JP2007269915A - ポリ乳酸系樹脂組成物及びその製造方法、並びに成形品 - Google Patents

ポリ乳酸系樹脂組成物及びその製造方法、並びに成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のポリ乳酸系樹脂組成物と比べて、優れた耐熱性を維持すると共に、耐衝撃性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物及びその製造方法、並びに成形品を提供する。
【解決手段】本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、(A)ポリ乳酸系重合体100質量部に対して、(B)アクリル系ゴム、シリコーン−アクリル複合ゴム又はジエン系ゴムに、不飽和酸、不飽和酸無水物、マレイミド系単量体、エポキシ基含有不飽和化合物、不飽和カルボン酸アミド、アミノ基含有不飽和化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、及びオキサゾリン基含有不飽和化合物から選ばれる少なくとも1種のビニル系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合ゴム5〜50質量部、及び(C)トリイソシアネート0.1〜20質量部を含む原料組成物を調製し、該原料組成物を押出機にて180〜200℃で加熱して混練することにより得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸系樹脂組成物及びその製造方法、並びに該ポリ乳酸系樹脂組成物からなる成形品に関する。
今日、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、及び塩化ビニル等のプラスチック製品が使用されている。これらのプラスチック製品は、化学的安定性が極めて高く、耐久性があり、軽量であり、優れた強度を有する。よって、上記プラスチック製品は、様々な分野で広く使用されている。
しかし、上記プラスチック製品は、化学的安定性が極めて高く、微生物等による分解が殆ど起こらない。よって、上記プラスチック製品を環境中に廃棄すると、環境中で半永久的に残存するおそれがある。その結果、景観を損なう等の問題が生じるおそれがある。また、従来より、上記プラスチック製品は、焼却により処分されている。しかし、例えば、ポリエチレン等は、燃焼カロリーが高いため、ポリエチレン等を焼却処分すると、焼却炉を傷めることがある。更に、ポリ塩化ビニル等を焼却処分すると、有害ガスが発生するおそれがある。更に、従来のプラスチック製品は、石油を原料として製造される。石油は化石資源であり、その埋蔵量にも限界がある。従って、プラスチック製品の価格及び供給は、石油の価格及び埋蔵量により左右されるおそれがある。
この状況から、現在、石油以外の原料から得ることができ、自然環境下で分解する樹脂の開発が進められている。この条件を満たす樹脂として、現在、天然物由来の生分解性樹脂が注目されている。生分解性樹脂は、自然環境下で加水分解や生分解により、徐々に分解が進行し、最終的に無害な分解物となることが知られている。上記生分解性樹脂の具体例として、例えば、微生物が産生する生分解性樹脂(ポリヒドロキシブチレート等)、化学合成により得られる生分解性樹脂(ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、及びポリエチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール並びにポリアミノ酸等)、及び天然物由来の生分解性樹脂(キトサン、デンプン、酢酸セルロース等)等が挙げられる。
上記生分解性樹脂の中でも特に、ポリ乳酸が注目されている。ポリ乳酸は、トウモロコシ及び砂糖キビ等の植物等から合成される乳酸を原料として合成することができる。ポリ乳酸は、融点が高く、強靭である。また、ポリ乳酸は、他の生分解性樹脂と比べて、耐熱性に優れている。よって、ポリ乳酸は、石油資源を使用しない植物由来の樹脂として、石油由来の樹脂が使用されていた用途へ利用されている。更に、ポリ乳酸は、他の生分解性樹脂と比べて、透明性を有するという特徴がある。よって、ポリ乳酸は、透明性を生かしてフィルム及び各種シートにも使用されている。
しかし、ポリ乳酸は、他の生分解性樹脂と比べて、機械的な伸びや柔軟性に劣り、耐衝撃性が低いという問題点がある。よって、ポリ乳酸は、耐衝撃性が必要とされる用途への使用が困難である。
そこで従来より、ポリ乳酸の耐衝撃性の改善が試みられている。そして、ポリ乳酸の耐衝撃性を改善するために、ポリ乳酸に他の成分を添加したポリ乳酸系樹脂組成物が知られている(下記特許文献1〜12)。例えば、下記特許文献1には、ポリ乳酸と、ゴム質重合体にビニル系単量体をグラフト重合して得られたグラフト共重合体とを含むポリ乳酸系樹脂組成物が開示されている。また、下記特許文献2には、ポリ乳酸と、メチルメタクリレート単量体単位を有する芳香族アルケニルを含有する重合体(AS樹脂等)とを含むポリ乳酸系樹脂組成物が開示されている。更に、下記特許文献3には、ポリ乳酸と、ポリ乳酸以外の生分解性ポリマーとがブレンドされているポリ乳酸系樹脂組成物において、多官能イソシアネート化合物及び多価フェノール化合物の少なくとも一方が添加されているポリ乳酸系樹脂組成物が記載されている。
特開2004−285258号公報 特開2005−344075号公報 特開2004−346241号公報 特開2005−320409号公報 特開2004−269720号公報 特開2002−37987号公報 特開2002−37995号公報 特開2005−232230号公報 特開2005−232229号公報 特開2004−143315号公報 特開2005−232225号公報 特開2003−183488号公報
上記のように、樹脂は様々な分野、用途で使用されている。その中には、更に高い耐衝撃性が要求される分野、用途(例えば、土木建築資材、自動車部品、OA機器、及び家電機器等)もある。このような分野、用途に用いるために、生分解性樹脂は、更に耐衝撃性に優れていることが必要である。そこで、従来のポリ乳酸系樹脂組成物と比べて、耐熱性等の優れた性質を維持しつつ、更に耐衝撃性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物の開発が望まれている。また、ポリ乳酸系樹脂組成物が透明である場合、透明性を損なわずに耐衝撃性が改善されることが望まれている。
本発明は、従来のポリ乳酸系樹脂組成物と比べて、耐熱性等の優れた性質を維持しつつ、更に耐衝撃性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、上記の優れた性質を有するポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、耐衝撃性等に優れたポリ乳酸系樹脂組成物を用いて成形された成形品を提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
〔1〕(A)ポリ乳酸系重合体、(B)グラフト共重合ゴム、及び(C)イソシアネート化合物を含有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
〔2〕(A)ポリ乳酸系重合体、(B)グラフト共重合ゴム、及び(C)イソシアネート化合物を含む原料組成物を加熱混練することにより得られることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
〔3〕上記(B)グラフト共重合ゴムが、アクリル系ゴム、シリコーン−アクリル複合ゴム又はジエン系ゴムに、ビニル系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合ゴムである上記〔1〕又は〔2〕記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
〔4〕JIS K7110に準じてノッチ付試験片を用いて測定したアイゾット衝撃強度が、28kJ/m以上である上記〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
〔5〕上記〔1〕乃至〔4〕のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物を用いて成形されたことを特徴とする成形品。
〔6〕(A)ポリ乳酸系重合体、(B)グラフト共重合ゴム、及び(C)イソシアネート化合物を含む原料組成物を加熱して混練することを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
〔7〕上記加熱の温度は、上記原料組成物が溶融若しくは軟化する温度以上である上記〔6〕記載のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
〔8〕上記(B)グラフト共重合ゴムが、アクリル系ゴム、シリコーン−アクリル複合ゴム又はジエン系ゴムに、ビニル系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体である上記〔6〕又は〔7〕記載のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、上記構成を有することにより、従来のポリ乳酸系樹脂組成物と比べて、優れた耐熱性を維持すると共に、優れた耐衝撃性を有する。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物において、上記(B)グラフト共重合ゴムを特定のグラフト共重合ゴムとすると、従来のポリ乳酸系樹脂組成物と比べて、優れた耐熱性を維持すると共に、更に耐衝撃性を向上させることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物において、JIS K7110に準じてノッチ付試験片を用いて測定したアイゾット衝撃強度が28kJ/m以上であると、更に優れた耐衝撃性を有する。
本発明の成形品は、従来のポリ乳酸系樹脂組成物と比べて、優れた耐熱性を維持すると共に、優れた耐衝撃性を有する。そのため、本発明の成形品は、様々な用途に用いることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法によれば、従来のポリ乳酸系樹脂組成物と比べて、優れた耐熱性を維持すると共に、優れた耐衝撃性を有するポリ乳酸系樹脂組成物を得ることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法において、上記加熱の温度が上記範囲であると、上記の優れた性質を有するポリ乳酸系樹脂組成物を容易に得ることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法において、上記(B)グラフト共重合ゴムを特定のグラフト共重合ゴムとすると、従来のポリ乳酸系樹脂組成物と比べて、優れた耐熱性を維持すると共に、更に耐衝撃性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物を得ることができる。
本発明の第1のポリ乳酸系樹脂組成物は、(A)ポリ乳酸系重合体、(B)グラフト共重合ゴム、及び(C)イソシアネート化合物を含有することを特徴とする。また、本発明の第2のポリ乳酸系樹脂組成物は、(A)ポリ乳酸系重合体、(B)グラフト共重合ゴム、及び(C)イソシアネート化合物を含む原料組成物を加熱混練することにより得られることを特徴とする。
上記(A)ポリ乳酸系重合体は、単量体単位として乳酸単位又は乳酸単位及び他の単量体単位を含む重合体である。即ち、上記(A)ポリ乳酸系重合体は、ポリ乳酸及び乳酸共重合体のいずれも用いることができる。上記(A)ポリ乳酸系重合体は、ポリ乳酸及び乳酸共重合体のいずれか一方のみを用いてもよく、両方とも用いてもよい。更に、上記(A)ポリ乳酸系重合体は、重量平均分子量等が異なる2種以上のポリ乳酸を用いてもよい。また、上記(A)ポリ乳酸系重合体は、重量平均分子量、他の単量体の種類及び構造、並びに乳酸単位の割合等が異なる2種以上の乳酸共重合体を用いてもよい。
ポリ乳酸系重合体には、結晶性及び非結晶性の両者が存在する。上記(A)ポリ乳酸系重合体は、結晶性及び非結晶性のいずれも用いることができる。例えば、上記(A)ポリ乳酸系重合体として、結晶性ポリ乳酸系重合体及び非結晶性ポリ乳酸系重合体のいずれか一方のみを用いてもよい。また、上記(A)ポリ乳酸系重合体として、結晶性ポリ乳酸系重合体及び非結晶性ポリ乳酸系重合体の両方を用いてもよい。
上記(A)ポリ乳酸系重合体の重量平均分子量には特に限定はない。本発明では、必要に応じて様々な重量平均分子量のポリ乳酸系重合体を用いることができる。上記(A)ポリ乳酸系重合体の重量平均分子量は、通常5万〜50万、更に好ましくは8万〜30万、より好ましくは10万〜25万である。この重量平均分子量の範囲は、結晶性のポリ乳酸系重合体及び非結晶性のポリ乳酸系重合体のいずれにも妥当する。上記(A)ポリ乳酸系重合体の重量平均分子量が上記範囲であると、ポリ乳酸系樹脂組成物の耐衝撃性及び加工性を高めることができるので好ましい。
上記(A)ポリ乳酸系重合体中の上記乳酸単位の割合は、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の生分解性、透明性、及び耐衝撃性等の機械特性に影響を与える。上記乳酸単位の割合は、ポリ乳酸系樹脂組成物に要求される性質に応じて適宜調節することができる。上記(A)ポリ乳酸系重合体中の上記乳酸単位の割合は、通常は40〜100モル%、好ましくは50〜100モル%、更に好ましくは60〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%である。尚、上記(A)ポリ乳酸系重合体が共重合体の場合、上記乳酸単位の割合の上限は通常99モル%、好ましくは95モル%、更に好ましくは90モル%である。
上記(A)ポリ乳酸系重合体を得る方法には特に限定はない。上記(A)ポリ乳酸系重合体を得る方法としては、例えば、環状ジエステルであるラクチド(低分子量ポリ乳酸)の開環重合、及び乳酸からの直接脱水縮合重合等が挙げられる。これらの重合において、必要に応じて上記他の単量体を加えることにより、乳酸単位及び他の単量体単位を含むポリ乳酸系重合体を得ることができる。
上記乳酸は、例えば、トウモロコシ、砂糖大根、及び砂糖キビ等の植物並びに古米から得ることができる。また、上記乳酸は、生ゴミ等から乳酸発酵法により得ることができる。上記乳酸は、L−乳酸及びD−乳酸のいずれか一方でもよく、両方でもよい。例えば、直接脱水縮合により重合を行なう場合、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸、又はこれらの混合物のいずれの乳酸を用いてもよい。上記乳酸単位に含まれるL−乳酸単位及びD−乳酸単位の構成モル比L/Dは、通常100/0〜0/100、好ましくは100/0〜60/40、更に好ましくは100/0〜80/20である。
上記ラクチドは通常、低分子量ポリ乳酸を解重合することにより合成することができる。上記ラクチドとして、L−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド、メソ−ラクチド又はこれらの混合物のいずれを用いてもよい。
上記他の単量体は、乳酸又はラクチドと共重合可能な単量体であれば、その種類及び構造に特に限定はない。上記他の単量体としては、例えば、2個以上のエステル結合形成性の官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、及びラクトン、並びにこれらの誘導体(エステル等)等が挙げられる。上記他の単量体は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、及びフマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、並びにテレフタル酸及びイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等の1種又は2種以上が挙げられる。
上記多価アルコールとしては、例えば、脂肪族多価アルコール、エーテルグリコール、及び芳香族多価アルコール等の1種又は2種以上が挙げられる。上記脂肪族多価アルコールとしてより具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、及びソルビタン等の1種又は2種以上が挙げられる。また、上記エーテルグリコールとしてより具体的には、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール等の1種又は2種以上が挙げられる。
上記ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、及び6−ヒドロキシカプロン酸等の1種又は2種以上が挙げられる。
上記ラクトンとしては、例えば、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−又はγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、及びδ−バレロラクトン等の1種又は2種以上が挙げられる。
上記(B)グラフト共重合ゴムは、ゴム状弾性体にビニル系単量体をグラフト重合して得られる共重合ゴムである。該グラフト共重合ゴムは通常、ゴム状弾性体粒子がコアとなり、その外部表面にビニル系単量体が重合して形成されるグラフト層を有するコア−シェル構造である。尚、上記グラフト共重合ゴムは、ゴム状弾性体にビニル系単量体をグラフト重合して得られる共重合ゴムであればよく、必ずしもコア−シェル構造を有する共重合体に限定されない。また、上記コア−シェル構造において、上記グラフト層は、上記コアの全表面に形成されていてもよく、上記コアの表面の一部のみに形成されていてもよい。
上記ゴム状弾性体としては、例えば、アクリル系ゴム及びジエン系ゴム等が挙げられる。上記ゴム状弾性体としては、その他に熱可塑性エラストマー(塩素化ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等)を用いることができる。上記ゴム状弾性体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。更に、上記ゴム状弾性体は、硫黄等の硫化物又は過酸化物(有機過酸化物等)等により架橋されたゴム状弾性体でもよい。
上記アクリル系ゴムは、アクリル酸若しくはそのエステルの重合、又はそれを主体とする共重合により得ることができるゴム状弾性体である。上記アクリル系ゴムは、単量体単位として(メタ)アクリル酸又はそのエステル単位を含む。上記アクリル系ゴムは、通常、単量体である(メタ)アクリル酸又はそのエステルを重合して得ることができる。また、上記アクリル系ゴムは、(メタ)アクリル酸又はそのエステル単位以外の他の単量体単位を有するアクリル系共重合体でもよい。該アクリル系共重合体は、通常、(メタ)アクリル酸又はそのエステルと、これと共重合可能な他の単量体とを共重合することにより得ることができる。尚、上記「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸を意味する。
上記(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば、アルキル基の炭素数が1〜12、好ましくは炭素数1〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることができる。上記アルキル基は鎖状(直鎖状又は分岐状)でもよく、環状でもよい。上記(メタ)アクリル酸エステルとして具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記(メタ)アクリル酸又はそのエステルと共重合可能な他の単量体としては、例えば、ビニル系単量体及び共役ジオレフィン単量体等が挙げられる。上記ビニル系単量体としては、例えば、多官能性ビニル単量体、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、メタクリルアミド単量体、ビニルエーテル単量体、及びビニルエステル等が挙げられる。また、上記共役ジオレフィン単量体としては、例えば、ブタジエン及びイソプレン等が挙げられる。尚、上記「多官能性ビニル単量体」とは、単量体一分子中に2個以上のビニル基を有する単量体をいう。上記多官能性ビニル単量体として具体的には、例えば、ジビニルベンゼン及びジビニルトルエン等の多官能性芳香族ビニル単量体、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート及びトリメチロールプロパントリアクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、並びにメタクリル酸アリル等が挙げられる。上記他の単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記芳香族ビニル単量体として具体的には、例えば、スチレン及び核アルキル置換スチレン(p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、及び2,4−ジメチルスチレン等)、α−アルキル置換スチレン(α−メチルスチレン及びα−メチル−p−メチルスチレン等)、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、フルオロスチレン、エチルスチレン、及びビニルナフタレン等が挙げられる。上記芳香族ビニル単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記シアン化ビニル単量体として具体的には、例えば、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等が挙げられる。上記シアン化ビニル単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アクリル系ゴムを構成する上記(メタ)アクリル酸又はそのエステル単位の割合には特に限定はない。通常、全単量体単位を100質量%とした場合、上記(メタ)アクリル酸又はそのエステル単位の割合は30〜100質量%である。上記割合の下限は40質量%、好ましくは50質量%、更に好ましくは70質量%、より好ましくは85質量%とすることができる。また、上記割合の上限は99.5質量%、好ましくは99質量%、更に好ましくは95質量%、より好ましくは90質量%とすることができる。
上記アクリル系ゴムとして具体的には、例えば、アルキル(メタ)アクリレートと2−クロロエチルビニルエーテルとの共重合ゴム、アルキル(メタ)アクリレートとアクリロニトリルとの共重合ゴム、アルキル(メタ)アクリレートとエチレンとの共重合ゴム、及びエチレン−酢酸ビニル−アルキル(メタ)アクリレート共重合ゴム等が挙げられる。
上記ジエン系ゴムは、共役ジオレフィン単量体の重合、又はそれを主体とする共重合により得ることができるゴム状弾性体である。上記ジエン系ゴムは、単量体単位として共役ジオレフィン単量体単位を含む。また、上記ジエン系ゴムは、共役ジオレフィン単量体単位以外の他の単量体単位を有するジエン系共重合体でもよい。該ジエン系共重合体は、通常、共役ジオレフィン単量体と、これと共重合可能な他の単量体とを共重合することにより得ることができる。上記ジエン系ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記共役ジオレフィン単量体としては、例えば、ブタジエン及びイソプレン等が挙げられる。また、上記共役ジオレフィン単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、既に説明した多官能性ビニル単量体、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、メタクリルアミド単量体、ビニルエーテル単量体、及びビニルエステル等のビニル系単量体等が挙げられる。上記ジエン系単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記他の単量体も、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ジエン系ゴムを構成する上記共役ジオレフィン単量体単位の割合には特に限定はない。通常、全単量体単位を100質量%とした場合、上記共役ジオレフィン単量体単位の割合は30〜100質量%である。上記割合の下限は40質量%、好ましくは50質量%、更に好ましくは70質量%、より好ましくは85質量%とすることができる。また、上記割合の上限は99.5質量%、好ましくは99質量%、更に好ましくは95質量%、より好ましくは90質量%とすることができる。
上記ジエン系ゴムとして具体的には、例えば、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエンゴム、及び(メタ)アクリレート−スチレン−ブタジエンゴム等が挙げられる。
また、上記ゴム状弾性体は、複合ゴムでもよい。該「複合ゴム」とは、2以上のゴム状弾性体が、交互に絡み合って複合一体化されている構造を有する。即ち、上記複合ゴムにおいて、2以上のゴム状弾性体は、全体又は部分的に、ミクロレベルで絡みあった状態又は化学的に結合を有した状態で存在する。上記「複合ゴム」は、完全な均一状態でもよく、サブミクロン又はナノオーダーで各々独立したドメインを形成していてもよい。上記複合ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記複合ゴムとしては、例えば、アクリル系ゴムとの複合ゴム等が挙げられる。該アクリル系ゴムとしては、例えば、シリコーン系ゴムとアクリル系ゴムとの複合ゴムであるシリコーン−アクリル複合ゴム(ポリオルガノシロキサン−アクリル複合ゴム)等が挙げられる。
上記ビニル系単量体は、上記ゴム状弾性体とグラフト重合することができる限り、その種類及び構造に特に限定はない。上記ビニル系単量体としては、例えば、上記(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル単量体、多官能性芳香族ビニル単量体、及びシアン化ビニル単量体に加え、不飽和酸、不飽和酸無水物、マレイミド系単量体、エポキシ基含有不飽和化合物、不飽和カルボン酸アミド、アミノ基含有不飽和化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、及びオキサゾリン基含有不飽和化合物等の少なくとも1種が挙げられる。上記ビニル系単量体は、その重合体がイソシアネートと反応するビニル系単量体が好ましい。上記ビニル系単量体として好ましくは、不飽和酸、不飽和酸無水物、マレイミド系単量体、エポキシ基含有不飽和化合物、不飽和カルボン酸アミド、アミノ基含有不飽和化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、及びオキサゾリン基含有不飽和化合物の少なくとも1種である。上記ビニル系単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記不飽和酸としては、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸等が挙げられる。また、上記不飽和酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、及び無水シトラコン酸等が挙げられる。
上記マレイミド系単量体としては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜4のN−アルキルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、及びN−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。上記マレイミド系単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。尚、マレイミド系単量体単位を含有する上記グラフト共重合体を形成する方法としては、上記マレイミド系単量体を用いる以外に、例えば、無水マレイン酸を共重合させ、その後、イミド化によりマレイミド系単量体単位を導入することができる。
上記エポキシ基含有不飽和化合物としては、例えば、グリシジルメタクリレート及びアリルグリシジルエーテル等が挙げられる。また、上記不飽和カルボン酸アミドとしては、アクリルアミド及びメタクリルアミド等が挙げられる。更に、上記アミノ基含有不飽和化合物としては、アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノエーテル、メタクリル酸アミノプロピル、及びアミノスチレン等が挙げられる。
上記ヒドロキシル基含有不飽和化合物としては、例えば、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシスチレン等が挙げられる。
上記グラフト重合では、上記ビニル単量体と、該ビニル単量体と共重合可能な他の単量体とを併用してもよい。
上記グラフト共重合体のグラフト率、即ち、上記ゴム状弾性体にグラフト重合した上記ビニル系単量体の割合には限定がなく、必要に応じて適宜調整することができる。上記グラフト率は、グラフト重合の際の重合開始剤、乳化剤、分子量調節剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度等を適宜調節することにより容易に制御することができる。
本発明では、上記(B)グラフト共重合ゴムとして、アクリル系ゴム、シリコーン−アクリル複合ゴム等のアクリル複合ゴム又はジエン系ゴムに、ビニル系単量体をグラフト重合することにより得られるグラフト共重合ゴムが好ましく用いられる。特に、上記(B)グラフト共重合ゴムとして、アクリル系ゴム又はシリコーン−アクリル複合ゴム等のアクリル複合ゴムに、ビニル系単量体を用いると、従来のポリ乳酸系樹脂組成物と比べて、優れた耐熱性及び耐衝撃性を有すると共に、透明性が維持されたポリ乳酸系樹脂組成物とすることができるので好ましい。尚、上記ビニル系単量体として好ましくは、不飽和酸、不飽和酸無水物、マレイミド系単量体、エポキシ基含有不飽和化合物、不飽和カルボン酸アミド、アミノ基含有不飽和化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、及びオキサゾリン基含有不飽和化合物から選ばれる少なくとも1種である。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物において、上記(B)グラフト共重合ゴムの割合には特に限定はない。例えば、上記(B)グラフト共重合ゴムの割合は、上記(A)ポリ乳酸系重合体100質量部に対して通常5〜50質量部、好ましくは5〜40質量部、更に好ましくは10〜30質量部とすることができる。
上記(B)グラフト共重合ゴムの製造方法には特に限定はない。上記(B)グラフト共重合ゴムの製造方法としては、例えば、公知の乳化重合法(好ましくは水を媒体とした乳化重合法)、乳化−懸濁重合法、乳化−塊状重合法、乳化−溶液重合法、及び微小懸濁重合法等が挙げられる。また、グラフト重合は、1段でもよく、2段以上でもよい。
乳化−懸濁重合法によって上記(B)グラフト共重合ゴムを製造する際には、必要に応じて、グラフト重合において使用されている公知の懸濁剤を使用することができる。
上記乳化重合法は、単量体成分を全量一括仕込みで重合してもよく、単量体成分の一部を重合した後、その残りを連続的又は断続的に添加して重合してもよい。上記重合開始剤等の添加方法としては、全量一括仕込みする方法、一部を添加した後、その残りを連続的又は断続的に添加する方法、及び重合の初めから連続的に添加する方法等が挙げられる。また、乳化重合法によって上記(B)グラフト共重合ゴムを製造する際には、必要に応じ、重合開始剤、乳化剤、分子量調節剤、及び電解質等を使用することができる。
上記重合開始剤としては、水溶性重合開始剤(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸アンモニウム等)及び油溶性重合開始剤(例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等)、並びにこれらと含糖ピロリン酸処方又はスルホキシレート処方等の還元剤を組み合わせたレドックス系の開始剤等が挙げられる。上記重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記乳化剤としては、例えば、不均化ロジン酸、オレイン酸、ラウリル酸、及びステアリン酸等の高級脂肪酸のアルカリ金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸アルカリ金属塩、アルケニルコハク酸等の二塩基酸アルカリ金属塩等のアニオン界面活性剤、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、及びアルキルフェニルエーテル型等のノニオン界面活性剤、並びにアニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、又はリン酸エステル塩を、カチオン部分としてアミン塩又は第四級アンモニウム塩を有する両性界面活性剤(ラウリルベタイン及びステアリルベタイン等のベタイン類、並びにラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、及びオクチジル(アミノエチル)グリシン等のアミノタイプ等)等が挙げられる。更に、上記乳化剤として、反応性乳化剤を用いることもでき、例えば、上記反応性乳化剤として、ビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、アリル基、アリルエーテル基、及びプロペニル基等の高い反応性を示す重合性不飽和結合を有する乳化剤等が挙げられる。上記乳化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記分子量調節剤としては、例えば、クロロホルム及び四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、及びチオグリコール酸等のメルカプタン類、ジメチルキサントゲンジサルファイド及びジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン類、ターピノーレン、並びにα−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。上記分子量調節剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記電解質としては、例えば、硫酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、及びリン酸カリウム等が挙げられる。上記電解質は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記複合ゴムの製造方法は、例えば、予めゴム状弾性体ラテックスを調製し、次いで、他のゴム状弾性体を構成する単量体を該ラテックスに含浸させ、その後、該単量体を重合する方法等が挙げられる。より具体的には、ポリオルガノシロキサン−アクリル複合ゴムの場合、例えば、乳化重合等により、ポリオルガノシロキサンゴムラテックスを調製し、次いで、アクリル系ゴムを構成する(メタ)アクリレート等の単量体をポリオルガノシロキサンゴムラテックスのゴム粒子に含浸させ、その後、上記(メタ)アクリレート等の単量体を重合させて得ることができる。
上記(C)イソシアネート化合物は、イソシアネート基を有する化合物であれば、その種類及び構造に特に限定はない。上記(C)イソシアネート化合物として好ましくは、イソシアネート基を2以上又は3以上有する多官能イソシアネート(ジイソシアネート、トリイシソアネート等)である。上記(C)イソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族イソシアネート類、脂環族イソシアネート類、及び芳香族イソシアネート類等が挙げられる。上記(C)イソシアネート化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
上記脂肪族イソシアネート類として具体的には、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートヘキサン酸メチルエステル、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート、3−イソシアネートプロピル−2,6−ジイソシアネートカプロエート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
上記脂環族イソシアネート類として具体的には、例えば、イソホロンジイソシアネート及びビシクロヘプタントリイソシアネート等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
上記芳香族イソシアネート類として具体的には、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合イソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンイソシアネート、水素化ジェフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、及びトリジンジイソシアネート等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
上記(C)イソシアネート化合物としてその他に、トリメチロールプロパンとトルイレンジイソシアネートとのアダクト体、トリメチロールプロパンと1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体、等のトリイソシアネート類を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物において、上記(C)イソシアネート化合物の割合に特に限定はない。例えば、上記(C)イソシアネート化合物の割合は、上記(A)ポリ乳酸系重合体100質量部に対して通常0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部、更に好ましくは0.3〜8質量部、より好ましくは0.5〜4質量部とすることができる。また、上記(C)イソシアネート化合物の割合は、上記(B)グラフト共重合ゴム100質量部に対して0.5〜50質量部、好ましくは1〜40質量部、更に好ましくは1〜30質量部、より好ましくは2〜20質量部とすることができる。更に、上記(C)イソシアネート化合物の割合は、上記(A)ポリ乳酸系重合体及び上記(B)グラフト共重合ゴムの合計100質量部に対して通常0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜8質量部、更に好ましくは0.3〜5質量部、より好ましくは0.5〜2質量部とすることができる。
更に、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物において、上記(B)グラフト共重合ゴム及び上記(C)イソシアネート化合物の割合の合計についても特に限定はない。本発明のポリ乳酸系樹脂組成物における上記(B)グラフト共重合ゴム及び上記(C)イソシアネート化合物の割合の合計は、通常、上記(A)ポリ乳酸系重合体100質量部に対して5.1〜60質量部、好ましくは8〜50質量部、更に好ましくは10〜40質量部、より好ましくは15〜30質量部とすることができる。
上記特許文献3には、イソシアネート化合物中のイソシアネート基と、ポリ乳酸の末端水酸基又はカルボン酸基と反応して架橋を形成することにより、生分解性樹脂組成物の耐衝撃性を向上させることができる旨が記載されている。しかしながら、上記特許文献3の実施例及び比較例(表1)を対比すると、イソシアネート化合物を添加した実施例のシャルピー衝撃値の殆どは、イソシアネート化合物を含まない比較例の2倍未満である。また、イソシアネート化合物を添加した実施例のシャルピー衝撃値は、ポリ乳酸(表1の比較例8及び9)を比べても、3〜8倍程度に過ぎない。これに対して、後述のように、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、これをはるかに上回る耐衝撃性の向上が認められる。従って、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の作用効果は、必ずしも上記特許文献3に記載されている上記(C)イソシアネート化合物の架橋反応のみにより説明できるものではないと考えられる。尚、本説明は何ら本発明を定義付ける記載ではない。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物において、上記(C)イソシアネート化合物の存在形態に特に限定はない。本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、上記(A)ポリ乳酸系重合体及び上記(B)グラフト共重合ゴムを含み、更に上記(C)イソシアネート化合物が添加されているポリ乳酸系樹脂組成物をも含む。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を得る方法には特に限定はない。本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、通常、(A)ポリ乳酸系重合体、(B)グラフト共重合ゴム、及び(C)イソシアネート化合物を含む原料組成物を加熱混合することにより得られる。この点については後で詳細に述べる。
上記のように、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、従来のポリ乳酸系樹脂組成物と比べて、優れた耐熱性を維持すると共に、耐衝撃性に優れる。通常、上記(A)ポリ乳酸系重合体、(B)グラフト共重合ゴム、及び(C)イソシアネート化合物を含む本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、上記(A)ポリ乳酸系重合体及び(B)グラフト共重合ゴムを含み、上記(C)イソシアネート化合物を含まないポリ乳酸系樹脂組成物の2倍以上のアイゾット衝撃強度を有する。よって、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物として、上記(C)イソシアネート化合物を含まないポリ乳酸系樹脂組成物の2倍以上、好ましくは3倍以上、更に好ましくは4倍以上のアイゾット衝撃強度を有するポリ乳酸系樹脂組成物とすることができる。より具体的には、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物において、JIS K7110に準じてノッチ付試験片を用いて測定したアイゾット衝撃強度は28kJ/m以上、好ましくは35kJ/m以上、更に好ましくは40kJ/m以上、より好ましくは45kJ/m以上、特に好ましくは50kJ/m以上とすることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、その作用効果を著しく損なわない範囲で、他の成分を含んでいてもよい。該他の成分としては例えば、他の樹脂及び他の添加剤等が上げられる。上記他の樹脂としては、例えば、他の生分解性樹脂等が挙げられる。上記生分解性樹脂の具体例として、例えば、微生物が産生する生分解性樹脂(ポリヒドロキシブチレート等)、化学合成により得られる生分解性樹脂(ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、及びポリエチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール並びにポリアミノ酸等)、及び天然物由来の生分解性樹脂(キトサン、デンプン、酢酸セルロース等)等が挙げられる。尚、上記他の樹脂は、1種単独でもよく、2種以上併用してもよい。尚、上記他の樹脂を配合する場合、相溶化剤を併用してもよい。
また、上記他の添加剤としては、例えば、滑剤、結晶核剤、安定剤、難燃助剤、カップリング剤、抗菌剤、防カビ剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、耐候(耐光)剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料等)、帯電防止剤、発泡剤、シリコーンオイル、及び木粉等が挙げられる。上記他の添加剤は、1種単独でもよく、2種以上併用してもよい。更に、上記他の添加剤として、ガラス繊維、炭素繊維、ワラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ミルドファイバー、酸化亜鉛ウィスカー、及びチタン酸カリウムウィスカー等の充填材を、1種単独で又は2種以上併用することができる。これらの充填材を配合することで、剛性等を付与することができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、シート・フィルム成形、射出成形、シート押出、真空成形、異形成形、発泡成形、インジェクションプレス、プレス成形、及びブロー成形等の公知の成形方法により、各種成形品とすることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の用途には特に限定はない。上記のように、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、従来のポリ乳酸系樹脂組成物と比べて、優れた耐熱性を維持すると共に、耐衝撃性にも優れる。よって、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、例えば、包装資材、農業資材、土木建築資材、並びに玩具及び文房具等の日曜雑貨等に利用できる。特に、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、土木建築資材、自動車部品、OA機器、及び家電機器等の耐衝撃性が必要とされる用途に広く利用できる。更に、上記のように、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、透明性を維持することができる。よって、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、フィルム、各種シート及び包装資材等の透明性が必要とされる用途に広く利用できる。
(成形品)
本発明の成形品は、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を用いて成形されたことを特徴とする。本発明の成形品としては、例えば、包装資材、農業資材、土木建築資材、並びに玩具及び文房具等の日曜雑貨等が挙げられる。特に、本発明の成形品を構成する上記ポリ乳酸系樹脂組成物は、耐熱性及び耐衝撃性に優れている。よって、本発明の成形品は、自動車部品、OA機器及び家電機器等に用いられる耐衝撃性成形品に好適に利用できる。また、上記のように、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、透明性を維持することができる。よって、本発明の成形品は、フィルム、各種シート及び包装資材等に用いられる透明性成形品等に好適に利用できる。
本発明の成形品を得る方法には特に限定はない。本発明の成形品は、上記のように、公知の成形方法、例えば、シート・フィルム成形、射出成形、シート押出、真空成形、異形成形、発泡成形、インジェクションプレス、プレス成形、及びブロー成形等の公知の成形方法により得ることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を用いた成形品は、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物から直ちに成形して得ることができる。また、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を用いた成形品は、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を一旦ペレット化し、その後、必要に応じて該ペレットを溶融成形することにより得ることができる。上記ペレット化後に成形する方法によれば、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物に含まれる各成分をより均一に混合することができるので好ましい。
(ポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法)
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法は、(A)ポリ乳酸系重合体、(B)グラフト共重合ゴム、及び(C)イソシアネート化合物を含む原料組成物を加熱して混練することを特徴とする。
上記原料組成物は、(A)ポリ乳酸系重合体、(B)グラフト共重合ゴム、及び(C)イソシアネート化合物を含む。上記(A)ポリ乳酸系重合体、(B)グラフト共重合ゴム、及び(C)イソシアネート化合物は、上述の本発明のポリ乳酸系樹脂組成物における説明が適用される。また、上記原料組成物は、必要に応じて他の樹脂及び他の添加剤等の他の成分の1種及び2種以上を含有してもよい。上記他の樹脂及び上記他の添加剤の種類等についても、上述の本発明のポリ乳酸系樹脂組成物における説明が適用される。尚、上記原料組成物を構成する各成分は、そのまま用いてもよいが、必要に応じて真空乾燥等の乾燥により水分量を減少させる等の前処理を適宜行うことができる。
上記原料組成物の形態については特に限定はない。即ち、上記原料組成物は、単に上記(A)ポリ乳酸系重合体、上記(B)グラフト共重合ゴム、及び上記(C)イソシアネート化合物を混合した混合物でもよい。また、上記原料組成物は、本発明の製造方法その他の方法により得られた本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を含むペレットでもよい。
上記原料組成物は、通常、加熱混練する前に調製する。例えば、加熱混合前に予め上記(A)ポリ乳酸系重合体、(B)グラフト共重合ゴム、及び(C)イソシアネート化合物を混合して上記原料組成物を調製することができる。勿論、更に上記他の樹脂及び上記他の添加剤を添加して混合してもよい。尚、上記原料組成物を構成する各成分の添加順序については特に限定はない。また、上記原料組成物を加熱混練する前に予め調製する場合、上記原料組成物に対して、必要に応じて真空乾燥等の乾燥により水分量を減少させる等の前処理を適宜行うことができる。
上記原料組成物は、加熱混練と同時に調製してもよい。上記原料組成物を加熱混練と同時に調製する方法としては、例えば、上記(A)ポリ乳酸系重合体、(B)グラフト共重合ゴム、及び(C)イソシアネート化合物をそれぞれ押出機等に投入して加熱混練する方法がある。この方法では、上記原料組成物の調製と、上記原料組成物の加熱混練が同時に進行する。勿論、更に上記他の樹脂及び上記他の添加剤を添加して混練してもよい。尚、上記原料組成物を構成する各成分の添加順序については特に限定はない。例えば、上記(A)ポリ乳酸系重合体、(B)グラフト共重合ゴム、及び(C)イソシアネート化合物を同時に添加して混練してもよく、上記(A)ポリ乳酸系重合体及び上記(B)グラフト共重合ゴムを添加して混練した後、上記(C)イソシアネート化合物を添加して混練してもよい。
本発明の製造方法において、上記原料組成物の混練の方法に特に限定はない。上記原料組成物の混練方法として通常は、上記原料組成物を溶融させて混練する溶融混練法が使用される。また、混練の際は、上記原料組成物をそのまま用いてもよいが、必要に応じて溶剤を使用することができる。更に、本発明の製造方法において、上記原料組成物を混練する際には、上記原料組成物又は上記各成分を一括して混練してもよく、数回に分けて添加して混練してもよい。
本発明の製造方法において、上記原料組成物の混練を行う装置に特に限定はない。上記原料組成物の混練に使用する装置としては、例えば、押出機(一軸スクリュー押出機及び二軸混練押出機等)、バンバリーミキサー、フィーダールーダー、ローラー、及びニーダー等が挙げられる。これらの装置は回分的又は連続的に運転することができる。
本発明の製造方法において、上記加熱の温度には特に限定はない。上記加熱の温度は、上記(A)ポリ乳酸系重合体、(B)グラフト共重合ゴム、及び(C)イソシアネート化合物の種類及び量等に応じて適宜調整することができる。上記のように、上記原料組成物は通常、溶融混練法によって混練される。よって、上記加熱の温度は、上記原料組成物が溶融又は軟化する温度以上であることが好ましい。また、上記原料組成物では通常、上記(A)ポリ乳酸系重合体及び上記(B)グラフト共重合ゴムが主成分となる。よって、上記加熱の温度は、上記(A)ポリ乳酸系重合体及び/又は上記(B)グラフト共重合ゴムが溶融又は軟化する温度以上であることが好ましい。上記加熱の温度としてより具体的には、例えば、130〜250℃、好ましくは150〜220℃、更に好ましくは160〜200℃とすることができる。
上記混練の時間についても特に限定はない。上記混練の時間は、例えば、上記(A)ポリ乳酸系重合体、(B)グラフト共重合ゴム、及び(C)イソシアネート化合物の種類及び量等に応じて適宜調整することができる。上記混練の時間があまり長時間であると、場合によっては得られるポリ乳酸系樹脂組成物の劣化及び変質を招くおそれがある。よって、上記混練の時間は、短時間であることが好ましい。上記混練の時間としてより具体的には、例えば、30分以内、好ましくは20分以内、更に好ましくは1〜20分、より好ましくは3〜10分とすることができる。
上記混練の速度についても特に限定はない。上記混練の速度は、例えば、上記(A)ポリ乳酸系重合体、(B)グラフト共重合ゴム、及び(C)イソシアネート化合物の種類及び量等に応じて適宜調整することができる。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
(1)ポリ乳酸系樹脂組成物の調製
原料として、以下に示す材料を使用した。尚、「メタブレンW450」は、アクリル系ゴムのグラフト共重合ゴムである。「メタブレンS2001」は、アクリル−シリコーン複合ゴムのグラフト共重合ゴムである。「メタブレンC−223A」は、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)のグラフト共重合ゴムである。
<(A)ポリ乳酸系重合体>
ポリ乳酸(1);結晶性ポリ乳酸(Mw;166000、D;1.1%、MFR;12.3)
ポリ乳酸(2);非結晶性ポリ乳酸(Mw;214000、D;11.9%、MFR;8.3)
ポリ乳酸(3);結晶性ポリ乳酸(トヨタ自動車株式会社製「U’z S−17」、D;0.6%、MFR;13.5)
<(B)グラフト共重合ゴム>
三菱レイヨン株式会社製「メタブレンW450」、「メタブレンS2001」、及び「メタブレンC−223A」
<(C)イソシアネート化合物>
2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート;協和発酵株式会社製「LTI」
上記各原料を表1及び表2に示す割合で配合し、原料組成物を調製した。次いで、二軸押出機(株式会社テクノベル製、φ;20mm、L/D;30)を用いて、上記原料組成物を溶融混練し、ペレット状物とした。上記溶融混練において、実施例1,2,5及び6、並びに比較例1,3,4,7及び8の混練温度は180℃であり、実施例3及び4、並びに比較例2,5,6及び9の混練温度は200℃である。その後、該ペレット状物を熱プレスすることにより、実施例1〜6及び比較例1〜9のポリ乳酸系樹脂組成物を調製した。
(2)性能評価
上記実施例1〜6及び比較例1〜9のポリ乳酸系樹脂組成物について、以下に記載の方法により、性能評価を行った。その結果を以下の表1及び表2に示す。
(A)アイゾット衝撃強度(kJ/m
JIS K7110に準じてノッチ付試験片を用いて測定した。
(B)熱変形温度(℃)
JIS K7191に準じて、荷重0.45MPaの条件下で測定した。
(C)外観
上記実施例1〜4及び比較例1〜7のポリ乳酸系樹脂組成物の外観を目視で観察した。表1において、「○」は透明であり、「△」は若干不透明であることを意味する。尚、実施例5〜6及び比較例8〜9は、いずれも不透明であった。
Figure 2007269915
Figure 2007269915
(3)結果
表1及び表2より、ポリ乳酸のみを含む比較例1及び2は、耐熱性に優れる反面、アイゾット衝撃強度が低い。比較例1及び2に更に(B)グラフト共重合ゴムを加えた比較例3〜6、8及び9では、比較例1及び2よりも耐衝撃性が改善されているが、アイゾット衝撃強度が小さく、耐衝撃性が十分であるとは言えない。比較例1及び2に更に(C)イソシアネート化合物を加えた比較例7では、比較例1及び2と同程度のアイゾット衝撃強度であり、耐衝撃性が殆ど改善されていない。
これに対し、(B)グラフト共重合ゴム及び(C)イソシアネート化合物を加えた実施例1〜6は、比較例1〜9と同程度の熱変形温度を維持すると共に、アイゾット衝撃強度が比較例1〜9の1.5倍以上である。よって、実施例1〜6のポリ乳酸系樹脂組成物は、優れた耐熱性を維持しつつ、耐衝撃性が著しく改善されていることが分かる。
また、表1より、(B)グラフト共重合ゴムとしてアクリル系ゴム又はシリコーン−アクリル複合ゴムのグラフト共重合体を用いた実施例1〜4は、(C)イソシアネート化合物を含まない比較例3〜6と同程度の透明性を維持している。よって、実施例1〜4のポリ乳酸系樹脂組成物は、優れた透明性及び耐熱性を維持しつつ、耐衝撃性が著しく改善されていることが分かる。
更に、表1及び表2より、(B)グラフト共重合ゴムとしてブタジエン系ゴムのグラフト共重合体を用いた実施例5及び6のアイゾット衝撃強度は、(C)イソシアネート化合物を含まない比較例8及び9の約1.5倍程度である。これに対し、(B)グラフト共重合ゴムとしてアクリル系ゴム又はアクリル−シリコーン複合ゴムのグラフト共重合体を用いた実施例1〜4のアイゾット衝撃強度は、(C)イソシアネート化合物を含まない比較例3〜6の2倍以上である。よって、アクリル系ゴム又はシリコーン−アクリル複合ゴムのグラフト共重合ゴムとイソシアネート化合物とを併用した実施例1〜4のポリ乳酸系樹脂組成物は、ブタジエン系ゴムのグラフト共重合ゴムとイソシアネート化合物とを併用した実施例5及び6と比べ、耐衝撃性が著しく改善されていることが分かる。
更に、表1より、(B)グラフト共重合ゴムとしてシリコーン−アクリル複合ゴムのグラフト共重合ゴムを用いた実施例2及び4のアイゾット衝撃強度は、(C)イソシアネート化合物を含まない比較例4及び6の約2.3〜2.5倍である。これに対し、(B)グラフト共重合ゴムとしてアクリル系ゴムのグラフト共重合体を用いた実施例1及び3のアイゾット衝撃強度は、(C)イソシアネート化合物を含まない比較例4及び6の4倍以上である。よって、アクリル系ゴムのグラフト共重合ゴムとイソシアネート化合物とを併用した実施例1及び3のポリ乳酸系樹脂組成物は、シリコーン−アクリル複合ゴムのグラフト共重合ゴムとイソシアネート化合物とを併用した実施例2及び4と比べ、耐衝撃性が著しく改善されていることが分かる。
上記のように、上記特許文献3の実施例及び比較例(表1)を対比すると、イソシアネート化合物を添加した実施例のシャルピー衝撃値の殆どは、イソシアネート化合物を含まない比較例の2倍未満である。また、イソシアネート化合物を添加した実施例のシャルピー衝撃値は、ポリ乳酸(表1の比較例8及び9)を比べても、3〜8倍程度に過ぎない。これに対して、上記のように、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物のアイゾット衝撃強度は、イソシアネート化合物を含まない比較例の2倍を越える値である。また、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物のアイゾット衝撃強度は、ポリ乳酸(表1の比較例1及び2)の9〜27倍の値である。即ち、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物では、上記特許文献3の結果をはるかに上回る耐衝撃性の向上が認められる。このことから、上記のように、本発明では、上記(C)イソシアネート化合物特有の性質又は特定の上記(B)グラフト共重合ゴムと上記(C)イソシアネート化合物の組み合わせが作用効果に影響していると考えられる。
尚、本発明は、上記実施例に限らず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物及び成形品、並びに本発明の製造方法により得られるポリ乳酸系樹脂組成物は、従来のポリ乳酸系樹脂組成物と比べて、優れた耐熱性を維持すると共に、耐衝撃性に優れる。また、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物及び成形品、並びに本発明の製造方法により得られるポリ乳酸系樹脂組成物は、透明性を維持することができる。本発明のポリ乳酸系樹脂組成物及び成形品、並びに本発明の製造方法により得られるポリ乳酸系樹脂組成物は、これまで石油由来の樹脂が使用されていた様々な用途へ利用できる。本発明のポリ乳酸系樹脂組成物及び成形品、並びに本発明の製造方法により得られるポリ乳酸系樹脂組成物は、例えば、包装資材、農業資材、並びに玩具及び文房具等の日曜雑貨に利用できる。特に、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物及び成形品、並びに本発明の製造方法により得られるポリ乳酸系樹脂組成物は、土木建築資材、自動車部品、OA機器及び家電機器等の耐衝撃性が必要とされる用途、並びにフィルム、各種シート及び包装資材等の透明性が必要とされる用途に好適に利用することができる。

Claims (8)

  1. (A)ポリ乳酸系重合体、(B)グラフト共重合ゴム、及び(C)イソシアネート化合物を含有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
  2. (A)ポリ乳酸系重合体、(B)グラフト共重合ゴム、及び(C)イソシアネート化合物を含む原料組成物を加熱混練することにより得られることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
  3. 上記(B)グラフト共重合ゴムが、アクリル系ゴム、シリコーン−アクリル複合ゴム又はジエン系ゴムに、ビニル系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合ゴムである請求項1又は2記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  4. JIS K7110に準じてノッチ付試験片を用いて測定したアイゾット衝撃強度が、28kJ/m以上である請求項1乃至3のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物を用いて成形されたことを特徴とする成形品。
  6. (A)ポリ乳酸系重合体、(B)グラフト共重合ゴム、及び(C)イソシアネート化合物を含む原料組成物を加熱して混練することを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
  7. 上記加熱の温度は、上記原料組成物が溶融若しくは軟化する温度以上である請求項6記載のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
  8. 上記(B)グラフト共重合ゴムが、アクリル系ゴム、シリコーン−アクリル複合ゴム又はジエン系ゴムに、ビニル系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体である請求項6又は7記載のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
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