JP2006151158A - 自転車用クランク軸受組立体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 軸支持部材がハンガー部にねじ込み固定される自転車用クランク軸受組立体において、玉当たりの調整を容易に行えるようにする。
【解決手段】 ボトムブラケット55は、両端内周面に雌ねじ部29a,29bが形成されたハンガー部29に両端に左右1対のクランク52,51が装着されるクランク軸54を回転自在に装着する組立体であって、左右1対の軸受ハウジング60,61と、左右1対の軸受63,64と、ロックナット70とを備えている。軸受ハウジング60,61は、雌ねじ部29a,29bに螺合する雄ねじ部60c,61cと、雄ねじ部29a,29bの軸方向外側に配置された軸受収納部60a,61aとを有する部材である。軸受63,64は、軸受収納部60a,61aに各別に収納された軸受であり、左右1対のクランク52,51により軸方向外側への移動が規制されかつ軸受ハウジング60,61により軸方向内側への移動が規制される軸受である。ロックナット70は、雄ねじ部29aに装着されるナットである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、軸受組立体、特に、自転車のフレームに設けられ両端内周面に第1及び第2雌ねじ部が形成されたハンガー部に両端に左右1対のクランクが装着されるクランク軸を回転自在に装着する自転車用クランク軸受組立体に関する。
自転車のハンガー部には、ボトムブラケットと呼ばれるクランク軸受組立体が装着される(たとえば、特許文献1参照)。従来のクランク軸組立体は、第1及び第2軸受収納部を有しハンガー部の両端に各別にねじ込まれる第1及び第2軸支持部材と、第1及び第2軸支持部材に収納された第1及び第2軸受とを有している。クランク軸は、両軸受に回転自在に支持されており、その両端には、左右のクランクが回転不能に装着される。
従来のクランク軸受組立体では、右側のギヤクランクはクランク軸の右端に一体でカシメ固定されている。第1及び第2軸受の内輪は、左右のクランクの内側端部により挟持されており左右のクランクにより押圧可能に配置されている。左クランクはクランク軸の左端外周面に形成されたセレーションによりクランク軸に回転不能に装着され、かつ左端内周面に螺合する固定ボルトによりクランク軸に固定される。固定ボルトで左クランクをクランク軸に固定すると、左右のクランクが第1及び第2軸受の内輪の軸方向外側面に接触して内輪を軸方向内側に押圧する。この押圧力の加減により玉当たりを調整し軸方向のがたをなくすことができる。また、左クランクのクランク軸装着部分には、径方向に沿ってスリットが形成されている。固定ボルトによる左クランクの固定後に、このスリットの幅を2本の取付ボルトで狭めることにより、左クランクをクランク軸にさらに強固に固定できる。
特開2004−249770号公報
前記従来の構成では、左クランクを固定する固定ボルトで左クランクを介して軸受の内輪を押圧することにより、軸受の玉当たりを調整しつつ左クランクをクランク軸に固定し、その後に取付ボルトによりスリット幅を狭めることにより左クランクをクランク軸にさらに強固に固定している。このため、左クランク固定後に玉当たりを再調整する場合、取付ボルトを緩めさらに固定ボルトを回して調整する必要があり、玉当たりの再調整が煩わしい。
本発明の課題は、軸支持部材がハンガー部にねじ込み固定される自転車用クランク軸受組立体において、玉当たりの調整を容易に行えるようにすることにある。
発明1に係る自転車用クランク軸受組立体は、自転車のフレームに設けられ両端内周面に第1及び第2雌ねじ部が形成されたハンガー部に両端に左右1対のクランクが装着されるクランク軸を回転自在に装着する組立体であって、第1軸支持部材と、第2軸支持部材と、第1及び第2軸受と、ロックナットとを備えている。第1軸支持部材は、外周面に形成され第1雌ねじ部に螺合する第1雄ねじ部と、内周面に設けられた第1軸受収納部とを有する部材である。第2軸支持部材は、外周面に形成され第2雌ねじ部に螺合する第2雄ねじ部と、内周面に設けられた第2軸受収納部とを有する部材である。第1及び第2軸受は、第1及び第2軸受収納部に各別に収納された軸受であり、クランク軸により軸方向外側への移動が規制されかつ第1及び第2軸支持部材により軸方向内側への移動が規制される軸受である。ロックナットは、第1及び第2雄ねじ部の少なくともいずれかに装着される少なくとも1つのナットである。
このクランク軸受組立体では、ハンガー部の第1及び第2雌ねじ部に第1及び第2軸支持部材の第1及び第2雄ねじ部を螺合させて第1及び第2軸支持部材をハンガー部に装着する。この軸支持部材のハンガー部への装着の際に、少なくともいずれかの雄ねじ部に予めロックナットを装着しておく。そして、クランク軸が装着され、さらに左右1対のクランクがクランク軸の両端に装着されると、クランク軸により軸受の軸方向外側への移動が規制されるとともに、両軸支持部材により軸方向内側への移動が規制される。この状態で、第1及び第2軸支持部材のうち、ロックナットが装着された側の軸支持部材を緩む方向に回動させると、それに装着された軸受が軸方向外側にクランク軸に向けて押圧され玉当たりを調整できる。そして、調整が終わると、ロックナットにより軸支持部材の回り止めを行い、軸支持部材の軸方向位置がずれないようにする。ここでは、ロックナットを設けることにより、軸支持部材の軸方向の任意の位置で固定できるようにしたので、軸支持部材で玉当たりの調整を行える。このため、クランクにより玉当たりを調整する必要がなくなり、玉当たりの調整を容易に行えるようになる。
発明2に係る自転車用クランク軸受組立体は、自転車のフレームに設けられ両端内周面に第1及び第2雌ねじ部が形成されたハンガー部に両端に左右1対のクランクが装着されるクランク軸を回転自在に装着する組立体であって、第1軸支持部材と、第2軸支持部材と、第1及び第2軸受と、ロックナットとを備えている。第1軸支持部材は、外周面に形成され第1雌ねじ部に螺合する第1雄ねじ部と、内周面に設けられた第1軸受収納部とを有する部材である。第2軸支持部材は、外周面に形成され第2雌ねじ部に螺合する第2雄ねじ部と、内周面に設けられた第2軸受収納部とを有する部材である。第1及び第2軸受は、第1及び第2軸受収納部に各別に収納された軸受であり、左右1対のクランクにより軸方向外側への移動が規制されかつ第1及び第2軸支持部材により軸方向内側への移動が規制される軸受である。ロックナットは、第1及び第2雄ねじ部の少なくともいずれかに装着される少なくとも1つのナットである。
このクランク軸受組立体では、ハンガー部の第1及び第2雌ねじ部に第1及び第2軸支持部材の第1及び第2雄ねじ部を螺合させて第1及び第2軸支持部材をハンガー部に装着する。この軸支持部材のハンガー部への装着の際に、少なくともいずれかの雄ねじ部に予めロックナットを装着しておく。そして、クランク軸が装着され、さらに左右1対のクランクがクランク軸の両端に装着されると、左右1対のクランクにより軸受の軸方向外側への移動が規制されるとともに、両軸支持部材により軸方向内側への移動が規制される。この状態で、第1及び第2軸支持部材のうち、ロックナットが装着された側の軸支持部材を緩む方向に回動させると、それに装着された軸受が軸方向外側にクランクに向けて押圧され玉当たりを調整できる。そして、調整が終わると、ロックナットにより軸支持部材の回り止めを行い、軸支持部材の軸方向位置がずれないようにする。ここでは、ロックナットを設けることにより、軸支持部材の軸方向の任意の位置で固定できるようにしたので、軸支持部材で玉当たりの調整を行える。このため、クランクにより玉当たりを調整する必要がなくなり、玉当たりの調整を容易に行えるようになる。
発明3に係る自転車用クランク軸受組立体は、発明1又は2に記載の組立体において、第1及び第2軸受収納部は、第1及び第2雄ねじ部の内周側にそれぞれ配置されている。この場合には、第1及び第2軸受収納部と第1及び第2雄ねじ部とがそれぞれ軸方向に少なくとも一部が重なり合うように配置されるので、クランク軸受組立体のコンパクト化及び軽量化を図ることができる。
発明4に係る自転車用クランク軸受組立体は、発明1又は2に記載の組立体において、第1及び第2軸受収納部は、第1及び第2雄ねじ部の軸方向外側にそれぞれ配置されている。この場合には、軸受が雄ねじ部の軸方向外側に配置されるので、軸受間距離が長くなるとともにクランクから軸受までの距離が短縮し、クランク軸の剛性を高めることができる。
発明5に係る自転車用クランク軸受組立体は、発明1、3又は4に記載の組立体において、第1及び第2軸受は、外輪と内輪と両輪の間に配置された転がり部材とを有する転がり軸受であり、クランク軸は内輪の軸方向外側への移動を規制し、第1及び第2軸支持部材は外輪の軸方向内側への移動を規制する。この場合には、クランク軸により内輪を規制し軸支持部材により外輪を規制しているので、規制部分を外周面から突出せずに設けることにより軸支持部材をハンガー部に装着した後にクランク軸を装着できる。
発明6に係る自転車用クランク軸受組立体は、発明2から4のいずれかに記載の組立体において、第1及び第2軸受は、外輪と内輪と両輪の間に配置された転がり部材とを有する転がり軸受であり、左右1対のクランクは内輪の軸方向外側への移動を規制し、第1及び第2軸支持部材は外輪の軸方向内側への移動を規制する。この場合には、最後に装着される左右1対のクランクのいずれかで内輪を規制できるので、クランク軸で内輪を規制する必要がなくなり、軸支持部材をハンガー部に装着した後にクランク軸を装着できる。
発明7に係る自転車用クランク軸受組立体は、発明4から6のいずれかに記載の組立体において、第1及び第2軸受収納部は、第1及び第2雄ねじ部より大径であり、ハンガー部の軸方向外側に配置される。この場合には、軸受がハンガー部の軸方向外側に配置されるので、軸受間距離がさらに長くなるとともに、クランク軸の外径を大きくすることができ、クランク軸の剛性をさらに高めることができる。
発明8に係る自転車用クランク軸受組立体は、発明2から7のいずれかに記載の組立体において、クランク軸の右端には、右クランクが回転不能にカシメ固定されており、ロックナットは、第1及び第2雄ねじ部のうち左クランクが配置される側の雄ねじ部に装着されている。この場合には、スプロケットなどの比較的大径の部品が配置される右クランクではなく左クランク側にロックナットが配置されるのでロックナットや軸支持部材を回しすい。このため、玉当たりの調整がさらに容易になる。
発明9に係る自転車用クランク軸受組立体は、発明1から8のいずれかに記載の組立体において、第1及び第2軸支持部材を同芯に連結し内部をクランク軸が通過可能な連結部材をさらに備える。この場合には、2つの軸支持部材を連結することにより、クランク軸が連結部材により一方の軸支持部材から他方の軸支持部材に案内される。このため、クランク軸の装着が容易になる。
本発明によれば、ロックナットを設けることにより、軸支持部材の軸方向の任意の位置で固定できるようにしたので、軸支持部材で玉当たりの調整を行える。このため、クランクにより玉当たりを調整する必要がなくなり、玉当たりの調整を容易に行えるようになる。
<第1実施形態>
図1において、本発明の一実施形態を採用した自転車は、たとえばドロップタイプのハンドル部14を有するロードバイク10である。ロードバイク10は、車体の骨格をなすダイヤモンド形のフレーム11を備えている。フレーム11は、フレーム体12と、フレーム体12の前部に斜め縦軸回りに回転自在に支持され、下部が2股に分かれたフロントフォーク13とを有している。また、ロードバイク10は、フロントフォーク13に連結されたハンドル部14と、フレーム体12の下部に取り付けられ、踏み力を駆動力に変換する駆動部15と、フロントフォーク13の下端に回転自在に支持された前輪16と、フレーム体12の後部に回転自在に支持された後輪17と、前後の制動装置18,19とを備えている。
フレーム体12は、三角形状の前三角20と、前三角20の後方に配置された後三角21とを有している。前三角20は、横方向に配置された上パイプ25と、上パイプ25の下方に前上がりに配置された下パイプ26と、上パイプ25および下パイプ26の前端を接合するヘッドパイプ27と、上パイプ25および下パイプ26の後端を接合し、斜め上方に延びる立パイプ28とから構成されている。立パイプ28にはサドル32を固定したシートポスト33が上下位置を調節可能に固定されている。立パイプ28と下パイプ26との接合部には、筒状のハンガー部29(図2)が形成されている。後三角21は、立パイプ28に前端が接合され2股に分かれて斜め下方に延びるシートステイ30と、立パイプ28の下端から後方に2股に分かれて延び、シートステイ30の後端に接合されたチェーンステイ31とから構成されている。
フロントフォーク13の上部にはハンドル部14を構成するハンドルステム35が上下に移動可能に固定されている。ハンドルステム35の上端には、左右に延びる両端が湾曲したハンドルバー36が固定されている。ハンドルバー36の両端には、変速機能付のブレーキレバー38が取り付けられている。
駆動部15は、ハンガー部29に設けられたクランク部41と、後輪17のフリーハブに回転不能に取り付けられた小ギヤ部43と、クランク部41と小ギヤ部43との間に架け渡されたチェーン44と、変速用のフロントディレーラ45およびリアディレーラ46とを有している。フロントディレーラ45は、チェーン44が挿通するチェーンガイド45aを有している。
クランク部41は、図2に示すように、フレーム11のハンガー部29に回転自在に支持されたクランク軸54を有するクランク軸組立体50と、クランク軸54の右端に一体的にカシメ固定され先端にペダル53(図1)が装着された右クランク51と、クランク軸54の左端に着脱自在に固定される左クランク52とを有している。
クランク軸組立体50は、図2に示すように、クランク軸54と、ハンガー部29に装着されクランク軸54を回転自在に支持するボトムブラケット(本願発明の一実施形態に係るクランク軸受組立体の一例)55とを有している。
クランク軸54は、たとえばクロムモリブデン鋼等の高剛性を有する合金製の中空のパイプ状部材である。クランク軸54の左端内周面には、左クランク52を固定するために固定ボルト59がねじ込まれる雌ねじ部54aが形成されている。また、クランク軸54の左端外周面には、図3及び図4に示すように、左クランク52を回転不能に連結するためのセレーション54bが形成されている。
ボトムブラケット55は、図2に示すように、ハンガー部29の両端からねじ込まれる左右の軸受ハウジング(第1及び第2軸支持部材の一例)60,61と、左右の軸受ハウジング60,61を同芯に連結する筒状の連結部材62と、左右の軸受ハウジング60,61に装着された左右の軸受63,64と、左右の軸受63,64の内輪とクランク軸54との間に装着される左右のカバー部材65,66と、左側の軸受ハウジング60に螺合するロックナット70とを有している。
左右の軸受ハウジング60,61は、段付き筒状の部材であり、軸受63,64が各別に収納される軸受収納部60a,61aと、軸受収納部60a,61aと並べて配置されハンガー部29の端部に回転不能に装着される装着部60b,61bとをそれぞれに有している。軸受収納部60a,61aは、装着部60b,61bの軸方向外側に配置されており、装着部60b,61bより大径である。ハンガー部29は、左右の両端内周面に雌ねじ部29a,29bを有しており、装着部60b,61bは、雌ねじ部29a,29bに螺合する雄ねじ部60c,61cを有している。通常、クランクの回転による緩みを防止するため、左側の雌ねじ部29aは右ねじで右側の雌ねじ部は左ねじである。したがって、これらに螺合する雄ねじ部60cは右ねじ、雄ねじ部61cは左ねじである。
連結部材62は、クランク軸54が通過可能な内径を有する筒状の部材であり、両端内周面が左右の軸受ハウジング60,61の装着部60b,61bの内周面に嵌合している。連結部材62と軸受ハウジング60,61との連結部分には、Oリング68,69が装着されている。
軸受63,64は、内輪63a,64a及び外輪63b,64bと、内輪63a,64aと外輪63b,64bとの間に配置された球体やコロ等の転がり部材63c,64cとを有する玉軸受やコロ軸受等の転がり軸受である。軸受63,64は、カバー部材65,66を介して左右のクランク52,51により内輪63a,64aのそれぞれ軸方向外側(軸受63は図2左側、軸受64は図2右側)への移動が規制され、軸受ハウジング60,61により外輪63b,64bのそれぞれ軸方向内側(軸受63は図2右側、軸受64は図2左側)への移動が規制されるように配置されている。軸受63,64は、内輪63a,64aと外輪63b,64bとの間にシールが装着されたシールドベアリングであり、グリースが予め封入されたものである。これにより、潤滑のためのメンテナンスを省くことができる。このように、ハンガー部29の軸方向外側に軸受63,64を配置することによりクランク軸54の軸径を大きくすることができ、クランク軸54を中空形状にして軽量化を図ってもクランク軸54の強度や剛性を高く維持できる。
カバー部材65,66は、軸受ハウジング60,61の外側端面をカバーするたとえば硬質な合成樹脂製の部材であり、左右のクランク52,51と軸受63,64の内輪63a,64aとに挟まれた状態で配置されている。
ロックナット70は、図5に示すように、扁平な正12角形形状のナットであり、工具が係止される12角の工具係止部70aと、雄ねじ部60cに螺合する雌ねじ部70bとを有している。ロックナット70は、ハンガー部29の雌ねじ部29aとで、軸受ハウジング60をダブルナット作用により回り止めし、軸受ハウジング60の軸方向に任意の位置で固定可能にするために設けられている。ロックナット70を装着することにより、軸受ハウジング60を用いて玉当たりの調整を行える。
右クランク51は、スプロケット71,72を装着可能なギヤクランクであり、円形の空間で構成されクランク軸54の右端に回転不能に装着される係合凹部78を有するクランク連結部75と、クランク連結部75から放射状に延びる大小2枚のスプロケット71,72を先端に装着可能な5つのアーム部76と、クランク軸54の右端に固定され先端にペダル装着孔77aが形成された右クランクアーム部77とを有している。右クランク51のクランク連結部75の軸方向の内側端面75aは、カバー部材66を介して軸受64の内輪64aを押圧可能である。
左クランク52は、図2〜図4に示すように、先端にペダル53がねじ込まれるペダル装着孔85aが形成された中空構造の左クランクアーム部85を有している。左クランク52は、中心にクランク軸54に回転不能に連結される連結孔52aを有している。連結孔52aには、セレーション54bに噛み合い、クランク軸54に所定の回転位相で回転不能に連結するためのセレーション52bが形成されている。左クランク52の軸方向の内側端面52cは、カバー部材65を介して軸受63の内輪63aを押圧可能である。左クランク52は、クランク軸54の雌ねじ部54aにねじ込まれる固定ボルト59によりクランク軸54に固定されるとともに、固定ボルト59のねじ込みにより軸受63,64を左右のクランク52,51とともに内側に押圧可能である。これにより、軸受63,64の玉当たりを調整可能である。なお、左クランク52のクランク軸54に装着される連結孔52aには径方向に延びるスリット52dが形成されている。スリット52dのスリット幅は、スリット52dを横断するように配置された取付ボルト67a,67bにより狭めることができるようになっている。この2本の取付ボルト67a,67bを締め付けることにより、左クランク52は強固にクランク軸54に固定されている。この2本の取付ボルト67a,67bは、たとえば六角穴付きボルトであり、頭部が異なる方向から挿入されている。
このような構成のクランク軸組立体50をハンガー部29に装着する際には、最初に左右の軸受ハウジング60,61に、軸受63,64やカバー部材65,66を予め装着しておく。また、いずれかの軸受ハウジング60,61に連結部材62を装着しておく。また、軸受ハウジング60の雄ねじ部60cにロックナット70を装着しておく。この状態でハンガー部29の雌ねじ部29a,29bに軸受ハウジング60,61をねじ込む。このとき、軸受ハウジング61はハンガー部29の端面に軸受収納部61aが接触するように所定範囲のトルクで奥までねじ込む。軸受ハウジング60はハンガー部29にロックナット70を挟んだ状態で所定範囲のトルクで奥までねじ込む。そして、ロックナット70をハンガー部29に接触するように回してロックする。これにより、左側の軸受ハウジング60が回り止めされ、ねじが緩みにくくなり、軸方向位置が固定される。
次に、クランク軸54が一体で固定された右クランク51を軸受ハウジング61側から挿入する。そして、左側の軸受ハウジング60から突出したクランク軸54の先端に右クランク51と180度異なる回転位相で左クランク52を装着する。なお、図4に示すように、セレーション52b,54bには、右クランク51と左クランク52とが180度の回転位相に配置されるように他の部分より周方向長さが長い特別の凹凸部52f,54fが、たとえば1つだけ形成されている。したがって、特別の凹凸部52f,54fを係合させることにより、両クランク52,51は、180度の回転位相に配置される。
この状態で固定ボルト59をクランク軸54に装着し、左クランク52をクランク軸54に固定する。このとき、固定ボルト59を締め込むとクランク軸54が図2左側に移動し、左右のクランク52,51の内側端面52c,75aがカバー部材65,66を介して軸受63,64の内輪63a,64aを内側に押圧する。この押圧量を調整してクランク軸54の左右のがたをなくす玉当たりの調整を左クランク52の装着と同時に行う。玉当たりの調整が終わると、左クランク52の取付ボルト67a,67bを締め付けて左クランク52をクランク軸54に強固に固定する。
この状態で初期の玉当たりの調整は完了する。しかし、自転車に乗っていると、徐々に玉当たりの調整が崩れて軸方向のがたが発生し、玉当たりの再調整を行う必要が生じるときがある。このときは、ロックナット70をいったん緩める。これにより、軸受ハウジング60の回り止めが解除され、軸受ハウジング60を緩み方向に回転させることができる。軸受ハウジング60を緩み方向に回転させると、左側の軸受ハウジング60が軸受63の外輪63bを軸方向外側(図3左側)に押圧する。これにより、軸受63,64のがたが少なくなり、玉当たりの再調整を行える。そして、がたが無くなりかつ回転がスムースな状態になると、ロックナット70を回してハンガー部29の端面に向けて締め込む。これにより、軸受ハウジング60が回り止めされ、軸受ハウジング60の軸方向位置がずれないようになる。
ここでは、ロックナット70を設けることにより、軸受ハウジング60の軸方向の任意の位置で固定できるようにしたので、軸受ハウジング60で玉当たりの調整を行える。このため、クランクにより玉当たりを調整する必要がなくなり、玉当たりの調整を容易に行えるようになる。
<第2実施形態>
第1実施形態では、軸受63,64の内輪63a,64aが左右1対のクランク52,51により軸方向外側への移動が規制されている。一方、第2実施形態では、図6に示すように、軸受163,164の内輪163a,164aがクランク軸154により軸方向外側への移動が規制されている。
図6において、第2実施形態は、第1実施形態と比べて、駆動部のクランク部141の構成が異なる。したがってクランク部141以外の説明は省略する。クランク部141は、ハンガー部29に回転自在に支持されたクランク軸154を有するクランク軸組立体150と、クランク軸154の右端に着脱自在に固定され先端にペダル53(図1)が装着された右クランク151と、クランク軸154の左端に着脱自在に固定され先端にペダル53(図1)が装着された左クランク152とを有している。
クランク軸組立体150は、クランク軸154と、ハンガー部29に装着されクランク軸154を回転自在に支持するボトムブラケット(本願発明の一実施形態に係るクランク軸受組立体の一例)155とを有している。
クランク軸154は、たとえばアルミニウム合金製の中実又は中空の軸部材である。クランク軸154の両端には、左右のクランク152,151を回転不能に固定するために固定ボルト159がねじ込まれる雌ねじ部154a(左側のみ図示)が形成されている。また、クランク軸54の両端外周面には、左右のクランク152,151を回転不能に連結するための先細りテーパ形状の4平面を有する回転係止部154b(右側のみ図示)が形成されている。
ボトムブラケット155は、ハンガー部29の両端からねじ込まれる左右の軸受ハウジング(第1及び第2軸支持部材の一例)160,161と、左右の軸受ハウジング160,161を同芯に連結する筒状の連結部材162と、左右の軸受ハウジング160,161に設けられた左右の軸受163,164と、左側の軸受ハウジング160に螺合するロックナット70とを有している。
左右の軸受ハウジング160,161は、段付き筒状の部材であり、内側に軸受163,164の外輪163b,164bを構成する湾曲する玉受け面が形成された軸受収納部160a,161aと、軸受収納部160a,161aと並べて配置されハンガー部29の端部に回転不能に装着される装着部160b,161bとをそれぞれに有している。軸受収納部160a,161aは、軸受装着部160a,161aの軸方向外側に配置されており、装着部160b,161bより大径である。ハンガー部29は、左右の両端内周面に雌ねじ部29a,29bを有しており、装着部160b,161bは、雌ねじ部29a,29bに螺合する雄ねじ部60c,61cを有している。通常、クランクの回転による緩みを防止するため、左側の雌ねじ部29aは右ねじで右側の雌ねじ部は左ねじである。したがって、これらに螺合する雄ねじ部160cは右ねじ、雄ねじ部161cは左ねじである。
連結部材162は、第1実施形態と同様な構成であり説明を省略する。なお、第1実施形態でも同様であるが、連結部材162を設けなくてもよい。
軸受163,164は、内輪163a,164a及び軸受収納部160,61と一体形成された外輪163b,164bと、内輪163a,164aと外輪163b,164bの間に配置された球体等の転がり部材163c,164cを有する玉軸受等の転がり軸受である。左側の軸受163の内輪163aは、クランク軸154に軸方向外側への移動が記載された状態で着脱自在に装着されている。具体的には、クランク軸154の内輪装着部分には、外周面の対向する2箇所に数字の7字状の係止溝154c(図6では1つのみ図示)が軸部分の左端部から形成されている。また、内輪163aの内周面には、係止溝154cに係合する1対の係止突起163d(図6では1つのみ図示)が形成されている。係止溝154cに係止突起163dを係止させた状態で内輪163aを軸部分の左端から装着し軸方向右側に移動させたのみ僅かに回転させさらに軸方向左側に移動させる。これにより、内輪163aは、軸方向左側への移動が規制された状態でクランク軸154に装着される。また、右側の軸受164の内輪164aは、クランク軸154と一体又はクランク軸154に、たとえば圧入や接着や溶接等の適宜の固定手段により固定されている。また、クランク軸154の内輪装着部分の右側に大径の当接部を設け、リング状の内輪164aを左側から装着し、内輪164akの軸方向右側への移動を規制してもよい。また、外輪163b,164bは、前述したように軸受収納部160a,161aの内周面に玉受け面により構成されている。これにより、軸受163,164は、クランク軸154により内輪163a,164aのそれぞれ軸方向外側(軸受163は図6左側、軸受164は図6右側)への移動が規制され、軸受ハウジング160,161により外輪163b,164bのそれぞれ軸方向内側(軸受163は図6右側、軸受164は図6左側)への移動が規制されるように配置されている。このように、ハンガー部29の軸方向外側に軸受163,164を配置することによりクランク軸54の軸径を大きくすることができ、クランク軸154にアルミニウム合金を用いて軽量化を図ってもクランク軸54の強度や剛性を高く維持できる。
ロックナット70は、図5に示ものと同様な形状であるので詳細な説明を省略するが、工具が係止される工具係止部と、雄ねじ部160cに螺合する雌ねじ部とを有している。ロックナット70は、ハンガー部29の雌ねじ部29aとで、左側の軸受ハウジング160をダブルナット作用により回り止めし、軸受ハウジング160の軸方向に任意の位置で固定可能にするために設けられている。ロックナット70を装着することにより、軸受ハウジング160を用いて玉当たりの調整を行える。
右クランク151は、円形の空間で構成されクランク軸154の右端に着脱自在かつ回転不能に連結される矩形テーパ形状の連結孔178を有するクランク連結部175と、クランク連結部175から放射状に延びる大小2枚のスプロケット71,72を先端に装着可能な5つのアーム部176と、クランク軸154の右端に固定され先端にペダル装着孔177aが形成された右クランクアーム部177とを有している。
左クランク152は、先端にペダル53がねじ込まれるペダル装着孔185aが形成された中空構造の左クランクアーム部185を有している。左クランク152は、中心にクランク軸154に着脱自在かつ回転不能に連結される矩形テーパ形状の連結孔152aを有している。連結孔52aは、回転係止部154bに係合する。左クランク152は、クランク軸154の雌ねじ部154aにねじ込まれる固定ボルト159によりクランク軸154に固定される。
このような構成のクランク軸組立体150をハンガー部29に装着する際には、最初に左右の軸受ハウジング160,161に、軸受163,164の転がり部材163c,164cを予め装着しておく。なお転がり部材163cは、図示しない保持部材により周方向に間隔を隔てて保持されている。また、いずれかの軸受ハウジング160,161に連結部材162を装着しておく。また、軸受ハウジング160の雄ねじ部160cにロックナット70を装着しておく。この状態でハンガー部29の雌ねじ部29a,29bに軸受ハウジング60,61を所定範囲のトルクでねじ込む。このとき、ロックナット70及び軸受ハウジング160は、最もハンガー部29に接近可能な位置までねじ込んでおく。次に、クランク軸154を軸受ハウジング161側から挿入する。そして、左側の軸受ハウジング160から突出したクランク軸154の先端に軸受163の内輪163aを前述した手順でクランク軸154に装着する。内輪163aの装着が終わると、軸受ハウジング160を緩み方向に回して玉当たりを調整する。内輪163aの装着時には、内輪163aを僅かに軸方向左側に移動させる必要がある。このため、玉当たりを調整する際には、まず内輪163aの左側への移動分だけ軸受ハウジング160を緩み方向に回転させて軸方向左側に移動させ、転がり部材163cを内輪163aに接触させる必要がある。そして、転がり部材163cが内輪163aに接触し、玉当たりの調整が終わるとロックナット70をハンガー部29の端面に向けて締め込み、軸受ハウジング160を回り止めし、軸方向にずれないようにする。最後に左右の右クランク52,51を固定ボルト159により180度異なる回転位相で装着する。
この状態で初期の玉当たりの調整は完了する。しかし、自転車に乗っていると、徐々に玉当たりの調整が崩れて軸方向のがたが発生し、玉当たりの再調整を行う必要が生じるときがある。このときは、ロックナット70をいったん緩める。これにより、軸受ハウジング160の回り止めが解除され、軸受ハウジング160を緩み方向に回転させることができる。軸受ハウジング160を緩み方向に回転させると、軸受ハウジング160が軸受163の外輪163bを軸方向外側(図6左側)に押圧する。これにより、軸受163,164のがたが少なくなり、玉当たりの再調整を行える。そして、がたが無くなりかつ回転がスムースな状態になると、ロックナット70を回してハンガー部29の端面に向けて締め込む。これにより、軸受ハウジング160が回り止めされ、軸受ハウジング160の軸方向位置がずれないようになる。
ここでも、ロックナット70を設けることにより、軸受ハウジング160の軸方向の任意の位置で固定できるようにしたので、軸受ハウジング160で玉当たりの調整を行える。このため、クランクにより玉当たりを調整する必要がなくなり、玉当たりの調整を容易に行えるようになる。
<第3実施形態>
前記第1及び第2実施形態では、軸受ハウジングの軸受収納部がハンガー部の軸方向外側に配置され、軸受収納部と雄ねじ部とが軸方向に並べて配置されている。第3実施形態では、図7に示すように、軸受収納部260aと雄ねじ部260cを有する装着部260bとが軸方向に一部が重なり合って配置されている。
図7において、第3実施形態は、第1及び第2実施形態と比べて、駆動部のクランク部241の構成が異なる。したがってクランク部241以外の説明は省略する。クランク部241は、ハンガー部29に回転自在に支持されたクランク軸254を有するクランク軸組立体250と、クランク軸254の右端に着脱自在に固定され先端にペダル53(図1)が装着された右クランク251と、クランク軸254の左端に着脱自在に固定され先端にペダル53(図1)が装着された左クランク252とを有している。
クランク部241は、図7に示すように、ハンガー部29に回転自在に支持されたクランク軸254を有するクランク軸組立体250と、クランク軸254の右端に一体的にカシメ固定され先端にペダル53(図1)が装着された右クランク251と、クランク軸254の左端に着脱自在に固定される左クランク252とを有している。
クランク軸組立体250は、クランク軸254と、ハンガー部29に装着されクランク軸254を回転自在に支持するボトムブラケット(本願発明の一実施形態に係るクランク軸受組立体の一例)255とを有している。
クランク軸254は、たとえばクロムモリブデン鋼等の高剛性を有する合金製の軸部材である。クランク軸254の左端内周面には、左クランク252を固定するために固定ボルト259がねじ込まれる雌ねじ部254aが形成されている。また、クランク軸254の左端外周面には、左クランク52を回転不能に連結するためのセレーション254bが形成されている。
ボトムブラケット255は、ハンガー部29の両端からねじ込まれる左右の軸受ハウジング(第1及び第2軸支持部材の一例)260,261と、左右の軸受ハウジング260,261を同芯に連結する筒状の連結部材262と、左右の軸受ハウジング260,261に装着された左右の軸受263,264と、左右の軸受263,264の内輪とクランク軸254との間に装着される左右のカバー部材265,266と、左側の軸受ハウジング260に螺合するロックナット70とを有している。
左右の軸受ハウジング260,261は、鍔付き筒状の部材であり、内周面に設けられ軸受263,264が各別に収納される軸受収納部260a,261aと外周面に形成され、ハンガー部29の端部に回転不能に装着される装着部260b,261bと、鍔部260d,261dとをそれぞれに有している。装着部260b,261bは、軸受収納部260a,261aの外周側で外周面に形成されている。ハンガー部29は、第1実施形態と同様に左右の両端内周面に雌ねじ部29a,29bを有しており装着部260b,261bは、雌ねじ部29a,29bに螺合する雄ねじ部260c,261cを有している。通常、クランクの回転による緩みを防止するため、左側の雌ねじ部29aは右ねじで右側の雌ねじ部は左ねじである。したがって、これらに螺合する雄ねじ部260cは右ねじ、雄ねじ部261cは左ねじである。鍔部261dは、ハンガー部29の右端面に接触して配置される。鍔部260d,261dの外周面は工具が係止可能な形状に形成されている。
連結部材262及びカバー部材265,266は、第1実施形態と大きさが異なるだけで同様な構造のため説明を省略する。
軸受263,264は、第1実施形態と直径が異なるだけで同じ構造であり、内輪263a,264a及び外輪263b,264bと、内輪263a,264aと外輪263b,264bとの間に配置された球体やコロ等の転がり部材263c,264cとを有する玉軸受やコロ軸受等の転がり軸受である。
ロックナット70は、第1実施形態と同様であり、たとえば、扁平な正12角形形状のナットである。
右クランク51は、スプロケット71,72を装着可能なギヤクランクであり、円形の空間で構成されクランク軸54の右端に回転不能に装着される係合凹部78を有するクランク連結部75と、クランク連結部75から放射状に延びる大小2枚のスプロケット71,72を先端に装着可能な5つのアーム部76と、クランク軸54の右端に固定され先端にペダル装着孔77aが形成された右クランクアーム部77とを有している。右クランク51のクランク連結部75の軸方向の内側端面75aは、カバー部材66を介して軸受64の内輪64aを押圧可能である。
左右のクランク252,251は、第1実施形態と同様な構成であるため説明を省略する。なお、図7では、ここで説明していない部材に対しても図2に200を足した符号で示している。これらの符号がついた部位は第1実施形態と同様な構成である。
このような構成のクランク軸組立体250をハンガー部29に装着する際には、最初に左右の軸受ハウジング260,261に、軸受263,264やカバー部材265,266を予め装着しておく。また、いずれかの軸受ハウジング260,261に連結部材262を装着しておく。また、軸受ハウジング260の雄ねじ部260cにロックナット70を装着しておく。この状態でハンガー部29の雌ねじ部29a,29bに軸受ハウジング260,261をねじ込む。このとき、軸受ハウジング261はハンガー部29の端面に接触するように所定範囲のトルクで奥までねじ込む。軸受ハウジング260はハンガー部29にロックナット70を挟んだ状態で所定範囲のトルクで奥までねじ込む。そして、ロックナット70をハンガー部29に接触するように回してロックする。これにより、左側の軸受ハウジング260が回り止めされ、ねじが緩みにくくなり、軸方向位置が固定される。
次に、クランク軸254が一体で固定された右クランク251を軸受ハウジング261側から挿入する。そして、左側の軸受ハウジング260から突出したクランク軸254の先端に右クランク251と180度異なる回転位相で左クランク252を装着する。
この状態で固定ボルト259をクランク軸254に装着し、左クランク252をクランク軸254に固定する。このとき、固定ボルト259を締め込むとクランク軸254が図7左側に移動し、左右のクランク252,251の内側端面252c,275aがカバー部材265,266を介して軸受263,264の内輪263a,264aを内側に押圧する。この押圧量を調整してクランク軸254の左右のがたをなくす玉当たりの調整を左クランク252の装着と同時に行う。玉当たりの調整が終わると、左クランク252の取付ボルト267a,267bを締め付けて左クランク252をクランク軸254に強固に固定する。
この状態で初期の玉当たりの調整は完了する。玉当たりの再調整は第1実施形態と同様であり、ロックナット70をいったん緩める。これにより、軸受ハウジング260の回り止めが解除され、軸受ハウジング260を緩み方向に回転させることができる。軸受ハウジング260を緩み方向に回転させると、左側の軸受ハウジング260が軸受263の外輪263bを軸方向外側に押圧する。これにより、軸受263,264のがたが少なくなり、玉当たりの再調整を行える。そして、がたが無くなりかつ回転がスムースな状態になると、ロックナット70を回してハンガー部29の端面に向けて締め込む。これにより、軸受ハウジング260が回り止めされ、軸受ハウジング260の軸方向位置がずれないようになる。
ここでは、軸受収納部260a,261aと雄ねじ部260c,261cとがそれぞれ軸方向に少なくとも一部が重なり合うように配置されるので、ハンガー部29内で最大限軸受間距離を離して軸受263,264を配置でき、左右のクランク252,251から軸受の距離を短くすることができる。このため、ハンガー部29内に軸受を配置した場合に、クランク軸254の剛性を高くすることができる。
〔他の実施形態〕
(a)前記第1及び第3実施形態では、最初の玉当たりの調整をクランクの装着と同時に行ったが、軸受ハウジングを用いて最初の玉当たりの調整を行ってもよい。
(b)前記第1実施形態では、ロードバイク用のクランク軸組立体を例に説明したが、本発明のクランク軸組立体は全ての形式の自転車や電動アシスト自転車を含む電動自転車にも適用できる。
(c)前記第2実施形態では、右クランク151をクランク軸154に対して着脱自在な構成としたが、第1及び第2実施形態と同様に右クランク151をクランク軸154の右端にカシメや接着や溶接等の適宜の固定手段により固定してもよい。
(d)前記第1及び第3実施形態では、カバー部材を介して左右のクランクが軸受を規制しているが、左右のクランクが直接軸受を規制する構成であってもよい。
(e)前記第2実施形態では、テーパ形状の4平面を有する回転係止部でクランクを回り止めしたが、セレーション等により回り止めしてもよい。
(f)前記第2実施形態では、軸受をシールするカバー部材等を図示していないが、これらが設けられていてもよい。
本発明に係る第1実施形態を採用した自転車の側面図。 クランク軸組立体の断面図 その左側の断面部分図。 固定ボルトを外した状態のクランク軸装着部分における左クランクの拡大部分図。 ロックナットの正面図。 第2実施形態の図2に相当する図。 第3実施形態の図2に相当する図。
符号の説明
10 ロードバイク
11 フレーム
29 ハンガー部
29a,29b 雌ねじ部
50 クランク軸組立体
51,151,251 右クランク
52,152,252 左クランク
54,154,254 クランク軸
55,155,255 ボトムブラケット(クランク軸受組立体の一例)
60,61、160,161、269,261 軸受ハウジング(第1及び第2軸支持部材の一例)
60a,61a、160a,161a、260a,261a 軸受収納部
60c,61c、160c,161c、260c,261c 雄ねじ部
62,162,262 連結部材
63,64、163,164、263,264 軸受
63a,64a、163a,164a、263a,264a 内輪
63b,64b、163b,164b、263b,264b 外輪
63c,64c、163c,164c、263c,264c 転がり部材
70 ロックナット

Claims (9)

  1. 自転車のフレームに設けられ両端内周面に第1及び第2雌ねじ部が形成されたハンガー部に両端に左右1対のクランクが装着されるクランク軸を回転自在に装着する自転車用クランク軸受組立体であって、
    外周面に形成され前記第1雌ねじ部に螺合する第1雄ねじ部と、内周面に設けられた第1軸受収納部とを有する第1軸支持部材と、
    外周面に形成され前記第2雌ねじ部に螺合する第2雄ねじ部と、内周面に設けられた第2軸受収納部とを有する第2軸支持部材と、
    前記第1及び第2軸受収納部に各別に収納され前記第1及び第2軸支持部材により軸方向内側への移動が規制されかつ前記クランク軸により軸方向外側への移動が規制される第1及び第2軸受と、
    前記第1及び第2雄ねじ部の少なくともいずれかに装着される少なくとも1つのロックナットと、
    を備えた自転車用クランク軸受組立体。
  2. 自転車のフレームに設けられ両端内周面に第1及び第2雌ねじ部が形成されたハンガー部に両端に左右1対のクランクが装着されるクランク軸を回転自在に装着する自転車用クランク軸受組立体であって、
    外周面に形成され前記第1雌ねじ部に螺合する第1雄ねじ部と、内周面に設けられた第1軸受収納部とを有する第1軸支持部材と、
    外周面に形成され前記第2雌ねじ部に螺合する第2雄ねじ部と、内周面に設けられた第2軸受収納部とを有する第2軸支持部材と、
    前記第1及び第2軸受収納部に各別に収納され前記第1及び第2軸支持部材により軸方向内側への移動が規制されかつ前記左右1対のクランクにより軸方向外側への移動が規制される第1及び第2軸受と、
    前記第1及び第2雄ねじ部の少なくともいずれかに装着される少なくとも1つのロックナットと、
    を備えた自転車用クランク軸受組立体。
  3. 前記第1及び第2軸受収納部は、前記第1及び第2雄ねじ部の内周側にそれぞれ配置されている、請求項1又は2に記載の自転車用クランク軸組立体。
  4. 前記第1及び第2軸受収納部は、前記第1及び第2雄ねじ部の軸方向外側にそれぞれ配置されている、請求項1又は2に記載の自転車用クランク軸受組立体。
  5. 前記第1及び第2軸受は、前記外輪と内輪と前記両輪の間に配置された転がり部材とを有する転がり軸受であり、
    前記クランク軸は前記内輪の軸方向外側への移動を規制し、前記第1及び第2軸支持部材は前記外輪の軸方向内側への移動を規制する、請求項1、3又は4に記載の自転車用クランク軸受組立体。
  6. 前記第1及び第2軸受は、前記外輪と内輪と前記両輪の間に配置された転がり部材とを有する転がり軸受であり、
    前記左右1対のクランクは前記内輪の軸方向外側への移動を規制し、前記第1及び第2軸支持部材は前記外輪の軸方向内側への移動を規制する、請求項2から4のいずれか1項に記載の自転車用クランク軸受組立体。
  7. 前記第1及び第2軸受収納部は、前記第1及び第2雄ねじ部より大径であり、前記ハンガー部の軸方向外側に配置される、請求項4から6のいずれか1項に記載の自転車用クランク軸受組立体。
  8. 前記クランク軸の右端には、前記右クランクが回転不能にカシメ固定されており、
    前記ロックナットは、前記第1及び第2雄ねじ部のうち、前記左クランクが配置される側の雄ねじ部に装着されている、請求項2及びから7のいずれか1項に記載の自転車用クランク軸受組立体。
  9. 前記第1及び第2軸支持部を同芯に連結し内部を前記クランク軸が通過可能な連結部材をさらに備える、請求項1から8のいずれか1項に記載の自転車用クランク軸受組立体。
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