JP2007270410A - カバー用難燃性布帛 - Google Patents

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Abstract

【課題】クッション材であるウレタンフォームと組み合わせた場合の難燃性を満足させつつ、風合いや通気性等の使用時の快適性や意匠性を損なうことの無い椅子張り地やマットレス、クッション等のカバー用難燃性布帛を提供する。
【解決手段】スズ酸亜鉛化合物を含有するハロゲン含有繊維25〜75重量%、ウール繊維およびセルロース系繊維の少なくとも1種の繊維75〜25重量%を含み、アンチモン化合物を含まない布帛からなるカバー用難燃性布帛である。
【選択図】なし

Description

本発明は、高度な難燃性を必要とする椅子張り地、マットレス、クッション等に好適に用いられるカバー用布帛に関する。
近年、衣食住の安全性確保の要求が強まり、防炎の観点より難燃素材の必要性が高まってきている。そのような中で椅子やマットレス、クッション等の製品に用いられるカバー用布帛も例外ではなく、使用時の快適性や意匠性だけではなく、難燃性の必要性が高まってきている。
これら椅子、マットレス、クッション等の製品においては、使用時の快適性のためにクッション材として、ウレタンフォームが用いられることが多い。しかしながら、ウレタンフォームは極めて易燃性であるため、それら製品の防炎性の確保には、カバー用布帛に適当な難燃素材を使用することでウレタンフォームへの着炎を長時間にわたり防止する高度な難燃性を具備させることが重要である。また、その難燃素材は、これら椅子やマットレス、クッション等の製品の快適性や意匠性を損なわないものでなければならない。
このようなカバー用難燃性布帛について、種々の難燃性を向上させる手法が検討されてきたが、高度な難燃性とこれら製品に求められる快適性、意匠性を充分に兼ね合わせたものは未だ現れていない。
例えば、ウール繊維からなる布帛は、ザプロ加工と呼ばれる難燃加工を施す手法があるが、加工時の安全性やコスト面等に問題があった。
また綿や麻等のセルロース系繊維からなる布帛には、難燃剤を布帛に含浸させたり、布帛の裏側に樹脂からなるコーティング材とともにバックコートさせたりする手法があるが、難燃剤の付着の均一化、付着やコーティング材による布帛の硬化や通気性、洗濯や経年使用による脱離、難燃剤の安全性等に問題があった。
また、アラミド繊維に代表される耐熱性繊維からなる布帛は、難燃性は優れているが極めて高価であり、さらに吸湿性や触感が悪く、当該繊維自身が着色している場合もあり、意匠性の高い製品を得るのが難しいという問題があった。
さらに、クッション材として難燃ウレタンフォームを用いた場合は、従来のウレタンフォームに比較して難燃性は優れているが、高価であるという問題があった。
前記椅子、マットレス、クッション等の製品に使用されるカバー用布帛の欠点を改良し、一般的な特性として要求される優れた風合、吸湿性、触感を有し、かつ、安定した高度な難燃性を有する素材として、アンチモン化合物を難燃剤として使用するアクリル系繊維と他の非難燃性繊維との複合体(特許文献1)や、スズ酸、臭化第二スズなどの有機スズ化合物を用いたスズ系難燃剤またはスズ系難燃剤をアンチモン化合物の混合物を含有するハロゲン含有繊維を用いたカバー用難燃性布帛(特許文献2)が提案されているが、難燃性やコストの面で充分満足できるものではなく、またアンチモン化合物の使用による有害性が考えられるために改善の余地がある。
特開平5−106132号公報 特開平11−001842号公報
本発明は、上記のような従来のカバー用難燃性布帛の現状に鑑み、アンチモン化合物を使用せずにクッション材であるウレタンフォームと組み合わせた場合の難燃性を満足させつつ、風合いや通気性等の使用時の快適性や意匠性を損なうことの無い椅子張り地やマットレス、クッション等のカバー用難燃性布帛を提供するものである。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、スズ酸亜鉛化合物を含有したハロゲン含有繊維とウール繊維、セルロース系繊維からなる布帛を用いることで、風合いや通気性など使用時の快適性や意匠性を損なうこと無く、かつ長時間の炎にも耐え得る難燃性や自己消火性を兼ね備えたカバー用難燃性布帛が得られることを見出した。
すなわち本発明は、スズ酸亜鉛化合物を含有するハロゲン含有繊維25〜75重量%、ウール繊維およびセルロース系繊維の少なくとも1種の繊維75〜25重量%を含み、アンチモン化合物を含まない布帛からなるカバー用難燃性布帛に関する。
前記布帛は、ハロゲン含有繊維25〜75重量%およびウール繊維75〜25重量%、ハロゲン含有繊維25〜75重量%およびセルロース系繊維75〜25重量%、またはスズ酸亜鉛化合物を含有するハロゲン含有繊維25〜50重量%、ウール繊維40〜70重量%およびセルロース系繊維10〜20重量%からなる布帛であることが好ましい。
ハロゲン含有繊維中のスズ酸亜鉛化合物含有量が1〜35重量%であることが好ましい。
ハロゲン含有繊維が、17〜86重量%のハロゲン原子を含有するハロゲン含有重合体からなることが好ましい。
前記ハロゲン含有重合体が、アクリロニトリル単位30〜70重量%、ハロゲン含有ビニルおよび/またはハロゲン含有ビニリデン単量体単位70〜30重量%、およびそれらと共重合可能なビニル系単量体単位0〜10重量%からなることが好ましい。
前記スズ酸亜鉛化合物が、六水酸化スズ亜鉛または三酸化スズ亜鉛であることが好ましい。
本発明によれば、風合いや通気性など使用時の快適性や意匠性を損なうこと無く、かつ長時間の炎にも耐え得る高度な難燃性を兼ね備えたカバー用難燃性布帛を提供することができる。
本発明のカバー用難燃性布帛は、スズ酸亜鉛化合物を含有するハロゲン含有繊維25〜75重量%、ウール繊維およびセルロース系繊維の少なくとも1種の繊維75〜25重量%を含む布帛からなる。
前記ハロゲン含有繊維は、難燃性を得るためにハロゲン含有重合体からなる。
前記ハロゲン含有重合体は、たとえばハロゲン原子を含有する単量体の重合体、ハロゲン原子を含有する単量体とハロゲン原子を含有しない単量体との共重合体、ハロゲン原子を含有する重合体およびハロゲン原子を含有しない重合体の混合物、ハロゲン原子を含有しない単量体または重合体の重合中または重合後に、ハロゲン原子を導入したハロゲン原子含有重合体などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
前記ハロゲン含有重合体としては、具体的には、たとえば塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン含有ビニル系またはビニリデン系単量体の単独重合体または2種以上の共重合体;アクリロニトリル−塩化ビニル、アクリロニトリル−塩化ビニリデン、アクリロニトリル−臭化ビニル、アクリロニトリル−フッ化ビニル、アクリロニトリル−塩化ビニル−塩化ビニリデン、アクリロニトリル−塩化ビニル−臭化ビニル、アクリロニトリル−塩化ビニリデン−臭化ビニル、アクリロニトリル−塩化ビニリデン−フッ化ビニリデンなどのハロゲン含有ビニル系またはビニリデン系単量体とアクリロニトリルとの共重合体;前記ハロゲン含有ビニル系またはビニリデン系単量体の1種以上とアクリロニトリルおよびこれらと共重合可能なビニル系単量体との共重合体;アクリロニトリル単独重合体にハロゲン含有化合物を添加・重合させた重合体;ハロゲン含有ポリエステル;ビニルアルコールと塩化ビニルの共重合体;ポリエチレンやポリ塩化ビニルなどを塩素付加処理した重合体などがあげられるが、これらに限定されるものではない。また、前記単独重合体や共重合体を適宜混合して使用してもよい。
前記それらと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、ビニルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸などのスルホン酸基含有ビニル系単量体およびそれらのナトリウム塩などがあげられ、それらの1種または2種以上が用いられる。また、そのうち少なくとも1種がスルホン酸基含有ビニル系単量体の場合には、得られるカバー用難燃性布帛の染色性が向上するため好ましい。
前記ハロゲン含有重合体におけるハロゲン原子含有量が、17重量%以上であることが好ましい。ハロゲン原子含有量の下限は、20重量%がより好ましく、さらに好ましくは26重量%である。また、ハロゲン原子の含有量の上限は86重量%が好ましく、より好ましくは73重量%である。前記ハロゲン原子含有量が17重量%未満の場合、布帛を難燃化することが困難となる傾向があり、好ましくない。ハロゲン原子含有量の好ましい上限値である86重量%は、臭化ビニリデン単独重合体のハロゲン含有量であり、この値がハロゲン含有量の上限値となる。これ以上のハロゲン含有量を得るためにはさらにモノマー中のハロゲン原子を増やす必要があり、技術的に現実的ではなくなる傾向がある。
前記ハロゲン含有重合体としては、ハロゲン原子含有量が17%以上であり、該重合体から得られるハロゲン含有繊維からなるカバー用難燃性布帛が、難燃性と強度、伸度、耐熱性等を同時に満足させることできる点から、アクリロニトリル単位30〜70重量%、ハロゲン含有ビニルおよび/またはハロゲン含有ビニリデン単量体単位70〜30重量%およびそれらと共重合可能なビニル系単量体単位0〜10重量%からなることが好ましい。アクリロニトリル単位は、より好ましくは40〜60重量%であり、ハロゲン含有ビニルおよび/またはハロゲン含有ビニリデン単量体単位は、より好ましくは60〜40重量%、共重合可能なビニル系単量体単位は、より好ましくは0.1〜5重量%である。
前記アクリロニトリル単位が30重量%未満の場合や、ハロゲン含有ビニルおよび/またはハロゲン含有ビニリデン単量体単位が70重量%を超える場合は、得られる布帛の耐熱性が充分でない傾向があり、前記アクリロニトリル単位が70重量%を超える場合や、ハロゲン含有ビニルおよび/またはハロゲン含有ビニリデン単量体単位が30重量%未満の場合は、難燃性が充分でなくなる傾向がある。また、共重合可能なビニル系単量体は、所望の染色性、風合いの改善などのために使用されるが、10重量%を超える場合は、ハロゲン含有難燃性繊維の特徴である難燃性と風合いが充分活かせなくなる傾向がある。
前記ハロゲン含有重合体としては、具体的には、例えば塩化ビニル50重量%、アクリロニトリル49重量%、スチレンスルホン酸ソーダ1重量%よりなる共重合体、塩化ビニリデン47重量%、アクリロニトリル51.5重量%、スチレンスルホン酸ソーダ1.5重量%よりなる共重合体、塩化ビニリデン41重量%、アクリロニトリル56重量%、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ3重量%などがあげられる。
前記ハロゲン含有重合体は、例えば乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法等の既知の重合方法で得ることができる。
本発明は、前記ハロゲン含有繊維にスズ酸亜鉛化合物を用いる。亜鉛化合物は基本的に炭化型難燃剤として働くが、カチオン染料を用いて染色を行うにあたり、発色性が悪い、色目が変化するなどの問題がある。しかし、亜鉛化合物のなかでもスズ酸亜鉛化合物は、理由は定かではないが、染色性に対する影響が極めて小さいので好ましい。
本発明においては、前記ハロゲン含有繊維にスズ酸亜鉛化合物を含有することにより、本発明のカバー用難燃性布帛が極めて優れた難燃性を示す。その理由は、以下のように考えられる。本発明のカバー用難燃性布帛を他の火炎源により燃焼させると、スズ酸亜鉛化合物中の亜鉛原子は炭化促進の触媒となり、スズ酸亜鉛を含有するハロゲン含有繊維の炭化を促進し、炭化物となる。またスズ酸亜鉛化合物中のスズ原子は、重合体中のハロゲン原子と反応して不燃性ガスを生成し、これにより酸素が遮断され燃焼が抑制される。これらの単独、複合的効果によりハロゲン原子含有重合体からなるハロゲン含有繊維およびウール繊維、セルロース系繊維などの布帛に含まれる繊維は、完全に焼失、焼損することなく炭化物となる。その結果、本発明のカバー用難燃性布帛は、燃焼後も崩壊することなく炭化物の状態で形態を保持するので、火炎は遮断されて、それ以上の延焼、つまり内部の易燃性であるクッション材への延焼が抑制されるため、極めて優れた難燃性を示す。
前記スズ酸亜鉛化合物としては、六水酸化スズ亜鉛、三酸化スズ亜鉛があげられる。これらのスズ酸亜鉛化合物は単独でも組み合わせて使用してもよい。なかでも、難燃性の観点から、200℃付近で水を放出するために吸熱反応を起こす六水酸化スズ亜鉛が好ましい。
スズ酸亜鉛化合物のハロゲン含有繊維中の含有量は、1〜35重量%であることが好ましく、より好ましくは2〜25重量%、さらに好ましくは3〜10重量%である。スズ酸亜鉛化合物の含有量が1重量%未満の場合は、燃焼時に炭化層の形態保持効果が得られず、また消火性能も不充分となり求める難燃性を得ることが難しくなる傾向がある。また、35重量%を超える場合は、充分な難燃性は得られるが、繊維の製造段階で糸切れなどが発生するなどの問題が生じるとともに、紡績時にスズ酸亜鉛化合物の脱落がおこり、巻き付きや糸切れなどが起こる傾向がある。
前記スズ酸亜鉛化合物の平均粒子径は、ハロゲン含有繊維の製造工程上におけるノズル詰りなどのトラブル回避、繊維の強度向上、繊維中でのスズ酸亜鉛化合物粒子の分散などの点から、3μm以下であることが好ましい。
前記スズ酸亜鉛化合物は、ブロッキング性改善のために粒子表面に化学的修飾を施してもよい。
ここで、本発明においては、前述のように極めて優れた難燃性を示すスズ酸亜鉛化合物を含むので、従来難燃性を向上させるために使用されていた有害性のあるアンチモン化合物を全く使用せずに、優れた難燃性を達成することができる。
本発明のカバー用難燃性布帛は、スズ酸亜鉛化合物を含有するハロゲン含有繊維とウール繊維およびセルロース系繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維を含む布帛からなる。
前記ウール繊維としては、たとえば、羊毛、ラクダ毛、山羊毛、絹等があげられる。また、前記セルロース系繊維としては、たとえば、綿、レーヨン、麻等があげられるが、これらに限定されるものではない。前記ウール繊維およびセルロース系繊維は、それぞれを単独または複数で用いてよく、ウール繊維およびセルロース系繊維を組み合わせてもちいてもよい。
本発明のカバー用難燃性布帛は、所望の風合いや吸湿性の観点から下記(1)〜(3)の繊維からなる布帛とすることができる。ウール繊維の風合いを充分に引き出す場合は、(1)前記ハロゲン含有繊維25〜75重量%とウール繊維75〜25重量%を含む布帛からなり、吸湿性やセルロース繊維の風合いを充分に引き出す場合は、(2)前記ハロゲン含有繊維25〜75重量%とセルロース系繊維75〜25重量%を含む布帛からなる。(1)および(2)の場合において、ハロゲン含有繊維の含有量(混用重量比)は、30〜70重量%であることがより好ましく、40〜70重量%がさらに好ましい。また、前記布帛として、ウール繊維とセルロース繊維の両方の性能(特性)を活かす場合は、(3)スズ酸亜鉛化合物を含有するハロゲン含有繊維25〜50重量%、ウール繊維40〜70重量%、セルロース系繊維10〜20重量%であることが好ましい。ハロゲン含有繊維は30〜50重量%であることがより好ましい。ウール繊維の含有量は40〜50重量%であることがより好ましく、セルロース系繊維の含有量は、10〜20重量%であることがより好ましい。
前記(1)〜(3)いずれの場合も、スズ酸亜鉛化合物を含有するハロゲン含有繊維が前記含有量の下限値未満の場合は、風合いや通気性など使用時の快適性や意匠性は優れるがウール繊維、セルロース系繊維の燃焼を抑制することが難しく所望の難燃性を確保することが困難となる傾向がある。また、スズ酸亜鉛化合物を含有するハロゲン含有繊維が前記含有量の上限値を超える場合は、燃焼で生じた布帛の炭化部分の形態保持が困難となり内部のクッション材への延焼が起こりやすくなるため所望とする難燃性を確保できない傾向がある。
前記スズ酸亜鉛化合物を含有するハロゲン含有繊維、ウール繊維および/またはセルロース系繊維を複合することにより、本発明のカバー用難燃性布帛を製造することができる。具体的には、布帛全体により均一にハロゲン含有繊維が存在させることによって、安定した難燃性を得られることから、原綿の状態で前記各繊維を混合し混紡糸とした後、布帛とすることが好ましいが、各繊維を単独で糸状態とし交織として布帛を形成しても良い。前記糸状態とした繊維は、60メートル番手以下、好ましくは40メートル番手以下であり、双糸撚りまたは三個撚りとするのが、布帛に強度や磨耗堅牢度等の特性を付与する点で好ましい。
本発明のカバー用難燃性布帛は、特に限定されるわけではないが、椅子、ソファー等の他、マットレス、クッション、ピロー等に使用されるクッション材等を包む高難燃性を有するカバー用難燃性布帛として好適に使用される。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1〜4、比較例1
アクリロニトリル単量体単位51重量%、塩化ビニリデン単位48重量%、p−スチレンスルホン酸ナトリウム単位1重量%よりなる共重合体を乳化重合法により作成し、アセトンに共重合体濃度が30%になるように溶解させた。次いで、所定のファイバー中含有率となるようになるようにスズ酸亜鉛化合物(六水酸化スズ亜鉛(ZnSn(OH)6 英国アルキャンケミカル製 FLAMTARD−H))を添加し紡糸原液とした。この紡糸原液をノズル孔径0.10mmおよび孔数1000ホールのノズルを用い、30重量%アセトン水溶液中へ押し出し、水洗したのち150℃で乾燥し、ついで3倍に延伸してから、さらに160℃で3分間熱処理、さらに捲縮、切断して、ハロゲン含有繊維を得た。得られた繊維の繊度2.2dtex、カット長38mmの短繊維であった。また、各実施例および比較例で得られたハロゲン含有繊維におけるハロゲン原子の含有量は、表1に示すとおりであった。
スズ酸亜鉛化合物を表1の含有量に従い含有させたハロゲン含有繊維とウール繊維を、混用重量比が70/30、12メートル番手双糸の混紡糸を用い、経糸26本/インチ、緯糸26本/インチの平織り布帛を得た。なお、混紡、撚糸、織りは、公知の方法で実施した。各実施例および比較例で得られた布帛を、以下の難燃性評価試験法に従い評価した。結果を表1に示す。
(難燃性評価)
・クレビスバーナー法
本方法は、日本防炎協会の布張り家具等完成品の難燃性能試験基準であり、布帛で覆ったウレタンフォームの座部と背部を直角に配し、その接触部分に炎長24mmのエアミックスバーナーで30秒間接炎し、その後の残炎時間を測定する。判定は炭化長や炭化部分の形態も考慮して、速やかに自己消火するものを◎、残炎時間が2分以内のものを○、2分を超えるものを×とした。◎および○が合格である。
Figure 2007270410
実施例1〜4で得られた布帛の難燃性評価結果は良好であり、またクレビスバーナー法評価結果も良好で布帛内部のウレタンへの延焼は見られず、総合判定で合格した。これに対し比較例1で得られた布帛は、スズ酸亜鉛化合物を含有しないため、クレビスバーナー法評価で不合格となった。
実施例5〜7、比較例2
実施例1と同様の製造方法により、スズ酸亜鉛化合物を表2の量で含有するハロゲン含有繊維を経糸に、ウール繊維を緯糸に用い、表2に示す混用重量比である交織布帛を得た。なお、撚糸、織りは、公知の方法で実施した。得られた布帛を用いて、実施例1と同様の難燃性評価試験により布帛の難燃性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2007270410
実施例5〜7は、クレビスバーナー法評価も良好で布帛内部のウレタンへの延焼は見られず、総合判定で合格した。これに対し比較例2では布帛中のハロゲン含有繊維量が少ないため、充分な難燃性を得ることができず不合格となった。
実施例8〜10、比較例3
実施例1と同様の方法により、スズ酸亜鉛化合物を表3の量で含有するハロゲン含有繊維を経糸に、綿繊維を緯糸に用い、表3に示す混用重量比である交織布帛を得た。なお、撚糸、織りは、公知の方法で実施した。得られた布帛を以下の難燃性評価方法に従い評価した。
(難燃性評価)
・BS5852 Part1法
本方法は、英国における家庭用椅子類を対象とした難燃性能試験基準であり、布帛で覆ったウレタンフォームの座部と背部を直角に配し、その接触部分に45ml/分のブタンガスを供給するバーナーで20秒間接炎し、その後の残炎時間を測定する。判定は、速やかに自己消火するものを◎、残炎時間が2分以内のものを○、2分を超えるものを×とした。◎および○が合格である。
結果を表3に示す。
Figure 2007270410
実施例8〜10は、BS5852Part1法評価も良好で布帛内部のウレタンへの延焼は見られず、総合判定で合格した。これに対し比較例3では布帛中のハロゲン含有繊維量が少ないため、十分な難燃性を得ることができず不合格となった。
実施例11、比較例4
実施例1と同様の方法で、スズ酸亜鉛化合物を表4の量で含有するハロゲン含有繊維、ウール、綿から、表4に示す混用重量比である布帛を得た。なお、撚糸、織りは、公知の方法で実施した。得られた布帛を前記BS5852Part1法により評価した。結果を表4に示す。
Figure 2007270410
実施例11は、BS5852Part1法評価も良好で布帛内部のウレタンへの延焼は見られず、総合判定で合格した。これに対し比較例4では布帛中のハロゲン含有繊維量が少ないため、充分な難燃性を得ることができず不合格となった。
本発明のカバー用難燃性布帛は、椅子、ソファー等の他、マットレス、クッション、ピロー等に使用されるクッション材等を包む高難燃性を有するカバー用難燃性布帛として好適に使用される。

Claims (8)

  1. スズ酸亜鉛化合物を含有するハロゲン含有繊維25〜75重量%、ウール繊維およびセルロース系繊維の少なくとも1種の繊維75〜25重量%を含み、アンチモン化合物を含まない布帛からなるカバー用難燃性布帛。
  2. 前記布帛が、ハロゲン含有繊維およびウール繊維からなる請求項1記載のカバー用難燃性布帛。
  3. 前記布帛が、ハロゲン含有繊維およびセルロース系繊維からなる請求項1記載のカバー用難燃性布帛。
  4. 前記布帛が、スズ酸亜鉛化合物を含有するハロゲン含有繊維25〜50重量%、ウール繊維40〜70重量%およびセルロース系繊維10〜20重量%からなる請求項1記載のカバー用難燃性布帛。
  5. ハロゲン含有繊維中のスズ酸亜鉛化合物含有量が1〜35重量%である請求項1記載のカバー用難燃性布帛。
  6. ハロゲン含有繊維が、17〜86重量%のハロゲン原子を含有するハロゲン含有重合体からなる請求項1記載のカバー用難燃性布帛。
  7. 前記ハロゲン含有重合体が、アクリロニトリル単位30〜70重量%、ハロゲン含有ビニルおよび/またはハロゲン含有ビニリデン単量体単位70〜30重量%、およびそれらと共重合可能なビニル系単量体単位0〜10重量%からなる請求項6記載のカバー用難燃性布帛。
  8. 前記スズ酸亜鉛化合物が、六水酸化スズ亜鉛または三酸化スズ亜鉛である請求項1記載のカバー用難燃性布帛。
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