JP2007269192A - 自転車用チェーンホイール - Google Patents
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Abstract
【課題】2つの部材を接合したチェーンホイールにおいて、接合部分での強度を向上させる。
【解決手段】スプロケット71は、第1部材86と、第2部材87と、補強部材88とを備えている。第1部材86は、外周部にチェーン係合用のギア歯86aが形成され内周部にクランク取付部86bを有する環状の部材である。第2部材87は、第1部材86に一部が重なるように接合された環状の部材である。補強部材88は、第1部材86と第2部材87との接合部分の少なくとも一部を覆うように両部材86,87に接合された部材である。
【選択図】図8
【解決手段】スプロケット71は、第1部材86と、第2部材87と、補強部材88とを備えている。第1部材86は、外周部にチェーン係合用のギア歯86aが形成され内周部にクランク取付部86bを有する環状の部材である。第2部材87は、第1部材86に一部が重なるように接合された環状の部材である。補強部材88は、第1部材86と第2部材87との接合部分の少なくとも一部を覆うように両部材86,87に接合された部材である。
【選択図】図8
Description
本発明は、チェーンホイール、特に、自転車に用いられる自転車用チェーンホイールに関する。
自転車には、一般に、チェーンホイールと、それに巻回されたチェーンとを有する駆動部が設けられている。フロントチェーンホイールは自転車のギアクランクに設けられ、リアチェーンホイールは自転車のフリーハブに設けられている。この種の自転車用スプロケットは、JIS H4000のA2014P等のアルミニウムやJIS G3141のSPCC等の鉄を素材として用いている。変速のためにギアクランクやフリーハブに複数のスプロケットを装着する場合、軽量化を図るためにアルミニウムを素材として採用している。
また、さらに軽量化するためにスプロケット歯が形成されたアルミニウム合金製のスプロケットリング部とスプロケットリング部の内周に装着されギアクランクに固定される炭素繊維素材製の固定部とを有する自転車スプロケットが従来知られている(たとえば、特許文献1参照)。このスプロケットは、スプロケットリング部の内周部と固定部とを、スプロケットリング部と固定部とにそれぞれ形成された半円形の孔部に金属製のカシメピンを装着することにより固定している。また、2つの部材を用いることにより天候によって変形するのを防ぐためにスプロケットリング部と固定部との間には隙間を設けている。さらに、ギアクランクとの固定部部分には、段差を有する取付孔が設けられている。このような構造のスプロケットでは、通常は取付孔にボルトを挿通してギアクランクのスパイダーアームにスプロケットを固定している。
独国実用新案第20218755号公報
前記従来の自転車用チェーンホイールでは、固定部を構成する合成樹脂の経年劣化により固定部とスパイダーアーム部(回転駆動部)との固定力が低下することが懸念される。また、過剰なトルクでボルトを締め付けると合成樹脂製の固定部が変形し、やはり固定力が低下するおそれがある。
そこで、外周部にギア歯を形成した金属製の第1部材と、第1部材と一部が重なるように接合されたたとえばカーボン樹脂製の第2部材とでチェーンホイールを構成することが考えられる。そして、金属製の第1部材に固定部を設けるとともに、第1部材及び第2部材の少なくともいずれかを平板状ではなく立体的に構成することにより、軽量化を図りつつ固定力の減少を抑えることができる。
しかし、2つの部材を接合すると、チェーンホイールに力が作用すると、接合部分における強度を向上させるのが難しいという問題がある。
本発明の課題は、2つの部材を接合したチェーンホイールにおいて、接合部分での強度を向上させることにある。
発明1に係る自転車用チェーンホイールは、第1部材と、第2部材と、補強部材とを備えている。第1部材は、外周部にチェーン係合用のギア歯が形成され内周部にクランク取付部を有する環状の部材である。第2部材は、第1部材に一部が重なるように接合された環状の部材である。補強部材は、第1部材と第2部材との接合部分の少なくとも一部を覆うように両部材に接合された部材である。
このチェーンホイールでは、第1部材と第2部材との接合部分の少なくとも一部が補強部材により覆われ、その補強部材が両部材に接合されている。このため、第1部材と第2部材との接合部分での強度が向上する。
発明2に係る自転車用チェーンホイールは、発明1に記載のホイールにおいて、第2部材は、第1部材との間に空間を有している。この場合には、第1部材及び第2部材の少なくともいずれかを両部材の間に空間が形成されるように立体化することにより、立体化された部材の強度をさらに高くすることができるとともに、意匠の向上を図ることもできる。
発明3に係る自転車用チェーンホイールは、発明1又は2に記載のホイールにおいて、第2部材は、外周側と内周側とで第1部材に接合され、補強部材は、内周側の接合部分を覆うように両部材に固定されている。この場合には、外周側より強度が必要な内周側が補強されるので、軽量化を図りつつ強度の向上を図ることができる。
発明4に係る自転車用チェーンホイールは、発明1又は2に記載のホイールにおいて、補強部材は、第2部材全体を覆うように両部材に固定されている。この場合には、第2部材全体が補強部材により覆われるので、補強部材がチェーンホイールの一面に表れる。このため、補強部材により意匠の向上を図りつつ強度をさらに向上させることができる。
発明5に係る自転車用チェーンホイールは、発明1から4のいずれかに記載のホイールにおいて、第2部材は、ギア歯形成部分を除く第1部材の一面を覆うように第1部材に接合されている。この場合には、第2部材がチェーンホイールの一面に表れるので、第2部材により意匠の向上を図ることができる。
発明6に係る自転車用チェーンホイールは、発明2から5のいずれかに記載のホイールにおいて、第1部材と第2部材との間の空間に配置された第3部材をさらに備える。この場合には、第3部材によりさらに強度の向上を図ることができる。
発明7に係る自転車用チェーンホイールは、発明1から6のいずれかに記載のホイールにおいて、第1部材の素材は、アルミニウム合金材、アルミニウム合金とカーボン繊維の複合材、及びチタン合金とカーボン繊維の複合材のいずれかひとつである。この場合には、強度を重視しなければならない第1部材の軽量化を図りやすい。
発明8に係る自転車用チェーンホイールは、発明1から7のいずれかに記載のホイールにおいて、第2部材の素材は、アルミニウム合金材及び繊維強化樹脂材のいずれかひとつである。この場合には、意匠性も重視しなければならない第2部材の軽量化を図りやすい。
発明9に係る自転車用チェーンホイールは、発明1から8のいずれかに記載のホイールにおいて、補強部材の素材は、合成樹脂材、繊維強化樹脂材、及び軽合金材のいずれかひとつである。この場合には、補強を主目的にした補強部材において軽量化を図りやすい。
本発明によれば、第1部材と第2部材との接合部分の少なくとも一部が補強部材により覆われ、その補強部材が両部材に接合されている。このため、第1部材と第2部材との接合部分での強度が向上する。
図1において、本発明の一実施形態を採用した自転車は、たとえばドロップタイプのハンドル部14を有するロードバイク10である。ロードバイク10は、車体の骨格をなすダイヤモンド形のフレーム11を備えている。フレーム11は、フレーム体12と、フレーム体12の前部に斜め縦軸回りに回転自在に支持され、下部が2股に分かれたフロントフォーク13とを有している。また、ロードバイク10は、フロントフォーク13に連結されたハンドル部14と、フレーム体12の下部に取り付けられ、踏み力を駆動力に変換する駆動部15と、フロントフォーク13の下端に回転自在に支持された前輪16と、フレーム体12の後部に回転自在に支持された後輪17と、前後の制動装置18,19とを備えている。
フレーム体12は、三角形状の前三角20と、前三角20の後方に配置された後三角21とを有するダイヤモンド形のフレームである。
フロントフォーク13の上部にはハンドル部14を構成するハンドルステム35が上下に移動可能に固定されている。ハンドルステム35の上端には、左右に延びる両端が湾曲したハンドルバー36が固定されている。ハンドルバー36の両端には、変速機能付のブレーキレバー38が取り付けられている。
駆動部15は、ハンガー部29に設けられたクランク部41と、後輪17のフリーハブに回転不能に取り付けられた小ギヤ部43と、クランク部41と小ギヤ部43との間に架け渡されたチェーン44と、変速用のフロントディレーラ45およびリアディレーラ46とを有している。フロントディレーラ45は、チェーン44が挿通するチェーンガイド45aを有している。
クランク部41は、図2に示すように、フレーム体12の筒状のハンガー部29に回転自在に支持されたクランク軸54を有するクランク軸組立体50と、クランク軸54の右端に一体的にカシメ固定され先端にペダル53(図1)が装着された右クランク51と、クランク軸54の左端に着脱自在に固定される左クランク52とを有している。
クランク軸組立体50は、図2に示すように、クランク軸54と、ハンガー部29に装着されクランク軸54を回転自在に支持するボトムブラケット55とを有している。
クランク軸54は、たとえばクロムモリブデン鋼等の高剛性を有する合金製の中空のパイプ状部材である。クランク軸54の左端内周面には、図3に示すように、左クランク52を固定するために雌ねじ部54aが形成されている。クランク軸54の右端は、図2に示すように、右クランク51にたとえば圧入固定されている。
また、クランク軸54の左端外周面には、左クランク52を回転不能に連結するための先細りのテーパ部54bが形成されている。テーパ部54bは先細りに形成された第1テーパ面54cと、第1テーパ面54cの少なくとも一部、具体的には先端側外周面に径方向内方に凹んで形成され左クランク52を回転不能に連結する第1スプライン54dとを有している。第1テーパ面54cは、たとえば0.5から1.5度程度の傾斜角を有するテーパ面である。
ボトムブラケット55は、図2に示すように、ハンガー部29の両端からねじ込まれる左右の軸受ハウジング60,61と、左右の軸受ハウジング60,61を同芯に連結する筒状の連結部材62と、左右の軸受ハウジング60,61に装着された左右の軸受63,64と、左右の軸受63,64の内輪とクランク軸54との間に装着される左右のカバー部材65,66とを有している。
左右の軸受ハウジング60,61は、段付き筒状の部材であり、軸受63,64が各別に収納される軸受収納部60a,61aと、軸受収納部60a,61aと並べて配置されハンガー部29の端部に回転不能に装着される装着部60b,61bとをそれぞれに有している。軸受収納部60a,61aは、軸受装着部60a,61aの軸方向外側に配置されており、装着部60b,61bより大径である。ハンガー部29は、左右の両端内周面に雌ねじ部29a,29bを有しており、装着部60b,61bは、軸受収納部60a,61aの内側に配置され雌ねじ部29a,29bに螺合する雄ねじ部60c,61cを有している。通常、クランクの回転による緩みを防止するため、左側の雌ねじ部29aは右ねじで右側の雌ねじ部は左ねじである。したがって、これらに螺合する雄ねじ部60cは右ねじ、雄ねじ部61cは左ねじである。
連結部材62は、クランク軸54が通過可能な内径を有する筒状の部材であり、両端内周面が左右の軸受ハウジング60,61の装着部60b,61bの内周面に嵌合している。連結部材62と軸受ハウジング60,61との連結部分には、Oリング68,69が装着されている。
軸受63,64は、内輪63a,64a及び外輪63b,64bを有する玉軸受等の転がり軸受である。軸受63,64は、カバー部材65,66を介して左右のクランク52,51により内輪63a,64aのそれぞれ軸方向外側(軸受63は図2左側、軸受64は図2右側)への移動が規制され、軸受ハウジング60,61により外輪63b,64bのそれぞれ軸方向内側(軸受63は図2右側、軸受64は図2左側)への移動が規制されるように配置されている。軸受63,64は、内輪63a,64aと外輪63b,64bとの間にシールが装着されたシールドベアリングであり、グリースが予め封入されたものである。これにより、潤滑のためのメンテナンスを省くことができる。このように、ハンガー部29の軸方向外側に軸受63,64を配置することによりクランク軸54の軸径を大きくすることができ、クランク軸54を中空形状にして軽量化を図ってもクランク軸54の強度や剛性を高く維持できる。
カバー部材65,66は、軸受ハウジング60,61の外側端面をカバーするたとえば硬質な合成樹脂製の部材であり、左右のクランク52,51と軸受63,64の内輪63a,64aとに挟まれた状態で配置されている。
右クランク51は、図2及び図5に示すように、大小2つのスプロケット(チェーンホイールの一例)71,72と、スプロケット71,72を固定ボルト90により固定可能なギアクランク58とを有している。ギアクランク58は、円形の空間で構成されクランク軸54の右端に回転不能に装着される係合凹部78を有するクランク連結部75と、クランク連結部75から放射状に延び、大小2枚のスプロケット71,72を先端に装着可能な5つのスパイダーアーム部76と、クランク軸54の右端に固定され先端にペダル装着孔77aが形成された右クランクアーム部77とを有している。右クランク51の連結部75の軸方向の内側端面75aは、カバー部材66を介して軸受64の内輪64aを押圧可能である。スパイダーアーム部76の先端には、ボルト孔76bとスプロケット71,72取付用の2つの取付面76cとを有するスプロケット取付部76aが形成されている。
大径のスプロケット71は、図6から図9に示すように、環状の第1部材86と、第1部材86と一部が重なるように接合された環状の第2部材87と、第1部材86と第2部材87との接合部分の少なくとも一部を覆うように両部材86,87に接合された補強部材(図8)88とを有している。
第1部材86は、たとえば、素材としてアルミニウム合金材、アルミニウム合金とカーボン繊維の複合材、及びチタン合金とカーボン繊維の複合材のいずれかひとつを用いた環状の部材である。なお、この実施形態ではアルミニウム合金材を用いている。第1部材86の外周部には、チェーン44が噛み合うギア歯86aが形成され、内周部には、径方向内方に突出してギアクランク58のスパイダーアーム部76に連結される5つのクランク取付部86bが形成されている。ギア歯86aとクランク取付部86bとの間は、ギア歯86aより厚みが薄く形成されかつ断面視で内側、すなわちスプロケット72側にわずかに屈曲している。ギア歯86aは、たとえば、50〜55T程度(図5から図9では歯数は正確に表していない)の歯数を有している。クランク取付部86bは、図7及び図9に示すように、先端に固定ボルト90が貫通するボルト孔86cを有している。また、周方向の両側に第2部材87を接合するための1対のリブ部86dを有している。なお、図6ではリブ部86dは図示を省略している。ボルト孔86cの周囲において第2部材87の接合側には、固定ボルト90が螺合するナット部材89が接合されている。ナット部材89は、リブ部86dの内側面にも接合されている。
第2部材87は、たとえば、素材としてアルミニウム合金材及び繊維強化樹脂材のいずれかを用いた環状の部材である。なお、この実施形態ではカーボン繊維強化樹脂材を用いている。第2部材87は、ギア歯86a形成部分を除く第1部材86の外側面(図7,8の右側面)をクランク取付部86bも含めて覆うように外周側と内周側とで第1部材86に接合されている。具体的には、第2部材87は、平面視ではギア歯86a形成部分を除いて第1部材86と同様な形状であり、ギア歯86aの径方向内方の第1部材86の外側面(図7及び図8右側面)と、第1部材86の内周側の外側面及び内周面と、クランク取付部86bのリブ部86dの外側面とで、たとえば、エポキシ樹脂系やシアノアクリレート等の適宜の接着剤により接合されている。第2部材87は、第1部材87より薄肉であり、第1部材86との間で空間91が形成されるように三次元的に立体的に構成されている。具体的には、内側に屈曲した第1部材86に対して外側に断面視円弧状に脹らんで形成された後、第1部材86の内周部に向けて屈曲して第2部材87は形成されている。このように、第1及び第2部材86,87を三次元的に立体的に構成することにより、強度をより高くすることができる。
補強部材88は、たとえば、素材として合成樹脂材、繊維強化樹脂材、及び軽合金材のいずれか1つを用いた環状の部材である。なお、この実施形態ではカーボン繊維強化樹脂材を用いている。第1及び第2部材86,87の内周側の接合部分を覆うように両部材86,87に接合されている。具体的には、クランク取付部86bでは、図9に示すように、1対のリブ部86dの基端側の折り曲げ部分を挟んで第1部材86と第2部材87とに接合され、それ以外の部分では、図8に示すように内周側の部分で第1部材86と第2部材87とに接合されている。この接合の形態は、前述した第1部材86と第2部材87との接合と同様に接着剤により接合されている。
小径のスプロケット72は、たとえば、素材としてアルミニウム合金材,ステンレス合金材,及びチタン合金材のいずれかひとつを用いた環状の部材である。なお、この実施形態ではアルミニウム合金材を用いている。スプロケット72の外周には、図2及び図5に示すように、チェーン44が噛み合うギア歯72aが形成され、内周部には、径方向内方に突出してギアクランク58のスパイダーアーム部76に連結される5つのクランク取付部72bが形成されている。スプロケット72は、前述したように、固定ボルト90によりスプロケット71とともにスパイダーアーム部76に固定されている。
左クランク52は、図2及び図4に示すように、固定ボルト59によりクランク軸54の左端に回転不能に連結されるクランク本体56と、クランク本体56に装着される調整部材57とを有している。クランク本体56は、クランク軸54の左端に回転不能に装着されるボス部56aと、ボス部56aから延びるアーム部56bと、アーム部の先端に設けられペダル53が装着されるペダル装着部56cと、ボス部56aに形成された調整部材57取付用の雄ねじ部56dとを有している。固定ボルト59は、クランク軸54の左端内周面に形成された雌ねじ部54aにねじ込まれて、ワッシャ96(図4)を介して左クランク52をクランク軸54に固定する。固定ボルト59は、アーレンキーなどの工具により締め付け可能な工具係止孔59bを内周面に有している。
ボス部56aの軸受63に対向する面には、図3に示すように、カバー部材65に向かって突出する突出部52aが形成されており、雄ねじ部56dは突出部52aの外周面に形成されている。ボス部56aの内周面には、クランク軸54のテーパ部54bに係合するテーパ孔52bが形成されている。テーパ孔52bは、第1テーパ面54cに係合する第2テーパ面52cと、第2テーパ面52cの少なくとも一部、具体的には先端側内周面に径方向内方に突出して形成され、第1スプライン54dに回転不能に係合する第2スプライン52dとを有している。第2テーパ面52cは、たとえば0.5度から1.5度程度の傾斜角を有するテーパ面である。テーパ面54c,52cは、くさび効果により左クランク52をクランク軸54に食い込ませて強固に連結するために設けられている。したがって、固定ボルト59で固定した後に固定ボルト59を外しても左クランク52は外れにくくなっている。左クランク52を外す際には、図3及び図4に示す専用の抜き工具85が必要になる。ボス部56aの先端内周面には、抜き工具85をねじ込むための雌ねじ部52eが形成され、雌ねじ部52eと第2スプライン52dの先端面との間には、固定ボルト59の頭部59aが当接する当接面52fが形成されている。第2スプライン52dは、第1スプライン54dに係合したとき、クランク軸54に所定の回転位相で回転不能に連結するように形成されている。また雌ねじ部52eには、合成ゴム等の弾性体製のリング部材84が装着されている。
リンク部材84は、左クランク52を抜くときに使用する雌ねじ部52eを保護するとともに、それより内部に異物が侵入するのを防止するために設けられている。リング部材84の内周面は、固定ボルト59の頭部59aの外周面に配置されている。リング部材84は、図4に示すように、外周面に雌ねじ部52eに螺合する雄ねじ部84aを有するとともに、内周面に固定ボルト59の頭部59aに接触可能なリップ部84bを有している。また外側面(図4右側面)に抜き工具85に設けられた4本の係止ピン85aに係合する係合凹部84cが形成されている。係合凹部84cは周方向に間隔を隔てて8箇所設けられている。このような弾性体製のリング部材84は、従来は硬質合成樹脂や金属製であった。このような硬質のリング部材の場合、外すのを忘れて左クランク52をクランク軸54から外すと、リング部材が破損する場合がある。しかし、本実施形態では、リング部材84を弾性体製にしたので、リング部材84を装着したまま左クランク52を外してもリング部材84の弾性変形により効果的に破損を防ぐことができる。
抜き工具85は、本来左クランク52の取り外しに使用されるものであるが、その通常は使用しない一面(図3右側面)にリング部材84着脱用の係止ピン85aが設けられている。抜き工具85は、外周面に雌ねじ部52eに螺合する雄ねじ部85bを有し、他面(図3左側面)に固定ボルト59の頭部59aに接触するワッシャで構成された接触部85cを有している。さらに、固定ボルト59を回すためのアーレンキーが通過可能な通過孔85dが中心部に設けられている。
この抜き工具85を利用して左クランク52を外す際には、最初に図3右側面に配置された係止ピン85aを係合凹部84cに合わせ、抜き工具85によりリング部材84を回して取り外す。そして、抜き工具85を図3及び図4に示す状態から反転させ図3左側に形成された雄ねじ部85bを雌ねじ部52eにねじ込み、左クランク52に装着する。この状態でアーレンキーを通過孔85dに通して固定ボルト59の工具係止孔59bに差し込み、固定ボルト59を緩める。すると、固定ボルト59の頭部59aが接触面85cに接触して抜き工具85を押圧し、押圧された抜き工具85とともに、クランク軸54に食い込んだ左クランク52がクランク軸54から抜ける。ここでは、左クランク52を抜くための抜き工具85にリング部材84を着脱するための係止ピン85aを設けたので一つの工具で関連する2つの作業を行うことができる。
調整部材57は、クランク本体56にねじ込まれて玉当たりを調整するための部材である。雄ねじ部56dに螺合する雌ねじ部(第2ねじ部の一例)80aを有する筒状部80と、筒状部80の一端に形成されクランク軸54を支持する軸受63に接触可能な接触部81と、を有している。調整部材57は径方向に沿って形成されたスリット82を有しており、スリット82を締め付けボルト83で締め付けることにより、スリット82の幅が狭まって調整部材57が突出部52aの外周面に固定され回り止めされる。さらに筒状部80の残りの外周面には、たとえばローレット加工により多数の凹凸部(図示せず)が形成されている。
このような構成の左クランク52をハンガー部29に装着する際には、最初に左右の軸受ハウジング60,61に、軸受63,64やカバー部材65,66を予め装着しておく。また、いずれかの軸受ハウジング60,61に連結部材62を装着しておく。この状態でハンガー部29の雌ねじ部29a,29bに軸受ハウジング60,61を所定範囲のトルクでねじ込む。次に、クランク軸54が一体で固定された右クランク51を軸受ハウジング61側から挿入する。そして、左クランク52の突出部52aの奥まで調整部材57をねじ込む。このとき、締め付けボルト83は緩めておき、調整部材57を回転可能状態にしておく。調整部材57をねじ込んだ後、右クランク51と180度異なる回転位相で左クランク52を装着し、固定ボルト59により固定し、さらに抜き工具85を用いてリング部材84を左クランク52に装着する。なお、第1及び第2スプライン54d,52dには、右クランク51と左クランク52とが180度の回転位相に配置されるように他の部分より周方向長さが長い特別の凹凸部(図示せず)が、たとえば1つだけ形成されている。したがって、特別の凹凸部を係合させることにより、両クランク52,51は、180度の回転位相に配置される。
この状態で調整部材57をねじが緩む方向に回す。すると、調整部材57の接触部81がカバー部材65を介して軸受63の内輪63aを押圧して玉当たりを調整できる。玉当たりの調整が終わると、締め付けボルト83を締め込んでスリット82の幅を狭め、調整部材57を突出部52aに固定する。これにより調整部材57が回り止めされ、一度調整した玉当たりが次に左クランク52を着脱するまで変化しにくくなる。
ここでは、左クランク52にボス部56aに螺合する調整部材57を設け、その調整部材57を回すことにより玉当たりの調整を行えるので、左クランク52で玉当たりの調整作業を簡単に行えるようになる。
一方、右クランク51では、スプロケット71が環状の第1及び第2部材86,87を接合させた構造であり、かつ第1部材86と第2部材87との接合部分の少なくとも一部が補強部材88により覆われ、その補強部材88が両部材86,87に接合されている。このため、第1部材86と第2部材87との接合部分での強度が向上する。しかも、両部材86,87の少なくともいずれかが三次元的に立体化されているので、強度をさらに高くすることができるとともに、意匠の向上を図ることができる。
このような構成のスプロケット71は、以下のような構成で製造される。まず、第1部材となる、たとえばアルミニウム合金製の素材を、プレス成形や機械加工して第1部材86を得る。また、たとえばカーボン繊維強化樹脂製の素材を型成形して第2部材87を得る。さらに、たとえばカーボン繊維強化樹脂製の素材を型成形して補強部材88を得る。得られた第2部材87を第1部材86に、たとえば熱硬化性のエポキシ樹脂接着剤で接合し、さらにその接合部分に補強部材88を接合する。これにより、スプロケット71が得られる。
得られたスプロケット71とたとえばアルミニウム合金製のスプロケット72とを、ギアクランク58のスパイダーアーム部76の取付面76cに取り付け、固定ボルト90をナット部材89にかたく締め付けることにより右クランク51が完成する。
〔他の実施形態〕
(a)前記実施形態では、第1部材86と第2部材87との接合部分のうち、内周側の接合部分だけに補強部材88を設けたが、図10に示すように、スプロケット171の第1部材86と第2部材87との接合部分のうち、外周側の接合部分にも補強部材188を設けてもよい。また、図11及び図12に示すように、スプロケット271の第2部材87全体を覆うように補強部材288を第1及び第2部材86,87に固定してもよい。なお、補強部材88を外周側の接合部分に設ける場合、第1部材86まで延ばさずに第2部材87の外周部付近までで止めておいてもよい。
(a)前記実施形態では、第1部材86と第2部材87との接合部分のうち、内周側の接合部分だけに補強部材88を設けたが、図10に示すように、スプロケット171の第1部材86と第2部材87との接合部分のうち、外周側の接合部分にも補強部材188を設けてもよい。また、図11及び図12に示すように、スプロケット271の第2部材87全体を覆うように補強部材288を第1及び第2部材86,87に固定してもよい。なお、補強部材88を外周側の接合部分に設ける場合、第1部材86まで延ばさずに第2部材87の外周部付近までで止めておいてもよい。
(b)図13に示すように、スプロケット371の第1部材86と第2部材87との間の空間91に第3部材95を配置してもよい。第3部材95は、たとえば、発泡性を有する軽量な合成樹脂を充填して構成されるものであってもよい。
(c)前記実施形態では、ロードバイク用のチェーンホイールを例に説明したが、本発明のチェーンホイールは全ての形式の自転車に適用できる。
71 スプロケット(チェーンホイールの一例)
86 第1部材
86a ギア歯
87 第2部材
88,188,288,388 補強部材
91 空間
95 第3部材
86 第1部材
86a ギア歯
87 第2部材
88,188,288,388 補強部材
91 空間
95 第3部材
Claims (9)
- 自転車用チェーンホイールであって、
外周部にチェーン係合用のギア歯が形成され内周部にクランク取付部を有する環状の第1部材と、
前記第1部材に一部が重なるように接合された環状の第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との接合部分の少なくとも一部を覆うように前記両部材に接合された補強部材と、
を備えた自転車用チェーンホイール - 前記第2部材は、前記第1部材との間に空間を有している、請求項1に記載の自転車用チェーンホイール。
- 前記第2部材は、外周側と内周側とで前記第1部材に接合され、
前記補強部材は、前記内周側の接合部分を覆うように前記両部材に固定されている、請求項1又は2に記載の自転車用チェーンホイール。 - 前記補強部材は、前記第2部材全体を覆うように前記両部材に固定されている、請求項1又は2に記載の自転車用チェーンホイール。
- 前記第2部材は、前記ギア歯形成部分を除く前記第1部材の一面を覆うように前記第1部材に接合されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の自転車用チェーンホイール。
- 前記第1部材と前記第2部材との間の前記空間に配置された第3部材をさらに備える、請求項2から5のいずれか1項に記載の自転車用チェーンホイール。
- 前記第1部材の素材は、アルミニウム合金材、アルミニウム合金とカーボン繊維の複合材、及びチタン合金とカーボン繊維の複合材のいずれかひとつである、請求項1から6のいずれか1項に記載の自転車用チェーンホイール。
- 前記第2部材の素材は、アルミニウム合金材及び繊維強化樹脂材のいずれかひとつである、請求項1から7のいずれか1項に記載の自転車用チェーンホイール。
- 前記補強部材の素材は、合成樹脂材、繊維強化樹脂材、及び軽合金材のいずれかひとつである、請求項1から8のいずれか1項に記載の自転車用チェーンホイール。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006097816A JP2007269192A (ja) | 2006-03-31 | 2006-03-31 | 自転車用チェーンホイール |
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JP2006097816A JP2007269192A (ja) | 2006-03-31 | 2006-03-31 | 自転車用チェーンホイール |
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JP (1) | JP2007269192A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009121469A (ja) * | 2007-11-13 | 2009-06-04 | Snecma | ターボ機械にロータを支持するベアリングを取り付ける方法 |
US9777784B2 (en) | 2011-03-02 | 2017-10-03 | Shimano, Inc. | Disk brake rotor with hollow portions |
-
2006
- 2006-03-31 JP JP2006097816A patent/JP2007269192A/ja active Pending
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JP2009121469A (ja) * | 2007-11-13 | 2009-06-04 | Snecma | ターボ機械にロータを支持するベアリングを取り付ける方法 |
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