偏光軸を互いに平行にした状態での透過光)の色度と直交透過光(2枚の偏光板の偏光軸を互いに直交にした状態でのわずかに漏れてくる透過光)の色度が相違していた。このため、液晶表示装置に使用した場合、白表示時の色特性と黒表示時の色特性が相違し、十分に高コントラストな映像が得られなかったり、黒表示された映像が色づいたりして、視認性に劣るものとなっていた。
そこで、上記の視認性を改善するべく、カラーフィルムに関して様々な開発が行なわれている。例えば、特許文献2においては、前記の直交透過光のうち青色の光に注目し、青色の直交透過光を低減させる技術が開示されている。
特開2004−67715号公報 特開2005−316439号公報
液晶表示装置において、黒表示を行なう際には、直交透過光として緑色の光が透過し、黒表示時の映像が緑色を帯びることがある。しかしながら、特許文献1,2等に記載の従来技術では上記のように映像が緑色を帯びる現象を防ぐことができず、液晶表示装置の視認性の低下を防ぐことができなかった。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、視認性の高いカラーフィルタを得ることができる緑色顔料分散液、並びに、それを用いた着色樹脂組成物、カラーフィルタ及び液晶表示装置を得ることを目的とする。
本発明の発明者は上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、緑色画素を黒表示させた場合に微弱に透過してしまう主な2つの輝線に着目し、一方の輝線に重畳するスペクトルを有する黄色顔料(特に顔料の比表面積が特定の黄色顔料)と、他方の輝線に重畳するスペクトルを有する黄色顔料とを組み合わせ、顔料分散液に適切に含有させることにより、当該顔料分散液を用いたカラーフィルタの色相をコントロールし、視認性を改善することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、キノフタロン系黄顔料と、アゾ系黄顔料と、分散媒とを含有する緑色顔料分散液であって、緑色顔料分散液により形成される緑色画素を2枚の偏光板の間に挟んで、XYZ表色系色度図の色度座標(x、y)を測定した場合、平行透過光の色度(xp、yp)と直交透過光の色度(xc、yc)が下記式(i)を満たすことを特徴とする、緑色顔料分散液に存する(請求項1)。なお、前記緑色画素は、透明ガラス基板上に該緑色顔料分散液を、乾燥後の塗布膜の厚さが1.5〜2.5μmとなるように塗布し、230℃30分間乾燥させることにより形成される。
Δxy=[(xp−xc2+(yp−yc21/2<0.096 (i)
このとき、該緑色顔料分散液においては、該キノフタロン系黄顔料と該アゾ系黄顔料との含有比が、25/75〜99/1であることが好ましい(請求項2)。
また、該キノフタロン系黄顔料の比表面積が、85m2/g以上であることが好ましい(請求項3)。
本発明の別の要旨は、キノフタロン系黄顔料と、アゾ系黄顔料と、分散媒とを含有し、該キノフタロン系黄顔料と該アゾ系黄顔料との含有比が、25/75〜99/1であり、該キノフタロン系黄顔料の比表面積が、85m2/g以上であることを特徴とする、緑色顔料分散液に存する(請求項4)。
このとき、該緑色顔料分散液は、さらに、キノフタロン誘導体を含有することが好ましい(請求項5)。
本発明の更に別の要旨は、キノフタロン系黄顔料と、キノフタロン誘導体と、アゾ系黄顔料と、窒素含有分散剤と、樹脂と、溶媒又は分散媒とを含有し、該キノフタロン系黄顔料と該アゾ系黄顔料との含有比が、25/75〜99/1であることを特徴とする、緑色顔料分散液に存する(請求項6)。
本発明の更に別の要旨は、前記の緑色顔料分散液を含有することを特徴とする、着色樹脂組成物に存する(請求項7)。
本発明の更に別の要旨は、前記の着色樹脂組成物を用いて形成されたことを特徴とする、カラーフィルタに存する(請求項8)。
本発明の更に別の要旨は、前記のカラーフィルタを備えることを特徴とする、液晶表示装置に存する(請求項9)。
本発明によれば、視認性の高いカラーフィルタを得ることができる顔料分散液、並びに、それを用いた着色樹脂組成物、カラーフィルタ及び液晶表示装置を得ることができる。
以下、本発明について実施の形態を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
なお、以下の説明において、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味するものとする。
[I.緑色顔料分散液]
本発明の緑色顔料分散液は、緑色色材と、キノフタロン系黄顔料と、アゾ系黄顔料と、分散媒とを含有する。また、必要に応じて、添加剤を含有する。
[I−1.緑色色材]
緑色色材は、本発明の緑色顔料分散液を着色するものであり、染顔料を使用できる。中でも、耐熱性、耐光性等の点から、顔料(緑色顔料)を使用することが好ましい。その構造としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料の他に種々の無機顔料等も利用可能である。
以下に、使用できる緑色顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。なお、以下に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
即ち、緑色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55及び特開2004−70342号公報に記載の部分臭素化亜鉛フタロシアニンを挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36及び特開2004−70342号公報に記載の部分臭素化亜鉛フタロシアニンを挙げることができる。
また、緑色色材として緑色染料を使用する場合、当該緑色染料の例としては、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59等のアゾ系染料;C.I.アシッドグリーン25等のアントラキノン系染料などが挙げられる。
なお、緑色色材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、通常は、緑色色材は本発明の緑色顔料分散液中で粒子状で存在する。この際、緑色色材の平均粒径は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限は無いが、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.25μm以下である。緑色色材の平均粒径が小さすぎると分散が困難となり、分散剤の量を増やす必要が生じる結果、所定の膜厚を達成できない虞がある。なお、下限は任意であるが、通常5nm以上、好ましくは10nm以上である。
さらに、本発明の緑色顔料分散液中の緑色色材の含有割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、また、通常90重量%以下である。緑色色材の含有割合が少なすぎると本発明の緑色顔料分散液の着色力が低くなり、色濃度に対して膜厚が厚くなりすぎて、液晶セル化の際のギャップ制御などに悪影響を及ぼす虞がある。また、逆に緑色色材の含有割合が多すぎると、本発明の緑色顔料分散液の分散安定性が悪化し、再凝集や増粘などが生じる虞がある。
ところで、一般的に使用されているバックライト(冷陰極管)の緑色蛍光体は、波長545nm付近の発光と波長490nm付近の副発光とを有する(図1のスペクトルG)。本発明の緑色顔料分散液は、これらの2つの緑色蛍光体の主要な発光を制御するように調整しなければならない。そこで、本発明においては、キノフタロン系黄顔料及びアゾ系黄顔料により、緑色蛍光体が発する光のうち、前記緑色色材が透過させる光成分の強度のバランスを調整し、これにより、視認性の改善を行なおうとするものである。
なお、図1は、一般的なバックライトを用いた場合の黒表示の緑色画素の透過スペクトル、並びに、キノフタロン系黄顔料及びアゾ系黄顔料が透過させる光成分のスペクトル(透過スペクトル)を模式的に示すもので、スペクトルG、スペクトルY1及びスペクトルY2が、それぞれ、一般的なバックライトを用いた場合の黒表示の緑色画素の透過スペクトル、キノフタロン系黄顔料の透過スペクトル、及び、アゾ系黄顔料の透過スペクトルに対応している。
[I−2.キノフタロン系黄顔料]
キノフタロン系黄顔料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。また、キノンフタロン系黄顔料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
キノフタロン系黄顔料のうち、好適なものの例を挙げると、PY138(ピグメントイエロー138)などが挙げられる。ここで、PY138とは、黄色顔料のカラーインデックスナンバーを表わしたものであり、具体的には、以下の構造を有するものである。
Figure 2007271727
また、キノフタロン系黄顔料は、通常は粒子状で存在する。この際、キノフタロン系黄顔料の比表面積は、通常85m2/g以上、好ましくは90m2/g以上、より好ましくは92m2/g以上である。このように比表面積の大きいキノフタロン系黄顔料を使用することにより、キノフタロン系黄顔料の発色を良好にすることができる。また、その結果、緑色色材の発色を適切に調整して本発明の緑色顔料分散液の視認性を安定して改善することが可能となる。なお、キノフタロン系黄顔料の比表面積の上限に制限は無いが、通常200m2/g以下である。
なお、比表面積は、窒素吸着によるB.E.T.法により測定することができる。
さらに、本発明の緑色顔料分散液中のキノフタロン系黄顔料の含有割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0重量%より多く、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、また、通常90重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。キノフタロン系黄顔料の含有割合が少なすぎるとディスプレイの色再現範囲が狭くなる、着色力が低下する、アゾ系黄顔料に比べて相対的に少なくなるのでディスプレイの黒表示で赤みに寄り過ぎるなどの虞がある。また、逆にキノフタロン系黄顔料の含有割合が多すぎると、ディスプレイの色再現範囲が狭くなる、透過率(Y値)が低下する、アゾ系黄顔料に比べて相対的に多くなるのでディスプレイの黒表示で青み又は黄みに寄り過ぎるなどの虞がある。
キノフタロン系黄顔料は、上述した緑色画素を黒表示させた場合に透過する主要な2つの輝線のうち、一方(長波長側)の輝線に重畳するスペクトルを有する(図1のスペクトルY1参照)。したがって、キノフタロン系黄顔料の使用量を調整することによって、前記輝線の一方(長波長側)の透過スペクトルの強度を調整することができるのである。
[I−3.アゾ系黄顔料]
アゾ系黄顔料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。また、アゾ系黄顔料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アゾ系黄顔料のうち、好適なものの例を挙げると、モノアゾ系、ジアゾ系、ニッケルアゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリン系黄顔料が挙げられる。その具体例を挙げると、PY150(ピグメントイエロー150)及びその類縁体などが挙げられる。ここで、PY150とは、黄色顔料のカラーインデックスナンバーを表わしたものであり、具体的には、以下の構造を有するものである。
Figure 2007271727
また、アゾ系黄顔料は、通常は粒子状で存在する。この際、アゾ系黄顔料の比表面積は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常60m2/g以上、好ましくは100m2/g以上、より好ましくは120m2/g以上、特に好ましくは150m2/g以上である。このように比表面積の大きいキノフタロン系黄顔料を使用することにより、キノフタロン系黄顔料の発色を良好にすることができる。また、その結果、緑色色材の発色を適切に調整して本発明の緑色顔料分散液の視認性を安定して改善することが可能となる。なお、アゾ系黄顔料の比表面積の上限に制限は無いが、通常250m2/g以下である。
さらに、本発明の緑色顔料分散液中のアゾ系黄顔料の含有割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0重量%より多く、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、また、通常90重量%以下、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。アゾ系黄顔料の含有割合が少なすぎるとキノフタロン系黄顔料に比べて相対的に少なくなるのでディスプレイの黒表示で青み又は黄みに寄り過ぎるなどの虞がある。また、逆にアゾ系黄顔料の含有割合が多すぎると、キノフタロン系黄顔料に比べて相対的に多くなるのでディスプレイの黒表示で赤みに寄り過ぎるなどの虞がある。
アゾ系黄顔料は、上述した緑色画素を黒表示させた場合に透過する主要な2つの輝線のうち、一方(長波長側)及び他方(短波長側)の双方の輝線に重畳するスペクトルを有する(図1のスペクトルY2参照)。したがって、アゾ系黄顔料の使用量を調整することによって、前記輝線の双方(短波長側及び長波長側)の透過スペクトルの強度を調整することができるのである。
このため、キノフタロン系黄顔料とアゾ系黄顔料とを、それらの含有比を調整しながら組み合わせて本発明の緑色顔料分散液に含有させることにより、緑色画素の黒表示時の透過スペクトルを調整することができる。そして、これを利用すれば、本発明の緑色顔料分散液を使用したカラーフィルタの視認性を向上させることが可能となる。
キノフタロン系黄顔料とアゾ系黄顔料との含有比は、目的とするカラーフィルタの色及び視認性の程度などに応じて任意に設定することができる。ただし、視認性を良好に向上させるためには、本発明の緑色顔料分散液中のキノフタロン系黄顔料とアゾ系黄顔料との含有比は、質量比で、通常25/75以上、好ましくは30/70以上、より好ましくは40/60以上、また、通常99/1以下、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下である。なお、ここでは、キノフタロン系黄顔料の含有比率が大きくなる向きを「以上」、その逆の向きを「以下」と呼んで説明している。
[I−4.分散媒]
分散媒は、上述した緑色色材、キノフタロン系黄顔料及びアゾ系黄顔料、並びに、後述する添加剤などを分散させる媒体である。この分散媒の種類や量により、本発明の緑色顔料分散液の粘度が調節されることになる。
分散媒としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。例えば、ジイソプロピルエーテル、ミネラルスピリット、n−ペンタン、アミルエーテル、エチルカプリレート、n−ヘキサン、ジエチルエーテル、イソプレン、エチルイソブチルエーテル、ブチルステアレート、n−オクタン、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルアセテート、アプコシンナー、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキセン、メチルノニルケトン、プロピルエーテル、ドデカン、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、アミルホルメート、ジヘキシルエーテル、ジイソプロピルケトン、ソルベッソ#150、(n,sec,t−)酢酸ブチル、ヘキセン、シェルTS28 ソルベント、ブチルクロライド、エチルアミルケトン、エチルベンゾエート、アミルクロライド、エチレングリコールジエチルエーテル、エチルオルソホルメート、メトキシメチルペンタノン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルイソブチレート、ベンゾニトリル、エチルプロピオネート、メチルセロソルブアセテート、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピルアセテート、アミルアセテート、アミルホルメート、ビシクロヘキシル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジペンテン、メトキシメチルペンタノール、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、プロピルプロピオネート、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、カルビトール、シクロヘキサノン、酢酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、エチレングリコールアセテート、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートなどが挙げられる。なお、分散媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、本発明の緑色顔料分散液中の分散媒の含有割合に特に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、本発明の緑色顔料分散液中の分散媒の含有割合は、通常70重量%以上、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上、また、通常99重量%以下である。分散媒の割合が多すぎると、緑色色材、キノフタロン系黄顔料、アゾ系黄顔料、添加剤等の固形分が少なすぎて、顔料分散液を形成するのは不適当となる虞がある。一方、分散媒の割合が少なすぎると、粘性が高くなり、塗布に適さない虞がある。
[I−5.添加剤]
添加剤は、必要に応じて本発明の緑色顔料分散液に含有されるものである。この添加剤は、本発明の効果を著しく損なわない限り、種類及び使用量は任意である。添加剤の例を挙げると、例えば、キノフタロン誘導体、窒素含有分散剤などが挙げられる。
(i)キノフタロン誘導体
キノフタロン誘導体は、本発明の緑色顔料分散液中において、緑色色材、キノフタロン系顔料、アゾ系顔料などの分散性の向上、分散安定性の向上のために分散助剤として使用されるものである。
また、キノフタロン誘導体は、本発明の緑色顔料分散液において、特にキノフタロン系黄顔料の分散性を向上させるのに有用である。キノフタロン系黄顔料は、コントラストを高め、黒表示における透過光漏れを抑制することにより視認性を向上させるためには比表面積を大きくすることが好ましいが、通常、比表面積が大きい顔料は粒径が小さくなり、分散性が低くなる。キノフタロン系黄顔料の分散性が低いと本発明の効果を損なう虞があるが、キノフタロン誘導体を用いてキノフタロン系黄顔料の分散性を改善することにより、本発明の緑色顔料分散液において、カラーフィルムに用いた場合の視認性を安定して向上させることが可能となる。
キノフタロン誘導体としては、キノフタロンから誘導され、上記のように分散性や分散安定性を向上させるものであれば任意のものを用いることが出来る。例を挙げると、下記のキノフタロン骨格に、スルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等の置換基が、直接又はアルキル基、アリール基、複素環基等の結合基を介して結合したものが挙げられる。この中でも、スルホンアミド基及びその4級塩、スルホン酸基が結合したものが好ましく、さらに、その中でもスルホン酸基が結合したものがより好ましい。なお、前記の置換基は、一つのキノフタロン骨格に1つが単独で結合していても良く、2以上が任意の組み合わせ及び比率で結合していても良い。また、結合基を介して結合する場合、結合基は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
Figure 2007271727
キノフタロン誘導体の具体例を挙げると、例えば、特開2004−67715号公報に記載のキノフタロン誘導体が挙げられる。中でも、キノフタロン系黄顔料の分散性を良好に向上させる観点からは、キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体が好ましく、特に、ピグメントイエロー138のスルホン酸誘導体がより好ましい。
なお、キノフタロン誘導体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
キノフタロン誘導体の使用量に制限は無いが、キノフタロン系黄顔料に対して、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、また、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。キノフタロン誘導体が少なすぎるとキノフタロン誘導体を使用した効果が発揮されなくなる虞があり、逆に多すぎるとキノフタロン系黄顔料の分散性、分散安定性がかえって悪くなる虞がある。
(ii)窒素含有分散剤
窒素含有分散剤は、本発明の緑色顔料分散液中において、緑色色材、キノフタロン系顔料、アゾ系顔料などの分散性の向上、分散安定性の向上のために分散剤として使用されるものである。これは、窒素含有分散剤に含まれる窒素原子が色材や顔料の表面に対して親和性を有するとともに、窒素原子以外の部分が分散媒に対する親和性を有し、その結果、全体として分散安定性が高まるためと推定される。
窒素含有分散剤は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。また、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
好ましい窒素含有分散剤の例を挙げると、窒素原子を含有するグラフト共重合体(以下、適宜「グラフト分散剤」という)、アクリル系ブロック共重合体(以下、適宜「アクリル系ブロック分散剤」という)などが挙げられる。
窒素原子を含有するグラフト共重合体(即ち、グラフト分散剤)としては、主鎖に窒素原子を含有する繰り返し単位を有するものが好ましい。中でも、下記式(1)で表される繰り返し単位、又は/及び、式(2)で表される繰り返し単位を有するものが好ましい。
Figure 2007271727
Figure 2007271727
式(1)及び式(2)において、R1は、直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表わす。また、R1の炭素数は、通常1以上、好ましくは2以上、また、通常5以下、好ましくは3以下である。R1の具体例を挙げると、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられるが、好ましくはエチレン基である。
また、式(1)及び式(2)において、Aは、水素原子、又は、下記式(3)〜(5)のいずれかで表わされる基を表わす。中でも、Aは式(3)で表わされる基が好ましい。
Figure 2007271727
上記式(3)中、W1は直鎖状または分岐状のアルキレン基を表わす。ただし、W1の炭素数は、通常2以上、好ましくは4以上、また、通常10以下、好ましくは7以下である。W1の具体例を挙げると、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
また、上記式(3)において、pは、通常1以上、好ましくは5以上、また、通常20以下、好ましくは10以下の整数を表わす。
Figure 2007271727
上記式(4)中、Y1は2価の連結基を表わす。Y1の具体例を挙げると、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1〜4のアルキレン基;エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基等の炭素数1〜4のアルキレンオキシ基などが挙げられる。
また、上記式(4)中、W2は直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表わす。ただし、W2の炭素数は、通常2以上、また、通常10以下、好ましくは3以下である。W2の具体例を挙げると、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。中でも、エチレン基、プロピレン基が好ましい。
さらに、上記式(4)中、Y2は水素原子または−CO−R2を表わす。ここで、R2は、炭素数が通常1以上、好ましくは2以上、また、通常10以下、好ましくは5以下のアルキル基を表わす。R2の具体例を挙げると、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、中でも、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が好ましい。
また、上記式(4)中、qは、通常1以上、好ましくは5以上、また、通常20以下、好ましくは10以下の整数を表わす。
Figure 2007271727
上記式(5)中、W3は、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を表わす。ただし、W3がアルキル基である場合、W3の炭素数は通常1以上、好ましくは10以上、また、通常50以下、好ましくは20以下である。また、W3がヒドロキシアルキル基である場合、W3が有する水酸基の数は通常1以上、また、通常5以下、好ましくは2以下であり、W3の炭素数は通常1以上、好ましくは10以上、また、通常50以下、好ましくは20以下である。W3の具体例を挙げると、ステアリル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。
また、グラフト分散剤における式(1)または(2)で表される繰り返し単位の含有率は、高い方が好ましい。具体的には、前記の含有率は、通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上である。
また、グラフト分散剤は、式(1)で表される繰り返し単位と、式(2)で表される繰り返し単位とのうち、一方のみを含有していてもよく、両方を含有していてもよい。両方を含有している場合には、両者の含有比率は特に制限は無いが、好ましくは式(1)で表わされる繰り返し単位の方を多く含有している方が好ましい。
さらに、式(1)又は式(2)で表される繰り返し単位の合計数は任意であるが、通常1以上、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、また、通常100以下、好ましくは70以下、より好ましくは50以下である。
また、グラフト分散剤は、式(1)又は式(2)で表わされる繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。他の繰り返し単位としては、例えば、アルキレン基、アルキレンオキシ基などが例示できる。
さらに、グラフト分散剤は、その末端が、−NH2又は−R1−NH2(R1は、式(1),(2)に登場した前記R1と同義)であるものが好ましい。
なお、グラフト分散剤は、グラフト共重合体であれば、主鎖が直鎖状であっても分岐していてもよい。
前記のグラフト分散剤のアミン価は、通常5mgKOH/g以上、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは15mgKOH/g以上、また、通常100mgKOH/g以下、好ましくは70mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下である。アミン価が低すぎると分散安定性が低下し、粘度が不安定になることがあり、逆に高すぎると残渣が増加したり、液晶パネルを形成した後の電気特性が低下することがある。なお、アミン価は、塩基性アミノ基を酸により中和滴定し、酸価に対応させてKOHのmg数で表した値である。
さらに、前記のグラフト分散剤の分子量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、GPC(ガスパーミネーションクロマトグラフィー)で測定した重量平均分子量としては、通常3000以上、好ましくは5000以上、また、通常100000以下、好ましくは50000以下である。重量平均分子量が3000未満であると、色材の凝集を防ぐことができず、高粘度化ないしはゲル化することがあり、100000を超えると、グラフト分散剤自体が高粘度となり、また、有機溶媒への溶解性が不足する虞がある。
なお、上記グラフト分散剤の合成方法は、公知の方法が採用でき、例えば、特公昭63−30057号公報に記載の方法を用いることができる。また、上述のものと同様の構造を有する市販のグラフト共重合体を適用することもできる。
一方、アクリル系ブロック分散剤としては、側鎖に4級アンモニウム塩基及び/又はアミノ基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基及びアミノ基を有さないBブロックとからなる、A−Bブロック共重合体及び/又はB−A−Bブロック共重合体が好ましい。
まず、Aブロックについて説明する。アクリル系ブロック分散剤のブロック共重合体を構成するAブロックは、4級アンモニウム塩基及び/又はアミノ基を有する。
Aブロックが有する4級アンモニウム塩基は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、中でも、−N+1a2a3a・D-(但し、R1a、R2a及びR3aは、各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表わす。或いは、R1a、R2a及びR3aのうち2つ以上が互いに結合して、環状構造を形成していてもよい。D-は、対アニオンを表わす。)で表わされる4級アンモニウム塩基を有することが好ましい。この4級アンモニウム塩基は、直接主鎖に結合していても良いが、2価の連結基を介して主鎖に結合していても良い。
−N+1a2a3aにおいて、R1a、R2a及びR3aのうち2つ以上が互いに結合して形成する環状構造としては、例えば、5〜7員環の含窒素複素環単環、又は、これらが2個縮合してなる縮合環などが挙げられる。該含窒素複素環は芳香性を有さないものが好ましく、飽和環であればより好ましい。具体的には、例えば、下記のものが挙げられる。
Figure 2007271727
(上記式中、Rは、R1a〜R3aのうち何れかの基を表す。)
また、これらの環状構造は、更に置換基を有していてもよい。
さらに、−N+1a2a3aにおけるR1a〜R3aとして、より好ましいのは、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していても良いベンジル基である。
また、D-は対アニオンを表わす。D-の例を挙げると、Cl-、Br-、I-、ClO4 -、BF4 -、CH3COO-、PF6 -等が挙げられる。
Aブロックが4級アンモニウム塩基を有する場合、当該Aブロックは、特に、下記式(6)で表わされる部分構造を含有するものが好ましい。
Figure 2007271727
(前記式(6)中、R1a、R2a、R3a及びD-は、それぞれ上述したものと同様である。また、R4aは水素原子又はメチル基を表わす。また、Xは、2価の連結基を表わす。)
式(6)において、Xは2価の連結基を表わす。Xの例を挙げると、炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R5a−、−COO−R6a−(但し、R5a及びR6aは、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数1〜10のエーテル基(即ち、−R7a−O−R8a−で表わされる基。この際、R7a及びR8aは、各々独立にアルキレン基を表わす)を表わす)等が挙げられる。中でも、Xとして好ましくは−COO−R6a−である。
また、ブロックAがアミノ基を有する場合、当該アミノ基は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ブロックAが有するアミノ基として好適な例を挙げると、−NR1b2b(但し、R1b及びR2bは、各々独立に、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリル基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表わす。)で表わされる基が挙げられる。
Aブロックがアミノ基を有する場合、当該Aブロックとしては、特に、下記式(7)で表される部分構造を含有するものが好ましい。
Figure 2007271727
(式(7)において、R1b及びR2bは、上記のR1b及びR2bと同義である。また、R3bは、炭素数1以上のアルキレン基を表わす。さらに、R4bは、水素原子又はメチル基を表わす。)
この中でも、R1b及びR2bはメチル基が好ましく、R3bはメチレン基、エチレン基が好ましく、R4bは水素原子であるのが好ましい。このような部分構造としては、例えば、下記式(8)で表される部分構造が挙げられる。なお、Meはメチル基を表わす。
Figure 2007271727
上記のような、特定の4級アンモニウム塩基及び/又はアミノ基を含有する部分構造は、1つのAブロック中に、1種のみが含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。また、4級アンモニウム塩基及び/又はアミノ基を含有する部分構造が2種以上が含有されている場合、その4級アンモニウム塩基及び/又はアミノ基を含有した部分構造は、該Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。
また、該4級アンモニウム塩基及び/又はアミノ基を含有しない部分構造が、Aブロック中に含まれていてもよい。このような、4級アンモニウム塩基及び/又はアミノ基を含有しない部分構造の例を挙げると、後述の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。ただし、かかる4級アンモニウム塩基及び/又はアミノ基を含まない部分構造の、Aブロック中の含有量は、通常0重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下であるが、かかる4級アンモニウム塩基及び/又はアミノ基非含有部分構造はAブロック中に含まれないことが最も好ましい。
一方、アクリル系ブロック分散剤を構成するBブロックとしては、4級アンモニウム塩基及びアミノ基を含有しないブロックであれば、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。Bブロックの例を挙げると、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチルアクリル酸グリシジル、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸クロライド等の(メタ)アクリル酸塩系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル;N−メタクリロイルモルホリン、などのコモノマーを共重合させたポリマー構造が挙げられる。
中でも、Bブロックは、特に、下記式(9)で表される、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造であることが好ましい。
Figure 2007271727
(上記式(9)中、R9aは、水素原子又はメチル基を表わす。R10aは、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリル基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表わす。)
上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造は、1つのBブロック中に、1種のみが含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。また、該Bブロックは、更にこれら以外の部分構造を含有していてもよい。
さらに、2種以上のモノマー由来の部分構造がBブロック中に存在する場合、各部分構造は該Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。
また、Bブロック中に上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造以外の部分構成を含有する場合、当該(メタ)アクリル酸エステル系モノマー以外の部分構造の、Bブロック中の含有量は、通常0重量%以上、また、通常99重量%以下、好ましくは85重量%以下である。
また、アクリル系ブロック分散剤1g中の4級アンモニウム塩基及びアミノ基の合計量は、通常0.01〜3mmolである。この範囲外では、良好な耐熱性と分散性を兼備することができない場合がある。
また、このアクリル系ブロック分散剤の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般に低い方が好ましい。具体的範囲を挙げると、通常100mgKOH/g以下である。
さらに、アクリル系ブロック分散剤の分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常1000以上、100,000以下の範囲である。ブロック共重合体の分子量が小さすぎると分散安定性が低下し、大きすぎると現像性、解像性が低下する傾向にある。
アクリル系ブロック分散剤は、上述したようにAブロックとBブロックとからなる、A−Bブロック又はB−A−Bブロック共重合型高分子化合物であるが、このようなブロック共重合体の製造方法は任意である。例えば、以下に示すリビング重合法にて調製される。
リビング重合法にはアニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法がある。
アニオンリビング重合法は、重合活性種がアニオンであり、例えば下記スキームで示される。
Figure 2007271727
また、ラジカルリビング重合法は、重合活性種がラジカルであり、例えば下記スキームで示される。
Figure 2007271727
Figure 2007271727
このようなアクリル系ブロック共重合体を合成するに際しては、特開昭60−89452号公報;特開平9−62002号公報;P. Lutz, P. Masson et al, Polym. Bull. 12, 79 (1984);B. C. Anderson, G. D. Andrews et al, Macromolecules, 14, 1601 (1981);K. Hatada, K. Ute, et al, Polym. J. 17, 977 (1985);18, 1037 (1986);右手浩一、畑田耕一、高分子加工、36、366(1987);東村敏延、沢本光男、高分子論文集、46、189(1989);M. Kuroki, T. Aida, J. Am. Chem. Sic, 109, 4737 (1987);相田卓三、井上祥平、有機合成化学、43,300(1985);D. Y. Sogoh, W. R. Hertler et al, Macromolecules, 20, 1473 (1987); K. Matyaszewski et al, Chem. Rev.2001,101,2921-2990などに記載の公知の方法を採用することができる。
さらに、上述のものと同様の構造を有する市販のアクリル系ブロック共重合体を適用することもできる。
本発明の緑色顔料分散液中の窒素含有分散剤の含有割合に特に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、本発明の緑色顔料分散液中の窒素含有分散剤は、色材(緑色色材、キノフタロン系黄顔料及びアゾ顔料)に対して、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、また、通常120重量%以下、好ましくは100重量%以下、より好ましくは65重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。窒素含有分散剤の含有割合が少なすぎると、色材の分散安定性が悪化し、再凝集や増粘等が生じる虞がある。逆に多すぎると、相対的に顔料の割合が減るため、着色力が低くなり、色濃度に対して膜厚が厚くなりすぎて、カラーフィルタに用いた場合、液晶セル化工程でのセルギャップ制御不良が出ることがある。
また、特に、前記のグラフト分散剤の場合には、色材に対して、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、また、通常55重量%以下、好ましくは50重量%以下、更に好ましくは35重量%以下である。グラフト分散剤の含有割合が少なすぎると、本発明の緑色顔料分散液が不安定となる虞があり、逆に多すぎると、硬化性等の画像形成性が低下する虞がある。
一方、前記のアクリル系ブロック分散剤の場合には、色材に対して、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下である。アクリル系ブロック分散剤の含有割合が少なすぎると、本発明の緑色顔料分散液が不安定になる虞があり、逆に多すぎると、硬化性等の画像形成性が低下する虞がある。
(iii)樹脂
上記の窒素含有分散剤を本発明の緑色顔料分散液に含有させる場合には、緑色顔料分散液に樹脂を含有させることが好ましい。これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いても良い。
このような樹脂のうち、好適なものの例を挙げると、窒素原子を含有しない樹脂や、特開2003−192739号公報、及び特開2004−2846号公報に記載のマレイミド系アルカリ可溶性共重合体などが挙げられる。さらに、これらの樹脂としては、窒素を含有する樹脂(窒素含有樹脂)を使用することもできるが、特に、窒素原子を含有しない樹脂(以下、適宜「窒素非含有樹脂」という)を用いることが好ましい。窒素含有分散剤を本発明の緑色顔料分散液に含有させた場合には、例えばカラーフィルタ製造時に着色樹脂組成物を塗布する際、残渣(着色樹脂組成物を塗布し硬化した際に、硬化せずに残ってしまう残渣)が生じることがある。窒素非含有樹脂はこの残渣を抑制するために使用するもので、本発明の緑色顔料分散液に窒素含有分散剤とともに窒素非含有樹脂を含有させることにより、前記の残渣を抑制することができるようになる。
窒素非含有樹脂に制限は無いが、好適なものの例を挙げると、特開2004−300203号公報に記載の樹脂、特開2004−300204号公報に記載の樹脂などが挙げられる。
また、窒素非含有樹脂としては、例えば、以下の特定の化合物を必須とする単量体成分を重合してなるポリマー(以下、適宜「特定ポリマー」という)も挙げられる。
特定ポリマーは、下記式(10)で示される化合物を必須とする単量体成分を重合してなるポリマーをいう。
Figure 2007271727
(式(10)中、R1cは水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表わし、L3は2価の連結基又は直接結合を表わし、Xcは下記式(11)で示される基又は置換されていても良いアダマンチル基を示す。)
Figure 2007271727
(式(11)中、R2c、R3c及びR4cはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、有機基を表わし、L1及びL2はそれぞれ独立に2価の連結基を表わす。なお、L1、L2及びL3の2以上が互いに結合し、環を形成してもよい。また、式(11)及び後述する式(12)において、「*」は、式(11)で表わされる基が式(10)の末端のL3に結合する部分を表わす。)
前記式(10)中、R1cは、好ましくは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基を表わし、さらに好ましくは水素原子、メチル基である。
また、前記式(11)中、R2c、R3c、R4cの有機基は、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、カルボキシル基、アシルオキシ基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数3〜18のシクロアルケニル基、炭素数1〜15のアルコキシ基、炭素数1〜15のアルキルチオ基、炭素数1〜15のアシル基、炭素数1のカルボキシル基、炭素数1〜15のアシルオキシ基であり、更に好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜15のシクロアルキル基である。中でも、R2、R3、R4として好ましい基としては、水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基である。
さらに、式(11)において、L1及びL2は2価の連結基を表わす。ただし、少なくともL1又はL2のどちらかは炭素数1以上の連結基であるのが好ましい。
また、式(10)において、L3は2価の連結基又は直接結合であれば特に限定を受けない。中でも、L1〜L3は、それぞれ独立に、直接結合、炭素数1〜15のアルキレン基、−O−、−S−、−C(=O)−、炭素数1〜15のアルケニレン基、フェニレン基、あるいはそれらの組み合わせが好ましい。
1〜L3の好ましい組合せとしては、L3は直接結合、炭素数1〜5のアルキレン基、R3c又はR4cと結合して形成する環であり、L1及びL2は炭素数1〜5のアルキレン基である。
また、前記式(11)のうち、好ましいものとしては、下記式(12)で示される基を挙げることができる。
Figure 2007271727
(式(12)中、R2c、R3c、R4c、L4及びL5は式(11)におけるR2c、R3c、R4c、L1及びL2と同義であり、R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基又は有機基を表わす。)
前記式(12)中、R5c、R6cが有機基である場合、当該R5c、R6cとしては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、カルボキシル基、アシルオキシ基等が挙げられる。中でも、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数3〜18のシクロアルケニル基、炭素数1〜15のアルコキシ基、炭素数1〜15のアルキルチオ基、炭素数1〜15のアシル基、炭素数1のカルボキシル基、炭素数1〜15のアシルオキシ基であり、更に好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜15のシクロアルキル基である。
さらに、前記のR5c、R6cの中でも、特に好ましいものとしては、水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。
また、前記のR1c〜R4c、L1〜L5及びXcは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい。例えば、R1cがアルキル基である場合、R2〜R4が有機基である場合、L1〜L5が2価の連結基である場合、Xがアダマンチル基である場合などに、それぞれ独立して置換基を有していてよい。
1c〜R4c、L1〜L5及びXcに置換しても良い置換基としては、例えば、ハロゲン原子;水酸基;ニトロ基;シアノ基;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、t−オクチル基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の炭素数3〜18のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数3〜18のシクロアルケニル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、アミルオキシ基、t−アミルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、t−オクチルオキシ基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、アミルチオ基、t−アミルチオ基、n−ヘキシルチオ基、n−ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、t−オクチルチオ基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキルチオ基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等の炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜18のアラルキル基;ビニルオキシ基、プロペニルオキシ基、ヘキセニルオキシ基等の炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニルオキシ基;ビニルチオ基、プロペニルチオ基、ヘキセニルチオ基等の炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニルチオ基;−COR17で表されるアシル基;カルボキシル基;−OCOR18で表されるアシルオキシ基;−NR1920で表されるアミノ基;−NHCOR21で表されるアシルアミノ基;−NHCOOR22で表されるカーバメート基;−CONR2324で表されるカルバモイル基;−COOR25で表されるカルボン酸エステル基;−SO3NR2627で表されるスルファモイル基;−SO328で表されるスルホン酸エステル基;2−チエニル基、2−ピリジル基、フリル基、オキサゾリル基、ベンゾキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、モルホリノ基、ピロリジニル基、テトラヒドロチオフェンジオキサイド基等の飽和もしくは不飽和の複素環基、トリメチルシリル基等のトリアルキルシリル基などが挙げられる。なお、R17〜R28は、それぞれ水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアルケニル基、置換基を有していても良いアリール基、または置換基を有していても良いアラルキル基を表わす。また、これらの置換基は、1種を単独で有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。さらに、上記置換基の位置関係は特に限定されず任意である。
式(10)で表される化合物の具体例としては、下記のものが挙げられる。
Figure 2007271727
Figure 2007271727
また、特定ポリマーを得る際の単量体成分中における前記式(10)で表わされる化合物の割合は任意であるが、全単量体成分中、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、また、通常60重量%以下、好ましくは55重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。式(10)で表わされる化合物が多すぎると分散剤として使用した場合に本発明の緑色顔料分散液の分散安定性が低下する虞があり、一方、少なすぎると地汚れ適性が低下する虞がある。
さらに、特定ポリマーは、酸基を有するポリマーであることが好ましい。これにより、本発明の緑色顔料分散液を用いて着色樹脂組成物を調製した場合に、当該着色樹脂組成物を、酸基とエポキシ基とが反応してエステル結合が生じることを利用した架橋反応(以下適宜「酸−エポキシ硬化」という)が可能な硬化性樹脂組成物、あるいは、未硬化部をアルカリ現像液で顕像可能な組成物とすることができる。前記酸基としては特に制限されないが、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基等が挙げられる。これら酸基は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
特定ポリマーに酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマーおよび/または重合後に酸基を付与しうるモノマー(以下適宜「酸基を導入するための単量体」という)を、単量体成分として重合するようにすればよい。なお、重合後に酸基を付与しうるモノマーを単量体成分として酸基を導入する場合には、重合後に、例えば、後述するような酸基を付与するための処理を行なうようにする。
前記酸基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー、N−ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー等が挙げられる。これらの中でも特に、(メタ)アクリル酸が好ましい。
また、前記の重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。
なお、これら酸基を導入するための単量体は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
特定ポリマーを得る際の単量体成分が前記酸基を導入するための単量体をも含む場合、酸基を導入するための単量体の含有割合は、特に制限されないが、全単量体成分中、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、また、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下である。
さらに、特定ポリマーは、ラジカル重合性二重結合を有するポリマーであってもよい。
特定ポリマーにラジカル重合性二重結合を導入するには、例えば、重合後にラジカル重合性二重結合を付与しうるモノマー(以下、適宜「ラジカル重合性二重結合を導入するための単量体」という)を、単量体成分として重合した後に、後述するようなラジカル重合性二重結合を付与するための処理を行えばよい。
前記重合後にラジカル重合性二重結合を付与しうるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有するモノマー;等が挙げられる。
なお、ラジカル重合性二重結合を導入するための単量体は、1種のみを用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
特定ポリマーを得る際の単量体成分が前記ラジカル重合性二重結合を導入するための単量体をも含む場合、その含有割合は、特に制限されないが、全単量体成分中、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、また、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下である。
また、特定ポリマーを得る際の単量体成分は、上記必須成分の単量体や、酸基を導入するための単量体、ラジカル重合性二重結合を導入するための単量体などのほかに、必要に応じて、他の共重合可能なモノマーを含んでいてもよい。
他の共重合可能なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸メチル2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シク
ロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類;ブタジエン、イソプレン等のブタジエンまたは置換ブタジエン化合物;エチレン、プロピレン、塩化ビニル、アクリロニトリル等のエチレンまたは置換エチレン化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類;等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレンが、透明性が良好で、耐熱性を損ないにくい点で好ましい。中でも、特に特定ポリマーを分散剤として用いる場合は、(メタ)アクリル酸ベンジルを用いることが好ましい。
なお、特定ポリマーを分散剤として用いる場合、これら共重合可能な他のモノマーは、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
特定ポリマーを得る際の単量体成分が前記共重合可能な他のモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常95重量%以下、好ましくは85重量%以下である。ただし、共重合可能な他のモノマーとして(メタ)アクリル酸ベンジルを用いる場合、(メタ)アクリル酸ベンジルは、全単量体成分中、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、また、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下用いる。
また、前記単量体成分の重合反応の方法としては、特に制限はなく、従来公知の各種重合方法を採用することができる。中でも、特に、溶液重合法によることが好ましい。なお、重合温度や重合濃度(重合濃度=[単量体成分の全重量/(単量体成分の全重量+溶媒重量)]×100とする)は、使用する単量体成分の種類や比率、目標とするポリマーの分子量によって異なるが、重合温度は通常40℃以上、好ましくは60℃以上、通常150℃以下、好ましくは130℃以下であり、また、重合濃度は通常5%以上、好ましくは10%以上、通常50%以下、好ましくは40%以下とする。
さらに、窒素非含有樹脂としては、下記感光性樹脂も好適に用いることができる。即ち、窒素非含有樹脂として好適な感光性樹脂としては、「(W)成分:エポキシ基含有(メタ)アクリレート」5〜90モル%、「(X)成分:(W)成分と共重合し得る他のラジカル重合性化合物」10〜95モル%を共重合させ、得られた共重合物に含まれるエポキシ基の10〜100モル%に「(Y)成分:不飽和一塩基酸」を付加させ、前記(Y)成分を付加したときに生成される水酸基の10〜100モル%に「(Z)成分:多塩基酸無水物」を付加させて得られる感光性樹脂が好ましい。
ここで、(W)成分、即ち、エポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が例示できるが、中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの(W)成分は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(W)成分の共重合割合((W)成分と(X)成分とを共重合させて共重合物を製造する際の共重合割合。以下適宜、単に「共重合割合」という)は、上記した通り、通常5〜90モル%であるが、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、また、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。この割合が多すぎると(X)成分が減少し、耐熱性や強度が低下することがあり、少なすぎると重合性成分及びアルカリ可溶性成分の付加量が不十分となるため好ましくない。
一方、(X)成分の共重合割合は、上記の通り10〜95モル%であるが、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、また、通常80モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。この割合が多すぎると(W)成分が減るため重合性成分及びアルカリ可溶性成分の付加量が不十分となる虞があり、少なすぎると耐熱性や強度が低下する虞がある。
この(X)成分としては、例えば、下記式(13)で表される部分構造を有するモノ(メタ)アクリレートの1種又は2種以上を用いることが好ましい。
Figure 2007271727
(式(13)中、R1d〜R6dは、それぞれ独立に、水素原子、または、メチル、エチル、プロピル等の炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R7dとR8dは、それぞれ独立に、水素原子、またはメチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1〜3のアルキル基を表わす。また、R7dとR8dは連結して環を形成していてもよい。R7dとR8dが連結して形成される環は、好ましくは脂肪族環であり、飽和または不飽和の何れでもよく、好ましくは炭素数5〜6である。)
上記式(13)の中では、下記式(14)、式(15)、又は式(16)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。窒素非含有樹脂にこれらの部分構造を導入することによって、耐熱性や強度を増すことが可能である。なお、これらのモノ(メタ)アクリレートは、1種を用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
Figure 2007271727
前記の式(13)で表される部分構造を有するモノ(メタ)アクリレートとしては、公知の各種のものが使用できるが、特に次の化学式(17)で表されるものが好ましい。
Figure 2007271727
(式(17)中、R9dは水素原子又はメチル基を表わし、R10dは前記の式(13)を表わす。)
共重合モノマー(即ち、成分(W)と成分(X)との共重合物)中の前記の式(13)の部分構造を有するモノ(メタ)アクリレートの含有量は、通常5モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上、また、通常90モル%以下、好ましくは70モル%以下であり、より好ましくは50モル%以下である。前記のモノ(メタ)アクリレートの含有量が少なすぎると残渣が十分に抑制できない虞があり、多すぎると分散安定性が低下する虞がある。
また、(X)成分のうち、上記以外のラジカル重合性化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、スチレン、スチレンのα−、o−、m−、p−アルキル、ニトロ、シアノ、アミド、エステル誘導体;
ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン類;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸プロパギル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニル、(メタ)アクリル酸アントラニノニル、(メタ)アクリル酸ピペロニル、(メタ)アクリル酸サリチル、(メタ)アクリル酸フリル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ピラニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル、(メタ)アクリル酸クレジル、(メタ)アクリル酸−1,1,1−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸トリフェニルメチル、(メタ)アクリル酸クミル、(メタ)アクリル酸3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−iso−プロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミドなどの(メタ)アクリル酸アミド;
(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニルなどのビニル化合物;
シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチルなどの不飽和ジカルボン酸ジエステル;
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミドなどのモノマレイミド;
N−(メタ)アクリロイルフタルイミドなどが挙げられる。
中でも、より優れた耐熱性及び強度を付与させるためには、(X)成分として、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート及びモノマレイミドから選択された少なくとも一種を使用することが有効である。この場合、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート及びモノマレイミドから選択された少なくとも一種の共重合割合は、通常1モル%以上、好ましくは3モル%以上、また、通常70モル%以下、好ましくは50モル%以下である。
(W)成分と(X)成分との共重合反応は、公知の溶液重合法が適用される。使用する溶剤はラジカル重合に不活性なものであれば特に限定されるものではなく、通常用いられている有機溶剤を使用することができる。
その溶剤の具体例としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類等の酢酸エステル類;エチレングリコールジアルキルエーテル類;メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;トリエチレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールジアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、オクタン、デカン等の炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
これらの溶剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、これらの溶剤の使用量に制限は無いが、得られる共重合物100重量部に対し、通常30重量部以上、好ましくは50重量部以上、また、通常1000重量部以下、好ましくは800重量部以下である。溶剤の使用量がこの範囲外では共重合物の分子量の制御が困難となる。
さらに、共重合反応に使用されるラジカル重合開始剤は、ラジカル重合を開始できるものであれば特に限定されるものではなく、通常用いられている有機過酸化物触媒やアゾ化合物を使用することができる。
有機過酸化物触媒としては、例えば、公知のケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートなどに分類されるものが挙げられる。
また、その他のラジカル重合開始剤の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシル−3、3−イソプロピルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジクミルヒドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、イソブチルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスカルボンアミドなどが挙げられる。通常、上記のラジカル開始剤から、重合温度などに応じて、適当な半減期のラジカル重合開始剤を選択して使用する。なお、ラジカル重合開始剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ラジカル重合開始剤の使用量に制限は無いが、共重合反応に使用されるモノマー、即ち(W)成分と(X)成分の合計100重量部に対して、通常0.5重量部以上、好ましくは1重量部以上、また、通常20重量部以下、好ましくは10重量部以下である。
共重合反応は、共重合反応に使用されるモノマー及びラジカル重合開始剤を溶剤に溶解し攪拌しながら昇温して行なっても良いし、ラジカル重合開始剤を混合したモノマーを昇温、攪拌した溶剤中に滴下して行なっても良い。また、溶剤中にラジカル重合開始剤を混合し昇温した中にモノマーを滴下しても良い。反応条件は目標とする分子量に応じて自由に変えることができる。
また、(W)成分と(X)成分との共重合物に含まれるエポキシ基に付加させる(Y)成分は、不飽和一塩基酸である。(Y)成分としては、公知のものを使用することができる。例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体などのモノカルボン酸などが挙げられる。中でも好ましくはアクリル酸及び/又はメタクリル酸である。これらの(Y)成分は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、(Y)成分は、(W)成分と(X)成分との共重合反応で得られた共重合物に含まれるエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上に付加させる。この(Y)成分の付加割合が少なすぎると経時安定性等、残存エポキシ基による悪影響が懸念されるからである。
なお、(W)成分と(X)成分との共重合物に(Y)成分を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
(W)成分と(X)成分との共重合物に(Y)成分を付加させたときに生成される水酸基に付加させる(Z)成分、即ち、多塩基酸無水物としては、公知のものが使用できる。
(Z)成分の例を挙げると、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の多塩基酸無水物などが挙げられる。中でも好ましくは、テトラヒドロ無水フタル酸及び/又は無水コハク酸である。なお、(Z)成分は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。このような成分を付加させることにより、窒素非含有樹脂をアルカリ可溶性にすることができる。
(Z)成分は、(Y)成分を付加させたときに生成される水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、また、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下に付加させる。この付加割合が多すぎると、現像時の残膜率が低下することがあり、少なすぎると溶解性が不十分となる虞がある。
また、(W)成分と(X)成分との共重合物に(Y)成分を付加させたときに生成される水酸基に、(Z)成分を付加させる方法としては、公知の方法を任意に採用することができる。
前記の感光性樹脂には、さらに光感度を向上させるために(Z)成分(多塩基酸無水物)付加後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させたり、現像性を向上させるために(Z)成分(多塩基酸無水物)付加後、生成したカルボキシル基の一部に重合性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物を付加させることもでき、また、この両者を付加させても良い。重合性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物の具体例としてはフェニル基やアルキル基を有するグリシジルエーテル化合物(ナガセ化成工業(株)製、商品名:デナコールEX−111、デナコールEX−121、デナコールEX−141、デナコールEX−145、デナコールEX−146、デナコールEX−171、デナコールEX−192)等がある。
なお、これらの樹脂構造に関しては、例えば特開平8−297366号公報や特開2001−89533号公報に記載があり、既に公知ではある。
また、上述した特定ポリマーや感光性樹脂は、特に、ウレタン系分散剤やアクリル系分散剤との併用によって、着色樹脂組成物からカラーフィルタを製造する際において、基板上の非画像部への未溶解物が残存することなく、基板との密着性に優れた、高濃度の色画素を形成し得るといった効果を奏し、好ましい。
なお、上述したような窒素非含有樹脂は、1種を用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、窒素非含有樹脂の重量平均分子量に制限は無いが、例えば、窒素非含有樹脂をGPCで測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)としては、通常3000以上、好ましくは5000以上、また、通常100000以下、好ましくは50000以下である。この重量平均分子量が3000未満であると耐熱性、膜強度に劣る虞があり、100000を超えると現像液に対する溶解性が不足する虞がある。また、分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、2.0〜5.0が好ましい。
なお、窒素非含有樹脂以外の樹脂についても、前記の窒素非含有樹脂の重量平均分子量及び分子量分布と同様の範囲の重量平均分子量及び分子量分布を有することが好ましい。
さらに、本発明の緑色顔料分散液中の窒素非含有樹脂の含有割合に特に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、本発明の緑色顔料分散液中の窒素非含有樹脂は、色材に対して、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、また、通常200重量%以下、好ましくは150重量%以下、より好ましくは100重量%以下である。窒素非含有樹脂の含有割合が少なすぎると色材の分散安定性が悪化し、再凝集や増粘等が生じる虞がある。逆に多すぎると相対的に顔料の割合が減るため、着色力が低くなり、色濃度に対して膜厚が厚くなりすぎて、カラーフィルタに用いた場合、液晶セル化工程でのセルギャップ制御不良が出る虞がある。
なお、窒素非含有樹脂以外の樹脂についても、窒素非含有樹脂の含有割合と同様の範囲の含有割合で使用することが好ましい。
(iv)その他の分散剤
本発明の効果を著しく損なわない限り、本発明の緑色顔料分散液は、上述した以外の分散剤を含有していてもよい。例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤、特開2004−300203号公報及び特開2004−300204号公報に記載の化合物等を挙げることができる。このような分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製)、Disperbyk(ビックケミー社製)、ディスパロン(楠本化成(株)製)、SOLSPERSE(ゼネカ社製)、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、アジスパー(味の素(株)製)等を挙げることができる。これらの分散剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[I−6.添加剤]
本発明の効果を著しく損なわない限り、本発明の緑色顔料分散液は、その他の添加剤を含有していても良い。添加剤に制限は無く本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができるが、例えば、色材を含有させてもよい。具体例を挙げると、青色顔料、赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料、黒色顔料等各種の色の顔料を使用することができる。また、その構造としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料の他に種々の無機顔料等も利用可能である。なお、これらの色材は、1種を用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
[I−7.製造方法]
本発明の緑色顔料分散液の製造方法に制限は無く、種々の方法を採用することができるが、以下にその一例を示す。
まず、緑色色材と、キノフタロン系黄顔料と、アゾ系黄顔料と、分散媒と、キノフタロン誘導体、窒素含有分散剤、樹脂(窒素非含有樹脂等)などの分散剤と、必要に応じて添加剤とを、各々所定量秤量する。そして、分散処理工程において、これらを混合し、分散させて液状の緑色顔料分散液とする。この分散処理工程では、例えば、ペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザーなどを使用することができる。分散処理を行なうことによって、緑色色材、キノフタロン系黄顔料、アゾ系黄顔料等が微粒子化されるため、本発明の緑色顔料分散液を用いた着色樹脂組成物は塗布特性が向上し、製品のカラーフィルタ基板の透過率が向上する。
さらに、混合を行なう際、混合の順番は任意である。
また、分散処理工程において分散を行なう条件も、目的物たる緑色顔料分散液に応じて任意に設定することができる。但し、例えば、サンドグラインダーを用いて分散処理を行なう場合は、0.1〜数mm径のガラスビーズ、又はジルコニアビーズを用いるのが好ましい。また、分散処理する際の温度は通常0℃以上、好ましくは室温以上、また、通常100℃以下、好ましくは80℃以下において分散を行なうようにする。なお、分散時間は、色材分散液の組成(緑色色材、キノフタロン系黄顔料、アゾ系黄顔料、分散媒、分散剤、添加剤等)、及びサンドグラインダーの装置の大きさなどにより適正時間が異なるため、適宜調整することが望ましい。
[I−8.本発明の緑色顔料分散液の物性]
本発明の緑色顔料分散液は、例えば、下記の方法を用いて形成される緑色画素を2枚の偏光板の間に挟んで、XYZ表色系色度図の色度座標(x、y)を測定した場合、平行透過光の色度(xp、yp)と直交透過光の色度(xc、yc)が下記式(i)を満たす。
Δxy=[(xp−xc2+(yp−yc21/2<0.096 (i)
なお、前記緑色画素は、透明ガラス基板上に、本発明の緑色顔料分散液を、乾燥後の塗布膜の厚さが1.5〜2.5μmとなるように塗布し、230℃30分間乾燥させることにより形成される。
即ち、Δxyは、0.096未満であり、好ましくは0.110未満であり、更に好ましくは0.090未満である。
なお、緑色画素を2枚の偏光板の間に挟んだ状態でのXYZ表色系色度図における平行透過光の色度(xp、yp)および直交透過光の色度(xc、yc)は、色彩輝度計により、2゜視野の条件で測定される(CIE1931表色系)。また、光源としては、図2に示すような発光スペクトルを有し、輝度=1937cd/m2、XYZ表色系色度図における色度座標(x,y)が(0.316,0.301)、色温度=6525K、色度偏差duv=−0.0136の特性のものが用いられる。また、偏光板は、NPF−SEG1224DU(日東電工社製)が用いられる。
また、緑色画素の形成方法としては、形成される緑色画素の透過光の色度が影響を受けない範囲であれば、上記の形成方法の他、後述する[III−3]の方法が用いられても良い。
[II.着色樹脂組成物]
次に、本発明の着色樹脂組成物について説明する。
上述の本発明の緑色顔料分散液は、種々の用途に用いることができるが、中でもカラーフィルタの画素画像形成等を目的とした着色樹脂組成物(即ち、レジスト)として好適に用いられる。本発明の着色樹脂組成物は本発明の緑色顔料分散液を含有していればその他の構成は任意である。例えば、本発明の着色樹脂組成物は、本発明の緑色顔料分散液と共に、バインダ樹脂、溶剤、光重合開始剤、モノマー、有機カルボン酸、有機カルボン酸無水物、及びその他の固形分が配合されていても良い。
以下、各構成成分について説明する。なお、以下の着色樹脂組成物の説明において、「全固形分」とは、後記する溶剤成分以外の本発明の着色樹脂組成物の全成分を指す。
[II−1.バインダ樹脂]
バインダ樹脂としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。例えば、特開平7−207211号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−140144号公報、特開平11−174224号公報、特開2000−56118号公報、特開2003−233179号公報、特開2004−224894号公報、特開2004−300203号公報、特開2004−300204号公報等に記載される公知の高分子化合物を使用することができる。また、本発明の緑色顔料分散液の説明において述べた窒素非含有樹脂をバインダ樹脂として使用することも可能である。
また、バインダ樹脂の分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、バインダ樹脂のGPCで測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)としては、通常3000以上、好ましくは5000以上、また、通常100000以下、好ましくは50000以下である。この分子量が3000未満であると耐熱性、膜強度に劣る虞があり、100000を超えると現像液に対する溶解性が不足する虞がある。また、分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))も任意であるが、2.0〜5.0が好ましい。
なお、バインダ樹脂は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、本発明の着色樹脂組成物中に含まれるバインダ樹脂の含有量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、バインダ樹脂の含有割合は、本発明の着色樹脂組成物中の全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下である。バインダ樹脂の含有割合がこの範囲よりも少ないと、膜がもろくなり、基板への密着性が低下することがある。逆に、この範囲よりも多いと、露光部への現像液の浸透性が高くなり、画素の表面平滑性や感度が悪化する場合がある。
[II−2.溶剤]
溶剤は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。例えば、本発明の緑色顔料分散液の説明において使用できる分散媒として例示したものと同様のものが挙げられる。また、溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、本発明の着色樹脂組成物中の溶剤の量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の着色樹脂組成物中において、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、また、通常95重量%以下、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。溶剤の量が少なすぎると粘度が大きくレベリング性が低下することにより塗布ムラなどが起こる虞があり、多すぎると乾燥ムラなどが起こる虞がある。
[II−3.光重合開始剤系]
光重合開始剤は、通常、加速剤及び必要に応じて配合される増感色素等の付加剤との混合物(光重合開始剤系)として用いられる。光重合開始剤系は、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
光重合開始剤系成分を構成する光重合開始剤としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物や、特開平10−39503号公報記載のヘキサアリールビイミダゾール誘導体、ハロメチル−s−トリアジン誘導体、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン系化合物、特開2000−80068号公報に記載されているオキシムエステル系開始剤等が挙げられる。
本発明で用いることができる光重合開始剤の具体的な例を以下に列挙する。
即ち、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル化トリアジン誘導体;
2−トリクロロメチル−5−(2’−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−(6”−ベンゾフリル)ビニル)〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5一フリル−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール誘導体;
2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダソール2量体、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ビス(3’−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2’−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、(4’−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等のイミダゾール誘導体;
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;
2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体;
ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p一ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体;
チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;
p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、P−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体;9−フェニルアクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体;9,10−ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体;
ベンズアンスロン等のアンスロン誘導体;
ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル−1一イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジープルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,4−ジ−フルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等のチタノセン誘導体;
2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチルベンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等のα−アミノアルキルフェノン系化合物;
1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、等のオキシムエステル系化合物;などが挙げられる。
なお、光重合開始剤は、1種を用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、光重合開始剤系成分を構成する加速剤としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物又は脂肪族多官能メルカプト化合物等が用いられる。なお、加速剤は、1種を用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
具体的な光重合開始剤系成分としては、例えば、「ファインケミカル」(1991年、3月1日号、vol.20、No.4)の第16〜26頁に記載されている、ジアルキルアセトフェノン系、ベンゾイン、チオキサントン誘導体等のほか、特開昭58−403023号公報、特公昭45−37377号公報等に記載されている、ヘキサアリールビイミダゾール系、S−トリハロメチルトリアジン系、特開平4−221958号公報、特開平4−219756号公報等に記載されている、チタノセンとキサンテン色素、アミノ基又はウレタン基を有する付加重合可能なエチレン性飽和二重結合含有化合物を組み合わせた系、等が挙げられる。
上記光重合開始剤系成分の配合割合は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の着色樹脂組成物の全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。この配合割合が著しく低いと露光光線に対する感度が低下する原因となることがあり、反対に著しく高いと未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起させることがある。
また、光重合開始剤系成分には、必要に応じて、感応感度を高める目的で、画像露光光源の波長に応じた増感色素を配合させることができる。これら増感色素としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができるが、例えば、特開平4−221958号公報、同4−219756号公報に記載のキサンテン色素、特開平3−239703号公報、同5−289335号公報に記載の複素環を有するクマリン色素、特開平3−239703号公報、同5−289335号公報に記載の3−ケトクマリン化合物、特開平6−19240号公報に記載のピロメテン色素、その他、特開昭47−2528号公報、同54−155292号公報、特公昭45−37377号公報、特開昭48−84183号公報、同52−112681号公報、同58−15503号公報、同60−88005号公報、同59−56403号公報、特開平2−69号公報、特開昭57−168088号公報、特開平5−107761号公報、特開平5−210240号公報、特開平4−288818号公報に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
これらの増感色素のうち好ましいものは、アミノ基含有増感色素であり、更に好ましいものは、アミノ基及びフェニル基を同一分子内に有する化合物である。特に、好ましいのは、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[4,5]ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[6,7]ベンゾオキサゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−チアジアゾール、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジメチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジエチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリミジン等のp−ジアルキルアミノフェニル基含有化合物等である。このうち最も好ましいものは、4,4’−ジアルキルアミノベンゾフェノンである。なお、増感色素も、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに、本発明の着色樹脂組成物中に占める増感色素の配合割合は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、着色樹脂組成物の全固形分中、通常0重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、また、通常20重量%以下、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。増感色素の配合割合が高すぎると光透過性が低くなり、却って感度が低下する虞がある。
[II−4.モノマー]
モノマーは、光重合性で、重合可能な低分子化合物を含むものであれば良く、特に制限はない。ただし、中でも官能基を有する多官能モノマーであるのが好ましく、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、適宜「エチレン性化合物」という)が更に好ましい。また、モノマーは酸基を有していても良い。
エチレン性化合物とは、本発明の着色樹脂組成物が活性光線の照射を受けた場合、光重合開始剤の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。なお、本明細書において「モノマー」とは、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の「モノマー(単量体)」以外に「二量体」、「三量体」、「オリゴマー」をも包含する概念を意味する。
酸基を有するエチレン性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸とモノヒドロキシ化合物とのエステル、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル、ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物等が挙げられる。
不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、イロトン酸、マレイン酸等が挙げられる。
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等のアクリル酸エステルが挙げられる。また、これらアクリレートのアクリル酸部分を、メタクリル酸部分に代えたメタクリル酸エステル、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、又は、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であっても良い。代表例としては、アクリル酸、フタル酸及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリアクリロイルオキシメチル)プロパン、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリメタクリロイルオキシメチル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
その他、エチレン性化合物の例としては、エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等も有用である。
酸価を有するモノマーの中でも、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましい。さらに、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものが特に好ましい。
また、モノマーは、上述したように、多官能モノマーであってもよく、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を有していても良い。したがって、エチレン性化合物が、上記のように混合物である場合のように未反応のカルボキシル基を有するものであれば、これをそのまま利用することができるが、必要に応じて、上述したエチレン性化合物のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を導入しても良い。この場合、使用される非芳香族カルボン酸無水物の具体例としては、無水テトラヒドロフタル酸、アルキル化無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、アルキル化無水ヘキサヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸などが挙げられる。
なお、これらのモノマーは、1種を単独で用いても良いが、製造上、単一の化合物を用いることは難しいことから、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、必要に応じてモノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用しても良い。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1mgKOH/g以上、好ましくは5mgKOH/g以上、また、通常40mgKOH/g以下、好ましくは30mgKOH/g以下である。多官能モノマーの酸価が低すぎると現像溶解特性が低下する虞があり、高すぎると製造や取扱いが困難になり光重合性能が低下し、画素の表面平滑性等の硬化性が劣るものとなる虞がある。したがって、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入るように調整することが好ましい。
より好ましい酸基を有する多官能モノマーの具体例を挙げると、東亞合成(株)製TO1382として市販されているジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物が挙げられる。なお、この多官能モノマーの他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。
本発明の着色樹脂組成物中に対するモノマーの配合割合は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の着色樹脂組成物の全固形分中、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、また、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下である。また、モノマーの色材に対する比率としては、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、また、通常200重量%以下、好ましくは100重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。多官能モノマーの配合割合は、着色樹脂組成物の色材の種類や用いる多官能モノマーの酸価に応じて適宜調整される。
[II−5.有機カルボン酸、有機カルボン酸無水物]
本発明の着色樹脂組成物は、上記成分以外に、更に、有機カルボン酸及び/又は有機カルボン酸無水物を含んでいても良い。これにより、現像後の基板上の非画線部における着色樹脂組成物由来の地汚れを抑制するという利点を得ることができる。
(i)有機カルボン酸
有機カルボン酸としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。有機カルボン酸の例を挙げると、脂肪族カルボン酸及び/又は芳香族カルボン酸が挙げられる。
脂肪族カルボン酸の具体例を挙げると、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸、グリコール酸、アクリル酸、メタクリル酸などのモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸などのジカルボン酸、トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸などのトリカルボン酸などが挙げられる。
また、芳香族カルボン酸の具体例を挙げると、安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、フタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリット酸、フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸などのフェニル基に直接カルボキシル基が結合したカルボン酸、及びフェニル基から炭素結合を介してカルボキシル基が結合したカルボン酸類等が挙げられる。
上記有機カルボン酸の中では、モノカルボン酸、ジカルボン酸が好ましく、中でもマロン酸、グルタル酸、グリコール酸が更に好ましく、マロン酸が特に好ましい。
なお、上記有機カルボン酸の分子量に制限は無いが、通常50以上、通常1000以下である。上記有機カルボン酸の分子量が大きすぎると地汚れ改善効果が不十分となる虞があり、少なすぎると昇華、揮発などにより、含有量の減少やプロセス汚染を起こす虞がある。
(ii)有機カルボン酸無水物
有機カルボン酸無水物としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。有機カルボン酸無水物の例を挙げると、脂肪族カルボン酸無水物及び/又は芳香族カルボン酸無水物が挙げられる。
脂肪族カルボン酸無水物の具体例を挙げると、無水酢酸、無水トリクロロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水グルタル酸、無水1,2−シクロヘキセンジカルボン酸、無水n−オクタデシルコハク酸、無水5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸などの脂肪族カルボン酸無水物などが挙げられる。
また、芳香族カルボン酸無水物の具体例を挙げると、無水フタル酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、無水ナフタル酸などが挙げられる。
上記有機カルボン酸無水物の中では、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸が好ましく、無水マレイン酸が更に好ましい。
上記有機カルボン酸無水物の分子量に制限は無いが、通常800以下、好ましくは600以下、更に好ましくは500以下であり、通常50以上である。上記有機カルボン酸無水物の分子量が大きすぎると地汚れ改善効果が不十分であり、少なすぎると昇華、揮発などにより、含有量の減少やプロセス汚染を起こす虞がある。
なお、これらの有機カルボン酸及び有機カルボン酸無水物は、それぞれ1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、これらの有機カルボン酸及び有機カルボン酸無水物の配合割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、それぞれ、本発明の着色樹脂組成物の全固形分中、通常0.01重量%以上、好ましくは0.03重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上であり、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。配合割合が少なすぎると十分な使用効果が得られなくなる虞があり、多すぎると表面平滑性や感度が悪化し、未溶解剥離片が発生する場合がある。
[II−6.その他の固形分]
本発明の着色樹脂組成物には、更に、必要に応じ上記成分以外の固形分を配合できる。このような成分としては、界面活性剤、熱重合防止剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤等が挙げられる。
(i)界面活性剤
界面活性剤としては本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものが使用できる。したがって、アニオン系、カチオン系、非イオン系、両性界面活性剤等の各種の界面活性剤を用いることができる。中でも、諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。
界面活性剤の配合量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の着色樹脂組成物中の全固形分に対して、通常0.001重量%以上、好ましくは0.005重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、特に好ましくは0.03重量%以上、また、通常10重量%以下、好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0.3重量%以下である。界面活性剤の配合量が上記範囲よりも少ないと塗布膜の平滑性、均一性が発現できなくなる虞があり、多いと塗布膜の平滑性、均一性が発現できない虞がある他、他の特性が悪化する場合がある。
(ii)熱重合防止剤
熱重合防止剤としては、発明の効果を著しく損なわない限り任意のものが使用できる。その例を挙げると、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、カテコール、2,6−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトール等が用いられる。
また、熱重合防止剤の配合量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の着色樹脂組成物の全固形分に対し、0〜3重量%の範囲であることが好ましい。この範囲を上回ると画像形成性が低下する虞がある。
(iii)可塑剤
可塑剤としては、発明の効果を著しく損なわない限り任意のものが使用できる。その例を挙げると、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等が用いられる。
また、これらの可塑剤の配合量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の着色樹脂組成物の全固形分に対し、10重量%以下であることが好ましい。この範囲を上回ると画像形成性が低下する虞がある。
(iv)その他
その他、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤等を必要に応じて配合することが出来る。これら成分の配合量は、本発明の発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の着色樹脂組成物の全固形分に対し、20重量%以下であることが好ましい。
なお、その他の固形分は、1種を用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
[II−7.着色樹脂組成物の調製]
本発明の着色樹脂組成物を調製する方法に制限は無いが、例えば、以下の方法により調製することが可能である。即ち、前述した本発明の緑色顔料分散液に、溶剤、バインダ樹脂、多官能モノマー、光重合開始剤系成分、及び必要に応じて配合される他の成分などを混合し、均一な分散溶液とする。なお、分散処理工程及び混合の各工程においては、微細なゴミが混入することがあるため、得られた着色樹脂組成物はフィルターなどによって濾過処理することが好ましい。
[III.カラーフィルタ]
上述した本発明の着色樹脂組成物を用いれば、カラーフィルタを製造することができる。本発明の着色樹脂組成物を用いてカラーフィルタを製造する具体的な製造方法に制限は無いが、例えば、以下の方法により製造することができる。
カラーフィルタは、透明基板上に、ブラックマトリクスを設けた後、通常、赤色、緑色、青色の各画素画像を順次形成することにより製造される。この際、本発明の着色樹脂組成物は、緑色の画素画像形成用塗布液として使用される。
また、この製造方法では、ブラックレジストに関しては、透明基板上に、また、赤色、緑色、青色のカラーレジストに関しては透明基板上に形成された樹脂ブラックマトリクス形成面上、又は、クロム化合物、その他の遮光金属材料を用いて形成した金属ブラックマトリクス形成面上に、それぞれ、塗布、加熱乾燥、画像露光、現像及び熱硬化の各処理を行なって各色の画素画像が形成される。
[III−1.透明基板(支持体)]
カラーフィルタの透明基板としては、透明で適度の強度があれば、その材質は特に限定されるものではない。材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホンなどの熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂シート、又は各種ガラスなどが挙げられる。この中でも、耐熱性の観点からガラス、耐熱性樹脂が好ましい。
透明基板及び後述のブラックマトリクス形成基板には、接着性などの表面物性の改良のため、必要に応じ、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤や、ウレタン系樹脂などの各種樹脂の薄膜形成処理などを行なっても良い。
透明基板の厚さに制限は無いが、通常0.05mm以上、好ましくは0.1mm以上、また、通常10mm以下、好ましくは7mm以下の範囲とされる。また各種樹脂の薄膜形成処理を行なう場合、その膜厚に制限は無いが、通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは5μm以下の範囲である。
[III−2.ブラックマトリクス]
ブラックマトリクスは、遮光金属薄膜又はブラックマトリクス用黒色組成物を利用して、透明基板上に形成される。遮光金属材料としては、金属クロム、酸化クロム、窒化クロムなどのクロム化合物、ニッケルとタングステン合金などが用いられ、これらを複数層状に積層させたものであっても良い。
これらの遮光金属薄膜は、一般にスパッタリング法によって形成され、ポジ型フォトレジストにより、膜状に所望のパターンを形成した後、クロムに対しては硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸及び/又は硝酸とを混合したエッチング液を用い、その他の材料に対しては、材料に応じたエッチング液を用いて蝕刻され、最後にポジ型フォトレジストを専用の剥離剤で剥離することによって、ブラックマトリクスを形成することができる。
この場合、まず、蒸着又はスパッタリング法などにより、透明基板上にこれら金属又は金属・金属酸化物の薄膜を形成する。次いで、この薄膜上に着色樹脂組成物の塗布膜を形成した後、ストライプ、モザイク、トライアングルなどの繰り返しパターンを有するフォトマスクを用いて、塗布膜を露光・現像し、レジスト画像を形成する。その後、この塗布膜にエッチング処理を施してブラックマトリクスを形成することもできる。
一方、ブラックマトリクス用黒色組成物を利用する場合は、黒色の色材を含有する着色樹脂組成物を使用して、ブラックマトリクスを形成する。例えば、カーボンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラックなどの黒色色材の単独又は複数、もしくは、無機又は有機の顔料、染料の中から適宜選択される赤色、緑色、青色などの混合による黒色色材を含有する着色樹脂組成物を使用し、下記の赤色、緑色、青色の画素画像を形成する方法と同様にして、ブラックマトリクスを形成することができる。
[III−3.画素の形成]
[III−3−1.塗布膜の形成]
ブラックマトリクスを設けた透明基板上に、赤色、緑色、青色のうち一色の色材を含有する着色樹脂組成物を塗布、乾燥した後、形成された塗布膜の上にフォトマスクを重ね、このフォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化又は光硬化を行なって画素画像を形成させ、画素画像の着色層を作製する。この操作を、赤色、緑色、青色の三色の着色樹脂組成物について各々行なうことによって、カラーフィルタ画像を形成することができる。
カラーフィルタ用の着色樹脂組成物の塗布方法は任意であり、例えば、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法などによって行なうことができる。中でも、ダイコート法によれば、塗布液使用量が大幅に削減され、かつ、スピンコート法によった際に付着するミストなどの影響が全くなく、異物発生が抑制されるなど、総合的な観点から好ましい。
塗布膜の厚さは、厚すぎると、パターン現像が困難となると共に、液晶セル化工程でのギャップ調整が困難となることがあり、薄すぎると色材濃度を高めることが困難となり所望の色発現が不可能となることがある。したがって、塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常0.2μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.8μm以上、また、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下の範囲である。
[III−3−2.塗布膜の乾燥]
透明基板に着色樹脂組成物を塗布して形成した塗布膜の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンを使用した乾燥法によるのが好ましい。通常は、予備乾燥の後、再度加熱させて乾燥させる2段乾燥が行なわれる。予備乾燥の条件は、前記溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができる。乾燥時間は、溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて、通常は40℃以上、好ましくは50℃以上、通常80℃以下、好ましくは70℃以下の温度で、通常15秒以上、好ましくは30秒以上、通常5分間以下、好ましくは3分間以下の範囲である。
再加熱乾燥の温度条件は、予備乾燥温度より高い通常50℃、好ましくは70℃以上、また、通常200℃以下、好ましくは160℃以下、より好ましくは130℃以下で行なわれる。さらに、乾燥時間は、加熱温度にもよるが、通常10秒以上、好ましくは15秒以上、また、通常10分以下、好ましくは5分以下の範囲とする。乾燥温度は、高いほど透明基板に対する接着性が向上するが、高すぎるとバインダ樹脂が分解し、熱重合を誘発して現像不良を生ずる場合がある。なお、この塗布膜の乾燥は、温度を高めず、減圧チャンバー内で乾燥を行なう減圧乾燥法であっても良い。
[III−3−3.露光工程]
画像露光は、乾燥させた着色樹脂組成物の塗布膜上に、ネガのマトリクスパターンを重ね、このマスクパターンを介し、紫外線又は可視光線の光源を照射して行なう。この際、必要に応じ、酸素による着色樹脂組成物膜の感度の低下を防ぐため、着色樹脂組成物膜上にポリビニルアルコール層などの酸素遮断層を形成した後に露光を行なっても良い。
画像露光に使用される光源は、特に限定されるものではなく、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプなどのランプ光源や、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルタを利用することもできる。
[III−3−4.現像工程]
現像は、上記画像露光後、有機溶剤、或いは、界面活性剤とアルカリ性化合物とを含む水溶液を用いて行なうことができる。この水溶液には、さらに有機溶剤、緩衝剤、錯化剤、染料又は顔料を含ませることができる。
アルカリ性化合物としては本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用でき、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物や、モノ−・ジ−又はトリエタノールアミン、モノ−・ジ−又はトリメチルアミ、モノ−・ジ−又はトリエチルアミン、モノ−又はジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−又はトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物などが挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
界面活性剤としては本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用でき、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤などが挙げられる。なお、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
有機溶剤としては本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用でき、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。なお、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。さらに、有機溶剤は、単独で使用しても、水溶液と併用して使用しても良い。
現像処理の条件は特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、好ましくは15℃以上、より好ましくは20℃以上、また、通常50℃以下、好ましくは45℃以下、より好ましくは40℃以下である。また、現像方法は任意であり、例えば、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法などのいずれかの方法によることができる。
[III−3−5.熱硬化処理]
現像後のカラーフィルタ基板には、通常熱硬化処理又は光硬化処理、好ましくは熱硬化処理を施す。
熱硬化処理条件は任意であるが、温度条件としては通常100℃以上、好ましくは150℃以上、通常280℃以下、好ましくは250℃以下であり、処理時間は通常5〜60分間である。
これら一連の工程を経て、一色のパターニング画像形成は終了する。この工程を順次繰り返し、(ブラック、)赤色、緑色、青色をパターニングし、カラーフィルタを形成する。なお、赤色、緑色、青色の3色のパターニングの順番は、上記した順番に限定されるものではない。
[III−3−6.透明電極の形成]
カラーフィルタは、このままの状態で画像上にITOなどの透明電極を形成して、カラーディスプレー、液晶表示装置などの部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミドなどのトップコート層を設けることもできる。
また一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)などの用途においては、透明電極を形成しないこともある。
[IV.利点]
本発明の緑色顔料分散液を用いた着色樹脂組成物を用いてカラーフィルタを作製することにより、視認性の高いカラーフィルタを得ることができる。具体的には、コントラストが高く、かつディスプレイの白表示と黒表示での色相のずれが小さいという結果が得られる。
[V.液晶表示装置(パネル)]
本発明のカラーフィルタは、液晶表示装置(パネル)に用いることができる。本発明のカラーフィルタを用いて得られる液晶表示装置の具体的構成に制限は無いが、通常は、以下のようにして構成される。
即ち、液晶表示装置は、通常、上記本発明のカラーフィルタ上に配向膜を形成し、この配向膜上にスペーサーを散布した後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入し、対向電極に結線して作製される。
配向膜としては、ポリイミド等の樹脂膜が好適である。配向膜の形成には、通常、グラビア印刷法及び/又はフレキソ印刷法が採用され、配向膜の厚さは通常数10nmとされる。配向膜は熱焼成によって硬化処理された後、紫外線の照射やラビング布による処理によって表面処理され、液晶の傾きを調整し得る表面状態に加工される。
スペーサーは、対向基板とのギャップ(隙間)に応じた大きさのものが用いられ、通常2〜8μmのものが好適である。なお、カラーフィルタ基板上に、フォトリソグラフィ法によって透明樹脂膜のフォトスペーサー(PS)を形成し、これをスペーサーの代わりに活用することもできる。
対向基板としては、通常、アレイ基板が用いられ、特にTFT(薄膜トランジスタ)基板が好適である。
対向基板との貼り合わせのギャップは、液晶表示装置の用途によってことなるが、通常2〜8μmの範囲で選ばれる。対向基板と貼り合わせた後、液晶注入口以外の部分は、エポキシ樹脂等のシール材によって封止する。シール材は、紫外線(UV)照射及び/又は加熱することによって硬化させ、液晶セル周辺がシールされる。
周辺をシールされた液晶セルは、パネル単位に切断した後、真空チャンバー内で減圧とし、上記液晶注入口を液晶に浸漬した後、チャンバー内をリークすることによって、液晶を液晶セル内に注入する。液晶セル内の減圧度は、通常、1×10-2Pa以下、好ましくは1×10-3Pa以下、通常1×10-7Pa以上、好ましくは1×10-6Pa以上である。また、減圧時に液晶セルを加温するのが好ましく、加温温度は通常30℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは90℃以下である。減圧時の加温保持は、通常10〜60分間の範囲とされ、その後液晶中に浸漬される。液晶を注入した液晶セルは、液晶注入口をUV硬化樹脂を硬化させて封止することによって、液晶表示装置(パネル)が完成する。
液晶の種類には特に制限はなく、芳香族系、脂肪族系、多環状化合物等、従来から知られている液晶が用いられ、リオトロピック液晶、サーモトロピック液晶等のいずれでも良い。サーモトロピック液晶には、ネマティック液晶、スメスティック液晶及びコレステリック液晶等が知られているが、いずれであっても良い。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。尚、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[1]合成例1(窒素含有分散剤の合成)
分子量約5000を有するポリエチレンイミン50重量部、およびn=5(即ち、重合度5)のポリカプロラクトン40重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300重量部と混合し、150℃3時間、窒素雰囲気下にて攪拌した。こうして合成した分散剤のGPCで測定した重量平均分子量Mwは約9000であった。
[2]合成例2(窒素原子を有さない樹脂の合成)
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400重量部を仕込み、窒素置換したあと、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。
一方、モノマー槽中にジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート40重量部、メタクリル酸32重量部、メタクリル酸メチル66重量部、メタクリル酸ベンジル62重量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート2.6重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40重量部を仕込み、連鎖移動剤槽にn−ドデシルメルカプタン5.2重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27重量部を仕込み、反応槽の温度が90℃に安定してからモノマー槽および連鎖移動剤槽から滴下を開始し、重合を開始させた。温度を90℃に保ちながら滴下をそれぞれ135分かけて行ない、滴下が終了して60分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。3時間、110℃を維持した後、室温まで冷却し、重量平均分子量17000,酸価103mgKOH/gの30重量%重合体溶液を得た。
[3]合成例3(キノフタロンスルホン化誘導体の合成)
発煙硫酸(30%)100gを氷浴で内温5℃に冷却し、そこへC.I.ピグメントイエロー138(BASF社製Paliotol Yellow K0961FD)を10g攪拌しながら少量ずつ添加した。5℃のまま3時間攪拌し、その後50℃へ昇温して1時間攪拌した。室温へ冷却した後、300g、0〜5℃の純水へ滴下放出した。25℃で1時間攪拌した後、濾過し、得られた生成物を400gの純水で洗浄した。純水150gに前記生成物を投入し、28%アンモニア水溶液をpHが6程度になるまで徐々に攪拌しながら添加した。30分攪拌した後、濾過を行ない、得られた生成物に50gの水をふりかけて洗浄し、これを2回行なった。得られた生成物を80℃、減圧下にて乾燥し、10gのキノフタロンスルホン化誘導体を得た。
[4]顔料分散液の調製(実施例1、2、比較例1、2)
色材としてC.I.ピグメントグリーン36(PG36)、C.I.ピグメントイエロー150(PY150)、C.I.ピグメントイエロー138(PY138)を表2の通り、キノフタロン系誘導体として合成例3で合成したキノフタロンスルホン化誘導体を表2の通り、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60.00重量部、合成例1に記載の化合物を1.875重量部、合成例2に記載の化合物を3.75重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ225重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて緑色顔料分散液を調製した。
[5]着色樹脂組成物の調製
前記の顔料分散液に他の成分を混合して、表1の通り、それぞれ表す着色樹脂組成物を調製した。


Figure 2007271727
[6]着色板の製造
ガラス基板(旭硝子社製AN100)に、着色組成物をそれぞれスピンコート塗布し、80℃のホットプレートにて3分間プリベークを行なった。塗布に際しては乾燥(ポストベーク)後、色座標y=0.604(日立製分光光度計「U−3100」で測定。)となるように回転数を調整した。
次に、高圧水銀灯によりサンプルを60mJ/cm2で露光した後、0.04重量%水酸化カリウム水溶液を使用し、現像液温度23℃で現像した。現像後、十分な水でリンスした後、クリーンエアで乾燥した。その後、230℃のオーブンにて30分間ポストベークを行なって、着色板(緑色画素に相当)を得た。乾燥後膜厚は2.2μm程度であった。乾燥後の着色板の分光光度計による色度座標(x,y,Y)の測定結果を表2に示す。
Figure 2007271727
[7]着色板の平行透過光および直交透過光の色度測定
図3(a),(b)は、いずれも、着色板の平行透過光および直交透過光の色度を測定する方法を説明するための模式的な図である。まず、図3(a)に示すように、得られた着色板34の両側に偏光板33,35を重ねて、偏光板33,35の偏光軸を互いに平行にした状態で、一方の偏光板35の側からバックライト37の光36を当てて、他方の偏光板33を透過した光の色度座標(平行透過光の色度)を色彩輝度計コニカミノルタ製「CS−1000A」32を使用して、2゜視野の条件で測定した(CIE1931表色系)。平行透過光の測定は、光量を制御し、測定を容易にするため、ケンコー社製のフィルター「NDフィルターND4」を用いて測定し、算出した。直交透過光の測定には上記フィルターを用いなかった。
次に、図3(b)に示すように、偏光板33,35の偏光軸を互いに直交させた状態で、一方の偏光板35側からバックライト37の光36を当て、他方の偏光板33を透過した光の色度座標(直交透過光の色度)を色彩輝度計32で測定した。
なお、バックライト37は、図2に示すような発光スペクトルを有るものを用いた。このスペクトルも同様に上記のCS−1000Aと、NDフィルターND4を用いて測定した。
また、偏光板33,35は、図4のスペクトル特性を持つものを用いた。
また、平行透過光の色度(xp、yp)と直交透過光の色度(xc、yc)からΔxyを式(i)を用いて算出した。結果を表3に示す。
Figure 2007271727
本発明は様々な分野に広く適用可能であるが、カラーフィルタを使用する分野に用いて好適であり、具体的には、テレビ、モニタ等の液晶表示装置に用いて特に好適である。
一般的なバックライトを用いた場合の黒表示時の緑色画素の透過スペクトル、並びに、キノフタロン系黄顔料及びアゾ系黄顔料の透過スペクトルを模式的に示すスペクトル図である。 緑色顔料分散液を用いて形成した緑色画素について、XYZ表色系色度図の色度座標(x、y)を測定する際に用いる光源の発光スペクトルを表わす図である。 (a),(b)は、いずれも、着色板の平行透過光および直交透過光の色度を測定する方法を説明するための模式的な図である。 実施例及び比較例の測定に用いた偏光板の特性を示すスペクトル図である。
符号の説明
G 一般的なバックライトを用いた場合の黒表示時の緑色画素の透過スペクトル
Y1 キノフタロン系黄顔料の透過スペクトル
Y2 アゾ系黄顔料の透過スペクトル
32 色彩輝度計
33,35 偏光板
34 着色板
36 光
37 バックライト

Claims (9)

  1. キノフタロン系黄顔料と、アゾ系黄顔料と、分散媒とを含有する緑色顔料分散液であって、
    該緑色顔料分散液により形成される緑色画素を2枚の偏光板の間に挟んで、XYZ表色系色度図の色度座標(x、y)を測定した場合、平行透過光の色度(xp、yp)と直交透過光の色度(xc、yc)が下記式(i)を満たす
    ことを特徴とする、緑色顔料分散液。
    Δxy=[(xp−xc2+(yp−yc21/2<0.096 (i)
    なお、前記緑色画素は、透明ガラス基板上に該緑色顔料分散液を、乾燥後の塗布膜の厚さが1.5〜2.5μmとなるように塗布し、230℃30分間乾燥させることにより形成される。
  2. 該キノフタロン系黄顔料と該アゾ系黄顔料との含有比が、25/75〜99/1である
    ことを特徴とする、請求項1記載の緑色顔料分散液。
  3. 該キノフタロン系黄顔料の比表面積が、85m2/g以上である
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の緑色顔料分散液。
  4. キノフタロン系黄顔料と、アゾ系黄顔料と、分散媒とを含有し、
    該キノフタロン系黄顔料と該アゾ系黄顔料との含有比が、25/75〜99/1であり、
    該キノフタロン系黄顔料の比表面積が、85m2/g以上である
    ことを特徴とする、緑色顔料分散液。
  5. さらに、キノフタロン誘導体を含有する
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の緑色顔料分散液。
  6. キノフタロン系黄顔料と、キノフタロン誘導体と、アゾ系黄顔料と、窒素含有分散剤と、樹脂と、溶媒又は分散媒とを含有し、
    該キノフタロン系黄顔料と該アゾ系黄顔料との含有比が、25/75〜99/1である
    ことを特徴とする、緑色顔料分散液。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の緑色顔料分散液を含有する
    ことを特徴とする、着色樹脂組成物。
  8. 請求項7記載の着色樹脂組成物を用いて形成された
    ことを特徴とする、カラーフィルタ。
  9. 請求項8記載のカラーフィルタを備える
    ことを特徴とする、液晶表示装置。
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