JP2007270226A - 加工性、溶接性、耐すき間腐食性に優れた貯湯タンク用フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

加工性、溶接性、耐すき間腐食性に優れた貯湯タンク用フェライト系ステンレス鋼 Download PDF

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Abstract

【課題】Moなどの高価な合金元素を低減した比較的安価な鋼であって、65〜70℃の低温の給湯温度において適正な加工性、溶接性、耐すき間腐食性を有する貯湯タンク用フェライト系ステンレス鋼を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.010%以下、N:0.010%以下、Si:0.25%以下、Mn:0.2%以下、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:16.0〜20.0%、Mo:0.5〜2.0%未満、Ti:0.05〜0.25%、Nb:0.05〜0.40%、を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、下記(A)式および(B)式を満足することを特徴とする、加工性、溶接性、耐すき間腐食性に優れた貯湯タンク用フェライト系ステンレス鋼。
ここに、
(Ti+Nb)/(C+N)≧20 かつ 0.2≦Ti/(Nb+Ti)≦0.8
・・・・(A)
21.5 ≦(Cr+3.3Mo)≦ 26 ・・・・(B)
【選択図】図1

Description

本発明は、加工性、溶接性、耐すき間腐食性に優れた貯湯タンク用フェライト系ステンレス鋼に関する。
具体的には、燃料電池コージェネレーションシステムや電気温水器、ヒートポンプ式温水器等の給湯システムに付属する貯湯タンクに用いられる加工性、溶接性、耐すき間腐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼に関する。
給湯システムは、その使用燃料により、大きく石油・ガス温水器と電気温水器とに分けられ、これらに使用されるステンレス鋼材料も異なっている。
石油・ガス温水器は、石油およびガスの燃焼エネルギーが高いために、これら燃料を燃焼させる燃焼室に熱交換用のパイプを張り巡らせこの中に水を通すことにより瞬間的に高温のお湯を供給することが可能である。これらの使用材料の必要性能は、高い加工性と耐高温酸化性、ならびに耐応力腐食割れ性であり、上記を満たす材料として一般にSUS315J1(18Cr-10Ni−Cu、Si、Mo)等が用いられている。
また、電気温水器は、電気代の安い深夜電力を用いて電気ヒーターにより沸かしたお湯をタンクに貯めておき、必要なときにお湯を使用するシステムである。なお近年、ヒーターの代わりに、より高効率なヒートポンプユニットを用いた電気温水システムも普及してきている。これらは発熱方式は異なるものの、貯湯タンクとしては同じ環境のため同じ構造となっている。
これら温水器のタンク構造は、給湯方式がタンク内を高圧に保ちその圧力で給湯するため、内圧に耐えうるようにカプセル状の形状をしている。このカプセル状の形状とするには、現行の製造技術では、タンク内に鏡板と胴板の間にすき間が形成される。このため温水タンクの必要性能として、耐すき間腐食性のほか、耐応力腐食割れ性、加工性が挙げられる。加工性の要求は石油・ガス温水器の熱交換器ほど大きくはないが、鏡板のプレス成型等の厳しい加工が要求される。このため電気温水器の貯湯タンク材料としては、応力腐食割れに免疫的なフェライト系ステンレス鋼が用いられ、現行は耐すき間腐食性に優れるSUS444(19Cr−2Mo−Nb,Ti)が広く採用されている。
一方で、地球温暖化を含む環境問題や、限りある炭素エネルギー等の資源問題の顕在化から、燃料電池コージェネレーション給湯システムが注目されている。燃料電池は水素と酸素から電気を取り出すことが可能であることから、地球温暖化の主要因とされている二酸化炭素を排出しないことがメリットの1つである。さらに発電時の水素と酸素との反応で生じる熱を回収し、これを給湯として利用すること(コージェネレーションと呼ばれる)で総合発電効率が70%以上といわれており、これを一般家庭等で使用することで、従来の火力発電のそれの約40%を大きく上回ることが可能となる。このため、燃料電池コージェネレーションシステムは未来のエネルギーとして、その開発が国家レベルで進められてきており、とくに固体高分子型と呼ばれる100℃以下で発電可能な1kWクラスの燃料電池が家庭用のコージェネレーションシステムとして、2005年4月より一部メーカーが一般モニター試験を開始するまでに至っている。
この燃料電池コージェネレーション給湯システムは、石油・ガスや電気温水器とは異なる全く新しい発電・給湯システムであるが、発電で生じた熱を熱交換器を利用して貯湯する方法のため、貯湯タンク自体は電気温水器のそれとほぼ同形状であり、現行のタンク材料は同じSUS444鋼が用いられている。
温水器用フェライト系ステンレス鋼としては、例えば特開平6−279951号公報(特許文献1)に、Cr,Moに加えてTiおよびAlを複合添加することにより、溶接隙間部の再不動態化能を改善することにより、溶接隙間部の耐食性に優れ、加工性及び溶接製も良好なフェライト系ステンレス鋼を提供することが提案されている。
また、温水器缶体に関しては、例えば特開2005−15816号公報(特許文献2)に、NbとTiとを複合添加したフェライト系ステンレス鋼板を用いて、溶接部を含むかしめ構造により組み立て、溶接隙間部のみならず金属隙間部の耐食性を高めたステンレス鋼製温水器缶体が提案されている。
特開平6−279951号公報 特開2005−15816号公報
しかしながら、従来の電気温水器と燃料電池コージェネレーションシステムの給湯システムを比較すると、貯湯温度が異なる。
すなわち、従来の電気温水器が、安価な夜間電力を利用して90℃以上に炊き上げたものを貯湯して日中に使用するのに対し、現行の燃料電池コージェネレーションシステムでは、電気を使用する際に発電セル内で生じた熱を熱交換してお湯を貯め使用する方法である。発電セルの温度は100℃未満であり、これを熱交換するために、タンク内でも最高65〜70℃程度となる。この温度域の場合、従来電気温水器で使用されているSUS444鋼でも十分使用可能であるが、昨今の原料価格、とくにモリブデン原料の高騰や省資源化の観点から、Moなどの高価な合金元素を低減し比較的安価な鋼が求められていた。更に耐食性を向上させるCr、Moの添加は、加工性を低下させるため、鏡板の絞り加工等の厳しい加工条件では問題となる場合がある。
なお電気温水器と同様に90℃の高温で保温するタイプも想定されるが、この場合は従来より用いられているSUS444鋼で対応可能である。
そこで、本発明は、Moなどの高価な合金元素を低減した比較的安価な鋼であって、65〜70℃の低温の給湯温度において適正な加工性、溶接性、耐すき間腐食性を有する貯湯タンク用フェライト系ステンレス鋼を提供することを課題とする。
本発明は、前述の課題を解決するため鋭意検討の結果、CrとMoバランスならびに安定化元素であるNbとTiバランスの最適化を図ることによりMoなどの高価な合金元素を低減した比較的安価な鋼であって、65〜70℃の低温の給湯温度において適正な加工性、溶接性、耐すき間腐食性を有する貯湯タンク用フェライト系ステンレス鋼を提供するものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)質量%で、
C:0.010%以下、
N:0.010%以下、
Si:0.25%以下、
Mn:0.2%以下、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下、
Cr:16.0〜20.0%、
Mo:0.5〜2.0%未満、
Ti:0.05〜0.25%、
Nb:0.05〜0.40%、を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、下記 (A)式および(B)式を満足することを特徴とする、加工性、溶接性、耐すき間腐食性に優 れた貯湯タンク用フェライト系ステンレス鋼。
ここに、
(Ti+Nb)/(C+N)≧20 かつ 0.2≦Ti/(Nb+Ti)≦0.8
・・・・(A)
21.5 ≦(Cr+3.3Mo)≦ 26 ・・・・(B)
(2)さらに、質量%で、
Ni:2.0%以下、
Cu:1.0%以下、を含有することを特徴とする、請求項1に記載の、加工性、溶接性、耐すき間腐食性に優れた貯湯タンク用フェライト系ステンレス鋼。
(3)さらに、質量%で、
V:0.2%以下、
Zr:0.2%以下、を含有することを特徴とする、(1)に記載の、加工性、溶接性、耐すき間腐食性に優れた貯湯タンク用フェライト系ステンレス鋼。
(4)さらに、質量%で、
B:0.005%以下を含有することを特徴とする、(1)または(2)に記載の、加工性、溶接性、耐すき間腐食性に優れた貯湯タンク用フェライト系ステンレス鋼。
本発明によれば、CrとMoバランスならびに安定化元素であるNbとTiバランスの最適化を図ることによりMoなどの高価でかつ価格変動の大きいMo合金元素を低減した比較的安価な鋼であって、65〜70℃の低温の給湯温度において適正な耐すき間腐食性を有し、かつ優れた加工性および溶接性を有する燃料電池コージェネレーション給湯システムの貯湯タンク用フェライト系ステンレス鋼を提供することができる。これにより目的に応じた適正な材料選定が可能となり、優れた耐すき間腐食性や、加工性、溶接性を有しつつ、原料の省資源化や価格変動差の小さいフェライト系ステンレス鋼を提供することが可能となる。
また、これ以外にも優れた耐すき間腐食性や加工性を生かして、常温の貯水タンクや家庭用厨房機器、シンク等へも応用が可能となる。
本発明者らは、貯湯タンク用材料の必要特性である、耐すき間腐食性、溶接性、加工性について、新たな合金設計を試み、そのいくつかの成分について実験室溶解を実施し評価した。この結果、65〜70℃における十分な耐すき間腐食性を有し、かつ、溶接性、加工性に優れる成分系として、CrおよびMoバランスならびにNb+Tiバランスを最適化することを見出した。
耐すき間腐食性は以下の手法により評価した。すき間サンプルとしては2枚の同組成のステンレス鋼を重ね合わせてスポット溶接したものを用いた。このすき間サンプルを種々の組成のステンレス鋼で作製して、600ppmCl−および20ppmCu2+を含有した水溶液中に浸漬し、酸素を吹き込んだ状態で70℃に各々14日間保持した後の腐食有無で評価した。
まず、70℃での結果を図1に示す。横軸を化学組成のCr+3.3Moで、縦軸をTi/(Nb+Ti)で表し、すき間腐食が生じない場合を○、生じた場合を×とした。また耐すき間腐食試験とは別に、サンプルに圧延時の表面疵が観察された場合を□、加工性が低い場合を△、として整理したものである。なお何れの鋼種も(Ti+Nb)/(C+N)≧20を満足する組成とし、すき間腐食が生じない場合(○)としたのは顕微鏡観察でも腐食が観察されない腐食減量値が5mg・m-2・h-1以下の場合とした。また加工性が低い場合(△)とはJIS 13号B試験片で全伸びが30%未満の場合とした。
これより、すき間腐食が生じなかった組成範囲は、Cr+3.3Moが本試験範囲では21.5以上26以下、かつTi/(Nb+Ti)が0.2以上であることが判明した。なおTi/(Nb+Ti)が0.2を下回ると、水溶性介在物を基点としたすき間腐食が発生する。またTi/(Nb+Ti)が0.8をこえると、圧延時にTi系の介在物を起因とした表面疵を生じ、外観上問題があるだけでなく、この疵部を基点としたすき間腐食も発生する場合があった。またCr+3.3Moが26を超えると加工性が低下してしまう。
従って、本発明のフェライト系ステンレス鋼を、下記(A)式および(B)式を満足する範囲とした。
(Ti+Nb)/(C+N)≧20 かつ 0.2≦Ti/(Nb+Ti)≦0.8
・・・・(A)
21.5 ≦(Cr+3.3Mo)≦ 26 ・・・・(B)
以下にその他化学組成について説明する。
CおよびNは、フェライト系ステンレス鋼ではその固溶限が小さいため、多すぎる場合または溶接部ではCrの炭窒化物を析出し、特に粒に局部的なCr欠乏部を生じてしまい、耐食性が劣化する。このためCおよびNとも0.01%以下とし、さらに安定化元素NbおよびTiを添加して、前述の(A)式を満たす条件が必要である。
なお、CおよびNの好ましい範囲は0.002〜0.008%である。
Siは、製鋼における脱酸材として使用されるため混入する場合があり、微量では耐食性を向上させることもあるが、多すぎると加工性が低下するために上限を0.25%とした。なお、Siの好ましい範囲は0.05〜0.20%である。
Mnは母材の強度や溶接部の靱性を向上するが、多すぎると耐食性の低下を引き起こすため、上限を0.2%とした。なお、Mnの好ましい範囲は0.05〜0.15%である。
P,Sは不可避的不純物であるが、熱間加工性や耐食性を低下させる元素であるため低い方が望ましい。このためPは0.03%以下、Sは0.01%以下とした。
なお、P、Sの好ましい範囲は各々0.010〜0.025%、0.001〜0.008%である。
Crは耐食性に最も効果の大きい元素であり、濃度が高いほど耐食性が向上するが、高すぎると加工性の低下や精錬時の脱酸が困難となるので、上限を20.0%とした。また低すぎると耐食性が低下するためその下限を16%とした。
なお、Crの好ましい範囲は18〜20%である。
MoもCr同様耐食性の効果の大きい元素であり、とくに不働態皮膜の修復作用が大きい。この効果は0.5%以上で得られるが、多すぎると加工性の低下や価格の高騰を引き起こすため、上限は2.0%とした。なお、Moの好ましい範囲は0.8〜1.5%である。
さらにCrとMoは前述(B)式の関係を満たすように調整することで、最適な耐すき間腐食性を有する最適組成を提示可能となる。
この(B)式の好ましい範囲は、22〜25である。
NbはCおよびNの安定化のため添加される。多いほどC,Nの安定化能は高いが、多すぎると強度が上がり加工性を低下させるため、上限を0.40%とした。またNbを添加せずTiのみを添加させた場合は表面疵が溶接部の強度低下を生じるため、Nbの下限値を0.05%とした。なお、Nbの好ましい範囲は0.10〜0.30%である。
TiもNbと同様にC,N安定化のため添加され、多いほど加工性が向上するが、多すぎるとTiを主体とした介在物が粗大となり、製造時に表面疵を生じやすくなる。加えて溶接部の強度を下げるために、Tiの上限を0.25%とした。またTiを添加せずにNbのみを添加した場合には、溶接部の延性が大幅に劣る。このためにはNbとTiを同時に添加する必要があるため、Tiの下限値を0.05%とした。なお、Tiの好ましい範囲は0.15〜0.22%である。
このようにNbとTiは双方がある組成比で共存することで特性の最適化が図られる。その最適範囲は前述(A)式に示したとおりである。
以上のように各々の化学組成を最適化することで、各環境に適合した耐すき間腐食性を示す燃料電池コージェネレーションシステム貯湯タンク用フェライト系ステンレス鋼が得られることを明らかにした。
選択元素について以下に説明する。
CuおよびNiはCr,Moに加えて添加することにより、耐孔食性や耐すき間腐食性を向上させることができる。ただしCuおよびNiの添加は加工性を低下させるほか、応力腐食割れの懸念が生じるため、上限をCuは1.0%、Niは2.0%とする。より好ましい範囲は、Cuが0.05〜0.40%、Niは0.1〜1.0%とする。
VはCr,Moに加えて添加することによりフェライト系ステンレス鋼の弱点である耐銹性や耐すき間腐食性が改善され,適切な組合せによりSUS304と同等以上の耐食性が得られるだけでなく,Cr,Moの使用を最小限にしてVを添加すれば伸びや平均r値の低下も小さく,耐食性と合わせて優れた加工性を確保することができる。Vの過度の添加はやはり加工性を低下させる上,耐食性向上効果も飽和するため,Vの上限を0.2%とする。Vの好ましい範囲は0.05〜0.15%である。
Zrは不動態皮膜の強化や介在物の組成制御を通じて,耐銹性や耐すき間腐食性の改善に効果を発揮する。しかし,過度の添加は,伸びの低下をもたらすとともに,製造工程で鋳造が困難になったりするため,Zrの添加量は,0.2%以下とする。Zrの好ましい範囲は0.05〜0.15%である。
Bは高純度フェライト系ステンレス鋼の二次加工脆性改善に有効な粒界強化元素であり,このような効果を得るために0.0002%以上添加する。しかし,過度の添加はフェライトを固溶強化して延性低下の原因になるので,上限を0.005%とする。好ましい範囲は0.0005〜0.0020%である。
以上の元素に加えて本発明では,耐食性のさらなる向上や加工性,表面特性の改善を意図して,Sn,Mg、Alのうち1種または2種以上を目的に応じて適宜添加してもよい。
本発明の実施例を以下に記す
表1に示す化学組成の鋼を実験室の真空溶解炉で溶製しインゴットとした。これを実験室で熱間圧延、熱延板焼鈍・酸洗、冷延、冷延板焼鈍・酸洗を実施し、1.0mmの冷延板を作製した。なお冷延板焼鈍の温度は、各々の鋼材の再結晶温度に基づき820〜1050℃の間で調整した。冷延板の表面は引き続き実施した酸洗は、アルカリソルト浴への浸漬と硝酸電解処理とした。
この冷延板から20mm×50mmおよび20mm×20mmの矩形の板を切断し、2枚を重ね合わせてその中央部をスポット溶接してすき間腐食試験片とした。スポット溶接条件はスポット径8mm、電流値は約3.8kAとした。
腐食試験は、600ppmCl−と20ppm Cu2+を含む水溶液を用い、試験片のすき間部に試験液を十分浸透させてから試験片を浸漬したまま336時間放置し、取り出した後のすき間腐食の有無で評価した。試験温度は70℃とした。
結果を図1に示す。これより、この温度ではCr+3.3Moが21.5以上でかつTi/(Nb+Ti)が0.2以上0.8以下の領域ですき間腐食が生じなかったことを確認した。一方、Cr+3.3Moが21.5より低い場合は明瞭なすき間腐食を生じていた。なお、Cr+3.3Moが22.2以上でも、Ti/(Nb+Ti)が0の場合もすき間腐食が確認され、その基点からは介在物が観察された。
また、Ti/(Nb+Ti)が1の場合は、圧延で生じた表面疵が多く発生し外観上問題となるだけでなく、一部にはこの疵部を起点とした腐食が発生する場合も見られた。
またCr+3.3Moが26超ではTi/(Nb+Ti)が0.2以上0.8以下であっても、伸び30%に満たず加工性が不十分であった。さらに、Cr+3.3Moが規定範囲内でもその値が大きく、かつTi/(Nb+Ti)が0の場合には、Nbが強度を高めてしまうため加工性が低下した。
以上より試験温度が70℃においては、Cr+3.3Moが21.5以上26以下で、かつTi/(Nb+Ti)が0.2以上0.8以下の場合にすき間腐食が抑制可能で、かつ十分な加工性を有するあることが分かった。
CrやMoを多量に添加すれば耐食性が向上することは一般に知られた事実である。しかし耐食性に必要な組成以上を添加することは、鋼材の価格高騰や、加工性の低下を引き起こす。この問題に対して、本発明は使用する環境に応じた最適な組成を提示することが可能であることを明らかにしたものである。
本発明のフェライト系ステンレス鋼は、65〜70℃の低温の給湯温度において適正な加工性、溶接性、耐すき間腐食性を有するため、広く貯湯タンク用フェライト系ステンレス鋼を提供することができ、燃料電池コージェネレーション給湯システムや電気温水器等の貯湯温度に適した貯湯タンク材料として、優れた加工性や溶接性を有しつつ、価格変動の大きいMoを可能な限り低減することで、原料の省資源化や価格変動差の小さいフェライト系ステンレス鋼を提供することが可能となる。
また、これ以外にも優れた耐すき間腐食性や加工性を生かして、常温の貯水タンクや家庭用厨房機器、シンク等へも応用が可能となるなど、将来にわたり適用範囲が広がることが期待される。
Figure 2007270226
なお、表1におけるアンダーライン部は、本発明の範囲外であることを示す。
本発明における耐すき間腐食性におよぼす各組成の関係を表した図である。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.010%以下、
    N:0.010%以下、
    Si:0.25%以下、
    Mn:0.2%以下、
    P:0.03%以下、
    S:0.01%以下、
    Cr:16.0〜20.0%、
    Mo:0.5〜2.0%未満、
    Ti:0.05〜0.25%、
    Nb:0.05〜0.40%、を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、下記 (A)式および(B)式を満足することを特徴とする、加工性、溶接性、耐すき間腐食性に優 れた貯湯タンク用フェライト系ステンレス鋼。
    ここに、
    (Ti+Nb)/(C+N)≧20 かつ 0.2≦Ti/(Nb+Ti)≦0.8
    ・・・・(A)
    21.5 ≦(Cr+3.3Mo)≦ 26 ・・・・(B)
  2. さらに、質量%で、
    Ni:2.0%以下、
    Cu:1.0%以下、を含有することを特徴とする、請求項1に記載の、加工性、溶接性、耐すき間腐食性に優れた貯湯タンク用フェライト系ステンレス鋼。
  3. さらに、質量%で、
    V:0.2%以下、
    Zr:0.2%以下、を含有することを特徴とする、請求項1に記載の、加工性、溶接性、耐すき間腐食性に優れた貯湯タンク用フェライト系ステンレス鋼。
  4. さらに、質量%で、
    B:0.005%以下を含有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の、加工性、溶接性、耐すき間腐食性に優れた貯湯タンク用フェライト系ステンレス鋼。
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